説明

油圧ショベルの油圧供給装置

【課題】 アームの増速による作業効率の向上を図りながら、オペレータの負担を大きくさせることなくアームの押し動作とバケットの開放動作とを並行させる運転を円滑に行う。
【解決手段】 アーム制御弁50の操作時に、合流切換弁62をアーム側合流位置62aに切換えて、第3油圧ポンプP3の吐出油を第2油圧ポンプP2から前記アーム制御弁50に供給される作動油に合流させる。一方、アーム制御弁50がその中立位置から一定以上操作された場合であっても、バケット制御弁40がバケット開放方向に操作されているとき、すなわち、アームの押し方向の動作とバケットの開放動作とを並行させる土砂放出運転等が行われている可能性のあるときは、前記合流切換弁62を合流遮断位置62bに戻す等してアーム側合流規制を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベルに設けられ、そのバケットやアームを駆動するための油圧アクチュエータに油圧を供給する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、油圧ショベルに設けられる油圧供給装置として、複数の油圧ポンプを併有し、これらの油圧ポンプによって複数の油圧アクチュエータへの油圧供給を分担するようにしたものが知られている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、いわゆる3ポンプシステムを採用した油圧供給装置が開示されている。この装置では、第1油圧ポンプからはブーム制御弁やバケット制御弁、右走行制御弁等に作動油を供給し、第2油圧ポンプからはアーム制御弁や左走行制御弁等に作動油を供給する一方、これとは別に第3油圧ポンプから旋回制御弁に作動油を供給することによって、旋回制御の独立性が図られている。
【0004】
さらに、この特許文献1には、前記アーム制御弁により制御されるアームシリンダの作動速度を向上させるべく、当該アーム制御弁の操作時には、このアーム制御弁に対して供給される作動油に前記第3油圧ポンプの吐出油を合流させる技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−155904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記油圧ショベルにおいて行われる主要な運転動作の一つとして、このアームを押し方向(当該アームが前記ブームに対して開く方向)に動かしながら、当該アームの先端のバケットを開放方向に回動させて、所定位置(例えば停車中のダンプトラックの荷台)に前記バケット内の土砂を放出する土砂放出運転がある。この運転を円滑に行うためには、前記アームの押し方向の動作と前記バケットの開き方向の動作とをうまく協調させるように運転する必要がある。
【0006】
ところが、前記特許文献1に記載されるように、アーム制御弁の操作時に当該アーム制御弁に対して第3油圧ポンプの吐出油が補給される装置では、前記バケットを開かせるバケットシリンダの作動速度に比べて前記アームを押し方向に動かすアームシリンダの作動速度が高くなるため、両者の速度バランスが崩れ、前記の土砂放出運転を円滑に行うことができなくなる不都合がある。
【0007】
例えば、バックホウにおいて、図13(a)に示すような上げ状態、すなわち、ブーム26が起立し、このブーム26に対してアーム28が閉じ、当該アーム28に対してバケット30が閉じている状態から、ブーム26の倒伏方向の動作、アーム28の押し方向の動作、及びバケット30の開き方向の動作を同時並行させて同図(b)に示されるような放出状態、すなわち、ブーム26が倒伏し、アーム28及びバケット30が開いた状態に移行させたい場合において、前記のようにアームシリンダの作動速度のみが増速されると、前記アーム28の押し動作が先行してこれにバケット30の開放動作が追従できないため、同図(c)に示すように、前記アーム28が開ききった時点でもバケット30が殆ど開放されていないような作業姿勢が生じ得る。
【0008】
この場合、オペレータは、前記図13(c)のようにアーム28のみが完全に開いている姿勢からこれに遅れてバケット30が十分に開くまで待たなければならず、円滑な運転は望めない。しかもそのバケット30の開放動作は低速であるため、苛立ち感を抱き易い。また、前記図13(c)の姿勢のままブーム26の倒伏操作が進められると、十分に開放方向に動作していないバケット30の爪先を地面に突き刺してしまう等の不都合も生じ得る。
【0009】
このような不都合を回避するには、前記土砂放出運転時にオペレータがアーム操作レバーの操作量を抑えてアーム動作速度とバケット動作速度とのバランスをとればよいのであるが、このようなレバーの操作量の加減は難しく、特に、前記アームシリンダの増速に慣れていないオペレータにとっては非常に難易度の高い運転となる。
【0010】
その一方、前記土砂放出運転以外の運転時、例えば掘削作業時においてアームの押し方向の動作のみを単独で行わせるような運転時には、当該アームの作動速度を上げて運転効率を向上させたいという要求が存在する。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑み、アームの増速による作業効率の向上を図りながら、オペレータの負担を大きくさせることなくアームの押し動作とバケットの開放動作とを並行させる運転を円滑に行うことが可能な油圧ショベルの油圧供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、機体に対して起伏可能なブームに取付けられるアームを当該ブームに対して上下方向に回動させるアーム駆動用アクチュエータと、このアームの先端に取付けられたバケットを当該アームに対して上下方向に回動させるバケット駆動用アクチュエータとを備えた油圧ショベルの前記両アクチュエータに油圧を供給するための装置であって、第1油圧ポンプと、この第1油圧ポンプと前記バケット駆動用アクチュエータとの間に設けられ、当該第1油圧ポンプと前記バケット駆動用アクチュエータとの間を遮断する中立位置を有するとともに当該中立位置から操作されることにより当該第1油圧ポンプから当該バケット駆動用アクチュエータへ作動油を導く状態に切換えられるバケット制御弁と、第2油圧ポンプと、この第2油圧ポンプと前記アーム駆動用アクチュエータとの間に設けられ、当該第2油圧ポンプと前記アーム駆動用アクチュエータとの間を遮断する中立位置を有するとともに当該中立位置から操作されることにより当該第2油圧ポンプから当該アーム駆動用アクチュエータへ作動油を導く状態に切換えられるアーム制御弁と、前記バケット駆動用アクチュエータ及びアーム駆動用アクチュエータとは別の油圧アクチュエータに油圧を供給する第3油圧ポンプと、この第3油圧ポンプの吐出油を前記第2油圧ポンプから前記アーム制御弁に供給される作動油に合流させるアーム側合流位置と当該合流を遮断する合流遮断位置とに切換えられる合流切換弁と、前記アーム制御弁がその中立位置にあるときは前記合流切換弁を前記合流遮断位置に切換え、前記アーム制御弁がその中立位置から一定以上操作されたときに前記合流切換弁を前記アーム側合流位置に切換える合流切換動作を行うとともに、当該アーム制御弁がその中立位置から一定以上操作された場合であっても前記バケット制御弁が前記バケットを開放方向に回動させる向きに操作されているときには前記第3油圧ポンプから前記アーム制御弁への作動油の合流流量を減ずるアーム側合流規制動作を行う合流制御手段とを備えたものである。
【0013】
この装置において、アーム制御弁がその中立位置から一定以上操作され、しかも、バケット制御弁は操作されていない場合には、合流切換弁をアーム側合流位置に切換える合流切換動作、すなわち、第3油圧ポンプの吐出油を前記第2油圧ポンプから前記アーム制御弁に供給される作動油に合流させる動作が行われるため、これによりアーム駆動用アクチュエータの作動速度が高められる。
【0014】
