説明

油圧作業機の油圧駆動装置

【課題】ショックレス機能の構造はそのままにして、容易に油圧旋回モータの駆動・制動圧力を変更可能とし、油圧旋回モータの最大駆動トルク・制動トルクを変更できるようする。
【解決手段】旋回モータユニット4内に、油圧旋回モータ40の駆動・制動圧力が第1設定圧力を超えないように制限するショックレス機能付きの第1旋回リリーフ弁44a,44bと、油圧旋回モータの駆動・制動圧力が第1設定圧力より低い第2設定圧力を超えないように制限する第2旋回リリーフ弁46a,46bを配置し、リリーフ圧変更指示スイッチ8を操作し切替弁47a,47bを切り換えることで、第1旋回リリーフ弁のリリーフ特性をそのまま有効とするモードと、第1旋回リリーフ弁のリリーフ特性の第1設定圧力を第2旋回リリーフ弁の第2設定圧力に低下させたリリーフ特性が得られるモードの一方を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の油圧作業機に備えられ、旋回体を駆動する油圧旋回モータのリリーフ圧を可変にする油圧駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の旋回体を有する油圧作業機の油圧駆動装置は、旋回体を駆動する油圧旋回モータを内蔵した旋回モータユニットを備えている。旋回モータユニット内には、油圧旋回モータに供給される圧油の圧力或いは旋回モータから排出される圧油の圧力が所定の圧力を超えないように制限するオーバーロードリリーフ弁と呼ばれるリリーフ弁が配置されている。
【0003】
油圧旋回モータのリリーフ弁として、特許文献1に記載のように、旋回起動時或いは旋回停止時のショックを軽減するためにショックレス機能を有するリリーフ弁が知られている。
【0004】
また、特許文献2に記載のように、油圧旋回モータのリリーフ弁の設定圧力(リリーフ圧力)を変更可能とした油圧駆動装置が知られている。リリーフ圧力を変更可能とすることで、油圧旋回モータの駆動圧力或いは制動圧力を変更可能とし、油圧旋回モータの最大駆動トルク或いは制動トルクを変更することができる。特許文献2では、フロント作業機の姿勢によりリリーフ弁の設定圧力を変更することで、フロント作業機の姿勢によって変化する上部旋回体の慣性質量の変化に応じて油圧旋回モータの最大駆動トルク或いは制動トルクを変更し、操作性の悪化を改善している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平5−6266号公報
【特許文献2】特開平6−173299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように特許文献1に記載のように、ショックレス機能を有するリリーフ弁にが知られており、引用文献2では、油圧旋回モータのリリーフ弁の設定圧力(リリーフ圧力)を変更可能としている。この場合、油圧旋回モータのリリーフ弁として、特許文献1に記載のようなショックレス機能を有し、かつ特許文献2に記載のように、油圧旋回モータのリリーフ弁の設定圧力(リリーフ圧力)を変更可能とすることができれば、リリーフ弁のショックレス機能による旋回起動時或いは旋回停止時のショックの軽減と、油圧旋回モータの最大駆動トルク或いは制動トルクの変更の両方の効果が得られる。
【0007】
しかし、ショックレス機能を有するリリーフ弁を可変リリーフタイプとすることは非常に複雑な機構が必要となり、構造的にも価格的にも実現は難しい。
【0008】
本発明の目的は、ショックレス機能を有するリリーフ弁の構造はそのままにして、容易に油圧旋回モータの駆動圧力或いは制動圧力を変更可能とし、油圧旋回モータの最大駆動トルク或いは制動トルクを変更することができるようにした油圧作業機の油圧駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、旋回体と作業装置を備えた油圧作業機の油圧駆動装置において、油圧ポンプと、前記油圧ポンプから吐出される圧油によって駆動され、前記旋回体を回転させる油圧旋回モータを内蔵した旋回モータユニットと、前記油圧ポンプから前記油圧旋回モータに供給される圧油の流れを制御する旋回方向制御弁を含むコントロールバルブと、前記旋回モータユニット内に配置され、前記油圧旋回モータの駆動圧力或いは制動圧力が第1設定圧力を超えないように制限するショックレス機能付きの第1旋回リリーフ弁と、前記油圧旋回モータの駆動圧力或いは制動圧力が前記第1設定圧力より低い第2設定圧力を超えないように制限する第2旋回リリーフ弁と、前記第1旋回リリーフ弁のリリーフ特性をそのまま有効とする第1リリーフモードと、前記第1旋回リリーフ弁のリリーフ特性の前記第1設定圧力を前記第2旋回リリーフ弁の前記第2設定圧力に低下させたリリーフ特性が得られる第2リリーフモードのいずれかを選択する選択装置とを備えるものとする。
【0010】
このように構成した本発明においては、選択装置で第1リリーフモードが選択された場合は、第1旋回リリーフ弁のリリーフ特性がそのまま有効となり、第1旋回リリーフ弁のショックレス機能が得られ、選択装置で第2リリーフモードが選択された場合は、第1旋回リリーフ弁のリリーフ特性の第1設定圧力を第2旋回リリーフ弁の第2設定圧力に低下させたリリーフ特性が得られる。
【0011】
これにより第1リリーフモードにおいては、従来のショックレス機能を有するリリーフ弁と同様に、旋回起動時或いは旋回停止時のショックを軽減することができる。また、第2リリーフモードにおいては、第2旋回リリーフ弁の第2設定圧力を第1旋回リリーフ弁のリリーフ開始圧力と第1設定圧力との間の値に設定することで、油圧旋回モータの駆動圧力或いは制動圧力を低下させ、かつショックレス機能を得ることができ、その結果、油圧旋回モータの最大駆動トルク或いは制動トルクを低下させ、かつショックレス機能により旋回起動時或いは旋回停止時のショックを軽減することができる。
【0012】
これによりショックレス機能を有する第1旋回リリーフ弁の構造はそのままにして、容易に油圧旋回モータの駆動圧力或いは制動圧力を変更可能とし、油圧旋回モータの最大駆動トルク或いは制動トルクを変更することができる。
(2)上記(1)の油圧作業機の油圧駆動装置において、好ましくは、前記旋回体の減速或いは停止時に、前記油圧旋回モータがポンプ作用をするとき、前記油圧旋回モータの吸い込み側に前記第1旋回リリーフ弁の下流側の排出油路から圧油を補給する補給用チェック弁を更に備え、前記第2旋回リリーフ弁の排出油が前記第1旋回リリーフ弁の下流近傍の位置で前記第1旋回リリーフ弁の排出油と合流するように、前記第2旋回リリーフ弁の下流側を前記第1旋回リリーフ弁の下流側の前記排出油路に接続する。
【0013】
