説明

洗浄組成物

【課題】洗浄力に優れ、白粉やシミを発生し難い洗浄組成物を提供する。
【解決手段】アルキル第四級アンモニウムの脂肪酸塩からなる界面活性剤と、アミノカルボン酸型キレート剤及びポリカルボン酸型キレート剤のうち少なくとも1種のキレート剤と、有機アルカリ剤とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属部材等の洗浄に使用する洗浄組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄組成物は、界面活性剤、キレート剤、アルカリ剤等を含んだものであり、通常、水と混合した洗浄液として金属部材等の洗浄に用いられる。この場合、界面活性剤は、金属部材の表面に付着している油性の汚れに集結して汚れを包含するミセルを形成し、液中に拡散することで汚れを除去する。キレート剤は、清浄な金属部材の表面と汚れとの界面に存在する酸化皮膜を洗浄液中に溶解して洗浄効果を高める。アルカリ剤は、界面活性剤との相互作用で洗浄力を向上させるもので、洗浄液中で汚れを反応によって可溶性にして分散させると共に、界面活性剤の臨界ミセル濃度及び界面張力を低下させて、洗浄液の汚れへの濡れ性、浸透性等を改善する。
【0003】
一般に、界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤に分類される。これらのうち、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等は、洗浄力を有しており、洗浄液の主要成分として用いられる。一方、カチオン性界面活性剤は、油分との親和性が良いため、例えば、金属部材等の洗浄において、アニオン性界面活性剤や両性界面活性剤等を含む洗浄液と共に用いられ、洗浄液に油分が可溶化・乳化するのを防止し、乳化状態にある洗浄液に対しては乳化したものを破壊して、洗浄液の洗浄力を長期間持続させる。このようなカチオン性界面活性剤としては、第四級アンモニウム塩が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平6−293896号公報
【特許文献2】特開2005−187622号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、第四級アンモニウム塩等の従来のカチオン性界面活性剤は、金属部材の洗浄等においては、通常、補助添加剤として、両性界面活性剤等と共に用いられるものであり、カチオン性界面活性剤自体には洗浄力が期待できるものではなかった。
また、一般に、カチオン性界面活性剤を用いた場合は、空気中から溶け込んだ溶存二酸化炭素が炭酸塩を形成するため、洗浄後に金属部材等の表面に炭酸塩の結晶が析出して白粉やシミとなる虞があった。
【0006】
本発明は上記問題に鑑み案出されたものであり、洗浄力に優れ、白粉やシミを発生し難い洗浄組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る洗浄組成物の特徴構成は、式(1)
【化1】

(式中、R1は炭素数6〜14のアルキル基、またはベンジル基を表し、
R2は水素原子、メチル基、ベンジル基、または式(2)
【化2】

で示される置換基を表し、
-は炭素数6〜14の脂肪酸イオンを表し、
kは0〜22の整数である。)
で示される界面活性剤と、アミノカルボン酸型キレート剤及びポリカルボン酸型キレート剤のうち少なくとも1種のキレート剤と、有機アルカリ剤とを含む点にある。
【0008】
本構成に係る洗浄組成物を洗浄液として用いることにより、式(1)で示される界面活性剤は、高い洗浄力と良好な油分離性とを有するため、洗浄液から油を分離して洗浄液の乳化を防ぎ、高い洗浄力を長期に亘って持続することができる。
また、脂肪酸は、炭酸に比べて酸解離定数(pKa)が大きいため、炭酸に優先して有機または無機のカチオンと塩を形成する。このため、式(1)で示される界面活性剤を用いることで、溶存二酸化炭素が炭酸塩を形成し難くなり、洗浄後に被洗浄物の表面に炭酸塩が残留して白粉やシミが発生することを防止できる。
【0009】
洗浄組成物に、アミノカルボン酸型キレート剤及びポリカルボン酸型キレート剤のうち少なくとも1種のキレート剤、及び有機アルカリ剤を含ませることにより、洗浄液のpHをアルカリ性に維持することができるため、空気中から溶け込む溶存二酸化炭素の増加を抑制でき、炭酸塩の形成をより抑えることができる。
【0010】
アルカリ剤として有機アルカリ剤を用いれば、洗浄後、水洗をしない場合でも、無機アルカリ剤のようなアルカリ剤自体による白粉やシミの発生を防止することができる。
【0011】
金属部材等の被洗浄物の表面には金属の酸化皮膜が形成されており、この皮膜上に油分が付着している。このため、洗浄組成物として、式(1)で示される界面活性剤と共に、アミノカルボン酸型キレート剤及びポリカルボン酸型キレート剤のうち少なくとも1種のキレート剤を用いれば、界面活性剤の高い洗浄力で油分を除去し、洗浄液を酸化皮膜に到達させることにより、キレート剤が酸化皮膜を除去することができ、被洗浄物の表面に光輝性を付与することができる。
【0012】
尚、式(1)で示される界面活性剤においては、R1及びX-は、炭素数が6未満となると親油性が低下し、洗浄力が低下する。一方、炭素数が14を越えると水溶性が低下するため、洗浄後の被洗浄物の表面に斑紋等のシミが残留し易くなる。
【0013】
本発明に係る洗浄組成物において、前記アミノカルボン酸型キレート剤は、式(3)
【化3】

