説明

治療用化合物

本発明は、三環式ラクタム・インドール誘導体及び三環式ラクタム・ベンゾイミダゾールの誘導体と、PARP酵素族の活性の抑制へのそれらの利用に関するものである。本発明は更に、これらの化合物の薬剤の調整への利用に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、三環式ラクタム・インドール及び三環式ラクタム・ベンゾイミダゾールの誘導体であり、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)を抑制する一連の誘導化合物とその化合物の癌治療特に乳癌治療への利用に関するものである。
【0002】
同属体組換え(HR)が乳房細胞におけるDNA複製分岐箇所に生じる損傷の修復に重要な役割を果たすことが示されてきた(2)。このようにして、HRにおいて欠陥のある細胞は、成長の遅れを示し、遺伝子の不安定性のレベルがより高くなることを明示している。人間の癌におけるHR修復の欠如による遺伝子の不安定性はこれらの細胞における癌の成長に寄与していることが信じられている(1)。
【0003】
DNAストランドの損壊に応えて、多重化(ADP−リボーシル)による核蛋白の転写後の修正が、DNA修復、アポトーシスの制御及びゲノムの安定性の維持に重要な役割を演じている。
【0004】
ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP−1)は、PARP酵素族の重要な構成員であり、乳房細胞における豊富な核蛋白である。PARP−1は、基質としてNADを用いてポリ(ADP−リボース)(PAR)重合体の形成の触媒作用を及ぼす。DNA損傷があったときは、PARP−1は、DNAの単一ストランドの破損(SSB)に速やかに結合し、それ自身(自動修正)及びその他の蛋白[検討のために(3,4)を参照のこと]に負に荷電されたPAR連鎖を付加する触媒作用を及ぼす。PARP−1のSSBとの結合は、PARP−1がPAR重合体から生じる蓄積された負の荷電による破損から解離されるまで、DNA損傷をさらなる処理から保護するものと信じられている(5,6)。
【0005】
PARP−1は、染色体構造の調整、DNAの複製、DNAの修復と転写のようないくつかの核の処理に関係してきたが、PARP−1で打撃を受けたマウスも正常に成長している(7)。このようなマウスから分離された細胞は、姉妹染色体交換(SCE)の微小核及び染色体数が4個の個体のレベルの増大の形による超組換え表現型及び遺伝子の不安定性を示している(8、10)。遺伝子の不安定性は、PARP−1で打撃を受けたマウスにおいてもテロメア(染色体の末端領域)の短縮、染色体の融合と異数体化の頻度の増大によって生じる(11)。ただし、このような結果のすべては、PARP−1で打撃を受けたマウスの他の組においては反復され得なかった(12)。前に掲げたマウスの打撃においては、PARP−1の無価値な突然変異は、SCIDマウスにおける損傷を受けたV (D) J組換えを救済した(13)。
【0006】
これらの結果は、PARP−1が組変えに対する保護的役割を持っているという(5)リンダールとその共同研究者によって示唆された見解を支持している。PARP−1のssDNAブレークへの拘束は組み替え機構がDNAの損傷を認識し、処理するのを防ぐこと、又は二者択一的に、重合体(ADPリボシル)化によって蓄積された負の電荷が隣接の組換えに適するDNAシーケンスを受け入れないことが提示されている。後者のモデルのみがPARP−1自身の活動抑制並びにSCEを含む優性の負の突然変異体PARP−1、遺伝子増幅及び同族の組換えの発現と両立する(14−18)。
【0007】
PARP−1の反応抑制剤を持った細胞又はPARP−1で打撃をこうむったマウスから得た細胞の取扱いに基礎をおく研究は、PARP−1活動の抑制がDNA損傷エージェントに対する細胞の受容性を増大させ、ストランド切断の再結合を抑制することを示している(3,4,8−11,19,20)。
【0008】
PARP−1活動の反応抑制剤は、放射線療法や化学療法のような伝統的な癌治療方式と組み合わせて用いられてきた(21)。反応抑制剤がメチル化エージェント、トポイソメラーゼ毒素及びイオン化放射物と組み合わせて用いられたときは、これらの物はこの種の治療の効果を増強するものであることが発見された。しかしながら、このような治療は、非癌細胞すなわち健全な細胞に対して非選択的であり、それによってこのような細胞を損傷し及び死滅させる原因となるものである。さらに、このような治療は、不快な副作用を惹き起こすものとして知られている。
【0009】
したがって、癌細胞を死滅させることに効果的であり、かつ、それに選択的であり、さらに放射線療法又は化学療法と組み合わせて適用することが必要でない癌治療を提供することは、強く望まれるものである。
【0010】
驚くべきことに、同属体組換え(HR)において欠陥のある細胞が野生型細胞に近いPARP−1の反応抑制剤に対して過敏であることが発見されている。
【0011】
かくて、この発明の第一局面に従って、構造式I をもつPARPの活動を阻害する化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤を提供する。
【式I】
【0012】

【0013】
この発明の第二局面に従って、構造式II をもつPARPの活動を阻害する化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤を提供する。
【式II】
【0014】

この発明の第三局面に従って、構造式III をもつPARPの活動を阻害する化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤を提供する。
【式III】
【0015】

ここに掲げる化合物は、WO 00/42040 及び WO 01/16136において開示された化合物を基礎とする合成ルートによって作成することができる。
【0016】
この明細書において構造式IからIIIまでの化合物への言及がなされる場合は、その言及は、適切な限り、それらの化合物の薬学的に受入れ可能な塩剤及び薬学的に受入れ可能なその他の生物前駆体(プロドラッグ形態)にも拡張するものと解釈されるべきであると理解されるであろう。この明細書においては、「プロドラッグ」の用語は、哺乳動物の治療過程において投与後、特に経口投与後又は静脈注射による投与後に上記の活性化合物に変換されるように、微生物によって分解され又は体内において変異される薬理学的に活性の化合物の変異された形態又は派生物を指すために用いている。かかるプロドラッグは、形成問題を克服するのを助け、またある場合には活性エージェントの比較的低速の又は制御された解除をもたらすのを助ける水溶性媒体の増強された溶解性の故に、一般に選択されるものである。
【0017】
この明細書において言及するように、薬学的に受入れ可能な塩剤は、金属塩、リン酸塩及び四元アミンを含む。この金属塩は、リチウム、ナトリウム又はカリウムのようなアルカリ金属で構成される。
【0018】
上記構造式 I は、次の構造式をもつ薬学的に受入れ可能なリン酸塩の形態で投与されることが望ましい。

