説明

流体を送達する装置、システム及び方法

【解決手段】流体注入装置は、少なくとも1つの加圧機構と、少なくとも1つの加圧機構に動作可能に関連づけられた少なくとも1つの第1の流体容器(例えばシリンジ、バルク容器)を含んでいる。第1の流体容器は、注入される第1流体を収容するのに適している。流体注入装置はまた、少なくとも1つの加圧機構に動作可能に関連づけられたコントローラを含んでいる。コントローラは、例えば複数のフェーズを含む注入プロトコルのプログラミングを許容するプログラミングシステムを含んでいる。少なくとも1つのパラメータ生成器は、複数のフェーズの少なくとも1つのパラメータを、少なくとも注入処置の一部に基づいて決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互関係
本願は、2005年11月24日に出願された米国仮特許出願第60/631,015号の利益を要求し、その開示内容は引用することを持って、本願への記載加入とする。
【背景技術】
【0002】
本発明は、流体を送達する装置、システム及び方法に関し、特に患者に薬剤流体を送達する装置、システム及び方法に関し、とりわけ医療注入処置中に患者に造影剤を送達する装置、システム及び方法に関する。
【0003】
多くの処置に於いて、放射線学的な試験用の造影剤(電子動力インジェクタを備えた)の投与は、臨床医が空の使い捨ての注射器を一定量の造影薬剤で充填することから始まる。他の処置では、造影剤が予め充填されたシリンジが用いられる。臨床医は、次に診断イメージを可能にすべく、患者に投与されるべき造影剤の流速及び流量を決定する。操作者によって流量と流速が決定される生理食塩水の注入が、しばしば静脈又は動脈内への造影剤の投与に続く。現在の多くの入手可能な注射器では、操作者は多くの個別のフェーズの送達すべき流速及び流量をプログラムすることができる。例えば、インディアノーラのメドラッド社から入手可能なSPECTRIS SOLARIS及びSTELLANTインジェクタは、患者に送達する流速及び流量(例えば、造影剤及び/又は生理食塩水)の6つ以下の個別のペア即ちフェーズの入力を有する。そのようなインジェクタ及びインジェクタについて用いるインジェクタ制御プロトコルは、例えば本発明の譲受人に譲渡された米国特許第6,643,537号及び米国公開公報2004-0064041号に開示されており、その開示内容は引用することを持って、本願への記載加入とする。そのようなフェーズの領域内の値即ちパラメータは、一般に各処置のタイプ及び注入/イメージング処置を受ける各患者について、操作者によって手入力されている。或いは、以前に手入力された流量と流速はコンピュータメモリに格納されて、後で該コンピュータメモリから呼び出すことができる。しかし、特定の患者の特定の処置についてそのようなパラメータが決定されるべき方法は、十分には開発されていない。
【0004】
この点に於いて、イメージング及び他の処置時に、異なる患者については、要求される造影剤の投与量が異なることが認識されてきた。例えば、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,840,026号は注入前或いは注入中に抽出された患者の特定のデータを用いて患者への注入を誂える装置及び方法を開示し、その開示内容は引用することを持って、本願への記載加入とする。患者の違いにより、医療的イメージング処置について要求される投与量が異なることは認識されたが、従来の医療的イメージング処置は、医療的イメージング処置時に造影剤注入用の予め設定された投与量、又は標準的な送達プロトコルを使用し続ける。MDCTスキャナを含む最近入手可能なCTスキャナは走査速度が速いから、単フェーズ注入は、そのような速いスキャナが用いられる業界の領域に於ける2フェーズ又は他の多面的な注入に亘って支配的である。送達用に標準的で一定の即ち所定のプロトコルを用いることは(単フェーズ、2フェーズ又は多フェーズの何れでも)処置を簡素化するが、同じプロトコルの下、異なる患者に同じ量の造影剤を供給することは、画像のコントラスト及び品質に異なる結果をもたらす。更に、最新のMDCTスキャナを導入すれば、臨床実践及びCT文献での未決問題は、単一スライス及び螺旋形のスキャナに使用される標準コントラストプロトコルが、MDCTマシンを用いる処置に良好にコード変換(translate)するかどうかということである。例えば、Cademartiri、F.及びLuccichenti、G他(2004)の“16列多重スライス・コンピューター断層撮影:基本概念、プロトコル及び増強された臨床応用”Semin Ultrasound CT MR 25(1):2−16頁を参照されたい。
