説明

油圧アクチュエータ

【課題】 一定の油圧を供給しながら、作動ストロークの前半で大きな荷重を得るとともに、作動ストロークの後半で大きな速度を得ることが可能な油圧アクチュエータを提供する。
【解決手段】 油圧アクチュエータAのシリンダ18aに摺動自在に嵌合する大径ピストン19の内部に形成した副シリンダ19aに小径ピストン20を摺動自在に嵌合させ、大径ピストン19の背面に油室22を臨ませるとともに、油室22を大径ピストン19の背面に形成した油孔19bを介して小径ピストン20の背面に臨ませたので、油室22に一定の油圧を供給するだけで、図2(A)から図2(B)までの油圧アクチュエータAのストロークの前半で大径ピストン19を移動させて大きな荷重を発生させ、図2(B)から図2(C)までの油圧アクチュエータAのストロークの後半で小径ピストン20を移動させて大きな作動速度を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダの内部に移動可能に支持したピストンを、前記ピストンの背面に区画した油室に作用する油圧で駆動する油圧アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
所謂ツインクラッチ式の自動変速機では、所定の変速段の確立中に次段の変速段を予めプリシフトしておき、一対のクラッチの繋ぎ代えにより前記所定の変速段を解除して前記プリシフトされている次段の変速段を確立するため、プリシフトのタイミングが遅れると従来の自動変速機に比べて変速時間が長くなる問題がある。そこで車速とスロットル開度とに基づいて次段の変速段を早期に予測し、この予測に基づいてプリシフトを行うものが、下記特許文献1により公知である。
【0003】
また同期装置を油圧アクチュエータで作動させて変速を行う自動変速機において、シフトチェンジの過程で前記油圧アクチュエータに供給する油圧の大きさを変化させることで同期装置をスムーズに作動させ、変速ショックを軽減し、かつ変速に要する時間を短縮するものが下記特許文献2により公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−318361号公報
【特許文献2】特開2008−175236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載された発明は、次段の変速段の予測が的中した場合には所望の効果が得られるが、予想が外れた場合にはプリシフトを解除して新たなプリシフトを行う必要があるため、変速時間が大幅に長くなる可能性がある。
【0006】
また上記特許文献2に記載された発明は、シフトチェンジの過程で油圧アクチュエータに供給する油圧の大きさを変化させる必要があるため、油圧制御回路の構造および制御が複雑になり、油圧アクチュエータに所望のタイミングで所望の大きさの油圧を供給することが難しいという問題がある。
【0007】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、一定の油圧を供給しながら、作動ストロークの前半で大きな荷重を得るとともに、作動ストロークの後半で大きな速度を得ることが可能な油圧アクチュエータを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、シリンダの内部に移動可能に支持したピストンを、前記ピストンの背面に区画した油室に作用する油圧で駆動する油圧アクチュエータにおいて、前記ピストンは、前記シリンダに摺動自在に嵌合する大径ピストンと、前記大径ピストンの内部に形成した副シリンダに摺動自在に嵌合して駆動力を出力する小径ピストンとからなり、前記大径ピストンの背面に前記油室が臨むとともに、前記油室は前記大径ピストンに形成した油孔を介して前記小径ピストンの背面に連通することを特徴とする油圧アクチュエータが提案される。
【0009】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記シリンダは前記大径ピストンの移動限界を規制するストッパを備え、前記大径ピストンが前記ストッパに当接すると前記小径ピストンが前記大径ピストンに対して移動を開始することを特徴とする油圧アクチュエータが提案される。
【0010】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記油圧アクチュエータは変速機の同期装置を駆動するものであり、前記同期装置の同期完了時に前記大径ピストンが前記ストッパに当接することを特徴とする油圧アクチュエータが提案される。
