説明

油中水型乳化日焼け止め料

【課題】
30℃での粘度が20000mPa・s未満の低粘度で、のび広がりや油っぽさが少ないなど使用性がよく、経時での安定性に優れた油中水型乳化日焼け止め料を得ること。
【解決手段】
次の成分(A)〜(E)、(A)ポリグリセリン変性シリコーン、(B)微粒子金属酸化物 3〜30%、(C)シリコーン油 3〜30%、(D)デキストリン脂肪酸エステル及び/又はイヌリン脂肪酸エステル 0.01〜2%、(E)水を配合することを特徴とする油中水型乳化日焼け止め料に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油中水型乳化日焼け止め料に関し、更に詳しくは、30℃での粘度が20000mPa・s未満の低粘度で、のび広がりや油っぽさが少ないなど使用性がよく、経時での安定性に優れた油中水型乳化日焼け止め料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料には皮膚に対する紫外線の影響を防御するために、有機紫外線遮断剤や無機紫外線遮断剤を配合するものがある。この有機紫外線遮断剤は油溶性又は水溶性のものがあり、透明性が高く多くの日焼け止め料に用いられているが、安全性の面から多量に配合する事は好ましくなく、無機紫外線遮断剤を併用している場合が多い。無機紫外線遮断剤は、通常微粒子粉体が用いられているが、中でも、紫外線防御効果の高い酸化チタンや酸化亜鉛、酸化セリウムが多く用いられている。特に酸化亜鉛は酸化チタンに比べ屈折率が低く透明性に優れる特徴がある。
【0003】
メーキャップ料として使用中や使用後の肌の白さを低減するために、酸化亜鉛を微粒子化し、更に透明性の高い微粒子酸化亜鉛の製造方法の報告がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
日焼け止め料は、乳化タイプの違いにより水中油型乳化化粧料と油中水型乳化化粧料に分けられるが、のび広がりがよく、使用性に優れるという点から油中水型乳化化粧料が好まれる。しかし肌に塗布する際に油っぽさがあり、保管時には経時での粉体凝集による沈降や粘度上昇が問題となる場合があるなど検討すべき課題は多い。
【0005】
そこで、経時での製品の安定性を向上させるために表面処理粉体とシリコーン油と特定のシリコーン系界面活性剤を組合せる報告がある(例えば、特許文献2参照)。また、粉体の分散性を高め肌に塗布した場合の透明性(粉体の白さのなさ)や使用性を向上させることを目的に、分散剤として特定のオルガノポリシロキサン共重合体を用いる報告がある(例えば、特許文献3参照)。しかしながら低粘度の化粧料では経時で粉体凝集がおこる場合があり、肌に塗布した際の使用性が満足でないことがあった。
【0006】
これに対して化粧料の粘度を高くした、いわゆるクリームタイプの油中水型乳化化粧料がある。例えばデキストリン脂肪酸エステルやイヌリン脂肪酸エステルなどの油溶性ゲル化剤を用いて油系の粘度を高くすることで、粉体や乳化滴の凝集を抑制して経時での安定性を向上させる技術がある(例えば、特許文献4〜12参照)。しかしながら、これらの油溶性ゲル化剤を用いたものは、クリーム状から乳液状と粘度が高いことから、のび広がりの良い化粧料とすることは難しかった。
【0007】
微粒子金属酸化物の分散性を向上させ、軽いのび広がりや油っぽさの無さなど使用性の向上や経時での安定性を向上させるためにシリコーン分岐型ポリグリセリン変性シリコーンを用いる報告がある(特許文献13)。シリコーン分岐型ポリグリセリン変性シリコーンを用いることにより分散性は向上し低粘度で、のび広がりや油っぽさが少ないなど使用性が良好な化粧料が得られるが、30℃での粘度を20000mPa・s未満の低粘度にした場合、配合している粉体が凝集し、さらには沈降するなど、経時での安定性に優れるものではなかった。
【0008】
以上のように、低粘度、具体的には30℃での粘度が20000mPa・s未満の油中水型乳化日焼け止め料に関する検討は充分になされておらず、特に配合される微粒子金属酸化物の分散安定性を向上させ、低粘度の油中水型乳化日焼け止め料に関する検討はまったくなされていない。
【0009】
【特許文献1】特開平2−208369号公報
【特許文献2】特開昭63−215615号公報
【特許文献3】特開平11−263708号公報
【特許文献4】特開2002−193747号公報
【特許文献5】特開2002−193741号公報
