説明

波長検出器、波長較正システム

【課題】紫外線のレーザ光の波長の検出精度を高めた波長検出器を提供すること。
【解決手段】レーザ光を拡散させる拡散素子と、拡散素子の下流に設けられる集光光学系と、集光光学系の下流に設けられ、アパーチャを備える部材と、部材の下流に設けられ、貫通孔がそれぞれ形成された筒状のアノードおよびカソードを含み、アノードに直流電圧を印加した状態で所定の第1の波長のレーザ光がカソードの貫通孔を通過するときに、オプトガルバニック効果によってアノードとカソードの間の電気的特性が変化するように構成された放電管と、前記アノードに直流電圧を印加するよう構成された高圧直流電源とを備える。アパーチャを通過するレーザ光が放電管のカソードに直接照射することなくカソードの貫通孔を通過するように放電管が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、紫外線を生成するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の微細化、高集積化につれて、半導体露光装置においては解像力の向上が要請されている。半導体露光装置を以下、単に「露光装置」という。このため露光用光源から出力される光の短波長化が進められている。露光用光源には、従来の水銀ランプに代わってガスレーザ装置が用いられている。現在、露光用のガスレーザ装置としては、波長248nmの紫外線を出力するKrFエキシマレーザ装置ならびに、波長193nmの紫外線を出力するArFエキシマレーザ装置が用いられている。
【0003】
次世代の露光技術としては、露光装置側の投影レンズとウエハ間の間隙を液体で満たして、当該間隙の屈折率を変えることによって、露光用光源の見かけの波長を短波長化する液浸露光が研究されている。ArFエキシマレーザ装置を露光用光源として用いて液浸露光が行われた場合は、ウエハには水中における波長134nmの紫外光が照射される。この技術をArF液浸露光という。ArF液浸露光はArF液浸リソグラフィーとも呼ばれる。
【0004】
KrF、ArFエキシマレーザ装置の自然発振におけるスペクトル線幅は約350〜400pmと広いため、露光装置側の投影レンズによってウエハ上に縮小投影されるレーザ光(紫外線光)の色収差が発生して解像力が低下する。そこで色収差が無視できる程度となるまでガスレーザ装置から出力されるレーザ光のスペクトル線幅を狭帯域化する必要がある。スペクトル線幅はスペクトル幅とも呼ばれる。このためガスレーザ装置のレーザ共振器内には狭帯域化素子を有する狭帯域化モジュール(Line Narrow Module)が設けられ、この狭帯域化モジュールによりスペクトル幅の狭帯域化が実現されている。なお、狭帯域化素子はエタロンやグレーティング等であってもよい。このようにスペクトル幅が狭帯域化されたレーザ装置を狭帯域化レーザ装置という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許4905243
【概要】
【0006】
波長検出器の一実施形態は、紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の波長を検出する装置であって、レーザ光を拡散させる拡散素子と、拡散素子の下流に設けられる集光光学系と、集光光学系の下流に設けられ、アパーチャを備える部材と、その部材の下流に設けられ、貫通孔がそれぞれ形成された筒状のアノードおよびカソードを含み、前記アノードに直流電圧を印加した状態で所定の第1の波長のレーザ光が前記カソードの前記貫通孔を通過するときに、オプトガルバニック効果によって前記アノードと前記カソードの間の電気的特性が変化するように構成された放電管と、前記アノードに直流電圧を印加するよう構成された高圧直流電源とを含んでよい。放電管は、アパーチャを通過するレーザ光が放電管のカソードに直接照射することなくカソードの貫通孔を通過するように配置されていてもよい。
【0007】
波長検出器の別の実施形態は、紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の波長を検出する装置であって、貫通孔がそれぞれ形成された筒状のアノードおよびカソードを含み、前記アノードに直流電圧を印加した状態で所定の第1の波長のレーザ光が前記カソードの貫通孔を通過するときに、オプトガルバニック効果によって前記アノードと前記カソードの間の電気的特性が変化するように構成された放電管と、前記アノードに直流電圧を印加するよう構成された高圧直流電源と、前記カソードの信号の電圧変化を検出するための信号検出点を含む信号処理部とを含んでよい。信号処理部は、前記カソードに対するレーザ光の照射によって生ずる光電効果信号の検出を抑制するために信号検出点に接続されているローパスフィルタ、及び信号検出点における前記光電効果信号の検出を抑制するために信号検出点の信号検出タイミングを所定時間遅延させる遅延回路、の少なくともいずれかを含んでもよい。
【0008】
波長較正システムの一実施形態は、紫外線レーザ装置と、紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の波長を所定の波長範囲で段階的に変化させる波長制御部と、上述した波長検出器である第1の波長検出器と、紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の波長を逐次検出する第2の波長検出器とを備えていてもよい。波長制御部は、前記カソードの材料に応じた波長である上記所定の第1の波長と、放電管の上記電気的特性が変化するときの第2の波長検出器が検出した波長である波長検出値と、の差分に基づいて、第2の波長検出器の波長検出値に対する較正値を算出してもよい。
【0009】
波長検出器の更に別の実施形態は、紫外線のレーザ光の波長を検出する波長検出器であって、前記レーザ光を拡散させる拡散素子と、前記拡散素子からの前記レーザ光を受け取る集光光学系と、前記集光光学系により集光された前記レーザ光が通過するアパーチャを有する部材と、筒状のアノードおよび筒状のカソードと前記アノード及び前記カソードを密封する容器とを含む放電管と、前記アノードに直流電圧を印加するよう構成された高圧直流電源と、前記アパーチャを通過した前記レーザ光を前記カソードに直接照射することなく前記カソードの貫通孔を通過させる光学系とを含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の図面を参照して以下に説明する。
【図1A】図1Aは、レーザガルバトロン(登録商標)タイプの放電管の部分断面構造を簡略化して示す。
【図1B】図1Bは、レーザガルバトロン(登録商標)タイプの放電管のアノードおよびカソードの形状及び位置関係の概略を示す。
【図1C】図1Cは、波長に対するオプトガルバニック信号の関係を概略的に示す。
【図2】図2は、実施形態の波長検出器について、主として光学系の構成を示す。
【図3】図3は、実施形態の波長検出器において、放電管のカソードを通過するレーザ光の好ましい入射状態の一例を概略的に示す。
【図4A】図4Aは、実施形態の波長検出器が備えうる信号処理回路の一例を概略的に示す。
【図4B】図4Bは、実施形態の信号処理回路が出力する信号の電圧変化を模式的に示す。
【図4C】図4Cは、実施形態の信号処理回路がキャパシタを含む場合に出力する信号の電圧変化を模式的に示す。
【図5A】図5Aは、実施形態の波長検出器が備えうる信号処理回路の別の例を概略的に示す。
【図5B】図5Bは、実施形態の信号処理回路の別の例が出力する信号の電圧変化を模式的に示す。
【図6】図6は、本実施形態の波長較正システムのシステム構成の一例を概略的に示す。
【図7】図7は、スペクトル検出器の一構成例であるエタロン分光器を概略的に示す。
【図8】図8は、実施形態の波長較正システムの動作におけるメインルーチンの一例であるフローチャートを示す。
【図9】図9は、波長較正処理のサブルーチンの一例であるフローチャートを示す。
【図10】図10は、較正値算出処理のサブルーチンの一例であるフローチャートを示す。
【図11】図11は、較正値算出処理におけるサンプル処理を模式的に示す。
【実施形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。以下に説明される実施形態は、本開示の一例を示すものであって、本開示の内容を限定するものではない。また、各実施形態で説明される構成及び動作の全てが本開示の構成及び動作として必須であるとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。なお以下の説明では、レーザ光の光路において、レーザ光の発生源側を「上流」とし、レーザ光の到達目標側を「下流」とする。
【0012】
実施形態について以下の項目の順に沿って説明する。
【0013】
1.概要
2.波長検出器の説明
2.1 光学系の構成
2.2 光学系の動作
2.3 信号処理部の第1の例
2.3.1 構成
2.3.2 動作
2.4 信号処理部の第2の例
2.4.1 構成
2.4.2 動作
3.波長較正システムの説明
3.1 システム構成
3.2 システム動作
【0014】
1.概要
本実施形態の紫外線レーザ装置は、露光装置の露光に用いられる紫外線光であるレーザ光を生成するための装置であってよい。以下の説明において、レーザ光の波長とは、レーザ光のスペクトル強度分布における中心波長を意味するものであってもよい。
【0015】
露光装置の一運用例として、紫外線レーザ装置を制御するレーザコントローラに対して、露光装置が露光対象のウエハに応じた波長のレーザ光を供給することを要求する場合があってよい。この場合、レーザコントローラは、露光装置から要求される波長のレーザ光が露光装置へ出力されるように、紫外線レーザ装置を制御してよい。このレーザコントローラによる制御は、例えば以下のとおり行われてよい。
【0016】
