泌尿生殖器症状を治療する組成物および方法
本発明は、泌尿生殖器症状を治療するための組成物および方法に向けられる。開示される1つの実施形態は、前記組成物が以下を含む泌尿生殖器症状の治療に使用するための薬学的組成物である:KPV二量体と、第1の保存剤と、溶媒と、アルカリ化薬と、アクリル酸ベースのポリマーと、第2の保存剤と、およびゲル化剤。組成物が、CKPV(配列番号:5)二量体API、カルボポール(登録商標)、NF、プロピルパラベン、NF;メチルパラベン、NF;プロピレングリコール、USP;エデト酸(EDTA)、USP;2Mの水酸化ナトリウム溶液(NaOH);および注射用滅菌水、USPである本発明のもう一つの実施形態が開示される。また、開示された組成物の使用のための方法および適応症が開示される。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2000年3月23日に出願された米国特許出願第09/535066号の一部継続出願であり、該一部継続出願は1999年3月24日に出願された米国仮出願第60/126,233号の優先権を主張する。本出願は、また2003年5月21日に出願された米国特許出願第10/442,683号の一部継続であり、該一部継続出願は2002年5月21日に出願された米国仮出願第60/382,887号の優先権を主張する。図面を含めたこれらの全ては、ここでの参照により、本明細書に完全に記載されたかの如く、本明細書の一部として完全に援用される。
【発明の技術分野】
【0002】
本発明は、泌尿生殖器症状のための治療の分野に関する。
【発明の背景】
【0003】
泌尿生殖器症状または疾患は、一般に男性および女性の両方に発症する。これらの症状は、泌尿器系および生殖系の感染および/または炎症を含む。たとえば、国立小児衛生・人間発育研究所(NICHD)によれば、「大部分の女性は、彼女らの生涯において少なくとも1つの型の膣炎を有する」。Vaginitis, National Institute of Child Health and Human Development-Publications On-line, www.nichd.nih.giv/publications/pubs/vag1.htm。膣炎の原因は、細菌、真菌またはウイルスの感染症からクリーム、スプレー、更にはこの領域と接触した衣類の化学物質からの刺激にまでも及ぶ。同上。細菌および真菌の感染症の状態の女性については、彼女らの感染因子は、たいてい直腸領域から生じ、会陰を越えて転移して膣または尿道に到達する。
【0004】
膣炎の一般的な型は、最も一般的には鵞口瘡カンジダ(Candida albicans)によって生じるカンジダ症または酵母感染である。カンジダ属(Candida)種は、皮膚、口、および消化管に存在する微生物生物体の個々の常在菌叢の一部である。Robbins Pathologic Basis of Disease 5th ed., Saunders Co., Philadelphia (1994) p. 354。また、これらは、女性の膣内に小数で生存する。これらは、膣または口腔などの暖かく、湿った表面で最も増殖する。これらは、通常非病原性であるが、閉経期、妊娠の際の女性のホルモンの変化に応答するか、またはストレスに応答するなど、これらの環境に変化が生じるときに、これらが過成長して酵母感染を生じさせる可能性がある。また、これらの変化は、化学療法を受けているか、免疫抑制剤を服用しているか、もしくはAIDSで悩まされる人々などの、免疫抑制性または易感染性の個体においても生じ得る。
【0005】
カンジダ症のための現在の治療は、硝酸ブトコナゾール(butoconazole)(Femstat(登録商標))、クロトリマゾール(Gyne-Lotrimino(登録商標)およびその他)、ミコナゾール(Monistate(登録商標)およびその他)、およびチオコナゾール(Vagistat(登録商標))などの活性成分をもつ一般用医薬品を含む。これらの薬物は、膣に局所的に適用され、カンジダ属の細胞壁を壊す。その他の同様の治療は、フルコナゾール(Diflucan(登録商標))、テルコナゾール(Terazol(登録商標))、およびケトコナゾール(Nizoral(登録商標))などの同じファミリーの活性成分をもつ処方薬を含む。
【0006】
膣炎は、一般にカンジダ属と関連していたが、NICHDによれば、細菌性膣疾患は、実際に生殖可能年齢の女性において最も一般的な膣感染症である。前出のVaginitis参照。膣における細菌の過成長は、非常にカンジダ属に似た細菌性膣疾患を生じさせるが、その治療のために使用される薬物は異なる。
【0007】
一方で、男性も、亀頭および包皮を含む彼らの陰茎でカンジダ属感染に罹る可能性がある。亀頭包皮炎(亀頭および包皮の非特異的感染)は、カンジダ属などの真菌およびブドウ球菌(Staphylococci)種などの化膿菌を含む多種多様な生物体によって生じる。Robbins Pathologic Basis of Disease 5th ed., Saunders Co., Philadelphia (1994), p. 1008。
【0008】
ブドウ球菌は、通常皮膚および体のその他の粘膜に存在するグラム陽性細菌である。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、特に、皮膚病変、心内膜炎、呼吸器の感染、食中毒、および毒素ショック症候群に由来する無数の症状および疾患を生じさせる病原性病原体である。非常に吸収性のあるタンポンを使用する女性に関しては、黄色ブドウ球菌(S. aureus)が、膣にコロニーを作り、毒素を分泌し得ることが公知であり、毒素ショック症候群毒素(TSST-1)を呼ばれる。食品医薬品局によれば、今日報告された毒素ショック症候群のほぼ半分の場合では、月経の間の、および通常若い女性のタンポンの使用と関連する。Tampons and Asbestos, Dioxin, & ToxicShockSyndrome FDA Center for Devices and Radiological Health (July 23, 1999), www.fda.gov/cdrh/ocd/tamponsabs.html。
【0009】
黄色ブドウ球菌感染は、一般にメチシリンで治療される。これは、非常に有効であるが、黄色ブドウ球菌のいくつかの株は、メチシリンに対する耐性を発生し、少しの抗生物質だけでは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染をうまく治療することができない。MRSAのために一般に使用される抗生物質のうちの1つは、バンコマイシンである。しかし、バンコマイシン(VISA)に対する感受性が減少された黄色ブドウ球菌株が、すでに同定されている。Khurshid, M. A., et. al., Staphylococcus aureus with Reduced Susceptibility to Vancomycin--Illinois, 1999, Morbidity and Mortality Weekly Report, 48 (51): 1165-1167 (2000), www.cdc.gov/epo/mmwr/previewimmwrhtml/mm4851a1.htm。抗菌物質耐性菌株の出現により、細菌感染と戦うための代わりの方法の必要性が生じた。
【0010】
真菌および細菌による感染に加えて、ウイルス性膣炎も一般的である。これらの感染は、多くの場合、性交を介して伝染される。ウイルス性膣炎は、単純ヘルペスウイルス(HSV)またはヒトパピローマウイルス(HPV)による感染を含む。HSVウイルスは、たとえば、性域(侵入するための部位である)で複製して、更に生殖器を神経支配するニューロンに感染する。体の免疫系を回避するために、HSVウイルスは、これらのニューロンに潜在したままであることができ、ストレス、免疫抑制、照射、またはウイルス感染などの環境条件に応答して再活性化される。HSVのための現在の治療は、アシクロビル、ファムシクロビル、またはバラシクロビルなどの薬物を含む。
【0011】
泌尿器系に関しては、米国医学会によれば、尿路感染症(UTI)が、医師来診を促す最も一般的障害のうちの1つである。Women's Health, Urinary Tract Infections: A Patient's Guide to Treatment, AMA Health Insight, On-Line Health Information for Everyone, www.ama-assn.org/insight/h_focus/wom_hlth/uti/uti.htm。これらの感染は、多くの場合、大腸菌(Escherichia coli)によって引き起こされるが、カンジダ属種およびブドウ球菌種などの生物体も関与し得る。同上。これらの感染は、尿道で開始して、膀胱まで進行して膀胱炎を生じさせることがある。最後に、これは、さらに輸尿管を通って腎臓にのぼり、腎盂腎炎を生じさせることもある。男女両方の泌尿器系が、これらの微生物に感染し得る。
【0012】
泌尿生殖器症状は、1つの単一の原因に限定されないので、現在の治療では、特定の原因を治療するために異なる薬物が必要である。これらの原因は、最初に同定されていなければならない。同定には時間が必要であるが、それよりも、特定の感染因子またはこれらが欠如することを決定するためには、女性に対して婦人科の検査をすることが必要である。
【0013】
抗生物質および他剤の使用が増大されたことにより、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌などの微生物では、現在利用可能な薬物に対する耐性がますます発生している。従って、感染因子の広域性と戦うことができる薬物の新たなクラスに対する継続的な要求が存在する。本明細書に開示したリジン-プロリン-バリンを含む二量体、並びにその他のα-MSHに基づいたペプチドは、泌尿生殖器症状を治療する際に有効であることが発見された。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、泌尿生殖器症状を治療するための系に向けられる。本発明の一つの実施形態は、泌尿生殖器症状の治療のために、KPV(配列番号:1)、MEHFRWG(配列番号:2)、HFRWGKPV(配列番号:3)、VPKC(配列番号:5)、-s-s CKPV(配列番号:5)、またはSYSMEHFRWGKPV(配列番号:4)を含むアミノ酸配列と共に、1つまたは複数のポリペプチドを含む治療を含む。VPKC-s-s-CKPVは、それぞれの単量体のN末端のシステイン間にジスルフィド結合が存在する「KPV二量体」の例である。本明細書では、本開示において、「CKPV二量体」は、KPV二量体のこの形態、すなわちジスルフィド結合を介して連結された二つCKPV単量体、すなわちVPKC(配列番号:5)-s-s-CKPV(配列番号:5)を特定するために使用される用語である。その他のKPV二量体を開示された組成物に使用してもよいことが想定される。
【0015】
泌尿生殖器症状は、感染、炎症、または両方を含むことができる。本発明の一つの好ましい実施形態において、泌尿生殖器症状は、膣、陰門、尿路、陰茎、および/または直腸の感染および/または炎症を含む。本発明のもう一つの好ましい実施形態において、1つまたは複数のポリペプチドは、キャリアに溶解される。本発明のもう一つの好ましい実施形態において、1つまたは複数のポリペプチドは、毒素ショック症候群を予防するためのタンポンに関連する。もう一つの好ましい実施形態において、1つまたは複数のポリペプチドは、性行為感染症または感染の予防のための避妊薬に関連する。もう一つの好ましい実施形態において、1つまたは複数のポリペプチドは、膣または直腸に挿入するための坐薬に関連する。本発明のもう一つの好ましい実施形態において、1つまたは複数のポリペプチドは、膣に潅注するための液体キャリアに溶解される。
【0016】
本発明の一つの局面において、薬学的組成物は、泌尿生殖器症状の治療に使用するために開示され、KPV二量体と、保存剤と、溶媒と、アルカリ化薬と、アクリル酸ベースのポリマーと、およびゲル化剤とを含む。
【0017】
本発明のもう一つの局面において、泌尿生殖器症状の治療に使用するための薬学的組成物は、アクリル酸ベースのポリマー、たとえばカルボポール(登録商標)、National Formulary(本明細書ではNF);プロピルパラベン、NF;メチルパラベン、NF;プロピレングリコール、United States Pharmacopeia(本明細書ではUSP));エデト酸(本明細書ではEDTA)、USP;CKPV二量体(これは、商標「CZEN002(商標)」によっても特定される)、Active Pharmaceutical Ingredient(本明細書ではAPI);2M水酸化ナトリウム溶液(本明細書ではNaOH);および注射用滅菌水(USP)を含む。一覧表に記載された一定の成分は、修飾しても、置換しても、または除去してもよいことが想定される。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0018】
下記の引用した参照文献は、あたかも本明細書に完全に記載されるかのように、参照により本明細書に援用される。本発明は、α-メラニン細胞刺激ホルモン(「α-MSH」)ペプチドおよびこれらの二量体を用いて泌尿生殖器症状を治療するための組成物並びに方法を含む。α-MSHは、より大きな前駆体分子プロピオメラノコルチン(の翻訳後プロセシングによって産生される旧式の13アミノ酸ペプチドである(配列番号:4)。これは、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)と1〜13アミノ酸配列を共有し、プロピオメラノコルチンにも由来する。α-MSHは、下垂体細胞、単球、メラニン形成細胞、およびケラチノサイトを含む多くの細胞型によって分泌されることが公知である。これは、ラット皮膚において、ヒト表皮において、または無処置および下垂体切除したラットの消化管の粘膜障壁に見つけることができる。たとえば、Eberle, A. N., The Melanotrophins, Karger, Basel, Switzerland (1998); Lipton, J. M., et. al., Anti-inflarnmatory Influence of the Neuroimmunomodulatorα-MSH, Immunol. Today18,140-145 (1997); Thody, A. J., et. al., MSH Peptides are Present in Mammalian Skin, Peptides 4,813-815 (1983); Fox, J. A., et. al., Immunoreactivea-Melanocyte Stimulating Hormone, Its Distribution in the Gastrointestinal Tract of Intact and Hypophvsectomized Rats, Life. Sci. 18, 2127-2132 (1981)を参照されたい。
【0019】
α-MSHペプチドは、強力な解熱および抗炎症特性を有することが公知であり、それにもかかわらず、これらは極めて低い毒性を有する。これらは、インビトロで宿主細胞の炎症誘発性メディエーターの産生を減少させることができ、また、炎症の動物モデルにおいて局部的および全身性の反応が生じるのを減少させることもできる。「コア」α-MSH配列(4〜10)(配列番号:2)は、たとえば、学習および記憶行動に効果を有するが、ほとんど解熱薬および消炎作用を有していない。対照的に、解熱および消炎作用のための活性なメッセージ配列は、α-MSHのC末端のアミノ酸配列に、すなわちリジン-プロリン-バリン(「Lys-Pro-Val」または「KPV」)(配列番号:1)に存在する。このトリペプチドは、インビトロで、およびインビボで、親分子のものに匹敵する活性を有する。α-MSHペプチドの抗炎症活性は、以下の2つの特許に開示されており、これは参照により本明細書に援用される:Lipton、J. M.,に対して1991年7月2日に発行された米国特許第5,028,592号、表題Antipyretic and Anti-inflammatory Lys Pro Val Compositions and Method of Use;Lipton、J. M.,に対して1992年10月20日に発行された米国特許第5,157,023号、表題Antipyretic and Anti-inflammatory Lys Pro Val Compositions and Method of Use;また、Catania, A., et. al., oc-Melanocyte Stimulating Hormone in the Modulation of Host Reactions, Endocr. Rev. 14,564-576 (1993); Lipton, J. M., et. al., Anti-inflammatory Influence of the Neuroimmunomodulator α-MSH, Immunol. Today 18,140-145 (1997); Rajora, N., et. al., α-MSH Production Receptors and Influence on Neopterin, in a HumanMonocvte/macrophage Cell Line, J. Leukoc. Biol. 59,248-253 (1996); Star, R. A., et. al., Evidence of Autocrine Modulation of Macrophage Nitric Oxide Svnthase by α-MSH, Proc. Nat'l. Acad. Sci. (USA) 92, 8015-8020 (1995); Lipton, J. M., et. al., Anti-inflammatorv Effects of the Neuropeptide α-MSH in Acute Chronic and Systemic inflammation, Ann. N. Y. Acad. Sci. 741,137-148 (1994); Fajora, N., et. al., α-MSH Modulates Local and Circulating Tumor Necrosis Factor a in Experimental Brain Inflammation, J. Neuroosci,17,2181-2186 (1995); Richards, D. B., et. al., Effect of α-MSH (11〜13) (Iysine-proline-valine) on Fever in the Rabbit, Peptides 5,815-817 (1984); Hiltz, M. E., et. al., Anti-inflammatory Activity of a COOH-terminal Fragment of the Neuropeptide α-MSH, FASEB J. 3,2282-2284 (1989)も参照されたい。
【0020】
その抗炎症性および抗発熱性の機能に加えて、本発明の一つの実施形態は、α-MSHペプチドの抗菌または抗感染活性を含む。後述するように、α-MSHペプチドは、たとえば、微生物の生存度を減少させ、酵母の発芽を減少させ、ヒト好中球による微生物の死滅を減少させることなく微生物を死滅させる際の、微生物の死滅を減少させることなく微生物の感染と関連する炎症を治療し、微生物におけるcAMPの蓄積を増大し、およびウイルス病原体の複製および発現を阻害するための使用を含む、有意な抗感染用途を有する。
【0021】
本発明の好ましい実施形態において、これらの抗菌または抗感染活性は、最も著しくはC末端のアミノ酸配列-KPVに関連する(配列番号:1)。このトリペプチドは、その二量体およびその他のα-MSHペプチドと一緒になって、ヒト血漿に通常生じるピコモル濃度を含む、非常に広範な濃度にわたって有効である。ナノモルおよびマイクロモル濃度では、より強力な濃度を生じる。
【0022】
背景の節で論議したように、泌尿生殖器症状は、1つの単一の原因に限定されない。細菌および真菌からウイルスまでの複数の生物体および感染因子が、個々に、または共に、膣炎、外陰炎、尿道炎、亀頭包皮炎(balanophosthithis)、カンジダ症、性行為感染症、および毒素ショック症候群を含む多種多様な症状を引き起こし得る。これらの症状の治療のために、α-MSHペプチドを当技術分野において公知の方法によって、感染および/または炎症の部位に局所的に適用することができる。たとえば、α-MSHペプチドは、リン酸緩衝液食塩水、ヒアルロン酸、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはエタノールなどの溶液に溶解することができる。軟膏、クリーム、ゲル、溶解性ピル、エアゾールスプレー、坐薬、圧注のための液溶体、またはタンポンの吸収材料などの一般的キャリアにより、泌尿生殖器症状を治療するための活性成分としてα-MSHペプチドを保有することができる。これらのキャリアは、注射器または注射器様の装置、包帯、カテーテル、プランジャーをもつチューブ、へらまたはその他のタイプの平らな表面のアプリケーター、コンドーム、スポンジ、隔膜、タンポン・アプリケーター、または指などのアプリケーターによって感染または炎症の部位に適用することができる。
