説明

油性液状クレンジング化粧料

【課題】ポリグリセリン脂肪酸エステルを使用しながら機能性と使用性の両方において優れた性能を発揮することができる油性液状クレンジング化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)〜(C)を含有する油性液状クレンジング化粧料。
(A)ポリグリセリン直鎖脂肪酸エステルから選択される2種以上
(B)ポリグリセリン分岐鎖脂肪酸エステル
(C)1価アルコールと脂肪酸から構成される25℃で液状のエステル油

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油性液状クレンジング化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の汚れやメイクアップ化粧料を落とす目的で、油性液状クレンジング用組成物が広く用いられている。油性液状クレンジング用組成物は、乳化型のクリーム状、乳液状クレンジング用組成物、あるいは水性液状、ゲル状クレンジング用組成物と比べて、皮脂やメイクアップ化粧料に対するクレンジング効果に優れている。
【0003】
油性液状クレンジングでは、クレンジング性能の向上や感触調整のため、ポリグリセリン脂肪酸エステルが用いられてきた。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、脂肪酸の種類やグリセリンの重合度によって様々のものが作られており、また求める機能を発揮させるために配合量等が調整されてきた。例えば、有意な水分が混入してもクレンジング力を落とさないもの(例えば特許文献1、2、3)、ニキビになり難く、しかも皮膚に対する刺激が低く高い安全性を有するもの(例えば特許文献4)などが開発されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−39366号公報
【特許文献2】特開2010−150233公報
【特許文献3】特許第3964760号公報
【特許文献4】特開2008−13504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の油性液状クレンジング化粧料では、ポリグリセリン脂肪酸エステルによる機能性ばかりが追求され、クレンジング化粧料を使った後の後肌感や使用時の心地よさといった使用性の面での検討が十分とはいえなかった。
【0006】
従って、本発明の課題は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを使用しながら機能性と使用性の両方において優れた性能を発揮することができる油性液状クレンジング化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、かかる事情に鑑み鋭意検討した結果、(A)ポリグリセリン直鎖脂肪酸エステルから選択される2種以上と、(B)ポリグリセリン分岐鎖脂肪酸エステルと、(C)1価アルコールと脂肪酸から構成される25℃で液状のエステル油とを組み合わせて用いることにより、優れたクレンジング効果を有しつつ、塗布感、使用後の感触等が顕著に向上した油性液状クレンジング化粧料が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は、次の成分(A)〜(C)を含有する油性液状クレンジング化粧料を提供するものである。
(A)ポリグリセリン直鎖脂肪酸エステルから選択される2種以上、
(B)ポリグリセリン分岐鎖脂肪酸エステル、
(C)1価アルコールと脂肪酸から構成される25℃で液状のエステル油
【発明の効果】
【0009】
本発明により、皮膚が濡れている場合でもメイクアップ化粧料とのなじみが良く、メイクアップ化粧料の除去効果に優れるといった機能性と、塗布感がなめらかでべたつきがなく、洗い流し後にしっとり感を感じることができ、なおかつ皮膚刺激がないという使用性を有する油性液状クレンジング化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の構成について詳述する。
【0011】
本発明に用いられる成分(A)であるポリグリセリン直鎖脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと直鎖脂肪酸とのエステル化反応により得られるものである。
【0012】
ポリグリセリン直鎖脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンは、グリセリンを脱水縮合させたもので、その縮合度に特に限定は無いが、本発明では、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、ノナグリセリン、デカグリセリン等の平均縮合度が2〜10のポリグリセリンが好ましく用いられる。
【0013】