これに対し、前記アーム制御弁がその中立位置から一定以上操作された場合であっても、前記バケット制御弁がバケットを開放方向に回動させる向きに操作されているとき、換言すれば、アームの押し方向の動作とバケットの開放動作とを並行させる土砂放出運転等が行われている可能性のあるときは、前記第3油圧ポンプから前記アーム制御弁への作動油の合流流量を減ずるアーム側合流規制動作が行われるため、これによりアーム駆動用アクチュエータの増速が抑えられ、当該アーム駆動用アクチュエータの作動速度とバケット駆動用アクチュエータの作動速度とのバランスが保たれる。よって、当該アーム駆動用アクチュエータの作動によるアームの押し方向の動作と、前記バケット駆動用アクチュエータの作動によるバケットの開放動作との協調を要する運転を円滑に行うことができる。
【0015】
特に、前記第1油圧ポンプと前記ブーム駆動用アクチュエータとの間に、当該第1油圧ポンプと前記アーム駆動用アクチュエータとの間を遮断する中立位置を有するとともに当該中立位置から操作されることにより当該第1油圧ポンプから当該ブーム駆動用アクチュエータへ作動油を導く状態に切換えられるブーム制御弁が設けられている場合、前記土砂放出運転時等に前記ブームを倒伏させるべく当該ブーム側にも第1油圧ポンプの吐出油が分配されるために前記バケット駆動用アクチュエータの作動速度がさらに低下するため、前記アーム用油圧アクチュエータの増速の抑制はより効果的となる。
【0016】
この場合、前記合流制御手段としては、前記アーム制御弁がその中立位置から一定以上操作された場合において、前記バケット制御弁が前記バケットを開放方向に回動させる向きに操作され、かつ、前記ブーム制御弁が前記ブームを倒伏させる向きに操作されたときにのみ、前記アーム側合流規制動作を行うものとしてもよい。
【0017】
本発明において、前記アーム側合流規制動作の具体的な内容は特に問わず、例えば前記合流切換弁から合流点に至るまでの油路中に別の専用の制御弁(切換弁や流量制御弁)を設けてこれを流量規制方向に作動させるようにしてもよいが、前記アーム制御弁がその中立位置から一定以上操作されたときであっても前記合流切換弁を前記合流遮断位置にする動作を行うようにすれば、前記の専用の制御弁を導入することなく、アーム制御弁側への作動油の合流を規制することができる。
【0018】
また、前記合流切換弁を、その合流遮断位置からアーム側合流位置への操作ストロークが大きいほど前記第3油圧ポンプから前記アーム制御弁への作動油の合流流量を増やす流量制御弁とし、前記アーム側合流規制動作として、前記バケット制御弁の操作がされないときに比べて前記合流切換弁の前記合流遮断位置からの操作ストローク量を減ずるようにすれば、より適正な合流流量制御を行うことが可能になる。
【0019】
また、前記合流制御手段は、前記アーム側合流規制動作を行うときに、前記第3油圧ポンプの吐出油を前記第1油圧ポンプから前記バケット制御弁に供給される作動油に合流させるバケット側合流切換動作を行うものとすれば、アーム駆動用アクチュエータの増速を抑えるだけでなく、バケット駆動用アクチュエータの作動速度を高めることによって、両アクチュエータの速度バランスをとりながら全体の作動速度を高めることができ、これにより、円滑な土砂放出運転と作業効率の向上とを両立させることが可能になる。
【0020】
その具体的な態様として、前記合流切換弁を、前記合流遮断位置及び前記アーム側合流位置に加え、前記第3油圧ポンプの吐出油を前記第1油圧ポンプから前記バケット制御弁に供給される作動油に合流させるバケット側合流位置を有するものとし、前記バケット側合流切換動作として前記合流切換弁を前記バケット側合流位置に切換える動作を行うようにすれば、前記合流切換弁をアーム側合流の切換とバケット側合流の切換とに兼用する簡素な構成で、適正な合流制御を実現することができる。
【0021】
また、前記合流制御手段のアーム側合流規制動作を解除する指令を入力するための解除指令入力手段と、この解除指令入力手段により前記指令が入力されたときに前記合流制御手段のアーム側合流規制動作を解除する合流規制解除手段とを備えるようにすれば、運転者は、その運転状況に応じて、前記アーム側合流規制動作が自動的に行われる状態と当該動作が行われない状態とを選択することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明によれば、アーム制御弁がその中立位置から一定以上操作されているときに第3油圧ポンプの吐出油を前記第2油圧ポンプから前記アーム制御弁に供給される作動油に合流させる合流切換動作を行うことにより、アーム駆動用アクチュエータの作動速度を高めて作業効率の向上を図る一方、前記アーム制御弁がその中立位置から一定以上操作された場合であっても、前記バケット制御弁がバケット開放方向に操作されているとき、すなわち、アームの押し方向の動作とバケットの開放動作とを並行させる土砂放出運転等が行われている可能性のあるときは、前記第3油圧ポンプから前記アーム制御弁への作動油の合流流量を減ずるアーム側合流規制動作を行うことにより、オペレータの負担を大きくすることなく、アーム駆動用アクチュエータの作動によるアームの押し方向の動作と、前記バケット駆動用アクチュエータの作動によるバケットの開放動作とを並行させる土砂放出運転等を円滑に行うことができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の第1の実施の形態を図1及び図2を参照しながら説明する。
【0024】
図2は、本発明に係る油圧ショベル(図例ではバックホウ)10の概略構成を示したものである。この油圧ショベル10の機体は、下部走行体12と、その上に旋回可能に搭載される上部旋回体14により構成され、この上部旋回体14を前記下部走行体12上で旋回させるための油圧モータからなる旋回モータを内蔵している。
【0025】
前記下部走行体12は左右の走行用クローラ16L,16Rを備え、各走行用クローラ16L,16Rはその鉄輪を回転させるための油圧モータからなる走行モータ18L,18Rをそれぞれ具備している。また、この下部走行体12のフレームにはドーザ20が取付けられるとともに、このドーザ20を上下に揺動させる図略のドーザシリンダが設けられている。
【0026】
前記上部旋回体12の前端にはスイングブラケット22が設けられ、これにブーム支持部材24が左右方向にスイング可能に取付けられている。そして、このブーム支持部材24にブーム26が起伏可能に設けられ、このブーム26の先端にアーム28が上下方向に回動可能となるように連結されており、このアーム28の先端にバケット30が上下方向に回動可能となるように取付けられている。ここで、前記ブーム支持部材24のスイング、前記ブーム26の起伏、このブーム26に対する前記アーム28の回動、及びこのアーム28に対する前記バケット30の回動は、それぞれ、図略のブームスイングシリンダ、ブームシリンダ32、アームシリンダ34、及びバケットシリンダ36の伸縮により実現される。
【0027】
この油圧ショベル10に搭載される油圧供給装置を図1に示す。この装置は、前記各油圧アクチュエータに油圧を供給するための第1油圧ポンプP1、第2油圧ポンプP2、及び第3油圧ポンプP3を備えるとともに、パイロット油圧源であるパイロット用ポンプP4を具備している。
【0028】
前記第1油圧ポンプP1は、左側走行モータ16L、前記ブームシリンダ32、前記バケットシリンダ36等にそれぞれ制御弁を介して油圧を供給するためのものであり、このうち図1では前記第1油圧ポンプP1とバケットシリンダ36との間に介在するバケット制御弁40のみが描かれている。
【0029】
このバケット制御弁40は、3位置パイロット切換弁により構成され、そのパイロット室42,44のいずれにもパイロット圧が供給されないときは中立位置40aに保持される一方、パイロット室42にパイロット圧が供給されると第1駆動位置40bに切換えられ、逆にパイロット室44にパイロット圧が供給されると第2駆動位置40cに切換えられる。そして、前記中立位置40aでは前記第1油圧ポンプP1と前記バケットシリンダ36との間を遮断して当該第1油圧ポンプP1の吐出油を前記バケットシリンダ36を経由せずにそのままセンターバイパス流路46からタンクに逃がす一方、前記第1駆動位置40bでは前記センターバイパス流路46を閉じて前記バケットシリンダ36のへッド側室に前記第1油圧ポンプP1の吐出油を供給して前記バケット30をアーム28に対して閉じる閉じ方向(図2の反時計回り方向)に回動させ、逆に前記第2駆動位置40cでは前記センターバイパス流路46を閉じて前記バケットシリンダ36のロッド側室に前記第1油圧ポンプP1の吐出油を供給して前記バケット30をアーム28に対して開くバケット開放方向(図2の時計回り方向)に回動させる。
