説明

治具の製造方法

【課題】品質にバラツキのない半導体ウエハー用治具の洗浄方法を提供すること。
【解決手段】半導体ウエハー用治具の材料切り出し後に、半導体ウエハー用治具の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、半導体ウエハー用治具の表面を強アルカリ洗浄、該フッ硝酸洗浄で剥離する第1の工程と、半導体ウエハー用治具の研磨、成形後に半導体用ウエハー用治具の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、半導体ウエハー用治具の表面を強アルカリ洗浄、フッ硝酸洗浄で剥離する第2の工程と、半導体ウエハー用治具の溝付け又は仕上げ加工後に半導体ウエハー用治具の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、半導体ウエハー用治具の表面を強アルカリ洗浄、フッ硝酸洗浄で剥離する第3の工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハーを熱処理する際に支持する例えば半導体ウエハー用の治具の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の半導体ウエハーを支持する半導体ウエハー用治具(図1参照)の製作時における各洗浄工程のフロー図である。
ステップAに示すように、初めに、例えばSiなどの材料を選択する。
ステップBでは、材料のベース材の切出しを行う(図4参照)。このステップBにて切り出された材料は、ステップHに示すように、有機洗浄及び弱アルカリ洗浄による第1洗浄処理がなされる。
有機洗浄では、洗浄剤としてメチルアルコールを用い、切り出し材料は、20〜40kHzの超音波が加えられ、弱アルカリ洗浄では、10〜12pHの水酸化アンモニウム水溶液を70℃に加温して行う。
【0003】
切り出し材料を洗浄する第1洗浄が終了した後、ステップCに進み、切り出し材の研磨・成形を行い、ウエハー支持ロッドの外形となるものを形成し、研磨などがなされた切り出し材は、ステップIに示すように、第2の洗浄が行われる。第2の洗浄では、有機洗浄が行われる。有機洗浄は、ステップHの有機洗浄の洗浄方法と同じである。
第2の洗浄が終了した後、ステップDに進み、ウエハー支持ロッドの溝付けなどの仕上げ加工や上下部板の仕上げ加工を行う(図5参照)。この溝付け・仕上げ加工の終了後は、ステップJに示すように第3の洗浄を行う。
第3の洗浄では、有機洗浄、弱アルカリ洗浄を行う。各洗浄方法は、ステップHの洗浄方法と同じである。
【0004】
第3の洗浄が終了した後、ステップEに進み、半導体ウエハー用治具の上下板及びウエハー支持ロッドの寸法などの検査を行う。この検査でも汚染が生じるため、これらの汚染を取り除くため、ステップKに示すように、第4の洗浄を行う。第4の洗浄では、有機洗浄、弱アルカリ洗浄を行う。各洗浄方法は、ステップHの各洗浄方法と同じである。
第4の洗浄が終わった後は、ステップFに進み、梱包・出荷が行われ、ステップGの顧客受け入れに示すように、半導体ウエハー用治具をユーザに引き渡す。そして、ユーザが半導体ウエハー用治具を使用する前に、ステップLに示すように第5の洗浄としてフッ硝酸による洗浄を行うようにしている。フッ硝酸洗浄は、洗浄液にフッ化水素と硝酸の混合液を用いて行う。
【特許文献1】特開2001−17681号公報
【特許文献2】特開2004−14536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、第1洗浄〜第4洗浄では、半導体ウエハー用治具の材料の表面洗浄時の全工程で、1μm程度に満たない表面剥離しか行われていなかった。
しかしながら、半導体ウエハー用治具の各製作工程で付着する不純物や、製作時の加工歪み、マイクロクラックを次工程に持ち込み、図7に示すフロー図のステップLの顧客受け入れ後の洗浄工程では、不純物、加工歪み、マイクロクラックを取り除くことができず、半導体ウエハー用治具の品質にバラツキが生じる問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、品質にバラツキのない半導体ウエハーなどを支持する治具などの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の治具の製造方法は、半導体ウエハー用治具材料の切り出し後に、該半導体ウエハー用治具材料の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、該半導体ウエハー用治具材料の表面を該強アルカリ洗浄で20μm以下、該フッ硝酸洗浄で300μm以上剥離する第1の工程と、前記半導体ウエハー用治具の研磨、成形後に該半導体用ウエハー用治具材料の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、前記半導体ウエハー用治具材料の表面を該強アルカリ洗浄で20μm以下、該フッ硝酸洗浄で200μm以上剥離する第2の工程と、前記半導体ウエハー用治具材料の溝付け又は仕上げ加工後に前記半導体ウエハー用治具材料の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、前記半導体ウエハー用治具材料の表面を該強アルカリ洗浄で20μm以下、該フッ硝酸洗浄で100μm以上剥離する第3の工程とを含む。