【特許文献6】特開2001−302484号公報
【特許文献7】特開2001−294512号公報
【特許文献8】特開2001−58921号公報
【特許文献9】特開2000−72646号公報
【特許文献10】特開平11−29459号公報
【特許文献11】特開平11−21224号公報
【特許文献12】特開平8−310914号公報
【特許文献13】特開2004−169015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、軽いのび広がりや油っぽさが少ないなど使用性がよく、30℃での粘度が20000mPa・s未満の低粘度で、経時での安定性に優れた油中水型乳化日焼け止め料を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる実情において、本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(A)ポリグリセリン変性シリコーン、(B)微粒子金属酸化物、(C)シリコーン油、(D)デキストリン脂肪酸エステル及び/又はイヌリン脂肪酸エステル、(E)水を各々特定量組み合わせて配合することにより、軽いのび広がりや油っぽさの無さなど使用性を有し、30℃の粘度が20000mPa・s未満で経時での安定性に優れた油中水型乳化日焼け止め料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、次の成分(A)〜(E)、
(A)ポリグリセリン変性シリコーン
(B)微粒子金属酸化物 3〜30質量%
(C)シリコーン油 3〜30質量%
(D)デキストリン脂肪酸エステル及び/又はイヌリン脂肪酸エステル 0.01〜2質量%
(E)水
を配合し、30℃の粘度が20000mPa・s未満であることを特徴とする油中水型乳化日焼け止め料に関するものである。
【0013】
さらには、成分(A)と成分(B)の配合質量比(B)/(A)が1/1〜50/1の範囲にある前記油中水型乳化日焼け止め料に関するものである。
【0014】
さらには、成分(D)のデキストリン脂肪酸エステル及び/又はイヌリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸の炭素数が8〜22である前記油中水型乳化日焼け止め料に関するものである。
【0015】
さらには、成分(D)のデキストリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸がオクタン酸及び/又はパルミチン酸である前記油中水型乳化日焼け止め料に関するものである。
【0016】
さらには、成分(D)のイヌリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸がステアリン酸である前記油中水型乳化日焼け止め料に関するものである。
【0017】
さらには、成分(B)の微粒子金属酸化物がメチルハイドロジェンジメチルポリシロキサン共重合体又はアルコキシシリル化ジメチルポリシロキサンから選ばれる一種又は二種以上のシリコーン化合物で表面を処理されている前記油中水型乳化日焼け止め料に関するものである。
【0018】
さらには、成分(B)と成分(D)の配合質量比が(B)/(D)が3〜200の範囲である前記油中水型乳化日焼け止め料に関するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の油中水型乳化日焼け止め料は、低粘度で軽いのび広がりや油っぽさの無さなど使用性が良好であり、経時での粘度上昇が従来になく少なく、粉体沈降がなく、経時での安定性に優れた品質を持つものであって、日焼け止め料として優れた品質を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
未満、本発明について詳述する。
本発明で用いられる成分(A)のポリグリセリン変性シリコーンは、成分(B)の微粒子金属酸化物を分散するために用いるものであり、下記一般式(1)で表されるポリグリセリン変性シリコーンである。
【0021】
【化1】

【0022】
[(1)式中Rは炭素数1〜30のアルキル基、アリール基、アラルキル基、フッ素置換アルキル基、アミノ置換アルキル基、カルボキシル置換アルキル基あるいは下記一般式(2)で示される有機基から選択される同種または異種の有機基である。
【0023】