このように第2旋回リリーフ弁の下流側を接続し、第2旋回リリーフ弁の排出油を第1旋回リリーフ弁の下流近傍の位置で第1旋回リリーフ弁の排出油と合流させることで、油圧旋回モータがポンプ作用をするときの補給用チェック弁による圧油の補給が確実となり、油圧旋回モータのキャビテーションの発生を抑えることができる。
(3)上記(1)又は(2)の油圧作業機の油圧駆動装置において、好ましくは、前記第2旋回リリーフ弁の前記第2設定圧力は、前記第1旋回リリーフ弁のリリーフ開始圧力と前記第1設定圧力との間の値に設定されている。
【0014】
これにより第2リリーフモードにおいて、油圧旋回モータの駆動圧力或いは制動圧力を低下させ、かつショックレス機能を得ることができる。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの油圧作業機の油圧駆動装置において、好ましくは、前記第2旋回リリーフ弁は、独立したリリーフ弁ブロック内に配置され、前記旋回モータユニットは、前記油圧旋回モータに接続される1対のアクチュエータ油路のポートが開口するポート面を有し、前記リリーフ弁ブロックを前記旋回モータユニットの前記ポート面に組み付けて一体化する。
【0015】
これにより従来の旋回モータユニットからの変更点を少なくでき、製造コストを下げることができる。
(5)上記(1)〜(3)のいずれかの油圧作業機の油圧駆動装置において、また好ましくは、前記第2旋回リリーフ弁は、独立したリリーフ弁ブロック内に配置され、前記コントロールバルブは、前記旋回方向制御弁に接続される1対のアクチュエータ油路のポートが開口するポート面を有し、前記リリーフ弁ブロックを前記コントロールバルブの前記ポート面に組み付けて一体化する。
【0016】
これにより旋回モータユニットの周辺のスペースが十分に無く、リリーフ弁ブロックを旋回モータユニットに組み付けることができない場合であっても、リリーフ弁ブロックをコントロールバルブに組み付けて一体化することで、配管を少なくし、コンパクトに車体に搭載できる。
(6)上記(1)〜(3)のいずれかの油圧作業機の油圧駆動装置において、また好ましくは、前記選択装置は、前記第2旋回リリーフ弁の上流側に配置された切替弁を有し、この切替弁を連通位置と遮断位置とに選択的に切り換えることにより、前記第1リリーフモードと前記第2リリーフモードの一方を選択する。
【0017】
これにより第2旋回リリーフ弁として通常の安価なリリーフ弁を用い、選択装置を構成することができる。
(7)上記(1)〜(3)のいずれかの油圧作業機の油圧駆動装置において、また好ましくは、前記選択装置は、前記第2旋回リリーフ弁に設けられ、前記第2旋回リリーフ弁の設定圧力を前記第1設定圧力と前記第2設定圧力とに変更可能なソレノイドを有し、このソレノイドに流れる電流を制御することにより、前記第1リリーフモードと前記第2リリーフモードの一方を選択する。
【0018】
これにより切替弁が不要となり、部品点数を減らすことができる。
【0019】
また、3つ以上の異なるリリーフ圧力を設定し、かつそれぞれの設定圧力でショックレス機能を得ることができ、制御の幅を広げることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複雑な機構の旋回モータ用リリーフバルブを採用しないで、ショックレス機能を有するリリーフ弁の構造はそのままにして、容易に油圧旋回モータの駆動圧力或いは制動圧力を変更可能とし、油圧旋回モータの最大駆動トルク或いは制動トルクを変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施の形態による油圧作業機の油圧駆動装置を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態による油圧駆動装置のリリーフ圧特性を示す図である。
【図3】本発明の油圧駆動装置が搭載される油圧作業機の一例である油圧ショベルの外観を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態による油圧作業機の油圧駆動装置を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態による油圧作業機の油圧駆動装置を示す図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態による油圧作業機の油圧駆動装置を示す図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態による油圧作業機の油圧駆動装置を示す図である。
【図8】本発明の第5の実施形態における指令電流とリリーフ圧との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施形態の油圧作業機の油圧駆動装置を示す図である。
【0023】
油圧駆動装置は、原動機であるディーゼルエンジン1と、このエンジン1により駆動される可変容量型の油圧ポンプ2と、作動油タンク3と、油圧ポンプ2から吐出される圧油によって駆動され、旋回体101(図2参照)を回転駆動させる油圧旋回モータ40を内蔵した旋回モータユニット4と、油圧ポンプ2から油圧旋回モータ40に供給される圧油の流れを制御する旋回方向制御弁50を含む複数の方向制御弁を内蔵したコントロールバルブ5と、旋回体101の動作を指示する操作レバー装置6と、コントローラ7と、リリーフ圧変更指示スイッチ8と、オイルクーラ9と、背圧弁10とを備えている。
【0024】
コントロールバルブ5はバルブハウジング52を有し、バルブハウジング52内に旋回方向制御弁50のメインスプール51aが配置されている。メインスプール51aの両端には受圧部51b,51cが設けられ、操作レバー装置6からの操作パイロット圧が受圧部51b,51cの一方に導かれ、この操作パイロット圧により旋回方向制御弁が切り換え操作される。ハウジング52内には、ポンプ油路53と、1対のアクチュエータ油路54a,54bと、排出油路55とが形成されている。旋回方向制御弁50のメインスプール51aが図示の中立位置から図示左右のいずれかの位置に切り換えられたときには、油圧ポンプ2からの圧油はポンプ油路53、旋回方向制御弁50、1対のアクチュエータ油路54a,54bの一方(例えばアクチュエータ油路54a)を経由して、旋回モータユニット4に供給される。旋回モータユニット4からの戻り油は、1対のアクチュエータ油路54a,54bの他方(例えばアクチュエータ油路54b)、旋回方向制御弁50、排出油路55を経由して、タンク3に戻される。
【0025】
