説明

波長変換型固体レーザ装置

【課題】高安定出力の半導体レーザ励起共振器内波長変換レーザ光を得る。
【解決手段】基本波レーザ光(L2)を出射する固体レーザ媒質(4)として端面(4a,4b)を非平行にした複屈折性レーザ結晶を用いて基本波レーザ光(L2)の異なる偏波(L21,L22)は異なる角度で出射させる。半導体レーザ(1)からの励起レーザ光(L1)を固体レーザ媒質(4)に入射させると共に角度選択性により基本波レーザ光の一つの偏波(L21)のみに対して共振器(20)を構成する体積型ホログラフィック・グレーティング(3)を備える。共振器(20)内に波長変換素子(9)を置く。
【効果】励起波長と発振波長とが近接している場合でも誘電体多層膜ミラーのような問題を生じない。波長変換素子(9)における波長変換効率を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長変換型固体レーザ装置に関し、さらに詳しくは、高安定出力の半導体レーザ励起共振器内波長変換レーザ光が得られる波長変換型固体レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、励起レーザ光を入射されて基本波レーザ光を出射する固体レーザ媒質を一軸性レーザ結晶とし且つその出射面を光軸に対して傾斜面にすることにより偏光ビームスプリッタの機能を持たせ、基本波レーザ光の一つの偏光のみを波長変換素子に入射するようにし、波長変換素子における波長変換効率を向上させた波長変換型固体レーザ装置が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
他方、体積型ホログラフィックグレーティング(以下、VHGと呼ぶ:Volume Holographic Grating)を狭帯域フィルタとして用いた固体レーザ装置が知られている(例えば、非特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−251448号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Yaohui Zheng et al "High-stability single-frequency green laser with a wedge Nd:YVO4 as a plarizing beam splitter" Optics Communucations 283 (2010) 309-312
【非特許文献2】Bjorn Jacobsson et al "Quasi-Two-Level Yb:KYW Laser Using a Volume Bragg Grating" Laser Physics, KTH-Royal Institute of Technology, 106 91 Stockholm, Sweden
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記波長変換型固体レーザ装置では、固体レーザ媒質が偏光ビームスプリッタの機能を有しているため、別個に偏光子(例えばブリュースタープレート)を配置する必要がない利点がある。
しかし、誘電体多層膜ミラーを透過させて励起レーザ光を固体レーザ媒質に入射させると共に基本波レーザ光を誘電体多層膜ミラーで反射させて固体レーザ媒質に戻して共振器を構成しているため、励起波長と発振波長が近接している場合、例えば880nmの励起レーザ光の波長に対して無反射であり且つ914nmの基本波レーザ光の波長に対して全反射という望ましいコーティング特性を得ることが難しく、高安定出力の半導体レーザ励起共振器内波長変換レーザ光を得にくい問題点がある。
そこで、本発明の目的は、高安定出力の半導体レーザ励起共振器内波長変換レーザ光が得られる波長変換型固体レーザ装置を提供することにある。
【0006】
なお、VHGを狭帯域フィルタとして用いた上記従来の固体レーザ装置では、励起波長を狭帯域化できる利点がある。しかし、この固体レーザ装置は波長変換型でなく、VHGは励起レーザ光結合手段の機能を有していない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の観点では、本発明は、半導体レーザ(1)からの励起レーザ光(L1)を入射されて基本波レーザ光(L2)を出射する固体レーザ媒質(4)として端面(4a,4b)を非平行にした複屈折性レーザ結晶を用いて前記基本波レーザ光(L2)の異なる偏波(L21,L22)は異なる角度で出射させると共に、前記半導体レーザ(1)と前記固体レーザ媒質(4)の間に配置されて前記半導体レーザ(1)からの励起レーザ光(L1)を前記固体レーザ媒質(4)に入射させると共に角度選択性により前記基本波レーザ光の一つの偏波(L21)のみを前記固体レーザ媒質(4)に戻して前記一つの偏波(L21)のみに対して共振器(20)を構成する体積型ホログラフィック・グレーティング(3)を備え、さらに前記共振器(20)内に波長変換素子(9)を配置したことを特徴とする波長変換型固体レーザ装置(100)を提供する。
