説明

流体を不等比率で保存及び分与するための二重流体カートリッジ

不等比率において流体を保存及び分与するための二重流体カートリッジが提供される。二重流体カートリッジには、量の多い方の流体を保持するための2つの流体チャンバと、量の少ない方の流体を保持するための別の流体チャンバとが画定される。量の多い方の流体を保持する2つの流体チャンバは、送りチャンネルを介して相互に流体連通される。この構成上、本発明の二重流体カートリッジは不等比率(例えば10:1、9:1、8:1、7:1など)において流体を保持及び分与する必要がある場合に極めて好適であり且つ非常に有効である。孔の構成により、カートリッジにおける無駄なスペースは最小化され、それが、カートリッジ内に保存され得る流体量を最大化させる。その結果、二重流体カートリッジから分与され得る最終製品の合計量も最大化され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
二重流体カートリッジは、使用するまで分離状態のままに維持し、分与時には適正な化学反応を確実に生じさせるべく、正確なプリセット比で極めて急速に混合する必要のある2つの流体を保存及び分与するために使用される。2つの流体が要求プリセット比でカートリッジから適正に分与されないと最終的な流体混合物の受ける悪影響が大きくなり、要求される機能あるいは付着性(adhere)を生じなくなる。そうした流体の例には、熱硬化性接着剤(例えば、樹脂及び硬化剤)作成用のものがある。
【背景技術】
【0002】
二重流体カートリッジは工業的に長年に渡り使用されてきており、形式の異なるものが開発されている。比較的最近開発された二重流体カートリッジでは米国特許第5,310,091号に記載されるものがある。この米国特許に記載される二重流体カートリッジは、充填が比較的楽で且つ簡単に手に入る分与装置、例えばコーキングガンで使用することができるという効率性がある。この二重流体カートリッジは1:1の比率で混合する必要のある流体の場合に特に有効である。前記米国特許の二重流体カートリッジは1:1ではない比率(例えば2:1)で混合するべき流体にも使用することができるものの、2つの流体を1:1以外の混合比率で混合する場合の有効性は小さくなる。なぜなら、前記米国特許の二重流体カートリッジの流体保持用チャンバーは2つだけなので、保存及び分与するべき2つの流体間の比率が増大するに従い、カートリッジ内の無駄なスペースが増え、製造可能な最終製品量が減ってしまうからである。混合比率が高い(例えば10:1)場合、カートリッジ内で無駄になるスペースの大きさと、製造可能な最終製品量の低下は相当なものとなる。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5310091号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、流体を不等比率で保存及び分与するために有効であり、カートリッジ内の無駄なスペースが最小限であり且つ分与され得る最終製品の合計量が最大である二重流体カートリッジに対する要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一様相によれば、一方の量が他方の流体の量よりも大きい2つの流体を保存及び分与するための流体カートリッジであって、出口及びこの出口に対向する開放端部を画定する外側カートリッジ壁と、外側カートリッジ壁内に配置した内側カートリッジ壁にして、外側カートリッジ壁により画定される出口と同じ位置に配置した出口を画定する内側カートリッジ壁と、を含む流体カートリッジが提供される。内側カートリッジ壁内には第1ピストンが、内側カートリッジ壁とこの第1ピストンとが少量側流体のための流体チャンバを画定するようにして配置される。外側カートリッジ壁と内側カートリッジ壁との間には第2ピストンが、多量側流体のための第1流体チャンバを形成するように配置される。外側カートリッジ壁内の、第1ピストンと、外側カートリッジ壁の開放端部との間には第3ピストンが配置される。更に、第1ピストンと第3ピストンとの間には固定壁が、この固定壁と第3ピストンとが、多量側流体のための第2流体チャンバを画定するようにして配置される。第3ピストンの力を第1ピストンに伝達するための手段と、第3ピストンの力を第2ピストンに伝達するための手段とが含まれる。多量側流体のための、第1流体チャンバ及び第2流体チャンバを流体連通可能とするための送りチャンネルが第1流体チャンバ及び第2流体チャンバ間に配置される。