(式中a、b、cはそれぞれ1.0≦a≦2.5、0.001≦b≦1.5、0.001≦c≦1.5)
【0024】
【化2】

【0025】
(式中d、e、fはそれぞれ0≦d≦15、0≦e≦50、0≦f≦50の整数)
【0026】
は下記一般式(3)及び/又は(4)で示されるポリグリセリン誘導体である。
【0027】
【化3】

【0028】
【化4】

【0029】
(式中Rは水素基あるいは炭素数1〜30のアルキル基、又はR−(CO)−で示される有機基、Rは炭素数1〜30の炭化水素基である。Qはエーテル結合又はエステル結合を含有しても良い炭素数3〜20の二価炭化水素基を示し、sは2〜20の整数、tは1〜20の整数である。)
は下記一般式(5)で示されるケイ素含有基である。
【0030】
【化5】

【0031】
(gは1≦g≦5の整数であり、hは0≦h≦500の整数)
【0032】
本発明のポリグリセリン変性シリコーンは、例えば、特開2004−169105号公報等に記載の方法等により合成することができ、市販品としては、KF−6100、KF−6105(信越化学工業社製)等が挙げられる。
本発明で用いられる成分(A)の配合量は特に限定されず、本発明で用いられる他の成分に応じて適宜決めることが可能である。
【0033】
本発明で用いられる成分(B)の微粒子金属酸化物は皮膚を紫外線から防御するために用いられ、この効果を有するものであれば特に限定されるものではないが、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム等が挙げられる。これらの粉体の形状としては、球状、針状、紡錘状、板状、薄片状等が挙げられ、粒子径は5〜100nmのものであり、好ましくは10〜50nmである。またこれらの粉体は表面活性を低減させる事を目的として、シリカ、アルミナ、ジルコニア等の無機成分により処理されていても良い。
【0034】
本発明で用いられる成分(B)の配合量は3〜30質量%(以下「質量%」は「%」と記す)の範囲であれは紫外線防御効果があり、軽いのび広がりや油っぽさの無さなど使用性が良好であり、低粘度の日焼け止め料を得ることができる。成分(B)の配合量が3%未満の場合は充分な紫外線防御効果が得られず、30%を超えるとのびが重く、また油中水型乳化日焼け止め料の粘度も高くなるので好ましくない。
【0035】
本発明に用いられる成分(B)に表面処理されるメチルハイドロジェンジメチルポリシロキサンは、より具体的に例示するのであれば、特許第3073890号公報に記載の下記一般式(6)により表されるメチルハイドロジェンジメチルポリシロキサンが挙げられる。また成分(B)に表面処理されるアルコキシシリルカジメチルポリシロキサンは、より具体的に例示するのであれば特開平7−196946号公報記載の下記一般式(7)により表されるアルコキシシリルカジメチルポリシロキサンが挙げられる。
【0036】
【化6】

【0037】
(m、nはそれぞれ整数で、m+n=7〜50、m:n=0.7〜1.3:1)
【0038】
【化7】

【0039】
(Rは互いに独立してアルキル基(メチル、エチル、プロピル等)を表し、Xは水酸基またはアルコキシ基を表し、Yは直接結合、または二価の炭化水素基(メチレン、エチレン、ブチレン等)を表し、それらの水素原子はその他の置換基により置換されていてもよく、pは1〜3の整数を表し、そしてqは25ないし100を表す)
【0040】
本発明に用いられる成分(B)に表面処理されるメチルハイドロジェンジメチルポリシロキサン及び/又はアルコキシシリルカジメチルポリシロキサンの表面処理量は特に限定されるものではないが、1〜10%が好ましく、更に好ましくは3〜7%である。
【0041】
本発明で用いられる成分(A)と成分(B)は、その配合質量比(B)/(A)は1〜50の範囲であれば、粉体の分散性が良好であり、軽いのび広がりや油っぽさの無さなど使用性が良好な低粘度の油中水型乳化日焼け止め料が得られる。更には、配合質量比(B)/(A)が5〜30の範囲であればより好ましい。
【0042】
本発明に用いられる成分(C)のシリコーン油は、微粒子金属酸化物の分散性を向上させること及びのび広がりの良さや油っぽさの無さなどの使用感向上を目的として配合されるものであり、具体的に例示するのであれば、直鎖型ジメチルポリシロキサン、分岐型ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等であり、なかでも、揮発性の4量体、5量体、6量体の環状ジメチルポリシロキサンあるいは25℃の粘度が1〜6mm/s未満の直鎖型のジメチルポリシロキサンは優れた使用性が得られることから特に好ましいものとして挙げることができる。これらのシリコーン油は必要に応じて一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
