説明

洗浄装置および洗浄方法

【課題】軽量で飛翔しやすい洗浄媒体である薄片を気流により流動させて洗浄対象物に付着した汚れを分離する技術を用いて、洗浄効率を上げることができ、洗浄対象物を部分的に洗浄することにも用いることができる洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄槽内の負圧を周期的に変動させるようにして、洗浄媒体の洗浄媒体分離手段への吸着力を周期的に変化させ、洗浄媒体の洗浄媒体分離手段への吸着力が弱まるようにして洗浄媒体の移動の自由度が上がるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄対象物に付着した固着物の除去を行なう洗浄装置に関するもので、たとえば、フローはんだ槽工程で用いられるディップパレットもしくはキャリアパレット等のマスク治具に付着したフラックスを除去する洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント基板製造におけるフローはんだ槽によるはんだ付け工程において、はんだ付け処理する領域以外をマスクする治具が多く用いられている。
このようなマスク治具(ディップパレット、キャリアパレットと呼ばれる)は、繰り返し使用されるうちに、表面にフラックスが堆積して固着しマスクの精度を下げるために、定期的に洗浄する必要があった。
【0003】
従来においては一般的には、このような洗浄は溶剤に浸漬して行なうため、大量の溶剤を消費しており、コスト、作業者への負荷が極めて大きかった。
また、特許文献1に記載されているように、装置内で溶剤を洗浄対象物に噴射する装置について開発がなされているが、溶剤を大量に使用するという問題は解決されていない。
【0004】
上記のような洗浄に関して、出願人は薄片状の洗浄媒体を利用した洗浄方法による固着汚れの除去技術を提案している。
【0005】
例えば、特許文献2に記載のように、洗浄槽内に気流をおこし、軽量で飛翔しやすい洗浄媒体である薄片を、洗浄槽内において高速気流により流動させることで、洗浄媒体が洗浄対象物に連続して衝突し、付着した汚れを分離する技術を提案している。
【0006】
この技術においては、特に可撓性を有する薄片状の洗浄媒体を用いた場合には、気流により洗浄媒体が容易に加速され、強い衝突エネルギーが得られる。
【0007】
また、特許文献3に記載のように洗浄媒体加速手段と洗浄媒体分離手段と洗浄媒体漏れ防止手段を備え、洗浄槽を半開放状態にして平面状の洗浄対象物を効率よく洗浄する技術を提案している。
【0008】
マスク治具には多くの開口部があり、この開口部付近に固着汚れが残留しているとマスク治具の密着度が低下して、はんだやフラックスが、マスク冶具の裏側の面である、ハンダ付けされる基盤側の面(以下、基盤側面と称する)に漏れ出るため、開口部付近の固着汚れ除去能力はもっとも重要である。
【0009】
しかしながら特許文献2または特許文献3に記載の技術においては、洗浄槽に向いた面に洗浄媒体が衝突するものであり、基盤側面に漏れ出たフラックスの除去については装置としてはこれに対応するには充分ではなかった。
【0010】
このような問題に対して、一般的に考えられる手法として、まずマスク冶具の表側の面である、はんだやフラックスが大量に付着する面(以下、はんだ付け面、と称する)を洗浄した後、乾式であればサンドブラストガン、湿式であればウォータージェットを用い、局所的に水や粒などの洗浄媒体を吹き付けて、基盤側面に漏れたフラックスを洗浄するという方法が考えられる。
【0011】
なお、このサンドブラストガンやウォータージェットを局所的に用いる場合には、水や粒などの洗浄媒体の飛散が問題になるが、これに対処するものとしてブラストの周囲に、負圧に吸引されたケーシングを配置することで飛散した水や粒などの洗浄媒体を吸引する方法が一般的に用いられている。
【0012】
例えば、特許文献4には負圧のケーシングの内部でウォータージェットを洗浄対象物に拭き付け、洗浄対象物からケーシングを離すとケーシング内部圧力の変動により速やかにウォータージェットの弁が閉じて飛散した水を吸引し、水を外部に漏らさない技術が記載されている。
【0013】
また特許文献5には、砥粒を用いるブラストヘッドが記載されており、ブラストヘッド内の負圧を一定かつ弱めに保つために、空気取り入れ口を設け、圧力差に応じて空気取り入れ口を開閉するようにした技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平5−299821号公報
【特許文献2】特開2007−029945号公報
【特許文献3】特開2009−226394号公報
【特許文献4】特開2004−299042号公報
【特許文献5】特表平11−514938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、このサンドブラストガンやウォータージェットを用いる場合には、その原理上、洗浄後の洗浄媒体や洗浄液の回収、洗浄等の処理工程にコストがかかるという課題がある。
【0016】
