説明

流体の輸送及び移送

流体を輸送する方法及びシステムが開示される。この方法は、輸送船を少なくとも1つの基地と関連した基地船に結合するステップを有する。輸送船と基地船を操業条件に基づいて選択される場合のある外海又ははしけ運搬場所で結合する。次いで、輸送船及び基地船が実質的に同一方向に移動している間に、極低温流体を輸送船と基地船との間で移送する。移送がいったん完了すると、基地船は、輸送船から切り離されて基地まで移動し極低温流体を基地に提供する。極低温流体としては、液化天然ガス(LNG)及び液化二酸化炭素(CO2)が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略的には、流体の移送方法に関する。詳細には、本発明の方法及びシステムは、船舶を介して貨物、例えば液化天然ガス(LNG)又は液化二酸化炭素(CO2)を受け入れ基地に送出すると共に(或いは)貨物を輸出基地から世界中の市場に輸出する方法に関する。
【0002】
〔関連出願の説明〕
本願は、2006年11月15日に出願された米国特許仮出願第60/859,266号明細書の利益主張出願である。
【背景技術】
【0003】
この項目は、本発明の例示の実施形態と関連している場合のある当該技術の種々の観点を紹介することを目的としている。この説明は、本発明の特定の観点の良好な理解を助ける枠組みを提供するのを助けると考えられる。したがって、この項目は、この観点で読まれるべきであり、必ずしも先行技術についての承認として読まれるべきではない。
【0004】
貨物は、一般に、船舶、例えば運搬船により或る1つの港湾施設から別の港湾施設に移送される。これら運搬船は、外海と呼ばれる場合のある広い海域を横切って移動できるよう推進及びナビゲーションシステムを搭載している。さらに、運搬船は、航海のための設備及び液体貨物のための貯蔵タンクを備える場合がある。例えば、或る運搬船では、特定の貨物、例えばLNGの運搬を助ける専用の設備及びシステムが設置される場合がある。したがって、運搬船に搭載されているこれらシステムは、貨物を市場の場所相互間で経済的に移送する仕組み又は機構を提供する。
【0005】
一例として、天然ガスを抗井から産出した後、天然ガスは、これを液化天然ガス(LNG)に変換するために輸出基地又は他の施設で液化される場合がある。LNGは、遠隔の天然ガス資源を他の市場に経済的に送出することができるようにする送出技術の基礎をなしている。LNGは、LNGを貯蔵し、広い海域を横切ってLNGを輸送するよう構成された特別設計のLNG運搬船(LNGC)で市場に出荷される。次に、LNGは、市場の近くに位置する受け入れ基地でLNGから天然ガスに変換して戻される。典型的には、受け入れ基地は、港湾施設の陸上又は港湾施設の近くの沖合に設置される。それにもかかわらず、受け入れ基地は、次の処理又は流通のためにパイプラインを介して陸上設備に連結される。
【0006】
沖合基地は、このような沖合基地が陸上施設を利用しないので有益な場合があり、沖合環境では、安全上の問題が軽減する。沖合基地に関する一コンセプトは、浮遊貯蔵及び再ガス化ユニット(FSRU)である。FSRUは、極低温LNGをLNGCで輸送し、LNGを貯蔵タンクに貯蔵し、熱交換器を用いてLNGを再ガス化し、天然ガスを受け入れ基地に結合されたパイプラインに送出する専用の係留沖合構造物である。FSRUの概念は、一般に、極低温貨物移送設備及びLNG気化施設を有し、これらは、FSRUのプラットホーム上に設置される場合がある。
【0007】
しかしながら、沖合環境条件は、LNGC及びFSRUの操業可能な期間を制限する要因となる場合がある。例えば、過酷な環境条件により、LNGCとFSRUを連結する期間がこれを安全且つ確実に行うことができないほどの期間となる場合がある。さらに、沖合環境条件は、非常に過酷なので、LNGC及びFSRUが連結状態を保つことができない場合、FSRUは、その備蓄から天然ガスをパイプラインに送出することしかできない。さらに、FSRUの備蓄が空になると、パイプラインへの天然ガス送出が停止される。パイプラインに対する天然ガスの流入流出に対する断続的な点検整備又は中断の結果として、基地の操業に対する不利益及びコスト面での増加が生じる場合がある。
【0008】
環境条件に取り組むため、LNGをLNGCとFSRUとの間で移送するための種々の荷揚げ方式が利用されている。例えば、一荷揚げ方式は、現在、地上受け入れ基地及び輸出基地で採用されている並置荷揚げ方式である。並置荷揚げ方式は、LNGCとFSRUが並置した形態に配置され、LNGがFSRUの船体中央部の近くに設置された従来型機械式ローディングアームとLNGCに設けられた荷揚げマニホルドとの間で行われる様式で実施される。これらローディングアームの動き及びLNGCとFSRUとの間の相対運動に関する制限のために、機械式ローディングアームを用いる従来型地上貨物移送は、典型的には、有義波高が1.5メートル未満又はこれに等しい気象環境から守られた水域で実施される。
【0009】
第2の荷揚げ方式は、タンデム荷揚げ方式である。タンデム荷揚げは、油を浮遊産出貯蔵庫及び荷揚げ(FPSO)船とシャトルタンカーとの間で油を移送するために用いられる既存の技術を利用している。タンデム荷揚げでは、2隻の船が船首と船尾を突き合わせた状態で配置され、LNG移送が、フレキシブルホース又はパンタグラフのような機械式装置を用いて達成される。LNGCの場合、フレキシブル極低温ホース又はブームと呼ばれる大型ローディングアームが、LNGC運搬船の船首がFSRUの船尾の後ろに位置した状態で極低温LNGを移送するために利用される。フレキシブル極低温ホースの場合、タンデム荷揚げ方式は、並置荷揚げ方式よりも過酷な海上模様、例えば2.5〜3メートルの有義波高の状態で操業可能なままである場合がある。
【0010】
第3の荷揚げ方式は、海面下LNG移送システム(SLTS)荷揚げ方式であり、この方式は、国際公開第2006/044053号パンフレットに記載されている。SLTS荷揚げ方式では、LNGCとFSRUは、海面下極低温ライザ及びパイプラインによって約2キロメートル(km)の距離にわたって互いに連結される。LNGCは、浮遊極低温ブイに連結され、ブイ並びに1つ又は2つ以上のフレキシブル極低温ライザ及びパイプラインを介してLNGをFSRUのところに設けられた別のブイに移送する。LNGCとFSRUは互いに分離されていて、別個独立に動くことができるので、SLTSは、過酷な海上模様、例えば有義波高が4〜5メートルの場合でも操業可能である。したがって、これら荷揚げ方式の各々は、パイプラインへの天然ガス(NG)の一貫性のある送出を維持するために利用される場合があり、このような一貫性のある送出は、ガス市場取引契約の一部である場合が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第3,590,407号明細書
【特許文献2】米国特許第5,501,625号明細書
【特許文献3】米国特許第5,549,164号明細書
【特許文献4】米国特許第6,003,603号明細書
【特許文献5】米国特許第6,089,022号明細書
【特許文献6】米国特許第6,637,479号明細書
【特許文献7】米国特許第6,923,225号明細書
【特許文献8】米国特許第7,080,673号明細書
【特許文献9】米国特許第6,546,739号明細書
【特許文献10】米国特許出願公開第2004/0187385号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2006/0010911号明細書
【特許文献12】欧州特許出願第1,383,676号明細書
【特許文献13】国際公開第01/03793号パンフレット
【特許文献14】国際公開第2006/044053号パンフレット
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】ロエズ(Loez)、バーナード(Bernard)共著,「ニュー・テクニカル・アンド・エコノミック・アスペクツ・オブ・エルエヌジー・ターミナルズ(New Technical and Economic Aspects of LNG Terminals)」,ペトロール・インフォメーション(Petrole Information),1987年8月,p.85〜86
【非特許文献2】ハンス・ワイ・エス・ハン他著(Hans Y.S. Han et al.,),「デザイン・ディベロップメント・オブ・エフエスアールユー・フロム・エルエヌジー・キャリヤ・アンド・エフピーエスオー・コンストラクション・エクスペリエンシズ(Design Development of FSRU from LNG Carrier and FPSO Construction Experiences)」, オフショア・テクノロジー・カンファレンス(Offshore Technology Conference),2002年5月6日〜9日,オーティーシー‐14098(OTC-14098)
【非特許文献3】「ジ・アプリケーション・オブ・ザ・エフエスアールユー・フォー・エルエヌジー・インポーツ(The Application of the FSRU for LNG Imports)」,アニュアル・ジーエーピー・ヨーロッパ・チャプタ・ミーティング(Annual GAP Europe Chapter Meeting),2003年9月25日〜26日
