注入装置およびそれに関する方法
患者の皮下にアクセスするアクセスポートを開示する。このアクセスポートは、リザーバ内に生じる圧力に応じたセプタムの変形を防止する構造とした少なくとも1個の構成素子を有する。さらに、このアクセスポートは、1)少なくとも約1ml/秒の流速(流量)でまたは2)リザーバ内に生じた少なくとも約2.45kg/cm2 (35psi)の圧力に適応する構造とする。注入装置は、少なくとも約1ml/秒の流速で液体を流す構造として開示する。複数の層を有する注入チューブを開示する。アクセスポートまたは注入装置を通過する液体を操作しまた流す方法を開示する。自動注入器のためのアクセスポートを特定する方法を開示する。少なくとも1個のゲル状領域を有するセプタムを開示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件出願は、2005年11月15日付けで出願された米国特許出願第60/737,466号の優先権を主張するものであり、参考として本明細書に付記する。さらに本件出願は、2005年4月27日付けで出願された米国特許出願第60/675,309号の優先権を主張するものであり、参考としてを本明細書に付記する。
【0002】
広範囲にわたる種々の医療処置には、患者への液体の注入が必要である。例えば、血管撮像技術には、患者へ注入する造影剤の使用が必要である。特に、コンピュータトモグラフィ(CT)は、造影剤を利用する撮像技術であり、非侵襲的な評価および血管系の評価(例えばCT血管造影検査またはCTA)のために使用する。マルチスライスCT(MDCT)は、CTAのために利用する一つの特定形式のCTである。CTによる血管系の適切な撮像のために、静脈内造影剤注入規定を、対象とする解剖学的領域に対して調整し選択する。
【0003】
特に、従来は、いわゆる「自動注入」システムを、造影剤を高圧で末梢から静脈(IV)ラインに注入するために使用する。たとえば、この種の自動注入器または注入システムは、メドラット(Medrad)社(ドイツにあるシェーリング社の子会社)から市販され、また登録商標「STELLANT」注入システムとして市販されている。CTの手順は、たいてい造影剤の所望の流量により定められるため、この種の自動注入器システムは、一般に、所望の流速(フローレートまたは流量率)を選択することにより調節可能である。従って、この種の自動注入器システムは、選択された流速(流量率)を保持するよう(自動注入器システムの性能の最大圧力内で)圧力を高めることができる。したがって、明らかなように、IVライン内の塞栓物または所望の注入率の圧力に耐えられない構造のIVラインを使用することにより、自動注入器にIVラインの適切な圧力限界を上回る圧力を発生させるおそれがある。静注の後、造影剤のボーラスは、心臓の右側から、肺を通り、心臓の左側へ、そして、残りの循環系を通り、患者の血管系内を流れる。造影剤のボーラスを患者に注入した後、いくらかの造影剤は心臓の右側に留まる。このように、造影強調の全体的な効果は、多数の因子に依存する。例えば、患者の特性(例えば、身体サイズ、心拍出量および循環量を含む循環、腎機能)と、造影の特性(例えば量、注入率、ヨウ素濃度、その他)と、そしてCT技術(例えば投与のアクセスおよびルート、スキャン遅延、スキャン速度および注入パターン)が、造影強調の全体的な程度にそれぞれ影響する。
【背景技術】
【0004】
背景技術として、従来は、比較的長いスキャンタイムには、比較的長い造影剤の送出時間が伴った。しかし、スキャンタイムは短くなり続けているため、比較的速く送出できる造影剤が必要とされる。更に説明すると、冠状動脈CTAでは、選択されたスキャンタイム(例えば15秒のスキャンタイム)の期間中、そして選択された解剖学的領域(例えば、左心室と流出路を含む20cmの軸方向のスキャン距離)内に、かなり十分な量の造影剤を十分な高率で投与し適切な濃度で行き渡らせ保持しなければならない。また、造影の密度値は、多次元ポストプロセシングに使用されるセグメンテーション法を十分に容易にすることが好ましい。冠状動脈CTAに使用する代表的な造影剤は、約300mg/mlから約350mg/ml濃度のヨウ素である。また、造影剤が放射性物質である場合、イメージングプロセスに必要な造影剤の総量を減らすことは有益になりうる。
【0005】
造影剤注入に必要な圧力は、流速(流量率)と、造影剤の粘性と、チューブの径および長さのような注入チューブの構成と、血管内塞栓または血流の制限(例えば血管のよじれ、屈曲、すり合わせ、圧迫)のいずれかの多くの因子に依存する。上述のように、CTまたはMRI検査に必要な流速(流量率)を保持するために、自動注入器は高圧を生成する。注入圧が血管アクセス装置の許容を上回った場合、破壊が起こるおそれがある。他の問題は、スキャンと造影剤との間のタイミングエラーのために生じる。より新しい血管撮像装置の高速スキャン能力を最大にするために、造影剤の注入を始めた後、所定の時間分スキャンプロセスの開始を遅延させることができる。スキャン開始が早すぎる場合、造影剤が心臓に達するのと同時であり、イメージを処理した後、動脈は本来より小さく見えるおそれがある。一方、スキャン開始が遅すぎる場合、画像アーチファクトは心臓の静脈の希薄な造影になるおそれがある。造影剤は心臓の動脈を通り心臓の静脈中へ急速に循環するため、最適なスキャンの好機の時間帯は非常に短い。
【0006】
診断上のまたは医学上の手順では、患者の血管系に液体を注入するために皮下の血管アクセスポートを有利に使用する。アクセスポータルまたはポートにより、外科的な手法を使用せずに、身体の内部の領域に薬物を繰り返し送出できる簡便な方法を提供する。ポートは、体内に埋め込み可能であり、薬物、注射液、血液製剤、造影剤または他の液体の注入を可能にする。更に、ポートは、患者から血液を吸引するために用いることもできる。このようなアクセスポートは、一般的に、一つ以上の液体キャビティまたはリザーバを内包するカニューレが貫通できないハウジングを有し、このような各液体キャビティに対してハウジングを通して連通するアクセス開孔を画定する。カニューレが貫入できるセプタムは、各々のアクセス開孔に隣接して配置し封止する。アウトレットステムは、アクセスポートに付随し埋め込まれたカテーテルを通して、患者体内における所定の位置に薬剤を投与するための1個以上の液体キャビティに連通する。アクセスポートおよびカテーテルを患者の皮下に埋め込んだ後、薬剤、血液などの液体を、患者の皮膚を貫通しセプタムを穿刺して液体キャビティ中に連通する例えばカニューレ(例えば、針)により、1個の液体キャビティを通して投与することができる構成とする。この薬剤は、カテーテルの末端を通って患者身体の静脈系への入口点へ向かう。さらに、皮下のアクセスポートを通して血液を吸引することができる。したがって、アクセスポートの使用により、針を用いることなく患者の血管系にアクセスすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のアクセスポートおよび付属する注入システムは、自動注入を実行するために適切でない。
【0008】
特に、従来の血管アクセスポートとの組み合わせによる自動注入システムの使用は、理想より低い結果しか得ることができない。したがって、注入システムのための血管アクセスポートおよび自動注入を実行する構造とした注入関連装置が有利であることは、良く理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様は、アクセスポートを通して液体を流す方法に関する。特に、血管アクセスポートを提供し、このアクセスポートを通して少なくとも約1ml/秒の流速で液体を流すことができる。
【0010】
本発明の他の態様は、注入装置を通して液体を流す方法に関する。例えば、注入装置を提供し、この注入装置を通して少なくとも約1ml/秒の流速で液体を流すことができる。
【0011】
本発明の他の態様は、患者へ皮下のアクセスを提供するためのアクセスポートに関する。特に、アクセスポートは、セプタムを拘束するための開孔を画定するハウジングを備え、このハウジングおよびセプタムはリザーバを画定する。さらに、セプタムにはほぞ領域を設け、このアクセスポートのハウジングには、セプタムのほぞ領域の少なくとも一部を収容するため、ほぞ領域と相補形状の構造としたほぞ穴領域を形成する。随意に、ハウジングは、セプタムの側面周縁の少なくとも一部に近接するリング状部を設けることができる。
【0012】
本発明の他の態様は、患者へ皮下のアクセスを提供するアクセスポートに関する。実施例では、アクセスポートはセプタムを拘束するための開孔を画定するハウジングを設け、このハウジングおよびセプタムはリザーバを画定する。さらに、ハウジングおよびセプタムは、少なくとも約1ml/秒のリザーバを通る流速に適応する。他の実施形態では、アクセスポートは、上述した通りハウジングおよびセプタムを有し、このハウジングおよびセプタムは少なくとも約2.45kg/cm2(約35psi)のリザーバ内に生じる圧力に適応する構造とする。
【0013】
本発明の他の態様は、患者の皮下へアクセスする場合に使用する注入装置に関する。例えば、ある実施形態では、注入装置は、管腔を画定するチューブと、チューブ部分の管腔に連通するカニューレとを有する。また、カニューレは、アクセスポートのセプタムを通して挿入する構造とし、チューブ部分およびカニューレは少なくとも約1ml/秒の流速で液体を流すことができる構造とする。随意に、カニューレは、アクセスポートのセプタムを穿刺する構造とすることができ、またチューブ部分およびカニューレは少なくとも約28kg/cm2(約400psi)の圧力に適応する構造とすることができる。例えば、チューブ部分およびカニューレは、約42kg/cm2(約600psi)の圧力に適応できる構造とする。
【0014】
本発明の他の態様は、患者の血管システムにアクセスするために使用する注入チューブに関する。ある実施形態では、注入チューブは複数の層を有し、チューブは少なくとも約1ml/秒の流速(流量率)に適応する構造とする。他の実施形態では、注入チューブは複数の層を有し、複数の層の少なくとも1層は、複数の層の少なくとも他の1層を越えて突出し、アクセスポートのセプタムを穿刺するカニューレを形成する構造とする。他の実施形態では、患者の皮下へアクセスするために使用する注入装置は、管腔を画定するチューブ部分と、チューブ部分の管腔に連通するカニューレとを有し、カニューレはアクセスポートのセプタムを通して挿入させる構造とする。加えて、チューブ部分およびカニューレは少なくとも約28kg/cm2(約400psi)の圧力に適応する構造とする。
【0015】
本発明の他の態様は、自動注入に適するアクセスポートであることを識別する方法に関する。とくに、セプタムを有するアクセスポートを設ける。さらに、アクセスポートは、自動注入に適すると識別できるものとする。
【0016】
本発明の他の態様は、患者に皮下のアクセスを提供するアクセスポートに関する。特に、アクセスポートは、セプタムを拘束する構造としたハウジングであって、前記セプタムは、ハウジング内に画定したリザーバ内にカニューレを挿通する構造にした該ハウジングと、リザーバ内に生じた圧力によるセプタムの変形に抵抗する構造とした少なくとも1個の構造素子とを有する。
【0017】
本発明の他の態様では、アクセスポートを動作させる方法は、リザーバ内に生じた圧力によりセプタムを拘束する構造としたハウジングを準備するステップであって、セプタムはハウジング内に画定したリザーバ内にカニューレ(針、ヒューバー針、カニューレに関連するトロカール、またはこれらの組み合わせのいずれか)を挿通するための構造とした該ハウジング準備ステップと、ハウジングのリザーバ内の圧力を上昇させるステップとを有する。さらに、このような方法は、リザーバ内に生じた前記圧力による前記セプタムの変形を制限するステップを有する。
【0018】
さらに、本発明の態様は、ゲルまたは粘性の液体を有するセプタムに関する。例えば、ある実施形態では、患者の皮下へのアクセスを提供するためのアクセスポートを形成するようハウジング組み付けるセプタムは、上面および下面を有する本体と、通常この上面と下面との間に配置する少なくとも1個のゲル領域とを有する構成とする。他の実施形態は、患者の皮下へアクセスを提供するためのアクセスポートを形成するようハウジングに組み付けるセプタムを有し、このセプタムが、本体と、本体の少なくとも一部上に形成する層と、層と本体との間に少なくとも部分的に配置するゲル領域とを有する構成とする。
【0019】
上述した注入装置および関する方法は、自動注入プロセスを実行するかまたは容易にするために有利に使用する。例えば、この方法および装置は、約1ml/秒〜約5ml/秒の範囲の流速で液体(例えば、造影剤)を注入するために使用する。
【0020】
上述した実施形態のいずれの構造も、本発明に関する互いの組み合わせを使用する。加えて、本発明の他の構造および利点は、当業者により、以下の説明と、添付図面、および請求の範囲の理解により明らかになるであろう。
【0021】
本発明の利点は、本発明による種々の実施形態(必ずしも寸法通りに描いていない)を示す、以下の詳細な説明と図面の理解から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の一態様は、血管アクセスポートに関する。特に、ある実施例では、本発明は、少なくとも約1ml/秒の液体流速(流量率)を調節するための血管アクセスポートを作ることを意図する。さらに、本発明は、セプタムおよびアクセスポートのハウジングで画定されるリザーバ内に生じる少なくとも約12.6kg/cm2 (180psi)の圧力に耐える血管アクセスポートを作ることを意図する。実施例では、アクセスポートは約5.6kg/cm2〜約12.6kg/cm2(約80psi〜約180psi)までの圧力の範囲内で動作するように構成する。このようなアクセスポートは、患者に液体を注入する(例えば、CTまたはMRモニタリングのために患者に造影剤を注入する)場合の使用に有利である。
【0023】
一般に、アクセスポートは、これらに限定されるものではないが、ヒューバー針と、外周に配置されたカニューレを有するトロカールまたはいずれかの他の適切なアクセス機構を含む、中空の細長素子(例えばカニューレまたは針)により繰り返し刺入または穿刺することのできるセプタムを拘束するハウジングを有する。本明細書で使用する”カニューレ”または”針”の用語は、当業界で既知であるか、または本明細書に記載するように、いかなる細長素子(例えば、カニューレ、針、外周に配置されたカニューレを有するトロカールなど)を含み、これらに限定されるものではない。このようなセプタムは、上述のアクセス機構を用いてセプタムを穿刺することより形成される通路を、適切な圧迫力の下で封止する材料(例えばシリコーン)を有する。したがって、セプタムは、アクセス機構を用いてセプタムを穿刺することにより形成される通路の閉止を容易にするように、少なくとも部分的に圧迫することができる。本発明は、アクセスポートのリザーバからの流速(流量率)が、ハウジングまたはセプタムを傷つけることなく、またはリザーバの構造的一体性を損なう(例えばセプタムがハウジングから分離する)ことなく、少なくとも約1ml/秒にすることができるようにするためのハウジングおよびセプタムを構成することを意図する。
【0024】
一実施例では、アクセスポートは、合体してハウジングを画定するキャップおよびベースを有し、このハウジングにセプタムを位置決めしてリザーバを形成する。例えば、図1および2の各々は、ベース56と、キャップ54と、セプタム80と、アウトレットステム70を有するアクセスポート50の分解斜視図および縦断面図である。図1および2に示すように、キャップ54およびベース56を、キャップ54とベース56との間にセプタム80を拘束するよう構成する。一般に、キャップ54およびベース56は連係して、セプタム80を拘束するハウジング60を形成し、少なくとも部分的にリザーバ66を画定する。さらに説明すると、キャップ54は、セプタム80の一部分が貫通できる開孔55を有し、ベース56は、少なくともセプタム80の部分を受け入れるよう構成された窪み57を有する。したがって、セプタム80の一部分をベース56の窪み57内に配置し、キャップ54の開孔55をセプタム80に配置することにより、連係してアクセスポート50内に、アウトレットステム70の管腔(ルーメン)に連通するリザーバ66を画定する構成とする。他の実施例では、複数のリザーバを、ハウジングおよび少なくとも1個のセプタムにより連係して画定することもできるが、これらに限定されるものではない。例えば、複数のリザーバ(または1個のリザーバ)を有する、当業界で既知のいずれのアクセスポートも、本発明のいずれかの態様に含まれるが、これらに限定されるものではない。図1に示す通り、アウトレットステム70の部分を、ベース56内に形成される開孔58内に位置決めし連結する。
【0025】
アクセスポート50はアウトレットステム70を有することを図1は示すが、他の実施例のアクセスポート50はアウトレットステム70を設けないようにすることもできる。したがって、図2はアウトレットステム70のないアクセスポート50を示す。すなわち、本発明は、アクセスポート50は随意にアウトレットステム70を有することができるかまたは他の構成にできることを意図する。例えば、ある実施例では、アウトレットステム70は必要に応じてベース56の部分として形成することもできる。他の実施例では、カテーテルをアウトステム70なしでアクセスポート50に(例えば開孔58に)動作可能に接続することができる。しかし、さらに他の実施例では、アクセスポート50は単に少なくとも1個の、リザーバ66と連通し、ハウジング60に貫通して、必要に応じて液体を流すことができる構造の出口路(例えば開孔58)を有するものとすることができる。図2に示す通り、セプタム80の一部分はキャップ54とベース56との間に位置決めされ、リザーバ66を危険にさらす程度まで損傷または変形させる(例えば破裂する)ことなく、リザーバ66内に生じる選択された圧力の大きさに耐えるよう構成する。
【0026】
例えば、図1および2に示す通り、キャップ54は随意で、セプタム80の端縁に隣接して形成する周方向リング状部30を有する。このリング状部30は、アクセスポート50のリザーバ66内に生じる圧力によるキャップ54の変形を防止するよう構成する。図3に示す通り、キャップ54の頂面図では、リング状部30はほぼ円形をなす。さらに、リング状部30はセプタム80の周縁の形状に適合する形状とするかまたはセプタム80の周縁とは異なる形状にすることもできる。さらに、リング状部30のサイズを、キャップ54の開孔55に隣接するキャップ54の領域に選択した剛性を与えるように、選択する。このような構成による、リザーバ66内に生じる圧力によるキャップ54の変形を防止することができる。例えば、図2に示す通り、横方向の厚さTLと、垂直方向の厚さTVまたはこの両方を、セプタム80の周縁に隣接する(例えば開孔55に隣接する)キャップ54の領域に選択した剛性を与えるように選択する。実施例では、アクセスポート50の全体的な高さH(図2)は、約15.24mm(約0.600インチ)以下とする。
【0027】
他の実施例では、リング状部30は、ほぼ長方形、ほぼ三角形、ほぼ長円形、ほぼ多角形、または他の幾何学的形状とすることができるが、これらに限定するものではない。例えば、図4は、ほぼ三角形のリング状部30の頂面図を示す。さらに、図5は、ほぼ矩形のリング状部30を示す。
【0028】
さらに説明すると、アクセスポート50のハウジング60は、生体適合性材料、例えばポリスルホン、チタンまたは他のいずれかの適切な生体適合性材料により構成する。キャップ54およびベース56を、ほぼ接合ラインに沿って互いに連結させ、固定するかまたは互いに付着させる。特に、実施例では、キャップ54およびベース56はチタンを有し、溶接、ろう付け、はんだで接合するか、または別の方法で互いに付着させる。このような構成により、キャップ54とベース56との間にセプタム80を拘束するための適切な機械的強度を提供することができ。随意で、キャップ54およびベース56を、少なくとも1個の締め付け素子(例えば少なくとも1個のボルト、少なくとも1個のねじ、少なくとも1個のリベット、その他)、少なくとも1個の接着剤または同様の結合機構の組み合わせにより、互いに結合することができる。同様に、ある実施例において、アウトレットステム70およびベース56は各々チタンを有し、溶接または別の方法により接着もしくは互いに結合する。
【0029】
さらに詳細に、図6は、患者67内に埋め込んだアクセスポート50を示す。ある実施例では、必要に応じて、患者67内にアクセスポート50を付着するために縫合糸を使用する。ハウジング60を患者67内に埋め込んだ後、セプタム80の上面は、患者67の表皮面76の表面と同一平面上にするまたは整列させ、患者表皮の外側からリザーバ66内への経皮通路を作るために繰り返し穿刺する。アウトレットステム70は、リザーバ66から、アウトレットステム70を通って、患者67内部へ突入する液体連通通路を作る。一般に、カテーテル73を、リザーバ66の液体の連通のためおよびリザーブ66から所望の遠隔部位の患者67の内部に液体を導入するために、アウトレットステム70に連結する。実施例では、カテーテル73を、アクセスポート50から少なくとも部分的に患者の大静脈内に突入させる。このような構成により、患者の心臓の近位に造影剤を注入することができる。例えば造影剤が有害性(例えば放射性または別の傷害性)を有する場合、患者の大静脈へ直接注入することにより、選択された撮像手順の実行に必要な造影剤の総量を減らすことができる。
【0030】
図6に示す通り、カニューレ90をセプタム80に挿通し、液体をリザーバ66内へ注入する。例えば、液体をリザーバ66内へ、リザーバ66内に圧力(例えば正圧)を生じさせる流量で注入する。例えば、図6において”PR”と付記した正圧は、リザーバ66内に生じて、リザーバ66を部分的に画定するセプタム80の部分に作用し、セプタム80の部分に作用するこのような圧力PRはセプタム80に力を生じさせる。同様に、圧力PRが作用するベース56の表面にも力が生じる。一つの実施例では、キャップ54はベース56と連結して、セプタム80を適切に配置する構造とし、セプタム80に働く力に対してハウジング60へセプタム80を連結させる。したがって、セプタム80と、キャップ54およびベース56は、圧力PRにより生じる付随の力適応できる構造とする。一つの実施例では、アクセスポート50は、リザーバ66の少なくとも約12.95kg/cm2 (約185psi)の圧力PRに(損傷を受けることなく)適応できる構造とする。他の実施例では、アクセスポート50は、リザーバ66に約2.59kg/cm2〜4.55kg/cm2(約37psi〜約65psi)の圧力範囲に(損傷を受けることなく)適応できる構造とする。
【0031】
さらに詳細には、自動(高圧)注入の間、液体の流れFは、カニューレ90を通って流れるように生じる。液体の流速すなわち、流量率(”F”で付記した矢印により図6に示す)は、少なくとも約1ml/秒とする。他の実施例では、液体流速Fは、約1ml/秒〜約5ml/秒の間とする。自動注入の間、カニューレ90内に生じる圧力Pi は少なくとも約2.1kg/cm2 (約30psi)である。したがって、カニューレ90は、上述の圧力と、流速(流量率)またはこれら両方に関連する力に耐える構造とする。さらに詳細に説明すると、カニューレは注入装置(例えば安全ウイング付注入装置/SWIS)の一部をなすかまたはアクセスポートおよび自動注入システムを伴う使用のための構造とした他の注入装置の一部をなす。
【0032】
特に、図7は、5ml/秒の率で液体を注入する間、アクセスポートと連通する注入装置(詳細は以下に述べる)を有する注入システム内の様々な場所で測定した圧力のグラフを示す。図7に示す通り、自動注入器のシリンジバレル内の圧力は、通常約18.55kg/cm2(約265psi)である。さらに、注入装置入口の圧力は、通常約15.75kg/cm2(約225psi)であり、アクセスポートのリザーバ内の圧力は、通常約2.8kg/cm2(約40psi)である。したがって、注入装置を通した圧力降下は約12.95kg/cm2(約185psi)になる。図7に示す通り、アクセスポートから突出するカテーテルの末端部の圧力は、通常0psiである。例えば、液体粘性、チューブ内径(すなわち内腔断面のサイズ)、流れ経路の長さおよび流速(流量率)などの多くの要因が、注入システムを通して液体を流す間に注入システム内(例えば注入装置、アクセスポートなど)に生じる圧力(および圧力降下)に影響する。したがって、図1〜図3に示すアクセスポート50の上記の内容から明らかなように、このようなアクセスポート50は、選択された流速(流量率)およびアクセスポート50のリザーバ66内に生じる関連圧力PRに適応する構造とする。
【0033】
他の実施例では、セプタム、ハウジングまたはこの双方は、機械的にセプタムの少なくとも一部を固定または拘束する構造とする。例えば、実施例では、セプタムは、ハウジングに設けた相補的な連結形状部により嵌合または連結する構成とした少なくとも1個の連結形状部を有する。例えば、雄および雌形状部(以下のものに限定するものではないが、例えば、リブ、フランジ、相互連結形状部、ほぞ‐ほぞ穴形状部、突起‐溝形状部、T字状部‐溝孔構造、あり継ぎ構造、スナップ嵌合構造、タブ‐スロット、または当業界で既知の他の連結形状部)は、セプタムに設けた少なくとも1個の連結形状部とハウジングに設けた少なくとも1個結形状部と相補的な構造を有するが、これに限定されるものではない。本明細書に記載する「ほぞ」は、継ぎ手形成のためにほぞ穴に少なくとも部分的に挿入する突出部を意味する。本明細書に記載する「ほぞ穴」は、継ぎ手形成のために少なくとも部分的にほぞを収容する材料内に形成する窪み、穴、溝または溝孔を意味する。
【0034】
通常、実施例では、セプタムは、ハウジングに含まれる相補的なほぞ穴領域に連結するための少なくとも1個のほぞ領域(すなわち少なくとも1個の連結形状部)を有する。したがって、ハウジングは、セプタムのほぞ領域の少なくとも一部を収容するための窪み(すなわち少なくとも1個の相補的な形状部)を有する。例えば、図8は、ほぞ領域270を有するセプタム180の実施例の断面図を示す。ほぞ領域270は部分的に、半径方向に距離が増加するにしたがって(すなわち、セプタム180の中心軸からの半径方向の距離に比例して、言い換えればキャップ154のリム159からベース156の側面157の方向に向かって)、高さ(すなわちセプタム180の下面183から測った高さ)が増加するセプタム180のテーパー面187を有する。したがって、図8に示す通り、(ほぞ領域270の半径方向に最内側の領域で測定した)セプタム180の高さCGMINは、(ほぞ領域270の半径方向に最外側の領域で測定した)セプタム180の高さCGMAXより小さい。さらに、ほぞ領域270は、セプタム180の連続周縁形状部(すなわち環状形状部)をなすか、または1個以上の周方向に互いに分離した個別領域を有するが、これらに限定されるものではない。さらに、図8に示す通り、(キャップ154およびベース156を有する)ハウジング160は通常、ほぞ領域270の少なくとも一部を収容するための相補的なほぞ穴領域(すなわち環状に延在する窪み)を画定する。特に、相補的なほぞ穴領域は、ベース156の側面157、ベース156の下面の端縁273およびキャップ154のテーパー状面172により画定ことができる。このような構成により、選択された最大圧力がアクセスポート150のリザーバ166内に生じた場合にも、ハウジング160のほぞ穴領域内のセプタム180のほぞ領域270の一部を固定、拘束または保持することができる。
【0035】
他の実施例では、アクセスポートは、複数のテーパー状面を有するほぞ領域を有するセプタムを含む。例えば、図9は、テーパー面187、テーパー面189およびテーパー面191を含むほぞ領域270を有するセプタム180の縦断面図を示す。さらに、図9に示す通り、ハウジング160は通常、ほぞ領域270の少なくとも一部を収容するために、テーパー状の窪みによる相補的なほぞ穴領域を画定する。特に、相補的なほぞ穴領域を、ベース156の側面157、ベース156の下面の端縁273、キャップ154のテーパー面172、ベース156のテーパー面193およびキャップ154のテーパー面195により、ハウジング内に画定することができる。このような構造により、選択された最大圧力がアクセスポート150のリザーバ166内に生じた場合にも、ハウジング160のテーパー状の窪み内にセプタム180のほぞ領域270の少なくともいくつかを固定、拘束または保持することができる。
【0036】
要約すると、セプタムの一部は通常、ハウジング内に形成する相補的なほぞ穴領域に連結する少なくとも1個のほぞ領域を有する。他の実施例では、ハウジングの少なくとも一部は通常、セプタム内に形成する相補的なほぞ穴領域に連結するためのほぞを有する。上述した通り、ほぞ領域およびこれと相補的なほぞ穴領域は1個以上のテーパー状面を有する。他の実施例では、ほぞ領域およびこれと相補的なほぞ穴領域は、Tみぞまたは他の非テーパー形状を有するが、これに限定されるものではない。例えば、図10は、ほぞ領域270を有するセプタム180を含むアクセスポート150の実施例の縦断面図を示す。さらに、相補的なほぞ穴領域を、ほぞ領域270の少なくとも一部を収容するためにハウジング160内に画定する。図10に示す通り、ほぞ穴領域を、ベース156の環状拡張部または突部203により画定する。このような構造により、予想される最大圧力がリザーバ166内に生じた場合にも、ハウジング160内のセプタム180のほぞ領域270における少なくとも一部を固定、拘束または保持し、また適切にリザーバ166を封止することができる。さらに、図8〜図10に示すいかなるほぞ領域およびほぞ穴領域の実施例も、これらに限定されるものではないが、拡張部、隆起部、突部、窪み、溝、溝孔等で説明することができると理解されたい。
【0037】
本発明が意図する他の態様は、セプタムの端縁の少なくとも一部をハウジングに連結または付着する手法に関する。このような形態により、少なくとも約1ml/秒の流速(流量率)で液体を注入するアクセスポートを使用する間、アクセスポートの一体性を保つことができる。例えば、実施例では、セプタム周縁の側面の少なくとも一部を、ハウジングの少なくとも一部へ付着する。図11は、ハウジング60に隣接するセプタム80の周縁の少なくとも一部を、セプタム80に隣接するキャップ54およびベース56の片方または両方に付着したアクセスポート50の縦断面図を示す。特に、図11に示す通り、(キャップ54およびベース56に隣接する)セプタム80の周縁は、上側側面領域97と、上側環状領域93と、下側環状領域91および下側側面領域95を有する。したがって、実施例では、接着剤(すなわち、膠、エポキシ、セメント、テープまたは当業界で既知の他の接着剤)は、上側側面領域97と、上側環状領域93と、下側環状領域91および下側側面領域95の少なくとも一部を、キャップ54またはベース56にそれぞれ接着する。このような形態により、セプタム80をハウジング60へ固定することができ、自動注入のために適切な比較的強固なアクセスポート50を提供することができる。当然のことながら、さらに、セプタムの周縁領域の少なくとも一部を付着することは、(セプタムまたはハウジングのどちらかの)ほぞ領域の少なくとも一部を(ハウジングまたはセプタムのどちらかの)ほぞ穴領域へ付着することを含むが、これらに限定されるものではない。
