説明

洗浄装置

【課題】今回の手指の洗浄と次回の手指の洗浄との間の待ち時間を低減させて洗浄機会の増大化を図ることができる洗浄装置を提供すること。
【解決手段】一対の電極111が配設された電解槽11に原水を供給し、一対の電極111を通電状態にすることにより原水を電気分解して洗浄水を生成する生成手段と、生成手段で生成した洗浄水を噴霧させる噴霧手段とを備えた洗浄装置において、生成手段は、電解槽11の他に一対の電極112が配設された他の電解槽12を備えてなり、該一対の電極112を通電状態にすることにより供給された原水を電気分解して洗浄水を生成して該他の電解槽12に貯留させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置に関し、より詳細には、医療分野における看護や医療的な処理をする前後の手指の洗浄や、食品を加工する前後の手指の洗浄、あるいは日常的に行われる手指の洗浄等に用いられる洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、手指の洗浄に使用されるアルコール系消毒剤や、塩化ベンザルコニウム等の逆性石鹸は、優れた殺菌作用を示すものの、まれに皮膚炎等の副作用があることが知られている。
【0003】
一方、水道水等の塩化物イオンを含有する原水を電気分解することにより得られる水は、殺菌作用を有する次亜塩素酸を含有するため、一定の殺菌効果が得られることが知られており、しかも上記逆性石鹸よりも刺激が少なく、手指を洗浄するための洗浄水として注目されている。
【0004】
そこで、一対の電極が配設された電解槽に原水を供給して一対の電極を通電状態にすることにより該原水を電気分解して洗浄水を生成し、コンプレッサから電解槽に圧縮空気を供給することにより洗浄水をノズルから噴霧させるようにした洗浄装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−303148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した洗浄装置では、電解槽は、一回分の手指の洗浄に必要な洗浄水が生成できる程度の容量しかなく、そのため手指の洗浄を一回行うと、電解槽に洗浄水が生成するまで次回の手指の洗浄を行うことができなかった。つまり、上述した洗浄装置では、今回の手指の洗浄と次回の手指の洗浄との間に洗浄水を生成するための待ち時間が必ず存在することになり、これにより洗浄機会を増やすことが困難であった。
【0007】
また、上述した洗浄装置では、コンプレッサから圧縮空気が供給されることにより洗浄水をノズルから噴霧させているが、かかる噴霧後に電解槽からノズルに至る経路に洗浄水が残留してしまう虞れがあり、衛生上好ましいものではなかった。
【0008】
更に、上述した洗浄装置では、ノズルからの洗浄水の噴霧は約1分間程度行われていたが、利用者にとってはかかる時間が長く感じられ、心理的な負担を与える虞れがあった。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて、今回の手指の洗浄と次回の手指の洗浄との間の待ち時間を低減させて洗浄機会の増大化を図ることができる洗浄装置を提供することを第1の目的とする。
【0010】
本発明は、上記実情に鑑みて、電解槽からノズルに至る経路に洗浄水が残留してしまうことを抑制して、衛生面での向上を図ることができる洗浄装置を提供することを第2の目的とする。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みて、利用者の心理的負担を軽減させることができる洗浄装置の提供を第3の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る洗浄装置は、一対の電極が配設された電解槽に原水を供給し、前記一対の電極を通電状態にすることにより前記原水を電気分解して洗浄水を生成する生成手段と、前記生成手段で生成した洗浄水を噴霧させる噴霧手段とを備えた洗浄装置において、前記生成手段は、前記電解槽の他に一対の電極が配設された他の電解槽を備えてなり、該一対の電極を通電状態にすることにより供給された原水を電気分解して洗浄水を生成して該他の電解槽に貯留させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