【0006】
本様相に従う流体カートリッジにおいて、多量側流体と少量側流体との間の比率は10:1、2:1あるいはその他の比率であり得る。流体カートリッジには、多量側流体のための第1流体チャンバ及び第2流体チャンバ間に配置した複数の送りチャンネルも含まれ得る。送りチャンネルは、第3ピストンから第2ピストンへの、あるいは第3ピストンから第1ピストンへの力伝達手段でもあり得る。送りチャンネルは内側カートリッジ壁と一体的に形成し得、三日月形あるいは環状の通路であり得る。また、外側カートリッジ壁により画定される出口は内側部分を有し得、内側カートリッジ壁により画定される出口は外側カートリッジ壁の出口の前記内側部分内で且つこの内側部分に渡り配置され得る。内側カートリッジ壁の出口は、多量側流体を排出するための第1開口と、少量側流体を排出するための第2開口とをも画定し得る。内側カートリッジ壁の出口はリブを沿設した外側表面をも有し得、各リブは外側カートリッジ壁の出口の内側部分内の内側カートリッジ壁の出口を固定する。
【0007】
本発明の他の様相によれば、一方の量が他方の流体の量よりも大きい2つの流体を保存及び分与するための流体カートリッジであって、出口及びこの出口に対向する開放端部を画定する外側カートリッジ壁と、外側カートリッジ壁内に配置した内側カートリッジ壁にして、外側カートリッジ壁により画定される出口と同じ位置に配置した出口を画定する内側カートリッジ壁と、を含む流体カートリッジが提供される。内側カートリッジ壁内には第1ピストンが、内側カートリッジ壁とこの第1ピストンとが、少量側流体のための流体チャンバを画定するようにして配置される。外側カートリッジ壁と内側カートリッジ壁との間には第2ピストンが、多量側流体のための第1流体チャンバを形成するように配置される。外側カートリッジ壁内の、第1ピストンと、外側カートリッジ壁の開放端部との間には第3ピストンが配置される。更に、第1ピストンと第3ピストンとの間には固定壁が、この固定壁と第3ピストンとが、多量側流体のための第2流体チャンバを画定するようにして配置される。第3ピストンと第1ピストンとの間には第1伝達構造が配置され、第3ピストンと第2ピストンとの間には第2伝達構造が配置される。多量側流体のための、第1流体チャンバ及び第2流体チャンバを流体連通可能とするための送りチャンネルが第1流体チャンバ及び第2流体チャンバ間に配置される。
【0008】
本様相に従う流体カートリッジにおいて、多量側流体と少量側流体との間の比率は10:1、2:1あるいはその他の比率であり得る。流体カートリッジには、多量側流体のための第1流体チャンバ及び第2流体チャンバ間に配置した複数の送りチャンネルも含まれ得る。送りチャンネルは、第1伝達構造或いは第2伝達構造と一体的に形成され得る。送りチャンネルは内側カートリッジ壁と一体的に形成し得、三日月形あるいは環状の通路であり得る。また、外側カートリッジ壁により画定される出口は内側部分を有し得、内側カートリッジ壁により画定される出口は外側カートリッジ壁の出口の前記内側部分内で且つこの内側部分に渡り配置され得る。内側カートリッジ壁の出口は、多量側流体を排出するための第1開口と、少量側流体を排出するための第2開口とをも画定し得る。内側カートリッジ壁の出口はリブを沿設した外側表面をも有し得、各リブは外側カートリッジ壁の出口の内側部分内の内側カートリッジ壁の出口を固定する。
【0009】
