説明

活性度および拡散の改良のための選択化分子篩触媒の高温焼成

【課題】触媒の拡散抵抗を減少させずに選択化分子篩の酸活性度を改良する手段の提供。
【解決手段】形状選択性炭化水素変換に関する触媒分子篩を改良する方法は以下を含む。a)シリコン含有選択化薬剤と接触させることによって、前記触媒分子篩を選択化すること、およびb)700℃より高い温度を含む高温焼成条件で選択化された触媒分子篩を焼成すること、その条件はアルファ値によって測定される酸活性度を減少させ、かつ2,3-ジメチル捕捉速度によって測定される前記触媒分子篩の拡散障壁を増大させるのに充分であること。本発明においては、シリカ結合ZSM-5のような触媒分子篩の製造、たとえば、キシレン異性化、エチルベンゼン変換および芳香族不均化、たとえばトルエン不均化などの芳香族異性化のような炭化水素変換プロセスにおけるそれらの使用なども開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択化したゼオライト炭化水素変換触媒の酸活性度と拡散制限を改良するための処理、並びにそのように改良された触媒、および形状選択性炭化水素変換におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
拡散面で改良した触媒は、多くの形状選択性の炭化水素プロセスの応用において用途を見出す。より望ましい生成物(および究極の生成物スレート)に対する選択性は、拡散的に制限された触媒を用いて改良することができる。質量輸送選択性はゼオライトチャネルにおける関与分子の拡散係数の大きな相違から生じる。一方、遷移状態選択性は触媒変換ステップの可能な遷移状態を制限する立体的束縛から生じる。拡散的に改良した触媒の利点は触媒脱蝋(だつろう)、オレフィン・アルキル化、形状選択性クラッキング、並びに芳香族付均化、たとえばトルエン付均化、芳香族異性化、たとえばキシレン異性化、およびパラ選択性芳香族アルキル化のような芳香族変換プロセスを含む石油/石油化学工業プロセスにおいて特に有用である。これらの反応に関して最適酸性度は実質的に変化しうる。選択性芳香族付均化プロセス、たとえばトルエン付均化プロセスに関して、高酸性度(700アルファ)は高付加価値製品を生産できる。選択性エチルベンゼン変換プロセスは中間の酸性度(−50〜150アルファ)で最適化され、一方脱蝋およびパラ選択性芳香族アルキル化プロセスはより低い酸活性度(−5〜25アルファ)を好む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
多重シリカ処理を経由して改良した触媒のような、実験室内選択化触媒はこれらのプロセスに関して特に魅力的である。何故なら、最適性能のために要求される拡散障壁は選択反応に関する利用に先立ち存在するからである。現在高酸性活性ゼオライト触媒は多重選択化シーケンスの基礎として使うことができる。たとえば、1000アルファ触媒は、高酸活性トルエンを生産するために使われ、幾つかの選択化処理の後でも約700のアルファ値を持つ。一方他の応用のために拡散的に改良された触媒は上述したようにより低い酸性活性度を必要とすることもある。
【0004】
触媒の酸性活性度を減少させるためにスチーミング(蒸気処理)が使われてきた。ある適用に関して必要とされるより低い酸性活性度に対してシリカ選択化触媒をスチーミングすることは、拡散障壁を減少させ、おそらくスチーミング中にシリカ拡散障壁のマイグレーションから生じる。
【0005】
従って、ゼオライト触媒活性度を改良する方法を提供することは望ましく、それは、その結果生じる触媒の拡散障壁を減少しない。酸活性度減少させ、一方で改良触媒の拡散障壁を維持するか増加させる拡散的に制限された触媒を提供するために、ゼオライトを改良するための方法を提供することはさらに望ましい。
【0006】
ベック(Beck)らのU.S.特許番号5,849,968は、石英質材料で選択化し、イオン交換条件の下でアルカリ土類金属イオンを含む水溶液で処理したゼオライト触媒を用いた、形状選択性炭化水素変換のためのプロセスを開示している。選択化の後で、ゼオライトは200℃より高く、700℃未満の温度で焼成される。ラゴ(Lago)らのU.S.特許番号5,610,112は、触媒の外面上でシリコン化合物を積層するために先選択化によって触媒分子篩を改良し、その後で600℃未満の温度で1〜24時間焼成するプロセスを開示している。その触媒はその後、選択性の改善をするために200℃〜538℃でスチーミングされる。チャング(Chang)らのU.S.特許番号5,726,114は、水溶性乳剤において選択化薬剤で分子篩を飽和させることを含む少なくとも一つの実験施設内選択化シーケンスを行い、600℃以下の温度で飽和した分子篩を焼成することによって形状選択性を増大させるために、触媒分子篩を改良するための方法を開示している。ツァオ(Tsao)のU.S.特許番号5,384,296は、湿った空気中で少なくとも600℃で焼成の結果として貴金属アグロメレーション耐性を増加した熱的に安定した貴金属含有ゼオライトを開示している。チュー(Chu)らのU.S.特許番号5,034,362は、芳香族変換反応に関して有用である少なくとも649℃の温度で焼成された改良した形状選択性を有するゼオライト触媒成分を開示している。これらの開示物のどれも、改良触媒の拡散抵抗を減少させずに選択化分子篩の酸活性度を改良するための手段として、非常に高温度の焼成の使用を教示も示唆もしていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(本発明の概要)
本発明は、たとえば、形状選択性炭化水素変換に関して、触媒分子篩を改良するための方法に関するもので、次を含む。
【0008】