【0030】
一方、前記第2油圧ポンプP2は、右側走行モータ16L、前記ブームスイングシリンダ、前記アームシリンダ34等にそれぞれ制御弁を介して油圧を供給するためのものであり、このうち図1では前記第2油圧ポンプP2とアームシリンダ34との間に介在するアーム制御弁50のみが描かれている。
【0031】
このバケット制御弁50も、前記アーム制御弁40と同様に3位置パイロット切換弁により構成され、そのパイロット室52,54のいずれにもパイロット圧が供給されないときは中立位置50aに保持される一方、パイロット室52にパイロット圧が供給されると第1駆動位置50bに切換えられ、逆にパイロット室54にパイロット圧が供給されると第2駆動位置50cに切換えられる。そして、前記中立位置50aでは前記第2油圧ポンプP2と前記アームシリンダ34との間を遮断して当該第2油圧ポンプP2の吐出油をそのままセンターバイパス流路56を通じてタンクに逃がす一方、前記第1駆動位置50bでは前記センターバイパス流路56を閉じて前記アームシリンダ34のへッド側室に前記第2油圧ポンプP2の吐出油を供給して前記アーム28をブーム26に対して閉じる方向すなわちアーム引き方向(図2の反時計回り方向)に回動させ、逆に前記第2駆動位置50cでは前記センターバイパス流路56を閉じて前記アームシリンダ34のロッド側室に前記第2油圧ポンプP2の吐出油を供給して前記アーム28をブーム26に対して開く方向すなわちアーム押し方向(図2の時計回り方向)に回動させる。
【0032】
また、前記第3油圧ポンプP3は、前記旋回モータや前記ドーザシリンダに油圧を供給するためのものであり、このうち図1では前記第3油圧ポンプP3と旋回モータとの間に介在する旋回制御弁60のみが描かれている。
【0033】
この旋回制御弁60も、前記アーム制御弁40と同様に3位置パイロット切換弁により構成され、そのパイロット室のいずれにもパイロット圧が供給されないときは中立位置(図の中段位置)に保持されて前記第3油圧ポンプP3の吐出油をセンターバイパス流路61に逃がす一方、いずれかのパイロット室にパイロット圧が供給されると前記中立位置からいずれかの駆動位置に切換えられて前記第3油圧ポンプP3の吐出油を前記旋回モータに導く。
【0034】
前記センターバイパス流路61は、合流切換弁62の一次側ポートに接続されている。この合流切換弁62は、2位置パイロット切換弁により構成され、そのパイロット室64に油圧が供給されないときは合流遮断位置62aを保つ一方、当該パイロット室64に油圧が供給されるとアーム側合流位置62bに切換えられる。前記合流遮断位置62aでは、前記第3油圧ポンプP3からセンターバイパス流路61を通じて流入する作動油を全量タンクに逃がす一方、前記アーム側合流位置62bでは前記作動油をアーム側合流油路65を通じて前記アーム制御弁50の一次側ポートに補給する。すなわち、当該作動油を前記第2油圧ポンプP2からアーム制御弁50に供給される作動油に合流させる。
【0035】
次に、この合流切換弁62の切換制御をする合流制御手段の構成について説明する。
【0036】
前記合流切換弁62のパイロット室64は、途中に絞り66を有するパイロットライン68を介して前記パイロット用ポンプP4に接続されている。さらに、このパイロットライン68からは2本のパイロット圧解消ライン70,72が分岐してそれぞれタンク側に接続されており、これらパイロット圧解消ライン70,72がそれぞれ前記アーム制御弁50及びバケット制御弁40の操作と連動して開閉切換されるようになっている。
【0037】
具体的に、前記アーム制御弁50にはこれと連動するようにアーム側子弁58が連設され、このアーム側子弁58が前記パイロット圧解消ライン70中に設けられている。このアーム側子弁58は、前記アーム制御弁50が中立位置50aにあるときは前記パイロット圧解消ライン70を開通する開通位置58aを保つ一方、前記アーム制御弁50が第1駆動位置50bまたは第2駆動位置50cに切換えられると前記パイロット圧解消ライン70を遮断する遮断位置58b,58cにそれぞれ切換えられる。
【0038】
また、前記バケット制御弁40にはこれと連動するようにバケット側子弁48が連設され、このバケット側子弁48が前記パイロット圧解消ライン72中に設けられている。このバケット側子弁48は、前記バケット制御弁40が中立位置40aまたは第1駆動位置40bにあるときは前記パイロット圧解消ライン72を遮断する遮断位置48a,48bを保つ一方、前記バケット制御弁40が第2駆動位置50cすなわちバケット30をバケット開放方向に回動させる位置に切換えられると前記パイロット圧解消ライン72を開通する開通位置48cに切換えられる。
【0039】
次に、この装置の作用を説明する。
【0040】
まず、アーム制御弁50が操作されていないとき、すなわち、このアーム制御弁50が中立位置50aにあるときは、当該アーム制御弁50のアーム側子弁58はパイロット圧解消ライン70を開通する開通位置58aにあり、このパイロット圧解消ライン70を通じてパイロット用ポンプP4と合流切換弁62のパイロット室64との間のパイロットライン68がタンクに連通される。従って、このパイロットライン68にパイロット圧は発生せず、前記合流切換弁62は合流遮断位置62aに保持されるため、第3油圧ポンプP3からセンターバイパス流路61を通じて旋回制御弁60から流出する作動油は前記アーム制御弁50側に合流することなくそのままタンクに逃がされる。
【0041】
これに対し、アーム制御弁50が前記中立位置50aから第1駆動位置50bまたは第2駆動位置50cに操作されると、そのアーム側子弁58は遮断位置58bまたは遮断位置58cに切換えられるため、いずれの場合も前記パイロット圧解消ライン70は遮断される。
【0042】
この場合において、バケット制御弁40が中立位置40aまたは第1駆動位置40b(第1油圧ポンプP1の吐出油をバケットシリンダ36のへッド側室に導いてバケット30を閉じ方向に動かす位置)に切換えられているときは、そのバケット側子弁48が遮断位置48aまたは遮断位置48bに切換えられ、パイロット圧解消ライン72も遮断するため、前記パイロットライン68にパイロット圧が発生して合流切換弁62のパイロット室64に供給される。これにより合流切換弁62はアーム側合流位置62bに切換えられ、第3油圧ポンプP3からセンターバイパス流路61を通じて流入する作動油をアーム側合流油路65に導き、第2油圧ポンプP2からアーム制御弁50に供給される作動油に合流させる。これにより、アームシリンダ34の作動速度が高められる。
【0043】
これに対し、バケット制御弁40が第2駆動位置40c(第1油圧ポンプP1の吐出油をバケットシリンダ36のロッド側室に導いてバケット30を開放方向に動かす位置)に切換えられているときは、そのバケット側子弁48が開通位置48cに切換えられてパイロット圧解消ライン72を開通するため、アーム制御弁50が中立位置50aから第1駆動位置50bまたは第2駆動位置50cに操作されていてもパイロットライン68にパイロット圧は発生せず、合流切換弁62は合流遮断位置62aに保たれる。つまり、アーム制御弁50側への第3油圧ポンプP3の吐出油の合流が解除される。
【0044】
従って、前記アーム制御弁50を第2駆動位置50cに切換えてアーム28を押し方向に動作させながら前記バケット制御弁40を第2駆動位置40cに切換えてバケット30を開放方向に動作させる土砂放出運転等を行うときには、前記第3油圧ポンプP3の吐出油の合流によるアームシリンダ34の増速が解除されるため、当該アームシリンダ34の増速に起因してバケットシリンダ36の収縮によるバケット30の開き方向の動作が相対的に遅れることが防がれ、当該土砂放出運転等を円滑に行うための速度バランスが保たれることになる。