(式中、R3は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のヒドロキシアルケニル基、または式(4)
【化4】

で示される置換基を表し、
qは0〜3の整数である。)
で示されるキレート剤であることが好ましい。
【0014】
前記洗浄組成物において、前記ポリカルボン酸型キレート剤は、式(5)
【化5】

(式中、R4〜R9は水素原子、炭素数1〜5のアルコキシル基、カルボキシル基、または水酸基を表し、Mは水素原子、炭素数1〜4のアルキルアミン、または炭素数1〜6のアルカノールアミンを表し、r/s(共重合モル比)が0/10〜10/1であり、平均分子量が1000〜100000である。)
で示されるキレート剤であることが好ましい。
【0015】
前記洗浄組成物において、前記有機アルカリ剤は、式(6)
【化6】

(式中、R10は炭素数2または3のアルキレン基を表し、mは1〜3の整数である。)
で示されるアルカノールアミン、式(7)
【化7】

(式中、nは1〜5の整数である。)
で示されるエチレンアミン、式(8)
【化8】

(式中、R11は炭素数2または3のアルキレン基を表し、R12は炭素数1〜3のアルキル基を表し、tは1〜3の整数である。)
で示されるアルコキシアルキルアミン、式(9)
【化9】

(式中、R13は炭素数4〜10のアルキル基を表す。)
で示されるアルキルアミン、及び式(10)
【化10】

(式中、pは分子量が300〜7000の範囲となる整数である。)
で示されるポリエチレンイミンからなる群から選択される少なくとも1種のアミンであることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係る洗浄組成物(以下、「本発明洗浄組成物」と称する場合がある。)に用いられる界面活性剤(以下、「本発明界面活性剤」と称する場合がある。)は、式(1)で示されるアルキル第四級アンモニウムの脂肪酸塩(以下、「第四級アンモニウム塩」と称する場合がある。)である。
【化11】