本発明に用いられる成分(C)の配合量は、3〜30%であれば軽いのび広がりや油っぽさの無さなど使用性が良好な油中水型乳化日焼け止め料が得られる。更には10〜25%であればより好ましい。成分(C)の配合量が3%未満では軽く広がる使用感が得られず、30%を超える場合、油っぽさのある使用感になってしまい油中水型乳化日焼け止め料として好ましくない。
【0044】
本発明に用いられる成分(D)のデキストリン脂肪酸エステル及び/又はイヌリン脂肪酸エステルは、本発明においては、成分(B)の表面に吸着し保護コロイドを形成することにより、成分(B)同士の再凝集を防止し、分散安定性を向上させることを目的として配合されるものであり、従来技術である油性成分の粘度を上昇させ粉体の沈降を抑制するものとは異なる。
【0045】
本発明に用いられる成分(D)の配合量は、が0.01〜2%であれば成分(B)の分散性が向上し、軽いのび広がりや油っぽさの無さなど使用性が良好であり、低粘度の油中水型乳化日焼け止め料を得ることができる。配合量が0.05〜1.5%の範囲であればより好ましい。成分(D)の配合量が2%を超える場合日焼け止め料の粘度が高くなってしまい、30℃の粘度が20000mPa・s未満とすることが困難となり、また0.01%未満では経時での安定性が悪くなり油中水型乳化日焼け止め料として好ましくない。
【0046】
本発明に用いられる成分(D)のデキストリン脂肪酸エステルは、特に限定はされないが、アシル基置換度1.5〜1.7のデキストリン脂肪酸エステルを好適なものとして挙げることが出来る。更に、デキストリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸としては、炭素数8〜22の直鎖脂肪酸が好ましく、さらに好ましくは炭素数8〜18の直鎖脂肪酸であり、特に好ましくは、炭素数8のオクタン酸、炭素数16のパルミチン酸である。また、成分(D)に用いられるデキストリンは、平均糖重合度3〜150が好ましい。成分(D)における、デキストリンのグルコース単位当りの脂肪酸の置換度は、1.5〜1.7が好ましい。
【0047】
また、成分(D)のイヌリン脂肪酸エステルは、特に限定はされないが、アシル基置換度2以上のイヌリン脂肪酸エステルを例示することができる。イヌリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、炭素数14〜22の直鎖脂肪酸が好ましく、更に好ましくは炭素数18のステアリン酸である。成分(b)におけるイヌリンのフルクトース単位当りの脂肪酸の置換度は2以上が好ましい。
【0048】
本発明に用いられる成分(B)と成分(D)は、その配合質量比(B)/(D)が3〜200の範囲であれば、軽いのび広がりや油っぽさの無さなど使用性を有する低粘度の日焼け止め料が得られる。更には、配合質量比(B)/(D)が10〜100の範囲であればより好ましい。
【0049】
本発明に用いられる成分(E)の水は、油中水型乳化日焼け止め料の内水相を構成する成分として、必須の成分である。本発明において用いられる成分(E)は化粧料に一般的に用いられる精製水の他に、温泉水、海洋深層水、果実水、植物水、植物の水蒸気蒸留水等を挙げることができる。
【0050】
本発明に用いられる成分(E)の配合量は、特に限定されるものではないが、全組成物中の10〜70%が好ましい。
【0051】
本発明の油中水型乳化日焼け止め料には、上記の必須成分の他に、任意成分として一般に化粧料に使用される成分、例えば水可溶性成分、保湿剤、油剤、界面活性剤、増粘剤、粉体、色素、紫外線吸収剤、皮膜系製剤、pH調整剤、退色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料等、通常の化粧料に用いられる成分を本発明の香化を損なわない超的質的範囲において適宜配合することができる。
【0052】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【実施例1】
【0053】