【0011】
また請求項4に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記油圧アクチュエータは変速機の同期装置を駆動するものであり、前記同期装置の同期完了後に前記小径ピストンが移動を開始することを特徴とする油圧アクチュエータが提案される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の構成によれば、油圧アクチュエータのシリンダに摺動自在に嵌合する大径ピストンの内部に形成した副シリンダに小径ピストンを摺動自在に嵌合させ、大径ピストンの背面に油室を臨ませるとともに、油室を大径ピストンの背面に形成した油孔を介して小径ピストンの背面に連通させたので、油室に一定の油圧を供給するだけで、油圧アクチュエータのストロークの前半で大径ピストンを移動させて大きな荷重を発生させ、油圧アクチュエータのストロークの後半で小径ピストンを移動させて大きな作動速度を得ることができる。
【0013】
また請求項2の構成によれば、シリンダに大径ピストンの移動限界を規制するストッパを設けたので、大径ピストンが移動してストッパに当接するまでは大径ピストンに大きな荷重を発生させることができ、大径ピストンがストッパに当接した後は小径ピストンを大きな速度で移動させることができる。
【0014】
また請求項3の構成によれば、油圧アクチュエータを変速機の同期装置の駆動用として使用し、同期装置の同期完了時に大径ピストンがストッパに当接するので、同期装置の作動前半の大きな同期荷重が要求される領域で、大径ピストンを作動させて大きな同期荷重を得ることができる。
【0015】
また請求項4の構成によれば、油圧アクチュエータを変速機の同期装置の駆動用として使用し、同期装置の同期完了後に小径ピストンが移動を開始するので、同期装置の作動後半の大きな作動速度が要求される領域で、小径ピストンを作動させて大きな作動速度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】油圧アクチュエータおよび同期装置の構造を示す図(第1の実施の形態)。
【図2】油圧アクチュエータの作用説明図(第1の実施の形態)。
【図3】同期装置のストローク量と必要荷重との関係を示す図(第1の実施の形態)。
【図4】湿式クラッチを備える変速機の同期装置の作動説明図(第1の実施の形態)。
【図5】乾式クラッチを備える変速機の同期装置の作動説明図(第2の実施の形態)。
【図6】油圧アクチュエータの構造を示す図(第3の実施の形態)。
【図7】油圧アクチュエータの構造を示す図(第4の実施の形態)。
【図8】油圧アクチュエータの構造を示す図(第5の実施の形態)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1〜図4に基づいて本発明の第1の実施の形態を説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態の油圧アクチュエータA,Aは、変速機の同期装置Sを駆動する目的で用いられる。油圧アクチュエータA,Aは同期装置Sを挟んで2個設けられており、図中左側の油圧アクチュエータAが作動してシフトフォーク17を右動させると第1の変速段が確立し、図中右側の油圧アクチュエータAが作動してシフトフォーク17を左動させると第2の変速段が確立する。図1において、第1の変速段の確立に関わる部分と第2の変速段の確立に関わる部分とは実質的に同じ構造および作用であるため、第2の変速段の確立に関わる部分は鎖線で表示し、第1の変速段の確立に関わる部分を中心に説明する。
【0019】
同期装置Sは周知の構造を有するもので、変速機の回転軸(不図示)に結合されたハブ11と、ハブ11の外周面に軸方向摺動自在にスプライン嵌合する環状のスリーブ12と、前記回転軸に相対回転自在に支持されたギヤ13(ギヤ本体部分は不図示)と、ハブ11およびギヤ13間に相対回転自在に配置された環状のブロッキングリング14と、ハブ11およびブロッキングリング14間に配置された環状のシンクロナイザースプリング15とを備える。
【0020】
スリーブ12の内周面にはハブ11の外周面にスプライン嵌合するチャンファ12a…が形成され、ブロッキングリング14の外周面にはスリーブ12のチャンファ12a…に係合可能なチャンファ14a…が形成され、ギヤ13の外周面にはスリーブ12のチャンファ12a…に係合可能なドグ歯13a…が形成される。ブロッキングリング14の内周にはテーパーコーン面14bが形成され、ギヤ13の外周には前記ブロッキングリング14のテーパーコーン面14bに当接するテーパーコーン面13bが形成される。