【0023】
より詳細には、本発明の1つの好ましい実施形態は、液体に基づいたキャリアにα-MSHペプチドを溶解することである。次いで、溶媒和化合物α-MSHペプチドを保有するこのキャリアを加圧キャニスタ内に貯蔵する。放出弁またはその他のメカニズムによるキャリア加圧キャニスタからの放出により、エアロゾル泡を形成して、注射器または注射器型装置に捕獲する。次いで、注射器を部分的に膣に挿入し、その内容物を膣管に送達する。また、注射器または注射器型装置およびその開口部は、尿道などの異なる泌尿生殖器の領域への挿入に対応するために異なるサイズ、形状、および長さに成形することができ、直腸に使用してもよい。
【0024】
もう一つの本発明の好ましい実施形態は、キャリアを含む坐薬である。このキャリア、ゲルまたはグリセリンなどは、室温で固体または半固体であるが、膣または直腸に挿入されたときに体温で溶解する。α-MSHペプチドが溶媒和化合物を保有するこのキャリアは、キャリアが溶解するときに、泌尿生殖器症状の部位に送達される。陰門または亀頭および陰茎の包皮などの泌尿生殖器領域の外側の領域にα-MSHペプチドを送達するには、クリーム、軟膏、ゲル、スプレー、泡、または香膏を局所的に適用することによって達成することができ、これらの組成物は、当該技術分野においてすでに周知である。
【0025】
本発明の他の実施形態では、製造プロセスの間にタンポンをα-MSHペプチドで処置することができる。タンポンにα-MSHが存在することにより、毒素ショック症候群毒素(TSST-1)を分泌する黄色ブドウ球菌などの微生物の増殖が阻害されるであろう。タンポンを作製するための方法は、当該技術分野においてすでに周知である。α-MSHまたはその誘導体でのタンポン吸収材料を処置は、α-MSHペプチドの溶液に吸収材料を最初に浸漬することによって達成してもよい。次いで、吸収材料を乾燥させることができる。あるいは、α-MSHは、乾燥粉末としてタンポンの吸収材料上にまいてもよい。
【0026】
本発明のもう一つの局面において、α-MSHペプチドは、妊娠または性行為感染症を防止するために、使用されるコンドーム、隔膜、スポンジ、またはその他の障壁形メカニズムなどの避妊具を使用することによって感染部位に送達してもよい。α-MSHペプチドは、コンドームに使用される潤滑剤中に、隔膜と共に使用されるゲルもしくは泡中に、またはコンドーム、隔膜、もしくはスポンジと連動して使用されるその他の何らかの殺精子溶液に中に溶解することができる。
【0027】
本発明のもう一つの局面において、α-MSHペプチドは、圧注で使用するための液体に溶解してもよい。液体は、感染および/または炎症を治療するために、圧注によって膣に送達することができる。
【0028】
本発明のもう一つの局面において、泌尿生殖器症状の治療に使用するための薬学的組成物は、CKPV二量体(配列番号:5)と、保存剤と、溶媒と、アルカリ化薬と、カルボポール(登録商標)と、およびゲル化剤とを含む。組成物は、キレート化剤をさらに含んでもよい。これらの成分は、修飾しても、置換しても、または除去してもよい。CKPV二量体(配列番号:5)は、これが膣炎を治療する際に有効なことが示されたので、その他の有用なα-MSH以上に好ましいペプチドである。下記の実施例XIIを参照されたい。
【0029】
本発明のもう一つの局面において、泌尿生殖器症状の治療に使用するための薬学的組成物であって、アクリル酸ベースのポリマー、たとえばカルボポール(登録商標)、NF;プロピルパラベン、NF;メチルパラベン、NF;プロピレングリコール、USP;EDTA、USP;CKPV(配列番号:5)API;2M NaOH;および注射用滅菌水、USPを含む重合体が開示される。約4kgの重さである組成物の、0.1%のCKPV二量体(配列番号:5)バッチで示される本発明の少なくとも一つの実施形態を下記に開示してある。本発明の個々の成分の割合の想定範囲を本発明の異なるサイズ量について開示してある。
【0030】
アクリル酸ベースのポリマーの1つの型は、カルボポール(登録商標)である。カルボポールは、Noveon Pharmaceuticalsから入手可能な高分子量の、架橋された、アクリル酸ベースのポリマーの登録商標である。www.pharma.noveonic.com/products/carbopol.asp。開示された組成物に使用するためのカルボポール(登録商標)の量は、組成物の少なくとも約60〜100gまたは少なくとも約1.5〜2.5%の範囲である。カルボポール(登録商標)の好ましい量は、組成物の少なくとも約80gまたは少なくとも約2%である。カルボポールに加えて、または代わりに、その他の公知のゲル化剤を利用してもよいが、これらがゲルを形成するために有効であることを条件とすることが当業者には明らかである。
【0031】
プロピルパラベンまたは4-ヒドロキシ安息香酸プロピルエステルは、周知の保存剤である。Merck Index p. 1350,12th Ed. (Merck Research Laboratories,1996)を参照されたい。開示された組成物に使用するためのプロピルパラベンの量は、少なくとも約1〜3gまたは組成物の0.025〜0.075%の範囲である。プロピルパラベンの好ましい量は、少なくとも約2gまたは組成物の少なくとも約0.05%である。
【0032】
メチルパラベンまたは4-ヒドロキシ安息香酸メチルエステルは、周知の保存剤である。Merck Index p. 1041,12th Ed. (Merck Research Laboratories,1996)を参照されたい。開示された組成物に使用するためのメチルパラベンの量は、少なくとも約4〜8gまたは組成物の少なくとも約0.1〜0.2%からの範囲である。メチルパラベンの好ましい量は、少なくとも約6gまたは組成物の少なくとも約0.15%である。
【0033】
また、防腐剤は、フェノキシエタノール、メチルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、およびソルビン酸カリウム、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択してもよい。
【0034】
プロピレングリコールまたは1,2-プロパンジオールは、周知の溶媒であり、化学の多くの領域で多く使用されている。Merck Index p. 1348,12th Ed. (Merck Research Laboratories,1996)を参照されたい。開示された組成物に使用するためのプロピレングリコールの量は、少なくとも約200〜600gまたは組成物の少なくとも約5〜15%の範囲である。プロピレングリコールの好ましい量は、少なくとも約400gまたは組成物の少なくとも約10%である。
【0035】
また、溶媒は、エタノール、フェノール、アセトン、グリセロール、およびイソプロパノール、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択してもよい。EDTAまたはN,N’-1,2-エタンジエチル[N-(カルボキシメチル)グリシン])は、周知のキレート化剤である。Merck Index p. 593,12th Ed. (Merck Research Laboratories,1996)を参照されたい。開示された組成物に使用するためのEDTAの量は、少なくとも約2〜6gまたは組成物の少なくとも約0.05〜0.15%の範囲である。EDTAの好ましい量は、少なくとも約4gまたは組成物の少なくとも約0.1%である。
【0036】
また、キレート化剤は、補酵素Q10、亜鉛、L-システイン、L-メチオニン、L-リジン、グルタチオン、およびEDTA、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択してもよい。
【0037】
CKPV(配列番号:5)二量体は、本発明で使用してもよい二量体の1つの形態である。開示された組成物に使用するためのCKPV(配列番号:5)の量は、少なくとも約2〜6gまたは組成物の0.05-015%の範囲である。CKPV(配列番号:5)二量体の好ましい量は、少なくとも約4gまたは組成物の少なくとも約0.1%である。
【0038】
2M NaOH溶液は、アルカリ化薬として使用される周知の腐食薬である。Merck Index(p. 1477-8,12th Ed.)(Merck Research Laboratories,1996)を参照されたい。開示された組成物に使用するための2M NaOHの量は、組成物を好ましい4.0+ 0.1のpHにするために十分な量である。
【0039】
また、アルカリ化薬は、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-(2-エタンスルホン酸)(本明細書ではHEPES)、2M NaOH、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(本明細書ではMES水和物)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(本明細書ではMOPS)、N-トリス[ヒドロキシメチル]メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(本明細書ではTAPS)、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-トリ(ヒドロキシメチル)メタン(本明細書ではビス-トリス)、またはこれらの組み合わせからなる群より選択してもよい。
【0040】
注射用滅菌水は、一般に公知であり、粉末またはその他の固体からゲルを採用するときには、ゲル化剤が使用される。開示された組成物に使用するための注射用滅菌水は、十分な量および少なくとも約3500〜3550gまで、または組成物の少なくとも約87〜89%である。
【0041】
また、その他のゲル化剤は、水、滅菌水、蒸留水、無菌食塩水、およびこれらの組み合わせからなる群より選択してもよい。
【0042】
4Kg。0.1パーセントのCKPV(配列番号:5)二量体ゲルバッチの組成物は、好ましくは以下を含む:
カルボポール(登録商標)、NF 80.0g
プロピルパラベン、NF 20g
メチルパラベン、NF 6.0g
プロピレングリコール、USP 400.0g
EDTA、USP 4,0g
CKPV(配列番号:5)二量体、API 4.0g
2M NaOH溶液 pH4.0±0.1に十分な量
注射用滅菌水、USP 3504g
上記および下記に開示したとおり、CKPV(配列番号:5)二量体の有効な量は、治療薬として使用されるときは、ピコモル〜ナノモル濃度の範囲である。マイクロモル濃度では、より強力に有効である。本明細書に開示される薬学的組成物の用量は、50〜150μg/mlの範囲である。本明細書に記載されている薬学的組成物の好ましい用量は、100μg/mlである。
【0043】
以下の実施例は、感染と戦うための、α-MSHペプチドの能力および適用を証明する。使用される微生物学、分子生物学、および細胞培養の方法は、本開示に明確に記載されていない科学文献においてすでに十二分に報告されている。これらの方法は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0044】
以下の実施例で使用されるペプチドは、CKPV(配列番号:5)の二量体、α-MSH(1〜13)(配列番号:4)、(4〜10)(配列番号:2)、(6-13)(配列番号:3)(11〜13)、および(配列番号:1)(これらの全ては、Nアセチル化されており、かつCアミド化されていた)、並びにACTH(1〜39)(配列番号:9)および(18〜39)(配列番号:10)(CLIP)を含む。これらのペプチドは、固相ペプチド合成によって調製し、逆相高速液体クロマトグラフィーによって精製した。図16は、KPV二量体のための1つの化学構造の図、すなわちCKPV二量体(配列番号:5)を示す。二量体は、上記ポリペプチドのいずれかのN末端にシステインを添加すること、および2つのポリペプチドのシステインにジスルフィド結合を形成させることによって形成することができる。この方法を使用して、ホモ二量体およびヘテロ二量体を形成することができる。
【0045】
2つのKPVペプチドのN末端がリンカーで連結されているときに、KPV二量体を形成してもよい。VPKC(配列番号:5)-s-s CKPV(配列番号:5)KPV二量体は、KPVペプチドのN末端にシステインを添加すること、および次いで、2つのCKPVペプチドのシステインにジスルフィド結合(-s-s-)を形成させることによって形成される。言い換えると、VPKC(配列番号:5)-s-s CKPV(配列番号:5)は、形成する2つのKPV(配列番号:1)ペプチドが、a-Cys-s-s-Cys-リンカーによって連結されるとき形成される。リンカーは、共に2つのKPVペプチドのN末端を連結するいずれの種類の化学結合であることもできる。リンカーは、-Cys-s-s-Cys-、-DCys-s-s-Cys-、-Pen-s-s-Cys、-Pen-s-s-DCys-、-DPen-s-s-Cys-、-DPen-s-s-DCys-、-DPen-s-s-DPen-、-Pen-s-s-Pen-、-hCys-s-s-Cys-、-hCys-s-s-DCys-、-hCys-s-s-hCys-、-DhCys-s-s-DhCys-、DhCys-s-s-hCys-、-hCys-s-s-Pen-、-hCys-s-s-DPen-または-DhCys-s-s-DPen-であることが好ましい。
【0046】
リンカーは、-Cys-Cys-であることが好ましい。「Pen」という用語は、ニシラミンをいう。「Cys」という用語は、システインをいう。「hCys」という用語は、ホモシステインをいう。接頭辞「D」は、アミノ酸のデキストロ型をいう。従って、KPV二量体は、VPK-Cys(配列番号:5)、-s-s-Cys-KPV(配列番号:5)、VPK-DCys(配列番号:6)、-s-s-CysKPV(配列番号:5)、VPK-Pen-s-s-Cys-KPV(配列番号:5)、VPK-Pen-s-s-DCys-KPV(配列番号:6)、VPK-DPen-s-s-Cys-KPV(配列番号:5)、VPK-DPen-s-s-DCys-KPV(配列番号:6)、VPK-DPen-s-s-DPen-KPV、VPK-Pen-s-s-Pen-KPV、VPK-hCys(配列番号:7)、-s-s-CysKPV(配列番号:5)、VPK-hCys(配列番号:7)、-s-s-DCys-KPV(配列番号:6)、VPK-hCys(配列番号:7)、-s-s-hCys-KPV(配列番号:7)、VPK-DhCys(配列番号:8)、-s-s-DhCys-KPV(配列番号:8)、VPK-DhCys(配列番号:8)、-s-s-hCys-KPV(配列番号:7)、VPK-hCys(配列番号:7)、-s-s-Pen-KPV、VPK-hCys(配列番号:7)、-s-s-DPen-KPV、またはVPK-DhCys(配列番号:8)-s-s-DPen-KPVであることが好ましい。KPV二量体は、CKPV(配列番号:5)二量体、すなわちVPK-Cys(配列番号:5)-s-s-CysKPV(配列番号:5)であることが好ましい。
【0047】
本明細書に記載された具体的アミノ酸配列も有効であるが、アミノ酸は、ペプチドの有効性を変更せずにアミノ酸配列に置換をすること、または欠失することができることが当業者には明らかである。従って、種々のKPV二量体が、本開示において想定される。さらに、α-MSH配列の安定化により、ペプチドの活性を非常に増大することができること、およびL型に対するD-アミノ酸型の置換により、ペプチドの有効性を改善すること、または減少させることができることが公知である。たとえば、α-MSHの安定な類似体、[Nle4、D-Phe7、α-MSH(これは、メラニン形成細胞および黒色腫細胞に対して顕著な生物活性を有することが公知である)は、熱を減少させるのに親ペプチドよりも約10倍強力である。
【0048】
Holdeman、M. and Lipton、J. M., Potent oc-MSH AnalogのAntipyretic Activity、Peptides 6,273-5(1985)。さらに、C末端α-MSH(11〜13)配列にアミノ酸を付加することにより、解熱能力を減少させること、または増強することができる(Deeter, L. B.; Martin, L. W.; Lipton, J. M., Antipyretic Properties of Centrally Administeredg-MSH Fragments in the Rabbit, Peptides 9, 1285-8 (1989)。10〜13配列を形成するためのグリシンの付加により、能力がわずかに減少し;9〜13配列では、活性がほぼ無くなったのに対し、8〜13配列の能力は、11〜13配列のものよりも優れていた。Ac-[D-K11]α-MSH 11〜13-NH2は、トリペプチドα-MSH 11〜13のL型と同じ一般的能力を有することが公知である。Hiltz, M. E.; Catania, A.; Lipton, J. M., Anti-inflammatory Activity of α-MSH (11〜13) Analogs: Influences of Alterations in Stereochemistry, Peptides 12,767-71 (1991) 。
【0049】
位置13のバリンのD型での、または位置11のリジンのD型さらに位置13のバリンのD型での置換により、L型トリペプチドでのものよりも優れた抗炎症活性を生じた。従って、D型で作製される二量体は、もう一つの有効なKPV二量体であってもよい。これらの例は、ペプチドのアミノ酸特徴の変化は、操作の性質に応じて、ペプチドの活性に影響するか、またはほとんど効果を有さない可能性があることを示す。生物学的機能的等価物は、同様のヒドロパシー値を有するアミノ酸の置換によって得られるであろうと考えられている。従って、たとえば、イソロイシンおよびロイシン(これらは、ヒドロパシー指標+4.5および+3.8を有する)は、それぞれバリン(これは+4.2のヒドロパシー指標を有する)に対して置換することができ、さらに、同様の生物活性を有するタンパク質を得ることができる。あるいは、鱗片の他端にて、リジン(-3.9)をアルギニン(-4.5)その他に対して置換することができる。一般に、このようなアミノ酸が、置換されたアミノ酸の約+/-1のヒドロパシー指標ユニット内のヒドロパシースコアを有する場合、アミノ酸を首尾よく置換することができると考えられている。生物学的機能的等価物の抗微生物性は、本発明の明細書の実施例に開示したように、細菌または真菌におけるコロニー形成単位に対するこれらの阻害効果を介して、またはHIV発現または転写に対するこれらの阻害効果を介して測定することができる。
【0050】
下記の実施例に開示した統計的有意性は、一元配置分散分析法およびスチューデントt検定を使用して解析した。0.05を超える確率値を有意であるとみなした。
【実施例】
【0051】
実施例I
本実施例は、黄色ブドウ球菌に対するα-MSHペプチドの抗菌特性を例証する。黄色ブドウ球菌(ATCC 29213)の培養は、Department of Microbiology, Ospedale Maggiore di Milanoのコレクションから得た。黄色ブドウ球菌(ハンクス液中に1×106/ml)をα-MSH(1〜13)(配列番号:4)、α-MSH(11〜13)(配列番号:1)、またはCKPV(配列番号:5)二量体の存在下または非存在で、10-15〜10-4Mの範囲の濃度で37℃において2時間インキュベートした。次いで、細胞を冷却蒸留水中で洗浄し、100生物体/mlの濃度にHBSSで希釈した。1ミリリットルの一定分量を血液寒天培地プレート上に分配し、37℃にて24時間インキュベートした。微生物の生存度は、形成されたコロニーから推定した。もう一つの実験のセットにおいて、500単位のウロキナーゼ(黄色ブドウ球菌増殖エンハンサー)も細菌(105/100ml)と共に、37℃にて4時間、ペプチドと共に振盪水浴中でインキュベートした。
【0052】
図1は、α-MSH(1〜13)(配列番号:4)、α-MSH(11〜13)(配列番号:1)、およびCKPV(配列番号:5)二量体が、全て黄色ブドウ球菌コロニー形成を阻害したことを示す。これらの阻害効果は、広範囲にわたる濃度全体で生じ、10-12〜10-4Mのペプチド濃度で有意であった(p>0.01)。図2は、10-6Mの濃度のα-MSH(1〜13)(配列番号:4)およびα-MSH(11〜13)(配列番号:1)が、有意にウロキナーゼの増殖増強効果に対抗したことを示す。従って、α-MSHペプチドは、黄色ブドウ球菌(タンポン使用に付随して毒素ショック症候群を生じさせることが公知の因子)の増殖、膣炎、UTI、尿道炎、および亀頭包皮炎を阻害することができる。