旋回方向制御弁50はセンターバイパスタイプのバルブであり、上流側がポンプ油路53に接続され、下流側は排出油路55に接続されたセンターバイパス油路56上に配置されている。旋回方向制御弁50は、メインスプール51aが図示の中立位置にあるときは、センターバイパス油路56を開放し、油圧ポンプ2の吐出油の全量を排出油路55を介してタンク3に環流する。旋回方向制御弁50のメインスプール51aが図示の中立位置から図示左右のいずれかの位置に切り換えられたときには、その切り換えストロークに応じてセンターバイパス油路56を絞って、ポンプ油路53の圧力(油圧ポンプの吐出圧力)を上昇させ、この圧力上昇により油圧ポンプ2の吐出油が旋回方向制御弁50を経由して旋回モータユニット4に供給される。旋回方向制御弁50がフルストロークで切り換えられたときには、センターバイパス油路56は完全に閉じられ、油圧ポンプ2の吐出油の全量が旋回モータユニット4に供給される。
【0026】
コントロールバルブ5の図示しない他の方向制御弁も同様に構成され、これら方向制御弁は、公知の如く、センターバイパス油路56上に直列に配置されている。
【0027】
旋回モータユニット4はモータハウジング41を有し、ハウジング41内に油圧旋回モータ40の構成機器(例えば斜板、ピストン等)が配置されている。また、ハウジング41内には、1対のアクチュエータ油路42a,42bと排出油路43とが形成され、かつショックレス機能付きの1対の第1旋回リリーフ弁44a,44bと、補給用の1対のチェック弁45a,45bと、ショックレス機能のない1対の第2旋回リリーフ弁46a,46bと、1対の電磁切替弁47a,47bとが配置されている。
【0028】
1対の第1旋回リリーフ弁44a,44bは、それぞれ、上流側が1対のアクチュエータ油路42a42bに接続され、下流側(排出側)が排出油路43に接続されている。1対の第1旋回リリーフ弁44a,44bは、アクチュエータ油路42a,42bの圧力が第1設定圧力を超えないように制限する機能を有している。
【0029】
ここで、第1旋回リリーフ弁44a,44bにより制限されるアクチュエータ油路42a,42bの圧力とは、旋回体101(図2参照)の起動時等、油圧旋回モータ40が油圧ポンプ2から供給された圧油による駆動され旋回体101を駆動するときは、その駆動圧力であり、旋回体101の減速、停止時等、油圧旋回モータ40が旋回体101により慣性駆動され、油圧旋回モータ40のポンプ作用により排出側のアクチュエータ油路42a又は42bに制動圧力(背圧)が生じるときは、その制動圧力である。
【0030】
1対の補給用チェック弁45a,45bは、それぞれ、上流側が1対のアクチュエータ油路42a,42bに接続され、下流側が排出油路43に接続されている。補給用チェック弁45a,45bは、旋回体の停止時等、油圧旋回モータ40が旋回体101により慣性駆動され、油圧旋回モータ40のポンプ作用により油圧旋回モータ40の吸い込み側のアクチュエータ油路42a又は42bが負圧になろうとするとき、そのアクチュエータ油路42a又は42bに第1旋回リリーフ弁44a,44bの下流側の排出油路43から圧油を補給し、キャビテーションの発生を防止するものである。
【0031】
1対の第2旋回リリーフ弁46a,46bは、1対の第1旋回リリーフ弁44a,44bと同様、それぞれ、上流側が1対のアクチュエータ油路42a,42bに接続され、下流側(排出側)が排出油路43に接続されている。言い換えれば、1対の第2旋回リリーフ弁46a,46bは、1対のアクチュエータ油路42a,42bに1対の第1旋回リリーフ弁44a,44bに対して並列に接続され、かつ第2旋回リリーフ弁46a,46bの下流側は、第2旋回リリーフ弁46a,46bの排出油が第1旋回リリーフ弁44a,44bの下流近傍の位置で第1旋回リリーフ弁44a,44bの排出油と合流するように、第1旋回リリーフ弁44a,44bの下流側の排出油路43に接続されている。1対の第2旋回リリーフ弁46a,46bは、アクチュエータ油路42a,42bの圧力(油圧旋回モータ40の駆動圧力或いは制動圧力)が上記第1設定圧力より低い第2設定圧力を超えないように制限する機能を有している。
【0032】
1対の電磁切替弁47a,47bは、それぞれ、1対の第2旋回リリーフ弁46a,46bの上流側に配置されている。1対の電磁切替弁47a,47bは、図示の閉位置にあるときは、1対のアクチュエータ油路42a,42bと1対の第2旋回リリーフ弁46a,46b間の連通を遮断し、1対の第2旋回リリーフ弁46a,46bの機能を無効にする。このときは、1対の第1旋回リリーフ弁44a,44bが単独で機能し、第1旋回リリーフ弁のリリーフ特性がそのまま有効となる。1対の電磁切替弁47a,47bは、図示の閉位置から開位置に切り換えられたときは、1対のアクチュエータ油路42a,42bと1対の第2旋回リリーフ弁46a,46b間を連通させ、1対の第2旋回リリーフ弁46a,46bの機能を有効とする。このときは、1対の第1旋回リリーフ弁44a,44bと1対の第2旋回リリーフ弁46a,46bとが組み合わさって機能し、第1旋回リリーフ弁44a,44bのリリーフ特性と第2旋回リリーフ弁46a,46bのリリーフ特性が組み合わさり、第1旋回リリーフ弁44a,44bのリリーフ特性の第1設定圧力P1を第2旋回リリーフ弁46a,46bの第2設定圧力P2に低下させたリリーフ特性が得られる(後述)。
【0033】
このように1対の電磁切替弁47a,47bの開閉を切り換え操作することにより、1対の第1旋回リリーフ弁44a,44bが単独で機能する第1リリーフモードと、1対の第1旋回リリーフ弁44a,44bと1対の第2旋回リリーフ弁46a,46bとが組み合わさって機能する第2リリーフモードのいずれか一方を選択することができる。
【0034】
コントロールバルブ5内の1対のアクチュエータ油路54a,54bと旋回モータユニット4内の1対のアクチュエータ油路42a,42bとは、1対のアクチュエータ管路11a,11bを介して接続されている。コントロールバルブ5内の排出油路55は第1排出管路12に接続され、旋回モータユニット4内の排出油路43は第2排出管路13に接続され、第1及び第2排出管路12,13は共通の第3排出管路14を介してタンク3に接続されている。オイルクーラ9と背圧弁10は第3排出管路14に配置されている。
【0035】
電磁切替弁47a,47bはコントローラ7からの信号により切替操作される。コントローラ7は、リリーフ圧変更指示スイッチ8からの指示信号を入力し、その指示信号がリリーフ圧の変更を指示しているとき、電磁切替弁47a,47bに切換信号を出力する。
【0036】
コントローラ7とリリーフ圧変更指示スイッチ8と電磁切替弁47a,47bは、第1旋回リリーフ弁44a,44bのリリーフ特性をそのまま有効とする第1リリーフモードと、第1旋回リリーフ弁44a,44bのリリーフ特性の第1設定圧力を第2旋回リリーフ弁46a,46bの第2設定圧力に低下させたリリーフ特性が得られる第2リリーフモードのいずれかを選択する選択装置を構成する。