【0021】
同期装置Sおよび油圧アクチュエータA間に軸方向に配置されたシフトガイドロッド16にシフトフォーク17のガイド部17aが摺動自在に支持される。シフトフォーク17は、ガイド部17aを挟む一端側に油圧アクチュエータAにより駆動される被駆動部17bを備えるとともに、他端側にスリーブ12の外周に形成した環状溝12bに係合するフォーク状の駆動部17cを備える。
【0022】
油圧アクチュエータAは、カップ状のシリンダ部材18と、シリンダ部材18の内周面により構成されるシリンダ18aに摺動自在に嵌合するカップ状の大径ピストン19と、大径ピストン19の内周面により構成される副シリンダ19aに摺動自在に嵌合するカップ状の小径ピストン20と、大径ピストン19の移動端を規制するクリップよりなるストッパ21とを備える。
【0023】
シリンダ部材18は、大径ピストン19の背面との間に油室22を備えており、この油室22が図示せぬ油圧回路に油孔18bを介して接続される。大径ピストン19はシール部材23によりシリンダ18aとの間をシールされ、小径ピストン20はシール部材24により副シリンダ19aとの間をシールされる。大径ピストン19と小径ピストン20との間には副油室25が区画され、油室22と副油室25とが大径ピストン19に形成した油孔19bを介して連通する。そして小径ピストン20の正面が前記シフトフォーク17の被駆動部17bに当接する。
【0024】
図2(A)は油圧アクチュエータAが不作動の状態を示すもので、大径ピストン19はシリンダ18aの内部を図中左側に後退してストッパ21から離間しており、小径ピストン20は大径ピストン19の副シリンダ19aの内部を図中左側に後退して底付きしている。この状態から油室22に作動油を供給すると、その油圧が油室22および副油室25に伝達されるが、大径ピストン19の受圧面積は小径ピストン20の受圧面積よりも大きく、かつ小径ピストン20はシフトフォーク17から反力を受けているため、大径ピストン19が小径ピストン20と一体になって前進する。そして大径ピストン19はストッパ21に当接する位置で前進を阻止されて停止する(図2(B)参照)。
【0025】
図2(A)の状態から図2(B)の状態まで大径ピストン19が小径ピストン20と一体になって前進するとき、その推力は油室22に臨む大径ピストン19の大きい受圧面により発生するため、大径ピストン19および小径ピストン20は大きい推力で低速で前進する。
【0026】
大径ピストン19がストッパ21に当接して停止すると、油室22から大径ピストン19の油孔19bを介して副油室25に作動油が流入し、停止した大径ピストン19に対して小径ピストン20が図中右方向に前進する(図2(C)参照)。小径ピストン20の前進限界位置は、小径ピストン20によってシフトフォーク17を介して作動する同期装置Sにより規制されるため、特別のストッパは不要である。
【0027】
図2(B)の状態から図2(C)の状態まで大径ピストン19に対して小径ピストン20が前進するとき、その推力は副油室25に臨む小径ピストン20の小さい受圧面により発生するため、小径ピストン20は小さい推力で高速で前進する。
【0028】
以上のように本実施の形態の油圧アクチュエータAは、油圧回路から供給される油圧が一定であっても、その作動の前半(第1作動領域)では大きい推力を発生するが作動速度が小さく、その作動の後半(第2作動領域)では小さい推力しか発生しないが作動速度が大きいという特性を有している。
【0029】
次に、変速機の変速時における油圧アクチュエータAおよび同期装置Sの作用を説明する。
【0030】
本実施の形態の変速機は所謂ツインクラッチ式のもので、エンジンの駆動力が第1クラッチを介して伝達される第1入力軸と、エンジンの駆動力が第2クラッチを介して伝達される第2入力軸とを備えており、第1入力軸と出力軸との間に配置されたギヤ列で奇数変速段(1速、3速、5速…)を確立し、第2入力軸と出力軸との間に配置されたギヤ列で偶数変速段(2速、4速、6速…)を確立する。例えば、1速変速段での走行中には第1クラッチが係合して第2クラッチが係合解除しており、1速変速段での走行中に予め2速変速段をプリシフトしておく。そして1速変速段から2速変速段へシフトアップするときには、第1クラッチを係合解除して第2クラッチを係合するだけで、前記プリシフト済みの2速変速段を確立して遅滞なく駆動力を伝達し、駆動力の途切れのないシフトアップを可能にすることができる。
