説明

洗浄組成物

【課題】洗浄組成物として要求される基本的な機能を高水準に追求し、特に肌の皮脂を効率よく分解除去すると共に、使用時の肌刺激が改善された洗浄組成物を提供する。
【解決手段】脂肪分解酵素のリパーゼと、ニーム抽出物およびレモングラス抽出物から選ばれた少なくとも1つの抽出物とを含み、上記成分に更に蛋白質分解酵素のプロテアーゼを含有し、洗浄組成物の保存形態が粉末状または顆粒状であるか、または、ポーションタイプであり、特に洗顔用の洗浄組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄組成物に関し、特に肌の皮脂を効率よく分解除去することに優れた洗浄組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の洗顔などに用いる洗浄組成物は、主に皮膚表面の皮脂性老廃物の汚れ、それに付随する毛穴の汚れ、皮膚新陳代謝に伴う古くなった角質層の除去により肌の健康状態を保ち、皮膚表面の清浄度を保つ上で非常に重要である。このため、脂肪分解酵素を配合した製剤はすでに知られている(特許文献1、2)。
また、ニームの水蒸気蒸留残渣より溶媒抽出することにより、皮膚刺激性の低いニーム抽出物の製造方法、および、このニーム抽出物を含有する低刺激性化粧料組成物が知られている(特許文献3)。
また、レモングラス抽出物がリパーゼ活性促進作用を有することが知られている(特許文献4)。
しかしながら、人体洗顔用洗浄組成物として、皮脂を分解除去し毛穴の黒ずみを改善すると共に、皮脂分解酵素使用量を低減化することで該酵素に由来する使用時の肌への刺激の低減化が行なえる洗浄組成物は知られていない。
【特許文献1】特開平02−150498号公報
【特許文献2】特開平06−217771号公報
【特許文献3】特開2006−76909号公報
【特許文献4】特開2004−238310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、従来技術に鑑み、洗浄組成物として要求される基本的な機能を高水準に追求した新規な洗浄組成物、特に、肌への刺激の低減化が行なえる洗顔に適した洗浄組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者等は、肌の皮脂を効率よく分解除去することに優れた洗浄組成物に関して鋭意研究した。その結果、脂肪分解酵素に、天然成分であるニーム抽出物および/またはレモングラス抽出物を配合することで、脂肪分解酵素の活性化を促進し、さっぱりと皮脂を分解除去し毛穴の黒ずみを改善できると共に、酵素使用量を低減化でき、酵素に由来する使用時の肌への刺激の低減化が行なえた。本発明はこのような知見に基づきなされたものである。
すなわち、本発明の洗浄組成物は、脂肪分解酵素と、ニーム抽出物およびレモングラス抽出物から選ばれた少なくとも1つの抽出物とを含むことを特徴とする。特に上記脂肪分解酵素がリパーゼであることを特徴とする。
また、本発明の洗浄組成物は、上記成分に更に蛋白質分解酵素を含有することを特徴とする。特に上記蛋白質分解酵素がプロテアーゼであることを特徴とする。
本発明の洗浄組成物は、洗浄組成物の保存形態が粉末状または顆粒状であるか、または、ポーションタイプであることを特徴とする。
また、本発明の洗浄組成物は洗顔用であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
脂肪分解酵素に、天然成分であるニーム抽出物および/またはレモングラス抽出物を配合するので、脂肪分解酵素の活性度が向上する。その結果、洗顔用として、顔の肌表面の過剰量の脂肪、汚れ、つまり、毛穴の汚れを除去し、古くなった角質を効果的に除去し、かつ、肌の新陳代謝を回復・促進し、肌にはりと艶とを付与し、くすみのない透明感のある美白肌とすることができる。また本発明の洗浄組成物は、肌への刺激も実質的にない理想的な洗浄組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の洗浄組成物で使用できる脂肪分解酵素は、肌表面の過剰量の脂質を除去し、毛穴の汚れを効果的に除去する目的で配合される。この目的を満足し、かつ、化粧品に配合可能なものであれば用いることができる。具体的には、化粧品に配合可能な形態にある、例えば、リゾプス属に属する微生物および酵母由来のリパーゼを例示できる。
脂肪分解酵素の配合量は、本発明の洗浄組成物の形態および使用形態により変動するが、固形分換算洗浄組成物グラム当たり、通常、0.01単位以上、好ましくは、0.1〜100,000単位、より好ましくは、1〜10,000単位、更により好ましくは、10〜1,000単位配合するのが望ましい。ここで「単位」は「酵素単位」を表し、温度30℃で、最も化学反応が進む酸性度で毎分1マイクロモル(μmol)の基質を変化させることができる酵素量(1μmol/分)を表す。
【0007】
本発明に使用できるニーム抽出物は、センダン科の植物であるニーム(Melia azadirachta L.(=Azadirachta indica Juss.))の抽出物である。ニームは別名、インドセンダン、またはマルゴーサと称される。センダン科の植物である Azadirachta excelsa 等を併用することもできる。