すなわち、レーザコントローラは、露光装置へ出力されるレーザ光の波長を連続的に検出する波長検出器により検出された波長検出値を、取得可能であってよい。露光装置は、紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の波長を計測し、その計測値に基づいて、レーザコントローラへ通知すべきレーザ光の波長の目標値を算出してもよい。そして、レーザコントローラは、上記波長検出値と、露光装置によって与えられる波長の目標値との差分をエラーとして、エラーをゼロに近づけるように、紫外線レーザ装置を制御してよい。
【0017】
このとき、例えば、露光装置へ出力されるレーザ光の波長を検出する検出器の検出精度が劣化した場合には、上記制御が適切に行われない可能性がある。その結果、目標値の波長のレーザ光を紫外線レーザ装置が出力することができないことがありえる。そこで、レーザ光の波長を連続的に検出する波長検出器により検出された波長検出値を較正する目的で、レーザ光の絶対波長を検出するための別の波長検出器を含む波長較正システムが設けられてよい。
【0018】
レーザ光の絶対波長を検出するための波長検出器は、レーザガルバトロン(登録商標)タイプの放電管を含むものであってよい。かかる放電管においては、アノードに直流電圧を印加した状態で所定の第1の波長のレーザ光が放電管のカソードの貫通孔を通過するときに、オプトガルバニック効果によってアノードとカソードの間の電気的特性が変化してよい。このような放電管の構造の一例については、例えば国際公開番号WO99/01890に記載されており、ここに参照のために組み込まれる。ArFエキシマレーザ装置の場合には、高い波長較正精度を得る目的で、放電管を用いて検出する絶対波長がArFエキシマレーザ装置のレーザ光の波長に近い波長であってもよい。ArFエキシマレーザ装置のレーザ光の波長は193nm付近の波長を含んでもよい。
【0019】
上述した国際公開番号WO99/01890に詳述されているが、図1A、1B、1Cを参照して上記放電管の構成及び作用の概略について、以下説明する。
【0020】
図1Aは、上述した国際公開番号WO99/01890に記載されている放電管の構造の部分断面を簡略化して示す図である。図1Aに示すように、放電管46は、T字形状の断面を備え、例えば二酸化炭素などの酸素原子を含有するガスと不活性ガスとの混合ガスが封入された密封容器Hを含んでよい。不活性ガスは、例えばヘリウム,ネオン等の希ガスであってよい。放電管46には、レーザ光を入射する光入射部463とレーザ光を出力する光出力部464とが形成されてもよい。密封容器Hの内部には、光入射部463と光出力部464との間に、中心軸C上に沿ってアノード461及びカソード462が設けられてもよい。アノード461及びカソード462はそれぞれ、入射するレーザ光を通過させる貫通孔を有する円筒状であって、かつ同心状に対向するように配置されていてもよい。図1Bに示すように、アノード461には円柱状の貫通孔461aが形成され、カソード462には円柱状の貫通孔462aが形成されてもよい。カソード462は例えば、白金(Pt)から構成されてもよい。アノード461及びカソード462はそれぞれ、導電性のリードピン465,466に接続されてよい。
【0021】
リードピンを介して放電管46のアノード461に高電圧が印加されると、アノード461とカソード462との間に放電が生じ、その放電により密封容器H内の封入ガスが電離してプラズマが発生してもよい。このプラズマにより円筒状のカソード462の表面がスパッタされ、放電プラズマ中に白金が原子の状態で放出されてもよい。この白金原子を含む放電プラズマ中に、白金原子の共鳴波長とほぼ一致した波長のレーザ光が入射され、カソード462の貫通孔462aを通過してよい。その結果、レーザ光がプラズマ中の白金原子の一部と共鳴し、白金原子に吸収されてもよい。そして、共鳴による吸収の結果、放電プラズマ中の原子の各準位における電子の占有率が変化し、この変化により、アノード461とカソード462間の電気的特性に変化が生じてもよい。電気的特性は、例えばインピーダンスであってよい。この電気的特性の変化はオプトガルバニック効果と呼ばれる。この電気的特性の変化は、レーザ光による放電プラズマの共鳴によって、放電プラズマ中の白金が蒸気の状態からイオン化された結果であると考えてもよい。ここで、上述したようにカソード462を白金で構成した場合、放電プラズマの共鳴が生じるためのレーザ光の波長は、193.4369nmであってよい。例えば、193.4369nmの波長を、第1の波長としてもよい。よって、カソード462に白金を用いた構成は、波長193nm付近のレーザ光を出力するArFエキシマレーザ装置の波長較正に好適であってよい。カソードを構成する材料は、レーザ光の波長に応じたものであってよい。例えば、カソード462に鉄(Fe)を用いた構成は、波長248nm付近のレーザ光を出力するKrFエキシマレーザ装置の波長較正に好適であってよい。
【0022】
レーザ光による放電プラズマの共鳴を検知するための1つの代表的な方法として、アノード461に高圧直流電源を印加しつつ、カソード462の電圧の変化を検出するための信号検出点における電圧信号または電流信号が観測されてよい。この信号検出点で観測される信号は、以下の説明において、オプトガルバニック信号として言及されてもよい。レーザ光による放電プラズマの共鳴によって生ずるアノード461とカソード462間のインピーダンスの変化は、オプトガルバニック信号の変化をもたらしてもよい。例えば、図1Cに示すように、放電管のカソードを通過するレーザ光の波長が特定の波長λであるときにレーザ光と放電プラズマの間に共鳴が生じ、波長λにおけるオプトガルバニック信号の電圧値がピークとなってよい。
【0023】
図1A及び1Bにおいて、放電管に入射するレーザ光が、カソード462自体に直接照射されることなくその貫通孔462aを通過すれば、オプトガルバニック信号のピークが精度良く検出されうる。しかし、レーザ光が放電管に入射する前に散乱させられた場合、あるいはレーザ光のポインティングがずれた場合には、放電管46に入射するレーザ光がカソードに照射されうる。その場合、レーザ光がカソードに照射されたことによる光電効果によってカソードを構成する金属材料から電子が放出されうる。このとき放出される電子によって生ずる光電効果信号による電圧成分が大きくなる場合がある。その場合、上記信号検出点にて観測される信号は、比較的小さいオプトガルバニック信号に、比較的大きい光電効果信号が重畳したものとなる。その結果、オプトガルバニック信号を適切に識別することが困難となりうる。換言すれば、オプトガルバニック信号を所望のシグナルとし、光電効果信号をノイズとしたときのS/N比(Signal to Noise Ratio)が小さくなる場合がある。
【0024】
上述した観点から、上記放電管を備えた波長検出器の一実施形態では、レーザ光が、放電管のカソードに直接照射されることなくカソードの貫通孔を通過することができるように、光学系が構成されてよい。かかる光学系の構成例については、後で詳しく述べる。
【0025】
また、図1A及び1Bにおいて、放電管に入射するレーザ光がカソード462に直接照射されずに貫通孔462aを通過する場合であっても、レーザ光がカソードの内側の表面の近傍を通過するときには、光電効果信号が生じうる。すなわち、放電管の密封容器Hの内部の混合ガス、放電プラズマ中の白金原子、あるいは白金イオンによってレーザ光が散乱される場合がある。その結果、散乱されたレーザ光の一部がカソードに到達することでカソードにおいて光電効果が生じ、光電効果信号が誘起されうる。
【0026】
そこで、別の観点による、上記放電管を備えた波長検出器の一実施形態では、オプトガルバニック信号と光電効果信号が重畳した信号が観測される場合であっても、観測された信号からオプトガルバニック信号を抽出するための信号処理部が設けられてもよい。
【0027】
この別の観点に関し、発明者が、オプトガルバニック信号と光電効果信号が重畳した信号を観測した結果、観測した信号に含まれる光電効果信号の成分とオプトガルバニック信号の成分について、以下の特徴を発見した。光電効果信号による電圧成分は、比較的短時間内に急峻な信号変化を伴ってピークが生じる。それに対し、オプトガルバニック信号による電圧成分は、光電効果信号のピークが生じてから一定期間遅延した後にピークが生ずる。
【0028】
発明者は、オプトガルバニック信号が光電効果信号よりも遅延してピークが生ずる理由を以下のとおりと考えている。上述したように、レーザ光がカソードを通過する際に散乱され、散乱されたレーザ光の一部がカソードに到達することによって、光電効果が生じ得る。この光電効果に起因して、光電効果信号が発生し得る。ここで、光電効果によってカソードから放出される電子は質量が小さいため高速に移動すると考えられる。その結果、電子は、放出された後に短時間でアノードに到達し、電流の急峻な変化が生じると考えられる。一方、オプトガルバニック信号は、上述したように放電プラズマ中の白金が蒸気の状態からイオン化されることにより発生すると考えうる。ここで、白金イオンは、電子よりも重い質量を有し、比較的低速で移動すると考えられる。その結果、オプトガルバニック信号の電圧変化として白金イオンの移動が観測される時間は、光電効果信号が観測される時間よりも遅くなると考えられる。
【0029】
光電効果信号の成分とオプトガルバニック信号の成分についての上述した特徴に鑑み、波長検出器に設けられうる信号処理部は、急峻な電圧変化を伴う光電効果信号の電圧成分の検出を抑制するためのローパスフィルタを備えてもよい。あるいは代替的に、信号処理部は、時間的に先行する光電効果信号のピークの検出を抑制するために信号検出タイミングを所定時間遅延させてもよい。
【0030】
2.波長検出器の説明