【0053】
実施例II
本実施例は、鵞口瘡カンジダに対するα-MSHペプチドの抗真特性を例証する。鵞口瘡カンジダの臨床分離株は、Department of Microbiology, Ospedale Maggiore di Milanoのコレクションから得た。鵞口瘡カンジダの培養は、サブロー寒天斜面上で維持し、周期的にサブロー寒天培地プレートへ移し28℃にて48時間インキュベートした。定常増殖期の酵母を調製するために、コロニーを寒天板から採取し、30mlのサブロー-デキストロース・ブロスに移して、32℃にて72時間インキュベートした。細胞を1000×gにて10分間遠心し、ペレットを蒸留水で2回洗浄した。細胞を計数し、ハンクス液(HBSS)に所望の濃度に懸濁した。0.01%メチレンブルー排除によって決定される生存度は、98%より高いままであった。
【0054】
1×106/mlのHBSS溶液にて、これらの真菌をα-MSH(1〜13)(配列番号:4)、α-MSH(11〜13)(配列番号:1)、またはCKPV(配列番号:5)二量体の存在下または非存在において、10-15〜10-4Mの範囲の濃度で37℃において2時間インキュベートした。次いで、細胞を冷却蒸留水中で洗浄し、100生物体/mlの濃度にHBSSで希釈した。1ミリリットルの一定分量を血液寒天培地プレート上に分配し、37℃にて24時間インキュベートした。微生物の生存度は、形成されたコロニーから推定した。
【0055】
図3は、α-MSH(1〜13)(配列番号:4)、α-MSH(11〜13)(配列番号:1)、およびCKPV(配列番号:5)二量体が、10-12〜10-4Mの範囲での濃度で鵞口瘡カンジダがコロニーを形成する能力を非常に減少させたことを示す(p<0.01対対照)。従って、これは、α-MSHペプチドが鵞口瘡カンジダの増殖、膣炎、UTI、尿道炎、および亀頭包皮炎を阻害することができることを証明する。
【0056】
実施例III
本実施例では、α-MSHペプチドの抗感染活性をフルコナゾール(確立された抗真菌薬)と比較する。
【0057】
α-MSH(1〜13)(配列番号:4)、(4〜10)(配列番号:2)、(6〜13)(配列番号:3)、(11〜13)(配列番号:1)、ACTH(1〜39)(配列番号:9)、(18〜39)(配列番号:10)、およびフルコナゾールを10-6〜10-4Mの濃度にて、実施例IIに記載のものと同じ手順を使用して、鵞口瘡カンジダに対して試験した。図4は、フルコナゾールと比較して、α-MSH(11〜13)(配列番号:1)、(6〜13)(配列番号:3)、および(1〜13)(配列番号:4)が鵞口瘡カンジダに対して最も有効であったことを示す。これらの阻害力は、同じモル濃度のフルコナゾールと同様であった。対照的に、行動に関した効果を有するが、ほとんど抗炎症作用を有さない「コア」α-MSH配列は、(4〜10)(配列番号:2)は、コロニー形成単位(CFU)の約50%の阻害を生じさせた。この阻害効果は、実質的であったが(p<0.01対対照)、KPVシグナル配列を有するα-MSH断片、すなわちα-MSH(6-13)(配列番号:3)および(11〜13)(配列番号:1)(p<0.01)、または親分子α-MSH(1〜13)(配列番号:4)(p<0.05)は、あまり有意に強力ではなかった。図4は、また、ACTH(1-39)(配列番号:9)およびACTH断片(18-39)(配列番号:10)が、鵞口瘡カンジダ生存度を減少させなかったことを示す。より高濃度の10-4Mでさえも(これは、図に示されていない)、ACTHペプチドは、同様に効果がなかった。
【0058】
従って、本実施例は、α-MSHペプチドが、カンジダ属の増殖を阻害するのにフルコナゾールと同程度に有効であることを証明する。
【0059】
実施例IV
本実施例は、α-MSHペプチドが鵞口瘡カンジダの発芽または発芽管形成を阻害することを例証する。発芽管形成は、鵞口瘡カンジダ感染の病原性の有意な部分である。この病原性は、宿主上皮および内皮細胞に対する接着、並びに楕円の分芽胞子から種々の糸状の形態、たとえば、発芽管、仮性菌糸、および菌糸への形態の転換を含む。Gow, N. A., Germ Tube Growth of Candida albicans, Curr. Topics Med. Myco. 8,43-55 (1997)。
【0060】
定常期培養からの鵞口瘡カンジダを蒸留水で2回洗浄し、HBSSに2×106/mlの終濃度に懸濁した。菌糸の増殖は、連続振盪で37℃にて45分間インキュベートした酵母に、10%の不活性化ウマ血清(GIBCO/BRL, Paisley, Great Britainn)を添加することによって誘導した。次いで、細胞をHBSSで2回洗浄することによってウマ血清を除去し、α-MSH(1〜13)(配列番号:4)、(6〜13)(配列番号:3)、または(11〜13)(配列番号:1)の存在下において、連続的振盪しながら10-6Mの濃度にて、37℃にて60分間さらにインキュベーションを続けた。糸状細胞の割合は、血球計数器を用いて光学顕微鏡下で評価した。実験は三回実行し、少なくとも200細胞を記録した。顕微写真は、Axioskop Zeiss顕微鏡に装着したMC100カメラで撮った。
【0061】
図5A〜5Dは、α-MSH(1〜13)(配列番号:4)または(11〜13)(配列番号:1)と鵞口瘡カンジダの同時インキュベーションにより、ウマ血清によって誘導される発芽管形成を阻害したことを示す。α-MSH(1〜13)(配列番号:4)は、糸状細胞の数の28〜32%の減少を生じさせたか、一方α-MSH(11〜13)(配列番号:1)は、54〜58%の減少を生じさせた。図に図示はしていないが、α-MSH(6-13)(配列番号:3)は、同じように糸状細胞数の約50%の減少を有した。従って、これは、α-MSHペプチドがその発芽管形成を阻害することによってカンジダ属病原性の1つの様式を阻害できることを証明する。
【0062】
実施例V
病原体の死滅が減少するということは、感染の間の副腎皮質ステロイドおよびその他の非ステロイド系抗炎症薬での治療の悲惨な結果である。Stevens, D.L., Could Nonsteroidal Anti-inflammatory Drugs (NSA) Ds) Enhance rogression of Bacterial Infections to Toxic Shock Syndrome?, Clin. Infect. Dis. 21, 977-80 (1997); Capsoni, F., et. al., Effect of Corticosteroids on Neutrophil Function: Inhibition of Antibody-dependent Cell-Mediated Cytotoxicity (ADCC), J. Immunopharmacol. 5,217-30 (1983)。本実施例は、ヒト好中球が感染因子の感染と戦う能力を含むことなく、α-MSHペプチドが感染因子の増殖を阻害することを例証する。本実施例は、α-MSHペプチドが、実際に、好中球が感染因子を死滅させる能力を増強することができることをさらに示す。
【0063】
健常ボランティアからの静脈血(20ml)をヘパリンで血液凝固阻止した。次いで、Ficoll-Hypaque (Sigma Chemical Co., St. Louis, Missouri, USA)でのデキストラン沈降および遠心分離を使用して好中球を単離した。赤血球を低浸透圧性ショックを経て溶解し、細生じる好中球は、胞懸濁液の少なくとも97%を示す。トリパンブルー排除によって推定される細胞生存度は、98%よりも高かった。好中球を実験のためにHBSSに再懸濁した。
【0064】
鵞口瘡カンジダ(1×106)を37℃にて30分間、振盪水浴中でヒトAB血清でオプソニン化した。次いで、これらを好中球と共に、培地単独またはα-MSH(1〜13)(配列番号:4)もしくはα-MSH(11〜13)(配列番号:1)を含む培地の存在下において、10-15〜10-4Mの範囲の濃度で37℃にて2時間振盪水浴中でインキュベートした。インキュベーション後、増殖を止めるために培養試験管を氷上に配置し、細胞外生物体を4℃において1000×gでの遠心分離で2回洗浄した。2.5%のデオキシコール酸ナトリウム溶液を懸濁液に添加し、チューブを5分間振盪した。次いで、106細胞/mlの懸濁液を得るために、冷却蒸留水を添加した。HBSSの2回の1/100段階希釈を行って、100細胞/mlの最終懸濁液を得た。次いで、1ミリリットルの一定分量を血液寒天培地プレート上に分配し、37℃にて48時間インキュベートした。コロニー形成単位を三回の実験試行でのインキュベーション期間終了後に計数し、5つの異なるドナーからの血液を使用して繰り返した。
【0065】
図6は、α-MSH(1〜13)(配列番号:4)および(配列番号:1)(11〜13)が、実際に10-12〜10-4M(p<0.01)の範囲の濃度で投与されたときに、好中球の鵞口瘡カンジダの死滅を増強したことを示す。これは、この増強された死滅が、ピコモル濃度を含む濃度の非常に広範囲にわたって生じ、ヒト血漿において見いだされるα-MSHの濃度と同様であることを示す。
【0066】
従って、本実施例は、α-MSHペプチドが同時に感染および炎症に対して戦うことができ、これをカンジダ症、膣炎、尿道炎、亀頭包皮炎、または痔核に適用してもよいことを証明する。
【0067】
本実施例は、α-MSHペプチドが一般的な抗菌特性を、および特に抗真菌特性を及ぼす細胞メカニズムを示唆する。
【0068】
トルエン/エタノールで透過化した鵞口瘡カンジダ(106/ml)を10-6Mのα-MSH(1〜13)配列番号:4)(11〜13)(配列番号:1)またはフォルスコリン(細胞内cAMPを増大することが公知の薬剤)の存在下または非存在で37℃にて連続振盪でインキュベートした。反応を氷冷エタノールを添加することによって3分後に止めた。cAMPレベルは、製造業者の説明書に従って液相法を経て抽出後に、市販の酵素免疫測定法キット(Amersham、United Kingdom)を使用して二組測定した。関連した実験では、鵞口瘡カンジダをジデオキシアデノシン(ddAdo、Sigma)(アデニリルシクラーゼの強力な阻害剤)に対して25、50、および100×10-5Mの濃度で2時間、α-MSHペプチドに対してさらに2時間曝露した。鵞口瘡カンジダのコロニーを形成する能力に対するフォルスコリンおよびddAdoの効果を実施例IIに記載した手順に従って決定した。
【0069】
図7は、α-MSH(1〜13)(配列番号:4)および(11〜13)(配列番号:1)が鵞口瘡カンジダにおいてcAMP含量を増強したことを示す。このcAMP増加は、等モルのフォルスコリンによって誘導されるものと同程度であった。図8は、α-MSH(1〜13)(配列番号:4)および(11〜13)(配列番号:1)と共に、フォルスコリンも、対照群と比較して、有意に鵞口瘡カンジダの増殖を阻害した(p<0.01)ことを示す。図9は、ddAdoが、鵞口瘡カンジダの増殖に対するα-MSH(1〜13)(配列番号:4)および(11〜13)(配列番号:1)の効果を逆転させる能力を有することを示す。
【0070】
本実施例は、α-MSHペプチドが、そのcAMPレベルを増大して、次々にmRNAおよびタンパク質合成を阻害することによって、鵞口瘡カンジダおよびその他の微生物の増殖を阻害することを証明する。たとえば、Bhattacharya A., et. al., Effect of Cyclic AMP on RNA and Protein Synthesis in Candida albicans, Biochem, Biophysics. Res. Commun.,77: 1433-44 (1977)を参照されたい。
【0071】
実施例VII
本実施例は、α-MSHペプチドがヒト細胞におけるウイルスの複製を阻害する能力を例証する。より詳細には、α-MSHは、慢性的に感染したヒト単球におけるHIV-1の複製および発現を阻害した。
【0072】
慢性的にHIV-1感染したプロ単核球性U1株化細胞は、単球における潜在的HIV感染症のインビトロ・モデルである。これらの細胞は、2つの組み込まれたHIVのプロウイルス複製を有し、HIVの構成的発現は非常に低い。しかし、ウイルスの複製をRNA転写、p24抗原、または逆転写酵素放出によって測定すると、TNF-α、IL-6、IL-10、PMA、または細胞の周密などの種々の刺激で活性化することができる。
【0073】
HIV複製に対するα-MSHペプチドの効果を決定するために、これらの細胞を対数増殖期において、完全培地(10mM Hepes、2mM L-グルタミン(Sigma-Aldrich)、10% 熱不活性化FCS(Hyclone Laboratory、Logan、UT、USA)、100units/ml ペニシリン、および100μg/mlのストレプトマイシン(Gibco Laboratory、Grand Island、NY)を補ったRPMI 1640)中で対数増殖期に維持した。試験的実験を最初に行って、これらの培養条件を使用して最適な細胞密度、刺激濃度、およびHIV-1 p24抗原産生の動態を決定した。使用前に、細胞外ウイルスを除去するために、細胞をHBSSで3回洗浄した。次いで、細胞を10-15〜10-4Mの濃度のα-MSH(1〜13)(配列番号:4)または(11〜13)(配列番号:1)の存在下または非存在において、培地単独または培地プラスTNF-α(10ng/ml)(R & D Systems, Oxford, England, UK)と共に2×105/ml(1mlの最終体積)の濃度に24ウェル平底プレートにまいた。
【0074】
さらなる実験において、α-MSH(11〜13)(配列番号:1)単独を10-5Mで、TNF-α(10ng/ml)、IL-6(20ng/ml)、IL-10(20ng/ml)(R & D Systems, Oxford, England, UK)、PMA(1ng/ml)(Sigma-Aldrich)により、または密集条件で刺激したU1細胞に添加した。密集は、2×105/mlの密度でU1細胞を播種すること、および7日間培地を変えることなく5%のCO2において37℃で培養液にこれらを維持することによって達成した。サイトカインまたはPMAで活性化した培養物を48時間だけ維持した。次いで、上清を遠心分離によって除去し、Cellular Products, Inc. in Buffalo, NY, USAからの市販のELISAキットを使用してp24抗原についてアッセイした。また、逆転写酵素放出は、市販のキット、Innova, genLund, SwedenからのELISA Retrosys RTアッセイ法を使用して測定した。これらの実験については、α-MSH(11〜13)の添加(配列番号:1)を1日目に行い、それぞれの条件を三回試験した。
【0075】
図10は、α-MSH(1〜13)(配列番号:4)および(11〜13)(配列番号:1)が、広範な濃度にわたってTNF-α刺激したU1細胞からのp24抗原放出を有意に阻害したことを示す。両ペプチドについて最も有効な濃度は、10-5Mであり、それぞれ52.7%および56.0%の阻害を生じさせた。図11は、α-MSH(11〜13)(配列番号:1)が、抗原および逆転写酵素がIL-6、IL-10、PMAによって、および密集条件で誘導されるU1細胞からのp24放出も阻害したことを示す。加えて、図12は、α-MSH(11〜13)(配列番号:1)が、ノーザンブロット解析によって測定されたPMA刺激されたU1細胞におけるスプライスされた、およびスプライスされていないHIV-1 RNAの両方の転写を阻害したことを示す。
【0076】
従って、本実施例は、α-MSHペプチドが、TNF-α、IL-6、およびIL-10経路の媒介を介してウイルス遺伝子の転写を阻害できることを証明する。
【0077】
実施例VIII
本実施例は、α-MSHがウイルスの複製および活性化を阻害する能力をさらに例証する。より詳細には、本実施例は、U1細胞におけるα-MSHに対する中和抗体の添加により、実質的にp24-抗原放出が増大したことを例証する。
【0078】
U1細胞は、実施例VIIに記載したのと同様に培養した。U1細胞によって産生される内因性α-MSHは、培地で1:250希釈した親和性精製ウサギ-抗α-MSH抗体(Euro-Diagnostica, Malmo, Sweden)でブロックされた。対照抗体は、同じ希釈のウサギIgGであった。抗α-MSHまたは対照抗体で処置した細胞(2×105/ml)を培地またはPMA(1ng/ml)と共に同時インキュベートした。37℃で48時間インキュベーション後、上清を分離し、p24抗原放出について試験した。上記したとおりに培養したU1細胞での密集実験では、抗α-MSH抗体または対照IgGを1日目に添加し上清を7日目に収集した。
【0079】
図13は、安静時にα-MSHをブロックすると、PMA誘導したか、または密集したU1細胞では、有意にp24抗原の放出が増大したことを示す。本実施例は、ウイルスの複製がα-MSHによる影響を受けることを強く暗示する。
【0080】
実施例IX
本実施例は、α-MSHペプチドがウイルスの複製および発現を阻害するメカニズムを例証する。より詳細には、α-MSHペプチドは、TNF-αで誘導されるNF-KB活性化および結合を阻害した。
【0081】
NF-κB活性のレベルを決定するために、10-5Mのα-MSH(11〜13)(配列番号:1)の存在または非存在において、TNF-α(20ng/ml)で4時間刺激した20×106 U1細胞(完全培地中で2×105/ml)から核抽出物を調製した。細胞を冷却PBSで1回、および緩衝液A(10mMのHepes pH 7.9、1.5 mM MgCl2、10 mM KCl、0.5 mMフェニルメチルスルホニルフルオライド、および0.5mM DTT)で2回洗浄し、遠心して、氷上において緩衝液Aプラス0.1%のNP-40中で10分間インキュベートした。その後、上清を除去し、核ペレットを15μlの緩衝液C(20mMのHepes pH 7.9、1.5mM MgCl2、0.42 M KCl、0.2mM EDTA、25% グリセロール、0.5mM フェニルメチルスルホニルフルオライド、および0.5mM DTT)に再懸濁して、氷上で15分間インキュベートし、混合し、次いで遠心した。上清を75μlの修正緩衝液D(20mM Hepes、pH 7.9、0.05mM KCI、0.2mM EDTA、20% グリセロール、0.5mM フェニルメチルスルホニルフルオライド、および0.5mM DTT)で希釈し、-80℃で貯蔵した。結合反応は、10μgの核抽出物タンパク質および0.5ngの32PラベルしたNF-κB(30,000cpm/μl)またはAP1コンセンサス(12mM トリス-HCl pH 7.8、60mM KCl、0.2mM EDTA、0.3mM DTT)緩衝液A溶液、プラス10% グリセロール、2μg/ml ウシ血清アルブミン、および1μg/ml 一本鎖DNA(Pharmacia Biotech)と共に、室温で15分間おこなった。これらの研究に使用したNF-κBのオリゴヌクレオチドは、以下の通りであった:+ gat cca agg gga ctt tcc gct ggg gac ttt cca tg.(配列番号:11)および-gat cca tgg aaa gtc ccc agc gga aag tcc cct tg(配列番号:12)。それぞれのオリゴヌクレオチドは、その相補鎖にアニールし、ポリヌクレオチドキナーゼを使用して32P-γ-ATPで末端ラベルした。特異的バンドの決定のためには、ラベルされたプローブとインキュベーションする前に、最初に核抽出物を100倍過剰な非ラベルプローブと5分間インキュベートした。次いで、混合物を1×TBE中で5%(30:1)アクリルアミドゲルで実行した。ゲルを乾燥し、オートラジオグラム化した。
【0082】
図14は、TNF-αが、NF-κB結合活性を非常に増強したが、10-5Mのα-MSH(11〜13)(配列番号:1)を同時インキュベーションすると、有意にNF-κB活性化が減少したことを示す。しかし、α-MSH(11〜13)(配列番号:1)は、休止細胞におけるNF-κB活性化を変化させなかった。これは、α-MSHペプチドが、NF-κB結合の制御を介してウイルスの複製および発現を阻害することを示唆する。
【0083】