本発明品1〜8および比較品1〜9 油中水型乳化日焼け止め料
表1、表2に示す組成および下記製法にて油中水型乳化日焼け止め料を調製し、下記の評価項目について、以下に示す評価方法及び判断基準により評価した。これらの結果を表1、表2に併記する。
【0054】
【表1】

【0055】
【表2】

【0056】
(製法)
A.成分(1)〜(5)を3本ローラーにて均一に混合する。
B.成分(6)〜(11)加熱溶解する。
C.A、Bに成分(12)を添加して均一に混合する。
D.Cに成分(13)〜(16)を添加し、乳化混合する
E.Dを脱泡し、容器に充填して日焼け止め料とする。
(評価項目)
<1>軽いのび広がり
<2>油っぽさの無さ
<3>粘度
<4>経時での安定性
【0057】
(評価方法)
評価項目<1>軽いのび広がり、<2>油っぽさの無さ
20名の専門パネルに、本発明品1〜8および比較品1〜9の各試料を使用してもらい、<1>軽いのび広がり、<2>油っぽさの無さの各評価項目について、下記(イ)絶対評価基準を用いて5段階評価してもらった。そして、各試料の評点の平均値をさらに下記(ロ)4段階評価基準を用いて評価した。
(イ)絶対評価基準(評点):
4:非常に良い
3:良い
2:どちらとも言えない
1:悪い
0:非常に悪い
(ロ)4段階評価基準(評点) :(評価)
3.5以上 :◎(非常に良好)
2.5以上、3.5未満 :○(良好)
1.5以上、2.5未満 :△(やや不良)
1.5未満 :×(不良)
【0058】
評価項目<3>粘度
本発明品1〜8および比較品1〜9の各試料を30℃の恒温槽に12時間放置後、ブルックフィールド粘度計にて(ハ)の条件で粘度を測定した。
(ハ)測定条件
8号規格瓶にて30℃の恒温槽に12時間放置後、3号ローターで6回転、1分後の粘度値を測定した。
(ニ)4段階評価基準(評点) :(評価)
10000mPa・s未満 :◎
10000以上20000mPa・s未満 :○
20000以上50000mPa・s未満 :△
50000mPa・s以上 :×
【0059】
評価項目<4> 経時での安定性
本発明品1〜8および比較品1〜9の各試料を調整直後(直後粘度)と50℃の恒温槽に14日間放置後(経時粘度)に、ブルックフィールド粘度計にて(ホ)の条件で粘度を測定した。
(ホ)測定条件
(直後粘度) 調製直後3号ローターで6回転、1分後の測定粘度値
(経時粘度) 調製直後3号ローターで6回転、1分後の測定粘度値
(ニ)4段階評価基準(評点) :(評価)
(経時粘度)/(直後粘度)=1.25未満 :◎
(経時粘度)/(直後粘度)=1.25以上、1.5未満 :○
(経時粘度)/(直後粘度)=1.5以上、5未満 :△
(経時粘度)/(直後粘度)=5以上 :×
【0060】
表1、表2の結果から明らかなように、本発明品1〜8の日焼け止め料は、低粘度であり、軽いのび広がりや油っぽさの無さなどの使用性を有し、経時での粘度上昇の少ない優れた品質を持つことが実証された。これに対して成分(D)を配合していない比較品1では、のび広がり及び経時での安定性も良好ではなかった。成分(D)の配合量の多い比較品2では、のび広がり、油っぽさの無さが良好ではなく、粘度も高いものであった。成分(A)を多く配合した比較品3では、粘度以外が良好ではなく、逆に成分(A)を少量しか配合していない比較品4では、全てにおいて良好ではなかった。成分(D)の代わりに油性のワックスを配合した比較品5、比較品6、成分(A)の代わりに他の界面活性剤を用いた比較品7では、油っぽさの無さ以外は良好ではなく、成分(A)の代わりに他の界面活性剤を用いた比較品8や成分(B)の配合量が多い比較品9では全ての項目において良好ではなかった。
【実施例2】
【0061】
油中水型乳化日焼け止め料
(成 分) (%)
(1)メチルハイドロジェンジメチルポリシロキサン
処理シリカ処理微粒子酸化亜鉛 15.0
(2)ポリグリセリン変性シリコーン(注1) 5.0
(3)ポリオキシエチレン(10)硬化ひまし油 1.0
(4)デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
(5)オクトクリレン 1.0
(6)ブチルメトキシジベンゾイルメタン 1.0
(7)オクチルトリアゾン 1.0
(8)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエイト 2.0
(9)イソノナン酸イソトリデシル 5.0