次に、レーザ光の絶対波長を検出するための波長検出器について、図2〜5Bを参照して説明する。図2は、本実施形態の波長検出器40について、光学系の構成を主に示す図である。図3は、本実施形態の波長検出器40において、放電管のカソードを通過するレーザ光の好ましい入射形態の一例を説明するための図である。図4A、図4B、図4Cは、本実施形態の波長検出器40が備えうる信号処理部の一例を説明するための図である。図5A、図5Bは、本実施形態の波長検出器40が備えうる信号処理部の別の例を説明するための図である。
【0031】
2.1 光学系の構成
図2を参照すると、本実施形態の波長検出器40の光学系は、反射ミラー駆動部41、拡散素子42、集光光学系43、部材44、転写光学系45、放電管46、及びダンパ48,49を含んでもよい。なお、波長検出器40を構成する筐体は、レーザ光を導入するための開口40aを有してもよい。
【0032】
反射ミラー駆動部41は、高反射ミラー411を含み、所定の駆動信号に応じて、高反射ミラー411を非遮断位置あるいは遮断位置のいずれかに位置させてもよい。高反射ミラー411の非遮断位置は、開口40aから入射するレーザ光が下流の拡散素子42へ到達することが可能となる位置であってよい。高反射ミラー411の遮断位置は、開口40aから入射するレーザ光が下流の拡散素子42へ到達しないよう、レーザ光を遮断可能な位置であってよい。
【0033】
ダンパ48は、レーザ光を吸収するレーザダンパであってよい。ダンパ48は、高反射ミラー411が遮断位置に在るときに、高反射ミラー411により反射されたレーザ光を吸収する位置に配置されてもよい。
【0034】
拡散素子42は、入射したレーザ光を拡散して出射する光学素子であってもよい。拡散素子42は例えば、拡散板、マイクロフライアイレンズまたはDOE(Diffractive Optics Element;回折光学素子)であってもよい。拡散板は、レーザ光に対する透過率の高い材料によって形成された基板の表面を砂面処理して得られる光学素子であってよい。基板は、例えば、CaF結晶または合成石英であってよい。マイクロフライアイレンズは、レーザ光に対する透過率の高い材料によって形成された基板表面に、例えば直径1mm以下の複数のレンズを形成して得られる光学素子であってよい。DOEは、レーザ光に対する透過率の高い材料によって形成された基板表面に、所定の光学回折溝を形成して得られる光学素子であってもよい。
【0035】
なお、拡散素子42による拡散角が大きくなると、アパーチャ44aを通過する光量が低下し、放電管46においてオプトガルバニック信号の検出精度が低下する場合がある。よって、拡散素子42は、比較的拡散角が小さいマイクロフライアイレンズまたはDOEであることが好ましい。
【0036】
集光光学系43は、レーザ光の光路上で拡散素子42よりも下流に配置されてもよい。集光光学系43は、拡散素子42によって拡散させられたレーザ光を集光する光学素子あるいは光学素子群であってよい。
【0037】
部材44は、レーザ光の光路上で集光光学系43よりも下流に配置されてもよい。部材44には、レーザ光を通過させるためのアパーチャ44aが設けられてもよい。集光光学系43の下流の焦点位置f1がアパーチャ44aの中央部に位置するようにアパーチャ44aを配置してもよい。
【0038】
転写光学系45は、レーザ光の光路上で部材44よりも下流に配置されてよい。転写光学系45は、アパーチャ44aにおける像をレーザ光の光路上で下流に転写するために設けられてよい。図2に示すように、たとえば転写光学系45は、アパーチャ44a側のレンズ45aと、放電管46側のレンズ45bとの2枚のレンズを含んでよい。このとき、レンズ45aの上流の焦点位置がアパーチャ44aの中心位置となるように、つまりレンズ45aの上流の焦点距離が図2のf2となるように、レンズ45aが配置されてもよい。また、レンズ45bの下流の焦点位置が放電管46のカソードの貫通孔内に位置するように、つまりレンズ45bの下流の焦点距離が図2のf3となるように、レンズ45bが配置されてもよい。
【0039】
放電管46は、図1A及び1Bに示した放電管と同様のレーザガルバトロン(登録商標)タイプの放電管であってよく、レーザ光の光路上で転写光学系45よりも下流に配置されてよい。放電管46は、レーザ光の一部が放電管46のカソードに直接照射されることによる光電効果信号の発生を抑制すべく、アパーチャ44aを通過するレーザ光が放電管46のカソードに直接照射することなくカソードの貫通孔を通過するように配置されてもよい。
【0040】
ダンパ49は、レーザ光を吸収するレーザダンパであってよく、レーザ光の光路上で放電管46よりも下流に配置されてよい。ダンパ49を放電管46の下流に設けることにより、放電管46を通過した不要なレーザ光が再度、放電管46、あるいは放電管46に至るまでの光路に入り、放電管46における精度の高い検出を損なわないようにしてよい。ダンパ48,49は、好ましくは、複数の光吸収体の吸収面を内向きに対向して配置した構造を有し、その複数の吸収体で囲われた内部空間でレーザ光を多重反射させて散乱光の吸収効果を高めるよう構成されてもよい。吸収されたレーザ光のエネルギーは熱エネルギーに変換されてよい。この熱エネルギーを排出するために、ダンパ48,49は水冷ジャケット等の適当な冷却装置と組み合わせて設置されてもよい。
【0041】
本実施形態の波長検出器40の光学系においては、レーザ光が放電管46のカソードに直接照射することなくカソードの貫通孔を通過する限り、光学系を構成する各要素は任意に配置されてよい。光学系を構成する各要素の配置の一例について図2及び図3を参照して説明する。
【0042】
図2において、波長検出器40の光学系は、アパーチャ44aにおける像が転写光学系45を通して放電管46のカソードの貫通孔内に結像されるように、構成されてもよい。以降、アパーチャ44aにおける像を、アパーチャ像とする。例えば、図3に示すように、アパーチャ像が放電管46の筒状のカソードの中心位置に結像されるようにしてもよい。
【0043】
ここで、転写光学系45のアパーチャ44a側のレンズ45aの開口数をNAo、結像側(放電管46側)のレンズ45bの開口数をNAi、アパーチャ44aの径をφ、放電管46のアノードの幅をL、内径(貫通孔の径)をDとする。図3におけるθiは、筒状のカソードの中心軸に対するレーザ光束の入射角度である。このとき、上述の各パラメータが下記式1を満足する場合には、放電管46のカソードの貫通孔に入射するレーザ光が、カソードに直接照射されないようにできる。
【0044】
D>φ・(NAo/NAi)+L・tan(θi)…(式1)
なお、
θi=sin−1(NAi)
である。
【0045】
2.2 光学系の動作
次に図2を参照して、波長検出器40の光学系の動作について説明する。
【0046】
波長検出器40において、反射ミラー駆動部41は、入射するレーザ光の波長の検出を行う場合、例えば波長較正システムを動作させる場合には、高反射ミラー411が非遮断位置に配置されるように高反射ミラー411を駆動してもよい。この場合、開口40aから入射したレーザ光が拡散素子42に到達してよい。反射ミラー駆動部41は、入射するレーザ光の波長の検出を行わない場合、例えば波長較正システムを動作させない場合には、高反射ミラー411が遮断位置に配置されるように高反射ミラー411を駆動してもよい。この場合、開口40aから入射したレーザ光は、高反射ミラー411により反射され、ダンパ48によって吸収されてよい。
【0047】
拡散素子42は、入射したレーザ光を拡散させてよい。拡散させられたレーザ光の少なくとも一部は、集光光学系43によって、その焦点面(集光光学系43の下流の焦点距離f1の位置)上に集光させられてよい。集光光学系43の焦点面上に配置されうるアパーチャ44aにおける像は、転写光学系45により転写されてよい。このとき、転写光学系45から出射されるレーザ光が、放電管46のカソードに直接照射することなくカソードの貫通孔を通過するように、例えば放電管46等の光学系が配置されてもよい。例えば図3に例示したように、アパーチャ像が放電管46のカソードの貫通孔内に結像されてもよい。このように、本実施形態の波長検出器40では、レーザ光がカソード462に直接照射されることなくその貫通孔を通過するように光学系が構成されているので、オプトガルバニック信号のピークを精度良く検出することができる。
【0048】
本実施形態の波長検出器40の光学系において拡散素子42を設ける目的として、以下の3つの目的が挙げられてもよい。
【0049】
先ず第1の目的は、紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光が放電管46に入射する前に、そのレーザ光の波長分布を均一化するという目的であってもよい。
【0050】
波長検出器40に入射するレーザ光は、レーザ光の進行方向に対して直交する面内の各位置によって異なる波長を有している場合がある。つまり、レーザ光の幅方向において異なる波長成分が存在する場合がある。例えば、グレーティングを含む狭帯域化モジュールによってスペクトル線幅が調整されたレーザ光に関しては、グレーティングにおける回折角の小さい回折光と回折角の大きい回折光とで波長が異なり、かつその回折角がレーザ光の幅方向の位置に依存することがある。そのため、入射するレーザ光の断面が例えば矩形である場合、その矩形の断面の一端のレーザ光の成分が短波長であり、他端のレーザ光の成分が長波長であることがある。ここで、仮に拡散素子42が無いとすると、レーザ光の幅方向の一部の位置に対応する特定の波長成分のみが放電管46のカソードの貫通孔を通過し、その波長成分のみに基づいて波長が検出されることになりうる。このようにして検出される波長は、紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の大部分の波長を反映したものではない可能性が高い。
【0051】