項2に係る洗浄装置は、一対の電極が配設された電解槽に原水を供給し、前記一対の電極を通電状態にすることにより前記原水を電気分解して洗浄水を生成する生成手段と、前記電解槽に圧縮空気を供給するコンプレッサを有し、該コンプレッサから圧縮空気を供給することにより該電解槽に生成された洗浄水をノズルから噴霧させる噴霧手段とを備えた洗浄装置において、前記噴霧手段は、前記電解槽に生成された洗浄水を噴霧させた後も前記コンプレッサを予め決められた時間だけ駆動させてノズルから圧縮空気を噴出させることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項3に係る洗浄装置は、一対の電極が配設された電解槽に原水を供給し、前記一対の電極を通電状態にすることにより前記原水を電気分解して洗浄水を生成する生成手段と、前記生成手段で生成した洗浄水を噴霧させる噴霧手段とを備えた洗浄装置において、前記噴霧手段は、噴出流量を変化させながら前記洗浄水を噴霧させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の洗浄装置によれば、生成手段が電解槽の他に一対の電極が配設された他の電解槽を備えてなり、該一対の電極を通電状態にすることにより供給された原水を電気分解して洗浄水を生成して該他の電解槽に貯留させるので、次回の手指の洗浄時には、他方の電解槽に貯留させた洗浄水を用いれば良く、これにより、今回の手指の洗浄と次回の手指の洗浄との間の待ち時間を低減させて洗浄機会の増大化を図ることができるという効果を奏する。
【0016】
本発明の洗浄装置によれば、噴霧手段が、電解槽に生成された洗浄水を噴霧させた後もコンプレッサを予め決められた時間だけ駆動させてノズルから圧縮空気を噴出させるので、電解槽からノズルに至る経路に残留する洗浄水を噴出させることができ、これにより電解槽からノズルに至る経路に洗浄水が残留してしまうことを抑制して、衛生面での向上を図ることができるという効果を奏する。
【0017】
本発明の洗浄装置によれば、噴霧手段が噴出流量を変化させながら洗浄水を噴霧させるので、利用者にとっては約1分間の洗浄水による洗浄が短く感じられ、利用者の心理的負担を軽減させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の実施の形態である洗浄装置を概念的に示す装置概念図である。
【図2】図2は、図1に示した表示装置で表示される表示例を示す説明図である。
【図3】図3は、図1に示した制御ユニットが実施する洗浄水生成処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図4】図4は、図1に示した制御ユニットが実施する洗浄水噴霧処理の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る洗浄装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態である洗浄装置を概念的に示す装置概念図である。ここで例示する洗浄装置は、水道水を原水として用いるもので、複数(図示の例では2つ)の電解槽11,12、進入検知センサS1及び表示装置20を備えて構成してある。
【0021】
電解槽11,12は、原水である水道水を導入するためのもので、内部容量は、一回の手指の洗浄に必要な洗浄水を生成できるのに十分な大きさとなっている。このような電解槽11,12のそれぞれには、原水供給管路21,22が接続してある。これら原水供給管路21,22は、水道水取出口(図示せず)に連通する原水取出管路23から分岐しており、それぞれの途中には、原水供給電磁弁24(第1原水供給電磁弁241及び第2原水供給電磁弁242)が配設してある。原水供給電磁弁24は、制御ユニット60からの動作指令に応じて開閉するもので、開成した場合には、自身が配設された原水供給管路21,22を水道水が通過することを許容する一方、閉成した場合には、自身が配設された原水供給管路21,22を水道水が通過することを規制するものである。
【0022】