【0038】
上述した通り、セプタムの変形は、アクセスポートを介した自動(高圧)注入の実施に関して、設計時の検討事項である。さらに、本発明の一態様では、選択された規模を超える変形に対して構造的に補強するかまたは別の方法で制限するセプタムに関する。特に、本発明は、アクセスポートのチャンバまたはリザーバ内に生じた圧力によるアクセスポート内のセプタムの変形を、すくなくとも1個の構造素子により防止するかまたは制限する構造とすることを意図する。セプタムの変形を制限する少なくとも1個の構造素子を有するアクセスポートのいくつかの実施例が、2005年11月15日付けで出願された米国特許出願第60/737,466号に開示されており、この参考を本出願に付記する。米国特許出願第60/737,466号に記載のいずれアクセスポートも、自動注入器用に構成することができる。
【0039】
実施例では、本発明は、セプタムを非周縁領域でハウジングに構造的に連結することを意図する。言い換えれば、本発明の一態様では、アクセスポートのハウジングにセプタムの非周縁部位を連結することに関する。例えば、図12は、リザーバ66を形成するセプタム120を拘束するキャップ54およびベース56を有する、本発明によるアクセスポート110の実施例を示す。随意に、キャップ54は、上述の通りセプタム周縁に近接するリング状部を有する。加えて、アウトレットステム70により、液体をリザーバ66に連通させて注入または液体抽出プロセスを実行することができる。図12に示す通り、構造素子112がセプタム120とハウジング60との間に延在する。特に、構造素子112は通常、セプタム120の下面121からベース56の上面165まで延在する。したがって(正/負の)圧力がリザーバ66内に生じた場合、構造素子112により、セプタム120の下面121のベース56の上面165に向かうまたは遠ざかる偏向または変形を防止する。通常、構造素子は、1個以上の選択された方向(すなわちベース56の上面165に向かうかまたは遠ざかるか)に関するセプタムの変形を防止する。
【0040】
通常、構造素子(例えば、構造素子112)は、少なくとも1個のワイヤ、少なくとも1個のピンもしくは柱状素子、または少なくとも1個のフィラメントにより構成することができるが、これらに限定されるものではない。このような構造素子は、チタン、スチール(例えば、ステンレススチール)、ポリマー(例えば、デルリン[登録商標]、ナイロン、ポリエステル、ケブラー[登録商標]、(発泡および非発泡の)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン等)、または当業界で既知の他の材料により構成することができる。他の実施例では、構造素子は、繊維補強マトリクスのような複合材料により構成する。実施例では、構造素子は、シリコーンマトリクス内に分散配置または整列させたファイバー(ガラス、カーボン等の繊維)により構成する。
【0041】
さらに、構造素子112を、接着剤、溶接、スナップ嵌合、セプタム120の構造素子112の一部の周りにおける成形、逆にセプタム120内への構造素子112の一部の埋め込み、または他の適切な方法により、セプタム120に連結する。同様に、構造素子112を、接着剤、溶接または構造素子112の一部をベース56内に埋め込むことにより、ベース56に連結する。随意で、構造素子112の弾性係数はセプタム120の弾性係数を超える値となるようにすることができることも理解されたい。このような形態により、構造素子112は(例えば「自動(高圧)注入」プロセス中に)リザーバ66内に生じた圧力によるセプタム120の変形を防止することができる。
【0042】
図13は、構造素子112の他の実施例を有する本発明によるアクセスポート110の縦断面図を示す。特に、図13に示す通り、構造素子112は、セプタム120内に少なくとも部分的に位置決めした矢尻状端部116を有する。このような形態により、構造素子112をセプタム120へ連結させ、リザーバ166内に生じた圧力によるセプタム120の変形を防止することができる。さらに、図13に示す通り、構造素子112の矢尻状端部116は、随意に先のとがったものにすることができる。さらに、矢尻状端部116の尖端は、セプタム120の上面123に指向する。このような構造により、セプタム120に挿通し、矢尻状端部116に接触したカニューレをそらし、カニューレが構造素子112から離れる方向に転向させることができる。随意に、他の実施例では、構造素子112をベース56を貫通させて、ベース56の下面113に接着させる。
【0043】
アクセスポートの他の実施例では、構造素子はセプタムを貫通する。例えば、図14は、セプタム120の下面121からセプタム120の上面123に貫通する構造素子112を有するアクセスポート110の縦断面図を示す。図14に示す通り、構造素子112はベース56の上面165までも延在し、機械的にセプタム120をハウジング60に連結する。随意に、構造素子112は、セプタム120内に配置しセプタム120をハウジング60に連結する構造とした少なくとも1個の矢尻状部を有することができる。さらに、構造素子112を、必要に応じてセプタム120の上面123および下面121の少なくとも1個に接着することができる。当然のことながら、セプタム120の上面123を機械的にハウジング60へ連結することは、リザーバ66内に生じた圧力によるセプタム120の変形を防止するのに役立つ。
【0044】
さらに本発明は、構造素子を、セプタムの上面の選択された領域上に延在する支持素子と組み合わせて使用することも想定している。このような支持素子は、セプタムの上面に隣接して配置し、(例えばセプタムが変形した場合に)選択された面領域にセプタムの上面を接触させる構造とする。例えば、図15は、ハウジング60からセプタム120の上面123まで延在する構造素子112を有するアクセスポート110の縦断面図を示す。さらに、構造素子112は、セプタム120の上面123に隣接して配置する支持素子114に連結する。このような形態によれば、支持素子114とセプタム120の上面123との間に選択された量の接触領域を提供することができる。支持素子114とセプタム120との間のこの種の選択された接触領域は、リザーバ66内に圧力が生じた場合にこの圧力を選択された領域またはセプタム120の領域に分散することにより、セプタム120内の有害な高圧力を減らすことができる。加えて、支持素子114は(例えば視覚または触覚により)観測可能であるため、セプタム120を貫通させてカニューレを挿入する場合に回避することが可能である。さらに、支持素子114を自動注入可能であるポート110を認識するのに使用することもできる。
【0045】
アクセスポートの他の実施例では、構造素子は、セプタムの変形を防止するためにアクセスポートのハウジングに接着されるセプタムの一部を有する。例えば、図16は、ハウジング60へ連結した突出脚部124(すなわち構造素子)を設けたセプタム120を有するアクセスポート110の縦断面図を示す。とくに、図16では、突出脚部124は、通常、セプタム120の下面121からベース56の上面165まで延在する。突出脚部124は、ベース56の上面165に接し、接着する。このような形態により、リザーバ166内に生じた圧力によるセプタム120の変形を防止することができる。実施例では、突出脚部124は、セプタム120の下面121に関してほぼ中心にある(すなわち、下面121のほぼ重心に位置する)。突出脚部124をセプタム120の下面121に関して中心に配置することは、他のどの突出脚部の配置よりも大幅に、セプタム120の下位面121の変形を防止する。さらに、図16が突出脚部124を示す場合に、本発明は、少なくとも1個の突出脚部(すなわち1個以上の突出脚部)がセプタム120から突出しまたは連結することを意図しているが、これらに限定されるものではない。他の実施例では、少なくとも1個の突出脚部を、締まり嵌めまたはいわゆる「スナップ嵌合」により、アクセスポートのハウジングに連結する。特に、図17に示す通り、突出脚部124は、ベース56に形成した窪み155内に嵌合する構造とした球根状または球状の端部125を有する。窪み155は、ベース56の上位面165に形成した球状端部125の最大直径より小さい開口部を有し、球状端部125をこの開口部に嵌合し、窪み155の一部へ「スナップ動作」で嵌合することができる。随意で、突出脚部124は、(例えば、接着剤による付着、溶接、ピン留めまたは他の適切な方法によるベース56内に形成した窪み155への付着により)付着させることができる。このような形態により、セプタム120をアクセスポート110のベース60へ連結することができ、リザーバ66内に生じた圧力によるセプタム120の変形を防止するかまたは制限することができる。
【0046】
本発明の他の態様は、セプタムの上面の少なくとも一部をその変形内に拘束するかまたは制限することを意図する。実施例では、少なくとも1個の構造素子を、構造素子に向かう方向のセプタムの変形を制限するために、セプタムの上面上にまたは隣接して配置する。言い換えれば、少なくとも1個の構造素子が、セプタムの上面の少なくとも一部上にまたは隣接して側方に延在する。例えば、図18は、セプタム130の上面133に隣接して配置する構造素子132およびセプタム130を有するアクセスポート110の縦断面図を示す。随意で、構造素子132を、セプタム130の上面133に結合または付着することができる。構造素子132は、リザーバ66から通常離れる方向におけるセプタム130の変形を防止する構造とする。実施例では、構造素子132は、セプタム130の上面133をほぼオーバーレイするかまたはカバーする。随意で、構造素子132を、少なくとも部分的にセプタム130内に組み込むことができる。実施例では、構造素子132はカニューレ(例えば針)により穿刺可能とする。他の実施例では、構造素子132は、セプタム130の上面133の選択した部分(すなわち少なくとも一部)をカバーし、カニューレをセプタム130の上面133に挿入することができる開口部または開孔を構造素子132に形成することができる。随意で、構造素子132の弾性係数をセプタム130の弾性係数より大きくし、セプタム130の変形を構造素子132により選択された大きさに抑制することができる。さらに、図18に、構造素子132のほぼ均一な厚さ(「t」と付記)を示すが、本発明は構造素子132の厚さ「t」は変動するものも意図し、これらに限定されるものではない。例えば、構造素子132の厚さ「t」は、セプタム130の上面133の重心の近傍で最大となるようにする。さらに、図18に示す通り、構造素子132は、キャップ54とセプタム130との間に配置することができる。構造素子132を、必要に応じて、キャップ54およびセプタム130の片方または双方に付着することができる。例えば、構造素子132をキャップ54およびセプタム130の片方または双方に、接着剤による付着、溶接、機械的固定または別な方法で適切に連結することができる。さらに、構造素子132は、金属(例えば、チタン、スチール等)と、ポリマー(例えば、デルリン[登録商標]、ポリウレタン、ナイロン等)または他の適切な材料により構成することができる。他の実施例では、以下に記載する通り、構造素子132は比較的密に織成した織物により構成し、(身体の内腔に接触する可能性のある配置の場合に)組織の内増殖を防止する。他の実施例では、構造素子132はほぼやわらかいかまたは圧縮可能なポリエステルにより構成し、(身体の内腔に接触する可能性のある配置の場合に)アクセスポート110のセプタム130に挿通するカニューレにより生ずる穿刺部における組織癒合を促進する。
【0047】
他の実施例では、本発明は、少なくとも1個の構造素子をセプタム内に少なくとも部分的に組み込み、セプタムの少なくとも一部に側方に延在させることを意図する。例えば、図19は、セプタム120に、側方に(すなわち、セプタム120により閉じるハウジング60内の開口部全体に)延在する構造素子140およびセプタム120を有するアクセスポート110の縦断面図を示す。図19に示す通り、構造素子140をハウジング60(例えば、キャップ54またはベース56)へ添着する。特に、図19に示す通り、構造素子140を、連結領域147および143でキャップ154に付着する。加えて、選択されたレベルの圧力が構造素子140内に生じるため、必要に応じて、所望のレベルのセプタム120の変形耐性(すなわち可撓性)を提供する必要がある。このような形態により、構造素子140の延在方向に通常直交する方向に、所望の度合いのセプタム120の変形耐性を提供することができる。
【0048】
他の実施例では、セプタムの変形を制限するために、構造素子を上面に近接して配置する。例えば、図20は、ハウジング60内に配置したセプタム130とセプタム13の上面133に近接して配置した構造素子150とを有するアクセスポート110の縦断面図である。図20に示す通り、構造素子150は、セプタム130の上面133の少なくとも一部の側方に延在する。したがって、構造素子150により、セプタム130は構造素子150と接触する前に、選択された距離(例えば、「G」と付記した部分)だけ変形可能である。さらに、構造素子150はキャップ54に付着し、セプタム130と構造素子150との間の接触に応じて選択された大きさの可撓性を示すように選択的に張力をかける。実施例では、構造素子150の可撓性またはバネ定数は、リザーバ66内に生じた圧力に応じて、セプタム130の大きな可撓性またはバネ定数を超える値を示す。
【0049】
他の実施例では、構造素子を、セプタムの変形を制限するためにセプタムの下面に近接または当接して配置する。例えば、図21は、ハウジング60内に配置したセプタム120とセプタム120の下面121に近接して配置した構造素子170とを有するアクセスポート110の縦断面図を示す。図21に示す通り、構造素子170は、セプタム120の下面121の少なくとも一部で側方に延在する。さらに、構造素子170は下面121に付着させるかまたは別の方法でセプタム120の下面121に連結する。従って、構造素子170はセプタム120の変形を防止する。さらに、構造素子170は、セプタム120の変形を適切に防止するために、ベース56へ付着する(さもなければハウジング60へ連結する)。随意で、構造素子170は、構造素子170にかかる力に応じて、選択された可撓性を示すように選択的に張力をかけることができる。随意で、構造素子170の可撓性またはバネ定数は、セプタム120の大きな可撓性またはバネ定数より大きくすることができる。
【0050】
図18〜図21につき説明すると、構造素子132、140、150または170は、いくつかの実施例で、例えばワイヤ、リボン、スレッド、ファイバー、柱状素子などのような細長素子により構成することができると理解されたい。したがって、このような少なくとも1個の細長素子を、セプタムの上面に隣接または近接して選択したパターンに配置する。さらに、実施例では、セプタムの下面に近接または当接するか、セプタムの上面に近接または当接するよう配置した構造素子は、メッシュ(例えば、金属またはプラスチックメッシュ、織物、ファイバーメッシュなど)により構成することができる。例えば、実施例では、構造素子は、互いに封止するファイバーまたはスレッド(例えば、シリコーンで被膜したファイバーまたはスレッド)による織物で構成することができる。この種の構造により、カニューレが織物を貫通し、織物がカニューレに対して封止することができ、しかしカニューレを取り外した場合にもファイバーまたはスレッドは互いに封止させることができる。加えて、本発明に基づいて、図18〜図21に示す構造素子132、140、150または170を、様々な構成に配置可能であることを理解されたい。
【0051】
例えば、図22は、図18〜図21に示すアクセスポート110の実施例の頂面図を示し、これらの構造素子132、140と、150または170は、通常三角形の形状またはパターンをなすよう構成する。他の実施例として、図23に、図18〜図21に示すアクセスポート110の頂面図を示し、構造素子132、140、150、170は、2個の部分的に交差する通常矩形の形状またはパターンに構成する。さらに他の実施例として、図24に、図18〜図21に示すアクセスポート110の頂面図を示し、構造素子132、140、150、170は、第1の複数のほぼ平行なラインおよび第2の複数のほぼ平行なラインを有するパターンに構成し、この第1の複数のほぼ平行なラインは第2の複数のほぼ平行なラインに対してほぼ直交する構成とする。他の実施例として、図25に、図18〜図21に示すアクセスポート110の頂面図を示し、この構造素子132、140、150、170は、互いに交差する2本のほぼ直線(すなわち線状)の部材を有するパターンに構成する。図25に示す通り、構造素子132、140、150、170は、互いにほぼ直交する構成となる。図22〜図25に示す通り、構造素子132、140、150、170を、選択された連結領域でキャップ54に固着する。このような形態は、セプタムの変形を制限する度合いを変化可能とし、一方でカニューレ(例えば、針)による穿孔のために、セプタム表面への十分なアクセスを可能にする。
【0052】
他の実施例では、本発明は、構造素子を少なくとも部分的にセプタム内に組み込んでおり、セプタム内に二次元的なまたは平面的の形状、構成または形態(例えば、円、楕円、三角形、矩形など)をとることを意図する。例えば、図26は、セプタム120内に延在する構造素子141およびセプタム120の部分頂面図を示す。さらに詳細に、図27には、セプタム120内に埋設した構造素子141を有するセプタム120を断面に切ったものの斜視図である。図26および27に示す通り、この実施例では、構造素子141は、ほぼ円形である。さらに一般的には、必要に応じて、1個以上の構造素子141を少なくとも部分的にセプタム(例えば、上述したセプタム120または130)内に埋設する構成とする。例えば、複数の構造素子141をセプタム120内に埋設し、図28の部分頂面図に示す通り、互いにほぼ同心状に配置する構成とする。構造素子141は、(図26〜図28に示す通り)通常細長く、さらに一般的にはセプタム120の変形を防止する構造とする形状およびサイズを示すが、これらに限定されるものではない。したがって、1個以上の構造素子141が、たとえば、截頭円錐形、半球状、または別の形状としたワッシャまたはディスクで実施することができることを良く理解されたい。他の実施例では、少なくとも一個の構造素子141は、通常、円環状に形成する。さらに、少なくとも1個の構造素子141は、セプタム120の変形に対して所望のレベルの耐性(例えば、可撓性)を付与するために、少なくとも1個の選択された特性(例えば、選択されたサイズ、形状、弾性、強度など)を示す。このような形態により、アクセスポートのリザーバ内に生じた圧力によるセプタム120の変形に対して選択されたレベルの耐性を与えることができる。
【0053】
本発明の他の実施例では、セプタムは、アクセスポートのリザーバ内に生じた圧力による変形を防止する曲率を有する。例えば、図29は、ほぼ凹状の上面123とほぼ凸状の下面121とを有するセプタム120を示す。さらに説明すると、ほぼ凹状の上面123およびほぼ凸状の下面121を、外力のかかっていない状態(すなわち圧力のかかっていない平衡状態)におけるセプタム120で示す。このような形態により、ハウジング60の上面を超えて変形しないようにセプタム120の上面123は(すなわち、セプタム120の変形を介して)強制的に平らになるため、アクセスポート110のリザーバ66内に生じた圧力による変形に対してセプタム120の耐性を与えることができる。他の実施例では、セプタムを(例えば、ほぞおよびほぞ穴型連結またはセプタムとハウジングとの間における他の周縁の連結形状部により)圧縮し、セプタムをハウジング内に組み込む際のセプタムの曲率を減らすかまたは排除する。しかし、このような形態により、セプタムの大きな可撓性またはバネ定数を増加させる。随意で、(上述した)構造素子を、セプタム内またはセプタム表面に有することができ、外力のかかっていない状態で凹状または凸状を示すように製造することもできる。このような形態は、ハウジングに連結してセプタムの変形に対する耐性を高める場合に、セプタム内の有利な圧縮応力フィールドを容易にする。
【0054】
他の構造では、セプタムは、構造フレームまたは骨組、およびカニューレにより作られる穿刺を封止する構造としたより柔軟な材料を設けることができる。詳細には、フレームは、少なくとも約80のショアA硬度の材料により構成する。随意に、フレームには、フレームを剛性化するまたは強化する複数のウィスカ、ファイバーまたは粒子を設けることができる。実施例では、ナイロンファイバー、バリウム硫酸塩などを、フレーム内に分散する。さらに、この種のフレームは、少なくとも部分的に、約50またはそれ以下のショアA硬度(例えば、約40〜約50のショアA硬度)を示すより柔軟な材料により包囲する。図30は、リング181および185と同様に、ほぼ共通の原点または領域から延在する複数のスポーク179を有するフレーム178の頂面図を示す。図30に示す通り、リング181および185の1個または双方との組み合わせによりスポーク179は、開孔188を形成する。本発明によれば、カニューレの貫通により生ずる穿刺部を封止する構造とした比較的柔軟な材料により、少なくとも部分的にフレーム178を包囲する。例えば、図31は、フレーム178およびフレーム178を部分的に形成する他の材料190を有するセプタム177の縦断面図を示す。したがって、材料190は、ほぼスポーク179を包囲し、開孔188内に延在させる。さらに、図31に示す通り、リング181は、セプタム上面191およびセプタム下面193と同様に、(上述した)ハウジングに連結するためのほぞ領域270を形成する。図31を参照すると、使用中、カニューレは、材料190の連続的な上層および材料190の連続的な下層に貫通することができる。このような形態により、セプタム177に適切な封止能力を提供することができる。多くの変更が本明細書の記載からなされることは、よく理解されたい。例えば、図32および33は、フレーム178と少なくとも部分的にフレーム178を包囲する他の材料190とを有するセプタム177の様々な実施例の縦断面図を示す。したがって、フレームおよびフレームを少なくとも部分的に包囲する材料は、弓状またはほぼ平面状を示し、選択された厚さを形成し選択された材料(例えばシリコーンなど)を有することができる。
【0055】
本発明によるセプタムの他の態様では、セプタムは放射線不透過性の材料を有し、X線をセプタムに投射した場合に選択されたパターンを形成する構造とすることができる。例えば、図34および35は、セプタム内の放射線不透過性の材料により形成するパターン199の線図的説明図を示す。このような形態は、特定の自動注入プロセスに適応できるアクセスポートであることを認識できるため、またはアクセスポートのセプタムの位置を認識するために有利である。
【0056】
本発明はさらに、少なくとも約1ml/秒の流速(流量率)で液体を注するアクセスポートと組み合わせて使用するいずれの注入装置またはデバイスも、本発明に従って構成できることを意図する。例えば、血管アクセスポートにアクセスする注入装置は、アクセスポートのセプタムを穿刺するための針またはカニューレと、注入装置へ連結する末端部、およびカニューレと末端部との間に延在するチューブ(例えば、少なくとも1個のチューブ部分)を有する。通常、注入装置を構成するいずれのコンポーネントも、選択された流速(流量率)および選択された流速(流量率)により生じた関連圧力に耐える構造とする。
【0057】
図36は、ベース部材340、カニューレ350、チューブ部分314、およびコネクタ312を有する注入装置310の実施例を示す。チューブ314は、コネクタ312およびベース342へ、通常各々継手313および339で、固着するかまたは別の方法で連結する。また、図36に示す通り、クランプ装置316は、チューブ314を通る液体の流れを許可または遮断する適切な構造とする。さらに、ベース部材340、カニューレ350、チューブ部分314、およびエンドコネクタ312の各々は、注入装置310を通して少なくとも約1ml/秒の流速(流量率)を調節する構造とする。さらに詳細には、チューブ部分314は、損傷をうけることなく少なくとも約14kg/cm2(約200psi)の圧力に耐える十分な強度を示す。随意に、チューブ部分314は、損傷を受けることなく少なくとも約21kg/cm2(約300psi)の圧力に耐える構成とすることもできる。さらに、注入装置がバーストする部分の圧力(すなわち注入装置310のバースト圧力)は、少なくとも約28kg/cm2(約400psi)であり、随意に、このバースト圧力を少なくとも約42kg/cm2(約600psi)とすることもできる。実施例では、チューブ部分314は、ほぼ光学上透明かまたは少なくとも部分的に透明とする。ある実施例では、通常、チューブ部分314は、TECOTHANE(登録商標)のようなポリマーにより構成する。さらに詳細には、チューブ部分は、TECOTHANE55Dのようなポリマー、またはTECOTHANE95Aのようなポリマーにより構成する。例えば、チューブ部分314が約1.22mm±0.076mm(約0.048インチ±0.003インチ)(すなわち、19GA)の内径(すなわち、内腔)を有する場合、チューブ部分314は、TECOTHANE55Dのようなポリマーにより構成する。他の実施例では、チューブ部分314が約1.04mm±0.076mm〜約0.86mm±0.076mm(約0.041インチ±0.003インチ〜0,034インチ±0.003インチ)(すなわち、各々20GAまたは22GA)の内径(すなわち、内腔)により構成し、チューブ部分314は、TECOTHANE95Aのようなポリマーを有する。随意で、TECOTHANE型材料のようないずれのポリマーも、少なくともほぼ、例えばジ(2−エチルヘキシル)フタレート(”DEHP”)のような、可塑剤を含まない構成とすることができる。ある実施例では、コネクタ312をポリ塩化ビニル(”PVC”)により構成し、随意に、少なくともほぼ可塑剤を含まない構成とする。上記で開示した材料は単なる実施例であり、より一般的には、チューブ部分314、コネクタ312、ベース部材340およびカニューレ350は、堅牢で効果的な注入装置310を提供するために適切ないずれかの材料(例えば、熱可塑材、ポリウレタン、金属など)により構成する。
【0058】
注入装置310の使用中、機械的注入器を、固定構造311を介してコネクタ312へ動作可能に連結することができる。例えば、固定構造は、ルアー型の連結か他の液体連通構造を有する。したがって、液体は、注射装置を介して少なくとも約1ml/秒の流速(流量率)で注入器を通って流れる。上述した通り、注入装置310を通した圧力降下は少なくとも約7kg/cm2(約100psi)であり、随意に、注入装置310を通した圧力降下を少なくとも約12.95kg/cm2(約185psi)とすることができる。
【0059】
他の実施例では、注入装置は2個のコネクタを有する。ある構造では、1個のコネクタは自動注入を実行する構造であり、別のコネクタはシリンジアクセスを可能にする構造とする。例えば、図37は、ベース部材340、カニューレ350、チューブ部分324、中間コネクタ322、チューブ部分314およびエンドコネクタ312を有する注入装置309を示す。チューブ314は、コネクタ312および322に、通常、継手313および323で各々固着するかまたは別の方法で連結する。同様に、チューブ324は、コネクタ322およびベース部材340に、通常、継手325および329で各々固着するかまたは連結する。注入装置309は、注入装置310に関する上述通りの流速(流量率)および圧力のための構造とする。したがって、チューブ部分314および324は、材料(例えば、TECOTHANEであり注入装置310に関する上述のサイズのようなポリマー)により構成するが、これに限定されるものではない。同様に、コネクタ312および322は、注入装置310に関する上述のいずれかの材料(例えば、PVC)により構成するが、これに限定されるものではない。図37に示す通り、クランプ装置316は、チューブ314を通した液体の流れを許可するかまたは遮断する適切な構造とする。同様に、クランプ装置326は、チューブ324を通った液体の流れを許可するかまたは遮断する適切な構造とする。さらに、コネクタ312は、注入器にコネクタ312を脱着可能に固着または連結するため、固定構造311(例えば、ルアー型連結部、別のスレッド型連結部、または当業界で既知の他のいずれかの固定構造)を有する。また、コネクタ322は、注入器にコネクタ322を脱着可能に固着または連結するため、固定構造321(例えば、ルアー型連結部、別のスレッド型連結部、または当業界で既知の他のいずれかの固定構造)を有する。
【0060】
ある実施例では、通常、コネクタ322にキャップを装着したまま、コネクタ312を自動注入することができるようにすることを意図する。他の実施例では、バルブ機構は、コネクタ322からの漏れを防止する一方で、コネクタ312を通った液体の流れを介してチューブ部分314および324を通る流れを選択的に許可する。さらに、注入装置309を自動注入のために使用しない場合、セプタムを有するキャップを、コネクタ322、コネクタ312、またはこの双方に連結する。このような形態により、シリンジをセプタムに穿刺することができ、薬剤注入または血液サンプルの採取が可能になる。このような形態により、自動注入器用とシリンジアクセス用と各々分離したコネクタを有する簡便な注入装置を提供することができる。
【0061】
本発明が意図する他の形態では、自動注入器との連結に使用するチューブは、(例えば、自動注入の)使用中、選択された圧力に耐える構造であり、随意に、捻転にも耐える構造にすることができる。通常、本発明は、チューブが複数の層を有することを意図する。ある実施例では、チューブは比較的高い強度の層を有しており、少なくとも1個の比較的可撓性のある層を有する。したがって、チューブの層は、PTFEと、ポリプロピレンと、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」)と、ポリイミドシリコーン、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、 ペルフルオロアルコキシ(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリウレタン(例えば、ISOPLAST[登録商標]、TECOFLEX[登録商標]、TECOTHANE[登録商標]、CARBOTHANE[登録商標]、TECOPLAST[登録商標]またはTECOPHILIC[登録商標]等の熱可塑性ポリウレタン)、またはこれらの組み合わせにより構成する。ある実施例では、層は1個以上の隣接する層と結合することができる。他の実施例では、各々の層は1個以上の隣接する層に関して移動可能かまたは摺動可能にすることができる。
【0062】