【0019】
この発明は、この明細書に述べる化合物の治療ユーティリティにも関連する。かくて、この発明のさらなる局面に従って、薬剤の製造過程において、治療量の構造式 I の化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤の利用が提供される。
【0020】
この発明のさらなる局面に従って、薬剤の製造過程において、治療量の構造式 II の化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤の利用が提供される。
【0021】
この発明のさらなる局面に従って、薬剤の製造過程において、治療量の構造式 III の化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤の利用が提供される。
【0022】
この発明のさらなる局面に従って、同属体組換えを仲介する遺伝子における遺伝子欠陥によってもたらされる疾病又は体調の治療のための薬剤の製造過程において、治療量の構造式 I の化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤の利用が提供される。
【0023】
この発明のさらなる局面に従って、同属体組換えを仲介する遺伝子における遺伝子欠陥によってもたらされる疾病又は体調の治療のための薬剤の製造過程において、治療量の構造式 II の化合物の利用が提供される。
【0024】
この発明のさらなる局面に従って、同属体組換えを仲介する遺伝子における遺伝子欠陥によってもたらされる疾病又は体調不順の治療のための薬剤の製造過程において、治療量の構造式 III の化合物の利用が提供される。
【0025】
同属体組換えを仲介する遺伝子における遺伝子欠陥によってもたらされる疾病又は体調不順は、癌特に乳癌を含むが、癌に限定されるものではない。
【0026】
この明細書において言及するように、「癌」又は「腫瘍」は、肺、結腸、すい臓、胃、卵巣、子宮頚部、胸部、前立腺、骨、脳又は皮膚の癌を含むがこれらに限定されるものではない。
【0027】
PARP反応抑制剤は、特にその遺伝子が同属体組換えを仲介する遺伝子における遺伝子欠陥によってもたらされる癌の治療に適合する。この種の癌細胞は、同属体組換え(HR)の欠陥となる傾向がある。
【0028】
HR欠陥による腫瘍のPARP阻害に対する特有の感受性は、適切な量のHRを持つ患者の「健全な」細胞を正常に分割することはこの治療によってほとんど影響を受けないだろうということを意味する。
【0029】
PARP反応抑制剤を用いる治療のさらなる利点は、PARP反応抑制剤は伝統的な放射線療法又は化学療法とともに組合せ治療として投与される必要がなく、それによってこのような伝統的な治療形態と結び付いた副作用を避けることができることである。
【0030】
同属体組換え(HR)を仲介する遺伝子における欠陥は、HRに伴う蛋白をコード化する遺伝子の変異、不在又は欠陥発現によることがある。
【0031】
この発明のさらなる局面に従って、HR欠陥細胞のアポトーシスを誘導するための薬剤の製造過程において、治療量の構造式 I の化合物の利用が提供される。
【0032】
この発明のさらなる局面に従って、HR欠陥細胞のアポトーシスを誘導するための薬剤の製造過程において、治療量の構造式 II の化合物の利用が提供される。
【0033】
この発明のさらなる局面に従って、HR欠陥細胞のアポトーシスを誘導するための薬剤の製造過程において、治療量の構造式 III の化合物の利用が提供される。
【0034】
この発明のさらなる局面に従って、癌の治療のための薬剤の製造過程において、治療量の構造式 I の化合物の利用が提供される。
【0035】
この発明のさらなる局面に従って、癌の治療のための薬剤の製造過程において、治療量の構造式 II の化合物の利用が提供される。
【0036】
この発明のさらなる局面に従って、癌の治療のための薬剤の製造過程において、治療量の構造式 III の化合物の利用が提供される。
【0037】
この明細書に記述する化合物による治療に適切な癌細胞は、HRにおいて部分的に又は全面的に欠陥があるかもしれない。この細胞は、HRにおいて全面的に欠陥があることが望ましい。
【0038】
この明細書に記述する化合物は、治療を受ける患者が癌に対する家族的素因をもっている遺伝的性質の癌を治療するのに用いられることがある。しかしながら、当該化合物は、遺伝子につながる遺伝性の癌の治療に特に適合するものであり、その化合物が最も特定的に適合するのは、遺伝子につながる遺伝性の乳癌である。
【0039】
望ましい局面において、PARP反応抑制剤は、HRにかかわる遺伝子の発現において欠陥のある癌細胞の治療に有用である。HRにおいて示唆されている機能をもつ遺伝子には、XRCCI, ADPRT (PARP-1), ADPRTL2, (PARP02) CTPS, RPA, RPA1, RPA2, RPA3, XPD, ERCC1, XPF, MMS19, RAD51, RAD51β, RAD51C, RAD51D, DMC1, XRCCR, XRCC3, BRCA1, BRCA2, RAD52, RAD54, RAD50, MRE11, NB51, WRN, BLM, KU70, RU80, ATM, ATR, CHK1, CHK2, FANCA, FANCB, FANCC, FANCD1, FANCD2, FANCE, FANCF, FANCG, FANCC, FANCD1, FANCD2 FANCE, FANCF, FANCG, RAD1, RAD9,が含まれる(審査については(2、3、5、22−28)参照)。
【0040】
HRにかかわる遺伝子は、腫瘍抑制遺伝子であることがある。かくて、この発明は、腫瘍抑制遺伝子の発現において欠陥のある癌細胞の治療を提供する。腫瘍抑制遺伝子はBRCA1又はBRCA2であることが望ましい。
【0041】
乳癌は、西側世界の婦人の間で最も一般的な種類の癌である。ある家族は乳癌に対して強力な素因をもっているが、それはしばしば、BRCA1又はBRCA2のいずれかの一つの対立遺伝子における遺伝的変異によるものである。しかしながら、一つの機能的対立遺伝子は維持される。かくて、上記変異をもつ人たちは、通常発症し、この変異からの表現型の影響をもっていない。しかしながら、一つの細胞においては、機能的な対立遺伝子が失われたかもしれず、この細胞を癌化させ、同時にHRにおいて欠陥のあるものにする。この段階は、腫瘍化の開始にとって重大なものである(1)。
【0042】
したがって、この発明の一層さらなる局面に従って、BRCA1及びBRCA2又はそのいずれかの発現において欠陥のある癌細胞の治療のための薬剤の製造過程において、治療量の構造式 I の化合物の利用が提供される。
【0043】
この発明のさらなる局面に従って、BRCA1及びBRCA2又はそのいずれかの発現において欠陥のある癌細胞の治療のための薬剤の製造過程において、治療量の構造式 II の化合物の利用が提供される。
【0044】
この発明の一層さらなる局面に従って、BRCA1及びBRCA2又はそのいずれかの発現において欠陥のある癌細胞の治療のための薬剤の製造過程において、治療量の構造式 III の化合物の利用が提供される。
