治療処置プロシージャを制御するための方法及びシステム
ここに記載したのは、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための方法及びシステムである。患者関連情報に基づいて、制御システム(90)が、治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用量パラメータとを決定する。ディスプレイ(117)に、前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示し、また、前記少なくとも1つの処置適用量パラメータに従って患者の治療部位(100)に処置適用デバイス(80)の出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を表示する。前記治療処置プロシージャは、例えば、加齢黄斑変性症を治療するためのインドシアニングリーン投与下の光凝固術などである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療処置プロシージャ及び診断処置プロシージャに関する。また、その1つの具体的な形態においては、本発明は、体外物質を患者の体内に導入することと処置適用デバイスを使用することとを組合せた治療処置プロシージャに用いる制御システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療処置プロシージャないし診断処置プロシージャのうちには、患者の体内に物質を導入し、その導入した物質の作用によって、そのプロシージャのために使用する処置適用デバイス(照射デバイスなど)の医療効果ないし診断効果を向上させるようにしたプロシージャが数多く存在している。その種のプロシージャの1つの具体例として、放射性物質を患者の体内に導入した後に、その放射性物質をX線装置で検出するというプロシージャがある。医師は、検査部位を含む領域内におけるその放射性物質の分布を見ることにより、癌などの病変部がどれほどの広さに亘っているのかを判断することができる。
【0003】
また、この種のプロシージャのうちには、以上とは逆の作用を利用したものもあり、そこでは、患者の体内に導入する物質として染色剤などのコントラスト増強剤を使用しており、これは、X線装置から放射されたX線光子が、患者の身体を通過する際に、そのコントラスト増強剤によって選択的に遮断されるようにしたものである。また、コントラスト増強剤としての染色剤と、MRI装置とを使用するプロシージャも、これと同様の原理に基づいたものであり、そこでは、その染色剤を利用して、検査部位の磁気特性を変化させるようにしている。
【0004】
この種のプロシージャの更に別の1つの具体例として、フォトダイナミック・セラピーがあり、これは、癌細胞に選択的に吸収される化学物質に、放射線を照射するようにしたプロシージャである。治療部位に集中的に放射線を照射して、その化学物質を分解することによって、その化学物質から、癌細胞に対して毒性を有する別の化学物質を放出させるようにしたものである。これと同様の作用機序に基づいた別のプロシージャとして、インドシアニングリーン投与下の光凝固術(i−MP術)があり、これは、例えば加齢黄斑変性症(AMD)などの、脈絡膜疾患に対する医療処置として実施されるプロシージャである。
【0005】
AMDには、滲出期に入ると、網膜の直下に新生血管が形成されてくるという特徴を有する。このことは、脈絡膜新生血管形成(CNV)と呼ばれており、形成された新生血管が滲出性を有するため、黄斑部の出血及び浮腫が発生し、その結果、網膜剥離が発生したり、傷が形成されたりすることがあり、最終的には、回復不可能な視力喪失に至るおそれもある。また、このようなCNV型の症状を形成するに至る疾病としては、AMDの他にも、例えば病的近視や網膜色素線条症などをはじめとする、特発性及び炎症性の病因により発症する様々な疾病が存在する。
【0006】
ICG投与下の光凝固術(i−MP術)と呼ばれている治療処置プロシージャの作用機序は、治療処置の対象となる組織に導入したインドシアニングリーン(ICG)を、波長が805nmの弱い連続レーザの照射によって光活性化することで、隣接領域の神経構造や組織を殆どないし全く損傷することなく選択的に血管を閉塞させるというものである。この治療処置の作用効果は、ICGが高濃度で取り込まれた病的組織とレーザ・エネルギとの間の光化学反応によって、CNV発生部位の選択的壊死を引き起こすことにより得られるものである。この治療処置によれば、視力の回復ないし安定化という治療効果、並びに疾病の進行抑制という治療効果を期待することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このi−MP術のような医療処置技法ないし診断処置技法には幾つもの重大な問題が付随しており、それら問題のために、この種の処置技法は過度に複雑なものとなっており、また高コストのものとなっている。最も重大な短所は、この種の処置技法の作用機序が、患者の体内に導入する化学物質と、例えばレーザやX線装置などの処置適用デバイス(照射デバイス)との間の相互作用に基づいており、その相互作用が極めて複雑であることにある。即ち、この種の処置技法のプロシージャが複雑であるために、そのプロシージャを実施する際に、そのプロシージャのための化学物質を患者の体内に導入することに伴うエラーが発生する余地、及び/または、しばしば余りにも複雑で繊細な装置の使用に伴うエラーが発生する余地が、随分と大きなものとなっているのである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面においては、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための、コンピュータが実行する制御方法が提供され、この制御方法は、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定するステップと、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示する表示ステップと、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を提示する提示ステップと、
を含むことを特徴とする方法である。
【0009】
本発明の更なる1つの局面においては、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための、コンピュータが実行する制御方法が提供され、この制御方法は、
患者の体内に導入すべき体外物質の投与量を患者関連データに基づいて決定するステップと、
患者の治療部位に適用すべき処置適用デバイスの出力目標値を前記患者関連データに基づいて算出するステップと、
前記体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための複数のプロンプトを前記治療処置プロシージャのタイミング・スケジュールに従って表示するステップと、
前記治療部位に前記処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための複数の指示を前記タイミング・スケジュールに従って提示するステップと、
を含むことを特徴とする方法である。
【0010】
本発明の更なる1つの局面においては、患者の眼の黄斑変性症を治療する治療処置プロシージャを制御するための、コンピュータが実行する制御方法が提供され、この制御方法は、
患者に関連したデータを受取るステップと、
受取った前記データに基づいて患者の体内に導入すべき体外物質の量を決定するステップと、
患者の眼の治療部位に照射すべきレーザの出力パワー目標値を算出するステップと、
前記体外物質を複数回に分けて投与することによって患者の体内に導入するよう操作者に指示するための複数のプロンプトを前記治療処置プロシージャのタイミング・スケジュールに従って表示する表示ステップと、
レーザ・ビームを複数回に亘って前記治療部位に照射するよう操作者に指示するための複数の指示を前記タイミング・スケジュールに従って提示する提示ステップと、
を含むことを特徴とする方法である。
【0011】
本発明の更なる1つの局面においては、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御システムが提供され、この制御システムは、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定する手段と、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示する表示手段と、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を提示する提示手段と、
を備えることを特徴とするシステムである。
【0012】
本発明の更なる1つの局面においては、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御システムが提供され、この制御システムは、
患者関連データを格納するデータ・ストレージと、
操作者に情報を表示するディスプレイと、
前記データ・ストレージとの間及び前記ディスプレイとの間で通信可能なプロセッサとを備え、
前記プロセッサは、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定し、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示させ、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を表示させるように構成されている、
ことを特徴とするシステムである。
【0013】
本発明の更なる1つの局面においては、データ処理装置の動作を制御するための、マシン読取可能な記録媒体に記録されたマシン読取可能なプログラム・コードから成るコンピュータ・プログラム製品が提供され、このコンピュータ・プログラム製品は、前記データ処理装置上で前記プログラム・コードが実行されることにより、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御方法が実行され、前記制御方法は、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定するステップと、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示する表示ステップと、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を提示する提示ステップとを含む制御方法である、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラム製品である。
【0014】
本発明の更なる1つの局面においては、データ処理装置の動作を制御するための、マシン読取可能な記録媒体に記録されたマシン読取可能なプログラム・コードから成るコンピュータ・プログラム製品が提供され、このコンピュータ・プログラム製品は、前記データ処理装置上で前記プログラム・コードが実行されることにより、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御方法が実行され、前記制御方法は、
患者の体内に導入すべき体外物質の投与量を患者関連データに基づいて決定するステップと、
患者の治療部位に適用すべき処置適用デバイスの出力目標値を前記患者関連データに基づいて算出するステップと、
前記体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための複数のプロンプトを前記治療処置プロシージャのタイミング・スケジュールに従って表示するステップと、
前記治療部位に前記処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための複数の指示を前記タイミング・スケジュールに従って提示するステップとを含む制御方法である、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラム製品である。
【0015】
本発明の更なる1つの局面においては、データ処理装置の動作を制御するための、マシン読取可能なプログラム・コードから成るコンピュータ・プログラムが提供され、このコンピュータ・プログラムは、前記データ処理装置上で前記プログラム・コードが実行されることにより、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御方法が実行され、前記制御方法は、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定するステップと、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示する表示ステップと、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を提示する提示ステップとを含む制御方法である、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に図面を参照しつつ、具体例としての本発明の実施の形態について説明して行く。尚、以下の説明では、複数の図面に亘って同一の参照番号を使用する場合があるが、そのような参照番号は同一ないし対応する構成要素を示すものである。
【0017】
図1Aに示したレーザ・システムは光凝固用レーザ・システムの1つの具体例であり、このようなレーザ・システムは、例えば国際特許出願公開WO02/094260号公報(発明の名称:"New use of Indocyanine Green as a Photosensitive Agent"(インドシアニングリーンの光反応剤としての新規な用途)、発行日:2002年11月28日)に記載されている治療処置プロシージャをはじめとする、種々の治療処置プロシージャを適用する際に利用し得るものである。
【0018】
この光凝固用レーザ・システムは、光凝固用レーザ・ユニット10と、その出力部に連結された導光路とを備えている。レーザ・ユニット10から発せられたレーザ・ビームは導光路の中を伝達される。導光路は、そのレーザ・ビームを適切な状態に整えて、この導光路の末端のデリバリー・ポイントへ供給する。治療処置が実施されているときには、このデリバリー・ポイントは患者の眼100に当てられている。導光路を構成している導光システムは、一般的に、光ファイバ・ケーブル20と、細隙灯アダプタ30と、細隙灯顕微鏡40と、ビーム・スプリッタ50と、導光路の末端のデリバリー・ポイントの構成要素(コンタクト・レンズ60)とを備えている。コンタクト・レンズ60は(治療処置が実施されているときには)通常、治療処置を必要としている眼の領域に接触させてあり、このコンタクト・レンズ60を介してレーザ・ビームを眼内へ入射させることができる。以上に説明したものとは異なる種類の導光路が用いられることもあり、用いられる導光路には、例えば、眼内プローブ、レーザ間接オフサルモスコープ、手術用顕微鏡アダプタなどがある。
【0019】
図1Bに示したのは、自動較正システムを組込んだレーザ・システムの全体図である。コンタクト・レンズ60の背面側に検出機構70が配置されており、この検出機構70は導光路の末端のデリバリー・ポイントにおけるレーザ・ビームのパワーを測定するためのものである。検出機構70は、測定対象のそのレーザ・ビームのパワーを電気信号に変換し、その電気信号を、通信リンク71を介してレーザ・コンソール10の入力部11へ供給する。この電気信号は、もしそれがデジタル信号でない場合にはデジタル信号に変換された上で、レーザ・コンソール10の内部のプロセッサへ供給される。
【0020】
導光路の末端のデリバリー・ポイントにおいて検出機構70により測定されたレーザ・ビームのパワー測定値は、続いて、供給すべきパワーの目標レベル(即ち所要レベル)であるパワー目標値と比較される。この比較によって得られた情報に基づいて、その導光路に対応した較正係数に補正が施される。また、その較正係数に基づいて、レーザ・コンソール10が発生するレーザ・ビームのパワーが制御される。そして、以上によって、発生するレーザ・ビームのパワーが、導光路の影響を補償する大きさのパワーになるようにしている。
【0021】
この構成によれば、医療処置プロシージャの種類によって、用いられる導光路が大きく異なるような場合であっても、発生するレーザ・ビームのパワーを制御して、患者に供給されるレーザ・ビームのパワーを目標レベルにすることができる。
【0022】
この自動較正方式は、更に、導光路の構成要素やレーザ・コンソールの内部の構成要素が取り替えられ、或いは、劣化することによって生じるパワーの偏位にも、好適に対処することができる。
【0023】
以上の自動較正方式によるレーザ・システムの較正作業は、医療処置の実施者がそれを実行したいと考えたときにはいつでも実行し得るものである。尚、1つの構成例として、自動較正を実行しないまま、レーザ・システムを10回を超える医療処置プロシージャに使用しようとしたときには、レーザ・システムがロック状態となって、使用できないようにしたものがある。レーザ・システムの較正が完了したならば、デリバリー・ポイントから検出機構70を除去することによって、患者の眼100に対する医療処置を実施できるようになる。
【0024】
導光路の透過率に偏位が生じるときには、通常、その偏位は、レーザ・ビームのパワーの損失を増大させる方向の偏位として生じるものである。しかるに、例えば、レーザ・システムに対して、その増大した損失を補償するための較正を施した後に、そのレーザ・システムの構成要素のクリーニングまたは交換を行った場合などには、導光路の末端のデリバリー・ポイントに供給されるレーザ・ビームのパワーが、その損失を補償するための較正を施した直後に供給されていたパワーより大きくなってしまうことがあり、その場合、患者に傷害を及ぼすおそれがある。定常的に較正作業を実行するようにすれば、そのような問題を回避することができる。
【0025】
レーザ・コンソールの説明
図1Cに示したのは、処置適用デバイス(ここでは照射デバイス)である、レーザ・ユニット10のシステム全体図である。このレーザ・ユニット10は、具体例として提示する本発明の1つの実施の形態に係る治療処置プロシージャに使用することのできるものである。また、具体例としての実施の形態に関連して、医療処置ないし診断処置のためのシステムとして以下に詳述するのは、先に説明したi−MP術のプロシージャを実施するためのシステムである。
【0026】
ただし、ここでは具体例としての実施の形態をi−MP術に関連して詳述するが、以下に説明する構成は、患者の体内に体外物質を導入した上で処置適用デバイスを使用することによって、それらが協働して医療処置プロシージャを好適に実施できるようにしている様々な医療処置プロシージャにも使用可能なものである。
【0027】
処置適用デバイス10は、制御システム90、レーザ・アセンブリ80、細隙灯アダプタ(SLA)30、ディスプレイ117、キーボード116、それに足踏ペダル121を備えている。レーザ・アセンブリ80はレーザ光凝固システムであり、波長が805nmの連続波レーザ光の制御されたパルスを供給するように構成されている。レーザ・アセンブリ80が供給することのできるパワーは最大で2.5Wまでであり、このレーザ・アセンブリ80の供給パワーは、冗長性を有する安全システムによって常時監視されている。図1Dに示したように、レーザ・コンソール10は、レーザ、レーザ用電源、制御電子回路ボード、電子回路用電源ボード、コントロール・パネル、コントロール・パネル用ボード、及びマイクロコントローラ用ボードを備えており、コントロール・パネルには、ディスプレイ、キーパッド、それに複数のボタンが装備されている。
【0028】
SLA30は、患者の眼にレーザ・ビームを供給する機能を果たすものである。SLA30は一種の光学デバイスであり、光ファイバ・ケーブルと、ガリレオ式顕微鏡と、この光学デバイスを細隙灯顕微鏡に装着するための機械的機構とを備えている。SLA30は細隙灯顕微鏡の光軸に対して同心的に装着され、処置医はこのSLA30を使用することにより、患者の眼の背面部(網膜)を観察しながらレーザを照射することができる。
【0029】
1つの構成例においては、制御システム90、キーボード116、ディスプレイ121及びレーザ・アセンブリ80を同じ1つの筐体の中に組込んだ構成としている。制御システム90は、マイクロプロセッサを用いて構成した電子回路であって、オペレーショナル・ソフトウェアを走らせており、また、レーザ・アセンブリ80の動作の制御、レーザの安全監視機能の制御、それに、ユーザ・インターフェースとの相互作用の制御を行っている。ユーザ・インターフェースには、キーボード116、ディスプレイ117、それにユーザが操作する制御用の操作部材や足踏ペダル121などがある。制御システム90は更に、治療処置プロシージャにおける供給パワーの制御を行うルーチンを走らせている。制御システム90は、マイクロプロセッサ、メモリ、ソフトウェア、それに、電源回路などの様々な関連電子回路により構成されている。
【0030】