(式中、R1は炭素数6〜14のアルキル基、またはベンジル基を表し、
R2は水素原子、メチル基、ベンジル基、または式(2)
【化12】

で示される置換基を表し、
-は炭素数6〜14の脂肪酸イオンを表し、
kは0〜22の整数である。)
【0017】
式(1)において、R1、及びX-は、下記の基が挙げられる。
R1で示される炭素数6〜14のアルキル基としては、例えば、n−ヘキシル基、1,2−ジメチルブチル基等のヘキシル基の構造異性体、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基等のヘプチル基の構造異性体、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等のオクチル基の構造異性体、n−ノニル基、1,2,3−トリメチルヘキシル基等のノニル基の構造異性体、n−デシル基、1,2−ジエチルヘキシル基等のデシル基の構造異性体、n−ウンデシル基、2−メチルデシル基等のウンデシル基の構造異性体、n−ドデシル基、1,2−ジエチルオクチル基等のドデシル基の構造異性体、n−トリデシル基、1,2,3−トリメチルデシル基等のトリデシル基の構造異性体、n−テトラデシル基、2−エチルドデシル基等のテトラデシル基の構造異性体が挙げられる。
【0018】
-で示される炭素数6〜14の脂肪酸イオンとしては、例えば、カプロン酸イオン(ヘキサン酸イオン)、2,2−ジメチルブタン酸イオン等のカプロン酸イオンの構造異性体、エナント酸イオン(ヘプタン酸イオン)、2−メチルカプロン酸イオン等のエナント酸イオンの構造異性体、カプリル酸イオン(オクタン酸イオン)、2−エチルカプロン酸イオン等のカプリル酸イオンの構造異性体、ペラルゴン酸イオン(ノナン酸イオン)、3−メチルカプリル酸イオン等のペラルゴン酸イオンの構造異性体、カプリン酸イオン(デカン酸イオン)、2,3−ジメチルカプリル酸イオン等のカプリン酸イオンの構造異性体、ウンデカン酸イオン、2−メチルカプリン酸イオン等のウンデカン酸イオンの構造異性体、ラウリン酸イオン(ドデカン酸イオン)、2−エチルカプリン酸イオン等のラウリン酸イオンの構造異性体、トリデカン酸イオン、2,3−ジエチルカプリル酸イオン等のトリデカン酸イオンの構造異性体、ミリスチン酸イオン(テトラデカン酸イオン)、2,3−ジメチルラウリン酸等のミリスチン酸イオンの構造異性体が挙げられる。また、脂肪酸イオンとしては、飽和脂肪酸イオンに限らず、不飽和脂肪酸イオンも適用可能である。
【0019】
式(1)に示される第四級アンモニウム塩の態様としては、例えば、以下のアンモニウム塩が挙げられる。
式(1)において、R1が、炭素数6〜14のアルキル基、またはベンジル基であるアンモニウム塩、
式(1)において、R1が、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、またはn−テトラデシル基であるアンモニウム塩、
式(1)において、R2が、水素原子、メチル基、ベンジル基、または式(2)で示される置換基であるアンモニウム塩、
式(1)において、R2が、メチル基、または式(2)で示される置換基であるアンモニウム塩、
式(1)において、R2が、式(2)で示される置換基であり、kが0〜22のいずれかであるアンモニウム塩、
式(1)において、R2が、式(2)で示される置換基であり、kが1〜4のいずれかであるアンモニウム塩、
式(1)において、R2が、式(2)で示される置換基であり、kが1または2であるアンモニウム塩、
式(1)において、R1が、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、またはn−テトラデシル基であり、R2が、メチル基、または式(2)で示される置換基であり、kが1または2であるアンモニウム塩、
式(1)において、X-が、カプロン酸イオン、カプリル酸イオン、カプリン酸イオン、ラウリン酸イオン、またはミリスチン酸イオンであるアンモニウム塩、
式(1)において、R1が、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、またはn−テトラデシル基であり、R2が、メチル基、または式(2)で示される置換基であり、kが1または2であり、X-が、カプロン酸イオン、カプリル酸イオン、カプリン酸イオン、ラウリン酸イオン、またはミリスチン酸イオンであるアンモニウム塩。
【0020】
尚、式(1)において、R2が式(2)で示される置換基である場合、本発明界面活性剤は、カチオン性(陽イオン性)とノニオン性(非イオン性)の両方の性質を有する。ノニオン性の度合いはkの数によって決まり、kが大きくなるとノニオン性が強くなる。このため、本発明界面活性剤は、kが大きくなると、水溶性が高まり炭素数の多い脂肪酸イオンを対イオンとして使用可能になるが、カチオン性は弱くなるため、洗浄力、油分離性、pH緩衝作用等は低下する。したがって、kは0〜22の範囲に設定する。
【0021】
次に、式(1)で示される第四級アンモニウム塩を構成する第四級アンモニウムの具体例を示す。
式(1)において、R2が水素原子である第四級アンモニウムとしては、例えば、2,3−ジヒドロキシプロピルジメチルヘキシルアンモニウム、2,3−ジヒドロキシプロピルジメチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、2,3−ジヒドロキシプロピルジメチルオクチルアンモニウム、2,3−ジヒドロキシプロピルジメチルデシルアンモニウム、2,3−ジヒドロキシプロピルジメチルドデシルアンモニウム、2,3−ジヒドロキシプロピルジメチルテトラデシルアンモニウム、2,3−ジヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウムが挙げられる。
【0022】
式(1)において、R2がメチル基である第四級アンモニウムとしては、例えば、3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピルジメチルヘキシルアンモニウム、3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピルジメチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピルジメチルオクチルアンモニウム、3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピルジメチルデシルアンモニウム、3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピルジメチルドデシルアンモニウム、3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピルジメチルテトラデシルアンモニウム、3−メトキシ−2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウムが挙げられる。
【0023】
式(1)において、R2がベンジル基である第四級アンモニウムとしては、例えば、3−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルジメチルヘキシルアンモニウム、3−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルジメチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、3−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルジメチルオクチルアンモニウム、3−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルジメチルデシルアンモニウム、3−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルジメチルドデシルアンモニウム、3−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルジメチルテトラデシルアンモニウム、3−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウムが挙げられる。
【0024】