【0005】
少数の研究は、CT血管コントラスト法(CTA)中に注入プロセスの定量分析を試み、動脈の増強を改善し予測した。例えば、Baeと同僚は、造影剤の挙動の薬物動態学的(PK)モデルを開発し、最も安定した動脈の増強を引き起こす駆動関数を見つける目的で、連立微分方程式システムを解いた。K. T.Bae、J.P.Heiken及びJ.A.Brink、“CTに於ける大動脈・肝臓の造影剤の増強。パートI、コンピューターモデルを用いた予測。”放射線学 207巻.647-55頁、1998年;K. T.Bae“CT及びMR血管コントラストに於けるピークのコントラスト増強:何時生じ、何故?豚モデルに於ける薬物動態学の研究”放射線学 227巻.809-16頁、2003年,K.T.Bae他、“CT血管コントラスト法にて一様に延びた血管増強用の多面的な注入法:薬物動態学の分析及び豚の実験方法”放射線学、216巻.872-880頁、2000年、米国特許第5,583,902号、第5,687,208号、第6,055,985号、第6,470,889号及び第6,635,030号を参照し、その開示内容は引用することを持って、本願への記載加入とする。Baeらによって述べられた、単純化され仕切られたモデルの1セットの微分方程式の逆解は、造影剤の指数関数的に減少する流速が、CTイメージング処置での最適な/一定の増強に帰着するかもしれないことを示す。しかし、PKモデルの逆解法によって計算された注入プロフィールは、殆どのCT電動注入器には、大きな修正無しでは、容易に実行することができないプロフィールである。
【0006】
別のアプローチに於いて、Fleischmann及び同僚は、心血管の生理学及びコントラスト動態性を“ブラックボックス”として取り扱い、システムに短時間の造影剤ボーラスを課することにより、インパルス反応を決定した(ユニットインパルスに近似して)。この方法に於いて、該インパルス反応にフーリエ変換を行ない、この伝達関数評価を操作して、以前に実行されたよりも適する注入軌道の評価を決定する。D.Fleischmann及びK. Hittmair“CT血管コントラストについて、離散型フーリエ変形を用いた動脈増強の数学的分析及びボーラス幾何学の最適化”J Comput Assist Tomogr, 23巻,474-84頁,1999年を参照し、その開示は引用することをもって、本願への記載加入とする。
【0007】
造影剤の単フェーズ投与(一般に、或る流速で100-150mlの造影剤)は、不均一な増強曲線に帰する。例えば、上記のD.Fleischmann及びK. Hittmair及びK.T. Bae“CT及びMR血管コントラスト法に於けるコントラストピーク増強:何時生じ、何故?豚のモデルに於ける薬物動態研究”放射線学 227巻.809-16頁、2003年を参照し、その開示は引用することをもって、本願への記載加入とする。FleischmannとHittmairは、このように大動脈のイメージングを最適にする意図を持って、個々の患者に誂えた単フェーズ注入に造影剤の投与を適するように試みる枠組みを提案した。CT造影剤の提供を制御することの基本的な難しさは、中央の血管コンパートメントから高浸透圧薬剤が素早く拡散することである。更に、造影剤は、造影剤を含まない血液と混合して希釈される。
【0008】
Fleischmannは、造影剤の短いボーラス注入、テスト注入(4ml/sで16mlの造影剤)が、診断の走査に先立って注入されることを禁止した。動的な増強走査は対象である血管を横切って形成された。生じた処理済みの走査データ(テスト走査)は、患者/造影剤システムのインパルス応答として解釈された。Fleischmannは、テスト注入のフーリエ変換でテスト走査のフーリエ変換を除することにより、患者伝達関数のフーリエ変換を引き出した。システムが線形の時間不変式(LTI)システムであり、所望の出力時間領域信号が既知であると仮定して(所定の増強レベルの水平な診断走査)、Fleischmannは、患者伝達関数の周波数領域表現で所望の出力の周波数領域表現を割ることにより、入力時間信号を引き出した。Fleischmann他の方法は、注入システム制限(例えば、流速制限)の結果、実際には実現可能でない入力信号を計算するので、計算された連続時間信号を切り下げて近似しなければならない。
【0009】