これに対して本発明は、上記の軽量で飛翔しやすい洗浄媒体である薄片を気流により流動させて洗浄対象物に付着した汚れを分離する技術を用いて、洗浄効率を上げることができ、洗浄対象物を部分的に洗浄することにも用いることができる洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するための手段である本発明の特徴は次の通りである。
【0018】
本発明の洗浄装置は、薄片状の洗浄媒体を気流により加速して洗浄対象物に衝突させる洗浄装置であり、開口部を備えた洗浄槽と、前記洗浄槽内に設けられ洗浄媒体の通過を阻止する洗浄媒体分離手段と、前記洗浄槽内に気体を流入させる気体流入手段と、前記洗浄槽内の気体を前記洗浄媒体分離手段を介して吸引し前記洗浄槽内を負圧にする吸引手段と、前記開口部方向に向けて洗浄媒体を加速する洗浄媒体加速手段を備える洗浄装置であって、
前記開口部に洗浄対象物が接した状態において、前記洗浄槽内の負圧を周期的に変動させる負圧変動手段を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の洗浄装置は更に、負圧変動手段による負圧の変動が、洗浄媒体の洗浄媒体分離手段への吸着力を弱める変動であることを特徴とする。
【0020】
本発明の洗浄装置は更に、負圧変動手段による負圧の変動が、洗浄媒体加速手段による洗浄媒体の加速を強める変動であることを特徴とする。
【0021】
本発明の洗浄装置は更に、負圧変動手段による負圧の変動が、洗浄媒体の洗浄媒体分離手段への吸着力を弱めるとともに洗浄媒体加速手段の加速を強める変動であることを特徴とする。
【0022】
本発明の洗浄装置は更に、負圧変動手段が開閉弁を備えた気体流入手段であることを特徴とする。
【0023】
本発明の洗浄装置は更に、開閉弁を閉じて洗浄媒体の洗浄媒体分離手段への吸着力を弱めるとともに洗浄槽内の負圧を増大させ、この状態で前期開閉弁を開いて洗浄媒体加速手段により洗浄媒体を加速させるとともに前記洗浄槽内の負圧を減少させるようにしたことを特徴とする。
【0024】
本発明の洗浄装置は、薄片状の洗浄媒体を気流により加速して洗浄対象物に衝突させる洗浄装置であり、開口部を備えた洗浄槽と、前記洗浄槽内に設けられ洗浄媒体の通過を阻止する洗浄媒体分離手段と、前記洗浄槽内に気体を流入させる気体流入手段と、前記洗浄槽内の気体を前記洗浄媒体分離手段を介して吸引する吸引手段と、前記開口部方向に向けて洗浄媒体を加速する洗浄媒体加速手段を備える洗浄装置であって、前記開口部に洗浄対象物が接した状態において、前記洗浄槽内の前記洗浄媒体分離手段方向の気体流の大きさを周期的に変動させる気体流変動手段を備えることを特徴とする。
【0025】
本発明の洗浄装置は更に、気体流変動手段による変動が、気体流入手段により流入される気体流の大きさと吸引手段により吸引される気体流の大きさの差の変動により形成されることを特徴とする。
【0026】
本発明の洗浄装置は更に、気体流変動手段が、開閉弁を備えた気体流入手段であることを特徴とする洗浄装置。
【0027】
本発明の洗浄装置は更に、洗浄媒体加速手段が、開口部方向に向けて前記洗浄槽内に気体を流入させる気体流入手段であることを特徴とする。
【0028】
本発明の洗浄装置は更に、気体流入手段が管状のものであり、一方の端部が洗浄槽の開口部方向を向いており、他方の端部が前記洗浄槽の外部に開放されていることを特徴とする。
【0029】
本発明の洗浄装置は更に、独立して吸引状態の制御が可能な洗浄槽および洗浄媒体分離手段を2つ以上備え、これら複数の洗浄槽の間に気体流入手段を配置したことを特徴とする。
【0030】
本発明の洗浄装置は更に、洗浄媒体分離手段の面に沿った気流を発生させる気流発生手段を有すること特徴とする洗浄装置。
【0031】
本発明の洗浄装置は更に、洗浄媒体分離手段の面に沿った気流が旋回流であることを特徴とする。
【0032】
本発明の洗浄装置は更に、洗浄槽が円筒形状であり、円筒形状の底面に洗浄媒体分離手段が配置されており、前記底面近傍の側面に旋回流発生手段と開口部が設けられ、前記旋回流発生手段が開閉弁を有することを特徴とする。
【0033】
本発明の洗浄装置は更に、洗浄槽が円錐形であり、円錐の底面に洗浄媒体分離手段が配置されており、円錐の底面近傍の側面に旋回流発生手段と開口部が設けられ、前記旋回流発生手段が開閉弁を有することを特徴とする。
【0034】
本発明の洗浄装置は更に、洗浄槽を手に持って開口部を洗浄対象物の洗浄部分に接することができるようにしたことを特徴とする。
【0035】
本発明の洗浄方法は、上記のいずれかの洗浄装置を用いた洗浄方法であって、洗浄槽の開口部を洗浄対象物に押し当て、前記洗浄装置の気体流入手段の開閉弁を周期的に開閉することを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、洗浄媒体である薄片を気流により流動させて洗浄対象物に付着した汚れを分離する技術において、洗浄槽内の負圧を周期的に変動させるようにしたので、洗浄媒体の洗浄媒体分離手段への吸着力が周期的に変化し、周期的に洗浄媒体の洗浄媒体分離手段への吸着力が弱まり洗浄媒体の移動の自由度が上がるので、洗浄効率を上げることができ、また洗浄対象物を部分的に洗浄することにも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1の実施形態の装置の構成を示す水平断面図および垂直断面図