a)シリコン含有選択化薬剤と接触させることによって、前記触媒分子篩を選択化すること、および
b)700℃より高い温度を含む高温焼成条件で選択化触媒分子篩を焼成することであって、その条件はアルファ値によって測定された酸活性度を減少させるのに充分であり、また、2、3ジメチルブタン捕捉速度によって測定される前記触媒分子篩の拡散障壁を増加させ、選択化触媒と比較して、たとえば少なくとも25%、少なくとも35%、少なくとも50%あるいはそれ以上までに、前記拡散障壁を増大させるのに充分であること。
【0009】
別の観点において、本発明は次を含む形状選択性炭化水素変換のための方法に関する。
【0010】
i)シリコン含有選択化薬剤と接触させることによって触媒分子篩を選択化すること、
ii)700℃より高い温度を含む高温焼成条件で選択化触媒分子篩を焼成することであって、高温焼成触媒分子篩を提供するために、その条件は、その選択化触媒分子篩と比較して、アルファ値によって測定された酸活性度を減少させるのに充分であり、また、2、3ジメチルブタン捕捉速度によって測定される前記触媒分子篩の拡散障壁を増加させるのに充分であること、および
iii)炭化水素変換条件下で炭化水素供給材料を前記高温焼成触媒分子篩と接触させること。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(本発明の詳細な説明)
本発明のさらなる適用範囲はこの後の詳細説明から明確になるであろう。しかし、詳細説明と特定の実施例、それは本発明の好適な実施形態を示すが、イラスト図のみの方法によって与えられ、本発明の思想および範囲以内で種々の変更と改良はこの詳細な説明から当業者にとっては明らかになるだろう。
【0012】
(触媒)
本発明で用いられる触媒分子篩はゼオライトであるが、たとえば1〜12の近似範囲以内で束縛指数を有し、アルミナに対してシリカのモル比が少なくとも約5、たとえば、少なくとも約12、少なくとも20を有する、中間的細孔サイズのゼオライト(たとえば、約5オングストロームから7オングストローム未満までのような、約7オングストローム未満の細孔サイズを有するゼオライト)である。
【0013】
参照するアルミナに対するシリカのモル比は伝統的な解析によって決定しても良い。このモル比は、できるだけ厳密に、ゼオライト結晶の堅いアニオン骨格においてモル比を表し、チャネル内のバインダーまたはカチオンまたは他の形式においてシリコンやアルミニウムを排除する。
【0014】
この発明において有用な中間細孔サイズのゼオライトの例は、ZSM-5(U.S.特許番号3,702,886とU.S.特許番号Re.29,948)、ZSM-11(U.S.特許番号3,709,979)、ZSM-5/ZSM-11中間物(U.S.特許番号3,832,449)、ZSM-12(U.S.特許番号3,832,449)、ZSM-22(U.S.特許番号4,556,477)、ZSM-23(U.S.特許番号4,076,842)、ZSM-35(U.S.特許番号4,016,245)、ZSM-48(U.S.特許番号4,397,827)、ZSM-50(U.S.特許番号4,640,829)、ZSM-57(U.S.特許番号5,046,685)、および/またはZSM-58(U.S.特許番号5,417,780)。
【0015】
本発明の幾つかの実施形態において使用に適する他のゼオライトは、ゼオライトベータ、MCM-22(U.S.特許番号5,304,968)、MCM-36(U.S.特許番号5,292,698)、MCM-49(U.S.特許番号5,236,575)、MCM-56(U.S.特許番号5,362,697)モルデン沸石、MCM-58(U.S.特許番号5,437,855)、人造および天然ホージャサイト、並びにMCM-41(U.S.特許番号5,098,684)のようなアモルファスまたは秩序性メソ多孔性材料を含む。
【0016】
本発明と関連して有用性を見出す付加的な分子篩は、アルミノ燐酸エステル(たとえば、ALPO-5、VPI-5)、シリコアルミノ燐酸エステル(たとえば、SAPO-5、SAPO-11、SAPO-30、SAPO-31、SAPO-34)及び他の金属アルミノ燐酸エステルを含む。これらは、U.S.特許番号4,440,871、4,554,143、4,567,029、4,666,875、及び4,742,033に色々述べられている。
【0017】
本発明における有用性を見出すさらに付加的な分子篩は、ITQ-2、ITQ-3(U.S.特許番号6,500,404において記載されている)、ITQ-12(U.S.特許番号6,471,939において記載されている)、及びITQ-13(U.S.特許番号6,471,941において記載されている)を含む。これらのゼオライトの合成法の構造タイプとレファレンスは「ゼオライト骨格タイプの図表」(国際ゼオライト学会の構造委員会のために刊行された)において見つけることができる。Ch.Caerlocher、W.M.Meier、及びD.H.Olsonにより、Elsevierによって刊行された、第5版、2002、それは参照することによって含まれる。上述したゼオライトの構造タイプとレファレンスは、www.iza-structure.orgでワールド・ワイド・ウエッブ上で利用できる。そのようなゼオライトはゼオリスト・インターナショナル社から商業的に利用もできる。
【0018】
(アルファ値の測定)