【非特許文献4】オー・ビー・ラーセン他著(O.B. Larsen et al.,),「ザ・エルエヌジー(リクイファイド・ナチュラル・ガス)シャトル・アンド・リガス・ベッセル・システム(The LNG (Liquefied Natural Gas) Shuttle and Regas Vessel System)」,オフショア・テクノロジー・カンファレンス(Offshore Technology Conference),2004年5月3日〜6日、オーティーシー‐16580(OTC- 16580)
【非特許文献5】エクセレレート・エネルギー(Excelerate Energy)(2006年10月24日視察)<http://www.excelerateenergy.com/activities.php>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、これら荷揚げ方式のいずれかを用いるFSRUの利用には、技術的及び商業的な欠点がある。例えば、FSRUは、乾ドック保守への接近が行われない状態で永続的に係留されるので、典型的には、大型インフラストラクチャ及び関連の設備投資が永続的に係留されるどのFSRUにも必要である。この多大な初期設備投資の結果として、全体的なLNG送出連鎖経済性が著しく減少する。また、LNGCに搭載される追加の設備及び操業、例えば専用位置決めタグ又はナビゲーションシステムが、FSRUを備えたLNGCに関する停泊作業を容易にするために必要である。陸上基地に関しては改善されたが、FSRUは、依然として安全上の脅威をもたらしており、沖合設備で行われる非差別輸送に取り組むために管理されなければならない。さらに、或る特定の荷揚げ方式、例えばSLTS方式の場合、LNGCの各々は、LNGC船隊に関するコスト増大を招くブイに対応するためにタレットを備えるよう改造されなければならない。
【0014】
FSRU利用受け入れ又は輸出基地の代替手段は、再ガス化設備をLNGCに設けることである。これについては、米国特許第6,089,022号明細書を参照されたい。これら船は、LNGの船上ガス化及び従来型天然ガス荷揚げブイを介するパイプライン中への天然ガスの荷揚げを可能にする大規模な改造を施したLNGCである。再ガス化LNGCと呼ばれる場合のあるこれら運搬船は、伝統的なLNGCと相互作用するために従来型LNGC荷揚げ設備(例えば、ローディングアームを受け入れるマニホルド)を備えている。不都合なことに、これら再ガス化LNGCの設備投資は、伝統的なLNGCよりも著しく大きい場合がある。というのは、各再ガス化LNGCは、再ガス化作業のための熱交換器、ガスブイへの荷揚げのためのタレット及びスロッシング積荷に耐える強化貨物タンクを備えるよう改造されるからである。さらに、再ガス化LNGCの貯蔵庫は、再ガス化施設が長い距離にわたって効率的な輸送を行うよう設計された船の内部に構成されるので、制限される。
【0015】
したがって、貨物、例えばNG及びLNGの送出を促進するための方法又は仕組みが必要である。さらに、この方法又は仕組みは、陸上基地、沖合FSRU及び(又は)長距離にわたる再ガス化LNGCの使用と関連した問題を回避するのが良い。
【0016】
他の関連資料は、少なくとも米国特許第3,590,407号明細書、同第5,501,625号明細書、同第5,549,164号明細書、同第6,003,603号明細書、同第6,089,022号明細書、同第6,637,479号明細書、同第6,923,225号明細書、同第7,080,673号明細書、同第6,546,739号明細書、米国特許出願公開第2004/0187385号明細書、同第2006/0010911号明細書、欧州特許出願第1,383,676号明細書、国際公開第01/03793号パンフレット、同第2006/044053号パンフレット、ロエズ(Loez)、バーナード(Bernard)共著,「ニュー・テクニカル・アンド・エコノミック・アスペクツ・オブ・エルエヌジー・ターミナルズ(New Technical and Economic Aspects of LNG Terminals)」,ペトロール・インフォメーション(Petrole Information),1987年8月,p.85〜86、ハンス・ワイ・エス・ハン他著(Hans Y.S. Han et al.,),「デザイン・ディベロップメント・オブ・エフエスアールユー・フロム・エルエヌジー・キャリヤ・アンド・エフピーエスオー・コンストラクション・エクスペリエンシズ(Design Development of FSRU from LNG Carrier and FPSO Construction Experiences)」, オフショア・テクノロジー・カンファレンス(Offshore Technology Conference),2002年5月6日〜9日,オーティーシー‐14098(OTC-14098)、「ジ・アプリケーション・オブ・ザ・エフエスアールユー・フォー・エルエヌジー・インポーツ(The Application of the FSRU for LNG Imports)」,アニュアル・ジーエーピー・ヨーロッパ・チャプタ・ミーティング(Annual GAP Europe Chapter Meeting),2003年9月25日〜26日、オー・ビー・ラーセン他著(O.B. Larsen et al.,),「ザ・エルエヌジー(リクイファイド・ナチュラル・ガス)シャトル・アンド・リガス・ベッセル・システム(The LNG (Liquefied Natural Gas) Shuttle and Regas Vessel System)」,オフショア・テクノロジー・カンファレンス(Offshore Technology Conference),2004年5月3日〜6日、オーティーシー‐16580(OTC- 16580)及びエクセレレート・エネルギー(Excelerate Energy)(2006年10月24日に視察)<http://www.excelerateenergy.com/activities.php> に見受けられる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一実施形態では、極低温流体を輸送する方法が開示される。この方法は、輸送船を所与の外海場所で基地船に結合するステップと、極低温流体を輸送船と基地船との間で移送するステップとを有し、極低温流体は、輸送船及び基地船が実質的に同一方向に移動している間に移送され、この方法は、基地船を輸送船から切り離すステップと、基地船を基地まで移動させて極低温流体及び極低温流体から生じたガスの一方を基地船と基地との間で移送するステップとを更に有する。
【0018】
別の実施形態では、流体を運搬する方法が開示される。この方法は、輸送船を所与の外海場所で第1の基地船に結合するステップと、極低温流体を第1の基地船と輸送船との間で移送するステップとを有し、極低温流体は、輸送船及び第1の基地船が実質的に同一方向に移動している間に移送され、この方法は、第1の基地船を輸送船から切り離すステップを更に有する。この方法は、輸送船を別の外海場所まで移動させるステップと、輸送船を別の外海場所で第2の基地船に結合するステップと、極低温流体を第2の基地船と輸送船との間で移送するステップとを更に有し、極低温流体は、輸送船及び第2の基地船が指定された方向に移動している間に移送され、この方法は、第2の基地船を輸送船から切り離すステップを更に有する。また、この方法は、輸送船を基地まで移動させるステップと、輸送船を基地に結合するステップと、極低温流体を輸送船と基地に結合されたパイプラインとの間で移送するステップとを更に有する。さらに、この方法は、操業条件に基づいて複数の基地の1つを決定するステップと、輸送船を複数の基地の1つまで移動させるステップと、輸送船を基地に結合するステップと、極低温流体を輸送船と基地に結合されたパイプラインとの間で移送するステップとを更に有する。
【0019】
さらに別の実施形態では、流体輸送システムが開示される。このシステムは、少なくとも1つの基地と、少なくとも1つの基地と関連した複数の基地船とを有する。複数の基地船は、極低温流体を少なくとも1つの基地との間で移送したり、複数の輸送船の1隻との間で移送したりするよう構成されており、極低温流体は、複数の基地船の1隻と複数の輸送船の1隻が実質的に同一方向に移動している間に、移送される。複数の基地船の各々は、複数の輸送船の1隻と連絡して操業条件に基づいて基地船と結合するための外海場所を提供したり、基地船を外海場所まで移動させたりするよう構成されている。
【0020】
さらに、別の実施形態では、極低温流体を輸送する方法が開示される。この方法は、輸送船を所与の外海場所で基地船に結合するステップと、極低温流体を輸送船と基地船との間で移送するステップとを有し、極低温流体は、輸送船及び基地船が実質的に同一方向に移動している間に移送され、この方法は、基地船を輸送船から切り離すステップと、少なくとも1つの操業条件に基づいて複数の基地の1つを選択するステップと、基地船を複数の基地の1つまで移動させて基地船と複数の基地の1つとの間で極低温流体を移送するステップとを更に有する。
【0021】
別の実施形態では、流体を輸送する別の方法が開示される。この方法は、輸送船を所与の外海場所で基地船に結合するステップを有し、基地船は、砕氷型運搬船又は対氷補強型運搬船の1つであり、この方法は、流体を輸送船と基地船との間で移送するステップを更に有し、流体は、輸送船及び基地船が実質的に同一方向に移動している間に移送され、この方法は、基地船を輸送船から切り離すステップと、積氷を突破して基地船を移動させて基地に到達させ、流体及び流体から生じたガスの一方を基地船と基地との間で移送するステップとを更に有する。
【0022】