ポリグリセリン直鎖脂肪酸エステルを構成する直鎖脂肪酸としては、炭素数が8〜30の直鎖脂肪酸が挙げられ、飽和、不飽和のいずれの脂肪酸を用いることができる。本発明では、ラウリン酸(炭素数12)、ミリスチン酸(炭素数14)、パルミチン酸(炭素数16)、ステアリン酸(炭素数18)、オレイン酸(炭素数18)、ベヘニン酸(炭素数22)等の脂肪酸炭素数が12〜22の飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸が好ましく用いられる。エステル化度としては、モノエステル、ジエステル、トリエステル等が挙げられるが、本発明ではモノエステル体、ジエステル体が好ましく用いられる。
【0014】
本発明では、成分(A)として、上記のポリグリセリンと直鎖脂肪酸の組み合わせから得られる様々なエステルから選択される2種以上のポリグリセリン直鎖脂肪酸エステルを組合わせて使用することにより、優れたメイクアップ化粧料の除去効果を発揮させることができる。特に(a1)HLB10未満のポリグリセリン直鎖脂肪酸エステルから選択される1種以上と(a2)HLB10以上のポリグリセリン直鎖脂肪酸エステルから選択される1種以上を組合わせることが好ましい。尚、ここでHLBとはGriffinの式から算出されるものを意味する。
【0015】
また、本発明では、成分(A)全体としての混合HLBが7〜14の範囲とするのが好ましく、9〜12の範囲とするのがより好ましい。これらの範囲内であれば、より優れたメイクアップ除去効果が発揮される。尚、ここで混合HLBとは、個々のポリグリセリン直鎖脂肪酸エステルのHLBに、それぞれの割合を乗じたものの総和を意味する。
【0016】
具体的には、(a1)に相当するものとして、オレイン酸ポリグリセリル−2、ジステアリン酸ポリグリセリル−10、ラウリン酸ポリグリセリル−2、カプリル酸ポリグリセリル−2、カプリン酸ポリグリセリル−2等が挙げられる。また、(a2)に相当するものとして、ジオレイン酸ポリグリセリル−10、ジラウリン酸ポリグリセリル−10、ステアリン酸ポリグリセリル−10、ミリスチン酸ポリグリセリル−5、ミリスチン酸ポリグリセリル−10、ラウリン酸ポリグリセリル−10等が挙げられる。
【0017】
本発明の油性液状クレンジング化粧料における成分(A)の合計含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、油性液状クレンジング化粧料の総量を基準として5〜60質量%(以下%と略記)が好ましく、より好ましくは8〜50%であり、さらに好ましく10〜40%である。これらの範囲内であれば、より優れたメイクアップ除去効果が発揮される。また、成分(A)中の2種のポリグリセリン直鎖脂肪酸エステルの質量比は、1:4〜4:1が好ましく、さらに1:3〜3:1がより好ましい。さらに、前記成分(a1)と(a2)を組み合わせて用いる場合、それらの質量比((a1):(a2))は、1:4〜4:1が好ましく、1:3〜3:1がより好ましい。
【0018】
本発明に用いられる成分(B)であるポリグリセリン分岐鎖脂肪酸エステルは、ポリグリセリンと分岐鎖脂肪酸とのエステル化反応により得られるものである。
【0019】
ポリグリセリン分岐鎖脂肪酸エステルを構成するポリグリセリンは、グリセリンを脱水縮合させたもので、その縮合度に特に限定は無いが、本発明では、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、ノナグリセリン、デカグリセリン等の平均縮合度が2〜10のポリグリセリンが好ましく用いられる。
【0020】
ポリグリセリン分岐鎖脂肪酸エステルを構成する分岐鎖脂肪酸としては、炭素数が5〜24の分岐鎖脂肪酸が挙げられる。本発明では、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、イソノナン酸、2−エチルヘキサン酸、ジメチルオクタン酸、ネオペンタン酸等の炭素数が5〜18の飽和の分岐鎖脂肪酸が好ましく用いられる。エステル化度としては、モノエステル、ジエステル、トリエステル等が挙げられるが、本発明ではモノエステル体、ジエステル体が好ましく用いられる。
【0021】
本発明では、成分(B)として、上記のポリグリセリンと分岐鎖脂肪酸の組み合わせによる様々なエステルから選択される1種以上のポリグリセリン分岐鎖脂肪酸エステルを用いることができる。ポリグリセリン分岐鎖脂肪酸エステルは、クレンジング化粧料が最終的に油性液状となるのであれば、25℃で液状、ペースト状、固形状等のいずれの性状のものであっても用いることができるが、洗い流し後の後肌の優れたしっとり感と製剤への安定的な配合という観点から、分岐鎖脂肪酸としてイソステアリン酸を用いたポリグリセリンのイソステアリン酸エステル、例えばイソステアリン酸ポリグリセリル−2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2等が好ましく用いられる。
【0022】