ニームの葉、花、花穂、果皮、莢実、枝葉、樹皮、根茎、根皮、根、種子、地上部または全草を抽出原料として用いることができる。これらの中で特に枝葉を含む葉が好ましい。ニームの葉は採取後、乾燥、裁断等の前処理を施した後抽出することが好ましい。
【0008】
ニーム抽出物を得るための抽出溶媒としては、供する製品の使用目的、種類、あるいは後に行なう加工処理等を考慮した上で選択することができる。通常では、水、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、tert-ブタノールなどのアルコール類、ヘキサン、ペンタン、ジエチルエーテル、クロロホルム、ジクロロメタン、アセトン、アセトニトリル、酢酸エチルの中から選ばれる1種もしくは2種以上の混液を用いることができる。好適には水を用いるのが望ましい。
抽出方法については、その溶媒の温度や原料に対する溶媒の重量比率、または抽出時間についても、種々の原料および使用する溶媒に対しそれぞれを任意に設定することができる。また、原料に対する溶媒の重量比率も、例えば乾燥原料:溶媒比率が、1:1〜1:500の範囲内で任意に設定することができ、特に1:5〜1:50の重量比率が好ましい。
【0009】
本発明に使用できる「レモングラス(別名:香茅、レモンソウ、レモンガヤ)」とは、イネ科(Gramineae)、オガルカヤ属(Cymbopogon)の植物:レモングラス「Cymbopogon citratus (A.DC.)STAPF(=Andropogon citratus A.DC.=A.schoenanthus LINN.=A.roxburghii NEES=A.ceriferus HACK.=A.nardus LINN.=Schoenanthumamboinicum RUMPH.)」の花、花穂、果皮、果実、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根茎、根皮、根、種子または全草を用いるが、その他、同属種の( C.conferflorus STAPF) 、( C .giganteus) 、コウスイガヤ( 別名: シトロネラソウ) ( C . nardus ) 、( C . pendulus NEES EX STEUD . W . WATSON ) 、オガルカヤ( C .tortilis = Andropogon. C amus ) 、ジャワシトロネラソウ( C . winterianus) 等を用いることができる。
上記の植物体の各種部位(花、花穂、果穂、果皮、果実、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根、根茎、根皮、種子または全草)をそのままあるいは粉砕後、溶媒で抽出したものである。
【0010】
レモングラス抽出物の抽出溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール、ペンタンジオール等の低級アルコールあるいは含水低級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等の多価アルコールあるいは含水多価アルコール、アセトン、酢酸エチル等の各種有機溶媒の中から選ばれる1種若しくは2種以上の混液を用いるのが望ましい。ただし、使用目的により有機溶媒の含有が好ましくない場合においては、水のみを使用したり、あるいは抽出後に除去しやすいエタノールを採用し、単独または水との任意の混液で用いたり、また搾取抽出したりしたものでもよい。更に各々の溶媒抽出物が組み合わされた状態でも使用できる。なお、抽出方法は特に制限されるものはないが、通常、常温、常圧下での溶媒の沸点の範囲であればよく、抽出されたそのままの状態で利用できる。
【0011】
本発明の洗浄組成物は、上記植物エキスであるニーム抽出物および/またはレモングラスの抽出物を配合することで、本発明の洗浄組成物に含まれる脂肪分解酵素の活性が向上する。
脂肪分解酵素の活性化を調査した結果を以下に示す。
脂肪分解酵素の活性化確認試験
脂肪分解酵素の植物エキスによるリパーゼ活性の確認試験を行なった。
(1)被験物質
被験物質1:ニーム(Melia azadirachta L.)の葉(乾燥物、刻み)を100gに対して精製水1Lを加え、沸騰水浴上で3時間抽出後、冷却後、東洋ろ紙製No5Cを用いてろ過した。
被験物質2:レモングラス(Cymbopogon citratus)の全草(乾燥物、刻み)を100gに対して精製水1Lを加え、沸騰水浴上で3時間抽出後、冷却後、東洋ろ紙製No5Cを用いてろ過した。
【0012】
(2)試験方法:本試験は、ヒト血中リパーゼ定量試薬(リパーゼキットS:大日本製薬社製)を用いてリパーゼ活性を測定した。試験に用いる検体は被験薬物20%、0.04%リパーゼ(名糖産業株製MY−30)25%、および精製水55%の混合液とし、その検体8μLと発色液76μL、およびエステラーゼ阻害液25%溶液8μLを混合し30±1℃で5分間加温した。その後、基質液8μLを加え遮光し30±1℃で30分間インキュベーションした。インキュベーション終了後、反応停止液152μLを加え反応を停止した後、波長405nmにおける吸光度を測定した。
なお、対照は試料の溶媒とし、反応停止後に基質を加える盲検を設け、検体と盲検の吸光度の差から以下の式によりリパーゼ活性相対値を算出した。