【0045】
すなわち、この装置によれば、バケット30を動かさずにアーム28のみを単独で操作するような場合には、そのアーム28の作動速度を第3油圧ポンプP3の吐出油の合流によって高めることにより作業効率の向上を図りながら、アーム28の押し動作とバケット30の開放動作とを並行させる運転時には前記合流を止めてアーム28の増速を解除することにより、オペレータの負担を大きくすることなく円滑な土砂放出運転等を実現することができる。
【0046】
なお、この実施の形態では、前記合流を解除するためにバケット制御弁40の操作と連動して合流切換弁62のパイロット圧を解消させるべく、このバケット制御弁40にバケット側子弁48を連設して当該バケット側子弁48によりパイロット圧解消ライン72を開閉するようにしているが、当該バケット制御弁40とは独立した切換弁を用いるようにしてもよい。
【0047】
その例を第2の実施の形態として図3に示す。図において、前記パイロット圧解消ライン72の途中には、前記バケット制御弁40とは独立した2位置のパイロット切換弁74が設けられている。このパイロット切換弁74は、そのパイロット室75が前記バケット制御弁40を前記第2駆動位置40cに切換えるためのパイロット室44につながるパイロットライン45に接続されており、当該パイロット室75にパイロット圧が供給されていない状態では、前記パイロット圧解消ライン72を遮断する遮断位置74aを保つ一方、前記パイロット室75にパイロット圧が供給されると前記パイロット圧解消ライン72を開通する開通位置74bに切換えられるようになっている。
【0048】
さらに、この実施の形態では、前記パイロット圧解消ライン72において前記パイロット切換弁74と直列に電磁切換弁76が設けられている。この電磁切換弁76は、前記土砂放出運転時でのアーム側合流規制動作(すなわち合流切換弁62を合流遮断位置62bにする動作)を手動で解除するためのものであり、そのソレノイド78が励磁されていないときには前記パイロット圧解消ライン72を開通する開通位置76aを保つ一方、前記ソレノイド78が励磁されると前記パイロット圧解消ライン72を遮断する遮断位置76bに切換えられるようになっている。
【0049】
前記ソレノイド78は、運転席に設けられた操作装置79に接続されている。この操作装置79は、運転者により操作可能な合流規制解除スイッチを含んでおり、このスイッチが操作されて合流規制を解除する指令が入力されたときにのみ前記ソレノイド78を励磁するように構成されている。
【0050】
この装置によれば、バケット制御弁40のパイロット室44にパイロット圧が供給されて同制御弁40が第2駆動位置40cすなわちバケット30を開く位置に切換えられると、そのパイロット圧がパイロット切換弁74のパイロット室75に供給されて同切換弁74がパイロット圧解消ライン72を開通する開通位置74bに切換えられるため、アーム制御弁50が操作されても合流切換弁62のパイロット室64にパイロット圧は供給されず、同弁62は合流遮断位置62aを保持する。すなわち、アーム側合流規制動作が行われる。
【0051】
さらに、この装置では、操作装置79の合流規制解除スイッチが操作されて同装置79が電磁切換弁76のソレノイド78を励磁すると、同弁76が開通位置76aから遮断位置76bに切換えられるため、前記パイロット切換弁74の切換位置に関係なくパイロット圧解消ライン72は遮断される。すなわち、前記パイロット切換弁74によるアーム側合流規制動作が解除される。従って、この状態では、バケット制御弁40の操作位置に関係なく、アーム制御弁50の操作時には合流切換弁62がアーム側合流位置に切換えられて第3油圧ポンプP3の吐出油がアーム制御弁50の一次側に合流する。
【0052】
この装置によれば、運転者は、操作装置79における合流規制解除スイッチを利用して、前記アーム側合流規制動作が自動的に行われる状態と当該動作が行われない状態とを運転状況に応じて自由に選択することが可能になる。
【0053】
この合流規制解除手段の具体的な構成は適宜設定可能である。例えば、前記電磁切換弁76を図3に示す装置におけるパイロット切換弁74のパイロット室75の手前に設け、この電磁切換弁76のソレノイド78が励磁されたときにのみ同弁76が前記パイロット室75に通ずるパイロットラインを遮断するようにしても、前記と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0054】
また、このような合流規制解除手段は前記第1の実施の形態または以降の実施の形態にも同様に適用し得るものである。
【0055】
前記合流切換弁62のパイロット室64にパイロット圧を供給する回路についても適宜設定可能であり、例えば第3の実施の形態として図4に示すように、アーム制御弁50のパイロット圧を利用して前記合流切換弁62の切換操作を行うようにしてもよい。
【0056】
図において、アーム制御弁50の両パイロット室52,54に通ずるパイロットラインにシャトル弁55の両入口ポートが各々接続され、このシャトル弁55の出力ポートがパイロットライン68を介して前記合流切換弁62のパイロット室64に接続されており、当該パイロットライン68の途中に2位置のパイロット切換弁67が設けられている。
【0057】
このパイロット切換弁67のパイロット室69は前記バケット制御弁40のパイロット室44側のパイロットラインに接続されている。そして、このパイロット切換弁67は、そのパイロット室69にパイロット圧が供給されないときは前記パイロットライン68を開通する開通位置67aを保持する一方、前記パイロット室69にパイロット圧が供給されると前記パイロットライン68をシャトル弁55から遮断してタンクに直通させるパイロット圧解消位置67bに切換えられるようになっている。
【0058】
この装置において、バケット制御弁40のパイロット室44にパイロット圧が供給されていないとき、すなわち、バケット制御弁40が中立位置40aまたは第1駆動位置40bにあるときは、前記パイロット切換弁67のパイロット室69にもパイロット圧が供給されないため、当該パイロット切換弁67は開通位置67aを保持する。従って、この状態では、アーム制御弁50のパイロット室52,54のいずれかにパイロット圧が供給されて当該アーム制御弁50が中立位置50aから操作されると、そのパイロット圧が合流切換弁62のパイロット室64にも供給されて同弁62がアーム側合流位置62bに切換えられることにより、第3油圧ポンプP3の吐出油と第2油圧ポンプP2の吐出油との合流が行われ、アームシリンダ34が増速される。
【0059】
これに対し、バケット制御弁40のパイロット室44にパイロット圧が供給されてバケット制御弁40がバケット30を開放方向に作動させる第2駆動位置40cに切換えられているときは、前記パイロット圧がパイロット切換弁67のパイロット室69に供給されて同弁67がパイロット圧解消位置67bに切換えられ、パイロット室64に通ずるパイロットライン68をタンクに直通させるため、アーム制御弁50の操作にかかわらず合流切換弁62は合流遮断位置62aに保たれ、前記吐出油の合流は行われない。すなわち、アームシリンダ34の増速は行われない。これにより、アーム押し動作とバケット開放動作との協調を要する土砂放出運転等を円滑に行うことが可能となる。
【0060】
第4の実施の形態を図5及び図6に示す。この実施の形態に係る装置は、合流切換弁62の切換制御を電気的に行うものとなっている。
【0061】
図5において、前記合流切換弁62のパイロット室64に通ずるパイロットライン68からはパイロット圧解消ライン73が分岐してタンクに至っており、その途中に電磁切換弁80が設けられている。この電磁切換弁80は、そのソレノイド81が励磁されないときは前記パイロット圧解消ライン73を開通する開通位置80aを保つ一方、前記ソレノイド81が励磁されると前記パイロット圧解消ライン73を遮断する遮断位置80bに切換えられるようになっている。