例えば、図38および39は内側層420と外側層422とを有するチューブ401の縦断面図および横断面図を示す。通常、内側層420および外側層422のうち少なくとも一方は、比較的高い強度のものとし、内側層420および外側422のうち他方を比較的可撓性のあるものとする、またはその逆にすることもできる。ある実施例では、内側層420は、比較的高い強度を示し、例えばPEEK、ULTEM[登録商標]、ポリミド等により構成する。さらに、外側層422は、比較的可撓性とし、例えばFEP、PTFE、PRBAX[登録商標]、ETFE、シリコーン等により構成する。逆に、外側層422は、比較的高い強度を有するものとし、例えばPEEK、ULTEM、ポリミドなどを有し、一方で内側層420は、比較的可撓性とし、例えばFEP、PTFE、PRBAX、ETFE、シリコーンにより構成する。さらに、随意に、チューブは、ある弾性係数を示す第1層と第1層より小さい弾性係数を示す少なくとも別の層とにより構成することができる。例えば、比較的高い強度の材料は、少なくとも約2,8000kg/cm2(約400,000psi)の弾性係数を示す。さらに、比較的可撓性のある材料は、27,300kg/cm2(390,000psi)未満の弾性係数を示すものとする。他の実施例では、層420および層422のうち少なくとも一方は、複合材料(例えば、粒子またはファイバー補強材を有する複合材料)により構成する。例えば、ある実施例では、チューブは、グラスまたはカーボンの補強ファイバーまたは粒子を有するポリウレタンまたはPTFEにより構成する。ある実施例では、層420と422の各々は、1個以上の隣接する層に関して移動可能であるかまたは摺動可能とする。このような形態は、チューブを損傷することなく、選択された内圧に耐えることができ、捻転にも耐性をもつ。
【0063】
他の実施例では、補強素子は、チューブを構成する複数の層の少なくとも1個の層内に組み込まれる。例えば、図40は、内側層430および外側層432を有するチューブ403の縦断面図を示す。随意に、少なくとも1個の補強素子434を、いずれかの層またはチューブを構成する複数の層内に組み込むことができる。図40に示す実施例では、補強素子434はコイルにより構成する。当業者には、例えば、少なくとも1個の補強素子はメッシュ(例えば、ワイヤメッシュ、ファブリック、ファイバーメッシュなど)により構成することができ、また多くの変更を施しうることは、当然理解であろう。他の実施例では、少なくとも1個の補強部材は、チューブを構成する少なくとも1個の層内で長手方向に(例えば、チューブの伸展方向と整合して)延在する1個以上の細長部材により構成することができる。他の実施例では、少なくとも1個の補強部材は、1個以上のリングにより構成する。このような形態により、半径方向剛性、強度、またはこれらの双方をチューブ部分に付与することができる。
【0064】
図40につき説明すると、ある実施例では、内側層430は、比較的高い強度を示し、例えば、PEEKまたはポリミドにより構成する。さらに、外側層432は、比較的可撓性とし、例えば、FEP、PTFE、ETFE、シリコーンまたはポリウレタンにより構成する。さらに、層430および432は、約0.127mm〜0.約00254mm(約0.005インチ〜約0.0001インチ)の範囲の厚さ(例えば、半径方向の厚さ)を有するものとする。上述した通り、層430および432は、互いに結合し、または互いに移動可能(摺動可能、捻転可能など)とする。随意に、コーティング433を、層432の外面の少なくとも一部に施すことができる。この種のコーティング433は、ある実施例では、TEFLON[登録商標]のようなポリマーとし、約0.0254mm〜約0.051mm(約0.001インチ〜約0.002インチ)との間の厚さとする。
【0065】
他の実施例では、図41は、内側層440および外側層442を有するチューブ405の縦断面図を示し、少なくとも1個の補強素子444を内側層440内に組み込む。図41に示す実施例では、補強素子444は、コイルにより構成することができる。他の実施例では、補強素子は、補強素子434に関する上述したいずれかの構造を有するが、これらに限定されるものではない。さらに、ある実施例では、内側層440は、比較的可撓性とし、例えば、FEP、PTFE、ETFE、またはポリウレタンにより構成する。さらに、外側層442は、比較的高い強度を示し、例えば、PEEKまたはポリミドにより構成する。さらに、層430および432は、約0.127mm〜約0.254mm(約0.005インチ〜約0.010インチ)の範囲の厚さ(例えば、半径方向の厚さ)を有するものとする。 随意に、コーティング443を、層442の外面の少なくとも一部に施すことができる。この種のコーティング443は、実施例では、TEFLONのようなポリマーを有し、約0.0254mm〜約0.051mm(約0.001インチと約0.002インチ)の範囲の厚さとする。
【0066】
さらなる実施例では、チューブは、4個の層を有するものとすることができる。例えば、図42および図43は、チューブ400の他の実施例の横断面図および縦断面図を示す。特に、図42および43に示す通り、チューブ400は、層402、404、406、および408により構成する。図42に示す通り、層402は、管腔410を画定する。実施例では、管腔410は、ほぼ円形の断面を有し、約0.61mm(約0.024インチ)の直径を示す。他の実施例では、層402、404、406、および408の各々は、1個以上の隣接する層に対して移動可能または摺動可能とする。さらに、層402は、比較的高い張力強度を示す材料により構成する。このような形態により、管腔410内の比較的高い圧力に耐えることができる。例えば、層402は、PEEKと、ポリミドなどにより構成する。一般的に、この種の比較的高い強度の材料は、少なくとも約2,8000kg/cm2(約400,000psi)の弾性定数を示す。さらに、層404、406、および408は、比較的柔軟な材料により構成する。この層404、406、および408は各々、層402より小さな張力強度を示す。例えば、層404、406、および408は、フルオロポリマー、PEBAX、ポリエチレンテレフタレート(”PET”)と、シリコーンなどにより構成する。一般的に、この種の比較的柔軟な材料は、約27,300kg/cm2(390,000psi未満)の弾性係数を示す。しかし、いずれの層も、PTFE、ポリプロピレン、シリコーン、FEP、PFA、ETFEと、ポリウレタン(例えば、ISOPLAST、TECOFLEX、TECOTHANE、CARBOTHANE、TECOPLAST、またはTECOPHILIC等の熱可塑性ポリウレタン)、またはこれらの組み合わせにより構成することができるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
本発明の他の態様では、チューブ部分を構成する少なくとも1個の層は、セプタムを通してアクセスポートのリザーバへアクセスする細長の中空構造から末端方向に突出する構成とする。言い換えれば、少なくとも1個の層は、チューブ部分から突出し、アクセスポートのセプタムを穿刺する構造とする。例えば、図44および45は、チューブ400、401、403、405、およびアクセスポート50の縦断面図を示す。(上述した)チューブ400、401、403、405は、細長の中空領域450を有する。さらに、細長中空領域450は、比較的高い剛性を有し、図45に示す通り、アクセスポート50のセプタム80を穿刺するのに適している。したがって、(複数の層を有する)チューブ400、401、403、405の末端から突出する細長の中空領域450は、チューブ400、401、403、405の管腔とアクセスポート50のリザーバ66との間を連通する針またはカニューレを形成する。特に、細長の中空領域450は、チューブ400、401、403、405を形成する比較的高い強度の層(例えば、PEEK)の内の比較的高い強度を示す1個以上の層を有する。実施例では、チューブ400、401、403、405の最内側層が、細長の中空領域450を形成する。このような形態は有利であり、例えば、注入装置を製造する複雑性を軽減することができる。
【0068】
血管アクセス装置または注入装置の多くの種々の実施例は、本発明の1個以上の態様を組み込んだ構成とすることができる。血管アクセス装置または注入装置の複数の実施例としては、本願人により2005年4月27日付けで出願された米国特許出願第60/675,309号の優先権を主張するものであり、参考として本出願に付記する。米国特許第60/675,309号に記載される、単独または組み合わせの、いずれの注入システム、装置、または方法も、自動注入を実行する(これに限定されるものではないが、例えば、少なくとも約1ml/秒の流速(流量率)に適応する)構造とするかまたは実行するのに適する。
【0069】
例えば、本発明は、可撓性チューブとアクセスポートのリザーバとの間の連通を設ける構造とした注入システムは、自動注入のための構造とすることを意図する。この種の注入システムは、細長の尖端付き素子を有し、この尖端付き素子はアクセスポートのセプタムを貫通させる可撓性チューブの配置を容易にし、また可撓性チューブを適切に配置した後に注入システムから取り外すことができる。
【0070】
特に、図46は、注入アセンブリ510、安全クリップ530、ハブ540、可撓性チューブ590と、延長チューブ570、クランプ装置560、およびチューブコネクタ580を有する、注入装置510の実施例の分解図を示す。さらに詳細には、図47は、注入システム510の断面図を示す。図47に示す通り、注入アセンブリ520は、ベース528とこれに固定される細長の尖端付き素子522(例えば、針、トロカール、またはカニューレ)とを有する。図47に示す通り、細長の尖端付き素子522は、尖端525を有する。ある実施例では、細長の尖端付き素子を挿入するポートのセプタムを傷つけるのを回避するために、「非コアリング(芯抜きしない)」尖端(すなわち、尖端525は、「開口」”していないまたは中空でない)を有する細長の尖端付き素子を使用する。細長の尖端付き素子525は、ステンレス合金(例えば、AISI304ステンレス合金)のような、従来の針、トロカール、またはカニューレの材料により構成し、他の実施例では、比較的硬いプラスチックにより構成する。実施例では、ベース528は、図47に明示するように、ベース528内に細長の尖端付き素子の一部を拘束するよう射出成形するかまたは別の方法で形成する。さらに、ベース528は、必要に応じて随意に、他の機構(例えば、安全クリップ530)を収容する構造とする窪み524を設けることができる。ベース528はまた、随意に、ハブ540に形成する連結形状部544(例えば、窪み)に連結する構造とした連結形状部526(例えば、突部)を設けることができる。図47に示す通り、ハブ540は通常、ハブ本体550、マニホルド素子561、セプタム548、およびキャップ546を有する。実施例では、ハブ本体550は、TECOFLEX(例えば、TECOFLEX85A−B20)を有する。さらに、ハブ本体550は、(図46の)ウイング状構造541および543を定め、(例えば、ウイング状構造541および543を患者へテーピングすることにより、または別の方法でウイング状構造541および543を患者へ付着することにより)ハブを患者の皮膚へ付着する構造とする。ウイング状構造541および543は、例えば、細長の尖端付き素子522および可撓性カテーテル590を埋め込んだポートに挿入する場合または埋め込んだポートから細長の尖端付き素子522を取り外す場合に、ハブを操作するために使用することができる。ハブ本体550は、必要に応じて随意に、窪み542を有することができる。図47に示す通り、窪み542には、以下でさらに詳細に記載する通り、細長素子522を、安全クリップに通して配置する場合に、安全クリップ530を固定する固定リップ559を設ける。
【0071】
ハブ540は、注入アセンブリ520の細長の尖端付き素子522をハブ540およびハブ内に配置したセプタム548に貫通させる構造とする。言い換えると、マニホルド要素561は、複数の通路および、この複数の通路へ液体を連通させる少なくとも1個のセプタム548を画定する。さらに説明すると、マニホルド素子561は、ハウジングセプタム548がマニホルド素子561により画定されるプレナムのポートまたは開口部を封止する構造とする。随意に、キャップ素子546を位置決めし、このキャップ要素546とマニホルド素子561との間にセプタム548を拘束する。キャップ546は、細長の尖頭要素にセプタム548を貫通させる開口部547を有する。したがって、細長の尖端付き素子522(例えば、適切なサイズのトロカール、非コアリング(芯抜きしない)構造の針、または非コアリング構造のカニューレ)は、セプタム548の封止能力を危険にさらすことなく、セプタム548へ挿入および取り外しすることができる。さらに、キャップ546の存在により、いわゆる「自動(高圧)注入」を、マニホルド素子561を介して実行することができ、マニホルド素子561、チューブ570、および可撓性カテーテル590内の圧力は少なくとも約14kg/cm2(約200psi)またはそれ以上に達するものとすることができる。セプタム548は、本発明により開示するいずれかのセプタムの実施例による構造をなす(例えば、自動注入を実行するために少なくとも1個の構造素子を有する)が、これらに限定されるものではない。
【0072】
図47に示す通り、可撓性カテーテル590をマニホルド素子561に固着し、延長チューブ570もまたマニホルド素子561に固着する。ある実施例では、延長チューブ570および可撓性カテーテル590を、マニホルド素子561に化学的に結合する。他の実施例では、接着剤により延長チューブ570をマニホルド素子561の一部である表面552に固着する。同様に、接着剤によりカテーテル590をマニホルド素子561の別部分である内側面562に固着する。さらに、ハブ本体550を、マニホルド素子561(および、随意にセプタム548、キャップ546、またはこれら双方)および図47に示す延長チューブの少なくとも一部上に形成する(例えば、射出成形、硬化処理、または別の方法で上側成形する)。他の実施例では、ハブ本体550を、必要に応じて可撓性カテーテル590の少なくとも一部上に形成することができる。
【0073】
通常、上述した通り、本発明に開示するいかなるチューブも、注入システム510の一部を有する。さらに、当業界で既知のチューブクランプおよび連結装置を、延長チューブ570、クランプ装置560、およびチューブコネクタ580のために使用することができる。
【0074】
可撓性カテーテル590は、自動注入のために適切であるいずれかの材料で構成することができる。例えば、実施例では、可撓性カテーテル590は、TECOTHANE(例えば、TECOTHANETT105D)のようなポリマーにより構成する。図47に示す通り、可撓性カテーテル590は、内部に細長の管腔を有する。さらに、可撓性カテーテル590は、開口部593に近接する遷移領域595を有し、この遷移領域595は、可撓性カテーテル590の断面寸法(管腔594の横断面)が開口部593からの距離の関数として増大する構成とする。随意に、遷移領域595は、2個の異なるテーパーを有することができるが、本発明は、一般には少なくとも1個のテーパーと、少なくとも1個の弓状面、またはこれらの組み合わせにより遷移領域595を画定することを意図する。通常、少なくとも1個(例えば、1個以上)の開孔を、可撓性カテーテル590のチューブ本体に貫通する管腔に連通する開口部593の近接に設ける。図47に示す通り、可撓性カテーテル590には、管腔594に連通する2個の開孔592を設ける。
【0075】
図47に示す通り、細長の尖端付き素子522は、安全クリップ530、キャップ546の開孔547を経て、可撓性カテーテル590内に貫入する。細長の尖端付き素子522は、可撓性カテーテルに液体連通する構造とする。特に、細長の尖端付き素子522は、細長の尖端付き素子522の外側と可撓性カテーテル590の内側(すなわち、管腔)との間に間隙ができるようなサイズとする。実施例では、細長の尖端付き素子522は、(細長の尖端付き素子522の微小な断面形状に関する)少なくとも1個の長手方向に延在する窪みを有する。例えば、細長の尖端付き素子522は、尖端525を有し、細長の尖端付き素子522に沿って(すなわち、長手方向に沿って)長手方向に延在する窪みを有する。他の実施例では、細長の尖端付き素子522は通常円形断面であり、長手方向に延在する窪みは、細長の尖端付き素子の窪を形成する部分でほぼ三角形断面の形状となるよう形成する。
【0076】
他の実施例では、注入システムは、細長の尖端付き素子が、延長チューブ、可撓性カテーテル、またはこれら双方を、貫通する構造とする。さらに説明すると、セプタムの適切な配置および構造は、延長チューブ、柔軟なカテーテル、またはこれら双方に、細長の尖端付き素子を穿刺または貫通させることができる。図48および49は、窪み542、スリーブ620、およびセプタム548を有するハブ540の他の実施例を示す。さらに、延長チューブ570および可撓性カテーテル590の各々の少なくとも一部は、部分的にハブ本体550内に突入する。さらに、可撓性カテーテル590は、延長チューブ570内に部分的に突入する。言い換えると、可撓性カテーテル590は少なくとも部分的に延長チューブ570とオーバーラップし、逆もまた同様である。他の実施例では、単独のチューブ素子を、ハブ540に貫通させ、必要に応じて、可撓性カテーテル590および延長チューブ570の双方の機能をさせる。さらに、随意に、セプタム548は、少なくとも部分的に、延長チューブ570の一部を包囲することができる。このような形態により、セプタム548からの細長の尖端付き素子522の取り外しにおける、セプタム548の封止を容易にすることができる。スリーブ620は、スリーブ629が包囲するセプタム620の領域からの細長の尖端付き素子の取り外しにおけるセプタムの封止を容易にするように、セプタム548を圧縮する。セプタム548は、自動注入を実行するための(例えば、少なくとも1個の構造素子などを有する)本明細書に記載するいずれかのセプタムの実施例による構造とするが、これに限定されるものではない。
【0077】
さらに、図50は、細長の尖端付き素子522の尖端525に通常配置する安全クリップ530の斜視図を示す。安全クリップ530は、それぞれ湾曲端部領域を有する脚部533および535と、細長の尖端付き素子522が貫通するサイズの孔534と、を有する。さらに詳細には、最初に細長の尖端付き素子522を、孔534に貫通させ、脚部533と535との間に配置し、細長の尖端付き素子が脚間を通過できるような形態にする。さらに、細長の尖頭要素522をこの形態にし、また安全クリップ530を窪み542内に配置するとき、安全クリップ530は、窪み542(図49参照)の固定リップ543(図49参照)内に嵌合するサイズとなる。しかし、脚部533および535は、細長の尖端付き素子522の尖端525を孔534に向けて移動し脚部533および535の湾曲端領域を越えて突出しない場合に、脚部533および535が互いに寄り合い細長の尖端付き素子522の尖端525を効率的に拘束するように、バイアスする。安全クリップ530は、細長の尖端付き素子522の尖端525を拘束するためのいずれかの自己作動装置を有する。このような安全クリップ530により、細長の尖端付き素子522が、他人、特に細長の尖頭要素522を挿入および取り外しをする医療修習者に不慮に刺さる機会を減らすことができる。
【0078】
さらに本発明は、アクセスポート(および、存在する場合にはアクセスポートに固着したカテーテル)または注入装置を誤って加圧した結果は問題を含むおそれがあるため、すべてのコンポーネントが選択された注入プロセスに関連して予想される最大流速(流量率)および圧力に耐えることができるようにするために、注入システムのコンポーネントに少なくとも1個の識別属性を付与することは有利であることを認識するものである。言い換えると、少なくとも約1ml/秒の流速(流量率)に適応するよう構成したアクセスポートは、少なくとも1個の識別属性を有するものとする。このような少なくとも1個の識別属性は、(例えば、視覚、触覚、超音波、レントゲン写真などにより)観察または別の方法で検出することができるようにする。いずれかの注入装置(アクセスポート、注入装置など)に関連し、本明細書で使用される用語「識別」は、関心のある対象物の選択された情報を知覚できる特徴に関連付ける能力を意味する。
【0079】
本発明は、2005年3月4日付けで出願された米国特許出願第60/658,518号に記載される、単独または組み合わせのいずれかの識別特徴または属性により、自動注入用の構造をなすアクセスポートであることを識別することができることを意図する。また、少なくとも1個の識別属性を有するアクセスポートの実施例は、2005年12月28日付けで出願された米国特許出願第11/320,223号に開示されており、参考として本明細書に付記する。本発明は、2005年12月28日付けで出願された米国特許出願第11/320,223号に記載される、単独または組み合わせのいずれかの識別特徴または属性により、自動注入のための構造をなすアクセスポートであることを識別することができることを意図する。さらに、液体を安全に注入できる最大流速(流量率)により、アクセスポートを識別することができる。例えば、少なくとも1個の識別属性は、アクセスポートが少なくとも約1ml/秒の流速(流量率)に適応する構造としたものであることを示すが、これに限定されるものではない。
【0080】
本発明が包含するアクセスポートに関して、アクセスポートのハウジングの少なくとも1個の属性は、アクセスポートを少なくとも約1ml/秒の流速(流量率)で自動注入のための構造として識別するための少なくとも1個の識別属性を付与する。ある実施例では、アクセスポートの少なくとも1個の物理的な属性(例えば、寸法、形状など)により、アクセスポートが自動注入に適することを識別するか、またはアクセスポートが安全に適応できる最大流速(流量率)または圧力を識別できるようにする。
【0081】
したがって、本発明のある態様では、自動注入に適した(これらに限定されるものではないが、例えば、皮下に埋め込むかまたは別の方法で配置する)アクセスポートを識別する方法に関する。特に、セプタムを有するアクセスポートを提供することができる。さらに、少なくとも1個のアクセスポートの属性を認識することができる。さらにまた、皮下に埋め込むアクセスポートは、アクセスポートの少なくとも1個の属性の認識により、自動注入に適することを識別することができる。
【0082】
ある実施例では、識別のための少なくとも1個の属性は、アクセスポートハウジングの少なくとも1個の特徴部により構成する。さらに詳細には、図51は、組み立てたアクセスポートの斜視図を示す。図51に示す通り、アクセスポート50の側方周縁295(例えば、1個以上の側壁、および随意に、縫合プラグ291の露出面)は、ほぼ三角形をなす。したがって、キャップ54およびベース56は、合体してほぼ三角形のアクセスポート50のハウジング60を形成する。また、本発明は、側方周縁295は先細にするかまたは、キャップ54の上面61とベース56の下面51との間に円弧状に延在する構成とする。図51に示す通り、アクセスポート50の(ベースが平面である場合、ベース56の、下面51にほぼ平行な選択された平面における)横断面は、ベース56の下面51へ近接するにつれ大きくなり、キャップ54の上面へ近接するにつれ比較的小さくなる。図52は、図51に示すアクセスポートの上図を示し、側方周縁により画定されるほぼ三角形の形状を示す。さらに、図53は、アクセスポート50の横断面を簡略化して示す。図53に示す通り、アクセスポート50の側方周縁295は、関連する頂点領域301の間に延在する3個の側面領域303を画定する。加えて、ある実施例では、図53に示す通り、側方周縁295は、ほぼ正三角形の形状を画定する。当然、側面領域303は、関連する頂点領域301の間に正確に延在する。従って、側面領域303は、ほぼ三角形状の「側辺」を形成する。さらに、頂点領域301は丸みがあるが、この頂点領域301は隣接する側面領域303との間に交点を形成することは良く理解されるべきである。したがって、本明細書で使用されるフレーズ「ほぼ三角形」は、隣接する側面が頂点領域でまたは頂点領域内で交差するいずれのほぼ3側辺形状も含むが、これらに限定されるものではないこともよく理解されたい。例えば、「ほぼ三角形」は、3側辺を有するポリゴン、円形的三角形、正三角形などを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0083】
さらに、他の実施例では、少なくとも1個の識別属性は、放射線マーカーにより構成する。特に、アクセスポートは、アクセスポートが特定の流速(流量率)、圧力、またはこれら双方に適応する構造であることを示す観測可能なパターン、シンボル、マーカー、または他の印とすることができる。他の実施例では、少なくとも1個の識別属性は、視覚的に知覚可能な構造のような、知覚可能な形態を有する。例えば、視覚的に知覚可能または別の方法で認知可能である少なくとも1色の色、少なくとも1個のシンボル、少なくとも1個の印刷字(例えば、文字、数字など)、パターン、またはいずれかの他の印を使用する。他の実施例では、超音波検出可能な構造をアクセスポートに組み込む。さらなる実施例では、アクセスポートはRFIDタグを有する。
【0084】
他の機器および装置(例えば、注入装置、チューブ、注入器など)は、適する最大流速(流量率)または最大圧力に関連して識別可能である。例えば、特定の注入装置は、1個以上の上述した識別属性または特徴を有する。このような形態により、種々のコンポーネント(例えば、チューブ、針、アクセスポート、機械的注入器など)を互いに適合させることができる。例えば、自動注入器と、注入装置、およびアクセスポートにより共有されるほぼ同様または適合する識別属性は、選択された自動注入プロセスを実行するために互いに使用する適正を示す。
【0085】
アクセスポートの識別に関する他の態様としては、アクセスポートが埋め込まれた患者の識別に関連する。より詳細には、患者は、埋め込まれたポートに関する知覚可能な(例えば、視覚的、磁気ストリップ、バーコードを介する、手動で、または他の適切な機構による)情報を担持する識別カードを付与される。したがって、この種の識別カードを医療従事者に提示することにより、識別カードの情報が認識され、アクセスポートを識別できる。アクセスポートの識別において、例えば、最大流速(流量率)、最大圧力、特定の手順に対する適正などのアクセスポートの特性を確認する。他の実施例では、リストバンドまたはブレスレットを、アクセスポートが埋め込まれた患者に付与する。他の実施例では、例えば、磁気ストリップ、バーコード、コンピュータの読み取り可能な媒体またはデバイス(例えば、コンパクトディスク、「フラッシュ」メモリ、ディスクドライブなど)、または他の適切な情報担持デバイスのような情報担持デバイスを有するキーチェーンを付与する。他の実施例では、ポートの情報を含むステッカを患者のカルテに貼る。他の実施例では、注入装置へのラベル付けにより、自動注入に適合性のある装置かを識別できる。
【0086】
本発明のさらに他の態様としては、ゲルまたは粘性液体を有するセプタムに関する。本願明細書に使用される用語「ゲル」は、少なくとも1個の液体成分内に懸濁する少なくとも1個の固体成分を有するコロイドを意味し、固体粒子(例えば、ポリマー粒子)は、共有原子価、イオン、分散(物理的)力により互いに引き寄せられるまたは別の方法で互いに結合する(例えば、絡み合うまたは架橋する)。したがって、実施例では、ゲルは、固体の分散相が、粘性のあるまたは半剛性のゾルを生ずるために液体連続相との組み合わせでネットワークを形成するコロイドである。ゲルは、これらに限定されるものではないが、弾性、粘弾性、または可塑性である応力‐歪挙動を示す。本明細書において使用される用語「粘性液」は、約20,000センチポアズ以上の粘性を示す液体を意味する。
【0087】
アクセスポートを形成するハウジング内に配置するセプタムに形成される1個以上の通路により、アクセスポートのリザーバを加圧する場合、1個以上の通路を通して液体が漏出することがあり得る。本発明は、ゲル領域を通常セプタム上面とセプタム下面との間に配置することにより、少なくとも一部のゲル領域を貫通させて上面から下面へセプタムを貫通してカニューレを貫通し易くすることを意図する。
【0088】
例えば、ある実施例では、セプタムは、少なくともほぼ本体材料により包囲されるゲルを有するものとする。例えば、図54は、本体612および本体612内に配置するゲル領域620を有するセプタム610の縦断面図を示す。ゲル領域620は、上面614に挿入し下面616を貫通するカニューレが、ゲル領域620の一部を通過する構造とする。ある実施例では、ゲル領域620は、シリコーンゲルにより構成する。他の実施例では、ゲル領域は、液体が硬化してゲルを形成する未硬化液体(すなわち、比較的低い粘性を有する液体)により構成する。ある実施例では、ゲル領域620は、粘性液または粘弾性材料により構成する。
【0089】
ある実施例では、ゲル領域620は、エラストマー、例えば、ミシガン州ミッドランドにあるダウ・コーニング(DOW CORNING)社から市販されている「DOW CORNING(登録商標)7−9600」ソフトフィリングエラストマーPartsA&Bにより構成する。他の実施例では、ゲル領域620は、カリフォルニア州カルピンテリアにあるNuSiIテクノロジー社から市販されているシリーコンゲル「MED−6340」により構成する。さらに他の実施例では、ゲル領域620は、約20〜30のショアA硬度を示すエラストマー、例えば、どちらもミシガン州ミッドランドにあるダウ・コーニング社から市販されている「DOW CORNINGC6−515」液体シリコーンゴムPartsA&Bまたは「DOW CORNINGC6−530」液体シリコーンゴムPartsA&Bにより構成する。さらに、随意で、セプタム610の本体612は、約50から約60のShoreA硬度のシリコーン材料を有することができる。他の実施例では、本体612および/またはセプタム610の上面614は、約60〜約80のショアA硬度のシリコーン材料により構成する。随意に、本体612および/またはセプタム610の上面614はフルオロポリマー(例えば、PTFEなど)またはポリウレタンにより構成することができる。
【0090】
ゲル領域620の少なくとも一部に貫通するカニューレを取り外す際に、ゲル領域620に形成された通路または孔は、リバウンド、修復、封止、または癒合することができることは、当業者であれば、当然理解できるであろう。さらに、ゲル領域620により、本体612および上面614を形成された通路を封止することができる。例えば、ゲル領域620により、リザーバ内の圧力がアクセスポートの外部の大気圧を超えた場合に(例えば、これらに限定されるものではないが、自動注入プロセス、上述したように液体をアクセスポートから流すあらゆるプロセス、または液体を当業界で既知のアクセスポートから流すあらゆるプロセスの間)、セプタム610を通してアクセスポートのリザーバからの液体の漏出を抑制または防止することができる。さらに、セプタム610を貫通するカニューレが、選択された境界またはエンベロープの外側のゲル領域を構成するいずれかの材料の転移または除去に耐える構造とするように、ゲル領域620を配合し、および/または本体612を構成する。ある実施例では、本体612は、本体612を貫通するカニューレから、ゲル領域620を構成する材料を除去できる構造とする。
【0091】