そこで、本実施形態では、放電管46にレーザ光を通過させる前に、レーザ光を拡散素子42によって拡散させることで、レーザ光の幅方向の位置に応じた波長成分の分布または偏在を緩和してもよい。これにより、放電管46のカソードの貫通孔を通過するレーザ光は、紫外線レーザ装置から出力される様々な波長成分を包含することができる。その結果、波長検出器40において、紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の大部分の波長成分が検出される可能性が高められてもよい。
【0052】
なお、紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の大部分の波長成分を検出することは以下の観点から好ましい。
【0053】
露光装置では、紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の様々な波長成分を等価的に積分する処理が行われてもよい。具体的には、幅方向の位置に応じた様々な波長成分を含むレーザ光を、例えばフライアイレンズとコンデンサレンズを介して均一にマスク上に投影するように露光装置が設計されてよい。このような光学設計はケーラー照明と呼ばれる場合がある。この構成においては、マスク上に投影されるレーザ光の波長は、紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の様々な波長成分が重なり合ったものとなりうる。露光装置では、マスク上に投影される様々な波長成分を含む波長分布の代表値に基づいて、紫外線レーザ装置に対する波長目標値が設定されてもよい。
【0054】
露光装置において紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の様々な波長成分が等価的に積分あるいは重畳される処理は、波長検出器40内においても実質的に同様にして行われることが好ましい。露光装置と波長検出器40とにおけるレーザ光の様々な波長成分に対する処理を実質的に同一にすれば、波長検出器40によって検出された波長検出値に基づいて、露光装置により設定された波長目標値に対してレーザ光の波長を精度良く追従させることができる。
【0055】
拡散素子42を設ける第2の目的は、紫外線レーザ装置から入射するレーザ光のビームポインティングが変動した場合でも、少なくとも一部のレーザ光がアパーチャを通過する確度を高めるという目的であってよい。
【0056】
図2において、拡散素子42に直交した方向にて入射したレーザ光が、アパーチャ44aを通過するように、集光光学系が設計されてもよい。しかし、紫外線レーザ装置からのレーザ光の出力方向は、常に一つの所望の方向に向いているとは限らない。目標とする出力方向を基準にある程度の角度をなす方向に、レーザ光が出力する場合がありうる。つまり、レーザ光のビームポインティングが変動する場合がある。この場合、波長検出器40の開口40aから入射するレーザ光は、図2に示した拡散素子42に対して直交する方向とは限らず、その方向から少しずれた方向にて入射する場合がありうる。その場合でも、拡散素子42に直交した方向から少しずれた方向にて入射するレーザ光の一部は、拡散素子42による光拡散作用によって、入射した面に直交した方向に出射し、集光光学系43を経てアパーチャ44aを通過しうる。すなわち、波長検出器40の光学系は、紫外線レーザ装置からのレーザ光のビームポインティングが変動した場合でも、拡散素子42の光拡散効果によってアパーチャ44aを通過するレーザ光量を確保することができ、レーザ光の波長を検出することができる。換言すれば、拡散素子42を設けることで、入射するレーザ光のビームポインティングの変動に対する波長検出の許容レベルが向上しうる。
【0057】
第3の目的は、レーザ光に対する光軸調整が容易になるという目的であってよい。
【0058】
波長検出器40の運用を開始する初期状態において、入射するレーザ光によるアパーチャ像を放電管46のカソードの貫通孔内に結像させるための光軸調整が行われてもよい。つまり、集光光学系43、アパーチャ44aを含む部材44、転写光学系45及び放電管46の位置および角度が、レーザ光軸に対して調整され、波長検出器40の筐体内で固定されてもよい。このとき、拡散素子42の存在は、精度の高い調整無しで、アパーチャ像が放電管46のカソードの貫通孔内に結像することを可能にする。上述したように、拡散素子42を配置すれば、紫外線レーザ装置からのレーザ光のビームポインティングが変動した場合でも、アパーチャ44aを通過するレーザ光量を確保することができる。このことは、初期状態におけるレーザ光の入射角度や入射位置のずれに対する許容度も高いということであってもよい。そのため、本実施形態の波長検出器40の光学系によれば、光軸調整の作業時間を低減できる可能性がある。
【0059】
2.3 信号処理部の第1の例
次に、図2に示した波長検出器40が備えうる信号処理部47の第1の例について、図4A、4B、4Cを参照して説明する。
【0060】
前述したように、レーザガルバトロン(登録商標)タイプの放電管を用いる場合、放電管のカソード側に設けた信号検出点においては、オプトガルバニック信号と光電効果信号が重畳した信号が観測されうる。このとき、前述したように、観測される信号のうち光電効果信号の成分は、比較的短時間内に急峻な信号変化を伴って生じるピークを有するのに対し、オプトガルバニック信号の成分は、光電効果信号のピークが生じてから一定期間遅延した後に生じるピークを有し得る。そこで、波長検出器40の信号処理部47の第1の例は、急峻なレベル変化を伴う光電効果信号を除去するローパスフィルタを備えていてもよい。
【0061】
2.3.1 構成
図4Aに示すように、信号処理部47は、高圧直流電源471、ピークホールド回路472、AD(Analogue to Digital)コンバータ473、抵抗R及びキャパシタC1,C2を含んでよい。
【0062】
高圧直流電源471は、放電管46のアノードとGND(グランド)との間に設けられてもよい。カソードとGNDとの間には、電流制限用の抵抗Rが設けられてもよい。カソードと信号検出点N1との間には、キャパシタC1が設けられてもよい。信号検出点N1とGNDの間には、キャパシタC2が設けられてもよい。信号検出点N1は、オプトガルバニック効果による電圧信号の変化を観測するために設けられている信号検出点であってもよい。キャパシタC2は、抵抗Rとともにローパスフィルタを構成してもよい。
【0063】
ピークホールド回路472は、信号検出点N1で観測される信号SGの電圧のピーク値を保持する回路であってもよい。ADコンバータは、ピークホールド回路472によって保持される電圧のピーク値をデジタルデータに変換する回路であってもよい。
【0064】
2.3.2 動作
図4Aに示す信号処理部47では、高圧直流電源471によって放電管46のアノードに高電圧が印加されてよい。このとき、カソードに生ずる電圧の変化は、キャパシタC1を介して信号検出点N1にて観測されてよい。放電管46にレーザ光を照射しないときには、アノードとカソード間で安定したプラズマ放電が生じ、アノードとカソード間のインピーダンスはほぼ一定であると考えられるため、カソードに電圧の変化はほとんど生じないと考えてもよい。ここで、レーザ光による放電プラズマの共鳴が生じたり、さらにカソードへのレーザ光の直接的な照射が生じたりすると、アノードとカソード間のインピーダンスが変化してもよい。これに伴って、信号検出点N1で観測される信号SGの電圧が変化してもよい。このとき、信号検出点N1で観測される信号SGは、レーザ光による放電プラズマの共鳴に起因するオプトガルバニック信号の成分と、カソードへのレーザ光の直接的な照射に起因する光電効果信号の成分とを含んでよい。ここで、光電効果信号は、急峻な信号変化を伴う高周波成分を多く含む信号であってよい。図4Aに示す信号処理部47では、キャパシタC2を含むローパスフィルタが、光電効果信号の高周波成分を除去してよい。その結果、信号検出点N1で観測される信号SGから、オプトガルバニック信号の成分が識別しやすくなる。
【0065】
光電効果信号の成分が除去された信号SGの電圧は、ピークホールド回路472に逐次取り込まれてもよい。ピークホールド回路472は、ある時点における信号SGの最大電圧を保持してもよい。ピークホールド回路472で保持される電圧は、オプトガルバニック信号の成分を含むピーク電圧であってもよい。ADコンバータ473は、ピークホールド回路472で保持されうるオプトガルバニック信号の成分を含むピーク電圧をデジタルデータに変換してもよい。その後、ピークホールド回路472はリセットされてもよい。
【0066】
ADコンバータ473で得られるデジタルデータは、例えば、波長検出器40の外部の信号処理回路に送出されて、紫外線レーザ装置の波長検出値の波長較正のために利用されてもよい。
【0067】
図4Bは、図4Aに示す構成において仮にキャパシタC2がない場合に、信号検出点N1で観測され得る信号SGの電圧変化の一例を示す。図4Bは、放電管46に入射するレーザ光による放電管46内の放電プラズマの共鳴が生じた場合と、共鳴が生じていない場合とにおいて、それぞれ信号検出点N1で観測され得る信号SGの電圧変化の一例を示す。なお、図4Bの横軸における時刻0は実験による計測の基準時刻である。また、図中、共鳴が生じていない場合の電圧変化については、非共鳴として示す。
【0068】
図4Bにおいて、レーザ光による放電プラズマの共鳴が生じるか否かの如何に関わらず、時刻t1において急峻な信号変化を伴う光電効果信号によるピークが生じてもよい。また、レーザ光による放電プラズマの共鳴が生じるときには、時刻t1より後の時刻t2(図4Bの例では、約1.3μs後)において、オプトガルバニック信号によるピークが生じてもよい。
【0069】
一方、図4Cは、図4Cに示すキャパシタC2を含む構成の場合に、信号検出点N1で観測され得る信号SGの電圧変化の一例を示す。図4Cに示すように、信号処理部47により、信号SGで観測される信号から、光電効果信号の高周波成分の多くが除去されてよい。その結果、比較的低周波成分を多く含むオプトガルバニック信号が識別しやすくなってよい。図4Cの例では、レーザ光と放電管46内の放電プラズマとの間に共鳴が生じた場合、時刻t3においてオプトガルバニック信号によるピークが観測できる。