上記治具の製造方法は、前記有機洗浄が、該有機溶剤に20〜40kHzの超音波を付加し、前記強アルカリ洗浄が水酸化カリウム水溶液を加温して750kHz以上の超音波を付加することが好ましい。
また、上記治具の製造方法は、前記第3の工程の後に、さらに前記半導体ウエハー用治具材料のAPM洗浄及びHPM洗浄を行い、これらの洗浄液に750kHz以上の超音波を付加することが好ましい。
さらに、上記治具の製造方法は、前記強アルカリ洗浄液のpHが13以上とすることが好ましい。
また、上記目的を達成するために本発明の治具の製造方法は、物品を支持する治具材料の切り出し後に、治具材料の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、該治具材料の切り出し時に発生した不純物、加工歪み、マイクロクラック部を、該強アルカリ洗浄及び該フッ硝酸洗浄で剥離する第1の工程と、前記治具材料の研磨、成形後に該治具材料の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、該治具材料の研磨・成形時に発生した不純物、加工歪み、マイクロクラックを該強アルカリ洗浄及び該フッ硝酸洗浄で剥離する第2の工程と、前記治具材料の溝付け又は仕上げ加工後に前記治具材料の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、該治具材料の溝付け・仕上げ加工時に発生した不純物、加工歪み、マイクロクラックを、該強アルカリ洗浄及び該フッ硝酸洗浄で剥離する第3の工程とを含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の治具の洗浄方法は、半導体ウエハー用治具材料の切り出し後に、該半導体ウエハー用治具材料の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、該半導体ウエハー用治具材料の表面を該強アルカリ洗浄で20μm以下、該フッ硝酸洗浄で300μm以上剥離する第1の工程と、前記半導体ウエハー用治具の研磨、成形後に該半導体用ウエハー用治具材料の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、前記半導体ウエハー用治具材料の表面を該強アルカリ洗浄で20μm以下、該フッ硝酸洗浄で200μm以上剥離する第2の工程と、前記半導体ウエハー用治具材料の溝付け又は仕上げ加工後に前記半導体ウエハー用治具材料の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、前記半導体ウエハー用治具材料の表面を該強アルカリ洗浄で20μm以下、該フッ硝酸洗浄で100μm以上剥離する第3の工程とを含むので、各工程で半導体ウエハー用治具に付着した不純物、成形時に発生した加工歪み及びマイクロクラックを、洗浄、剥離(エッジング)をすることによって、取り除くことができる。その結果、製造された半導体ウエハー用治具の品質の向上を図ることができる。
上記発明は、前記有機洗浄が、該有機溶剤に20〜40kHzの超音波を付加し、前記強アルカリ洗浄が水酸化カリウム水溶液を加温して750kHz以上の超音波を付加するようにしたので、振動による洗浄によって、細部まで洗浄液が、洗浄物の洗浄部の隅々まで行き渡り、洗浄物表面の洗浄や剥離を効率良く行うことができるようになった。
上記発明の半導体ウエハー用治具の洗浄方法は、前記第3の工程の後に、さらに前記半導体ウエハー用治具材料のAPM洗浄及びHPM洗浄を行い、これらの洗浄液に750kHz以上の超音波を付加するようにした第4の工程を含むことができるので、洗浄物の最表面の不純物やパーティクルをより効率的に除去することができる。
