説明

注入管装置、および地盤注入工法

【課題】注入管装置および地盤注入工法であって注入の工程を飛躍的に単純化し、工費を大幅に低減する。
【解決手段】外管パッカが不透水性膨縮パッカであって、該外管パッカ内の注入外管の管壁に設けられた逆止弁に覆われた外管パッカ内吐出口から注入内管を介して外管パッカ内に填充された流体によって膨張し、該内管は複数の内管パッカを有し、該内管パッカ内の管壁には内管パッカ内吐出口を有し、該複数の内管パッカ間の内管管壁には内管吐出口を有し、該複数の内管パッカは該外管内吐出口を挟むように外管内に遊挿して挿入され、該注入内管内に流体を送液することによって、内管パッカ間の空間から該流体が外管パッカ内に填充して外管パッカを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は地盤中の削孔内にパッカを少なくとも1つ、特に複数個の外管パッカを間隔をあけて備えた注入外管を挿入し、パッカ間の削孔壁と注入管との間の空間を通して、外管内に挿入した複数の内管にパッカを有する内管から注入材を地盤中に注入する注入管装置、および地盤注入工法に係り、特に内管パッカの形成と外管パッカの形成を自動的に行い、あるいは外管パッカの形成と外管注入口からの注入液の注入を自動的に行い、あるいは内管注入液の送液によって内管パッカの形成と外管パッカの形成と外管注入口からの注入液の注入を自動的に行うことによって注入の工程を飛躍的に単純化し、あるいは注入管の孔径を小さくすることにより削孔径を小さくすることを可能にし、工費を大幅に低減することを可能にする注入管装置および地盤注入工法に関する。
【背景技術】
【0002】
注入対象となる地盤が沖積層の場合には、通常、透水係数は垂直方向よりも水平方向の方が大きい。このような地盤に注入材を注入して該地盤を固結するに当たり、従来、注入管管壁に袋パッカを形成する袋体を間隔をあけて複数個取りつけ、かつ袋体の内部ならびに上下に隣接する袋体間に開口する吐出口を備えた注入管装置を用い、この注入管装置を地盤中に設けられた削孔中に挿入し、次いで、前記袋体の内部に開口する吐出口から袋体中に固結材を填充し、膨らませて袋パッカを形成するとともに、上下に隣接する袋体間に開口する吐出口から注入材を注入して前記地盤を固結する技術が採用されていた。
【0003】
また、二重注入管を用いて内管注入管への送液と内管パッカの形成を同時に行って外管より注入液を注入する工法は本出願人によってすでに公知である。上述の公知技術では、注入管と、削孔壁との間に形成される隙間を上下に隣接する袋パッカで遮断してこれら袋パッカ間に独立した空間を形成し、この空間を通して注入材を地盤中に注入するものである。
【0004】
本出願人による先願特許第3509744号を例にあげれば、まず外管2に内管6を挿入して外管パッカ3内に固結材7を充填して、外管パッカ体20を形成してのち、上下の外管パッカ体で形成された外管外空間22に外管注入口16を通して地盤23に注入液
7を注入する。また内管パッカ8は合成ゴムのような弾性体、あるいは内管内に設けられたパッカ流体の管路を通して膨縮性のゴムの袋体の内管パッカに圧入されて内管パッカ8を形成する。
【0005】
しかし、上記の注入では外管のパッカ体の形成と内管からの地盤中への注入液の注入の工程が別々に行われる。また、内管内にパッカ流体の流路を設けて内管パッカを形成することは内管径が大きくなり、したがって、外管径が大きくなり削孔径が大きくなる。また、これらはいずれも工期も長くなり工費が高くなる。
【0006】
また、本出願による先願特許第4034305号を例に上げれば、外管パッカの形成をあらかじめ行った上で、内管におけるパッカの形成と注入を同時に行うことを特徴とする。このため工程が多くなる。したがって、さらなる簡便性と工期の短縮が望まれていた。
【特許文献1】特許第3509744号
【特許文献2】特許第4034305号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は内管パッカの形成と外管パッカの形成を自動的に行い、あるいは外管パッカの形成と外管注入口からの注入液の注入を自動的に行い、あるいは内管注入液の送液によって内管パッカの形成と外管パッカの形成と外管注入口からの注入液の注入を自動的に行うことによって注入の工程を飛躍的に単純化し、あるいは注入管の孔径を小さくすることにより削孔径を小さくして工費を大幅に低減することを可能にし、上述の公知技術に存する欠点を改良した注入管装置、外管パッカの形成方法および地盤注入工法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するため、本発明の注入管装置によれば、地盤中の削孔中に設置された外管パッカを有する注入外管から注入内管を通して地盤中に注入液を外管注入口から注入する注入管装置において、該外管パッカは不透水性膨縮パッカであって、該外管パッカ内の注入外管の管壁に設けられた逆止弁に覆われた外管パッカ内吐出口から注入内管を介して外管パッカ内に填充された流体によって膨張し、該内管は複数の内管パッカを有し、該内管パッカ内の管壁には内管パッカ内吐出口を有し、該複数の内管パッカ間の内管管壁には内管吐出口を有し、該複数の内管パッカは該外管内吐出口を挟むように外管内に遊挿して挿入され、該注入内管内に流体を送液することによって、内管パッカ間の空間から該流体が外管パッカ内に填充して外管パッカ体を形成することを特徴とする。
【0009】