式(1)において、R2が式(2)で示される置換基であり、kが1である第四級アンモニウムとしては、例えば、3,3’−オキシエチレンオキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルヘキシルアンモニウム)、3,3’−オキシエチレンオキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチル−2−エチルヘキシルアンモニウム)、3,3’−オキシエチレンオキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルオクチルアンモニウム)、3,3’−オキシエチレンオキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルデシルアンモニウム)、3,3’−オキシエチレンオキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルドデシルアンモニウム)、3,3’−オキシエチレンオキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルテトラデシルアンモニウム)、3,3’−オキシエチレンオキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム)が挙げられる。
【0025】
式(1)において、R2が式(2)で示される置換基であり、kが2である第四級アンモニウムとしては、例えば、3,3’−ジ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルヘキシルアンモニウム)、3,3’−ジ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチル−2−エチルヘキシルアンモニウム)、3,3’−ジ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルオクチルアンモニウム)、3,3’−ジ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルデシルアンモニウム)、3,3’−ジ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルドデシルアンモニウム)、3,3’−ジ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルテトラデシルアンモニウム)、3,3’−ジ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム)が挙げられる。
【0026】
式(1)において、R2が式(2)で示される置換基であり、kが4である第四級アンモニウムとしては、例えば、3,3’−テトラ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルヘキシルアンモニウム)、3,3’−テトラ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチル−2−エチルヘキシルアンモニウム)、3,3’−テトラ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルオクチルアンモニウム)、3,3’−テトラ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルデシルアンモニウム)、3,3’−テトラ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルドデシルアンモニウム)、3,3’−テトラ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルテトラデシルアンモニウム)、3,3’−テトラ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム)が挙げられる。
【0027】
式(1)において、R2が式(2)で示される置換基であり、kが9である第四級アンモニウムとしては、例えば、3,3’−ノナ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルヘキシルアンモニウム)、3,3’−ノナ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチル−2−エチルヘキシルアンモニウム)、3,3’−ノナ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルオクチルアンモニウム)、3,3’−ノナ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルデシルアンモニウム)、3,3’−ノナ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルドデシルアンモニウム)、3,3’−ノナ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルテトラデシルアンモニウム)、3,3’−ノナ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム)が挙げられる。
【0028】
式(1)において、R2が式(2)で示される置換基であり、kが13である第四級アンモニウムとしては、例えば、3,3’−トリデカ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルヘキシルアンモニウム)、3,3’−トリデカ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチル−2−エチルヘキシルアンモニウム)、3,3’−トリデカ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルオクチルアンモニウム)、3,3’−トリデカ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルデシルアンモニウム)、3,3’−トリデカ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルドデシルアンモニウム)、3,3’−トリデカ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルテトラデシルアンモニウム)、3,3’−トリデカ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム)が挙げられる。
【0029】
式(1)において、R2が式(2)で示される置換基であり、kが22である第四級アンモニウムとしては、例えば、3,3’−ドコサ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルヘキシルアンモニウム)、3,3’−ドコサ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチル−2−エチルヘキシルアンモニウム)、3,3’−ドコサ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルオクチルアンモニウム)、3,3’−ドコサ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルデシルアンモニウム)、3,3’−ドコサ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルドデシルアンモニウム)、3,3’−ドコサ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルテトラデシルアンモニウム)、3,3’−ドコサ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルベンジルアンモニウム)が挙げられる。
【0030】
これらの第四級アンモニウムは、例えば、カプロン酸イオン、カプリル酸イオン、カプリン酸イオン、ラウリン酸イオン、またはミリスチン酸イオンと、アルキル第四級アンモニウムの脂肪酸塩を構成する。
【0031】
式(1)で示される第四級アンモニウム塩は、例えば、以下の方法により製造することができる。すなわち、下記式で示すように、水を溶媒として、アルキルジメチルアミン(第三級アミン)と脂肪酸とを室温で等モル混合し、アルキルジメチルアミンの脂肪酸塩を生成させる。その後、生成したアルキルジメチルアミンの脂肪酸塩に対し、グリシジルアルコールまたはアルキルグリシジルエーテルをエポキシ当量で等モル加え、室温(25℃)〜80℃で1〜10時間攪拌することにより第四級アンモニウム塩を製造することができる。
【化13】