本明細書に記載したセプタム実施例のいずれかは、少なくとも1個のゲル領域を有する。例えば、図55は、本体612およびゲル領域620を有するセプタム611の縦断面図を示す。上述した通り、ゲル領域620は、上面614から挿入して下面616に貫通するカニューレが、ゲル領域620の一部を通過する構造とする。このような形態により、多くの通路がカニューレによりセプタムに形成された場合でも、漏出を防止する堅牢なセプタムを提供することができる。さらに、ゲルを有するセプタムを設けることにより、セプタムの封止能力または質を向上させることができる。したがって、ゲル材料を有するセプタムは、従来のセプタムと比較して(すなわち、上面から下面の)薄い厚さを示すことができる。例えば、図56は、厚さTが従来のセプタムの従来の厚さより薄い、本体612およびゲル領域620を有するセプタム613を示す。ある実施例では、セプタム613の厚さTは、約12.7mm(約0.500インチ)以下である。
【0092】
本発明は、ゲルを有するセプタムを形成するために使用する種々の異なる製造方法を提供することを意図する。例えば、通常、セプタムの本体は、少なくとも1個のゲル領域をほぼ包囲するように形成する、または、ゲルで満たした窪みまたはチャンバをセプタム本体により形成する。ある実施例では、ゲル領域を、セプタム本体を形成するための成形型内で懸垂する。とくに、図57は、ゲル領域620を第1成形型652と第2成形型654との間に配置する(例えば、懸垂させる)、第1成形型652および第2成形型654の断面図を示す。図57に示す通り、ゲル領域620は、第2成形型654の分離面655に当接する、フレーム素子630により位置決めする。図57に示すように、フレーム素子630は、ピン606により位置決めする。他の実施例では、フレーム素子630を、適当に位置決めするが、これらに限定されるものではない。特別な実施例では、第1成形型652の分離面653は、第2成形型654の分離面655の近接して位置決めされ(すなわち、分離面653および655はフレーム素子630によって分離される)、キャビティ658および656により画定されるチャンバを形成する。さらに、硬化可能材料(例えば、硬化可能なシリコーン、熱可塑材、樹脂などのような硬化可能材料)を、チャンバ内に注入し、硬化させる。したがって、硬化可能材料は、ゲル領域620を包囲するかまたはカプセル化し、キャビティ656および658に相補的な形状を示す。
【0093】
通常、フレーム素子630は、ゲル領域620に結合または固着する。ある実施例では、フレーム素子630は、ゲル領域620の周縁の少なくとも一部に結合または係合することができる。他の実施例では、フレーム素子630は、ほぼ平面状にし、ゲル領域620をフレーム素子630上に載置するかまたはフレーム素子上で形成する。さらに他の実施例では、フレーム素子630を、ゲル領域620に少なくとも部分的に貫通させる。随意に、フレーム素子630を、第2成形型654のキャビティ656をカバーするまたは横切らせることもできる。ある実施例では、フレーム素子630は、メッシュ(例えば、金属、ポリマーメッシュ、ファブリック、ファイバーメッシュなど)により構成する。他の実施例では、フレーム素子630は、シリコーンのシートまたは層により構成し、随意に孔を形成することができる。フレーム素子630をメッシュにより構成するか有孔素子である場合、キャビティ658,656相互間で(硬化可能材料の)液体連通が生じ、カプセル化中にゲル領域620および/またはフレーム素子630の移動を防止することができ、望ましい。ゲル領域620をカプセル化した後、フレーム素子630の選択された部分を、必要に応じて、トリミングするまたは切断することができる。
【0094】
少なくとも1個のゲル領域を有するセプタムを形成する他の方法では、セプタム本体を、ゲルを充填する少なくとも1個のチャンバを有するよう形成する。例えば、図58は、チャンバ621を画定するセプタム本体612を示す。随意に、開口部623を本体612によって画定することができる。したがって、ゲルは、開口部623を介してチャンバ621内へ注入し、随意に、開口部を閉じることができる。例えば、未硬化ゲルをチャンバ621内へ注入する。さらに、未硬化ゲルは、加熱または他の適切な方法により硬化することができる。このような形態により、図55につき上述したようにゲル領域を形成することができる。ある実施例では、チャンバ621は、本体612内にチャンバ621を作るために、空気注入による成型プロセス、ブロー成型プロセス、または当業界で既知の他の方法により形成することができる。他の実施例では、本体612は、取り外し可能なプラグまたはフィラー(例えば、シリコーンプラグ、スチール、またはアルミニウムインサート)の周りに形成することができる。このようなプラグまたはフィラーは、こびりつかないコーティング(例えば、TEFLON[登録商標]、シリコーン、または当業界で既知のあらゆるこびりつかないコーティング)を用いて被覆することができる。したがって、チャンバ621は、プラグまたはフィラーを除去して形成することができる。他の実施例では、セプタムの部分を形成し、ゲル(またはゲルの流動性前駆体)を充填し、セプタムを形成するように互いに結合させる。他の実施例では、本体612を最初に形成し、本体612内にチャンバ621を包囲する。さらに、本体612を切断し、チャンバ621にゲルを充填することができるように開口部を形成する。この本体612の開口部は、ゲル領域を拘束または形成するために、閉鎖または封止する。さらに他の実施例では、中実の本体を形成し、この本体をスライスすることによりチャンバを形成する。このような形態では、チャンバを充填することにより、中実の本体を、所要に応じてドーム状のまたは隆起した領域となるよう変形することができる。多くの種々の方法を使用して、本体612内にチャンバ621を形成し、その後にチャンバをゲルで充填することができることは理解できるであろう。
【0095】
他の実施例では、セプタムは、本体と、ゲル領域の少なくとも一部および本体の少なくとも一部に結合するかまたは形成する材料層との間に配置するゲル領域を有するものとする。例えば、図59は、本体632、ゲル領域620、および層626を有するセプタム615の縦断面図を示す。図59に示すように、ゲル領域620を、本体632に形成する窪み633内に配置し、層626をゲル領域620の一部および本体632の一部上に延在させる構成とする。当業者には、ゲル領域620を本体632の窪み633内に配置または形成し、その後層626をゲル領域620および本体632上に形成または配置することは、理解できるであろう。さらに、層626を、ゲル領域620を拘束するために、本体632に結合するか(例えば、接着結合、硬化結合、溶接結合、または当業界で既知の他の方法による結合)、または他の方法で固着する。ある実施例では、セプタム615は、複数のヘッド(例えば、2個のヘッド)の射出成形装置により形成する。とくに、このような射出成形装置は、本体632を形成し、この本体632内にゲル領域620を形成し、適切な成形形状および材料注入による(例えば、成形中に)ゲル領域620および本体632上に層626を形成することができる。ある実施例では、層626は、約60〜約80の範囲のショアA硬度を示す、シリコーンに基づく材料により形成する。ある実施例では、本体632は、約40〜約50の範囲のショアA硬度を示す、シリコーンに基づく材料により形成する。したがって、(ハウジング内に挿入しアクセスポートを形成する)セプタム615を使用する間は、カニューレは、層626から、ゲル領域620の少なくとも一部、および本体632に貫通する。このような形態により、層626、ゲル領域620の少なくとも一部、および本体632とを貫通するカニューレの位置決めを容易にすることができる。
【0096】
本発明の態様を説明する目的で、特定の典型的な実施例および詳細を示したが、特許請求の範囲に記載した、本発明の範囲を逸脱することなく、本明細書に開示した方法および装置に種々の変更を施しうることは、当業者は当然理解できるであろう。例えば、他のアクセスポートの寸法および形状を使用することもでき、種々の他の実施例および構造を、本発明におけるアクセスポートの少なくとも1個の識別可能な特徴部を形成するために使用することができるものである。特許請求の範囲を含めて本明細書で使用される用語「有する」および「備える」(これらの変形も有する)は、要素「設ける」と同じ意味を有する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明によるアクセスポートの分解斜視図である。
【図2】図1に示すアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図3】図1および2に示すリング状部を有するキャップの頂面図である。
【図4】リング状部を有するキャップの他の実施例における頂面図である。
【図5】リング状部を有するキャップのさらに他の実施例の頂面図である。
【図6】アクセスポートのセプタムにカニューレを貫通させた状態を示す、埋め込み型アクセスポートの線図的縦断面図である。
【図7】特定の流速に対する、注入システム内の選択された領域での圧力を説明するグラフである。
【図8】ほぞ領域を有するセプタムと、ほぞ穴領域を有するハウジングとを有するアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図9】ほぞ領域を有するセプタムと、ほぞ穴領域を有するハウジングとを有するアクセスポートの他の実施例における線図的縦断面図である。
【図10】ほぞ領域を有するセプタムと、ほぞ穴領域を有するハウジングとを有するアクセスポートのさらに他の実施例の線図的縦断面図である。
【図11】セプタムの少なくとも一部の側面周縁をハウジングへ貼着するアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図12】セプタムとハウジングとの間に延在する構造素子を設けたアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図13】セプタム内に配置する矢尻状端部を有する構造素子を設けたアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図14】セプタムの上面とハウジングとの間に延在する構造素子を設けたアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図15】図14に示すセプタムの上面に隣接して配置する支持素子を有するアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図16】ハウジングに突出する突出脚部を有するセプタムを設けたアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図17】ハウジングに形成した窪みに結合する拡大端部を有する突出脚部を有するセプタムを設けたアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図18】セプタムの上面に隣接して配置する構造素子を設けたアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図19】セプタムおよびセプタムに対して側方に貫通する構造素子を設けたアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図20】セプタムおよびセプタムの上面に近接して配置する構造素子を設けたアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図21】セプタムおよびセプタムの下面に近接して配置する構造素子を設けたアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図22】図18〜21に示すアクセスポートの構造素子、をほぼ三角形パターンで構成したことを示す部分頂面図である。
【図23】図18〜21に示すアクセスポートの構造素子を、2個のほぼ矩形パターンで構成したことを示す部分頂面図である。
【図24】図18〜21に示すアクセスポートの構造素子を、第1の複数のほぼ平行なラインおよび第2の複数のほぼ平行なラインで構成したことを示す部分頂面図である。
【図25】図18〜21に示すアクセスポートの構造素子を、2個の交差するほぼ並行な直線部材で構成したことを示す部分頂面図である。
【図26】セプタム内に配置する構造素子を設けたセプタムの部分頂面図である。
【図27】図26に示すセプタムの分割斜視図である。
【図28】複数の構造素子を有するセプタムの部分頂面図である。
【図29】湾曲を示すセプタムを有するアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図30】セプタムフレームの実施例の頂面図である。
【図31】図30に示すセプタムフレームおよび少なくとも部分的にフレームを包囲する他の材料を有するセプタムの実施例の線図的縦断面図である。
【図32】他の材料により少なくとも部分的に包囲されるフレームを有するセプタムの他の実施例における線図的縦断面図である。
【図33】他の材料により少なくとも部分的に包囲されるフレームを有するセプタムのさらに他の実施例の線図的縦断面図である。
【図34】セプタムを構成する放射線不透過性材料により形成できるパターンの線図的説明図である。
【図35】セプタムを構成する放射線不透過性材料により形成できる他のパターンの線図的説明図である。
【図36】本発明による注入装置の実施例の斜視図である。
【図37】本発明による注入装置の他の実施例における斜視図である。
【図38】内側層および外側層を有するチューブの実施例の縦断面図である。
【図39】内側層および外側層を有するチューブの実施例の横断面図である。
【図40】内側層と、外側層と、少なくとも1個の補強素子とを有するチューブの縦断面図である。
【図41】内側層と、外側層と、少なくとも1個の補強素子とを有するチューブの他の実施例の縦断面図である。
【図42】4個の層を含むチューブの横断面図である。
【図43】4個の層を含むチューブの縦断面図である。
【図44】複数の層の少なくとも1個の層が、アクセスポートのセプタムに貫通させて挿入する細い中空領域を形成するように、チューブの末端から突出する、複数の層を有するチューブ部分を示す線図的縦断面図である。
【図45】複数の層の少なくとも1個の層が、アクセスポートのセプタムに貫通させて挿入する細い中空領域を形成するように、チューブの末端から突出する、複数の層を有するチューブ部分を示す線図的縦断面図である。
【図46】アクセスポートのセプタムに可撓性のカテーテルを挿通する構成とした注入システムの実施例の斜視図である。
【図47】図46に示す注入システムの部分縦断面図である。
【図48】アクセスポートのセプタムに可撓性のカテーテルを挿通する構成とした注入システムの他の実施例における斜視図である。
【図49】図48に示す注入システムの部分縦断面図である。
【図50】挿入アセンブリをハブから取り外した、図48に示す注入システムの斜視図である。
【図51】本発明によるアクセスポートの実施例の斜視図を示す。
【図52】図51に示すアクセスポートの頂面図を示す。
【図53】図51および52に示すアクセスポートの横断面を簡略化して示す説明図である。
【図54】少なくとも1個のゲル領域を有するセプタムの実施例の縦断面図である。
【図55】少なくとも1個のゲル領域を有するセプタムの他の実施例における縦断面図である。
【図56】少なくとも1個のゲル領域を有するセプタムのさらに他の実施例の縦断面図である。
【図57】ゲル領域を第1成形型と第2成形型との間に配置した状態を示す、第1成形型および第2成形型の縦断面図である。
【図58】ゲルを拘束する少なくとも1個のチャンバを有するセプタムの実施例の縦断面図である。
【図59】少なくとも1個のゲル領域を有するセプタムの他の実施例の縦断面図である。
【技術分野】
【0001】
本件出願は、2005年11月15日付けで出願された米国特許出願第60/737,466号の優先権を主張するものであり、参考として本明細書に付記する。さらに本件出願は、2005年4月27日付けで出願された米国特許出願第60/675,309号の優先権を主張するものであり、参考としてを本明細書に付記する。
【0002】
広範囲にわたる種々の医療処置には、患者への液体の注入が必要である。例えば、血管撮像技術には、患者へ注入する造影剤の使用が必要である。特に、コンピュータトモグラフィ(CT)は、造影剤を利用する撮像技術であり、非侵襲的な評価および血管系の評価(例えばCT血管造影検査またはCTA)のために使用する。マルチスライスCT(MDCT)は、CTAのために利用する一つの特定形式のCTである。CTによる血管系の適切な撮像のために、静脈内造影剤注入規定を、対象とする解剖学的領域に対して調整し選択する。
【0003】
特に、従来は、いわゆる「自動注入」システムを、造影剤を高圧で末梢から静脈(IV)ラインに注入するために使用する。たとえば、この種の自動注入器または注入システムは、メドラット(Medrad)社(ドイツにあるシェーリング社の子会社)から市販され、また登録商標「STELLANT」注入システムとして市販されている。CTの手順は、たいてい造影剤の所望の流量により定められるため、この種の自動注入器システムは、一般に、所望の流速(フローレートまたは流量率)を選択することにより調節可能である。従って、この種の自動注入器システムは、選択された流速(流量率)を保持するよう(自動注入器システムの性能の最大圧力内で)圧力を高めることができる。したがって、明らかなように、IVライン内の塞栓物または所望の注入率の圧力に耐えられない構造のIVラインを使用することにより、自動注入器にIVラインの適切な圧力限界を上回る圧力を発生させるおそれがある。静注の後、造影剤のボーラスは、心臓の右側から、肺を通り、心臓の左側へ、そして、残りの循環系を通り、患者の血管系内を流れる。造影剤のボーラスを患者に注入した後、いくらかの造影剤は心臓の右側に留まる。このように、造影強調の全体的な効果は、多数の因子に依存する。例えば、患者の特性(例えば、身体サイズ、心拍出量および循環量を含む循環、腎機能)と、造影の特性(例えば量、注入率、ヨウ素濃度、その他)と、そしてCT技術(例えば投与のアクセスおよびルート、スキャン遅延、スキャン速度および注入パターン)が、造影強調の全体的な程度にそれぞれ影響する。
【背景技術】
【0004】
背景技術として、従来は、比較的長いスキャンタイムには、比較的長い造影剤の送出時間が伴った。しかし、スキャンタイムは短くなり続けているため、比較的速く送出できる造影剤が必要とされる。更に説明すると、冠状動脈CTAでは、選択されたスキャンタイム(例えば15秒のスキャンタイム)の期間中、そして選択された解剖学的領域(例えば、左心室と流出路を含む20cmの軸方向のスキャン距離)内に、かなり十分な量の造影剤を十分な高率で投与し適切な濃度で行き渡らせ保持しなければならない。また、造影の密度値は、多次元ポストプロセシングに使用されるセグメンテーション法を十分に容易にすることが好ましい。冠状動脈CTAに使用する代表的な造影剤は、約300mg/mlから約350mg/ml濃度のヨウ素である。また、造影剤が放射性物質である場合、イメージングプロセスに必要な造影剤の総量を減らすことは有益になりうる。
【0005】
造影剤注入に必要な圧力は、流速(流量率)と、造影剤の粘性と、チューブの径および長さのような注入チューブの構成と、血管内塞栓または血流の制限(例えば血管のよじれ、屈曲、すり合わせ、圧迫)のいずれかの多くの因子に依存する。上述のように、CTまたはMRI検査に必要な流速(流量率)を保持するために、自動注入器は高圧を生成する。注入圧が血管アクセス装置の許容を上回った場合、破壊が起こるおそれがある。他の問題は、スキャンと造影剤との間のタイミングエラーのために生じる。より新しい血管撮像装置の高速スキャン能力を最大にするために、造影剤の注入を始めた後、所定の時間分スキャンプロセスの開始を遅延させることができる。スキャン開始が早すぎる場合、造影剤が心臓に達するのと同時であり、イメージを処理した後、動脈は本来より小さく見えるおそれがある。一方、スキャン開始が遅すぎる場合、画像アーチファクトは心臓の静脈の希薄な造影になるおそれがある。造影剤は心臓の動脈を通り心臓の静脈中へ急速に循環するため、最適なスキャンの好機の時間帯は非常に短い。
【0006】
診断上のまたは医学上の手順では、患者の血管系に液体を注入するために皮下の血管アクセスポートを有利に使用する。アクセスポータルまたはポートにより、外科的な手法を使用せずに、身体の内部の領域に薬物を繰り返し送出できる簡便な方法を提供する。ポートは、体内に埋め込み可能であり、薬物、注射液、血液製剤、造影剤または他の液体の注入を可能にする。更に、ポートは、患者から血液を吸引するために用いることもできる。このようなアクセスポートは、一般的に、一つ以上の液体キャビティまたはリザーバを内包するカニューレが貫通できないハウジングを有し、このような各液体キャビティに対してハウジングを通して連通するアクセス開孔を画定する。カニューレが貫入できるセプタムは、各々のアクセス開孔に隣接して配置し封止する。アウトレットステムは、アクセスポートに付随し埋め込まれたカテーテルを通して、患者体内における所定の位置に薬剤を投与するための1個以上の液体キャビティに連通する。アクセスポートおよびカテーテルを患者の皮下に埋め込んだ後、薬剤、血液などの液体を、患者の皮膚を貫通しセプタムを穿刺して液体キャビティ中に連通する例えばカニューレ(例えば、針)により、1個の液体キャビティを通して投与することができる構成とする。この薬剤は、カテーテルの末端を通って患者身体の静脈系への入口点へ向かう。さらに、皮下のアクセスポートを通して血液を吸引することができる。したがって、アクセスポートの使用により、針を用いることなく患者の血管系にアクセスすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のアクセスポートおよび付属する注入システムは、自動注入を実行するために適切でない。
【0008】
特に、従来の血管アクセスポートとの組み合わせによる自動注入システムの使用は、理想より低い結果しか得ることができない。したがって、注入システムのための血管アクセスポートおよび自動注入を実行する構造とした注入関連装置が有利であることは、良く理解されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の態様は、アクセスポートを通して液体を流す方法に関する。特に、血管アクセスポートを提供し、このアクセスポートを通して少なくとも約1ml/秒の流速で液体を流すことができる。
【0010】
本発明の他の態様は、注入装置を通して液体を流す方法に関する。例えば、注入装置を提供し、この注入装置を通して少なくとも約1ml/秒の流速で液体を流すことができる。
【0011】
本発明の他の態様は、患者へ皮下のアクセスを提供するためのアクセスポートに関する。特に、アクセスポートは、セプタムを拘束するための開孔を画定するハウジングを備え、このハウジングおよびセプタムはリザーバを画定する。さらに、セプタムにはほぞ領域を設け、このアクセスポートのハウジングには、セプタムのほぞ領域の少なくとも一部を収容するため、ほぞ領域と相補形状の構造としたほぞ穴領域を形成する。随意に、ハウジングは、セプタムの側面周縁の少なくとも一部に近接するリング状部を設けることができる。
【0012】
本発明の他の態様は、患者へ皮下のアクセスを提供するアクセスポートに関する。実施例では、アクセスポートはセプタムを拘束するための開孔を画定するハウジングを設け、このハウジングおよびセプタムはリザーバを画定する。さらに、ハウジングおよびセプタムは、少なくとも約1ml/秒のリザーバを通る流速に適応する。他の実施形態では、アクセスポートは、上述した通りハウジングおよびセプタムを有し、このハウジングおよびセプタムは少なくとも約2.45kg/cm2(約35psi)のリザーバ内に生じる圧力に適応する構造とする。
【0013】
本発明の他の態様は、患者の皮下へアクセスする場合に使用する注入装置に関する。例えば、ある実施形態では、注入装置は、管腔を画定するチューブと、チューブ部分の管腔に連通するカニューレとを有する。また、カニューレは、アクセスポートのセプタムを通して挿入する構造とし、チューブ部分およびカニューレは少なくとも約1ml/秒の流速で液体を流すことができる構造とする。随意に、カニューレは、アクセスポートのセプタムを穿刺する構造とすることができ、またチューブ部分およびカニューレは少なくとも約28kg/cm2(約400psi)の圧力に適応する構造とすることができる。例えば、チューブ部分およびカニューレは、約42kg/cm2(約600psi)の圧力に適応できる構造とする。
【0014】
本発明の他の態様は、患者の血管システムにアクセスするために使用する注入チューブに関する。ある実施形態では、注入チューブは複数の層を有し、チューブは少なくとも約1ml/秒の流速(流量率)に適応する構造とする。他の実施形態では、注入チューブは複数の層を有し、複数の層の少なくとも1層は、複数の層の少なくとも他の1層を越えて突出し、アクセスポートのセプタムを穿刺するカニューレを形成する構造とする。他の実施形態では、患者の皮下へアクセスするために使用する注入装置は、管腔を画定するチューブ部分と、チューブ部分の管腔に連通するカニューレとを有し、カニューレはアクセスポートのセプタムを通して挿入させる構造とする。加えて、チューブ部分およびカニューレは少なくとも約28kg/cm2(約400psi)の圧力に適応する構造とする。
【0015】
本発明の他の態様は、自動注入に適するアクセスポートであることを識別する方法に関する。とくに、セプタムを有するアクセスポートを設ける。さらに、アクセスポートは、自動注入に適すると識別できるものとする。
【0016】
本発明の他の態様は、患者に皮下のアクセスを提供するアクセスポートに関する。特に、アクセスポートは、セプタムを拘束する構造としたハウジングであって、前記セプタムは、ハウジング内に画定したリザーバ内にカニューレを挿通する構造にした該ハウジングと、リザーバ内に生じた圧力によるセプタムの変形に抵抗する構造とした少なくとも1個の構造素子とを有する。
【0017】
本発明の他の態様では、アクセスポートを動作させる方法は、リザーバ内に生じた圧力によりセプタムを拘束する構造としたハウジングを準備するステップであって、セプタムはハウジング内に画定したリザーバ内にカニューレ(針、ヒューバー針、カニューレに関連するトロカール、またはこれらの組み合わせのいずれか)を挿通するための構造とした該ハウジング準備ステップと、ハウジングのリザーバ内の圧力を上昇させるステップとを有する。さらに、このような方法は、リザーバ内に生じた前記圧力による前記セプタムの変形を制限するステップを有する。
【0018】
さらに、本発明の態様は、ゲルまたは粘性の液体を有するセプタムに関する。例えば、ある実施形態では、患者の皮下へのアクセスを提供するためのアクセスポートを形成するようハウジング組み付けるセプタムは、上面および下面を有する本体と、通常この上面と下面との間に配置する少なくとも1個のゲル領域とを有する構成とする。他の実施形態は、患者の皮下へアクセスを提供するためのアクセスポートを形成するようハウジングに組み付けるセプタムを有し、このセプタムが、本体と、本体の少なくとも一部上に形成する層と、層と本体との間に少なくとも部分的に配置するゲル領域とを有する構成とする。
【0019】
上述した注入装置および関する方法は、自動注入プロセスを実行するかまたは容易にするために有利に使用する。例えば、この方法および装置は、約1ml/秒〜約5ml/秒の範囲の流速で液体(例えば、造影剤)を注入するために使用する。
【0020】
上述した実施形態のいずれの構造も、本発明に関する互いの組み合わせを使用する。加えて、本発明の他の構造および利点は、当業者により、以下の説明と、添付図面、および請求の範囲の理解により明らかになるであろう。
【0021】
本発明の利点は、本発明による種々の実施形態(必ずしも寸法通りに描いていない)を示す、以下の詳細な説明と図面の理解から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の一態様は、血管アクセスポートに関する。特に、ある実施例では、本発明は、少なくとも約1ml/秒の液体流速(流量率)を調節するための血管アクセスポートを作ることを意図する。さらに、本発明は、セプタムおよびアクセスポートのハウジングで画定されるリザーバ内に生じる少なくとも約12.6kg/cm2 (180psi)の圧力に耐える血管アクセスポートを作ることを意図する。実施例では、アクセスポートは約5.6kg/cm2〜約12.6kg/cm2(約80psi〜約180psi)までの圧力の範囲内で動作するように構成する。このようなアクセスポートは、患者に液体を注入する(例えば、CTまたはMRモニタリングのために患者に造影剤を注入する)場合の使用に有利である。
【0023】
一般に、アクセスポートは、これらに限定されるものではないが、ヒューバー針と、外周に配置されたカニューレを有するトロカールまたはいずれかの他の適切なアクセス機構を含む、中空の細長素子(例えばカニューレまたは針)により繰り返し刺入または穿刺することのできるセプタムを拘束するハウジングを有する。本明細書で使用する”カニューレ”または”針”の用語は、当業界で既知であるか、または本明細書に記載するように、いかなる細長素子(例えば、カニューレ、針、外周に配置されたカニューレを有するトロカールなど)を含み、これらに限定されるものではない。このようなセプタムは、上述のアクセス機構を用いてセプタムを穿刺することより形成される通路を、適切な圧迫力の下で封止する材料(例えばシリコーン)を有する。したがって、セプタムは、アクセス機構を用いてセプタムを穿刺することにより形成される通路の閉止を容易にするように、少なくとも部分的に圧迫することができる。本発明は、アクセスポートのリザーバからの流速(流量率)が、ハウジングまたはセプタムを傷つけることなく、またはリザーバの構造的一体性を損なう(例えばセプタムがハウジングから分離する)ことなく、少なくとも約1ml/秒にすることができるようにするためのハウジングおよびセプタムを構成することを意図する。
【0024】
一実施例では、アクセスポートは、合体してハウジングを画定するキャップおよびベースを有し、このハウジングにセプタムを位置決めしてリザーバを形成する。例えば、図1および2の各々は、ベース56と、キャップ54と、セプタム80と、アウトレットステム70を有するアクセスポート50の分解斜視図および縦断面図である。図1および2に示すように、キャップ54およびベース56を、キャップ54とベース56との間にセプタム80を拘束するよう構成する。一般に、キャップ54およびベース56は連係して、セプタム80を拘束するハウジング60を形成し、少なくとも部分的にリザーバ66を画定する。さらに説明すると、キャップ54は、セプタム80の一部分が貫通できる開孔55を有し、ベース56は、少なくともセプタム80の部分を受け入れるよう構成された窪み57を有する。したがって、セプタム80の一部分をベース56の窪み57内に配置し、キャップ54の開孔55をセプタム80に配置することにより、連係してアクセスポート50内に、アウトレットステム70の管腔(ルーメン)に連通するリザーバ66を画定する構成とする。他の実施例では、複数のリザーバを、ハウジングおよび少なくとも1個のセプタムにより連係して画定することもできるが、これらに限定されるものではない。例えば、複数のリザーバ(または1個のリザーバ)を有する、当業界で既知のいずれのアクセスポートも、本発明のいずれかの態様に含まれるが、これらに限定されるものではない。図1に示す通り、アウトレットステム70の部分を、ベース56内に形成される開孔58内に位置決めし連結する。