さらに、上述の課題を解決するため、本発明の地盤注入工法によれば、地盤の削孔中に設置された注入外管に注入内管を通して地盤中に注入液を外管注入口から注入する地盤注入工法において、前記注入外管が、外管管壁に外管パッカ体を形成する伸縮性外管パッカを1個、または間隔をあけて複数個取りつけ、かつ、該外管パッカより下方にあるいは上下に隣接する外管パッカに外管注入口を備え、該外管パッカ内に開口する逆止弁で覆われた外管パッカ内吐出口を設けてなり、前記外管に挿入する注入内管は複数の内管パッカを形成する伸縮性内管袋体を内管パッカ間吐出口をはさんで複数設け、該内管に流体を送液することにより内管袋体内吐出口から吐出された流体の流体圧により内管袋体が膨張して内管パッカが形成され、それによって形成された内管パッカ間空間を経て外管パッカ内吐出口より外管パッカ内に流体が充填されて外管パッカ体が形成されることを特徴とする。
【0010】
さらに、上述の課題を解決するため、本発明の地盤注入工法によれば、地盤中の削孔中に設置された不透水性の膨縮性外管パッカを有する注入外管から膨縮性内管パッカを複数有する注入内管を通して地盤中に注入液を注入する地盤注入工法において、外管管壁に1つまたは複数の外管注入口を有し、外管内に注入内管を隣接する複数の外管パッカ内吐出口をはさむように複数の内管パッカを位置せしめ、該外管パッカ内には逆止弁を有する外管パッカ内吐出口が設けられてなり、かつ、複数の外管パッカ間の外管管壁には逆止弁を有する外管パッカ間注入口が設けられてなり、該注入内管内に流体を送液して内管パッカを膨張し、ついで内管パッカ間吐出口から外管パッカ内吐出口を通して上下の外管パッカに流入して外管パッカ体を形成し、さらに、外管パッカ体間に開口する外管注入口から注入液を注入することを特徴とする。
【0011】
さらに、上述の課題を解決するため、本発明の地盤注入工法によれば、前記注入内管を複数の膨縮性内管パッカが前記外管パッカ体内外管吐出口をはさむように位置せしめ、さらに、これら内管パッカ内にパッカ内吐出口を有し、かつ前記間隔をあけて備えられた内管パッカ間に外管吐出口に通じる内管吐出口を有する内管とを備えた注入内管を用い、内管流路に注入液を送液することにより、前記膨縮性内管パッカを注入液の送液圧力によって膨張して複数の内管パッカ間に外管内空間を形成するとともに、この外管内空間内に内管吐出口から注入液を吐出し、該外管袋体を膨らませて外管パッカ体を形成すると共に注入液を外管内空間から外管吐出口を通して外管パッカ外空間から地盤中に注入して地盤を固結することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上述の本発明は内管パッカの形成と外管パッカの形成を自動的に行い、あるいは外管パッカの形成と外管注入口からの注入液の注入を自動的に行い、あるいは内管注入液の送液によって内管パッカの形成と外管パッカの形成と外管注入口からの注入液の注入を自動的に行うことによって注入の工程を飛躍的に単純化し、あるいは注入管の孔径を小さくすることにより削孔径を小さくして工費を大幅に低減することを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を添付図面を用いて詳述する。
【0014】
図21(イ)、図22(ロ)は従来技術の説明図である。
注入管1の管壁2には、外管パッカ体20を形成する外管パッカ3を間隔をあけて複数個取りつけ、かつ外管パッカ3の内部ならびに上下に隣接する外管パッカ3に開口する外管パッカ内吐出口5、5・・・5を備えて注入管装置Xを構成する。
このようにして構成される注入管装置Xは地盤6中に設けられた削孔7中に挿入する。次いで、外管パッカ3の内部に開口する吐出口5から外管パッカ3中に硬化性懸濁液を注入内管1を通して充填し、膨らませて外管パッカ体20を形成する。そして、上下に隣接する袋体4、4間に開口する吐出口5から注入内管6を通して注入材を空間22に、次いで削孔壁9から地盤23中に注入し、地盤23を固結する。
【0015】
しかし、上述の従来技術では、袋パッカ3の膨張および吐出口5からの注入液の吐出は別工程で行われなければならず、注入の工程が単純化されず削孔径を小さくすることができない。
【0016】
本発明の図1(イ)は削孔1中に本発明注入管装置Aの外管2を挿入する。外管は少なくとも1つの弾性材料からなる不透水性の膨縮性外管パッカ3を装着してある。外管パッカ3の内部の外管管壁9には外管パッカ内吐出口5が逆止弁4に覆われて設けられている。外管パッカ3の少なくとも下方の外管管壁24には外管注入口逆止弁17で覆われた外管注入口16が設けられている。
【0017】
図1(ロ)は外管2に内管6を挿入した図である。内管には内管パッカ間吐出口12をはさんで内管パッカ8が複数設けられており、内管パッカ8の内管パッカ管壁10には内管パッカ内吐出口11が設けられている。外管パッカ3も内管パッカ8もいずれも不透水性の弾性の膨縮性材料からなりその上下をかしめられている。外管パッカ3も内管パッカ8も内管6からの流体による加圧によって膨張する内管パッカは内管パッカ体流体の加圧の停止あるいはパッカ内の流体の吸出し等による減圧によって収縮し、平らになる。また内管パッカ間吐出口12の吐出口面積Sは内管パッカ内吐出口11の吐出口面積Sよりも小さくする等して吐出抵抗力が大きく設計してある。吐出口は1個でも複数でもよく、その面積は各吐出口の面積の合計としてなるように考えてよい。もちろん吐出口には細孔として流体を噴射するものであってもよい。また、吐出口の上に抵抗物を設けて吐出抵抗を大きくすることができる。いずれにせよ、吐出抵抗がパッカ内吐出口よりもパッカ間吐出口を大きくすることが好ましい。
【0018】