また、本発明の治具の製造方法は、物品を支持する治具材料の切り出し後に、治具材料の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、該治具材料の切り出し時に発生した不純物、加工歪み、マイクロクラック部を、該強アルカリ洗浄及び該フッ硝酸洗浄で剥離する第1の工程と、前記治具材料の研磨、成形後に該治具材料の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、該治具材料の研磨・成形時に発生した不純物、加工歪み、マイクロクラックを該強アルカリ洗浄及び該フッ硝酸洗浄で剥離する第2の工程と、前記治具材料の溝付け又は仕上げ加工後に前記治具材料の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、該治具材料の溝付け・仕上げ加工時に発生した不純物、加工歪み、マイクロクラックを、該強アルカリ洗浄及び該フッ硝酸洗浄で剥離する第3の工程とを含むので、各工程で治具材料に付着した不純物、成形時に発生した加工歪み及びマイクロクラックを、洗浄、剥離(エッチング)をすることによって、取り除くことができる。その結果、製造された治具の品質の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態の発明の半導体ウエハー用治具の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の半導体ウエハー用治具1を示し、図2はその分解斜視図である。
半導体ウエハー用治具1は、上下に配置される上部板5、下部板6とこれらの間に着脱自在に、一体的に組み込まれる3本のウエハー支持ロッド2〜4を備えている。
上部板5及び下部板6の材質は、耐久性及び耐熱性に優れるSiCを材料として形成され、略同一形状に形成されている。
【0009】
上部板5には、3本のウエハー支持ロッド2〜4の上端部が取り付けられ、支持ロッド2〜4の上端が支持される3個の係止孔11〜13が形成され、下部板6にはその支持ロッド2〜4の下端部が取付けられ、支持ロッド2〜4の下端が支持される3個の係止孔14〜16が形成されている。これら係止孔11〜16は、四角形上に形成したが、例えば半月状または楕円形状などの非円形に形成してもよい。
ウエハー支持ロッド2〜4は、半導体ウエハーと同質の材料、即ちシリコンを使用して形成され、それぞれ内側を向く面に複数段(例えば125段)の支持部19〜21がそれぞれ整列して一体的に突出形成されている。そして、一つの支持部の厚さは載置される半導体ウエハーの厚みと略同一の厚みに形成してある。
【0010】
ウエハー支持ロッド2〜4の上端部には、角柱状の突起25〜27が一体に突出形成されると共に、各ロッドの下端側には、同じく角柱状の突起28〜30が形成されている。
また、各ウエハー支持ロッド2〜4の上端部及び下端部をそれぞれ支持するストッパー片31〜33及びストッパー片34〜36は舌状の板部材で形成され、下面側の一方の端部寄りにボス部31a〜33a及び34a〜36aが一体に突出形成されている。これらのボス部は、上部板5に設けた軸孔37〜39、下部板6設けた軸孔40〜42にそれぞれ嵌まって回転できるように軸支される。
【0011】
こうしたウエハー用治具1の組み付けに際しては、先ず上下部板5,6に対して3本のウエハー支持ロッド2〜4の突起25〜30をそれぞれ対応する係止孔11〜16に嵌合して、ウエハー用治具1を起立状態にする。
次いで、各ストッパー片31〜36のボス部31a〜36aをそれぞれ対応する孔37〜42に嵌合し、ストッパー片31〜36をウエハー支持ロッド2〜4の突起25〜30に形成した凹部に、ボス部31a〜36aを回転軸として回転させるようにして差し込み、ウエハー用治具1が組み付けられる。
【0012】
次に、ウエハー用治具1の各構成部材の生産工程について、図3のフロー図に沿って説明する。なお、成形前の各部材は完成品と同じ符号を付して説明する。
図3のステップAに示すように、初めに材料を選択する
本実施の形態では、SiCを材料に使用するが、同質の材料としては、ガリュウム砒素(GaAs)またはガリュウム燐(GaP)等がある。
ステップBでは、材料の切出しを行う。図4に示すように、上下部板5,6であれば、板状の材料を円形に加工した円板5,6を形成し、ウエハー支持ロッド2〜4であれば、板材を柱状に形成して柱材2〜4の切り出しを行い、その他、ストッパー片31〜36の切り出しが行われる(図4に示さず)。この材料の切り出しでは、各材料の精度出しがなされていない外形形状が形成される。
このステップBにおける材料の切り出しでは、作業中の汚染、切り出しによるマイクロクラックや加工歪みなどが生じる(以下、これらを総称して汚染領域とする)。この汚染領域は、切り出し加工中に材料表面における50〜100μmの深さに汚染領域があり、この汚染領域を取り除くため、以下の第1の洗浄を行う。
【0013】
ステップHに示すように、第1の洗浄では、有機洗浄、強アルカリ洗浄、フッ硝酸洗浄を行う。
このうち、有機洗浄では、洗浄剤としてメチルアルコールを用い、20〜40kHzの超音波を加えて行う。強アルカリ洗浄は、10〜12pHの水酸化アンモニウム水溶液を70℃に加温して行う。フッ硝酸洗浄は、洗浄液にフッ化水素と硝酸の混合液を用いて行う。こうして、図4に示す円板5,6及び柱材2〜4の表面を強アルカリ洗浄によって20μm以下の剥離を行い、フッ硝酸で300μm以上の剥離を行う。
