説明

洗浄剤組成物

【課題】洗浄後の濯ぎの際のなめらかさ、乾燥後のサラサラ感、ゴワツキの無さなどに優れる洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】共重合体(A)及び共重合体(B)を含有する洗浄剤組成物であって、 共重合体(A)及び(B)はそれぞれ、カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位とアミド結合又は水酸基を含む特定構造のビニル系単量体に相当する構成単位とを含む共重合体であり、共重合体(B)を構成する全構成単位における前記カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の割合が、共重合体(A)を構成する全構成単位における前記カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の割合より大きく、かつ25モル%以上である洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプー、ボディソープなどの洗浄剤には、洗浄時のすべり、洗浄後の毛髪の指通りや櫛通り、乾燥後のなめらかさ、毛髪の柔軟性やサラサラ感、その他の感触性を改良させるために、いわゆるコンディショニング剤が配合されている。例えばシャンプーにはカチオン化ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化グアーガム、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド・アクリルアミド共重合体等をコンディショニング剤として配合することが知られている。
【0003】
しかしながら、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等を配合したシャンプーは、濯ぎの際の指通り性は良いものの、乾燥後の毛髪がごわついたかたい感触となる場合がある。そのため、これを改良するためにオイルの添加や併用する界面活性剤などが検討されている。なかでも、シリコーン油を添加することにより乾燥後の感触は大きく変化することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、コンディショニング剤は毛髪に吸着することが必須であるため、適度な吸着性をもちつつ、濯ぎ時に洗い流されることなくコンディショニング効果を持続し、べたつき感、ぬるつき感を改良したコンディショニング剤としてアミノ酸変性カチオン化ポリマーが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−212733号公報
【特許文献2】特開2003−34704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者等の検討によると更に高いコンディショニング効果を求められる場合があった。また、毛髪化粧料にシリコーン油を添加する場合も、毛髪に充分な量のシリコーン油を付着させるためには、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等を多く添加する必要があるため、同時にゴワツキ感も与えてしまう場合があった。また、脱色、染毛等で傷んだ毛髪(以下「ダメージ毛」と記す場合がある)の場合、シリコーン油の吸着量が少なくなる場合があり、十分なコンディショニング効果が得られなかった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決することを目的としたものであって、例えば、洗浄後の濯ぎの際の指通り、乾燥後のなめらかさ及びサラサラ感などに優れる洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位と、特定構造のビニル系単量体に相当する構成単位とを異なる比率で含む共重合体を2種以上含有する洗浄剤組成物が、洗浄後の濯ぎの際の指通り、乾燥後のなめらかさ及びサラサラ感などに優れることを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明の要旨は、共重合体(A)及び共重合体(B)を含有する洗浄剤組成物であって、共重合体(A)及び(B)はそれぞれ、カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位と下記一般式(1)又は(2)で表されるビニル系単量体に相当する構成単位とを含む共重合体であり、
CH=C(R)−CO−NR (1)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜4の水酸基を有していてもよいアルキル基を表し、RとRの炭素数の和は1以上4以下である。)
CH=C(R)−CO(O)−(CH−(CHOH)−OH (2)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、aは1〜4の整数を表し、bは0又は1を表す。)
共重合体(B)を構成する全構成単位における前記カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の割合が、共重合体(A)を構成する全構成単位における前記カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の割合より大きく、かつ25モル%以上であることを特徴とする洗浄剤組成物に存する。
【0008】
共重合体(B)を構成する全構成単位における前記カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の割合が25〜55モル%であることが好ましい。また共重合体(A)を構成する全構成単位における前記カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の割合が15〜45モル%であることが好ましい。
また好ましくは、前記カチオン性ビニル系単量体が一般式(3)で表されるものである。
【0009】
CH=C(R)−CO−(O)−(NH)1−c−(CH−N・X (3)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜24のアルキル基、アリール基、アラルキル基又は−CH−CH(OH)−CH−N1011・Yを表し、R〜R11はそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、X及びYはそれぞれ独立して陰イオンを表し、cは0又は1を表し、dは1〜10の整数を表わす。)
【0010】
共重合体(B)の重量平均分子量が200,000〜2,000,000であることが好ましい。
共重合体(A)又は(B)は、少なくとも、一般式(1)で表されるビニル系単量体に相当する構成単位を含むことが好ましい。