【0070】
なお、図4Aにおいて、キャパシタC2の値が適宜採択されることにより、オプトガルバニック信号の主要な周波数成分が除去されず、かつ光電効果信号の主要な周波数成分が除去されるように、ローパスフィルタのカットオフ周波数が設定されてもよい。
【0071】
図4Aに示す信号処理部47の回路の設定値の一例は、R=10kΩ、C1=0.04μF、C2=1.0〜1.5nFであってよい。また、高圧直流電源471の印加電圧は、放電管に流れる電流が20mAとなるように200〜500Vの範囲で調整されてよい。
【0072】
2.4 信号処理部の第2の例
波長検出器40の信号処理部47の第2の例である信号処理部47Aは、短時間に生ずる光電効果信号の検出を抑制するために信号検出点N1の信号検出タイミングを所定時間遅延させる遅延回路を含んでもよい。
【0073】
2.4.1 構成
図5Aに示すように、信号処理部47Aは、高圧直流電源471、ADコンバータ473、サンプルホールド回路474、比較器475、遅延素子476、抵抗R及びキャパシタC1を含んでよい。比較器475及び遅延素子476は、遅延回路の一例であってもよい。
【0074】
高圧直流電源471は、放電管46のアノードとGND(グランド)との間に設けられてもよい。カソードとGNDとの間には、電流制限用の抵抗Rが設けられてもよい。カソードと信号検出点N1との間には、キャパシタC1が設けられてもよい。信号検出点N1は、オプトガルバニック効果による信号のレベル変化を観測するために設けられている信号検出点であってもよい。
【0075】
比較器475は、信号検出点N1の信号SGの電圧を所定の参照電圧Vrefと比較し、その比較結果に応じた論理信号TRを出力してよい。例えば、比較器475の反転入力端子は信号検出点N1と接続され、比較器475の非反転入力端子は参照電圧Vrefの正極側に接続されてもよい。参照電圧Vrefの電圧値は、光電効果信号による立ち上がりのタイミングを検出するための適切な閾値であってよい。
【0076】
遅延素子476は、比較器475から入力される論理信号TRを所定時間(遅延時間)だけ遅延させて出力してよい。遅延素子476における遅延時間の一例は、光電効果信号を含む信号SGの電圧が参照電圧Vrefの電圧値を超えてから、オプトガルバニック信号によるピーク値が発生するまでの時間であってもよい。または、信号SGの電圧が、参照電圧Vrefの電圧値を超えてから、参照電圧Vrefよりも低くなるまでの時間であってもよい。この遅延時間は、共鳴が生じた信号SGを実験により前もって計測して決定しておくとよい。
【0077】
サンプルホールド回路474は、信号検出点N1で観測される信号SGの電圧の電圧値を逐次サンプリングしてよい。サンプルホールド回路474は、遅延素子476から出力される論理信号TRが所定の論理レベルである場合に活性化されてサンプリング動作を開始してよい。ADコンバータ473は、サンプルホールド回路474によってサンプリングされる電圧を逐次、デジタルデータに変換してよい。
【0078】
2.4.2 動作
図5Aに示す信号処理部47Aにおける信号SGは、信号処理部47と同様にオプトガルバニック信号の成分と、光電効果信号の成分とを含んでよい。
【0079】
信号検出点N1で観測される信号SGが参照電圧Vrefを超えると、比較器475から出力される論理信号TRのレベルは、例えばH(ハイ)レベルからL(ロー)レベルへ変化してもよい。遅延素子476は、Lレベルの論理信号TRを所定時間だけ遅延させて出力してもよい。サンプルホールド回路474は、論理信号TRがLレベルに変化したことに応答して、信号検出点N1の信号SGのサンプリングを開始してもよい。ここで、サンプルホールド回路474がサンプリングを開始するタイミングは、信号検出点N1で観測された信号SGが参照電圧Vrefの電圧値を超えたタイミングから、遅延素子476による遅延時間だけ遅れていてもよい。この構成により、サンプルホールド回路474は、光電効果信号によるピークをサンプリングすることを回避できる。
【0080】
なお、オプトガルバニック信号によるピークは、光電効果信号によるピークよりも遅れて生じてよい。よって、遅延素子476に設定される遅延時間は、サンプルホールド回路474が光電効果信号によるピークをサンプリングせず、かつオプトガルバニック信号によるピークをサンプリングできるような適切な時間であってよい。
【0081】
光電効果信号によるピークを含まない信号SGの電圧値は、サンプルホールド回路474によって逐次サンプリングされてもよい。ADコンバータ473は、サンプルホールド回路474によってサンプリングされる電圧を逐次、デジタルデータに変換してもよい。以上のようにして、信号検出点N1で観測される信号からオプトガルバニック信号を主要な成分とするデジタルデータが得られうる。
【0082】
ADコンバータ473で得られるデジタルデータは、例えば、波長検出器40の外部の信号処理回路に送出されて、紫外線レーザ装置の波長検出値の波長較正のために利用されてもよい。
【0083】
なお、波長検出器40の信号処理部47および信号処理部47Aの構成は、図4A及び図5Aに示した構成に限られない。信号検出点N1の信号SGを、ローパスフィルタあるいは遅延素子等を利用せずに、分解能の高いADコンバータに直接取り込み、得られたデジタル信号を信号処理することによって、オプトガルバニック信号の成分を抽出することも可能である。すなわち、信号処理部47は、ローパスフィルタあるいは遅延素子等を構成するアナログ素子を有さず、光電効果信号を除去するフィルタリング処理、及び/又は信号検出点N1の信号検出タイミングを所定時間遅延させる遅延処理を行うデジタル信号処理回路を備えていてもよい。
【0084】
3.波長較正システムの説明
次に、図6〜11を参照して、上述した波長検出器40を利用した、波長較正システムについて説明する。
【0085】
図6は、本実施形態の波長較正システムのシステム構成の一例を示す図である。図6において、矢印付きの実線はレーザ光の進路を模式的かつ例示的に示し、矢印付き点線は電気信号の送受信の一例を示している。図7は、スペクトル検出器の一構成例としてエタロンを用いたエタロン分光器の例を示す図である。図8は、本実施形態の波長較正システムの動作におけるメインルーチンの一例を示すフローチャートである。図9は、波長較正処理のサブルーチンの一例を示すフローチャートである。図10は、較正値算出処理のサブルーチンの一例を示すフローチャートである。図11は、較正値算出処理におけるサンプル処理を説明するための図である。
【0086】
3.1 システム構成
以下、本実施形態の波長較正システムのシステム構成について、図6を参照して説明する。
【0087】
図6に示すように、本実施形態の波長較正システムは、レーザチャンバ10、出力結合ミラー13、狭帯域化モジュール20、ビームスプリッタ23,24、高反射ミラー25、スペクトル検出器30、波長検出器40、波長制御部50、レーザコントローラ60、波長調節部70、シャッタ駆動部82を含んでもよい。なお、図6に示すシステム構成において、本実施形態の紫外線レーザ装置1は、少なくともレーザチャンバ10、出力結合ミラー13及び狭帯域化モジュール20を含んでよい。
【0088】
図6に示す波長較正システムにおいて、波長検出器40は第1の波長検出器の一例であってよく、スペクトル検出器30は第2の波長検出器の一例であってもよい。
【0089】
レーザチャンバ10には、レーザ媒質が封入されてよい。本実施形態の紫外線レーザ装置1がArFエキシマレーザ装置の場合には、レーザ媒質は、例えばArガス、F2ガス、Neガスを含む混合ガスであってもよい。本実施形態の紫外線レーザ装置1がKrFエキシマレーザ装置の場合には、レーザ媒質は、例えばKrガス、F2ガス、Neガスを含む混合ガスであってもよい。本実施形態の紫外線レーザ装置1は、エキシマレーザ装置に限られず、他のレーザ装置、例えば固体レーザ装置(例えば、チタンサファイアと非線形光学結晶を組み合わせた固体レーザ装置など)であってもよい。
【0090】
以下では、一例として、紫外線レーザ装置1がレーザ光の波長は193nmであるArFエキシマレーザ装置の場合について説明する。
【0091】
レーザチャンバ10の内部には、少なくとも一対の図示しない電極12が設けられてよい。レーザコントローラ60からの信号に基づき、電源11がこれらの電極間にパルス電圧を供給して放電を生じさせ、レーザ媒質である混合ガスを励起状態とする。レーザチャンバ10には、内部の混合ガスを密閉しつつレーザ光を透過させるための、ウィンドウ101と、102とが備えられてよい。ウィンドウ101,102の各々は、レーザチャンバ10から出力されるレーザ光を直線偏光とするためのブリュースター窓であってもよい。
【0092】
狭帯域化モジュール20は、露光装置内でウエハ上に縮小投影されるレーザ光の色収差を低下させるべく、露光装置に供給するレーザ光について所望のスペクトル線幅を実現してよい。また、狭帯域化モジュール20は、紫外線レーザ装置1の較正作業中においては、較正のため、所定の波長範囲における特定波長のレーザ光を生成するよう構成されてよい。
【0093】
図6に例示するように、狭帯域化モジュール20は、例えば、プリズムを用いたビームエクスパンダ201とグレーティング202との組み合わせを含んでよい。狭帯域化モジュール20は、図6に示した例に限られず、グレーティングと高反射ミラーとの組み合わせ、プリズムと反射ミラーとの組み合わせ、または、エタロンと高反射ミラーとの組み合わせのいずれかを含んでもよい。図6に示すように、狭帯域化モジュール20がグレーティングを含む場合、グレーティングの配置は、入射角度と回折角度が同一であるリトロー配置であってもよい。
【0094】