【0062】
一方、前記アーム制御弁50の各パイロット室52,54に通ずるパイロットラインにはそれぞれ圧力スイッチ82,84が設けられている。これらの圧力スイッチ82,84は常開スイッチであり、当該スイッチが設けられているパイロットラインに一定以上のパイロット圧が生じたときにのみ接点が閉じるようになっている。
【0063】
また、前記バケット制御弁40のパイロット室44(バケット制御弁40を第2駆動位置40cに切換えるためのパイロット室)に通ずるパイロットラインにも圧力スイッチ86が設けられている。この圧力スイッチ86は常閉スイッチであり、当該スイッチが設けられているパイロットラインに一定以上のパイロット圧が生じたときにのみ接点が開くようになっている。
【0064】
図6は、前記ソレノイド81の通電を制御する回路を示したものである。図において、電源90の正極とアースとの間にはソレノイド駆動ライン91と通電制御ライン92とが並列に配されている。
【0065】
ソレノイド駆動ライン91には、リレー94のリレー接点96と前記ソレノイド81とが直列に配され、当該リレー接点96が閉じたときにのみソレノイド81が通電して励磁されるようになっている。
【0066】
前記通電制御ライン92には、前記圧力スイッチ86と前記圧力スイッチ82と前記リレー94のリレーコイル98とが直列に配され、かつ、前記圧力スイッチ82と並列に前記圧力スイッチ84が配されるとともに、前記圧力スイッチ86と並列に合流規制解除スイッチ88が設けられている。この合流規制解除スイッチ88は運転席に設けられており、スイッチ操作されることによりその接点が開いた状態から閉じた状態に切換えられるようになっている。
【0067】
この合流規制解除スイッチ88が開いている状態において、アーム制御弁50のパイロット室52,54のいずれかにパイロット圧が供給されて同制御弁50が駆動位置50b,50cのいずれかに操作されると、前記圧力スイッチ82,84のうちのいずれかの接点が閉じる。
【0068】
このとき、バケット制御弁40のパイロット室44にパイロット圧が供給されていなければ(すなわちバケット制御弁40が中立位置40aまたは第1駆動位置40bにあれば)圧力スイッチ86は閉じた状態にあるので、通電制御ライン92に電流が流れてリレーコイル98が通電し、リレー接点96が閉じてソレノイド81が通電(励磁)される。これにより電磁切換弁80が開通位置80aから遮断位置80bに切換えられてパイロット圧解消ライン73が遮断され、パイロット用ポンプP4から合流切換弁62のパイロット室64にパイロット圧が供給される状態となり、同弁62がアーム側合流位置62bに切換えられて第3油圧ポンプP3の吐出油をアーム制御弁50の一次側に合流させる。すなわち、アームシリンダ34の増速が行われる。
【0069】
これに対し、前記バケット制御弁40のパイロット室44にパイロット圧が供給されてバケット制御弁40が第2駆動位置40cすなわちバケット30を開き方向に回動させる位置に切換えられていると、前記パイロット圧により圧力スイッチ86が開き、通電制御ライン92を遮断するので、リレーコイル98は非通電となりリレー接点96が開く。すなわち、ソレノイド81は通電されず、電磁切換弁80はパイロット圧解消ライン73を開通する開通位置80aに保たれるので、合流切換弁62のパイロット室64にパイロット圧が供給されず、同弁62は合流遮断位置62aを保持する。従って、このときはアーム側への第3油圧ポンプP3の吐出油の合流は行われない。
【0070】
ただし、このときに前記合流規制解除スイッチ88が操作されていて同スイッチが閉じていると、前記圧力スイッチ86の開閉にかかわらずリレーコイル98が通電されてリレー接点96を閉じるため、電磁切換弁80は遮断位置80bに切換えられて合流切換弁62はアーム側合流位置62bに切換えられることとなる。従って、この場合は第3油圧ポンプP3の吐出油がアーム制御弁50側に合流可能となる(すなわちアーム側合流規制動作は解除される。)。
【0071】
なお、このような電磁切換弁80の切換制御としては、図6に示すような回路を用いるのに代えてマイクロコンピュータによるプログラム制御を実行するようにしてもよい。
【0072】
以上の実施の形態は、いずれも、アーム側合流規制動作として合流切換弁62を合流遮断位置62aに保持するものであるが、当該アーム側合流規制動作は合流を完全遮断するのではなく合流流量を低減するものであってもよい。
【0073】
その例を第5の実施の形態として図7に示す。ここでは、前記図3に示した装置の合流切換弁62が、その合流遮断位置62aからアーム側合流位置62bへ向けての操作ストロークが大きいほど前記第3油圧ポンプP3側のセンターバイパス流路61から前記合流流路65を通じてのアーム制御弁50への作動油の合流流量を増やす流量制御弁により構成されている。すなわち、この実施の形態に係る合流切換弁62は、前記合流遮断位置62aと、完全なアーム側合流位置62bとの間に、前記センターバイパス流路61からの作動油の一部のみを絞りを介してアーム側合流油路65側に分流させる合流抑制位置62cを有するものとなっている。
【0074】
一方、パイロット圧解消ライン72には絞り77が設けられており、パイロット切換弁74が前記パイロット圧解消ライン72を開通する開通位置74bに切換えられたときにパイロットライン68からパイロット圧解消ライン72に流れ込む作動油の流量が前記絞り77の分だけ抑制され、その結果、前記パイロットライン68から合流切換弁62のパイロット室64に前記パイロット圧解消ライン72が遮断されているときに比べて低いパイロット圧が与えられ、これにより前記合流切換弁62が前記合流抑制位置62cに切換えられるようになっている。
【0075】
この装置において、アーム制御弁50が第1駆動位置50bまたは第2駆動位置50cに操作され、かつ、バケット制御弁40が中立位置40aまたは第1駆動位置40bに操作されているときは、アーム側子弁58がパイロット圧解消ライン70を遮断する遮断位置58bまたは58cに切換えられるとともに、パイロット切換弁74が遮断位置74aを保ってパイロット圧解消ライン72を遮断するため、合流切換弁62のパイロット室64には最大のパイロット圧が供給され、同弁62はアーム側合流位置62bに切換えられる。よって、第3油圧ポンプP3からセンターバイパス流路61を通じて合流切換弁62に流れ込む作動油の全量がアーム側合流油路65を通じて第2油圧ポンプP2からアーム制御弁50に供給される作動油に合流する。これにより、アームシリンダ34の作動速度はフルに増速される。
【0076】
これに対し、前記アーム制御弁50が操作され、かつ、バケット制御弁40が第2駆動位置40cすなわちバケット30を開き方向に動作させる位置に切換えられているときは、パイロット切換弁74が開通位置74bに切換えられてパイロット圧開通ライン72が開通される結果、当該パイロット切換弁74が遮断位置74aにあるときに比べてパイロット室64に供給されるパイロット圧が下がり、その結果、合流切換弁62の操作ストロークが抑えられて合流遮断位置62aとアーム側合流位置62bとの間の合流抑制位置62cに切換えられるため、前記センターバイパス流路61を流れる作動油のうちの一部のみがアーム側合流油路65に低流量で分流することになる。従って、この場合もアームシリンダ34の作動速度は高められるがその増速度合いは抑制され、当該アームシリンダ34の作動速度とバケットシリンダ36の作動速度との良好なバランスが保たれる。
【0077】
このような構成によれば、土砂放出運転時等には、アームシリンダ34の増速を完全に中止するのではなくその増速度合いを抑制することによって、土砂放出運転等の際により好適なアーム作動速度の設定を行うことが可能になる。
【0078】
ここで、前記合流切換弁62の操作ストロークを調節する手段は、前記のようにパイロット室64へのパイロット圧を調節するものに限らず、当該ストロークを機械構造的に制限するものであってもよい。
【0079】