上記第1の観点による波長変換型固体レーザ装置(100)では、体積型ホログラフィック・グレーティング(3)は、励起レーザ光(L1)および基本波レーザ光の一つの偏波(L21)の両方を透過させるか又は両方を反射させればよいので、例えば880nmの励起レーザ光の波長と914nmの基本波レーザ光の波長のように両方の波長が近接している場合でも誘電体多層膜ミラーのような問題を生じない。さらに、固体レーザ媒質(4)に偏光ビームスプリッタの機能を持たせて基本波レーザ光(L2)の偏波(L21,L22)を異なる角度で体積型ホログラフィック・グレーティング(3)に入射させ、体積型ホログラフィック・グレーティング(3)の角度選択性により一つの偏波(L21)のみに対して共振器(20)を構成し、その共振器(20)内に波長変換素子(9)を配置したので、波長変換素子(9)における波長変換効率を向上させることが出来る。これらにより、高安定出力の半導体レーザ励起共振器内波長変換レーザ光が得られる。
【0008】
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点による波長変換型固体レーザ装置(100)において、前記固体レーザ媒質(4)が、レーザ活性イオン無添加部分(5)とレーザ活性イオン添加部分(6)とを持ったコンポジット型であることを特徴とする波長変換固体レーザ装置(100)を提供する。
上記第2の観点による波長変換型固体レーザ装置(100)では、全体がレーザ活性イオン添加部分である固体レーザ媒質に比べて、製造コストは上がるが、放熱性を向上できるので、高出力の場合に好ましい。
【0009】
第3の観点では、本発明は、前記第1または第2の観点による波長変換型固体レーザ装置(100)において、前記共振器(20)を構成するミラー(7,10)の少なくとも一つが反射型の体積型ホログラフィック・グレーティングであることを特徴とする波長変換固体レーザ装置(100)を提供する。
上記第3の観点による波長変換型固体レーザ装置(100)では、反射型の体積型ホログラフィック・グレーティングを用いることにより、誘電体多層膜ミラーを用いる場合よりも容易に発振波長を狭帯域化できる。
【0010】
第4の観点では、本発明は、半導体レーザ(1)と、透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)と、固体レーザ媒質(4)と、第1ミラー(5)と、第2ミラー(8)と、波長変換素子(9)と、第3ミラー(10)とを具備し、前記半導体レーザ(1)は励起レーザ光(L1)を出射し、前記透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)は前記励起レーザ光(L1)を透過して前記固体レーザ媒質(4)に入射し、前記固体レーザ媒質(4)は入射面(4a)に入射された前記励起レーザ光(L1)によって励起され基本波レーザ光(L2)を出射面(4b)から出射し、前記第1ミラー(5)は前記固体レーザ媒質(4)の出射面(4b)から出射された基本波レーザ光(L2)を前記固体レーザ媒質(4)の出射面(4b)へと反射し、前記固体レーザ媒質(4)は前記第1ミラー(5)で反射して前記出射面(4b)に入射した基本波レーザ光の異なる偏波(L21,L22)に対して異なる方向に前記入射面(4a)から出射し異なる入射角度で前記透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)に入射させ、前記透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)は前記異なる入射角度で入射した基本波レーザ光の異なる偏波(L21,L22)に対して異なる方向に出射し、前記第2ミラー(8)は前記透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)から出射された前記基本波レーザ光の一つの偏波(L21)を前記波長変換素子(9)へと反射し、前記波長変換素子(9)は入射面(9a)に入射された前記第2ミラー(8)からの前記基本波レーザ光の一つの偏波(L21)の一部を透過し出射面(9b)から出射すると共に他の一部を波長変換し波長変換レーザ光(L3)を出射面(9b)から出射し、前記第3ミラー(10)は前記波長変換素子(9)の出射面(9b)から出射された前記基本波レーザ光の一つの偏波(L21)および前記波長変換レーザ光(L3)を前記波長変換素子(9)の出射面(9b)へと反射し、前記波長変換素子(9)は前記第3ミラー(10)で反射して前記出射面(9b)に入射した前記基本波レーザ光の一つの偏波(L21)および前記波長変換レーザ光(L3)を前記第2ミラー(8)へと透過させ、前記第2ミラー(8)は前記波長変換素子(9)を透過した前記基本波レーザ光の一つの偏波(L21)を前記透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)へと反射することにより共振器(20)を構成すると共に前記波長変換レーザ光(L3)を透過させ出力することを特徴とする波長変換固体レーザ装置(100)を提供する。