洗浄剤組成物は、少なくとも1種の界面活性剤を含むことが好ましく、より好ましくは界面活性剤としてアニオン性界面活性剤を含む。更に好ましくは、洗浄剤組成物が、アニオン性界面活性剤を5〜40質量%、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び半極性界面活性剤からなる群より選ばれる1種以上の界面活性剤を合計0〜10質量%、及び前記共重合体を0.01〜5質量%含有する。また洗浄剤組成物が、更にシリコーン油及び/又は高級アルコールを含有するのが好ましい。
本発明の洗浄剤組成物は毛髪用に用いられること、すなわち被洗浄体が毛髪であることが特に好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の洗浄剤組成物を用いると、洗浄時の、被洗浄体、特に肌や毛髪などの表面のすべりが向上すると共に、乾燥後、被洗浄体表面が保護できるので、泡立ち、すすぎ時のなめらかさ、乾燥後のサラサラ感、柔軟性に優れる。アニオン性界面活性剤との併用で特に高い効果が得られる。
本発明の洗浄剤組成物は特に、毛髪用に使用したときのコンディショニング効果等に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。また、本発明の濃度や粘度は特に述べない限り、25℃におけるものを示している。
本発明の洗浄剤組成物はカチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位と、特定構造のビニル系単量体に相当する構成単位とを異なる比率で含む、共重合体(A)及び共重合体(B)を含有する。
【0013】
即ち、共重合体(A)及び(B)はそれぞれ、カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位と特定構造のビニル系単量体に相当する構成単位とを含み、共重合体(B)を構成する全構成単位における前記カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の割合が、共重合体(A)を構成する全構成単位における前記カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の割合より大きい。かつ共重合体(B)を構成する全構成単位における前記カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の割合が25モル%以上である。
【0014】
これら共重合体は、洗浄剤組成物に配合することで優れたコンディショニング効果を発揮するので、これを含有する洗浄剤組成物は、肌や毛髪、特に未処理毛のみならずダメージ毛に対しても、すすぎ時の指通りのよさ、なめらかさ、乾燥後のサラサラ感、柔軟性といった優れた効果を与える。
共重合体(A)及び(B)中、カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位は、洗浄剤組成物中において通常併用されている界面活性剤、特にアニオン性界面活性剤とコンプレックス(複合体)を形成し易い。こうして形成されたコンプレックスが再分散された状態で存在し、毛髪に付着し均一に被覆することで、肌や毛髪になめらかさやサラサラ感、柔軟性を与えるものと考えられる。
【0015】
一方、共重合体(A)及び(B)中、一般式(1)又は(2)で表されるビニル系単量体に相当する構成単位はアミド結合又は水酸基を有しており、これらに由来する親水性により共重合体に親水性を付与する効果がある。これにより共重合体が界面活性剤とコンプレックスを形成した際にも、共重合体の水溶性を維持させるものと考えられる。更に、アミド結合を有するものは、肌や毛髪表面との水素結合作用によって、上記コンプレックスが肌や毛髪に吸着しやすくなる効果があると考えられる。従ってビニル系単量体としてより好ましくは一般式(1)で表されるものである。
【0016】
2種の異なる共重合体を併用することで、より効果が高まる理由は必ずしも明らかではないが、カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の多い共重合体(B)はカチオン度が高く、界面活性剤とのコンプレックスを毛髪等に付着しやすくさせる効果が高く、一方、カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の少ない共重合体(A)はカチオン度が比較的低めで、コンプレックスが付着した毛髪等の感触を向上させる効果が高く、併用すると両者の特長が出やすいのではないかと考えられる。
【0017】
洗浄剤組成物中、共重合体(A)と(B)の使用比率は、共重合体(A)と(B)の使用質量部の和に対する共重合体(A)の使用質量部比率{(A)/((A)+(B)) ×100}で表すと、好ましくは1〜99質量%である。共重合体(A)の特徴である毛髪等に付着したものの感触を向上する効果を十分に得るには1質量%以上であることが好ましい。より好ましくは20質量%以上であり、更に好ましくは40質量%以上である。最も好ましくは50重量%より大きいことである。
【0018】
また、共重合体(B)の特徴である毛髪等に吸着する効果を十分に得るには99質量%以下であることが好ましい。より好ましくは95質量%以下であり、更に好ましくは85質量%以下であり、最も好ましくは75質量%以下である。
共重合体(B)を構成する全構成単位におけるカチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の割合は、共重合体(A)を構成する全構成単位における前記カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の割合より大きく、かつ25モル%以上とする。これにより共重合体がカチオン性基を十分な量含有するので、界面活性剤成分とのコンプレックスを形成しやすくなり、毛髪への吸着量が増す。より好ましくは27モル%以上であり、更に好ましくは30モル%以上である。
【0019】
共重合体(B)を構成する全構成単位におけるカチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の割合は、55モル%以下が好ましい。これにより界面活性剤とのコンプレックスが再分散しやすくなり、毛髪等への吸着力をより十分に保つことができる。より好ましくは52モル%以下であり、更に好ましくは47モル%以下であり、特に好ましくは45モル%以下である。
【0020】
共重合体(A)を構成する全構成単位におけるカチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の割合は、15モル%以上が好ましい。共重合体(A)がカチオン性基を比較的多く含有するので、共重合体(B)の効果と相俟って界面活性剤成分とのコンプレックスを形成しやすくなり、毛髪への吸着量が増す。より好ましくは17モル%以上であり、更に好ましくは22モル%以上であり、最も好ましくは25モル%以上である。
【0021】
但し、共重合体(A)を構成する全構成単位におけるカチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の割合は、45モル%以下が好ましい。これにより界面活性剤とのコンプレックスが再分散しやすくなり、均一な溶液がより得やすくなる。より好ましくは42モル%以下であり、更に好ましくは38モル%以下であり、特に好ましくは35モル%以下である。