【図2】第1の実施形態の動作を説明する垂直断面図
【図3】第2の実施形態の装置の構成を示す垂直断面図および開口部の端面図
【図4】第2の実施形態の動作を説明する垂直断面図
【図5】第3の実施形態の装置の構成を示す水平断面図および垂直断面図
【図6】第3の実施形態の動作を説明する垂直断面図
【図7】第4の実施形態の装置の構成を示す水平断面図および垂直断面図
【図8】第4の実施形態の動作を説明する水平断面図および垂直断面図
【図9】第4の実施形態の変形例を示す斜視図
【図10】第4の実施形態の変形例を示す水平断面図および垂直断面図
【図11】第4の実施形態の装置の使用例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施形態について説明する。
【0039】
図1および図2は第1の実施形態を示すもので、図1の(A)および(B)はそれぞれ装置の構成を示す水平断面図および垂直断面図である。図2の(A)および(B)は動作を説明する垂直断面図である。
【0040】
図1および図2において、洗浄槽3は逆さ円錐形状をしており、円錐の底部にあたる部分である洗浄槽3の上面には、パンチングメタルで形成された洗浄媒体分離手段4が配置される。
洗浄槽3の上面には洗浄媒体分離手段4を介して吸引ダクト5が設けられている。
吸引ダクト5には吸引口6が形成されており、この吸引口6に吸引機7が接続されている。
洗浄媒体分離手段4と反対側である洗浄槽3の下面に、円形の開口部8が備えられている。
【0041】
2は洗浄媒体であり、面積が1〜100mm2の薄片状のものを用いている。洗浄媒体2の材質はポリカーボネイト、ポリエチレンテレフタラート、アクリル、セルロース樹脂などの耐久性のある素材からなるフィルムであり、厚みは0.05〜0.2mmのものを用いている。
なお、洗浄対象物1によっては洗浄媒体2の厚みやサイズや材質を変えることが効果的な場合もあり、本発明においては上記の洗浄媒体2の条件以外のものを使用することができる。
洗浄媒体分離手段4は洗浄媒体2と付着した粉塵を分離できる開孔部を多数備えた部材であり、
本実施形態ではパンチングメタルを用いているが、金属製の網や成形した網状部材などを用いてもよい。
【0042】
洗浄槽3を逆さ円錐形としたのは、開口部8付近においては洗浄媒体2を洗浄槽3外に漏らさないのに十分な気流を発生させ、かつ、洗浄媒体分離手段4の面積を大きく取りことができるようにして、洗浄媒体2が洗浄媒体分離手段4を覆い隠して目詰まりすることを防ぐためである。洗浄媒体分離手段4は一般的に使用する洗浄媒体2の総面積以上の面積があれば目詰まりしない。
【0043】
開口部8は、洗浄媒体2のサイズの約5倍以上の面積を備え、かつ吸引時に洗浄媒体2を吸い込める流速になるように、吸引機7の吸引流量に応じた面積を備える。
開口部8は図2に示すように、洗浄対象物1の被洗浄面に接するものであり、洗浄対象物1との密着性を高めるために、開口部8周辺にスポンジ・ゴム・ブラシ・フィルムなどの洗浄対象物1形状に倣う柔軟な素材を配置しても良い。
【0044】
逆さ円錐の中心軸上である開口部8の中心軸上には、洗浄媒体分離手段4および吸引ダクト5を貫通して、気体流入手段としての気流導入管9が設けられている。
気流導入管9は、開口部8面から薄片状の洗浄媒体2の幅以上に離された位置に、気流導入管9の一方の端部が配置されている。気流導入管9のもう一方の端部は外気に開放されている。
【0045】
気流導入管9内には開閉用のバタフライ弁10が備えられており、図では省略した制御部からの制御信号によって開閉することができる。本実施形態ではバタフライ弁10を使用したが、ピストン弁やボール弁等の開閉弁を使用しても良い。
【0046】
次に、図2を参照して洗浄装置の動作および洗浄媒体の動きについて説明する。
【0047】
まず、洗浄槽3へ洗浄媒体2を投入する。洗浄媒体2に開口部8を近づけ、吸引機7を稼働させると、洗浄媒体分離手段4の面積に対応する量の洗浄媒体2を吸着するため、容易に適量の洗浄媒体2を投入することができる。
吸引機7を稼働している間は、洗浄媒体2は洗浄媒体分離手段4上に吸着されるため、洗浄槽3外に散乱することはない。
【0048】
つぎに、図2の(A)に示すように、気流導入管9の弁を閉じた状態で洗浄槽3の開口部8を下に向けて洗浄対象物1に押し当てると、洗浄槽3が洗浄対象物1により閉空間となり、この閉空間内が負圧になる。
洗浄槽3内が負圧になり吸引ダクト5との差圧が低下すると、洗浄媒体分離手段4を通過する気流が微量になるため洗浄媒体2の吸着力が低下し、洗浄媒体2は洗浄媒体分離手段4から離れ、重力に従い開口部8方向に落下して移動する。
【0049】
このときに図2の(B)に示すように気流導入管9のバタフライ弁10を開くと、洗浄槽3内と外気との差圧により洗浄槽3外から気流が洗浄槽3内に流れこむ。
【0050】
また、気流の巻き込みにより、気流導入管9周辺にも開口部8方向すなわち洗浄対象物1方向に向かう気流が発生する。
