説明

洗浄剤組成物の製造方法

【課題】 洗浄力や、柔軟性、防しわ性等の仕上がり感に優れた洗浄剤組成物が得られる製造方法を提供する。
【解決手段】 (a)分子中にヒドロキシ基及びアミド基を有する両親媒性脂質と、(b)界面活性剤または界面活性剤を含有する洗浄剤プレミックスとを、(a)の融点未満の温度で混合することで、洗浄剤組成物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維製品用の洗浄剤組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗浄後の繊維製品が、繊維処理剤の脱落や塩類の付着等によって、柔らかさを失い、ごわごわした感触になるのを防止するために、洗浄剤に柔軟化剤を配合することが検討されてきた。繊維表面に沈着して、繊維製品の風合いに柔軟性を付与する柔軟化剤として、従来、ジアルキル型第4級アンモニウム塩、スメクタイト等の粘土鉱物等が用いられてきた。例えば、特許文献1には、非イオン界面活性剤、脂肪酸ポリグリコールジエステル、イミダゾリン型4級アンモニウム型カチオン界面活性剤を組み合わせの記載があり、特許文献2には、HLBが5〜17でアルキル基の炭素数が8〜22のポリオキシエチレンアルキルエーテルと、ヒドラジニウム基を含まない陽イオン界面活性剤との組み合わせの記載があり、特許文献3には、非石鹸系界面活性剤、ビルダーおよび陽イオン界面活性剤の組み合わせの記載があり、特許文献4には、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、第3級アミンおよびセルラーゼの組み合わせの記載があり、特許文献5には、界面活性剤とベントナイトクレーとの組み合わせの記載がある。しかしながら、このような組成物においても未だ洗浄効果と柔軟性の付与を両方満足できるものではない。
【0003】
一方、セラミド類似構造物質を木綿繊維上に拡散させることで柔軟性が得られることが知られている(例えば、特許文献6参照。)。また、洗浄剤中での応用としては、セラミド誘導体を含有する食器手洗い用洗剤(例えば、特許文献7参照。)や、分子中にヒドロキシ基及びアミド基を有する両親媒性脂質を含有する全身洗浄料、洗顔料が知られている(例えば、特許文献8参照。)。しかし、いずれも繊維用洗浄剤として用いた場合には洗浄性能の点で問題がある。
【特許文献1】特開昭52−6707号公報
【特許文献2】特開昭54−39411号公報
【特許文献3】特開昭62−215698号公報
【特許文献4】特開昭59−176396号公報
【特許文献5】特表平8−506843号公報
【特許文献6】特開2002−88106号公報
【特許文献7】特表2001−522930号公報
【特許文献8】特開2000−239151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、繊維製品の洗浄において、洗浄力、柔軟性や防しわ性等の仕上がり感に優れた洗浄剤組成物を製造できる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(a)分子中にヒドロキシ基及びアミド基を有する両親媒性脂質〔以下、(a)成分という〕と、(b)界面活性剤または界面活性剤を含有する洗浄剤プレミックス〔以下、(b)成分という〕とを、(a)の融点未満の温度で混合する工程を有する洗浄剤組成物の製造方法に関する。
【0006】
また、本発明は、上記本発明の製造方法によって得られる洗浄剤組成物に関する。
【0007】
また、本発明は、上記本発明の洗浄剤組成物を(a)の融点未満の温度で繊維製品を洗浄する洗浄方法に関する。
【0008】