上記実施形態の各々において、極低温流体としては、液化天然ガス(LNG)及び(又は)液化二酸化炭素(CO2)が挙げられる。したがって、他の変形実施形態は、極低温流体又は移送作業と関連する場合のある基地又は基地船の異なる設備を含む場合がある。例えば、基地は、1つ又は2つ以上の水中タレット荷積みブイを有するのが良く、海底に固定されると共に陸上設備に流体を提供するパイプラインに結合されるのが良く、居住区、保守施設、安全システム、緊急脱出避難システム、ロジスティックスシステム、及び発電システムの少なくとも1つを更に有するのが良く、2つ又は3つ以上の停泊構造物を有するのが良く、このような停泊構造物は、海底に固定された停泊ドルフィン、スプレッド形係留システム、水中タレットローディングブイ、及びこれらの任意の組み合わせの1つを含むのが良い。また、基地船は、LNGを移送するための極低温ローディングアーム、LNGを移送するための極低温ホース、対氷補強型船体又は砕氷型運搬船、方向づけスラスタ、LNGを収容する貯蔵タンクを有するのが良く、貯蔵タンクは、角柱状タンク、球形タンク、メンブレンタンク、モジュラータンク、及びこれらの任意の組み合わせの1つであるのが良く、LNGを気化させる施設を有するのが良い。
【0023】
さらに、他の変形実施形態は、他の特徴を有するのが良い。例えば、このような方法は、LNGを基地船で再ガス化し、再ガス化したLNGを基地に結合されたパイプラインに送出するステップを更に有するのが良く、LNGを基地に送出し、LNGを基地で気化させて基地に結合されたパイプラインへの気化したLNGの送出を行うステップを更に有するのが良く、パイプラインからの天然ガスを基地で受け取り、天然ガスを液化して基地船でLNGを生じさせるステップを更に有するのが良く、LNGを基地から受け取るステップを更に有するのが良く、極低温流体を輸送船と基地船との間で移送するステップは、並置荷揚げ方式とタンデム荷揚げ方式の一方を備えているのが良く、このような方法は、積氷を突破して移動させて基地に到達させるステップを更に有するのが良い。さらに、このような方法は、別の基地船を基地に結合するステップと、輸送船と基地船との間での極低温流体の移送と並行して追加の極低温流体を別の基地船と基地との間で移送するステップとを更に有するのが良い。また、このような方法は、少なくとも1つの操業条件、例えば環境条件(例えば、天候、海上模様、及びこれらの任意の組み合わせ)又は商業的条件(例えば、最善の市場、契約上の義務に関連した場所)に基づいて外海場所を選択するステップを更に有するのが良い。
【0024】
本発明の上記利点及び他の利点は、以下の詳細な説明を読むと共に図面を参照すると明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の或る特定の観点による流体輸送作業の例示のフローチャートである。
【図2】本発明の或る幾つかの観点による基地船に関する図1の輸送作業の例示のフローチャートである。
【図3】本発明の或る特定の観点による輸送船に関する図1の輸送作業の例示のフローチャートである。
【図4】本発明の或る特定の観点による第1の例としての流体輸送システム又は船隊の略図である。
【図5】本発明の或る特定の観点による第2の例としての流体輸送システム又は船隊の略図である。
【図6】本発明の或る特定の観点による第3の例としての流体輸送システム又は船隊の略図である。
【図7A】1時間当たりの立方メートル(m3/hr)で表わしたLNG輸送量を時間に対して示した例示の図である。
【図7B】1時間当たりの立方メートル(m3/hr)で表わしたLNG輸送量を時間に対して示した例示の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の詳細な説明の項目において、本発明の特定の実施形態が、好ましい実施形態と関連して説明される。しかしながら、以下の説明が本発明の特定の実施形態又は特定の用途に特有である程度まで、これは、例示目的であるに過ぎず、単に、例示の実施形態に関する説明を提供するものである。したがって、本発明は、以下に説明する特定の実施形態には限定されず、それどころか、本発明は、特許請求の範囲に記載された本発明の本質的な思想及び範囲に属する全ての変形例、改造例及び均等例を含む。
【0027】
本発明は、貨物、例えば液化天然ガス(LNG)又は他の極低温液化ガスを船により輸出場所と受け入れ場所との間で輸送する方法及びシステムに関する。本発明では、基地船は、貨物、例えばLNG又は液化CO2を基地、例えば輸出基地との間で移送するために利用される。次に、基地船と輸送船が同一方向に移動している間又は何らかの仕方で互いに結合されている状態で、基地船は、外海で貨物を輸送船に移送する。移送がいったん完了すると、基地船は、荷揚げブイまで移動して貨物を荷揚げし、他方、輸送船は、別の場所、例えば輸出基地まで移動して別の貨物を受け取る。さらに、基地船は、砕氷機能、再ガス化施設又は特定の基地に関する移送作業を促進することができる他の特定の特徴を備えた船を含む場合がある。したがって、本発明は、或る1つの場所から別の場所への貨物の送出を促進することができる。
【0028】
極低温流体としては、液化天然ガス、液化CO2及び他の液化ガスが挙げられる。極低温流体は、液相のままであるよう低い温度に維持される液化ガスであるのが良い。例えば、LNGの代表的な貯蔵条件は、約1気圧(atm)の圧力及び約−163℃〜約−150℃の温度を含む場合がある。また、CO2に関する代表的な貯蔵条件は、例えば圧力が約20バールであり、温度が約−40℃であるような条件を含む場合がある。
【0029】
最初に図面の図1を参照すると、本発明の或る特定の観点による流体移送作業の例示のフローチャートが示されている。参照符号100で示された例示のフローチャートでは、貨物、例えば液化天然ガス(LNG)、天然ガス(NG)又は他の適当な貨物をはしけ運搬場所から受け入れ基地に移送するために種々の作業が実行されるのが良い。移送作業は、輸送船及び基地船の使用を含み、基地船は、貨物をはしけ運搬場所と受け入れ基地との間で移送する。これら船の移送作業について以下に更に説明する。
【0030】
フローチャートは、ブロック102で始まる。ブロック104では、貨物、例えばNG又はLNGを輸送船によって得られる。貨物は、輸出基地、例えば地上LNGプラント、陸上LNG又はNG基地、沖合LNG又はNG基地、他の液化ガス基地等で得られるのが良い。輸送船は、LNGC又は外海環境において働くよう構成された他の適当な船であるのが良い。外海又は外海環境は、広い海域の任意の区画を意味し、このような区画としては、入り江、湖、海、外洋、湾等が挙げられる。外海は、領海又は公海を更に含む場合がある。貨物がいったん得られると、ブロック106に示されているように、輸送船及び基地船は、はしけ運搬又は外海場所まで移動する。受け入れ基地の近くに位置するはしけ運搬場所は、基地船と輸送船との間の流体連絡経路を形成するために基地船と輸送船が出会う場所である。はしけ運搬場所は、基地船の速度及び基地船と基地船又は輸送船との間の流体(例えば、極低温流体又は再ガス化流体)の移送量の関数であるはしけ運搬ループに基づいて定められるのが良い。したがって、はしけ運搬場所は、はしけ運搬ループについて計算された距離によって制限される最大距離を有するのが良い。基地船としては、例えばLNG運搬船(LNGC)、貯蔵タンク及び再ガス化施設を備えたLNGC(例えば、再ガス化LNGC)、積氷を突破するよう構成されたNG又はLNG運搬船のような船が挙げられ、これらにつき以下において更に説明する。ブロック108では、輸送船は、貨物を基地船に移送する。移送作業としては、種々の荷揚げ方式、例えば並置荷揚げ方式、タンデム荷揚げ方式又は海面下LNG移送システム(SLTS)荷揚げ方式が挙げられる。これら移送作業は、輸送船と基地船が実質的に同一の方向に移動している間に、はしけ運搬場所で出会って貨物を移送することにより実施されるのが良い。具体的に言えば、両方の船は、移送作業中、はしけ運搬ループ又ははしけ運搬範囲を越えない方向で約10ノットで移動するのが良い。
【0031】
次に、ブロック110に示されているように、基地船は、受け入れ基地まで移動する。受け入れ基地は、地上LNGプラント、陸上LNG又はNG基地、沖合LNG又はNG基地、LNG基地等であるのが良い。ブロック112では、貨物を基地船から受け入れ基地に移送する。移送は、上述した移送とほぼ同じであるのが良い。ブロック114では、作業が完了したかどうかについて判定を行う。作業が完了していない場合、このプロセスは、ブロック104に続くのが良い。連続作業は、運搬船及び基地船が上述したプロセスを繰り返すことを含むのが良い。しかしながら、作業が完了している場合、プロセスはブロック116で終了するのが良い。
【0032】
本発明の方法を利用することにより、商業的観点から、他の方法と比較して貨物、例えばCO2、LNG又は他の液化ガスの移送を促進することができるので有利である。例えば、本発明の方法では、受け入れ基地に設置される永続的な設備が制限される。即ち、受け入れ基地の受け入れ設備は、荷揚げブイ及び1つ又は2つ以上のパイプラインへの連結部を含む場合があり、それにより、受け入れ基地を設置するためのインフラストラクチャ及び資本費が減少する。さらに、受け入れ基地に設置される唯一の永続的な設備は、水中ガス荷揚げブイであるのが良い。設備量がこのように限定された状態では、許可が容易であり、受け入れ基地に関する公共的支援を増大させることができる。また、貨物移送は、閉鎖された領域、例えば港又は港湾の外部で行われる場合があるので、基地近くの貨物移送作業と比較して、移送作業に関する安全上の懸念を減少させることができる。さらに、この種の形態では、船相互間の貨物移送は、単一の場所では静止状態ではなく、外海環境において種々の場所の任意のところで実施できる。この移動は、貨物移送プロセスを中断させ又は妨害しようとするので問題を提起する場合がある。
