説明

洗濯機

【課題】効果的な洗濯を行うために供給した蒸気によりユーザが火傷しないよう、扉のロック解除を的確に行う洗濯機を提供する。
【解決手段】外扉11のロック解除が要求された場合、スチーム噴射口8からスチームが噴射中であれば、スチーム発生装置7のスチーム用ヒータを停止させ、スチーム発生装置7による蒸気の発生を停止させる。蒸気の発生を停止させた場合、スチーム発生装置7が発生させた蒸気、すなわちスチームがスチーム噴射口8から噴射されたか否かを判定し、スチームが噴射されたと判定した場合、外扉11のロックを解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯又は乾燥の対象物を出し入れする収容槽の開口部を開閉する扉を、自身の動作に応じて閉じた状態にロックし、又はロックを解除する洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類などの洗濯物を洗濯するときに洗濯温度を上げた場合、衣類の繊維の種類によっては洗浄力を高めることができる。そこで、水槽内にスチームを供給し、水槽内の洗濯物を加温する洗濯機がある(例えば特許文献1又は特許文献2参照)。スチームにより水槽内の洗濯物を加温することで、洗浄力を向上させると共に、洗濯時間を短縮し、洗濯物の殺菌効果を高めることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−141985号公報
【特許文献2】特表2008−534049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2に記載の洗濯機のように、水槽内にスチームを供給することで効果的に洗濯等を行えるようにはなるが、スチームにより高温となった水槽内にユーザが手を入れることで、ユーザが火傷を負うおそれがある。このため、スチームの供給中、又は供給直後には、洗濯物を出し入れする洗濯機の投入口の扉を開閉できないよう、扉のロック制御を的確に行う必要がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、効果的な洗濯を行うために供給した蒸気によりユーザが火傷しないよう、扉のロック解除を的確に行う洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る洗濯機は、洗濯又は乾燥の対象物を出し入れする開口部を有する収容槽と、該収容槽の開口部を開閉する扉とを備え、自身の動作に応じて前記扉を閉じた状態にロックし、又はロックを解除する洗濯機において、蒸気を発生させる蒸気発生装置と、該蒸気発生装置が発生させた蒸気を前記収容槽内に噴射する噴射ノズルと、ロックの解除の要求を受け付ける手段と、前記要求を受け付けた場合、前記噴射ノズルから蒸気が噴射しているか否かを判定する手段と、前記噴射ノズルから蒸気が噴射していると判定した場合、前記蒸気発生装置による蒸気の発生を停止させる手段と、蒸気の発生を停止させた場合、前記蒸気発生装置が発生させた蒸気が前記噴射ノズルから噴射されたか否かを判定する判定手段と、蒸気が噴射されたと判定した場合、前記扉のロックを解除する解除手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明においては、蒸気発生装置が停止するまでに発生した蒸気が噴射ノズルから噴射されるまで、ロック解除を行わないことで、ユーザが噴射ノズルから噴射される蒸気で火傷することを防止できる。
【0008】
本発明に係る洗濯機は、前記蒸気発生装置は、水が供給される貯水部と、該貯水部に供給された水を加熱するヒータとを有しており、前記ヒータが水を加熱することで発生した蒸気を前記貯水部から前記噴射ノズルに導く経路をさらに備え、前記判定手段は、前記貯水部内に水が残っているか否かを判定する残水判定手段、及び、前記経路内の蒸気が前記噴射手段から噴射されたか否かを判定する手段を有していることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、蒸気を発生させる貯水部内に水が残っておらず、経路内の蒸気が噴射ノズルから噴射された場合に、扉のロック解除を行う。これにより、蒸気発生装置が停止していても、貯水部内に水が残っている場合、又は経路内に蒸気が残っている場合に、噴射ノズルから蒸気が噴射され、ユーザが火傷するおそれを回避することができる。
【0010】
本発明に係る洗濯機は、前記貯水部内の温度を随時測定する手段と、測定した温度が上昇している場合、温度の上昇率を算出する手段とをさらに備えており、前記残水判定手段は、算出した上昇率に基づいて前記貯水部内に水が残っているか否かを判定するようにしてあることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、貯水部の温度の上昇率に基づいて貯水部内に水が残っているか否かを判定する。例えば貯水部内に水が残っている場合には、水に熱容量が奪われるため、貯水部の温度の上昇はゆっくりとなるが、貯水部内に水が残っていない場合、貯水部の温度上昇が早くなる。従って、貯水部の温度上昇率によって、貯水部内に水が残っているか否かを判定することができる。これにより、水の残存を検出するための専用のセンサなどを設ける必要がなくなる。
【0012】
本発明に係る洗濯機は、前記残水判定手段は、蒸気の発生を停止させてからの経過時間に基づいて前記貯水部内に水が残っているか否かを判定するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、蒸気の発生を停止させてからの経過時間に基づいて、貯水部内に水が残っているか否かを判定する。例えば、十分な時間が経過していれば、貯水部内に水が残っていないと判定して扉のロック解除を行う。これにより、簡単な処理で、ユーザが火傷しないロック解除の制御が可能となる。
【0014】