また、本発明は、上記本発明の洗浄方法で繊維製品を洗浄した後、(a)の融点以上に加熱する繊維製品の処理方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の製造方法により得られた洗浄剤組成物は、JIS K 3362:1998記載の洗浄力判定用指標洗剤と同等以上の洗浄力が得られ、更に柔軟性や防しわ性等の仕上がり感に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の製造方法では、洗浄性及び仕上がり感の点で、(a)成分と(b)成分を(a)成分の融点より2℃以上低い温度で混合することが好ましく、(a)成分の融点より5℃以上低い温度がより好ましく、(a)成分の融点より10℃以上低い温度が更に好ましい。(a)成分と(b)成分は互いの効果を打ち消す性質を持っているため、組成物中で(a)成分と(b)成分が別個に存在することが洗浄性及び仕上がり感の点で重要である。本発明の製造方法では、(a)成分が混合時に溶融しないので組成物中で(a)成分と(b)成分が別個に存在することができ、(a)成分と(b)成分それぞれが効果を十分に発揮し、洗浄性と仕上がり感の両立を付与することができる。また、生産性の点で、(a)成分と(b)成分の混合温度は20℃以上であることが好ましく、25℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましい。
【0011】
本発明の洗浄剤組成物は、(a)成分と(b)成分とを、(a)成分の融点未満の温度で混合することで得られた組成物である。本発明の製造方法では、(a)成分及び(b)成分を、製造の全工程においてそれぞれ(a)成分の融点未満の温度で取り扱うことが好ましい。また、本発明の製造方法では、(b)成分として、界面活性剤を含有する噴霧乾燥粒子を用いることが好ましく、当該噴霧乾燥粒子は、洗浄剤原料スラリーを調製し、該スラリーを噴霧乾燥することで得られる。
【0012】
<(a)成分>
本発明の洗浄剤組成物は、(a)成分として、分子中にヒドロキシ基及びアミド基を有する両親媒性脂質を含有する。洗浄性能、仕上がり感の点で、(a)成分を組成物中0.1〜50質量%含有することが好ましく、0.3〜40質量%がより好ましく、0.5〜30質量%が更に好ましく、1〜20質量%が特に好ましい。
【0013】
(a)成分としては、天然セラミド類、合成セラミド類及び合成等により得られるそれらの類縁体(擬セラミド)である。かかるセラミド類としては、Ceramide H03(Sederma)、CeramideII(Sederma)、Questamide H(Quest)、Ceramide TIC-001(高砂香料)、ソフケアセラミド SL-E(花王)等が挙げられる。合成により得られるセラミド類縁体の特に好ましい例としては、上記ソフケアセラミド SL-Eを含む次の一般式(1)で表されるアミド誘導体が挙げられる。
【0014】
【化1】

【0015】
〔式中、R1及びR2は同一又は異なって、1以上のヒドロキシ基が置換していてもよい炭素数7〜39の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、R3及びR4は同一又は異なって、水素原子、リン酸塩残基、硫酸塩残基又は糖残基を示す。ただし、1分子中に1以上のヒドロキシ基を有する。〕
【0016】
一般式(1)において、R1の炭化水素基としては、炭素数9〜25の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましく、R2の炭化水素基としては、炭素数10〜26の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基が好ましく、R3及びR4としては、水素原子が好ましい。
【0017】
上記アミド誘導体(1)の製造法については特開昭62-228048号公報、特開昭63-216852号公報等に詳述されている。
【0018】
(a)成分は、室温(25℃)で固体状のものが好ましく、安定性から、融点30℃以上であるものが好ましく、融点40℃以上であるものがより好ましい。
【0019】
(a)成分は、いずれかを単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。特に、特開2000−239151号公報記載の製造方法によって得られる(a)成分が洗浄性能、安定性の点で好ましい。
【0020】
本発明の(b)成分は、界面活性剤または界面活性剤を含有する洗浄剤プレミックスである。界面活性剤は、本発明の洗浄剤組成物に配合されるものが使用できる。洗浄剤プレミックスは、界面活性剤と洗浄剤組成物中に配合される他の成分を含有する混合物であり、界面活性剤、ビルダー(キレート剤、アルカリ剤等)等を含有する水スラリーを噴霧乾燥して得られた粒子が好適に使用できる。