【0033】
さらに、荷揚げ設備は、基地船が受け入れ基地又はパイプラインへの送出前に貨物を処理するために利用される場合、貨物の移送に用いられる任意従来形式の設備であって良い。例えば、荷揚げ設備がLNGを基地船と輸送船との間で移送するために利用される場合、LNGCを改造する必要なく、従来型LNGCマニホルドを利用することができる。かくして、貨物移送プロセスは、輸送船に対する改造を必要とせず、貨物を受け入れて市場に出す上での融通性をもたらすために既存の技術と両立できる。
【0034】
さらに、本発明は、環境の条件に起因する潜在的な中断を減少させ又は制限することができる。即ち、輸送船及び基地船は、任意の外海場所で貨物を交換することができるので、高い海上模様が存在する場合、はしけ運搬場所を環境条件がより穏和な場所に単に移動させれば良い。この融通性は、荷揚げ作業に関する波高によって制限される並置荷揚げ方式又は他の固定基地荷揚げ方式の主要な欠点の1つを解決する。さらに、基地船から受け入れ基地への荷揚げ作業が依然として海上模様による制限を受けるが、非極低温ライザを備えた従来型天然ガスブイ(例えば、STLブイ)に関連した連結及び停泊のための海上模様の制限は、並置荷揚げ方式、タンデム荷揚げ方式及び(又は)SLTS荷揚げ方式に関する海上模様制限よりも大である。
【0035】
さらに、外海における貨物移送は、貨物移送プロセスに他の改良点をもたらす場合がある。例えば、船を穏和な環境条件に移動させる融通性により、輸送船が経験する場合のある貨物の部分充填スロッシング負荷が減少する。特に、LNG又は他の流体のこのスロッシングを減少させることにより、他の船と比較して、基地船、例えば再ガス化LNGCを建造する費用が一段と減少する場合がある。これら他の輸送船は、このプロセスにおける基地船については存在しない場合のある長距離輸送に関するスロッシングの問題を解決する必要がある。また、貨物移送は、外海で起こるので、位置決めタグ及び動的位置決めシステムは不要な場合があり、それにより、移送作業について他の潜在的なコスト削減が可能になる。
【0036】
図2は、本発明の或る特定の観点による再ガス化LNGCに関する図1の移送作業の例示のフローチャートである。参照符号200で示された例示のフローチャートでは、基地船と輸送船及び受け入れ基地との間に関する貨物、例えばLNG及び(又は)NGの移送について説明する。基地は、2つ又は3つ以上の水中タレット荷積み(STL)荷揚げブイを有するのが良く、これらブイは、停泊させて貨物、例えばLNG又はNGを荷揚げするために外海環境の海底に固定されるのが良い。しかしながら、基地は、他の実施形態では任意適当な受け入れ基地又は輸出基地であっても良いことは理解されるべきである。
【0037】
フローチャートは、ブロック202で始まる。ブロック204では、受け入れ基地のところで貨物、例えばLNG又はNGを移送する。上述したように、貨物の移送は、種々の荷揚げ方式を含む場合がある。ブロック206では、貨物移送が完了したかどうかについての判定が行われる。貨物移送が完了していない場合、ブロック204において、貨物の移送が続く。しかしながら、貨物移送が完了している場合、ブロック208において、はしけ運搬場所の決定を行うのが良い。はしけ運搬場所は、操業条件に基づいて選択されるのが良い。操業条件としては、好ましい環境条件(例えば、天候、海上模様、嵐等)及び商業的条件(例えば、最善の市場、契約上の義務等に関連した場所)が挙げられる。それにもかかわらず、はしけ運搬場所は、基地船について識別され、輸送船に連絡される。
【0038】
ブロック210では、基地船は、はしけ運搬場所まで移動する。基地船の移動は、上述したように、はしけ運搬ループの決定に基づくのが良い。次に、ブロック212に示されているように、基地船と輸送船との間の交換又は移送を行う。移送は、輸送船と基地船が、外海の表面に沿って実質的に同一の方向に動いている間に行われるのが良い。さらに、この移送は、基地船及び輸送船に関して外海(例えば、海域)の表面に沿って、外海上における輸送船の速度よりも低い速度で行われるのが良い。基地船は、受け入れ基地と関連しているので、貨物は、輸送船から基地船に荷揚げされる。ブロック214では、貨物移送が完了したかどうかの判定を行う。貨物移送が完了していない場合、ブロック212において、貨物の移送が続く。しかしながら、貨物移送が完了している場合、ブロック216に示されているように、輸送船は、受け入れ基地まで移動する。
【0039】
受け入れ基地では、ブロック218に示されているように、貨物を処理して移送する。処理は、貨物の再ガス化、再ガス化された貨物の圧縮及び(又は)他のこれらに類似した処理作業を含む場合があり、移送は、ブロック204で上述した荷揚げ方式の任意のものを利用することができる。ブロック220では、作業が完了したかどうかの判定を行う。作業が完了していない場合、ブロック208に示されているように、別のはしけ運搬場所に関する判定を行う。しかしながら、作業が完了している場合、プロセスは、ブロック222に示されているように終了する。
【0040】
別の見方について説明すると、図3は、本発明の或る特定の観点による運搬船に関する図1の移送作業の例示のフローチャートである。参照符号300で示された例示のフローチャートでは、移送船に関する貨物、例えばLNG及び(又は)NGの移送について説明する。理解されるべきこととして、輸送船は、貨物を輸出基地又は受け入れ基地の一方に移送するのが良く、他方の移送は、他の実施形態では基地船との間で行われる。
【0041】
フローチャートは、ブロック302で始まる。ブロック304では、輸送船によって貨物を得る。貨物を得ることは、貨物を受け入れはしけ運搬場所のところで輸出基地船から受け取ること又は貨物を輸出基地から受け取ることを含む場合がある。上述したように、貨物を得ることは、種々の荷揚げ方式を含む場合がある。いったん得られると、輸送船は、受け入れ基地306に向かって移動する。この移動は、外海環境上での貨物の運搬を含む。
【0042】
ブロック308では、荷揚げはしけ運搬場所の決定を行う。この場合も又、荷揚げはしけ運搬場所は、上述したような種々の条件に基づいて選択されるのが良い。荷揚げはしけ運搬場所がいったん決定されると、輸送船は、ブロック310に示されているように、荷揚げはしけ運搬場所まで移動するのが良い。次に、受け入れ基地船が荷揚げはしけ運搬場所のところに位置している場合、ブロック312に示されているように、貨物を輸送船から受け入れ基地船に移送する。上述したように、貨物の移送は、種々の荷揚げ方式を含む場合がある。ブロック314では、貨物移送が完了したかどうかの判定を行う。貨物移送が完了していない場合、ブロック312において、貨物の移送が続く。貨物移送が完了している場合、ブロック316に示されているように、作業が完了したかどうかの判定を行う。作業が完了していない場合、ブロック304に示されているように、別の貨物を得るための段階に進む。しかしながら、作業が完了している場合、プロセスは、ブロック318に示されているように終了する。この方法及び図2の方法の例について、図4〜図6の例示の流体運搬システム又は船隊において以下に説明する。
【0043】
図4は、本発明の或る特定の観点による例示の流体運搬システム又は船隊400を示している。例示の流体運搬システム400では、受け入れ基地402は、外海停泊受け入れ場所のところに配置されると共にパイプライン404に結合されているのが良い。パイプライン404は、基地船から天然ガス又は気化LNGを受け取ることができる(例えば、LNGCは、浮遊貯蔵及び再ガス化ユニット(FSRU)、例えば再ガス化LNGC410,412として機能する)。再ガス化LNGC410,412は、LNGを輸送船から受け取るためにはしけ運搬ループ416を辿るのが良く、このような輸送船は、輸送ループ418を辿る1つ又は2つ以上のLNGC、例えばLNGC414a〜414nを含む場合がある。LNGC414a〜414nの数nは、整数であるのが良い。このように、輸出基地(図示せず)からのLNGをLNGC414a〜414nにより再ガス化LNGC410,412に移送することができ、このような再ガス化LNGC410,412は、LNGを受け入れ基地402のための天然ガスに変換する。受け入れ基地402は、既存の沖合基地と比較して貨物移送作業を促進すると共に上述した既存の基地設計の制約を減少させるので有益である。
【0044】
受け入れ基地402は、1つ又は2つ以上の再ガス化LNGC410,412をパイプライン404に結合する種々の機構体を有するのが良い。例えば、受け入れ基地402は、停泊させて天然ガスを荷揚げするために外海環境の海底に固定できる2つ又は3つ以上のSTLブイ、例えば第1のSTLブイ406及び第2のSTLブイ408を有するのが良い。パイプライン404(例えば、天然ガスパイプライン)は、天然ガスを受け取り、この天然ガスを陸上施設(図示せず)に移送するよう構成されている。パイプライン404は、当該技術分野において知られているように、典型的なパイプラインの動作条件で機能するのが良い。例えば、ガスパイプラインに関する動作条件は、温度が2℃の場合、圧力が最高約80バールまでであるのが良い。注目されるべきこととして、受け入れ基地402は、海底に固定された1つ又は2つ以上の停泊構造体、ブイシステム及び(又は)パイプライン404と流体連通関係をなすことができる他の類似の構造体を有する構造物であっても良い。
【0045】