図1Dは、レーザ・コンソール10を更に詳細に示した図であり、レーザ・アセンブリ80のシステム構成要素並びに制御システム90のシステム構成要素を示している。メイン・レーザ用電源101は、レーザを発生させるために必要な電流を供給している。メイン・レーザ用パワー制御機構102は、出力パワーが目標パワーになるようにメイン・レーザへ供給する電流を制御するモジュールである。レーザ・ダイオード103は、治療処置プロシージャに使用されるレーザ・ビームを発生するものである。このレーザ・ダイオード103が発生するレーザ光の波長は805nmである。この波長のレーザ光は赤外線領域にあり、人の眼には見えない。レーザは、好ましくは±3nmの許容誤差を有する。レーザ・ダイオード103が発生したレーザ光は、メイン・レーザ用コリメータ・レンズ群104を通過するようにしてあり、このコリメータ・レンズ群104は、そのレーザ光を整形して、光ファイバ・ケーブルの端面に合焦させることのできるレーザ・ビームにするものである。
【0031】
コリメータ・レンズ群104から出射したレーザ・ビームは、続いてビーム・スプリッタ105へ入射する。このビーム・スプリッタ105は、レーザ・ビームを分割するための部分反射鏡であり、レーザ・ビームの一部を反射させてフォトセンサ112へ入射させており、このフォトセンサ112は安全機構の構成要素である。
【0032】
ビーム・スプリッタ105へ入射したレーザ・ビームのうち、このビーム・スプリッタ105で反射されなかった残りの部分は、照準用ビーム・コンバイナ106へ入射している。照準用ビーム・コンバイナ106は、レーザ・ビームを併合するための特殊な鏡であり、レーザ・ダイオード103から到来するメイン・レーザ・ビームに、レーザ・ダイオード113から到来する照準用レーザ・ビームとを併合するものである。照準用レーザ・ビームは可視光ビーム(赤色ビーム)であり、処置医はこの照準用レーザ・ビームを利用してレーザ・ビームの照準を合わせる。1つの構成例においては、この照準用レーザ・ビームの波長を630nm、その最大パワーを1mWとしており、一方、メイン・レーザ・ビームの最大パワーは2.5Wとしている。
【0033】
照準用ビーム・コンバイナ106から出射した併合レーザ・ビームは、光ファイバ結合用レンズ群107に入射しており、このレンズ群107は、そのレーザ・ビームを、導光路を構成している光ファイバ・ケーブルの端面に合焦させている。
【0034】
レーザ・キャビティ111は金属製のボックスであり、その中には、メイン・レーザ・ダイオード103が収容され、また、レーザ・ビームの形状、合焦状態、それに方向を定めるための、上述した光学部品である構成要素104、105、106、107が収容されている。尚、このレーザ・キャビティ111の中に、照準用レーザ・ダイオード113を併せて収容するようにしてもよい。レーザ・キャビティ111の出力ノズルには、導光路110が接続されている。レーザ・キャビティ111は密閉状態としてあり、それによって、内部の光学系を塵埃及び湿気から防護している。レーザ・キャビティ111の出力ノズルには、光ファイバが光結合状態でロックされていることを検出するセンサ108が装備されており、このセンサ108は、光ファイバ・ケーブルがレーザ・コンソール10に連結されているか否かの情報をコントローラに提供している。また、レーザ・コンソール10には、ヒンジを介して機械式レーザ・シャッタ109が連結されており、この機械式レーザ・シャッタ109は、レーザ・コンソール10に導光路デバイスが連結されていないときに出力ノズルを閉塞しておくためのものである。
【0035】
このレーザ・コンソール10に連結される導光路110は、その構成要素として、レーザ・ビームを患者の眼に供給するための光ファイバ・ケーブルを含むものであり、そのような導光路の具体例としては、例えば、眼内プローブ、細隙灯アダプタ、レーザ間接オフサルモスコープ、それに手術用顕微鏡アダプタなどがある。
【0036】
ビーム・スプリッタ105へ入射したレーザ・ビームのうちの一部が、このビーム・スプリッタ105で分岐させられ、メイン・レーザの安全機構の構成要素であるフォトセンサ112へ入射している。このフォトセンサ112はフォトダイオードであり、パワー・レベルを読取って電気信号を生成しており、この電気信号を利用してレーザを安全動作範囲内で動作させるようにしている。
【0037】
プロセッサ114は、レーザ装置の全体の機能を制御するものであり、レーザ・コンソール10の様々な構成要素のうちの多くのものとの間で電気信号の送信ないし受信を行っている。1つの構成例においては、このプロセッサ114を、「8032ファミリー」のマイクロプロセッサと、フラッシュ・メモリと、EEPROMと、ワッチドッグ・ユニットとを備えたものとしており、プロセッサ114は治療処置プロシージャのパラメータが格納されている記録データにもアクセスする。プロセッサ114に接続されているブザー115は、アラーム音、ビープ音、及びその他の音響信号を発生さるためのものである。
【0038】
キーボード116は、処置医などの操作者が治療処置に関連した動作モード及びパラメータを制御するために使用するインターフェースであり、英数字ディスプレイ117は、レーザ・コンソール10を使用している処置医に対して治療処置に関連したデータ及びパラメータを表示するためのインターフェースである。後に図2〜図13を参照して更に詳細に説明するように、レーザ・ユニット(レーザ・コンソール)10の映像出力及び音響出力により、i−MP術の実施中に操作者をガイドできるようにしている。
【0039】
レーザ・パワー設定用ノブ118は回転式のノブとすることが好ましく、処置医はこのノブ118を操作することによって、メイン・レーザのパワーを設定することができる。このレーザ・パワー設定用ノブ118はエンコーダを備えており、プロセッサ114は、そのエンコーダから読出した出力信号の解釈を実行し、その結果をディスプレイ上に表示することで、処置医に対してレーザ・パワー設定値を表示する。
【0040】
パルス持続時間選択用ダイヤル型ボタン119は回転式のノブであり、処置医はこのダイヤル型ボタン119を操作することによって、発射されるレーザ・パルスの持続時間を設定することができる。このダイヤル型ボタン119はエンコーダを備えており、プロセッサ114は、そのエンコーダから読出した出力信号の解釈を実行し、その結果を例えばディスプレイ117などのディスプレイ上に表示することで、処置医に対してパルス持続時間を表示する。
【0041】
パルス間隔選択用ダイヤル型ボタン120は回転式のノブであり、処置医はこのダイヤル型ボタン120を操作することによって、レーザ・パルスの反復間隔を設定することができる。このダイヤル型ボタン120はエンコーダを備えており、プロセッサ114は、そのエンコーダから読出した出力信号の解釈を実行する。
【0042】
足踏スイッチ(足踏ペダル)121は、レーザ・ビームを発射するためのスイッチである。この足踏ペダル121とレーザ・コンソール10との間は光方式で接続してあり、それによって電気的な安全性を確保している。
【0043】
インターロック・ユニット122は、レーザの安全性を更に高めるためにオプションとして装備されることのある装置である。このインターロック・ユニット122は、レーザ・コンソール10にスイッチを接続するための入力部であり、ここに接続したスイッチを操作することによって、外部ドアが不注意に開扉されたときにレーザをディスエーブルすることができる。ユーザがこのリモート・インターロック機能を使用しないことを選択した場合には、レーザを動作可能にするためにはこのインターロック・ユニット122にバイパス・コネクタを挿入しておく必要がある。
【0044】
「オートキー」コネクタ123は、電気回路が内蔵されており、この電気回路は、いかなる導光路がレーザ・コンソール10に連結されているのかを示す情報を、レーザ・コンソール10に供給するものである。レーザ・コンソールに連結して用いられる様々な導光路デバイス110は、その透過率に関する特性が夫々に異なっており、患者の眼100に供給されるレーザ・パワーは、用いられる導光路デバイスの透過率に影響される。オートキー・コネクタ123からレーザ・コンソール10へ情報が供給されることによって、現在用いられている導光路デバイスを、レーザ・コンソール10が認識することができるようにしており、またそれによって、その導光路デバイス110におけるレーザ・パワーの減衰量を補償するような透過率(FAT)の値を、プロセッサ114が算出できるようにしている。
【0045】
電子回路用電源124は、パワー制御機構102の回路と、プロセッサ・ボード114の回路とへ、夫々に所要の電力を供給している。EMI/EMCライン・フィルタ125は、電源サージが発生した場合に、その電源サージによってレーザが動作不良や損傷を生じないように、メイン・ラインから電気ノイズを除去するためのモジュールである。メイン・ケーブル126は、レーザ・コンソール10を電源コンセントに接続するためのケーブルである。スイッチ127は、操作者がレーザ・コンソール10の電源を投入及び切断するためのオン/オフ式スイッチである。
【0046】
キーボード116は複数のボタンを備えており、それらボタンには、操作者が処置適用デバイス10の動作を操作するためのボタンと、操作者が医療処置関連パラメータの値に調節を加えるためのボタンとが含まれている。それらボタンには以下のものがある。
・「Treat」ボタン:これは「処置」モードを直接起動するためのボタンである。
・「Mode」ボタン:これは装置の動作モードを選択するためのボタンである。
・「SEL/YES」ボタン:これはディスプレイに表示されたオプション(選択肢ないし選択値)を選択または承諾するためのボタンである。
・「INC」ボタン:これは選択したパラメータの値を増大させるためのボタンである。
・「DEC」ボタン:これは選択したパラメータの値を減少させるためのボタンである。
・「CAN/NO」ボタン:これはディスプレイに表示されたオプションをキャンセルまたは拒絶するためのボタンであり、実行中のプロセスをキャンセルする場合にもこのボタンを押下する。
・「emergency」ボタン:これは全ての動作を中断させて装置を緊急停止モードにするボタンである。
・「pedal」ボタン:これは足踏ペダルである。
【0047】
モードの選択
図2に示したのは、医療処置システムの「モード選択」プロセス100のフローチャートである。医療処置システムは4つの動作モードを備えており、それらは以下の通りである。
・「自動較正」モード200:このモードは、レーザ・ユニット10の出力パワーの較正作業を実行するときに選択されるモードである。この較正作業は、i−MP術を実施する際に要求される高精度を確保するために必要なものである。この「自動較正」モードは、レーザ・ビームの出力パワーの偏位を補償するように設計されており、レーザ・ビームの出力パワーに偏位が発生する原因には、SLA30に使用されているミラーないしレンズの表面における塵埃の堆積、光ファイバーの損耗、アライメントのずれ、それにレーザ・ダイオード103の経年変化などがある。この「自動較正」モードによる調節可能なレンジは、工場段階で較正が施された設定値の20%であり、この調節によって、仕様に定められた出力パワーの許容誤差の範囲外で装置が使用されてしまうという事態を防止するようにしている。
・「パラメータ設定」モード300:このモードにあるときには、ディスプレイ117上に一連の画面が次々と表示され、それら画面に、治療処置プロシージャに関連した複数の基本的パラメータの値に調節を施すよう操作者に促すためのプロンプトが提示される。それら基本的パラメータには、次のものがある。
○病変部の最大差し渡し寸法(GLD);
○患者の体重;
○レンズの倍率;
○色素濃度;
・「ユーザ設定」モード400:このモードは、操作者が補助的パラメータの値に調節を施すためのモードであり、補助的パラメータには、照準用レーザ・ビームの強度やブザー115の鳴動音の大きさなどがある。
・「処置」モード500:このモードにおいては、先に設定された様々なパラメータの値に従って、メイン・レーザ・ダイオード103が発生する治療処置用レーザ・ビームが患者に照射される。
【0048】
操作者は、モードを選択する際には先ず、「MODE」ボタンを反復して押下して、所望のモードをディスプレイ117上に表示させる。所望のモードがディスプレイ117上に表示されたならば「SEL/YES」ボタンを押下すると、当該モードを実行するための一連のステップが開始される。
【0049】
図2〜図12に示したプロシージャは、プロセッサ114上で走らせているソフトウェアが実行するプロシージャである。このプロシージャが実行されるとディスプレイ117上に操作者に対する様々なプロンプトが表示され、操作者はキーボード116上のボタンを押下し、或いは足踏ペダル121を踏下することによって、ソフトウェアとインターアクトする。場合に応じて、然るべきアクションを実行するよう操作者を促すプロンプトを表示することもあり、ここでいうアクションとは、例えば、安全眼鏡を着用することや、患者に注射をすることなどである。操作者にアクションの実行を要求した場合には通常、そのアクションが完了したことを操作者がコンファームするまでは(このコンファームはキーボード116上のボタンを押下することによって行われる)、このソフトウェアが実行するプロシージャは先に進まないようにしている。ただし、説明を簡明にするために、以下の説明においては、操作者が次のステップへ進む意志があることをコンファームすることを要求するソフトウェアの上のポイントについては、いちいち言及するのを控えることにする。
【0050】
自動較正
図3に示したのは、ある導光路を接続したレーザ・ユニット10の自動較正作業を実行する際に、操作者をガイドするための一連のステップのフローチャートである。「自動較正」モード200を利用することにより、システムのパワー制御機構の精密調節を行うことができ、それによってシステムの構成部品の劣化ないし経年変化の影響を補償することができる。レーザの出力パワーに偏位を生じさせる最も一般的な原因としては、ミラー、レンズ、ないしはフィルタの表面に塵埃が付着すること、光ファイバ・ケーブルの内部に微細亀裂が発生すること、それに、光ファイバ結合部のミスアライメントなどがある。更に、レーザ・ダイオードの経年変化も原因の1つであり、レーザ・ダイオードの経年変化の影響はシステムの内部の閉ループ回路によってある程度までは補償されるものの、その閉ループ回路では影響を補償できないほどの大きなレーザ・ダイオードの劣化が生じることもあり、その場合にはシステムの外部での調節が必要となる。
【0051】
更に、レーザ・ユニット10のような処置適用デバイス(照射デバイス)は、医療機器の安全確保を目的として制定されている様々な規格にも従わねばならない。そのような規格によれば、パワー制御によってパワーの偏位量を20%以下に抑えなければならない。しかしながら、i−MP術にとっては、レーザ・アセンブリ80の放射照度というものは極めて重要であり、そのため、より高精度のパワー制御を行ってパワーの偏位量を5%のレベルにまで低減することが必要とされている。この自動較正作業のプロセスでは、目的に合わせて特別に設計したパワー・メータ70を使用し、このパワー・メータ70は、患者の眼100に対応した位置に配置され、その位置でのレーザ・パワーを測定する。自動較正プロシージャそれ自体は自動的に実行されるが、ただしこのプロシージャの実行中に操作者に対して、パワー・メータを適正位置に配置すること、パワー・メータのケーブル71をレーザ・コンソール10の入力部11に接続すること、それに自動較正ルーチンを開始させる操作を行うことなどのアクションの実行が要求される。図3に示したように、レーザ・コンソール10は、それら必要なアクションを実行するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する。
【0052】
操作者は、「自動較正」モード200を選択するには、キーボード116上の「MODE」ボタンを反復して押下して、ディスプレイ117上に「モード:自動較正」というメッセージを表示させる。
【0053】
続いて操作者が、自動較正プロシージャを実行させる意志のあることをコンファームすると、プロセッサ114上のソフトウェアが、パワー・メータである検出機構70を適正位置に配置するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示し(ステップ210)、更にこの時点で、その位置合わせを補助するために照準用レーザ・ダイオード113をオンにする。
【0054】
検出機構70を適正位置に配置したことを操作者がコンファームしたならば(このコンファームの有無は「CAN/NO」ボタンと「SEL/YES」ボタンとのいずれが押下されたかによって示される)、制御ソフトウェアは、安全眼鏡を着用するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示し(ステップ220)、しかる後に、自動較正プロシージャを開始する。この自動較正プロシージャの先頭の部分では、スポット・サイズを1.5mmに設定させる(ステップ230)。このスポット・サイズの設定はSLA30に装備されているサム・ホイールを操作者が手動で回転させて1.5mmの位置に合わせることによって行われる。またこの時点で、自動較正作業をキャンセルするか、或いは、足踏ペダル121を踏下するかの、いずれかを行うよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ260)。そして、足踏ペダル121が踏下されたならば、レーザ・ダイオード103をオンにしてレーザ・ビームを射出させる。このレーザ・ビームの射出は、プロセッサ114上で走らせているソフトウェアが、システムの内部での較正作業を完了するのに十分な長さの時間に亘って行われる。続いて、レーザ・ダイオード103をオフにした後に、スポット・サイズを2.5mmに設定するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示し(ステップ240)、再びレーザ・ビームを射出させる。続いて、このソフトウェアは、スポット・サイズを4.3mmに設定するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示し(ステップ250)、そして、操作者が足踏ペダルを踏下したならば、再びレーザ・ビームを射出させる。尚、操作者に足踏ペダルを踏下するよう促すためのプロンプトを表示するようにしている(ステップ260)。
【0055】
検出機構70が測定したレーザ・パワーの値に基づいて、自動較正プロシージャが成功したか否かを判定し、成功したと判定された場合には、自動較正プロシージャが成功したことを操作者に対して表示する。一方、失敗したと判定された場合には、修復のためのアクションを実行するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する。ここでいう修復のためのアクションとは、例えば、光ファイバ20を交換すること及び/または光学部材を清掃することなどであり、それらが行われたならば、自動較正プロシージャを再び実行するようにすればよい。
【0056】
以上に説明した自動較正プロシージャについては、本願の同時係属出願である国際特許出願PCT/AU2006/000721号(発明の名称:A laser calibration method and system(レーザ較正の方法及びシステム)、国際出願日:2006年5月29日)に更に詳細に記載されており、同国際特許出願の開示内容はこの言及をもって本願開示に組込まれたものとする。
【0057】
パラメータの設定
図4〜図6に示したのは、処置適用デバイス(照射デバイス)10を使用して医療処置プロシージャを実行する際に必要とされる様々なパラメータの値を設定するための一連のステップのフローチャートである。それらパラメータのうちには、少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用量パラメータとが含まれ、ここで投与量パラメータとは、例えば患者に注射するICGの量であり、また処置適用量パラメータとは、例えば医療処置プロシージャに用いるレーザ・パワーなどである。「パラメータ設定」モード300においては、レーザの出力パワーを決定するための様々な医療関連パラメータを操作者が入力するのをガイドする。レーザ・パワーの設定値は、プロセッサ114で走らせているソフトウェアが、以下の2つの計算式に従って算出する。
【0058】
【数1】
【0059】
【数2】
【0060】
以上の式において、
SZ=SLA30に設定したスポット・サイズ、
Mag=レチナ・レーザ・レンズ(前述したコンタクト・レンズ)60の倍率(通常は1.5である)、
Klaser=155.03875W/mm2(これは放射照度の定数である)、
Kpig1=第1の色素係数、
Kpig2=第2の色素係数、
P1=第1回のレーザ照射に用いる出力パワー(単位:ワット)、
P2=第2回のレーザ照射に用いる出力パワー(単位:ワット)、
である。
【0061】
第1の色素係数及び第2の色素係数の値は、患者の眼の色素レベルの検査結果に基づいて定める。1つの構成例においては、下表の値を用いるようにしている。
【0062】
【表1】
【0063】
色素レベルが中及び高の場合には、第2回のレーザ照射に用いる出力パワーP2を、第1回のレーザ照射に用いる出力パワーP1より大きくしている。
【0064】
第1回のレーザ照射を開始するとき、第2回のレーザ照射を開始するとき、それに、基本的パラメータが変更されたときには、出力パワーの算出をやり直すようにしている。出力パワーの算出は、プロセッサ114上で走らせているソフトウェアが実行する。