【0021】
<その他の成分>
本発明の洗浄剤組成物には界面活性剤が含まれ、その他にも衣料用洗浄剤の分野で公知のビルダー、漂白剤(過炭酸塩、過ホウ酸塩、漂白活性化剤等)、再汚染防止剤(カルボキシメチルセルロース等)、その他の柔軟化剤、還元剤(亜硫酸塩等)、蛍光増白剤、抑泡剤(シリコーン等)、酵素、着色剤、香料等を含有させることができる。
【0022】
界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤の1種または2種以上の組み合わせを挙げることが出来るが、好ましくは陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤である。陰イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤は単独で用いることもできるが、好ましくは、混合して用いるのが良い。中でも、界面活性剤中の非イオン性界面活性剤/陰イオン性界面活性剤の質量比は10/1〜1/10が好ましく、5/1〜1/5がより好ましく、2/1〜1/2が更に好ましい。また、両性界面活性剤や陽イオン性界面活性剤を目的に合わせ併用することも出来る。
【0023】
陰イオン性界面活性剤としては、炭素数10〜18のアルコールの硫酸エステル塩、炭素数8〜20のアルコールのアルコキシル化物の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩又は脂肪酸塩が好ましい。本発明では特に、アルキル鎖の炭素数が10〜14の、より好ましくは12〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましく、対イオンとしては、アルカリ金属塩やアミン類が好ましく、特にナトリウム及び/又はカリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンが好ましい。
【0024】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜20)エーテル、アルキルポリグリコシド、ポリオキシアルキレンアルキル(炭素数8〜20)フェニルエーテル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸(炭素数8〜22)エステル、ポリオキシアルキレングリコール脂肪酸(炭素数8〜22)エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーが好ましい。特に、非イオン性界面活性剤としては、炭素数10〜18のアルコールにエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを平均で4〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。非イオン性界面活性剤は、HLB値(グリフィン法で算出)が10.5〜15.0、更に11.0〜14.5のものが好ましい。
【0025】
洗浄性能、溶解性、耐ケーキング性の点で、本発明の洗浄剤組成物のJIS K 3362:1998記載の界面活性剤相当分は10〜60質量%が好ましく、15〜50質量%がより好ましく、20〜40質量%が更に好ましい。
【0026】
また、本発明の洗浄剤組成物は、洗浄性能、仕上がり感の点で、(a)成分とJIS K 3362:1998記載の界面活性剤相当分(X)との質量比は、(a)/(X)が1/100〜1/1が好ましく、1/80〜1/5がより好ましく、1/50〜1/10が更に好ましく、1/40〜1/5が特に好ましい。
【0027】
本発明においてビルダーとは、洗浄剤組成物に配合されると著しく洗浄性能を向上させるものである。作用として、多価金属陽イオンの捕捉作用、汚れ分散作用及びアルカリ緩衝作用の少なくとも1つの作用を有するものである。かかるビルダーとしては、水溶性無機化合物、水不溶性無機化合物、有機化合物等が挙げられる。
【0028】
水溶性無機化合物としては、リン酸塩(トリポリリン酸塩、ピロリン酸塩、メタリン酸塩、リン酸三ナトリウム等)、ケイ酸塩、炭酸塩、硫酸塩等が挙げられる。中でも3つの作用を全て有する点でリン酸塩が好ましい。