【0025】
アクセスポート50はアウトレットステム70を有することを図1は示すが、他の実施例のアクセスポート50はアウトレットステム70を設けないようにすることもできる。したがって、図2はアウトレットステム70のないアクセスポート50を示す。すなわち、本発明は、アクセスポート50は随意にアウトレットステム70を有することができるかまたは他の構成にできることを意図する。例えば、ある実施例では、アウトレットステム70は必要に応じてベース56の部分として形成することもできる。他の実施例では、カテーテルをアウトステム70なしでアクセスポート50に(例えば開孔58に)動作可能に接続することができる。しかし、さらに他の実施例では、アクセスポート50は単に少なくとも1個の、リザーバ66と連通し、ハウジング60に貫通して、必要に応じて液体を流すことができる構造の出口路(例えば開孔58)を有するものとすることができる。図2に示す通り、セプタム80の一部分はキャップ54とベース56との間に位置決めされ、リザーバ66を危険にさらす程度まで損傷または変形させる(例えば破裂する)ことなく、リザーバ66内に生じる選択された圧力の大きさに耐えるよう構成する。
【0026】
例えば、図1および2に示す通り、キャップ54は随意で、セプタム80の端縁に隣接して形成する周方向リング状部30を有する。このリング状部30は、アクセスポート50のリザーバ66内に生じる圧力によるキャップ54の変形を防止するよう構成する。図3に示す通り、キャップ54の頂面図では、リング状部30はほぼ円形をなす。さらに、リング状部30はセプタム80の周縁の形状に適合する形状とするかまたはセプタム80の周縁とは異なる形状にすることもできる。さらに、リング状部30のサイズを、キャップ54の開孔55に隣接するキャップ54の領域に選択した剛性を与えるように、選択する。このような構成による、リザーバ66内に生じる圧力によるキャップ54の変形を防止することができる。例えば、図2に示す通り、横方向の厚さTLと、垂直方向の厚さTVまたはこの両方を、セプタム80の周縁に隣接する(例えば開孔55に隣接する)キャップ54の領域に選択した剛性を与えるように選択する。実施例では、アクセスポート50の全体的な高さH(図2)は、約15.24mm(約0.600インチ)以下とする。
【0027】
他の実施例では、リング状部30は、ほぼ長方形、ほぼ三角形、ほぼ長円形、ほぼ多角形、または他の幾何学的形状とすることができるが、これらに限定するものではない。例えば、図4は、ほぼ三角形のリング状部30の頂面図を示す。さらに、図5は、ほぼ矩形のリング状部30を示す。
【0028】
さらに説明すると、アクセスポート50のハウジング60は、生体適合性材料、例えばポリスルホン、チタンまたは他のいずれかの適切な生体適合性材料により構成する。キャップ54およびベース56を、ほぼ接合ラインに沿って互いに連結させ、固定するかまたは互いに付着させる。特に、実施例では、キャップ54およびベース56はチタンを有し、溶接、ろう付け、はんだで接合するか、または別の方法で互いに付着させる。このような構成により、キャップ54とベース56との間にセプタム80を拘束するための適切な機械的強度を提供することができ。随意で、キャップ54およびベース56を、少なくとも1個の締め付け素子(例えば少なくとも1個のボルト、少なくとも1個のねじ、少なくとも1個のリベット、その他)、少なくとも1個の接着剤または同様の結合機構の組み合わせにより、互いに結合することができる。同様に、ある実施例において、アウトレットステム70およびベース56は各々チタンを有し、溶接または別の方法により接着もしくは互いに結合する。
【0029】
さらに詳細に、図6は、患者67内に埋め込んだアクセスポート50を示す。ある実施例では、必要に応じて、患者67内にアクセスポート50を付着するために縫合糸を使用する。ハウジング60を患者67内に埋め込んだ後、セプタム80の上面は、患者67の表皮面76の表面と同一平面上にするまたは整列させ、患者表皮の外側からリザーバ66内への経皮通路を作るために繰り返し穿刺する。アウトレットステム70は、リザーバ66から、アウトレットステム70を通って、患者67内部へ突入する液体連通通路を作る。一般に、カテーテル73を、リザーバ66の液体の連通のためおよびリザーブ66から所望の遠隔部位の患者67の内部に液体を導入するために、アウトレットステム70に連結する。実施例では、カテーテル73を、アクセスポート50から少なくとも部分的に患者の大静脈内に突入させる。このような構成により、患者の心臓の近位に造影剤を注入することができる。例えば造影剤が有害性(例えば放射性または別の傷害性)を有する場合、患者の大静脈へ直接注入することにより、選択された撮像手順の実行に必要な造影剤の総量を減らすことができる。
【0030】
図6に示す通り、カニューレ90をセプタム80に挿通し、液体をリザーバ66内へ注入する。例えば、液体をリザーバ66内へ、リザーバ66内に圧力(例えば正圧)を生じさせる流量で注入する。例えば、図6において”PR”と付記した正圧は、リザーバ66内に生じて、リザーバ66を部分的に画定するセプタム80の部分に作用し、セプタム80の部分に作用するこのような圧力PRはセプタム80に力を生じさせる。同様に、圧力PRが作用するベース56の表面にも力が生じる。一つの実施例では、キャップ54はベース56と連結して、セプタム80を適切に配置する構造とし、セプタム80に働く力に対してハウジング60へセプタム80を連結させる。したがって、セプタム80と、キャップ54およびベース56は、圧力PRにより生じる付随の力適応できる構造とする。一つの実施例では、アクセスポート50は、リザーバ66の少なくとも約12.95kg/cm2 (約185psi)の圧力PRに(損傷を受けることなく)適応できる構造とする。他の実施例では、アクセスポート50は、リザーバ66に約2.59kg/cm2〜4.55kg/cm2(約37psi〜約65psi)の圧力範囲に(損傷を受けることなく)適応できる構造とする。
【0031】
さらに詳細には、自動(高圧)注入の間、液体の流れFは、カニューレ90を通って流れるように生じる。液体の流速すなわち、流量率(”F”で付記した矢印により図6に示す)は、少なくとも約1ml/秒とする。他の実施例では、液体流速Fは、約1ml/秒〜約5ml/秒の間とする。自動注入の間、カニューレ90内に生じる圧力Pi は少なくとも約2.1kg/cm2 (約30psi)である。したがって、カニューレ90は、上述の圧力と、流速(流量率)またはこれら両方に関連する力に耐える構造とする。さらに詳細に説明すると、カニューレは注入装置(例えば安全ウイング付注入装置/SWIS)の一部をなすかまたはアクセスポートおよび自動注入システムを伴う使用のための構造とした他の注入装置の一部をなす。
【0032】
特に、図7は、5ml/秒の率で液体を注入する間、アクセスポートと連通する注入装置(詳細は以下に述べる)を有する注入システム内の様々な場所で測定した圧力のグラフを示す。図7に示す通り、自動注入器のシリンジバレル内の圧力は、通常約18.55kg/cm2(約265psi)である。さらに、注入装置入口の圧力は、通常約15.75kg/cm2(約225psi)であり、アクセスポートのリザーバ内の圧力は、通常約2.8kg/cm2(約40psi)である。したがって、注入装置を通した圧力降下は約12.95kg/cm2(約185psi)になる。図7に示す通り、アクセスポートから突出するカテーテルの末端部の圧力は、通常0psiである。例えば、液体粘性、チューブ内径(すなわち内腔断面のサイズ)、流れ経路の長さおよび流速(流量率)などの多くの要因が、注入システムを通して液体を流す間に注入システム内(例えば注入装置、アクセスポートなど)に生じる圧力(および圧力降下)に影響する。したがって、図1〜図3に示すアクセスポート50の上記の内容から明らかなように、このようなアクセスポート50は、選択された流速(流量率)およびアクセスポート50のリザーバ66内に生じる関連圧力PRに適応する構造とする。
【0033】
他の実施例では、セプタム、ハウジングまたはこの双方は、機械的にセプタムの少なくとも一部を固定または拘束する構造とする。例えば、実施例では、セプタムは、ハウジングに設けた相補的な連結形状部により嵌合または連結する構成とした少なくとも1個の連結形状部を有する。例えば、雄および雌形状部(以下のものに限定するものではないが、例えば、リブ、フランジ、相互連結形状部、ほぞ‐ほぞ穴形状部、突起‐溝形状部、T字状部‐溝孔構造、あり継ぎ構造、スナップ嵌合構造、タブ‐スロット、または当業界で既知の他の連結形状部)は、セプタムに設けた少なくとも1個の連結形状部とハウジングに設けた少なくとも1個結形状部と相補的な構造を有するが、これに限定されるものではない。本明細書に記載する「ほぞ」は、継ぎ手形成のためにほぞ穴に少なくとも部分的に挿入する突出部を意味する。本明細書に記載する「ほぞ穴」は、継ぎ手形成のために少なくとも部分的にほぞを収容する材料内に形成する窪み、穴、溝または溝孔を意味する。
【0034】
通常、実施例では、セプタムは、ハウジングに含まれる相補的なほぞ穴領域に連結するための少なくとも1個のほぞ領域(すなわち少なくとも1個の連結形状部)を有する。したがって、ハウジングは、セプタムのほぞ領域の少なくとも一部を収容するための窪み(すなわち少なくとも1個の相補的な形状部)を有する。例えば、図8は、ほぞ領域270を有するセプタム180の実施例の断面図を示す。ほぞ領域270は部分的に、半径方向に距離が増加するにしたがって(すなわち、セプタム180の中心軸からの半径方向の距離に比例して、言い換えればキャップ154のリム159からベース156の側面157の方向に向かって)、高さ(すなわちセプタム180の下面183から測った高さ)が増加するセプタム180のテーパー面187を有する。したがって、図8に示す通り、(ほぞ領域270の半径方向に最内側の領域で測定した)セプタム180の高さCGMINは、(ほぞ領域270の半径方向に最外側の領域で測定した)セプタム180の高さCGMAXより小さい。さらに、ほぞ領域270は、セプタム180の連続周縁形状部(すなわち環状形状部)をなすか、または1個以上の周方向に互いに分離した個別領域を有するが、これらに限定されるものではない。さらに、図8に示す通り、(キャップ154およびベース156を有する)ハウジング160は通常、ほぞ領域270の少なくとも一部を収容するための相補的なほぞ穴領域(すなわち環状に延在する窪み)を画定する。特に、相補的なほぞ穴領域は、ベース156の側面157、ベース156の下面の端縁273およびキャップ154のテーパー状面172により画定ことができる。このような構成により、選択された最大圧力がアクセスポート150のリザーバ166内に生じた場合にも、ハウジング160のほぞ穴領域内のセプタム180のほぞ領域270の一部を固定、拘束または保持することができる。
【0035】
他の実施例では、アクセスポートは、複数のテーパー状面を有するほぞ領域を有するセプタムを含む。例えば、図9は、テーパー面187、テーパー面189およびテーパー面191を含むほぞ領域270を有するセプタム180の縦断面図を示す。さらに、図9に示す通り、ハウジング160は通常、ほぞ領域270の少なくとも一部を収容するために、テーパー状の窪みによる相補的なほぞ穴領域を画定する。特に、相補的なほぞ穴領域を、ベース156の側面157、ベース156の下面の端縁273、キャップ154のテーパー面172、ベース156のテーパー面193およびキャップ154のテーパー面195により、ハウジング内に画定することができる。このような構造により、選択された最大圧力がアクセスポート150のリザーバ166内に生じた場合にも、ハウジング160のテーパー状の窪み内にセプタム180のほぞ領域270の少なくともいくつかを固定、拘束または保持することができる。
【0036】
要約すると、セプタムの一部は通常、ハウジング内に形成する相補的なほぞ穴領域に連結する少なくとも1個のほぞ領域を有する。他の実施例では、ハウジングの少なくとも一部は通常、セプタム内に形成する相補的なほぞ穴領域に連結するためのほぞを有する。上述した通り、ほぞ領域およびこれと相補的なほぞ穴領域は1個以上のテーパー状面を有する。他の実施例では、ほぞ領域およびこれと相補的なほぞ穴領域は、Tみぞまたは他の非テーパー形状を有するが、これに限定されるものではない。例えば、図10は、ほぞ領域270を有するセプタム180を含むアクセスポート150の実施例の縦断面図を示す。さらに、相補的なほぞ穴領域を、ほぞ領域270の少なくとも一部を収容するためにハウジング160内に画定する。図10に示す通り、ほぞ穴領域を、ベース156の環状拡張部または突部203により画定する。このような構造により、予想される最大圧力がリザーバ166内に生じた場合にも、ハウジング160内のセプタム180のほぞ領域270における少なくとも一部を固定、拘束または保持し、また適切にリザーバ166を封止することができる。さらに、図8〜図10に示すいかなるほぞ領域およびほぞ穴領域の実施例も、これらに限定されるものではないが、拡張部、隆起部、突部、窪み、溝、溝孔等で説明することができると理解されたい。
【0037】
本発明が意図する他の態様は、セプタムの端縁の少なくとも一部をハウジングに連結または付着する手法に関する。このような形態により、少なくとも約1ml/秒の流速(流量率)で液体を注入するアクセスポートを使用する間、アクセスポートの一体性を保つことができる。例えば、実施例では、セプタム周縁の側面の少なくとも一部を、ハウジングの少なくとも一部へ付着する。図11は、ハウジング60に隣接するセプタム80の周縁の少なくとも一部を、セプタム80に隣接するキャップ54およびベース56の片方または両方に付着したアクセスポート50の縦断面図を示す。特に、図11に示す通り、(キャップ54およびベース56に隣接する)セプタム80の周縁は、上側側面領域97と、上側環状領域93と、下側環状領域91および下側側面領域95を有する。したがって、実施例では、接着剤(すなわち、膠、エポキシ、セメント、テープまたは当業界で既知の他の接着剤)は、上側側面領域97と、上側環状領域93と、下側環状領域91および下側側面領域95の少なくとも一部を、キャップ54またはベース56にそれぞれ接着する。このような形態により、セプタム80をハウジング60へ固定することができ、自動注入のために適切な比較的強固なアクセスポート50を提供することができる。当然のことながら、さらに、セプタムの周縁領域の少なくとも一部を付着することは、(セプタムまたはハウジングのどちらかの)ほぞ領域の少なくとも一部を(ハウジングまたはセプタムのどちらかの)ほぞ穴領域へ付着することを含むが、これらに限定されるものではない。
【0038】
上述した通り、セプタムの変形は、アクセスポートを介した自動(高圧)注入の実施に関して、設計時の検討事項である。さらに、本発明の一態様では、選択された規模を超える変形に対して構造的に補強するかまたは別の方法で制限するセプタムに関する。特に、本発明は、アクセスポートのチャンバまたはリザーバ内に生じた圧力によるアクセスポート内のセプタムの変形を、すくなくとも1個の構造素子により防止するかまたは制限する構造とすることを意図する。セプタムの変形を制限する少なくとも1個の構造素子を有するアクセスポートのいくつかの実施例が、2005年11月15日付けで出願された米国特許出願第60/737,466号に開示されており、この参考を本出願に付記する。米国特許出願第60/737,466号に記載のいずれアクセスポートも、自動注入器用に構成することができる。
【0039】
実施例では、本発明は、セプタムを非周縁領域でハウジングに構造的に連結することを意図する。言い換えれば、本発明の一態様では、アクセスポートのハウジングにセプタムの非周縁部位を連結することに関する。例えば、図12は、リザーバ66を形成するセプタム120を拘束するキャップ54およびベース56を有する、本発明によるアクセスポート110の実施例を示す。随意に、キャップ54は、上述の通りセプタム周縁に近接するリング状部を有する。加えて、アウトレットステム70により、液体をリザーバ66に連通させて注入または液体抽出プロセスを実行することができる。図12に示す通り、構造素子112がセプタム120とハウジング60との間に延在する。特に、構造素子112は通常、セプタム120の下面121からベース56の上面165まで延在する。したがって(正/負の)圧力がリザーバ66内に生じた場合、構造素子112により、セプタム120の下面121のベース56の上面165に向かうまたは遠ざかる偏向または変形を防止する。通常、構造素子は、1個以上の選択された方向(すなわちベース56の上面165に向かうかまたは遠ざかるか)に関するセプタムの変形を防止する。
【0040】
通常、構造素子(例えば、構造素子112)は、少なくとも1個のワイヤ、少なくとも1個のピンもしくは柱状素子、または少なくとも1個のフィラメントにより構成することができるが、これらに限定されるものではない。このような構造素子は、チタン、スチール(例えば、ステンレススチール)、ポリマー(例えば、デルリン[登録商標]、ナイロン、ポリエステル、ケブラー[登録商標]、(発泡および非発泡の)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン等)、または当業界で既知の他の材料により構成することができる。他の実施例では、構造素子は、繊維補強マトリクスのような複合材料により構成する。実施例では、構造素子は、シリコーンマトリクス内に分散配置または整列させたファイバー(ガラス、カーボン等の繊維)により構成する。
【0041】
さらに、構造素子112を、接着剤、溶接、スナップ嵌合、セプタム120の構造素子112の一部の周りにおける成形、逆にセプタム120内への構造素子112の一部の埋め込み、または他の適切な方法により、セプタム120に連結する。同様に、構造素子112を、接着剤、溶接または構造素子112の一部をベース56内に埋め込むことにより、ベース56に連結する。随意で、構造素子112の弾性係数はセプタム120の弾性係数を超える値となるようにすることができることも理解されたい。このような形態により、構造素子112は(例えば「自動(高圧)注入」プロセス中に)リザーバ66内に生じた圧力によるセプタム120の変形を防止することができる。
【0042】
図13は、構造素子112の他の実施例を有する本発明によるアクセスポート110の縦断面図を示す。特に、図13に示す通り、構造素子112は、セプタム120内に少なくとも部分的に位置決めした矢尻状端部116を有する。このような形態により、構造素子112をセプタム120へ連結させ、リザーバ166内に生じた圧力によるセプタム120の変形を防止することができる。さらに、図13に示す通り、構造素子112の矢尻状端部116は、随意に先のとがったものにすることができる。さらに、矢尻状端部116の尖端は、セプタム120の上面123に指向する。このような構造により、セプタム120に挿通し、矢尻状端部116に接触したカニューレをそらし、カニューレが構造素子112から離れる方向に転向させることができる。随意に、他の実施例では、構造素子112をベース56を貫通させて、ベース56の下面113に接着させる。
【0043】
アクセスポートの他の実施例では、構造素子はセプタムを貫通する。例えば、図14は、セプタム120の下面121からセプタム120の上面123に貫通する構造素子112を有するアクセスポート110の縦断面図を示す。図14に示す通り、構造素子112はベース56の上面165までも延在し、機械的にセプタム120をハウジング60に連結する。随意に、構造素子112は、セプタム120内に配置しセプタム120をハウジング60に連結する構造とした少なくとも1個の矢尻状部を有することができる。さらに、構造素子112を、必要に応じてセプタム120の上面123および下面121の少なくとも1個に接着することができる。当然のことながら、セプタム120の上面123を機械的にハウジング60へ連結することは、リザーバ66内に生じた圧力によるセプタム120の変形を防止するのに役立つ。
【0044】
さらに本発明は、構造素子を、セプタムの上面の選択された領域上に延在する支持素子と組み合わせて使用することも想定している。このような支持素子は、セプタムの上面に隣接して配置し、(例えばセプタムが変形した場合に)選択された面領域にセプタムの上面を接触させる構造とする。例えば、図15は、ハウジング60からセプタム120の上面123まで延在する構造素子112を有するアクセスポート110の縦断面図を示す。さらに、構造素子112は、セプタム120の上面123に隣接して配置する支持素子114に連結する。このような形態によれば、支持素子114とセプタム120の上面123との間に選択された量の接触領域を提供することができる。支持素子114とセプタム120との間のこの種の選択された接触領域は、リザーバ66内に圧力が生じた場合にこの圧力を選択された領域またはセプタム120の領域に分散することにより、セプタム120内の有害な高圧力を減らすことができる。加えて、支持素子114は(例えば視覚または触覚により)観測可能であるため、セプタム120を貫通させてカニューレを挿入する場合に回避することが可能である。さらに、支持素子114を自動注入可能であるポート110を認識するのに使用することもできる。
【0045】
アクセスポートの他の実施例では、構造素子は、セプタムの変形を防止するためにアクセスポートのハウジングに接着されるセプタムの一部を有する。例えば、図16は、ハウジング60へ連結した突出脚部124(すなわち構造素子)を設けたセプタム120を有するアクセスポート110の縦断面図を示す。とくに、図16では、突出脚部124は、通常、セプタム120の下面121からベース56の上面165まで延在する。突出脚部124は、ベース56の上面165に接し、接着する。このような形態により、リザーバ166内に生じた圧力によるセプタム120の変形を防止することができる。実施例では、突出脚部124は、セプタム120の下面121に関してほぼ中心にある(すなわち、下面121のほぼ重心に位置する)。突出脚部124をセプタム120の下面121に関して中心に配置することは、他のどの突出脚部の配置よりも大幅に、セプタム120の下位面121の変形を防止する。さらに、図16が突出脚部124を示す場合に、本発明は、少なくとも1個の突出脚部(すなわち1個以上の突出脚部)がセプタム120から突出しまたは連結することを意図しているが、これらに限定されるものではない。他の実施例では、少なくとも1個の突出脚部を、締まり嵌めまたはいわゆる「スナップ嵌合」により、アクセスポートのハウジングに連結する。特に、図17に示す通り、突出脚部124は、ベース56に形成した窪み155内に嵌合する構造とした球根状または球状の端部125を有する。窪み155は、ベース56の上位面165に形成した球状端部125の最大直径より小さい開口部を有し、球状端部125をこの開口部に嵌合し、窪み155の一部へ「スナップ動作」で嵌合することができる。随意で、突出脚部124は、(例えば、接着剤による付着、溶接、ピン留めまたは他の適切な方法によるベース56内に形成した窪み155への付着により)付着させることができる。このような形態により、セプタム120をアクセスポート110のベース60へ連結することができ、リザーバ66内に生じた圧力によるセプタム120の変形を防止するかまたは制限することができる。
【0046】
本発明の他の態様は、セプタムの上面の少なくとも一部をその変形内に拘束するかまたは制限することを意図する。実施例では、少なくとも1個の構造素子を、構造素子に向かう方向のセプタムの変形を制限するために、セプタムの上面上にまたは隣接して配置する。言い換えれば、少なくとも1個の構造素子が、セプタムの上面の少なくとも一部上にまたは隣接して側方に延在する。例えば、図18は、セプタム130の上面133に隣接して配置する構造素子132およびセプタム130を有するアクセスポート110の縦断面図を示す。随意で、構造素子132を、セプタム130の上面133に結合または付着することができる。構造素子132は、リザーバ66から通常離れる方向におけるセプタム130の変形を防止する構造とする。実施例では、構造素子132は、セプタム130の上面133をほぼオーバーレイするかまたはカバーする。随意で、構造素子132を、少なくとも部分的にセプタム130内に組み込むことができる。実施例では、構造素子132はカニューレ(例えば針)により穿刺可能とする。他の実施例では、構造素子132は、セプタム130の上面133の選択した部分(すなわち少なくとも一部)をカバーし、カニューレをセプタム130の上面133に挿入することができる開口部または開孔を構造素子132に形成することができる。随意で、構造素子132の弾性係数をセプタム130の弾性係数より大きくし、セプタム130の変形を構造素子132により選択された大きさに抑制することができる。さらに、図18に、構造素子132のほぼ均一な厚さ(「t」と付記)を示すが、本発明は構造素子132の厚さ「t」は変動するものも意図し、これらに限定されるものではない。例えば、構造素子132の厚さ「t」は、セプタム130の上面133の重心の近傍で最大となるようにする。さらに、図18に示す通り、構造素子132は、キャップ54とセプタム130との間に配置することができる。構造素子132を、必要に応じて、キャップ54およびセプタム130の片方または双方に付着することができる。例えば、構造素子132をキャップ54およびセプタム130の片方または双方に、接着剤による付着、溶接、機械的固定または別な方法で適切に連結することができる。さらに、構造素子132は、金属(例えば、チタン、スチール等)と、ポリマー(例えば、デルリン[登録商標]、ポリウレタン、ナイロン等)または他の適切な材料により構成することができる。他の実施例では、以下に記載する通り、構造素子132は比較的密に織成した織物により構成し、(身体の内腔に接触する可能性のある配置の場合に)組織の内増殖を防止する。他の実施例では、構造素子132はほぼやわらかいかまたは圧縮可能なポリエステルにより構成し、(身体の内腔に接触する可能性のある配置の場合に)アクセスポート110のセプタム130に挿通するカニューレにより生ずる穿刺部における組織癒合を促進する。
【0047】
他の実施例では、本発明は、少なくとも1個の構造素子をセプタム内に少なくとも部分的に組み込み、セプタムの少なくとも一部に側方に延在させることを意図する。例えば、図19は、セプタム120に、側方に(すなわち、セプタム120により閉じるハウジング60内の開口部全体に)延在する構造素子140およびセプタム120を有するアクセスポート110の縦断面図を示す。図19に示す通り、構造素子140をハウジング60(例えば、キャップ54またはベース56)へ添着する。特に、図19に示す通り、構造素子140を、連結領域147および143でキャップ154に付着する。加えて、選択されたレベルの圧力が構造素子140内に生じるため、必要に応じて、所望のレベルのセプタム120の変形耐性(すなわち可撓性)を提供する必要がある。このような形態により、構造素子140の延在方向に通常直交する方向に、所望の度合いのセプタム120の変形耐性を提供することができる。
【0048】
他の実施例では、セプタムの変形を制限するために、構造素子を上面に近接して配置する。例えば、図20は、ハウジング60内に配置したセプタム130とセプタム13の上面133に近接して配置した構造素子150とを有するアクセスポート110の縦断面図である。図20に示す通り、構造素子150は、セプタム130の上面133の少なくとも一部の側方に延在する。したがって、構造素子150により、セプタム130は構造素子150と接触する前に、選択された距離(例えば、「G」と付記した部分)だけ変形可能である。さらに、構造素子150はキャップ54に付着し、セプタム130と構造素子150との間の接触に応じて選択された大きさの可撓性を示すように選択的に張力をかける。実施例では、構造素子150の可撓性またはバネ定数は、リザーバ66内に生じた圧力に応じて、セプタム130の大きな可撓性またはバネ定数を超える値を示す。
【0049】
他の実施例では、構造素子を、セプタムの変形を制限するためにセプタムの下面に近接または当接して配置する。例えば、図21は、ハウジング60内に配置したセプタム120とセプタム120の下面121に近接して配置した構造素子170とを有するアクセスポート110の縦断面図を示す。図21に示す通り、構造素子170は、セプタム120の下面121の少なくとも一部で側方に延在する。さらに、構造素子170は下面121に付着させるかまたは別の方法でセプタム120の下面121に連結する。従って、構造素子170はセプタム120の変形を防止する。さらに、構造素子170は、セプタム120の変形を適切に防止するために、ベース56へ付着する(さもなければハウジング60へ連結する)。随意で、構造素子170は、構造素子170にかかる力に応じて、選択された可撓性を示すように選択的に張力をかけることができる。随意で、構造素子170の可撓性またはバネ定数は、セプタム120の大きな可撓性またはバネ定数より大きくすることができる。
【0050】
図18〜図21につき説明すると、構造素子132、140、150または170は、いくつかの実施例で、例えばワイヤ、リボン、スレッド、ファイバー、柱状素子などのような細長素子により構成することができると理解されたい。したがって、このような少なくとも1個の細長素子を、セプタムの上面に隣接または近接して選択したパターンに配置する。さらに、実施例では、セプタムの下面に近接または当接するか、セプタムの上面に近接または当接するよう配置した構造素子は、メッシュ(例えば、金属またはプラスチックメッシュ、織物、ファイバーメッシュなど)により構成することができる。例えば、実施例では、構造素子は、互いに封止するファイバーまたはスレッド(例えば、シリコーンで被膜したファイバーまたはスレッド)による織物で構成することができる。この種の構造により、カニューレが織物を貫通し、織物がカニューレに対して封止することができ、しかしカニューレを取り外した場合にもファイバーまたはスレッドは互いに封止させることができる。加えて、本発明に基づいて、図18〜図21に示す構造素子132、140、150または170を、様々な構成に配置可能であることを理解されたい。
【0051】
例えば、図22は、図18〜図21に示すアクセスポート110の実施例の頂面図を示し、これらの構造素子132、140と、150または170は、通常三角形の形状またはパターンをなすよう構成する。他の実施例として、図23に、図18〜図21に示すアクセスポート110の頂面図を示し、構造素子132、140、150、170は、2個の部分的に交差する通常矩形の形状またはパターンに構成する。さらに他の実施例として、図24に、図18〜図21に示すアクセスポート110の頂面図を示し、構造素子132、140、150、170は、第1の複数のほぼ平行なラインおよび第2の複数のほぼ平行なラインを有するパターンに構成し、この第1の複数のほぼ平行なラインは第2の複数のほぼ平行なラインに対してほぼ直交する構成とする。他の実施例として、図25に、図18〜図21に示すアクセスポート110の頂面図を示し、この構造素子132、140、150、170は、互いに交差する2本のほぼ直線(すなわち線状)の部材を有するパターンに構成する。図25に示す通り、構造素子132、140、150、170は、互いにほぼ直交する構成となる。図22〜図25に示す通り、構造素子132、140、150、170を、選択された連結領域でキャップ54に固着する。このような形態は、セプタムの変形を制限する度合いを変化可能とし、一方でカニューレ(例えば、針)による穿孔のために、セプタム表面への十分なアクセスを可能にする。