【0022】
また、共重合体(A)及び(B)のいずれにおいても、上記カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位を除く共重合体の構成単位中において一般式(1)又は(2)で表されるビニル系単量体に相当する構成単位の割合は30〜100モル%であることが好ましい。30モル%以上とすることで、十分な水溶性が得られやすく界面活性剤とのコンプレックスが再分散しやすくなり、均一な溶液がより得やすくなる。かつ、濯ぎ時のなめらかさや乾燥後のサラサラ感などをより効果的に保ちやすくなる。より好ましくは50〜100モル%であり、更に好ましくは70〜100モル%である。
【0023】
本発明の共重合体は、通常、それぞれの構成単位に相当する構造のカチオン性ビニル系単量体とビニル系単量体とを、相当するモル分率で重合させることにより得られる。
なおビニル系単量体とはビニル重合しうる単量体である。カチオン性ビニル系単量体とは、カチオン性基を1以上有し、アニオン性基を有しないか又はカチオン性基の数より少ないアニオン性基を有するビニル系単量体である。
【0024】
次に、一般式(1)又は(2)で表されるビニル系単量体について説明する。
CH=C(R)−CO−NR (1)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜4の水酸基を有していてもよいアルキル基を表し、RとRの炭素数の和は1以上4以下である。)
CH=C(R)−CO(O)−(CH−(CHOH)−OH (2)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、aは1〜4の整数を表し、bは0又は1を表す。)
【0025】
ここで、Rは水素原子が好ましい。R及びRはそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜3の水酸基を有していてもよいアルキル基が好ましい。炭素数1〜3の水酸基を有していてもよいアルキル基としては例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基等が挙げられる。RとRの炭素数の和は2以上4以下が好ましく、最も好ましくは2である。aは1〜3の整数が好ましく、最も好ましくは2である。
【0026】
一般式(1)で表されるビニル系単量体としては、この式に含まれるものであれば特に限定されないが、例えば、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアルキルアクリルアミド類;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどのジアルキルアクリルアミド類;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド類;が挙げられる(ここで「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルを表す)。
【0027】
なかでも乾燥後のサラサラ感が高いことやゴワツキ感の無さ、単量体の水への溶解性、及び得られた共重合体の親水性が高いことから、好ましくはN−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドである。
【0028】
一般式(2)で表されるビニル系単量体としては、この式に含まれるものであれば特に限定されないが、例えば、1−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。なかでも乾燥後のサラサラ感が高いことやゴワツキ感の無さ、単量体の水への溶解性、及び得られた共重合体の親水性が高いことから、好ましくは2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートである。
【0029】
アミド結合を有すると毛髪等への吸着が促進されるので、好ましくは、一般式(1)で表されるビニル系単量体を少なくとも用いる。洗浄後の髪のサラサラ感が高くゴワツキ感が無いことなどから、更に好ましくは前記式(1)のRとRの炭素数の和が2以上4以下であるものが好ましい。例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、又はN−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドである。なかでも好ましくはRとRの炭素数の和は2である。例えばN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド又はN−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドであり、最も好ましくはN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドである。
【0030】
なお、ビニル系単量体は1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよく、一般式(1)と(2)で表されるものを併用してもよい。また、共重合体(A)と共重合体(B)とで同じビニル系単量体を用いてもよいし、異なるビニル系単量体を用いてもよい。
ビニル系単量体は、通常、ノニオン性ビニル系単量体である。
本発明に用いるカチオン性ビニル系単量体としては、本発明の目的を達成しうる限り特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチル−N,N−ジアリルアンモニウムクロライド等のジアリル系4級アンモニウム塩や、N−メタクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド等の(メタ)アクリルエステル系4級アンモニウム塩や、N−メタクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド等の(メタ)アクリルアミド系4級アンモニウム塩、L−アルギニンとグリシジルメタクリレートの反応物等のアミノ酸系のカチオン種などが例示でき、この中でも、(メタ)アクリル系4級アンモニウム塩単量体がより好ましい。特に式(3)で表される(メタ)アクリル系4級アンモニウム塩単量体が好ましい。
【0031】
CH=C(R)−CO−(O)−(NH)1−c−(CH−N・X (3)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜24のアルキル基、アリール基、アラルキル基又は−CH−CH(OH)−CH−N1011・Yを表し、R〜R11はそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、X及びYはそれぞれ独立して陰イオンを表し、cは0又は1を表し、dは1〜10の整数を表わす。)
【0032】