算出方法:相対値=[(被験薬物の検体吸光度−被験薬物の盲検吸光度)/(対照の検体吸光度−対照の盲検吸光度)]×100

【0013】
(3)結果
【表1】

表1の結果から明らかなように、本発明の洗浄組成物に有効成分として配合される脂肪分解酵素は、ニームの葉抽出エキスおよびレモングラス抽出液によって、対照に比してリパーゼ活性の上昇が認められる。
【0014】
本発明の洗浄組成物は、脂肪分解酵素に対してニーム抽出物単独、レモングラス抽出物単独、または、ニーム抽出物およびレモングラス抽出物の混合物を配合することで、脂肪分解酵素の活性が向上する。ニーム抽出物を必須成分とすることが好ましく、更にレモングラス抽出物を配合することでより脂肪分解酵素の活性がより向上する。
ニーム抽出物の配合量は、固形分換算洗浄組成物g当たり、通常、0.0001mg以上、好ましくは、0.001〜100mg、より好ましくは、0.005〜10mg、更により好ましくは、0.01〜5mg配合するのが望ましい。
また、レモングラス抽出物は、固形分換算洗浄組成物グラム当たり、通常、0.0001mg以上、好ましくは、0.001〜100mg、より好ましくは、0.005〜10mg、更により好ましくは、0.01〜5mg配合するのが望ましい。
【0015】
本発明に使用できる蛋白質分解酵素は、主として老化した肌の角質を効果的に除去する目的で配合され、この目的を満足し、かつ、化粧品に配合可能なものであれば用いることができる。具体的には、化粧品に配合可能な形態にある、例えば、枯草菌、放線菌等の微生物由来のプロテアーゼを例示することができる。なお、プロテアーゼとして、パパインを用いることもできる。当該プロテアーゼの配合量は、本発明の洗浄組成物の形態および使用形態により変動するが固形分換算洗浄組成物グラム当たり、通常、0.01単位以上、好ましくは、0.1〜10,000単位、より好ましくは、0.1〜1,000単位、更に好ましくは、0.1〜100単位配合するのが望ましい。
【0016】
本発明の洗浄組成物は、洗顔用に用いられる洗浄組成物、身体用(全身用)に用いられる洗浄組成物、手指用に用いられる洗浄組成物として用いることができる。これらの中で最も皮脂が多い顔面に用いられる、洗顔用洗浄組成物が好ましい。
洗顔用に用いられる洗浄組成物は、保湿成分としてのトレハロース、保湿成分成分としてのラフィノースを主成分として、これに起泡助剤成分としてのヒドロキシプロピルセルロース、消炎成分としてのアラントインが配合され、これらに上記脂肪分解酵素と、ニーム抽出物およびレモングラス抽出物から選ばれた少なくとも1つの抽出物とが配合され、必要に応じて蛋白質分解酵素が配合されることが好ましい。
【0017】
本発明の洗浄組成物は、必要に応じて他の原料、たとえば、界面活性剤(カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩などのアニオン界面活性剤、カルボン酸塩などの両性界面活性剤、多価アルコール脂肪族エステル、多価アルコールアルキルエーテル、ポリオキシエチレンエーテル、エーテルエステル、含窒素誘導体などの非イオン界面活性剤、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのフッ素系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンなどのシリコーン系界面活性剤、ポリペプチド誘導体、糖系界面活性剤などの天然系界面活性剤)、水溶性ポリマーや多価アルコール類、糖類(ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、カゼイン、ぺクチン、デンプン、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、カラギーナン、寒天、ヒドロキシアパタイト、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、酸化プロピレン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール、マルチトール)、粉体、スクラブ剤(ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末)各種薬剤(美白成分、抗炎症剤、老化防止剤、紫外線防御剤、スリミング剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤)等を配合できる。