【0052】
他の実施例では、本発明は、構造素子を少なくとも部分的にセプタム内に組み込んでおり、セプタム内に二次元的なまたは平面的の形状、構成または形態(例えば、円、楕円、三角形、矩形など)をとることを意図する。例えば、図26は、セプタム120内に延在する構造素子141およびセプタム120の部分頂面図を示す。さらに詳細に、図27には、セプタム120内に埋設した構造素子141を有するセプタム120を断面に切ったものの斜視図である。図26および27に示す通り、この実施例では、構造素子141は、ほぼ円形である。さらに一般的には、必要に応じて、1個以上の構造素子141を少なくとも部分的にセプタム(例えば、上述したセプタム120または130)内に埋設する構成とする。例えば、複数の構造素子141をセプタム120内に埋設し、図28の部分頂面図に示す通り、互いにほぼ同心状に配置する構成とする。構造素子141は、(図26〜図28に示す通り)通常細長く、さらに一般的にはセプタム120の変形を防止する構造とする形状およびサイズを示すが、これらに限定されるものではない。したがって、1個以上の構造素子141が、たとえば、截頭円錐形、半球状、または別の形状としたワッシャまたはディスクで実施することができることを良く理解されたい。他の実施例では、少なくとも一個の構造素子141は、通常、円環状に形成する。さらに、少なくとも1個の構造素子141は、セプタム120の変形に対して所望のレベルの耐性(例えば、可撓性)を付与するために、少なくとも1個の選択された特性(例えば、選択されたサイズ、形状、弾性、強度など)を示す。このような形態により、アクセスポートのリザーバ内に生じた圧力によるセプタム120の変形に対して選択されたレベルの耐性を与えることができる。
【0053】
本発明の他の実施例では、セプタムは、アクセスポートのリザーバ内に生じた圧力による変形を防止する曲率を有する。例えば、図29は、ほぼ凹状の上面123とほぼ凸状の下面121とを有するセプタム120を示す。さらに説明すると、ほぼ凹状の上面123およびほぼ凸状の下面121を、外力のかかっていない状態(すなわち圧力のかかっていない平衡状態)におけるセプタム120で示す。このような形態により、ハウジング60の上面を超えて変形しないようにセプタム120の上面123は(すなわち、セプタム120の変形を介して)強制的に平らになるため、アクセスポート110のリザーバ66内に生じた圧力による変形に対してセプタム120の耐性を与えることができる。他の実施例では、セプタムを(例えば、ほぞおよびほぞ穴型連結またはセプタムとハウジングとの間における他の周縁の連結形状部により)圧縮し、セプタムをハウジング内に組み込む際のセプタムの曲率を減らすかまたは排除する。しかし、このような形態により、セプタムの大きな可撓性またはバネ定数を増加させる。随意で、(上述した)構造素子を、セプタム内またはセプタム表面に有することができ、外力のかかっていない状態で凹状または凸状を示すように製造することもできる。このような形態は、ハウジングに連結してセプタムの変形に対する耐性を高める場合に、セプタム内の有利な圧縮応力フィールドを容易にする。
【0054】
他の構造では、セプタムは、構造フレームまたは骨組、およびカニューレにより作られる穿刺を封止する構造としたより柔軟な材料を設けることができる。詳細には、フレームは、少なくとも約80のショアA硬度の材料により構成する。随意に、フレームには、フレームを剛性化するまたは強化する複数のウィスカ、ファイバーまたは粒子を設けることができる。実施例では、ナイロンファイバー、バリウム硫酸塩などを、フレーム内に分散する。さらに、この種のフレームは、少なくとも部分的に、約50またはそれ以下のショアA硬度(例えば、約40〜約50のショアA硬度)を示すより柔軟な材料により包囲する。図30は、リング181および185と同様に、ほぼ共通の原点または領域から延在する複数のスポーク179を有するフレーム178の頂面図を示す。図30に示す通り、リング181および185の1個または双方との組み合わせによりスポーク179は、開孔188を形成する。本発明によれば、カニューレの貫通により生ずる穿刺部を封止する構造とした比較的柔軟な材料により、少なくとも部分的にフレーム178を包囲する。例えば、図31は、フレーム178およびフレーム178を部分的に形成する他の材料190を有するセプタム177の縦断面図を示す。したがって、材料190は、ほぼスポーク179を包囲し、開孔188内に延在させる。さらに、図31に示す通り、リング181は、セプタム上面191およびセプタム下面193と同様に、(上述した)ハウジングに連結するためのほぞ領域270を形成する。図31を参照すると、使用中、カニューレは、材料190の連続的な上層および材料190の連続的な下層に貫通することができる。このような形態により、セプタム177に適切な封止能力を提供することができる。多くの変更が本明細書の記載からなされることは、よく理解されたい。例えば、図32および33は、フレーム178と少なくとも部分的にフレーム178を包囲する他の材料190とを有するセプタム177の様々な実施例の縦断面図を示す。したがって、フレームおよびフレームを少なくとも部分的に包囲する材料は、弓状またはほぼ平面状を示し、選択された厚さを形成し選択された材料(例えばシリコーンなど)を有することができる。
【0055】
本発明によるセプタムの他の態様では、セプタムは放射線不透過性の材料を有し、X線をセプタムに投射した場合に選択されたパターンを形成する構造とすることができる。例えば、図34および35は、セプタム内の放射線不透過性の材料により形成するパターン199の線図的説明図を示す。このような形態は、特定の自動注入プロセスに適応できるアクセスポートであることを認識できるため、またはアクセスポートのセプタムの位置を認識するために有利である。
【0056】
本発明はさらに、少なくとも約1ml/秒の流速(流量率)で液体を注するアクセスポートと組み合わせて使用するいずれの注入装置またはデバイスも、本発明に従って構成できることを意図する。例えば、血管アクセスポートにアクセスする注入装置は、アクセスポートのセプタムを穿刺するための針またはカニューレと、注入装置へ連結する末端部、およびカニューレと末端部との間に延在するチューブ(例えば、少なくとも1個のチューブ部分)を有する。通常、注入装置を構成するいずれのコンポーネントも、選択された流速(流量率)および選択された流速(流量率)により生じた関連圧力に耐える構造とする。
【0057】
図36は、ベース部材340、カニューレ350、チューブ部分314、およびコネクタ312を有する注入装置310の実施例を示す。チューブ314は、コネクタ312およびベース342へ、通常各々継手313および339で、固着するかまたは別の方法で連結する。また、図36に示す通り、クランプ装置316は、チューブ314を通る液体の流れを許可または遮断する適切な構造とする。さらに、ベース部材340、カニューレ350、チューブ部分314、およびエンドコネクタ312の各々は、注入装置310を通して少なくとも約1ml/秒の流速(流量率)を調節する構造とする。さらに詳細には、チューブ部分314は、損傷をうけることなく少なくとも約14kg/cm2(約200psi)の圧力に耐える十分な強度を示す。随意に、チューブ部分314は、損傷を受けることなく少なくとも約21kg/cm2(約300psi)の圧力に耐える構成とすることもできる。さらに、注入装置がバーストする部分の圧力(すなわち注入装置310のバースト圧力)は、少なくとも約28kg/cm2(約400psi)であり、随意に、このバースト圧力を少なくとも約42kg/cm2(約600psi)とすることもできる。実施例では、チューブ部分314は、ほぼ光学上透明かまたは少なくとも部分的に透明とする。ある実施例では、通常、チューブ部分314は、TECOTHANE(登録商標)のようなポリマーにより構成する。さらに詳細には、チューブ部分は、TECOTHANE55Dのようなポリマー、またはTECOTHANE95Aのようなポリマーにより構成する。例えば、チューブ部分314が約1.22mm±0.076mm(約0.048インチ±0.003インチ)(すなわち、19GA)の内径(すなわち、内腔)を有する場合、チューブ部分314は、TECOTHANE55Dのようなポリマーにより構成する。他の実施例では、チューブ部分314が約1.04mm±0.076mm〜約0.86mm±0.076mm(約0.041インチ±0.003インチ〜0,034インチ±0.003インチ)(すなわち、各々20GAまたは22GA)の内径(すなわち、内腔)により構成し、チューブ部分314は、TECOTHANE95Aのようなポリマーを有する。随意で、TECOTHANE型材料のようないずれのポリマーも、少なくともほぼ、例えばジ(2−エチルヘキシル)フタレート(”DEHP”)のような、可塑剤を含まない構成とすることができる。ある実施例では、コネクタ312をポリ塩化ビニル(”PVC”)により構成し、随意に、少なくともほぼ可塑剤を含まない構成とする。上記で開示した材料は単なる実施例であり、より一般的には、チューブ部分314、コネクタ312、ベース部材340およびカニューレ350は、堅牢で効果的な注入装置310を提供するために適切ないずれかの材料(例えば、熱可塑材、ポリウレタン、金属など)により構成する。
【0058】
注入装置310の使用中、機械的注入器を、固定構造311を介してコネクタ312へ動作可能に連結することができる。例えば、固定構造は、ルアー型の連結か他の液体連通構造を有する。したがって、液体は、注射装置を介して少なくとも約1ml/秒の流速(流量率)で注入器を通って流れる。上述した通り、注入装置310を通した圧力降下は少なくとも約7kg/cm2(約100psi)であり、随意に、注入装置310を通した圧力降下を少なくとも約12.95kg/cm2(約185psi)とすることができる。
【0059】
他の実施例では、注入装置は2個のコネクタを有する。ある構造では、1個のコネクタは自動注入を実行する構造であり、別のコネクタはシリンジアクセスを可能にする構造とする。例えば、図37は、ベース部材340、カニューレ350、チューブ部分324、中間コネクタ322、チューブ部分314およびエンドコネクタ312を有する注入装置309を示す。チューブ314は、コネクタ312および322に、通常、継手313および323で各々固着するかまたは別の方法で連結する。同様に、チューブ324は、コネクタ322およびベース部材340に、通常、継手325および329で各々固着するかまたは連結する。注入装置309は、注入装置310に関する上述通りの流速(流量率)および圧力のための構造とする。したがって、チューブ部分314および324は、材料(例えば、TECOTHANEであり注入装置310に関する上述のサイズのようなポリマー)により構成するが、これに限定されるものではない。同様に、コネクタ312および322は、注入装置310に関する上述のいずれかの材料(例えば、PVC)により構成するが、これに限定されるものではない。図37に示す通り、クランプ装置316は、チューブ314を通した液体の流れを許可するかまたは遮断する適切な構造とする。同様に、クランプ装置326は、チューブ324を通った液体の流れを許可するかまたは遮断する適切な構造とする。さらに、コネクタ312は、注入器にコネクタ312を脱着可能に固着または連結するため、固定構造311(例えば、ルアー型連結部、別のスレッド型連結部、または当業界で既知の他のいずれかの固定構造)を有する。また、コネクタ322は、注入器にコネクタ322を脱着可能に固着または連結するため、固定構造321(例えば、ルアー型連結部、別のスレッド型連結部、または当業界で既知の他のいずれかの固定構造)を有する。
【0060】
ある実施例では、通常、コネクタ322にキャップを装着したまま、コネクタ312を自動注入することができるようにすることを意図する。他の実施例では、バルブ機構は、コネクタ322からの漏れを防止する一方で、コネクタ312を通った液体の流れを介してチューブ部分314および324を通る流れを選択的に許可する。さらに、注入装置309を自動注入のために使用しない場合、セプタムを有するキャップを、コネクタ322、コネクタ312、またはこの双方に連結する。このような形態により、シリンジをセプタムに穿刺することができ、薬剤注入または血液サンプルの採取が可能になる。このような形態により、自動注入器用とシリンジアクセス用と各々分離したコネクタを有する簡便な注入装置を提供することができる。
【0061】
本発明が意図する他の形態では、自動注入器との連結に使用するチューブは、(例えば、自動注入の)使用中、選択された圧力に耐える構造であり、随意に、捻転にも耐える構造にすることができる。通常、本発明は、チューブが複数の層を有することを意図する。ある実施例では、チューブは比較的高い強度の層を有しており、少なくとも1個の比較的可撓性のある層を有する。したがって、チューブの層は、PTFEと、ポリプロピレンと、ポリエーテルエーテルケトン(「PEEK」)と、ポリイミドシリコーン、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、 ペルフルオロアルコキシ(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリウレタン(例えば、ISOPLAST[登録商標]、TECOFLEX[登録商標]、TECOTHANE[登録商標]、CARBOTHANE[登録商標]、TECOPLAST[登録商標]またはTECOPHILIC[登録商標]等の熱可塑性ポリウレタン)、またはこれらの組み合わせにより構成する。ある実施例では、層は1個以上の隣接する層と結合することができる。他の実施例では、各々の層は1個以上の隣接する層に関して移動可能かまたは摺動可能にすることができる。
【0062】
例えば、図38および39は内側層420と外側層422とを有するチューブ401の縦断面図および横断面図を示す。通常、内側層420および外側層422のうち少なくとも一方は、比較的高い強度のものとし、内側層420および外側422のうち他方を比較的可撓性のあるものとする、またはその逆にすることもできる。ある実施例では、内側層420は、比較的高い強度を示し、例えばPEEK、ULTEM[登録商標]、ポリミド等により構成する。さらに、外側層422は、比較的可撓性とし、例えばFEP、PTFE、PRBAX[登録商標]、ETFE、シリコーン等により構成する。逆に、外側層422は、比較的高い強度を有するものとし、例えばPEEK、ULTEM、ポリミドなどを有し、一方で内側層420は、比較的可撓性とし、例えばFEP、PTFE、PRBAX、ETFE、シリコーンにより構成する。さらに、随意に、チューブは、ある弾性係数を示す第1層と第1層より小さい弾性係数を示す少なくとも別の層とにより構成することができる。例えば、比較的高い強度の材料は、少なくとも約2,8000kg/cm2(約400,000psi)の弾性係数を示す。さらに、比較的可撓性のある材料は、27,300kg/cm2(390,000psi)未満の弾性係数を示すものとする。他の実施例では、層420および層422のうち少なくとも一方は、複合材料(例えば、粒子またはファイバー補強材を有する複合材料)により構成する。例えば、ある実施例では、チューブは、グラスまたはカーボンの補強ファイバーまたは粒子を有するポリウレタンまたはPTFEにより構成する。ある実施例では、層420と422の各々は、1個以上の隣接する層に関して移動可能であるかまたは摺動可能とする。このような形態は、チューブを損傷することなく、選択された内圧に耐えることができ、捻転にも耐性をもつ。
【0063】
他の実施例では、補強素子は、チューブを構成する複数の層の少なくとも1個の層内に組み込まれる。例えば、図40は、内側層430および外側層432を有するチューブ403の縦断面図を示す。随意に、少なくとも1個の補強素子434を、いずれかの層またはチューブを構成する複数の層内に組み込むことができる。図40に示す実施例では、補強素子434はコイルにより構成する。当業者には、例えば、少なくとも1個の補強素子はメッシュ(例えば、ワイヤメッシュ、ファブリック、ファイバーメッシュなど)により構成することができ、また多くの変更を施しうることは、当然理解であろう。他の実施例では、少なくとも1個の補強部材は、チューブを構成する少なくとも1個の層内で長手方向に(例えば、チューブの伸展方向と整合して)延在する1個以上の細長部材により構成することができる。他の実施例では、少なくとも1個の補強部材は、1個以上のリングにより構成する。このような形態により、半径方向剛性、強度、またはこれらの双方をチューブ部分に付与することができる。
【0064】
図40につき説明すると、ある実施例では、内側層430は、比較的高い強度を示し、例えば、PEEKまたはポリミドにより構成する。さらに、外側層432は、比較的可撓性とし、例えば、FEP、PTFE、ETFE、シリコーンまたはポリウレタンにより構成する。さらに、層430および432は、約0.127mm〜0.約00254mm(約0.005インチ〜約0.0001インチ)の範囲の厚さ(例えば、半径方向の厚さ)を有するものとする。上述した通り、層430および432は、互いに結合し、または互いに移動可能(摺動可能、捻転可能など)とする。随意に、コーティング433を、層432の外面の少なくとも一部に施すことができる。この種のコーティング433は、ある実施例では、TEFLON[登録商標]のようなポリマーとし、約0.0254mm〜約0.051mm(約0.001インチ〜約0.002インチ)との間の厚さとする。
【0065】
他の実施例では、図41は、内側層440および外側層442を有するチューブ405の縦断面図を示し、少なくとも1個の補強素子444を内側層440内に組み込む。図41に示す実施例では、補強素子444は、コイルにより構成することができる。他の実施例では、補強素子は、補強素子434に関する上述したいずれかの構造を有するが、これらに限定されるものではない。さらに、ある実施例では、内側層440は、比較的可撓性とし、例えば、FEP、PTFE、ETFE、またはポリウレタンにより構成する。さらに、外側層442は、比較的高い強度を示し、例えば、PEEKまたはポリミドにより構成する。さらに、層430および432は、約0.127mm〜約0.254mm(約0.005インチ〜約0.010インチ)の範囲の厚さ(例えば、半径方向の厚さ)を有するものとする。 随意に、コーティング443を、層442の外面の少なくとも一部に施すことができる。この種のコーティング443は、実施例では、TEFLONのようなポリマーを有し、約0.0254mm〜約0.051mm(約0.001インチと約0.002インチ)の範囲の厚さとする。
【0066】
さらなる実施例では、チューブは、4個の層を有するものとすることができる。例えば、図42および図43は、チューブ400の他の実施例の横断面図および縦断面図を示す。特に、図42および43に示す通り、チューブ400は、層402、404、406、および408により構成する。図42に示す通り、層402は、管腔410を画定する。実施例では、管腔410は、ほぼ円形の断面を有し、約0.61mm(約0.024インチ)の直径を示す。他の実施例では、層402、404、406、および408の各々は、1個以上の隣接する層に対して移動可能または摺動可能とする。さらに、層402は、比較的高い張力強度を示す材料により構成する。このような形態により、管腔410内の比較的高い圧力に耐えることができる。例えば、層402は、PEEKと、ポリミドなどにより構成する。一般的に、この種の比較的高い強度の材料は、少なくとも約2,8000kg/cm2(約400,000psi)の弾性定数を示す。さらに、層404、406、および408は、比較的柔軟な材料により構成する。この層404、406、および408は各々、層402より小さな張力強度を示す。例えば、層404、406、および408は、フルオロポリマー、PEBAX、ポリエチレンテレフタレート(”PET”)と、シリコーンなどにより構成する。一般的に、この種の比較的柔軟な材料は、約27,300kg/cm2(390,000psi未満)の弾性係数を示す。しかし、いずれの層も、PTFE、ポリプロピレン、シリコーン、FEP、PFA、ETFEと、ポリウレタン(例えば、ISOPLAST、TECOFLEX、TECOTHANE、CARBOTHANE、TECOPLAST、またはTECOPHILIC等の熱可塑性ポリウレタン)、またはこれらの組み合わせにより構成することができるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
本発明の他の態様では、チューブ部分を構成する少なくとも1個の層は、セプタムを通してアクセスポートのリザーバへアクセスする細長の中空構造から末端方向に突出する構成とする。言い換えれば、少なくとも1個の層は、チューブ部分から突出し、アクセスポートのセプタムを穿刺する構造とする。例えば、図44および45は、チューブ400、401、403、405、およびアクセスポート50の縦断面図を示す。(上述した)チューブ400、401、403、405は、細長の中空領域450を有する。さらに、細長中空領域450は、比較的高い剛性を有し、図45に示す通り、アクセスポート50のセプタム80を穿刺するのに適している。したがって、(複数の層を有する)チューブ400、401、403、405の末端から突出する細長の中空領域450は、チューブ400、401、403、405の管腔とアクセスポート50のリザーバ66との間を連通する針またはカニューレを形成する。特に、細長の中空領域450は、チューブ400、401、403、405を形成する比較的高い強度の層(例えば、PEEK)の内の比較的高い強度を示す1個以上の層を有する。実施例では、チューブ400、401、403、405の最内側層が、細長の中空領域450を形成する。このような形態は有利であり、例えば、注入装置を製造する複雑性を軽減することができる。
【0068】
血管アクセス装置または注入装置の多くの種々の実施例は、本発明の1個以上の態様を組み込んだ構成とすることができる。血管アクセス装置または注入装置の複数の実施例としては、本願人により2005年4月27日付けで出願された米国特許出願第60/675,309号の優先権を主張するものであり、参考として本出願に付記する。米国特許第60/675,309号に記載される、単独または組み合わせの、いずれの注入システム、装置、または方法も、自動注入を実行する(これに限定されるものではないが、例えば、少なくとも約1ml/秒の流速(流量率)に適応する)構造とするかまたは実行するのに適する。
【0069】
例えば、本発明は、可撓性チューブとアクセスポートのリザーバとの間の連通を設ける構造とした注入システムは、自動注入のための構造とすることを意図する。この種の注入システムは、細長の尖端付き素子を有し、この尖端付き素子はアクセスポートのセプタムを貫通させる可撓性チューブの配置を容易にし、また可撓性チューブを適切に配置した後に注入システムから取り外すことができる。
【0070】
特に、図46は、注入アセンブリ510、安全クリップ530、ハブ540、可撓性チューブ590と、延長チューブ570、クランプ装置560、およびチューブコネクタ580を有する、注入装置510の実施例の分解図を示す。さらに詳細には、図47は、注入システム510の断面図を示す。図47に示す通り、注入アセンブリ520は、ベース528とこれに固定される細長の尖端付き素子522(例えば、針、トロカール、またはカニューレ)とを有する。図47に示す通り、細長の尖端付き素子522は、尖端525を有する。ある実施例では、細長の尖端付き素子を挿入するポートのセプタムを傷つけるのを回避するために、「非コアリング(芯抜きしない)」尖端(すなわち、尖端525は、「開口」”していないまたは中空でない)を有する細長の尖端付き素子を使用する。細長の尖端付き素子525は、ステンレス合金(例えば、AISI304ステンレス合金)のような、従来の針、トロカール、またはカニューレの材料により構成し、他の実施例では、比較的硬いプラスチックにより構成する。実施例では、ベース528は、図47に明示するように、ベース528内に細長の尖端付き素子の一部を拘束するよう射出成形するかまたは別の方法で形成する。さらに、ベース528は、必要に応じて随意に、他の機構(例えば、安全クリップ530)を収容する構造とする窪み524を設けることができる。ベース528はまた、随意に、ハブ540に形成する連結形状部544(例えば、窪み)に連結する構造とした連結形状部526(例えば、突部)を設けることができる。図47に示す通り、ハブ540は通常、ハブ本体550、マニホルド素子561、セプタム548、およびキャップ546を有する。実施例では、ハブ本体550は、TECOFLEX(例えば、TECOFLEX85A−B20)を有する。さらに、ハブ本体550は、(図46の)ウイング状構造541および543を定め、(例えば、ウイング状構造541および543を患者へテーピングすることにより、または別の方法でウイング状構造541および543を患者へ付着することにより)ハブを患者の皮膚へ付着する構造とする。ウイング状構造541および543は、例えば、細長の尖端付き素子522および可撓性カテーテル590を埋め込んだポートに挿入する場合または埋め込んだポートから細長の尖端付き素子522を取り外す場合に、ハブを操作するために使用することができる。ハブ本体550は、必要に応じて随意に、窪み542を有することができる。図47に示す通り、窪み542には、以下でさらに詳細に記載する通り、細長素子522を、安全クリップに通して配置する場合に、安全クリップ530を固定する固定リップ559を設ける。
【0071】
ハブ540は、注入アセンブリ520の細長の尖端付き素子522をハブ540およびハブ内に配置したセプタム548に貫通させる構造とする。言い換えると、マニホルド要素561は、複数の通路および、この複数の通路へ液体を連通させる少なくとも1個のセプタム548を画定する。さらに説明すると、マニホルド素子561は、ハウジングセプタム548がマニホルド素子561により画定されるプレナムのポートまたは開口部を封止する構造とする。随意に、キャップ素子546を位置決めし、このキャップ要素546とマニホルド素子561との間にセプタム548を拘束する。キャップ546は、細長の尖頭要素にセプタム548を貫通させる開口部547を有する。したがって、細長の尖端付き素子522(例えば、適切なサイズのトロカール、非コアリング(芯抜きしない)構造の針、または非コアリング構造のカニューレ)は、セプタム548の封止能力を危険にさらすことなく、セプタム548へ挿入および取り外しすることができる。さらに、キャップ546の存在により、いわゆる「自動(高圧)注入」を、マニホルド素子561を介して実行することができ、マニホルド素子561、チューブ570、および可撓性カテーテル590内の圧力は少なくとも約14kg/cm2(約200psi)またはそれ以上に達するものとすることができる。セプタム548は、本発明により開示するいずれかのセプタムの実施例による構造をなす(例えば、自動注入を実行するために少なくとも1個の構造素子を有する)が、これらに限定されるものではない。
【0072】
図47に示す通り、可撓性カテーテル590をマニホルド素子561に固着し、延長チューブ570もまたマニホルド素子561に固着する。ある実施例では、延長チューブ570および可撓性カテーテル590を、マニホルド素子561に化学的に結合する。他の実施例では、接着剤により延長チューブ570をマニホルド素子561の一部である表面552に固着する。同様に、接着剤によりカテーテル590をマニホルド素子561の別部分である内側面562に固着する。さらに、ハブ本体550を、マニホルド素子561(および、随意にセプタム548、キャップ546、またはこれら双方)および図47に示す延長チューブの少なくとも一部上に形成する(例えば、射出成形、硬化処理、または別の方法で上側成形する)。他の実施例では、ハブ本体550を、必要に応じて可撓性カテーテル590の少なくとも一部上に形成することができる。
【0073】
通常、上述した通り、本発明に開示するいかなるチューブも、注入システム510の一部を有する。さらに、当業界で既知のチューブクランプおよび連結装置を、延長チューブ570、クランプ装置560、およびチューブコネクタ580のために使用することができる。
【0074】
可撓性カテーテル590は、自動注入のために適切であるいずれかの材料で構成することができる。例えば、実施例では、可撓性カテーテル590は、TECOTHANE(例えば、TECOTHANETT105D)のようなポリマーにより構成する。図47に示す通り、可撓性カテーテル590は、内部に細長の管腔を有する。さらに、可撓性カテーテル590は、開口部593に近接する遷移領域595を有し、この遷移領域595は、可撓性カテーテル590の断面寸法(管腔594の横断面)が開口部593からの距離の関数として増大する構成とする。随意に、遷移領域595は、2個の異なるテーパーを有することができるが、本発明は、一般には少なくとも1個のテーパーと、少なくとも1個の弓状面、またはこれらの組み合わせにより遷移領域595を画定することを意図する。通常、少なくとも1個(例えば、1個以上)の開孔を、可撓性カテーテル590のチューブ本体に貫通する管腔に連通する開口部593の近接に設ける。図47に示す通り、可撓性カテーテル590には、管腔594に連通する2個の開孔592を設ける。
【0075】
図47に示す通り、細長の尖端付き素子522は、安全クリップ530、キャップ546の開孔547を経て、可撓性カテーテル590内に貫入する。細長の尖端付き素子522は、可撓性カテーテルに液体連通する構造とする。特に、細長の尖端付き素子522は、細長の尖端付き素子522の外側と可撓性カテーテル590の内側(すなわち、管腔)との間に間隙ができるようなサイズとする。実施例では、細長の尖端付き素子522は、(細長の尖端付き素子522の微小な断面形状に関する)少なくとも1個の長手方向に延在する窪みを有する。例えば、細長の尖端付き素子522は、尖端525を有し、細長の尖端付き素子522に沿って(すなわち、長手方向に沿って)長手方向に延在する窪みを有する。他の実施例では、細長の尖端付き素子522は通常円形断面であり、長手方向に延在する窪みは、細長の尖端付き素子の窪を形成する部分でほぼ三角形断面の形状となるよう形成する。
【0076】