【0045】
治療されるべき癌細胞は、BRCA1又はBRCA2の発現において、部分的に又は全面的に欠陥のあるものであるかもしれない。かかる欠陥は、複合PCR技法アレー技術(29,30)を用いて、又は熟練した人に知られるその他のスクリーンを用いて確認することができる。特に有用な技術には、リアルタイム定量RT‐PCR、ノーザン・ブロット、免疫組織化学及びウエスタン・ブロットが含まれる(31,32)。
【0046】
したがって、この発明の化合物は、一連の選択された癌腫瘍の治療に特別の利益をもたらすものであり、この発明は、癌に苦しむ患者の治療に一つの方法を提供するものである。
【0047】
この明細書に記述する化合物は、癌細胞を効果的に目標として適切な経路により、治療上効果があり毒性をもたない量で投与することができるであろう。適切な投与経路には、経口、静脈内、筋肉内、皮内、鼻内又は局所が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
この明細書に記述する化合物の治療上効果がある量は、典型的には、望まれる効果を達成するに十分な量であり、当該病状の性質と厳しさ及び当該化合物の効力に従って変化するものであろう。活動的な疾病の治療のためよりも予防処置のために異なる濃度の化合物を用いることは評価されるべきであろう。
【0049】
哺乳動物、特にヒトへの投与のためには、活性薬剤の投与日量レベルは、マウスの場合は、0.01 mg/kgから50 mg/kg までであり、ヒトの場合は身体の表面積によって、0.01 mg/m2から50 mg/ m2 までである。しかしながら、究極的には、投与される活性成分の量及び投与の頻度は医師の裁量によることになろう。
【0050】
好都合なことに、PARP阻害化合物の非常に少量の投与のみが癌の治療において治療上の効果をもつために必要とされ、それによって当該化合物の全身への滞留を減少させ、関連する毒性を最少にすることとなる。
【0051】
この明細書に記述する化合物が「無加工」の化合物として単独で投与されることも可能かもしれないが、複数の化合物を合成薬剤で提供することが望ましい。
【0052】
このような合成薬剤の製造において、構成のすべての方法は、一般に、一種又は複数種の付属的な成分を構成する基剤と関連してこの明細書に記述する化合物の一種をもたらす段階を含むものである。通常、この構成は、液体の担体と共同して若しくは細かく分割された固体の単体と共同して又はこの双方により構造図 I の化合物を均一にかつ精通してもたらし、そして必要ならば、当該製品を望まれたように成型することによって作成される。
【0053】
経口投与に適するようにこの発明の薬剤を成型することは、カプセル、カシェー、錠剤又はドロップのようなはっきり区分される単位として提供され、その各々は、粉末若しくは顆粒、水様の液体中若しくはシロップのような非水様の液体中の懸濁物質、エリキシル剤、乳剤又は容器直出しのように、この明細書に記述する化合物の一種をあらかじめ定められた量だけ含んでいる。この明細書に記述する化合物のいずれか一種は、丸薬、なめ薬又はペーストとしても提供される。
【0054】
錠剤は、圧縮又は成型によって作られ、また選択的に一種または数種の付帯的成分が付加されることがある。圧縮された錠剤は、粉末や顆粒のような自由流動状態のこの明細書に記述する化合物のいずれかを、適切な機械で、圧縮することによって、そして選択的に結合剤、潤滑剤、非活性の希釈剤、界面活性剤又は拡散剤と混合されて調製される。成型される錠剤は、この明細書に記述する化合物のいずれか一種の粉末と適切な単体との混合物を、適切な機械で、成型することによって製造される。
【0055】
シロップは、糖類例えば蔗糖の濃厚水溶液にこの明細書に記述する化合物のいずれか一種を加えることによって製造される。また、これに望まれる付帯的成分が加えられることもある。かかる付帯的成分には、香料、糖分の結晶化を遅らせる薬剤、又は多価アルコール例えばグリセリンやソルビトールのようなその他の成分の溶解性を増大させる薬剤が含まれる。
【0056】
直腸投与に適切な成型は、ココア脂のような通常の担体をもつ坐薬として提供される。
【0057】
非経口投与に適切な成型は、この明細書に記述する化合物のいずれかの無菌水製剤から成ることが便利であり、被投与者の血液と等張であることが望ましい
【0058】
上述の成分に加えて、軟膏、クリーム及び同種の物のようなこの発明の成型物は、一種又は数種の付帯成分、例えば、希釈剤、緩衝材、香料、結合剤、界面活性剤、増粘剤、潤滑剤及び保存剤(酸化防止剤を含む。)若しくはこれらのいずれか又はその他の薬学的に不活性の賦形剤を含むことがある。
【0059】
この発明の化合物は文献でよく知られた方法で調製することができるリポソーム成型物としても投与のために製造することができる。
【0060】
かくて、この発明のさらなる局面に従って、活性剤として構造式 I の化合物又は薬学的に受入れ可能なその塩剤を含む薬学的構成が提供される。
【0061】
この発明のさらなる局面に従って、活性剤として構造式 II の化合物又は薬学的に受入れ可能なその塩剤を含む薬学的構成が提供される。
【0062】
この発明のさらなる局面に従って、活性剤として構造式 III の化合物又は薬学的に受入れ可能なその塩剤を含む薬学的構成が提供される。
【0063】
この薬学的構成は、両立しうる薬学的に受入れ可能な添加物、担体希釈用担体又は賦形剤を提供する少なくとも一種のその他の成分をさらに含むことがあり、単位投与形態で提供されることがある。
【0064】
この担体は、他の成型成分と両立しうるものであり、その被投与者に有害でないという意味で、薬学的に受入れ可能なものでなければならない。
【0065】
利用可能な成型剤は、経口投与、直腸投与、局所的投与及び非経口投与(皮下注射、筋肉注射及び静脈注射を含む。)又は肺又は鼻道のようなその他の吸気機関への投与に適切な成型剤を含む。
【0066】
この明細書で言及する化合物は、他の抗癌化合物と組み合わせて投与することができる。
【0067】
この発明は、この明細書に記述する化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤を投与することによって哺乳動物の癌を治療する方法をも含む。
【0068】
かくて、この発明のさらなる局面に従って、構造式 I の化合物又は薬学的に受入れ可能なその塩剤を投与することを含む哺乳動物の癌を治療する方法が提供される。
【0069】
かくて、この発明のさらなる局面に従って、構造式 II の化合物又は薬学的に受入れ可能なその塩剤を投与することを含む哺乳動物の癌を治療する方法が提供される。
【0070】
かくて、この発明のさらなる局面に従って、構造式 III の化合物又は薬学的に受入れ可能なその塩剤を投与することを含む哺乳動物の癌を治療する方法が提供される。
【0071】
この発明は、これからは次の添付図の引用によってのみ例示の方法により記述することになるだろう。すなわち、