このとき気流導入管9の先または周辺を移動していた洗浄媒体2が生じた気流によって加速されて、洗浄対象物1に衝突し、洗浄対象物1の表面の異物を除去する。
衝突後の洗浄媒体2は、気流導入管9から離れたところで、洗浄媒体分離手段4に向かう気流にのって上昇し、ふたたび洗浄媒体分離手段4に吸着される。
このとき、洗浄媒体2に付着していた粉塵や異物などは、分離されて吸引機7に回収される。浮遊している洗浄媒体2の多数が吸着されたら、ふたたび(A)に示すように、バタフライ弁を閉じて洗浄媒体2を下方向に移動させる。
【0051】
バタフライ弁を短い周期で開閉し、このようなプロセスを繰り返し行なうことによって、洗浄媒体2を繰り返し洗浄対象物1に衝突させ、異物を除去することができる。
【0052】
このようにして洗浄対象物1の洗浄が行なわれるが、このプロセスにおいては、洗浄槽3内の洗浄媒体分離手段4方向の気流の大きさが周期的に変化する。ここで気流の大きさとは、気流の量、気流の速度等を示すもので、これの変化により洗浄媒体分離手段4に対する洗浄媒体2の吸着力が変化するものを示している。
【0053】
洗浄槽3内は、変動はしていても常に負圧であるため、洗浄媒体2や除去した異物を洗浄槽3外に漏らさない。さらに、洗浄対象物1から洗浄槽3開口部8を離した瞬間に、真空破壊に伴い気流が開口部8から流入し、一方気流導入管9からの流入気流は停止するため、洗浄媒体2が吸い込まれて外部に漏れず、全て洗浄媒体分離手段4に吸着される。
【0054】
このような装置動作により、吸引機7とバタフライ弁10の駆動のみで、洗浄媒体2を洗浄対象物1に衝突させることができ、かつ洗浄媒体2が洗浄槽3外に漏れることはない効果がある。圧縮空気を使用しないため、装置を軽量かつ低コストで作成することができる。
【0055】
この第1の実施形態においては、洗浄媒体分離手段方向の気体流の大きさを周期的に変動させることにより、洗浄媒体分離手段上に吸着され滞留した洗浄媒体が、吸着力が弱まることによって再度洗浄槽内を移動できるようになり、吸引力を落とさずに洗浄媒体分離手段の目詰まりを防ぐことができる。
【0056】
また、開閉弁を備えた気流導入管を供えることにより、簡易な構成で洗浄媒体分離手段方向の気体流の大きさを変動させることができる。
また、洗浄槽内が負圧で開閉弁が開いていると、洗浄槽外から流入する気流が開口部に向かうため、受動的な洗浄媒体加速気流が得られる。このような構成においては、開口部から洗浄対象物が離されて真空破壊された瞬間に洗浄媒体加速気流が停止するため、開口部から洗浄媒体が漏れ出ることを防ぐことができる。
【0057】
図3および図4は第2の実施形態を示すもので、図3の(A)および(B)はそれぞれ装置の構成を示す垂直断面図および開口部8の端面図である。図4の(A)および(B)は動作を説明する垂直断面図である。
【0058】
この第2の実施形態においては、洗浄槽の内部が第1の洗浄槽11および第2の洗浄槽12に区分され、これに対応して、第1の洗浄媒体分離手段13および第2の洗浄媒体分離手段14、第1の吸引ダクト15および第2の吸引ダクト16、並びに第1の吸引口17および第2の吸引口18が設けられている。
【0059】
第1の吸引口17および第2の吸引口18には、三方弁19を介して吸引機7が接続されており、吸引機7を稼働させると、第1の洗浄槽11および第2の洗浄槽12のどちらか一方が吸引される。
【0060】
気流導入管9は、第1の洗浄槽11および第2の洗浄槽12の間に、第1の洗浄媒体分離手段13と第2の洗浄媒体分離手段14の間および第1の吸引ダクト15と第2の吸引ダクト16の間を通って設けられている。
なお、図1と同じ符号を付したものは図1のものと同じ構成となっている。
【0061】
次に、図4を参照して洗浄装置の動作および洗浄媒体の動きについて説明する。
第1の実施形態の場合と同様にして開口部8から供給された洗浄媒体2は、図4の(A)に示すように、吸引機7が接続している側の洗浄媒体分離手段である第1の洗浄媒体分離手段13に吸着させる。そして、開口部8を洗浄対象物1に押し当てて閉空間を作ると、気流導入管9から気流が噴出し、噴出した気流は吸引側の第1の洗浄槽11に吸い込まれる。
【0062】
ここで、三方弁19を駆動して吸引機7の接続を、図4の(B)に示すように切り替えて、第2の洗浄槽12を負圧に吸引すると、気流導入管9から噴出する気流の向きが変わり、洗浄媒体2が吸着している側の第1の洗浄槽11は無風状態になる、
このとき、洗浄媒体2は重量により落下し、開口部8方向の、気流導入管9の先端下方近傍の位置に移動する。
気流導入管9は開口部8方向すなわち洗浄対象物1の方向に気流を噴射しており、洗浄媒体2はその気流に加速されて洗浄対象物1に衝突し、そののち吸引機7に接続されている方の第2の洗浄槽12に入り第2の洗浄媒体分離手段14に吸着される。このとき、洗浄媒体2に付着した汚れは分離される。
【0063】
この動作を繰り返すことにより、洗浄媒体2が繰り返し洗浄対象物1に衝突し、異物を除去する。
【0064】
この実施形態においては洗浄槽を2つとしたが、3つ以上に洗浄槽を分割して、各洗浄槽内を交互にまたは順次に負圧にしても、洗浄媒体2の移動に関して同様の作用が得られる。