本発明に係る洗濯機は、前記収容槽内の温度を測定する手段と、前記収容槽内の温度が所定温度以上である場合、前記解除手段によるロックの解除を禁止する手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、収容槽内の温度が所定温度以上であれば、扉のロックを解除しない。これにより、蒸気が噴射されなくなったあとでも収容槽内は高温状態となっている場合があるため、収容槽内にユーザが手を突っ込み、火傷するおそれを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、蒸気発生装置が停止するまでに発生した蒸気が噴射ノズルから噴射されるまで、ロック解除を行わないことで、ユーザが噴射ノズルから噴射される蒸気で火傷することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態に係る洗濯機の全体の外観を概略的に示す斜視図である。
【図2】図1に示すII−II線における洗濯機の断面図である。
【図3】図1に示す洗濯機の外装の内部を正面から見た図である。
【図4】スチーム発生装置の側面断面図である。
【図5】スチーム噴射口の構成を示す概略図である。
【図6】実施の形態に係る洗濯機の制御ブロック図である。
【図7】CPUの制御内容を示すフローチャートである。
【図8】ロック解除処理を示すフローチャートである。
【図9】残水除去処理を示すフローチャートである。
【図10】スチーム除去処理を示すフローチャートである。
【図11】ロック解除処理を示すフローチャートである。
【図12】残水除去処理を示すフローチャートである。
【図13】スチーム除去処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(実施形態1)
以下、本発明に係る洗濯機の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る洗濯機の全体の外観を概略的に示す斜視図である。図2は、図1に示すII−II線における洗濯機の断面図である。図3は、図1に示す洗濯機の外装の内部を正面から見た図である。
【0019】
本実施の形態に係る洗濯機1は、外装10を備えている。外装10は、前面が前方に突に湾曲しており、前面の略中央から上方には、斜め上側に開口するよう円形状の投入口(図示せず)が形成されている。投入口には、外扉11が図示しないヒンジで回動自在に取り付けられている。外扉11の内側には内扉12が取り付けられている。内扉12は、外扉11の開閉に連動して開閉するよう取り付けられている。具体的に、外扉11を開くことによって内扉12も開き、外扉11を閉じることによって内扉12も閉じられるようになっている。
【0020】
外装10の内部には、外扉11が開かないようにロックするロック機構が設けられている。ロック機構は、外扉11のロック時あるいはロック解除時に通電されると動作するラッチ式であり、運転中あるいは異常状態になったとき、外扉11が開かないようにロックする。また、ロック機構は、一度作動すると、電源のオンオフに関係なくその状態を維持する。
【0021】
外装10内には、洗濯水を溜める有底円筒形状の水槽2が配置されている。水槽2の前面は開口しており、開口部が外装10の投入口と対向するように横向きに配置されている。より詳しくは、水槽2は、中心軸が水平方向に対して5°〜30°の角度を成すように傾斜しており、上部が支持バネ(図示せず)で、下部が支持ダンパー13,13などにより弾性的に支持されている。水槽2の開口部には、ゴム又は軟質樹脂等の弾性体から成るパッキン(図示せず)が固着されており、内扉12を閉じるときには、内扉12がパッキンに密着し、水槽2内の液体が外部へ漏れ出るのを防いでいる。
【0022】
水槽2には、図3に示す給水ダクト19から洗濯水が給水される。また、水槽2内には、洗濯水を排水するための排水口が設けられており、排水口は内部排水ホース14が接続されている。内部排水ホース14は、水槽2の底部に設けられた排水弁15を介して、外部排水ホース16に接続している。排水弁15は、図示しない排水モータによって開閉される。排水弁15の開閉によって水槽2内の洗剤を含む洗濯水等は内部排水ホース14及び外部排水ホース16を通って排水される。また、水槽2の底部には、循環ポンプ17が設けられており、循環ポンプ17は、内部排水ホース14から流れ込む水を、循環ホース18を介して再び水槽2内に供給する。
【0023】
水槽2内には、洗濯物30を収容する有底円筒形状の回転ドラム(収容槽)3が回転自在に配置されている。回転ドラム3は、開口部が水槽2の開口部と対向し、中心軸が水槽2の中心軸と平行となるように配置されている。従って、回転ドラム3の中心軸は、水平方向に対して5°〜30°の角度を成すように傾斜している。
【0024】
回転ドラム3の周壁全域には複数の小孔31が設けられている。小孔31は、水槽2と回転ドラム3との間の空間と、回転ドラム3内の空間との間で洗濯水又は乾燥空気等を流通させるためのものである。また回転ドラム3の内壁面には、半径方向内側に向かって突出するバッフル32が設けられている。バッフル32は、回転ドラム3の回転に伴い洗濯物30を上方に持ち上げ、上方から落下させる叩き洗いの作用がなされるように構成されている。さらに回転ドラム3の開口周縁部には回転時の振動防止のための流体バランサ33が固着されている。
【0025】
回転ドラム3は、軸部4aにより回転可能に支持されている。軸部4aは、後端にドラムモータ4が連結されており、回転ドラム3に回転駆動力を伝達する。ドラムモータ4は、洗濯機1内の下部に配置されているコントロール部20により回転が制御される。
【0026】
水槽2の上方には、蒸気を発生させるスチーム発生装置(蒸気発生装置)7が配置されている。スチーム発生装置7は、耐熱性のシリコンホース(経路)7aを介して、水槽2の開口上部に配置されたスチーム噴射口8と接続している。スチーム発生装置7において発生した蒸気、すなわちスチームは、洗い行程又は乾燥行程時に、シリコンホース7aを通りスチーム噴射口8から略100℃で回転ドラム3内に噴出される。回転ドラム3内にスチームを噴出することで、回転ドラム3内の洗濯物30の温度を上げることができる。その結果、洗い行程時には洗浄力を上げることができ、乾燥行程時には洗濯物30に固着したしわをとり、ふんわりと、すなわち、衣類の弾性を保ち、肌触り又は風合いを良好に乾燥させることができる。
【0027】
図4は、スチーム発生装置7の側面断面図である。
【0028】