図1:AA8細胞ライン、Isr1SF細胞ライン及びCxR3細胞ラインにおける構造式 III のPARP反応抑制剤の存在の下での細胞の生存率を示すグラフ
図2:V79細胞ライン、VC8細胞ライン及びVC8B2 細胞ラインにおける構造式 III のPARP反応抑制剤の存在の下での細胞の生存率を示すグラフ
図3:V79 細胞ライン、VC8細胞ライン及びVC8B2細胞ラインにおける構造式 I のPARP反応抑制剤の存在の下での細胞の生存率を示すグラフ
図4:構造式 III のPARP反応抑制剤の存在の下でのVC8、V79、VC8#13とVC8及びVC8#13とVC8+B2の各細胞ラインのPARP活性を示す棒グラフ
図5:浸透させられたL1210細胞(上のグラフ)及び損なわれていないL1210細胞(下のグラフ)において、構造式 I 及び III のPARP反応抑制剤の存在の下での細胞のPARP活性阻害を示す一組のグラフ
図6: SW620異種移植片を有するマウスに1mg/kg(上のグラフ)及び10mg/kg(下のグラフ)の構造式 Iのリン酸塩を与えた血液及び腫瘍の薬物動態学及び薬力学を示す一組の棒グラフ
図7: SW620異種移植片を有するマウスにおける構造式 IIIによる薬物動態学及び薬力学を示す棒グラフ
図8: 構造式 IIIの薬剤とテルノゾロマイド(TMZ)の組合せによる治療及びTMZのみによる治療を受けた後に、 SW620異種移植片を有するマウスにおける腫瘍の成長(腫瘍の相対量の中央値)を示すグラフ
図9: 構造式 Iのリン酸塩とテルノゾロマイド(TMZ)の組合せによる治療、構造式 Iのリン酸塩及びTMZのみによる治療を受けた後に、 SW620異種移植片を有するマウスにおける腫瘍の成長(腫瘍の相対量の中央値)を示すグラフ
【0072】
図1は、構造式 III の化合物のさまざまな濃度により治療されたときの、AA8、IrS ISF及びCxR3の各細胞ラインの生存百分率を示すものである。構造式 III は、100 nMの LC50(その細胞の50%を殺す活性要素の濃度)を持っているが、XRCC3を欠いているIrS ISF に対して最も活性であることが発見された。
【0073】
図2は、構造式 III の化合物のさまざまな濃度により治療されたときの、V79‐Z、VC8及びVC8B2の各細胞ラインの生存百分率を示すものである。構造式 III は、43 nMのLC50価及びLC90(その細胞の90%を殺す活性要素の濃度)を持っているが、BRCA2を欠いているVC8細胞ライン に対して最も効果があることが発見された。
【0074】
図3は、構造式 I の化合物のさまざまな濃度により治療されたときの、V79‐Z、VC8及びVC8B2の各細胞ラインの生存百分率を示すものである。構造式 I は、12 nMのLC50価及び27nMのLC90を持っているが、BRCA2を欠いているVC8細胞ライン に対して最も効果があることが発見された。
【0075】
図4は、構造式 III の化合物のさまざまな濃度により治療されたときの、さまざまな細胞ラインのPARP活性を示すものである。図3のグラフは、各細胞ラインそれぞれに対応する四つの結果セットに分割されている。各セットの最初のバーは、基礎的PARP活性(オリゴは存在せず、したがってPARP活性は内生的なDNA損傷に依存している。)を示しており、第二のバーは、(オリゴにより)励起可能なPARP活性の総量であり、第三及び第四のバーは、構造式 III の化合物の存在の下でのPARP活性を示している。
【0076】
図5は、PARP活性に対する構造式 I 及びIII の化合物の効果を示している。
【0077】
図5に示す結果を得るために用いた細胞は、ディジトニンによって浸透させられ、それから構造式 I 及び構造式 III のPARP反応抑制剤の存在又は不存在の下で(オリゴによって)励起可能なPARP活性の総量について分析されるか、浸透の前20分間に当該PARP反応抑制剤の一つにさらされ、励起可能なPARP活性の総量について分析されるかのいずれかである。
【0078】
阻害化合物を加える前に、細胞が浸透させられたが、構造式 I の化合物が傷ついていない細胞においてより強い潜在力をもっているときには、構造式 I 及び構造式III の化合物のPARP阻害活性に差異はない。それは多分細胞内においてその化合物がより高い程度に蓄積されるからである。
【0079】
図6は、構造式 I の化合物のリン酸塩の腹膜内投与に続くさまざまな時点における、構造式 I の化合物の血漿及び腫瘍での濃縮及びマウスの末梢血のリンパ球(pbl parp)とSW620 異種移植(腫瘍PARP)に対するその薬物動態学的効果を示している。構造式 I の化合物のリン酸塩は、構造式 I の溶解性を増大させる。しかしながら、(ヒトを含む)動物への投与により、血漿リン酸塩は、親化合物すなわち構造式 I まで構造式 Iのリン酸塩(構造式 I−リン酸塩)に細分する。
【0080】
10mg/kgでの構造式 I−リン酸塩の投与後30分で、高水準の親化合物が血漿と腫瘍の双方で検出されたことは、図6から明らかである。構造式 I の濃度は、時間とともに、腫瘍におけるよりも血漿においてより速やかに減少した。そして投与の24時間後には、腫瘍において顕著な水準が検出可能であったが、血漿においてはいかなる水準の親化合物も検出できなかった。Pblと腫瘍の双方においてPARP活性の強くて、持続的阻害がみられた。これは24時間までは対照群の50%未満である。
【0081】
1mg/kgでの構造式 I−リン酸塩の投与後、より低い水準の構造式 I の化合物が血漿と腫瘍の双方において発見することが可能であり、したがってPARP活性に対する顕著さの低い効果が見られた。
【0082】
図7は、血漿と腫瘍における構造式 III の化合物の蓄積を示し、かつ、構造式 III の化合物の10 mg/kg での腹膜内投与に続くさまざまな時点におけるSW620 異種移植(腫瘍PARP活性)に対するその薬物動態学的効果を示している。この化合物は、また腫瘍によく配分され、時間の経過にも優先的に保持され、同様に腫瘍におけるPARP活性を阻害する。
【0083】
図8は、テルノロゾマイド(毎日68mg/kgx5)の投与から20日間で、腫瘍の異種移植が規模で前進的に減少したことを示している。しかしながら、この時点の後しばらくして、腫瘍の規模は増大し始めた。構造式 III の化合物(毎日5mg/kgx5)が、テルノロゾマイドと共同で投与されたときは、腫瘍は15日前後で顕著に縮小し、検出し得ない規模になった。この腫瘍の規模は、さらに50日間検出し得ない状態が続き、その後その規模が増大し始めた。構造式 III のより多量の投与(毎日15mg/kgx5)がなされたときは、腫瘍の規模は、死体解剖でいかなる腫瘍も検出されないとき、すなわち、腫瘍が完全退化したときである治験の終了までさらに80日間検出し得ない状態が続いた。
【0084】
図9は、テルノロゾマイドと組み合わせて構造式 I−リン酸塩を投与(0.1mg/kg及び1.0mg/kgによる)した後について図8で見られたのと類似のパターンを示している。
【0085】
表1:この研究で用いられた細胞ラインの遺伝子型及び発生源
細胞ライン
【0086】
【表1】