【0029】
水不溶性無機化合物としては、アルミノケイ酸塩(A型ゼオライト、P型ゼオライト、X型ゼオライト、非晶質アルミノケイ酸塩等)、結晶性ケイ酸塩等が挙げられる。中でも粒子径3μm以下、好ましくは1μm以下のA型ゼオライトが好ましい。
【0030】
有機化合物としては、カルボン酸塩(アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、シクロカルボン酸塩、マレイン酸誘導体、シュウ酸塩等)、有機カルボン酸(塩)ポリマー(アクリル酸重合体および共重合体、多価カルボン酸重合体および共重合体、グリオキシル酸重合体、多糖類及びこれらの塩等)等が挙げられる。中でも有機カルボン酸(塩)ポリマーが好ましい。
【0031】
前記ビルダーの塩において、対イオンとしては、アルカリ金属塩、アミン類が好ましく、特にナトリウム及び/又はカリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンが好ましい。
【0032】
本発明において、これらのビルダーは、単独で又は2種以上を併用することができる。特に、本発明において、ビルダーとして前記水溶性無機化合物を含有することが好ましく、水溶性無機化合物及び有機化合物を併用することがより好ましく、水溶性無機化合物、有機化合物及び水不溶性無機化合物を併用することが更に好ましい。
【0033】
本発明の洗浄剤組成物は、洗浄性能、溶解性、耐ケーキング性の点で、水(JIS K 3362:1998記載の過熱減量法による水分)0.1〜15質量%を含有することが好ましく、0.5〜12質量%がより好ましく、1〜10質量%が更に好ましく、1.5〜8質量%が特に好ましい。
【0034】
また、洗浄剤粒子の流動性及び耐ケーキング性の観点から、表面改質を行っても良い。表面改質剤としては、例えば、アルミノケイ酸塩、ケイ酸カルシウム、二酸化ケイ素、ベントナイト、タルク、クレイ、非晶質シリカ誘導体、結晶性シリケート化合物等のシリケート化合物、金属石鹸、粉末の界面活性剤等の微粉体、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸とマレイン酸のコポリマー又はその塩等のポリカルボン酸塩等の水溶性ポリマー、脂肪酸が挙げられる。より好ましくはアルミノ珪酸塩、結晶性シリケートであり、更に好ましくはアルミノ珪酸塩である。
【0035】
<製造方法>
本発明の洗浄剤組成物は、(a)成分と(b)成分とを、(a)成分の融点未満の温度で混合する工程を有する方法で得られるが、その他の工程は、例えば、特許庁公報 周知・慣用技術集(衣料用粉末洗剤)第59頁〜第81頁記載の方法を参照することができる。
【0036】
(a)成分と(b)成分とを(a)成分の融点未満の温度で混合することにより、洗浄力に優れ、仕上がり感の良好な洗浄剤組成物を得ることができる。(a)成分と(b)成分の混合は、洗浄性、仕上がり感の点で、(a)成分の融点より2℃以上低い温度で行うことが好ましく、(a)成分の融点より5℃以上低い雰囲気温度がより好ましく、(a)成分の融点より10℃以上低い温度が更に好ましい。生産性の点で、(a)成分と(b)成分の混合温度は20℃以上であることが好ましく、25℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましい。
【0037】
また、本発明の製造方法では、(a)成分と(b)成分を混合するまでの工程においても(a)成分、(b)成分を、それぞれ(a)成分の融点未満の温度で取り扱うこと、すなわち、混合前の(a)成分及び(b)成分の温度(品温)が共に(a)成分の融点未満であることが、洗浄性、仕上がり感の点で好ましく、(a)成分の融点より2℃以上低い温度が好ましく、(a)成分の融点より5℃以上低い温度がより好ましく、(a)成分の融点より10℃以上低い温度が更に好ましい。生産性の点で、(a)成分と(b)成分を取り扱う際の温度は20℃以上が好ましく、25℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましい。
【0038】