はメチル基が好ましい。R及びRはそれぞれ独立してメチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。Rはメチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。R〜R11はそれぞれ独立してメチル基又はエチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。X及びYで表される陰イオンとしては、それぞれ独立してハロゲンイオンが好ましく、塩素イオン、沃素イオン又は臭素イオンがより好ましい。cは0が好ましい。dは1〜5の整数が好ましく、3がより好ましい。
【0033】
式(3)で表されるカチオン性ビニル系単量体のいくつかを例示すると、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N−エチル−N,N−ジメチルアンモニウム=モノエチル硫酸塩、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリエチルアンモニウム=モノエチル硫酸塩、N−[3−{N’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N’,N’−ジメチルアンモニウム}−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−[3−{N’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N’,N’−ジエチルアンモニウム}−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウムクロライド等のカチオン性基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N−エチル−N,N−ジメチルアンモニウム=モノエチル硫酸塩、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウムクロライド、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニウム=モノメチル硫酸塩、N−[3−{N’−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N’,N’−ジメチルアンモニウム}−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−[3−{N’−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N’,N’−ジエチルアンモニウム}−2−ヒドロキシプロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性基を有する(メタ)アクリルアミド類等が挙げられる。
【0034】
なかでも、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライドが好ましく用いられ、特にN−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライドが好ましい。最も好ましくはN−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライドと、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライドとの併用である。
【0035】
また、カチオン性ビニル系単量体に相当する構造は、カチオン性ビニル系単量体の前駆体を他のビニル系単量体と重合させ共重合体とした後に、カチオン化剤により対応するカチオン基を有する構造に変換することによっても得ることができる。
カチオン性ビニル系単量体前駆体としては、例えば、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジメチルアミン、N−(メタ)アクリロイルオキシエチル−N,N−ジエチルアミン等の三級アミンを有する(メタ)アクリル酸エステル類;N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジメチルアミン、N−(メタ)アクリロイルアミノプロピル−N,N−ジエチルアミン等の三級アミンを有する(メタ)アクリルアミド類などが挙げられる。
【0036】
カチオン化剤としては、メチルクロリライド等のアルキルハライド及び3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン基含有カチオン化剤等が挙げられる。カチオン化反応は、例えば、重合体の溶液にカチオン化剤を添加し、20〜100℃、1〜20時間の条件で行うことができる。
なお、カチオン性ビニル系単量体またはその前駆体は、1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。また、共重合体(A)と共重合体(B)とで同じカチオン性ビニル系単量体またはその前駆体を用いてもよいし、異なるカチオン性ビニル系単量体またはその前駆体を用いてもよい。
【0037】
共重合体中(A)や(B)には、それぞれ更に他のビニル系単量体に由来する構造単位を含有させてもよい。但し、共重合体中にアニオン性の官能基が存在すると前述のアニオン性界面活性剤とのコンプレックス形成の障害となる場合があるので、アニオン性の官能基の少ないものが好ましく(例えば、全官能基の10%以下)、これを実質的に含まないものであれば更に好ましい。ここで、実質的に含まないとは、例えば、pH3〜8においてアニオン性を示さないものをいう。
【0038】
他のビニル系単量体としては、炭素原子数1〜22のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルや、炭素原子数1〜22のアルキルアミンと(メタ)アクリル酸とのアミド、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール等と(メタ)アクリル酸とのモノエステル、更にはこのモノエステルの水酸基がメタノールやエタノール等でエーテル化されたエステル、(メタ)アクロイルモルホリン、ヒドロキシメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミドなどのノニオン性単量体や、ベタイン基含有(メタ)アクリルエステル、ベタイン基含有(メタ)アクリルアミドなどの両性単量体、アミンオキシド基含有(メタ)アクリルエステル、アミンオキシド基含有(メタ)アクリルアミドなどの半極性単量体、などが挙げられる。
【0039】
他のビニル系単量体に由来する構造単位の含有量は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜定めることができる。例えば、水溶性樹脂の溶解性や、毛髪化粧料に用いる場合にはコンディショニング効果等を阻害しない範囲で適宜定めることができる。したがって、共重合体中の30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。