LNGを提供するため、LNGC414a〜414n及び再ガス化LNGC410,412は、それぞれのはしけ運搬ループ416及び輸送ループ418を辿る。再ガス化LNGC410,412及びLNGC414a〜414nは、航海のための居住設備及び貯蔵タンクと共に推進及びナビゲーションのための代表的なシステムを備えるのが良い。貯蔵タンクとしては、LNGを貯蔵するのに適した種々の形式のタンク設計物、例えばメンブレンタンク、自立形角柱状(SPB)タンク、球形タンク及び長方形(モジュラー)タンクが挙げられる。さらに、再ガス化LNGC410,412及びLNGC414a〜414nは、補助システム、例えば居住区、補修施設、安全システム、緊急脱出避難システム、ロジスティックスシステム、発電システム及び作業を支援する他のユーティリティーを有するのが良い。再ガス化LNGC410,412及びLNGC414a〜414nの各々は、LNG貯蔵タンク及び他の典型的な設備を有するが、再ガス化LNGC410,412は、再ガス化設備及び荷揚げ設備を更に有するのが良い。再ガス化設備は、陸上LNG受け入れ基地においてLNGをLNGCからその気体状態に変換するために用いられる種々の従来形式の設備の任意のもの、例えば熱交換器、ポンプ及び圧縮機を有するのが良い。荷揚げ設備としては、極低温ローディングアーム、極低温ホース、STLブイ及びLNGの移送に利用される他の設備が挙げられる。特に、極低温ローディングアーム及び極低温ホースは、荷揚げ作業、例えば連結、LNG移送及び切り離し中に沖合環境におけるLNG運搬船の移動に対応するよう設計されているのが良い。特定の例では、再ガス化LNGC410,412の各々は、265,000立方メートル(m3)のLNG貯蔵量をもたらすと共に1日当たり10億標準立方フィート(bscf/d)の再ガス化量をもたらす2つの貯蔵タンク及びタレットコンパートメントを備えたQmaxLNGCであるのが良い。
【0046】
操業のため、再ガス化LNGC410,412は、LNGC414a〜414nとの外海における貨物移送(例えば、はしけ運搬)を行うよう構成されているのが良い。始めに、LNGC414a〜414nの各々は、輸送ループ418を辿る。LNGC414a〜414nの各々は、LNGを輸送ループ418に沿って輸出基地又は他の場所から受け取り、上述したように受け入れ基地402に向かって移動する。それと同時に、第1の再ガス化LNGC410が第1のSTLブイ406に取り付けられ、その間、この第1の再ガス化LNGCは、その貯蔵タンク内でLNGを再ガス化し、天然ガスをパイプライン404内に送出している。LNGC414a〜414nの各々が受け入れ基地402に接近すると、輸送ループ418に沿うそれぞれのLNGC414a〜414nの各々及びはしけ運搬ループ416に沿う再ガス化LNGC410,412の一方について適当なはしけ運搬場所が識別される。例えば、はしけ運搬場所をいったん選択すると、第2の再ガス化LNGC412は、指定されたはしけ運搬場所でLNGC414bに出会い、再ガス化LNGC412とLNGC414bとの間にはしけ運搬連結部420が作られる。LNG移送は、LNGCの外海速度よりも低い速度で行われるのが良い。環境条件をモニタして風、波及び海流がはしけ運搬作業にとって都合の良い状態のままであるようにする。LNGを再ガス化LNGC412に移送すると、LNGC414bは、追加のLNGを受け取るよう輸出基地に戻り、他方、再ガス化LNGC412は、受け入れ基地402に戻って第2のSTLブイ408に結合され、そしてLNGを再ガス化して天然ガスにし、この天然ガスをパイプライン404中に荷揚げする。第2の再ガス化LNGC412がパイプライン404内への天然ガスの荷揚げを開始すると、第1の再ガス化LNGC410は、第1のSTLブイ406から離れて別の指定されたはしけ運搬場所に向かって移動してLNGC414a〜414nの別の1つに出会うのが良い。このように、再ガス化LNGC410,412及びLNGC414a〜414nの移送プロセスは、天然ガスをパイプライン404に提供するよう続く。
【0047】
はしけ運搬ループ416(例えば、LNGC414a〜414nの1つを備えたはしけ運搬場所とSTLブイ406,408の一方との間の再ガス化LNGC410,412の移動)と輸送ループ418(例えば、輸出基地と再ガス化LNGC410,412の一方を備えたはしけ運搬場所との間のLNGCの移動)は、パイプライン404中への連続天然ガス供給を可能にするよう続くので有益である。はしけ運搬ループ416及び輸送ループ418は、各サイクルにおいて同一の経路を辿らず、種々の要因に基づいて調節可能であることが解る。例えば、はしけ運搬場所は、都合の良い環境条件(例えば、天候、海上模様、嵐等)に基づいて選択可能である。貨物移送のためのはしけ運搬場所を選択する上での融通性により、陸上又は固定沖合場所での典型的なLNG移送について利用可能な低い波高への依存性が減少する。その結果、海上模様が或る一場所でのはしけ運搬作業にとって高すぎる場合、環境条件が穏和な外海の別の場所を選択する。流体運搬システムの別の例示の実施形態が、図5に記載されている。
【0048】
図5は、本発明の或る特定の観点による例示の流体輸送システム又は船隊500を示す図である。この流体輸送システム500は、流体輸送システム400とほぼ同じであるが、流体運搬システム500は、LNG輸出作業に利用されるのが良い。したがって、例示の流体運搬システム500では、輸出基地502は、炭化水素又は産出流体を受け入れ、LNGを1つ又は2つ以上の基地船510,512及びLNGC514a〜514nに提供するようパイプライン504に結合された地上LNGプラントであるのが良い。LNGC514a〜514nは、図4のLNGC414a〜414nとほぼ同じであるが、基地船510,512は、再ガス化LNGCであるのが良く、このような再ガス化LNGCは、図4の再ガス化LNGC410,412とほぼ同じであるが、この実施形態では、砕氷船として機能し又は対氷補強船体を有するよう構成されている。さらに、基地船510,512は、LNG貯蔵庫を備えた砕氷船又はこの実施形態では対氷補強船体及びLNG貯蔵庫を備えた船であっても良い。したがって、基地船510,512は、LNGをLNGC514a〜514nに提供するよう積氷522がある海域を通ってはしけ運搬ループ516を辿るのが良く、このようなLNGCは、海域の外海領域524のところで輸送ループ518を辿る。このように、輸出基地502からのLNGは、基地船510,512及びLNGC514a〜514nにより受け入れ基地(図示せず)に移送されるのが良い。基地船510,512を用いることにより、積氷522が形成されているにもかかわらず、LNGを輸出基地から提供することができので有益であり、このような積氷は、氷及び氷山が相当大きい高緯度の北極地方に存在する場合がある。
【0049】
輸出基地502は、1つ又は2つ以上の基地船510,512を結合するための種々の機構体を有するのが良い。例えば、輸出基地502は、荷積みプラットホーム503及び1つ又は2つ以上の停泊構造物、例えばドルフィン506,508を有するのが良く、これらドルフィンは、各々、海底又は地球の表面に固定される。輸出基地502と輸出船510,512との間の移送は、代表的な荷揚げ設備及び荷揚げ方式、例えば上述したように並置荷揚げ方式、タンデム荷揚げ方式又はSLTS荷揚げ方式を用いるのが良い。
【0050】
この実施形態ではLNGを移送するため、第1の基地船510は、輸出基地502に作動的に結合されるのが良い。第1の基地船510にいったんLNGを荷積みすると、第1の基地船は、砕氷タグ又はそれ自体の砕氷設備を用いて積氷522を通過することができる。第1の基地船510がいったん積氷の無い(しかしながら、必ずしも氷山又は着氷がなければならないということはない)領域に達すると、第1の基地船510は、移送作業のためのはしけ運搬場所でLNGC514bに出会うよう移動する。第1の基地船510とLNGC514bとの間の移送は、例えばはしけ運搬連結部420とほぼ同じであるのが良いはしけ運搬連結部520を通って外海移送について上述したのとほぼ同じ仕方で実施できる。はしけ運搬場所は、外海領域524中の任意の場所から選択できるので、氷山及び他の過酷な環境条件(例えば、嵐、過酷な海上模様、海流、波等)をLNG移送のために回避することができる。次に、LNGC514bは、LNGを受け入れ基地(図示せず)に送出することができ、第1の基地船510は、輸出基地502に戻って貨物を更に受け取る。
【0051】
それと同時に、第2の基地船512は、輸出基地502でLNGを受け取ることができ、その間、第1の基地船510は、LNGをLNGC514bに移送している。第1の基地船510が輸出基地502に戻ると、第2の基地船512は、輸出基地502を出航して積氷522を通って進路を選択されたはしけ運搬場所に向け、貨物を次のLNGCに移送し、このLNGCは、LNGC514a〜514nの別の1つである。LNGC514a〜514nは、LNGを受け入れ基地か受け入れ基地の近くの他の基地船かのいずれかに提供することができる。それにもかかわらず、基地船510,512及びLNGC514a〜514nは、はしけ運搬ループ516及び輸送ループ518に沿うLNG移送を続けて輸出基地502からの貨物の流れを維持することができる。
【0052】
基地船510,512は、積氷を突破してLNGを輸出基地502から連続的に輸送することができるので、輸送船、例えばLNGC514a〜514nは、LNGを輸出基地502から受け取るために積氷522を通って移動する必要はないので有益である。即ち、砕氷機能を備えなければならないのは基地船510,512だけであり、輸送船は、貨物を輸出基地502から輸出する作業に要する費用を減少させるために従来設計を利用することができる。さらに、はしけ運搬場所が外海における任意の場所である場合、はしけ運搬場所は、費用のこのような切り離し可能又は対氷補強基地設計を行わないで氷山を管理するよう選択可能である。また、受け入れ基地402の場合と同様、輸出基地502は、スケール変更可能であり、図6に詳細に示されているように、2隻以上の輸送船及び2つ以上の輸出基地を用いて連続業務を行うことができる。
