説明

油中溶存ガス分析装置

【課題】油入電気機器の異常を診断するための油中溶存ガス分析装置において、ガスセンサの硫黄被毒を防ぐために取り付けたシリコーン物質を含むオイルミストフィルタの長寿命化、および、ガスセンサのシリコン被毒によるセンサ特性の劣化を防止すること。
【解決手段】本発明は、油入電気機器本体より絶縁油を採油し、採油した絶縁油中に溶存する油中溶存ガスを抽出する油中溶存ガス抽出部と、キャリアガスをもちいて油中溶存ガスの成分を分離する分離カラムと、分離された油中溶存ガスの成分毎のガス濃度を検出するガスセンサとを備えた油中溶存ガス分析装置であって、前記ガスセンサの前段に前記絶縁油から取り出された油中溶存ガスに含まれるオイルミストを除去するためのオイルミストフィルタ、および、前記オイルミストフィルタの前段に設けられた前記オイルミスト中の硫黄成分を除去する硫黄成分除去手段を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、変圧器、リアクトル等のように絶縁油が充填された油入電気機器の絶縁油中の可燃性ガスを抽出する油中溶存ガス分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
変圧器、リアクトル等の油入電気機器において、経時劣化等によって生じる内部異常を診断するための種々の方法が検討されている。それらの中で、油入電気機器内の絶縁油中の溶存ガスを分析することによって内部異常を診断する方法が知られている(特許文献1〜3)。油入電気機器内の絶縁油、絶縁物が熱分解した場合に発生するガスは20種類前後といわれているが、その中でも特にH2、CH4、C26、C24、C22、COなどが、油入電気機器の内部異常を診断するための指標として重要である。このような絶縁油中に溶解している油中溶存ガスの種類毎のガス量が検出され、油入電気機器の内部異常を早期検知する監視に供される。
【0003】
図4に、油入電気機器の油中溶存ガスを検出し内部異常状況の診断を行う、従来の油中溶存ガス分析装置の模式図を示す。図4において、1は油入電気機器本体、2は油中溶存ガス抽出部、3は油中溶存ガスを成分毎に区別してガス量を検出する油中溶存ガス検出部である。
【0004】
油中溶存ガス抽出部2において、21a、21bは油入電気機器本体1に取り付けられた採取バルブ、22はガス抽出器であり、その内径部に配置され、下部に移動して減圧空間を形成して絶縁油中の油中溶存ガスを抽出するための減圧手段であるベローズ22aと、ベローズ22aを上下駆動するベローズ駆動部22bとを備えている。23aは絶縁油を返送する油返送管、23bは絶縁油を採取する採油管、24a、24bは油返送管23a、採油管23bに設けられた三方弁、25は絶縁油を循環させる油ポンプ、26は三方弁24a、24bの相互間を連結したバイパス管、27はガス抽出器22で抽出した油中溶存ガスを取り出すバルブ、28は油中溶存ガスを検出部に送気する送気管、29は絶縁油が検出部へ移動するのを阻止する油緩衝器である。
【0005】
油中溶存ガス検出部3は、ガスの種類により分離時間が変わる分離カラム充填材を装填した分離カラムに油中溶存ガスを清浄な空気等をキャリアガスとして通気させ、分離時間毎のガス濃度を測定し、分離時間とガス濃度によりガス成分を特定してガス量を検出するものである。油中溶存ガス検出部3において、30は抽出した油中溶存ガスを採り入れる計量容器、31a、31bは三方弁、32aはキャリアガスを取り入れるキャリアガス吸気管、32bはキャリアガスを分離カラム37等に通気するキャリアガス通気管、32cは三方弁31a、32bの相互間を連結するバイパス管、33a、33bは三方弁、34は空気ポンプ、35a、35bはキャリアガスを通気させるキャリアガス吸気管32aとキャリアガス通気管32bのそれぞれの端部に設けられたバルブ、36はオイルミストフィルタ、37は油中溶存ガスを成分毎に分離する分離カラム、38はガスセンサである。
【0006】