触媒のアルファ値は、標準触媒と比較して、触媒の接触分解活性度の近似的指示値であり、それは相対速度定数(単位時間当たり、触媒の体積当たりの標準ヘキサン変換速度)を与える。それはアルファが1(速度定数=0.016sec-1)とみなされるシリカ・アルミナ・クラッキング用触媒の活性度に基づく。アルファ試験はUS特許番号3,354,078、並びにジャーナル・オブ・キャタリシスの4,522-529(1965)、6,278(1966)、及び61,395(1980)に記載されていて、その記述に関して参照することによって各々がこの中に含まれている。多くの酸触媒反応に関する固有速度定数は、特別な結晶質シリケート触媒に関するアルファ値に比例する。(酸性アルミノシリケート触媒の活性サイトを参照、ネイチャー、Vol.309,No.5959,589-591,(1984))この中で使われる試験の実験条件は、ジャーナル・オブ・キャタリシスの61,395(1980)に詳細に記載されているように、538ECの一定温度と可変の流速を含む。本発明のプロセスにおいて用いられる触媒は、700より小さいアルファ値(好適には25〜200もっと言えば75〜150、5〜25(芳香族アルキル化のような低酸活性プロセスに関して))、及びシリカ・アルミナ比が100未満で好適には20〜80を持つことが可能である。触媒のアルファ値は、最初に硝酸で触媒を処理したり、またはU.S.特許番号4,326,994において論じられているように選択化の前のマイルド・スチーミングによって、増加する可能性もある。一般に、本発明は、それが使用されるような特定の応用にアルファ値を適合させるために、触媒の拡散障壁を顕著に減少させずに(たとえば、5または10%より多い程度までに)、触媒のアルファ値を減少させることに関する。実際に、たいていの場合において、アルファ値は減少し、一方拡散障壁を実際に増大させる。このことは、アルファ値を減少させるためのスチーミングが拡散障壁を顕著に減少させるので、触媒選択化と活性度を制御する際において重要な改良を表す。
【0019】
(拡散障壁の測定)
この中で使われるように、特殊なポーラス結晶材料の拡散パラメーターはD/(r2x106)として定義される。ここでDは拡散係数(cm2/sec)でrは結晶半径(cm)である。必要な拡散パラメーターは、プレイン・シート・モデルが拡散プロセスを説明するという仮定がなされるならば、収着の測定から導くことができる。この結果、与えられた収着物負荷(sorbate loading)Qに関して、値Q/Q、は(Dt/r2)1/2に数学的に関係する。ここで、Qは平衡収着物負荷であり、tは収着物負荷Qに達するのに必要な時間(sec)である。グラフ的な解は、「拡散の数学」(オックスフォード大学出版、エリ・ハウス、ロンドン、1957)の中でクランク(J.Crank)によって与えられている。
【0020】
静的および動的な吸着の測定を実行するための装置と方法は、G.R.Landolt,Anal.Chem.(1971)43,613およびA.W.Cheter,「幾つかの高シリカ・ゼオライトの炭化水素吸着特性」(Stud.Surf.Science&Catal.28,p.547)高温焼成から生ずる拡散障壁の変化は、上述のように拡散パラメーターを観測することによりモニターできる。その値は収着質2,3-ジメチルブタン(または低い拡散障壁に関しては、2,2-ジメチルブタン)の捕捉速度に基づく。拡散媒体の平衡キャパシティ平板形状を有する細孔体におけるクランクの解に従って決定される。適当な調整をすると、平衡キャパシティはもっと急速に拡散する分子、たとえばn-ヘキサンの値から見積もることもできる。n-ヘキサン等温線は90℃で測定され、75トールで収着される量は収着キャパシティとみなされる。2,3-ジメチルブタンを用いて拡散係数の測定値を得るための名目の実験条件は120℃で44トールである。2,3-ジメチルブタンの捕捉重量と時間の平方根との関係がプロットされ、その反応速度が得られ、D/(r2x106)が計算される。
【0021】
(触媒結合剤)
本発明の触媒は担体または結合材料(結合剤)と組み合わせてオプションとして使うことができる。その結合剤は好適には、ポーラス無機酸化物担体または土性(clay)結合剤のような、不活性で非アルミナ含有材料である。そのような好適な無機酸化物の一つはシリカである。そのような結合剤の他の例は、ジルコニア、マグネシア、チタニア、トリアおよびボリアを含むが、それに限定されない。これらの材料は乾燥無機酸化物ゲルの形態において、またはゲル化沈殿として、利用できる。土性結合材料の適切な例は、ベントナイトや珪藻土を含むが、それに限定されない。結合材料に対して利用できる触媒の相対的比率は、約30重量%から約98重量%である。結合剤に対して、約50重量%から約80重量%までの触媒の比率は、もっと好適である。結合した触媒は押出し成形品、ビーズまたは流動性微小球の形態になることができる。
【0022】
(陽イオン交換ゼオライト)
触媒は水素と結合しても良い。たとえば、水素交換ゼオライト。或いは、触媒は水素付加成分と結合しても良い。(水素付加-脱水素成分、たとえば水素付加金属)そのような成分の例は、酸化物、水酸化物、硫化物、またはVIIIA族金属(すなわち、Pt、Pd,Ir,Rh,Os,Ru,Ni,CoおよびFe)VIIA族金属(すなわち、Mn,Tc,およびRe)、VIA族金属(すなわち、Cr,Mo,およびW)、VB族金属(すなわち、SbおよびBi)、IVB族金属(すなわち、SnおよびPb)、IIB族金属(すなわち、GaおよびIn)、IIA族金属(たとえば、Zn)およびIB族金属(すなわち、Cu,AgおよびAu)の遊離金属(すなわち、ゼロ価)を含む。貴金属(すなわち、Pt,Pd,Ir,Rh,OsおよびRu)は好適な水素付加成分である。PtとSnとの組合せのような、貴金属または非貴金属の触媒的形態の結合を使うこともできる。その金属は還元的原子価状態であっても良い。たとえば、この成分が酸化物または水酸化物の形態にある時である。水素のような還元剤が反応に対する供給材料に含まれている時に、この金属の還元的原子価状態が、内部的に、反応の進行中に得られることもある。
【0023】