上記第4の観点による波長変換型固体レーザ装置(100)では、透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)は、励起レーザ光(L1)および基本波レーザ光の一つの偏波(L21)の両方を透過させればよいので、例えば880nmの励起レーザ光の波長と914nmの基本波レーザ光の波長のように両方の波長が近接している場合でも誘電体多層膜ミラーのような問題を生じない。さらに、固体レーザ媒質(4)に偏光ビームスプリッタの機能を持たせて基本波レーザ光(L2)の偏波(L21,L22)を異なる角度で体積型ホログラフィック・グレーティング(3)に入射させ、体積型ホログラフィック・グレーティング(3)の角度選択性により一つの偏波(L21)のみに対して共振器(20)を構成し、その共振器(20)内に波長変換素子(9)を配置したので、波長変換素子(9)における波長変換効率を向上させることが出来る。これらにより、高安定出力の半導体レーザ励起共振器内波長変換レーザ光が得られる。
【0011】
第5の観点では、本発明は、前記第4の観点による波長変換型固体レーザ装置(100)において、前記固体レーザ媒質(4)が、レーザ活性イオン無添加部分(5)とレーザ活性イオン添加部分(6)とを持ったコンポジット型であることを特徴とする波長変換固体レーザ装置(100)を提供する。
上記第5の観点による波長変換型固体レーザ装置(100)では、全体がレーザ活性イオン添加部分である固体レーザ媒質に比べて、製造コストは上がるが、放熱性を向上できるので、高出力の場合に好ましい。
【0012】
第6の観点では、本発明は、前記第4または第5の観点による波長変換型固体レーザ装置(100)において、前記第1ミラー(7)および前記第3ミラー(10)の少なくとも一つが反射型の体積型ホログラフィック・グレーティングであることを特徴とする波長変換固体レーザ装置(100)を提供する。
上記第6の観点による波長変換型固体レーザ装置(100)では、反射型の体積型ホログラフィック・グレーティングを用いることにより、誘電体多層膜ミラーを用いる場合よりも容易に発振波長を狭帯域化できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の波長変換型固体レーザ装置によれば、励起波長と発振波長とが近接している場合でも誘電体多層膜ミラーのような問題を生じない。さらに、基本波レーザ光の一つの偏波のみに対して共振器を構成したので、波長変換効率を向上させることが出来る。これらにより、高安定出力の半導体レーザ励起共振器内波長変換レーザ光が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1に係る波長変換型固体レーザ装置を示す構成説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図に示す実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【0016】
−実施例1−
図1は、実施例1に係る波長変換型固体レーザ装置100を示す構成説明図である。
この波長変換型固体レーザ装置100は、励起レーザ光L1を出射する半導体レーザ1と、励起レーザ光L1を集光する集光レンズ系2と、透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング3と、固体レーザ媒質4と、第1ミラー5と、第2ミラー8と、波長変換素子9と、第3ミラー10とを具備している。
【0017】
透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング3は、入射面3aから入射した励起レーザ光L1を狭帯域化して固体レーザ媒質4に入射する。
【0018】
固体レーザ媒質4は、例えばNd:YVO4あるいはYb:YVO4であり、入射面4aに入射された励起レーザ光L1によって励起され、基本波レーザ光L2を出射面4bから出射する。
【0019】
第1ミラー5は、反射型の体積型ホログラフィック・グレーティングであり、固体レーザ媒質4の出射面4bから出射された基本波レーザ光L2を狭帯域化して固体レーザ媒質4の出射面4bへと反射する。
【0020】
固体レーザ媒質4は、入射面4aと出射面4bとが非平行な複屈折性レーザ結晶であり、第1ミラー5で反射して出射面4bに入射した基本波レーザ光の異なる偏波L21,L22に対して異なる方向に入射面4aから出射し、異なる入射角度で透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング3に入射させる。