スチーム発生装置7は、金属製の箱型形状のタンク(貯水部)71を有しており、全体が図示しないヒータにより加温される。タンク71の上部には、内部に水を取り込む取込口72が設けられている。取込口72には、図示しないスチームポンプが接続されている。スチームポンプは、給水ダクトから供給される水を、水量を制御してスチーム発生装置7へ送り出す。取込口72からタンク71内に取り込まれた水は加熱されて蒸気となる。タンク71の下部には、内部で発生した蒸気を排出する排出口73が設けられている。排出口73には、シリコンホース7aが接続されている。シリコンホース7aはスチーム噴射口8に接続している。タンク71内で発生した蒸気は、シリコンホース7aを介してスチーム噴射口8から回転ドラム3内へと噴出される。また、タンク71の下部には、タンク71の温度を計測するためのサーミスタ74,74が埋め込まれている。サーミスタ74,74は、コントロール部20に接続されており、検知した温度をコントロール部20に送信する。
【0029】
なお、スチームポンプによりスチーム発生装置7へ送り出す水量を調整することで、スチーム発生装置7から排出される蒸気の量だけでなく、蒸気の温度も調節することができる。例えば、スチーム発生装置7からの蒸気の温度が高い場合には、スチームポンプからスチーム発生装置7へ送り出す水量を多くすることで、蒸気の温度を下げることができる。
【0030】
図5は、スチーム噴射口8の構成を示す概略図である。
【0031】
スチーム噴射口8は、水槽2の開口上部で、内扉12を閉じたときに内扉12より内側となる位置に配置されている。スチーム噴射口8は、有底円筒状であって、内部には円錐形のノズル(噴射ノズル)81が配置されている。ノズル81は、スチーム噴射口8の開口部に向かって軸方向にスチームを噴出する。なお、ノズル81からのスチームの噴出方向は、水槽2の開口部の半径方向となる。また、スチーム噴射口8の開口部には、内壁の半周部分に凸部82が設けられている。凸部82は、スチーム噴射口8の内壁から開口部に向かって傾斜しており、スチーム噴射口8の開口部を軸方向から見たときにD字型となっている。ノズル81から噴射されたスチームは凸部82に当たり、図中矢印のように凸部82と反対側に折れ曲がり、スチーム噴射口8の開口部から噴出される。スチーム噴射口8は、スチームの噴出方向が回転ドラム3の略中央部分となるように凸部82の傾斜角度が設計され、水槽2に設けられている。なお、ノズル81を斜めに配置して、ノズル81から回転ドラム3の略中央にスチームが直接噴射されるようにしてもよい。また、スチーム噴射口8からスチームが噴射される方向は一例であって、適宜変更可能である。
【0032】
スチーム噴射口8の近傍にはスチーム用サーミスタ83(図3参照)が配置されている。スチーム用サーミスタ83は、スチーム噴射口8から噴出されるスチームの温度を検出する。スチームの温度を検出することで、スチーム噴射口8からスチームが適切に出てきているか、又はシリコンホース7aに破損、若しくは詰りなどの異常が生じてないか等を検出することができる。スチーム用サーミスタ83が検知した温度は、コントロール部20に送信される。なお、スチーム噴射口8から正常に噴射された場合にスチーム用サーミスタ83が検知する温度は約80℃である。
【0033】
水槽2の背面側には冷却ダクト6が接続されている。冷却ダクト6は、水槽2の背面側で上下方向に延びており、水槽2の上部に配置された排気ダクト9(図2参照)に接続されている。排気ダクト9には、何れも図示しない、空気を送出するための送風用の乾燥ファン、乾燥ファンを回転させるためのファンモータ、及び送風に混ざった糸屑を除去するフィルタが配置されている。乾燥ファンが回転した場合、水槽2内の空気が冷却ダクト6内に流入する。冷却ダクト6内には冷却給水ホース(図示せず)から供給された水により、冷却ダクト6内に流入した空気は冷却・除湿され、冷却ダクト6内を上方向に向かって流れて排気ダクト9内に流入する。
【0034】
排気ダクト9は、図2では途切れているが、前面側に向かって延びて設けられている。排気ダクト9は、外装10の前面側に設けられた給気ダクト91(図3参照)に接続されている。給気ダクト91には、給気ダクト91内の空気を加熱するためのPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ92が配置されている。水槽2の上方には、温風を吹き出す温風吹出口93が配置されており、給気ダクト91で加熱された空気は、温風吹出口93から水槽2の内部に向けて吹き出される。
【0035】
冷却ダクト6の最下部には、水温サーミスタ(図示せず)が配置されている。また、排気ダクト9内において、乾燥ファンの乾燥気流の上流側には、排気サーミスタ(図示せず)が配置されている。水温サーミスタと排気サーミスタは、コントロール部20に接続されており、水温サーミスタ及び排気サーミスタは、それぞれ温度を検知して、検知した温度をコントロール部20に送信する。
【0036】
水槽2の上方には、操作回路40が配置されている。水槽2の下方には、コントロール部20が配置されている。操作回路40は、ユーザが洗濯機1の操作をするために、外装10の外周面上に配置される操作パネル10aを操作すると、操作パネル10aから信号を受信して、水槽2の下方に配置されているコントロール部20に制御信号を送信する。操作パネル10aには、例えば外扉11のロックを解除するボタンなどが設けられている。コントロール部20は、上述したドラムモータ4、排水弁15及び循環ポンプ17等、洗濯機1の各部材に制御信号を送信して、各部材の動作を制御する。
【0037】
図6は、本実施の形態に係る洗濯機の制御ブロック図である。
【0038】
洗濯機が備える制御動作の中心となるコントロール部20は、CPU(Central Processing Unit)21、メモリ22、タイマ23及びI/O24などを含んでいる。CPU21は、洗濯機1内の各種の制御部位に対して必要な制御指示を出力する。メモリ22は、CPU21の演算を実行するために必要な情報を格納するとともに、各周辺装置を制御するための制御指示をCPU21から指示するために必要な制御プログラム等を格納する。タイマ23は、CPU21からの指示に従って、必要な計時情報を出力する。I/O24は、コントロール部20と周辺装置とのデータ通信を可能にする。