ウイルス因子の複製は、感染細胞の活性化状態に依存することが多く、ウイルスと宿主因子の間の相互作用によって調節されることが多い。これらの宿主因子は、TNF-αおよびインターロイキンなどのその他のサイトカインを含んでもよい。HIV-1感染および活性化と同様に、単純ヘルペスウイルスも、宿主サイトカインに応答して潜時から再活性化する。たとえば、TNF-αおよびIL-6(しかし、IL-1およびIL-3ではない)は、HSV感染を再活性化させることが示されている。IL-6に対する抗体でのIL-6の中和により、有意にHSV再活性化を阻害したが、一方インターフェロンαおよびβの中和では、阻害しなかった。たとえば、Baker, M., et. al., The Relationship between Interleukin-6 and Herpes Simplex Virus Type-1: Implications for Behavior and Immunopathology, Brain Behav. Immun. 13 (3): 201-11 (1999); Noisakran S., et. al., Lymphocytes Delav Kinetics of HSV-1 Reactivation from in vitro Explants of Latent Infected Trigeminal Ganglia, J. Neuroimmunol. 95 (1-2): 126-35 (1999); Walev, I., et. al., Enhancement by TNF-alpha of Reactivation and Replication of Latent Herpes Simplex Virus from Trigeminal Ganglia of Mice, Arch Virol. 140 (6): 987-92 (1995); Domk-Optiz, I., et. al., Stimulation of Macrophages by Endotoxin Results in the Reactivation of a Persistent Herpes Simplex Virus Infection, Scand J. Immunol. 32 (2): 69-75 (1990); Fauci, A. S., Host Factors in the Pathoaenesis of HIV- induced Disease, Nature 384: 529 (1996)を参照されたい。
【0084】
TNF-αまたはウイルスによる感染により、HSVを含むIκBのターゲットされた破壊を生じさせることができ、これは次にNF-KBの核転位置を活性化する。核転位置は、TNF-α、IL-6、およびその他のサイトカインを含む炎症性因子種の転写のためのDNAオペレーターに対するNF-κB結合を促進する。これらのサイトカインの発現は、再び、その他のHSV感染細胞がHSVウイルスを産生するのをさらに再活性化する。たとえば、Patel, A., et. al., Herpes Simplex Type 1 Induction of Persistent NF-KB Nuclear Translocation Increases the Efficiency of Virus Replication, Virology 247 (2): 212-22 (1998)を参照された。
【0085】
従って、NF-κB結合をブロックすることよって、α-MSHペプチドは、より炎症性のサイトカインの発現を阻害してHSVを再活性化することができる。本実施例および実施例VII〜VIIIは、α-MSHペプチドが、体のサイトカインまたはその他のウイルス感染に応答して、NF-KB結合を阻害することによってウイルスの複製、発現、および再活性化を阻害することを示す。
【0086】
実施例X
本実施例は、α-MSHペプチドが、急性感染したヒト細胞におけるウイルスの複製を阻害する能力を例証する。より詳細には、α-MSHは、急性感染したヒト末梢血単核細胞(PBMC)におけるHIV-1の複製および発現を阻害した。
【0087】
PBMCは、Ficoll-Hypaque密度勾配遠心分離によって正常なドナーから単離した。単球は、パーコール勾配分離によって単離して、RPMIプラス20% FCSを完全培地中で、24ウェル組織培養プレートを使用して、106細胞/mlで7日間マクロファージ(MDM)に分化させた。MDMには、単球向性HIV Ba-I株を一晩感染させた(1:10)。未希釈ウイルス株は、107感染単位/mlを含んだ。24時間後に、MDMを洗浄し、完全培地に再懸濁したものを週に3回、3週間置換した。逆転写酵素放出は、市販のキット、Innovagen, Lund, SwedenからのELISA Retrosys RTアッセイ法を使用して感染後毎週測定した。10-5Mのα-MSH(11〜13)(配列番号:1)をHIV感染症時に、次いで回収まで毎日添加した。
【0088】
図15は、α-MSHが、有意に急性感染したMDMにおける逆転写酵素放出を阻害したことを示す。この阻害効果は、6日目により顕著となったが、21日目においてもなおも統計学的に有意であった。
【0089】
従って、本実施例は、感染部位におけるウイルス複製をα-MSHペプチドによって阻害できることを証明する。従って、一般の性病および特にHIVの性的伝達は、性的接触の間に使用されるコンドーム、隔膜、またはスポンジなどの避妊具とα-MSHペプチドを結合させること、および/またはα-MSHペプチドを含む坐薬、クリーム、軟膏、ゲル、またはエアロゾル泡を性的接触後に適用することによって阻害することができる。
【0090】
実施例XI
本実施例は、α-MSHペプチドの生物学的な機能的等価物を例証する。本明細書に記載された具体的アミノ酸配列も有効であるが、アミノ酸は、ペプチドの有効性を変更せずにアミノ酸配列に置換すること、または欠失することができることが当業者には明らかである。さらに、α-MSH配列の安定化により、ペプチドの活性を非常に増大することができること、およびL型に対するD-アミノ酸型の置換により、ペプチドの有効性を改善すること、または減少させることができることが公知である。たとえば、α-MSHの安定な類似体、[Nle4、D-Phe7、α-MSH(これは、メラニン形成細胞および黒色腫細胞に対して顕著な生物活性を有することが公知である)は、熱を減少させるのに親ペプチドよりも約10倍強力である。さらに、C末端α-MSH(11〜13)配列にアミノ酸を付加することにより、解熱能力を減少させること、または増強することができる。10〜13配列を形成するためのグリシンの付加により、能力をわずかに減少させ;9〜13配列では、活性がほぼ無くなったのに対し、8〜13配列の能力は11〜13配列のものよりも優れていた。Ac-[D-K11]α-MSH 11〜13-NH2は、トリペプチドα-MSH 11〜13のL型と同じ一般的能力を有することが公知である。Hiltz, M. E.; Catania, A.; Lipton, J. M., Anti-inflammatory Activity of α-MSH (11〜13) Analogs: Influences of Alterations in Stereochemistry, Peptides 12,767-71 (1991) 。
【0091】
生物学的機能的等価物は、同様のヒドロパシー値を有するアミノ酸の置換によって得られるであろうと考えられている。従って、たとえば、イソロイシンおよびロイシン(これらは、ヒドロパシー指標+4.5および+3.8を有する)は、それぞれバリン(これは+4.2のヒドロパシー指標を有する)に対して置換することができ、さらに、同様の生物活性を有するタンパク質を得ることができる。あるいは、鱗片の他端にて、リジン(-3.9)をアルギニン(-4.5)その他に対して置換することができる。一般に、このようなアミノ酸が置換されたアミノ酸の約+/-1のヒドロパシー指標ユニット内のヒドロパシースコアを有する場合、アミノ酸を首尾よく置換することができると考えられている。
【0092】
実施例XII
鵞口瘡カンジダ、C. グラブラタ(C. glabrata)、およびC.クルセイ(C. krusei)(臨床分離株)は、Microbiology, Ospedale Maggiore di Milanoの研究室のコレクションから得られた。それぞれの酵母株について、6つの異なる隔離集団を使用した。鵞口瘡カンジダの培養は、サブロー寒天斜面上で維持し、周期的にサブロー寒天培地プレートへ移し28℃にて48時間インキュベートした。定常増殖期の酵母を調製するために、コロニーを寒天板から採取し、30mlのサブロー-デキストロース・ブロスに移して、32℃にて72時間インキュベートした。細胞を1000×gにて10分間遠心し、ペレットを蒸留水で2回洗浄した。細胞を計数し、ハンクス液(HBSS)に所望の濃度に懸濁した。0.01%メチレンブルー排除によって決定される生存度は、98%より高いままであった。
【0093】
カンジダ属種細胞を含むチューブ(100μI蒸留水中に1×106)には、100μlの蒸留水に溶解したCKPV二量体10-7〜10-4MまたはKPV10-4M(終濃度)を添加した。対照チューブには、100μlの蒸留水を与えた。全ての試験は、三回実行した。37℃で2時間インキュベーション後、それぞれのバイアルからの酵母懸濁液を、ほぼ100生物体/mlを得るために蒸留水で希釈した。それぞれのチューブからの1ミリリットルの一定分量を血液寒天培地プレート上で調剤し、CFUを計数するために37℃にて48時間インキュベートした。生物体生存度をそれぞれのプレートのCFU数から推定した。対照プレートにおけるCFUが、80〜120の間であり、10%未満のカウントのばらつきであった実験のみを、ペプチドの効果を評価するために使用した。対照プレートにおけるコロニーの数がより小さな、またはより大きな実験は、技術的に不適当であると考えられ、解析から除外した。
【0094】
結果は、図17〜19で例証されており、特定の真菌について上記した条件下で生じるCFUを同定したことを示す。図は、α-MSHペプチドなし(図17〜19において「0」と示してある)、10-4MのKPV[図17〜19において-4と示してある]、10-7MのCKPV(配列番号:5)二量体[図17〜19において-7と示してある]、10-6MのCKPV(配列番号:5)二量体[図17〜19において-6と示してある]、10-5MのCKPV(配列番号:5)二量体[図17〜19において-5と示してある]、および10-4MのCKPV(配列番号:5)二量体[図17〜19において-4と示してある]の存在下において生じるCFUを含む。図17は、同じモル濃度で、KPV二量体(CKPV二量体)が、鵞口瘡カンジダを治療する際にKPV単量体よりも2倍有効であることを示す。図18は、同じモル濃度で、KPV二量体(CKPV二量体)が、C.クルセイを治療する際にKPV単量体よりも2倍有効であることを示す。図19は、同じモル濃度で、KPV二量体(CKPV二量体)が、C. グラブラタを治療する際にKPV単量体よりも2倍有効であることを示す。
【0095】
前述の実施例I〜XIIは、α-MSHペプチドの抗感染活性および使用を証明する。これらのデータは、実施例のみのものとして企図され、これらの実施例に本発明を限定しようとするものではない。上記の実施例を修飾することは、本発明の精神から逸脱しないと理解される。本実施例は、単独で、または互いに組み合わせて適用することができることがさらに理解される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】黄色ブドウ球菌の増殖に対するα-MSHペプチドの阻害効果を示す。
【図2】黄色ブドウ球菌のウロキナーゼで誘導される増殖に対するα-MSHペプチドの効果を示す。
【図3】鵞口瘡カンジダの増殖に対するα-MSHペプチドの阻害効果を示す。
【図4】α-MSHペプチドの抗真菌の活性をフルコナゾールで比較する。
【図5】図5A〜5Dは、鵞口瘡カンジダの発芽管形成に対するα-MSHペプチドの阻害効果を示す。
【図6】鵞口瘡カンジダに対するα-MSHペプチドの好中球死滅が増強される効果を示す。
【図7】α-MSHペプチドが鵞口瘡カンジダの増殖を阻害するメカニズムを示す。
【図8】α-MSHペプチドが鵞口瘡カンジダの増殖を阻害するメカニズムを示す。
【図9】α-MSHペプチドが鵞口瘡カンジダの増殖を阻害するメカニズムを示す。
【図10】慢性的に感染した細胞におけるウイルスの複製および発現に対するα-MSHペプチドの阻害効果を示す。
【図11】慢性的に感染した細胞におけるウイルスの複製および発現に対するα-MSHペプチドの阻害効果を示す。
【図12】慢性的に感染した細胞におけるウイルスの複製および発現に対するα-MSHペプチドの阻害効果を示す。
【図13】慢性的に感染した細胞におけるウイルスの複製および発現に対するα-MSHペプチドの阻害効果を示す。
【図14】α-MSHペプチドがウイルスの複製、発現、および再活性化を阻害するメカニズムを示す。
【図15】急性感染した細胞におけるウイルスの複製および発現に対するα-MSHペプチドの阻害効果を示す。
【図16】KPV二量体の1つの化学構造の図を示す。
【図17】同じモル濃度で、KPV二量体(CKPV二量体)が、鵞口瘡カンジダを治療する際にKPV単量体よりも2倍有効であることを示す。
【図18】同じモル濃度で、KPV二量体(CKPV二量体)が、C.クルセイを治療する際にKPV単量体よりも2倍有効であることを示す。
【図19】同じモル濃度で、KPV二量体(CKPV二量体)が、C. グラブラタを治療する際にKPV単量体よりも2倍有効であることを示す。
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2000年3月23日に出願された米国特許出願第09/535066号の一部継続出願であり、該一部継続出願は1999年3月24日に出願された米国仮出願第60/126,233号の優先権を主張する。本出願は、また2003年5月21日に出願された米国特許出願第10/442,683号の一部継続であり、該一部継続出願は2002年5月21日に出願された米国仮出願第60/382,887号の優先権を主張する。図面を含めたこれらの全ては、ここでの参照により、本明細書に完全に記載されたかの如く、本明細書の一部として完全に援用される。
【発明の技術分野】
【0002】
本発明は、泌尿生殖器症状のための治療の分野に関する。
【発明の背景】
【0003】
泌尿生殖器症状または疾患は、一般に男性および女性の両方に発症する。これらの症状は、泌尿器系および生殖系の感染および/または炎症を含む。たとえば、国立小児衛生・人間発育研究所(NICHD)によれば、「大部分の女性は、彼女らの生涯において少なくとも1つの型の膣炎を有する」。Vaginitis, National Institute of Child Health and Human Development-Publications On-line, www.nichd.nih.giv/publications/pubs/vag1.htm。膣炎の原因は、細菌、真菌またはウイルスの感染症からクリーム、スプレー、更にはこの領域と接触した衣類の化学物質からの刺激にまでも及ぶ。同上。細菌および真菌の感染症の状態の女性については、彼女らの感染因子は、たいてい直腸領域から生じ、会陰を越えて転移して膣または尿道に到達する。
【0004】
膣炎の一般的な型は、最も一般的には鵞口瘡カンジダ(Candida albicans)によって生じるカンジダ症または酵母感染である。カンジダ属(Candida)種は、皮膚、口、および消化管に存在する微生物生物体の個々の常在菌叢の一部である。Robbins Pathologic Basis of Disease 5th ed., Saunders Co., Philadelphia (1994) p. 354。また、これらは、女性の膣内に小数で生存する。これらは、膣または口腔などの暖かく、湿った表面で最も増殖する。これらは、通常非病原性であるが、閉経期、妊娠の際の女性のホルモンの変化に応答するか、またはストレスに応答するなど、これらの環境に変化が生じるときに、これらが過成長して酵母感染を生じさせる可能性がある。また、これらの変化は、化学療法を受けているか、免疫抑制剤を服用しているか、もしくはAIDSで悩まされる人々などの、免疫抑制性または易感染性の個体においても生じ得る。
【0005】
カンジダ症のための現在の治療は、硝酸ブトコナゾール(butoconazole)(Femstat(登録商標))、クロトリマゾール(Gyne-Lotrimino(登録商標)およびその他)、ミコナゾール(Monistate(登録商標)およびその他)、およびチオコナゾール(Vagistat(登録商標))などの活性成分をもつ一般用医薬品を含む。これらの薬物は、膣に局所的に適用され、カンジダ属の細胞壁を壊す。その他の同様の治療は、フルコナゾール(Diflucan(登録商標))、テルコナゾール(Terazol(登録商標))、およびケトコナゾール(Nizoral(登録商標))などの同じファミリーの活性成分をもつ処方薬を含む。
【0006】
膣炎は、一般にカンジダ属と関連していたが、NICHDによれば、細菌性膣疾患は、実際に生殖可能年齢の女性において最も一般的な膣感染症である。前出のVaginitis参照。膣における細菌の過成長は、非常にカンジダ属に似た細菌性膣疾患を生じさせるが、その治療のために使用される薬物は異なる。
【0007】
一方で、男性も、亀頭および包皮を含む彼らの陰茎でカンジダ属感染に罹る可能性がある。亀頭包皮炎(亀頭および包皮の非特異的感染)は、カンジダ属などの真菌およびブドウ球菌(Staphylococci)種などの化膿菌を含む多種多様な生物体によって生じる。Robbins Pathologic Basis of Disease 5th ed., Saunders Co., Philadelphia (1994), p. 1008。
【0008】
ブドウ球菌は、通常皮膚および体のその他の粘膜に存在するグラム陽性細菌である。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、特に、皮膚病変、心内膜炎、呼吸器の感染、食中毒、および毒素ショック症候群に由来する無数の症状および疾患を生じさせる病原性病原体である。非常に吸収性のあるタンポンを使用する女性に関しては、黄色ブドウ球菌(S. aureus)が、膣にコロニーを作り、毒素を分泌し得ることが公知であり、毒素ショック症候群毒素(TSST-1)を呼ばれる。食品医薬品局によれば、今日報告された毒素ショック症候群のほぼ半分の場合では、月経の間の、および通常若い女性のタンポンの使用と関連する。Tampons and Asbestos, Dioxin, & ToxicShockSyndrome FDA Center for Devices and Radiological Health (July 23, 1999), www.fda.gov/cdrh/ocd/tamponsabs.html。
【0009】
黄色ブドウ球菌感染は、一般にメチシリンで治療される。これは、非常に有効であるが、黄色ブドウ球菌のいくつかの株は、メチシリンに対する耐性を発生し、少しの抗生物質だけでは、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染をうまく治療することができない。MRSAのために一般に使用される抗生物質のうちの1つは、バンコマイシンである。しかし、バンコマイシン(VISA)に対する感受性が減少された黄色ブドウ球菌株が、すでに同定されている。Khurshid, M. A., et. al., Staphylococcus aureus with Reduced Susceptibility to Vancomycin--Illinois, 1999, Morbidity and Mortality Weekly Report, 48 (51): 1165-1167 (2000), www.cdc.gov/epo/mmwr/previewimmwrhtml/mm4851a1.htm。抗菌物質耐性菌株の出現により、細菌感染と戦うための代わりの方法の必要性が生じた。
【0010】
真菌および細菌による感染に加えて、ウイルス性膣炎も一般的である。これらの感染は、多くの場合、性交を介して伝染される。ウイルス性膣炎は、単純ヘルペスウイルス(HSV)またはヒトパピローマウイルス(HPV)による感染を含む。HSVウイルスは、たとえば、性域(侵入するための部位である)で複製して、更に生殖器を神経支配するニューロンに感染する。体の免疫系を回避するために、HSVウイルスは、これらのニューロンに潜在したままであることができ、ストレス、免疫抑制、照射、またはウイルス感染などの環境条件に応答して再活性化される。HSVのための現在の治療は、アシクロビル、ファムシクロビル、またはバラシクロビルなどの薬物を含む。
【0011】
泌尿器系に関しては、米国医学会によれば、尿路感染症(UTI)が、医師来診を促す最も一般的障害のうちの1つである。Women's Health, Urinary Tract Infections: A Patient's Guide to Treatment, AMA Health Insight, On-Line Health Information for Everyone, www.ama-assn.org/insight/h_focus/wom_hlth/uti/uti.htm。これらの感染は、多くの場合、大腸菌(Escherichia coli)によって引き起こされるが、カンジダ属種およびブドウ球菌種などの生物体も関与し得る。同上。これらの感染は、尿道で開始して、膀胱まで進行して膀胱炎を生じさせることがある。最後に、これは、さらに輸尿管を通って腎臓にのぼり、腎盂腎炎を生じさせることもある。男女両方の泌尿器系が、これらの微生物に感染し得る。