【0087】
素材及び方法
HR(XRCC3又はBRCA2)において欠陥のある細胞に対するPARP反応抑制剤の細胞毒性
【0088】
細胞培養
AA8、irs1SF及びCXR3の細胞ラインは、Larry Thompson [41]によって提供された。
【0089】
VC-8、VC-8+B2及びVC-8#13は、Malgorzata Zdienicka [42]からの寄贈である。この研究におけるすべての細胞ラインは、ダルベッコの修正されたイーグルの培養基(DMEM)内で5%の炭酸ガスを含む空気の下で摂氏37度で10%のウシ胎児血清及びペニシリン(100 U/ml)並びにストレプトマイシン硫酸塩(100 μg/mL)とともに成長させた。
【0090】
毒性試験−クロノジェニック生存率分析
6筒のプレートにおいて指数的に成長する細胞が、24時間にわたり、1%のDMSO中で図2において指示された濃度の構造式IIIの化合物又は媒体中で1%のDMSOのみにさらされる。
【0091】
細胞は、コロニー構築のための薬剤の不存在の下で、新しい媒体中で10センチのディッシュで、いろいろな濃度で、トリプシン酵素化によって採取され、計算され、そして種子をまく。
【0092】
7日から10日後に、このディッシュは、メタノール対酢酸3:1によって固定され、0.4%のクリスタル・バイオレットによって着色される。
【0093】
コロニーがカウントされ、1%DMSO対照群の処置された細胞との関係で生存率が計算される。
【0094】
PARP活性分析
指数的に成長する細胞は、培養媒体(対照群)中で1%のDMSOに、又は図4においてディジトニンによって浸透させられた細胞若しくは洗浄及びディジトニン浸透の前に20分間について無傷の細胞に指示された濃度で1%のDMSO中で構造式I若しくはIIIの化合物にさらされた。PARP活性は、末端が鈍いオリゴヌクレオチドの追加による励起後に[32p]ラベル付きNAD+基質をTCA沈殿可能ポリマーに取り入れることによって計測され、非オリゴヌクレオチドによって励起された細胞と比較された。構造式IIIの処置を受けたマウスからの腫瘍のホモジェネートにおけるPARP活性(等張バッファーにおいて40中1)は、同じ方法で計測される。構造式 I−リン酸塩構造式Iの処置を受けたマウスからのpbls及び腫瘍ホモジェネートにおけるPARP活性は、10H抗体を用いたポリマーの免疫学的検出によって計測された。手短に言えば、等張バッファーにおいて1対1000まで希釈された腫瘍のホモジェネートは、6分間で350 μM NADとともに培養され、ニトロセルローズ膜に投影された。(PAR)ポリマー形成は、PARに対する10H 抗体による培養及び二次的反マウス抗体に続いて、PAR基準の連続希釈を参照することによって、Fuji LAS3000 UV照明機を用いた化学発光の検出によって定量化された。この結果は、ホモジェネートの計測された蛋白質の内容を参照することによって標準化された。
【0095】
もちろん、この発明は例示の方法のみによって記述される上記の具体化の詳細に限定されることを意図するものではないことは理解されるべきである。
【0096】
参考文献
[1] C. Lundin, K. Erixon, C. Arnaudeau, N. Schultz, D. Jenssen, M. Meuth and T. Helleday: 「哺乳動物の細胞における複製の停止に続く非相同の最終参加及び相同の遺伝子組換えのための異なる役割」、Mol Cell Biol 22(2002)5869-5878
[2] A.R. Venkitaraman: 「癌の感受性及びBRCA1とBRCA2の機能」、Cell 108 (2002) 171-182
[3] D. D’Asmours, S. Desnoyers, I. D’Silva and G.G. Poirier: 「核機能の規制におけるポリ(ADPリボシル)化反応」、Biochem J 342 (1999) 249-268
[4] Z. Herceg and Z.Q. Wang :「DNAの修復、ゲノムの統合及び細胞の死亡におけるポリメラーゼ(PARP)の機能」Mutat Res 477 (2001) 97-110
[5] T.Lindahl, M.S. Satoh, G.G. Poirier and A. Klungland: 「DNAストランドの損壊によって導入されるポリメラーゼ(PARP)の翻訳後修正」、Trends Biochem Sci 20(1995)405-411
[6] M.S. Satoh and T.Lindahl: 「DNA修復における形成の役割」、Nature 356 (1992) 356-358
[7] S. Shall and G. de Murcia:「ポリメラーゼ−1:われわれは欠陥のあるマウス・モデルから何を学んだか?」、Mutat Res 460(2000)1-15
[8] Z.Q. Wang, L.Stingl, C.Morrison, M.Jantsch,M. Loss, K.Schulze-Osthoff and E.F. Wagner:「PARPは遺伝子の安定性のために重要であるが、アポトーシスにおいてはなくてもよい」、Genes Dev 11 (1997) 2347-2358
[9] C.M. Simbulan-Rosenthal, B.R. Haddad, D.S. Rosenthal, Z. Weaver, A. Coleman, R. Luo, H.M. Young, Z.Q. Wang, T.Ried and M.E. Smulson:「PARPマウスにおける染色体の異常:ポリメラーゼcDNAの再導入によって不滅の細胞におけるゲノムの安定化」、Proc Natl Acad Sci USA 96(1999)13191-13196
[10] J.M. de Murcia, C. Niedergang, C. Turucco, M. Ricoul, B. Dutrillaux, M. Mark, F.J. Oliver, M. Masson, A. Dierich, M. LeMeur, C. Walztinger, P. Chambon and G. de Murcia:「マウス及び細胞のDNA損傷からの回復におけるポリメラーゼの要件」Proc Natl Acad Sci USA 94(1997)7303-7307
[11] F. d’Adda di Fagagna, M.P. Hande, W.M. Tong, P.M. Dansdorp, Z.Q. Wang and S.P. Jackson:「テロメアの長さ及び染色体の安定性を管理するに際してのポリメラーゼの機能」、Nat Genet 23 (1999) 76-80
[12] E. Samper, F.A. Goytisolo, J. Menissier-de Murcia, E. Gonzalez-Suarez, J.C. Cigudosa, G. de Murcia and M.A. Blasco:「染色体の不安定性の増大にかかわらず、ポリメラーゼに欠陥のあるマウス及び第一次細胞における正常なテロメアの長さ及び染色体の末端キャップ」J Cell Biol 154 (2001) 49-60