【0040】
共重合体中のカチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位、水酸基及びアミド結合を有するビニル系単量体に相当する構成単位、及びその他ビニル系単量体に由来する構成単位の含有量は、水酸基やアミド結合部位のIR吸収や、水酸基やアミド結合部位、カチオン基に隣接するメチル基のH−NMR、あるいはそれらの13C−NMR等により測定することができる。
【0041】
本発明の共重合体は、常温、すなわち25℃で、5質量%以上の濃度の水溶液を形成し得るもの、すなわち、5質量%以上の濃度の水溶液の透過率(550nm)が80%以上あり、水溶液が均一かつ安定のものであるのが好ましい。さらに好ましくは、20質量%以上の濃度の水溶液を形成し得るものである。
本発明に係る水溶性樹脂は、例えば、それぞれの構成単位を与える単量体またはその前駆体を混合し、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の方法により共重合させた後、必要に応じてカチオン化反応を行うことにより製造することができる。
【0042】
重合反応は親水性溶媒中で行うのが好ましい。親水性溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール等のアルコール系溶媒、水等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。アルコール系溶媒または水を用いることが好ましい。
【0043】
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の過酸化物、過硫酸塩、またはそのレドックス系など、特に限定することなく用いることができる。重合開始剤は全単量体に対して、0.01〜5質量%の範囲で用いることが好ましく、0.1〜3質量%の範囲がより好ましい。
【0044】
重合反応は、例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、好ましくは30〜120℃、より好ましくは40〜100℃で通常1〜30時間行うことができる。重合終了後は、生成した共重合体を、溶媒留去、貧溶媒の添加など適宜の手段で反応液から単離するとよい。この共重合体はそのまま、または更に精製して本発明に係る毛髪化粧料等の製造に用いることができる。精製は再沈澱、溶媒洗浄、膜分離など、適宜の手段を必要に応じて組み合わせて行うことができる。
【0045】
本発明の共重合体としては、ランダム共重合体やブロック共重合体、グラフト共重合体など任意の構造のものを利用することができ、特に限定されない。
ランダム共重合体は、重合に用いる全モノマーを混合した状態に開始剤を添加して一度に反応させる方法や、モノマーの一部或いは全量を滴下しながら徐々に反応させる方法等により合成することができる。モノマー組成を変化させながら滴下して重合することも出来る。ブロック共重合体は、公知のラジカル開始剤又は触媒などを利用して合成することができる。グラフト共重合体は、ビニル系官能基を有するマクロマーを利用する方法や、反応性官能基を有するポリマー同士を反応させる方法等により合成することができる。
なかでも、特別な工程を必要とせず安価な原料から合成することができるものが工業的な利用価値が高く望ましく、通常の原料を利用し最も簡便に製造しうるランダム共重合体が最も好ましい。
【0046】
本発明では洗浄剤組成物に複数種の共重合体を併用する。この場合には共重合体を別々に合成したのち混合し配合することもできる。或いは、まず1種の共重合体を製造し、その反応液中に他の種類の共重合体を構成するモノマー成分を添加して重合させることで、二種類の共重合体の混合物を得ることができる。同様にモノマー成分添加と重合を繰り返せば、更に多種類の共重合体の混合物を得る事もできる。本発明においては、簡便に製造しうる後者の方法が好ましい。
【0047】
本発明の共重合体(A)及び(B)の重量平均分子量は、それぞれ10,000〜2,000,000が好ましい。重量平均分子量を10,000以上とすることにより、アニオン性界面活性剤とのコンプレックスが毛髪や肌に付着することによるコンディショニング効果がより高まる。より好ましくは100,000以上であり、更に好ましくは200,000以上である。但し共重合体(B)は、重量平均分子量が比較的高いほうが界面活性剤とのコンプレックスが毛髪等に付着しやすい傾向があるため、より好ましくは共重合体(B)の重量平均分子量は200,000とし、更に好ましくは300,000以上とし、最も好ましくは500,000以上とする。
【0048】
一方、共重合体(A)及び(B)の2,000,000以下とすることにより、粘度を適度に保つことができ、配合性が高まり、製造上取り扱いがより容易になる。共重合体の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(例えば、展開溶媒として、水/メタノール/酢酸/酢酸ナトリウムを用いる)により測定することができる。より好ましくは1,000,000以下であり、更に好ましくは800,000以下である。
【0049】
言い換えれば、溶液粘度は適度な範囲であることが好ましく、例えば、共重合体の20質量%水溶液が作成できる程度であることが好ましい。より好ましくは25℃における20質量%水溶液の粘度が100,000mPa・s以下であり、より好ましくは60,000mPa・s以下である。共重合体(A)においては、更に好ましくは20,000mPa・s以下であり、最も好ましくは5,000mPa・s以下である。但し、20質量%水溶液の粘度は、通常10mPa・s以上である。高濃度にした方が輸送が容易なためである。
【0050】
粘度の調整は、例えば、共重合体の重合度を制御することによって行うことができる。また多官能アクリレートなどの架橋剤の添加量を増減することによっても分子量及び粘度が制御できる。但し架橋剤は少しでも添加しすぎると分子量及び粘度が急激に増大してしまうなど、工業的に製造する上では制御が困難な面がある。分子量及び粘度が大きくなりすぎると、前述のように配合性が低下することがあり好ましくない。このため架橋剤の添加量は、重合に際して分子量が増大しない範囲の量とするのが好ましい。例えば、共重合体の量に対して0.1%以下であり、より好ましくは0.01%以下である。最も好ましくは共重合体の重合の際に架橋剤を用いず、共重合体の構成成分として架橋剤を含まないことである。
【0051】
共重合体の分子量の制御方法としては、連鎖移動剤を使用する方法もある。連鎖移動剤を添加すると分子量を小さくすることができる。但し、添加量が多すぎると分子量が小さくなりすぎるなど、工業的に製造するうえでは制御が困難な面がある。また、連鎖移動剤として一般に使用されるチオール類、例えばチオグリコール、アルキルチオール、チオグリコール酸などは臭気の悪化の原因となるデメリットもある。従って連鎖移動剤は含まないことが好ましい。
【0052】