【0012】
泌尿生殖器症状は、1つの単一の原因に限定されないので、現在の治療では、特定の原因を治療するために異なる薬物が必要である。これらの原因は、最初に同定されていなければならない。同定には時間が必要であるが、それよりも、特定の感染因子またはこれらが欠如することを決定するためには、女性に対して婦人科の検査をすることが必要である。
【0013】
抗生物質および他剤の使用が増大されたことにより、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌などの微生物では、現在利用可能な薬物に対する耐性がますます発生している。従って、感染因子の広域性と戦うことができる薬物の新たなクラスに対する継続的な要求が存在する。本明細書に開示したリジン-プロリン-バリンを含む二量体、並びにその他のα-MSHに基づいたペプチドは、泌尿生殖器症状を治療する際に有効であることが発見された。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、泌尿生殖器症状を治療するための系に向けられる。本発明の一つの実施形態は、泌尿生殖器症状の治療のために、KPV(配列番号:1)、MEHFRWG(配列番号:2)、HFRWGKPV(配列番号:3)、VPKC(配列番号:5)、-s-s CKPV(配列番号:5)、またはSYSMEHFRWGKPV(配列番号:4)を含むアミノ酸配列と共に、1つまたは複数のポリペプチドを含む治療を含む。VPKC-s-s-CKPVは、それぞれの単量体のN末端のシステイン間にジスルフィド結合が存在する「KPV二量体」の例である。本明細書では、本開示において、「CKPV二量体」は、KPV二量体のこの形態、すなわちジスルフィド結合を介して連結された二つCKPV単量体、すなわちVPKC(配列番号:5)-s-s-CKPV(配列番号:5)を特定するために使用される用語である。その他のKPV二量体を開示された組成物に使用してもよいことが想定される。
【0015】
泌尿生殖器症状は、感染、炎症、または両方を含むことができる。本発明の一つの好ましい実施形態において、泌尿生殖器症状は、膣、陰門、尿路、陰茎、および/または直腸の感染および/または炎症を含む。本発明のもう一つの好ましい実施形態において、1つまたは複数のポリペプチドは、キャリアに溶解される。本発明のもう一つの好ましい実施形態において、1つまたは複数のポリペプチドは、毒素ショック症候群を予防するためのタンポンに関連する。もう一つの好ましい実施形態において、1つまたは複数のポリペプチドは、性行為感染症または感染の予防のための避妊薬に関連する。もう一つの好ましい実施形態において、1つまたは複数のポリペプチドは、膣または直腸に挿入するための坐薬に関連する。本発明のもう一つの好ましい実施形態において、1つまたは複数のポリペプチドは、膣に潅注するための液体キャリアに溶解される。
【0016】
本発明の一つの局面において、薬学的組成物は、泌尿生殖器症状の治療に使用するために開示され、KPV二量体と、保存剤と、溶媒と、アルカリ化薬と、アクリル酸ベースのポリマーと、およびゲル化剤とを含む。
【0017】
本発明のもう一つの局面において、泌尿生殖器症状の治療に使用するための薬学的組成物は、アクリル酸ベースのポリマー、たとえばカルボポール(登録商標)、National Formulary(本明細書ではNF);プロピルパラベン、NF;メチルパラベン、NF;プロピレングリコール、United States Pharmacopeia(本明細書ではUSP));エデト酸(本明細書ではEDTA)、USP;CKPV二量体(これは、商標「CZEN002(商標)」によっても特定される)、Active Pharmaceutical Ingredient(本明細書ではAPI);2M水酸化ナトリウム溶液(本明細書ではNaOH);および注射用滅菌水(USP)を含む。一覧表に記載された一定の成分は、修飾しても、置換しても、または除去してもよいことが想定される。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0018】
下記の引用した参照文献は、あたかも本明細書に完全に記載されるかのように、参照により本明細書に援用される。本発明は、α-メラニン細胞刺激ホルモン(「α-MSH」)ペプチドおよびこれらの二量体を用いて泌尿生殖器症状を治療するための組成物並びに方法を含む。α-MSHは、より大きな前駆体分子プロピオメラノコルチン(の翻訳後プロセシングによって産生される旧式の13アミノ酸ペプチドである(配列番号:4)。これは、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)と1〜13アミノ酸配列を共有し、プロピオメラノコルチンにも由来する。α-MSHは、下垂体細胞、単球、メラニン形成細胞、およびケラチノサイトを含む多くの細胞型によって分泌されることが公知である。これは、ラット皮膚において、ヒト表皮において、または無処置および下垂体切除したラットの消化管の粘膜障壁に見つけることができる。たとえば、Eberle, A. N., The Melanotrophins, Karger, Basel, Switzerland (1998); Lipton, J. M., et. al., Anti-inflarnmatory Influence of the Neuroimmunomodulatorα-MSH, Immunol. Today18,140-145 (1997); Thody, A. J., et. al., MSH Peptides are Present in Mammalian Skin, Peptides 4,813-815 (1983); Fox, J. A., et. al., Immunoreactivea-Melanocyte Stimulating Hormone, Its Distribution in the Gastrointestinal Tract of Intact and Hypophvsectomized Rats, Life. Sci. 18, 2127-2132 (1981)を参照されたい。
【0019】
α-MSHペプチドは、強力な解熱および抗炎症特性を有することが公知であり、それにもかかわらず、これらは極めて低い毒性を有する。これらは、インビトロで宿主細胞の炎症誘発性メディエーターの産生を減少させることができ、また、炎症の動物モデルにおいて局部的および全身性の反応が生じるのを減少させることもできる。「コア」α-MSH配列(4〜10)(配列番号:2)は、たとえば、学習および記憶行動に効果を有するが、ほとんど解熱薬および消炎作用を有していない。対照的に、解熱および消炎作用のための活性なメッセージ配列は、α-MSHのC末端のアミノ酸配列に、すなわちリジン-プロリン-バリン(「Lys-Pro-Val」または「KPV」)(配列番号:1)に存在する。このトリペプチドは、インビトロで、およびインビボで、親分子のものに匹敵する活性を有する。α-MSHペプチドの抗炎症活性は、以下の2つの特許に開示されており、これは参照により本明細書に援用される:Lipton、J. M.,に対して1991年7月2日に発行された米国特許第5,028,592号、表題Antipyretic and Anti-inflammatory Lys Pro Val Compositions and Method of Use;Lipton、J. M.,に対して1992年10月20日に発行された米国特許第5,157,023号、表題Antipyretic and Anti-inflammatory Lys Pro Val Compositions and Method of Use;また、Catania, A., et. al., oc-Melanocyte Stimulating Hormone in the Modulation of Host Reactions, Endocr. Rev. 14,564-576 (1993); Lipton, J. M., et. al., Anti-inflammatory Influence of the Neuroimmunomodulator α-MSH, Immunol. Today 18,140-145 (1997); Rajora, N., et. al., α-MSH Production Receptors and Influence on Neopterin, in a HumanMonocvte/macrophage Cell Line, J. Leukoc. Biol. 59,248-253 (1996); Star, R. A., et. al., Evidence of Autocrine Modulation of Macrophage Nitric Oxide Svnthase by α-MSH, Proc. Nat'l. Acad. Sci. (USA) 92, 8015-8020 (1995); Lipton, J. M., et. al., Anti-inflammatorv Effects of the Neuropeptide α-MSH in Acute Chronic and Systemic inflammation, Ann. N. Y. Acad. Sci. 741,137-148 (1994); Fajora, N., et. al., α-MSH Modulates Local and Circulating Tumor Necrosis Factor a in Experimental Brain Inflammation, J. Neuroosci,17,2181-2186 (1995); Richards, D. B., et. al., Effect of α-MSH (11〜13) (Iysine-proline-valine) on Fever in the Rabbit, Peptides 5,815-817 (1984); Hiltz, M. E., et. al., Anti-inflammatory Activity of a COOH-terminal Fragment of the Neuropeptide α-MSH, FASEB J. 3,2282-2284 (1989)も参照されたい。
【0020】
その抗炎症性および抗発熱性の機能に加えて、本発明の一つの実施形態は、α-MSHペプチドの抗菌または抗感染活性を含む。後述するように、α-MSHペプチドは、たとえば、微生物の生存度を減少させ、酵母の発芽を減少させ、ヒト好中球による微生物の死滅を減少させることなく微生物を死滅させる際の、微生物の死滅を減少させることなく微生物の感染と関連する炎症を治療し、微生物におけるcAMPの蓄積を増大し、およびウイルス病原体の複製および発現を阻害するための使用を含む、有意な抗感染用途を有する。
【0021】
本発明の好ましい実施形態において、これらの抗菌または抗感染活性は、最も著しくはC末端のアミノ酸配列-KPVに関連する(配列番号:1)。このトリペプチドは、その二量体およびその他のα-MSHペプチドと一緒になって、ヒト血漿に通常生じるピコモル濃度を含む、非常に広範な濃度にわたって有効である。ナノモルおよびマイクロモル濃度では、より強力な濃度を生じる。
【0022】
背景の節で論議したように、泌尿生殖器症状は、1つの単一の原因に限定されない。細菌および真菌からウイルスまでの複数の生物体および感染因子が、個々に、または共に、膣炎、外陰炎、尿道炎、亀頭包皮炎(balanophosthithis)、カンジダ症、性行為感染症、および毒素ショック症候群を含む多種多様な症状を引き起こし得る。これらの症状の治療のために、α-MSHペプチドを当技術分野において公知の方法によって、感染および/または炎症の部位に局所的に適用することができる。たとえば、α-MSHペプチドは、リン酸緩衝液食塩水、ヒアルロン酸、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはエタノールなどの溶液に溶解することができる。軟膏、クリーム、ゲル、溶解性ピル、エアゾールスプレー、坐薬、圧注のための液溶体、またはタンポンの吸収材料などの一般的キャリアにより、泌尿生殖器症状を治療するための活性成分としてα-MSHペプチドを保有することができる。これらのキャリアは、注射器または注射器様の装置、包帯、カテーテル、プランジャーをもつチューブ、へらまたはその他のタイプの平らな表面のアプリケーター、コンドーム、スポンジ、隔膜、タンポン・アプリケーター、または指などのアプリケーターによって感染または炎症の部位に適用することができる。
【0023】
より詳細には、本発明の1つの好ましい実施形態は、液体に基づいたキャリアにα-MSHペプチドを溶解することである。次いで、溶媒和化合物α-MSHペプチドを保有するこのキャリアを加圧キャニスタ内に貯蔵する。放出弁またはその他のメカニズムによるキャリア加圧キャニスタからの放出により、エアロゾル泡を形成して、注射器または注射器型装置に捕獲する。次いで、注射器を部分的に膣に挿入し、その内容物を膣管に送達する。また、注射器または注射器型装置およびその開口部は、尿道などの異なる泌尿生殖器の領域への挿入に対応するために異なるサイズ、形状、および長さに成形することができ、直腸に使用してもよい。
【0024】
もう一つの本発明の好ましい実施形態は、キャリアを含む坐薬である。このキャリア、ゲルまたはグリセリンなどは、室温で固体または半固体であるが、膣または直腸に挿入されたときに体温で溶解する。α-MSHペプチドが溶媒和化合物を保有するこのキャリアは、キャリアが溶解するときに、泌尿生殖器症状の部位に送達される。陰門または亀頭および陰茎の包皮などの泌尿生殖器領域の外側の領域にα-MSHペプチドを送達するには、クリーム、軟膏、ゲル、スプレー、泡、または香膏を局所的に適用することによって達成することができ、これらの組成物は、当該技術分野においてすでに周知である。
【0025】
本発明の他の実施形態では、製造プロセスの間にタンポンをα-MSHペプチドで処置することができる。タンポンにα-MSHが存在することにより、毒素ショック症候群毒素(TSST-1)を分泌する黄色ブドウ球菌などの微生物の増殖が阻害されるであろう。タンポンを作製するための方法は、当該技術分野においてすでに周知である。α-MSHまたはその誘導体でのタンポン吸収材料を処置は、α-MSHペプチドの溶液に吸収材料を最初に浸漬することによって達成してもよい。次いで、吸収材料を乾燥させることができる。あるいは、α-MSHは、乾燥粉末としてタンポンの吸収材料上にまいてもよい。
【0026】
本発明のもう一つの局面において、α-MSHペプチドは、妊娠または性行為感染症を防止するために、使用されるコンドーム、隔膜、スポンジ、またはその他の障壁形メカニズムなどの避妊具を使用することによって感染部位に送達してもよい。α-MSHペプチドは、コンドームに使用される潤滑剤中に、隔膜と共に使用されるゲルもしくは泡中に、またはコンドーム、隔膜、もしくはスポンジと連動して使用されるその他の何らかの殺精子溶液に中に溶解することができる。
【0027】
本発明のもう一つの局面において、α-MSHペプチドは、圧注で使用するための液体に溶解してもよい。液体は、感染および/または炎症を治療するために、圧注によって膣に送達することができる。
【0028】
本発明のもう一つの局面において、泌尿生殖器症状の治療に使用するための薬学的組成物は、CKPV二量体(配列番号:5)と、保存剤と、溶媒と、アルカリ化薬と、カルボポール(登録商標)と、およびゲル化剤とを含む。組成物は、キレート化剤をさらに含んでもよい。これらの成分は、修飾しても、置換しても、または除去してもよい。CKPV二量体(配列番号:5)は、これが膣炎を治療する際に有効なことが示されたので、その他の有用なα-MSH以上に好ましいペプチドである。下記の実施例XIIを参照されたい。
【0029】
本発明のもう一つの局面において、泌尿生殖器症状の治療に使用するための薬学的組成物であって、アクリル酸ベースのポリマー、たとえばカルボポール(登録商標)、NF;プロピルパラベン、NF;メチルパラベン、NF;プロピレングリコール、USP;EDTA、USP;CKPV(配列番号:5)API;2M NaOH;および注射用滅菌水、USPを含む重合体が開示される。約4kgの重さである組成物の、0.1%のCKPV二量体(配列番号:5)バッチで示される本発明の少なくとも一つの実施形態を下記に開示してある。本発明の個々の成分の割合の想定範囲を本発明の異なるサイズ量について開示してある。
【0030】
アクリル酸ベースのポリマーの1つの型は、カルボポール(登録商標)である。カルボポールは、Noveon Pharmaceuticalsから入手可能な高分子量の、架橋された、アクリル酸ベースのポリマーの登録商標である。www.pharma.noveonic.com/products/carbopol.asp。開示された組成物に使用するためのカルボポール(登録商標)の量は、組成物の少なくとも約60〜100gまたは少なくとも約1.5〜2.5%の範囲である。カルボポール(登録商標)の好ましい量は、組成物の少なくとも約80gまたは少なくとも約2%である。カルボポールに加えて、または代わりに、その他の公知のゲル化剤を利用してもよいが、これらがゲルを形成するために有効であることを条件とすることが当業者には明らかである。
【0031】
プロピルパラベンまたは4-ヒドロキシ安息香酸プロピルエステルは、周知の保存剤である。Merck Index p. 1350,12th Ed. (Merck Research Laboratories,1996)を参照されたい。開示された組成物に使用するためのプロピルパラベンの量は、少なくとも約1〜3gまたは組成物の0.025〜0.075%の範囲である。プロピルパラベンの好ましい量は、少なくとも約2gまたは組成物の少なくとも約0.05%である。
【0032】
メチルパラベンまたは4-ヒドロキシ安息香酸メチルエステルは、周知の保存剤である。Merck Index p. 1041,12th Ed. (Merck Research Laboratories,1996)を参照されたい。開示された組成物に使用するためのメチルパラベンの量は、少なくとも約4〜8gまたは組成物の少なくとも約0.1〜0.2%からの範囲である。メチルパラベンの好ましい量は、少なくとも約6gまたは組成物の少なくとも約0.15%である。
【0033】
また、防腐剤は、フェノキシエタノール、メチルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、およびソルビン酸カリウム、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択してもよい。
【0034】
プロピレングリコールまたは1,2-プロパンジオールは、周知の溶媒であり、化学の多くの領域で多く使用されている。Merck Index p. 1348,12th Ed. (Merck Research Laboratories,1996)を参照されたい。開示された組成物に使用するためのプロピレングリコールの量は、少なくとも約200〜600gまたは組成物の少なくとも約5〜15%の範囲である。プロピレングリコールの好ましい量は、少なくとも約400gまたは組成物の少なくとも約10%である。
【0035】
また、溶媒は、エタノール、フェノール、アセトン、グリセロール、およびイソプロパノール、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択してもよい。EDTAまたはN,N’-1,2-エタンジエチル[N-(カルボキシメチル)グリシン])は、周知のキレート化剤である。Merck Index p. 593,12th Ed. (Merck Research Laboratories,1996)を参照されたい。開示された組成物に使用するためのEDTAの量は、少なくとも約2〜6gまたは組成物の少なくとも約0.05〜0.15%の範囲である。EDTAの好ましい量は、少なくとも約4gまたは組成物の少なくとも約0.1%である。
【0036】
また、キレート化剤は、補酵素Q10、亜鉛、L-システイン、L-メチオニン、L-リジン、グルタチオン、およびEDTA、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択してもよい。
【0037】
CKPV(配列番号:5)二量体は、本発明で使用してもよい二量体の1つの形態である。開示された組成物に使用するためのCKPV(配列番号:5)の量は、少なくとも約2〜6gまたは組成物の0.05-015%の範囲である。CKPV(配列番号:5)二量体の好ましい量は、少なくとも約4gまたは組成物の少なくとも約0.1%である。
【0038】