【0037】
図2は、図1に示した油圧駆動装置を搭載した油圧ショベルの外観を示す図である。
【0038】
油圧ショベルは、走行体100、旋回体101、フロント作業機102を有し、走行体100は左右の走行モータ110a,110b(一方のみ図示)により左右のクローラ100a、100b(一方のみ図示)を駆動することにより走行し、旋回体101は油圧旋回モータ40により走行体100上で旋回する。また、フロント作業機102はブーム103、アーム104、バケット105からなる多関節構造であり、それぞれ、ブームシリンダ111、アームシリンダ112、バケットシリンダ113により垂直面内で回転駆動される。バケット105には吊りフック106が設けられ、この吊りフック106に荷Wを吊るすることで、吊り荷作業を行うことができる。
【0039】
走行左モータ110aの駆動は走行左用方向制御弁により制御され、走行右モータ110bの駆動は走行右用方向制御弁により制御され、油圧旋回モータ40の駆動は旋回用方向制御弁50により制御され、ブームシリンダ111の駆動はブーム用方向制御弁により制御され、アームシリンダ112の駆動はアーム用方向制御弁により制御され、バケットシリンダ113の駆動はバケット用方向制御弁により制御される。図1では、旋回用方向制御弁50以外の方向制御弁は図示を省略している。
【0040】
図3は、アクチュエータ油路42a,42bの圧力上昇時のリリーフ圧の変化を示す図である。横軸は時間、縦軸は旋回リリーフ圧を示している。Aは第1旋回リリーフ弁44a,44bのリリーフ特性、Bは第2旋回リリーフ弁46a,46bのリリーフ特性、P1は第1旋回リリーフ弁44a,44bのリリーフリリーフ特性Aの第1設定圧力、P2は第2は、第2旋回リリーフ弁46a,46bのリリーフ特性Bの第2設定圧力、A1は第1旋回リリーフ弁44a,44bのショックレス機能の特性、P0は第1旋回リリーフ弁44a,44bのショックレス機能におけるリリーフ開始圧力を示している。
【0041】
ショックレス機能とは、第1旋回リリーフ弁44a,44bのリリーフ特性AにおけるA1に示すように、設定圧力P1よりも意図的に低い圧力P0で開弁を開始させ、
駆動圧力或いは制動圧力が急激に生じた場合でも圧力上昇の衝撃をやわらげる機能を言う。
【0042】
第2旋回リリーフ弁46a,46bの第2設定圧力P2は、第1旋回リリーフ弁44a,44bのショックレス機能のリリーフ開始圧力P0と第1設定圧力P1との間の値に設定されている。第1旋回リリーフ弁44a,44bの第1設定圧力P1は例えば30Mpaであり、第1旋回リリーフ弁44a,44bのショックレス機能のリリーフ開始圧力P0は例えば20Mpaであり、第2旋回リリーフ弁46a,46bの第2設定圧力P2は例えば26Mpaである。
【0043】
リリーフ圧変更指示スイッチ8がリリーフ圧の変更を指示していないとき、電磁切替弁47a,47bは図示の閉位置にあり、1対の第1旋回リリーフ弁44a,44bが単独で機能する第1リリーフモードが選択される。このときは、第1旋回リリーフ弁44a,44bのリリーフ特性がそのまま有効となり、アクチュエータ油路42a又は42bの圧力上昇時のリリーフ圧は特性Aのように変化する。この特性では、アクチュエータ油路42a又は42bの圧力がP0を超えると、特性A1にてショックレス機能が得られる。
【0044】
リリーフ圧変更指示スイッチ8がリリーフ圧の変更を指示したとき、コントローラ7は電磁切替弁47a,47bに指令信号を出力し、電磁切替弁47a,47bは閉位置から開位置に切り換えられ、第2旋回リリーフ弁46a,46bへの圧油の通路を開とする。このときは、第1旋回リリーフ弁44a,44bと第2旋回リリーフ弁46a,46bが組み合わさって機能する第2リリーフモードが選択され、アクチュエータ油路42a又は42bの圧力上昇時のリリーフ圧は特性Bのように変化する。すなわち、第1旋回リリーフ弁44a,44bのリリーフ特性と第2旋回リリーフ弁46a,46bのリリーフ特性が組み合わさり、第1旋回リリーフ弁44a,44bのリリーフ特性の第1設定圧力P1を第2旋回リリーフ弁46a,46bの第2設定圧力P2に低下させたリリーフ特性が得られる。
【0045】
第2リリーフモードでは、第1旋回リリーフ弁44a,44bと第2旋回リリーフ弁46a,46bが組み合わさって機能することにより、リリーフ圧は(a)の時間帯は第1旋回リリーフ弁44a,44bのショックレス機構A1により決められる圧力に制脚され、(b)の時間帯は第2旋回リリーフ弁46a,46bで決められる第2設定圧力P2に制御される。
【0046】
第1及び第2旋回リリーフ弁44a又は44b,46a又は46bでリリーフした圧油は、旋回モータユニット4内の排出油路43を通り、外部の排出管路13,14を経由して、方向制御弁51の戻り油と合流してオイルクーラ9、背圧弁10を通り、作動油タンク3に戻る。
【0047】
このように構成した本実施の形態においては、リリーフ圧変更指示スイッチ8の操作で第1リリーフモードが選択された場合は、第1旋回リリーフ弁44a,44bのリリーフ特性がそのまま有効となり、第1旋回リリーフ弁44a,44bのショックレス機能が得られる。リリーフ圧変更指示スイッチ8の操作で第2リリーフモードが選択された場合は、第1旋回リリーフ弁44a,44bのリリーフ特性の第1設定圧力P1を第2旋回リリーフ弁46a,46bの第2設定圧力P2に低下させたリリーフ特性が得られる。
【0048】
これにより第1リリーフモードにおいては、従来のショックレス機能を有するリリーフ弁と同様に、旋回起動時或いは旋回停止時のショックを軽減することができる。また、第2リリーフモードにおいては、第2旋回リリーフ弁46a,46bの第2設定圧力P2が第1旋回リリーフ弁44a,44bのリリーフ開始圧力P0と第1設定圧力P1との間の値に設定されているため、油圧旋回モータ40の駆動圧力或いは制動圧力を低下させ、かつショックレス機能を得ることができ、その結果、油圧旋回モータ40の最大駆動トルク或いは制動トルクを低下させ、かつショックレス機能により旋回起動時或いは旋回停止時のショックを軽減することができる。
【0049】
これによりショックレス機能を有する第1旋回リリーフ弁44a,44bの構造はそのままにして、容易に油圧旋回モータ40の駆動圧力或いは制動圧力を変更可能とし、油圧旋回モータ40の最大駆動トルク或いは制動トルクを変更することができる。
【0050】
また、第2旋回リリーフ弁46a,46bの下流側は排出油路43に接続されているため、第2旋回リリーフ弁46a,46bの排出油が第1旋回リリーフ弁44a,44bの下流近傍の位置で第1旋回リリーフ弁44a,44bの排出油と合流する。これにより油圧旋回モータ40がポンプ作用をするときの補給用チェック弁45a,45bによる圧油の補給を確実におこなうことができ、油圧旋回モータ40及びアクチュエータ油路42a,42bにおけるキャビテーションの発生を抑えることができる。