(式中、R1は炭素数6〜14のアルキル基、またはベンジル基を表し、HXは炭素数6〜14の脂肪酸を表し、X-は炭素数6〜14の脂肪酸イオンを表す。)
【化14】

(式中、R1は炭素数6〜14のアルキル基、またはベンジル基を表し、R2は水素原子、メチル基、またはベンジル基を表し、X-は炭素数6〜14の脂肪酸イオンを表す。)
【0032】
また、式(1)において、R2が式(2)で示される置換基である第四級アンモニウム塩の場合には、下記式で示すように、生成したアルキルジメチルアミンの脂肪酸塩に対し、(オキシエチレン)kジグリシジルエーテルをエポキシ当量で等モル加え、室温〜80℃で1〜10時間攪拌することにより製造することができる。
【化15】

(式中、R1は炭素数6〜14のアルキル基、またはベンジル基を表し、X-は炭素数6〜14の脂肪酸イオンを表し、kは0〜22の整数である。)
【0033】
本発明界面活性剤の製造に用いるアルキルジメチルアミンとしては、例えば、N,N−ジメチルヘキシルアミン、N,N−ジメチルカプリルアミン(N,N−ジメチルオクチルアミン)、N,N−ジメチルデシルアミン、N,N−ジメチルラウリルアミン(N,N−ジメチルドデシルアミン)、N,N−ジメチルテトラデシルアミン等が挙げられ、これらは公知の方法によって製造することができる。
アルキルグリシジルエーテルとしては、例えば、グリシジルメチルエーテル、ベンジルグリシジルエーテル等が挙げられる。アルキルグリシジルエーテル及びグリシジルアルコールは公知の方法によって製造することができる。
(オキシエチレン)kジグリシジルエーテルとしては、例えば、オキシエチレンジグリシジルエーテル(エチレングリコールジグリシジルエーテル)、ジオキシエチレンジグリシジルエーテル(ジエチレングリコールジグリシジルエーテル)等が挙げられ、これらは公知の方法によって製造することができる。
【0034】
本発明洗浄組成物において、本発明界面活性剤と共に用いるキレート剤は、アミノカルボン酸型キレート剤及びポリカルボン酸型キレート剤のうち少なくとも1種のキレート剤である。
アミノカルボン酸型キレート剤としては、例えば、式(3)
【化16】

(式中、R3は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のヒドロキシアルケニル基、または式(4)
【化17】

で示される置換基を表し、qは0〜3の整数である。)
で示されるキレート剤等が挙げられる。具体例としては、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ニトリロトリ酢酸、L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸等が挙げられる。
【0035】
ポリカルボン酸型キレート剤としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、アクリル酸、またはマレイン酸の重合体、または共重合体であって、式(5)
【化18】

(式中、R4〜R9は水素原子、炭素数1〜5のアルコキシル基、カルボキシル基、または水酸基を表し、Mは水素原子、炭素数1〜4のアルキルアミン、または炭素数1〜6のアルカノールアミンを表し、r/s(共重合モル比)が0/10〜10/1であり、平均分子量が1000〜100000である。)
で示される水溶性高分子カルボン酸化合物等が挙げられる。
【0036】
尚、これらのアミノカルボン酸型キレート、ポリカルボン酸型キレート剤は、公知の化合物であり、従来公知の方法によって製造可能である。また、市場から入手することもできる。
【0037】
本発明洗浄組成物に用いる有機アルカリ剤としては、特に制限はないが、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等の式(6)
【化19】

(式中、R10は炭素数2または3のアルキレン基を表し、mは1〜3の整数である。)
で示されるアルカノールアミン;
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の式(7)
【化20】

(式中、nは1〜5の整数である。)
で示されるエチレンアミン;
メトキシプロピルアミン、エトキシプロピルアミン等の式(8)
【化21】

(式中、R11は炭素数2または3のアルキレン基を表し、R12は炭素数1〜3のアルキル基を表し、tは1〜3の整数である。)
で示されるアルコキシアルキルアミン;
オクチルアミン、デシルアミン等の式(9)
【化22】