[13] C. Morrison, G.C. Smith, L. Stingl, S.P. Jackson, E.F. Wagner and Z.Q. Wang:「V(D)Jの遺伝子組換えと腫瘍形成におけるPARPとDNA−PK間の遺伝子の相互作用」、Nat Genet 17 (1997) 479-482
[14] V. Schreiber, D. Hunting, C. Trucco, B. Gowans, D. Grunwald, G. De Murcia and J.M. De Murcia:「ヒトのポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの優成性の否定的突然変異体がDNA損傷後の細胞の回復、アポトーシス及び姉妹の染色分体変換」、Proc Natl Acad Sci USA 92(1995)4753-4757
[15] J.H. Kupper, M. Muller and A. Burkle:「ポリ(ADP−リボシル)化の転換優性阻害がSV40-転換のチャイニーズ・ハムスター細胞の遺伝子増殖によってもたらされる発癌性を強力にする」、Cancer Res 56 (1996) 2715-2717
[16] J. Magnusson and C. Ramel: 「ヒトのポリ(ADP−リボース)転移酵素の反応抑制剤は組換え遺伝子体を強力にするが、ショウジョウバエのメラノギャスターにおける生体内の体細胞へのアルキル化剤の突然変異原の作用は強化しない」Mutagenesis 5 (1990)511-514
[17] A.S. Waldman and B.C. Waldman: 「ポリ(ADP−リボシル化)の反応抑制剤による哺乳動物の細胞の染色体内の同族間の組換え促進」Nucleic Acids Res 19 (1991) 5943-5947
[18] A. Semionov, D. Cournoyer and T.Y. Chow:「ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの阻害がマウスのLtk-繊維芽細胞の染色体外の同族組換えを促進する」Nucleic Acids Res 27 (1999) 4526-4531
[19] F. Dantzer, V. Schreiber, C. Niedergang, C. Trucco, E. Flatter, G. De La Rubia, J. Oliver, V. Rolli, . J. Menissier-de Murcia and G. de Murcia: 「基本除去の修復におけるポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの関与」、Biochimie 81 (1999) 69-75
[20] F. Dantzer, G. de La Rubia, J. Menissier-De Murcia Z. Hostomsky, G. de Murcia and V. Schreiber:「基本除去の修復はポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ−1を欠いている哺乳動物の細胞に阻害を受ける」、Biochemistry 39 (2000) 7559-7569
[21] L. Tentori, I. Portarena and G.Graziani: 「ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)反応抑制剤の診療への潜在的適用」、Pharmacol Res 45 (2002) 73-85
[22] T. Lindahl and R.D. Wood:「DNA 修復による品質管理」、Science 286 (1999) 1897-1905
[23] K.W. Caldecott:「DNAの単一ストランドの損傷の修復及び脊髄と小脳に係る運動失調症」、Cell 112 (2003) 7-10
[24] D. D’Amours and S.P. Jackson:「Mre 11 複合体:DNA修復とチェックポイント信号表示の交差点において」Nat Rev Mol Cell Biol 3 (2002) 317-327
[25] A.D. D’Andrea and M. Grompe:「ファンコーニ貧血症/BRCA酵素触媒反応」、Nat Rev Cancer 3 (2003) 23-34
[26] S.P. Jackson:「 DNA ダブル・ストランド損傷の感知と修復」、Carcinogenesis 23 (2002) 687-696
[27] R. Kanaar, J.H. Hoejimakers and D.C. van Gent:「DNA ダブル・ストランド損傷の修復の分子メカニズム」Trends Cell Biol 8 (1998) 483-489
[28] D.C. van Gent, J.H. Hoejimakers and R. Kanaar:「染色体の安定性とDNA 二重ストランド損傷の関連性」、Nat Rev Genet 2 (2001) 196-206
[29] S.L. Neuhausen and E.A. Ostrander:「初期肺癌の遺伝子のBRCA1及びBRCA2」、Genet Test 1 (1997)75-83
[30] G. Kuperstein, W.D. Foulkes, P. Ghadirian, J. Hakimi and S.A. Narod:「BRCA1及びBRCA2の遺伝子における突然変異体のための迅速な蛍光性の複合化PCR分析(EMPA)」、Clin Genet 57 (2000) 213-220
[31] Vissac-Sabatier C, Coxam V, Dechelotte P, Picherit C, Horcajada M-N, Davicco M-J, Lebecque P, Bignon Y-J and Bernard-Gallon D:「植物エストロゲンが豊富な食餌がメスのウイスター・ラットの乳腺におけるBRCA1及びBRCA2の腫瘍抑制遺伝子の発現を調整する。Cancer Research vol 63 pp 6607-6612 (2003)
[32] Wu K, Jiang S-W, and Couch FJ:「p53はBRCA2プロモーターの発現及びDNA損傷に応えてBRCA2のmRNAの下方調整と蛋白質のレベルを調整する」J. Biol. Chem. Vol 278 pp 15652-15660 (2003)
[33] A. Chiarugi:「ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ:キラーか、それとも共謀者か?『自殺仮説』が再検討される」Trends Pharmacol Sci 23 (2002) 122-129