【0065】
また、三方弁19を駆動して吸引機7の接続を、第1の洗浄槽11側と第2の洗浄槽12側に切り替えてどちらか一方を吸引状態、他方を非吸引状態にしているが、吸引の程度を変えるように制御してもよい。
【0066】
この第2の実施形態においては、洗浄媒体を非吸引状態の洗浄槽から吸引状態の洗浄槽に移動させることができ、洗浄媒体の滞留を低減させることができる。
【0067】
図5および図6は第3の実施形態を示すもので、図5の(A)および(B)はそれぞれ装置の構成を示す水平断面図および垂直断面図である。図6の(A)、(B)および(C)は動作を説明する垂直断面図である。
【0068】
この第3の実施形態においては、実施形態1で示した構成に加えて、洗浄対象物1方向に洗浄媒体2を加速する気流導入管9の他に、洗浄媒体分離手段であるパンチングメタルの面に平行に気流を吹き付ける洗浄媒体飛翔気流導入管21が設けられている。
【0069】
気流導入管9と洗浄媒体飛翔気流導入管21は、円筒状の管が二つに区分されて形成されている。
【0070】
洗浄媒体飛翔気流導入管21の下端は、流入する気体が洗浄媒体分離手段4の下面に沿って移動するように向きが曲げられている。
【0071】
気流導入管9にはバタフライ弁10を有し、洗浄媒体飛翔気流導入管21には飛翔気流導入管用バタフライ弁22を有している。これらの弁は独立して制御される。この実施形態ではバタフライ弁を使用したが、他の弁を使用してすることもできる。
【0072】
洗浄媒体飛翔気流導入管21は回転自在であり、回転によって洗浄媒体分離手段4の全面に気流を吹き付けることができる。
【0073】
また、洗浄媒体分離手段4には、洗浄媒体飛翔用導入管21から出る洗浄媒体分離手段4に沿った気流が開口部8方向に向かうベクトルを持つように角度をつけており、吹き払われた洗浄媒体2が洗浄媒体2を加速する気流導入管9の先端下方近傍の位置にしやすいような構成になっている。
なお、図1と同じ符号を付したものは図1のものと同じ構成となっている。
【0074】
次に、図6を参照して第3の実施形態の洗浄装置の動作および洗浄媒体の動きについて説明する。
【0075】
はじめに、バタフライ弁10と飛翔気流導入管用バタフライ弁22の両方を閉じた状態で、開口部8を洗浄対象物1に押し当て、閉空間を形成する。
【0076】
洗浄槽3内を洗浄媒体分離手段4であるパンチングメタル越しに吸引し、負圧にしてから飛翔気流導入管用バタフライ弁22を開くと、図6の(A)に示すように洗浄媒体分離手段4に対して平行な気流が発生する。この方向の気流は、洗浄媒体分離手段4に張り付いた薄片状の洗浄媒体2に横からあたり、洗浄媒体2と洗浄媒体分離手段4の間に入り込んで洗浄媒体2を飛翔させる効果が高いため、洗浄媒体2を洗浄媒体分離手段4から飛翔させることができる。
【0077】
この動作は、洗浄媒体飛翔気流導入管21を回転させながら行なうと洗浄媒体分離手段4の全面に作用させることができる。
【0078】
さらに、図6の(B)に示すように飛翔気流導入管用バタフライ弁22を閉じて、気流導入管9のバタフライ弁10を開いて加速気流を発生させることによって、洗浄媒体2を開口部8にむけて加速することができる。
【0079】
これにより、洗浄媒体2を洗浄対象物1に衝突させ、洗浄することができる。飛翔気流導入管用バタフライ22弁と気流導入管9のバタフライ弁10は、それぞれに流入される各気流の流速を弱めないために、図6の(A)、(B)に示すように同時には開かないように制御すると、より効果的に洗浄媒体2を洗浄対象物1に衝突させることができる。
【0080】
次に、図6の(C)に示すように、飛翔気流導入管用バタフライ弁22と気流導入管9のバタフライ弁10の両方を閉じる流入気流停止モードを周期的に実行する。
このモードにすると、洗浄槽3内に気流が流入しなくなり、洗浄槽3内の内圧が吸引ダクト5内の内圧に近づくため、洗浄媒体分離手段4の洗浄媒体2を吸着する力が弱まり、図6の(A)に示す次ステップにて飛翔気流導入管用バタフライ弁22を開いたときに洗浄媒体2を飛翔させやすくなる。このような制御を行うことにより、洗浄装置全体の吸引力を低下させることなく、洗浄媒体分離手段4の目詰まりを防ぎ洗浄能力を維持する効果が有る。
【0081】
図6の(A)から(C)に示す動作を繰り返すことにより、洗浄媒体2が繰り返し洗浄対象物1に衝突し、異物を除去する。
【0082】
本実施例では、洗浄媒体2の加速のための気流導入管9と洗浄媒体飛翔のための飛翔気流導入管21により導入される気流として、洗浄槽3内の負圧により生まれる受動的な気流を用いたが、これらのいずれかあるいは両方をコンプレッサーに接続し、圧縮空気を使用してもよい。
圧縮空気を用いると、受動的な気流よりも洗浄媒体2に与えるエネルギーが大きくすることができる。
また、洗浄媒体分離手段4から吸引される流量によらずに、一定の大きさの気流を生ずることができる。ただし、洗浄媒体2を洗浄槽3から漏れないように稼働させるためには、圧縮空気の消費量は吸引される流量未満に制御し、かつ洗浄槽3が洗浄対象物1から離された時に速やかに圧縮空気の供給を停止する等の制御を行なう。