【0018】
洗浄組成物の形態としては、粉末状または顆粒状等の固体状、ゲル状、ペースト状、泡状、液体状等の形態のもの、更には、綿、布、紙、スポンジ、不織布等の吸湿性素材に本発明の洗浄組成物を付着ないし含浸させた形態のものを例示することができる。好ましい保存形態としては粉末状または顆粒状等の固体状が挙げられる。この保存形態にある洗浄組成物は、適宜の容器に充填または包装し、更に必要に応じて、ポーションタイプの適宜容器に充填または包装し、最終製品とすることができる。
【0019】
このようにして得られる本発明の洗浄組成物の使用方法について説明する。
本発明の洗浄組成物が含有する有効成分の量により変動するが、例えば当該洗浄組成物が粉末状、粒状等の固体状の場合、通常、その0.01g以上、好ましくは、0.1〜100g、より好ましくは、0.2〜10g、より好ましくは、0.3〜3gを、適量の水、ぬるま湯または温湯に溶解する。この際、少量の当該洗浄組成物を少量の水、ぬるま湯または温湯に溶解する場合には、当該洗浄組成物を手のひらで溶解することも可能である。次いで、当該洗浄組成物を溶解含有する水溶液を顔肌に局所的または顔肌全体に優しく均一に塗布し、塗布した状態を約0.5〜5分間、好ましくは、約1〜3分間保ち、次いで、水、ぬるま湯または温湯にて丁寧にすすぐ手順で洗顔する。
【0020】
本発明の洗浄組成物がゲル状、ペースト状、泡状、液体状等の固体状または液体状の場合、通常、その0.1〜5g、好ましくは、0.2〜3g、より好ましくは、0.3〜1gをそのまま、または、適量の水、ぬるま湯または温湯にて溶解ないし懸濁した後、これを手に取って、顔肌に局所的または顔肌全体に優しく均一に塗布し、塗布した状態を約0.5〜5分間、好ましくは、約1〜3分間保ち、次いで、水、ぬるま湯または温湯にて丁寧にすすぐ手順で洗顔する。
なお、当該洗浄組成物を顔肌に塗布した状態を保つ際、蒸しタオル等を軽く顔肌にあてがうことにより、蛋白質分解酵素と脂肪分解酵素の作用を促進することができる。また本発明の洗浄組成物を顔肌に局所的に塗布する場合、毛穴の汚れ、肌のくすみ、シミ、そばかす等の気になる部位に局所的に塗布することも随意である。本発明の洗浄組成物の一日当たりの洗顔回数に特に制限はないが、通常、1〜5回/日、好ましくは、1〜3回/日とするのが効果的である。洗顔後は、使用者の日常の生活習慣に沿って、例えば、ローション、乳液、クリーム、オイル、パック、メークアップ化粧品等を用いて化粧することに何等制限はない。
【実施例】
【0021】
実施例1〜実施例3、および比較例1
表2に示す原料を計量し、26メッシュの篩に3回かけて全体を均質化して粉末状物を得た。この粉末状物を1包当たり0.3gずつ包装容器に充填し、粉末状の洗浄組成物を得た。トレハロースは林原生物化学研究所社製トレハロースを、ラフィノーズは旭化成社製オリゴGGFを、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは信越化学社製HPMCを、マルトース・ショ糖縮合物は日光カミカルズ社製バイオエコリアを、アラントインは川研ファインケミカル社製アラントインを、リパーゼは名糖産業株式会社製、商品名「リパーゼMY−30」(30,000単位/g)を、プロテアーゼは天野エンザイム株式会社製、商品名「パパインW−40」(400,000単位/g)を予め1,000単位/gとなるようにトレハロースで倍散したものを、感光素401号は林原生物化学研究所社製感光素401号を、ニーム葉抽出物およびレモングラス抽出物は上記被験物質1および2と同様な製法で作製した抽出液を凍結乾燥したものをそれぞれ使用した。
【0022】
【表2】