本発明の油性液状クレンジング化粧料における成分(B)の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、油性液状クレンジング化粧料の総量を基準として0.5〜25%が好ましく、より好ましくは1〜15%であり、さらに好ましくは3〜10%である。この範囲内であれば、製剤に安定に配合でき、しっとりとした後肌感を付与することができる。
【0023】
また本発明に用いられる成分(C)は、1価アルコールと脂肪酸から構成される25℃で液状のエステル油である。
【0024】
成分(C)の25℃で液状のエステル油を構成する1価アルコールは、分子内に1つの水酸基を有する炭化水素である。炭化水素は、直鎖であっても分岐鎖であっても、また飽和であっても不飽和であってもいずれでもよく、炭素数が2〜30のものが挙げられる。具体的な1価アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール(2−エチルヘキシルアルコール)、イソノニルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、イソトリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、イソセチルアルコール(2−ヘキシルデシルアルコール)、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデシルアルコール等が挙げられる。
【0025】
成分(C)の25℃で液状のエステル油を構成する脂肪酸は、直鎖であっても分岐鎖であっても、また飽和であっても不飽和であってもいずれでもよく、炭素数が2〜30のものが挙げられる。また、分子内に−OH等の置換基を有していてもよい。具体的な脂肪酸としては、乳酸、ネオペンタン酸、カプリル酸、オクタン酸(2−エチルヘキサン酸)、イソノナン酸(イソペラルゴン酸)、ネオデカン酸(ジメチルオクタン酸)、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノレイン酸等の1価の酸のほか、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、セバシン酸等の多価の脂肪酸が挙げられる。これらのうち、炭素数2〜30の、ヒドロキシ基を有していてもよい1〜3価の脂肪酸が好ましい。
【0026】
成分(C)の25℃で液状のエステル油としては、ミリスチン酸イソプロイル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル等の直鎖高級脂肪酸と低級アルコールとのエステル;カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル等の直鎖高級脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル;ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル(パルミチン酸2−エチルヘキシル)、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル等の直鎖脂肪酸と分岐鎖アルコールとのエステル;イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル等の分岐鎖脂肪酸と低級アルコールとのエステル;オクタン酸セチル(2−エチルヘキサン酸セチル)、オクタン酸セトステアリル(2−エチルヘキサン酸セトステアリル)、オクタン酸ステアリル(2−エチルヘキサン酸ステアリル)、イソステアリン酸ヘキシル等の分岐鎖脂肪酸と直鎖高級アルコールとのエステル;ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソセチル(2−エチルヘキサン酸イソセチル、オクタン酸イソステアリル(2−エチルヘキサン酸イソステアリル)、イソノナン酸イソノニル、イソペラルゴン酸オクチル(イソノナン酸2−エチルヘキシル)、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル等の分岐鎖脂肪酸と分岐鎖アルコールとのエステル;乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル等の乳酸エステル;クエン酸トリエチル、クエン酸トリオクチル、クエン酸トリイソセチル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル等の多価の脂肪酸のエステルなどが挙げられ、また天然由来のものとしてはホホバ油等が挙げられる。
【0027】
これらの各種エステル油のうち、本発明では、エステル油を構成するアルコールと脂肪酸の少なくともどちらか一方が分岐鎖構造を有し、かつアルコールと脂肪酸のそれぞれの炭素数が8〜18の範囲にある、直鎖脂肪酸と分岐鎖アルコールのエステル、分岐鎖脂肪酸と直鎖高級アルコールのエステル又は分岐鎖脂肪酸と分岐鎖アルコールのエステルが好ましく用いられ、べたつきを抑えるという観点から、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、2−エチルへキサン酸セチルがさらに好ましく用いられる。
