説明

洗濯機

【課題】ろ過性能の向上を図る。
【解決手段】給水源に接続される給水弁32の上流側に、水中の不純物をろ過するろ過装置30を備え、洗濯行程時にろ過装置30を通過した水を水槽2内に供給する構成のものにおいて、ろ過装置30は、当該ろ過装置30における上流側から下流側にかけて孔径が小さくなる複数のフィルタを有していて、そのうちの最下流側のフィルタは、孔径が1〜10μmの焼結樹脂フィルタとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水源に接続される給水弁の上流側または下流側に、水中の不純物をろ過するろ過装置を備えた洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
水道の配管や給水器具等の老朽化により、水道水が赤色に濁ること(赤水)がある。これは、主に水道の配管等に発生した鉄錆(赤錆)が水道水に流れ出して混入したもので、水道の蛇口を開いた直後(使い始め)に良く見られるものである。このような鉄錆が混入した水道水で繰り返し洗濯を行なうと、洗濯物に鉄錆が残留付着し、徐々に洗濯物が変色(黄ばみ)するという問題がみられる。鉄錆の大きさは様々で、微細なもので数μm程度のものも混入している。
【0003】
このようなことに対処するため、例えば特許文献1には、給水弁の下流側に、不織布からなるフィルタを備えたろ過装置(不純物除去装置)を設け、洗濯槽へ給水する際に、その水をフィルタでろ過することにより、鉄錆などの不純物を除去するようにしたものが示されている。
【特許文献1】特開2003−284899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1のものでは、フィルタとしては不織布の1種類のみで、しかも不織布の目は粗いため、比較的大きな不純物は除去することができるが、鉄錆のような細かなものは通過してしまう可能性が高く、ろ過性能が低いという欠点がある。
【0005】
本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ろ過性能の向上を図ることができる洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明の洗濯機は、給水源に接続される給水弁の上流側または下流側に、水中の不純物をろ過するろ過装置を備え、洗濯行程時に前記ろ過装置を通過した水を洗濯槽に供給する構成のものにおいて、前記ろ過装置は、当該ろ過装置における上流側から下流側にかけて孔径が小さくなる複数のフィルタを有していて、そのうちの最下流側のフィルタは、孔径が1〜10μmの焼結樹脂フィルタであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、水をろ過装置に通すことで、水中に含まれる不純物を、孔径が異なる複数のフィルタにより効率よく除去することができる。しかも、最下流に位置するフィルタは、孔径が1〜10μmの焼結樹脂フィルタであり、孔径が小さいため、鉄錆のような細かな不純物もろ過することが可能となる。よって、ろ過性能の向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明をドラム式の洗濯乾燥機に適用した一実施形態について図面を参照して説明する。
まず、図2において、外箱1内に、水槽2が弾性支持機構3を介して配設されている。水槽2は、後面(図2において右側)が閉塞されたほぼ円筒状をなし、前上がりの傾斜状態で配置されている。水槽2の前面の開口部は、外箱1の前面に形成された洗濯物出入口4にべローズ5を介して接続されている。
【0009】