2M NaOH溶液は、アルカリ化薬として使用される周知の腐食薬である。Merck Index(p. 1477-8,12th Ed.)(Merck Research Laboratories,1996)を参照されたい。開示された組成物に使用するための2M NaOHの量は、組成物を好ましい4.0+ 0.1のpHにするために十分な量である。
【0039】
また、アルカリ化薬は、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-(2-エタンスルホン酸)(本明細書ではHEPES)、2M NaOH、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(本明細書ではMES水和物)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(本明細書ではMOPS)、N-トリス[ヒドロキシメチル]メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(本明細書ではTAPS)、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-トリ(ヒドロキシメチル)メタン(本明細書ではビス-トリス)、またはこれらの組み合わせからなる群より選択してもよい。
【0040】
注射用滅菌水は、一般に公知であり、粉末またはその他の固体からゲルを採用するときには、ゲル化剤が使用される。開示された組成物に使用するための注射用滅菌水は、十分な量および少なくとも約3500〜3550gまで、または組成物の少なくとも約87〜89%である。
【0041】
また、その他のゲル化剤は、水、滅菌水、蒸留水、無菌食塩水、およびこれらの組み合わせからなる群より選択してもよい。
【0042】
4Kg。0.1パーセントのCKPV(配列番号:5)二量体ゲルバッチの組成物は、好ましくは以下を含む:
カルボポール(登録商標)、NF 80.0g
プロピルパラベン、NF 20g
メチルパラベン、NF 6.0g
プロピレングリコール、USP 400.0g
EDTA、USP 4,0g
CKPV(配列番号:5)二量体、API 4.0g
2M NaOH溶液 pH4.0±0.1に十分な量
注射用滅菌水、USP 3504g
上記および下記に開示したとおり、CKPV(配列番号:5)二量体の有効な量は、治療薬として使用されるときは、ピコモル〜ナノモル濃度の範囲である。マイクロモル濃度では、より強力に有効である。本明細書に開示される薬学的組成物の用量は、50〜150μg/mlの範囲である。本明細書に記載されている薬学的組成物の好ましい用量は、100μg/mlである。
【0043】
以下の実施例は、感染と戦うための、α-MSHペプチドの能力および適用を証明する。使用される微生物学、分子生物学、および細胞培養の方法は、本開示に明確に記載されていない科学文献においてすでに十二分に報告されている。これらの方法は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0044】
以下の実施例で使用されるペプチドは、CKPV(配列番号:5)の二量体、α-MSH(1〜13)(配列番号:4)、(4〜10)(配列番号:2)、(6-13)(配列番号:3)(11〜13)、および(配列番号:1)(これらの全ては、Nアセチル化されており、かつCアミド化されていた)、並びにACTH(1〜39)(配列番号:9)および(18〜39)(配列番号:10)(CLIP)を含む。これらのペプチドは、固相ペプチド合成によって調製し、逆相高速液体クロマトグラフィーによって精製した。図16は、KPV二量体のための1つの化学構造の図、すなわちCKPV二量体(配列番号:5)を示す。二量体は、上記ポリペプチドのいずれかのN末端にシステインを添加すること、および2つのポリペプチドのシステインにジスルフィド結合を形成させることによって形成することができる。この方法を使用して、ホモ二量体およびヘテロ二量体を形成することができる。
【0045】
2つのKPVペプチドのN末端がリンカーで連結されているときに、KPV二量体を形成してもよい。VPKC(配列番号:5)-s-s CKPV(配列番号:5)KPV二量体は、KPVペプチドのN末端にシステインを添加すること、および次いで、2つのCKPVペプチドのシステインにジスルフィド結合(-s-s-)を形成させることによって形成される。言い換えると、VPKC(配列番号:5)-s-s CKPV(配列番号:5)は、形成する2つのKPV(配列番号:1)ペプチドが、a-Cys-s-s-Cys-リンカーによって連結されるとき形成される。リンカーは、共に2つのKPVペプチドのN末端を連結するいずれの種類の化学結合であることもできる。リンカーは、-Cys-s-s-Cys-、-DCys-s-s-Cys-、-Pen-s-s-Cys、-Pen-s-s-DCys-、-DPen-s-s-Cys-、-DPen-s-s-DCys-、-DPen-s-s-DPen-、-Pen-s-s-Pen-、-hCys-s-s-Cys-、-hCys-s-s-DCys-、-hCys-s-s-hCys-、-DhCys-s-s-DhCys-、DhCys-s-s-hCys-、-hCys-s-s-Pen-、-hCys-s-s-DPen-または-DhCys-s-s-DPen-であることが好ましい。
【0046】
リンカーは、-Cys-Cys-であることが好ましい。「Pen」という用語は、ニシラミンをいう。「Cys」という用語は、システインをいう。「hCys」という用語は、ホモシステインをいう。接頭辞「D」は、アミノ酸のデキストロ型をいう。従って、KPV二量体は、VPK-Cys(配列番号:5)、-s-s-Cys-KPV(配列番号:5)、VPK-DCys(配列番号:6)、-s-s-CysKPV(配列番号:5)、VPK-Pen-s-s-Cys-KPV(配列番号:5)、VPK-Pen-s-s-DCys-KPV(配列番号:6)、VPK-DPen-s-s-Cys-KPV(配列番号:5)、VPK-DPen-s-s-DCys-KPV(配列番号:6)、VPK-DPen-s-s-DPen-KPV、VPK-Pen-s-s-Pen-KPV、VPK-hCys(配列番号:7)、-s-s-CysKPV(配列番号:5)、VPK-hCys(配列番号:7)、-s-s-DCys-KPV(配列番号:6)、VPK-hCys(配列番号:7)、-s-s-hCys-KPV(配列番号:7)、VPK-DhCys(配列番号:8)、-s-s-DhCys-KPV(配列番号:8)、VPK-DhCys(配列番号:8)、-s-s-hCys-KPV(配列番号:7)、VPK-hCys(配列番号:7)、-s-s-Pen-KPV、VPK-hCys(配列番号:7)、-s-s-DPen-KPV、またはVPK-DhCys(配列番号:8)-s-s-DPen-KPVであることが好ましい。KPV二量体は、CKPV(配列番号:5)二量体、すなわちVPK-Cys(配列番号:5)-s-s-CysKPV(配列番号:5)であることが好ましい。
【0047】
本明細書に記載された具体的アミノ酸配列も有効であるが、アミノ酸は、ペプチドの有効性を変更せずにアミノ酸配列に置換をすること、または欠失することができることが当業者には明らかである。従って、種々のKPV二量体が、本開示において想定される。さらに、α-MSH配列の安定化により、ペプチドの活性を非常に増大することができること、およびL型に対するD-アミノ酸型の置換により、ペプチドの有効性を改善すること、または減少させることができることが公知である。たとえば、α-MSHの安定な類似体、[Nle4、D-Phe7、α-MSH(これは、メラニン形成細胞および黒色腫細胞に対して顕著な生物活性を有することが公知である)は、熱を減少させるのに親ペプチドよりも約10倍強力である。
【0048】
Holdeman、M. and Lipton、J. M., Potent oc-MSH AnalogのAntipyretic Activity、Peptides 6,273-5(1985)。さらに、C末端α-MSH(11〜13)配列にアミノ酸を付加することにより、解熱能力を減少させること、または増強することができる(Deeter, L. B.; Martin, L. W.; Lipton, J. M., Antipyretic Properties of Centrally Administeredg-MSH Fragments in the Rabbit, Peptides 9, 1285-8 (1989)。10〜13配列を形成するためのグリシンの付加により、能力がわずかに減少し;9〜13配列では、活性がほぼ無くなったのに対し、8〜13配列の能力は、11〜13配列のものよりも優れていた。Ac-[D-K11]α-MSH 11〜13-NH2は、トリペプチドα-MSH 11〜13のL型と同じ一般的能力を有することが公知である。Hiltz, M. E.; Catania, A.; Lipton, J. M., Anti-inflammatory Activity of α-MSH (11〜13) Analogs: Influences of Alterations in Stereochemistry, Peptides 12,767-71 (1991) 。
【0049】
位置13のバリンのD型での、または位置11のリジンのD型さらに位置13のバリンのD型での置換により、L型トリペプチドでのものよりも優れた抗炎症活性を生じた。従って、D型で作製される二量体は、もう一つの有効なKPV二量体であってもよい。これらの例は、ペプチドのアミノ酸特徴の変化は、操作の性質に応じて、ペプチドの活性に影響するか、またはほとんど効果を有さない可能性があることを示す。生物学的機能的等価物は、同様のヒドロパシー値を有するアミノ酸の置換によって得られるであろうと考えられている。従って、たとえば、イソロイシンおよびロイシン(これらは、ヒドロパシー指標+4.5および+3.8を有する)は、それぞれバリン(これは+4.2のヒドロパシー指標を有する)に対して置換することができ、さらに、同様の生物活性を有するタンパク質を得ることができる。あるいは、鱗片の他端にて、リジン(-3.9)をアルギニン(-4.5)その他に対して置換することができる。一般に、このようなアミノ酸が、置換されたアミノ酸の約+/-1のヒドロパシー指標ユニット内のヒドロパシースコアを有する場合、アミノ酸を首尾よく置換することができると考えられている。生物学的機能的等価物の抗微生物性は、本発明の明細書の実施例に開示したように、細菌または真菌におけるコロニー形成単位に対するこれらの阻害効果を介して、またはHIV発現または転写に対するこれらの阻害効果を介して測定することができる。
【0050】
下記の実施例に開示した統計的有意性は、一元配置分散分析法およびスチューデントt検定を使用して解析した。0.05を超える確率値を有意であるとみなした。
【実施例】
【0051】
実施例I
本実施例は、黄色ブドウ球菌に対するα-MSHペプチドの抗菌特性を例証する。黄色ブドウ球菌(ATCC 29213)の培養は、Department of Microbiology, Ospedale Maggiore di Milanoのコレクションから得た。黄色ブドウ球菌(ハンクス液中に1×106/ml)をα-MSH(1〜13)(配列番号:4)、α-MSH(11〜13)(配列番号:1)、またはCKPV(配列番号:5)二量体の存在下または非存在で、10-15〜10-4Mの範囲の濃度で37℃において2時間インキュベートした。次いで、細胞を冷却蒸留水中で洗浄し、100生物体/mlの濃度にHBSSで希釈した。1ミリリットルの一定分量を血液寒天培地プレート上に分配し、37℃にて24時間インキュベートした。微生物の生存度は、形成されたコロニーから推定した。もう一つの実験のセットにおいて、500単位のウロキナーゼ(黄色ブドウ球菌増殖エンハンサー)も細菌(105/100ml)と共に、37℃にて4時間、ペプチドと共に振盪水浴中でインキュベートした。
【0052】
図1は、α-MSH(1〜13)(配列番号:4)、α-MSH(11〜13)(配列番号:1)、およびCKPV(配列番号:5)二量体が、全て黄色ブドウ球菌コロニー形成を阻害したことを示す。これらの阻害効果は、広範囲にわたる濃度全体で生じ、10-12〜10-4Mのペプチド濃度で有意であった(p>0.01)。図2は、10-6Mの濃度のα-MSH(1〜13)(配列番号:4)およびα-MSH(11〜13)(配列番号:1)が、有意にウロキナーゼの増殖増強効果に対抗したことを示す。従って、α-MSHペプチドは、黄色ブドウ球菌(タンポン使用に付随して毒素ショック症候群を生じさせることが公知の因子)の増殖、膣炎、UTI、尿道炎、および亀頭包皮炎を阻害することができる。
【0053】
実施例II
本実施例は、鵞口瘡カンジダに対するα-MSHペプチドの抗真特性を例証する。鵞口瘡カンジダの臨床分離株は、Department of Microbiology, Ospedale Maggiore di Milanoのコレクションから得た。鵞口瘡カンジダの培養は、サブロー寒天斜面上で維持し、周期的にサブロー寒天培地プレートへ移し28℃にて48時間インキュベートした。定常増殖期の酵母を調製するために、コロニーを寒天板から採取し、30mlのサブロー-デキストロース・ブロスに移して、32℃にて72時間インキュベートした。細胞を1000×gにて10分間遠心し、ペレットを蒸留水で2回洗浄した。細胞を計数し、ハンクス液(HBSS)に所望の濃度に懸濁した。0.01%メチレンブルー排除によって決定される生存度は、98%より高いままであった。
【0054】
1×106/mlのHBSS溶液にて、これらの真菌をα-MSH(1〜13)(配列番号:4)、α-MSH(11〜13)(配列番号:1)、またはCKPV(配列番号:5)二量体の存在下または非存在において、10-15〜10-4Mの範囲の濃度で37℃において2時間インキュベートした。次いで、細胞を冷却蒸留水中で洗浄し、100生物体/mlの濃度にHBSSで希釈した。1ミリリットルの一定分量を血液寒天培地プレート上に分配し、37℃にて24時間インキュベートした。微生物の生存度は、形成されたコロニーから推定した。
【0055】
図3は、α-MSH(1〜13)(配列番号:4)、α-MSH(11〜13)(配列番号:1)、およびCKPV(配列番号:5)二量体が、10-12〜10-4Mの範囲での濃度で鵞口瘡カンジダがコロニーを形成する能力を非常に減少させたことを示す(p<0.01対対照)。従って、これは、α-MSHペプチドが鵞口瘡カンジダの増殖、膣炎、UTI、尿道炎、および亀頭包皮炎を阻害することができることを証明する。
【0056】
実施例III
本実施例では、α-MSHペプチドの抗感染活性をフルコナゾール(確立された抗真菌薬)と比較する。
【0057】
α-MSH(1〜13)(配列番号:4)、(4〜10)(配列番号:2)、(6〜13)(配列番号:3)、(11〜13)(配列番号:1)、ACTH(1〜39)(配列番号:9)、(18〜39)(配列番号:10)、およびフルコナゾールを10-6〜10-4Mの濃度にて、実施例IIに記載のものと同じ手順を使用して、鵞口瘡カンジダに対して試験した。図4は、フルコナゾールと比較して、α-MSH(11〜13)(配列番号:1)、(6〜13)(配列番号:3)、および(1〜13)(配列番号:4)が鵞口瘡カンジダに対して最も有効であったことを示す。これらの阻害力は、同じモル濃度のフルコナゾールと同様であった。対照的に、行動に関した効果を有するが、ほとんど抗炎症作用を有さない「コア」α-MSH配列は、(4〜10)(配列番号:2)は、コロニー形成単位(CFU)の約50%の阻害を生じさせた。この阻害効果は、実質的であったが(p<0.01対対照)、KPVシグナル配列を有するα-MSH断片、すなわちα-MSH(6-13)(配列番号:3)および(11〜13)(配列番号:1)(p<0.01)、または親分子α-MSH(1〜13)(配列番号:4)(p<0.05)は、あまり有意に強力ではなかった。図4は、また、ACTH(1-39)(配列番号:9)およびACTH断片(18-39)(配列番号:10)が、鵞口瘡カンジダ生存度を減少させなかったことを示す。より高濃度の10-4Mでさえも(これは、図に示されていない)、ACTHペプチドは、同様に効果がなかった。
【0058】
従って、本実施例は、α-MSHペプチドが、カンジダ属の増殖を阻害するのにフルコナゾールと同程度に有効であることを証明する。
【0059】
実施例IV
本実施例は、α-MSHペプチドが鵞口瘡カンジダの発芽または発芽管形成を阻害することを例証する。発芽管形成は、鵞口瘡カンジダ感染の病原性の有意な部分である。この病原性は、宿主上皮および内皮細胞に対する接着、並びに楕円の分芽胞子から種々の糸状の形態、たとえば、発芽管、仮性菌糸、および菌糸への形態の転換を含む。Gow, N. A., Germ Tube Growth of Candida albicans, Curr. Topics Med. Myco. 8,43-55 (1997)。
【0060】
定常期培養からの鵞口瘡カンジダを蒸留水で2回洗浄し、HBSSに2×106/mlの終濃度に懸濁した。菌糸の増殖は、連続振盪で37℃にて45分間インキュベートした酵母に、10%の不活性化ウマ血清(GIBCO/BRL, Paisley, Great Britainn)を添加することによって誘導した。次いで、細胞をHBSSで2回洗浄することによってウマ血清を除去し、α-MSH(1〜13)(配列番号:4)、(6〜13)(配列番号:3)、または(11〜13)(配列番号:1)の存在下において、連続的振盪しながら10-6Mの濃度にて、37℃にて60分間さらにインキュベーションを続けた。糸状細胞の割合は、血球計数器を用いて光学顕微鏡下で評価した。実験は三回実行し、少なくとも200細胞を記録した。顕微写真は、Axioskop Zeiss顕微鏡に装着したMC100カメラで撮った。
【0061】
図5A〜5Dは、α-MSH(1〜13)(配列番号:4)または(11〜13)(配列番号:1)と鵞口瘡カンジダの同時インキュベーションにより、ウマ血清によって誘導される発芽管形成を阻害したことを示す。α-MSH(1〜13)(配列番号:4)は、糸状細胞の数の28〜32%の減少を生じさせたか、一方α-MSH(11〜13)(配列番号:1)は、54〜58%の減少を生じさせた。図に図示はしていないが、α-MSH(6-13)(配列番号:3)は、同じように糸状細胞数の約50%の減少を有した。従って、これは、α-MSHペプチドがその発芽管形成を阻害することによってカンジダ属病原性の1つの様式を阻害できることを証明する。
【0062】
実施例V
病原体の死滅が減少するということは、感染の間の副腎皮質ステロイドおよびその他の非ステロイド系抗炎症薬での治療の悲惨な結果である。Stevens, D.L., Could Nonsteroidal Anti-inflammatory Drugs (NSA) Ds) Enhance rogression of Bacterial Infections to Toxic Shock Syndrome?, Clin. Infect. Dis. 21, 977-80 (1997); Capsoni, F., et. al., Effect of Corticosteroids on Neutrophil Function: Inhibition of Antibody-dependent Cell-Mediated Cytotoxicity (ADCC), J. Immunopharmacol. 5,217-30 (1983)。本実施例は、ヒト好中球が感染因子の感染と戦う能力を含むことなく、α-MSHペプチドが感染因子の増殖を阻害することを例証する。本実施例は、α-MSHペプチドが、実際に、好中球が感染因子を死滅させる能力を増強することができることをさらに示す。
【0063】
健常ボランティアからの静脈血(20ml)をヘパリンで血液凝固阻止した。次いで、Ficoll-Hypaque (Sigma Chemical Co., St. Louis, Missouri, USA)でのデキストラン沈降および遠心分離を使用して好中球を単離した。赤血球を低浸透圧性ショックを経て溶解し、細生じる好中球は、胞懸濁液の少なくとも97%を示す。トリパンブルー排除によって推定される細胞生存度は、98%よりも高かった。好中球を実験のためにHBSSに再懸濁した。
【0064】
鵞口瘡カンジダ(1×106)を37℃にて30分間、振盪水浴中でヒトAB血清でオプソニン化した。次いで、これらを好中球と共に、培地単独またはα-MSH(1〜13)(配列番号:4)もしくはα-MSH(11〜13)(配列番号:1)を含む培地の存在下において、10-15〜10-4Mの範囲の濃度で37℃にて2時間振盪水浴中でインキュベートした。インキュベーション後、増殖を止めるために培養試験管を氷上に配置し、細胞外生物体を4℃において1000×gでの遠心分離で2回洗浄した。2.5%のデオキシコール酸ナトリウム溶液を懸濁液に添加し、チューブを5分間振盪した。次いで、106細胞/mlの懸濁液を得るために、冷却蒸留水を添加した。HBSSの2回の1/100段階希釈を行って、100細胞/mlの最終懸濁液を得た。次いで、1ミリリットルの一定分量を血液寒天培地プレート上に分配し、37℃にて48時間インキュベートした。コロニー形成単位を三回の実験試行でのインキュベーション期間終了後に計数し、5つの異なるドナーからの血液を使用して繰り返した。