【0065】
操作者は、「パラメータ設定」モード300を選択するには、「MODE」ボタンを反復して押下して、ディスプレイ117上に「モード:パラメータ調節」というメッセージを表示させる。
【0066】
この時点で、操作者に対して4つの選択肢が提示され、それら選択肢は以下の通りである。
・病変部の最大差し渡し寸法(GLD)、ステップ310(図4参照)、
・患者の体重、ステップ320(図5参照)、
・レチナ・レーザ・レンズの倍率、ステップ330(図5参照)、
・色素レベル、ステップ340(図6参照)。
【0067】
操作者は「INC」ボタン及び「DEC」ボタンを押下することによってそれら選択肢の間で移動することができる。操作者は、個々の選択肢へ移動することによって、その選択肢の値を患者の特性に従って変更することができる。
【0068】
病変部寸法GLDを設定するモードが選択されたならば(ステップ310)、病変部寸法GLDを設定することのできる3つの選択肢を提示する。操作者は、患者の眼100の病変部の検査結果に従ってそれら選択肢のうちの1つを選択する。第1の選択肢は病変部寸法が1.5mm未満の場合に選択するものであり(ステップ311)、この場合にはスポット・サイズ(SZ)を1.5mmに設定させるようにする(ステップ312)。患者の検査結果に従ってこの選択肢が選択されたならば、SLA30に装備されているサム・ホイールを手動で回転させてそのスポット・サイズに設定するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ312)。この後、このシステムは「モード選択」レベル200へリターンする。
【0069】
一方、操作者からこのシステムに対して、病変部寸法パラメータの値をより大きな値である「1.5mm〜3.0mm」とするように指定することができ(ステップ313)、その場合には、メモリに格納するスポット・サイズ・パラメータの値を「2.5mm」に設定した上で、SLA30を手動で操作してスポット・サイズを2.5mmに設定するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ314)。また、操作者から病変部寸法パラメータの値を「3.0mm超」とするように指定された場合には(ステップ315)、スポット・サイズ・パラメータの値を「4.3mm」に設定した上で、SLA30を手動で操作してスポット・サイズをその大きさに合わせるよう操作者に指示するためのメッセージをプロンプトとしてディスプレイに表示する(ステップ316)。
【0070】
操作者は、キーボード116を操作して、その「INC」ボタン及び「DEC」ボタンを押下することによって、病変部寸法パラメータの複数の選択可能な値の間で移動することができる。そして、操作者が、該当する病変部寸法パラメータの値を選択した上で「SEL/YES」ボタンを押下してその選択をコンファームすることにより、その選択した値に応じたプロンプトがディスプレイ117上に表示される(ステップ312、314、316)。
【0071】
患者の体重もまた、重要なパラメータの1つである。これが重要であるのは、患者に注射して投与すべきインドシアニン・グリーン(ICG)の所要量を決定するのが、患者の体重だからである。然るべきプロンプトが表示されることによって(ステップ320)、操作者が患者の体重を入力できる状態になる。操作者は「SEL/YES」ボタンを押下して「患者体重」モードを選択したならば、続いて「INC」ボタンまたは「DEC」ボタンを押下して、患者の体重として「75kg以下」を入力するか(ステップ321)、或いは「75kg以上」を入力するか(ステップ323)の、いずれか一方を行う。患者の体重として「75kg以上」が入力された場合には、(ディスプレイ117上に表示するプロンプト(ステップ322)によって)150mgのICGを含有する薬剤を2本の注射器に各3mlずつに分けて用意するよう操作者に指示をする。一方、患者の体重として「75kg以下」が入力された場合には、(プロンプト(ステップ324)によって)100mgのICGを含有する薬剤を2本の注射器に各2mlずつに分けて用意するよう操作者に指示をする。
【0072】
以上が完了したならば、「パラメータ設定」メニューへリターンし、操作者は使用するコンタクト・レンズ60のタイプについてのコンファームを行う(ステップ330)。図示した実施の形態では、レンズの選択肢はただ1つしか用意されておらず、「マインスター・ワイド・フィールド(登録商標)1.5mmレンズ」を使用することについてのコンファームを行うよう操作者に求めるプロンプトを表示する(ステップ331)。これとは異なった実施の形態として、レチナ・レーザ・レンズのタイプとして複数のタイプを操作者に選択肢として提示するような実施の形態としてもよい。
【0073】
「パラメータ設定」モードにおいて選択する最後のパラメータは、治療処置を施す眼の色素含有量のレベルである。ディスプレイ117上に然るべきプロンプトが表示されることによって(ステップ340)、操作者は、「色素レベル高」(ステップ341)、「色素レベル中」(ステップ342)、及び「色素レベル低」(ステップ343)のうちから1つを選択できるようになり、それを患者の検査結果に従って選択する。このとき操作者は「INC」ボタン及び/または「DEC」ボタンを押下することによって、それらプロンプト341、342、343の間の切り替えを行うことができる。ディスプレイ117上に該当する色素レベルが表示されたならば、操作者は「SEL/YES」ボタンを押下することで、その色素レベルを選択する。以上が完了したならば、プロセスの流れはトップ・レベル・メニュー200へリターンする。
【0074】
「パラメータ設定」モードにおいて設定された様々なパラメータの値は格納しておき、「処置」モードにおいてそれらの値を利用する。
【0075】
ユーザ設定の設定
図7及び図8に示したのは、処置適用デバイス(照射デバイス)10の様々な設定項目のうちで、操作者の好みに合わせて調節することのできる設定項目の値を選定するための一連のステップのフローチャートである。「ユーザ設定」モード400においては、操作者は、幾つかの補助的パラメータの値を選定することができ、そのような補助的パラメータには、例えばブザー115が発する「ビープ音」の音量や、レーザ・ダイオード113が発する照準用レーザ・ビームの強度などがある。
【0076】
操作者は、「ユーザ設定」モード400を選択するには、「MODE」ボタンを反復して押下して、ディスプレイ117上に「モード:ユーザ設定」というメッセージを表示させる。
【0077】
もし、この状態から操作者が更に「MODE」ボタンを押下したならば、ディスプレイ117上の表示は、その次のモード(「処置」モード)に変化する。一方、この状態から操作者が「SEL/YES」ボタンを押下して「ユーザ設定」モードに入ったならば、その値を変更することのできる複数のパラメータが操作者に提示される。操作者はキーボード116上の「INC」ボタン及び/または「DEC」ボタンを押下することによってそれらパラメータの間で移動することができる。然るべきプロンプトが表示されることにより、操作者が音量レベルを調節することができる状態になる(ステップ410)。「INC」ボタンまたは「DEC」ボタン」を押下することによって、音量レベルを4から9までの数字で表されるレベルに調節することができる。また、音量の現在設定値を表示するメッセージが表示される(ステップ411)。
【0078】
以上と同様の方法で、図8に示したように、然るべきプロンプトを表示することによって(ステップ420、ステップ421)、操作者が照準用レーザ・ビームの強度を2から9までの数字で表される強度に調節することができるようにしている。既述のごとく、この照準用レーザ・ビームは、出力パワーが比較的弱い可視光のレーザ・ビームであり、後続の治療処置プロシージャにおいて使用するレーザ・ビームの位置合わせ及び照準のために用いられるものである。
【0079】
処置モード
患者及び操作者の具体的な要求条件に応じて様々な医療処置関連パラメータ並びにユーザ設定の値に調節を施したならば、医療処置プロトコルを開始することができる。
【0080】
図13に示したのは、処置プロトコルの全体図900である。また、図9〜図12は、この処置プロトコルを更に詳細に示した図である。この処置プロトコルは、タイミング・シーケンスを有するプロトコルである。そして、以下に説明する制御ソフトウェアは、そのタイミング・シーケンスに従って処置を実施するように、操作者をガイドをするためのソフトウェアである。
【0081】
医療処置プロシージャ(治療処置プロシージャ)は、ステップ902から開始する。ステップ904では、「パラメータ設定」モードでセーブしておいた情報901をディスプレイ117上に表示して、様々なパラメータの値が適切に設定されていることを操作者に確認させる。次にステップ906では、操作者に指示をして、第1の注射器のICGを患者に注射させる。続いて、1800秒間が経過するのを待つための待機期間に入り(ステップ908)、その待機期間が経過したならば、操作者に指示をして、第2の注射器のICGを患者に注射させる(ステップ910)。プロセッサ114上で走らせているソフトウェアは、操作者にこれらステップ906〜908を実行させるために、この医療処置プロシージャ(治療処置プロシージャ)の実行中の適切な時点で、プロンプトないし指示を提示することにより操作者をガイドする。
【0082】
2本の注射器のICGが患者に注射されたならば、続いてステップ912では、操作者に指示をして、患者の眼の治療部位へ出力パワーP1のレーザ・ビームを100秒間に亘って照射させる。操作者は、足踏ペダル121を踏下することによってそのレーザ・ビームの照射を行う。レーザ・ビームの出力設定値である出力パワーP1の値は、プロセッサ114上で走らせているソフトウェアが、「パラメータ設定」モードにおいて入力された情報901に基づいて決定するものである。
【0083】
第1回のレーザ照射が完了したならば、もう一度、1800秒間が経過するのを待つための待機期間に入る(ステップ914)。制御システム90は、この待機期間を計時し、この待機期間の終了時刻が近付いたならば操作者に対して警告を発する。続いてステップ916では、操作者に指示をして、治療部位へ出力パワーP2のレーザ・ビームを100秒間に亘って照射させる。この出力パワーP2の値も、「パラメータ設定」モードにおいて入力された情報901に基づいて算出されるものである。
【0084】
この医療処置プロシージャ(治療処置プロシージャ)は以上で完了し、制御ソフトウェアは、より上位のレベルにある「選択メニュー」へリターンする(ステップ918)。
【0085】
次に図9〜図12について説明する。それらの図に示したのは、先に説明したレーザ・ユニット10を処置適用デバイス(照射デバイス)として用いてICG注入下の光凝固術を実施する際に操作者をガイドするために実行する、一連のステップ500のフローチャートである。
【0086】
処置を開始すべきことを操作者がコンファームしたならば(このコンファームはプロンプト505に応答して「SEL/YES」ボタンを押下することによって行われる)、このシステムは先ず、処置を開始する前に完了していなければならない複数の重要なアクションが実際に完了していることをコンファームするよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する。これによって、このシステムが、既にこのシステムに入力されている様々なパラメータに基づいて医療処置プロトコル(治療処置プロトコル)を適切に実行できるようにしている。
【0087】
操作者は、「処置」モードを選択するには、「MODE」ボタンを反復して押下して、ディスプレイ117上に「モード:処置」というメッセージを表示させる。
【0088】
別法として、キーボード116上の「Treat」ボタンを押下して、「処置」モード500を直接起動するようにしてもよい。
【0089】
「処置」モード500においては、先ず最初に(ステップ510でディスプレイ117上にプロンプトを表示することによって)自動較正が最近に実施されたことをコンファームするよう操作者に求める。1つの構成例においては、少なくとも治療処置を10回実施するごとに1回は、自動較正が実施されることを必須要件としている。続いて、このシステムは、患者の体重と、ICGの投与量とについてのコンファームを求める。それには例えば、ステップ520でプロンプトを表示し、そのプロンプトにおいて、2本の注射器に各3mlの薬剤を充填したものを用意するよう操作者に指示すると共に、それを用意したことをコンファームするよう操作者に求める。操作者は、その指示に従わないのであれば「CAN/NO」ボタンを押下し、またその指示に従ったのであれば「SEL/YES」ボタンを押下して、そのプロンプトに応答する。
【0090】
以上に続いて、ステップ530でディスプレイ上にプロンプトを表示し、そのプロンプトにおいては、病変部寸法の選択値を表示すると共に、その病変部寸法の選択値がSLA30に設定したスポット・サイズに適合していることをコンファームするよう操作者に指示する。続いてこのシステムは、使用するコンタクト・レンズ60についてコンファームするよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ540)。図示例ではコンタクト・レンズ60として「マインスターWF(登録商標)レンズ」を使用することを表示している。更にこのシステムは、色素濃度パラメータの設定値が適切であることをコンファームするよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ550)。以上のプロンプトの表示(ステップ510、520、530、540、550)は、最終的な安全確認のためのものであり、それらプロンプトを表示することにより、このシステムに用いる様々なパラメータの設定値が確実に、治療対象の患者に適合したものとなるようにしている。
【0091】
続いてこのシステムは、第1回の投与分のICGを注射して患者の循環血液中に導入するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ560)。操作者は、このの第1回の注射を行ったならば、「SEL/YES」ボタンを押下することにより、その注射を行ったことをコンファームする。一方、操作者は、この処置プロシージャを中止することもでき、それには「CAN/NO」ボタンを押下すればよい。第1回の注射を行ったことがコンファームされたならば、プロセッサ114上のソフトウェアは、カウントダウン用のタイマを「1680秒後」にタイムアウトするように設定する。また、このタイマの現在値をディスプレイ117上に表示する(ステップ610)。操作者はこのタイマをキャンセルすることもでき、それには「CAN/NO」ボタンを押下すればよい。
【0092】
タイマがそのカウントダウンを完了してタイムアップしたならば、その時点で、制御ソフトウェアはタイマをリセットしてタイムアウトを「120秒後」に再設定すると共に、ブザー115による連続ビープ音の鳴動を開始させる(ステップ615)。続いてこのシステムは、そのタイマのカウントダウンを行いつつ、安全眼鏡を着用した上でそれを着用したことをコンファームするよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ620)。操作者が「SEL/YES」ボタンを押下することで、安全眼鏡を着用したことをコンファームしたならば、プロセッサ114上のソフトウェアは、ブザー115の鳴動を停止させ、照準用レーザ・ダイオード113をオンにする。続いて、患者の眼にコンタクト・レンズ60を装着した上でそれを装着したことをコンファームするよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ640)。続いて、病変部に照準用レーザ・ビームを位置付けた上でそのアクションを完了したことをコンファームするよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ650)。また、このときディスプレイ117にはタイマT1のステータスを表示しておく(ステップ660)。
【0093】
上でタイムアウトを「120秒後」に設定したタイマのカウントダウンが完了したならば(操作者はこのカウントダウンが行われている間に、安全眼鏡を着用し、患者の眼にコンタクト・レンズ60を装着し、照準用レーザ・ビームの位置付けを完了している)、タイマをリセットしてタイムアウトを「60秒後」に再設定する(ステップ675)。そして、第2の注射器に充填してある第2回の投与分の薬剤を患者に注射するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ670)。このプロンプトでは、更に、その第2の注射器の薬剤を患者に注射したことをコンファームするよう操作者に求め、このコンファームは「SEL/YES」ボタンを押下することによって行われる。もし60秒以内にそのコンファームが行われなかったならば、この処置プロシージャを自動的にタイムアウト扱いとし、ディスプレイ117上に「処置:タイムアウト」というメッセージを表示する(ステップ676)。
【0094】
続いてこのシステムはステップ685で、タイムアウトを「90秒後」に設定し、タイマのカウントダウンを開始する。そして、ディスプレイの画面に、そのタイマを表示すると共に、レーザの出力パワーを表すパラメータの算出値P、レンズ倍率、及びスポット・サイズを表示する(ステップ680)。図示した具体例では、「P=375mW」、「L=1.5」、及び「SLA=1.5(スポット・サイズが1.5mm)」と表示されている。また、タイマがカウントダウンの完了30秒前になったならば、長ビープ音を3回鳴動させる。タイマがカウントダウンの完了20秒前になったならば、長ビープ音を2回鳴動させ、更に、カウントダウンの完了10秒前になったならば長ビープ音を1回鳴動させる。完了5秒前からは1秒ごとにビープ音を鳴動させる。90秒のカウントダウンが完了した時点で、このシステムは、足踏ペダル121を踏下するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ710)。もし、操作者が60秒以内に足踏ペダルを踏下しなかったならば(この60秒のカウントダウン時間はステップ705で設定する)、この処置プロシージャをタイム・アウト扱いとし、エラー信号を表示する。尚、操作者はこの処置プロシージャを任意にキャンセルすることもでき、それには「CAN/NO」ボタンを押下すればよい。
【0095】
操作者が足踏ペダル121を踏下したならば、ブザー115を鳴動させて、メイン・レーザ・ダイオード103をオンにする(ステップ720)。この時点で、患者は処置の準備ができており、患者の眼には処置を施すためのコンタクト・レンズが装着されている。ステップ725では、タイマのタイムアウトを「100秒後」に設定してカウントダウンを開始する。メイン・レーザ・ビームの照射中は、出力パワー、レンズ倍率、及びスポット・サイズをディスプレイに表示しておくと共に、エネルギ累積供給量(DE)のインジケータを併せて表示しておく(ステップ730)。その表示画面には更に、第1回のレーザ照射を実行中であることも表示しておく(ステップ730)。
【0096】
レーザ照射を行っている間は、操作者は足踏ペダル121を踏下し続けている必要がある。操作者が足踏ペダル121を踏下するのを止めたならば、レーザ・ダイオード103をオフにして、カウントダウンを一時停止する(ステップ735)。操作者は、足踏ペダル121を再び踏下することで、カウントダウン及びレーザ照射を再開することができる(ステップ736)。足踏ペダル121が踏下されていない状態が30秒以上に亘って継続した場合には、このシステムは、タイムアウト・メッセージを表示する。操作者は、この処置プロシージャをキャンセルすることもでき、それには「CAN/NO」ボタンを押下すればよい。
【0097】
上でタイムアウトを「100秒後」に設定したタイマのカウントダウンが完了したならば、その時点で、プロセッサ114上の制御ソフトウェアは、処置用レーザ・ダイオード(メイン・レーザ・ダイオード)103及び照準用レーザ・ダイオード113をオフにする(ステップ740)。続いてステップ745において、タイマのタイムアウトを「1680秒後」に設定してカウントダウンを開始する。エネルギ累積供給量(DE)のインジケータは、ディスプレイ上に引き続き表示しておき、それに加えて、レーザ・アセンブリ80がスタンバイ・モードにあることを併せて表示しておく(ステップ750)。図示した具体例では、エネルギ累積供給量が「4205J」であることが表示されている。
【0098】