図6に例示するように、狭帯域化モジュール20がビームエクスパンダ201とグレーティング202を含む場合、グレーティング202と出力結合ミラー13との間でレーザ共振器が構成されてもよい。出力結合ミラー13は部分反射ミラーであってよく、レーザ共振器内で共振するレーザ光の一部を、ビームスプリッタ23へ透過させてもよい。
【0095】
ビームスプリッタ23は、出力結合ミラー13から出力されるレーザ光の光路上に配置されてよい。ビームスプリッタ24は、ビームスプリッタ23によって反射されるレーザ光の光路上に配置されてもよい。高反射ミラー25は、ビームスプリッタ24によって反射されるレーザ光の光路上に配置されてもよい。
【0096】
スペクトル検出器30は、ビームスプリッタ23によって反射されるレーザ光の少なくとも一部を入射可能な位置に配置されてもよい。スペクトル検出器30は、紫外線レーザ装置1から出力されるレーザ光の波長を逐次検出し、波長検出値を波長制御部50に出力してもよい。スペクトル検出器30で検出される波長は、波長検出値の一例であってもよい。
【0097】
図7に示す例では、スペクトル検出器30は、入射する光路上において順に、拡散素子31、エタロン32、集光レンズ33及びイメージセンサ34を含んでよい。エタロン32は、部分反射膜が設けられた2つの光学基板が所定のエアギャップを介して対向するよう配置された構造を備えた光学素子であってよい。
【0098】
イメージセンサ34は、例えばCCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像素子であってよい。また、イメージセンサ34の代わりに、フォトダイオードアレイが用いられてもよい。スペクトル検出器30はイメージセンサ34の出力を基に、レーザ光の中心波長を波長検出値として算出する図示しない信号処理部を含んでもよい。
【0099】
また、スペクトル検出器30は、イメージセンサ34の出力を波長制御部50へ逐次送信してもよい。この場合、波長制御部50は、スペクトル検出器30からのイメージセンサ34の出力を基に、スペクトル検出器30に入射された光の波長を逐次算出してもよい。
【0100】
エタロンを用いた入射光の波長の検出方法は、例えば特開2003−214958号公報の段落3〜6に記載されており、ここに参照によって組み込まれる。よって、以下では、エタロンを用いた入射光の波長の検出方法は詳述しないが、概略以下のとおりであってよい。
【0101】
拡散素子31によって拡散させられた入射光がエタロン32に入射すると、ファブリ・ペロー干渉計の原理に基づき、集光レンズ33が、その焦点距離fの位置に配置されたイメージセンサ34の受光面上に干渉縞であるフリンジ波形を形成しうる。このとき、イメージセンサ34に得られる像の半径であるフリンジ半径と焦点距離fとに基づいて、エタロン32の部分反射面の法線と入射光の光軸とのなす角度であるフリンジ角が算出されてもよい。このフリンジ角と入射光の波長との間には相関関係が存在してよい。よって、フリンジ波形に基づいて、レーザ光のスペクトル線幅とその中心波長とが検出されてもよい。
【0102】
なお、スペクトル検出器30は、上述したエタロン分光器に限られず、波長分散素子としてグレーティングを用いた分光器であってもよい。
【0103】
図6を再度参照すると、波長検出器40は、図2を参照して説明したものと同じ波長検出器であってよい。
【0104】
波長制御部50は、マイクロプロセッサを主要な構成要素として含む信号処理回路を含んでよい。波長制御部50の機能は、以下の機能を含んでよい。
【0105】
(a)露光装置へ出力するレーザ光の波長の目標値をレーザコントローラ60から受信する機能
(b)露光装置へ出力するレーザ光の波長の目標値に応じて、波長調節部70を制御する機能
(c)波長較正処理のために波長調節部70を作動させる機能
(d)スペクトル検出器30の出力値と波長検出器40の出力値とに基づいて、スペクトル検出器30における波長検出値に対する較正値を算出する機能
【0106】
なお、(d)の機能に関連して、スペクトル検出器30の出力は、スペクトル検出器30で得られた波長検出値を示すデータであってよい。波長検出器40の出力は、例えば図4または図5におけるADコンバータ473の出力として得られるデジタルデータであってよい。スペクトル検出器30の出力、および波長検出器40の出力を基に較正値を算出する較正値算出処理については後述する。
【0107】
レーザコントローラ60は、マイクロプロセッサを主要な構成要素として含む信号処理回路を含んでよい。レーザコントローラ60は、露光装置のコントローラと通信可能に構成されており、少なくとも以下の機能を有してよい。
【0108】
(e)露光装置のコントローラから、露光装置へ出力すべきレーザ光の波長の目標値を受信する機能
(f)露光装置へ出力すべきレーザ光の波長の目標値を波長制御部50へ通知する機能
(g)露光装置のコントローラから、波長の較正実行を指示する較正指示信号を受信する機能
(h)電源11に、レーザチャンバ10に対して所要のパルス電圧を供給させて、レーザチャンバ10内の電極12間でパルス放電させ、所望の発振条件でレーザ発振を生じさせる機能
(i)波長較正処理中において紫外線レーザ装置1からレーザ光が露光装置へ出力しないように、シャッタ駆動部82を制御する機能
(j)紫外線レーザ装置1全体の起動および停止に関連する制御を実行する機能
【0109】
波長調節部70は、出力するレーザ光の波長を変化させる目的で、狭帯域化モジュール20に含まれる光学素子を回転可能に載置する回転ステージ72と、回転ステージ72を回転させるための図示しないアクチュエータとを含んでよい。例えば、回転ステージ72には、ビームエクスパンダ201のいずれかのプリズムが載置されていてもよい。回転ステージ72の回転によって、グレーティング202に入射するレーザ光の角度が制御されてもよい。ステージ72を回転させるためのアクチュエータは例えば、回転ステージ72を所要の回転分解能で回転するステッピングモータであってもよい。波長調節部70は例えば、回転ステージ72の回転量を示す駆動信号を波長制御部50から受信し、その駆動信号が示す回転量だけ回転ステージ72を回転するようアクチュエータを駆動してもよい。
【0110】
シャッタ駆動部82は、レーザコントローラ60からの制御信号に基づいてシャッタ82aを作動させる図示しないアクチュエータを含んでもよい。シャッタ82aは、ビームスプリッタ23を透過したレーザ光を露光装置へ出力するための開位置、あるいはビームスプリッタ23を透過したレーザ光の露光装置への出力を防止するための閉位置のいずれかの位置となるように駆動させられてもよい。シャッタ82aは、入射する光を吸収する光吸収体で構成されてもよい。
【0111】
3.2 システム動作
次に、本実施形態の波長較正システムのシステム動作について、図6及び図8〜11を参照して説明する。
【0112】
図6に示した構成において、露光装置へレーザ光を出力する場合には、レーザコントローラ60は、露光装置のコントローラから通知されるレーザ光の波長の目標値を波長制御部50へ通知してもよい。波長制御部50は、スペクトル検出器30の波長検出値と目標値との差分がゼロに近づくように、波長調節部70の回転ステージ72の回転量を制御してもよい。ここで仮にスペクトル検出器30による波長検出値の精度が初期状態から劣化しないならば、上記制御は適切に行われうる。しかし実際には、スペクトル検出器30による検出性能が時間の経過とともに劣化することがあるため、スペクトル検出器30により得られる波長検出値に対する較正が行われてもよい。スペクトル検出器30における検出性能の劣化の原因は例えば、エタロン32のエアギャップに存在する気体の屈折率が、気体の温度あるいは圧力によって変化しうること等を含みうる。スペクトル検出器30における検出性能の劣化の原因の他の例については、上述した特開2003−214958号公報の段落7〜21等を参照されたい。
【0113】
図8に示す波長較正システムの動作におけるメインルーチンは、主としてレーザコントローラ60によって実行されてよい。
【0114】
レーザコントローラ60は先ず、波長較正を行うトリガが生じたか否かを判断してもよい(ステップS10)。波長較正を行うトリガが生ずるタイミングは、例えば、レーザコントローラ60が紫外線レーザ装置1を起動するタイミング、または、前回波長較正を行ってから所定時間が経過したタイミングであってもよい。レーザコントローラ60は、波長較正を行うトリガを外部から得てもよい。例えば、波長較正を行うトリガが生ずるタイミングは、露光装置のコントローラから波長の較正を指示する較正指示信号をレーザコントローラ60が受信するタイミングであってもよい。上記トリガが生ずると、波長較正処理が実行されてもよい(ステップS20)。波長較正処理の一例は、図9に示すものであってよい。レーザコントローラ60は、波長較正の実行が終了すると、紫外線レーザ装置1を停止させるか否かを判断してもよい(ステップS30)。露光装置にレーザ光を出力している状態では、図8に示すメインルーチンにおいて、ステップS10でNOと判断し、ステップS30でNOと判断する処理が繰り返し行われてもよい。
【0115】
図9に示す波長較正処理の動作のサブルーチンは、主としてレーザコントローラ60あるいは波長制御部50によって実行されてよい。
【0116】
波長較正を行うトリガが生ずると、レーザコントローラ60は先ず、波長制御部50に対して、波長較正時のレーザ発振条件の設定を行ってもよい(ステップS200)。波長較正時のレーザ発振条件は例えば、充電電圧(kV)、繰り返し周波数(Hz)、波長変更速度(pm/s)、波長スキャンの波長範囲(nm)、後述する図10のMに相当する1回の波長スキャンの検出回数、後述する図10のNに相当する波長スキャンの回数を含んでもよい。なお、波長スキャンとは、波長較正時に紫外線レーザ装置1から出力されるレーザ光の波長を段階的に変化させる動作であってよい。繰り返し周波数は、レーザ光を発生させる繰り返し周波数であってもよい。例えば、繰り返し周波数は1500〜6000Hzの範囲の値であってもよく、レーザ発振時間は1秒程度であってもよい。