【0053】
図6は、本発明の或る特定の観点による例示の流体輸送システム又は船隊600を示す図である。例示の流体輸送システム600では、多数の基地602a,602b,602cは、受け入れ基地402とほぼ同じ沖合受け入れ基地であるのが良く、このような基地は、1つ又は2つ以上の停泊構造物、例えばSTLブイ606a〜606c及び608a〜608cを有している。例えば、各基地602a〜602cは、特定の設計に応じて、2つ又は3つ以上のSTLブイを有するのが良い。受け入れ基地602a〜602cは、各々、1つ又は2つ以上の再ガス化LNGC610a〜610n及びLNGC614a〜614nから天然ガス又は産出流体を受け取るようパイプライン604a〜604cに結合されているのが良く、これら再ガス化LNGC及びLNGCは、図4の再ガス化LNGC410,412及びLNGC414a〜414nとほぼ同じである。この形態では、再ガス化LNGC610a〜610nは、LNGをLNGC614a〜614nの1つから受け取ってこのLNGを受け入れ基地602a〜602cの任意の1つに提供することができる。次に、LNGC614a〜614nからのLNGは、関連の受け入れ基地602a〜602cを通ってそれぞれのパイプライン604a〜604cに移送されるのが良い。受け入れ基地602a〜602cの選択は、操業条件、例えば環境条件及び(又は)商業的条件に基づくのが良い。上述したように、操業条件としては、好ましい環境条件(例えば、天候、海上模様、嵐等)及び商業的条件(例えば、最善の市場、契約上の義務、最も高い需要、最適価格の申し出等に関連した場所)が挙げられる。受け入れ基地、LNGC及び再ガス化LNGCの数が各々、種々の実施形態について任意の整数であって良いことは注目されるべきである。
【0054】
操業の一例として挙げると、第1の再ガス化LNGC610aを受け入れ基地602aに結合する。再ガス化LNGC610aからLNGがいったん荷揚げされると、この再ガス化LNGCは、第1のはしけ運搬場所まで移動して移送作業のためにLNGC614aに出会う。第1のはしけ運搬場所は、外海の任意の場所から選択できるので、第1のはしけ運搬場所は、LNG移送に関して操業条件、例えば環境条件又は商業的条件(例えば、最善の市場、契約上の規則等に関連した場所)に基づいて選択できる。次に、再ガス化LNGC610aは、受け入れ基地602a〜602cの1つに戻ってLNGを送出することができ、他方、LNGC614aは、別の貨物積荷を受け取るよう別の場所、例えば輸出基地(図示せず)まで移動する。
【0055】
第1の再ガス化LNGC610aの作動と並行して、第2の再ガス化LNGC610bは、LNGを受け入れ基地602bのところで荷揚げすることができ、その間、第1の再ガス化LNGC610aは、LNGをLNGC614aに移送している。また、第3の再ガス化LNGC610cも又、受け入れ基地602cのところでLNGを荷揚げすることができ、その間、第1の再ガス化LNGC610aは、LNGをLNGC614aに移送している。第1の再ガス化LNGC610aが受け入れ基地602a〜602cの1つに戻ると、第2の再ガス化LNGC610bは、受け入れ基地602bを出航して進路を第2のはしけ運搬場所に向けてLNGを次のLNGCから受け取り、この次のLNGCは、LNGC614bであるのが良い。LNGC614bは、LNGを第2の再ガス化LNGC610bに提供することができる。それにもかかわらず、再ガス化LNGC610a〜610n及びLNGC614a〜614nは、はしけ運搬ループ616及び輸送ループ618に沿ってLNG移送を続けて受け入れ基地602a〜602cへの貨物の流れを維持することができる。
【0056】
本発明は、2つ又は3つ以上の受け入れ基地602a〜602c及び2つ又は3つ以上の再ガス化LNGC610a〜610nを設置した状態でスケール変更可能であるので有益である。標準型ガス荷揚げブイを利用することができるので、再ガス化LNGC610a〜610nは、市場の力及び局所的なガスの価格に応じて互いに異なる受け入れ基地602a〜602cのところに設置された互いに異なるガスブイ相互間で再配置可能である。さらに、このプロセスにおいて、LNGC614a〜614nの数は、LNGのスループット及び全体的なLNG送出連鎖経済性によって調節可能である。
【0057】
他の変形実施形態では、基地402又は502は、基地船、例えば図4の再ガス化LNGC410,412及び図5の基地船510,512を係留したり、基地船をパイプライン404又は504に結合したりする1つ又は2つ以上の停泊構造物を有するのが良い。例えば、停泊構造物、例えばドルフィンを用いると、基地船を海底に固定された積荷プラットホームに隣接して係留することができる。即ち、受け入れ基地の停泊構造物は、基地船からの係留ラインを固定するために海底に固定された構造物である係留ドルフィン及び基地船の運動を拘束すると共に係留ラインを固定するための追加の箇所を提供するために基地船と接触状態にある構造物である停泊ドルフィンを含むのが良い。基地402,502のための別の停泊構造物として、スプレッド形係留システムが用いられる場合がある。スプレッド形係留システムでは、基地船の船首方位を拘束するために多数本の係留ラインが用いられる場合がある。係留ラインの一端部は、係留されるべき基地船の1隻に取り付けられ、他端部は、海底に設けられたアンカ又は杭に取り付けられる。係留ラインは、代表的には、基地船から切り離された場合、係留作業中における係留ラインの回収を容易にするための浮遊装置を備えている。
【0058】
さらに、輸出基地又は受け入れ基地と関連した基地船は、他の実施形態では、基地に特有の或る特定の条件を補償する種々のシステムを有するのが良い。一例として挙げると、基地船510,512は、輸出基地ではなく、受け入れ基地に利用されるのが良い。これら基地船は、作業を一段と促進するためにLNG貯蔵タンクと共に再ガス化施設を更に有するのが良い。別の例として挙げると、再ガス化LNGC410,412は、輸出基地(図示せず)に利用されるのが良い。このようにすると、LNGC410,412は、輸出基地からNG又はLNGを受け取り、LNGをLNGC414a〜414nに提供することができる。さらに又、別の実施形態では、受け入れ基地及び輸出基地は、それぞれの基地と関連した基地船を有するのが良い。この実施形態では、輸送船は、受け入れ基地又は輸出基地と直接相互作用する必要なく、受け入れ基地及び輸出基地のところでのはしけ運搬作業を介してLNGをLNGCに移送する。
【0059】
さらに、更に別の実施形態では、上述の方法及びシステムは、LNGと一緒に又はLNGに代えて他の貨物を輸送するために利用できる。例えば、貨物は、CO2又は別の液化ガスである場合がある。これら実施形態では、基地船及び輸送船は、輸送されるべき液化ガスに特有のシステム及び設備を有するのが良い。これら設備の幾つかは、上述の設備とほぼ同じ場合があるが、他の設備としては、圧力容器及び貨物に特有の圧力を維持してこれを収容するよう設計された他の設備が挙げられる。
【0060】
さらに、上述したように、はしけ運搬場所に関する決定を行う場合があり、このような決定は、はしけ運搬ループ内の距離範囲に基づくのが良い。この決定は、移送作業の速度と共に基地船の速度を計算することを含む場合がある。例えば、図7A及び図7Bに示されているように、1時間当たりの立方メートル(m3/hr)で表わされたLNG移送量の互いに異なるグラフ図700,710が時間に対して示されている。これらグラフ図700,710では、互いに異なる基地船を利用して、基地内への流体の流れを妨げないこれら船の到達範囲を求める。
【0061】
例えば、図7Aでは、グラフ図700は、移送軸線702に沿う1時間当たりの立方メートル(m3/hr)で表わされた移送量を時間軸線704に沿う時間に対して表わした2つの基地船に関するLNG移送作業を示している。このグラフ図700では、基地でのガスパイプラインへの送出量は、1時間当たり約2,319立方メートル(m3/hr)であり、はしけ運搬移送量は、約14,000m3/hrである。はしけ運搬移送量は、海面下極低温移送用途におけるSLTS移送量とほぼ同じである。また、基地船は、Q‐Maxパーセルサイズ(例えば、245,000m3〜263,000m3の船倉)を有し、1.2GCFD送出量で移送を行うことができる。これら基地船は又、15ノット(kt)で100海里(nm)移動し、約10ノットで移動しながら流体を輸送船に移送することができる。このグラフ図700に示されているように、第1の基地船は、第1の応答706に沿って示されているように種々の作業を行うことができ、第2の基地船は、第2の応答708に沿って示されているように種々の作業を行うことができる。特に、第1の基地船は、再ガス化流体を9時間〜120時間でパイプラインにより移送することができ、第2の基地船は、再ガス化流体を約121時間〜約232時間でパイプラインにより移送することができる。この場合、これら移送作業を次の期間にわたって交互に実施することができる。第2の船がいったん再ガス化流体を移送していると(例えば、121時間〜232時間にわたり)、第1の基地船は、基地から100海里離れた移送場所まで移動し、LNGを輸送船から輸送し、そして基地に戻ることができる。その結果、流体の連続供給を保証するためには、基地のブイと関連した基地船について約66時間の余裕(例えば、166時間〜232時間)が存在する。