(式中、R13は炭素数4〜10のアルキル基を表す。)
で示されるアルキルアミン;
式(10)
【化23】

(式中、pは分子量が300〜7000の範囲となる整数である。)
で示されるポリエチレンイミン等が挙げられ、これらのうちから選択させる少なくとも1種のアミンが好ましく適用できる。これらの有機アルカリ剤は、公知の化合物であり、従来公知の方法によって製造可能である。また、市場から入手することもできる。
【0038】
本発明洗浄組成物は、例えば、水と混合した洗浄液として用いることができる。この場合、本発明洗浄組成物は、特に限定はされないが、本発明界面活性剤を洗浄液の0.05〜5重量%、キレート剤を洗浄液の0.02〜3重量%、アルカリ剤を0.05〜5重量%含有させることが好ましい。
【0039】
本発明洗浄組成物を水と混合した洗浄液は、例えば、鉄鋼製品等の金属部材の洗浄に適用することができる。金属部材の洗浄としては、焼き入れ等の熱処理を施す場合に、金属部材の表面に防炭剤等の水溶性の液剤を塗布できるように切削工程等で付着した加工油等を除去するための洗浄、熱処理の工程において使用された急冷油を除去するための洗浄、熱処理後の防炭剤の除去やショットブラスト処理によるショット粉塵・スチールポール等の除去のための洗浄等が挙げられる。
【0040】
本発明洗浄組成物を適用可能な洗浄方法としては、特に限定はされないが、例えば、スプレー洗浄、浸漬洗浄、電解洗浄、振動洗浄等が例示される。本発明洗浄組成物は、いずれの洗浄方法においても、従来の界面活性剤に比べて高洗浄力を実現可能である。さらに、本発明洗浄組成物を構成する本発明界面活性剤は、高い洗浄力に加え、良好な油分離性を有し、洗浄液から油を分離して洗浄液の乳化を防ぐことができるため、高い洗浄力を長期に亘って持続することができる。
【0041】
本発明界面活性剤を用いることにより、洗浄液中の溶存二酸化炭素が炭酸塩を形成し難い。このため、例えば、洗浄後に水洗を行わない場合でも、金属部材等の表面に炭酸塩が残留して白粉やシミが発生することを防止できる。本発明洗浄組成物として、アミノカルボン酸型キレート剤及びポリカルボン酸型キレート剤のうち少なくとも1種のキレート剤、及び有機アルカリ剤を含ませれば、洗浄液のpHを、例えば、9〜11のようなアルカリ性に維持することができるため、空気中の二酸化炭素が溶け込むこと自体を抑制できる。尚、アルカリ剤として有機アルカリ剤を用いれば、無機アルカリ剤のようなアルカリ剤自体による白粉やシミの発生も防止することができる。尚、本発明界面活性剤は、pH緩衝作用を有するため、アルカリ性に維持した洗浄液のpHを安定させることもできる。
【0042】
また、本発明洗浄組成物に用いるキレート剤は、金属部材等の表面に形成された金属の酸化皮膜を溶解して除去することができる。本発明洗浄組成物として本発明界面活性剤とキレート剤とを用いれば、本発明界面活性剤の高洗浄力により酸化皮膜の上に付着している油分を除去し、キレート剤を酸化皮膜に到達させて酸化皮膜を除去できるため、金属部材等の表面に光輝性を付与することができる。
【0043】
洗浄に際して本発明洗浄組成物を使用する温度は、特に制限はなく、任意に設定可能である。一般に、界面活性剤を含む洗浄液は加温して使用すると脱脂力等の洗浄力が向上する。一方、5〜35℃の常温で使用すると洗浄力が低下する。本発明洗浄組成物においても、例えば50〜90℃に加温して使用することは好ましい態様であるが、本発明洗浄組成物の場合には、例えば常温でも高洗浄力を維持することができるため、好ましく使用することができる。すなわち、本発明界面活性剤であれば、使用温度に制限がないため、例えば、50〜90℃で洗浄する高温洗浄工程と、5〜35℃の常温で洗浄する低温洗浄工程とがあるような工場等においても、両方の洗浄工程で本発明界面活性剤を含む同一の洗浄液を使用することができ、洗浄液の管理等の手間を低減することができる。
【0044】
本発明洗浄組成物には、本発明の作用を阻害しない範囲で、さらに、オキシエチレンオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のエーテル型のノニオン性界面活性剤や、アミンオキサイド等の両性界面活性剤、その他の従来公知のビルダー等を含有させることもできる。
【実施例】
【0045】
以下に、本発明を用いた実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
本発明界面活性剤として、500mlの四つ口フラスコに、水100g(5.6モル)、N,N−ジメチルラウリルアミン15.7g(0.1モル)、及びラウリン酸14.4g(0.1モル)を入れ、室温で攪拌しながら、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルを15g(0.05モル)添加した後、30〜80℃で約6時間攪拌し、式(1)において、R1がn−ドデシル基(ラウリル基)であり、R2が式(2)で示される置換基であり、kが2であり、X-がラウリル酸である、3、3’−ジ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルドデシルアンモニウム)ラウリル酸塩を得た。
また、その他のアルキル第四級アンモニウムの脂肪酸塩についても、同様の方法で製造した。
【0046】
本発明界面活性剤を、アルカリ剤及びキレート剤と混合して本発明洗浄組成物とした後、表1に示す濃度となるように水に混合し、洗浄液を調製した。調製した洗浄液を用い、表2に示す条件で洗浄し、洗浄力、光輝性、被洗浄物表面の白粉・シミについて評価した。その結果を表3,4に示した。
尚、洗浄力は、洗浄後の被洗浄物の残留油分を、油分測定計(堀場製作所製OCMA−350)を用いて測定し、残留油分値7.0mg未満をA,7.0〜8.0mgをB、8.0mg以上をCとした。光輝性、残留シミについては目視で判断した。
また、比較例として、本発明界面活性剤以外の界面活性剤を用い、同様の方法によって洗浄力と発泡性について評価し、その結果を表5,6に示した。
【0047】
使用したアルカリ剤及びキレート剤は、表3〜6に示す通りであり、それぞれの略称は以下の通りである。
(アルカリ剤)
IPA:イソプロパノールアミン
MEA:モノエタノールアミン
DEA:ジエタノールアミン
TEA:トリエタノールアミン
EDA:エチレンジアミン
TETA:トリエチレンテトラミン
PEPA:ポリエチレンポリアミン(分子量15000)
(キレート剤)
NTA:ニトリロトリ酢酸
EDTA:エチレンジアミン四酢酸
DTPA:ジエチレントリアミン五酢酸
PAA:ポリアクリル酸(分子量6000)
CTA:クエン酸
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
【表3】