図2(ハ)は外管および内管に流体を送液した図面である。内管6に流体7を送液すると吐出口12は吐出口11よりも吐出口面積が小さく吐出抵抗が大きいため流体はまず吐出口11から内管パッカ8を膨張させて内管パッカ体25を形成し、内管パッカ間空間13を形成する。空間13に充填した流体7は吐出口5からゴムスリーブのような弾力性のある逆止弁4を押し拡げて外管パッカ3を膨張させて外管パッカ体20を形成する。外管パッカ体は削孔壁に圧着し外管外空間22を形成する。外管パッカ体は逆止弁4によって外管内に戻ることなく膨張したままとなる。外管パッカ体はゴム膜等でつくられるので過大に加圧すると破損するための外側に強度のあるネット等による防護被覆26を設けてもよい。(図20(ハ))このような本発明は内管内に流体を送液することによって内管パッカの形成と外管パッカの形成を自動的にあるいは連続的に行うことができ、作業が簡単で能率を上げることができる。また流体はゲル化機能をもつ注入液を用いることもできるし、水や空気、不活性気体等でもよい。また、パッカは水や薬液等、パッカ用流体で形成してから、地盤改良のための注入は例えばコロイダルシリカ等、目的に応じた注入液に換えてもよい。パッカ体20、25を形成後、流体7の送液を中止または吸出す等の減圧を行えば内管パッカはその弾力性のゆえに収縮して外管内を自由に遊挿できる。このため注入管が長くて外管が土圧によって断面が変形しても湾曲しても内管は容易に遊挿できる。
【0019】
上述のようにしてパッカ体を形成の後、図2(ニ)のように、さらに下方に内管を移動して上下の内管パッカ8が外管吐出口16をはさむように位置せしめ内管から注入液を送液すれば外管パッカの存在のもとに注入液は外管外空間22を経て地盤23に注入される。図5並びに図6は内管6の下端部または内管パッカ8の下方に内管吐出口12と同様の吐出口12´を設けて内管から注入液を送液すると内管パッカ体、外管パッカ体の形成とその下方の外管吐出口16´からの地盤中への注入が自動的に行われる。17´は筒状の端部がゴム弾性で縮む逆止弁である。
【0020】
図3(イ)は内管パッカ流路14内から送液されたパッカ流体15によって吐出口11を通して内管パッカ8を膨張させ、内管6から流体7を送液して外管パッカ3を膨張させる構造を示す。
【0021】
図4(ロ)は、注入液または水、気体等のパッカ用流体で内管パッカ8、外管パッカ3が形成後吐出口12から吐出された注入液7が外管内空間27に吐出されて外管注入口16から外管外空間22を経て地盤23に注入される。
【0022】
また、図10(ニ)は内管パッカ8の位置を外管パッカ内吐出口5と外管吐出口16´をはさむように設けた例である。吐出口16´の吐出抵抗(吐出口8の吐出抵抗)が吐出口の吐出抵抗ならば、パッカ8の形成をパッカ3の形成、吐出口16´からの地盤への流れが連続的に行われる。図7〜図8は外管パッカを形成後、内管を下げて外管吐出口16´から注入した図である。上記図1〜5はいずれも外管パッカが1個でそれよりも下方の地盤改良を行う例で本発明は大きな柱状浸透(外管外空間)からの注入できるため、注入範囲を広くとれる。このため吐出1段の外管パッカで大きな深さと浸透径を有する固結体を形成するのに用いられる。本発明によれば浸透径を1.5〜3mの固結径が保たれるので注入孔ピッチを2〜4mは可能なので4mの固結層を1ステージで構築することができるため液状化防止注入には極めて適している。すなわち、液状化層が4mの場合、簡便な作業で1ステージが出来るため、その有用性は経済性も含めてはかりしれない。
【0023】
内管パッカ流路を用いなければ内管径が小さくて済む。したがって、外管径が小さくなり削孔径が小さくて済む。したがって削孔費が低減する上、注入液の注入のみで注入内管と外管のパッカの形成と地盤への注入が連続的に可能であり工費工期が大幅に低減するという効果が生ずる。
さらに図7、図8における多孔、多ステージ同時注入システム29を用いれば広範囲な液状化防止注入工法を決めて短期間で完了することができる。
【0024】
図10、図11は複数の外管パッカ3を有する外管2を用いた本発明の代表的構造例と施工法を示す(イ)削孔中への外管2の挿入、(ロ)外管への内管6の挿入、(ハ)内管への流体(注入液でもパッカ用流体でもよい)の送液による内管パッカ8、外管パッカ3の形成を行う。(ニ)。流体の送液中止、あるいは流体の吸出しによる内管パッカ8の収縮(外管パッカ3は逆止弁4の存在により収縮しない)。(ニ)は上方に内管を移行して上方外管パッカ3を形成、(ホ)は外管外空間に通じる外管注入口16´´をはさんで内管パッカ8を位置せしめ内管6から注入液7を送液して外管外空間22を通して地盤中に注入する。(ヘ)は外管最下部の注入ステージはその下端部に外管パッカがなくてもよい。注入液は上方に移行しやすく上方は外管の最下部のパッカで拘束している。
【0025】
図12(イ)および図14は2または3個以上の外管パッカ3間の外管外空間22に内管6から複数の注入ステージに同時に注入する例を示す。吐出口面積をS<S<Sとすれば(複数の吐出口を設ければ吐出面積S、S、Sはその合計であってもよい)、注入液7を内管に送液すれば内管パッカの形成→外管パッカの形成→複数の外管注入口からの地盤中への多ステージ同時注入が自動的に行われる。この場合内管を次のステージに遊挿して注入すれば多数の多ステージで同時注入が行われる。なお、Sは吐出抵抗力の大きさであって、必ずしも面積とは限らず、吐出口をシールで覆いかぶせてもよく、コーン等の抵抗物を挿入してもよい。図13(ロ)、(ハ)は図12(イ)の部分拡大図である。
【0026】
さらにこの構造の特徴は長尺の全注入ステージに多数の外管パッカを設けて内管は外管に挿入して所定の位置にセットしたままで注入すれば注入ステージを移動させることなく一度に全深度の注入を行うことができることである。この際注入ステージ毎に地盤の透水係数をk、k(k<k)とすれば、それぞれの地盤の1本当たりの注入範囲の1注入ステージ当たりの注入量を算定できる。1本当たりの各注入ステージの注入を同じ時間内に完了できるように各ステージにおける透水係数に対応した間隙等、注入量とは注入時間に対応した吐出面積S3−1、S3−2(S3−2<S3−1)になるようにあらかじめ内管吐出口を作成しておけば注入孔において透水係数が異なり、したがって、各注入ステージにおける注入速度、注入量が異なるにもかかわらず、上から下まで同一の設計浸透径の固結体を同一注入時間で得ることができるという画期的地盤改良が可能になる。