【0062】
図7Bでは、グラフ図710は、時間軸線714に沿う時間に対する移送軸線712に沿う1時間当たりの立方メートル(m3/hr)で表わされたLNG移送量を示している。このグラフ図710では、基地でのガスパイプラインへの送出量は、この場合も又、1時間当たり約2,319立方メートル(m3/hr)であり、はしけ運搬移送量は、約14,000m3/hrである。しかしながら、この例では、基地船は、従来型LNG(CLNG)パーセルサイズ(例えば、138,000m3の船倉)を有すると共に1.2GCFD送出量の移送を行うことができる。これら基地船も又、15ノット(kt)で100海里(nm)移動することができ、約10ノットで移動しながら流体を運搬船に移送することができる。このグラフ図710に示されているように、第1の基地船は、第1の応答716に沿って示されているように種々の作業を行うことができ、第2の基地船は、第2の応答718に沿って示されているように種々の作業を行うことができる。第1の基地船は、再ガス化流体を9時間〜67時間でパイプラインにより移送することができ、第2の基地船は、再ガス化流体を約68時間〜約126時間でパイプラインにより移送することができる。この場合、これら移送作業を次の期間にわたって交互に実施することができる。第2の船がいったん再ガス化流体を移送していると(例えば、68時間〜126時間にわたり)、第1の基地船は、基地から100海里離れた移送場所まで移動し、LNGを輸送船から輸送し、そして基地に戻ることができる。その結果、流体の連続供給を保証するためには、基地のブイと関連した基地船について約22時間の余裕(例えば、104時間〜126時間)が存在する。
【0063】
上述の例から理解できるように、サイズの異なるはしけ運搬ループも又想定できる。この場合も又、これらはしけ運搬ループ(例えば、基地船の到達範囲)は、基地船の速度及び基地船と基地船又は輸送船との間の流体(例えば、極低温流体又は再ガス化流体)の移送量に基づく。
【0064】
さらに、はしけ運搬ループの決定も又、1つの基地又は一群の基地を支援する基地船の隻数に基づいて調節可能である。例えば、図6に記載されているように、多数の基地船は、多数の基地を支援することができる。その結果、はしけ運搬場所の決定は、一システムで利用されるべき基地及び基地船に基づくのが良い。
【0065】
さらに、本発明は、基地船が特殊設備を有する他の実施形態に利用できる。例えば、図4〜図6の実施形態の任意のものの基地船は、輸送船との貨物移送のために基地と外海場所との間の安全なナビゲーションを可能にする他の基地の特定設備を備えた基地船を含むのが良い。この基地特有設備としては、ナビゲーション設備(例えば、方向づけスラスタ)が挙げられる。さらに、基地特有設備としては、停泊及び係留設備(例えば、互いに異なる基地との適合性を得るための継手)が挙げられる。例えば、基地が浮遊フォークリフト形システムであり又はブームを利用している場合、基地船の特定の係留設備又は構造的観点を利用して船を基地に固定することができる。また、基地特有設備としては、特定貨物移送設備、例えばローディングアーム、ポンプ、極低温ホース、伸縮ブーム等が挙げられる。
【0066】
本発明の技術には種々の改造例及び変形例の余地があるので、上述の例示の実施形態は、一例として示されているに過ぎない。しかしながら、再び理解されるべきこととして、本発明は、本明細書に開示した特定の実施形態に限定されるわけではない。事実、本発明の技術は、特許請求の範囲に記載された本発明の真の精神及び範囲に属する全ての変形例、改造例及び均等例を含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温流体を輸送する方法であって、
輸送船を所与の外海場所で基地船に結合するステップとし、
極低温流体を前記輸送船と前記基地船との間で移送するステップとを有し、前記極低温流体は、前記輸送船及び前記基地船が実質的に同一方向に移動している間に移送され、
前記基地船を前記輸送船から切り離すステップと、
前記基地船を基地まで移動させて前記極低温流体及び前記極低温流体から生じたガスの一方を前記基地船と前記基地との間で移送するステップとを有する、方法。
【請求項2】
前記極低温流体は、液化天然ガス(LNG)である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記LNGを前記基地船で再ガス化し、前記再ガス化したLNGを前記基地に結合されたパイプラインに送出するステップを更に有する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記LNGを前記基地に送出し、前記LNGを前記基地で気化させて前記基地に結合されたパイプラインへの前記気化したLNGの送出を行うステップを更に有する、請求項2記載の方法。
【請求項5】
パイプラインからの天然ガスを前記基地で受け取り、前記天然ガスを液化して前記基地船でLNGを生じさせるステップを更に有する、請求項2記載の方法。
【請求項6】
LNGを前記基地から受け取るステップを更に有する、請求項2記載の方法。
【請求項7】
極低温流体を前記輸送船と前記基地船との間で移送する前記ステップは、並置荷揚げ方式とタンデム荷揚げ方式の一方を備えている、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記基地船は、貯蔵タンクと、再ガス化設備とを有する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記基地船を前記基地まで移動させる前記ステップは、前記基地船を、積氷を突破して移動させて前記基地に到達させるステップを備えている、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記基地船は、砕氷型運搬船、対氷補強型運搬船、方向づけスラスタを搭載した運搬船、及びこれらの任意の組み合わせの1つである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
別の基地船を前記基地に結合するステップと、
前記輸送船と前記基地船との間での前記極低温流体の移送と並行して追加の極低温流体を前記別の基地船と前記基地との間で移送するステップとを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記別の基地船を前記基地に結合する前記ステップは、前記別の基地船を前記基地の2つのブイの一方に固定するステップを備えている、請求項11記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの環境条件に基づいて前記外海場所を選択するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの環境条件は、天候、海上模様、及びこれらの任意の組み合わせの1つを含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記極低温流体は、液化二酸化炭素(CO2)である、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記基地船の速度に基づいて前記外海場所を決定するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記基地船と前記輸送船との間における前記極低温流体の移送速度、前記基地船と前記基地との間における前記再ガス化流体の移送速度、及びこれらの任意の組み合わせに基づいて前記外海場所を決定するステップを更に有する、請求項1記載の方法。
【請求項18】
流体を運搬する方法であって、
輸送船を所与の外海場所で第1の基地船に結合するステップを有し、
極低温流体を前記第1の基地船と前記輸送船との間で移送するステップを有し、前記極低温流体は、前記輸送船及び前記第1の基地船が実質的に同一方向に移動している間に移送され、
前記第1の基地船を前記輸送船から切り離すステップを有する、方法。
【請求項19】
前記輸送船を別の外海場所まで移動させるステップを更に有し、
前記輸送船を前記別の外海場所で第2の基地船に結合するステップを更に有し、
前記極低温流体を前記第2の基地船と前記輸送船との間で移送するステップを更に有し、前記極低温流体は、前記輸送船及び前記第2の基地船が指定された方向に移動している間に移送され、
前記第2の基地船を前記輸送船から切り離すステップを有する、請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記輸送船を基地まで移動させるステップと、
前記輸送船を前記基地に結合するステップと、
前記極低温流体を前記輸送船と前記基地に結合されたパイプラインとの間で移送するステップとを更に有する、請求項18記載の方法。
【請求項21】
操業条件に基づいて複数の基地の1つを決定するステップと、
前記輸送船を前記複数の基地の前記1つまで移動させるステップと、
前記輸送船を前記基地に結合するステップと、
前記極低温流体を前記輸送船と前記基地に結合されたパイプラインとの間で移送するステップとを更に有する、請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記極低温流体は、液化天然ガス(LNG)である、請求項18記載の方法。
【請求項23】
前記輸送船は、液化天然ガス運搬船である、請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記第1の基地船は、貯蔵タンクと、再ガス化設備とを有する、請求項22記載の方法。