水槽2内には、ドラム6が回転可能に配設されている。ドラム6も、後面(図2において右側)が閉塞されたほぼ円筒状をなし、前上がりの傾斜状態で配置されている。ドラム6の周壁部には、通水および通気が可能な孔7が多数個形成されている。ドラム6の周壁部の内部には、バッフル8が設けられている。このドラム6は、水槽2の背面に設けられたドラム用モータ9により回転軸10を介して回転されるようになっている。ドラム用モータ9は、この場合DCブラシレスモータにより構成されている。ここで、ドラム6は、内部に洗濯物(図示せず)を収容し、その洗濯物を洗う際の洗濯槽として機能し、その洗濯物を脱水する脱水槽としても機能し、さらに、その洗濯物を乾燥させる際の乾燥用の槽としても機能する。前記水槽2の底部に形成された排水口に排水弁11が接続され、その排水弁11に排水ホース12が接続されている。その排水弁11が開放されると、水槽2内の水が排水ホース12から機外へ排出されるようになっている。
【0010】
水槽2の背部には、図1にも示すように、前記ドラム用モータ9を避けるようにして熱交換器用ダクト15が配設されている。この熱交換器用ダクト15の下部は、水槽2の後部の下部に形成された排気口16(図1参照)に接続されている。熱交換器用ダクト15の上部は、ファン装置17におけるファンケーシング18の吸込口に接続されている。ファンケーシング18の吐出口は、内部に乾燥用ヒータ19を備えたヒータケース20の入口に接続されている。ヒータケース20の出口は、温風供給ダクト21の一端部に接続されている。温風供給ダクト21の他端部の温風供給口21aは、水槽2の前部において当該水槽2内、ひいてはドラム6内に連通している。
【0011】
外箱1の前部の上部における右側(図2において手前側)には、操作パネルユニット22が設けられている。操作パネルユニット22には、操作部23及び表示部24(図4参照)が設けられている。外箱1内における上部には、操作パネルユニット22の左側(図2において奥側)に位置させて、注水器25が設けられている。この注水器25には、図示しない洗剤ケースが前方から出し入れ可能に収納されている。注水器25の下部に設けられた給水口26が、水槽2の前部において水槽2内に連通している。
【0012】
外箱1の上部の後部には、上向きの給水受け口27が設けられている。この給水受け口27には、図示はしないが、給水源となる水道の蛇口に接続された給水ホースが接続される。給水受け口27の下部には、外箱1内に位置させて第1切替弁28が接続されている。この第1切替弁28は、第1吐出口28aと第2吐出口28bを開閉する機能を有している。第1吐出口28aには、第1給水管29を介して後述するろ過装置30の入口に接続している。ろ過装置30の出口は、第2給水管31を介して給水弁32の入口に接続している。第1切替弁28の第2吐出口28bには、バイパス管33の一端部を接続している。バイパス管33の他端部は、第2給水管31の中間部(ろ過装置30の出口と給水弁32との間)に接続している。
【0013】
前記給水弁32は、第1吐出口32aと第2吐出口32bを開閉する機能を有している。第1吐出口32aは、給水ホース34を介して前記注水器25に接続されている。第2吐出口32bは、給水ホース35を介して同じく注水器25に接続されている。この場合、給水弁32は、水槽2へ洗剤を供給する場合及び通常の給水をする場合は、第1吐出口32aを開放し、水槽2へ仕上げ剤を投入する場合のみ、第2吐出口32bを開放する構成となっている。
【0014】
前記第1給水管29には、第1切替弁28とろ過装置30との間に位置させて、分岐部38を設けていて、この分岐部38に、第2切替弁39を介して注水管40の一端部を接続している。注水管40の他端部を、前記熱交換器用ダクト15の上部に設けられた注水口41(図2参照)に接続している。
【0015】
前記ろ過装置30について、図3を参照して説明する。ろ過装置30のケース45は、一端部に入口45aを有し、他端部に出口45bを有していて、その入口45aを、第1給水管29に接続し、出口45bを第2給水管31に接続している。ケース45内には、入口45a側に、孔径が10〜200μmの不織布フィルタ46を収納し、出口45b側に、孔径が1〜10μmの焼結樹脂フィルタ47を収納している。したがって、この場合、ろ過装置30は、当該ろ過装置30における上流側(入口45a側)から下流側(出口45b側)にかけて孔径が小さくなる複数(2個)のフィルタ46,47を有していて、そのうちの最下流のフィルタは、孔径が1〜10μmの焼結樹脂フィルタ47としている。
【0016】