上でタイムアウトを「1680秒後」に設定したタイマのカウントダウンが完了したならば、その時点で、タイマをリセットしてタイムアウトを「120秒後」に再設定し(ステップ765)、以上によって合計1800秒の遅延時間を確保する。これに続いて、ブザー115を鳴動させて連続ビープ音を発生させることにより、操作者に対して警告を発する(ステップ760)。これに応えて操作者が「SEL/YES」ボタンを押下したならば、プロセッサ114はビープ音の鳴動を停止させ、照準用レーザ・ダイオード113をオンにする(ステップ770)。続いて、処置を施そうとする患者の眼にコンタクト・レンズ60を装着した上でそれを装着したことをコンファームするよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ775)。続いて、プロセッサ114上のソフトウェアは、病変部を含む領域である処置対象領域に照準用レーザ・ビームを位置付けるよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ780)。操作者が(「SEL/YES」ボタンを押下することによって)これを行ったことをコンファームしたならば、第2回のレーザ照射の準備をするよう操作者を促すためのプロンプトを表示する(ステップ790)。操作者が「SEL/YES」ボタンを押下するか、上でタイムアウトを「120秒後」に設定したタイマのカウントダウンが完了するかの、いずれかの事象が発生したならば、タイマをリセットしてタイムアウトを「60秒後」に再設定し(ステップ816)、足踏ペダルを踏下するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ810)。このとき更に、レーザの出力パワーの設定値P、レンズ倍率、及びスポット・サイズを併せて表示する。
【0099】
操作者が60秒間のタイム・ウインドウの中で足踏ペダルを踏下しなかった場合には、ブザー115を鳴動させて警告を発する(ステップ815)。
【0100】
一方、足踏ペダル121が踏下されたならば、メイン・レーザ・ダイオード103をオンにし(ステップ820)、タイマのタイムアウトを「100秒後」に設定してカウントダウンを開始する(ステップ830)。また、エネルギ累積供給量(DE)のインジケータを表示すると共に、出力パワー、レンズ倍率、及びスポット・サイズを表示し、更に、現在実行中のレーザ照射がレーザ・アセンブリ80による第2回のレーザ照射であることを表示しておく(ステップ840)。既述のごとく、第2回のレーザ照射に用いる出力パワーP2を、第1回のレーザ照射で用いる出力パワーP1より強くすることがある。出力パワーP1とP2との間の相対的強度は、色素レベルに関連したパラメータKpigに従って決定されるものである。
【0101】
レーザ照射を行っている間は、操作者は足踏ペダル121を踏下し続けている必要がある。操作者が足踏ペダル121を踏下するのを止めたならば、レーザ照射及びカウントダウンを一時停止する(ステップ845)。操作者は、足踏ペダル121を再び踏下することで、レーザ照射及びカウントダウンを再開することができる(ステップ846)。足踏ペダル121を踏下していない状態が30秒以上に亘って継続した場合には、処置適用デバイス(照射デバイス)10は、連続ビープ音の鳴動を開始し、足踏ペダル121が再び踏下されるまでその鳴動を継続する。
【0102】
上でタイムアウトを「100秒後」に設定したタイマのカウントダウンが完了したならば、その時点で、治療処置用レーザ・ダイオード(メイン・レーザ・ダイオード)103及び照準用レーザ・ダイオード113をオフにする(ステップ847)。このとき、エネルギ累積供給量(DE)のインジケータは、ディスプレイ117上に引き続き表示してあり(ステップ850)、また、操作者は、トップ・レベルのメニュー表示画面(自動較正モード画面200)にリターンできるようにしてある。以上に説明した処置プロシージャは、そのプロシージャの実行中の様々な段階で、操作者がみずからの意志によりそのプロシージャをキャンセルできるようにすることができ、また、タイムアウト時間が経過することによってキャンセルの処理が行われるようにすることができる。
【0103】
当業者には容易に理解されるように、本発明の範囲に包含されると考えられる処置プロシージャないし診断プロシージャは、人間である患者を対象としたプロシージャとすることもできれば、罹患動物を対象としたプロシージャとすることもできるものである。
【0104】
以上の詳細な説明においては、具体例としての本発明の1つの実施の形態について詳述したが、容易に理解されるように、本発明は、以上に開示した実施の形態のみに限定されるものではない。即ち、本発明は、特許請求の範囲に記載して定義した本発明の範囲から逸脱することなく、様々な別構成、改変構成、或いは代替構成となし得るものである。例えば、国際特許出願公開WO02/094260号公報には、用いるレーザの波長を、700nm〜900nmの波長領域内の波長(好ましくは805nm)とすることや、レーザの照射時間を、40秒〜150秒の範囲内の照射時間(好ましくは100秒)とすることなどが記載されており、同国際特許出願公開公報の開示内容はこの言及をもって本願開示に組込まれたものとする。更に、使用するICGの投与量も様々な量とすることができ、レーザ・ビームの光路中に配設するレンズも様々なものとすることができる。
【0105】
以上に説明した制御システムは、プロセッサで走らせるソフトウェアにより構築したものであり、またそのプロセッサとしては、レーザ・ユニット10に内蔵されているプロセッサを利用することが好ましい。ただし、例えば処置関連パラメータの値を算出するタスクや、操作者に対する指示をディスプレイ上に表示するタスクなどの、ソフトウェアにより構築する様々なタスクの幾つかまたは全てを、その他のコンピュータ・デバイス上を走らせるソフトウェアにより構築するようにし、そして、そのようなコンピュータ・デバイスどうしを、及び/または、そのようなコンピュータ・デバイスとレーザ・ユニット10とを、互いに通信可能に接続するようにしてもよい。また、そのためのソフトウェア命令は、例えばフロッピー(登録商標)・ディスク、磁気テープ、CD−ROM、DVD、ハード・ディスク・ドライブ、それに光磁気ディスクなどのコンピュータ読取可能な媒体に格納するようにしてもよく、或いはまた、例えばPCMCIAカードなどのコンピュータ読取可能なカードに格納するようにしてもよい。ソフトウェアであるコンピュータ・プログラムが記録されたコンピュータ読取可能な媒体は、取りも直さずコンピュータ・プログラム製品である。また、以上に説明したシステムの様々な機能のうちの1つまたは幾つかを、例えば特定用途向け集積回路などの専用のハードウェアによって実行するようにしてもよい。
【0106】
以上から明らかなように、ここに説明した様々な構成は、コンピュータ並びにデータ処理の分野において利用可能な構成であり、また、医療処置の分野において利用可能な構成である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1A】患者の眼にレーザ・エネルギを供給するためのレーザ・システムを模式的に示した図であり、このレーザ・システムは、レーザ・ユニットと導光路とを備えたものである。
【図1B】検出機構を備えたレーザ・システムを示した図であり、その検出機構は、導光路の末端に装備されており、レーザ・ユニットの較正を実施するためのフィードバック信号を供給するものである。
【図1C】処置適用デバイス(照射デバイス)を示した模式図であり、この処置適用デバイス(照射デバイス)は、図1Aのレーザ・ユニットを備えると共に、制御システム、ディスプレイ、及びユーザ入力装置を有しており、それらによって、操作者がレーザ・ユニットとインターアクトできるようにしたものである。
【図1D】図1Cのシステムを更に詳細に示した模式図である。
【図2】図1A〜図1Dのシステムをi−MP術を実施するための処置適用デバイス(照射デバイス)として使用する場合に、そのシステムにおいて実行されるモード選択プロセスを示したフローチャートである。
【図3】「自動較正」モードにおいて実行される一連のステップのフローチャートである。
【図4】「パラメータ設定」モードにおいて実行される一連のステップのうちの第1部分に含まれるステップのフローチャートである。
【図5】「パラメータ設定」モードにおいて実行される一連のステップのうちの第2部分に含まれるステップのフローチャートである。
【図6】「パラメータ設定」モードにおいて実行される一連のステップのうちの第3部分に含まれるステップのフローチャートである。
【図7】「ユーザ設定」モードにおいて実行される一連のステップのうちの第1部分に含まれるステップのフローチャートである。
【図8】「ユーザ設定」モードにおいて実行される一連のステップのうちの第2部分に含まれるステップのフローチャートである。
【図9】「処置」モードにおいて実行される一連のステップのうちの第1部分に含まれるステップのフローチャートである。
【図10】「処置」モードにおいて実行される一連のステップのうちの第2部分に含まれるステップのフローチャートである。
【図11】「処置」モードにおいて実行される一連のステップのうちの第3部分に含まれるステップのフローチャートである。
【図12】「処置」モードにおいて実行される一連のステップのうちの第4部分に含まれるステップのフローチャートである。
【図13】治療処置プロシージャの全体を示したフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療処置プロシージャ及び診断処置プロシージャに関する。また、その1つの具体的な形態においては、本発明は、体外物質を患者の体内に導入することと処置適用デバイスを使用することとを組合せた治療処置プロシージャに用いる制御システム及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療処置プロシージャないし診断処置プロシージャのうちには、患者の体内に物質を導入し、その導入した物質の作用によって、そのプロシージャのために使用する処置適用デバイス(照射デバイスなど)の医療効果ないし診断効果を向上させるようにしたプロシージャが数多く存在している。その種のプロシージャの1つの具体例として、放射性物質を患者の体内に導入した後に、その放射性物質をX線装置で検出するというプロシージャがある。医師は、検査部位を含む領域内におけるその放射性物質の分布を見ることにより、癌などの病変部がどれほどの広さに亘っているのかを判断することができる。
【0003】
また、この種のプロシージャのうちには、以上とは逆の作用を利用したものもあり、そこでは、患者の体内に導入する物質として染色剤などのコントラスト増強剤を使用しており、これは、X線装置から放射されたX線光子が、患者の身体を通過する際に、そのコントラスト増強剤によって選択的に遮断されるようにしたものである。また、コントラスト増強剤としての染色剤と、MRI装置とを使用するプロシージャも、これと同様の原理に基づいたものであり、そこでは、その染色剤を利用して、検査部位の磁気特性を変化させるようにしている。
【0004】
この種のプロシージャの更に別の1つの具体例として、フォトダイナミック・セラピーがあり、これは、癌細胞に選択的に吸収される化学物質に、放射線を照射するようにしたプロシージャである。治療部位に集中的に放射線を照射して、その化学物質を分解することによって、その化学物質から、癌細胞に対して毒性を有する別の化学物質を放出させるようにしたものである。これと同様の作用機序に基づいた別のプロシージャとして、インドシアニングリーン投与下の光凝固術(i−MP術)があり、これは、例えば加齢黄斑変性症(AMD)などの、脈絡膜疾患に対する医療処置として実施されるプロシージャである。
【0005】
AMDには、滲出期に入ると、網膜の直下に新生血管が形成されてくるという特徴を有する。このことは、脈絡膜新生血管形成(CNV)と呼ばれており、形成された新生血管が滲出性を有するため、黄斑部の出血及び浮腫が発生し、その結果、網膜剥離が発生したり、傷が形成されたりすることがあり、最終的には、回復不可能な視力喪失に至るおそれもある。また、このようなCNV型の症状を形成するに至る疾病としては、AMDの他にも、例えば病的近視や網膜色素線条症などをはじめとする、特発性及び炎症性の病因により発症する様々な疾病が存在する。
【0006】
ICG投与下の光凝固術(i−MP術)と呼ばれている治療処置プロシージャの作用機序は、治療処置の対象となる組織に導入したインドシアニングリーン(ICG)を、波長が805nmの弱い連続レーザの照射によって光活性化することで、隣接領域の神経構造や組織を殆どないし全く損傷することなく選択的に血管を閉塞させるというものである。この治療処置の作用効果は、ICGが高濃度で取り込まれた病的組織とレーザ・エネルギとの間の光化学反応によって、CNV発生部位の選択的壊死を引き起こすことにより得られるものである。この治療処置によれば、視力の回復ないし安定化という治療効果、並びに疾病の進行抑制という治療効果を期待することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このi−MP術のような医療処置技法ないし診断処置技法には幾つもの重大な問題が付随しており、それら問題のために、この種の処置技法は過度に複雑なものとなっており、また高コストのものとなっている。最も重大な短所は、この種の処置技法の作用機序が、患者の体内に導入する化学物質と、例えばレーザやX線装置などの処置適用デバイス(照射デバイス)との間の相互作用に基づいており、その相互作用が極めて複雑であることにある。即ち、この種の処置技法のプロシージャが複雑であるために、そのプロシージャを実施する際に、そのプロシージャのための化学物質を患者の体内に導入することに伴うエラーが発生する余地、及び/または、しばしば余りにも複雑で繊細な装置の使用に伴うエラーが発生する余地が、随分と大きなものとなっているのである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の局面においては、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための、コンピュータが実行する制御方法が提供され、この制御方法は、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定するステップと、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示する表示ステップと、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を提示する提示ステップと、
を含むことを特徴とする方法である。
【0009】
本発明の更なる1つの局面においては、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための、コンピュータが実行する制御方法が提供され、この制御方法は、
患者の体内に導入すべき体外物質の投与量を患者関連データに基づいて決定するステップと、
患者の治療部位に適用すべき処置適用デバイスの出力目標値を前記患者関連データに基づいて算出するステップと、
前記体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための複数のプロンプトを前記治療処置プロシージャのタイミング・スケジュールに従って表示するステップと、
前記治療部位に前記処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための複数の指示を前記タイミング・スケジュールに従って提示するステップと、
を含むことを特徴とする方法である。
【0010】
本発明の更なる1つの局面においては、患者の眼の黄斑変性症を治療する治療処置プロシージャを制御するための、コンピュータが実行する制御方法が提供され、この制御方法は、
患者に関連したデータを受取るステップと、
受取った前記データに基づいて患者の体内に導入すべき体外物質の量を決定するステップと、
患者の眼の治療部位に照射すべきレーザの出力パワー目標値を算出するステップと、
前記体外物質を複数回に分けて投与することによって患者の体内に導入するよう操作者に指示するための複数のプロンプトを前記治療処置プロシージャのタイミング・スケジュールに従って表示する表示ステップと、
レーザ・ビームを複数回に亘って前記治療部位に照射するよう操作者に指示するための複数の指示を前記タイミング・スケジュールに従って提示する提示ステップと、
を含むことを特徴とする方法である。
【0011】
本発明の更なる1つの局面においては、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御システムが提供され、この制御システムは、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定する手段と、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示する表示手段と、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を提示する提示手段と、
を備えることを特徴とするシステムである。
【0012】
本発明の更なる1つの局面においては、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御システムが提供され、この制御システムは、
患者関連データを格納するデータ・ストレージと、
操作者に情報を表示するディスプレイと、
前記データ・ストレージとの間及び前記ディスプレイとの間で通信可能なプロセッサとを備え、
前記プロセッサは、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定し、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示させ、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を表示させるように構成されている、
ことを特徴とするシステムである。
【0013】
本発明の更なる1つの局面においては、データ処理装置の動作を制御するための、マシン読取可能な記録媒体に記録されたマシン読取可能なプログラム・コードから成るコンピュータ・プログラム製品が提供され、このコンピュータ・プログラム製品は、前記データ処理装置上で前記プログラム・コードが実行されることにより、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御方法が実行され、前記制御方法は、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定するステップと、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示する表示ステップと、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を提示する提示ステップとを含む制御方法である、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラム製品である。
【0014】
本発明の更なる1つの局面においては、データ処理装置の動作を制御するための、マシン読取可能な記録媒体に記録されたマシン読取可能なプログラム・コードから成るコンピュータ・プログラム製品が提供され、このコンピュータ・プログラム製品は、前記データ処理装置上で前記プログラム・コードが実行されることにより、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御方法が実行され、前記制御方法は、
患者の体内に導入すべき体外物質の投与量を患者関連データに基づいて決定するステップと、
患者の治療部位に適用すべき処置適用デバイスの出力目標値を前記患者関連データに基づいて算出するステップと、
前記体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための複数のプロンプトを前記治療処置プロシージャのタイミング・スケジュールに従って表示するステップと、
前記治療部位に前記処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための複数の指示を前記タイミング・スケジュールに従って提示するステップとを含む制御方法である、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラム製品である。
【0015】
本発明の更なる1つの局面においては、データ処理装置の動作を制御するための、マシン読取可能なプログラム・コードから成るコンピュータ・プログラムが提供され、このコンピュータ・プログラムは、前記データ処理装置上で前記プログラム・コードが実行されることにより、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御方法が実行され、前記制御方法は、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定するステップと、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示する表示ステップと、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を提示する提示ステップとを含む制御方法である、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に図面を参照しつつ、具体例としての本発明の実施の形態について説明して行く。尚、以下の説明では、複数の図面に亘って同一の参照番号を使用する場合があるが、そのような参照番号は同一ないし対応する構成要素を示すものである。
【0017】