【請求項25】
前記基地船は、砕氷型運搬船、対氷補強型運搬船、方向づけスラスタを搭載した運搬船、及びこれらの任意の組み合わせの1つである、請求項18記載の方法。
【請求項26】
環境条件に基づいて前記外海場所を選択するステップを更に有する、請求項18記載の方法。
【請求項27】
前記環境条件は、天候、海上模様、及びこれらの任意の組み合わせの1つを含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記極低温流体は、液化二酸化炭素(CO2)である、請求項18記載の方法。
【請求項29】
流体輸送システムであって、
少なくとも1つの基地と、
前記少なくとも1つの基地と関連した複数の基地船とを有し、前記複数の基地船は、
極低温流体を前記少なくとも1つの基地との間で移送したり、
複数の輸送船の1隻との間で移送したりするよう構成されており、前記極低温流体は、前記複数の基地船の1隻と前記複数の輸送船の前記1隻が実質的に同一方向に移動している間に、移送される、流体輸送システム。
【請求項30】
前記少なくとも1つの基地は、1つ又は2つ以上の水中タレット荷積みブイを有する、請求項29記載の流体輸送システム。
【請求項31】
前記少なくとも1つの基地は、海底に固定されると共に陸上設備に流体を提供するパイプラインに結合されている、請求項29記載の流体輸送システム。
【請求項32】
前記複数の基地船の各々は、
前記複数の輸送船の前記1隻と連絡して操業条件に基づいて前記基地船と結合するための外海場所を提供したり、
前記基地船を前記外海場所まで移動させたりするよう構成されている、請求項29記載の流体輸送システム。
【請求項33】
前記少なくとも1つの基地は、居住区、保守施設、安全システム、緊急脱出避難システム、ロジスティックスシステム、及び発電システムの少なくとも1つを更に有する、請求項29記載の流体輸送システム。
【請求項34】
前記極低温流体は、液化天然ガス(LNG)である、請求項29記載の流体輸送システム。
【請求項35】
前記複数の基地船は、前記LNGを移送するための極低温ローディングアームを有する、請求項34記載の流体輸送システム。
【請求項36】
前記複数の基地船は、前記LNGを移送するための極低温ホースを有する、請求項34記載の流体輸送システム。
【請求項37】
前記複数の基地船は、LNGを収容する貯蔵タンクを有する、請求項34記載の流体輸送システム。
【請求項38】
前記貯蔵タンクは、角柱状タンク、球形タンク、メンブレンタンク、モジュラータンク、及びこれらの任意の組み合わせの1つである、請求項37記載の流体輸送システム。
【請求項39】
前記複数の基地船は、前記LNGを気化させる施設を有する、請求項34記載の流体輸送システム。
【請求項40】
前記少なくとも1つの基地は、2つ又は3つ以上の停泊構造物を有する、請求項34記載の流体輸送システム。
【請求項41】
前記停泊構造物は、海底に固定された停泊ドルフィン、スプレッド形係留システム、水中タレットローディングブイ、及びこれらの任意の組み合わせの1つを含む、請求項40記載の流体輸送システム。
【請求項42】
前記極低温流体は、液化二酸化炭素(CO2)である、請求項29記載の流体輸送システム。
【請求項43】
前記少なくとも1つの基地は、複数の基地から成り、前記複数の基地船は、前記複数の基地と関連していて、少なくとも1つの操業状態に基づいて前記複数の基地の選択された基地まで移動するよう構成されている、請求項29記載の流体輸送システム。
【請求項44】
前記複数の基地は、別々の地理的位置に設置されている、請求項43記載の流体輸送システム。
【請求項45】
極低温流体を輸送する方法であって、
輸送船を所与の外海場所で基地船に結合するステップを有し、
極低温流体を前記輸送船と前記基地船との間で移送するステップを有し、前記極低温流体は、前記輸送船及び前記基地船が実質的に同一方向に移動している間に移送され、
前記基地船を前記輸送船から切り離すステップを有し、
少なくとも1つの操業条件に基づいて複数の基地の1つを選択するステップを有し、
前記基地船を前記複数の基地の前記1つまで移動させて前記基地船と前記複数の基地の前記1つとの間で前記極低温流体を移送するステップを有する、方法。
【請求項46】
前記極低温流体は、液化天然ガス(LNG)である、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記LNGを前記基地船で再ガス化し、前記再ガス化したLNGを前記複数の基地の前記1つに結合されたパイプラインに送出するステップを更に有する、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記LNGを前記複数の基地の前記1つに送出し、前記LNGを前記複数の基地の前記1つで気化させて前記複数の基地の前記1つに結合されたパイプラインへの前記気化したLNGの送出を行うステップを更に有する、請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記基地船は、貯蔵タンクと、再ガス化設備とを有する、請求項45記載の方法。
【請求項50】
前記基地船を前記基地まで移動させる前記ステップは、前記基地船を、積氷を突破して移動させて前記複数の基地の前記1つに到達させるステップを備えている、請求項45記載の方法。
【請求項51】
前記基地船は、砕氷型運搬船、対氷補強型運搬船、方向づけスラスタを搭載した運搬船、及びこれらの任意の組み合わせの1つである、請求項45記載の方法。
【請求項52】
前記複数の基地の前記1つの前記選択は、環境条件に基づく、請求項45記載の方法。
【請求項53】
前記環境条件は、天候、海上模様、及びこれらの任意の組み合わせの1つを含む、請求項52記載の方法。
【請求項54】
前記極低温流体は、液化二酸化炭素(CO2)である、請求項45記載の方法。
【請求項55】
流体を輸送する方法であって、
輸送船を所与の外海場所で基地船に結合するステップを有し、前記基地船は、砕氷型運搬船又は対氷補強型運搬船の1つであり、
流体を前記輸送船と前記基地船との間で移送するステップを有し、前記流体は、前記輸送船及び前記基地船が実質的に同一方向に移動している間に移送され、
前記基地船を前記輸送船から切り離すステップを有し、
積氷を突破して前記基地船を移動させて基地に到達させ、前記流体及び前記流体から生じたガスの一方を前記基地船と前記基地との間で移送するステップを有する、方法。
【請求項56】
前記流体は、液化天然ガス(LNG)である、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記LNGを前記基地船で再ガス化し、前記再ガス化したLNGを前記基地に結合されたパイプラインに送出するステップを更に有する、請求項56記載の方法。
【請求項58】
前記LNGを前記基地に送出し、前記LNGを前記基地で気化させて前記基地に結合されたパイプラインへの前記気化したLNGの送出を行うステップを更に有する、請求項56記載の方法。
【請求項59】
パイプラインからの天然ガスを前記基地で受け取り、前記天然ガスを液化して前記基地船でLNGを生じさせるステップを更に有する、請求項56記載の方法。
【請求項60】
LNGを前記基地から受け取るステップを更に有する、請求項56記載の方法。
【請求項61】
流体を前記輸送船と前記基地船との間で移送する前記ステップは、並置荷揚げ方式とタンデム荷揚げ方式の一方を備えている、請求項55記載の方法。
【請求項62】
前記基地船は、貯蔵タンクと、再ガス化設備とを有する、請求項55記載の方法。
【請求項63】
別の基地船を前記基地に結合するステップと、
前記輸送船と前記基地船との間での前記流体の移送と並行して追加の流体を前記別の基地船と前記基地との間で移送するステップとを更に有する、請求項55記載の方法。
【請求項64】
前記別の基地船を前記基地に結合する前記ステップは、前記別の基地船を前記基地の2つのブイの一方に固定するステップを備えている、請求項63記載の方法。
【請求項65】
少なくとも1つの環境条件に基づいて前記外海場所を選択するステップを更に有する、請求項55記載の方法。
【請求項66】
前記少なくとも1つの環境条件は、天候、海上模様、及びこれらの任意の組み合わせの1つを含む、請求項65記載の方法。
【請求項67】
前記極低温流体は、液化二酸化炭素(CO2)である、請求項55記載の方法。
【請求項68】
前記基地船の速度に基づいて前記外海場所を決定するステップを更に有する、請求項55記載の方法。
【請求項69】
前記基地船と前記輸送船との間における前記流体の移送速度、前記基地船と前記基地との間における前記再ガス化流体の移送速度、及びこれらの任意の組み合わせに基づいて前記外海場所を決定するステップを更に有する、請求項55記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2010−509136(P2010−509136A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537140(P2009−537140)
【出願日】平成19年9月17日(2007.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/020107
【国際公開番号】WO2008/060350
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(500450727)エクソンモービル アップストリーム リサーチ カンパニー (46)
【Fターム(参考)】