その例を第6の実施の形態として図8に示す。この実施の形態では、パイロット用ポンプP4から合流切換弁62のパイロット室64に至るパイロットライン68からシリンダ駆動用油路100が分岐しており、このシリンダ駆動用油路100にストローク制限シリンダ102のへッド側室が接続されている。このストローク制限シリンダ102は前記合流切換弁62に付設されており、その収縮状態では、前記合流切換弁62の合流遮断位置62aからアーム側合流位置62bへのフルストロークを許容する一方、当該シリンダ102のへッド側室に作動油が供給されて伸長すると、前記合流遮断位置62aからアーム側合流位置62bへのストロークを規制してその中間の合流抑制位置62cに止めるように構成されている。
【0080】
一方、前記シリンダ駆動用油路100からはタンク側に駆動解除油路104が分岐しており、この駆動解除油路104の途中に、前記バケット制御弁40に連設されたバケット側子弁48が設けられている。このバケット側子弁48は、前記バケット制御弁40がその中立位置40aまたは第1駆動位置40bにあるときは、前記駆動解除油路104を開通する開通位置48d,48eに切換えられる一方、前記バケット制御弁40が第2駆動位置40cに切換えられると前記駆動解除油路104を遮断する遮断位置48fに切換えられるように、前記バケット制御弁40と連動する。
【0081】
この装置において、バケット制御弁40が中立位置40aまたは第1駆動位置40bにあるときはそのバケット側子弁48が開通位置48dまたは開通位置48eに切換えられていて駆動解除油路104を開通するため、パイロット用ポンプP4からシリンダ駆動用油路100に流入する作動油は全て前記駆動解除油路104を通じてタンクに逃がされ、ストローク制限シリンダ102は駆動されない(すなわち伸長されない)。よって、この状態でアーム制御弁50の操作によりそのアーム側子弁58が遮断位置58bまたは遮断位置58cに切換えられて合流切換弁62のパイロット室64にパイロット圧が供給されると、この合流切換弁62は合流遮断位置62aからアーム側合流位置62bまでフルストローク操作され、第3油圧ポンプP3からセンターバイパス流路61を通じて流入する作動油の全量をアーム側への合流油路65に導く。
【0082】
これに対し、バケット制御弁40が第2駆動位置40cに切換えられるとそのバケット側子弁48が遮断位置48fに切換えられていて駆動解除油路104を遮断するため、パイロット用ポンプP4からシリンダ駆動用油路100に流入する作動油がストローク制限シリンダ102のへッド側室に供給されて同シリンダ102が伸長する。このストローク制限シリンダ102の伸長により合流切換弁62のストロークが制限されるため、アーム制御弁50の操作により合流切換弁62のパイロット室64にパイロット圧が供給されても、この合流切換弁62は合流遮断位置62aからアーム側合流位置62bまではフルストロークできず、その中間の合流抑制位置62cまでストロークするに止まる。よって、第3油圧ポンプP3からセンターバイパス流路61を通じて流入する作動油の一部のみが前記アーム側合流油路65側に供給され、その分、アームシリンダ34の増速度合が抑えられる。
【0083】
以上示した装置では、a.アーム制御弁50が中立位置50aから第1駆動位置50b側または第2駆動位置50c側に一定以上操作され、かつ、b.バケット制御弁40が第2駆動位置40c側(バケット開放操作側)に操作されることのみを条件に、アーム側合流規制動作が行われるが、実際の土砂放出運転時にはブーム26を倒伏させる動作も同時に行われるのが一般的であり、このブーム26の倒伏操作が行われることもアーム側合流規制動作を実行する条件に加えてもよい。
【0084】
その例を第7の実施の形態として図9に示す。この図は、前記図1に示した装置において、前記バケット制御弁40とともに第1油圧ポンプP1からの油圧供給を受けてブームシリンダ32を駆動するブーム制御弁110を図示している。
【0085】
このブーム制御弁110も前記バケット制御弁40と同様に3位置パイロット切換弁により構成されており、前記センターバイパス流路46において前記バケット制御弁40の上流側の位置に設けられている。そして、そのパイロット室112,114のいずれにもパイロット圧が供給されないときは前記第1油圧ポンプP1の吐出油を全てセンターバイパス流路46に流す中立位置110aを保持する一方、前記パイロット室112にパイロット圧が供給されたときは前記センターバイパス流路46を閉じて前記ブームシリンダ32のへッド側室に前記吐出油を導いてブーム26を起立させる第1駆動位置110bに切換えられ、逆に前記パイロット室114にパイロット圧が供給されたときは前記センターバイパス流路46を閉じて前記ブームシリンダ32のロッド側室に前記吐出油を導いてブーム26を倒伏させる第2駆動位置110cに切換えられるように構成されている。
【0086】
さらに、この装置の特徴として、前記ブーム制御弁110にこれと連動するブーム側子弁118が連設され、このブーム側子弁118が前記バケット側子弁48と直列でパイロット圧解消ライン72中に設けられている。このブーム側子弁118は、前記バケット側子弁48と同様、前記ブーム制御弁110が中立位置110aまたは第1駆動位置110bにあるときは前記パイロット圧解消ライン72を遮断する遮断位置118a,118bを保つ一方、前記ブーム制御弁110が第2駆動位置110cに切換えられると前記パイロット圧解消ライン72を開通する開通位置118cに切換えられるようになっている。
【0087】
この構成によれば、アーム制御弁50が第1駆動位置50bまたは第2駆動位置50cに切換えられてそのアーム側子弁58がパイロット圧解消ライン70を遮断する遮断位置58bまたは遮断位置58cに切換えられている場合において、a.バケット制御弁40がバケット30を開放方向に作動させる第2駆動位置40cに切換えられてそのバケット側子弁48が開通位置48cに切換えられ、さらに、b.ブーム制御弁110がブーム26を倒伏方向に作動させる第2駆動位置110cに切換えられてそのブーム側子弁118が開通位置118cに切換えられるときにのみ、パイロット圧解消ライン72を開通して合流切換弁62のパイロット室64に与えられるパイロット圧を解消する動作、すなわち、アーム側合流規制動作が実行されることになる。
【0088】
第8の実施の形態を図10に示す。この実施の形態に係る装置では、前記アーム側合流規制動作が行われるときに、さらに、第3油圧ポンプP3の吐出油をバケット制御弁40の一次側に合流させてバケットシリンダ36を増速させるバケット側合流動作が行われるようになっている。
【0089】
具体的に、図10に示す装置では、前記図1に示した装置における合流切換弁62に代えて3位置パイロット切換弁からなる合流切換弁120が設けられている。この合流切換弁120は、前記第3油圧ポンプP3からセンターバイパス流路61を通じて流入する作動油を全量タンクに逃がす合流遮断位置(中立位置)120aと、前記作動油をアーム側合流油路65を通じて前記アーム制御弁50の一次側ポートに導くアーム側合流位置120bとに加え、前記作動油の一部を流量規制しながらバケット側合流油路126に導くバケット側合流位置120cを有している。ここで、前記バケット側合流油路126は前記第1油圧ポンプP1から前記バケット制御弁40に至る供給油路につながっており、当該合流油路126に導かれた作動油は前記第1油圧ポンプP1から前記バケット制御弁40に供給される作動油に合流するようになっている。
【0090】
前記合流切換弁120に設けられるパイロット室122,124のうち、同弁120をアーム側合流位置120bに切換えるためのパイロット室122は、前記図1に示した装置と同様にパイロットライン68に接続される一方、同弁120をバケット側合流位置120cに切換えるためのパイロット室124は、前記パイロットライン68の絞り66よりも上流側の位置で当該パイロットライン68から分岐するパイロットライン128を通じて前記パイロット用ポンプP4に接続されている。
【0091】