【0031】
本実施の形態では、前記第1、第2クラッチに湿式クラッチを採用している。湿式クラッチは摩擦係合要素に作動油の粘性による引きずり力が作用するため、第1、第2入力軸に設けた同期装置Sが作動する際に比較的に大きな同期荷重が必要になる。
【0032】
図4は変速機の前記プリシフト時における油圧アクチュエータAおよび同期装置Sの作用を経時的に示すもので、図4(A)の状態から油圧アクチュエータAを駆動すると、その小径ピストン20に押圧されたシフトフォーク17が前進し、回転軸に固定したハブ11にスプライン嵌合するスリーブ12が前進する。スリーブ12が前進する荷重がシンクロナイザースプリング15を介してブロッキングリング14に伝達され、ブロッキングリング14がギヤ13に向けて付勢される(図4(B)参照)。
【0033】
スリーブ12が更に前進すると、スリーブ12のチャンファ12a…の歯先とブロッキングリング14のチャンファ14a…の歯先とが当接し、かつギヤ13のテーパーコーン面13bとブロッキングリング14のテーパーコーン面14bとが接触して摩擦力によるトルクが発生する(図4(C)参照)。スリーブ12が更に前進すると、前記トルクによりギヤ13の回転にスリーブ12の回転(つまり回転軸の回転)が同期し、スリーブ12のチャンファ12a…がブロッキングリング14のチャンファ14a…を掻き分けることが可能になる(図4(D)参照)。
【0034】
ギヤ13の回転にスリーブ12の回転が同期すると前記トルクが消滅するため、スリーブ12が更に前進すると、スリーブ12のチャンファ12a…がブロッキングリング14のチャンファ14a…を掻き分けてスリーブ12およびブロッキングリング14が一体に結合され、更にスリーブ12のチャンファ12a…の歯先がギヤ13のドグ歯13a…の歯先に係合する(図4(E)参照)。スリーブ12が更に前進すると、スリーブ12のチャンファ12a…がギヤ13のドグ歯13a…を掻き分け(図4(F)参照)、最終的にスリーブ12のチャンファ12a…がギヤ13のドグ歯13a…に係合してプリシフトが完了する(図4(G)参照)。
【0035】
図3は、上述したプリシフトの過程で油圧アクチュエータAが発生すべき荷重の大きさを示すもので、前半の第1作動領域では、ボーク時(図4(C)参照)、ブロッキングリング掻き分け時(図4(D)参照)およびドグ歯掻き分け時(図4(F)参照)に大きな荷重が必要であり、ドグ歯掻き分け時よりも後の後半の第2作動領域では、比較的に小さい荷重しか必要としないが、速やかなシフトチェンジを行うためには油圧アクチュエータAは高い作動速度を必要とする。
【0036】
以上のように、湿式クラッチを用いた変速機では、プリシフトの前半の比較的に長い第1作動領域で大きな同期荷重を必要とし、プリシフトの後半の比較的に短い第2作動領域で素早い作動が必要となるが、第1作動領域で油圧アクチュエータAの大径ピストン19が作動し、第2作動領域で油圧アクチュエータAの小径ピストン20が作動するように、大径ピストン19が移動を開始してからストッパ21に当接するまでのストロークを設定すれば、一定の油圧を油圧アクチュエータAに供給するだけで、第1作動領域ではスリーブ12を大荷重でゆっくりと駆動し、第2作動領域ではスリーブ12を小荷重で素早く駆動することが可能となり、確実で速やかなシフトチェンジを可能にすることができる。
【0037】
しかも一定の油圧を油圧アクチュエータAに供給するだけで良いため、油圧回路を複雑化する必要がなく、低コストで実現可能である。
【0038】
次に、図5に基づいて本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0039】
第1の実施の形態では変速機の第1、第2入力軸(回転軸)にエンジンの駆動力を伝達する第1、第2クラッチに湿式クラッチを採用しているが、第2の実施の形態は乾式クラッチを採用したものである。乾式クラッチは湿式クラッチと異なって作動油の引きずりがないため、同期装置Sの同期のために大荷重が必要な第1作動領域は図5(C)のボーク時までであり、それ以後は高速の作動が必要な第2作動領域となる。
【0040】
つまり、第1の実施の形態では第1作動領域が長くなって第2作動領域が短くなるが、第2の実施の形態では第1作動領域が短くなって第2作動領域が長くなる。
【0041】