【0021】
透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング3は、出射面3bから異なる入射角度で入射した基本波レーザ光の異なる偏波L21,L22に対して異なる方向に出射する。
【0022】
第2ミラー8は、誘電体多層膜ミラーであり、透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング3から出射された基本波レーザ光の一つの偏波L21を波長変換素子9へと反射する。
【0023】
波長変換素子9は、入射面9aに入射された第2ミラー8からの基本波レーザ光の一つの偏波L21の一部を透過し出射面(9b)から出射すると共に、入射面9aに入射された第2ミラー8からの基本波レーザ光の一つの偏波L21の他の一部を波長変換し波長変換レーザ光L3を出射面9bから出射する。
【0024】
第3ミラー10は、誘電体多層膜ミラーであり、波長変換素子9の出射面9bから出射された基本波レーザ光の一つの偏波L21および波長変換レーザ光L3を波長変換素子9の出射面9bへと反射する。
【0025】
波長変換素子9は、第3ミラー10で反射して出射面9bに入射した基本波レーザ光の一つの偏波L21および波長変換レーザ光L3を第2ミラー(8)へと透過させる。
【0026】
第2ミラー8は、波長変換素子9を透過した基本波レーザ光の一つの偏波L21を透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング3へと反射すると共に、波長変換レーザ光L3を透過させ出力する。
【0027】
第2ミラー8から反射されて体積型ホログラフィック・グレーティング3に入射した基本波レーザ光の一つの偏波L21は、体積型ホログラフィック・グレーティング3を透過して固定レーザ媒質4に戻り、固定レーザ媒質4を透過して第1ミラー7に向かい、第1ミラー7で反射され、固定レーザ媒質4に戻り、固定レーザ媒質4を透過して体積型ホログラフィック・グレーティング3に入射し、体積型ホログラフィック・グレーティング3から第2ミラー8へ再び出射されることを繰り返す。これにより、基本波レーザ光の一つの偏波L21に対する共振器20が構成される。
【0028】
実施例1の波長変換型固体レーザ装置100によれば次の効果が得られる。
(1)透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング3は、励起レーザ光L1および基本波レーザ光の一つの偏波L21の両方を透過させればよいので、例えば880nmの励起レーザ光の波長と914nmの基本波レーザ光の波長のように励起波長と発振波長とが近接している場合でも誘電体多層膜ミラーのような問題を生じない。
(2)固体レーザ媒質4に偏光ビームスプリッタの機能を持たせて基本波レーザ光L2の偏波L21,L22を異なる角度で体積型ホログラフィック・グレーティング3に入射させ、体積型ホログラフィック・グレーティング3の角度選択性により一つの偏波L21のみに対して共振器20を構成し、その共振器20内に波長変換素子9を配置したので、波長変換素子9における波長変換効率を向上させることが出来る。
(3)以上により、高安定出力の半導体レーザ励起共振器内波長変換レーザ光が得られる。
【0029】
−実施例2−
第1ミラー7を誘電体多層膜ミラーとし、第3ミラー10を反射型の体積型ホログラフィック・グレーティングとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の波長変換型固体レーザ装置は、バイオエンジニアリング分野や計測分野で利用できる。
【符号の説明】
【0031】
1 半導体レーザ
2 集光レンズ系
3 透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング
4 固体レーザ媒質
5 レーザ活性イオン無添加部分
6 レーザ活性イオン添加部分
7 第1ミラー
8 第2ミラー
9 波長変換素子
10 第3ミラー
100 波長変換型固体レーザ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体レーザ(1)からの励起レーザ光(L1)を入射されて基本波レーザ光(L2)を出射する固体レーザ媒質(4)として端面(4a,4b)を非平行にした複屈折性レーザ結晶を用いて前記基本波レーザ光(L2)の異なる偏波(L21,L22)は異なる角度で出射させると共に、前記半導体レーザ(1)と前記固体レーザ媒質(4)の間に配置されて前記半導体レーザ(1)からの励起レーザ光(L1)を前記固体レーザ媒質(4)に入射させると共に角度選択性により前記基本波レーザ光の一つの偏波(L21)のみを前記固体レーザ媒質(4)に戻して前記一つの偏波(L21)のみに対して共振器(20)を構成する体積型ホログラフィック・グレーティング(3)を備え、さらに前記共振器(20)内に波長変換素子(9)を配置したことを特徴とする波長変換型固体レーザ装置(100)。