【0028】
本発明の油性液状クレンジング化粧料における成分(C)の含有量は、油性液状クレンジング化粧料の総量を基準として10〜90%が好ましく、より好ましくは20〜80%であり、さらに好ましくは30〜70%である。これらの範囲内であれば、べたつきが抑制され、安定性にも優れた油性液状クレンジング化粧料を得ることができる。
【0029】
成分(C)は、本発明の効果を損なわない範囲で任意に配合される他の25℃で液状の油剤と共に、本発明の油性液状クレンジング化粧料の基材となる。このような油剤としては、化粧料に使用可能な25℃で液状のものであれば特に限定されないが、具体的には、成分(C)である1価アルコールと脂肪酸から構成される脂肪酸エステル以外の、2価以上のアルコール類と脂肪酸から構成されると脂肪酸エステル、例えばトリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル、トリ(2−エチルヘキサン酸)グリセリル等の脂肪酸トリグリセリド;さらに脂肪酸トリグリセリドを主成分とするツバキ油、サザンカ油、茶実油、綿花油、コメヌカ油、コメ胚芽油、小麦胚芽油、ハトムギ油、トウモロコシ油、ゴマ油、アマニ油、ヤシ油、アボカド油、アーモンド油、ゴマ油、米油、サフラワー油、大豆油、月見草油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、パーム核油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、プルーン種子油、ヘチマ種子油、オリーブ油、ローズヒップ油、マカデミアナッツ油、マンゴー種子油、綿実油、ヤシ油、メドウフォーム油、ミンク油、卵黄油、馬油等の動植物油;スクワラン、α−オレフィンオリゴマー、パラフィン、イソパラフィン、流動パラフィン、ミネラルオイル等の炭化水素油;ジメチルポリシロキサン、分岐状ジメチルポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン油;高級脂肪酸;高級アルコール;エーテル油が挙げられる。
【0030】
本発明では、成分(C)の油性液状クレンジング化粧料に対する含有量を上記の好ましい範囲とするにほかに、25℃で液状の油剤の総量に対する成分(C)の割合を20%以上とするのが好ましく、さらに好ましくは40%〜95%の範囲とする。成分(C)の割合をこれら範囲とすることにより、成分(C)の優れた効果をより有効に発揮させることできる。
【0031】
また、任意に配合される25℃で液状の油剤である炭化水素油のうち、石油から得られるパラフィンやミネラルオイル等の石油系炭化水素は、本発明の油性液状クレンジング化粧料の優れた使用性を損なう場合があることから、25℃で液状の油剤の総量に対してその含有量を20%以下とするのが好ましく、さらに好ましくは10%以下とし、さらには実質的に含有させないのが好ましい。
【0032】
本発明の油性液状クレンジング化粧料には、上記の必須成分に加え、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲で、粘度調整剤、乳化助剤、水性成分、紫外線吸収剤、香料、殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤、美容成分等、油性液状クレンジング化粧料において汎用である他の成分の配合が可能である。
【0033】
本発明の油性液状クレンジング化粧料の形態は、油性でかつ25℃で液状であり、基本的には乳化系ではないが、乳化しない程度に水分が含まれていてもよい。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。尚、実施例における配合量は全て質量%である。
【0035】
実施例及び比較例において実施した官能試験、保存安定性試験の試験方法を以下に示す。
【0036】
(1)官能試験
20名のパネラーが、実施例及び比較例の油性液状クレンジング化粧料を使用し、「メイクアップ化粧料とのなじみ」、「メイクアップ化粧料除去効果」、「塗布時のなめらかさ」、「べたつきのなさ」、「後肌のしっとり感」の各官能評価項目について、良好であるか否かを判断した。評価結果は、良好であると判断したパネラーの人数で示した。
【0037】
(2)保存安定性試験
実施例及び比較例の油性液状クレンジング化粧料を100mLの透明ガラス製容器に入れて密封し、往復恒温槽(0℃〜45℃のサイクル恒温槽)に1ヶ月保存後、視覚判定及び実際の使用により、下記の基準で評価した。
<評価基準>
◎:外観の変化が全くなく、香りや使用性の変化もない。
○:外観の変化はほとんどなく、香りや使用性に若干の変化を感じる。
△:僅かに分離が認められ、香りや使用性に変化を感じる。
×:明らかに分離が認められ、香りや使用性に明らかな変化を感じる。
【0038】
実施例1〜8、比較例1〜8