これら電解槽11,12の内部には、それぞれ一対の電極(陽極及び陰極)111,121が配設してある。一対の電極111,121は、直流電源ユニット112,122に電気的に接続してある。この直流電源ユニット112,122は、制御ユニット60から動作指令が与えられた場合には対応する一対の電極111,121を通電状態にする一方、動作指令が与えられない場合には対応する一対の電極111,121を非通電状態にするものである。
【0023】
このような電解槽11,12においては、その内部に原水供給管路21,22を通じて供給された水道水が供給され、直流電源ユニット112,122により一対の電極111,121を通電状態にすることにより、水道水を電気分解して次亜塩素酸を含有する洗浄水を生成することになる。
【0024】
より詳細に説明すると、一対の電極111,121を通電状態にすると、陽極及び陰極において下記の反応が進行する。
(陽極)2Cl→Cl+2e
Cl+HO→HOCl+H++Cl
(陰極)2HO+2e→H↑+2OH
【0025】
上記反応式に示されるように、陽極において、水道水中に元々含有されている塩化物イオンと水とが反応して、次亜塩素酸(HOCl)が得られ、これにより電解槽11,12の内部に次亜塩素酸を含有する洗浄水が生成することになる。尚、本実施の形態では、電解槽11,12の内部において陽極と陰極とを隔てる隔膜を設けない無隔膜電気分解を行っている。
【0026】
また、上記電解槽11,12のそれぞれの内部には、内部検知センサ113,123が配設してある。内部検知センサ113,123は、自身が配設された電解槽11,12の内部が空であるか否かを検知するものであり、より詳細には、電解槽11,12の内部に水道水、あるいは洗浄水が存在するか否かを検知するものである。この内部検知センサ113,123は、自身が配設された電解槽11,12の内部が空であることを検知すると、その旨を検知信号として制御ユニット60に与えるものである。
【0027】
上記電解槽11,12のそれぞれには、圧縮空気供給管路31,32及び洗浄水供給管路41,42が接続してある。これら圧縮空気供給管路31,32は、コンプレッサCに接続されたコンプレッサ接続管路33から分岐しており、それぞれの途中には、圧縮空気供給電磁弁34(第1圧縮空気供給電磁弁341及び第2圧縮空気供給電磁弁342)が配設してある。ここでコンプレッサCは、制御ユニット60からの動作指令に応じて駆動するもので、駆動すると圧縮空気を吐出するものである。圧縮空気供給電磁弁34は、制御ユニット60からの動作指令に応じて開閉するもので、開成した場合には、自身が配設された圧縮空気供給管路31,32をコンプレッサCから吐出された圧縮空気が通過することを許容する一方、閉成した場合には、自身が配設された圧縮空気供給管路31,32をコンプレッサCから吐出された圧縮空気が通過することを規制するものである。
【0028】
洗浄水供給管路41,42は、洗浄スペース50に位置するノズル43に自身の先端が接続された洗浄水噴出管路44に合流しており、それぞれの途中には洗浄水供給電磁弁45(第1洗浄水供給電磁弁451及び第2洗浄水供給電磁弁452)が配設してある。洗浄水供給電磁弁45は、制御ユニット60からの動作指令に応じて開閉するもので、開成した場合には、自身が配設された洗浄水供給管路41,42を電解槽11,12で生成された洗浄水が通過することを許容する一方、閉成した場合には、自身が配設された洗浄水供給管路41,42を電解槽11,12で生成された洗浄水が通過することを規制するものである。
【0029】
また、洗浄水噴出管路44においては、ノズル43の近傍に噴出量調整弁46が配設してある。噴出量調整弁46は、制御ユニット60からの開度指令に応じて自在に開度を調整することができ、ノズル43から噴出される洗浄水の噴出流量を変化させるためのものである。ここでノズル43から噴出されて噴霧された洗浄水は、排水パン47を通じて排出されるようになっている。
【0030】
進入検知センサS1は、洗浄スペース50に物体が進入したか否かを検知するものであり、より詳細には、洗浄スペース50に利用者の手が進入したか否かを検知するものである。この進入検知センサS1は、洗浄スペース50に利用者の手が進入したことを検知すると、その旨を検知信号として制御ユニット60に与えるものである。
【0031】