図1Aに示したレーザ・システムは光凝固用レーザ・システムの1つの具体例であり、このようなレーザ・システムは、例えば国際特許出願公開WO02/094260号公報(発明の名称:"New use of Indocyanine Green as a Photosensitive Agent"(インドシアニングリーンの光反応剤としての新規な用途)、発行日:2002年11月28日)に記載されている治療処置プロシージャをはじめとする、種々の治療処置プロシージャを適用する際に利用し得るものである。
【0018】
この光凝固用レーザ・システムは、光凝固用レーザ・ユニット10と、その出力部に連結された導光路とを備えている。レーザ・ユニット10から発せられたレーザ・ビームは導光路の中を伝達される。導光路は、そのレーザ・ビームを適切な状態に整えて、この導光路の末端のデリバリー・ポイントへ供給する。治療処置が実施されているときには、このデリバリー・ポイントは患者の眼100に当てられている。導光路を構成している導光システムは、一般的に、光ファイバ・ケーブル20と、細隙灯アダプタ30と、細隙灯顕微鏡40と、ビーム・スプリッタ50と、導光路の末端のデリバリー・ポイントの構成要素(コンタクト・レンズ60)とを備えている。コンタクト・レンズ60は(治療処置が実施されているときには)通常、治療処置を必要としている眼の領域に接触させてあり、このコンタクト・レンズ60を介してレーザ・ビームを眼内へ入射させることができる。以上に説明したものとは異なる種類の導光路が用いられることもあり、用いられる導光路には、例えば、眼内プローブ、レーザ間接オフサルモスコープ、手術用顕微鏡アダプタなどがある。
【0019】
図1Bに示したのは、自動較正システムを組込んだレーザ・システムの全体図である。コンタクト・レンズ60の背面側に検出機構70が配置されており、この検出機構70は導光路の末端のデリバリー・ポイントにおけるレーザ・ビームのパワーを測定するためのものである。検出機構70は、測定対象のそのレーザ・ビームのパワーを電気信号に変換し、その電気信号を、通信リンク71を介してレーザ・コンソール10の入力部11へ供給する。この電気信号は、もしそれがデジタル信号でない場合にはデジタル信号に変換された上で、レーザ・コンソール10の内部のプロセッサへ供給される。
【0020】
導光路の末端のデリバリー・ポイントにおいて検出機構70により測定されたレーザ・ビームのパワー測定値は、続いて、供給すべきパワーの目標レベル(即ち所要レベル)であるパワー目標値と比較される。この比較によって得られた情報に基づいて、その導光路に対応した較正係数に補正が施される。また、その較正係数に基づいて、レーザ・コンソール10が発生するレーザ・ビームのパワーが制御される。そして、以上によって、発生するレーザ・ビームのパワーが、導光路の影響を補償する大きさのパワーになるようにしている。
【0021】
この構成によれば、医療処置プロシージャの種類によって、用いられる導光路が大きく異なるような場合であっても、発生するレーザ・ビームのパワーを制御して、患者に供給されるレーザ・ビームのパワーを目標レベルにすることができる。
【0022】
この自動較正方式は、更に、導光路の構成要素やレーザ・コンソールの内部の構成要素が取り替えられ、或いは、劣化することによって生じるパワーの偏位にも、好適に対処することができる。
【0023】
以上の自動較正方式によるレーザ・システムの較正作業は、医療処置の実施者がそれを実行したいと考えたときにはいつでも実行し得るものである。尚、1つの構成例として、自動較正を実行しないまま、レーザ・システムを10回を超える医療処置プロシージャに使用しようとしたときには、レーザ・システムがロック状態となって、使用できないようにしたものがある。レーザ・システムの較正が完了したならば、デリバリー・ポイントから検出機構70を除去することによって、患者の眼100に対する医療処置を実施できるようになる。
【0024】
導光路の透過率に偏位が生じるときには、通常、その偏位は、レーザ・ビームのパワーの損失を増大させる方向の偏位として生じるものである。しかるに、例えば、レーザ・システムに対して、その増大した損失を補償するための較正を施した後に、そのレーザ・システムの構成要素のクリーニングまたは交換を行った場合などには、導光路の末端のデリバリー・ポイントに供給されるレーザ・ビームのパワーが、その損失を補償するための較正を施した直後に供給されていたパワーより大きくなってしまうことがあり、その場合、患者に傷害を及ぼすおそれがある。定常的に較正作業を実行するようにすれば、そのような問題を回避することができる。
【0025】
レーザ・コンソールの説明
図1Cに示したのは、処置適用デバイス(ここでは照射デバイス)である、レーザ・ユニット10のシステム全体図である。このレーザ・ユニット10は、具体例として提示する本発明の1つの実施の形態に係る治療処置プロシージャに使用することのできるものである。また、具体例としての実施の形態に関連して、医療処置ないし診断処置のためのシステムとして以下に詳述するのは、先に説明したi−MP術のプロシージャを実施するためのシステムである。
【0026】
ただし、ここでは具体例としての実施の形態をi−MP術に関連して詳述するが、以下に説明する構成は、患者の体内に体外物質を導入した上で処置適用デバイスを使用することによって、それらが協働して医療処置プロシージャを好適に実施できるようにしている様々な医療処置プロシージャにも使用可能なものである。
【0027】
処置適用デバイス10は、制御システム90、レーザ・アセンブリ80、細隙灯アダプタ(SLA)30、ディスプレイ117、キーボード116、それに足踏ペダル121を備えている。レーザ・アセンブリ80はレーザ光凝固システムであり、波長が805nmの連続波レーザ光の制御されたパルスを供給するように構成されている。レーザ・アセンブリ80が供給することのできるパワーは最大で2.5Wまでであり、このレーザ・アセンブリ80の供給パワーは、冗長性を有する安全システムによって常時監視されている。図1Dに示したように、レーザ・コンソール10は、レーザ、レーザ用電源、制御電子回路ボード、電子回路用電源ボード、コントロール・パネル、コントロール・パネル用ボード、及びマイクロコントローラ用ボードを備えており、コントロール・パネルには、ディスプレイ、キーパッド、それに複数のボタンが装備されている。
【0028】
SLA30は、患者の眼にレーザ・ビームを供給する機能を果たすものである。SLA30は一種の光学デバイスであり、光ファイバ・ケーブルと、ガリレオ式顕微鏡と、この光学デバイスを細隙灯顕微鏡に装着するための機械的機構とを備えている。SLA30は細隙灯顕微鏡の光軸に対して同心的に装着され、処置医はこのSLA30を使用することにより、患者の眼の背面部(網膜)を観察しながらレーザを照射することができる。
【0029】
1つの構成例においては、制御システム90、キーボード116、ディスプレイ121及びレーザ・アセンブリ80を同じ1つの筐体の中に組込んだ構成としている。制御システム90は、マイクロプロセッサを用いて構成した電子回路であって、オペレーショナル・ソフトウェアを走らせており、また、レーザ・アセンブリ80の動作の制御、レーザの安全監視機能の制御、それに、ユーザ・インターフェースとの相互作用の制御を行っている。ユーザ・インターフェースには、キーボード116、ディスプレイ117、それにユーザが操作する制御用の操作部材や足踏ペダル121などがある。制御システム90は更に、治療処置プロシージャにおける供給パワーの制御を行うルーチンを走らせている。制御システム90は、マイクロプロセッサ、メモリ、ソフトウェア、それに、電源回路などの様々な関連電子回路により構成されている。
【0030】
図1Dは、レーザ・コンソール10を更に詳細に示した図であり、レーザ・アセンブリ80のシステム構成要素並びに制御システム90のシステム構成要素を示している。メイン・レーザ用電源101は、レーザを発生させるために必要な電流を供給している。メイン・レーザ用パワー制御機構102は、出力パワーが目標パワーになるようにメイン・レーザへ供給する電流を制御するモジュールである。レーザ・ダイオード103は、治療処置プロシージャに使用されるレーザ・ビームを発生するものである。このレーザ・ダイオード103が発生するレーザ光の波長は805nmである。この波長のレーザ光は赤外線領域にあり、人の眼には見えない。レーザは、好ましくは±3nmの許容誤差を有する。レーザ・ダイオード103が発生したレーザ光は、メイン・レーザ用コリメータ・レンズ群104を通過するようにしてあり、このコリメータ・レンズ群104は、そのレーザ光を整形して、光ファイバ・ケーブルの端面に合焦させることのできるレーザ・ビームにするものである。
【0031】
コリメータ・レンズ群104から出射したレーザ・ビームは、続いてビーム・スプリッタ105へ入射する。このビーム・スプリッタ105は、レーザ・ビームを分割するための部分反射鏡であり、レーザ・ビームの一部を反射させてフォトセンサ112へ入射させており、このフォトセンサ112は安全機構の構成要素である。
【0032】
ビーム・スプリッタ105へ入射したレーザ・ビームのうち、このビーム・スプリッタ105で反射されなかった残りの部分は、照準用ビーム・コンバイナ106へ入射している。照準用ビーム・コンバイナ106は、レーザ・ビームを併合するための特殊な鏡であり、レーザ・ダイオード103から到来するメイン・レーザ・ビームに、レーザ・ダイオード113から到来する照準用レーザ・ビームとを併合するものである。照準用レーザ・ビームは可視光ビーム(赤色ビーム)であり、処置医はこの照準用レーザ・ビームを利用してレーザ・ビームの照準を合わせる。1つの構成例においては、この照準用レーザ・ビームの波長を630nm、その最大パワーを1mWとしており、一方、メイン・レーザ・ビームの最大パワーは2.5Wとしている。
【0033】
照準用ビーム・コンバイナ106から出射した併合レーザ・ビームは、光ファイバ結合用レンズ群107に入射しており、このレンズ群107は、そのレーザ・ビームを、導光路を構成している光ファイバ・ケーブルの端面に合焦させている。
【0034】
レーザ・キャビティ111は金属製のボックスであり、その中には、メイン・レーザ・ダイオード103が収容され、また、レーザ・ビームの形状、合焦状態、それに方向を定めるための、上述した光学部品である構成要素104、105、106、107が収容されている。尚、このレーザ・キャビティ111の中に、照準用レーザ・ダイオード113を併せて収容するようにしてもよい。レーザ・キャビティ111の出力ノズルには、導光路110が接続されている。レーザ・キャビティ111は密閉状態としてあり、それによって、内部の光学系を塵埃及び湿気から防護している。レーザ・キャビティ111の出力ノズルには、光ファイバが光結合状態でロックされていることを検出するセンサ108が装備されており、このセンサ108は、光ファイバ・ケーブルがレーザ・コンソール10に連結されているか否かの情報をコントローラに提供している。また、レーザ・コンソール10には、ヒンジを介して機械式レーザ・シャッタ109が連結されており、この機械式レーザ・シャッタ109は、レーザ・コンソール10に導光路デバイスが連結されていないときに出力ノズルを閉塞しておくためのものである。
【0035】
このレーザ・コンソール10に連結される導光路110は、その構成要素として、レーザ・ビームを患者の眼に供給するための光ファイバ・ケーブルを含むものであり、そのような導光路の具体例としては、例えば、眼内プローブ、細隙灯アダプタ、レーザ間接オフサルモスコープ、それに手術用顕微鏡アダプタなどがある。
【0036】
ビーム・スプリッタ105へ入射したレーザ・ビームのうちの一部が、このビーム・スプリッタ105で分岐させられ、メイン・レーザの安全機構の構成要素であるフォトセンサ112へ入射している。このフォトセンサ112はフォトダイオードであり、パワー・レベルを読取って電気信号を生成しており、この電気信号を利用してレーザを安全動作範囲内で動作させるようにしている。
【0037】
プロセッサ114は、レーザ装置の全体の機能を制御するものであり、レーザ・コンソール10の様々な構成要素のうちの多くのものとの間で電気信号の送信ないし受信を行っている。1つの構成例においては、このプロセッサ114を、「8032ファミリー」のマイクロプロセッサと、フラッシュ・メモリと、EEPROMと、ワッチドッグ・ユニットとを備えたものとしており、プロセッサ114は治療処置プロシージャのパラメータが格納されている記録データにもアクセスする。プロセッサ114に接続されているブザー115は、アラーム音、ビープ音、及びその他の音響信号を発生さるためのものである。
【0038】
キーボード116は、処置医などの操作者が治療処置に関連した動作モード及びパラメータを制御するために使用するインターフェースであり、英数字ディスプレイ117は、レーザ・コンソール10を使用している処置医に対して治療処置に関連したデータ及びパラメータを表示するためのインターフェースである。後に図2〜図13を参照して更に詳細に説明するように、レーザ・ユニット(レーザ・コンソール)10の映像出力及び音響出力により、i−MP術の実施中に操作者をガイドできるようにしている。
【0039】
レーザ・パワー設定用ノブ118は回転式のノブとすることが好ましく、処置医はこのノブ118を操作することによって、メイン・レーザのパワーを設定することができる。このレーザ・パワー設定用ノブ118はエンコーダを備えており、プロセッサ114は、そのエンコーダから読出した出力信号の解釈を実行し、その結果をディスプレイ上に表示することで、処置医に対してレーザ・パワー設定値を表示する。
【0040】
パルス持続時間選択用ダイヤル型ボタン119は回転式のノブであり、処置医はこのダイヤル型ボタン119を操作することによって、発射されるレーザ・パルスの持続時間を設定することができる。このダイヤル型ボタン119はエンコーダを備えており、プロセッサ114は、そのエンコーダから読出した出力信号の解釈を実行し、その結果を例えばディスプレイ117などのディスプレイ上に表示することで、処置医に対してパルス持続時間を表示する。
【0041】
パルス間隔選択用ダイヤル型ボタン120は回転式のノブであり、処置医はこのダイヤル型ボタン120を操作することによって、レーザ・パルスの反復間隔を設定することができる。このダイヤル型ボタン120はエンコーダを備えており、プロセッサ114は、そのエンコーダから読出した出力信号の解釈を実行する。
【0042】
足踏スイッチ(足踏ペダル)121は、レーザ・ビームを発射するためのスイッチである。この足踏ペダル121とレーザ・コンソール10との間は光方式で接続してあり、それによって電気的な安全性を確保している。
【0043】
インターロック・ユニット122は、レーザの安全性を更に高めるためにオプションとして装備されることのある装置である。このインターロック・ユニット122は、レーザ・コンソール10にスイッチを接続するための入力部であり、ここに接続したスイッチを操作することによって、外部ドアが不注意に開扉されたときにレーザをディスエーブルすることができる。ユーザがこのリモート・インターロック機能を使用しないことを選択した場合には、レーザを動作可能にするためにはこのインターロック・ユニット122にバイパス・コネクタを挿入しておく必要がある。
【0044】
「オートキー」コネクタ123は、電気回路が内蔵されており、この電気回路は、いかなる導光路がレーザ・コンソール10に連結されているのかを示す情報を、レーザ・コンソール10に供給するものである。レーザ・コンソールに連結して用いられる様々な導光路デバイス110は、その透過率に関する特性が夫々に異なっており、患者の眼100に供給されるレーザ・パワーは、用いられる導光路デバイスの透過率に影響される。オートキー・コネクタ123からレーザ・コンソール10へ情報が供給されることによって、現在用いられている導光路デバイスを、レーザ・コンソール10が認識することができるようにしており、またそれによって、その導光路デバイス110におけるレーザ・パワーの減衰量を補償するような透過率(FAT)の値を、プロセッサ114が算出できるようにしている。
【0045】
電子回路用電源124は、パワー制御機構102の回路と、プロセッサ・ボード114の回路とへ、夫々に所要の電力を供給している。EMI/EMCライン・フィルタ125は、電源サージが発生した場合に、その電源サージによってレーザが動作不良や損傷を生じないように、メイン・ラインから電気ノイズを除去するためのモジュールである。メイン・ケーブル126は、レーザ・コンソール10を電源コンセントに接続するためのケーブルである。スイッチ127は、操作者がレーザ・コンソール10の電源を投入及び切断するためのオン/オフ式スイッチである。
【0046】
キーボード116は複数のボタンを備えており、それらボタンには、操作者が処置適用デバイス10の動作を操作するためのボタンと、操作者が医療処置関連パラメータの値に調節を加えるためのボタンとが含まれている。それらボタンには以下のものがある。
・「Treat」ボタン:これは「処置」モードを直接起動するためのボタンである。
・「Mode」ボタン:これは装置の動作モードを選択するためのボタンである。
・「SEL/YES」ボタン:これはディスプレイに表示されたオプション(選択肢ないし選択値)を選択または承諾するためのボタンである。
・「INC」ボタン:これは選択したパラメータの値を増大させるためのボタンである。
・「DEC」ボタン:これは選択したパラメータの値を減少させるためのボタンである。
・「CAN/NO」ボタン:これはディスプレイに表示されたオプションをキャンセルまたは拒絶するためのボタンであり、実行中のプロセスをキャンセルする場合にもこのボタンを押下する。
・「emergency」ボタン:これは全ての動作を中断させて装置を緊急停止モードにするボタンである。
・「pedal」ボタン:これは足踏ペダルである。
【0047】
モードの選択
図2に示したのは、医療処置システムの「モード選択」プロセス100のフローチャートである。医療処置システムは4つの動作モードを備えており、それらは以下の通りである。
・「自動較正」モード200:このモードは、レーザ・ユニット10の出力パワーの較正作業を実行するときに選択されるモードである。この較正作業は、i−MP術を実施する際に要求される高精度を確保するために必要なものである。この「自動較正」モードは、レーザ・ビームの出力パワーの偏位を補償するように設計されており、レーザ・ビームの出力パワーに偏位が発生する原因には、SLA30に使用されているミラーないしレンズの表面における塵埃の堆積、光ファイバーの損耗、アライメントのずれ、それにレーザ・ダイオード103の経年変化などがある。この「自動較正」モードによる調節可能なレンジは、工場段階で較正が施された設定値の20%であり、この調節によって、仕様に定められた出力パワーの許容誤差の範囲外で装置が使用されてしまうという事態を防止するようにしている。
・「パラメータ設定」モード300:このモードにあるときには、ディスプレイ117上に一連の画面が次々と表示され、それら画面に、治療処置プロシージャに関連した複数の基本的パラメータの値に調節を施すよう操作者に促すためのプロンプトが提示される。それら基本的パラメータには、次のものがある。
○病変部の最大差し渡し寸法(GLD);
○患者の体重;
○レンズの倍率;
○色素濃度;
・「ユーザ設定」モード400:このモードは、操作者が補助的パラメータの値に調節を施すためのモードであり、補助的パラメータには、照準用レーザ・ビームの強度やブザー115の鳴動音の大きさなどがある。
・「処置」モード500:このモードにおいては、先に設定された様々なパラメータの値に従って、メイン・レーザ・ダイオード103が発生する治療処置用レーザ・ビームが患者に照射される。
【0048】
操作者は、モードを選択する際には先ず、「MODE」ボタンを反復して押下して、所望のモードをディスプレイ117上に表示させる。所望のモードがディスプレイ117上に表示されたならば「SEL/YES」ボタンを押下すると、当該モードを実行するための一連のステップが開始される。
【0049】
図2〜図12に示したプロシージャは、プロセッサ114上で走らせているソフトウェアが実行するプロシージャである。このプロシージャが実行されるとディスプレイ117上に操作者に対する様々なプロンプトが表示され、操作者はキーボード116上のボタンを押下し、或いは足踏ペダル121を踏下することによって、ソフトウェアとインターアクトする。場合に応じて、然るべきアクションを実行するよう操作者を促すプロンプトを表示することもあり、ここでいうアクションとは、例えば、安全眼鏡を着用することや、患者に注射をすることなどである。操作者にアクションの実行を要求した場合には通常、そのアクションが完了したことを操作者がコンファームするまでは(このコンファームはキーボード116上のボタンを押下することによって行われる)、このソフトウェアが実行するプロシージャは先に進まないようにしている。ただし、説明を簡明にするために、以下の説明においては、操作者が次のステップへ進む意志があることをコンファームすることを要求するソフトウェアの上のポイントについては、いちいち言及するのを控えることにする。
【0050】
自動較正