イオン交換、含浸または物理的混和のような技術的に知られた方法によって、触媒へ水素付加成分を組込むこともできる。たとえば、個々の成分を結合するのに充分な条件下において、触媒の選択化の前後のどちらかで、適当な金属塩の溶液を残留触媒成分と接触させることもできる。金属含有塩は水溶性であっても良い。そのような塩の例は、塩化白金酸、テトラアミン白金錯体、塩化白金、硫酸すず、及び塩化すずを含む。金属は、Pt(NH3)22+のような陽イオン、陰イオンまたは中性錯体の形態で結合することもでき、このタイプの陽イオン錯体はゼオライト上で金属交換するのに好都合であると分るだろう。たとえば、白金調整触媒は、触媒をアンモニウム形態に変換するために、触媒を硝酸アンモニウム溶液に添加することにより生成することができる。その触媒は、その後でテトラアミン白金(II)硝酸塩またはテトラアミン白金(塩化物II)と接触する。バナジウム酸塩またはメタタングステン酸塩のような陰イオン錯体も金属をゼオライトに含浸するのに有用である。US特許番号4,312,790に従って結合を行っても良いし、これを参照することにより本書に含まれている。金属の結合の後で、触媒はろ過され、水で洗浄され、約250℃から約500℃までの温度で焼成することができる。
【0024】
水素付加成分の量は、充分な水素付加または脱水素化条件下で、有機化合物を触媒的に水素付加したり、脱水素をしたりするために、全部の触媒の触媒能を分与するか増加させるくらいの量であっても良い。たとえば、エチレンに水素付加してエタンにする。この量は、触媒量とみなされる。水素付加成分の量は重量で0.001〜10%であっても良い。これは、もちろん、その成分の種類により、高活性貴金属、特に白金が少なくなるにつれて、(低活性卑金属よりも要求されるが)変化する。
【0025】
(触媒の選択化)
本発明の触媒は気相プロセスまたは液相プロセスによって選択化できる。液相プロセスの例は実験施設内(ex situ)選択化プロセスとして、ここでは記載されている。本発明において使用に適する実験施設内(ex situ)選択化技術は、US特許番号5367099、5404800、及び5365004において提供されている。実験施設内(ex situ)選択化処理はゼオライト上に少なくとも1重量%の珪酸含有材料の沈殿物を生じる。その処理は、触媒をシリコン含有選択化試剤と接触させることによって、触媒上に珪酸含有材料を付着させる。選択化試剤を用いた処理の後で、その触媒は、ゼオライト上に珪酸含有物質を残したままで、好ましくはゼオライトの結晶化度を減じないで、それから有機材料を除去するのに充分な条件下で、たとえば600℃以下の温度で従来方法により焼成しても良い。
【0026】
その触媒は、液体キャリア中で液体有機シリコン化合物を用いて、単一または多重処理によって、実験施設内で選択化しても良い。各々の処理の後で、酸素含有雰囲気、たとえば空気、において処理された材料を焼成することができる。
【0027】
多数回含浸実験施設内(ex situ)選択化方法に従って、液体キャリア及び少なくとも1種の液体有機化合物を含む液体媒体を用いて、ゼオライトは少なくとも2回、たとえば2〜6回処理される。有機シリコン化合物は、液体キャリア中、または液体キャリア中の乳化飛沫の形態において、分解した溶質の形態で存在しても良い。本発明の開示の目的に関して、液体媒体中で分解または乳化される時、標準的に固体の有機シリコン化合物は液体(すなわち、液体状態中で)であるとみなされるであろう。液体キャリアは、水、有機液体またはそれらの混合であっても良い。特にその液体媒体は水の中に有機シリコン化合物のエマルジョンを含む時、液体媒体は、界面活性剤のような乳化試剤を含んでも良い。本発明における使用に適当な有機シリコン化合物(たとえば、シリコンオイル)の安定な水性エマルジョンがチャングらのUS特許番号5726114において記載されている。これらのエマルジョンは、界面活性剤または界面活性剤の混合物の存在のもとに、有機シリコンオイルと水の成分との混合により生成される。有用な界面活性剤は、イオン化または非イオン化界面活性剤を含む、多種類の界面活性剤のいずれかを含んでいる。好適な界面活性剤は、アルコール、アルキルフェノール、及びポリアルコオキシアルカノール誘導体、グリセロール・エステル、ポリオキシエチレン・エステル、アンヒドロソルビトール、エトキシ化アンヒドロソルビトール・エステル、天然脂肪、オイル、ワックスとそのエトキシ化エステル、グリコールエステル、ポリアルキレン酸化物ブロック共重合体界面活性剤、ポリ(オキシエチレン共オキシプロピレン)非イオン性界面活性剤、及びそれらの混合物のような、非窒素、非イオン性界面活性剤を含む。もっと好適な界面活性剤は、オクトキシノール9のようなオクトキシノールを含む。そのような好適な界面活性剤は、ローム・アンド・ハス社(フィラデルフィア)から販売のTRITON X-100及びTRITON X-305のようなTRITON Xシリーズ、ニューヨークのガフ社からのイゲパルカリフォルニア・シリーズを含む。そのような界面活性剤を使って考案されたエマルジョンは、形状選択性を高めたり、アルキルベンゼンの不均衡のようなある位置選択性触媒応用において生成物選択性に対して有害な表面酸性度を不動態化するためのZSM-5のようなゼオライトを選択化するのに有効である。この有用な有機シリコン化合物は、水溶性であり、有機ポリシロキサンとして記載しても良い。好適な化合物はポリアルキシレン酸化物修正有機ポリシロキサンである。有機ポリシロキサンは、好適には触媒の孔よりは大きくその孔には入らない。
【0028】