【0117】
波長制御部50は次に、レーザコントローラ60から波長較正を行うことが通知されると、波長検出器40に対して波長較正の準備のための処理を行ってもよい。すなわち、波長制御部50は、図4または図5に示される波長検出器40の高圧直流電源471を動作させて放電管46のアノードに高電圧を印加してもよい。さらに、波長制御部50は、波長検出器40の高反射ミラー411が非遮断位置に配置されるように反射ミラー駆動部41を制御してもよい(ステップS210)。これにより、レーザ光が波長検出器40の開口40aから拡散素子42に入射するようになってよい。
【0118】
次に、レーザコントローラ60は、シャッタ82aが閉位置に移動するようにシャッタ駆動部82を制御してよい(ステップS220)。これにより、波長較正処理中にレーザ光が露光装置へ出力されることが防止されうる。その後、レーザコントローラ60は、ステップS200で設定されたレーザ発振条件で発振が開始するように紫外線レーザ装置1および波長制御部50に指示してもよい(ステップS230)。その結果、波長制御部50は、波長調節部70を駆動して、ステップS200で設定した条件で段階的に波長スキャンを行わせてもよい。波長スキャンが行われている間、較正値算出処理が行われて較正値が算出されてよい(ステップS240)。較正値算出処理の詳細については、図10を参照して後述する。
【0119】
ステップS240が終了すると、実質的に波長較正が完了したことになるため、以下の処理が行われてよい。レーザコントローラ60は、波長較正のためのレーザ発振が停止するように紫外線レーザ装置1および波長制御部50を制御してもよい(ステップS250)。波長制御部50は、レーザコントローラ60から波長較正が完了したことが通知されると、波長検出器40に対して波長較正の終了のための処理を行ってもよい。すなわち、波長制御部50は、波長検出器40の高圧直流電源471(図4または図5を参照)の動作を停止させて放電管46のアノードに対する高電圧の印加を停止してもよい。さらに、波長制御部50は、波長検出器40の高反射ミラー411が遮断位置となるように反射ミラー駆動部41を制御してもよい(ステップS260)。これにより、レーザ光が波長検出器40の開口40aから拡散素子42に入射しないようにしてもよい。最後に、レーザコントローラ60は、シャッタ82aが開位置に移動するようにシャッタ駆動部82を制御してよい(ステップS270)。これにより、レーザ光が露光装置へ出力可能となってよい。
【0120】
なお、図9のフローチャートにおいて、露光装置内へのレーザ光の入射を波長較正時に防止する手段が露光装置側に設けられている場合には、ステップS220及びS270の処理は行わなくてもよい。
【0121】
図10に示す較正値算出処理の動作のサブルーチンは、主として波長制御部50によって実行されてよい。この較正値算出処理では、波長スキャンを行うときに紫外線レーザ装置1をパルス発振させ、1パルスごとにオプトガルバニック信号を取得してもよい。このとき、紫外線レーザ装置1は、各パルスごとに出力するレーザ光の波長を変更してよい。図10のフローチャートにおいて、Mは、波長スキャンの波長範囲に割り当てられるレーザ光のパルス数であってもよい。よってMは、1回の波長スキャンにおける検出回数であってよい。図10のフローチャートにおいて、Nは、波長スキャンの回数であってもよい。つまり、波長を段階的に繰り返し変化させたM×N回のレーザ光のパルスを紫外線レーザ装置1が出力し、これにより波長較正のための波長検出値を取得可能としてよい。図10のフローチャートにおいては、変数mは0からMまでインクリメントされ、変数nは0からNまでインクリメントされてもよい。
【0122】
図10のフローチャートにおいて、ステップS300において、変数m,nを初期化する処理が行われてよい。つまりステップS300は、m=0,n=0とする処理であってよい。
【0123】
ステップS310〜S340は、1回のレーザ光のパルス生成に対して、波長制御部50がスペクトル検出器30の出力及び波長検出器40の出力を取得する処理であってもよい。すなわち、波長制御部50は、レーザ光のパルスが1回出力されるように波長調節部70を制御し(ステップS310)、変数mをインクリメントしてもよい(ステップS320)。波長制御部50は、波長検出器40の出力、つまり波長検出器40で得られたオプトガルバニック信号Imを取得してもよい(ステップS330)。波長制御部50はさらに、スペクトル検出器30の出力、つまりスペクトル検出器30で得られた波長検出値λsmを取得してもよい(ステップS340)。
【0124】
ステップS310〜S340は、変数mがインクリメントされてMに達するまで繰返し行われる(ステップS350)。すなわち、波長制御部50は、波長スキャンの波長範囲において、出力するレーザ光の波長を段階的に変えながら、m=1〜Mの各々に対して、オプトガルバニック信号Imと波長検出値λsmとを取得してもよい。これにより、例えばM=17である場合には、図11に例示するように、オプトガルバニック信号Imを縦軸、波長検出値λsmを横軸にとると、1回の波長スキャンにより17個のプロットが得られてもよい。
【0125】
ステップS370〜S380は、1回の波長スキャンにより得られるM個のプロットに基づいて、オプトガルバニック信号の電圧が最大もしくはピークとなるときの波長を特定する処理であってよい。すなわち、波長制御部50は、オプトガルバニック信号Imと波長検出値λsmとの組のM個のプロットに基づいて、最小二乗法による近似曲線を算出してよい(ステップS370)。図11には、M=17である場合の近似曲線の一例が示されている。波長制御部50は、算出された近似曲線のピークでの波長λsnを算出してよい(ステップS380)。以上の処理によって、1回の波長スキャンにおいて、オプトガルバニック信号の電圧がピークとなるときの波長λsnが得られてもよい。
【0126】
1回の波長スキャンによって、オプトガルバニック信号の電圧がピークとなるときの波長λsnが得られうるため、この波長λsnに基づいて波長較正を行うことが可能である。しかしながら、波長較正の精度を高める観点から、複数の波長スキャンを行って、各々の波長スキャンで得られた波長λsnを平均化する処理を行ってもよい。図10のフローチャートにおいて、複数回(図10では、N回)の波長スキャンを行うために、ステップS310〜S380の処理を繰り返すための処理を行ってもよい(ステップS360,S390,S400)。Nは2以上の任意の値でよく、例えば30であってもよい。
【0127】
ステップS410,S420は、N回の波長スキャンで得られた波長λsnを平均化して、スペクトル検出器30の波長検出値に対する較正値を算出する処理であってよい。
【0128】
すなわち、波長制御部50は、N回の波長スキャンで得られた波長λsnの平均値λsavを算出してもよい(ステップS410)。つまり、λs1,λs2,…,λsNのN個の波長を平均化した平均値を平均値λsavとしてよい。この平均値λsavは、N回の波長スキャンによって得られた、オプトガルバニック信号のレベルが最大となるときの波長を反映してもよい。また、オプトガルバニック信号のレベルが最大となるときのレーザ光の絶対波長λabsは、放電管46のカソードを構成する金属材料に応じた既知の値であってよい。例えば、前述したように、放電管46のカソードを構成する金属材料が白金であれば、λabs=193.4369nmであってよい。よって、波長制御部50は、λabsとλsavの差分であるΔλabsを、スペクトル検出器30の波長検出値に対する較正値として算出してもよい(ステップS420)。
【0129】
なお、図10に示したフローチャートにおいて、波長スキャンによって波長λsnが算出されているが、波長スキャンを行うことが好ましい理由は以下のとおりであってもよい。仮に、特定の波長のレーザ光のパルスを連続してN回出力させてオプトガルバニック信号のデータと波長検出値のデータとを取得し、その後に波長を変更して同様にデータを取得するという作業をM回繰り返して行う場合には、以下の虞がある。発明者の研究結果によれば、波長検出器40で使用されうるレーザガルバトロン(登録商標)タイプの放電管においては、入射させるレーザ光の波長を一定にし続けると、信号強度が徐々に低下する場合があった。そのため、紫外線レーザ装置1から出力されるレーザ光の波長が一定な状態でデータの取得を続けると、精度の良いデータが得られない可能性がある。そこで、上記放電管を使用する波長検出器40によりデータを取得するときには、波長を比較的短期間で順次変化させる波長スキャンが実行されてもよい。これにより、較正値の算出精度を上げることができる。なお、複数回の波長スキャンを行うときには、波長較正時間を短縮させる目的で、波長スキャンにおける波長変化の方向を、最小の波長値→最大の波長値→最小の波長値→…、と変化させてよい。
【0130】
以上説明した波長較正処理によって、スペクトル検出器30の波長検出値に対する較正値が算出されると、波長制御部50は、スペクトル検出器30の波長検出値に対して、算出した較正値を加算する処理を行ってもよい。つまり、スペクトル検出器30の波長検出値がλs0である場合、波長制御部50は、較正後の波長検出値λsを、λs=λs0+Δλabsの演算により算出してもよい。これによって、波長制御部50は、紫外線レーザ装置1から露光装置へ出力されるレーザ光の波長を精度良く認識することができる。従って、波長制御部50は、露光装置により指定される波長の目標値と出力レーザ光の波長との差分をエラーとして、エラーをゼロに近づけるように、紫外線レーザ装置を制御できる。
【0131】