図2において、外箱1内の前部の下部には、マイクロコンピュータを含む制御装置50が設けられている。図4には、本発明の要旨に関係した電気的構成のブロック図が示されている。制御装置50は、洗濯乾燥機の動作全般を制御するもので、本発明の制御手段、流量検知手段として機能する。制御装置50の入力側には、前記操作パネルユニット22の操作部23、水槽2内の水位を検出する水位センサ51、ドラム用モータ9の回転速度を検出する回転センサ52が接続されている。制御装置50の出力側には、前記操作パネルユニット22の表示部24、ドラム用モータ9、給水弁32、第1切替弁28、第2切替弁39、排水弁11、乾燥用ヒータ19、ファン装置17等が接続されている。
【0017】
次に、上記制御装置50の制御内容について、図5も参照して説明する。
使用者が洗濯を行なうべく、ドラム6内に洗濯物を投入し、操作パネルユニット22の電源スイッチを投入した状態で、操作部23の運転コース設定スイッチを操作して例えば「洗濯乾燥」コースを選択し、スタートスイッチを操作したとする。すると、制御装置50は、まず洗濯行程を行う。洗濯行程では、まず布量検知を行う(ステップS1)。この
布量検知は、ドラム6内に収容された洗濯物の重量を検知するもので、例えば、ドラム用モータ9に、予め決められた一定電圧を一定時間供給し、その間のドラム6の回転数を回転センサ52により測定することに基づき求める。布量が検知されると、その布量に応じた水位の設定が行われる。布量が多いほど、設定水位が高くなるように設定される。
【0018】
次に、給水を開始する(ステップS2)。給水の開始は、第1切替弁28の第1吐出口28aを開放するとともに、給水弁32の第1吐出口32aを開放させることによって行う。すると、水道水が、図1及び図2の実線矢印Aで示すように、給水受け口27、第1切替弁28の第1吐出口32a、第1給水管29、ろ過装置30、第2給水管31、給水弁32の第1吐出口32a、給水ホース34を順に通り、注水器25内に供給される。そして、その水は、注水器25内に予め投入された洗剤を溶かしながら、その洗剤と共に給水口26から水槽2内、ひいてはドラム6内に供給されて貯留される。この給水時には、排水弁11は閉鎖されている。給水が開始されると、制御装置50は、水槽2内の水位が設定水位に達するまで待機する(ステップS3)。水槽2内の水位は、水位センサ51により検出する。このとき、制御装置50は、給水開始からの経過時間を計測する。
【0019】
ここで、この給水時において、水がろ過装置30を順方向(矢印A方向)に通過することで、水道水に含まれた鉄錆などの不純物が不織布フィルタ46及び焼結樹脂フィルタ47によりろ過される。
【0020】
そして、制御装置50は、水槽2内の水位が設定水位に達したと判断したら(ステップS3で、「YES」)、流量が設定値以下か否かを判断する(ステップS4)。流量が設定値以下か否かは、給水開始から設定水位に達するまでに要した時間と、予め設定水位に応じて設定された設定時間とを比較して判定する。測定した時間が設定時間未満であれば、流量が設定値を超えていると判断し、逆に、測定した時間が設定時間以上であれば、流量が設定値以下であると判断する。
【0021】
制御装置50は、ステップS4において、流量が設定値を超えていると判断された場合は、「NO」に従ってステップS5へ移行し、給水を停止する。給水の停止は、第1切替弁28の第1吐出口28aを閉鎖するとともに、給水弁32の第1吐出口32aも閉鎖することによって行われる。
なお、ステップS4において、流量が設定値以下であると判断された場合(「YES」)には、ろ過装置30における不織布フィルタ46及び焼結樹脂フィルタ47に目詰まりが発生していることが考えられる。この場合には、後述するが、ステップS11へ移行することになる。
【0022】
制御装置50は、ステップS5において給水を停止したら、ステップS6へ移行し、洗い運転を所定時間行う。洗い運転は、ドラム用モータ9によりドラム6を所定の低回転速度で正逆交互に回転させることにより行う。これにより、ドラム6内の洗濯物が洗われる。