油圧アクチュエータAに上記作動特性を与えるには、大径ピストン19が移動を開始してからストッパ21に当接するまでのストロークを、第1の実施の形態に比べて短く設定すれば良い。
【0042】
次に、図6に基づいて本発明の第3の実施の形態を説明する。
【0043】
第1の実施の形態では、大径ピストン19および小径ピストン20間に区画された副油室25の容積が比較的に大きく設定されているが、第3の実施の形態では前記副油室25の容積が比較的に小さく設定されている。
【0044】
このように、副油室25の容積を小さく設定することで、副油室25に作動油が流入して小径ピストン20が移動を開始するまでのタイムラグを最小限に抑え、小径ピストン20の作動応答性を高めることができる。
【0045】
次に、図7に基づいて本発明の第4の実施の形態を説明する。
【0046】
第1の実施の形態ではストッパ21をシリンダ部材18とは別部材のクリップで構成しているが、第2の実施の形態ではストッパ21をシリンダ部材18と一体に構成している。これにより部品点数の削減が可能になる。
【0047】
次に、図8に基づいて本発明の第5の実施の形態を説明する。
【0048】
上述した各実施の形態では、シフトガイドロッド16に摺動自在に支持したシフトフォーク17を油圧アクチュエータAの小径ピストン20で駆動しているが、第5の実施の形態では、油圧アクチュエータAの小径ピストン20と一体に形成したシフトロッド26にシフトフォーク17を固定している。尚、シフトロッド26の支持を安定したものとするために、一対の油圧アクチュエータA,Aの2個の小径ピストン20,20にシフトロッド26の両端を接続することが望ましい。
【0049】
この第5の実施の形態によれば、シフトガイドロッド16を廃止し、かつシフトフォーク17を小型化することができるので、変速機の小型化に寄与することができる。
【0050】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0051】
例えば、実施の形態では油圧アクチュエータAを変速機の同期装置Sに適用しているが、本発明の油圧アクチュエータAは同期装置S以外の任意の用途に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
18a シリンダ
19 大径ピストン
19a 副シリンダ
19b 油孔
20 小径ピストン
21 ストッパ
22 油室
A 油圧アクチュエータ
S 同期装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ(18a)の内部に移動可能に支持したピストン(19,20)を、前記ピストン(19,20)の背面に区画した油室(22)に作用する油圧で駆動する油圧アクチュエータにおいて、
前記ピストン(19,20)は、前記シリンダ(18a)に摺動自在に嵌合する大径ピストン(19)と、前記大径ピストン(19)の内部に形成した副シリンダ(19a)に摺動自在に嵌合して駆動力を出力する小径ピストン(20)とからなり、
前記大径ピストン(19)の背面に前記油室(22)が臨むとともに、前記油室(22)は前記大径ピストン(19)に形成した油孔(19b)を介して前記小径ピストン(20)の背面に連通することを特徴とする油圧アクチュエータ。
【請求項2】
前記シリンダ(18a)は前記大径ピストン(19)の移動限界を規制するストッパ(21)を備え、前記大径ピストン(19)が前記ストッパ(21)に当接すると前記小径ピストン(20)が前記大径ピストン(19)に対して移動を開始することを特徴とする、請求項1に記載の油圧アクチュエータ。
【請求項3】
前記油圧アクチュエータ(A)は変速機の同期装置(S)を駆動するものであり、
前記同期装置(S)の同期完了時に前記大径ピストン(19)が前記ストッパ(21)に当接することを特徴とする、請求項2に記載の油圧アクチュエータ。
【請求項4】
前記油圧アクチュエータ(A)は変速機の同期装置(S)を駆動するものであり、
前記同期装置(S)の同期完了後に前記小径ピストン(20)が移動を開始することを特徴とする、請求項2に記載の油圧アクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−33046(P2011−33046A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176756(P2009−176756)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】