次に、図4に示す従来の油中溶存ガス分析装置の操作手順について説明する。油入電気機器の絶縁油中の溶存ガス分析においては、まず、油中溶存ガス抽出部2で採取した絶縁油から油中溶存ガスを分離抽出する必要がある。すなわち、絶縁油の油返送管23a、採油管23bを油入電気機器本体1の採油バルブ21a、21bに接続し、ガス抽出器22内のベローズ22aをベローズ駆動部22bにより上部に移動させた状態で、バルブ27を閉じ、三方弁24a、24bを油入電気機器本体1に連通するように切り換え、油ポンプ25を運転して絶縁油をガス抽出器22内と油入電気機器本体1の内部との間で循環し、ガス抽出器22内の絶縁油を油入電気機器本体の絶縁油に置換して、油ポンプ25を停止する。次に、三方弁24a、24bを切り換えてガス抽出器22とバイパス配管26との間に循環通路を形成し、ベローズ22aを下方に移動させてガス抽出器22の内容積を大きくしてガス抽出器22の内部に減圧空間を発生させ、油ポンプ25を運転して絶縁油をバイパス管26、ガス抽出器22の間で一定時間循環させ、減圧空間内に油中溶存ガスを抽出する。
【0007】
次の段階として、油中溶存ガス検出部3において抽出された油中溶存ガスの検出・分析が行なわれる。まず、三方弁31a、31b、33a、33bを操作して、キャリアガス吸気管32a、計量容器30、キャリアガス通気管32b、オイルミスとフィルタ36、分離カラム37、ガスセンサ38にキャリアガスが通気するようにガス通路を形成し、バルブ35a、35bを開いて空気ポンプ34を運転し、清浄空気を採り入れ、計量容器30およびガス通路を清浄にする。続いて、キャリアガスがバイパス管32cを流れるように三方弁33a、33bを切り換え、さらに、計量容器30とガス抽出器22と通気できるように三方弁31aを切換え、31bを切換えて計量容器30中のキャリアガスを排気することで、ガス抽出器22に抽出された油中溶存ガスを計量容器30に採り入れる。その後、三方弁31a、31b、33a、33bを操作して、再びキャリアガスが計量容器30を流れる状態に切り換えて、空気ポンプ34を運転し、一定流量のキャリアガスを計量容器30に送気して、油中溶存ガスとキャリアガスの混合ガスをオイルミストフィルタ36、分離カラム37、ガスセンサ38を通過させる経路で外気に放出し、ガスセンサ38により一定時間ガス濃度の検出を行う。検出データとしては、別途分析機器からガス成分毎のガス量を示すクロマトグラフ等として出力される。
【0008】
油入電気機器の絶縁油中の溶存ガス分析は以上のようにして行われるが、油中溶存ガスの抽出の際に、溶存ガスと一緒にオイルミストも抽出されてしまう。油入電気機器に用いられている絶縁油には、チオフェン、スルフィド、スルホキシド、スルホン酸等の硫黄成分が含まれており、これらの物質は酸化劣化してスルホン酸へと経年変化する。また、防錆を目的として絶縁油中にあらかじめスルホン酸が添加されている場合もある。したがって、上記のオイルミスト中にもこれらの硫黄成分が含まれている。
【0009】
これら硫黄成分を含むオイルミストがキャリアガスによりガスセンサまで到達すると、オイルミスト中に含まれる絶縁油由来の硫黄成分の影響でガスセンサの検出不良が生じることが知られており、特に、酸化物半導体を用いたガスセンサは、硫黄被毒としてセンサのガス感度特性、検出時間応答性、ガス種類の弁別特性が変化することが分かっている。そこで、この検出不良を防ぐためにガスセンサの前段にオイルミストを吸着するフィルター(オイルミストフィルタ)を搭載する方法が検討されている。
【0010】
このオイルミストフィルタとしては、メチルシリコーン等のシリコーン物質を使用したオイルミストフィルタを用いたセンサの劣化防止に関する検討を本発明者らは行なってきた。このオイルミストフィルタは液相にメチルシリコーンを用いた分離カラムとして種々の製品が市販されているが、約300℃でエージング処理がなされたものを使用した場合、常温の環境ではメチルシリコーンが分離カラムから析出することはなく、オイルミストを吸着することでガスセンサを保護することができる。
【0011】
しかし、絶縁油中の溶存ガス分析装置は、屋外、屋内のいずれで使用されるかに関わらず、通常、装置周囲の環境空気をキャリアガスとして使用するため、分析する油中溶存ガスに環境空気中の水分が含まれてしまう。シリコーン物質を含むフィルター内に、オイルミスト中に含まれるスルホン酸等の硫黄成分が飽和水分に近い空気と共に浸入した場合は、常温であっても、フィルター内に固定されているシリコーン物質が酸によりフィルターから分離され、ガスセンサ内に進入してしまうことが分かっている。