本発明の他の様相によれば、一方の量が他方の流体の量よりも大きい2つの流体を保存及び分与するための流体カートリッジであって、出口及びこの出口に対向する開放端部を画定する外側カートリッジ壁と、外側カートリッジ壁内に配置した内側カートリッジ壁にして、外側カートリッジ壁により画定される出口と同じ位置に配置した出口を画定する内側カートリッジ壁と、を含む流体カートリッジが提供される。内側カートリッジ壁内には第1ピストンが、内側カートリッジ壁とこの第1ピストンとが、多量側流体のための流体チャンバを画定するようにして配置される。外側カートリッジ壁と内側カートリッジ壁との間には第2ピストンが、少量側流体のための第1流体チャンバを形成するように配置される。外側カートリッジ壁内の、第1ピストンと、外側カートリッジ壁の開放端部との間には第3ピストンが配置される。更に、第1ピストンと第3ピストンとの間には固定壁が、この固定壁と第3ピストンとが、多量側流体のための第2流体チャンバを画定するようにして配置される。第3ピストンの力を第1ピストンに伝達するための手段と、第3ピストンの力を第2ピストンに伝達するための手段とが含まれる。多量側流体のための、第1流体チャンバ及び第2流体チャンバを流体連通可能とするための送りチャンネルが第1流体チャンバ及び第2流体チャンバ間に配置される。本様相に従う流体カートリッジにおいて、多量側流体と少量側流体との間の比率は10:1、2:1あるいはその他の比率であり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1及び図1Aを参照するに、本発明に従う二重流体カートリッジの一実施例が番号20で示されている。二重流体カートリッジ20は、外側にネジ溝を有する外側出口壁21と、内側出口部分70と、を含む出口71を有し、以下に詳しく説明するように、2つの流体を、ユーザーが分与装置を用いてこれら2つの流体を混ぜ合わせるまで相互に分離させた状態で保存する。図2には分与装置22内に配置した二重流体カートリッジ20が示される。図2では分与装置22は標準的な手動式コーキングガンとして示されるが、本発明の二重流体カートリッジ20は任意形式の分与装置22と共に使用し得るものであって、手動式のコーキングガンに限定されるものではない。例えば、別の分与装置22は形状あるいは寸法が異なるものであり得、空気圧、油圧、バッテリー電源あるいは幾つかの形態の機械的駆動体、例えば起動用ネジによって起動され得るものである。図2に示す分与装置22は、この分与装置22のハンドル28を貫いて伸延するロッド26に連結したプランジャー24を有し、ロッド26はそのロッドの後方部分に形成したラチェット歯30を有している。分与装置22は引き金32をも有する。引き金32は、これを作動させるとラチェット歯30と係合してプランジャ24を前進させる。引き金32を作動し続けるとプランジャ24は、以下に詳しく説明するように二重流体カートリッジ20の後方部分に係合してこれを押圧し、結局、二重流体カートリッジ20内に貯蔵した2つの流体を分与及び混合させる。
図2に示す二重流体カートリッジ20はその端部位置に取り付けたノズル34をも有する。本実施例ではノズル34は保持用ナット36を二重流体カートリッジ20のネジ溝付きの外側出口壁21に螺着させることで二重流体カートリッジ20に取り付けられる。ノズル34は代表的にはその内部にスタティックミキサー31を収納し、このスタティックミキサー31が、二重流体カートリッジ20内に保存した2つの流体をその分与時に混合させる。
【0011】
図3及び図3Aを参照するに、本実施例の二重流体カートリッジ20には3つの流体チャンバ40、42、44が画定され、その内流体チャンバ42と44とは送りチャンネル46を介して相互に流体連通されている。この構成上、二重流体カートリッジ20は不等比率(例えば、10:1、9:1、8:1、7:1等)の流体を保存及び分与する必要がある場合に極めて好適且つ非常に有効なものとなる。送りチャンネル46を介して相互に流体連通する2つの流体チャンバ42及び44には、保存及び分与されるべき流体の内、量の多い方(例えば混合比率10:1の10成分)が充填され、残りの流体チャンバ40には量の少ない方(例えば混合比率10:1の1成分)が充填される。こうした構成上、二重流体カートリッジ20内の無駄なスペース量は最小化され、かくして二重流体カートリッジ20内に保存され得る流体48及び50の量が最大化され、その結果、二重流体カートリッジ20から分与され得る最終製品の合計量も最大化される。