制御装置50は、洗い運転を所定時間実行したら、ステップS7へ移行し、排水を行う。排水は、排水弁11を開放させることで行う。排水弁11が開放されると、ドラム6内及び水槽2内の水が機外へ排出される。制御装置50は、排水が終わったら、ステップS8へ移行し、すすぎ行程を行う。
【0023】
制御装置50は、すすぎ行程では、まず、前記ステップS2,S3と同様に、排水弁11を閉鎖した状態で、設定水位に達するまで水槽2内への給水を行う。このとき、洗剤の投入はないため、水のみの供給となる。制御装置50は、給水が完了したら、すすぎ運転を所定時間行う。すすぎ運転は、前記洗い運転と同様に、ドラム用モータ9によりドラム6を所定の低回転速度で正逆交互に回転させることにより行う。これにより、ドラム6内の洗濯物がすすがれる。制御装置50は、すすぎ運転が終了したら、排水を行う。これにより、すすぎ行程が完了する。
【0024】
制御装置50は、すすぎ行程が完了したら、ステップS9へ移行し、最終脱水行程を行う。最終脱水行程では、排水弁11を開放した状態で、ドラム用モータ9によりドラム6を一方向に高速回転させることによって行う。これにより、ドラム6内の洗濯物が遠心脱水される。
制御装置50は、最終脱水行程が完了したら、ステップS10へ移行し、乾燥行程を行う。乾燥行程では、ドラム用モータ9によりドラム6を低速度で正逆回転させながら、乾燥用ヒータ19を通電して発熱させるとともに、ファン装置17を駆動し、さらに、第1切替弁28の第2吐出口28bを開放するとともに、第2切替弁39を開放させる。このとき、給水弁32は、第1吐出口32aも第2吐出口32bも閉鎖した状態とする。
【0025】
ここで、ファン装置17を駆動させることで、乾燥用ヒータ19により加熱された温風が、温風供給ダクト21を通り、温風供給口21aから水槽2内及びドラム6内に供給される。ドラム6内に供給された温風は、ドラム6内の洗濯物を加熱するとともに、洗濯物の湿気を奪う。湿気を奪った温風は、水槽2の後部下部の排気口16から熱交換器用ダクト15側に排出される。熱交換器用ダクト15側に排出された温風は、熱交換器用ダクト15内を上昇した後、ファン装置17のファンケーシング18内に吸入される。
【0026】
また、上記第1切替弁28の第2吐出口28bを開放するとともに、第2切替弁39を開放させることで、水道水が、図1及び図2に点線矢印Bで示すように、給水受け口27、第1切替弁28の第2吐出口28b、バイパス管33、第2給水管31、ろ過装置30、第1給水管29、分岐部38、第2切替弁39、注水管40を順に通り、注水口41から熱交換器用ダクト15内に注水される。これに伴い、熱交換器用ダクト15内を通過する湿気を含んだ温風が、注水される水により冷却されて除湿される。したがって、ファンケーシング18内には、除湿された空気が吸入され、その空気が再び乾燥用ヒータ19により加熱されて循環するようになる。注水口41から熱交換器用ダクト15内に注水された水及び除湿水は、排気口16から水槽2内の下部、排水弁11を通り、機外へ排出される。
【0027】
このとき、前記ろ過装置30には、前記矢印A(順方向)とは反対の逆方向(矢印B方向)に水が流れる。これにより、焼結樹脂フィルタ47及び不織布フィルタ46に付着していた不純物が離れ易くなり、この結果、ろ過装置30の洗浄が行なわれるようになる。なお、焼結樹脂フィルタ47及び不織布フィルタ46から離れた不純物は、熱交換器用ダクト15内に散水された水と共に機外へ排出されるようになる。
【0028】
上記したように、乾燥行程では、乾燥用ヒータ19により加熱された空気が水槽2内(ドラム6内)を通して循環することにより、ドラム6内の洗濯物が乾燥されるようになる。制御装置50は、乾燥行程を所定時間行うことで、洗濯乾燥コースを終了する。
【0029】
前記ステップS2,S3における給水時に給水流量が少なく、制御装置50が、ステップS4において、給水流量が設定値以下であると判断した場合(「YES」)には、ろ過装置30における不織布フィルタ46及び焼結樹脂フィルタ47に目詰まりが発生していることが考えられる。この場合には、制御装置50は、ステップS11へ移行する。
【0030】