なお、このコンプレッサーを用いることは、この実施形態に限らず他の実施形態においても同様に実施することができる。
【0083】
この第3の実施形態においては、洗浄媒体分離手段の面に平行な気流は薄片状の洗浄媒体を飛翔させやすい気流であり、このような気流を発生させることにより洗浄媒体が洗浄媒体分離手段上に静電気などの要因で付着、滞留しても、これを吹き払って飛翔させるため、洗浄効率を向上させることができる。
【0084】
図7から図10は第4の実施形態を示すもので、図7の(A)および(B)はそれぞれ装置の構成を示す水平断面図および垂直断面図である。
【0085】
図8の(A1)および(A2)、(B1)および(B2)はそれぞれ動作を説明する水平断面図および垂直断面図である。
【0086】
図9は本実施形態の変形例を示す斜視図であり、図10の(A)および(B)は同様に変形例を示す水平断面図および垂直断面図である。
【0087】
図11は本実施形態の装置の使用例を示す斜視図である。
【0088】
この第4の実施形態においては、図1の洗浄槽3とは上下方向が逆の円錐形状の洗浄槽23を用い、円錐の底面にパンチングメタルで形成された洗浄媒体分離手段24が配置される。
洗浄媒体分離手段24を円錐の底面に配置するのは、面積が広く、かつ旋回流による遠心力の影響を受けにくいためである。洗浄槽3の下面には洗浄媒体分離手段24を介して吸引ダクト5が設けられており、吸引ダクト5に吸引機7が接続されている。
【0089】
洗浄槽23の底面に接する側面には、円周方向に沿った気流により旋回流を発生して洗浄媒体2を加速させるための旋回流発生手段である旋回流発生気流導入管25が、円周に接する方向に向けられても受けられている。
旋回流発生気流導入管25にはピストン弁26が接続されており、短周期で旋回流発生気流導入管25を開閉する制御をすることができる。
【0090】
なお、旋回流発生気流導入管25は洗浄槽23の形状やサイズに応じて2つ以上配置してもよい。
また、この実施形態では管状の導入管を用いたが、旋回流を発生させる方向に気流を制御できるのであれば、たとえば開口と流れ制御板を用いてもよい。
【0091】
また、洗浄槽23の底面に接する側面には、洗浄対象物1を接触させるための開口部27を備えている。開口部27は、旋回流発生気流導入管25による気流が直接当たる位置に配置する。
開口部27の周囲には、図1について説明したものと同様に、洗浄対象物1との密着性を高めるために柔軟な部材を配置するとより効果的である。
洗浄対象物1から開口部27を離した瞬間には、真空破壊に伴い気流が開口部27から流入するが、開口部27の面積は、この真空破壊された時に気流を吸い込むために、旋回流発生気流導入管25の総面積以上とする。
【0092】
洗浄槽23の中心部分には、円筒形もしくは楕円筒形の滑らかな形状の円筒部材28を配置して、旋回流が形成しやすくするとともに、旋回流の流路面積を絞って流速を向上させている。
【0093】
なお、開口部27は、この実施形態においては旋回流発生気流導入管25による気流が直接当たる位置に配置しているが、旋回流により加速された洗浄媒体2の速度が洗浄に必要な速度を有している位置であれば、気流が直接当たる位置以外にも配置することができる。
なお、各図において、図1と同じ符号を付したものは図1のものと同じ構成となっている。
【0094】
次に、図8を参照して洗浄装置の動作および洗浄媒体2の動きについて説明する。
【0095】
まず、ピストン弁26を閉じた状態で吸引機7を駆動させ、洗浄媒体2を開口部27から3内へ吸い込む。これにより、洗浄媒体分離手段24の面積に応じた適量の洗浄媒体2を洗浄槽23内に供給できる。
【0096】
次に、洗浄槽23の開口部27を洗浄対象物1に押し当てて、閉空間を形成する。洗浄槽23の閉空間が負圧になったら、旋回流発生気流導入管25に接続されたピストン弁26を解放する。すると、図8の(A1)および(A2)に示すように洗浄槽23内に気流が流入し、洗浄媒体2を開口部27の方向に加速するとともに、円錐形の洗浄槽23の内壁に沿って回転する旋回流が発生する。
【0097】
このとき、旋回流は円錐形状の底面に配置された洗浄媒体分離手段24に対して平行方向の気流となるため、洗浄媒体分離手段24上に張り付いた薄片状の洗浄媒体2に横からあたり、洗浄媒体2と洗浄媒体分離手段24の間に気流が入り込んで、洗浄媒体分離手段24上に吸着された洗浄媒体2を洗浄媒体分離手段24から分離して飛翔させる。これにより、気流により加速された洗浄媒体2が洗浄対象物1に衝突し洗浄が行なわれる。
【0098】
そのまま旋回流の発生が継続すると、洗浄媒体2が徐々に洗浄媒体分離手段24上に吸着されはじめ、洗浄媒体分離手段24の目詰まりが発生する。
洗浄媒体分離手段24が目詰まりすると、洗浄媒体2の飛翔量が低下することになるが、そこで、旋回流発生気流導入管25のピストン弁26を閉じて、流入気流停止モードに切り替える。
【0099】
このモードにおいては、図8の(B1)および(B2)に示すように、ピストン弁26の制御により、流入気流は停止するかまたは極めて少なくなって、洗浄槽23内の内圧が一時的に吸引ダクト5の内圧に近づくため、洗浄媒体2に対する洗浄媒体分離手段24の吸着力が弱まり、再度旋回流が発生した際に飛翔しやすくなる。