【0027】
例えば、k地盤はk地盤より透水係数が大きい、したがって、間隙が大きいから同一固結径にしようとすれば注入量はk地盤より多くなる。同一時間に同一固結径になるようにそれぞれの地盤の注入が完了するようにするためにはk地盤の注入速度をk地盤の注入速度よりも大きくなるようにする。そのためには吐出口面積と注入口面積がS2<S1、S3<S2、S3−1<S3−1になるように設計すればよい。そしてあらかじめ定めた注入速度の比率になるようにS1−1 <S3−1を設計した注入内管を用いればよいことになる。
【0028】
図14は図12、13と同じ原理に基づく。この場合、図中にS<S、k<kならば、S3−2<S3−1となるように内管吐出口を設計すればよい。
【0029】
図15〜図18は複数の外管パッカ3の形成と外管注入口16´からの注入が自動的に行われ、あるいはさらに、注入管を移行させて複数の外管注入口からの注入を行う例を示す。
【0030】
図15において一対の内管パッカ8は上下の外管パッカ内吐出口5と上下の外管パッカ3に挟まれた外管注入口16を挟むように挿入される。内管6からは水等の流体を注入して内管パッカ8と外管パッカ3を膨張させて外管注入口16より注入地盤に注入して外管パッカの形成と地盤の透水性を測定してから再度注入液を内管から注入して内管パッカの形成と外管注入口16から地盤への注入を自動的に行うことができる。
【0031】
この場合はじめから、内管に注入液を送液すれば内管パッカの形成、外管パッカの形成、外管の吐出口から地盤中への注入液の注入を自動的に行うことができる。
【0032】
この場合、図中の吐出口の面積はS>S、S<Sの合計とするのが好ましい。
すなわち、内管パッカ体25が形成後、注入液7は内管パッカ間吐出口12を経て上下の外管パッカ内吐出口5から上下の外管パッカ3内に流入して外管パッカ体20を形成してのち外管パッカ間吐出口より外管外空間22を通して地盤中に注入される。さらに図15につながる図17において注入内管を下方に移行して外管パッカ体20の形成、外管注入口16´´からの地盤への注入を行うことができる順序は任意でもよい。
【0033】
この場合図15において、注入液は瞬結性注入液あるいは懸濁型注入液を外管注入口16´´より注入することによりあらかじめ粗い層を瞬結性注入液あるいは懸濁液で一次注入あるいは粗結注入を行い図17の注入において浸透性の優れた長結型注入液あるいは溶液型注入液を注入することができる。
【0034】
図16および図18は注入内管6にパッカ流体管路15が設けられており、内管パッカ体はパッカ流体で形成されるが図9と原理は同じである。本発明において、注入内管を二重管または併列管あるいはパッカ流路を組み合わせても良いのである。この場合、A液、B液を別々に送液することにより瞬結性グラウトや任意のゲルタイムの注入液を地盤状況や注入目的に応じて、注入できる。
【0035】
図15、図16において、内管から注入液の送液を二重管30にすることによりA液、B液を合流して外管吐出口から注入できるため注入液のゲルタイムを自由に調整できるし、瞬結性注入液による一次注入を行うことができるし、また長結グラウトを注入して地上面等に逸出した場合、自由にゲルタイムを短縮して逸出を防止することができる。図13のように二重管を並列管にしてもよいし、パッカ流体管路と組み合わせても良い。多注入ステージの同時注入や瞬結注入と長結注入を同時に行うこともできる。
【0036】
図20(イ)は外管パッカ間の外管管壁の吐出口を透水性の壁面保護材31で覆った構造を示し、図20(ロ)は透孔のある弾力性被覆膜32で外管吐出口を覆い、外管からの注入液が被覆膜と外管壁につくられた間隙から一斉に削孔壁全体に分布して孔壁を保護しながら均等に注入されるようにした構造を示す。図20(ハ)はパッカにネット26を張った例を示す。
【0037】
また図20(ロ)はゴム状の外管パッカが注入圧力によって過大に膨張して破損しないように膨張するものの耐圧強度のあるプラスチックネットのような透水性のある防護被覆33で外管パッカ間吐出口を覆った構造を示す。
【0038】
本発明において、注入管を地盤中に水平方向に挿入してもよい。
は注入液送液装置Xを用いた本発明にかかる地盤注入工法の説明図である。図23において、上述と同様、地盤1の地盤改良を施すべき個所に、地表面2から斜め下方に湾曲して、次いで、水平方向にボーリング孔3を削孔する。このボーリング孔3に図1に示されるような逆止弁4を備えた複数の外管吐出口5、5・・・5を有する外管7を設置し、この外管7内に、外側長手方向に三個以上の膨縮パッカ8、8・・・8を間隔をあけて設けて互いに隣接する膨縮パッカ8、8間を吐出位置9とし、かつ内壁吐出口10が別々の吐出位置9に位置する複数の注入液流路11と、膨縮パッカ8に流体を送って膨張させ、あるいは排出して収縮させるパッカ流路12とそれぞれ内部に独立して形成された内管13を移動自在に挿入し、吐出位置9を外管吐出口5に合致させた後、パッカ流路12を通して三個以上の膨縮パッカ8、8・・・8に流体を送って膨縮パッカ8を膨張させ、これにより互いに隣接する膨縮パッカ8、8によって挟まれる隙間14に管内空間15を形成し、注入液を内管吐出口10を通して注入液送液装置Xから管内空間15および外管吐出口5を経て地盤1に注入する。図8では、上述の外管7および内管13の詳細な記載は省略し、外管7内に内管13が移動自在に挿入された状態を注入管Aとして表す。
【0039】