[34] C.R. Calabrese, M.A. Batey, H.D. Thomas, B.W. Durkacz, L.Z. Wang, S. Kyle, D. Skalitzki, J Li, C. Zhang, T. Boritzki, K. Maegley, A.H. Calvert, Z. Hostomsky, D.R. Newell, and N.J. Curtin:「有力な非毒性のポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ−1抑制遺伝子:化学物質の効力増強及び薬理学の研究」、Clin Cancer Res 9 (2003) 2711-2718
[35] D. Ferraris, Y.S. Ko, T. Pahutski, R.P. Ficco, L. Serdyuk, C. Alem, C. Bradford, T. Chiou, R. Hoover, S. Huang, S. Lautar, S. Liang, Q. Lin, M.X. Lu, M. Mooney, L. Morgan, Y. Qian, S. Tran, L.R. Williams, Q.Y. Wu, J. Zhang, Y. Zou and V. Kalish:「ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ−1反応抑制剤。2.虚血性損傷の治療のための強力な水溶性の化合物としてのaza-5[H]-フェナントリディン-6-onesの生物学的評価。J Med Chem 46 (2003) 3138-3151
[36] K.J. Dillon, G.C. Smith and N.M. Martin:「PARP-1反応抑制剤の確認のためのフラッシュプレート分析」、J Biomol Screen 8 (2003) 347-352
[37] A.J. Pierce, R.D. Johnson, L.H. Thompson and M. Jasin:「XRCC3は哺乳類の細胞のDNA損傷のホモロジー管理による修復を促進する」、Genes Dev 13 (1999) 2633-2638
[38] R.D. Johnson, N. Liu and M. Jasin:「哺乳動物のXRCC2は、相同の遺伝子組換えによるDNAのダブル・ストランドの損傷の修復を促進する」、Nature 401 (1999) 397-399
[39] G.M. Shah, D. Poirier, S. Desnoyers, S. Saint-Martin, J.C. Hoflack, P. Rong, M. ApSimon, J.B. Kirkland and G.G. Poirier:「ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ活性の完全な阻害はC3H10T1/2細胞の酸化ストレスからの回復を妨げる」、Biochim Biophys Acta 1312 (1996) 1-7
[40] R.J. Griffin, S. Srinivasan, K. Bowman, A.H. Calvert, N.J. Curtin, D.R. Newell, L.C. Pemberton and B.T. Golding:「抵抗修正エージェント。5.DNA修復酵素ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP)キナゾリノン反応抑制剤の合成及び生物学的特性」J Med Chem 41(1998)5247-5256
[41] S. Boulton, L.C. Pemberton, J.K. Porteous, N.J. Curtin, R.J. Griffin, B.T. Golding and B.W. Durkacz:「テモゾロミド誘導の細胞毒性の浸透:ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの生物学的効果の比較研究」、Br J Cancer 72 (1995) 849-856
[42] C.S. Griffin, P.J. Simpson, C.R. Wilson and J. Thacker:「哺乳動物の遺伝子組換えの修正遺伝子XRCA1及びXRCA2は染色体の正しい隔離を促進する」、Nat Cell Biol 2 (2000) 757-761
[43] R.S. Tebbs, Y. Zhao, J.D. Tucker, J.B. Scheerer, M.J. Siciliano, M. Hwang, N.Liu, R.J. Legerski and L.H. Thompson:「XRCA3 DNA修復遺伝子のクローン化されたcDNAによって突然変異原を多様化するための染色体の不安定性と感受性の補正」、Proc Natl Acad Sci USA 92(1995)6354-6358
[44] M. Kraakman-van der Zwet, W.J. Overkamp, R.E. van Lange, J. Essers, A. van Duijin-Goedhart, I. Wiggers, S. Swaminathan, P.P. van Buul, A. Errami, R.T, Tan, N.G. Jaspers, S.K. Sharan, R. Kanaar and M.Z. Zdzienicka:「Brca2(XRCC11)の欠陥は耐放射線のDNA合成及びより高頻度の自発的欠失を招来する」、Mol Cell Biol 22 (2002) 669-679
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】AA8細胞ライン、Isr1SF細胞ライン及びCxR3細胞ラインにおける構造式 III のPARP反応抑制剤の存在の下での細胞の生存率を示すグラフ
【図2】V79細胞ライン、VC8細胞ライン及びVC8B2 細胞ラインにおける構造式 III のPARP反応抑制剤の存在の下での細胞の生存率を示すグラフ
【図3】V79 細胞ライン、VC8細胞ライン及びVC8B2細胞ラインにおける構造式 I のPARP反応抑制剤の存在の下での細胞の生存率を示すグラフ
【図4】構造式 III のPARP反応抑制剤の存在の下でのVC8、V79、VC8#13とVC8及びVC8#13とVC8+B2の各細胞ラインのPARP活性を示す棒グラフ
【図5】浸透させられたL1210細胞(上のグラフ)及び損なわれていないL1210細胞(下のグラフ)において、構造式 I 及び III のPARP反応抑制剤の存在の下での細胞のPARP活性阻害を示す一組のグラフ
【図6】SW620異種移植片を有するマウスに1mg/kg(上のグラフ)及び10mg/kg(下のグラフ)の構造式 Iのリン酸塩を与えた血液及び腫瘍の薬物動態学及び薬力学を示す一組の棒グラフ
【図7】SW620異種移植片を有するマウスにおける構造式 IIIによる薬物動態学及び薬力学を示す棒グラフ
【図8】構造式 IIIの薬剤とテルノゾロマイド(TMZ)の組合せによる治療及びTMZのみによる治療を受けた後に、 SW620異種移植片を有するマウスにおける腫瘍の成長(腫瘍の相対量の中央値)を示すグラフ
【図9】構造式 Iのリン酸塩とテルノゾロマイド(TMZ)の組合せによる治療、構造式 Iのリン酸塩及びTMZのみによる治療を受けた後に、 SW620異種移植片を有するマウスにおける腫瘍の成長(腫瘍の相対量の中央値)を示すグラフ
【配列表1】
【0098】