【0051】
次に、本実施の形態の適用例について説明する。
【0052】
1.吊り荷モード(クレーンモード)への適用
油圧ショベルが行う作業として吊り荷作業(クレーン作業)がある。これは、図2に示したように、バケット105に設けられた吊りフック106に荷Wを吊るして移動する作業である。このような吊り荷作業を行う場合、吊り荷モードを設定するモードスイッチをONにすることで吊り荷モードを選択し、エンジン1の回転数を予め下げて油圧旋回モータ40等のアクチュエータの作動速度等を低く抑え、これによって吊り荷の振動(荷振れ)等の発生を抑えるようにしている。
【0053】
本実施の形態を吊り荷モードに適用する場合は、第1リリーフモードを通常モードとして用い、第2リリーフモードを吊り荷モードとして用いる。また、第1旋回リリーフ弁44a,44bの第1設定圧力P1を通常作業に適した圧力(例えば上記の30Mpa)に設定し、第2旋回リリーフ弁46a,46bの第2設定圧力P2を吊り荷モードに適した圧力(例えば上記の26MPa)に設定する。
【0054】
そして、通常作業を行う場合は、リリーフ圧変更指示スイッチ8をOFFにして第1リリーフモードを選択する。このときは、電磁切替弁47a,47bは図示の閉位置にあり、1対の第1旋回リリーフ弁44a,44bが単独で機能し、アクチュエータ油路42a又は42bの圧力上昇時のリリーフ圧は特性Aのように変化する。この特性では、アクチュエータ油路42a又は42bの圧力がP0を超えると、特性A1にてショックレス機能が得られ、これにより旋回起動時或いは旋回停止時のショックを軽減することができる。
【0055】
吊り荷作業を行う場合は、リリーフ圧変更指示スイッチ8をONに切り換えて第2リリーフモードを選択する。このときは、電磁切替弁47a,47bは閉位置から開位置に切り換えられ、第1旋回リリーフ弁44a,44bと第2旋回リリーフ弁46a,46bが組み合わさって機能し、アクチュエータ油路42a又は42bの圧力上昇時のリリーフ圧は、リリーフ特性Aの第1設定圧力P1を第2旋回リリーフ弁46a,46bの第2設定圧力P2に低下させたリリーフ特性Bのように変化する。この特性では、アクチュエータ油路42a又は42bの圧力がP0を超えると、特性A1にてショックレス機能が得られるとともに、油圧旋回モータ40の駆動圧力がP1からP2に低下するため、油圧旋回モータ40の最大駆動トルク或いは制動トルクも低下する。したがって、ショックレス機能により旋回起動時或いは旋回停止時のショックを軽減できるとともに、油圧旋回モータ40の最大駆動トルク或いは制動トルクが低下することで、旋回加速度或いは旋回減速度が低下し、荷振れの少ない吊り荷作業を行うことができる。
【0056】
なお、リリーフ圧変更指示スイッチ8は吊り荷モードを設定するモードスイッチと別に設けてもよいし、モードスイッチと兼用してもよい。
【0057】
2.フロントアタッチメントの変更への適用
油圧ショベルは、フロントアタッチメントとして図2に示したようなバケット105だけでなく、バケットを他のアタッチメントに交換することで、通常作業以外の種々の作業を行うことができる。例えば、バケット105を破砕機に変更した場合は、解体現場での破砕作業を行うことができる。ところで、バケット105と他のアタッチメントの重量を比べた場合、バケット105より他のアタッチメントの方が重い場合が多い。通常、旋回リリーフ弁の設定圧力はアタッチメントがバケットである場合に旋回体を旋回駆動するのに適した圧力に設定されている。したがって、バケット以外のアタッチメントに交換した場合は、旋回体の旋回負荷が増大するため、旋回リリーフ弁の設定圧力をそのままとした場合は、油圧旋回モータ40の駆動圧力或いは制動圧力が低過ぎて、旋回動作が緩慢となってしまう場合がある。
【0058】
本実施の形態をフロントアタッチメントの変更に適用する場合は、
第2リリーフモードをアタッチメントがバケット105である場合に用い、第1リリーフモードをアタッチメントがバケット以外のアタッチメントである場合に用いる。また、第2旋回リリーフ弁46a,46bの第2設定圧力P2をフロントアタッチメントがバケット105である場合に適した圧力(例えば30MPa)に設定し、第1旋回リリーフ弁44a,44bの第1設定圧力P1をアタッチメントがバケット以外のアタッチメント(例えば破砕機)に適した圧力(例えば32MPa)に設定する。
【0059】
そして、アタッチメントとしてバケット105を用いる場合は、リリーフ圧変更指示スイッチ8をONに切り換えて第2モードを選択する。これにより第1旋回リリーフ弁44a,44bと第2旋回リリーフ弁46a,46bが組み合わさって機能し、リリーフ特性Aの第1設定圧力P1を第2旋回リリーフ弁46a,46bの第2設定圧力P2に低下させたリリーフ特性Bが得られる。この特性では、ショックレス機能が得られるとともに、油圧旋回モータ40の駆動圧力としてフロントアタッチメントがバケット105である場合に適した圧力P2が得られるため、旋回起動時或いは旋回停止時のショックを軽減できるとともに、アタッチメントがバケット105である場合に最適の旋回加速度或いは旋回減速度が得られ、操作性のよい旋回動作を行うことができる。
【0060】
バケット以外のアタッチメント、例えば破砕機を用いる場合は、リリーフ圧変更指示スイッチ8をOFFにして第1リリーフモードを選択する。これにより1対の第1旋回リリーフ弁44a,44bが単独で機能し、リリーフ特性Aが得られる。この特性では、ショックレス機能が得られるとともに、油圧旋回モータ40の駆動圧力としてフロントアタッチメントが破砕機である場合に適した圧力P1が得られるため、旋回起動時或いは旋回停止時のショックを軽減できるとともに、アタッチメントが破砕機である場合に最適の旋回加速度或いは旋回減速度が得られ、この場合も、操作性のよい旋回動作を行うことができる。
【0061】
3.旋回駆動トルクの変更を必要とする制御への適用
図示はしないが、何かしらの制御に連動して旋回駆動トルク(或いは制動トルク)を変更することが必要な場合がある。その場合は、リリーフ圧変更指示スイッチ8に代えてそのような制御を行う制御部を設け、この制御部からの制御信号でリリーフ圧の変更を指示し、旋回リリーフ圧の設定を切り換えてもよい。これによりその制御に連動して旋回駆動トルク(或いは制動トルク)が切り換わり、旋回操作性が向上するなどの効果が得られる。
<第2の実施の形態>
図4は、本発明の第2の実施形態の油圧作業機の油圧駆動装置を示す図である。図中、図1に示した部材と同等の部材には同じ符号を付している。