本発明の洗浄剤組成物は、上記の方法で得られた共重合体を処方系内に所要量配合することにより調製することができる。洗浄剤組成物は少なくとも1種の界面活性剤を含む。例えばアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、半極性界面活性剤等である。洗浄剤組成物中に含有される他の成分は特に限定されず、本発明の目的、効果を阻害しない範囲で配合することが可能である。具体的には、本発明の共重合体以外の水溶性高分子、カチオン性高分子、アニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子、油分、パール化剤等である。
洗浄剤組成物は少なくとも1種の界面活性剤を含む。なかでも、少なくともアニオン性界面活性剤を含むと、本発明のカチオン性基を有する共重合体(A)、(B)とコンプレックスを形成しやすく好ましい。
【0053】
アニオン性界面活性剤としては、α−オレフィンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、パラフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩、N−アシル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アシルメチルタウリン塩等の洗浄剤組成物に常用されているものを用いればよい。これらのアニオン性界面活性剤の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。なお、アニオン性界面活性剤は複数種を併用してもよい。
【0054】
アニオン性界面活性剤の濃度は5〜40質量%が好ましく、更に好ましくは10〜30質量%である。また共重合体(A)及び(B)の合計濃度は0.01〜5質量%が好ましく、更に好ましくは0.05〜3質量%である。アニオン性界面活性剤及び共重合体を上記濃度範囲とすることにより、得られた洗浄剤組成物中にアニオン性界面活性剤と共重合体とのコンプレックスが形成され、洗髪や濯ぎの際にこのコンプレックスが析出し、毛髪に付着することにより良好な指通り性を与える。
アニオン性界面活性剤の濃度を5質量%以上とすることにより、洗浄剤組成物としての機能をより効果的に発揮できる。より好ましくは10質量%以上である。逆に40質量%以下とすることにより、粘度を適度に保つことができ、より扱い易くなる。より好ましくは30質量%以下である。
【0055】
共重合体(A)及び(B)の合計濃度を0.01質量%以上とすることで、界面活性剤とのコンプレックスが生成しやすくなり、コンディショニング効果がより発現でき、例えばすすぎ時のなめらかさや乾燥後のサラサラ感がより高まる。より好ましくは合計濃度が0.05質量%以上であり、更に好ましくは0.1質量%以上である。逆に洗浄剤組成物中の共重合体の濃度を5質量%以下とすることで、乾燥後の違和感が少なくなる傾向にある。より好ましくは3質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下である。
洗浄剤組成物中の共重合体(A)と(B)の使用比率の好ましい範囲は、前述の通りである。
【0056】
洗浄剤組成物中に配合することのできる、他の界面活性剤を下記に例示する。
両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酢酸ベタイン、イミダゾリウムベタイン、スルホベタイン、アミドプロピルベタインなどベタイン基と長鎖アルキル基を含有するもの等が挙げられる。このような両性界面活性剤は一般に市販されており、そのまま使用することができる。なかでも長鎖アルキルアミドプロピルベタインは泡立ち及び洗浄性の点から好ましく用いられる。両性界面活性剤の濃度は、通常、0〜10質量%とする。
【0057】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテルや脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミドなどが挙げられる。このようなノニオン性界面活性剤は一般に市販されており、そのまま使用することができる。なかでも脂肪酸モノエタノールアミド、脂肪酸ジエタノールアミドは泡立ち及び粘度調整剤となりうる等の点から好ましく用いられる。ノニオン性界面活性剤の濃度は、通常、0〜10質量%とする。
【0058】
半極性界面活性剤としては、例えば、ラウラミンオキシド(ラウリルジメチルアミンオキシド)が挙げられる。半極性界面活性剤の濃度は、通常、0〜10質量%とする。
なかでも好ましい洗浄剤組成物としては、アニオン性界面活性剤を5〜40質量%、共重合体を0.01〜5質量%の他に、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び半極性界面活性剤からなる群より選ばれる1種以上の界面活性剤を合計0〜10質量%含有するものであり、例えばシャンプーなど毛髪用の洗浄剤組成物として特に優れた効果を示す。
【0059】
このとき両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び半極性界面活性剤は、合計量が0〜10質量%であれば、いずれか1種のみを用いてもよいし、2種又は3種以上を併用してもよい。
洗浄剤組成物中に配合することのできる、その他の任意成分を下記に例示する。
水溶性高分子としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等が挙げられる。カチオン性高分子としては、カチオン変性セルロースエーテル誘導体、ポリジメチルジアリルアンモニウムハライド、ジメチルジアリルアンモニウムハライドとアクリルアミドのコポリマー等が挙げられる。また、アニオン性高分子としては、アクリル酸誘導体(ポリアクリル酸及びその塩、アクリル酸・アクリルアミド・アクリル酸エチル共重合体及びその塩等)、メタクリル酸誘導体、クロトン酸誘導体等が、ノニオン性高分子としては、アクリル酸誘導体(アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、ポリアクリルアミド等)、ビニルピロリドン誘導体(ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体等)が、そして両性高分子としては、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体等)等が挙げられる。これらは、0.1〜1質量%含有させることが好ましい。
【0060】
油分としては、高級アルコール、シリコーン油、オリーブ油、ホホバ油、流動パラフィン、脂肪酸アルキルエステル油等が挙げられる。なかでもシリコーン油及び/又は高級アルコールを配合すると、乾燥後のサラサラ感が向上するため本発明の目的において特に有効である。シリコーン油としては不揮発性のポリジメチルシロキサン類を使用することが好ましい。高級アルコールは通常、炭素数8以上のアルコールを指すが、炭素数8〜22のアルコールを使用するのが好ましく、セチルアルコール(セタノール)又はステアリルアルコールを使用することがより好ましい。油分は、0.1〜3質量%含有させることが好ましい。