【0039】
周辺装置として、ドラムモータ4、排水弁15、循環ポンプ17、操作回路40、給水弁41、ポンプ用モータ42、ファンモータ43、水温サーミスタ44及び排気サーミスタ45などが洗濯機1に設けられている。給水弁41は開くことにより給水ダクト19を介して水槽2へ水を供給する。ポンプ用モータ42はスチーム発生装置7へ水を送り出すスチームポンプを駆動する。ファンモータ43は排気ダクト9の乾燥ファンを回転するモータである。
【0040】
また周辺装置として、回転検出センサ46、ロック機構47、庫内温度センサ48、サーミスタ74,74、スチーム用ヒータ75、スチーム用サーミスタ83、及びPTCヒータ92などが洗濯機1に設けられている。回転検出センサ46は、ドラムモータ4の回転を検出する。ロック機構47は、外扉11のロック時あるいはロック解除時に通電されると動作するラッチ式であり、運転中あるいは異常状態になったとき、外扉11が開かないようにこれをロックする。庫内温度センサ48は、水槽2内の温度を検出する。スチーム用ヒータ75は、スチーム発生装置7のタンク71を加熱する。
【0041】
CPU21は、操作パネル10aに設けられた各種操作ボタンの指示を操作回路40を介して受信し、その指示に従って所定の制御信号を各周辺装置に出力し、駆動制御する。CPU21は、所定のタイミングにおいて電磁的に開閉可能な給水弁41を開く。これにより、給水ダクト19を介して水槽2内に水等が供給される。また、CPU21は、循環ポンプ17を駆動して、内部排水ホース14から流れ込む水を循環ホース18を介して水槽2内に供給する。
【0042】
CPU21は、水温サーミスタ44が検知した冷却ダクト6内の最下部の温度を取得し、排気サーミスタ45が検知した排気ダクト9内の乾燥ファンの上流側の温度を取得する。CPU21は、水温サーミスタ44によって検知される温度と、排気サーミスタ45によって検知される温度との温度差の値から、回転ドラム3内に収容されている洗濯物30の乾燥率を算出する。また、CPU21は、PTCヒータ92を制御し、その温度を調整する。さらにCPU21は、ファンモータ43を制御し、PTCヒータ92により熱せられた空気を排気ダクト9の乾燥ファンの回転により給気ダクト91を介して水槽2内に供給する。
【0043】
CPU21は、スチーム用ヒータ75を駆動し、スチーム発生装置7のタンク71を加温すると共に、ポンプ用モータ42を所定のタイミングで駆動し、スチームポンプからスチーム発生装置7に対して水を供給する。これにより、スチーム発生装置7で発生した蒸気、すなわち、スチームがスチーム噴射口8から回転ドラム3内に噴出される。
【0044】
CPU21は、ドラムモータ4を回転制御して、回転ドラム3を回転させる。また、CPU21は、回転検出センサ46などを利用して、回転ドラム3の回転(ドラムモータ4の回転)の停止信号を出してから回転ドラム3が停止するまでの時間に基づいて、回転ドラム3内の洗濯物30の量を検知する。
【0045】
CPU21は、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程及び乾燥行程などの開始時、ロック機構47を作動させ、外扉11をロックし、終了時にロックを解除する。またCPU21は、操作パネル10aから外扉11のロックの解除を受け付けた場合、外扉11のロックを解除してよいか否かを判定し、解除してよいときはロック機構47への通電制御を行い、外扉11のロックを解除する。さらにCPU21は、回転ドラム3が回転中の場合、回転中の回転ドラム3を停止させた後にロックの解除を行う。また、CPU21は、スチーム噴射口8からスチームが噴射中の場合、スチーム発生装置7を停止させ、スチームがスチーム噴射口8から噴射されなくなったときにロックの解除を行う。
【0046】
以上のように構成された洗濯機1の動作について説明する。
【0047】
図7は、CPU21の制御内容を示すフローチャートである。CPU21は、洗濯機1の運転を開始するか否かを判定する(S1)。例えば、ユーザが外扉11及び内扉12を開き、洗濯物30を回転ドラム3へ投入した後、内扉12及び外扉11を閉じ、その後、操作パネル10aから運転開始の操作が入力さることで、CPU21は洗濯機1の運転を開始する。操作パネル10aから操作がされず、運転を開始しない場合(S1:NO)、CPU21は本処理を終了する。運転を開始する場合(S1:YES)、CPU21はロック機構47を作動させ、外扉11をロックする(S2)。外扉11をロックした後、CPU21は、洗濯乾燥運転を開始する(S3)。洗濯乾燥運転は、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程及び乾燥行程などを含む。
【0048】
洗い行程では、CPU21は給水弁41を開き、水道水を洗剤ケースを経て給水ダクト19から水槽2内に供給する。CPU21は、水位センサ(図示せず)によって水槽2内の水位が所定値になったことが検知すると、給水弁41を閉じ、循環ポンプ17を駆動する。そして、ドラムモータ4を洗い行程用の回転チャートに従って回転し、スチーム発生装置7を駆動する。CPU21は循環ポンプ17を駆動し、水槽2内に供給された水を、内部排水ホース14及び循環ホース18から、回転ドラム3内に供給する。回転ドラム3内に供給された水は、小孔31を通って水槽2内に流出し、再び循環ポンプ17によって循環させられる。CPU21は、所定の時間、循環ポンプ17を駆動した後、所定の時間が経過したときに停止させる。
【0049】
ドラムモータ4が正逆回転することで、回転ドラム3も同様に正逆回転し、回転ドラム3の内周壁面に固定して設けられたバッフル32が洗濯物30を持ち上げ、下方に落下させる動作が繰り返される。このようにして、洗い行程は、いわゆるたたき洗い効果を利用して行われる。また、CPU21は、ポンプ用モータ42を駆動してスチーム発生装置7へ適宜水を供給すると共に、スチーム用ヒータ75を駆動させ、タンク71内で供給された水を蒸発させる。スチーム発生装置7で発生した蒸気、すなわちスチームは、シリコンホース7aを通り、スチーム噴射口8から回転ドラム3内へ噴射される。これにより、洗濯物30が加温され、洗い行程における洗浄力が向上する。