【0012】
二重流体カートリッジ20の本実施例では、二重流体カートリッジ20は外側カートリッジ壁52と、内側チャンバ構造54と、第1ピストン56と、第2ピストン58と、圧力壁60と、後方ピストンアセンブリ62とをも含んでいる。本実施例では外側カートリッジ壁52は中空の内側部分64を画定する円筒壁である。好ましい実施例では二重流体カートリッジ20の外側カートリッジ壁52は先に説明したようなコーキングガンのような、分与装置の標準部品内に嵌合する、工業規格設計のものである。本実施例では外側カートリッジ壁52はその一端部位置に開口66を画定し、他端部位置に二重流体カートリッジ20の、外側にネジ溝を設けた外側出口壁21を有する。二重流体カートリッジ20の内側チャンバ構造54が外側カートリッジ壁52の中空の内側部分64内に配置される。内側チャンバ構造54は、内側カートリッジ壁68と、本実施例におけるの2つの排出開口72及び74を画定する内側出口部分70とを含み、本実施例では前記排出開口72は多量側流体48を、また排出開口74は少量側流体50を、夫々通すために使用される。
【0013】
排出開口72及び74の寸法は、流体48及び50の、二重流体カートリッジ20から分与する際の相対的な混合比率によって決定される。本実施例では、内側チャンバ構造54は、外側カートリッジ壁52と係合して錠止されると出口71を形成する。内側チャンバ構造54の内側出口部分70は、この内側出口部分70の端部位置に形成した環状の係合リップ76を有する。内側チャンバ構造54を中空の内側部分64に挿通すると、内側チャンバ構造54の内側出口部分70が外側カートリッジ壁52の外側出口壁21の前記内側部分に挿通される。内側チャンバ構造54は、外側カートリッジ壁52の内側部分64の内部を、係合リップ76が外側出口壁21を通り抜けてこの外側出口壁21の端部と係合するまで、前方に押送される。本実施例では内側出口部分70もまた、その長手方向に沿って形成した一連のリブ78を有する。組み立て形態ではこれらのリブ78は外側出口壁21の内側部分と接触し、それにより、内側出口部分70を外側出口壁21の内側部分にぴったりと押し付けて、流体が出口71の内側出口部分70と外側出口壁21との間から漏出しないように維持する。
【0014】
二重流体カートリッジ20の第1ピストン56が内側チャンバ構造54の内部に配置される。第1ピストン56と内側カートリッジ壁68とが流体チャンバ40を画定し、この流体チャンバ40には少ない量の方の流体50が保持される。二重流体カートリッジ20の、内側カートリッジ壁68の外側部分と、外側カートリッジ壁52の内側部分との間に第2ピストン58が配置される。本実施例では第2ピストン58は内側カートリッジ壁68を包囲し、内側カートリッジ壁68の外側部分と、外側カートリッジ壁52の内側部分と共に、本実施例では第1チャンバであるところのチャンバ42を画定し、この第1チャンバ42には多量側流体48の一部分が保持される。
【0015】
内側チャンバ構造54と後方ピストンアセンブリ62との間には圧力壁60が配置される。本実施例では圧力壁60は内側チャンバ構造54に連結され、これにより圧力壁60は然るべく固定される。後方ピストンアセンブリ62と圧力壁60とが、本実施例では第2チャンバであるところのチャンバ44を画定し、このチャンバ44が、多量側流体48の残余部分を保持するために使用される。多量側流体48は、送りチャンネル46により第1チャンバ42と第2チャンバ44間で流体連通される。送りチャンネル46は、本実施例では多量側流体48のための第2チャンバ44内に位置決めされる入口開口86を画定し、また、本実施例では多量側流体48のための第1チャンバ42内に開口する出口88をも画定する。
【0016】
後方ピストンアセンブリ62は、後方ピストン表面80と、第1伝達構造82と、第2伝達構造84とを含み、本実施例では、必ずしもその必要はないが、これらの各部分80、82、84は全てが相互に一体化されている。後方ピストンアセンブリ62の、後方ピストン表面80と、第1伝達構造82と、第2伝達構造84とは、各々別個の構造体であり得る。本実施例では第1伝達構造82は、後方ピストンアセンブリ62の後方ピストン表面80から圧力壁60を貫いて伸延され、第1ピストン56と係合する。本実施例では第2伝達構造84は、後方ピストンアセンブリ62の後方ピストン表面80から、圧力壁60と外側カートリッジ壁52の内側部分との間を密着しつつ貫いて伸延されてシールを形成し、また第2ピストン58と係合する。