図3に示したのは、ある導光路を接続したレーザ・ユニット10の自動較正作業を実行する際に、操作者をガイドするための一連のステップのフローチャートである。「自動較正」モード200を利用することにより、システムのパワー制御機構の精密調節を行うことができ、それによってシステムの構成部品の劣化ないし経年変化の影響を補償することができる。レーザの出力パワーに偏位を生じさせる最も一般的な原因としては、ミラー、レンズ、ないしはフィルタの表面に塵埃が付着すること、光ファイバ・ケーブルの内部に微細亀裂が発生すること、それに、光ファイバ結合部のミスアライメントなどがある。更に、レーザ・ダイオードの経年変化も原因の1つであり、レーザ・ダイオードの経年変化の影響はシステムの内部の閉ループ回路によってある程度までは補償されるものの、その閉ループ回路では影響を補償できないほどの大きなレーザ・ダイオードの劣化が生じることもあり、その場合にはシステムの外部での調節が必要となる。
【0051】
更に、レーザ・ユニット10のような処置適用デバイス(照射デバイス)は、医療機器の安全確保を目的として制定されている様々な規格にも従わねばならない。そのような規格によれば、パワー制御によってパワーの偏位量を20%以下に抑えなければならない。しかしながら、i−MP術にとっては、レーザ・アセンブリ80の放射照度というものは極めて重要であり、そのため、より高精度のパワー制御を行ってパワーの偏位量を5%のレベルにまで低減することが必要とされている。この自動較正作業のプロセスでは、目的に合わせて特別に設計したパワー・メータ70を使用し、このパワー・メータ70は、患者の眼100に対応した位置に配置され、その位置でのレーザ・パワーを測定する。自動較正プロシージャそれ自体は自動的に実行されるが、ただしこのプロシージャの実行中に操作者に対して、パワー・メータを適正位置に配置すること、パワー・メータのケーブル71をレーザ・コンソール10の入力部11に接続すること、それに自動較正ルーチンを開始させる操作を行うことなどのアクションの実行が要求される。図3に示したように、レーザ・コンソール10は、それら必要なアクションを実行するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する。
【0052】
操作者は、「自動較正」モード200を選択するには、キーボード116上の「MODE」ボタンを反復して押下して、ディスプレイ117上に「モード:自動較正」というメッセージを表示させる。
【0053】
続いて操作者が、自動較正プロシージャを実行させる意志のあることをコンファームすると、プロセッサ114上のソフトウェアが、パワー・メータである検出機構70を適正位置に配置するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示し(ステップ210)、更にこの時点で、その位置合わせを補助するために照準用レーザ・ダイオード113をオンにする。
【0054】
検出機構70を適正位置に配置したことを操作者がコンファームしたならば(このコンファームの有無は「CAN/NO」ボタンと「SEL/YES」ボタンとのいずれが押下されたかによって示される)、制御ソフトウェアは、安全眼鏡を着用するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示し(ステップ220)、しかる後に、自動較正プロシージャを開始する。この自動較正プロシージャの先頭の部分では、スポット・サイズを1.5mmに設定させる(ステップ230)。このスポット・サイズの設定はSLA30に装備されているサム・ホイールを操作者が手動で回転させて1.5mmの位置に合わせることによって行われる。またこの時点で、自動較正作業をキャンセルするか、或いは、足踏ペダル121を踏下するかの、いずれかを行うよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ260)。そして、足踏ペダル121が踏下されたならば、レーザ・ダイオード103をオンにしてレーザ・ビームを射出させる。このレーザ・ビームの射出は、プロセッサ114上で走らせているソフトウェアが、システムの内部での較正作業を完了するのに十分な長さの時間に亘って行われる。続いて、レーザ・ダイオード103をオフにした後に、スポット・サイズを2.5mmに設定するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示し(ステップ240)、再びレーザ・ビームを射出させる。続いて、このソフトウェアは、スポット・サイズを4.3mmに設定するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示し(ステップ250)、そして、操作者が足踏ペダルを踏下したならば、再びレーザ・ビームを射出させる。尚、操作者に足踏ペダルを踏下するよう促すためのプロンプトを表示するようにしている(ステップ260)。
【0055】
検出機構70が測定したレーザ・パワーの値に基づいて、自動較正プロシージャが成功したか否かを判定し、成功したと判定された場合には、自動較正プロシージャが成功したことを操作者に対して表示する。一方、失敗したと判定された場合には、修復のためのアクションを実行するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する。ここでいう修復のためのアクションとは、例えば、光ファイバ20を交換すること及び/または光学部材を清掃することなどであり、それらが行われたならば、自動較正プロシージャを再び実行するようにすればよい。
【0056】
以上に説明した自動較正プロシージャについては、本願の同時係属出願である国際特許出願PCT/AU2006/000721号(発明の名称:A laser calibration method and system(レーザ較正の方法及びシステム)、国際出願日:2006年5月29日)に更に詳細に記載されており、同国際特許出願の開示内容はこの言及をもって本願開示に組込まれたものとする。
【0057】
パラメータの設定
図4〜図6に示したのは、処置適用デバイス(照射デバイス)10を使用して医療処置プロシージャを実行する際に必要とされる様々なパラメータの値を設定するための一連のステップのフローチャートである。それらパラメータのうちには、少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用量パラメータとが含まれ、ここで投与量パラメータとは、例えば患者に注射するICGの量であり、また処置適用量パラメータとは、例えば医療処置プロシージャに用いるレーザ・パワーなどである。「パラメータ設定」モード300においては、レーザの出力パワーを決定するための様々な医療関連パラメータを操作者が入力するのをガイドする。レーザ・パワーの設定値は、プロセッサ114で走らせているソフトウェアが、以下の2つの計算式に従って算出する。
【0058】
【数1】
【0059】
【数2】
【0060】
以上の式において、
SZ=SLA30に設定したスポット・サイズ、
Mag=レチナ・レーザ・レンズ(前述したコンタクト・レンズ)60の倍率(通常は1.5である)、
Klaser=155.03875W/mm2(これは放射照度の定数である)、
Kpig1=第1の色素係数、
Kpig2=第2の色素係数、
P1=第1回のレーザ照射に用いる出力パワー(単位:ワット)、
P2=第2回のレーザ照射に用いる出力パワー(単位:ワット)、
である。
【0061】
第1の色素係数及び第2の色素係数の値は、患者の眼の色素レベルの検査結果に基づいて定める。1つの構成例においては、下表の値を用いるようにしている。
【0062】
【表1】
【0063】
色素レベルが中及び高の場合には、第2回のレーザ照射に用いる出力パワーP2を、第1回のレーザ照射に用いる出力パワーP1より大きくしている。
【0064】
第1回のレーザ照射を開始するとき、第2回のレーザ照射を開始するとき、それに、基本的パラメータが変更されたときには、出力パワーの算出をやり直すようにしている。出力パワーの算出は、プロセッサ114上で走らせているソフトウェアが実行する。
【0065】
操作者は、「パラメータ設定」モード300を選択するには、「MODE」ボタンを反復して押下して、ディスプレイ117上に「モード:パラメータ調節」というメッセージを表示させる。
【0066】
この時点で、操作者に対して4つの選択肢が提示され、それら選択肢は以下の通りである。
・病変部の最大差し渡し寸法(GLD)、ステップ310(図4参照)、
・患者の体重、ステップ320(図5参照)、
・レチナ・レーザ・レンズの倍率、ステップ330(図5参照)、
・色素レベル、ステップ340(図6参照)。
【0067】
操作者は「INC」ボタン及び「DEC」ボタンを押下することによってそれら選択肢の間で移動することができる。操作者は、個々の選択肢へ移動することによって、その選択肢の値を患者の特性に従って変更することができる。
【0068】
病変部寸法GLDを設定するモードが選択されたならば(ステップ310)、病変部寸法GLDを設定することのできる3つの選択肢を提示する。操作者は、患者の眼100の病変部の検査結果に従ってそれら選択肢のうちの1つを選択する。第1の選択肢は病変部寸法が1.5mm未満の場合に選択するものであり(ステップ311)、この場合にはスポット・サイズ(SZ)を1.5mmに設定させるようにする(ステップ312)。患者の検査結果に従ってこの選択肢が選択されたならば、SLA30に装備されているサム・ホイールを手動で回転させてそのスポット・サイズに設定するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ312)。この後、このシステムは「モード選択」レベル200へリターンする。
【0069】
一方、操作者からこのシステムに対して、病変部寸法パラメータの値をより大きな値である「1.5mm〜3.0mm」とするように指定することができ(ステップ313)、その場合には、メモリに格納するスポット・サイズ・パラメータの値を「2.5mm」に設定した上で、SLA30を手動で操作してスポット・サイズを2.5mmに設定するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ314)。また、操作者から病変部寸法パラメータの値を「3.0mm超」とするように指定された場合には(ステップ315)、スポット・サイズ・パラメータの値を「4.3mm」に設定した上で、SLA30を手動で操作してスポット・サイズをその大きさに合わせるよう操作者に指示するためのメッセージをプロンプトとしてディスプレイに表示する(ステップ316)。
【0070】
操作者は、キーボード116を操作して、その「INC」ボタン及び「DEC」ボタンを押下することによって、病変部寸法パラメータの複数の選択可能な値の間で移動することができる。そして、操作者が、該当する病変部寸法パラメータの値を選択した上で「SEL/YES」ボタンを押下してその選択をコンファームすることにより、その選択した値に応じたプロンプトがディスプレイ117上に表示される(ステップ312、314、316)。
【0071】
患者の体重もまた、重要なパラメータの1つである。これが重要であるのは、患者に注射して投与すべきインドシアニン・グリーン(ICG)の所要量を決定するのが、患者の体重だからである。然るべきプロンプトが表示されることによって(ステップ320)、操作者が患者の体重を入力できる状態になる。操作者は「SEL/YES」ボタンを押下して「患者体重」モードを選択したならば、続いて「INC」ボタンまたは「DEC」ボタンを押下して、患者の体重として「75kg以下」を入力するか(ステップ321)、或いは「75kg以上」を入力するか(ステップ323)の、いずれか一方を行う。患者の体重として「75kg以上」が入力された場合には、(ディスプレイ117上に表示するプロンプト(ステップ322)によって)150mgのICGを含有する薬剤を2本の注射器に各3mlずつに分けて用意するよう操作者に指示をする。一方、患者の体重として「75kg以下」が入力された場合には、(プロンプト(ステップ324)によって)100mgのICGを含有する薬剤を2本の注射器に各2mlずつに分けて用意するよう操作者に指示をする。
【0072】
以上が完了したならば、「パラメータ設定」メニューへリターンし、操作者は使用するコンタクト・レンズ60のタイプについてのコンファームを行う(ステップ330)。図示した実施の形態では、レンズの選択肢はただ1つしか用意されておらず、「マインスター・ワイド・フィールド(登録商標)1.5mmレンズ」を使用することについてのコンファームを行うよう操作者に求めるプロンプトを表示する(ステップ331)。これとは異なった実施の形態として、レチナ・レーザ・レンズのタイプとして複数のタイプを操作者に選択肢として提示するような実施の形態としてもよい。
【0073】
「パラメータ設定」モードにおいて選択する最後のパラメータは、治療処置を施す眼の色素含有量のレベルである。ディスプレイ117上に然るべきプロンプトが表示されることによって(ステップ340)、操作者は、「色素レベル高」(ステップ341)、「色素レベル中」(ステップ342)、及び「色素レベル低」(ステップ343)のうちから1つを選択できるようになり、それを患者の検査結果に従って選択する。このとき操作者は「INC」ボタン及び/または「DEC」ボタンを押下することによって、それらプロンプト341、342、343の間の切り替えを行うことができる。ディスプレイ117上に該当する色素レベルが表示されたならば、操作者は「SEL/YES」ボタンを押下することで、その色素レベルを選択する。以上が完了したならば、プロセスの流れはトップ・レベル・メニュー200へリターンする。
【0074】
「パラメータ設定」モードにおいて設定された様々なパラメータの値は格納しておき、「処置」モードにおいてそれらの値を利用する。
【0075】
ユーザ設定の設定
図7及び図8に示したのは、処置適用デバイス(照射デバイス)10の様々な設定項目のうちで、操作者の好みに合わせて調節することのできる設定項目の値を選定するための一連のステップのフローチャートである。「ユーザ設定」モード400においては、操作者は、幾つかの補助的パラメータの値を選定することができ、そのような補助的パラメータには、例えばブザー115が発する「ビープ音」の音量や、レーザ・ダイオード113が発する照準用レーザ・ビームの強度などがある。
【0076】
操作者は、「ユーザ設定」モード400を選択するには、「MODE」ボタンを反復して押下して、ディスプレイ117上に「モード:ユーザ設定」というメッセージを表示させる。
【0077】
もし、この状態から操作者が更に「MODE」ボタンを押下したならば、ディスプレイ117上の表示は、その次のモード(「処置」モード)に変化する。一方、この状態から操作者が「SEL/YES」ボタンを押下して「ユーザ設定」モードに入ったならば、その値を変更することのできる複数のパラメータが操作者に提示される。操作者はキーボード116上の「INC」ボタン及び/または「DEC」ボタンを押下することによってそれらパラメータの間で移動することができる。然るべきプロンプトが表示されることにより、操作者が音量レベルを調節することができる状態になる(ステップ410)。「INC」ボタンまたは「DEC」ボタン」を押下することによって、音量レベルを4から9までの数字で表されるレベルに調節することができる。また、音量の現在設定値を表示するメッセージが表示される(ステップ411)。
【0078】
以上と同様の方法で、図8に示したように、然るべきプロンプトを表示することによって(ステップ420、ステップ421)、操作者が照準用レーザ・ビームの強度を2から9までの数字で表される強度に調節することができるようにしている。既述のごとく、この照準用レーザ・ビームは、出力パワーが比較的弱い可視光のレーザ・ビームであり、後続の治療処置プロシージャにおいて使用するレーザ・ビームの位置合わせ及び照準のために用いられるものである。
【0079】
処置モード
患者及び操作者の具体的な要求条件に応じて様々な医療処置関連パラメータ並びにユーザ設定の値に調節を施したならば、医療処置プロトコルを開始することができる。
【0080】
図13に示したのは、処置プロトコルの全体図900である。また、図9〜図12は、この処置プロトコルを更に詳細に示した図である。この処置プロトコルは、タイミング・シーケンスを有するプロトコルである。そして、以下に説明する制御ソフトウェアは、そのタイミング・シーケンスに従って処置を実施するように、操作者をガイドをするためのソフトウェアである。
【0081】
医療処置プロシージャ(治療処置プロシージャ)は、ステップ902から開始する。ステップ904では、「パラメータ設定」モードでセーブしておいた情報901をディスプレイ117上に表示して、様々なパラメータの値が適切に設定されていることを操作者に確認させる。次にステップ906では、操作者に指示をして、第1の注射器のICGを患者に注射させる。続いて、1800秒間が経過するのを待つための待機期間に入り(ステップ908)、その待機期間が経過したならば、操作者に指示をして、第2の注射器のICGを患者に注射させる(ステップ910)。プロセッサ114上で走らせているソフトウェアは、操作者にこれらステップ906〜908を実行させるために、この医療処置プロシージャ(治療処置プロシージャ)の実行中の適切な時点で、プロンプトないし指示を提示することにより操作者をガイドする。
【0082】
2本の注射器のICGが患者に注射されたならば、続いてステップ912では、操作者に指示をして、患者の眼の治療部位へ出力パワーP1のレーザ・ビームを100秒間に亘って照射させる。操作者は、足踏ペダル121を踏下することによってそのレーザ・ビームの照射を行う。レーザ・ビームの出力設定値である出力パワーP1の値は、プロセッサ114上で走らせているソフトウェアが、「パラメータ設定」モードにおいて入力された情報901に基づいて決定するものである。
【0083】
第1回のレーザ照射が完了したならば、もう一度、1800秒間が経過するのを待つための待機期間に入る(ステップ914)。制御システム90は、この待機期間を計時し、この待機期間の終了時刻が近付いたならば操作者に対して警告を発する。続いてステップ916では、操作者に指示をして、治療部位へ出力パワーP2のレーザ・ビームを100秒間に亘って照射させる。この出力パワーP2の値も、「パラメータ設定」モードにおいて入力された情報901に基づいて算出されるものである。
【0084】
この医療処置プロシージャ(治療処置プロシージャ)は以上で完了し、制御ソフトウェアは、より上位のレベルにある「選択メニュー」へリターンする(ステップ918)。
【0085】
次に図9〜図12について説明する。それらの図に示したのは、先に説明したレーザ・ユニット10を処置適用デバイス(照射デバイス)として用いてICG注入下の光凝固術を実施する際に操作者をガイドするために実行する、一連のステップ500のフローチャートである。
【0086】
処置を開始すべきことを操作者がコンファームしたならば(このコンファームはプロンプト505に応答して「SEL/YES」ボタンを押下することによって行われる)、このシステムは先ず、処置を開始する前に完了していなければならない複数の重要なアクションが実際に完了していることをコンファームするよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する。これによって、このシステムが、既にこのシステムに入力されている様々なパラメータに基づいて医療処置プロトコル(治療処置プロトコル)を適切に実行できるようにしている。
【0087】
操作者は、「処置」モードを選択するには、「MODE」ボタンを反復して押下して、ディスプレイ117上に「モード:処置」というメッセージを表示させる。
【0088】
別法として、キーボード116上の「Treat」ボタンを押下して、「処置」モード500を直接起動するようにしてもよい。
【0089】
「処置」モード500においては、先ず最初に(ステップ510でディスプレイ117上にプロンプトを表示することによって)自動較正が最近に実施されたことをコンファームするよう操作者に求める。1つの構成例においては、少なくとも治療処置を10回実施するごとに1回は、自動較正が実施されることを必須要件としている。続いて、このシステムは、患者の体重と、ICGの投与量とについてのコンファームを求める。それには例えば、ステップ520でプロンプトを表示し、そのプロンプトにおいて、2本の注射器に各3mlの薬剤を充填したものを用意するよう操作者に指示すると共に、それを用意したことをコンファームするよう操作者に求める。操作者は、その指示に従わないのであれば「CAN/NO」ボタンを押下し、またその指示に従ったのであれば「SEL/YES」ボタンを押下して、そのプロンプトに応答する。
【0090】
以上に続いて、ステップ530でディスプレイ上にプロンプトを表示し、そのプロンプトにおいては、病変部寸法の選択値を表示すると共に、その病変部寸法の選択値がSLA30に設定したスポット・サイズに適合していることをコンファームするよう操作者に指示する。続いてこのシステムは、使用するコンタクト・レンズ60についてコンファームするよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ540)。図示例ではコンタクト・レンズ60として「マインスターWF(登録商標)レンズ」を使用することを表示している。更にこのシステムは、色素濃度パラメータの設定値が適切であることをコンファームするよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ550)。以上のプロンプトの表示(ステップ510、520、530、540、550)は、最終的な安全確認のためのものであり、それらプロンプトを表示することにより、このシステムに用いる様々なパラメータの設定値が確実に、治療対象の患者に適合したものとなるようにしている。