他の実施例では、注入システムは、細長の尖端付き素子が、延長チューブ、可撓性カテーテル、またはこれら双方を、貫通する構造とする。さらに説明すると、セプタムの適切な配置および構造は、延長チューブ、柔軟なカテーテル、またはこれら双方に、細長の尖端付き素子を穿刺または貫通させることができる。図48および49は、窪み542、スリーブ620、およびセプタム548を有するハブ540の他の実施例を示す。さらに、延長チューブ570および可撓性カテーテル590の各々の少なくとも一部は、部分的にハブ本体550内に突入する。さらに、可撓性カテーテル590は、延長チューブ570内に部分的に突入する。言い換えると、可撓性カテーテル590は少なくとも部分的に延長チューブ570とオーバーラップし、逆もまた同様である。他の実施例では、単独のチューブ素子を、ハブ540に貫通させ、必要に応じて、可撓性カテーテル590および延長チューブ570の双方の機能をさせる。さらに、随意に、セプタム548は、少なくとも部分的に、延長チューブ570の一部を包囲することができる。このような形態により、セプタム548からの細長の尖端付き素子522の取り外しにおける、セプタム548の封止を容易にすることができる。スリーブ620は、スリーブ629が包囲するセプタム620の領域からの細長の尖端付き素子の取り外しにおけるセプタムの封止を容易にするように、セプタム548を圧縮する。セプタム548は、自動注入を実行するための(例えば、少なくとも1個の構造素子などを有する)本明細書に記載するいずれかのセプタムの実施例による構造とするが、これに限定されるものではない。
【0077】
さらに、図50は、細長の尖端付き素子522の尖端525に通常配置する安全クリップ530の斜視図を示す。安全クリップ530は、それぞれ湾曲端部領域を有する脚部533および535と、細長の尖端付き素子522が貫通するサイズの孔534と、を有する。さらに詳細には、最初に細長の尖端付き素子522を、孔534に貫通させ、脚部533と535との間に配置し、細長の尖端付き素子が脚間を通過できるような形態にする。さらに、細長の尖頭要素522をこの形態にし、また安全クリップ530を窪み542内に配置するとき、安全クリップ530は、窪み542(図49参照)の固定リップ543(図49参照)内に嵌合するサイズとなる。しかし、脚部533および535は、細長の尖端付き素子522の尖端525を孔534に向けて移動し脚部533および535の湾曲端領域を越えて突出しない場合に、脚部533および535が互いに寄り合い細長の尖端付き素子522の尖端525を効率的に拘束するように、バイアスする。安全クリップ530は、細長の尖端付き素子522の尖端525を拘束するためのいずれかの自己作動装置を有する。このような安全クリップ530により、細長の尖端付き素子522が、他人、特に細長の尖頭要素522を挿入および取り外しをする医療修習者に不慮に刺さる機会を減らすことができる。
【0078】
さらに本発明は、アクセスポート(および、存在する場合にはアクセスポートに固着したカテーテル)または注入装置を誤って加圧した結果は問題を含むおそれがあるため、すべてのコンポーネントが選択された注入プロセスに関連して予想される最大流速(流量率)および圧力に耐えることができるようにするために、注入システムのコンポーネントに少なくとも1個の識別属性を付与することは有利であることを認識するものである。言い換えると、少なくとも約1ml/秒の流速(流量率)に適応するよう構成したアクセスポートは、少なくとも1個の識別属性を有するものとする。このような少なくとも1個の識別属性は、(例えば、視覚、触覚、超音波、レントゲン写真などにより)観察または別の方法で検出することができるようにする。いずれかの注入装置(アクセスポート、注入装置など)に関連し、本明細書で使用される用語「識別」は、関心のある対象物の選択された情報を知覚できる特徴に関連付ける能力を意味する。
【0079】
本発明は、2005年3月4日付けで出願された米国特許出願第60/658,518号に記載される、単独または組み合わせのいずれかの識別特徴または属性により、自動注入用の構造をなすアクセスポートであることを識別することができることを意図する。また、少なくとも1個の識別属性を有するアクセスポートの実施例は、2005年12月28日付けで出願された米国特許出願第11/320,223号に開示されており、参考として本明細書に付記する。本発明は、2005年12月28日付けで出願された米国特許出願第11/320,223号に記載される、単独または組み合わせのいずれかの識別特徴または属性により、自動注入のための構造をなすアクセスポートであることを識別することができることを意図する。さらに、液体を安全に注入できる最大流速(流量率)により、アクセスポートを識別することができる。例えば、少なくとも1個の識別属性は、アクセスポートが少なくとも約1ml/秒の流速(流量率)に適応する構造としたものであることを示すが、これに限定されるものではない。
【0080】
本発明が包含するアクセスポートに関して、アクセスポートのハウジングの少なくとも1個の属性は、アクセスポートを少なくとも約1ml/秒の流速(流量率)で自動注入のための構造として識別するための少なくとも1個の識別属性を付与する。ある実施例では、アクセスポートの少なくとも1個の物理的な属性(例えば、寸法、形状など)により、アクセスポートが自動注入に適することを識別するか、またはアクセスポートが安全に適応できる最大流速(流量率)または圧力を識別できるようにする。
【0081】
したがって、本発明のある態様では、自動注入に適した(これらに限定されるものではないが、例えば、皮下に埋め込むかまたは別の方法で配置する)アクセスポートを識別する方法に関する。特に、セプタムを有するアクセスポートを提供することができる。さらに、少なくとも1個のアクセスポートの属性を認識することができる。さらにまた、皮下に埋め込むアクセスポートは、アクセスポートの少なくとも1個の属性の認識により、自動注入に適することを識別することができる。
【0082】
ある実施例では、識別のための少なくとも1個の属性は、アクセスポートハウジングの少なくとも1個の特徴部により構成する。さらに詳細には、図51は、組み立てたアクセスポートの斜視図を示す。図51に示す通り、アクセスポート50の側方周縁295(例えば、1個以上の側壁、および随意に、縫合プラグ291の露出面)は、ほぼ三角形をなす。したがって、キャップ54およびベース56は、合体してほぼ三角形のアクセスポート50のハウジング60を形成する。また、本発明は、側方周縁295は先細にするかまたは、キャップ54の上面61とベース56の下面51との間に円弧状に延在する構成とする。図51に示す通り、アクセスポート50の(ベースが平面である場合、ベース56の、下面51にほぼ平行な選択された平面における)横断面は、ベース56の下面51へ近接するにつれ大きくなり、キャップ54の上面へ近接するにつれ比較的小さくなる。図52は、図51に示すアクセスポートの上図を示し、側方周縁により画定されるほぼ三角形の形状を示す。さらに、図53は、アクセスポート50の横断面を簡略化して示す。図53に示す通り、アクセスポート50の側方周縁295は、関連する頂点領域301の間に延在する3個の側面領域303を画定する。加えて、ある実施例では、図53に示す通り、側方周縁295は、ほぼ正三角形の形状を画定する。当然、側面領域303は、関連する頂点領域301の間に正確に延在する。従って、側面領域303は、ほぼ三角形状の「側辺」を形成する。さらに、頂点領域301は丸みがあるが、この頂点領域301は隣接する側面領域303との間に交点を形成することは良く理解されるべきである。したがって、本明細書で使用されるフレーズ「ほぼ三角形」は、隣接する側面が頂点領域でまたは頂点領域内で交差するいずれのほぼ3側辺形状も含むが、これらに限定されるものではないこともよく理解されたい。例えば、「ほぼ三角形」は、3側辺を有するポリゴン、円形的三角形、正三角形などを包含するが、これらに限定されるものではない。
【0083】
さらに、他の実施例では、少なくとも1個の識別属性は、放射線マーカーにより構成する。特に、アクセスポートは、アクセスポートが特定の流速(流量率)、圧力、またはこれら双方に適応する構造であることを示す観測可能なパターン、シンボル、マーカー、または他の印とすることができる。他の実施例では、少なくとも1個の識別属性は、視覚的に知覚可能な構造のような、知覚可能な形態を有する。例えば、視覚的に知覚可能または別の方法で認知可能である少なくとも1色の色、少なくとも1個のシンボル、少なくとも1個の印刷字(例えば、文字、数字など)、パターン、またはいずれかの他の印を使用する。他の実施例では、超音波検出可能な構造をアクセスポートに組み込む。さらなる実施例では、アクセスポートはRFIDタグを有する。
【0084】
他の機器および装置(例えば、注入装置、チューブ、注入器など)は、適する最大流速(流量率)または最大圧力に関連して識別可能である。例えば、特定の注入装置は、1個以上の上述した識別属性または特徴を有する。このような形態により、種々のコンポーネント(例えば、チューブ、針、アクセスポート、機械的注入器など)を互いに適合させることができる。例えば、自動注入器と、注入装置、およびアクセスポートにより共有されるほぼ同様または適合する識別属性は、選択された自動注入プロセスを実行するために互いに使用する適正を示す。
【0085】
アクセスポートの識別に関する他の態様としては、アクセスポートが埋め込まれた患者の識別に関連する。より詳細には、患者は、埋め込まれたポートに関する知覚可能な(例えば、視覚的、磁気ストリップ、バーコードを介する、手動で、または他の適切な機構による)情報を担持する識別カードを付与される。したがって、この種の識別カードを医療従事者に提示することにより、識別カードの情報が認識され、アクセスポートを識別できる。アクセスポートの識別において、例えば、最大流速(流量率)、最大圧力、特定の手順に対する適正などのアクセスポートの特性を確認する。他の実施例では、リストバンドまたはブレスレットを、アクセスポートが埋め込まれた患者に付与する。他の実施例では、例えば、磁気ストリップ、バーコード、コンピュータの読み取り可能な媒体またはデバイス(例えば、コンパクトディスク、「フラッシュ」メモリ、ディスクドライブなど)、または他の適切な情報担持デバイスのような情報担持デバイスを有するキーチェーンを付与する。他の実施例では、ポートの情報を含むステッカを患者のカルテに貼る。他の実施例では、注入装置へのラベル付けにより、自動注入に適合性のある装置かを識別できる。
【0086】
本発明のさらに他の態様としては、ゲルまたは粘性液体を有するセプタムに関する。本願明細書に使用される用語「ゲル」は、少なくとも1個の液体成分内に懸濁する少なくとも1個の固体成分を有するコロイドを意味し、固体粒子(例えば、ポリマー粒子)は、共有原子価、イオン、分散(物理的)力により互いに引き寄せられるまたは別の方法で互いに結合する(例えば、絡み合うまたは架橋する)。したがって、実施例では、ゲルは、固体の分散相が、粘性のあるまたは半剛性のゾルを生ずるために液体連続相との組み合わせでネットワークを形成するコロイドである。ゲルは、これらに限定されるものではないが、弾性、粘弾性、または可塑性である応力‐歪挙動を示す。本明細書において使用される用語「粘性液」は、約20,000センチポアズ以上の粘性を示す液体を意味する。
【0087】
アクセスポートを形成するハウジング内に配置するセプタムに形成される1個以上の通路により、アクセスポートのリザーバを加圧する場合、1個以上の通路を通して液体が漏出することがあり得る。本発明は、ゲル領域を通常セプタム上面とセプタム下面との間に配置することにより、少なくとも一部のゲル領域を貫通させて上面から下面へセプタムを貫通してカニューレを貫通し易くすることを意図する。
【0088】
例えば、ある実施例では、セプタムは、少なくともほぼ本体材料により包囲されるゲルを有するものとする。例えば、図54は、本体612および本体612内に配置するゲル領域620を有するセプタム610の縦断面図を示す。ゲル領域620は、上面614に挿入し下面616を貫通するカニューレが、ゲル領域620の一部を通過する構造とする。ある実施例では、ゲル領域620は、シリコーンゲルにより構成する。他の実施例では、ゲル領域は、液体が硬化してゲルを形成する未硬化液体(すなわち、比較的低い粘性を有する液体)により構成する。ある実施例では、ゲル領域620は、粘性液または粘弾性材料により構成する。
【0089】
ある実施例では、ゲル領域620は、エラストマー、例えば、ミシガン州ミッドランドにあるダウ・コーニング(DOW CORNING)社から市販されている「DOW CORNING(登録商標)7−9600」ソフトフィリングエラストマーPartsA&Bにより構成する。他の実施例では、ゲル領域620は、カリフォルニア州カルピンテリアにあるNuSiIテクノロジー社から市販されているシリーコンゲル「MED−6340」により構成する。さらに他の実施例では、ゲル領域620は、約20〜30のショアA硬度を示すエラストマー、例えば、どちらもミシガン州ミッドランドにあるダウ・コーニング社から市販されている「DOW CORNINGC6−515」液体シリコーンゴムPartsA&Bまたは「DOW CORNINGC6−530」液体シリコーンゴムPartsA&Bにより構成する。さらに、随意で、セプタム610の本体612は、約50から約60のShoreA硬度のシリコーン材料を有することができる。他の実施例では、本体612および/またはセプタム610の上面614は、約60〜約80のショアA硬度のシリコーン材料により構成する。随意に、本体612および/またはセプタム610の上面614はフルオロポリマー(例えば、PTFEなど)またはポリウレタンにより構成することができる。
【0090】
ゲル領域620の少なくとも一部に貫通するカニューレを取り外す際に、ゲル領域620に形成された通路または孔は、リバウンド、修復、封止、または癒合することができることは、当業者であれば、当然理解できるであろう。さらに、ゲル領域620により、本体612および上面614を形成された通路を封止することができる。例えば、ゲル領域620により、リザーバ内の圧力がアクセスポートの外部の大気圧を超えた場合に(例えば、これらに限定されるものではないが、自動注入プロセス、上述したように液体をアクセスポートから流すあらゆるプロセス、または液体を当業界で既知のアクセスポートから流すあらゆるプロセスの間)、セプタム610を通してアクセスポートのリザーバからの液体の漏出を抑制または防止することができる。さらに、セプタム610を貫通するカニューレが、選択された境界またはエンベロープの外側のゲル領域を構成するいずれかの材料の転移または除去に耐える構造とするように、ゲル領域620を配合し、および/または本体612を構成する。ある実施例では、本体612は、本体612を貫通するカニューレから、ゲル領域620を構成する材料を除去できる構造とする。
【0091】
本明細書に記載したセプタム実施例のいずれかは、少なくとも1個のゲル領域を有する。例えば、図55は、本体612およびゲル領域620を有するセプタム611の縦断面図を示す。上述した通り、ゲル領域620は、上面614から挿入して下面616に貫通するカニューレが、ゲル領域620の一部を通過する構造とする。このような形態により、多くの通路がカニューレによりセプタムに形成された場合でも、漏出を防止する堅牢なセプタムを提供することができる。さらに、ゲルを有するセプタムを設けることにより、セプタムの封止能力または質を向上させることができる。したがって、ゲル材料を有するセプタムは、従来のセプタムと比較して(すなわち、上面から下面の)薄い厚さを示すことができる。例えば、図56は、厚さTが従来のセプタムの従来の厚さより薄い、本体612およびゲル領域620を有するセプタム613を示す。ある実施例では、セプタム613の厚さTは、約12.7mm(約0.500インチ)以下である。
【0092】
本発明は、ゲルを有するセプタムを形成するために使用する種々の異なる製造方法を提供することを意図する。例えば、通常、セプタムの本体は、少なくとも1個のゲル領域をほぼ包囲するように形成する、または、ゲルで満たした窪みまたはチャンバをセプタム本体により形成する。ある実施例では、ゲル領域を、セプタム本体を形成するための成形型内で懸垂する。とくに、図57は、ゲル領域620を第1成形型652と第2成形型654との間に配置する(例えば、懸垂させる)、第1成形型652および第2成形型654の断面図を示す。図57に示す通り、ゲル領域620は、第2成形型654の分離面655に当接する、フレーム素子630により位置決めする。図57に示すように、フレーム素子630は、ピン606により位置決めする。他の実施例では、フレーム素子630を、適当に位置決めするが、これらに限定されるものではない。特別な実施例では、第1成形型652の分離面653は、第2成形型654の分離面655の近接して位置決めされ(すなわち、分離面653および655はフレーム素子630によって分離される)、キャビティ658および656により画定されるチャンバを形成する。さらに、硬化可能材料(例えば、硬化可能なシリコーン、熱可塑材、樹脂などのような硬化可能材料)を、チャンバ内に注入し、硬化させる。したがって、硬化可能材料は、ゲル領域620を包囲するかまたはカプセル化し、キャビティ656および658に相補的な形状を示す。
【0093】
通常、フレーム素子630は、ゲル領域620に結合または固着する。ある実施例では、フレーム素子630は、ゲル領域620の周縁の少なくとも一部に結合または係合することができる。他の実施例では、フレーム素子630は、ほぼ平面状にし、ゲル領域620をフレーム素子630上に載置するかまたはフレーム素子上で形成する。さらに他の実施例では、フレーム素子630を、ゲル領域620に少なくとも部分的に貫通させる。随意に、フレーム素子630を、第2成形型654のキャビティ656をカバーするまたは横切らせることもできる。ある実施例では、フレーム素子630は、メッシュ(例えば、金属、ポリマーメッシュ、ファブリック、ファイバーメッシュなど)により構成する。他の実施例では、フレーム素子630は、シリコーンのシートまたは層により構成し、随意に孔を形成することができる。フレーム素子630をメッシュにより構成するか有孔素子である場合、キャビティ658,656相互間で(硬化可能材料の)液体連通が生じ、カプセル化中にゲル領域620および/またはフレーム素子630の移動を防止することができ、望ましい。ゲル領域620をカプセル化した後、フレーム素子630の選択された部分を、必要に応じて、トリミングするまたは切断することができる。
【0094】
少なくとも1個のゲル領域を有するセプタムを形成する他の方法では、セプタム本体を、ゲルを充填する少なくとも1個のチャンバを有するよう形成する。例えば、図58は、チャンバ621を画定するセプタム本体612を示す。随意に、開口部623を本体612によって画定することができる。したがって、ゲルは、開口部623を介してチャンバ621内へ注入し、随意に、開口部を閉じることができる。例えば、未硬化ゲルをチャンバ621内へ注入する。さらに、未硬化ゲルは、加熱または他の適切な方法により硬化することができる。このような形態により、図55につき上述したようにゲル領域を形成することができる。ある実施例では、チャンバ621は、本体612内にチャンバ621を作るために、空気注入による成型プロセス、ブロー成型プロセス、または当業界で既知の他の方法により形成することができる。他の実施例では、本体612は、取り外し可能なプラグまたはフィラー(例えば、シリコーンプラグ、スチール、またはアルミニウムインサート)の周りに形成することができる。このようなプラグまたはフィラーは、こびりつかないコーティング(例えば、TEFLON[登録商標]、シリコーン、または当業界で既知のあらゆるこびりつかないコーティング)を用いて被覆することができる。したがって、チャンバ621は、プラグまたはフィラーを除去して形成することができる。他の実施例では、セプタムの部分を形成し、ゲル(またはゲルの流動性前駆体)を充填し、セプタムを形成するように互いに結合させる。他の実施例では、本体612を最初に形成し、本体612内にチャンバ621を包囲する。さらに、本体612を切断し、チャンバ621にゲルを充填することができるように開口部を形成する。この本体612の開口部は、ゲル領域を拘束または形成するために、閉鎖または封止する。さらに他の実施例では、中実の本体を形成し、この本体をスライスすることによりチャンバを形成する。このような形態では、チャンバを充填することにより、中実の本体を、所要に応じてドーム状のまたは隆起した領域となるよう変形することができる。多くの種々の方法を使用して、本体612内にチャンバ621を形成し、その後にチャンバをゲルで充填することができることは理解できるであろう。
【0095】
他の実施例では、セプタムは、本体と、ゲル領域の少なくとも一部および本体の少なくとも一部に結合するかまたは形成する材料層との間に配置するゲル領域を有するものとする。例えば、図59は、本体632、ゲル領域620、および層626を有するセプタム615の縦断面図を示す。図59に示すように、ゲル領域620を、本体632に形成する窪み633内に配置し、層626をゲル領域620の一部および本体632の一部上に延在させる構成とする。当業者には、ゲル領域620を本体632の窪み633内に配置または形成し、その後層626をゲル領域620および本体632上に形成または配置することは、理解できるであろう。さらに、層626を、ゲル領域620を拘束するために、本体632に結合するか(例えば、接着結合、硬化結合、溶接結合、または当業界で既知の他の方法による結合)、または他の方法で固着する。ある実施例では、セプタム615は、複数のヘッド(例えば、2個のヘッド)の射出成形装置により形成する。とくに、このような射出成形装置は、本体632を形成し、この本体632内にゲル領域620を形成し、適切な成形形状および材料注入による(例えば、成形中に)ゲル領域620および本体632上に層626を形成することができる。ある実施例では、層626は、約60〜約80の範囲のショアA硬度を示す、シリコーンに基づく材料により形成する。ある実施例では、本体632は、約40〜約50の範囲のショアA硬度を示す、シリコーンに基づく材料により形成する。したがって、(ハウジング内に挿入しアクセスポートを形成する)セプタム615を使用する間は、カニューレは、層626から、ゲル領域620の少なくとも一部、および本体632に貫通する。このような形態により、層626、ゲル領域620の少なくとも一部、および本体632とを貫通するカニューレの位置決めを容易にすることができる。
【0096】
本発明の態様を説明する目的で、特定の典型的な実施例および詳細を示したが、特許請求の範囲に記載した、本発明の範囲を逸脱することなく、本明細書に開示した方法および装置に種々の変更を施しうることは、当業者は当然理解できるであろう。例えば、他のアクセスポートの寸法および形状を使用することもでき、種々の他の実施例および構造を、本発明におけるアクセスポートの少なくとも1個の識別可能な特徴部を形成するために使用することができるものである。特許請求の範囲を含めて本明細書で使用される用語「有する」および「備える」(これらの変形も有する)は、要素「設ける」と同じ意味を有する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明によるアクセスポートの分解斜視図である。
【図2】図1に示すアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図3】図1および2に示すリング状部を有するキャップの頂面図である。
【図4】リング状部を有するキャップの他の実施例における頂面図である。
【図5】リング状部を有するキャップのさらに他の実施例の頂面図である。
【図6】アクセスポートのセプタムにカニューレを貫通させた状態を示す、埋め込み型アクセスポートの線図的縦断面図である。
【図7】特定の流速に対する、注入システム内の選択された領域での圧力を説明するグラフである。
【図8】ほぞ領域を有するセプタムと、ほぞ穴領域を有するハウジングとを有するアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図9】ほぞ領域を有するセプタムと、ほぞ穴領域を有するハウジングとを有するアクセスポートの他の実施例における線図的縦断面図である。
【図10】ほぞ領域を有するセプタムと、ほぞ穴領域を有するハウジングとを有するアクセスポートのさらに他の実施例の線図的縦断面図である。
【図11】セプタムの少なくとも一部の側面周縁をハウジングへ貼着するアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図12】セプタムとハウジングとの間に延在する構造素子を設けたアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図13】セプタム内に配置する矢尻状端部を有する構造素子を設けたアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図14】セプタムの上面とハウジングとの間に延在する構造素子を設けたアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図15】図14に示すセプタムの上面に隣接して配置する支持素子を有するアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図16】ハウジングに突出する突出脚部を有するセプタムを設けたアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図17】ハウジングに形成した窪みに結合する拡大端部を有する突出脚部を有するセプタムを設けたアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図18】セプタムの上面に隣接して配置する構造素子を設けたアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図19】セプタムおよびセプタムに対して側方に貫通する構造素子を設けたアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図20】セプタムおよびセプタムの上面に近接して配置する構造素子を設けたアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図21】セプタムおよびセプタムの下面に近接して配置する構造素子を設けたアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図22】図18〜21に示すアクセスポートの構造素子、をほぼ三角形パターンで構成したことを示す部分頂面図である。
【図23】図18〜21に示すアクセスポートの構造素子を、2個のほぼ矩形パターンで構成したことを示す部分頂面図である。
【図24】図18〜21に示すアクセスポートの構造素子を、第1の複数のほぼ平行なラインおよび第2の複数のほぼ平行なラインで構成したことを示す部分頂面図である。
【図25】図18〜21に示すアクセスポートの構造素子を、2個の交差するほぼ並行な直線部材で構成したことを示す部分頂面図である。
【図26】セプタム内に配置する構造素子を設けたセプタムの部分頂面図である。
【図27】図26に示すセプタムの分割斜視図である。
【図28】複数の構造素子を有するセプタムの部分頂面図である。
【図29】湾曲を示すセプタムを有するアクセスポートの線図的縦断面図である。
【図30】セプタムフレームの実施例の頂面図である。
【図31】図30に示すセプタムフレームおよび少なくとも部分的にフレームを包囲する他の材料を有するセプタムの実施例の線図的縦断面図である。
【図32】他の材料により少なくとも部分的に包囲されるフレームを有するセプタムの他の実施例における線図的縦断面図である。
【図33】他の材料により少なくとも部分的に包囲されるフレームを有するセプタムのさらに他の実施例の線図的縦断面図である。
【図34】セプタムを構成する放射線不透過性材料により形成できるパターンの線図的説明図である。
【図35】セプタムを構成する放射線不透過性材料により形成できる他のパターンの線図的説明図である。
【図36】本発明による注入装置の実施例の斜視図である。
【図37】本発明による注入装置の他の実施例における斜視図である。
【図38】内側層および外側層を有するチューブの実施例の縦断面図である。
【図39】内側層および外側層を有するチューブの実施例の横断面図である。
【図40】内側層と、外側層と、少なくとも1個の補強素子とを有するチューブの縦断面図である。
【図41】内側層と、外側層と、少なくとも1個の補強素子とを有するチューブの他の実施例の縦断面図である。
【図42】4個の層を含むチューブの横断面図である。
【図43】4個の層を含むチューブの縦断面図である。
【図44】複数の層の少なくとも1個の層が、アクセスポートのセプタムに貫通させて挿入する細い中空領域を形成するように、チューブの末端から突出する、複数の層を有するチューブ部分を示す線図的縦断面図である。
【図45】複数の層の少なくとも1個の層が、アクセスポートのセプタムに貫通させて挿入する細い中空領域を形成するように、チューブの末端から突出する、複数の層を有するチューブ部分を示す線図的縦断面図である。
【図46】アクセスポートのセプタムに可撓性のカテーテルを挿通する構成とした注入システムの実施例の斜視図である。
【図47】図46に示す注入システムの部分縦断面図である。
【図48】アクセスポートのセプタムに可撓性のカテーテルを挿通する構成とした注入システムの他の実施例における斜視図である。
【図49】図48に示す注入システムの部分縦断面図である。
【図50】挿入アセンブリをハブから取り外した、図48に示す注入システムの斜視図である。
【図51】本発明によるアクセスポートの実施例の斜視図を示す。
【図52】図51に示すアクセスポートの頂面図を示す。
【図53】図51および52に示すアクセスポートの横断面を簡略化して示す説明図である。
【図54】少なくとも1個のゲル領域を有するセプタムの実施例の縦断面図である。
【図55】少なくとも1個のゲル領域を有するセプタムの他の実施例における縦断面図である。
【図56】少なくとも1個のゲル領域を有するセプタムのさらに他の実施例の縦断面図である。
【図57】ゲル領域を第1成形型と第2成形型との間に配置した状態を示す、第1成形型および第2成形型の縦断面図である。
【図58】ゲルを拘束する少なくとも1個のチャンバを有するセプタムの実施例の縦断面図である。
【図59】少なくとも1個のゲル領域を有するセプタムの他の実施例の縦断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスポートを通して液体を流す方法において、
血管アクセスポートを準備するステップと、
少なくとも約1ml/秒の流速で前記アクセスポートを通して液体を流すステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記アクセスポートを通して前記液体を流すステップは、前記アクセスポートのリザーバ内に少なくとも約2.45kg/cm2(約35psi)の圧力を生じさせる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アクセスポートを通して前記液体を流すステップは、前記アクセスポートのリザーバ内に約2.59kg/cm2〜4.55kg/cm2(約37psi〜65psi)の範囲の圧力を生じさせる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アクセスポートを通して前記液体を流すステップは、約2ml/秒〜約5ml/秒の範囲の流速で前記アクセスポートを通して前記液体を流すステップを有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アクセスポートを通して前記液体を流すステップは、少なくとも約5ml/秒の流速で前記アクセスポートを通して前記液体を流すステップを有する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