【0062】
図4において、旋回モータユニット4Aは、旋回モータセクション4−1と追加リリーフ弁セクション4−2とで構成されている。
【0063】
旋回モータセクション4−1は、ハウジング41−1内に油圧旋回モータ40が配置され、かつ1対のアクチュエータ油路42a−1,42b−1と排出油路43−1とが形成されている。また、ショックレス機能付きの1対の第1旋回リリーフ弁44a,44bと、補給用の1対のチェック弁45a,45bとが配置されている。
【0064】
また、ハウジング41−1は、1対のアクチュエータ油路42a−1,42b−1のポート61a,61b及び排出油路43−1の一端側のポート62が開口する第1ポート面63と、排出油路43の他端側のポート64が開口する第2ポート面65とを有している。排出油路43はそのポート64を介して第2排出管路13と接続されている。
【0065】
追加リリーフ弁セクション4−2は、ハウジング41−2が旋回モータセクション4−1のハウジング41−1とは独立したリリーフ弁ブロックとして構成されている。以下、追加リリーフ弁セクション4−2をリリーフ弁ブロックという。リリーフ弁ブロック4−2は、ハウジング41−2を旋回モータセクション4−1のハウジング41−1の第1ポート面63に、ボルトで固定するなどして組み付けることで、旋回モータセクション4−1と一体化されている。
【0066】
また、リリーフ弁ブロック4−2は、ハウジング41−2内に、1対のアクチュエータ油路42a−2,42b−2と排出油路43−2とが形成され、かつショックレス機能のない1対の第2旋回リリーフ弁46a,46bと1対の電磁切替弁47a,47bとが配置されている。
【0067】
旋回モータセクション4−1とリリーフ弁ブロック4−2とが一体化された状態で、リリーフ弁ブロック4−2のアクチュエータ油路42a−2,42b−2は旋回モータセクションのアクチュエータ油路42a−1,42b−1と連通し、排出油路43−2は排出油路43−1と連通している。リリーフ弁ブロック4−2のアクチュエータ油路42a−2,42b−2は、コントロールバルブ5内の1対のアクチュエータ油路54a,54bと1対のアクチュエータ管路11a,11bを介して接続されている。
【0068】
本実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
【0069】
また、第1の実施の形態の場合、旋回モータユニット4は第2旋回リリーフ弁46a,46b及び電磁切替弁47a,47bを一体で構成しているため、従来の旋回モータユニットに対して変更点が多く発生する。これに対し、本実施の形態では、従来の旋回モータユニットに対して排出油路43−1のポートを開口させただけの構造の旋回モータセクション4−1にリリーフ弁ブロック4−2を組み合わせた構成としているため、従来の旋回モータユニットからの変更点を少なくでき、製造コストを下げることができる。
<第3の実施の形態>
図5は、本発明の第3の実施形態の油圧作業機の油圧駆動装置を示す図である。図中、図1及び図4に示した部材と同等の部材には同じ符号を付している。
【0070】
図5において、旋回モータユニット4Bを旋回モータセクション4−1Bと追加リリーフ弁セクション4−2Bとで構成し、追加リリーフ弁セクション4−2Bを、ハウジング41−2が旋回モータセクション4−1のハウジング41−1とは独立したリリーフ弁ブロックとして構成し、ハウジング41−2を旋回モータセクション4−1Bのハウジング41−1の第1ポート面63に、ボルトで固定するなどして組み付けることで、旋回モータセクション4−1Bと一体化されている点は、第2の実施の形態と同じである。
【0071】
本実施の形態では、旋回モータセクション4−1Bのハウジング41−1の第1ポート面63に排出油路43−1Bのポートは開口しておらず、旋回モータセクション4−1Bは従来の旋回モータユニットと同じに構成されている。
【0072】
リリーフ弁ブロック4−2Bの排出油路43−2Bは、リリーフ弁ブロック4−2Bのハウジング41−2の一側面に設けられた第3ポート面70で開口するポート71を有し、このポート71は第4排出管路72を介して、旋回モータセクション4−1Bの排出油路43−1Bのポート64が開口する第2ポート面65の近傍の位置73で、第2排出管路13に接続されている。第2ポート面65の近傍の位置73は、例えば、第2ポート面65から0〜20cm、より好ましくは0〜10cm程度離れた位置である。これにより第2旋回リリーフ弁46a,46bの下流側は、第2旋回リリーフ弁46a,46bの排出油が第1旋回リリーフ弁44a,44bの下流近傍の位置73で第1旋回リリーフ弁44a,44bの排出油と合流するように、第1旋回リリーフ弁44a,44bの下流側の排出油路43−1Bに接続される構成となっている。
【0073】
第2の実施の形態においては、旋回モータセクション4−1にリリーフ弁ブロック4−2を組み付けた構成としているが、リリーフ弁ブロック4−2内の排出油路43−2を、旋回モータセクション4−1の第1ポート面63で旋回モータセクション4−1の排出油路43−1に連通させる構造としているため、旋回モータセクション4−1においては排出油路43−1のポートを第1ポート面63に開口させる必要がある。
【0074】
これに対し、本実施の形態では、リリーフ弁ブロック4−2Bを旋回モータセクション4−1Bに組み付けた構成とする点は第2の実施の形態と同じであるが、第2旋回リリーフ弁46a,46bの下流側の排出油路43−2Bのポート71はリリーフ弁ブロック4−2Bのハウジング41−2の第3ポート面70で開口させ、ポート71を第4排出管路72を介して、旋回モータセクション4−1Bの第2ポート面65の近傍の位置73で、第2排出管路13に接続し、第2旋回リリーフ弁46a,46bの排出油が第1旋回リリーフ弁44a,44bの下流近傍の位置73で第1旋回リリーフ弁44a,44bの排出油と合流するようにしている。
【0075】
このように構成することで、旋回モータセクション4−1Bは従来の旋回モータユニットと同じ構成となり、従来の旋回モータユニットからの変更点を更に少なくでき、製造コストを更に下げることができる。
【0076】
また、第2旋回リリーフ弁46a,46bの下流側は、第2旋回リリーフ弁46a,46bの排出油が第1旋回リリーフ弁44a,44bの下流近傍の位置73で第1旋回リリーフ弁44a,44bの排出油と合流するようにしているため、第1及び第2の実施の形態と同様、油圧旋回モータ40がポンプ作用をするときの補給用チェック弁45a,45bによる圧油の補給を確実におこなうことができ、アクチュエータ油路42a−2,42b−2におけるキャビテーションの発生を抑えることができる。