【0091】
続いてこのシステムは、第1回の投与分のICGを注射して患者の循環血液中に導入するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ560)。操作者は、このの第1回の注射を行ったならば、「SEL/YES」ボタンを押下することにより、その注射を行ったことをコンファームする。一方、操作者は、この処置プロシージャを中止することもでき、それには「CAN/NO」ボタンを押下すればよい。第1回の注射を行ったことがコンファームされたならば、プロセッサ114上のソフトウェアは、カウントダウン用のタイマを「1680秒後」にタイムアウトするように設定する。また、このタイマの現在値をディスプレイ117上に表示する(ステップ610)。操作者はこのタイマをキャンセルすることもでき、それには「CAN/NO」ボタンを押下すればよい。
【0092】
タイマがそのカウントダウンを完了してタイムアップしたならば、その時点で、制御ソフトウェアはタイマをリセットしてタイムアウトを「120秒後」に再設定すると共に、ブザー115による連続ビープ音の鳴動を開始させる(ステップ615)。続いてこのシステムは、そのタイマのカウントダウンを行いつつ、安全眼鏡を着用した上でそれを着用したことをコンファームするよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ620)。操作者が「SEL/YES」ボタンを押下することで、安全眼鏡を着用したことをコンファームしたならば、プロセッサ114上のソフトウェアは、ブザー115の鳴動を停止させ、照準用レーザ・ダイオード113をオンにする。続いて、患者の眼にコンタクト・レンズ60を装着した上でそれを装着したことをコンファームするよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ640)。続いて、病変部に照準用レーザ・ビームを位置付けた上でそのアクションを完了したことをコンファームするよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ650)。また、このときディスプレイ117にはタイマT1のステータスを表示しておく(ステップ660)。
【0093】
上でタイムアウトを「120秒後」に設定したタイマのカウントダウンが完了したならば(操作者はこのカウントダウンが行われている間に、安全眼鏡を着用し、患者の眼にコンタクト・レンズ60を装着し、照準用レーザ・ビームの位置付けを完了している)、タイマをリセットしてタイムアウトを「60秒後」に再設定する(ステップ675)。そして、第2の注射器に充填してある第2回の投与分の薬剤を患者に注射するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ670)。このプロンプトでは、更に、その第2の注射器の薬剤を患者に注射したことをコンファームするよう操作者に求め、このコンファームは「SEL/YES」ボタンを押下することによって行われる。もし60秒以内にそのコンファームが行われなかったならば、この処置プロシージャを自動的にタイムアウト扱いとし、ディスプレイ117上に「処置:タイムアウト」というメッセージを表示する(ステップ676)。
【0094】
続いてこのシステムはステップ685で、タイムアウトを「90秒後」に設定し、タイマのカウントダウンを開始する。そして、ディスプレイの画面に、そのタイマを表示すると共に、レーザの出力パワーを表すパラメータの算出値P、レンズ倍率、及びスポット・サイズを表示する(ステップ680)。図示した具体例では、「P=375mW」、「L=1.5」、及び「SLA=1.5(スポット・サイズが1.5mm)」と表示されている。また、タイマがカウントダウンの完了30秒前になったならば、長ビープ音を3回鳴動させる。タイマがカウントダウンの完了20秒前になったならば、長ビープ音を2回鳴動させ、更に、カウントダウンの完了10秒前になったならば長ビープ音を1回鳴動させる。完了5秒前からは1秒ごとにビープ音を鳴動させる。90秒のカウントダウンが完了した時点で、このシステムは、足踏ペダル121を踏下するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ710)。もし、操作者が60秒以内に足踏ペダルを踏下しなかったならば(この60秒のカウントダウン時間はステップ705で設定する)、この処置プロシージャをタイム・アウト扱いとし、エラー信号を表示する。尚、操作者はこの処置プロシージャを任意にキャンセルすることもでき、それには「CAN/NO」ボタンを押下すればよい。
【0095】
操作者が足踏ペダル121を踏下したならば、ブザー115を鳴動させて、メイン・レーザ・ダイオード103をオンにする(ステップ720)。この時点で、患者は処置の準備ができており、患者の眼には処置を施すためのコンタクト・レンズが装着されている。ステップ725では、タイマのタイムアウトを「100秒後」に設定してカウントダウンを開始する。メイン・レーザ・ビームの照射中は、出力パワー、レンズ倍率、及びスポット・サイズをディスプレイに表示しておくと共に、エネルギ累積供給量(DE)のインジケータを併せて表示しておく(ステップ730)。その表示画面には更に、第1回のレーザ照射を実行中であることも表示しておく(ステップ730)。
【0096】
レーザ照射を行っている間は、操作者は足踏ペダル121を踏下し続けている必要がある。操作者が足踏ペダル121を踏下するのを止めたならば、レーザ・ダイオード103をオフにして、カウントダウンを一時停止する(ステップ735)。操作者は、足踏ペダル121を再び踏下することで、カウントダウン及びレーザ照射を再開することができる(ステップ736)。足踏ペダル121が踏下されていない状態が30秒以上に亘って継続した場合には、このシステムは、タイムアウト・メッセージを表示する。操作者は、この処置プロシージャをキャンセルすることもでき、それには「CAN/NO」ボタンを押下すればよい。
【0097】
上でタイムアウトを「100秒後」に設定したタイマのカウントダウンが完了したならば、その時点で、プロセッサ114上の制御ソフトウェアは、処置用レーザ・ダイオード(メイン・レーザ・ダイオード)103及び照準用レーザ・ダイオード113をオフにする(ステップ740)。続いてステップ745において、タイマのタイムアウトを「1680秒後」に設定してカウントダウンを開始する。エネルギ累積供給量(DE)のインジケータは、ディスプレイ上に引き続き表示しておき、それに加えて、レーザ・アセンブリ80がスタンバイ・モードにあることを併せて表示しておく(ステップ750)。図示した具体例では、エネルギ累積供給量が「4205J」であることが表示されている。
【0098】
上でタイムアウトを「1680秒後」に設定したタイマのカウントダウンが完了したならば、その時点で、タイマをリセットしてタイムアウトを「120秒後」に再設定し(ステップ765)、以上によって合計1800秒の遅延時間を確保する。これに続いて、ブザー115を鳴動させて連続ビープ音を発生させることにより、操作者に対して警告を発する(ステップ760)。これに応えて操作者が「SEL/YES」ボタンを押下したならば、プロセッサ114はビープ音の鳴動を停止させ、照準用レーザ・ダイオード113をオンにする(ステップ770)。続いて、処置を施そうとする患者の眼にコンタクト・レンズ60を装着した上でそれを装着したことをコンファームするよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ775)。続いて、プロセッサ114上のソフトウェアは、病変部を含む領域である処置対象領域に照準用レーザ・ビームを位置付けるよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ780)。操作者が(「SEL/YES」ボタンを押下することによって)これを行ったことをコンファームしたならば、第2回のレーザ照射の準備をするよう操作者を促すためのプロンプトを表示する(ステップ790)。操作者が「SEL/YES」ボタンを押下するか、上でタイムアウトを「120秒後」に設定したタイマのカウントダウンが完了するかの、いずれかの事象が発生したならば、タイマをリセットしてタイムアウトを「60秒後」に再設定し(ステップ816)、足踏ペダルを踏下するよう操作者に指示するためのプロンプトを表示する(ステップ810)。このとき更に、レーザの出力パワーの設定値P、レンズ倍率、及びスポット・サイズを併せて表示する。
【0099】
操作者が60秒間のタイム・ウインドウの中で足踏ペダルを踏下しなかった場合には、ブザー115を鳴動させて警告を発する(ステップ815)。
【0100】
一方、足踏ペダル121が踏下されたならば、メイン・レーザ・ダイオード103をオンにし(ステップ820)、タイマのタイムアウトを「100秒後」に設定してカウントダウンを開始する(ステップ830)。また、エネルギ累積供給量(DE)のインジケータを表示すると共に、出力パワー、レンズ倍率、及びスポット・サイズを表示し、更に、現在実行中のレーザ照射がレーザ・アセンブリ80による第2回のレーザ照射であることを表示しておく(ステップ840)。既述のごとく、第2回のレーザ照射に用いる出力パワーP2を、第1回のレーザ照射で用いる出力パワーP1より強くすることがある。出力パワーP1とP2との間の相対的強度は、色素レベルに関連したパラメータKpigに従って決定されるものである。
【0101】
レーザ照射を行っている間は、操作者は足踏ペダル121を踏下し続けている必要がある。操作者が足踏ペダル121を踏下するのを止めたならば、レーザ照射及びカウントダウンを一時停止する(ステップ845)。操作者は、足踏ペダル121を再び踏下することで、レーザ照射及びカウントダウンを再開することができる(ステップ846)。足踏ペダル121を踏下していない状態が30秒以上に亘って継続した場合には、処置適用デバイス(照射デバイス)10は、連続ビープ音の鳴動を開始し、足踏ペダル121が再び踏下されるまでその鳴動を継続する。
【0102】
上でタイムアウトを「100秒後」に設定したタイマのカウントダウンが完了したならば、その時点で、治療処置用レーザ・ダイオード(メイン・レーザ・ダイオード)103及び照準用レーザ・ダイオード113をオフにする(ステップ847)。このとき、エネルギ累積供給量(DE)のインジケータは、ディスプレイ117上に引き続き表示してあり(ステップ850)、また、操作者は、トップ・レベルのメニュー表示画面(自動較正モード画面200)にリターンできるようにしてある。以上に説明した処置プロシージャは、そのプロシージャの実行中の様々な段階で、操作者がみずからの意志によりそのプロシージャをキャンセルできるようにすることができ、また、タイムアウト時間が経過することによってキャンセルの処理が行われるようにすることができる。
【0103】
当業者には容易に理解されるように、本発明の範囲に包含されると考えられる処置プロシージャないし診断プロシージャは、人間である患者を対象としたプロシージャとすることもできれば、罹患動物を対象としたプロシージャとすることもできるものである。
【0104】
以上の詳細な説明においては、具体例としての本発明の1つの実施の形態について詳述したが、容易に理解されるように、本発明は、以上に開示した実施の形態のみに限定されるものではない。即ち、本発明は、特許請求の範囲に記載して定義した本発明の範囲から逸脱することなく、様々な別構成、改変構成、或いは代替構成となし得るものである。例えば、国際特許出願公開WO02/094260号公報には、用いるレーザの波長を、700nm〜900nmの波長領域内の波長(好ましくは805nm)とすることや、レーザの照射時間を、40秒〜150秒の範囲内の照射時間(好ましくは100秒)とすることなどが記載されており、同国際特許出願公開公報の開示内容はこの言及をもって本願開示に組込まれたものとする。更に、使用するICGの投与量も様々な量とすることができ、レーザ・ビームの光路中に配設するレンズも様々なものとすることができる。
【0105】
以上に説明した制御システムは、プロセッサで走らせるソフトウェアにより構築したものであり、またそのプロセッサとしては、レーザ・ユニット10に内蔵されているプロセッサを利用することが好ましい。ただし、例えば処置関連パラメータの値を算出するタスクや、操作者に対する指示をディスプレイ上に表示するタスクなどの、ソフトウェアにより構築する様々なタスクの幾つかまたは全てを、その他のコンピュータ・デバイス上を走らせるソフトウェアにより構築するようにし、そして、そのようなコンピュータ・デバイスどうしを、及び/または、そのようなコンピュータ・デバイスとレーザ・ユニット10とを、互いに通信可能に接続するようにしてもよい。また、そのためのソフトウェア命令は、例えばフロッピー(登録商標)・ディスク、磁気テープ、CD−ROM、DVD、ハード・ディスク・ドライブ、それに光磁気ディスクなどのコンピュータ読取可能な媒体に格納するようにしてもよく、或いはまた、例えばPCMCIAカードなどのコンピュータ読取可能なカードに格納するようにしてもよい。ソフトウェアであるコンピュータ・プログラムが記録されたコンピュータ読取可能な媒体は、取りも直さずコンピュータ・プログラム製品である。また、以上に説明したシステムの様々な機能のうちの1つまたは幾つかを、例えば特定用途向け集積回路などの専用のハードウェアによって実行するようにしてもよい。
【0106】
以上から明らかなように、ここに説明した様々な構成は、コンピュータ並びにデータ処理の分野において利用可能な構成であり、また、医療処置の分野において利用可能な構成である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1A】患者の眼にレーザ・エネルギを供給するためのレーザ・システムを模式的に示した図であり、このレーザ・システムは、レーザ・ユニットと導光路とを備えたものである。
【図1B】検出機構を備えたレーザ・システムを示した図であり、その検出機構は、導光路の末端に装備されており、レーザ・ユニットの較正を実施するためのフィードバック信号を供給するものである。
【図1C】処置適用デバイス(照射デバイス)を示した模式図であり、この処置適用デバイス(照射デバイス)は、図1Aのレーザ・ユニットを備えると共に、制御システム、ディスプレイ、及びユーザ入力装置を有しており、それらによって、操作者がレーザ・ユニットとインターアクトできるようにしたものである。
【図1D】図1Cのシステムを更に詳細に示した模式図である。
【図2】図1A〜図1Dのシステムをi−MP術を実施するための処置適用デバイス(照射デバイス)として使用する場合に、そのシステムにおいて実行されるモード選択プロセスを示したフローチャートである。
【図3】「自動較正」モードにおいて実行される一連のステップのフローチャートである。
【図4】「パラメータ設定」モードにおいて実行される一連のステップのうちの第1部分に含まれるステップのフローチャートである。
【図5】「パラメータ設定」モードにおいて実行される一連のステップのうちの第2部分に含まれるステップのフローチャートである。
【図6】「パラメータ設定」モードにおいて実行される一連のステップのうちの第3部分に含まれるステップのフローチャートである。
【図7】「ユーザ設定」モードにおいて実行される一連のステップのうちの第1部分に含まれるステップのフローチャートである。
【図8】「ユーザ設定」モードにおいて実行される一連のステップのうちの第2部分に含まれるステップのフローチャートである。
【図9】「処置」モードにおいて実行される一連のステップのうちの第1部分に含まれるステップのフローチャートである。
【図10】「処置」モードにおいて実行される一連のステップのうちの第2部分に含まれるステップのフローチャートである。
【図11】「処置」モードにおいて実行される一連のステップのうちの第3部分に含まれるステップのフローチャートである。
【図12】「処置」モードにおいて実行される一連のステップのうちの第4部分に含まれるステップのフローチャートである。
【図13】治療処置プロシージャの全体を示したフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための、コンピュータが実行する制御方法において、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定するステップと、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示する表示ステップと、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を提示する提示ステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記治療処置プロシージャはタイミング・シーケンスを有し、前記表示ステップ及び前記提示ステップでは前記タイミング・シーケンスに従って複数のプロンプトを表示し複数の指示を提示することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの特定のアクションが所定時間内に完遂されなかった場合に前記治療処置プロシージャを中止するステップを更に含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記患者関連データを入力するよう操作者に要求するステップを更に含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに応じて前記処置適用デバイスの少なくとも1つの設定に対して調節を加える調節ステップを更に含み、前記処置適用デバイスの出力は前記少なくとも1つの設定に応じたものであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の方法。
【請求項6】
所定の較正作業プロシージャに従って前記処置適用デバイスを操作することにより、前記治療処置プロシージャに適合するように前記処置適用デバイスに較正を施すよう操作者を促すステップを更に含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の方法。
【請求項7】
前記治療処置プロシージャに関連した安全情報を前記治療処置プロシージャの1つまたは複数の所定段階で表示するステップを更に含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の方法。
【請求項8】
前記治療処置プロシージャは加齢黄斑変性症を治療するためのプロシージャであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の方法。
【請求項9】
前記体外物質は注射により患者の体内に導入されるインドシアニングリーン(ICG)であることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記処置適用デバイスはレーザであることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項記載の方法。
【請求項11】
前記患者関連データが、
患者の体重、
患者の眼の病変部の最大寸法、及び
患者の眼の色素沈着レベル、
のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項記載の方法。
【請求項12】
前記投与量パラメータは患者の体内に導入すべき前記体外物質の量であることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項記載の方法。
【請求項13】
前記処置適用デバイスはレーザであり、前記調節ステップでは前記レーザの出力パワーを調節することを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項14】
患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための、コンピュータが実行する制御方法において、
患者の体内に導入すべき体外物質の投与量を患者関連データに基づいて決定するステップと、
患者の治療部位に適用すべき処置適用デバイスの出力目標値を前記患者関連データに基づいて算出するステップと、
前記体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための複数のプロンプトを前記治療処置プロシージャのタイミング・スケジュールに従って表示するステップと、
前記治療部位に前記処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための複数の指示を前記タイミング・スケジュールに従って提示するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
患者の眼の黄斑変性症を治療する治療処置プロシージャを制御するための、コンピュータが実行する制御方法において、