【0050】
洗い行程が終了すると、CPU21は、排水弁15を開放し、外部排水ホース16より水を外装10の外へ排水する。排水後、CPU21は、中間脱水行程を実行する。中間脱水行程では、CPU21は、回転ドラム3の高速回転による遠心力によって、洗濯物30に含まれた水が回転ドラム3の周壁に設けられた小孔31を通じて水槽2の内壁面へ吐出させる。水は水槽2の内壁面を伝って下方に流下し、排水弁15を介して外部排水ホース16より外装10の外へ排水される。
【0051】
中間脱水行程が終了すると、CPU21はすすぎ行程を実行する。CPU21は、排水弁15を閉じた後、給水弁41を開放し、水道水を水槽2に供給する。CPU21は、水位センサによって水槽2内の水位が所定の値になったことが検知すると、給水弁41を閉じる。給水弁41を閉じた後、CPU21は、循環ポンプ17を所定時間駆動し、ドラムモータ4をすすぎ行程用の回転チャートに従って回転させる。すすぎ行程が終了すると、CPU21は、排水弁15を開放して、外部排水ホース16より水を外装10の外へ排水する。排水が終了すると、CPU21は中間脱水行程を実行する。
【0052】
中間脱水行程及びすすぎ行程を複数回繰り返した後、CPU21は、最終のすすぎ行程を実行する。最終のすすぎ行程では、CPU21は、給水弁41を開放し、洗剤ケースに入れられた柔軟仕上剤を、給水ダクト19から柔軟仕上剤を含んだ水として水槽2に供給する。
【0053】
最終のすすぎ行程が終了すると、CPU21は、排水弁15を開放してすすぎ液を外装10の外に外部排水ホース16より排水する。排水が終了すると、CPU21は、最終脱水行程を実行する。最終脱水行程では、中間脱水行程と同様に、回転ドラム3の高速回転による遠心力によって洗濯物30に含まれたすすぎ液が回転ドラム3の周壁に設けられた小孔31を通じて水槽2の内壁面に吐出されて外装10の外へ排水される。
【0054】
最終脱水行程が終了すると、CPU21は、乾燥行程を実行する。乾燥行程においては、CPU21は、回転ドラム3を回転させるとともに、PTCヒータ92とファンモータ43とを駆動する。なお、洗濯、乾燥行程を連続して実施する場合、最終脱水行程よりPTCヒータ92を駆動してもよい。このようにすることにより、回転ドラム3内の温度が上がり、よりよく脱水され、乾燥を効率よく実施することが可能となる。
【0055】
CPU21がPTCヒータ92とファンモータ43とを駆動させることによって、PTCヒータ92で加熱された空気は、温風吹出口93から水槽2と回転ドラム3内に吹き込む。加熱空気は、回転ドラム3内の洗濯物30を加熱した後、小孔31を通って、水槽2へと流出し、水槽2の下部から冷却ダクト6に排気される。冷却ダクト6に排気された気体は、回転ドラム3内の洗濯物30に含まれていた水分によって、湿度が高くなっている。湿気を含んだ空気は、冷却ダクト6で冷却されて、除湿される。気体から取り除かれた水分は、冷却ダクト6の下方から水槽2内に戻り、内部排水ホース14と排水弁15と外部排水ホース16を通って外装10から排水される。冷却ダクト6で除湿された空気は、排気ダクト9を通って給気ダクト91に戻り、PTCヒータ92で加熱される。
【0056】
また、乾燥行程では、CPU21はスチーム発生装置7を作動させ、スチーム発生装置7で発生した蒸気、すなわちスチームを、スチーム噴射口8から回転ドラム3内へ噴射させる。乾燥行程において、洗濯物30にスチームを吹き付けることで、洗濯物30の固着したしわをとり、ふんわりと、すなわち、衣類の弾性を保ち、肌触り又は風合いを良好に乾燥させることができる。
【0057】
CPU21は、洗濯乾燥運転が終了したか否かを判断する(S4)。洗濯乾燥運転が終了した場合(S4:YES)、CPU21は、庫内温度センサ48が検知した水槽2内の温度を取得し、水槽2内の温度が所定温度以上であるか否かを判定する(S5)。所定温度とは、例えばユーザが水槽2内に手を突っ込んでも火傷しない程度の温度であり、予め設定されている。所定温度以上の場合(S5:YES)、CPU21はS5を繰り返す。所定温度以上でない場合(S5:NO)、CPU21は外扉11のロックを解除し(S6)、本処理を終了する。
【0058】
洗濯乾燥運転が終了してない場合(S4:NO)、CPU21は、ユーザにより操作パネル10aが操作され、外扉11のロック解除の操作を受け付けたか否かを判定する(S7)。ロック解除の操作を受け付けていない場合(S7:NO)、CPU21は、S3に戻り、洗濯乾燥運転を続行する。ロック解除の操作を受け付けた場合(S7:YES)、CPU21は、後述のロック解除処理を実行する(S8)。ロック解除処理は、洗濯機1の動作中に外扉11のロック解除を行うための処理である。CPU21はロック解除処理を行った後、外扉11のロックを解除し(S6)、本処理を終了する。なお、CPU21は、ロック解除処理を終了する場合、回転ドラム3が回転していれば、ドラムモータ4を停止させて回転ドラム3の回転を停止させる。
【0059】
図8は、ロック解除処理を示すフローチャートである。
【0060】
ロックを解除の操作を受け付けたCPU21は、庫内温度センサ48が検知した水槽2内の温度を取得し、水槽2内の温度が所定温度以上であるか否かを判定する(S11)。所定温度は、図7のS5で説明した所定温度と同じである。水槽2内の温度が所定温度以上である場合(S11:YES)、CPU21はクーリング動作を実行する(S17)。クーリング動作とは、水槽2内の温度を低下させるための動作であり、例えば、排気ダクト9のファンモータ43を駆動して、冷却ダクト6内に水槽2内の空気を流入させて、冷却する。その後、CPU21は図7のS6に移行し、外扉11のロックを解除する。これにより、ユーザは火傷することなく水槽2内から洗濯物30を取り出すことができる。
【0061】
水槽2内の温度が所定温度以上でない場合(S11:NO)、CPU21は、スチーム噴射口8からスチームが噴射中であるか否かを判定する(S12)。CPU21は、例えばスチーム発生装置7に給水していればスチーム噴射口8からスチームが噴射中であると判定する。スチームが噴射中でない場合(S12:NO)、CPU21は図7のS6に移行し、外扉11のロックを解除する。この場合、水槽2内が高温でなく、スチーム噴射口8からスチームが噴射していないため、ユーザは火傷することなく水槽2内から洗濯物30を取り出すことができる。