電動インジェクタを制御して、所望の時間増強曲線を提供するのに加えて、電動インジェクタの動作は、患者への安全を確実にすべく注意深く制御されるべきである。例えば、注入処置中に、一定の液圧を超過しないことが好ましい。患者への潜在的な危険性(例えば血管損傷)、及び注入流体の診断及び/又は治療の有用性が悪化する可能性に加えて、過度の圧力は設備故障に結びつく場合がある。例えば、患者間の交差汚染の可能性があるために、患者に流体を送達するのに用いられるシリンジ及びチューブは、一般には患者毎に変更される。そのような使い捨てのシリンジ及び他の流路要素(時々総称して“使い捨てのセット”と呼ばれる)は一般に、様々なバースト強度のプラスチックから作られる。インジェクタが使い捨ての流路要素のバースト強度を超える圧力を流路内に生じさせたならば、流路要素は壊れるだろう。
【0010】
システム又は注入圧を制御する場合に於いて、多くの現在入手可能なインジェクタがシステム圧力の間接的な表示としてモータ電流を使用する。この技術には測定されるパラメータ(モータ電流)と対象となるパラメータ(流体圧)間に多くの変数があるように、正確さについて固有の問題がある。これらは例えば、測定不正確、モータトルクの一定のバラつき、温度によるモータのバラつき、駆動列の摩擦効果及びシリンジ内の摩擦効果を含む。一般に、どんな制御アルゴリズムもそのようなエラーを考慮に入れなければならず、実際の流体圧が危険値に達するのを防ぐために、流体圧の慎重な評価を作らなければならない。
【0011】
現行の多くのシステムは一般に、控えめな圧力制御値を予め定めている。予め設定された圧力制御レベルに達すると(例えば、モータ電流を監視することによって決定されるように)、そのようなインジェクタは注入の流速を遅くし始め、圧力の上昇を止める。その地点で、注入流体の流量及び流速をサーボ制御するように元々は意図されたインジェクタシステムは、圧力をサーボ制御し始める。圧力を引き出すためにモータ電流を使用することに固有の不正確さは、準拠したシステムに帰結し、この状態に於けるサーボの動作は、安定しない(oscillatory)。望ましい限界を超える圧力が生じて、インジェクタの危険な動作に帰結する可能性がある。
【0012】
現行のインジェクタシステムを制御する問題に加え、そのような多くのシステムは、インジェクタシステムが動作すべき方法に於いて、利便さと柔軟性に欠けている。この点に於いて、医学的な注入処置の複雑さ、及び医療産業のあらゆる局面に於ける速いペースにより、操作者の時間及び技術が重要となる(place a premium)。
【0013】
注入システムに於ける圧力測定及び圧力制御及び/又は制限は、例えば本発明の譲受人に割り当てられた米国特許第5,808,203号、第6,520,930号及び第6,673,033号に記載されており、その開示内容は引用することを持って本願への記載加入とする。米国特許第6,520,930号は、圧力を制御され得る変数ではなく、むしろ危険物として扱うインジェクタ制御方法論を示す。例えば、圧力危険限界は、過失点として設定される。システム内の圧力が(直接又は関節に測定されるとして)、圧力危険レベルに達すると、注入は終了する。インジェクタの性能は、さらにユーザが通常動作の間に連続的なシャットダウンによって使用者が不便でないことを確実にする方法で制限される。例えば、駆動機構に配達された動力は、圧力危険限界、即ち上部危険レベルに達しないような方法で制限されている。この点に於いて、圧力危険限界より下の圧力限界は、低い圧力限界に達したときは、駆動機構に送達される動力が制限されるように設定される。
【0014】
流体送達システムの制御は進化して、例えば所望の時間増強曲線を提供し、患者の安全を提供するが、患者に流体を送達することを改善した装置、システム及び方法を開発することが尚、所望されている。
【発明の開示】
【0015】
発明の要約
1つの態様では、本発明は、少なくとも1つの加圧機構、及び該少なくとも1つの加圧機構に作動的に繋がる少なくとも1つの第1の流体コンテナ(例えば、シリンジ又はバルクコンテナ)を含む流体注入器具を提供する。第1の流体コンテナは、注入されるべき第1の流体を含むのに適している。流体注入器具はまた、少なくとも1つの加圧機構に作動的に繋がるコントローラを含む。コントローラは、例えば、複数のフェーズを有する注入プロトコルのプログラミングができるプログラミングシステムを含む。少なくとも1台のパラメータ生成器が配備されて、注入処置のタイプに基づいたプロトコルの複数のフェーズの少なくとも1つのパラメータを決定する。
【0016】