<第4の実施の形態>
図6は、本発明の第4の実施形態の油圧作業機の油圧駆動装置を示す図である。図中、図1及び図4及び図5に示した部材と同等の部材には同じ符号を付している。
【0077】
図6において、旋回モータユニット4C−1は第3の実施の形態における旋回モータセクション4−1Bのみからなり、リリーフ弁ブロック4C−2は、旋回モータセクション4−1Bとは独立しかつ旋回モータセクション4−1Bから分離した追加リリーフ弁セクション4−2Bによって構成されている。
【0078】
コントロールバルブ5のバルブハウジング52は、1対のアクチュエータ油路54a,54bのポート74a,74bが開口する第4ポート面75を有し、リリーフ弁ブロック4C−2はコントロールバルブ5の第4ポート面75に、ボルトで固定するなどして組み付けることで、コントロールバルブ5と一体化されている。リリーフ弁ブロック4C−2とコントロールバルブ5とが一体化された状態で、リリーフ弁ブロック4C−2のアクチュエータ油路42a−2,42b−2はコントロールバルブ5のアクチュエータ油路54a,54bと連通し、リリーフ弁ブロック4C−2のアクチュエータ油路42a−2,42b−2は、旋回モータユニット4C−1内のアクチュエータ油路42a−1,42b−1と1対のアクチュエータ管路11a,11bを介して接続されている。
【0079】
また、リリーフ弁ブロック4C−2の排出油路43−2Bは、ポート71及び第5排出管路76を介して、旋回モータユニット4C−1の排出油路43−1Bのポート64が開口する第2ポート面65の近傍の位置73で、第2排出管路13に接続されている。これにより第2旋回リリーフ弁46a,46bの下流側は、第2旋回リリーフ弁46a,46bの排出油が第1旋回リリーフ弁44a,44bの下流近傍の位置73で第1旋回リリーフ弁44a,44bの排出油と合流するように、第1旋回リリーフ弁44a,44bの下流側の排出油路43−1Bに接続される構成となっている。
【0080】
機械(油圧ショベル)によっては、旋回モータユニット4C−1の周辺のスペースが十分に無く、リリーフ弁ブロック4C−2を旋回モータユニット4C−1に組み付けることができない場合がある。その場合には、リリーフ弁ブロック4C−2を旋回モータユニット4C−1とコントロールバルブ5の間に配置することとなるが、その場合は、リリーフ弁ブロック4C−2と旋回モータユニット4C−1間、リリーフ弁ブロック4C−2とコントロールバルブ5間のそれぞれに配管を設け、かつリリーフ弁ブロック4C−2を固定させる場所が必要となる。
【0081】
これに対し、本実施の形態では、リリーフ弁ブロック4C−2をコントロールバルブ5に組み付けて一体化することで、配管を少なくし、コンパクトに車体に搭載できる。
【0082】
また、この場合にも、リリーフ弁ブロック4C−2の第2旋回リリーフ弁46a,46bからリリーフした排出油は、第1旋回リリーフ弁44a,44bの下流近傍の位置73で第1旋回リリーフ弁44a,44bの排出油と合流する構成としたので、第1〜第3の実施の形態と同様、油圧旋回モータ40がポンプ作用をするときの補給用チェック弁45a,45bによる圧油の補給を確実におこなうことができ、アクチュエータ油路42a−2,42b−2におけるキャビテーションの発生を抑えることができる。
<第5の実施の形態>
図7は、本発明の第5の実施形態の油圧作業機の油圧駆動装置を示す図である。図中、図1及び図4に示した部材と同等の部材には同じ符号を付している。
【0083】
図7において、旋回モータユニット4Dは、旋回モータセクション4−1とリリーフ弁セクション4−2Dとで構成されている。リリーフ弁セクション4−2Dは、図4に示す第2の実施例において、リリーフ弁セクション4−2におけるショックレス機能のない1対の第2旋回リリーフ弁46a,46bと1対の電磁切替弁47a,47bとを1対の旋回可変リリーフ弁81a,81bに置き換えたものである。1対の旋回可変リリーフ弁81a,81bは、それぞれ、ソレノイド82a,82bを有し、コントローラ7Dからソレノイド82a,82bに指令電流が供給される。
【0084】
図8は、指令電流とリリーフ圧との関係を示す図である。横軸は指令電流、縦軸は旋回リリーフ圧を示している。P1は第1設定圧力、P2は第2設定圧力、C1はリリーフ圧変更指示スイッチ8のOFF時(第1リリーフモード選択時)の指令電流、C2はリリーフ圧変更指示スイッチ8のON時(第2リリーフモード選択時)の指令電流である。
【0085】
旋回可変リリーフ弁81a,81bは、コントローラ7Dからの指令電流によりリリーフ圧力を第1設定圧力P1から第2設定圧力P2に変化させられる構成としてある。また、リリーフ圧変更指示スイッチ8がOFFのとき(第1リリーフモードが選択されたとき)は、コントローラ7Dは指令電流C1をソレノイド82a,82bに供給し、第1設定圧力P1のリリーフ圧力が設定され、リリーフ圧変更指示スイッチ8をONに切り換えたとき(第2リリーフモードが選択されたとき)は、コントローラ7Dは指令電流C2をソレノイド82a,82bに供給し、第2設定圧力P2のリリーフ圧力が設定される。
【0086】
このように構成した本実施の形態によっても、リリーフ圧変更指示スイッチ8がOFFのときは、第1旋回リリーフ弁44a,44bのリリーフ特性がそのまま有効となり(第1リリーフモード)、リリーフ圧変更指示スイッチ8をONに切り換えたときは、第1旋回リリーフ弁44a,44bのリリーフ特性の第1設定圧力をP1旋回可変リリーフ弁81a,81b(第2旋回リリーフ弁)の第2設定圧力P2に低下させたリリーフ特性が得られる(第2リリーフモード)。これにより本実施の形態によっても、第1及び第2の実施の形態と同様に効果が得られる。
【0087】
また、1対の切替弁47a,47bが不要となり、部品点数を減らすことができる。
【0088】
更に、旋回可変リリーフ弁81a,81bの場合は、ソレノイド82a,82bに供給する指令電流を図8のC3とC4の間で変化させることにより、第1及び第2設定圧力P1,P2間において任意のリリーフ圧力を設定することができる。このため、リリーフ圧変更指示スイッチ8に代えて、例えばダイヤル式設定器を設け、ダイヤル式設定器の回転位置に応じた指示信号をコントローラ7Dに出力し、コントローラ7Dにおいてその指示信号に応じて、図8のC3とC4の間の複数の異なる指令電流をソレノイド82a,82bに供給するようにすることで、3つ以上の異なるリリーフ圧力を設定し、かつそれぞれの設定圧力でショックレス機能を得ることができ、制御の幅を広げることができる。
【0089】