図23に示される注入液送液装置Xは制御部30、注入液加圧部31、注入液分配部32、注入部33および送液系34から構成される。操業を手動で行う場合には、制御部30は必要としない。以下、制御部30を用いた例について具体的に詳述する。
【0040】
注入液加圧部31は図23に示されるように、注入液槽35からの注入液ポンプ36(グラウトポンプ)により加圧し、加圧注入液として送液系34を介して注入液分配部32に送液する。グラウトポンプ36は制御部30の注入監視盤30aからの指示を受け、注入液を所望の圧力に加圧する。
【0041】
注入液分配部32は複数本の分枝管37、37・・・37を備える。これら分枝管37、37・・・37はそれぞれ先端に注入管Aと連結する連結部38を有する。この連結部38は所定の注入管Aを通して所定の注入量を注入し終わった時点、あるいは所定の注入圧に達した時点で、その分枝管37を他の注入管Aに連結換えすることもできる。
【0042】
上述の分枝管37、37・・・37は図23に示されるように、送液系34を介して加圧部31と連結された分配容器39からのそれぞれ伸長して配置され、先端の連結部38で注入管Aと連結される。そして、加圧部31からの加圧注入液は分配容器39を介して各分枝管37、37・・・37に分配され、注入管Aに送液される。なお、この分配容器39には図示しない撹拌装置を備えることもできる。また、各分枝管37、37・・・37は分配容器39を経たずに、直後、加圧部31からの送液計34と連結することもできる。
【0043】
また、図23において、分枝流量計f、f・・・f、fの総量を測定することにより送液流量計40の流量を把握することができ、このため、送液流量計40は必ずしも必要としない。さらに、送液圧力計41は必ずしも送液系34に設けなくても、直後、分配容器39に設けてもよい。V〜Vは分枝バルブ、P〜Pは分枝圧力計、30b、は操作盤30cは注入記録盤、30dはデータ入力装置、42は送液バルブである。また、43は膨縮パッカ8に流体を送液する圧力ボンベ、44は内管自動昇降機であって、いずれも制御部30と接続され、制御部30からの指示を受けて作動する。
【0044】
図24は注入液送液装置として多連装注入装置を用いた本発明にかかる地盤注入工法の説明図であって、注入液を貯蔵する注入液槽35と、一プラント中にそれぞれモータ等の独立したあるいは図示しないが共通の駆動源45で作動し、かつ制御部30に接続されて制御される多数のユニットポンプ46、46・・・46と、これら各ユニットポンプ46、46・・・46から伸長され、配置される送液管47、47・・・47とを備えて構成される。各送液管47、47・・・47の先端に連結部38を備え、地盤1のボーリング孔3に挿入された注入管Aの図示しない内管13の注入液流路11に連結される。注入液槽35中の注入液は各ユニットポンプ46、46・・・46の作動により任意の注入速度、注入圧力あるいは注入量で各注入管Aの注入液流路11に圧送され、複数の外管吐出口5、5・・・5からゴムスリーブ4を押し開けて同時に地盤1に多点注入される。Vは分枝バルブである。圧力ボンベ43および自動昇降機44は図23と同様に制御部30からの指示を受けて作動する。
【0045】
図9〜16において、外管および外管内に挿入された内管からなる注入管装置を用いて地盤中に固結材を注入するに際して、従来、注入管路中の注入圧力を地表面に位置する圧力計で測定していた。
【0046】
しかし、この注入圧力は実際には、注入管路の抵抗圧や内管吐出口の抵抗圧が土粒子間に浸透する本来の地盤注入圧力に加算されたものであって、正確に地盤注入圧力を示すものではない。特に、内管吐出口が細孔からなる噴射口の場合、噴射口の抵抗力により内管内圧力は高くなり、実際の地盤中における圧力は把握できず、したがって、注入が地盤中でどのように行われているかの判断は注入圧力の変化によって確認することができないという問題があった。
【0047】
すなわち、この圧力は単に地上部における送液圧力と内管流路と吐出口の抵抗圧力が大きく影響しているため、注入ステージで適切な土粒子間浸透がさなれているかどうか、あるいは圧力がかかり過ぎて地盤を破壊し、注入液が逸脱してしまっているかどうか、不明である。
【0048】
そこで、本発明は内管パッカ間に位置する内管吐出口から固結材を外管吐出口を通して地盤中に注入するに当たり、吐出口からの地盤中への注入圧力を直接、正確に把握し、上述の公知技術に存する欠点を改良した注入管装置および地盤注入工法を提供することにある。
【0049】
本発明の注入管装置によれば、外管と、この外管内に挿入された内管とを備え、地盤中に固結材を注入して該地盤固結する地盤注入装置であって、前記外管は外管表面に外管吐出口を有し、前記内管は複数の内管パッカを間隔をあけて備え、かつ互いに隣接する内管パッカ間には内管吐出口を有し、前記外管内に前記内管を挿入するに際して、隣接する内管パッカ間に外管吐出口が位置し、かつ、前記外管内の内管パッカ間に空間が形成されるように挿入してなる注入管装置において、前記空間内の圧力を感知して伝達する圧力伝達部材を注入装置内に設置し、この圧力伝達部材を通して前記空間内で感知された圧力を伝達して測定し、正確な地盤注入圧力を把握することを特徴とする。
【0050】
さらに、本発明の注入管装置によれば、外管と、この外管内に挿入された内管とを備え、地盤中に固結材を注入して該地盤を固結する注入管装置であって、前記外管は外管表面に一個、あるいは軸方向の異なる位置に複数の外管吐出口を有し、前記内管は複数の内管パッカを間隔をあけて備え、かつ互いに隣接する内管パッカ間には内管吐出口を有し、前記外管内に前記内管を挿入するに際し、隣接する内管パッカ間に外管吐出口が位置するように挿入し、これにより前記外管内の内管パッカ間には空間が形成されてなる注入管装置において、前記空間内に配置されたひずみ抵抗式圧力センサーと、このひずみ抵抗式圧力センサーに信号ケーブルを介して接続されたアンプと、このアンプに信号ケーブルを介して接続された地盤上の圧力表示装置とからなる圧力伝達部材を注入装置内に設置し、前記圧力センサーが空間内圧力を感知し、この感知された空間内圧力をアンプを介し、信号ケーブルを通して電気信号として圧力表示装置に伝達して測定し、地盤の正確な注入圧力を把握することを特徴とする。