【0014】
第1洗浄が終了した後、ステップCに進み、図4に示す円板5,6及び柱材2〜4の研磨・成形を行い、上下部板5,6の外形及びウエハー支持ロッド2〜4の外形となるものを形成する。このときに、ウエハー支持ロッド2〜4の上端部の突起25〜27と下端部の突起28〜30が形成され、円板5,6の係止孔11〜16及び軸孔37〜42を精度出しした状態で形成される。すなわち、図5に示すウエハー支持ロッド2〜4の支持部19〜21に溝が形成されていない状態である。
この研磨・成形では、加工中に5〜50μmの深さに汚染領域があり、この汚染領域を取り除くため、以下の第2の洗浄を行う。ステップIに示すように、第2の洗浄では、有機洗浄、強アルカリ洗浄、フッ硝酸洗浄を行う。各洗浄方法は、ステップHの洗浄方法と同じであるが、上下部板5,6とウエハー支持ロッド2〜4の洗浄による剥離厚さが異なる。すなわち、それらの表面を強アルカリ洗浄で20μm以下の剥離を行い、フッ硝酸で200μm以上の剥離を行う。
【0015】
第2の洗浄が終了した後、ステップDに進み、図5に示すように、ウエハー支持ロッド2〜4の溝付けが行われ、その後、このウエハー支持ロッド2〜4や上下部板5,6の表面処理などの仕上げ加工を行う。この溝付け・仕上げ加工では、0〜30μmの汚染領域があり、この汚染領域を取り除くため、第3の洗浄を行う。
ステップJに示すように、第3の洗浄では、有機洗浄、強アルカリ洗浄、フッ硝酸洗浄を行う。各洗浄方法は、ステップHの洗浄方法と同じであるが、上下部板5,6とウエハー支持ロッド2〜4の洗浄による剥離厚さが異なる。すなわち、それらの表面を強アルカリ洗浄で20μm以下の剥離を行い、フッ硝酸で100μm以上の剥離を行う。
【0016】
第3の洗浄が終了した後、ステップEに進み、上下板5,6及びウエハー支持ロッド2〜4の寸法などの検査を行う。この検査では、ウエハー用治具1の各構成部材が一定範囲内の精度を満たしているか、傷などの有無を検査する。検査処理では、0〜1μmで各構成部品の取扱い時に付着した表面汚染や、自然酸化による汚染があり、これらの汚染を取り除くため、第4の洗浄を行う。
第4の洗浄は、ステップKに示すように、APM(Ammonia-Hydrogen Peroxide Mixture)、HPM(Hydrochloric acid-Hydrogen Peroxide Mixture)の酸化作用を利用して、最表面の不純物やパーティクルを除去する。APM洗浄では、アンモニア、過酸化水素、水の混合液を60℃に加温して、750〜1000kHzの超音波を加えて洗浄を行う。HPM洗浄では、塩酸、過酸化水素、水の混合液によって、洗浄を行う。
第4の洗浄が終わった後は、ステップFに進み、梱包・出荷が行われ、ステップGの顧客受け入れに示すように、ユーザに引き渡す。そして、ユーザによる使用前に第5の洗浄として、フッ化水素溶液によるフッ酸洗浄を行うようにしている。
【0017】
図6に本発明の洗浄方法と従来の洗浄方法を比較例とした実験データによる不純物濃度を示す。縦軸は、不純物濃度(ppb)を示し、横軸は工程別順にしたがった洗浄工程を示す。本実施例の洗浄方法による例が、不純物濃度が、第1洗浄工程から第5洗浄工程にわたって低いのが分かる。
なお、図中の品質バラツキは、最終ユーザの洗浄方法の相違による品質のバラツキを示す。
【0018】
このように、本実施の形態では、複数ある加工工程で発生する各工程での不純物による汚染、加工歪みの大きさ及び加工時に発生した微少クラックの深さを考慮し、少なくとも各加工工程時における、それらの汚染領域の最大領域の深さ又は大きさ以上にわたって、洗浄剤による材料の表面処理及び表面剥離を行うようにすることが基本となっている。
すなわち、材料の切り出し時では、材料の切り出し時における汚染領域を考慮し、切り出し材料の汚染領域の最大領域の深さ又は大きさ以上にわたって、材料の表面処理及び洗浄剤による材料の剥離を行うようにしている。また、材料の研磨・成形時では、研磨・成形材料における汚染領域を考慮し、汚染領域の最大領域の深さ又は大きさ以上にわたって、材料の洗浄剤による表面処理及び表面剥離を行うようにしている。さらに、検査時では、材料の検査時における汚染領域を考慮し、汚染領域の最大領域の深さ又は大きさ以上にわたって、検査した材料の洗浄剤による表面処理及び剥離を行うようにしている。
【0019】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の技術的思想に基づいて、勿論、本発明は種々の変形又は変更が可能である。