このパイロットライン128は、その途中に絞り127を有し、かつ、当該絞り127よりも下流側(前記パイロット室124側)の領域で当該パイロットライン128からパイロット圧解消ライン130とパイロット圧解消ライン132とがそれぞれ分岐してタンクに至っている。
【0092】
一方、前記アーム制御弁50のアーム側子弁58は、前記図1に示される装置と同様に前記パイロットライン68から分岐するパイロット圧解消ライン70の途中に設けられるのに加え、前記パイロット圧解消ライン130の途中に設けられて同ライン130を開閉するように構成されている。具体的に、このアーム側子弁58は、前記アーム制御弁50が中立位置50aにあるときは前記両パイロット圧解消ライン70,130をともに開通する位置58dを保ち、前記アーム制御弁50が第1駆動位置50bまたは第2駆動位置50cに切換えられると前記両パイロット圧解消ライン70,130をともに遮断する位置58e,58fにそれぞれ切換えられるように構成されている。
【0093】
また、前記バケット制御弁40のバケット側子弁48は、前記図1に示される装置と同様に前記パイロットライン68から分岐するパイロット圧解消ライン72の途中に設けられるのに加え、前記パイロット圧解消ライン132の途中に設けられて同ライン132を開閉するように構成されている。具体的に、このバケット側子弁48は、前記バケット制御弁40が中立位置40aまたは第1駆動位置40bにあるときは前記パイロット圧解消ライン72を遮断して前記パイロット圧解消ライン132を開通する位置48g,48hをそれぞれ保ち、前記バケット制御弁40が第2駆動位置40cに切換えられると前記パイロット圧解消ライン72を開通して前記パイロット圧解消ライン132を遮断する位置48iに切換えられるように構成されている。
【0094】
次に、この装置の作用を説明する。
【0095】
まず、アーム制御弁50が操作されずに中立位置50aにあるときは、そのアーム側子弁58がパイロット圧解消ライン70,130の双方を開通する位置58dにあり、これらのパイロット圧解消ライン70,130を通じてパイロットライン68,128がともにタンクに連通される。従って、これらのパイロットライン68,128にパイロット圧は発生せず、前記合流切換弁120のパイロット室122,124のいずれにもパイロット圧が供給されないため、同弁120は合流遮断位置120aを保ち、第3油圧ポンプP3からセンターバイパス流路61を通じて旋回制御弁60から流出する作動油をそのままタンクに逃がす。
【0096】
これに対し、アーム制御弁50が前記中立位置50aから第1駆動位置50bまたは第2駆動位置50cに操作されると、そのアーム側子弁58は両パイロット圧解消ライン70,130をともに遮断する位置58bまたは58cに切換えられる。このとき、バケット制御弁40が中立位置40aまたは第1駆動位置40b(第1油圧ポンプP1の吐出油をバケットシリンダ36のへッド側室に導いてバケット30を閉じ方向に動かす位置)に切換えられていると、そのバケット側子弁48がパイロット圧解消ライン72を遮断してパイロット圧解消ライン132を開通する位置48aまたは48bに切換えられるため、このパイロット圧解消ライン132とつながるパイロットライン128(詳しくは当該パイロットライン128のうちその絞り127よりも下流側のライン)のパイロット圧が解消されるが、パイロット圧解消ライン70,72が双方とも遮断されているために前記パイロットライン68にはパイロット圧が残って合流切換弁120のパイロット室122に供給される。これにより当該合流切換弁120はアーム側合流位置120bに切換えられ、第3油圧ポンプP3からセンターバイパス流路61を通じて流入する作動油をアーム側合流油路65に導き、第2油圧ポンプP2からアーム制御弁50に供給される作動油に合流させる。これにより、アームシリンダ34の作動速度が高められる。
【0097】
これに対し、バケット制御弁40が第2駆動位置40cに切換えられているときは、そのバケット側子弁48が前記パイロット圧解消ライン132を遮断して前記パイロット圧解消ライン72を開通する位置48iに切換えられるため、アーム制御弁50が中立位置50aから第1駆動位置50bまたは第2駆動位置50cに操作されていても前記パイロット圧解消ライン72につながるパイロットライン68(詳しくは当該パイロットライン68のうちその絞り66よりも下流側のライン)のパイロット圧は解消されるが、パイロット圧解消ライン130,132は双方とも遮断されているためパイロットライン128にはパイロット圧が残って合流切換弁120のパイロット室124にパイロット圧が供給される。これにより当該合流切換弁120はバケット側合流位置120cに切換えられ、第3油圧ポンプP3からセンターバイパス流路61を通じて流入する作動油を規制された流量でバケット側合流油路126に導き、第1油圧ポンプP1からバケット制御弁40に供給される作動油に合流させる。従って、アームシリンダ34の増速が止められるのに加え、前記合流分だけバケットシリンダ36の作動速度が適度に高められ、これにより、土砂放出運転等を円滑に行うための速度バランスが保たれることになる。
【0098】
この装置においても、前記図9に示した装置におけるアーム側合流規制条件と同様、バケット側合流を行う条件として、アーム28の操作及びバケット30の開放方向の操作に加えてブーム26が倒伏方向に操作されることを付加してもよい。その場合には、第9の実施の形態として図11に示すように、前記図10に示す装置のパイロット圧解消ライン72,132において前記バケット制御弁40のバケット側子弁48と直列に並ぶ位置にブーム側制御弁110と連動するブーム側子弁118を配し、この子弁118に前記バケット側子弁48と同様の開閉機能を持たせればよい。
【0099】
すなわち、ブーム制御弁110が中立位置110aまたはブーム26を起立させる第1駆動位置110bに切換えられるときは前記ブーム側子弁118が前記パイロット圧解消ライン132を開通して前記パイロット圧解消ライン72を遮断する位置118d(または118e)に切換えられ、ブーム制御弁110がブーム26を倒伏させる第2駆動位置110cに切換えられるときは前記ブーム側子弁118が前記パイロット圧解消ライン132を遮断して前記パイロット圧解消ライン72を開通する位置118fに切換えられるようにすればよい。
【0100】
あるいは、アーム合流規制動作として、前記第3油圧ポンプP3の吐出油をアーム側とバケット側との双方に規制された流量で分配してそれぞれに合流させるようにしてもよい。その場合には、前記図10に示した合流切換弁120を図12に示すような構成とすればよい。
【0101】
この図12に示される合流切換弁120は、両パイロット室122,124にパイロット圧が供給されないときに第3油圧ポンプP3からセンターバイパス流路61を通じて流入する作動油をそのままタンクに逃がす合流遮断位置(中立位置)120dを保ち、パイロット室122にパイロット圧が供給されたときは前記センターバイパス流路61からの作動油をアーム側合流油路65に導くアーム側合流位置120eに切換えられるのに対し、パイロット室124にパイロット圧が供給されたとき(すなわち前記図10に示すアーム制御弁50が操作されかつバケット制御弁40が第2駆動位置40cに操作されたとき)には、前記センターバイパス流路61からの作動油をアーム側合流油路65とバケット側合流油路126とに分流させるバケット側合流位置120fに切換えられるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る油圧ショベルの油圧供給装置を示す油圧回路図である。
【図2】前記油圧ショベルの全体構成図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る油圧ショベルの油圧供給装置を示す油圧回路図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る油圧ショベルの油圧供給装置の要部を示す油圧回路図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係る油圧ショベルの油圧供給装置を示す油圧回路図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態に係る油圧ショベルの油圧供給装置に設けられる電磁切換弁の制御回路を示す電気回路図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態に係る油圧ショベルの油圧供給装置の要部を示す油圧回路図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態に係る油圧ショベルの油圧供給装置の要部を示す油圧回路図である。