(10)PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 2.0
(11)イヌリンステアリン酸エステル(注5) 0.5
(12)デキストリンパリミチン酸エステル(注6) 0.5
(13)ヘキシレングリコール 0.5
(14)ジプロピレングリコール 6.0
(15)グリセリン 2.0
(16)フニルベンズイミダゾールスルホン酸 4.0
(17)トリエタノールアミン 2.5
(18)精製水 残量
(19)香料 0.1
(注5)商品名「ラフティローズP95」ORAFTi社製
(注6)商品名「レオパールKL」千葉製粉社製
【0062】
(製 法)
A.成分(1)〜(4)をペイントシェーカーにて10時間処理する。
B.成分(5)〜(12)を加熱溶解する。
C.AにBを加え、均一に混合する。
D.Cに成分(11)〜(18)を添加して均一に乳化混合する。
E.Dに成分(19)を加え均一に混合し、日焼け止め料を得る。
【0063】
実施例2の油中水型乳化日焼け止め料は、30℃の粘度が20000mPa・s未満の低粘度であり、軽いのび広がりや油っぽさの無さなど使用性が良好で、経時での安定性に優れた効果を実感するものであった。
【実施例3】
【0064】
有機紫外線遮断剤を含まない油中水型乳化日焼け止め料
(成 分) (%)
(1)アルコキシシリルカジメチルポリシロキサン
処理微粒子酸化亜鉛 15.0
(2)アルコキシシリルカジメチルポリシロキサン
処理微粒子酸化チタン 10.0
(3)ポリグリセリン変性シリコーン(注1) 10.0
(4)デカメチルシクロペンタシロキサン 30.0
(5)イソノナン酸イソノニル 3.0
(6)メチルフェニルジメチルポリシロキサン 3.0
(7)流動パラフィン 1.0
(8)シリコンレジン(注7) 2.0
(9)イヌリンステアリン酸エステル(注8) 1.0
(10)ポリオキシエチレン・アルキル変性ジメチルポリシロキサン(注3)2.0
(11)プロピレングリコール 0.5
(12)エタノール 5.0
(13)精製水 残量
(注7)商品名「KF−7312J」信越化学工業社製
(注8)商品名「レオパールISK」千葉製粉社製
【0065】
(製 法)
A.成分(1)〜(4)をペイントシェーカーにて10時間処理する。
B.成分(5)〜(10)を加熱溶解する。
C.AにBを加え、均一に混合する。
D.Cに成分(11)〜(13)を添加して均一に乳化混合し、容器に充填して日焼け止め料を得る。
【0066】
実施例3の有機紫外線遮断剤を含まない油中水型乳化日焼け止め料は、低粘度であり、軽いのび広がりや油っぽさの無さなど使用性が良好で、経時での安定性に優れた効果を実感するものであった。
【実施例4】
【0067】
油中水型乳化日焼け止め料
(成 分) (%)
(1)メチルハイドロジェンジメチルポリシロキサン
処理微粒子酸化チタン 6.0
(2)ポリグリセリン変性シリコーン(注1) 3.0
(3)デカメチルシクロペンタシロキサン 10.0
(4)メチルフェニルジメチルポリシロキサン 25.0
(5)メトキシケイ皮酸オクチル 7.5
(6)デキストリン(パルミチン酸/オクタン酸)エステル(注9) 2.0
(7)ポリオキシエチレン・アルキル変性ジメチルポリシロキサン(注4) 2.0
(8)エタノール 10.0
(9)精製水 残量
(10)香料 1.0
(注9)商品名「レオパールTT」千葉製粉社製
【0068】
(製 法)
A.成分(1)〜(3)をペイントシェーカーにて10時間処理する。
B.成分(4)〜(7)を85℃に加温し、Aを加え均一に混合する。
C.Bに成分(8)、(9)を添加して均一に乳化混合する。
D.Cに成分(10)を加え均一に混合し、容器に充填して油中水型乳化日焼け止め料を得た。
【0069】
実施例4の日焼け止め料は、30℃の粘度が20000mPa・s未満の低粘度であり、軽いのび広がりや油っぽさの無さなど使用性が良好で、経時での安定性に優れた効果を実感するものであった。
【実施例5】
【0070】
油中水型乳化日焼け止め料
(成 分) (%)
(1)アルコキシシリルカジメチルポリシロキサン
処理微粒子酸化亜鉛 30.0
(2)ポリグリセリン変性シリコーン(注1) 0.6
(3)デカメチルシクロペンタシロキサン 30.0
(4)メチルフェニルジメチルポリシロキサン 5.0
(5)メトキシケイ皮酸オクチル 5.0
(6)デキストリン(パルミチン酸/オクタン酸)エステル(注9) 0.15