さらに前記リザーバ内に生じた圧力によるセプタムの変形を制限するステップを有する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記セプタムの変形を制限するステップは、変形に対して少なくとも1個の構造素子を用いて前記セプタムを補強するステップを有する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アクセスポートを通して前記液体を流すステップは、機械的注入器を使用し、前記アクセスポートに連通する注入装置を通して前記液体を流すステップを有する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記注入装置を通して前記液体を流すステップにより、少なくとも前記注入装置の部分内に少なくとも約7kg/cm2(約100psi)の圧力を生じさせる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
注入装置を通して液体を流す方法において、
血管アクセスポートへ動作可能な状態で連結した注入装置を準備するステップと、
少なくとも約1ml/秒の流速で前記注入装置を通して液体を流すステップとを有する方法。
【請求項11】
前記注入装置を通して前記液体を流すステップにより、少なくとも前記注入器の部分内に少なくとも約7kg/cm2(約100psi)の圧力を生じさせる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記注入装置を通して前記液体を流すステップは、約2ml/秒〜5ml/秒との範囲の流速で注入装置を通して前記液体を流すステップを有する請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記注入装置を通して前記液体を流すステップは、少なくとも約5ml/秒の流速で注入装置を通して前記液体を流すステップを有する請求項10に記載の方法。
【請求項14】
患者への皮下アクセスを提供するためのアクセスポートにおいて、
セプタムを拘束するための開孔を画定するハウジングを備え、このハウジングおよび前記セプタムがリザーバを画定し、前記セプタムには、ほぞ領域を設け、このアクセスポートの前記ハウジングには、前記セプタムの前記ほぞ領域の少なくとも一部を収容する構造であり、前記ほぞ領域と相補形状のほぞ穴領域を形成したことを特徴とするアクセスポート。
【請求項15】
前記リザーバ内に生じる圧力による前記セプタムの変形を制限する構成とした、さらに少なくとも1個の構造素子を有する請求項14に記載のアクセスポート。
【請求項16】
前記アクセスポートは、前記アクセスポートを通して最大流速を識別する構成とした、少なくとも1個の特徴部を設けた請求項14に記載のアクセスポート。
【請求項17】
前記アクセスポートは、少なくとも1ml/秒の流速に適応する構成とした請求項14に記載のアクセスポート。
【請求項18】
患者の皮下へのアクセスを提供するアクセスポートであって、
前記アクセスポートは、
セプタムを捕捉するための開孔を画定するハウジングを備え、このハウジングおよび前記セプタムによりリザーバを画定し、また
前記ハウジングおよび前記セプタムは、前記リザーバを通して少なくとも約1ml/秒の流速に適応する構造としたことを特徴とするアクセスポート。
【請求項19】
さらに、前記リザーバ内に生じた圧力による前記セプタムの変形を防止する構成とした少なくとも1個の構造素子を有する請求項18に記載のアクセスポート。
【請求項20】
前記セプタムは、ほぞ領域を有し、前記アクセスポートの前記ハウジングは、前記ほぞ領域の少なくとも一部を収容する構造とした相補的なほぞ穴領域を画定した請求項18に記載のアクセスポート。
【請求項21】
前記ポートは患者へほぼ完全に埋め込むものとし、前記ポートは、自動注入可能なポートとして、患者の皮膚を通して触覚識別する構成とした請求項18に記載のアクセスポート。
【請求項22】
患者の皮下へのアクセスを提供するアクセスポートにおいて、
前記アクセスポートは、
前記セプタムを拘束する開孔を画定するハウジングを備え、このハウジングおよび前記セプタムによりリザーバを画定し、また
前記ハウジングおよび前記セプタムは、少なくとも約2.45kg/cm2(約35psi)の前記リザーバ内に生じた圧力に適応する構造としたアクセスポート。
【請求項23】
さらに、リザーバ内に生じた圧力による前記セプタムの変形を防止する構造とした少なくとも1個の構造素子を有する請求項22に記載のアクセスポート。
【請求項24】
前記セプタムにはほぞ領域を設け、前記アクセスポートの前記ハウジングには、前記セプタムの前記ほぞ領域の少なくとも一部を収容する構造であり、前記ほぞ領域と相補形状のほぞ穴領域を形成した請求項22に記載のアクセスポート。
【請求項25】
前記アクセスポートは、前記アクセスポートを通過する最大流速を識別する構造とした少なくとも1個の特徴部を設けた請求項22に記載のアクセスポート。
【請求項26】
患者へ経皮的にアクセスするために使用する注入装置において、
前記注入装置は、
管腔を画定するチューブ部分と、
前記チューブ部分の前記管腔と連通するカニューレと
を有し、このカニューレはアクセスポートのセプタムを通して挿入する構造とし、
前記チューブ部分および前記カニューレは、少なくとも約1ml/秒の流速で液体を流す構造としたことを特徴とする注入装置。
【請求項27】
前記チューブ部分は複数の層を有し、前記複数の層の少なくとも2層は異なる材料により形成した請求項26に記載の注入装置。
【請求項28】
前記複数の層の少なくとも1層は、前記複数の層の隣接する1個以上の層に結合する請求項26に記載の注入装置。
【請求項29】
前記複数の層の少なくとも1層は、熱可塑性ポリウレタンにより形成した請求項26に記載の注入装置。
【請求項30】
前記複数の層の各々は、それぞれ異なる材料で形成した請求項26に記載の注入装置。
【請求項31】
さらに、前記複数の層の少なくとも1個の層は、少なくとも1個の補強素子を有する構成とした請求項26に記載の注入装置。
【請求項32】
患者の血管系システムにアクセスするために使用する注入チューブにおいて、前記注入チューブは、
複数の層を有し、
前記チューブは、少なくとも約1ml/秒の流速に適応する構造とした
ことを特徴とする注入チューブ。
【請求項33】
前記複数の層の少なくとも1個の層は、前記複数の層の隣接する1個以上の層に結合するものとした請求項32に記載の注入チューブ。
【請求項34】
前記複数の層のうち少なくとも2個の層は、異なる材料で形成した請求項32に記載の注入チューブ。
【請求項35】
前記複数の層のうち少なくとも1個の層は、前記複数の層の隣接する1個以上の層に結合する請求項32に記載の注入チューブ。
【請求項36】
前記複数の層のうち少なくとも1個の層は、熱可塑性ポリウレタン、PEEK、ポリミド、Ultem、PTFE、FEP、Pebax、PTE、またはシリコーンのうち少なくとも1個により形成した請求項32に記載の注入チューブ。
【請求項37】
さらに、前記複数の層のうち少なくとも1個の層は、少なくとも1個の補強素子を有するものとした請求項32に記載の注入チューブ。
【請求項38】
自動注入に適するアクセスポートを識別する方法において、
セプタムを有するアクセスポートを設けるステップと、
前記自動注入に適する前記アクセスポートを識別するステップとを有する
ことを特徴とする方法。
【請求項39】
さらに、前記アクセスポートの少なくとも1個の特徴部を認識するステップを有し、
前記アクセスポートの前記少なくとも1個の特徴部を認識するステップは、前記アクセスポートの前記少なくとも1個の特徴部を触覚認識するステップ、または前記アクセスポートの前記少なくとも1個の特徴部を視覚認識するステップを有する請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記アクセスポートを自動注入に適するものと識別するステップは、キーチェーン、ブレスレット、リストバンド、患者のカルテに設けられるステッカー、患者のIDカード、および前記アクセスポートのパッケージング上に設けられるラベルのうち少なくとも1個により提供される情報を視覚認識するステップを有する請求項38に記載の方法。
【請求項41】
患者の血管システムにアクセスするために使用する注入チューブにおいて、
複数の層を有し、
前記複数の層のうち少なくとも1個の層は、前記複数の層の少なくとも他の1個の層を超えて突出し、アクセスポートのセプタムを穿刺するカニューレを形成する構造とする注入チューブ。
【請求項42】
患者の皮下へのアクセスを提供するアクセスポートにおいて、
セプタムを拘束するための構造としたハウジングであって、前記セプタムは、前記ハウジング内に画定したリザーバ内にカニューレを挿通する構造にした該ハウジングと
前記リザーバ内に生じた圧力による前記セプタムの変形に抵抗する構造とした少なくとも1個の構造素子と
を備えたことを特徴とするアクセスポート。
【請求項43】
前記少なくとも1個の構造素子は、前記セプタムの下面から前記ハウジングまで延在する構成とした請求項42に記載のアクセスポート。
【請求項44】
前記少なくとも1個の構造素子は、前記セプタムに設けた1個以上の突出脚部により構成した請求項43に記載のアクセスポート。
【請求項45】
前記少なくとも1個の構造素子は、前記セプタムの上面から前記ハウジングまで延在する構成とした請求項42に記載のアクセスポート。
【請求項46】
前記少なくとも1個の構造素子は、前記セプタム内に少なくとも部分的に位置決めした少なくとも1個の矢尻状部を有する構成とした請求項42に記載のアクセスポート。
【請求項47】
前記少なくとも1個の構造素子は、前記セプタムの少なくとも一部に横方向に貫通する構成とした請求項42に記載のアクセスポート。
【請求項48】
前記少なくとも1個の構造素子は、前記セプタムの上面の少なくとも一部に当接するかまたは近接する構成とした請求項42に記載のアクセスポート。
【請求項49】
前記少なくとも1個の構造素子は、ほぼ三角形パターン、ほぼ長方形パターン、および複数のほぼ平行なラインパターンのうち少なくとも1個を有するパターンで形成した請求項42に記載のアクセスポート。
【請求項50】
前記少なくとも1個の構造素子は、前記セプタム内に少なくとも部分的に埋め込み、閉じた平面形状の構成とした請求項42に記載のアクセスポート。
【請求項51】
前記アクセスポートは、チタンおよびプラスチックの少なくとも1個により構成した請求項42に記載のアクセスポート。
【請求項52】
アクセスポートを動作させる方法において、
前記セプタムを拘束する構造とした前記ハウジングを準備するステップであって、前記セプタムはハウジング内に画定したリザーバ内にカニューレを挿通するための構造とした該ハウジング準備ステップと、
前記ハウジングの前記リザーバ内で圧力を上昇させるステップと、
前記リザーバ内に生じた前記圧力による前記セプタムの変形を制限するステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項53】
前記セプタムの変形を制限するステップは、前記セプタムを前記ハウジングに非周縁で連結するステップを有するものとした請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記セプタムの変形を制限するステップは、前記リザーバ内に生じた前記圧力による前記セプタムの変形を制限する構造とした少なくとも1個の構造素子を設けるするステップを有するものとした請求項52に記載の方法。
【請求項55】
構造素子を設けるするステップは、少なくとも1個の側方に突出する構造素子を設けるステップを有するものとした請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記ハウジングの前記リザーバ内の前記圧力を上昇させるステップは、少なくとも約1ml/秒の流速で前記リザーバを通して液体を流すステップを有するものとした請求項52に記載の方法。
【請求項57】
患者へ経皮的にアクセスするために使用する注入装置において、
管腔を画定するチューブ部分と、
前記チューブ部分の前記管腔と連通するカニューレと
を備え、このカニューレはアクセスポートのセプタムに挿通する構造とし、また
前記チューブ部分および前記カニューレは少なくとも約28kg/cm2(約400psi)の圧力に適応する構成とする注入装置。
【請求項58】
前記チューブ部分は複数の層を有し、前記複数の層における少なくとも2個の層は互いに異なる材料をで形成した請求項57に記載の注入装置。
【請求項59】
さらに、前記複数の層内に少なくとも1個の補強素子を設けた請求項58に記載の注入装置。
【請求項60】
前記チューブ部分および前記カニューレは、約42kg/cm2(約600psi)の圧力に適応する構成とする請求項57に記載の注入装置。
【請求項61】
患者の皮下へのアクセスを提供するアクセスポートを形成するようハウジングに組み付けるセプタムにおいて、
上面および下面を有する本体と、
通常、前記上面と前記下面との間に配置する少なくとも1個のゲル領域と
を有することを特徴とするセプタム。
【請求項62】
前記少なくとも1個のゲル領域は、シリコーンゲルまたは粘性液体を有するものとした請求項61に記載のセプタム。
【請求項63】
さらに、前記少なくとも1個のゲル領域に貫通するメッシュを有する請求項61に記載のセプタム。
【請求項64】
患者の皮下へのアクセスを提供するアクセスポートを形成するようハウジングに組み付けるセプタムにおいて、
本体と、
前記本体の少なくとも一部上に形成される層と、
前記層と前記本体との間に少なくとも部分的に配置した少なくとも1個のゲル領域と
を有することを特徴とするセプタム。
【請求項65】
前記少なくとも1個のゲル領域は、シリコーンゲルまたは粘性液体を有するものとした請求項64に記載のセプタム。
【請求項1】
アクセスポートを通して液体を流す方法において、
血管アクセスポートを準備するステップと、
少なくとも約1ml/秒の流速で前記アクセスポートを通して液体を流すステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記アクセスポートを通して前記液体を流すステップは、前記アクセスポートのリザーバ内に少なくとも約2.45kg/cm2(約35psi)の圧力を生じさせる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アクセスポートを通して前記液体を流すステップは、前記アクセスポートのリザーバ内に約2.59kg/cm2〜4.55kg/cm2(約37psi〜65psi)の範囲の圧力を生じさせる請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アクセスポートを通して前記液体を流すステップは、約2ml/秒〜約5ml/秒の範囲の流速で前記アクセスポートを通して前記液体を流すステップを有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記アクセスポートを通して前記液体を流すステップは、少なくとも約5ml/秒の流速で前記アクセスポートを通して前記液体を流すステップを有する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
さらに前記リザーバ内に生じた圧力によるセプタムの変形を制限するステップを有する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記セプタムの変形を制限するステップは、変形に対して少なくとも1個の構造素子を用いて前記セプタムを補強するステップを有する請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アクセスポートを通して前記液体を流すステップは、機械的注入器を使用し、前記アクセスポートに連通する注入装置を通して前記液体を流すステップを有する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記注入装置を通して前記液体を流すステップにより、少なくとも前記注入装置の部分内に少なくとも約7kg/cm2(約100psi)の圧力を生じさせる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
注入装置を通して液体を流す方法において、
血管アクセスポートへ動作可能な状態で連結した注入装置を準備するステップと、
少なくとも約1ml/秒の流速で前記注入装置を通して液体を流すステップとを有する方法。
【請求項11】
前記注入装置を通して前記液体を流すステップにより、少なくとも前記注入器の部分内に少なくとも約7kg/cm2(約100psi)の圧力を生じさせる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記注入装置を通して前記液体を流すステップは、約2ml/秒〜5ml/秒との範囲の流速で注入装置を通して前記液体を流すステップを有する請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記注入装置を通して前記液体を流すステップは、少なくとも約5ml/秒の流速で注入装置を通して前記液体を流すステップを有する請求項10に記載の方法。
【請求項14】
患者への皮下アクセスを提供するためのアクセスポートにおいて、
セプタムを拘束するための開孔を画定するハウジングを備え、このハウジングおよび前記セプタムがリザーバを画定し、前記セプタムには、ほぞ領域を設け、このアクセスポートの前記ハウジングには、前記セプタムの前記ほぞ領域の少なくとも一部を収容する構造であり、前記ほぞ領域と相補形状のほぞ穴領域を形成したことを特徴とするアクセスポート。
【請求項15】
前記リザーバ内に生じる圧力による前記セプタムの変形を制限する構成とした、さらに少なくとも1個の構造素子を有する請求項14に記載のアクセスポート。
【請求項16】
前記アクセスポートは、前記アクセスポートを通して最大流速を識別する構成とした、少なくとも1個の特徴部を設けた請求項14に記載のアクセスポート。
【請求項17】
前記アクセスポートは、少なくとも1ml/秒の流速に適応する構成とした請求項14に記載のアクセスポート。
【請求項18】
患者の皮下へのアクセスを提供するアクセスポートであって、
前記アクセスポートは、
セプタムを捕捉するための開孔を画定するハウジングを備え、このハウジングおよび前記セプタムによりリザーバを画定し、また
前記ハウジングおよび前記セプタムは、前記リザーバを通して少なくとも約1ml/秒の流速に適応する構造としたことを特徴とするアクセスポート。
【請求項19】
さらに、前記リザーバ内に生じた圧力による前記セプタムの変形を防止する構成とした少なくとも1個の構造素子を有する請求項18に記載のアクセスポート。
【請求項20】
前記セプタムは、ほぞ領域を有し、前記アクセスポートの前記ハウジングは、前記ほぞ領域の少なくとも一部を収容する構造とした相補的なほぞ穴領域を画定した請求項18に記載のアクセスポート。
【請求項21】
前記ポートは患者へほぼ完全に埋め込むものとし、前記ポートは、自動注入可能なポートとして、患者の皮膚を通して触覚識別する構成とした請求項18に記載のアクセスポート。
【請求項22】
患者の皮下へのアクセスを提供するアクセスポートにおいて、
前記アクセスポートは、
前記セプタムを拘束する開孔を画定するハウジングを備え、このハウジングおよび前記セプタムによりリザーバを画定し、また
前記ハウジングおよび前記セプタムは、少なくとも約2.45kg/cm2(約35psi)の前記リザーバ内に生じた圧力に適応する構造としたアクセスポート。
【請求項23】
さらに、リザーバ内に生じた圧力による前記セプタムの変形を防止する構造とした少なくとも1個の構造素子を有する請求項22に記載のアクセスポート。
【請求項24】
前記セプタムにはほぞ領域を設け、前記アクセスポートの前記ハウジングには、前記セプタムの前記ほぞ領域の少なくとも一部を収容する構造であり、前記ほぞ領域と相補形状のほぞ穴領域を形成した請求項22に記載のアクセスポート。
【請求項25】
前記アクセスポートは、前記アクセスポートを通過する最大流速を識別する構造とした少なくとも1個の特徴部を設けた請求項22に記載のアクセスポート。
【請求項26】
患者へ経皮的にアクセスするために使用する注入装置において、
前記注入装置は、
管腔を画定するチューブ部分と、
前記チューブ部分の前記管腔と連通するカニューレと
を有し、このカニューレはアクセスポートのセプタムを通して挿入する構造とし、
前記チューブ部分および前記カニューレは、少なくとも約1ml/秒の流速で液体を流す構造としたことを特徴とする注入装置。
【請求項27】
前記チューブ部分は複数の層を有し、前記複数の層の少なくとも2層は異なる材料により形成した請求項26に記載の注入装置。
【請求項28】
前記複数の層の少なくとも1層は、前記複数の層の隣接する1個以上の層に結合する請求項26に記載の注入装置。
【請求項29】
前記複数の層の少なくとも1層は、熱可塑性ポリウレタンにより形成した請求項26に記載の注入装置。
【請求項30】
前記複数の層の各々は、それぞれ異なる材料で形成した請求項26に記載の注入装置。
【請求項31】
さらに、前記複数の層の少なくとも1個の層は、少なくとも1個の補強素子を有する構成とした請求項26に記載の注入装置。
【請求項32】
患者の血管系システムにアクセスするために使用する注入チューブにおいて、前記注入チューブは、
複数の層を有し、
前記チューブは、少なくとも約1ml/秒の流速に適応する構造とした
ことを特徴とする注入チューブ。
【請求項33】
前記複数の層の少なくとも1個の層は、前記複数の層の隣接する1個以上の層に結合するものとした請求項32に記載の注入チューブ。
【請求項34】
前記複数の層のうち少なくとも2個の層は、異なる材料で形成した請求項32に記載の注入チューブ。
【請求項35】
前記複数の層のうち少なくとも1個の層は、前記複数の層の隣接する1個以上の層に結合する請求項32に記載の注入チューブ。
【請求項36】
前記複数の層のうち少なくとも1個の層は、熱可塑性ポリウレタン、PEEK、ポリミド、Ultem、PTFE、FEP、Pebax、PTE、またはシリコーンのうち少なくとも1個により形成した請求項32に記載の注入チューブ。
【請求項37】
さらに、前記複数の層のうち少なくとも1個の層は、少なくとも1個の補強素子を有するものとした請求項32に記載の注入チューブ。
【請求項38】
自動注入に適するアクセスポートを識別する方法において、
セプタムを有するアクセスポートを設けるステップと、
前記自動注入に適する前記アクセスポートを識別するステップとを有する
ことを特徴とする方法。
【請求項39】
さらに、前記アクセスポートの少なくとも1個の特徴部を認識するステップを有し、
前記アクセスポートの前記少なくとも1個の特徴部を認識するステップは、前記アクセスポートの前記少なくとも1個の特徴部を触覚認識するステップ、または前記アクセスポートの前記少なくとも1個の特徴部を視覚認識するステップを有する請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記アクセスポートを自動注入に適するものと識別するステップは、キーチェーン、ブレスレット、リストバンド、患者のカルテに設けられるステッカー、患者のIDカード、および前記アクセスポートのパッケージング上に設けられるラベルのうち少なくとも1個により提供される情報を視覚認識するステップを有する請求項38に記載の方法。
【請求項41】
患者の血管システムにアクセスするために使用する注入チューブにおいて、
複数の層を有し、
前記複数の層のうち少なくとも1個の層は、前記複数の層の少なくとも他の1個の層を超えて突出し、アクセスポートのセプタムを穿刺するカニューレを形成する構造とする注入チューブ。
【請求項42】
患者の皮下へのアクセスを提供するアクセスポートにおいて、
セプタムを拘束するための構造としたハウジングであって、前記セプタムは、前記ハウジング内に画定したリザーバ内にカニューレを挿通する構造にした該ハウジングと
前記リザーバ内に生じた圧力による前記セプタムの変形に抵抗する構造とした少なくとも1個の構造素子と
を備えたことを特徴とするアクセスポート。
【請求項43】
前記少なくとも1個の構造素子は、前記セプタムの下面から前記ハウジングまで延在する構成とした請求項42に記載のアクセスポート。
【請求項44】
前記少なくとも1個の構造素子は、前記セプタムに設けた1個以上の突出脚部により構成した請求項43に記載のアクセスポート。
【請求項45】
前記少なくとも1個の構造素子は、前記セプタムの上面から前記ハウジングまで延在する構成とした請求項42に記載のアクセスポート。
【請求項46】
前記少なくとも1個の構造素子は、前記セプタム内に少なくとも部分的に位置決めした少なくとも1個の矢尻状部を有する構成とした請求項42に記載のアクセスポート。
【請求項47】
前記少なくとも1個の構造素子は、前記セプタムの少なくとも一部に横方向に貫通する構成とした請求項42に記載のアクセスポート。
【請求項48】
前記少なくとも1個の構造素子は、前記セプタムの上面の少なくとも一部に当接するかまたは近接する構成とした請求項42に記載のアクセスポート。
【請求項49】
前記少なくとも1個の構造素子は、ほぼ三角形パターン、ほぼ長方形パターン、および複数のほぼ平行なラインパターンのうち少なくとも1個を有するパターンで形成した請求項42に記載のアクセスポート。
【請求項50】
前記少なくとも1個の構造素子は、前記セプタム内に少なくとも部分的に埋め込み、閉じた平面形状の構成とした請求項42に記載のアクセスポート。
【請求項51】
前記アクセスポートは、チタンおよびプラスチックの少なくとも1個により構成した請求項42に記載のアクセスポート。
【請求項52】
アクセスポートを動作させる方法において、
前記セプタムを拘束する構造とした前記ハウジングを準備するステップであって、前記セプタムはハウジング内に画定したリザーバ内にカニューレを挿通するための構造とした該ハウジング準備ステップと、
前記ハウジングの前記リザーバ内で圧力を上昇させるステップと、
前記リザーバ内に生じた前記圧力による前記セプタムの変形を制限するステップと
を有することを特徴とする方法。
【請求項53】
前記セプタムの変形を制限するステップは、前記セプタムを前記ハウジングに非周縁で連結するステップを有するものとした請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記セプタムの変形を制限するステップは、前記リザーバ内に生じた前記圧力による前記セプタムの変形を制限する構造とした少なくとも1個の構造素子を設けるするステップを有するものとした請求項52に記載の方法。
【請求項55】
構造素子を設けるするステップは、少なくとも1個の側方に突出する構造素子を設けるステップを有するものとした請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記ハウジングの前記リザーバ内の前記圧力を上昇させるステップは、少なくとも約1ml/秒の流速で前記リザーバを通して液体を流すステップを有するものとした請求項52に記載の方法。
【請求項57】
患者へ経皮的にアクセスするために使用する注入装置において、
管腔を画定するチューブ部分と、
前記チューブ部分の前記管腔と連通するカニューレと
を備え、このカニューレはアクセスポートのセプタムに挿通する構造とし、また
前記チューブ部分および前記カニューレは少なくとも約28kg/cm2(約400psi)の圧力に適応する構成とする注入装置。
【請求項58】
前記チューブ部分は複数の層を有し、前記複数の層における少なくとも2個の層は互いに異なる材料をで形成した請求項57に記載の注入装置。
【請求項59】
さらに、前記複数の層内に少なくとも1個の補強素子を設けた請求項58に記載の注入装置。
【請求項60】
前記チューブ部分および前記カニューレは、約42kg/cm2(約600psi)の圧力に適応する構成とする請求項57に記載の注入装置。
【請求項61】
患者の皮下へのアクセスを提供するアクセスポートを形成するようハウジングに組み付けるセプタムにおいて、
上面および下面を有する本体と、
通常、前記上面と前記下面との間に配置する少なくとも1個のゲル領域と
を有することを特徴とするセプタム。
【請求項62】
前記少なくとも1個のゲル領域は、シリコーンゲルまたは粘性液体を有するものとした請求項61に記載のセプタム。
【請求項63】
さらに、前記少なくとも1個のゲル領域に貫通するメッシュを有する請求項61に記載のセプタム。
【請求項64】
患者の皮下へのアクセスを提供するアクセスポートを形成するようハウジングに組み付けるセプタムにおいて、
本体と、
前記本体の少なくとも一部上に形成される層と、
前記層と前記本体との間に少なくとも部分的に配置した少なくとも1個のゲル領域と
を有することを特徴とするセプタム。
【請求項65】
前記少なくとも1個のゲル領域は、シリコーンゲルまたは粘性液体を有するものとした請求項64に記載のセプタム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【公表番号】特表2008−539025(P2008−539025A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509056(P2008−509056)
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/015695
【国際公開番号】WO2006/116438
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(591018693)シー・アール・バード・インコーポレーテッド (106)
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月25日(2006.4.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/015695
【国際公開番号】WO2006/116438
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(591018693)シー・アール・バード・インコーポレーテッド (106)
【氏名又は名称原語表記】C R BARD INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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