表示装置20は、利用者が洗浄スペース50に手を進入させた状態で容易に視認することが可能な個所に配設してある。この表示装置20は、制御ユニット60からの動作指令に応じて種々の情報を表示するものである。具体的には、手指の洗浄方法を表示するものである。手指の洗浄方法とは、例えば図2に示す画像(1)から画像(6)までの洗浄手順であり、これらの画像を時間の経過とともに逐次的に表示する。尚、図2の画像は、一般的に推奨されている手洗い手順の一例を示すものであり、約1分間の噴霧時間の間で画像(1)から画像(6)までを順次表示するものである。
【0032】
また、この表示装置20にはスピーカ(図示せず)が内蔵されており、図2に示す画像(1)から画像(6)までの各画像毎に予め関連付けられた音声(音楽等)を出力できるようになっている。
【0033】
制御ユニット60は、図示せぬメモリ等に記憶されたプログラムやデータに従って各種電磁弁や直流電源ユニット112,122等の動作を制御するものであり、本実施の形態の特徴的なものとして、洗浄水生成制御部61、洗浄水噴霧制御部62及び噴出流量制御部63を備えている。
【0034】
洗浄水生成制御部61は、電解槽11,12で洗浄水を生成するための動作を制御するもので、洗浄水生成処理を実施するものである。洗浄水噴霧制御部62は、電解槽11,12で生成した洗浄水を噴霧させるための動作を制御するもので、洗浄水噴霧処理を実施するものである。噴出流量制御部63は、上記洗浄水噴霧制御部62により洗浄水を噴霧させる場合に、ノズル43からの洗浄水の噴出流量を変化させるための動作を制御するものである。
【0035】
図3は、図1に示した制御ユニット60が実施する洗浄水生成処理の処理内容を示すフローチャートである。かかる洗浄水生成処理を説明しながら洗浄装置の動作についても説明する。尚、以下においては、前提として電解槽12の内部には洗浄水があり、電解槽11の内部が空であるとする。
【0036】
図3に示す洗浄水生成処理において制御ユニット60の洗浄水生成制御部61は、電解槽11の内部検知センサ113より該電解槽11の内部が空である旨の検知信号が与えられた場合(ステップS101:Yes)、第1洗浄水供給電磁弁451が閉成しているか否かを判断する(ステップS102)。第1洗浄水供給電磁弁451が閉成している場合(ステップS102:Yes)、洗浄水生成制御部61は、第1原水供給電磁弁241に動作指令を与えて開成させ(ステップS103)、予め設定された原水供給時間の経過後に第1原水供給電磁弁241を閉成させる(ステップS104:Yes,ステップS105)。ここで予め設定された原水供給時間は、電解槽11の内部に一回の手指の洗浄に必要な洗浄水を生成するのに十分な水道水を供給することが可能な時間である。
【0037】
第1原水供給電磁弁241を閉成させた後、洗浄水制御部は、直流電源ユニット112に動作指令を与えて該電解槽11の一対の電極111を通電状態にし(ステップS106)、所定の通電時間経過後に直流電源ユニット112に動作停止指令を与えて一対の電極111を無通電状態にし(ステップS107:Yes,ステップS108)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0038】
このような洗浄水生成処理を実施することにより、2つの電解槽11,12のうちいずれか一方の電解槽12の洗浄水を噴霧させていても他方の電解槽11に水道水を供給して洗浄水を生成することができ、該他方の電解槽11に洗浄水を貯留させることができる。このように原水供給電磁弁24、一対の電極111,121、直流電源ユニット112,122、内部検知センサ113,123及び制御ユニット60は、本発明の生成手段を構成している。
【0039】
図4は、図1に示した制御ユニット60が実施する洗浄水噴霧処理の処理内容を示すフローチャートである。かかる洗浄水噴霧処理を説明しながら洗浄装置の動作についても説明する。尚、以下においては、前提として電解槽11の内部に洗浄水が生成されており、該電解槽11の洗浄水を用いるものとして説明する。
【0040】
図4に示す洗浄水噴霧処理において制御ユニット60の洗浄水噴霧制御部62は、進入検知センサS1より洗浄スペース50に利用者の手が進入した旨の検知信号が与えられた場合(ステップS201:Yes)、コンプレッサCに駆動指令を与えて駆動させるとともに、第1圧縮空気供給電磁弁341及び第1洗浄水供給電磁弁451のそれぞれに動作指令を与えて開成させる(ステップS202,ステップS203,ステップS204)。