【0012】
このようにシリコーン物質がガスセンサ内へ進入してしまった場合、特に酸化物半導体を用いたガスセンサに対しては、シリコーンが高温のガスセンサ表面に接触することで、シリコーンからシリコンが分離しセンサ表面に付着する「シリコン被毒」が発生する。この結果、センサのガス感度性、ガス種類の弁別特性が大きく変化してしまうことが分かっている。このシリコン被毒が生じると、硫黄被毒と同様に油中溶存ガス分析装置の分析性能を保つことが出来なくなる。
【0013】
このような問題は、特に環境空気中の水分が多い場所での使用において顕著であり、通常の環境下で、メチルシリコーンを用いた分離カラムをフィルターとして使用した場合6年使用可能なガスセンサが、環境空気中の水分が多い沿岸部、港湾等の水辺で、経年的に運転年数が長い変圧器(スルホン酸量が多い変圧器)に取り付けた油中溶存ガス分析装置は、約1年の運転期間でガスセンサがシリコン被毒を生じることがある。
【特許文献1】実開平6−33047号公報
【特許文献2】実開平6−33061号公報
【特許文献3】特開平11−142382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記問題点を解消するためになされたものであり、油入電気機器の異常を診断するための油中溶存ガス分析装置において、ガスセンサの硫黄被毒を防ぐために取り付けたシリコーン物質を含むオイルミストフィルタの長寿命化、および、ガスセンサのシリコン被毒によるセンサ特性の劣化を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、油入電気機器本体より絶縁油を採油し、採油した絶縁油中に溶存する油中溶存ガスを抽出する油中溶存ガス抽出部と、キャリアガスをもちいて油中溶存ガスの成分を分離する分離カラムと、分離された油中溶存ガスの成分毎のガス濃度を検出するガスセンサとを備えた油中溶存ガス分析装置であって、前記ガスセンサの前段に前記絶縁油から取り出された油中溶存ガスに含まれるオイルミストを除去するためのオイルミストフィルタ、および、前記オイルミストフィルタの前段に設けられた前記オイルミスト中の硫黄成分を除去する硫黄成分除去手段を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明に用いられる上記オイルミスト中の硫黄成分を除去する硫黄成分除去手段は、油中溶存ガスの分析を妨げることなくオイルミスト中の硫黄成分(スルホン酸等)を除去できる手段であれば特に限定されないが、典型的には硫黄成分を吸着する化合物を含むフィルターであることが好ましい。該フィルターに用いる硫黄成分を吸着する化合物としては、塩化パラジウム、シリカゲル、活性炭、ゼオライトなどが挙げられるが、硫黄成分を選択的に吸着できる点で塩化パラジウム、シリカゲルを用いることが好ましく、さらに好ましくは、塩化パラジウムである。このような化合物を担体等に担持したフィルターは、種々公知の方法で製造することができ、例えば、シリカゲルビーズに塩化パラジウムコーティングを施したものを充填したカートリッジ型のフィルタなどを挙げることができる。
【0017】
本発明は、上記オイルミストフィルタが特にシリコーン物質を含むものである場合に好適に用いられる。このようなシリコーン物質を担持したフィルターとしては、市販されている種々の製品を用いることができ、高沸点化合物の吸着分離に用いられる各種フィルターを用いることができる。例えば、メチルシリコーンを担持したフィルターとして、信和化工株式会社製のガスクロマトグラフィー用カラムSE−30(エイジング温度300℃)を好適に用いることができる。SE−30は高沸点化合物全般に吸着能力があるため、油などのミストを吸着し、上記オイルミストフィルタとして有用である。なお、SE−30は分析目的では100℃付近で使用されるが、常温等の温度下で用いるとオイル等の高沸点成分はメチルシリコーンに吸着されオイルミストフィルタとして機能する。
【0018】