有機シリコン化合物選択化試剤は、たとえば、シリコン、シロキサンまたはそれらの混合物であっても良い。これらの有機化合物は、1分子当たり少なくとも2個のシリコン原子を持つ。これらの有機シリコン化合物は、それらが水溶性であるか、またはそうでなければ液体キャリヤ媒体と結合して液体形態に変換可能であるという条件のもとで、純粋の形態においては固体であっても良い。前選択化試剤として使われるシリコン、シロキサンまたはシラン化合物の分子量は、約80と約20000との間、好適には150〜10000の近似範囲、にあっても良い。適当なシリコン含有選択化試剤はポリシロキサン、シラン、ジシラン及びアルコキシシランからなる群から選択される。代表的な実験施設内選択化シリコン化合物はジメチル・シリコン、ジエチル・シリコン、フェニル水素シリコン、メチル水素シリコン、エチル水素シリコン、フェニル水素シリコン、メチルエチルシリコン、フェニルエチルシリコン、ジフェニルシリコン、メチルトリフルオロプロピル・シリコン、エチルトリフルオロプロピル・シリコン、ポリジメチル・シリコン、テトラクロロフェニルメチル・シリコン、テトラクロロフェニルエチル・シリコン、テトラクロロフェニル水素・シリコン、テトラクロロフェニル・シリコン、メチルビニル・シリコン、及びエチルビニル・シリコンを含む。実験施設内選択化シリコン、シロキサンまたはシラン化合物は、線状である必要はなく、環状でも良い。たとえば、ヘキサメチル・シクロトリシロキサン、オクタメチル・シクロテトラシロキサン。ヘキサフェニル・シクロトリシロキサン及びオクタフェニル・シクロテトラシロキサン。これらの化合物の混合物は、シリコンを他の官能基とともに使うように、液体実験施設内選択化試剤として使っても良い。
【0029】
好適なシリコン含有選択化試剤、特に実験施設内選択化試剤が有機系キャリア中で分解したり、あるいは水性キャリア中で乳状化される時、ジメチルフェニルメチルポリシロキサン(たとえば、Dow-550)およびフェニルメチル・ポリシロキサン(たとえば、Dow-710)を含む。Dow-550およびDow-710はダウケミカル社(ミシガン州ミッドランド)から利用できる。
【0030】
水溶性有機シリコン化合物は商業的に利用可能である。たとえば、従来から消泡剤として使われたユニオンカーバイド(コネチカット州ダンブリン)製SAG-5300、及びジェネラルエレクトリック(マサチューセッツ州ピッツフィールド)製SF1188。
【0031】
有機シリコン実験施設内選択化試剤は水溶液中で水溶性化合物の形態で存在する時、有機シリコンを一種以上の親水性官能基で置換しても良く、それは有機シリコン化合物の全体の水溶解度を促進するのに役立つ。これらの親水性官能基は、--N(CH3)、--N(C2H5)3、及び--N(C3H7)3のような一種以上の有機アミン基を含んでも良い。好適な水溶性有機シリコン前選択化試剤はn-プロピルアミン・シランで、ニュージャージー州サマーッセットのクリアノバ(以前はハルスアメリカ)製ハイドロシル2627として利用できる。
【0032】
有機シリコン化合物は、有機シリコン化合物/H2Oの重量比が約1/100〜約1/1の水溶液中で、好適に分解することができる。
【0033】
「溶液」は分子レベルまたはイオンレベルで1種以上の物質を均質に分散した混合物を意味するように使われる。当業者は、溶液、理想及びコロイドの両方、はエマルジョンとは異なるということを認識するだろう。
【0034】
触媒は、触媒/有機シリコン化合物の重量比が約100〜約1、約10℃〜150℃の温度、約0psig〜約200psigの圧力、約0.1時間〜約24時間の時間で、有機シリコン化合物の実質的水溶液と接触させることができる。たとえば、真空の有り無しで蒸留、または蒸発によって、水は好適に除去される。次にその触媒は焼成される。
【0035】
本発明に関して、付加的な適当な実験施設内選択化試剤が、ベックらのUS特許番号5849968において開示されている。
【0036】
たとえば、炭化水素変換リアクターにローディングする前に触媒の従来の実験施設内処理によって、選択化は触媒上で達成される。たとえば2〜6回、好適には2〜4回、多数回実験施設内処理が触媒を選択化するために特に有用であると分ってきた。1回または多数回含浸技術によって、ゼオライトが実験施設内で選択化される時、そのゼオライトは、キャリヤを除去し、液体有機シリコン化合物をその固体残留物質に変換するために、各々の含浸後に焼成される。この固体残留物質は、この物質がその種々の構造中に高濃度のシリコン原子を有する重合体種であると信じられている限りにおいて、ここでは珪酸含有固体物質として示され、その触媒を含浸するために使われる有機シリコン化合物の有機部分の残留物から生じる。
【0037】
各々の含浸に続いて、ゼオライトは、200℃より高い温度まで、しかし、ゼオライトの結晶化度が逆に影響を与える温度以下で、約2℃/分〜5℃/分の速度で焼成しても良い。この従来の焼成温度は700℃以下、たとえば350℃〜550℃の近似的温度範囲以内、である。焼成温度での焼成保持時間は1〜24時間、たとえば2〜6時間であっても良い。
【0038】
含浸されたゼオライトは不活性または酸化性雰囲気中で焼成しても良い。そのような不活性雰囲気の例は窒素雰囲気、すなわちNである。酸化性雰囲気の例は空気のような酸素を含む大気である。焼成は最初に不活性雰囲気、たとえばN2中、で行い、その後で空気または空気とN2との混合のように、酸素を含む大気中で行っても良い。焼成は、ゼオライトの望ましくない制御できないスチーミングを避けるために実質的に水蒸気フリーの雰囲気で行うべきである。ゼオライトは、各々の含浸後に1回以上焼成しても良い。各々の含浸に続く種々の従来の焼成は同一である必要はなく、温度、昇温速度、雰囲気および焼成保持時間に関して変化させても良い。
【0039】
ゼオライトまたは結合ゼオライト上に付着した珪酸含有残留物質の量は、含浸と焼成工程の温度、運搬媒体中の有機シリコン化合物の濃度、有機シリコン化合物との接触に先立つ触媒の乾燥程度、焼成において使われる雰囲気及び焼成保持時間を含む多くの因子に依存する。