【0062】
スチームが噴射中である場合(S12:YES)、CPU21は、サーミスタ74,74が検出したスチーム発生装置7の温度Te0を取得する(S13)。温度Te0は、具体的にはスチーム発生装置7のタンク71の温度である。またCPU21は、スチーム用サーミスタ83が検出したスチーム噴射口8の温度Tn0を取得する(S14)。
【0063】
次に、CPU21は、後述する残水除去処理を実行する(S15)。残水除去処理は、スチーム発生装置7のタンク71内に水が残っているか否かを判定する処理である。残水除去処理でタンク71内に水が残っていないと判定した場合、CPU21は、後述するスチーム除去処理を実行する(S16)。スチーム除去処理は、シリコンホース7a内にスチームが残っているか否かを判定する処理である。スチーム除去処理でシリコンホース7a内に水が残っていないと判定した場合、CPU21は図7のS6に移行し、外扉11のロックを解除する。
【0064】
図9は、残水除去処理を示すフローチャートである。
【0065】
CPU21は、ポンプ用モータ42を停止させ、スチームポンプからスチーム発生装置7への給水を停止する(S20)。CPU21は、給水を停止してからの経過時間tの測定を開始する(S21)。次に、CPU21は100msecが経過するまで待機する(S22)。所定時間(100msec)待機することで、タンク71内に残っている水を蒸発させる。その後、CPU21はサーミスタ74,74が検出したタンク71の温度Temを取得する(S23)。mは自然数あり、タンク71の温度の検出回数を示す。例えば、残水除去処理を実行してから初めに検出したタンク71の温度は、温度Te1となり、以下温度Te2、Te3、、となる。
【0066】
CPU21は、給水停止後のタンク71の温度上昇率ΔTemを算出する(S24)。上昇率ΔTemは、時間差で取得した温度Temを用いて、(Tem−Te(m−1))/dtで算出される。例えば、温度Te1を取得した場合、図8のS13で取得した給水停止時のタンク71の温度Te0を用いて、上昇率ΔTemは(Te1−Te0)/dtとなる。なお「dt」は、温度Te(m−1)を検出してから温度Temを検出するまでの時間である。
【0067】
CPU21は、算出した上昇率ΔTemが所定値Td以上であるか否かを判定する(S25)。所定値Tdは、タンク71内が空の場合におけるスチーム用ヒータ75の温度上昇率であって、タンク71内が空であるか否かを判定するための閾値である。所定値Tdは、例えばスチーム用ヒータ75の熱容量と、タンク71に供給される水量とから予め設定されている。タンク71内が空である場合には、上昇率ΔTemは所定値Td以上となり、タンク71内に水が残存している場合には、水に熱量が奪われるため、上昇率ΔTemは所定値Td以上とならない。
【0068】
上昇率ΔTemが所定値Td以上の場合(S25:YES)、CPU21は、タンク71の水が空である、すなわちタンク71に供給された水が全て蒸発して、タンク71からシリコンホース7aへと排出されたと判定し、本処理を終了する。その後、CPU21は、図8のS16へと移行する。上昇率ΔTemが所定値Td以上でない場合(S25:NO)、CPU21は、タンク71の水が空でないと判定する。その後、CPU21は、S21で時間tを計測してから10sec以上経過したか否かを判定する(S26)。
【0069】
10sec以上経過していない場合(S26:NO)、CPU21はS22を再実行する。10sec以上経過した場合(S26:YES)、CPU21は図7のS6に移行し、外扉11のロックを解除する。S26における10secは、例えばタンク71内の水が蒸発しつくされ、かつ、シリコンホース7a内に蒸気が残らないようスチーム噴射口8からスチームが噴出されつくされるまでの時間であり、予め推定されて設定されている。すなわち、CPU21は、上昇率ΔTemが所定値Td以上となっていなくても、10secを経過していれば、外扉11のロックを解除する。
【0070】
図10は、スチーム除去処理を示すフローチャートである。
【0071】
CPU21は、スチーム用ヒータ75を停止する(S30)。次に、CPU21は、100msecが経過するまで待機する(S31)。100msec待機することで、シリコンホース7a内に残っているスチームをスチーム噴射口8から噴射させる。CPU21はスチーム用サーミスタ83が検出したスチーム噴射口8の温度Tnmを取得する(S32)。mは自然数あり、スチーム噴射口8の温度の検出回数を示す。例えば、スチーム除去処理を実行してから初めに検出したスチーム噴射口8の温度は、温度Tn1となる。
【0072】
CPU21は、給水停止時のスチーム噴射口8の温度との温度差ΔTnmを算出する(S33)。温度差ΔTnmは、取得した温度Tnmと、図8のS14で取得した温度Tn0とから、Tn0−Tnmで算出される。スチーム発生装置7への給水停止後、スチーム噴射口8の温度は時間の経過と共に低下するため、温度Tnmは時間と共に低下する。従って、温度差ΔTnmは算出する都度大きくなる。
【0073】
CPU21は、算出した温度差ΔTnmが20℃以上であるか否かを判定する(S34)。20℃以上である場合(S34:YES)、CPU21は、シリコンホース7a内にスチームが残っていないと判定し、本処理を終了する。その後、CPU21は、図7のS6に移行し、外扉11のロックを解除する。温度差ΔTnmが20℃以上でない場合(S34:NO)、時間が経過してもスチーム噴射口8の温度が低下していないため、CPU21は、シリコンホース7a内に残っているスチームがスチーム噴射口8から噴出し続けていると判定する。
【0074】
その後、CPU21は、図9のS21で時間tを計測してから10sec以上経過したか否かを判定する(S35)。10sec以上経過した場合(S35:YES)、CPU21は図7のS6に移行し、外扉11のロックを解除する。すなわち、CPU21は、変化率ΔTnmが20℃以上となっていなくても、所定時間(10sec)経過していれば、外扉11のロックを解除する。10sec以上経過していない場合(S35:NO)、CPU21はS31を再実行する。