また、本発明は、上記キャリアガスが油中溶存ガス分析装置が設置された周辺の環境空気である場合に好適である。さらに、上記ガスセンサが酸化物半導体を用いたガスセンサである場合に好適に用いられる。
【0019】
本発明の油中溶存ガス分析装置においては、さらに、上記硫黄成分除去手段の前段に、塩化パラジウムを含む装置の劣化を防止するため多孔質フィルターが設けられていることが好ましい。その場合に用いる多孔質フィルターの平均孔径は、0.1〜50μmであることが好ましく、さらに好ましくは、0.5〜10μmである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の油中溶存ガス分析装置は、メチルシリコーンを用いたフィルター等のオイルミストフィルタの前段に、スルホン酸等の硫黄成分の侵入を防ぐための硫黄成分除去手段を配置することで、硫黄成分によるオイルミストフィルタの吸着性能の低下を防止し、さらに、オイルミストフィルタからのシリコーン物質等の有利によって生じるセンサ性能の劣化を防止することができる。
【0021】
本発明において、さらに硫黄成分除去手段の前段に多孔質フィルターを設けることにより、滴量の大きいオイルミストが硫黄成分除去手段(フィルター内の塩化パラジウムなど)に付着し、硫黄成分除去手段のスルホン酸等の硫黄成分吸着効果が低下することが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、実施の形態を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
<実施の形態1>
本実施の形態は、シリコーン物質等を含むオイルミストフィルタの前段に、スルホン酸等の硫黄成分の侵入を防ぐための硫黄成分除去手段を配置することで、硫黄成分によるのオイルミストフィルタの吸着性能の低下およびガスセンサの劣化を防止したものである。
【0024】
本発明の実施の形態1の油中溶存ガス分析装置の構成のうち、油中溶存ガス検出部を図1に示す。なお、本発明の各実施形態における油中溶存ガス抽出部については、図4に示したような従来の油中溶存ガス分析装置と同様の油中溶存ガス抽出部を上述のような操作により使用することができる。なお、電気機器本体よりの絶縁油の採取方法は、油入電気機器内部の循環された絶縁油が採取できる他の方法であってもよく、他の操作についても油中溶存ガスの分析に使用し得る種々の方法を用いることができる。
【0025】
図1においては、オイルミストフィルタ36の前段に硫黄成分除去手段4が設けられている。図1における他の符号については、図4と同様である。また、実施の形態1において、絶縁油の採取から油中溶存ガスの抽出、分析の操作は、上述のように図4で説明した従来の油中溶存ガス分析装置の操作と基本的に同じである。
【0026】
図1に示す実施の形態1の油中溶存ガス分析装置は、三方弁33a、33b等の切換えによるガス流路変更時の流量変動が最も少ない実施形態である。このため、ガス流路切換え操作時の流量調整が比較的容易に行なえる。
【0027】
なお、キャリアガスの温度を調整等することで、周囲温度の変化の激しい場所においても油中溶存ガスを分離する分離カラムの部分では一定の温度となり安定した測定ができる。キャリアガスの温度調整を行なう場合は、キャリアガス吸気管32aの一部などにキャリアガス加熱器および/またはキャリアガス冷却器を設けてもよい。また、本発明の装置においては、ガスセンサが検出した成分毎のガス濃度をキャリアガスの温度により分離時間を補正して油中溶存ガスの成分を特定して成分毎のガス量を求める演算処理部を備えていてもよい。
【0028】
さらに、本発明の油中溶存ガス分析装置においては、特に、キャリアガスとしては環境空気を採り入れる場合には、空気中の水分を除去するための除湿器をキャリアガス吸気管32aなどに設けることが好ましい。キャリアガス中の水分を減少させることにより、油中溶存ガス分析装置をさらに長寿命化することができる。
【0029】
<実施の形態2>
本発明の実施の形態2の油中溶存ガス分析装置の部分構成を図2に示す。実施の形態2では、硫黄成分除去手段4がオイルミストフィルタ36の前段に設けられている点は実施の形態1と同様であるが、図2に示すようにガスの分析時のみにガスが流れる配管上に設けられている点が実施の形態1と異なっている。