【0017】
二重流体カートリッジ20から流体を分与するためには、後方ピストンアセンブリ62を出口71に向けて前方に押し出す。本実施例では後方ピストンアセンブリはコーキングガンのプランジャ24を作動させることにより押し出される。プランジャ24が図4に矢印で示す方向で前進されるに従い、プランジャ24は後方ピストンアセンブリ62を押圧し、同時に、後方ピストン表面80が第1チャンバ44内に保存した流体48を押圧し、第1伝達構造82が第1ピストン56を押圧し、第2伝達構造84が第2ピストン58を押圧する。流体48は第チャンバ44内で後方ピストン表面80に押され、圧力壁60により圧縮される。流体48は、多量側流体48のための第1チャンバ44内で圧縮されるに従い、入口開口86から送りチャンネル46に入り、送りチャンネル46の出口88から、多量側流体のための第2チャンバ42に入る。同時に、第2伝達構造84が第2ピストン58を押圧することで第2チャンバ42内の流体48は排出開口72に押入され、かくして二重流体カートリッジ20を出る。やはり同時に、第1伝達構造82が第1ピストン56を押圧することで、第1チャンバ49内の少量側流体50が排出開口74に押入され、次いで二重流体カートリッジ20を出る。流体48及び50は、排出開口72及び74を通して二重流体カートリッジ20を出る際にノズル34内のスタティックミキサー31により相互に混合される。
【0018】
流体の、上述した排出及び混合プロセスはコーキングガン24を作動させる限り及び二重流体カートリッジ20から分与するべき流体が残っている限り、継続される。図4には二重流体カートリッジ20が、そこから流体の一部が分与された状態で示される。図5には、二重流体カートリッジ20が、流体チャンバ40、42、44に流体内容物を有する状態で示される。
図5は、充填前の二重流体カートリッジ20の構造状態を示すものでもある。二重流体カートリッジ20を充填するためには、流体チャンバ40、42、44を、その各排出開口72、74を通して適宜の流体48及び50を充填する。この充填プロセスは先に説明した分与プロセスとは逆の様式で実施される。
本発明の二重流体カートリッジ20の数多くの変形例を設計及び使用することが可能である。図6〜図10を参照するに、本発明の二重流体カートリッジ20の幾つかのその他の実施例が示される。これらの実施例では同じ構成要素は参照番号で示される。図6を参照するに、二重流体カートリッジ20では、一つではなく2つの、送りチャンネル46a及び46bが流体チャンネル42及び44間の流体連通を提供し、各送りチャンネル46a及び46bは、力を第2ピストン58に伝達するための第2伝達構造としても作用する。従って、図2に示すような第2伝達構造84のような第2伝達構造を別個に設ける必要がない。本実施例は2つの送りチャンネル46a及び46bを有するものとして示されるが、2つ以上の送りチャンネル46(例えば3つあるいはそれ以上の)を同じ様式下に使用し得るものとする。
【0019】
図7及び図7Aを参照するに、二重流体カートリッジ20の送りチャンネル46が、内側チャンバ構造54の内側カートリッジ壁68と一体に形成されている。送りチャンネル46は任意の形状で形成することができるが、本実施例では内側カートリッジ壁68の輪郭に合わせるために三日月形状とされる。
図8及び図8Aは図7及び図7Aに示す実施例と類似のものであり、送りチャンネル46は内側チャンバ構造54と一体的に形成されているが、内側カートリッジ壁68を取り巻く形で一体化されている点が異なる。
【0020】