【0051】
さらに、本発明の注入管装置によれば、外管と、この外管内に挿入された内管とを備え、地盤中に固結材を注入して該地盤を固結する注入管装置であって、前記外管は外管表面に一個、あるいは軸方向の異なる位置に複数の外管吐出口を有し、前記内管は複数の内管パッカを間隔をあけて備え、かつ互いに隣接する内管パッカ間には内管吐出口を有し、前記外管内に前記内管を挿入するに際し、隣接する内管パッカ間に外管吐出口が位置するように挿入し、これにより前記外管内の内管パッカ間には空間が形成されてなる注入管装置において、前記空間内にチューブを介して接続されたひずみ抵抗式圧力センサーと、この圧力センサーに連結されたアンプと、該アンプに信号ケーブルを介して連結された地盤上の圧力表示装置とからなる圧力伝達部材を注入管装置内に設置し、前記空間内に位置するチューブの一端が空間内圧力を感知し、この感知された圧力を圧力センサーおよびアンプを介して圧力表示装置に伝達して測定し、内管吐出口の正確な注入圧力を把握することを特徴とする。
【0052】
さらにまた、本発明の地盤注入工法によれば、地盤中に固結材を注入して該地盤を固結する地盤注入工法において、表面に一個の外管吐出口を有するか、軸方向の異なる位置に複数の外管吐出口を有する外管と、該外管に挿入され、複数の内管パッカを間隔をあけて備え、かつ互いに隣接する内管パッカ間には内管吐出口を有する内管とからなる地盤注入装置を用い、前記外管内に前記内管を挿入するに際して、隣接する内管パッカ間に外管吐出口が位置し、かつ、前記外管内の内管パッカ間に空間が形成されるように挿入し、さらに、前記注入装置内に空間内の圧力を感知して伝達する圧力伝達部材を設置し、この圧力伝達部材を通して前記空間内で感知された圧力を伝達し、この伝達された圧力を測定して内管吐出口の正確な注入圧力を把握することを特徴とする。
【0053】
また、本発明において、注入管を複数本地盤中に設置し、注入液を同時注入して多点注入することもできる。
【0054】
図25は本発明に用いられる多点地盤注入システムXの説明図であって、貯蔵タンク22と、複数のユニットポンプ4、4・・・4と、複数の注入管装置A、A・・・Aとを基本的に備える。
【0055】
貯蔵タンク22はA液用タンク22aと、B液用タンク22bとからなり、これらタンク中のA液およびB液をそれぞれ別々に注入管装置Aに導き、合流させる構造となっている。地盤1の注入ポイント25に2本の注入管装置を配設し、これら2本の注入管装置A、AにそれぞれA液およびB液を圧送し、外管吐出口5から注入ポイント25に注入した後、地盤1中で合流し、反応させたり、あるいは異なるタイプの注入液を同時に、あるいは時間差をもって注入する。
【0056】
一連のユニットポンプ4、4・・・4は一プラント中に独立した多数のユニットポンプ4、4・・・4を備えるとともに、これらユニットポンプ4、4・・・4がそれぞれモータ等、独立した駆動源2で一つの集中管理装置3によって1セットの注入装置として一緒に作動し、かつ導管21、21・・・21を介してA液用タンク22aおよびB液用タンク22bに接続している。
【0057】
注入管装置Aは先端に外管吐出口5を有するものであって、地盤1の複数の注入ポイント25、25・・・25に複数本埋設され、A液用タンク22aに通じるユニットポンプ4、4・・・4およびB液用タンク22bに通じるユニットポンプ4、4・・・4にそれぞれ接続される。
【0058】
図26は本発明にかかる注入システムを模型的に表した説明図である。図26から注入液の地盤1への注入状況が模型的に理解される。
【産業上の利用可能性】
【0059】
上述の本発明は内管パッカの形成と外管パッカの形成を自動的に行い、あるいは外管パッカの形成と外管注入口からの注入液の注入を自動的に行い、あるいは内管注入液の送液によって内管パッカの形成と外管パッカの形成と外管注入口からの注入液の注入を自動的に行うことによって注入の工程を飛躍的に単純化し、あるいは注入管の孔径を小さくすることにより削孔径を小さくすることを可能にし、工費を大幅に低減することを可能にする。したがって、本発明は土木分野における産業上の利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】(イ)本発明の説明図である。外管の地盤への挿入状態。(ロ)内管を外管に挿入した状態。
【図2】(ハ)内外管のパッカを膨張させた状態。(ニ)内管を下方に下げ、内管パッカ間から注入液を地盤に注入した状態。
【図3】(イ)本発明の説明図である。内外管のパッカを膨張させた状態。
【図4】(ロ)内管先端吐出口から注入液を注入した状態。
【図5】本発明の注入状態を表した図面。
【図6】本発明の注入状態を表した図面。
【図7】(イ)本発明の説明図である。内管パッカ、外管パッカを膨張させない前の状態。(ロ)外管パッカ、内管パッカを膨張させた状態。
【図8】(ハ)内管を下方に下げ、内管から注入液を注入させた状態。
【図9】(イ)本発明の説明図である。外管パッカを備えた外管を削孔中に設置した状態。(ロ)内管を外管内に挿入した状態。
【図10】(ハ)下方外管パッカを膨張させた状態。(ニ)外管パッカおよび内管パッカの全部を膨張させた状態。
【図11】(ホ)外管パッカ間および内管パッカ間の吐出口から注入液を地盤中に注入している状態。(ヘ)内管パッカを下方に移動し、内管パッカ間から注入液を地盤中に注入している状態。