【0061】
パール化剤として、ジステアリン酸エチレングリコールなどの脂肪酸エチレングリコール等、懸濁剤としてはポリスチレン乳化物等が挙げられる。パール剤は、0.1〜2質量%含有させることが好ましい。
その他の成分として、動植物の天然エキス及びその誘導体、クエン酸、乳酸等の有機酸、塩化ナトリウム等の無機塩、可溶化剤(エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等)、保湿剤(グリセリン、ソルビトール、マルチトール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヒアルロン酸等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、殺菌剤、防腐剤、キレート剤、香料、色剤、高級脂肪酸、増粘剤、金属封鎖剤(エデト酸塩等)、pH調整剤、起泡増進剤等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合できる。
【実施例】
【0062】
以下、本発明を実施例を用いて更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例により限定されるものではない。
[製造例1]
(共重合体の製造)
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素ガス導入管及び撹拌装置を備えた反応器に蒸留水200質量部を仕込み、滴下ロートにN−メタクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DMC)34質量部(80質量%水溶液として43質量部)、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)66質量部、及び蒸留水80質量部からなる単量体混合液を仕込み、反応器を窒素置換したのち90℃まで加熱した。反応器に、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)0.5質量部を投入後、単量体混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後から20時間反応させたのち冷却し、共重合体(1)を得た。
【0063】
得られた共重合体の、全構成単位中の各単量体に相当する構成単位の割合は、DMC/DMAA=20/80(モル百分率)であり、重量平均分子量は350,000であり、20質量%水溶液の粘度は1130mPa・sであった。
なお重量平均分子量の測定は次のように行った。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(装置:東ソー株式会社製、SC8010,SD8022,RI8020,CO8011,PS8010、カラム:和光純薬工業株式会社 Wakopak(Wakobeads G−50)、展開溶媒:水/メタノール/酢酸/酢酸ナトリウム=6/4/0.3/0.41)を用いて、ポリエチレングリコールを標準物質として重量平均分子量を求めた。
粘度の測定は、B型粘度計を用い、ローターNo.2を使用して30rpm、25℃で実施した。
【0064】
[製造例2〜5]
表1(共重合体(2)〜(5))に記載の単量体組成を用いたこと以外は、共重合体(1)の製造と同様にして共重合体(2)〜共重合体(5)を製造した。得られた共重合体の、全構成単位中の各単量体に相当する構成単位のモル百分率と重量平均分子量、20%水溶液粘度を表1に示した。
【0065】
[製造例6]
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素ガス導入管及び撹拌装置を備えた反応器に蒸留水200質量部を仕込み、滴下ロートにN−メタクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DMC)58質量部(80質量%水溶液として73質量部)、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA)42質量部、及び蒸留水170質量部からなる単量体混合液を仕込み、反応器を窒素置換したのち80℃まで加熱した。反応器に、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)0.3質量部を投入後、単量体混合液を4時間かけて滴下した。滴下終了後から20時間反応させたのち冷却し、共重合体(6)を得た。
得られた共重合体の、全構成単位中の各単量体に相当する構成単位のモル百分率と重量平均分子量、20%水溶液粘度を表1に示した。
【0066】
【表1】

【0067】
DMC : N−メタクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド
DMAPAAC : N−アクリロイルアミノプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド
HEA : ヒドロキシエチルアクリレート
DMAA : N,N−ジメチルアクリルアミド
【0068】
[実施例1]
(洗浄剤組成物の調製)
上記の方法によって得られた共重合体(1)及び(4)を用いて、表2の組成を有するシャンプーを調製した。表における数値は全て活性成分の質量である。
【0069】
【表2】

【0070】
(洗浄剤組成物の評価)
上記の方法によって調製したシャンプーを用いて以下に述べる方法により、配合性を評価した。また、未処理毛及びダメージ毛について、それぞれすすぎ時のなめらかさ、乾燥後のサラサラ感、乾燥後のゴワツキの無さを評価した。結果を表3に示した。
【0071】
[実施例2〜6]
(洗浄剤組成物の調製及び評価)
共重合体として表2に示すものを用いた以外は実施例1と同様にして、表2の組成を有するシャンプーの調製及び評価を行った。但しシリコーン油を含む場合、調製は、まず、シリコーン油以外を混合した後、その混合物にシリコーン油を配合することにより行った。
【0072】
[比較例1、2]
(洗浄剤組成物の調製及び評価)
共重合体として表2に示すものを用いた以外は実施例1と同様にして、表2の組成を有するシャンプーの調製及び評価を行った。
【0073】
[比較例3]
共重合体(2)及びJR400(カチオン化ヒドロキシエチルセルロース)を用いて、実施例1と同様に表2の組成を有するシャンプーの調製及び評価を行った。なおJR400の20質量%水溶液の粘度は100,000mPa・sより大きかった。
【0074】
<評価方法>
各シャンプー組成物を、用意した毛束に塗布して下記項目をそれぞれ評価した。なお、使用した毛束は、「人毛黒髪(100%)根本揃え(未処理毛 10g×30cm)」として(株)ビューラックスより購入したものを「未処理毛」として使用し、「未処理毛」をブリーチ処理したものを「ダメージ毛」として使用した。ダメージ毛作成は、ブリーチ剤としては(株)ミルボン製プロマティスブレーブオキシタン6.0(過酸化水素6%クリーム)、(株)メロス化学製パウダーブリーチMR2を使用し、それぞれ12g、6gを混合したものを毛束1本に塗布し、塗布後30分放置したのち、水洗及びラウロイル(EO)3硫酸ナトリウム(ポリオキシエチレン(3)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム)を塗布して洗浄することにより行った。
