説明

洗浄・化学処理装置用搬送コンベア

【課題】薄葉状印刷配線板又は銅張積層板の水平搬送、洗浄若しくは化学処理におけるロール間への落下、巻き込まれるのを防止し、薄葉状印刷配線板又は銅張積層板を容易に水平搬送、洗浄若しくは化学処理可能な洗浄・化学処理装置を提供する。
【解決手段】薄葉状の印刷配線板又は銅張積層板を水平搬送若しくは水平搬送と同時に液を噴霧する洗浄・化学処理装置用搬送コンベアにおいて、ロール又はホイールに羽状の薄板を有する搬送具を、被搬送板4の上面に配置した搬送機構を有する洗浄・化学処理装置用搬送コンベア。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄葉状の印刷配線板又は銅張積層板の洗浄・化学処理装置用搬送コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷配線板又は銅張積層板を水平搬送又は水平搬送と同時に、洗浄装置、化学処理装置等により液を噴霧したものを搬送する必要性がある。このような搬送コンベアは、複数の円状又は多角星状のコンベアホイールにシャフトを通したロールによりされ、スポンジ状、ゴム製等の直ロールで水や薬品を切る方式が主流である(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−152791号公報
【0003】
また、基材厚みが0.15mm以下、さらには0.1mm以下である薄葉状の印刷配線板又は銅張積層板の水平搬送、洗浄若しくは化学処理においては、ロール間への落下、巻き込まれるか、印刷配線板又は銅張積層板が折れるといった不具合が生じる。
【0004】
これら問題点を解決するため、印刷配線板又は銅張積層板を所定のロール間に誘導する案内板を装置内に設置することによりロール間への落下、巻き込まれるのを防止する方法が考案されてきた。
【0005】
円状又は多角星状のコンベアホイールを使用した、印刷配線板又は銅張積層板を水平搬送、若しくは水平搬送と同時に液を噴霧する洗浄・化学処理装置においては、装置の構造が簡単であり装置設計及び製造が容易でかつ安価であるという長所があるが、薄葉状の印刷配線板又は銅張積層板の水平搬送、洗浄や化学処理におけるロール間への落下、巻き込まれ、品質悪化を招き不向きである。
【0006】
また、薄葉状の印刷配線板又は銅張積層板の、ロール間への落下、巻き込まれ防止として、案内板を装置内に設置することによりロール間への落下、巻き込まれるのを防止する方法が考案されてきたが、装置が複雑化する、整備性が低下する等の不具合が発生する。
さらに、基材厚0.06mm以下となると搬送により、被搬送板にそりが発生し、案内板につまずくなどの不具合も生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点を解消し、薄葉状印刷配線板又は銅張積層板の水平搬送、洗浄若しくは化学処理におけるロール間への落下、巻き込まれるのを防止し、薄葉状印刷配線板又は銅張積層板を容易に水平搬送、洗浄若しくは化学処理可能な洗浄・化学処理装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、薄葉状の印刷配線板又は銅張積層板を水平搬送若しくは水平搬送と同時に液を噴霧する洗浄・化学処理装置用搬送コンベアにおいて、ロール又はホイールに羽状の薄板を有する搬送具を、被搬送板の上面に配置した搬送機構を有する洗浄・化学処理装置用搬送コンベアに関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明になる搬送具を用いることにより、厚みが0.06mmの薄葉状の印刷配線板又は銅張積層板においても、折れ、引っかかり等の不具合なく、水平搬送若しくは水平搬送と同時に液を噴霧する洗浄、化学処理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明によれば、薄葉状印刷配線板又は銅張積層板の搬送において、被搬送板にそりが発生しても、ロール又はホイールに取り付けられた羽状の薄板により被搬送板を所定のロール間に誘導し、ホイール間への落下、巻き込まれるのを防止できる。
さらに、前記搬送具の回転速度を下側の搬送ロールより高速回転させることで被搬送板のそりを矯正することが可能となる。
【0011】
特に、搬送具を、図1に示すような構造にすることにより、ロール又はホイールに羽状の薄板を有する搬送具を被搬送板の上面に配置することで、薄葉状印刷配線板又は銅張積層板がコンベアホイール間に落下、巻き込まれるのを防止することができる。なお、図1において、1は羽状薄板及び2はホイール又はロールである。
【0012】
ロール又はホイールに取り付ける薄板は、ポリプロピレンシート、ポリエステルフィルム等が好ましく、その厚みは0.2mm〜0.4mmが好ましい。
また、取り付ける羽の高さは、ロール又はホイール半径の1.5倍〜2倍及び幅は10cm〜15cmが好ましい。
羽状の薄板の搬送横方向取り付け位置は任意であるが、中央及び被搬送板の左右の角部を挟む位置が最も好ましい。
【実施例】
【0013】
実施例1
大きさ500mm×500mm及び厚み0.06mmで、銅箔厚みが18μmのガラスエポキシ基材の両面銅張積層板〔日立化成工業(株)製、商品名MCL−E−67〕をエッチングにより、銅箔面積の30%を除去したものを試料板とした。
【0014】
厚み0.2mm、高さ3cm及び幅10cmのポリエステルフィルム6枚を搬送横方向ピッチ25cmで直径4cmのロールに取り付けた搬送具を、搬送方向に10cmピッチでコンベア上に設置し、槽長3mの水平搬送洗浄機コンベアに設置し、前記板を上下から0.1MPaの圧力で水を噴霧し1.5m/分の速度で洗浄処理した。
【0015】
搬送時のひっかかり、つまずきの有無及び処理後のサンプル板の外観を観察し、折れの有無について目視評価した。これらの結果をまとめて表1に示す。なお、試料板は50枚とした。
【0016】
実施例2
厚み0.4mm、高さ2.5cm及び幅10cmのポリプロピレンシート8枚を搬送横方向ピッチ25cmで直径4cmのロールに取り付けた搬送具を、搬送方向に10cmピッチで、槽長3mの水平搬送洗浄機コンベアに設置し、前記板を上下から0.1MPaの圧力で水を噴霧し1.5m/分の速度で洗浄処理した。
【0017】
次いで、羽状の薄板を取り付けたロールは下側コンベアロール回転速度の1.25倍で回転させ、実施例1と同様に加工したものを試料板として評価し、これらの結果を表1に示す。
【0018】
実施例3
コンベア上側に搬送具無しで、前記板を上下から0.1MPaの圧力で水を噴霧し、1.5m/分の速度で洗浄処理した。以下、実施例1と同様に加工したものを試料板として評価し、これらの結果を表1に示す。
【0019】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1で用いる搬送具を示す概略説明図である。
【図2】本発明による、ひっかかりを防止する機構を示す概略説明図である。
【符号の説明】
【0021】
1 羽状薄板
2 ホイール又はロール
3 下側搬送ロール
4 被搬送板(印刷配線板又は銅張積層板)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄葉状の印刷配線板又は銅張積層板を水平搬送若しくは水平搬送と同時に液を噴霧する洗浄・化学処理装置用搬送コンベアにおいて、ロール又はホイールに羽状の薄板を有する搬送具を、被搬送板の上面に配置した搬送機構を有する洗浄・化学処理装置用搬送コンベア。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−242779(P2007−242779A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60964(P2006−60964)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】