また、本発明の製造方法では、(a)成分と(b)成分を混合した後の工程においても混合物を(a)成分の融点未満の温度で取り扱うことが、洗浄性、仕上がり感の点で好ましく、(a)成分の融点より2℃以上低い温度が好ましく、(a)成分の融点より5℃以上低い温度がより好ましく、(a)成分の融点より10℃以上低い温度が更に好ましい。生産性の点で、(a)成分と(b)成分の混合物を取り扱う際の温度は20℃以上が好ましく、25℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましい。
【0039】
<洗浄方法>
本発明の洗浄剤組成物を用いた洗浄方法では、本発明の洗浄剤組成物と水とを含有する洗浄媒体を用いることが好ましい。仕上がり感の点で、(a)成分の融点未満の温度で繊維製品を洗浄することが望ましいが、洗浄媒体の温度は(a)成分の融点より2℃以上低い温度が好ましく、5℃以上低い温度が更に好ましく、10℃以上低い温度が特に好ましい。これにより(a)成分の繊維製品への残留量を多くすることができ、仕上がり感が向上する。一方、洗浄性能の点で、洗浄媒体の温度は5℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、15℃以上が更に好ましい。
【0040】
<繊維製品処理方法>
更に、本発明では、仕上がり感の点で、本発明の洗浄剤組成物で洗浄した繊維製品を、(a)成分の融点以上の温度に加熱することが好ましく、加熱する温度は(a)成分の融点より2℃以上高い温度がより好ましく、5℃以上高い温度が更に好ましく、10℃以上高い温度が特に好ましい。これにより、洗浄時に繊維製品に残留した(a)成分が溶融して繊維製品内部までいきわたり、仕上がり感がさらに向上する。一方、繊維製品の劣化防止の点で加熱温度は210℃以下が好ましく、160℃以下がより好ましく、130℃以下が更に好ましい。加熱には、衣類乾燥機、アイロン等を用いることができる。
【実施例】
【0041】
<実施例1>
直鎖アルキル(炭素数12〜14)ベンゼンスルホン酸ナトリウム〔LAS−Na〕13質量部、α−スルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム〔SFE−Na〕(パーム油由来)10質量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルキル基の炭素数12、エチレンオキシド平均付加モル数6)4質量部、ポリエチレングリコール(重量平均分子量8500)1質量部、4A型ゼオライト12質量部、アクリル酸−マレイン酸コポリマー(重量平均分子量70000、アクリル酸/マレイン酸=7/3モル比)3質量部、脂肪酸ナトリウム(牛脂由来)8質量部、1号ケイ酸ナトリウム1質量部、炭酸ナトリウム16質量部、硫酸ナトリウム5質量部、亜硫酸ナトリウム1質量部、蛍光染料0.3質量部及び水3.2部からなる噴霧乾燥組成物(噴霧乾燥粒子)を、固形分50質量%の水スラリーを調製し(温度は80℃)、噴霧乾燥することで得た。
【0042】
得られた噴霧乾燥粒子を50℃まで冷却し、(a)成分1質量部、結晶性シリケート3質量部及び炭酸ナトリウム10質量部をリボンミキサーに投入して混合を行った。得られた混合物を前押し出し式2軸型押し出し造粒機(ペレッターダブル:不二パウダル(株)製、ジャケット冷却)で直径が10mmの円柱状に押し出し成形して圧密化した。得られたペレット状物(48℃)を、4A型ゼオライト4質量部とともにフラッシュミル(不二パウダル(株)製、ジャケット冷却)で粉砕造粒して表面被覆を行った。この造粒物から粗大物を取り除いた後、Vブレンダーに移し、4A型ゼオライト4質量部を混合して洗剤粒子群を得た。これに、酵素造粒物1質量部、香料0.3質量部を混合して洗浄剤組成物(40℃)を得た。
【0043】
なお、本例では、(a)成分として、一般式(1)中の構造がR1=C15H31、R2=C16H33、R3=水素原子、R4=水素原子であり、融点が74〜76℃のものを使用した。
【0044】
<比較例1>
(a)成分をリボンミキサーに投入するのに代えて、スラリーに添加した以外は実施例1と同様にして洗浄剤組成物を得た。
【0045】
<実施例2>