【0075】
以上のように、スチーム発生装置7で発生した蒸気、すなわちスチームがスチーム噴射口8から噴射しなくなってから外扉11のロック解除を行うことで、ユーザが火傷することを回避することができる。また、タンク71内に水が残っていなくても、シリコンホース7a内に発生したスチームが残っている可能性があるため、スチーム除去処理を行うことで、スチームによるユーザの火傷をより確実に回避することができる。さらに、タンク71内に水が残っている場合、又はシリコンホース7a内にスチームが残っている場合であっても、十分な時間(10sec)が経過したときには、発生したスチームはスチーム噴射口8から噴出し尽くしたと判定することで、無駄な処理を省略することができる。その結果、処理時間の短縮化を図ることができる。
【0076】
(実施形態2)
次に、本発明に係る洗濯機の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る洗濯機は、CPU21の制御内容、具体的にはロック解除処理が第1の実施の形態と相違する。以下、CPU21が実行するロック解除処理についてのみ説明する。なお、図7に示すCPU21の制御内容は、第1の実施形態と同様であるため説明は省略する。
【0077】
図11は、ロック解除処理を示すフローチャートである。
【0078】
CPU21は、図7に示す処理を実行し、図7のS8におけるロック解除処理を実行する場合、まずスチーム噴射口8からスチームが噴射中であるか否かを判定する(S40)。スチームが噴射中でない場合(S40:NO)、CPU21は、庫内温度センサ48が検知した水槽2内の温度を取得し、水槽2内が所定温度以上であるか否かを判定する(S41)。所定温度は、図7のS5で説明した所定温度と同じである。水槽2内が所定温度以上でない場合(S41:NO)、CPU21は図7のS6に移行し、外扉11のロックを解除する。水槽2内が高温でなく、スチーム噴射口8からスチームが噴射していないため、ユーザは火傷することなく水槽2内から洗濯物30を取り出すことができる。
【0079】
一方、水槽2内の温度が所定温度以上である場合(S41:YES)、CPU21はクーリング動作を実行する(S42)。その後、CPU21は図7のS6に移行し、外扉11のロックを解除する。これにより、ユーザは火傷することなく水槽2内から洗濯物30を取り出すことができる。
【0080】
スチームが噴射中である場合(S40:YES)、CPU21は、サーミスタ74,74が検出したスチーム発生装置7(具体的にはタンク71)の温度Te0を取得する(S43)。またCPU21は、スチーム用サーミスタ83が検出したスチーム噴射口8の温度Tn0を取得する(S44)。次に、CPU21は、後述する残水除去処理を実行する(S45)。残水除去処理でタンク71内に水が残っていないと判定した場合、CPU21は、庫内温度センサ48が検知した水槽2内の温度を取得し、水槽2内が所定温度以上であるか否かを判定する(S46)。水槽2内が所定温度以上の場合(S46:YES)、CPU21は、後述するスチーム除去処理を実行する(S48)。スチーム除去処理でシリコンホース7a内に水が残っていないと判定した場合、CPU21は図7のS6に移行し、外扉11のロックを解除する。
【0081】
一方、水槽2内が所定温度以上でない場合(S46:NO)、CPU21は、スチーム用ヒータ75を停止し(S47)、クーリング動作を実行する(S42)。その後、CPU21は図7のS6に移行し、外扉11のロックを解除する。本実施の形態では、CPU21は、残水除去処理の後、水槽2内が高温の場合はスチーム除去処理を行わない。水槽2内が高温の場合、CPU21はクーリング動作を行うため、斯かる動作を行っている間にシリコンホース7a内に残っているスチームがスチーム噴射口8から噴射され、シリコンホース7a内にはスチームが残っていないと判定する。スチーム除去処理を行わないことで、不要な処理を省略でき、処理時間の短縮化を図ることができる。
【0082】
図12は、残水除去処理を示すフローチャートである。
【0083】
CPU21は、ポンプ用モータ42を停止させ、スチームポンプからスチーム発生装置7への給水を停止する(S50)。CPU21は、給水を停止してからの経過時間t1の測定を開始する(S51)。次に、CPU21は、100msecが経過するまで待機する(S52)。そしてCPU21はサーミスタ74,74が検出したタンク71の温度Temを取得する(S53)。
【0084】
CPU21は、給水停止後のタンク71の温度上昇率ΔTemを算出する(S54)。CPU21は、算出した上昇率ΔTemが所定値Td以上であるか否かを判定する(S55)。上昇率ΔTemが所定値Td以上の場合(S55:YES)、CPU21は、タンク71の水が空である、すなわちタンク71に供給された水が全て蒸発して、タンク71からシリコンホース7aへと排出されたと判定し、本処理を終了する。その後、CPU21は、図11のS46へと移行する。上昇率ΔTemが所定値Td以上でない場合(S55:NO)、CPU21は、タンク71の水が空でないと判定する。その後、CPU21は、S51で時間t1を計測してから5sec以上経過したか否かを判定する(S56)。
【0085】
5sec以上経過していない場合(S56:NO)、CPU21はS52を再実行する。5sec以上経過した場合(S56:YES)、CPU21は図11のS46へと移行する。所定時間(5sec)は、例えばタンク71内の水が蒸発しつくされるまでの時間であり、予め推定されて設定されている。すなわち、CPU21は、上昇率ΔTemが所定値Td以上となっていなくても、所定時間(5sec)経過していれば、タンク71内に水が残存していないと判定する。
【0086】
図13は、スチーム除去処理を示すフローチャートである。
【0087】
CPU21は、スチーム用ヒータ75を停止する(S60)。CPU21は、スチーム用ヒータ75を停止してからの経過時間t2の測定を開始する(S61)。次に、CPU21は、100msecが経過するまで待機する(S62)。次に、CPU21はスチーム用サーミスタ83が検出したスチーム噴射口8の温度Tnmを取得する(S63)。