制御装置50は、ステップS11では、ステップS5と同様に、第1切替弁28の第1吐出口28aを閉鎖するとともに、給水弁32の第1吐出口32aも閉鎖して、給水を停止する。この後、ステップS6,S7と同様に、洗い運転(ステップS12)を実行した後、排水を行う(ステップS13)。
【0031】
この後、ステップS14へ移行し、フィルタ洗浄を行う。このフィルタ洗浄では、前記乾燥行程での散水動作と同様に、第1切替弁28の第2吐出口28bを開放するとともに、第2切替弁39を開放させることによって行う。このときも、給水弁32は、第1吐出口32aも第2吐出口32bも閉鎖した状態とする。
【0032】
このように第1切替弁28の第2吐出口28bを開放するとともに、第2切替弁39を開放させることで、水道水が、図1及び図2に点線矢印Bで示すように、給水受け口27、第1切替弁28の第2吐出口28b、バイパス管33、第2給水管31、ろ過装置30、第1給水管29、分岐部38、第2切替弁39、注水管40を順に通り、注水口41から熱交換器用ダクト15内に注水される。このとき、前記ろ過装置30には、前記矢印A(順方向)とは反対の逆方向(矢印B方向)に水が流れる。これにより、焼結樹脂フィルタ47及び不織布フィルタ46に付着していた不純物が離れ易くなり、この結果、ろ過装置30の洗浄が行なわれるようになる。なお、焼結樹脂フィルタ47及び不織布フィルタ46から離れた不純物は、熱交換器用ダクト15内に散水された水と共に機外へ排出されるようになる。
【0033】
制御装置50は、フィルタ洗浄を所定時間(例えば2〜3分)実行したら、前記すすぎ行程(ステップS8)へ移行する。
また、上記した実施形態においては、ろ過装置30を洗浄する専用のコースが設定されている。ろ過装置洗浄コースが設定されると、制御装置50は、上記ステップS14(フィルタ洗浄)、S15を実行する。この専用のコースを選択することで、ろ過装置30を洗浄することが可能になる。
【0034】
上記した実施形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。
水槽2内(ドラム6内)へ給水する際に、ろ過装置30を通過させることで、水道水に含まれる不純物をろ過することができる。ろ過装置30は、当該ろ過装置30の上流から下流にかけて孔径が小さくなる2つのフィルタ(不織布フィルタ46と焼結樹脂フィルタ47)を有しているので、水中に含まれている不純物を効率よく除去することができる。しかも、最下流に位置するフィルタは、孔径が1〜10μmの焼結樹脂フィルタ47であり、孔径が小さいため、鉄錆のような細かな不純物もろ過することが可能となる。よって、ろ過性能の向上を図ることが可能となり、洗濯物に不純物による黄ばみが発生することを防止できるようになる。
【0035】
洗濯行程における水槽2(ドラム6)への給水時には、給水用の水を前記ろ過装置30に対して順方向(矢印A方向参照)に流して給水動作を行ない、乾燥行程では、水をろ過装置30に対して前記順方向とは反対の逆方向(矢印B方向参照)に流し、そのろ過装置30を通過した水を熱交換器用ダクト15内に注水する注水動作を行なうように、流路を切り替える構成とした。この構成により、水槽2(ドラム6)への給水時にはろ過装置30により水をろ過することができる。そして、乾燥行程では、除湿のための熱交換器用ダクト15内への注水動作と、ろ過装置30におけるフィルタ46,47の洗浄動作を兼ねて行なうことができるので、注水動作とフィルタ46,47の洗浄動作とを別々に行なう場合に比べて、水の使用量を抑えることができる。さらに、ろ過装置30におけるフィルタ46,47の洗浄を自動的に行う、いわゆるセルフクリーニング動作を行なうことで、給水性能の低下を防止できるとともに、ろ過装置30の長寿命化や部品交換の手間を省くことが可能となる。また、フィルタ46,47の洗浄を行なった水は、ドラム6内の洗濯物に触れることなく排出できるので、フィルタ46,47洗浄後の不純物で洗濯物を汚すようなことも防止できる。
【0036】