【図9】本発明の第7の実施の形態に係る油圧ショベルの油圧供給装置を示す油圧回路図である。
【図10】本発明の第8の実施の形態に係る油圧ショベルの油圧供給装置を示す油圧回路図である。
【図11】本発明の第9の実施の形態に係る油圧ショベルの油圧供給装置の要部を示す油圧回路図である。
【図12】図10に示される油圧ショベルの油圧供給装置における合流切換弁の変形例を示す油圧回路図である。
【図13】(a)〜(c)は油圧ショベルの土砂放出運転におけるブーム、アーム、及びバケットの動きを示す図である。
【符号の説明】
【0103】
P1 第1油圧ポンプ
P2 第2油圧ポンプ
P3 第3油圧ポンプ
P4 パイロット用ポンプ
10 油圧ショベル
26 ブーム
28 アーム
30 バケット
32 ブームシリンダ(ブーム駆動用アクチュエータ)
34 アームシリンダ(アーム駆動用アクチュエータ)
36 バケットシリンダ(バケット駆動用アクチュエータ)
40 バケット制御弁
48 バケット側子弁(合流制御手段)
50 アーム制御弁
58 アーム側子弁(合流制御手段)
62 合流切換弁
62a 合流遮断位置
62b アーム側合流位置
62c 合流抑制位置
65 アーム側合流油路
67 パイロット切換弁(合流制御手段)
68 パイロットライン(合流制御手段)
70,72 パイロット圧解消ライン(合流制御手段)
74 パイロット切換弁(合流制御手段)
76 電磁切換弁(合流規制解除手段)
80 電磁切換弁(合流制御手段)
82,84,86 圧力スイッチ(合流制御手段)
88 合流規制解除スイッチ
90 電源
94 リレー(合流制御手段)
102 ストローク規制シリンダ
110 ブーム制御弁
118 ブーム側子弁(合流制御手段)
120 合流切換弁
120a,120d 合流遮断位置
120b,120e アーム側合流位置
120c,120f バケット側合流位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体に対して起伏可能なブームに取付けられるアームを当該ブームに対して上下方向に回動させるアーム駆動用アクチュエータと、このアームの先端に取付けられたバケットを当該アームに対して上下方向に回動させるバケット駆動用アクチュエータとを備えた油圧ショベルの前記両アクチュエータに油圧を供給するための装置であって、第1油圧ポンプと、この第1油圧ポンプと前記バケット駆動用アクチュエータとの間に設けられ、当該第1油圧ポンプと前記バケット駆動用アクチュエータとの間を遮断する中立位置を有するとともに当該中立位置から操作されることにより当該第1油圧ポンプから当該バケット駆動用アクチュエータへ作動油を導く状態に切換えられるバケット制御弁と、第2油圧ポンプと、この第2油圧ポンプと前記アーム駆動用アクチュエータとの間に設けられ、当該第2油圧ポンプと前記アーム駆動用アクチュエータとの間を遮断する中立位置を有するとともに当該中立位置から操作されることにより当該第2油圧ポンプから当該アーム駆動用アクチュエータへ作動油を導く状態に切換えられるアーム制御弁と、前記バケット駆動用アクチュエータ及びアーム駆動用アクチュエータとは別の油圧アクチュエータに油圧を供給する第3油圧ポンプと、この第3油圧ポンプの吐出油を前記第2油圧ポンプから前記アーム制御弁に供給される作動油に合流させるアーム側合流位置と当該合流を遮断する合流遮断位置とに切換えられる合流切換弁と、前記アーム制御弁がその中立位置にあるときは前記合流切換弁を前記合流遮断位置に切換え、前記アーム制御弁がその中立位置から一定以上操作されたときに前記合流切換弁を前記アーム側合流位置に切換える合流切換動作を行うとともに、当該アーム制御弁がその中立位置から一定以上操作された場合であっても前記バケット制御弁が前記バケットを開放方向に回動させる向きに操作されているときには前記第3油圧ポンプから前記アーム制御弁への作動油の合流流量を減ずるアーム側合流規制動作を行う合流制御手段とを備えたことを特徴とする油圧ショベルの油圧供給装置。
【請求項2】
請求項1記載の油圧ショベルの油圧供給装置において、前記第1油圧ポンプと前記ブームを起伏させるブーム駆動用アクチュエータとの間に設けられ、当該第1油圧ポンプと当該ブーム駆動用アクチュエータとの間を遮断する中立位置を有するとともに当該中立位置から操作されることにより当該第1油圧ポンプから当該ブーム駆動用アクチュエータへ作動油を導く状態に切換えられるブーム制御弁を備え、前記合流制御手段は、前記アーム制御弁がその中立位置から一定以上操作された場合において、前記バケット制御弁が前記バケットをバケット開放方向に回動させる向きに操作され、かつ、前記ブーム制御弁が前記ブームを倒伏させる向きに操作されたときにのみ、前記アーム側合流規制動作を行うことを特徴とする油圧ショベルの油圧供給装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の油圧ショベルの油圧供給装置において、前記アーム側合流規制動作は、前記アーム制御弁がその中立位置から一定以上操作されていても前記合流切換弁を前記合流遮断位置にする動作であることを特徴とする油圧ショベルの油圧供給装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の油圧ショベルの油圧供給装置において、前記合流切換弁は、その合流遮断位置からアーム側合流位置への操作ストロークが大きいほど前記第3油圧ポンプから前記アーム制御弁への作動油の合流流量を増やす流量制御弁であり、前記アーム側合流規制動作は、前記バケット制御弁の操作がされないときに比べて前記合流切換弁の前記合流遮断位置からの操作ストローク量を減ずるものであることを特徴とする油圧ショベルの油圧供給装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の油圧ショベルの油圧供給装置において、前記合流制御手段は、前記アーム側合流規制動作を行うときに、前記第3油圧ポンプの吐出油を前記第1油圧ポンプから前記バケット制御弁に供給される作動油に合流させるバケット側合流切換動作を行うことを特徴とする油圧ショベルの油圧供給装置。
【請求項6】
請求項5記載の油圧ショベルの油圧供給装置において、前記合流切換弁は、前記合流遮断位置及び前記アーム側合流位置に加え、前記第3油圧ポンプの吐出油を前記第1油圧ポンプから前記バケット制御弁に供給される作動油に合流させるバケット側合流位置を有しており、前記合流制御手段は、前記バケット側合流切換動作として前記合流切換弁を前記バケット側合流位置に切換える動作を行うことを特徴とする油圧ショベルの油圧供給装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の油圧ショベルの油圧供給装置において、前記合流制御手段のアーム側合流規制動作を解除する指令を入力するための解除指令入力手段と、この解除指令入力手段により前記指令が入力されたときに前記合流制御手段のアーム側合流規制動作を解除する合流規制解除手段とを備えたことを特徴とする油圧ショベルの油圧供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−328765(P2006−328765A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−152835(P2005−152835)
【出願日】平成17年5月25日(2005.5.25)
【出願人】(000246273)コベルコ建機株式会社 (644)
【Fターム(参考)】