患者に関連したデータを受取るステップと、
受取った前記データに基づいて患者の体内に導入すべき体外物質の量を決定するステップと、
患者の眼の治療部位に照射すべきレーザの出力パワー目標値を算出するステップと、
前記体外物質を複数回に分けて投与することによって患者の体内に導入するよう操作者に指示するための複数のプロンプトを前記治療処置プロシージャのタイミング・スケジュールに従って表示する表示ステップと、
レーザ・ビームを複数回に亘って前記治療部位に照射するよう操作者に指示するための複数の指示を前記タイミング・スケジュールに従って提示する提示ステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御システムにおいて、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定する手段と、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示する表示手段と、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を提示する提示手段と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項17】
前記治療処置プロシージャはタイミング・シーケンスを有し、前記システムが更に、前記タイミング・シーケンスに従って複数のプロンプトを表示させ複数の指示を提示させるタイミング手段を備えること特徴とする請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記処置適用デバイスを更に備えることを特徴とする請求項16又は17記載のシステム。
【請求項19】
前記処置適用デバイスの較正に用いる1つまたは複数の較正係数を決定する手段を更に備えることを特徴とする請求項16乃至18の何れか1項記載のシステム。
【請求項20】
患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御システムにおいて、
患者関連データを格納するデータ・ストレージと、
操作者に情報を表示するディスプレイと、
前記データ・ストレージとの間及び前記ディスプレイとの間で通信可能なプロセッサとを備え、
前記プロセッサは、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定し、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示させ、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を表示させるように構成されている、
ことを特徴とするシステム。
【請求項21】
前記治療処置プロシージャはタイミング・シーケンスを有し、前記プロセッサは前記タイミング・シーケンスに従って複数のプロンプト及び複数の指示を表示させるように構成されていることを特徴とする請求項20記載のシステム。
【請求項22】
前記タイミング・シーケンスに関連した音響信号を提供する音響出力部を更に備えることを特徴とする請求項20記載のシステム。
【請求項23】
前記処置適用デバイスを更に備えることを特徴とする請求項19乃至22の何れか1項記載のシステム。
【請求項24】
前記処置適用デバイスの出力を測定するメータを更に備え、前記プロセッサは前記出力の測定値に基づいて少なくとも1つの較正係数を算出するように構成されていることを特徴とする請求項23記載のシステム。
【請求項25】
前記処置適用デバイスはレーザであることを特徴とする請求項19乃至22の何れか1項記載のシステム。
【請求項26】
データ処理装置の動作を制御するための、マシン読取可能な記録媒体に記録されたマシン読取可能なプログラム・コードから成るコンピュータ・プログラム製品であって、前記データ処理装置上で前記プログラム・コードが実行されることにより、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御方法が実行され、前記制御方法は、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定するステップと、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示する表示ステップと、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を提示する提示ステップとを含む制御方法である、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラム製品。
【請求項27】
データ処理装置の動作を制御するための、マシン読取可能な記録媒体に記録されたマシン読取可能なプログラム・コードから成るコンピュータ・プログラム製品であって、前記データ処理装置上で前記プログラム・コードが実行されることにより、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御方法が実行され、前記制御方法は、
患者の体内に導入すべき体外物質の投与量を患者関連データに基づいて決定するステップと、
患者の治療部位に適用すべき処置適用デバイスの出力目標値を前記患者関連データに基づいて算出するステップと、
前記体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための複数のプロンプトを前記治療処置プロシージャのタイミング・スケジュールに従って表示するステップと、
前記治療部位に前記処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための複数の指示を前記タイミング・スケジュールに従って提示するステップとを含む制御方法である、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラム製品。
【請求項28】
データ処理装置の動作を制御するための、マシン読取可能なプログラム・コードから成るコンピュータ・プログラムであって、前記データ処理装置上で前記プログラム・コードが実行されることにより、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御方法が実行され、前記制御方法は、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定するステップと、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示する表示ステップと、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を提示する提示ステップとを含む制御方法である、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラム。
【請求項29】
患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための、コンピュータが実行する制御方法であって、添付図面を参照して明細書において説明したものと実質的に同一の制御方法。
【請求項30】
患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御システムであって、添付図面を参照して明細書において説明したものと実質的に同一の制御システム。
【請求項31】
コンピュータ・プログラム製品であって、添付図面を参照して明細書において説明したものと実質的に同一のコンピュータ・プログラム製品。
【請求項1】
患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための、コンピュータが実行する制御方法において、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定するステップと、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示する表示ステップと、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を提示する提示ステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記治療処置プロシージャはタイミング・シーケンスを有し、前記表示ステップ及び前記提示ステップでは前記タイミング・シーケンスに従って複数のプロンプトを表示し複数の指示を提示することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの特定のアクションが所定時間内に完遂されなかった場合に前記治療処置プロシージャを中止するステップを更に含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記患者関連データを入力するよう操作者に要求するステップを更に含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに応じて前記処置適用デバイスの少なくとも1つの設定に対して調節を加える調節ステップを更に含み、前記処置適用デバイスの出力は前記少なくとも1つの設定に応じたものであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の方法。
【請求項6】
所定の較正作業プロシージャに従って前記処置適用デバイスを操作することにより、前記治療処置プロシージャに適合するように前記処置適用デバイスに較正を施すよう操作者を促すステップを更に含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の方法。
【請求項7】
前記治療処置プロシージャに関連した安全情報を前記治療処置プロシージャの1つまたは複数の所定段階で表示するステップを更に含むことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記載の方法。
【請求項8】
前記治療処置プロシージャは加齢黄斑変性症を治療するためのプロシージャであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項記載の方法。
【請求項9】
前記体外物質は注射により患者の体内に導入されるインドシアニングリーン(ICG)であることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記処置適用デバイスはレーザであることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項記載の方法。
【請求項11】
前記患者関連データが、
患者の体重、
患者の眼の病変部の最大寸法、及び
患者の眼の色素沈着レベル、
のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項記載の方法。
【請求項12】
前記投与量パラメータは患者の体内に導入すべき前記体外物質の量であることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項記載の方法。
【請求項13】
前記処置適用デバイスはレーザであり、前記調節ステップでは前記レーザの出力パワーを調節することを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項14】
患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための、コンピュータが実行する制御方法において、
患者の体内に導入すべき体外物質の投与量を患者関連データに基づいて決定するステップと、
患者の治療部位に適用すべき処置適用デバイスの出力目標値を前記患者関連データに基づいて算出するステップと、
前記体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための複数のプロンプトを前記治療処置プロシージャのタイミング・スケジュールに従って表示するステップと、
前記治療部位に前記処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための複数の指示を前記タイミング・スケジュールに従って提示するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
患者の眼の黄斑変性症を治療する治療処置プロシージャを制御するための、コンピュータが実行する制御方法において、
患者に関連したデータを受取るステップと、
受取った前記データに基づいて患者の体内に導入すべき体外物質の量を決定するステップと、
患者の眼の治療部位に照射すべきレーザの出力パワー目標値を算出するステップと、
前記体外物質を複数回に分けて投与することによって患者の体内に導入するよう操作者に指示するための複数のプロンプトを前記治療処置プロシージャのタイミング・スケジュールに従って表示する表示ステップと、
レーザ・ビームを複数回に亘って前記治療部位に照射するよう操作者に指示するための複数の指示を前記タイミング・スケジュールに従って提示する提示ステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御システムにおいて、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定する手段と、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示する表示手段と、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を提示する提示手段と、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項17】
前記治療処置プロシージャはタイミング・シーケンスを有し、前記システムが更に、前記タイミング・シーケンスに従って複数のプロンプトを表示させ複数の指示を提示させるタイミング手段を備えること特徴とする請求項16記載のシステム。
【請求項18】
前記処置適用デバイスを更に備えることを特徴とする請求項16又は17記載のシステム。
【請求項19】
前記処置適用デバイスの較正に用いる1つまたは複数の較正係数を決定する手段を更に備えることを特徴とする請求項16乃至18の何れか1項記載のシステム。
【請求項20】
患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御システムにおいて、
患者関連データを格納するデータ・ストレージと、
操作者に情報を表示するディスプレイと、
前記データ・ストレージとの間及び前記ディスプレイとの間で通信可能なプロセッサとを備え、
前記プロセッサは、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定し、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示させ、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を表示させるように構成されている、
ことを特徴とするシステム。
【請求項21】
前記治療処置プロシージャはタイミング・シーケンスを有し、前記プロセッサは前記タイミング・シーケンスに従って複数のプロンプト及び複数の指示を表示させるように構成されていることを特徴とする請求項20記載のシステム。
【請求項22】
前記タイミング・シーケンスに関連した音響信号を提供する音響出力部を更に備えることを特徴とする請求項20記載のシステム。
【請求項23】
前記処置適用デバイスを更に備えることを特徴とする請求項19乃至22の何れか1項記載のシステム。
【請求項24】
前記処置適用デバイスの出力を測定するメータを更に備え、前記プロセッサは前記出力の測定値に基づいて少なくとも1つの較正係数を算出するように構成されていることを特徴とする請求項23記載のシステム。
【請求項25】
前記処置適用デバイスはレーザであることを特徴とする請求項19乃至22の何れか1項記載のシステム。
【請求項26】
データ処理装置の動作を制御するための、マシン読取可能な記録媒体に記録されたマシン読取可能なプログラム・コードから成るコンピュータ・プログラム製品であって、前記データ処理装置上で前記プログラム・コードが実行されることにより、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御方法が実行され、前記制御方法は、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定するステップと、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示する表示ステップと、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を提示する提示ステップとを含む制御方法である、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラム製品。
【請求項27】
データ処理装置の動作を制御するための、マシン読取可能な記録媒体に記録されたマシン読取可能なプログラム・コードから成るコンピュータ・プログラム製品であって、前記データ処理装置上で前記プログラム・コードが実行されることにより、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御方法が実行され、前記制御方法は、
患者の体内に導入すべき体外物質の投与量を患者関連データに基づいて決定するステップと、
患者の治療部位に適用すべき処置適用デバイスの出力目標値を前記患者関連データに基づいて算出するステップと、
前記体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための複数のプロンプトを前記治療処置プロシージャのタイミング・スケジュールに従って表示するステップと、
前記治療部位に前記処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための複数の指示を前記タイミング・スケジュールに従って提示するステップとを含む制御方法である、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラム製品。
【請求項28】
データ処理装置の動作を制御するための、マシン読取可能なプログラム・コードから成るコンピュータ・プログラムであって、前記データ処理装置上で前記プログラム・コードが実行されることにより、患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御方法が実行され、前記制御方法は、
前記治療処置プロシージャの少なくとも1つの投与量パラメータと少なくとも1つの処置適用パラメータとを患者関連データに基づいて決定するステップと、
前記少なくとも1つの投与量パラメータに従って少なくとも1つの体外物質を患者の体内に導入するよう操作者に指示するための1つまたは複数のプロンプトを表示する表示ステップと、
前記少なくとも1つの処置適用パラメータに従って患者の治療部位に処置適用デバイスの出力を適用するよう操作者に指示するための1つまたは複数の指示を提示する提示ステップとを含む制御方法である、
ことを特徴とするコンピュータ・プログラム。
【請求項29】
患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための、コンピュータが実行する制御方法であって、添付図面を参照して明細書において説明したものと実質的に同一の制御方法。
【請求項30】
患者に対して実施する治療処置プロシージャを制御するための制御システムであって、添付図面を参照して明細書において説明したものと実質的に同一の制御システム。
【請求項31】
コンピュータ・プログラム製品であって、添付図面を参照して明細書において説明したものと実質的に同一のコンピュータ・プログラム製品。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2009−504206(P2009−504206A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525338(P2008−525338)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001147
【国際公開番号】WO2007/016749
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(507389347)オプト グロバル ホルディングス ピーティーワイ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【国際出願番号】PCT/AU2006/001147
【国際公開番号】WO2007/016749
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(507389347)オプト グロバル ホルディングス ピーティーワイ リミテッド (2)
【Fターム(参考)】
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