【0030】
図2に示す油中溶存ガス分析装置は、三方弁33a、33b等の切換えによる流量変動は大きくなるが、油中溶存ガスの分析時にのみ塩化パラジウムフィルタ等の硫黄除去装置を使用するので、最も硫黄成分除去手段の劣化が少ない実施形態である。このため、油中溶存ガス分析装置をより長寿命化することが可能となる。
【0031】
<実施の形態3>
実施の形態3は、硫黄成分除去手段の前段にさらに多孔質フィルターを設けるように構成した装置である。実施の形態3の油中溶存ガス分析装置の部分構成を図3に示す。図3では、計量管の前段に多孔質フィルターを配置し、滴量の大きいオイルミストが塩化パラジウムフィルターなどの硫黄成分除去手段に付着し、硫黄成分除去効果が低下することを防いでいる。多孔質フィルターの平均孔径は0.1〜50μmであることが好ましく、孔径が大きい場合は油滴が硫黄成分除去手段のフィルター等に付着し、小さすぎる場合は配管抵抗により油中溶存ガスを計量管に移送するのに時間がかかる。
【0032】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態1を示す模式図である。
【図2】本発明の実施形態2を示す模式図である。
【図3】本発明の実施形態3を示す模式図である。
【図4】従来の油中溶存ガス分析装置を示す模式図である。
【符号の説明】
【0034】
1 油入電気機器本体、2 油中溶存ガス抽出部、21a,21b 採油バルブ、22 ガス抽出器、22a ベローズ、22b ベローズ駆動部、23a 油返送管、23b 採油管、24a,24b 三方弁、25 油ポンプ、26 バイパス管、27 バルブ、28 送気管、29 油緩衝器、3 油中溶存ガス検出部、30 計量容器、31a,31b 三方弁、32a キャリアガス吸気管、32b キャリアガス通気管、33a,33b 三方弁、34 空気ポンプ、35a,35b バルブ、36 空気フィルタ、37 分離カラム、38 ガスセンサ、4 硫黄成分除去手段、5 多孔質フィルター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油入電気機器本体より絶縁油を採油し、採油した絶縁油中に溶存する油中溶存ガスを抽出する油中溶存ガス抽出部と、キャリアガスをもちいて油中溶存ガスの成分を分離する分離カラムと、分離された油中溶存ガスの成分毎のガス濃度を検出するガスセンサとを備えた油中溶存ガス分析装置であって、
前記ガスセンサの前段に前記絶縁油から取り出された油中溶存ガスに含まれるオイルミストを除去するためのオイルミストフィルタ、および、
前記オイルミストフィルタの前段に設けられた前記オイルミスト中の硫黄成分を除去する硫黄成分除去手段を含むことを特徴とする、油中溶存ガス分析装置。
【請求項2】
前記硫黄成分除去手段が、硫黄成分を吸着する化合物を含むフィルターである、請求項1記載の油中溶存ガス分析装置。
【請求項3】
前記硫黄成分を吸着する化合物が塩化パラジウムである、請求項2記載の油中溶存ガス分析装置。
【請求項4】
前記オイルミストフィルタがシリコーン物質を含む、請求項1記載の油中溶存ガス分析装置。
【請求項5】
前記キャリアガスが油中溶存ガス分析装置が設置された周辺の環境空気である、請求項1記載の油中溶存ガス分析装置。
【請求項6】
前記ガスセンサが酸化物半導体を用いたガスセンサである、請求項1記載の油中溶存ガス分析装置。
【請求項7】
さらに、前記硫黄成分除去手段の前段に多孔質フィルターが設けられた、請求項1〜6のいずれかに記載の油中溶存ガス分析装置。
【請求項8】
前記多孔質フィルターの平均孔径が0.1〜50μmである、請求項7記載の油中溶存ガス分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−25899(P2010−25899A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−191027(P2008−191027)
【出願日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】