特開平10−195485の実施例1に基づき、スラリー温度を80℃とし、噴霧乾燥物を50℃まで冷却し、ハイスピードミキサーに(a)成分を1質量部添加(水バランス)、その他成分とともに造粒、酵素と香料を添加して洗浄剤組成物を得た。なお、本例では、(a)成分として、一般式(1)中の構造がR1=C13H27、R2=C18H37、R3=水素原子、R4=水素原子であり、融点が58〜70℃のものを使用した。
【0046】
<比較例2>
(a)成分をリボンミキサーに投入するのに代えて、スラリーに添加した以外は実施例2と同様にして洗浄剤組成物を得た。
【0047】
<実施例3>
(a)成分として、一般式(1)の構造がR1=C9H19、R2=C16H33、R3=水素原子、R4=水素原子であり、融点が53〜57℃のものを用いた以外は実施例2と同様にして洗浄剤組成物を得た。
【0048】
<比較例3>
(a)成分をリボンミキサーに投入するのに代えて、スラリーに添加した以外は実施例3と同様にして洗浄剤組成物を得た。
【0049】
<実施例4>
実施例1の洗浄剤組成物を用い、80℃で洗浄試験を行った。
【0050】
<評価>
上記で得られた洗浄剤組成物を用いて洗浄力、仕上がり感(柔軟性、防しわ性)を評価した。結果を表1に示す。
【0051】
(1)洗浄力
(襟あか布の調製)
JIS K3362:1998 記載の襟あか布を調製する。
(洗浄条件及び評価方法)
JIS K 3362:1998記載の衣料用合成洗剤の洗浄力評価方法に準じ、上記で得られた洗浄剤組成物と洗浄力判定用指標洗剤の洗浄力を比較し、以下の基準で評価した。洗浄剤組成物の使用濃度を0.67g/Lとした。なお、洗浄媒体の温度は25℃とした(実施例4を除く)。
◎:指標洗剤より勝る
○:指標洗剤と同等
×:指標洗剤より劣る
【0052】
(2)仕上がり感
(洗浄条件)
全自動洗濯機(松下電器産業株式会社製 NA−F50K1)の標準コースにて、上記で得られた洗浄剤組成物又はJIS K 3362:1998記載の指標洗剤を用いて洗濯し、自然乾燥後、柔軟性及び防しわ性の評価を行なった。洗浄剤組成物の使用濃度を0.67g/Lとした。なお、洗浄媒体の温度は25℃とした(実施例4を除く)。
(評価方法)
柔軟性及び防しわ性の判定は5名のパネラーにより、以下に示す基準で採点した。
◎:指標洗剤より勝る
○:指標洗剤よりやや勝る
×:指標洗剤と同等
【0053】
なお、柔軟性には、評価用衣料として市販の木綿タオル(長さ78センチメートル、幅30センチメートル、重量70グラム)を用いた。また、防しわ性には、評価用衣料として市販のワイシャツ(商品名:ECOSYS 28℃、ポリエステルと木綿が1/1の混紡品)を用いた。
【0054】
【表1】

【0055】
<実施例5>
実施例1の洗浄剤組成物で洗浄した繊維製品を乾燥機で乾燥(乾燥温度120〜130℃)した。その結果、自然乾燥したものに比べ、柔軟性、防しわ性が更に良好となった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)分子中にヒドロキシ基及びアミド基を有する両親媒性脂質と、(b)界面活性剤または界面活性剤を含有する洗浄剤プレミックスとを、(a)の融点未満の温度で混合する工程を有する洗浄剤組成物の製造方法。
【請求項2】
(a)及び(b)の両方を、製造の全工程で(a)の融点未満の温度で取り扱う請求項1記載の洗浄剤組成物の製造方法。
【請求項3】
(b)が、界面活性剤を含有する噴霧乾燥粒子である請求項1又は2記載の洗浄剤組成物の製造方法。
【請求項4】
(a)成分が、セラミド類及び/又はその類縁体である請求項1〜3いずれか記載の洗浄剤組成物の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか記載の製造方法によって得られる洗浄剤組成物。
【請求項6】
請求項5記載の洗浄剤組成物を(a)の融点未満の温度で用いて繊維製品を洗浄する洗浄方法。
【請求項7】
請求項6記載の方法で繊維製品を洗浄した後、(a)の融点以上に加熱する繊維製品の処理方法。

【公開番号】特開2006−70180(P2006−70180A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−255958(P2004−255958)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】