表1に記載の配合組成よりなる油性液状クレンジング化粧料を常法に従って調製し、前記各試験を実施した。その結果を表1に併せて示す。
【0039】
【表1】

【0040】
表1より明らかなように、本発明の必須成分を配合した実施例はメイクアップ化粧料に対するクレンジング効果及び使用感がいずれも優れていた。一方、本発明の必須成分を1つでも欠く比較例の油性液状クレンジング化粧料は、いずれかの点で劣っており、本発明の目的を達成できなかった。
【0041】
以下、本発明の油性液状クレンジング化粧料に係る組成物を常法により製造した。
【0042】
実施例9(クレンジング化粧料)
配合成分 配合量
ラウリン酸ポリグリセリル−2(HLB8.5) 20.0
(サンソフトQ−12D、太陽化学社製)
ジラウリン酸ポリグリセリル−10(HLB12.0) 10.0
(サンソフトQ−122Y、太陽化学社製)
ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2 8.0
(コスモール42V、日清オイリオ社製)
イソノナン酸イソノニル 残 部
エチルグルコシド液 0.02
オレンジオイル 0.2
ラベンダー油 0.2
シソエキス 0.2
チンピエキス 0.1
キョウニン油 0.1
オリーブ油 0.2
ツバキ油 0.2
ホホバ油 0.2
カロットオイル 0.2
マカデミアナッツ油 0.2
クルミ種子油 0.2
ユチャ油 0.2
コメ胚芽油 0.1
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 0.2
香料 0.2
【0043】
実施例9のクレンジング化粧料について前記試験を実施したところ、クレンジング効果と使用感いずれにおいても優れた性能を示していた。
【0044】
実施例10(クレンジングオイル)
配合成分 配合量
ラウリン酸ポリグリセリル−2(HLB8.5) 15.0
(サンソフトQ−12D、太陽化学社製)
ミリスチン酸ポリグリセリル−10(HLB16.7) 15.0
(太陽化学社製、サンソフトQ−14Y)
ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2 9.0
(コスモール42V、日清オイリオ社製)
パルミチン酸エチルヘキシル 残 部
ジメチルポリシロキサン(6cSt(0.000006mm2/s)) 1.0
スクワラン 2.0
パンテノール 0.1
グルコシルトレハロース 0.1
アボカド油 0.2
テトラヘキシルデカン酸アスコルビル 0.2
カキョクエキス 0.1
セイヨウニワトコエキス 0.1
ホオノキ樹皮エキス 0.1
ベルゲニアクラシホリア根エキス 0.1
ローヤルゼリーエキス 0.1
ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
オタネニンジンエキス 0.1
クチナシエキス 0.1
メントール 0.01
トウヒエキス 0.01
スギナエキス 0.01
シラカバエキス 0.01
タイソウエキス 0.01
スイカズラエキス 0.01
トウニンエキス 0.01
ジュズダマエキス 0.01
フェノキシエタノール 0.1
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 0.5
(ユビナールAplus、BASF社製)
香料 0.2
純水 1.0
【0045】
実施例10のクレンジングオイルについて前記試験を実施したところ、クレンジング効果と使用感いずれにおいても優れた性能を示していた。
【0046】
上記各実施例で用いられた香料は下記のものである。
【0047】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0048】
以上詳述した如く、本発明により、皮膚が濡れている場合でもメイクアップ化粧料とのなじみが良く、メイクアップ化粧料の除去効果に優れるといった機能性と、塗布時になめらかさを感じ、べたつくことがなく、洗い流した後にしっとり感を感じることができ、なおかつ皮膚刺激がない油性液状クレンジング化粧料を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(C)を含有する油性液状クレンジング化粧料。
(A)ポリグリセリン直鎖脂肪酸エステルから選択される2種以上
(B)ポリグリセリン分岐鎖脂肪酸エステル
(C)1価アルコールと脂肪酸から構成される25℃で液状のエステル油
【請求項2】
成分(A)が、(a1)HLB10未満のポリグリセリン直鎖脂肪酸エステルから選択される1種以上と(a2)HLB10以上のポリグリセリン直鎖脂肪酸エステルから選択される1種以上との組み合わせである請求項1記載の油性液状クレンジング化粧料。

【公開番号】特開2012−250939(P2012−250939A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125421(P2011−125421)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】