更に、制御信号をコントローラ7Dに入力し、コントローラ7Dにおいて無段階で変化する指令電流をソレノイド82a,82bに供給し、リリーフ圧力を無段階で変化させることもできる。このようにした場合は、例えば、フロント作業機102(図2)の姿勢(例えばブーム103の角度)を検出し、この角度信号を制御信号としてコントローラ7Dに入力することで、フロント作業機の姿勢によって変化する上部旋回体の慣性質量の変化に応じて油圧旋回モータ40の最大駆動トルク或いは制動トルクを変更し、操作性の悪化を改善することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 エンジン
2 油圧ポンプ
3 作動油タンク
4 旋回モータユニット
5 コントロールバルブ
6 操作レバー装置
7 コントローラ
8 リリーフ圧変更指示スイッチ
9 オイルクーラ
10 背圧弁
11a,11b 1対のアクチュエータ管路
12 第1排出管路
13 第2排出管路
14 第3排出管路
40 油圧旋回モータ
41 モータハウジング
42a,42b 1対のアクチュエータ油路42a,42b
43 排出油路
44a,44b ショックレス機能付きの第1旋回リリーフ弁
45a,45b 補給用の1対のチェック弁
46a,46b ショックレス機能のない1対の第2旋回リリーフ弁
47a,47b 1対の電磁切替弁
50 旋回方向制御弁
51a メインスプール
51b,51c 受圧部
52 バルブハウジング
53 ポンプ油路
54a,54b 1対のアクチュエータ油路
55 排出油路
56 センターバイパス油路
61a,61b ポート
62 ポート
63 第1ポート面
64 ポート
65 第2ポート面
70 第3ポート面
71 ポート
72 第4排出管路
73 第2ポート面65の近傍の位置
74a,74b ポート
75 第4ポート面
76 第5排出管路
81a,81b 1対の旋回可変リリーフ弁
82a,82b ソレノイド
100 走行体
101 旋回体
102 フロント作業機
103 ブーム
104 アーム
105 バケット
P1 第1設定圧力
P2 第2設定圧力
P0 リリーフ開始圧力
A 第1旋回リリーフ弁44a,44bのリリーフ特性
A1 ショックレス機能の特性
B 第2旋回リリーフ弁46a,46bのリリーフ特性
C1〜C4 指令電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回体と作業装置を備えた油圧作業機の油圧駆動装置において、
油圧ポンプと、
前記油圧ポンプから吐出される圧油によって駆動され、前記旋回体を回転させる油圧旋回モータを内蔵した旋回モータユニットと、
前記油圧ポンプから前記油圧旋回モータに供給される圧油の流れを制御する旋回方向制御弁を含むコントロールバルブと、
前記旋回モータユニット内に配置され、前記油圧旋回モータの駆動圧力或いは制動圧力が第1設定圧力を超えないように制限するショックレス機能付きの第1旋回リリーフ弁と、
前記油圧旋回モータの駆動圧力或いは制動圧力が前記第1設定圧力より低い第2設定圧力を超えないように制限する第2旋回リリーフ弁と、
前記第1旋回リリーフ弁のリリーフ特性をそのまま有効とする第1リリーフモードと、前記第1旋回リリーフ弁のリリーフ特性の前記第1設定圧力を前記第2旋回リリーフ弁の前記第2設定圧力に低下させたリリーフ特性が得られる第2リリーフモードのいずれかを選択する選択装置とを備えることを特徴とする油圧作業機の油圧駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載の油圧作業機の油圧駆動装置において、
前記旋回体の減速或いは停止時に、前記油圧旋回モータがポンプ作用をするとき、前記油圧旋回モータの吸い込み側に前記第1旋回リリーフ弁の下流側の排出油路から圧油を補給する補給用チェック弁を更に備え、
前記第2旋回リリーフ弁の排出油が前記第1旋回リリーフ弁の下流近傍の位置で前記第1旋回リリーフ弁の排出油と合流するように、前記第2旋回リリーフ弁の下流側を、前記第1旋回リリーフ弁の下流側の前記排出油路に接続したことを特徴とする油圧作業機の油圧駆動装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の油圧作業機の油圧駆動装置において、
前記第2旋回リリーフ弁の前記第2設定圧力は、前記第1旋回リリーフ弁のリリーフ開始圧力と前記第1設定圧力との間の値に設定されていることを特徴とする油圧作業機の油圧駆動装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項記載の油圧作業機の油圧駆動装置において、
前記第2旋回リリーフ弁は、独立したリリーフ弁ブロック内に配置され、
前記旋回モータユニットは、前記油圧旋回モータに接続される1対のアクチュエータ油路のポートが開口するポート面を有し、
前記リリーフ弁ブロックを前記旋回モータユニットの前記ポート面に組み付けて一体化したことを特徴とする油圧作業機の油圧駆動装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項記載の油圧作業機の油圧駆動装置において、
前記第2旋回リリーフ弁は、独立したリリーフ弁ブロック内に配置され、
前記コントロールバルブは、前記旋回方向制御弁に接続される1対のアクチュエータ油路のポートが開口するポート面を有し、
前記リリーフ弁ブロックを前記コントロールバルブの前記ポート面に組み付けて一体化したことを特徴とする油圧作業機の油圧駆動装置。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項記載の油圧作業機の油圧駆動装置において、
前記選択装置は、前記第2旋回リリーフ弁の上流側に配置された切替弁を有し、この切替弁を連通位置と遮断位置とに選択的に切り換えることにより、前記第1リリーフモードと前記第2リリーフモードの一方を選択することを特徴とする油圧作業機の油圧駆動装置。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1項記載の油圧作業機の油圧駆動装置において、
前記選択装置は、前記第2旋回リリーフ弁に設けられ、前記第2旋回リリーフ弁の設定圧力を前記第1設定圧力と前記第2設定圧力とに変更可能なソレノイドを有し、このソレノイドに流れる電流を制御することにより、前記第1リリーフモードと前記第2リリーフモードの一方を選択することを特徴とする油圧作業機の油圧駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−47298(P2012−47298A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190922(P2010−190922)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】