図9及び図9Aに示される二重流体カートリッジ20の実施例では送りチャンネル46が、第1ピストン56に力を伝達するための第1伝達構造として作用する。従って、図2に示すような第1伝達構造82を別個に設ける必要がない。本実施例では送りチャンネル46が配置される位置的理由から、第1ピストン56及び内側チャンバ構造54により画定される流体チャンバ40は、先に説明したその他の実施例におけるように少量側流体50ではなく、むしろ多量側流体48の一部分を保持するようになる。そしてその結果、第2ピストン58及び外側カートリッジ壁52の内側部分及び内側カートリッジ壁68の外側部分によって画定される流体チャンバ42は、多量側流体48の一部分に変えて、少量側流体50を保持するようになる。図10及び図10Aに示す実施例は図9及び図9Aに示す実施例と類似のものであるが、流体チャンバ40が小さくされ、流体チャンバ42が大きくされている点で異なっている。この実施例は、多量側流体及び少量側流体間の要求比率が1:1に近い、例えば2:1のような場合のものである。
以上、本発明を実施例を参照して説明したが、本発明の内で種々の変更をなし得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の二重流体カートリッジの一実施例の斜視図である。
【図1A】外側カートリッジ壁の一部を破除して図1の出口の内側出口部分を示す、図1の二重流体カートリッジの部分破除した斜視図である。
【図2】ノズルを取付けた二重流体カートリッジを分与装置に配置し、二重流体カートリッジ及び分与装置の一部を破除して示す、本発明の二重流体カートリッジの一実施例の部分破除した斜視図である。
【図3】取り付けたノズル及びスタティックミキサーの断面と、図2に示す分与装置のプランジャー及びロッドの一部分と共に示す、本発明の二重流体カートリッジの充填状態での実施例の長手方向断面図である。
【図3A】図3を線3A−3Aに沿って切断した断面図である。
【図4】中間分与位置での図3に示す二重流体カートリッジの長手方向断面図である。
【図5】二重流体カートリッジの中身を分与した状態で示す図3の二重流体カートリッジの長手方向断面図である。
【図6】本発明の二重流体カートリッジの他の実施例の長手方向断面図である。
【図7】本発明の二重流体カートリッジの他の実施例の長手方向断面図である。
【図7A】図7を線7A−7Aに沿って切断した断面図である。
【図8】本発明の二重流体カートリッジの他の実施例の長手方向断面図である。
【図8A】図8を線8A−8Aに沿って切断した断面図である。
【図9】本発明の二重流体カートリッジの他の実施例の長手方向断面図である。
【図9A】図9を線9A−9Aに沿って切断した断面図である。
【図10】本発明の二重流体カートリッジの他の実施例の長手方向断面図である。
【図10A】図10を線10A−10Aに沿って切断した断面図である。
【符号の説明】
【0022】
20 二重流体カートリッジ
21 外側出口壁
22 分与装置
24 プランジャー
26 ロッド
28 ハンドル
30 ラチェット歯
31 スタティックミキサー
32 引き金
34 ノズル
36 保持用ナット
40、42、44 流体チャンバ
46 送りチャンネル
46a、46b 送りチャンネル
48 多量側流体
50 少量側流体
52 外側カートリッジ壁
54 内側チャンバ構造
56 第1ピストン
58 第2ピストン
60 圧力壁
62 後方ピストンアセンブリ
64 内側部分
68 内側カートリッジ壁
70 内側出口部分
71 出口
72、74 排出開口
78 リブ
80 後方ピストン表面
82 第1伝達構造
84 第2伝達構造
88 出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方が他方よりも量の多い2つの流体を保存及び分与するための流体カートリッジであって、
出口及び該出口と対向する開放端部を画定する外側カートリッジ壁と、
外側カートリッジ壁内に配置され、前記外側カートリッジ壁により画定される出口と同じ位置に位置付けた出口を画定する内側カートリッジ壁と、
内側カートリッジ壁内に配置した第1ピストンにして、内側カートリッジ壁と該第1ピストンとが、少量側流体のための流体チャンバを画定する第1ピストンと、
外側カートリッジ壁と内側カートリッジ壁との間に配置され、多量側流体のための第1流体チャンバを形成する第2ピストンと、