【0041】
これにより電解槽11に生成された洗浄水は、該電解槽11内部にコンプレッサCから吐出された圧縮空気が供給されることにより、洗浄水供給管路41及び洗浄水噴出管路44を通じてノズル43から利用者の手指に噴霧される。これと同時に、制御ユニット60からの表示指令により表示装置20に図2に示す画像(1)〜(6)が逐次的に表示される。従って、利用者は、表示装置20に表示される画像(1)〜(6)を見ながら自身の手指の洗浄を行うことができる。
【0042】
上記ステップS204の処理を実施してから予め設定された動作時間の経過後(ステップS205:Yes)、洗浄水噴霧制御部62は、コンプレッサCに駆動停止指令を与えて駆動停止させるとともに、第1圧縮空気供給電磁弁341及び第1洗浄水供給電磁弁451のそれぞれに動作停止指令を与えて閉成させ(ステップS206,ステップS207,ステップS208)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0043】
ここで上記動作時間は、電解槽11に生成された洗浄水をノズル43を通じて噴霧させる噴霧時間(約1分間)と、この噴霧時間の経過後から計測される後処理時間(約20〜30秒間)とが合わさった時間である。かかる動作時間の間、コンプレッサCを駆動させ、第1圧縮空気供給電磁弁341及び第1洗浄水供給電磁弁451を開成させるので、噴霧時間はノズル43より洗浄水を噴霧させることができ、後処理時間は、コンプレッサCから吐出された圧縮空気を、電解槽11、洗浄水供給管路41及び洗浄水噴出管路44を通過させてノズル43より噴出させることができる。つまり、電解槽11に生成された洗浄水を噴霧させた後もコンプレッサCを予め決められた時間だけ駆動させてノズル43から圧縮空気を噴出させることができる。このようにコンプレッサC、圧縮空気供給電磁弁34、洗浄水供給電磁弁45、進入検知センサS1及び制御ユニット60は、本発明の噴霧手段を構成している。
【0044】
以上説明したように本実施の形態である洗浄装置によれば、2つの電解槽11,12のうちいずれか一方の電解槽12の洗浄水を噴霧させていても他方の電解槽11に水道水を供給して洗浄水を生成することができ、該他方の電解槽11に洗浄水を貯留させることができるので、次回の手指の洗浄時には、他方の電解槽11に貯留させた洗浄水を用いれば良く、これにより、今回の手指の洗浄と次回の手指の洗浄との間の待ち時間を低減させて洗浄機会の増大化を図ることができる。
【0045】
上述した洗浄装置によれば、電解槽11,12に生成された洗浄水を噴霧させた後もコンプレッサCを予め決められた時間(後処理時間)だけ駆動させてノズル43から圧縮空気を噴出させることができるので、電解槽11,12からノズル43に至る経路(洗浄水供給管路41,42及び洗浄水噴出管路44)に残留する洗浄水を噴出させることができ、これにより電解槽11,12からノズル43に至る経路に洗浄水が残留してしまうことを抑制して、衛生面での向上を図ることができる。
【0046】
また、噴霧時間経過後の後処理時間においては、ノズル43から噴出されるのは殆どが圧縮空気であるから、噴霧時間に洗浄水を噴霧した利用者の手指を該圧縮空気で乾燥させることができ、いわゆるエアータオルの役割を果たすことができる。
【0047】
ところで、上述した実施の形態である洗浄装置においては、洗浄水噴霧処理における噴霧時間において、制御ユニット60の噴出流量制御部63が噴出量調整弁46に開度指令を与えて、該噴出量調整弁46の開度を時間の経過とともに変化させてもよい。これにより、ノズル43から噴霧される洗浄水の吐出流量が変化し、しかも表示装置20に表示される画像、並びに該表示装置20に内蔵されるスピーカからの音声により、利用者にとっては約1分間(噴霧時間)の洗浄水による洗浄が短く感じられ、利用者の心理的負担を軽減させることができる。
【0048】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0049】
上述した実施の形態では、電解槽11,12が2つ設けられていたが、本発明では、3つ以上の電解槽が設けられていても構わない。また、電解槽11,12の内部容量は、1回の手指の洗浄に十分な洗浄水を生成できる大きさではなく、複数回の手指の洗浄に十分な洗浄水を生成できる大きさであっても構わない。