【請求項2】
請求項1に記載の波長変換型固体レーザ装置(100)において、前記固体レーザ媒質(4)が、レーザ活性イオン無添加部分(5)とレーザ活性イオン添加部分(6)とを持ったコンポジット型であることを特徴とする波長変換固体レーザ装置(100)。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の波長変換型固体レーザ装置(100)において、前記共振器(20)を構成するミラー(7,10)の少なくとも一つが反射型の体積型ホログラフィック・グレーティングであることを特徴とする波長変換固体レーザ装置(100)。
【請求項4】
半導体レーザ(1)と、透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)と、固体レーザ媒質(4)と、第1ミラー(5)と、第2ミラー(8)と、波長変換素子(9)と、第3ミラー(10)とを具備し、
前記半導体レーザ(1)は励起レーザ光(L1)を出射し、
前記透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)は前記励起レーザ光(L1)を透過して前記固体レーザ媒質(4)に入射し、
前記固体レーザ媒質(4)は入射面(4a)に入射された前記励起レーザ光(L1)によって励起され基本波レーザ光(L2)を出射面(4b)から出射し、
前記第1ミラー(5)は前記固体レーザ媒質(4)の出射面(4b)から出射された基本波レーザ光(L2)を前記固体レーザ媒質(4)の出射面(4b)へと反射し、
前記固体レーザ媒質(4)は前記第1ミラー(5)で反射して前記出射面(4b)に入射した基本波レーザ光の異なる偏波(L21,L22)に対して異なる方向に前記入射面(4a)から出射し異なる入射角度で前記透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)に入射させ、
前記透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)は前記異なる入射角度で入射した基本波レーザ光の異なる偏波(L21,L22)に対して異なる方向に出射し、
前記第2ミラー(8)は前記透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)から出射された前記基本波レーザ光の一つの偏波(L21)を前記波長変換素子(9)へと反射し、
前記波長変換素子(9)は入射面(9a)に入射された前記第2ミラー(8)からの前記基本波レーザ光の一つの偏波(L21)の一部を透過し出射面(9b)から出射すると共に他の一部を波長変換し波長変換レーザ光(L3)を出射面(9b)から出射し、
前記第3ミラー(10)は前記波長変換素子(9)の出射面(9b)から出射された前記基本波レーザ光の一つの偏波(L21)および前記波長変換レーザ光(L3)を前記波長変換素子(9)の出射面(9b)へと反射し、
前記波長変換素子(9)は前記第3ミラー(10)で反射して前記出射面(9b)に入射した前記基本波レーザ光の一つの偏波(L21)および前記波長変換レーザ光(L3)を前記第2ミラー(8)へと透過させ、
前記第2ミラー(8)は前記波長変換素子(9)を透過した前記基本波レーザ光の一つの偏波(L21)を前記透過型の体積型ホログラフィック・グレーティング(3)へと反射することにより共振器(20)を構成すると共に前記波長変換レーザ光(L3)を透過させ出力する、
ことを特徴とする波長変換固体レーザ装置(100)。
【請求項5】
請求項4に記載の波長変換型固体レーザ装置(100)において、前記固体レーザ媒質(4)が、レーザ活性イオン無添加部分(5)とレーザ活性イオン添加部分(6)とを持ったコンポジット型であることを特徴とする波長変換固体レーザ装置(100)。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の波長変換型固体レーザ装置(100)において、前記第1ミラー(7)および前記第3ミラー(10)の少なくとも一つが反射型の体積型ホログラフィック・グレーティングであることを特徴とする波長変換固体レーザ装置(100)。

【図1】
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【公開番号】特開2012−204702(P2012−204702A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69060(P2011−69060)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】