【0100】
旋回流発生気流導入管25のピストン弁26を周期的に閉じて、流入気流停止モードへの切り替えを周期的に行なうことにより、洗浄媒体2が繰り返し洗浄対象物1に衝突し、洗浄が継続される。
ピストン弁26の開閉周期は、洗浄媒体2の柔軟性やサイズによって滞留し易さが異なるため、洗浄媒体2に合わせて調整するが、一般的には0.1〜1秒の周期で制御する。
【0101】
なお、この実施形態ではピストン弁26を用いたが、空気の流入を封止でき、応答速度が速い弁で他のものを使用してもよい。
【0102】
たとえば、図9に示すように、遮蔽版29をモータ30で回転させる方式の弁を用いれば、より短周期で開口部27の開閉が出来るうえに、遮蔽版29の中心角を調整することによって開閉のデューティー比を容易に設定できる。
【0103】
旋回流を用いた場合には、洗浄槽23内に流入する気流が停止しまたは弱まっても慣性で洗浄媒体2が動きつづけるため滞留しにくく、気流がふたたび流入し旋回流が発生するときに再加速され高速で動かされやすい。また、高速で移動する洗浄媒体2は、洗浄媒体分離手段24に吸着されにくく、また遠心力によって付着した粉塵と洗浄媒体2が分離される効果が有る。このとき分離された粉塵は、洗浄媒体分離手段24から吸い出されて排出される。
【0104】
この実施形態では、洗浄槽23として円錐形のものを用いたが、強い旋回流が発生する形状であれば他の形状のものを用いても良い。たとえば図10に示す円筒形状の洗浄槽31を用いてもよい。筒形状の洗浄槽31においても同様に、洗浄媒体分離手段24は旋回流による遠心力が作用しない面に配置する。
【0105】
また、第4の実施形態では、旋回流発生気流導入管25が開口部27方向を向いているため、洗浄媒体加速手段としても機能しているが、これとは別にまたはこれと併せて、たとえば洗浄槽23の中央に配置された円筒部材28上に洗浄媒体加速手段としての気流導入管9を設けることができる。これにより、気流導入状態の設定、洗浄媒体2の加速状態等を、詳細に設定することができ、洗浄能力を向上させることができる。
図11はこの第4の実施形態の装置を使用する例を示すものである。この例においては弁として図9に示すように遮蔽版29をモータ30で回転させる方式の弁を用いている。
図11において、32はディップパレット、33はディップパレットの開口部、34はフラックスであり、作業者は洗浄槽23を手に持ち、開口部33の周りに漏出して付着しているフラックス34に対して、洗浄槽23の開口部27を押し当てて、遮蔽版29を回転させることにより、洗浄槽23の開口部27に当たる部分のフラックス34が除去される。そしてこの状態で洗浄槽23をゆっくりと平行移動させて、付着しているフラックス34の他の部分を除去する。
【0106】
この第4の実施形態においては、旋回流を用いることにより、洗浄媒体分離手段上に吸着された洗浄媒体に対して、より強い吹き払い効果を得ることができる。
【0107】
また、簡易な構成で旋回流を発生させることができるとともに、遠心力により円錐の底面に近い部分に洗浄媒体が集中することによって、洗浄媒体をより高密度で洗浄対象物に当てて洗浄を行なうことができ洗浄効率を向上させることができる。
【0108】
また、気流導入管の開閉弁を短周期で開閉することにより、洗浄媒体分離手段方向の気体流の大きさを短周期で変動させることによって、洗浄媒体分離手段の洗浄媒体を吸着する力が周期的に弱まるため、一度吸着されて滞留していた洗浄媒体を再飛翔させ、乾式洗浄に利用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 洗浄対象物
2 洗浄媒体
3 洗浄槽
4 洗浄媒体分離手段
5 吸引ダクト
6 吸引口
7 吸引機
8 開口部
9 気流導入管
10 バタフライ弁
11 第1の洗浄槽
12 第2の洗浄槽
13 第1の洗浄媒体分離手段
14 第2の洗浄媒体分離手段
15 第1の吸引ダクト
16 第2の吸引ダクト
17 第1の吸引口
18 第2の吸引口
19 三方弁
21 洗浄媒体飛翔気流導入管
22 飛翔気流導入管用バタフライ弁
23 洗浄槽
24 洗浄媒体分離手段
25 旋回流発生気流導入管
26 ピストン弁
27 開口部
28 円筒部材
29 遮蔽版
30 モータ
31 洗浄槽
32 ディップパレット
33 開口部
34 フラックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄片状の洗浄媒体を気流により加速して洗浄対象物に衝突させる洗浄装置であり、開口部を備えた洗浄槽と、前記洗浄槽内に設けられ洗浄媒体の通過を阻止する洗浄媒体分離手段と、前記洗浄槽内に気体を流入させる気体流入手段と、前記洗浄槽内の気体を前記洗浄媒体分離手段を介して吸引し前記洗浄槽内を負圧にする吸引手段と、前記開口部方向に向けて洗浄媒体を加速する洗浄媒体加速手段を備える洗浄装置であって、
前記開口部に洗浄対象物が接した状態において、前記洗浄槽内の負圧を周期的に変動させる負圧変動手段を備えることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄装置において、負圧変動手段による負圧の変動が、洗浄媒体の洗浄媒体分離手段への吸着力を弱める変動であることを特徴とする洗浄装置。