【0050】
上述した実施の形態では、電解槽11,12、洗浄水供給管路41,42及び洗浄水噴出管路44を通じてコンプレッサCより吐出された圧縮空気をノズル43に供給し、該ノズル43より噴出させていたが、つまり、洗浄水をノズル43に供給する管路と共通の管路で圧縮空気をノズル43に供給して噴出していたが、本発明では、洗浄水をノズルに供給する管路とは別個の管路によりコンプレッサより吐出された圧縮空気を該ノズルに供給して噴出するようにしても構わない。また洗浄水を噴霧するノズルと、圧縮空気を噴出するノズルとが別個のものであっても構わない。
【0051】
上述した実施の形態では、コンプレッサCは制御ユニット60から動作指令が与えられることにより駆動するものであったが、本発明では、コンプレッサは利用者に手動にて駆動されるもの、いわゆる足踏みコンプレッサのようなものであっても構わない。
【0052】
上述した実施の形態では、ノズル43から利用者の手指に噴霧された洗浄水は、排水パン47を通じて排出されていたが、本発明では、排水パンの排水を電解槽に導いて再度電気分解を行って洗浄水を生成するようにしても良い。また、利用者の手指に噴霧した排水は、利用者の汗に含有される塩分を含んでいることからかかる塩分を利用して洗浄水を生成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明に係る洗浄装置は、利用者の手指の洗浄に有用である。
【符号の説明】
【0054】
11,12 電解槽
111,121 電極
112,122 直流電源ユニット
113,123 内部検知センサ
20 表示装置
21,22 原水供給管路
23 原水取出管路
24 原水供給電磁弁
31,32 圧縮空気供給管路
33 コンプレッサ接続管路
34 圧縮空気供給電磁弁
41,42 洗浄水供給管路
43 ノズル
44 洗浄水噴出管路
45 洗浄水供給電磁弁
46 噴出量調整弁
47 排水パン
50 洗浄スペース
60 制御ユニット
61 洗浄水生成制御部
62 洗浄水噴霧制御部
63 噴出流量制御部
C コンプレッサ
S1 進入検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極が配設された電解槽に原水を供給し、前記一対の電極を通電状態にすることにより前記原水を電気分解して洗浄水を生成する生成手段と、
前記生成手段で生成した洗浄水を噴霧させる噴霧手段と
を備えた洗浄装置において、
前記生成手段は、前記電解槽の他に一対の電極が配設された他の電解槽を備えてなり、該一対の電極を通電状態にすることにより供給された原水を電気分解して洗浄水を生成して該他の電解槽に貯留させることを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
一対の電極が配設された電解槽に原水を供給し、前記一対の電極を通電状態にすることにより前記原水を電気分解して洗浄水を生成する生成手段と、
前記電解槽に圧縮空気を供給するコンプレッサを有し、該コンプレッサから圧縮空気を供給することにより該電解槽に生成された洗浄水をノズルから噴霧させる噴霧手段と
を備えた洗浄装置において、
前記噴霧手段は、前記電解槽に生成された洗浄水を噴霧させた後も前記コンプレッサを予め決められた時間だけ駆動させてノズルから圧縮空気を噴出させることを特徴とする洗浄装置。
【請求項3】
一対の電極が配設された電解槽に原水を供給し、前記一対の電極を通電状態にすることにより前記原水を電気分解して洗浄水を生成する生成手段と、
前記生成手段で生成した洗浄水を噴霧させる噴霧手段と
を備えた洗浄装置において、
前記噴霧手段は、噴出流量を変化させながら前記洗浄水を噴霧させることを特徴とする洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−94413(P2011−94413A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250425(P2009−250425)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000237710)富士電機リテイルシステムズ株式会社 (1,851)
【Fターム(参考)】