【0040】
(高温焼成)
選択化工程およびそれと関連する従来の焼成の後で、本発明の選択化された触媒は、シビアで、高温の、焼成処理にさらされる。結晶化度がヘキサン取り込み(サンプルのヘキサン取り込み量を未焼成サンプルのヘキサン取り込み量で割って計算したヘキサン取り込みに関するパーセント結晶化度)によって測定することができる。結晶化度はまたX線回折によっても測定できる。
【0041】
高温焼成工程は、触媒適用に依存する、700未満、好適には250未満、たとえば75〜150、または5〜25、のアルファ値、85%以上、好適には95%以上のX線回折により測定された結晶化度、および270未満、好適には150(D/(r2x106sec))未満の2,3-ジメチルブタンまたは2,2-ジメチルブタン取り込み速度によって測定された触媒分子篩の拡散障壁を有する触媒を提供するのに充分な条件のもとで行うことができる。
【0042】
高温焼成工程は700℃より以上から1200℃までの温度範囲で0.1〜12時間、たとえば750℃から1000℃で0.3〜2時間、好適には750℃〜1000℃で0.5〜1時間、行うことができる。
【0043】
選択化されたゼオライトは、不活性雰囲気、参加性雰囲気、または両方の混合で高温焼成しても良い。そのような不活性雰囲気の例は窒素雰囲気、すなわちNである。酸化性雰囲気の例は空気のような酸素を含む大気である。代わりに、焼成は最初に不活性雰囲気、たとえば最初にN2中で行い、その後で空気または空気とN2との混合のように、酸素を含む大気中で行っても良いし、この逆でも良い。焼成は、ゼオライトの望ましくない制御できないスチーミングを避けるために実質的に水蒸気フリーの雰囲気で行うべきである。この結果、高温焼成工程は、意図的に付加したスチームのない中で好適に行われる。
【0044】
(形状選択化変換)
本発明に従って改良したゼオライトは、クラッキング反応を含む形状選択炭化水素変換プロセスにおける触媒として一般に有用であり。炭化水素原料の脱ろうを含むものを含んでいる。すなわち、アルキル芳香族の異性化(たとえばキシレン異性化)、ガソリン、蒸留液、潤滑油または化学薬品を形成するためのオレフィンのオリゴマー化、芳香族のアルキル化、芳香族のトランスアルキル化(たとえばトルエン不均化)、炭化水素への酸素処理変換、酸化の再配列および芳香族への光パラフィンとオレフィンの変換(たとえば、ナフサ改質)である。非限定の例は以下を含む。約300℃〜約700℃の温度、約0.1気圧(bar)〜約30気圧の圧力および約0.1hr-1〜約20 hr-1の重量時間空間速度を含む反応条件で炭化水素をクラッキングすること、約300℃〜約700℃の温度、約0.1気圧(bar)〜約60気圧の圧力、約0.5hr-1〜約40 hr-1の重量時間空間速度および約0〜約20の水素/炭化水素モル比を含む反応条件でパラフィンを芳香族へ変換すること、約100℃〜約700℃の温度、約0.1気圧(bar)〜約60気圧の圧力および約0.5hr-1〜約400 hr-1の重量時間空間速度および約0〜約20の水素/炭化水素モル比を含む反応条件で、オレフィンを芳香族、たとえばベンゼン、トルエンおよびキシレン、へ変換すること、約270℃〜約600℃の温度、約0.5気圧(bar)〜約50気圧の圧力および約0.5hr-1〜約100 hr-1の重量時間空間速度を含む反応条件で、アルコール、たとえばメタノールまたはエーテル系、たとえばジメチルエーテル、またはその混合物、をオレフィンまたは/および芳香族を含む炭化水素へ変換すること、約230℃〜約510℃の温度、約31気圧(bar)〜約35気圧の圧力および約0.1hr-1〜約200 hr-1の重量時間空間速度および約0〜約100の水素/炭化水素モル比を含む反応条件で、キシレン原材料を異性化すること、約200℃〜約760℃の温度、約1気圧〜約60気圧の圧力および約0.08hr-1〜約20 hr-1の重量時間空間速度を含む反応条件で、トルエンを不均化すること、たとえばアルキル化試剤の存在のもとでベンゼンおよびアルキルベンゼン芳香族炭化水素、たとえばオレフィン、ホルムアルデヒド、アルカリ・ハライドおよびアルコール、を、約250℃〜約500℃の温度、約1気圧〜約200気圧の圧力および約2hr-1〜約2000 hr-1の重量時間空間速度および約1/1〜約20/1の芳香族炭化水素/アルキル化試剤モル比を含む反応条件で、アルキル化すること、約340℃〜約500℃の温度、約1気圧〜約200気圧の圧力、約10hr-1〜約1000 hr-1の重量時間空間速度および約1/1〜約16/1の芳香族炭化水素/ポリアルキル芳香族炭化水素モル比を含む反応条件で、ポリアルキル芳香族炭化水素の存在のもとでアルキル芳香族炭化水素をトランスアルキル化すること。選択化された触媒を使うための付加的な条件はチャングらのUS特許番号5455213において設定されている。
【0045】
一般的に、それゆえ、本方法によって製造された改良ゼオライトを含む触媒を超えた触媒の変換条件は、約100℃〜約760℃の温度、約0.1気圧(bar)〜約200気圧(bar)の圧力、約0.08hr-1〜約2000 hr-1の重量時間空間速度および約0〜約100の水素/有機、たとえば炭化水素化合物、モル比を含む。
【0046】
すべての先行のUS特許は、参照することによって本発明に含まれる。
【0047】
以下の実施例は、本発明のプロセスおよび利点をさらに説明するのに役立つであろう。
【実施例】
【0048】
(実施例1)ZSM-5触媒のシリコン選択化処理
高活性ZSM-5、65重量%/35重量%シリカ結合は、4回の連続シリコン選択化処理によって選択化された。この触媒に、0.1重量%白金が、Pt(NH3)4(NO3)2を用いて初期のウエット含浸を経て付加され、その後焼成が行われた。