(7)PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン 10.0
(8)メチルパラベン 0.5
(9)精製水 残量
(10)香料 1.0
【0071】
(製 法)
A.成分(1)〜(4)をペイントシェーカーにて10時間処理する。
B.成分(5)〜(7)を85℃に加温し、Aを加え均一に混合する。
C.Bに成分(8)、(9)を添加して均一に乳化混合する。
D.Cに成分(10)を加え均一に混合し、容器に充填して油中水型乳化日焼け止め料を得た。
【0072】
実施例5の油中水型乳化日焼け止め料は、水系量が多いにも関わらず、30℃の粘度が20000mPa・s未満の低粘度であり、軽いのび広がりや油っぽさの無さなど使用性が良好で、経時での安定性に優れた効果を実感するものであった。
【実施例6】
【0073】
油中水型乳化日焼け止め料
(成 分) (%)
(1)メチルハイドロジェンジメチルポリシロキサン
処理微粒子酸化亜鉛 3.0
(2)ポリグリセリン変性シリコーン(注1) 3.0
(3)ポリグリセリン変性シリコーン(注10) 0.3
(4)デカメチルシクロペンタシロキサン 3.0
(5)メチルフェニルジメチルポリシロキサン 8.0
(6)ジメチルポリシロキサン(10cs) 10.0
(7)デキストリン(パルミチン酸/オクタン酸)エステル(注9) 0.01
(8)メチルパラベン 0.5
(9)精製水 残量
(10)香料 1.0
(注10)商品名「KF−6100」信越化学工業社製
【0074】
(製 法)
A.成分(1)〜(4)をペイントシェーカーにて10時間処理する。
B.成分(5)〜(7)を85℃に加温し、Aを加え均一に混合する。
C.Bに成分(8)、(9)を添加して均一に乳化混合する。
D.Cに成分(10)を加え均一に混合し、容器に充填して油中水型乳化日焼け止め料を得た。
【0075】
実施例6の油中水型乳化日焼け止め料は、水系量が多いにも関わらず、30℃の粘度が20000mPa・s未満の低粘度であり、軽いのび広がりや油っぽさの無さなど使用性が良好で、経時での安定性に優れた効果を実感するものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(E);
(A)ポリグリセリン変性シリコーン
(B)微粒子金属酸化物 3〜30質量%
(C)シリコーン油 3〜30質量%
(D)デキストリン脂肪酸エステル及び/又はイヌリン脂肪酸エステル 0.01〜2質量%
(E)水
を配合し、30℃の粘度が20000mPa・s未満であることを特徴とする油中水型乳化日焼け止め料。
【請求項2】
前記成分(A)と前記成分(B)の配合質量比(B)/(A)が1〜50の範囲にある請求項1に記載の油中水型乳化日焼け止め料。
【請求項3】
前記成分(D)の構成脂肪酸の炭素数が8〜22であることを特徴とする請求項1又は2記載の油中水型乳化日焼け止め料。
【請求項4】
前記成分(D)のデキストリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸がオクタン酸及び/又はパルミチン酸であることを特徴とする請求項1〜3の何れかの項に記載の油中水型乳化日焼け止め料。
【請求項5】
前記成分(D)のイヌリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸がステアリン酸であることを特徴とする請求項1〜3の何れかの項に記載の油中水型乳化日焼け止め料。
【請求項6】
前記成分(B)の微粒子金属酸化物がメチルハイドロジェンジメチルポリシロキサン共重合体又はアルコキシシリル化ジメチルポリシロキサンから選ばれる一種又は二種以上のシリコーン化合物で表面を処理されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかの項に記載の油中水型乳化日焼け止め料。
【請求項7】
成分(B)と成分(D)の配合質量比(B)/(D)が3〜200の範囲にある請求項1〜6の何れかの項に記載の油中水型乳化日焼け止め料。


【公開番号】特開2008−179628(P2008−179628A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335386(P2007−335386)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】