【0065】
図6は、α-MSH(1〜13)(配列番号:4)および(配列番号:1)(11〜13)が、実際に10-12〜10-4M(p<0.01)の範囲の濃度で投与されたときに、好中球の鵞口瘡カンジダの死滅を増強したことを示す。これは、この増強された死滅が、ピコモル濃度を含む濃度の非常に広範囲にわたって生じ、ヒト血漿において見いだされるα-MSHの濃度と同様であることを示す。
【0066】
従って、本実施例は、α-MSHペプチドが同時に感染および炎症に対して戦うことができ、これをカンジダ症、膣炎、尿道炎、亀頭包皮炎、または痔核に適用してもよいことを証明する。
【0067】
本実施例は、α-MSHペプチドが一般的な抗菌特性を、および特に抗真菌特性を及ぼす細胞メカニズムを示唆する。
【0068】
トルエン/エタノールで透過化した鵞口瘡カンジダ(106/ml)を10-6Mのα-MSH(1〜13)配列番号:4)(11〜13)(配列番号:1)またはフォルスコリン(細胞内cAMPを増大することが公知の薬剤)の存在下または非存在で37℃にて連続振盪でインキュベートした。反応を氷冷エタノールを添加することによって3分後に止めた。cAMPレベルは、製造業者の説明書に従って液相法を経て抽出後に、市販の酵素免疫測定法キット(Amersham、United Kingdom)を使用して二組測定した。関連した実験では、鵞口瘡カンジダをジデオキシアデノシン(ddAdo、Sigma)(アデニリルシクラーゼの強力な阻害剤)に対して25、50、および100×10-5Mの濃度で2時間、α-MSHペプチドに対してさらに2時間曝露した。鵞口瘡カンジダのコロニーを形成する能力に対するフォルスコリンおよびddAdoの効果を実施例IIに記載した手順に従って決定した。
【0069】
図7は、α-MSH(1〜13)(配列番号:4)および(11〜13)(配列番号:1)が鵞口瘡カンジダにおいてcAMP含量を増強したことを示す。このcAMP増加は、等モルのフォルスコリンによって誘導されるものと同程度であった。図8は、α-MSH(1〜13)(配列番号:4)および(11〜13)(配列番号:1)と共に、フォルスコリンも、対照群と比較して、有意に鵞口瘡カンジダの増殖を阻害した(p<0.01)ことを示す。図9は、ddAdoが、鵞口瘡カンジダの増殖に対するα-MSH(1〜13)(配列番号:4)および(11〜13)(配列番号:1)の効果を逆転させる能力を有することを示す。
【0070】
本実施例は、α-MSHペプチドが、そのcAMPレベルを増大して、次々にmRNAおよびタンパク質合成を阻害することによって、鵞口瘡カンジダおよびその他の微生物の増殖を阻害することを証明する。たとえば、Bhattacharya A., et. al., Effect of Cyclic AMP on RNA and Protein Synthesis in Candida albicans, Biochem, Biophysics. Res. Commun.,77: 1433-44 (1977)を参照されたい。
【0071】
実施例VII
本実施例は、α-MSHペプチドがヒト細胞におけるウイルスの複製を阻害する能力を例証する。より詳細には、α-MSHは、慢性的に感染したヒト単球におけるHIV-1の複製および発現を阻害した。
【0072】
慢性的にHIV-1感染したプロ単核球性U1株化細胞は、単球における潜在的HIV感染症のインビトロ・モデルである。これらの細胞は、2つの組み込まれたHIVのプロウイルス複製を有し、HIVの構成的発現は非常に低い。しかし、ウイルスの複製をRNA転写、p24抗原、または逆転写酵素放出によって測定すると、TNF-α、IL-6、IL-10、PMA、または細胞の周密などの種々の刺激で活性化することができる。
【0073】
HIV複製に対するα-MSHペプチドの効果を決定するために、これらの細胞を対数増殖期において、完全培地(10mM Hepes、2mM L-グルタミン(Sigma-Aldrich)、10% 熱不活性化FCS(Hyclone Laboratory、Logan、UT、USA)、100units/ml ペニシリン、および100μg/mlのストレプトマイシン(Gibco Laboratory、Grand Island、NY)を補ったRPMI 1640)中で対数増殖期に維持した。試験的実験を最初に行って、これらの培養条件を使用して最適な細胞密度、刺激濃度、およびHIV-1 p24抗原産生の動態を決定した。使用前に、細胞外ウイルスを除去するために、細胞をHBSSで3回洗浄した。次いで、細胞を10-15〜10-4Mの濃度のα-MSH(1〜13)(配列番号:4)または(11〜13)(配列番号:1)の存在下または非存在において、培地単独または培地プラスTNF-α(10ng/ml)(R & D Systems, Oxford, England, UK)と共に2×105/ml(1mlの最終体積)の濃度に24ウェル平底プレートにまいた。
【0074】
さらなる実験において、α-MSH(11〜13)(配列番号:1)単独を10-5Mで、TNF-α(10ng/ml)、IL-6(20ng/ml)、IL-10(20ng/ml)(R & D Systems, Oxford, England, UK)、PMA(1ng/ml)(Sigma-Aldrich)により、または密集条件で刺激したU1細胞に添加した。密集は、2×105/mlの密度でU1細胞を播種すること、および7日間培地を変えることなく5%のCO2において37℃で培養液にこれらを維持することによって達成した。サイトカインまたはPMAで活性化した培養物を48時間だけ維持した。次いで、上清を遠心分離によって除去し、Cellular Products, Inc. in Buffalo, NY, USAからの市販のELISAキットを使用してp24抗原についてアッセイした。また、逆転写酵素放出は、市販のキット、Innova, genLund, SwedenからのELISA Retrosys RTアッセイ法を使用して測定した。これらの実験については、α-MSH(11〜13)の添加(配列番号:1)を1日目に行い、それぞれの条件を三回試験した。
【0075】
図10は、α-MSH(1〜13)(配列番号:4)および(11〜13)(配列番号:1)が、広範な濃度にわたってTNF-α刺激したU1細胞からのp24抗原放出を有意に阻害したことを示す。両ペプチドについて最も有効な濃度は、10-5Mであり、それぞれ52.7%および56.0%の阻害を生じさせた。図11は、α-MSH(11〜13)(配列番号:1)が、抗原および逆転写酵素がIL-6、IL-10、PMAによって、および密集条件で誘導されるU1細胞からのp24放出も阻害したことを示す。加えて、図12は、α-MSH(11〜13)(配列番号:1)が、ノーザンブロット解析によって測定されたPMA刺激されたU1細胞におけるスプライスされた、およびスプライスされていないHIV-1 RNAの両方の転写を阻害したことを示す。
【0076】
従って、本実施例は、α-MSHペプチドが、TNF-α、IL-6、およびIL-10経路の媒介を介してウイルス遺伝子の転写を阻害できることを証明する。
【0077】
実施例VIII
本実施例は、α-MSHがウイルスの複製および活性化を阻害する能力をさらに例証する。より詳細には、本実施例は、U1細胞におけるα-MSHに対する中和抗体の添加により、実質的にp24-抗原放出が増大したことを例証する。
【0078】
U1細胞は、実施例VIIに記載したのと同様に培養した。U1細胞によって産生される内因性α-MSHは、培地で1:250希釈した親和性精製ウサギ-抗α-MSH抗体(Euro-Diagnostica, Malmo, Sweden)でブロックされた。対照抗体は、同じ希釈のウサギIgGであった。抗α-MSHまたは対照抗体で処置した細胞(2×105/ml)を培地またはPMA(1ng/ml)と共に同時インキュベートした。37℃で48時間インキュベーション後、上清を分離し、p24抗原放出について試験した。上記したとおりに培養したU1細胞での密集実験では、抗α-MSH抗体または対照IgGを1日目に添加し上清を7日目に収集した。
【0079】
図13は、安静時にα-MSHをブロックすると、PMA誘導したか、または密集したU1細胞では、有意にp24抗原の放出が増大したことを示す。本実施例は、ウイルスの複製がα-MSHによる影響を受けることを強く暗示する。
【0080】
実施例IX
本実施例は、α-MSHペプチドがウイルスの複製および発現を阻害するメカニズムを例証する。より詳細には、α-MSHペプチドは、TNF-αで誘導されるNF-KB活性化および結合を阻害した。
【0081】
NF-κB活性のレベルを決定するために、10-5Mのα-MSH(11〜13)(配列番号:1)の存在または非存在において、TNF-α(20ng/ml)で4時間刺激した20×106 U1細胞(完全培地中で2×105/ml)から核抽出物を調製した。細胞を冷却PBSで1回、および緩衝液A(10mMのHepes pH 7.9、1.5 mM MgCl2、10 mM KCl、0.5 mMフェニルメチルスルホニルフルオライド、および0.5mM DTT)で2回洗浄し、遠心して、氷上において緩衝液Aプラス0.1%のNP-40中で10分間インキュベートした。その後、上清を除去し、核ペレットを15μlの緩衝液C(20mMのHepes pH 7.9、1.5mM MgCl2、0.42 M KCl、0.2mM EDTA、25% グリセロール、0.5mM フェニルメチルスルホニルフルオライド、および0.5mM DTT)に再懸濁して、氷上で15分間インキュベートし、混合し、次いで遠心した。上清を75μlの修正緩衝液D(20mM Hepes、pH 7.9、0.05mM KCI、0.2mM EDTA、20% グリセロール、0.5mM フェニルメチルスルホニルフルオライド、および0.5mM DTT)で希釈し、-80℃で貯蔵した。結合反応は、10μgの核抽出物タンパク質および0.5ngの32PラベルしたNF-κB(30,000cpm/μl)またはAP1コンセンサス(12mM トリス-HCl pH 7.8、60mM KCl、0.2mM EDTA、0.3mM DTT)緩衝液A溶液、プラス10% グリセロール、2μg/ml ウシ血清アルブミン、および1μg/ml 一本鎖DNA(Pharmacia Biotech)と共に、室温で15分間おこなった。これらの研究に使用したNF-κBのオリゴヌクレオチドは、以下の通りであった:+ gat cca agg gga ctt tcc gct ggg gac ttt cca tg.(配列番号:11)および-gat cca tgg aaa gtc ccc agc gga aag tcc cct tg(配列番号:12)。それぞれのオリゴヌクレオチドは、その相補鎖にアニールし、ポリヌクレオチドキナーゼを使用して32P-γ-ATPで末端ラベルした。特異的バンドの決定のためには、ラベルされたプローブとインキュベーションする前に、最初に核抽出物を100倍過剰な非ラベルプローブと5分間インキュベートした。次いで、混合物を1×TBE中で5%(30:1)アクリルアミドゲルで実行した。ゲルを乾燥し、オートラジオグラム化した。
【0082】
図14は、TNF-αが、NF-κB結合活性を非常に増強したが、10-5Mのα-MSH(11〜13)(配列番号:1)を同時インキュベーションすると、有意にNF-κB活性化が減少したことを示す。しかし、α-MSH(11〜13)(配列番号:1)は、休止細胞におけるNF-κB活性化を変化させなかった。これは、α-MSHペプチドが、NF-κB結合の制御を介してウイルスの複製および発現を阻害することを示唆する。
【0083】
ウイルス因子の複製は、感染細胞の活性化状態に依存することが多く、ウイルスと宿主因子の間の相互作用によって調節されることが多い。これらの宿主因子は、TNF-αおよびインターロイキンなどのその他のサイトカインを含んでもよい。HIV-1感染および活性化と同様に、単純ヘルペスウイルスも、宿主サイトカインに応答して潜時から再活性化する。たとえば、TNF-αおよびIL-6(しかし、IL-1およびIL-3ではない)は、HSV感染を再活性化させることが示されている。IL-6に対する抗体でのIL-6の中和により、有意にHSV再活性化を阻害したが、一方インターフェロンαおよびβの中和では、阻害しなかった。たとえば、Baker, M., et. al., The Relationship between Interleukin-6 and Herpes Simplex Virus Type-1: Implications for Behavior and Immunopathology, Brain Behav. Immun. 13 (3): 201-11 (1999); Noisakran S., et. al., Lymphocytes Delav Kinetics of HSV-1 Reactivation from in vitro Explants of Latent Infected Trigeminal Ganglia, J. Neuroimmunol. 95 (1-2): 126-35 (1999); Walev, I., et. al., Enhancement by TNF-alpha of Reactivation and Replication of Latent Herpes Simplex Virus from Trigeminal Ganglia of Mice, Arch Virol. 140 (6): 987-92 (1995); Domk-Optiz, I., et. al., Stimulation of Macrophages by Endotoxin Results in the Reactivation of a Persistent Herpes Simplex Virus Infection, Scand J. Immunol. 32 (2): 69-75 (1990); Fauci, A. S., Host Factors in the Pathoaenesis of HIV- induced Disease, Nature 384: 529 (1996)を参照されたい。
【0084】
TNF-αまたはウイルスによる感染により、HSVを含むIκBのターゲットされた破壊を生じさせることができ、これは次にNF-KBの核転位置を活性化する。核転位置は、TNF-α、IL-6、およびその他のサイトカインを含む炎症性因子種の転写のためのDNAオペレーターに対するNF-κB結合を促進する。これらのサイトカインの発現は、再び、その他のHSV感染細胞がHSVウイルスを産生するのをさらに再活性化する。たとえば、Patel, A., et. al., Herpes Simplex Type 1 Induction of Persistent NF-KB Nuclear Translocation Increases the Efficiency of Virus Replication, Virology 247 (2): 212-22 (1998)を参照された。
【0085】
従って、NF-κB結合をブロックすることよって、α-MSHペプチドは、より炎症性のサイトカインの発現を阻害してHSVを再活性化することができる。本実施例および実施例VII〜VIIIは、α-MSHペプチドが、体のサイトカインまたはその他のウイルス感染に応答して、NF-KB結合を阻害することによってウイルスの複製、発現、および再活性化を阻害することを示す。
【0086】
実施例X
本実施例は、α-MSHペプチドが、急性感染したヒト細胞におけるウイルスの複製を阻害する能力を例証する。より詳細には、α-MSHは、急性感染したヒト末梢血単核細胞(PBMC)におけるHIV-1の複製および発現を阻害した。
【0087】
PBMCは、Ficoll-Hypaque密度勾配遠心分離によって正常なドナーから単離した。単球は、パーコール勾配分離によって単離して、RPMIプラス20% FCSを完全培地中で、24ウェル組織培養プレートを使用して、106細胞/mlで7日間マクロファージ(MDM)に分化させた。MDMには、単球向性HIV Ba-I株を一晩感染させた(1:10)。未希釈ウイルス株は、107感染単位/mlを含んだ。24時間後に、MDMを洗浄し、完全培地に再懸濁したものを週に3回、3週間置換した。逆転写酵素放出は、市販のキット、Innovagen, Lund, SwedenからのELISA Retrosys RTアッセイ法を使用して感染後毎週測定した。10-5Mのα-MSH(11〜13)(配列番号:1)をHIV感染症時に、次いで回収まで毎日添加した。
【0088】
図15は、α-MSHが、有意に急性感染したMDMにおける逆転写酵素放出を阻害したことを示す。この阻害効果は、6日目により顕著となったが、21日目においてもなおも統計学的に有意であった。
【0089】
従って、本実施例は、感染部位におけるウイルス複製をα-MSHペプチドによって阻害できることを証明する。従って、一般の性病および特にHIVの性的伝達は、性的接触の間に使用されるコンドーム、隔膜、またはスポンジなどの避妊具とα-MSHペプチドを結合させること、および/またはα-MSHペプチドを含む坐薬、クリーム、軟膏、ゲル、またはエアロゾル泡を性的接触後に適用することによって阻害することができる。
【0090】
実施例XI
本実施例は、α-MSHペプチドの生物学的な機能的等価物を例証する。本明細書に記載された具体的アミノ酸配列も有効であるが、アミノ酸は、ペプチドの有効性を変更せずにアミノ酸配列に置換すること、または欠失することができることが当業者には明らかである。さらに、α-MSH配列の安定化により、ペプチドの活性を非常に増大することができること、およびL型に対するD-アミノ酸型の置換により、ペプチドの有効性を改善すること、または減少させることができることが公知である。たとえば、α-MSHの安定な類似体、[Nle4、D-Phe7、α-MSH(これは、メラニン形成細胞および黒色腫細胞に対して顕著な生物活性を有することが公知である)は、熱を減少させるのに親ペプチドよりも約10倍強力である。さらに、C末端α-MSH(11〜13)配列にアミノ酸を付加することにより、解熱能力を減少させること、または増強することができる。10〜13配列を形成するためのグリシンの付加により、能力をわずかに減少させ;9〜13配列では、活性がほぼ無くなったのに対し、8〜13配列の能力は11〜13配列のものよりも優れていた。Ac-[D-K11]α-MSH 11〜13-NH2は、トリペプチドα-MSH 11〜13のL型と同じ一般的能力を有することが公知である。Hiltz, M. E.; Catania, A.; Lipton, J. M., Anti-inflammatory Activity of α-MSH (11〜13) Analogs: Influences of Alterations in Stereochemistry, Peptides 12,767-71 (1991) 。
【0091】
生物学的機能的等価物は、同様のヒドロパシー値を有するアミノ酸の置換によって得られるであろうと考えられている。従って、たとえば、イソロイシンおよびロイシン(これらは、ヒドロパシー指標+4.5および+3.8を有する)は、それぞれバリン(これは+4.2のヒドロパシー指標を有する)に対して置換することができ、さらに、同様の生物活性を有するタンパク質を得ることができる。あるいは、鱗片の他端にて、リジン(-3.9)をアルギニン(-4.5)その他に対して置換することができる。一般に、このようなアミノ酸が置換されたアミノ酸の約+/-1のヒドロパシー指標ユニット内のヒドロパシースコアを有する場合、アミノ酸を首尾よく置換することができると考えられている。
【0092】
実施例XII
鵞口瘡カンジダ、C. グラブラタ(C. glabrata)、およびC.クルセイ(C. krusei)(臨床分離株)は、Microbiology, Ospedale Maggiore di Milanoの研究室のコレクションから得られた。それぞれの酵母株について、6つの異なる隔離集団を使用した。鵞口瘡カンジダの培養は、サブロー寒天斜面上で維持し、周期的にサブロー寒天培地プレートへ移し28℃にて48時間インキュベートした。定常増殖期の酵母を調製するために、コロニーを寒天板から採取し、30mlのサブロー-デキストロース・ブロスに移して、32℃にて72時間インキュベートした。細胞を1000×gにて10分間遠心し、ペレットを蒸留水で2回洗浄した。細胞を計数し、ハンクス液(HBSS)に所望の濃度に懸濁した。0.01%メチレンブルー排除によって決定される生存度は、98%より高いままであった。
【0093】