なお、図6にはシングルステージの紫外線レーザ装置を示したが、本願開示の技術を適用するレーザ装置の構成は当該構成に限られない。発振段レーザと、この発振段レーザから出力されるレーザ光を増幅する増幅段とからなる2ステージレーザ装置に、本願開示の技術を適用してもよい。2ステージレーザ装置は、例えば、MOPA(Master Oscillator Power Amplifier)あるいはMOPO(Master Oscillator Power Oscillator)方式のレーザ装置であってもよい。
【0132】
前述したように、波長較正システムに含まれる波長検出器40の一実施形態では、波長較正のために入射するレーザ光が、放電管のカソードに直接照射することなくカソードの貫通孔を通過するように、光学系が構成されてもよい。また、波長較正システムに含まれる波長検出器40の一実施形態では、オプトガルバニック信号と光電効果信号とが重畳した信号が観測される場合であっても、観測された信号からオプトガルバニック信号を識別するための信号処理部が設けられてもよい。かかる光学系及び/又は信号処理部によって、波長検出器40におけるオプトガルバニック信号のレベルを精度良く取得することにより、上記波長較正システムにおいて精度の高い較正値が算出されてよい。
【0133】
上記の説明は、制限ではなく単なる例示を意図したものである。従って、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本開示の実施形態に変更を加えることができることは、当業者には明らかであろう。
【0134】
本明細書及び添付の特許請求の範囲全体で使用される用語は、「限定的でない」用語と解釈されるべきである。例えば、「含む」又は「含まれる」という用語は、「含まれるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。また、本明細書、及び添付の特許請求の範囲に記載される不定冠詞「1つの」は、「少なくとも1つ」又は「1又はそれ以上」を意味すると解釈されるべきである。
【0135】
本願は、日本特許庁に2011年7月6日に出願された基礎出願2011‐150373号の優先権を主張するものであり、その全内容を参照によりここに援用する。
【符号の説明】
【0136】
10…レーザチャンバ
101,102…ウィンドウ
13…出力結合ミラー
20…狭帯域化モジュール
201…ビームエクスパンダ
202…グレーティング
23,24…ビームスプリッタ
25…高反射ミラー
30…スペクトル検出器
31…拡散素子
32…エタロン
33…集光レンズ
34…イメージセンサ
40…波長検出器
41…反射ミラー駆動部
411…高反射ミラー
42…拡散素子
43…集光光学系
44…部材
44a…アパーチャ
45…転写光学系
46…放電管
461…アノード
461a…貫通孔
462…カソード
462a…貫通孔
463…光入射部
464…光出力部
465,456…リードピン
47,47A…信号処理部
48,49…ダンパ
50…波長制御部
60…レーザコントローラ
70…波長調節部
702…回転ステージ
82…シャッタ駆動部
82a…シャッタ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の波長を検出する波長検出器であって、
前記レーザ光を拡散させる拡散素子と、
前記拡散素子の下流に設けられる集光光学系と、
前記集光光学系の下流に設けられ、アパーチャを備える部材と、
前記部材の下流に設けられ、貫通孔がそれぞれ形成された筒状のアノードおよびカソードを含み、前記アノードに直流電圧を印加した状態で所定の第1の波長を含むレーザ光が前記カソードの前記貫通孔を通過するときに、オプトガルバニック効果によって前記アノードと前記カソードの間の電気的特性が変化するように構成された放電管と、
前記アノードに直流電圧を印加するよう構成された高圧直流電源と、
を含み、
前記アパーチャを通過するレーザ光が前記放電管のカソードに直接照射することなくカソードの貫通孔を通過するように前記放電管が配置されている、
波長検出器。
【請求項2】
前記部材の下流に設けられ、前記アパーチャの像を転写する転写光学系を更に含み、前記転写光学系により転写された前記アパーチャの像が前記カソードの前記貫通孔内で結像するように、前記放電管が配置されている、
請求項1に記載された波長検出器。
【請求項3】
前記拡散素子は、マイクロフライアイレンズ及びDOE(Diffractive Optics Element)の少なくとも1つである、請求項1に記載された波長検出器。
【請求項4】
紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の波長を検出する波長検出器であって、
貫通孔がそれぞれ形成された筒状のアノードおよびカソードを含み、前記アノードに直流電圧を印加した状態で所定の第1の波長を含むレーザ光が前記カソードの前記貫通孔を通過するときに、オプトガルバニック効果によって前記アノードと前記カソードの間の電気的特性が変化するように構成された放電管と、
前記アノードに直流電圧を印加するよう構成された高圧直流電源と、
前記カソードの信号レベルの変化を検出するための信号検出点を含む信号処理部と、
を含み、
前記信号処理部は、前記カソードに対するレーザ光の照射によって生ずる光電効果信号のレベルを抑制するために前記信号検出点に接続されているローパスフィルタ、及び前記信号検出点における前記光電効果信号の検出を抑制するために信号検出点の信号検出タイミングを所定時間遅延させる遅延回路、の少なくともいずれかを含む、
波長検出器。
【請求項5】
紫外線レーザ装置と、
前記紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の波長を所定の波長範囲で段階的に変化させる波長制御部と、
請求項1に記載された波長検出器である第1の波長検出器と、
前記紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の波長を逐次検出する第2の波長検出器と、
を備え、
前記波長制御部は、前記カソードの材料に応じた波長である前記所定の第1の波長と、前記放電管の前記電気的特性が変化するときの前記第2の波長検出器が検出した波長である波長検出値と、の差分に基づいて、前記第2の波長検出器の波長検出値に対する較正値を算出する、
波長較正システム。
【請求項6】
紫外線レーザ装置と、
前記紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の波長を所定の波長範囲で段階的に変化させる波長制御部と、
請求項2に記載された波長検出器である第1の波長検出器と、
前記紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の波長を逐次検出する第2の波長検出器と、
を備え、
前記波長制御部は、前記カソードの材料に応じた波長である前記所定の第1の波長と、前記放電管の前記電気的特性が変化するときの前記第2の波長検出器が検出した波長である波長検出値と、の差分に基づいて、前記第2の波長検出器の波長検出値に対する較正値を算出する、
波長較正システム。
【請求項7】
紫外線レーザ装置と、
前記紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の波長を所定の波長範囲で段階的に変化させる波長制御部と、
請求項3に記載された波長検出器である第1の波長検出器と、
前記紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の波長を逐次検出する第2の波長検出器と、
を備え、
前記波長制御部は、前記カソードの材料に応じた波長である前記所定の第1の波長と、前記放電管の前記電気的特性が変化するときの前記第2の波長検出器が検出した波長である波長検出値と、の差分に基づいて、前記第2の波長検出器の波長検出値に対する較正値を算出する、
波長較正システム。
【請求項8】
紫外線レーザ装置と、
前記紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の波長を所定の波長範囲で段階的に変化させる波長制御部と、
請求項4に記載された波長検出器である第1の波長検出器と、
前記紫外線レーザ装置から出力されるレーザ光の波長を逐次検出する第2の波長検出器と、
を備え、
前記波長制御部は、前記カソードの材料に応じた波長である前記所定の第1の波長と、前記放電管の前記電気的特性が変化するときの前記第2の波長検出器が検出した波長である波長検出値と、の差分に基づいて、前記第2の波長検出器の波長検出値に対する較正値を算出する、
波長較正システム。
【請求項9】
紫外線のレーザ光の波長を検出する波長検出器であって、
前記レーザ光を拡散させる拡散素子と、
前記拡散素子からの前記レーザ光を受け取る集光光学系と、
前記集光光学系により集光された前記レーザ光が通過するアパーチャを有する部材と、
筒状のアノードおよび筒状のカソードと前記アノード及び前記カソードを密封する容器とを含む放電管と、
前記アノードに直流電圧を印加するよう構成された高圧直流電源と、
前記アパーチャを通過した前記レーザ光を前記カソードに直接照射することなく前記カソードの貫通孔を通過させる光学系と、
を含む波長検出器。
【請求項10】
前記アノードに直流電圧を印加した状態で前記アノードと前記カソードとの間の電気特性を測定する回路を更に含む請求項9記載の波長検出器。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−33932(P2013−33932A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−113836(P2012−113836)
【出願日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【出願人】(300073919)ギガフォトン株式会社 (227)
【Fターム(参考)】