制御装置50は、給水時に水位センサ51と給水時間により、ろ過装置30を通過する水の流量を検知し(ステップS3,S4)、その検知結果により水の流量が設定値以下の場合(ステップS4で「YES」)には、水をろ過装置30に対して順方向とは反対の逆方向へ流して前記ろ過装置30の洗浄を行うようにした。これにより、ろ過装置30の目詰まりを自動的に検出し、目詰まりであると判断した場合には、ろ過装置30の洗浄を自動的に行うことができ、給水性能の低下を抑制することができる。またこれによれば、洗濯〜脱水までは行うが、乾燥行程まで行うことが少ない場合でも、ろ過装置30の洗浄を行うことができる。
さらに、ろ過装置30を洗浄する専用のコースを設けた場合には、使用者の判断でろ過装置30を洗浄することが可能となる。
【0037】
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
乾燥機能として、乾燥用ヒータ19を用いたものに限られず、圧縮機、凝縮器、蒸発器、絞り手段を備えた冷凍サイクルを利用したヒートポンプ式のドラム式洗濯乾燥機にも適用できる。また、水槽2及びドラム6の軸が横向きのドラム式洗濯機に限られず、水槽及び回転槽の軸が上下方向を向いた縦軸形の洗濯機に適用することもできる。
ろ過装置30は、給水弁32の下流側に配置するようにしてもよい。ろ過装置30におけるフィルタは、2種類に限られず、3種類以上であってもよい。
ろ過装置30を通過する水の流量を検知する流量検知手段としては、流量計を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、一部を破断して示す背面図
【図2】縦断側面図
【図3】ろ過装置の断面図
【図4】電気的構成を示すブロック図
【図5】制御装置の制御内容を示すフローチャート
【符号の説明】
【0039】
図面中、2は水槽、6はドラム(洗濯槽)、9はドラム用モータ、11は排水弁、15は熱交換器用ダクト、17はファン装置、19は乾燥用ヒータ、25は注水器、27は給水受け口、28は第1切替弁、30はろ過装置、32は給水弁、33はバイパス管、39は第2切替弁、40は注水管、45はケース、46は不織布フィルタ、47は焼結樹脂フィルタ、50は制御装置(制御手段、流量検知手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水源に接続される給水弁の上流側または下流側に、水中の不純物をろ過するろ過装置を備え、洗濯行程時に前記ろ過装置を通過した水を洗濯槽に供給する構成の洗濯機において、
前記ろ過装置は、当該ろ過装置における上流側から下流側にかけて孔径が小さくなる複数のフィルタを有していて、そのうちの最下流側のフィルタは、孔径が1〜10μmの焼結樹脂フィルタであることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記洗濯槽内の洗濯物を乾燥させる乾燥行程時に、前記洗濯槽から排出された空気中の水分を除去する除湿用の熱交換器用ダクトを備え、
洗濯行程における前記洗濯槽への給水時には、給水用の水を前記ろ過装置に対して順方向に流して給水動作を行ない、
前記乾燥行程では、水を前記ろ過装置に対して前記順方向とは反対の逆方向に流し、そのろ過装置を通過した水を前記熱交換器用ダクト内に注水する注水動作を行なうように、流路を切り替えることを特徴とする請求項1記載の洗濯機。
【請求項3】
前記ろ過装置を通過する水の流量を検知する流量検知手段と、
この流量検知手段による検知結果により水の流量が設定値以下の場合には、水を前記ろ過装置に対して順方向とは反対の逆方向へ流して前記ろ過装置の洗浄を行う制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1または2記載の洗濯機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−63753(P2010−63753A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234718(P2008−234718)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】