【0088】
CPU21は、給水停止時のスチーム噴射口8の温度との温度差ΔTnmを算出する(S64)。温度差ΔTnmは、Tn0−Tnmで算出される。CPU21は、S63で取得した温度Tnmが80℃未満であり、かつ、算出した温度差ΔTnmが20℃以上であるか否かを判定する(S65)。上述のようにスチーム噴射口8から正常にスチームが噴射されている場合、スチーム用サーミスタ83が検出する温度は約80℃である。このため、スチーム用ヒータ75の停止後には、温度Tnmは80℃から徐々に低下し、80℃未満となった場合には、スチーム発生装置7で発生した蒸気、すなわちスチームは徐々にスチーム噴射口8から噴出していると判定できる。
【0089】
温度Tnmが80℃未満、かつ、温度差ΔTnmが20℃以上である場合(S65:YES)、CPU21は、シリコンホース7a内にスチームが残っていないと判定し、本処理を終了する。その後、CPU21は、図7のS6に移行し、外扉11のロックを解除する。温度Tnmが80℃未満、かつ、温度差ΔTnmが20℃以上でない場合(S65:NO)、時間が経過してもスチーム噴射口8の温度が低下していないため、CPU21は、シリコンホース7a内に残っているスチームがスチーム噴射口8から噴出し続けていると判定する。
【0090】
その後、CPU21は、図13のS61で時間t2を計測してから5sec以上経過したか否かを判定する(S66)。所定時間(5sec)は、例えばシリコンホース7a内のスチームがスチーム噴射口8から噴射しつくされるまでの時間であり、予め推定されて設定されている。5sec以上経過した場合(S66:YES)、温度Tnmが80℃未満、かつ、温度差ΔTnmが20℃以上でなくてもシリコンホース7a内にスチームが残っていないと判定し、図7のS6に移行し、外扉11のロックを解除する。5sec以上経過していない場合(S66:NO)、CPU21はS62を再実行する。
【0091】
以上説明したように、上述の実施の形態では、外扉11のロックを解除する場合、スチーム発生装置7を停止させ、停止後、タンク71内に水が残っていない場合、及びシリコンホース7a内にスチームが残っていない場合に、外扉11のロックを解除する。これにより、スチーム発生装置7の停止前までに発生したスチームがスチーム噴射口8から噴射されることで、ユーザが火傷することを防止できる。
【0092】
以上、本発明の好適な実施の形態について、具体的に説明したが、各構成及び動作等は適宜変更可能であって、上述の実施の形態に限定されることはない。例えば、上述の実施の形態で具体的に示した数字は一例であって、これに限定されることはない。また、上述の実施の形態では、残水除去処理及びスチーム除去処理を行って、外扉11のロック解除の可否を判定しているが、何れか一方の処理のみを行って判定してもよい。また、洗濯機1が備える各部、例えばスチーム発生装置7の構成及び各部の動作などは、上述の実施の形態に限定されることなく、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 洗濯機
2 水槽
3 回転ドラム(収容槽)
4 ドラムモータ
7 スチーム発生装置(蒸気発生装置)
7a シリコンホース(経路)
8 スチーム噴射口
11 外扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯又は乾燥の対象物を出し入れする開口部を有する収容槽と、該収容槽の開口部を開閉する扉とを備え、自身の動作に応じて前記扉を閉じた状態にロックし、又はロックを解除する洗濯機において、
蒸気を発生させる蒸気発生装置と、
該蒸気発生装置が発生させた蒸気を前記収容槽内に噴射する噴射ノズルと、
ロックの解除の要求を受け付ける手段と、
前記要求を受け付けた場合、前記噴射ノズルから蒸気が噴射しているか否かを判定する手段と、
前記噴射ノズルから蒸気が噴射していると判定した場合、前記蒸気発生装置による蒸気の発生を停止させる手段と、
蒸気の発生を停止させた場合、前記蒸気発生装置が発生させた蒸気が前記噴射ノズルから噴射されたか否かを判定する判定手段と、
蒸気が噴射されたと判定した場合、前記扉のロックを解除する解除手段と
を備えることを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
前記蒸気発生装置は、
水が供給される貯水部と、
該貯水部に供給された水を加熱するヒータと
を有しており、
前記ヒータが水を加熱することで発生した蒸気を前記貯水部から前記噴射ノズルに導く経路を
さらに備え、
前記判定手段は、
前記貯水部内に水が残っているか否かを判定する残水判定手段、及び、
前記経路内の蒸気が前記噴射手段から噴射されたか否かを判定する手段
を有していることを特徴とする請求項1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記貯水部内の温度を随時測定する手段と、
測定した温度が上昇している場合、温度の上昇率を算出する手段と
をさらに備えており、
前記残水判定手段は、
算出した上昇率に基づいて前記貯水部内に水が残っているか否かを判定するようにしてある
ことを特徴とする請求項2に記載の洗濯機。
【請求項4】
前記残水判定手段は、
蒸気の発生を停止させてからの経過時間に基づいて前記貯水部内に水が残っているか否かを判定するようにしてある
ことを特徴とする請求項2に記載の洗濯機。
【請求項5】
前記収容槽内の温度を測定する手段と、
前記収容槽内の温度が所定温度以上である場合、前記解除手段によるロックの解除を禁止する手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1から4の何れか一つに記載の洗濯機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2011−67299(P2011−67299A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−219789(P2009−219789)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】