【0023】
上記の各実施例および比較例を以下の実験に付した。
実験1
25歳から55歳の健常な男性20名の頬部の油分を油分計(Courage + Khazaka electronic GmbH製 セブメーター SM815)で測定した。
各実施例または比較例を1包づつを手のひらにとった水またはぬるま湯約2mLに溶解し、この水溶液を顔の肌全体に優しく均質に塗布し、塗布したままの状態を2〜3分間保った後、水またはぬるま湯にて、すすぎ残しがないように丁寧に洗顔してもらった。
洗顔終了後、10分後に油分を上記油分計で測定した。
洗顔後の油分量を、洗顔前の油分量を100として数値化し、平均したものを表3に示す。
【0024】
【表3】

【0025】
実験2
21歳から55歳の健常な女性16名、男性20名を4群にわけ、それぞれ、毎日、各実施例または比較例を1包づつをを手のひらにとった水またはぬるま湯約2mLに溶解し、この水溶液を顔の肌全体に優しく均質に塗布し、塗布したままの状態を2〜3分間保った後、水またはぬるま湯にて、すすぎ残しがないように丁寧に洗顔してもらった。
その他の化粧等は過去のそれぞれの方法どおり実施してもらった。これを2ヶ月実施してもらい、「肌のさっぱり感」「肌のしっとり感」「肌のくすみ」の項目に答えてもらった。回答は使用前と比較して、非常に改善は3点、改善は2点、やや改善は1点、変化なしは0点、(なお、悪化した例はなかった)とし、その合計点を表4に記載した。
【0026】
【表4】

【0027】
以上説明したとおり、脂肪分解酵素、ニームの葉の抽出物を配合した洗浄組成物は顔の肌表面の過剰量の脂肪、汚れ、つまり、毛穴の汚れを除去し、古くなった角質を効果的に除去し、かつ、肌の新陳代謝を回復・促進し、肌にはりと艶とを付与し、くすみのない透明感のある美白肌とすることができる。また、本発明の洗浄組成物は、肌への刺激も実質的にない理想的な洗浄組成物である。
更には蛋白質分解酵素、レモングラスの抽出物を配合することによって上記の有効性がより強くなった。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の洗浄組成物は、肌への刺激も実質的にない理想的な洗浄組成物であるので、特に皮脂の多い顔面に用いる洗顔用として利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪分解酵素と、ニーム抽出物およびレモングラス抽出物から選ばれた少なくとも1つの抽出物とを含むことを特徴とする洗浄組成物。
【請求項2】
前記脂肪分解酵素がリパーゼであることを特徴とする請求項1記載の洗浄組成物。
【請求項3】
更に蛋白質分解酵素を含有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の洗浄組成物。
【請求項4】
前記蛋白質分解酵素がプロテアーゼであることを特徴とする請求項3記載の洗浄組成物。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の洗浄組成物であって、該洗浄組成物の保存形態が粉末状または顆粒状であることを特徴とする洗浄組成物。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項記載の洗浄組成物であって、該洗浄組成物の保存形態がポーションタイプであることを特徴とする洗浄組成物。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項記載の洗浄組成物であって、該洗浄組成物が洗顔用であることを特徴とする洗浄組成物。

【公開番号】特開2009−249288(P2009−249288A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94854(P2008−94854)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(502176236)日本デイリーヘルス株式会社 (1)
【Fターム(参考)】