【0051】
【表4】

【0052】
【表5】

【0053】
【表6】

【0054】
〔実施例2〕
(製造例1)
本発明界面活性剤としての(A)3,3’−ジ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルオクチルアンモニウム)のデカン酸塩0.2重量%と、有機アルカリ剤としての(B)3−エトキシプロピルアミン0.05重量%と、キレート剤としての(C)エチレンジアミン4酢酸0.02重量%とを、水を溶媒として全体で100重量%となるよう調製した。
【0055】
(製造例2)
本発明界面活性剤としての3,3’−ジ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルオクチルアンモニウム)のカプリル酸塩0.2重量%と、有機アルカリ剤としての3−メトキシプロピルアミン0.05重量%と、キレート剤としてのエチレンジアミン4酢酸0.02重量%と、オクチルジメチルアミンオキサイド0.08%と、ポリオキシエチレン−2−エチルへキシルエーテル0.02%とを、水を溶媒として全体で100重量%となるよう調製した。
【0056】
(製造例3)
本発明界面活性剤としての3,3’−ジ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルオクチルアンモニウム)のカプリル酸塩0.2重量%と、有機アルカリ剤としてのモノイソプロパノールアミン0.1重量%と、キレート剤としてのニトリロトリ酢酸0.1重量%と、デシルジメチルアミンオキシド0.05重量%と、オキシエチレンオキシプリピレンブロックコポリマー(1%水溶液 曇点24℃)とを、水を溶媒として全体で100重量%となるよう調製した。
【0057】
(製造例4)
本発明界面活性剤としての3,3’−ジ(オキシエチレン)オキシ−ビス(2−ヒドロキシプロピルジメチルオクチルアンモニウム)のデカン酸塩0.4%重量と、有機アルカリ剤としての3−メトキシプロピルアミン0.05重量%と、キレート剤としてのエチレンジアミン4酢酸0.02%とを、水を溶媒として全体で100重量%となるよう調製した。
【0058】
(比較例1)
従来使用されている洗浄液であり、自動車部品としての鉄鋼製品を熱処理する際に、後洗浄として使用される一般的な洗浄液であって、製造例1の洗浄液において、(A)、(B)を含有せず、2-アミノエタノール、硼酸を含有する洗浄液を用いた。
【0059】
(比較例2)
従来使用されている洗浄液であり、自動車部品としての鉄鋼製品を熱処理する際に、後洗浄として使用される一般的な洗浄剤であって、製造例1の洗浄液において、(A)、(B)、(C)を含有せず、珪酸ナトリウム、亜硝酸ソーダを含有する洗浄液を用いた。
【0060】
(比較例3)
従来使用されている洗浄液であり、自動車部品としての鉄鋼製品を熱処理する際に、後洗浄として使用される一般的な洗浄剤であって、製造例1の洗浄液において、(A)、(B)を含有せず、燐酸カリウム、亜硝酸ソーダを含有する洗浄液を用いた。
【0061】
(比較例4)
従来使用されている洗浄液であり、自動車部品としての鉄鋼製品を熱処理する際に、後洗浄として使用される一般的な洗浄剤であって、製造例1の洗浄液において、(A)、(B)、(C)を含有せず、珪酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、アルキルベタイン型両性界面活性剤を含有する洗浄液を用いた。
【0062】
(比較例5)
従来使用されている洗浄液であり、自動車部品としての鉄鋼製品を熱処理する際に、後洗浄として使用される一般的な洗浄剤であって、製造例1の洗浄液において、(A)、(C)を含有せず、珪酸ナトリウムを含有する洗浄液を用いた。
【0063】
上記の通り調製した洗浄液を用い、表7に示す条件で洗浄し、洗浄力、防錆性、低泡性、液交換サイクルについて評価した。
【表7】