【図12】(イ)本発明の説明図である。(イ)内管パッカ内吐出口面積、外管パッカ内吐出口面積および内管吐出口面積の関係を表した図面。
【図13】(ロ)、(ハ)は(イ)の部分拡大図である。
【図14】外管パッカ内内管パッカ吐出口面積、外管パッカ内内管吐出口面積、内管吐出口および外管吐出口面積、地盤層の関係を表した図面。
【図15】内管パッカ内吐出口面積、外管パッカ内外管吐出口面積、内管および外管のパッカ外面積の関係を表した図面。
【図16】内管パッカ内吐出口面積、外管パッカ内外管吐出口面積、および内管および外管のパッカ外吐出口面積の関係を表した図面。
【図17】本発明の注入液吐出状態を表した図面。
【図18】本発明の注入液吐出状態の他の例を表した図面。
【図19】瞬結および長結注入液の地盤への注入状態を表した図面。
【図20】(イ)本発明の他の例を表した図面である。(イ)外管吐出口を壁面保護材で覆った例。(ロ)弾力性透孔防護被覆膜で吐出口を覆った例。(ハ)パッカ上にネットを張った例。
【図21】(イ)従来技術の説明図である。外管パッカ間から注入液を注入している状態を表した図面。
【図22】(ロ)二重管ダブルパッカにより外管パッカを膨張させる状態を表した図面。
【図23】注入管を地盤中に水平方向に挿入した例。
【図24】多連装注入装置を用い、注入管を地盤中に水平方向に挿入した例。
【図25】多点地盤注入システムの一具体例を示した図面。
【図26】本発明の多点地盤注入システムを模型的に表した図面。
【符号の説明】
【0061】
1 削孔
2 外管
3 外管パッカ
4 逆止弁
5 外管パッカ内吐出口
6 注入内管
7 注入液(流体)
8 内管パッカ
9 外管管壁
10 内管管壁
11 内管パッカ内吐出口
12 内管吐出口
A 注入管装置






































【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤中の削孔中に設置された外管パッカを有する注入外管から注入内管を通して地盤中に注入液を外管注入口から注入する注入管装置において、該外管パッカは不透水性膨縮パッカであって、該外管パッカ内の注入外管の管壁に設けられた逆止弁に覆われた外管パッカ内吐出口から注入内管を介して外管パッカ内に填充された流体によって膨張し、該内管は複数の内管パッカを有し、該内管パッカ内の管壁には内管パッカ内吐出口を有し、該複数の内管パッカ間の内管管壁には内管吐出口を有し、該複数の内管パッカは該外管内吐出口を挟むように外管内に遊挿して挿入され、該注入内管内に流体を送液することによって、内管パッカ間の空間から該流体が外管パッカ内に填充して外管パッカ体を形成することを特徴とする注入管装置。
【請求項2】
該外管は1個または複数の外管パッカを有し、複数の外管パッカ間の外管管壁には逆止弁で覆われた外管注入口を有し、少なくとも1個の外管パッカ下部または複数の内管パッカは外管パッカの外管パッカ内吐出口を挟むように位置し、該外管パッカは注入内管から送液され、外管パッカ内吐出口から外管パッカ内に充填した流体によって膨張し、外管パッカ体を形成し、さらに該流体は内管パッカ間空間を介して外管注入口から地盤中に注入される請求項1の注入管装置。
【請求項3】
該外管は複数の外管パッカを有し、該複数の外管パッカ間の外管管壁には逆止弁で覆われた外管注入口を有し、該複数の内管パッカは外管パッカの外管パッカ内吐出口を挟むように位置し、該複数の内管パッカは内管パッカ流路からの流体によって膨張し、該外管パッカは注入内管から送液され外管パッカ内吐出口から外管パッカ内に充填した注入液によって膨張して外管パッカ体を形成し、さらに該注入液は外管注入口から地盤中に注入される請求項1の注入管装置。
【請求項4】
該内管パッカは不透水性膨縮性パッカであって該内管パッカ内に位置する内管パッカ内吐出口を有し、該内管吐出口は該内管パッカ内吐出口よりも吐出抵抗が大きく形成され、該注入内管に流体を送液して、内管パッカが膨張して、内管パッカ内空間を形成し、その空間を介して、該流体が外管パッカ内に充填して外管パッカを膨張し、外管パッカ体を形成することを特徴とする請求項1の注入管装置。
【請求項5】
該内管パッカは内管パッカ流体流路からの内管パッカ流体によって膨張することを特徴とする請求項1の注入管装置。
【請求項6】
該注入管装置は注入外管が1個または複数の外管パッカを有し、該外管パッカの少なくとも下方側あるいは該複数の外管パッカ間には外管注入口を有する請求項1または2の注入管装置。
【請求項7】
外管外空間に開口した外管注入口に連通する外管内空間に開口する面積Sの内管吐出口は面積Sの内管パッカ間吐出口より吐出抵抗が大きく、S<S、S<Sとなる請求項6の注入管装置。
【請求項8】
外管と、この外管内に挿入された内管とを備え、地盤中に固結材を注入して該地盤を固結する請求項1の注入管装置であって、前記外管は表面に外管吐出口を有し、前記内管は複数の内管パッカを間隔をあけて備え、かつ互いに隣接する内管パッカ間には内管吐出口を有し、前記外管内に前記内管を挿入するに際して、隣接する内管パッカ間に外管吐出口が位置し、かつ、前記外管内の内管パッカ間に空間が形成されるように挿入してなる注入管装置において、前記空間内の圧力を感知して伝達する圧力伝達部材を注入装置内に設置し、この圧力伝達部材を通して前記空間内で感知された圧力を圧力計に伝達し、この伝達された圧力を測定して地盤注入圧力を把握することを特徴とする請求項1の注入管装置。
【請求項9】
前記圧力伝達部材はチューブであって、一端が前記空間内に位置して空間内圧力を感知するとともに、他端が地盤上の圧力計に連結され、感知された空間内圧力を圧力計で測定する請求項8に記載の注入管装置。