【0049】
選択化された触媒は次の特性を示した。アルファ=610、2,3-DMB(x10-6sec-1)=248、99.8%のn-ヘキサン収着の基づく結晶化度。
【0050】
(実施例2)シリコン選択化ZSM-5の高温焼成
実施例1の選択化された生成物の高温焼成は水平チューブ炉で行われた。石英チューブが炉に配置され、その長さは炉自身よりも数インチ伸びていて、触媒サンプルボートを保持し、処理中に触媒ベッドにおける雰囲気を制御することができる。空気は、CaCl2および活性化された篩を通して乾燥され、0.5リットル空気/分で焼成中にチューブを通して流された。触媒は石英ボートに置かれた。そのボートは活性触媒ベッド温度をモニターするために内部サーモウエルを含んでいる。その後で、触媒は石英チューブ内に置かれ高温処理を開始した。処理時間は次のように定義される。すなわち、開始時間は、触媒温度が記述の温度の5.6℃(10°F)以内となる時である。焼成処理に続いて、石英ボートは炉から出され、室温まで急冷された。その結果は下の表1に示されている。
【0051】
すべての動力学的測定が高解像度で得られた。重質量分析器(TAインスツルメンツ・モデル2950)は、発生気体炉、ガススイッチ付属品および自動サンプル・チェンジャーを装備した。マントルを加熱するマスフローコントローラー、コンデンサー、および循環浴からなる炭化水素散布システムは、収着物を供給した。収着実験中にヘリウムパージガスはバランスヘッドに入って炉のチューブ入口を通って入ったヘリウムにより運ばれた収着物と混合した。キャリアガスは特定の温度で保持された収着物を通って散布した。その2種の蒸気の流速はマスフローコントローラーによって制御され、好適な分圧を達成するために調整された。
【0052】
すべての静的な測定は、VTI社(モデルMB300)製の収着システム上で行われた。このPC制御システムは、カーン社製(モデルD200)統合マイクロバランス、炉、定温バス、真空システムおよびバスマニフォールドから構成した。吸着等温線は、等温線圧力ステップ、最大圧力、平衡基準および実験温度の開始点を選択することによって、得られた。プログラムにより、有機蒸気、すなわちn-ヘキサン、の吸着の前にサンプルのアウトガスを自動的に行った。
【表1】

【0053】
表1で示された結果は、実質的に拡散抵抗を増加させる(より低いD/rは拡散抵抗の増加を示す)と共に、拡散的に改質された触媒の高温処理は酸性活性度(アルファによって測定される)を減少させることができる、ということを示す。1600°F(871℃)で1時間の焼成はアルファを減少させる(610から110)が、拡散抵抗を2倍増加させる。このことは、スチーミングに関して、下の表2に示された結果と対比する。そこにおいては、アルファの同様の減少は、拡散抵抗における減少につながる。1800°F(982℃)焼成サンプルの拡散抵抗は15倍増加したということを注目せよ。未処理の触媒よりも拡散抵抗における非常に顕著な増加である。
【0054】
(実施例3)スチーミングされ、焼成されたZSM-5の製造(比較)
実施例1の選択化された生成物のスチーミングは、前の実施例と同じ炉のセットアップで行われた。石英チューブを通った雰囲気は蒸気で、沸騰水によって発生した。蒸気温度、蒸気時間、およびアルファ値および上述の方法に従って行われた2,3-ジメチルブタンの拡散係数の測定値は、下の表2に示されている。その結果は、スチーミングは酸活性度(アルファによって測定される)を減少させるために使うことができるということを示す。しかしながら、スチーム処理は拡散抵抗も減少させる(より高いD/r2値は拡散抵抗の減少を表す)。
【表2】

【0055】
(実施例4)4X選択化された触媒を改良するための高温焼成処理とスチーム処理との比較
実施例2および3からのデータが図にプロットされている。それらは、高温焼成は酸性度(アルファによって測定される)を低くすると拡散抵抗(より低いD/r2)の増加を生じるということを明確に示す。対照的に、スチーミング、それは酸性度(アルファによって測定される)を減少させるための標準的な方法であるが、は触媒に応用される時、拡散抵抗が減少する(より高いD/r2)。これは、もっと拡散抵抗の大きな触媒は高温焼成方法を用いて製造できる、という本発明の有用性と同様に、酸性度を改良するためのこれらの2種類の処理における両方の相違を明確に示す。
【0056】
(実施例5)高温焼成され、選択化されたZSM-5およびスチーミングされたZSM-5を使った炭化水素変換プロセス
前の実施例に従って、2つの触媒が本サンプルに関して製造された。第一のものは1700°Fで3X選択化された触媒の高温焼成によって製造され、一方第二のもの(比較)は、990°Fで3時間4X選択化された触媒をスチーミングすることによって製造された。これらの触媒は、その後キシレン異性化リアクターにおいてエチルベンゼンを変換するために使われた。原料は、10%エチルベンゼン、1%パラキシレン、64%メタキシレンおよび25%オルトキシレンを有するキシレン含有原料である。触媒は最初に水素中で還元され、その後でこの原料を使って24時間ラインアウトされた。触媒はその後で820°〜760°Fの温度で20°Fずつ増加して、200psigで1/1水素/炭化水素比を使って20WHSV、10WHSVおよび5WHSVで評価された。その結果は下の表3において示されている。
【0057】
これらのデータは高温焼成された触媒が有効にエチルベンゼンに変換するということを示す。それらはまた、高温焼成された触媒を経て供給されたキシレン損失は、スチーミングされた触媒を経て供給されたものよりも少ないということを示す。