【0064】
(1)洗浄力
洗浄した被洗浄物各5個について、油分測定計(堀場製作所製OCMA−350)を用いて残留油分を測定し、それぞれの平均値について、残留油分値0.55mg以下を◎、0.56〜0.75mgを○、0.76〜0.90mgを△、0.91mg以上を×とした。その結果を表8に示した。尚、本実施例では、製造工程における実機を使用して行っているため、残留油分の評価基準値は実施例1とは異なっている。
【表8】

【0065】
(2)防錆性
上記(1)で洗浄した被洗浄物を自然放置し、錆発生に至るまでの日数を目視で比較し、「96時間以内に錆発生せず」を◎、「72〜96時間内に錆発生」を○、「48〜72時間内に錆発生」を△、「48時間以内に錆発生」を×として、その結果を表9に示した。
【表9】

【0066】
(3)低泡性
上記(1)の試験実施時のタンク槽の洗浄液の挙動を目視で下記に評価し、「全く発泡せず」を◎、「タンク槽から溢れないが発泡」を○、「タンク槽から溢れる」を×とし、その結果を表10に示した。
【表10】

【0067】
(4)液交換サイクル
製造例1の洗浄液と比較例1の洗浄液を用い、実際の生産ライン(洗浄液温度:60℃)におけるスプレー洗浄機での評価を行った。製造例1の洗浄液を用いた結果を表11に示し、比較例1の洗浄液を用いた結果を表12に示した。比較例1の洗浄液では浴寿命1週間に対し、製造例1の洗浄液では薬剤補充によって1ヶ月と寿命延長が可能となった。
【0068】
【表11】

【0069】
【表12】

【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明に係る洗浄組成物は、例えば、金属部材の洗浄等に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

(式中、R1は炭素数6〜14のアルキル基、またはベンジル基を表し、
R2は水素原子、メチル基、ベンジル基、または式(2)
【化2】

で示される置換基を表し、
-は炭素数6〜14の脂肪酸イオンを表し、
kは0〜22の整数である。)
で示される界面活性剤と、
アミノカルボン酸型キレート剤及びポリカルボン酸型キレート剤のうち少なくとも1種のキレート剤と、
有機アルカリ剤とを含む洗浄組成物。
【請求項2】
前記アミノカルボン酸型キレート剤は、式(3)
【化3】

(式中、R3は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のヒドロキシアルケニル基、または式(4)
【化4】

で示される置換基を表し、
qは0〜3の整数である。)
で示されるキレート剤である請求項1に記載の洗浄組成物。
【請求項3】
前記ポリカルボン酸型キレート剤は、式(5)
【化5】

(式中、R4〜R9は水素原子、炭素数1〜5のアルコキシル基、カルボキシル基、または水酸基を表し、Mは水素原子、炭素数1〜4のアルキルアミン、または炭素数1〜6のアルカノールアミンを表し、r/s(共重合モル比)が0/10〜10/1であり、平均分子量が1000〜100000である。)
で示されるキレート剤である請求項1に記載の洗浄組成物。
【請求項4】
前記有機アルカリ剤は、式(6)
【化6】

(式中、R10は炭素数2または3のアルキレン基を表し、mは1〜3の整数である。)
で示されるアルカノールアミン、式(7)
【化7】

(式中、nは1〜5の整数である。)
で示されるエチレンアミン、式(8)
【化8】

(式中、R11は炭素数2または3のアルキレン基を表し、R12は炭素数1〜3のアルキル基を表し、tは1〜3の整数である。)
で示されるアルコキシアルキルアミン、式(9)
【化9】

(式中、R13は炭素数4〜10のアルキル基を表す。)
で示されるアルキルアミン、及び式(10)
【化10】

(式中、pは分子量が300〜7000の範囲となる整数である。)
で示されるポリエチレンイミンからなる群から選択される少なくとも1種のアミンである請求項1〜3のいずれか1項に記載の洗浄組成物。

【公開番号】特開2009−161752(P2009−161752A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317749(P2008−317749)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(593045123)中央化学株式会社 (3)
【Fターム(参考)】