カンジダ属種細胞を含むチューブ(100μI蒸留水中に1×106)には、100μlの蒸留水に溶解したCKPV二量体10-7〜10-4MまたはKPV10-4M(終濃度)を添加した。対照チューブには、100μlの蒸留水を与えた。全ての試験は、三回実行した。37℃で2時間インキュベーション後、それぞれのバイアルからの酵母懸濁液を、ほぼ100生物体/mlを得るために蒸留水で希釈した。それぞれのチューブからの1ミリリットルの一定分量を血液寒天培地プレート上で調剤し、CFUを計数するために37℃にて48時間インキュベートした。生物体生存度をそれぞれのプレートのCFU数から推定した。対照プレートにおけるCFUが、80〜120の間であり、10%未満のカウントのばらつきであった実験のみを、ペプチドの効果を評価するために使用した。対照プレートにおけるコロニーの数がより小さな、またはより大きな実験は、技術的に不適当であると考えられ、解析から除外した。
【0094】
結果は、図17〜19で例証されており、特定の真菌について上記した条件下で生じるCFUを同定したことを示す。図は、α-MSHペプチドなし(図17〜19において「0」と示してある)、10-4MのKPV[図17〜19において-4と示してある]、10-7MのCKPV(配列番号:5)二量体[図17〜19において-7と示してある]、10-6MのCKPV(配列番号:5)二量体[図17〜19において-6と示してある]、10-5MのCKPV(配列番号:5)二量体[図17〜19において-5と示してある]、および10-4MのCKPV(配列番号:5)二量体[図17〜19において-4と示してある]の存在下において生じるCFUを含む。図17は、同じモル濃度で、KPV二量体(CKPV二量体)が、鵞口瘡カンジダを治療する際にKPV単量体よりも2倍有効であることを示す。図18は、同じモル濃度で、KPV二量体(CKPV二量体)が、C.クルセイを治療する際にKPV単量体よりも2倍有効であることを示す。図19は、同じモル濃度で、KPV二量体(CKPV二量体)が、C. グラブラタを治療する際にKPV単量体よりも2倍有効であることを示す。
【0095】
前述の実施例I〜XIIは、α-MSHペプチドの抗感染活性および使用を証明する。これらのデータは、実施例のみのものとして企図され、これらの実施例に本発明を限定しようとするものではない。上記の実施例を修飾することは、本発明の精神から逸脱しないと理解される。本実施例は、単独で、または互いに組み合わせて適用することができることがさらに理解される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】黄色ブドウ球菌の増殖に対するα-MSHペプチドの阻害効果を示す。
【図2】黄色ブドウ球菌のウロキナーゼで誘導される増殖に対するα-MSHペプチドの効果を示す。
【図3】鵞口瘡カンジダの増殖に対するα-MSHペプチドの阻害効果を示す。
【図4】α-MSHペプチドの抗真菌の活性をフルコナゾールで比較する。
【図5】図5A〜5Dは、鵞口瘡カンジダの発芽管形成に対するα-MSHペプチドの阻害効果を示す。
【図6】鵞口瘡カンジダに対するα-MSHペプチドの好中球死滅が増強される効果を示す。
【図7】α-MSHペプチドが鵞口瘡カンジダの増殖を阻害するメカニズムを示す。
【図8】α-MSHペプチドが鵞口瘡カンジダの増殖を阻害するメカニズムを示す。
【図9】α-MSHペプチドが鵞口瘡カンジダの増殖を阻害するメカニズムを示す。
【図10】慢性的に感染した細胞におけるウイルスの複製および発現に対するα-MSHペプチドの阻害効果を示す。
【図11】慢性的に感染した細胞におけるウイルスの複製および発現に対するα-MSHペプチドの阻害効果を示す。
【図12】慢性的に感染した細胞におけるウイルスの複製および発現に対するα-MSHペプチドの阻害効果を示す。
【図13】慢性的に感染した細胞におけるウイルスの複製および発現に対するα-MSHペプチドの阻害効果を示す。
【図14】α-MSHペプチドがウイルスの複製、発現、および再活性化を阻害するメカニズムを示す。
【図15】急性感染した細胞におけるウイルスの複製および発現に対するα-MSHペプチドの阻害効果を示す。
【図16】KPV二量体の1つの化学構造の図を示す。
【図17】同じモル濃度で、KPV二量体(CKPV二量体)が、鵞口瘡カンジダを治療する際にKPV単量体よりも2倍有効であることを示す。
【図18】同じモル濃度で、KPV二量体(CKPV二量体)が、C.クルセイを治療する際にKPV単量体よりも2倍有効であることを示す。
【図19】同じモル濃度で、KPV二量体(CKPV二量体)が、C. グラブラタを治療する際にKPV単量体よりも2倍有効であることを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
KPV二量体と、第1の保存剤と、溶媒と、アルカリ化薬と、アクリル酸ベースのポリマーと、第2の保存剤と、およびゲル化剤とを含む薬学的組成物。
【請求項2】
キレート化剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記KPV二量体がCKPV(配列番号:5)二量体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記アクリル酸ベースのポリマーがカルボポール(Carbopol)(登録商標)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記第1の保存剤が、フェノキシエタノール、メチルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベンプロピルパラベン、およびソルビン酸カリウム、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記第2の保存剤がフェノキシエタノール、メチルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベンプロピルパラベン、およびソルビン酸カリウム、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記第1の保存剤がメチルパラベンである、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記第2の保存剤がプロピルパラベンである、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記溶媒がプロピレングリコール、エタノール、フェノール、アセトン、グリセロール、およびイソプロパノール、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記溶媒がプロピレングリコールである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記キレート化剤が補酵素Q10、亜鉛、L-システイン、L-メチオニン、L-リジン、グルタチオン、およびEDTA、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項12】
前記キレート化剤がEDTAである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記アルカリ化薬がHEPES、2M NaOH、MES水和物、MOPS、TAPS、およびビス-トリス、並びにこれらの組み合わせからなる基から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記アルカリ化薬がNaOHである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記ゲル化剤が水、滅菌水、蒸留水、無菌食塩水、および注射用滅菌水、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記ゲル化剤が注射用滅菌水である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記CKPV(配列番号:5)二量体が組成物の少なくとも約0.05〜0.15%である、請求項3に記載の組成物。
【請求項18】
前記CKPV(配列番号:5)二量体が組成物の少なくとも約0.1%である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記カルボポール(登録商標)が組成物の少なくとも約1.5〜2.5%である、請求項4に記載の組成物。
【請求項20】
前記カルボポール(登録商標)が組成物の少なくとも約2%である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記メチルパラベンが組成物の少なくとも約0.1〜0.2%である、請求項7に記載の組成物。
【請求項22】
前記メチルパラベンが組成物の少なくとも約0.15%である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記プロピルパラベンが組成物の少なくとも約0.025〜0.075%である、請求項8に記載の組成物。
【請求項24】
前記プロピルパラベンが組成物の少なくとも約0.05%である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記プロピレングリコールが組成物の少なくとも約5〜15%である、請求項10に記載の組成物。
【請求項26】
前記プロピレングリコールが組成物の少なくとも約10%である、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記EDTAが組成物の少なくとも約0.05〜0.15%である、請求項12に記載の組成物。
【請求項28】
前記EDTAが組成物の少なくとも約0.1%である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記2M NaOHが組成物を4.0±0.1のpHにさせるために十分な量である、請求項14に記載の組成物。
【請求項30】
前記注射用滅菌水がゲルを生じさせるために十分な量である、請求項15に記載の組成物。
【請求項31】
カルボポール(登録商標)と、プロピルパラベンと、メチルパラベンと、プロピレングリコールと、CKPV(配列番号:5)二量体と、2M NaOHと、および注射用滅菌水とからなる薬学的組成物。
【請求項32】
EDTAをさらに含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記CKPV(配列番号:5)二量体が組成物の少なくとも約0.1%である、請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
前記カルボポール(登録商標)が組成物の少なくとも約2%である、請求項31に記載の組成物。
【請求項35】
前記メチルパラベンが組成物の少なくとも約0.15%である、請求項31に記載の組成物。
【請求項36】
前記プロピルパラベンが組成物の少なくとも0.05%である、請求項31に記載の組成物。
【請求項37】
前記プロピレングリコールが組成物の少なくとも約10%である、請求項31に記載の組成物。
【請求項38】
前記EDTAが組成物の少なくとも約0.1%である、請求項32に記載の組成物。
【請求項39】
前記2M NaOHが、組成物を4.0±0.1のpHにさせるために十分な量である、請求項31に記載の組成物。
【請求項40】
前記注射用滅菌水が、ゲルを生じさせるために十分な量である、請求項31に記載の組成物。
【請求項41】
2%のカルボポール(登録商標)と、0.05%のプロピルパラベンと、0.15%のメチルパラベンと、10%のプロピレングリコールと、0.1%gのEDTAと、組成物を4.0±0.1のpHにさせるために十分な量の2M NaOHと、0.1%のCKPV(配列番号:5)二量体と、およびゲル生じさせるために十分な量の注射用滅菌水とを含む薬学的組成物。
【請求項42】
少なくとも約2%のカルボポール(登録商標)と、少なくとも約0.05%のプロピルパラベンと、少なくとも約0.15%のメチルパラベンと、少なくとも約10%のプロピレングリコールと、少なくとも約0.1%gのEDTAと、組成物を4.0±0.1のpHにさせるために十分な量の2M NaOHと、少なくとも約0.1%のCKPV(配列番号:5)二量体と、およびゲルを生じさせるために十分な量の注射用滅菌水とを含む薬学的組成物の使用を含む泌尿生殖器の症状を治療する方法。
【請求項1】
KPV二量体と、第1の保存剤と、溶媒と、アルカリ化薬と、アクリル酸ベースのポリマーと、第2の保存剤と、およびゲル化剤とを含む薬学的組成物。
【請求項2】
キレート化剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記KPV二量体がCKPV(配列番号:5)二量体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記アクリル酸ベースのポリマーがカルボポール(Carbopol)(登録商標)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記第1の保存剤が、フェノキシエタノール、メチルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベンプロピルパラベン、およびソルビン酸カリウム、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記第2の保存剤がフェノキシエタノール、メチルパラベン、ブチルパラベン、エチルパラベンプロピルパラベン、およびソルビン酸カリウム、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記第1の保存剤がメチルパラベンである、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記第2の保存剤がプロピルパラベンである、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記溶媒がプロピレングリコール、エタノール、フェノール、アセトン、グリセロール、およびイソプロパノール、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記溶媒がプロピレングリコールである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記キレート化剤が補酵素Q10、亜鉛、L-システイン、L-メチオニン、L-リジン、グルタチオン、およびEDTA、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項12】
前記キレート化剤がEDTAである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記アルカリ化薬がHEPES、2M NaOH、MES水和物、MOPS、TAPS、およびビス-トリス、並びにこれらの組み合わせからなる基から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記アルカリ化薬がNaOHである、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記ゲル化剤が水、滅菌水、蒸留水、無菌食塩水、および注射用滅菌水、並びにこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記ゲル化剤が注射用滅菌水である、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記CKPV(配列番号:5)二量体が組成物の少なくとも約0.05〜0.15%である、請求項3に記載の組成物。
【請求項18】
前記CKPV(配列番号:5)二量体が組成物の少なくとも約0.1%である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記カルボポール(登録商標)が組成物の少なくとも約1.5〜2.5%である、請求項4に記載の組成物。
【請求項20】
前記カルボポール(登録商標)が組成物の少なくとも約2%である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記メチルパラベンが組成物の少なくとも約0.1〜0.2%である、請求項7に記載の組成物。
【請求項22】
前記メチルパラベンが組成物の少なくとも約0.15%である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記プロピルパラベンが組成物の少なくとも約0.025〜0.075%である、請求項8に記載の組成物。
【請求項24】
前記プロピルパラベンが組成物の少なくとも約0.05%である、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記プロピレングリコールが組成物の少なくとも約5〜15%である、請求項10に記載の組成物。
【請求項26】
前記プロピレングリコールが組成物の少なくとも約10%である、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記EDTAが組成物の少なくとも約0.05〜0.15%である、請求項12に記載の組成物。
【請求項28】
前記EDTAが組成物の少なくとも約0.1%である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記2M NaOHが組成物を4.0±0.1のpHにさせるために十分な量である、請求項14に記載の組成物。
【請求項30】
前記注射用滅菌水がゲルを生じさせるために十分な量である、請求項15に記載の組成物。
【請求項31】
カルボポール(登録商標)と、プロピルパラベンと、メチルパラベンと、プロピレングリコールと、CKPV(配列番号:5)二量体と、2M NaOHと、および注射用滅菌水とからなる薬学的組成物。
【請求項32】
EDTAをさらに含む、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記CKPV(配列番号:5)二量体が組成物の少なくとも約0.1%である、請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
前記カルボポール(登録商標)が組成物の少なくとも約2%である、請求項31に記載の組成物。
【請求項35】
前記メチルパラベンが組成物の少なくとも約0.15%である、請求項31に記載の組成物。
【請求項36】
前記プロピルパラベンが組成物の少なくとも0.05%である、請求項31に記載の組成物。
【請求項37】
前記プロピレングリコールが組成物の少なくとも約10%である、請求項31に記載の組成物。
【請求項38】
前記EDTAが組成物の少なくとも約0.1%である、請求項32に記載の組成物。
【請求項39】
前記2M NaOHが、組成物を4.0±0.1のpHにさせるために十分な量である、請求項31に記載の組成物。
【請求項40】
前記注射用滅菌水が、ゲルを生じさせるために十分な量である、請求項31に記載の組成物。
【請求項41】
2%のカルボポール(登録商標)と、0.05%のプロピルパラベンと、0.15%のメチルパラベンと、10%のプロピレングリコールと、0.1%gのEDTAと、組成物を4.0±0.1のpHにさせるために十分な量の2M NaOHと、0.1%のCKPV(配列番号:5)二量体と、およびゲル生じさせるために十分な量の注射用滅菌水とを含む薬学的組成物。
【請求項42】
少なくとも約2%のカルボポール(登録商標)と、少なくとも約0.05%のプロピルパラベンと、少なくとも約0.15%のメチルパラベンと、少なくとも約10%のプロピレングリコールと、少なくとも約0.1%gのEDTAと、組成物を4.0±0.1のpHにさせるために十分な量の2M NaOHと、少なくとも約0.1%のCKPV(配列番号:5)二量体と、およびゲルを生じさせるために十分な量の注射用滅菌水とを含む薬学的組成物の使用を含む泌尿生殖器の症状を治療する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2007−505045(P2007−505045A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525543(P2006−525543)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/029322
【国際公開番号】WO2005/025503
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(506078264)ゼンゲン・インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2004/029322
【国際公開番号】WO2005/025503
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(506078264)ゼンゲン・インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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