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は、4X選択化された触媒を改良するための高温焼成処理とスチーム処理との比較を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒分子篩を改良するための方法であって、
a)シリコン含有選択化物質と接触させることによって前記触媒分子篩を選択化させること、および
b)その選択化された触媒分子篩を700℃より高い温度を含む高温焼成条件で焼成することであって、その条件は、その選択化された触媒分子篩と比較して、アルファ値によって測定された酸活性度を減少させ、また、2、3ジメチルブタン捕捉速度によって測定される前記触媒分子篩の拡散障壁を増加させるのに充分であること、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記拡散障壁を少なくとも25%までに増加することを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記拡散障壁を少なくとも35%までに増加することを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記拡散障壁を少なくとも50%までに増加することを特徴とする、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記触媒分子篩はZSM-5、ZSM-11、ZSM-12、ZSM-22、ZSM-23、ZSM-35、ZSM-48、ZSM-50、ZSM-57、ZSM-58、ゼオライトベータ、MCM-22、MCM-36、MCM-49、MCM-56、モルデナイト、MCM-58、人造フォージャサイト、天然フォージャサイト、MCM-41、ALPO-5、VPI-5、SAPO-5、SAPO-11、SAPO-30、SAPO-31、SAPO-34、ITQ-2、ITQ-3、ITQ-12、およびITQ-13からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項記載の方法。
【請求項6】
前記触媒分子篩はシリカ結合ZSM-5であることを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記触媒分子篩は、VIIIA族金属、VIIA族金属、VIA族金属、VB族金属、IVB族金属、IIB族金属、IIA族金属、およびIB族金属からなる群から選択される金属を含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかの項記載の方法。
【請求項8】
前記金属は、白金、パラジウム、鉄、ニッケル、ガリウム、亜鉛、モリブデン、およびレニウムからなる群から選択される水素化金属であることを特徴とする、請求項7記載の方法。
【請求項9】
選択化物質は、ポリシロキサン、シロキサン、シラン、ジシランおよびアルコキシシランからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかの項記載の方法。
【請求項10】
選択化は、前記選択化物質と2〜6回処理によって行われることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかの項記載の方法。
【請求項11】
前記焼成は、700未満のアルファ値および270(D/r2x106 sec)未満の2,3-ジメチルブタンの捕捉速度によって測定される拡散障壁をを有する触媒分子篩を提供するために充分な条件のもとで行われること特徴とする、請求項1〜10のいずれかの項記載の方法。
【請求項12】
前記焼成は、25〜200の範囲のアルファ値および150(D/r2x106sec)未満の2,3-ジメチルブタンの捕捉速度によって測定される拡散障壁を有する触媒分子篩を提供するために充分な条件のもとで行われること特徴とする、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記焼成は、5〜25の範囲のアルファ値を有する触媒分子篩を提供するために充分な条件のもとで行われること特徴とする、請求項11記載の方法。
【請求項14】
前記焼成は、700℃〜1200℃で0.1〜12時間の範囲の温度で行われること特徴とする、請求項1〜13のいずれかの項記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかの項に従って製造された触媒分子篩を含む触媒と、炭化水素変換条件のもとで炭化水素を接触させることを含む形状選択性炭化水素変換のための方法。
【請求項16】
前記形状選択性炭化水素変換は、接触分解、芳香族不均化、芳香族異性化、芳香族アルキル化、触媒脱ろう及びナフサ改質からなる群から選択されることを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記形状選択性炭化水素変換は、トルエン不均化であることを特徴とする、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記形状選択性炭化水素変換は、キシレン異性化であることを特徴とする、請求項15記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−528061(P2006−528061A)
【公表日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521066(P2006−521066)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/018970
【国際公開番号】WO2005/014169
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】