外側カートリッジ壁内の、前記第1ピストンと、外側カートリッジ壁の開放端部との間に配置した第3ピストンと、
第1ピストンと第3ピストンとの間に配置した固定壁にして、該固定壁及び第3ピストンが多量側流体のための第2流体チャンバを画定する固定壁と、
第3ピストンの力を第1ピストンに伝達するための手段と、
第3ピストンの力を第2ピストンに伝達するための手段と、
多量側流体のための第1流体チャンバと第2流体チャンバとの間に配置した送りチャンネルにして、第1流体チャンバ及び第2流体チャンバ間を流体連通させ得る送りチャンネルと、
を含む流体カートリッジ。
【請求項2】
多量側流体と少量側流体との比率が10:1である請求項1の流体カートリッジ。
【請求項3】
多量側流体と少量側流体との比率が2:1である請求項1の流体カートリッジ。
【請求項4】
流体カートリッジが、多量側流体のための第1流体チャンバ及び第2流体チャンバ間に配置した複数の送りチャンネルを含む請求項1の流体カートリッジ。
【請求項5】
第3ピストンの力を第2ピストンに伝達する手段が送りチャンネルである請求項1の流体カートリッジ。
【請求項6】
第3ピストンの力を第1ピストンに伝達する手段が送りチャンネルである請求項1の流体カートリッジ。
【請求項7】
送りチャンネルが内側カートリッジ壁と一体的に形成される請求項1の流体カートリッジ。
【請求項8】
送りチャンネルが三日月形状を有する請求項7の流体カートリッジ。
【請求項9】
送りチャンネルが環状である請求項7の流体カートリッジ。
【請求項10】
外側カートリッジ壁により画定される出口が内側部分を有し、内側カートリッジ壁により画定される出口が前記外側カートリッジ壁の出口の前記内側部分内で且つこの内側部分に渡り配置される請求項1の流体カートリッジ。
【請求項11】
内側カートリッジ壁の出口が、多量側流体を排出するための第1開口と、少量側流体を排出するための第2開口とを画定する請求項10の流体カートリッジ。
【請求項12】
内側カートリッジ壁の出口が、リブを沿設した外側表面を有し、各リブが、外側カートリッジ壁の内側部分内で内側カートリッジ壁を固定する請求項10の流体カートリッジ。
【請求項13】
一方が他方よりも量の多い2つの流体を保存及び分与するための流体カートリッジであって、
出口及び該出口と対向する開放端部を画定する外側カートリッジ壁と、
外側カートリッジ壁内に配置され、前記外側カートリッジ壁により画定される出口と同じ位置に位置付けた出口を画定する内側カートリッジ壁と、
内側カートリッジ壁内に配置した第1ピストンにして、内側カートリッジ壁と該第1ピストンとが、少量側流体のための流体チャンバを画定する第1ピストンと、
外側カートリッジ壁と内側カートリッジ壁との間に配置され、多量側流体のための第1流体チャンバを形成する第2ピストンと、
外側カートリッジ壁内の、前記第1ピストンと、外側カートリッジ壁の開放端部との間に配置した第3ピストンと、
第1ピストンと第3ピストンとの間に配置した固定壁にして、該固定壁及び第3ピストンが多量側流体のための第2流体チャンバを画定する固定壁と、
第3ピストンと第1ピストンとの間に配置した第1伝達構造と、
第3ピストンと第2ピストンとの間に配置した第2伝達構造と、
多量側流体のための第1流体チャンバと第2流体チャンバとの間に配置した送りチャンネルにして、第1流体チャンバ及び第2流体チャンバ間を流体連通させ得る送りチャンネルと、
を含む流体カートリッジ。
【請求項14】
多量側流体と少量側流体との比率が10:1である請求項13の流体カートリッジ。
【請求項15】
多量側流体と少量側流体との比率が2:1である請求項13の流体カートリッジ。
【請求項16】
流体カートリッジが、多量側流体のための第1流体チャンバ及び第2流体チャンバ間に配置した複数の送りチャンネルを含む請求項13の流体カートリッジ。
【請求項17】
送りチャンネルが第2伝達構造と一体的に形成される請求項13の流体カートリッジ。
【請求項18】
送りチャンネルが第1伝達構造と一体的に形成される請求項13の流体カートリッジ。
【請求項19】