【請求項3】
請求項1に記載の洗浄装置において、負圧変動手段による負圧の変動が、洗浄媒体加速手段による洗浄媒体の加速を強める変動であることを特徴とする洗浄装置。
【請求項4】
請求項1に記載の洗浄装置において、負圧変動手段による負圧の変動が、洗浄媒体の洗浄媒体分離手段への吸着力を弱めるとともに洗浄媒体加速手段の加速を強める変動であることを特徴とする洗浄装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の洗浄装置において、負圧変動手段が開閉弁を備えた気体流入手段であることを特徴とする洗浄装置。
【請求項6】
請求項5に記載の洗浄装置において、開閉弁を閉じて洗浄媒体の洗浄媒体分離手段への吸着力を弱めるとともに洗浄槽内の負圧を増大させ、この状態で前期開閉弁を開いて洗浄媒体加速手段により洗浄媒体を加速させるとともに前記洗浄槽内の負圧を減少させるようにしたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項7】
薄片状の洗浄媒体を気流により加速して洗浄対象物に衝突させる洗浄装置であり、開口部を備えた洗浄槽と、前記洗浄槽内に設けられ洗浄媒体の通過を阻止する洗浄媒体分離手段と、前記洗浄槽内に気体を流入させる気体流入手段と、前記洗浄槽内の気体を前記洗浄媒体分離手段を介して吸引する吸引手段と、前記開口部方向に向けて洗浄媒体を加速する洗浄媒体加速手段を備える洗浄装置であって、
前記開口部に洗浄対象物が接した状態において、前記洗浄槽内の前記洗浄媒体分離手段方向の気体流の大きさを周期的に変動させる気体流変動手段を備えることを特徴とする洗浄装置。
【請求項8】
請求項7に記載の洗浄装置において、気体流変動手段による変動が、気体流入手段により流入される気体流の大きさと吸引手段により吸引される気体流の大きさの差の変動により形成されることを特徴とする洗浄装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の洗浄装置において、気体流変動手段が、開閉弁を備えた気体流入手段であることを特徴とする洗浄装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の洗浄装置において、洗浄媒体加速手段が、開口部方向に向けて前記洗浄槽内に気体を流入させる気体流入手段であることを特徴とする洗浄装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の洗浄装置において、気体流入手段が管状のものであり、一方の端部が洗浄槽の開口部方向を向いており、他方の端部が前記洗浄槽の外部に開放されていることを特徴とする洗浄装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の洗浄装置において、独立して吸引状態の制御が可能な洗浄槽および洗浄媒体分離手段を2つ以上備え、これら複数の洗浄槽の間に気体流入手段を配置したことを特徴とする洗浄装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の洗浄装置において、洗浄媒体分離手段の面に沿った気流を発生させる気流発生手段を有すること特徴とする洗浄装置。
【請求項14】
請求項13に記載の洗浄装置において、洗浄媒体分離手段の面に沿った気流が旋回流であることを特徴とする洗浄装置。
【請求項15】
請求項1から11のいずれかまたは13および14のいずれかに記載の洗浄装置において、洗浄槽が円筒形状であり、円筒形状の底面に洗浄媒体分離手段が配置されており、前記底面近傍の側面に旋回流発生手段と開口部が設けられ、前記旋回流発生手段が開閉弁を有することを特徴とする洗浄装置。
【請求項16】
請求項1から11のいずれかまたは13から15のいずれかに記載の洗浄装置において、
洗浄槽が円錐形であり、円錐の底面に洗浄媒体分離手段が配置されており、円錐の底面近傍の側面に旋回流発生手段と開口部が設けられ、前記旋回流発生手段が開閉弁を有することを特徴とする洗浄装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載の洗浄装置において、洗浄槽を手に持って開口部を洗浄対象物の洗浄部分に接することができるようにしたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれかに記載の洗浄装置を用いた洗浄方法であって、洗浄槽の開口部を洗浄対象物に押し当て、前記洗浄装置の気体流入手段の開閉弁を周期的に開閉することを特徴とする洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−35193(P2012−35193A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177440(P2010−177440)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】