【配列表2】
【0099】

【配列表3】
【0100】

【配列表4】
【0101】

【配列表5】
【0102】

【配列表6】
【0103】

【配列表7】
【0104】

【配列表8】
【0105】

【配列表9】
【0106】

【配列表10】
【0107】

【配列表11】
【0108】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:

を有し、PARPの活性を抑制する化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤。
【請求項2】
構造式II:

を有し、PARPの活性を抑制する化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤。
【請求項3】
構造式III:

を有し、PARPの活性を抑制する化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤。
【請求項4】
請求項1に従う化合物で、当該化合物が次の構造式のリン酸塩の形態にある化合物:

【請求項5】
薬剤の製造工程における構造式Iの化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤の治療量の使用。
【請求項6】
薬剤の製造工程における構造式IIの化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤の治療量の使用。
【請求項7】
薬剤の製造工程における構造式IIIの化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤の治療量の使用。
【請求項8】
同族の遺伝子組み換えを成立させる遺伝子における遺伝子欠陥によってもたらされる疾病及び体調不良の治療のための薬剤の製造工程における構造式Iの化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤の治療量の使用。
【請求項9】
同族の遺伝子組み換えを成立させる遺伝子における遺伝子欠陥によってもたらされる疾病及び体調不良の治療のための薬剤の製造工程における構造式IIの化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤の治療量の使用。
【請求項10】
同族の遺伝子組み換えを成立させる遺伝子における遺伝子欠陥によってもたらされる疾病及び体調不良の治療のための薬剤の製造工程における構造式IIIの化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤の治療量の使用。
【請求項11】
請求項8から10までのいずれかの使用で、その欠陥がHRに含まれる蛋白質をコード化する遺伝子である場合の使用。
【請求項12】
請求項8から10までのいずれかの使用で、その欠陥がHRに含まれる蛋白質をコード化する遺伝子の不存在である場合の使用。
【請求項13】
請求項8から10までのいずれかの使用で、その欠陥がHRに含まれる蛋白質をコード化する遺伝子の発現にある場合の使用。
【請求項14】
HRの欠陥のある細胞におけるアポトーシスを含めるための薬剤の製造工程における構造式Iの化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤の治療上効果的な量の使用。
【請求項15】
HRの欠陥のある細胞におけるアポトーシスを含めるための薬剤の製造工程における構造式IIの化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤の治療上効果的な量の使用。
【請求項16】
HRの欠陥のある細胞におけるアポトーシスを含めるための薬剤の製造工程における構造式IIIの化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤の治療上効果的な量の使用。
【請求項17】
癌の治療のための薬剤の製造工程における構造式Iの化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤の治療上効果的な量の使用。
【請求項18】
癌の治療のための薬剤の製造工程における構造式IIの化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤の治療上効果的な量の使用。
【請求項19】
癌の治療のための薬剤の製造工程における構造式IIIの化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤の治療上効果的な量の使用。
【請求項20】
請求項15から17までのいずれかの使用で、その癌が遺伝子につながる遺伝性の癌である場合の使用。
【請求項21】
BRCA1及びBRCA2又はそのいずれかの発現において欠陥のある癌細胞の治療のための薬剤の製造工程における構造式Iの化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤の治療上効果的な量の使用。
【請求項22】
BRCA1及びBRCA2又はそのいずれかの発現において欠陥のある癌細胞の治療のための薬剤の製造工程における構造式IIの化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤の治療上効果的な量の使用。
【請求項23】
BRCA1及びBRCA2又はそのいずれかの発現において欠陥のある癌細胞の治療のための薬剤の製造工程における構造式IIIの化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤の治療上効果的な量の使用。
【請求項24】
請求項21から23までのいずれかに従う化合物の使用で、治療されるべき癌細胞が
BRCA1及びBRCA2又はそのいずれかの発現において部分的又は全面的に欠陥がある場合の使用。
【請求項25】
活性成分として構造式I の化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤を含む薬剤。
【請求項26】
活性成分として構造式II の化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤を含む薬剤。
【請求項27】
活性成分として構造式III の化合物及び薬学的に受入れ可能なその塩剤を含む薬剤。
【請求項28】
請求項25から27までのいずれかに従う薬剤構成で、その構成にさらに少なくとも一種の希釈剤及び少なくとも一種の増量剤を伴う担体又はこれらのいずれかが含まれる場合の使用。
【請求項29】
請求項28に従う薬剤構成で、その希釈剤及び担体又はそのいずれかが含塩物、緩衝材を含む含塩物、デキストロース、水、グリセリン及びエタノールのいずれかを単独で又は組み合わせて選択される場合の使用。
【請求項30】
請求項1に記述する構造式 I の化合物又は薬学的に受入れ可能なその塩剤を投与することを含めて、哺乳動物の癌の治療の方法。
【請求項31】
請求項2に記述する構造式 II の化合物又は薬学的に受入れ可能なその塩剤を投与することを含めて、哺乳動物の癌の治療の方法。
【請求項32】
請求項3に記述する構造式 III の化合物又は薬学的に受入れ可能なその塩剤を投与す
ることを含めて、哺乳動物の癌の治療の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2007−533601(P2007−533601A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521648(P2006−521648)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003183
【国際公開番号】WO2005/012305
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(506028683)カンサー リサーチ テクノロジー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】