例えば、上記の実施の形態では、半導体ウエハーのウエハー用治具1を対象としたが、本実施の形態は、他の精密部材を支持する支持治具にも適用が可能である。また、図3に示すように、本実施の形態では、加工工程を材料の切り出しB、研磨・成形C、溝付け・仕上げD及び検査E時に分けたが、製造物によっては、加熱・冷却工程など他の工程が追加されることがあり、このような場合は、その加熱・冷却工程での汚染領域を考慮し、汚染領域の最大領域の深さ又は大きさ以上にわたって、材料の洗浄剤による表面処理及び剥離を行うようにするとよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態による半導体ウエハー用治具の洗浄方法で洗浄される半導体ウエハー用治具の部分破断斜視図である。
【図2】図1の半導体ウエハー用治具の分解斜視図である。
【図3】本発明の半導体ウエハー用治具の洗浄方法の工程を示すフロー図である。
【図4】図1の半導体ウエハー用の治具の材料の切り出しを行った状態の斜視図である。
【図5】図4の半導体ウエハー用治具の材料成形品に溝付け等を行った状態の斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態の洗浄方法と従来例を比較例とした洗浄方法の実験による不純物濃度の比較を示す線図である。
【図7】従来例による半導体ウエハー用治具の洗浄方法の工程を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0021】
1 半導体ウエハー用治具
2〜4 半導体ウエハー支持ロッド(柱材)
5 上部板(円板)
6 下部板(円板)
11〜16 係止孔
19〜21 支持部
25〜30 突起
31〜36 ストッパー片
37〜42 軸孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハー用治具材料の切り出し後に、該半導体ウエハー用治具材料の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、該半導体ウエハー用治具材料の表面を該強アルカリ洗浄で20μm以下、該フッ硝酸洗浄で300μm以上剥離する第1の工程と、
前記半導体ウエハー用治具の研磨、成形後に該半導体用ウエハー用治具材料の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、前記半導体ウエハー用治具材料の表面を該強アルカリ洗浄で20μm以下、該フッ硝酸洗浄で200μm以上剥離する第2の工程と、
前記半導体ウエハー用治具材料の溝付け又は仕上げ加工後に前記半導体ウエハー用治具材料の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、前記半導体ウエハー用治具材料の表面を該強アルカリ洗浄で20μm以下、該フッ硝酸洗浄で100μm以上剥離する第3の工程とを含む治具の製造方法。
【請求項2】
前記有機洗浄が、該有機溶剤に20〜40kHzの超音波を付加し、前記強アルカリ洗浄が水酸化カリウム水溶液を加温して750kHz以上の超音波を付加するようにした請求項1に記載の治具の製造方法。
【請求項3】
前記第3の工程の後に、さらに前記半導体ウエハー用治具材料のAPM洗浄及びHPM洗浄を行い、これらの洗浄液に750kHz以上の超音波を付加するようにした第4の工程を含む請求項1又は2に記載の治具の製造方法。
【請求項4】
前記強アルカリ洗浄液のpHが13以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の治具の製造方法。
【請求項5】
物品を支持する治具材料の切り出し後に、治具材料の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、該治具材料の切り出し時に発生した不純物、加工歪み、マイクロクラック部を、該強アルカリ洗浄及び該フッ硝酸洗浄で剥離する第1の工程と、
前記治具材料の研磨、成形後に該治具材料の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、該治具材料の研磨・成形時に発生した不純物、加工歪み、マイクロクラックを該強アルカリ洗浄及び該フッ硝酸洗浄で剥離する第2の工程と、
前記治具材料の溝付け又は仕上げ加工後に前記治具材料の有機洗浄、強アルカリ洗浄及びフッ硝酸洗浄を行い、該治具材料の溝付け・仕上げ加工時に発生した不純物、加工歪み、マイクロクラックを、該強アルカリ洗浄及び該フッ硝酸洗浄で剥離する第3の工程とを含む治具の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−227578(P2007−227578A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−46091(P2006−46091)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(000133788)株式会社テクニスコ (8)
【Fターム(参考)】