なお、各評価は、共重合体として共重合体(2)のみを0.4質量部用いた以外は実施例1と同じ組成としたものを比較標準品として実施した。
【0075】
[配合性]
各シャンプー組成物の透過率を以下のように3段階で評価した。但し実施例6はシリコーン油添加前のシャンプーの透明性を評価した。
0 : 比較標準品と同程度に透明なシャンプーが得られる
−1: 透明性は低いが、均一なシャンプーが得られる
−2: 白濁し、シャンプーが得られない
【0076】
[すすぎ時のなめらかさ]
毛束を各シャンプー組成物で処理後、40℃の流水中で毛束をすすいだときの指通りのなめらかさ及びそのなめらかさの持続具合を4段階で評価した。
+2: 比較標準品に比べてなめらかさ、持続性共に優れる
+1: 比較標準品に比べてなめらかさ、持続性のどちらかが優れる
0 : 比較標準品と同程度
−1: 比較標準品に比べて劣る
【0077】
[乾燥後のサラサラ感]
すすぎ時のなめらかさ評価後の毛束を、23℃、60%RHの恒温室にて一晩乾燥させた後に、毛束のサラサラ感を4段階で評価した。
+2: 比較標準品に比べてサラサラ感が著しく優れる
+1: 比較標準品に比べてサラサラ感が優れる
0 : 比較標準品と同程度
−1: 比較標準品に比べて劣る
【0078】
[乾燥後のゴワツキの無さ]
サラサラ感を評価した毛束にて、ゴワツキの無さを4段階で評価した。
+2: 比較標準品に比べてほとんどゴワツキを感じない
+1: 比較標準品に比べてゴワツキは無いが若干感じられる
0 : 比較標準品と同程度
−1: 比較標準品に比べて劣る
【0079】
【表3】

【0080】
本発明に係わる洗浄剤組成物は、一種類の共重合体のみを配合した比較例1、2に比べて未処理毛、ダメージ毛共に優れたなめらかさ、サラサラ感等を有しており優れている。また、一種類の共重合体とカチオン化セルロースとを併用した比較例3と比較しても優れた性能を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共重合体(A)及び共重合体(B)を含有する洗浄剤組成物であって、
共重合体(A)及び(B)はそれぞれ、カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位と下記一般式(1)又は(2)で表されるビニル系単量体に相当する構成単位とを含む共重合体であり、
CH=C(R)−CO−NR (1)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、又は炭素数1〜4の水酸基を有していてもよいアルキル基を表し、RとRの炭素数の和は1以上4以下である。)
CH=C(R)−CO(O)−(CH−(CHOH)−OH (2)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、aは1〜4の整数を表し、bは0又は1を表す。)
共重合体(B)を構成する全構成単位における前記カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の割合が、共重合体(A)を構成する全構成単位における前記カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の割合より大きく、かつ25モル%以上であることを特徴とする洗浄剤組成物。
【請求項2】
共重合体(B)を構成する全構成単位における前記カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の割合が25〜55モル%である、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
共重合体(A)を構成する全構成単位における前記カチオン性ビニル系単量体に相当する構成単位の割合が15〜45モル%である、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記カチオン性ビニル系単量体が一般式(3)で表される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
CH=C(R)−CO−(O)−(NH)1−c−(CH−N・X (3)
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、R及びRはそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、Rは水素原子、炭素数1〜24のアルキル基、アリール基、アラルキル基又は−CH−CH(OH)−CH−N1011・Yを表し、R〜R11はそれぞれ独立して炭素数1〜24のアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表し、X及びYはそれぞれ独立して陰イオンを表し、cは0又は1を表し、dは1〜10の整数を表わす。)
【請求項5】
前記共重合体(B)の重量平均分子量が200,000〜2,000,000である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
前記共重合体(A)又は(B)が、少なくとも、一般式(1)で表されるビニル系単量体に相当する構成単位を含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
少なくとも1種の界面活性剤と請求項1乃至6のいずれか1項に記載の共重合体とを含有することを特徴とする、洗浄剤組成物。
【請求項8】
前記洗浄剤組成物が前記界面活性剤として少なくともアニオン性界面活性剤を含む、請求項7に記載の洗浄剤組成物。
【請求項9】
洗浄剤組成物が、アニオン性界面活性剤を5〜40質量%、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び半極性界面活性剤からなる群より選ばれる1種以上の界面活性剤を合計0〜10質量%、及び前記共重合体を0.01〜5質量%含有する、請求項8に記載の洗浄剤組成物。
【請求項10】
洗浄剤組成物が、更にシリコーン油及び/又は高級アルコールを含有する、請求項7乃至9のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。
【請求項11】
毛髪用に用いられる、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2007−63545(P2007−63545A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−211273(P2006−211273)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】