【請求項10】
請求項8において、前記チューブは内管を通して設置される請求項8に記載の注入管装置。
【請求項11】
請求項8において、空間内に位置するチューブの一端を膜で被覆してなる請求項8に記載の注入管装置。
【請求項12】
請求項11において、前記チューブ内に液体を充填し、膜で感知された空間内圧力を液体を介して圧力計で測定する請求項11に記載の注入管装置。
【請求項13】
地盤の削孔中に設置された注入外管に注入内管を通して地盤中に注入液を外管注入口から注入する地盤注入工法において、前記注入外管が、外管管壁に外管パッカ体を形成する伸縮性外管パッカを1個、または間隔をあけて複数個取りつけ、かつ、該外管パッカより下方にあるいは上下に隣接する外管パッカに外管注入口を備え、該外管パッカ内に開口する逆止弁で覆われた外管パッカ内吐出口を設けてなり、前記外管に挿入する注入内管は複数の内管パッカを形成する伸縮性内管袋体を内管パッカ間吐出口をはさんで複数設け、該内管に流体を送液することにより内管袋体内吐出口から吐出された流体の流体圧により内管袋体が膨張して内管パッカが形成され、それによって形成された内管パッカ間空間を経て外管パッカ内吐出口より外管パッカ内に流体が充填されて外管パッカ体が形成されることを特徴とする地盤注入工法。
【請求項14】
注入管装置を複数本、地盤中に埋設し、これら注入管装置を通して注入液を注入する地盤注入工法であって、独立した駆動源で作動し、かつ集中管理装置で制御される個々に独立したユニットポンプをそれぞれの注入管装置に接続し、ユニットポンプの作動により注入液を地盤中に注入する地盤注入工法において、前記注入管装置は管壁長手方向に間隔をあけて、硬化性流体で膨張する複数の袋パッカを設け、互いに隣接する袋パッカ間にはゴムスリーブで覆われた少なくとも一つの外管吐出口を有し、かつ互いに隣接する袋パッカと削孔壁との間に管外空間を形成する外管と、外管内に移動自在に挿入され、長手方向に一対の膨縮パッカが間隔をあけて設けられ、吐出位置を形成する内管とを有し、該内管には、注入液を送液し、吐出口が噴出位置に位置する注入液流路と、前記膨縮パッカに流体を送って膨張させるパッカ流路とをそれぞれ独立して備え、該パッカ流路を通して一対の膨縮パッカに流体を送って膨張させ、一対の膨縮パッカによって挟まれる内外管のすき間に管内空間を形成してなり、該噴出位置を管外空間に合致させ、外管吐出口から注入液を管内空間、外管吐出口および管外空間を経て地盤中に注入することを特徴とする請求項13の地盤注入工法。
【請求項15】
集中管理装置はパッカ流路に接続され、一対の膨縮パッカへの流体の送液を制御する流体送液制御部と、個々に独立した複数のユニットポンプの駆動源に接続され、各駆動源を制御する駆動制御部部と、各ユニットポンプから地盤中の注入管装置に通じる導管に配置された流量圧力検出器に接続され、注入圧力、注入量および注入速度に関する注入情報を記録表示する記録表示部とを備えた請求項13の地盤注入工法。
【請求項16】
内管にはパッカ流体送液流路が設けられてなり、パッカ流体送液流路にパッカ流体を送液して内管パッカが形成され、それによって形成された内管パッカ間空間に内管より流体を送液して外管パッカ内に流体が充填されて外管パッカ体が形成され、外管パッカを形成することを特徴とする請求項13の地盤注入工法。
【請求項17】
地盤中の削孔中に設置された不透水性の膨縮性外管パッカを有する注入外管から膨縮性内管パッカを複数有する注入内管を通して地盤中に注入液を注入する地盤注入工法において、外管管壁に1つまたは複数の外管注入口を有し、外管内に注入内管を隣接する複数の外管パッカ内吐出口をはさむように複数の内管パッカを位置せしめ、該外管パッカ内には逆止弁を有する外管パッカ内吐出口が設けられてなり、かつ、複数の外管パッカ間の外管管壁には逆止弁を有する外管パッカ間注入口が設けられてなり、該注入内管内に流体を送液して内管パッカを膨張し、ついで内管パッカ間吐出口から外管パッカ内吐出口を通して上下の外管パッカに流入して外管パッカ体を形成し、さらに、外管パッカ体間に開口する外管注入口から注入液を注入する地盤注入工法。
【請求項18】
注入液が非アルカリ性水ガラスグラウト、コロイダルシリカグラウト、活性シリカグラ
ウトまたはゲル化時間が1時間以上のグラウトである請求項17の地盤注入工法。
【請求項19】
前記注入内管を複数の膨縮性内管パッカが前記外管パッカ体内外管吐出口をはさむように位置せしめ、さらに、これら内管パッカ内にパッカ内吐出口を有し、かつ前記間隔をあけて備えられた内管パッカ間に外管吐出口に通じる内管吐出口を有する内管とを備えた注入内管を用い、内管流路に注入液を送液することにより、前記膨縮性内管パッカを注入液の送液圧力によって膨張して複数の内管パッカ間に外管内空間を形成するとともに、この外管内空間内に内管吐出口から注入液を吐出し、該外管袋体を膨らませて外管パッカ体を形成すると共に注入液を外管内空間から外管吐出口を通して外管パッカ外空間から地盤中に注入して地盤を固結する請求項17の地盤注入工法。
【請求項20】
請求項17における内管パッカは内管パッカ用流路からのパッカ流体によって形成される請求項17の地盤注入工法。






















【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2010−156172(P2010−156172A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335849(P2008−335849)
【出願日】平成20年12月30日(2008.12.30)
【出願人】(000162652)強化土エンジニヤリング株式会社 (116)
【Fターム(参考)】