送りチャンネルが内側カートリッジ壁と一体的に形成される請求項13の流体カートリッジ。
【請求項20】
送りチャンネルが三日月形状を有する請求項19の流体カートリッジ。
【請求項21】
送りチャンネルが環状である請求項19の流体カートリッジ。
【請求項22】
外側カートリッジ壁により画定される出口が内側部分を有し、内側カートリッジ壁により画定される出口が前記外側カートリッジ壁の出口の前記内側部分内で且つこの内側部分に渡り配置される請求項13の流体カートリッジ。
【請求項23】
内側カートリッジ壁の出口が、多量側流体を排出するための第1開口と、少量側流体を排出するための第2開口とを画定する請求項22の流体カートリッジ。
【請求項24】
内側カートリッジ壁の出口が、リブを沿設した外側表面を有し、各リブが、外側カートリッジ壁の内側部分内で内側カートリッジ壁を固定する請求項22の流体カートリッジ。
【請求項25】
一方が他方よりも量の多い2つの流体を保存及び分与するための流体カートリッジであって、
出口及び該出口と対向する開放端部を画定する外側カートリッジ壁と、
外側カートリッジ壁内に配置され、前記外側カートリッジ壁により画定される出口と同じ位置に位置付けた出口を画定する内側カートリッジ壁と、
内側カートリッジ壁内に配置した第1ピストンにして、内側カートリッジ壁と該第1ピストンとが、多量側流体のための第1流体チャンバを画定する第1ピストンと、
外側カートリッジ壁と内側カートリッジ壁との間に配置され、少量側流体のための流体チャンバを形成する第2ピストンと、
外側カートリッジ壁内の、前記第1ピストンと、外側カートリッジ壁の開放端部との間に配置した第3ピストンと、
第1ピストンと第3ピストンとの間に配置した固定壁にして、該固定壁及び第3ピストンが多量側流体のための第2流体チャンバを画定する固定壁と、
第3ピストンの力を第1ピストンに伝達するための手段と、
第3ピストンの力を第2ピストンに伝達するための手段と、
多量側流体のための第1流体チャンバと第2流体チャンバとの間に配置した送りチャンネルにして、第1流体チャンバ及び第2流体チャンバ間を流体連通させ得る送りチャンネルと、
を含む流体カートリッジ。
【請求項26】
多量側流体と少量側流体との比率が10:1である請求項25の流体カートリッジ。
【請求項27】
多量側流体と少量側流体との比率が2:1である請求項25の流体カートリッジ。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7A】
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【図8】
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【図8A】
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【図9】
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【図9A】
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【図10】
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【図10A】
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【公表番号】特表2008−512318(P2008−512318A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531245(P2007−531245)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/031546
【国際公開番号】WO2006/031480
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(505444949)ティーエイエイチ インダストリーズ インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】