注入処置に関してここで用いられる“プロトコル”の語は、注入処置中に患者に送達される流体量を定義する、注入される流速、流量、期間のような一群のパラメータを指す。そのようなパラメータは注入処置中に変わる場合がある。ここで用いられるように、“フェーズ”の語は一般に、期間中(即ち、フェーズ持続時間)に送達されるべき流体の量を定義する一群のパラメータを指し、該期間は注入処置のフェーズ持続時間よりも短い。このように、フェーズのパラメータは、フェーズの持続時間に応じた時刻に亘って注入を記述する。特定の注入処置についての注入プロトコルは、例えば単フェーズ(単一のフェーズ)、2フェーズ(2つのフェーズ)、又は多フェーズ(2又は3つ以上のフェーズ、しかし、一般に2つ以上のフェーズ)と記載される。多フェーズ注入はまた、パラメータが注入処置の少なくとも一部に亘って連続的に変化する注入を含む。
【0017】
幾つかの実施例に於いて、流体注入器具は更に少なくとも1つの加圧機構に作動的に繋がる少なくとも1つの第2の流体コンテナ(例えば、シリンジ又はバルクコンテナ)を含む。第2の流体コンテナは、第2の流体を含むのに適している。注入プロトコルの複数のフェーズは、例えば、第1の流体が注入される少なくとも1つのフェーズ、及び第2の流体が注入される少なくとも1つのフェーズを含み得る。第1の流体は例えば、医用イメージングシステムでのコントラストを増強するのに適した造影剤であり、第2の流体は例えば非コントラスト増強流体である。本発明の幾つかの実施例に於いて、コントラスト増強流体のコントラスト増強剤又は種は、ヨウ素又はガドリニウムである。非コントラスト増強流体は例えば、生理食塩水のようなフラッシング用又は希釈用流体である。
【0018】
パラメータ生成器は、例えば、少なくとも1つの追加の変数に基づいたパラメータを生成するのに適している。少なくとも1つの追加の変数は、例えば、造影剤内の増強種の濃度、或いは患者の特定の生理学的変数である。
【0019】
各第1の流体及び第2の流体の各フェーズのパラメータは例えば、注入される量、及び該量を注入する流速プロフィールを含む。コントロールシステムは、例えば、パラメータを手動でプログラムするか、パラメータ生成器によってパラメータをプログラムするかを操作者に選択させることができる。更に、操作者は、パラメータ生成器によってプログラムされたパラメータは、例えば操作者によって変更することができる。
【0020】
操作者は例えば、多くの所定のタイプの注入処置から、1つの注入処置を選ぶことができる。一実施例では、患者の局所の図的表示は、イメージされるべき領域を選択すべく、操作者に提供される。イメージされるべき選択された領域は、注入処置のタイプを定義する。他の実施例に於いて、患者の領域のリストは、イメージすべき領域を選択すべく、操作者に提供される。操作者はまた、パラメータを生成するのにパラメータ生成器によって使用されるのに適した複数のアルゴリズムから1つのアルゴリズムを選択することができる。
【0021】
本発明の幾つかの実施例では、複数のフェーズの少なくとも1つのフェーズは、コントラスト増強流体と非コントラスト増強流体の混合物の注入を含む。
【0022】
パラメータ生成器は、例えば、少なくとも一部がテスト注入に基づいた少なくとも1つのフェーズについてのパラメータを決定する。一実施例に於いて、パラメータ生成器は、テスト注入にて決定される増強をピークにする時間に少なくとも一部が基づいた少なくとも1つのフェーズ(例えば、混合フェーズ)についてのパラメータを決定する。例えば、混合フェーズに於ける非コントラスト増強流体に対するコントラスト増強流体の比は、増強をピークにする時間に基づいて、パラメータ生成器によって決定される。一実施例に於いて、増強をピークにする時間が長いと、非コントラスト増強流体に対するコントラスト増強流体の比が大きくなる結果となる。
【0023】
流体注入器具はまた、入力機構を有するユーザインターフェイスを含み、該入力機構を介して、操作者は入力プロトコル又は出力増強曲線の少なくとも1つを入力することができる。ユーザインターフェースシステムは、更にディスプレイを含む。流体注入器具はまた、ユーザが入力プロトコルを入力すれば、少なくとも1つの計算された出力増強曲線(例えば、ディスプレイに表示されるべき)を提供し、ユーザが出力増強曲線を入力すれば、少なくとも1つの計算された入力プロトコル(例えば、ディスプレイに表示されるべき)を提供するのに適した少なくとも1つのモデルを含み得る。操作者は、例えばユーザインターフェイスシステム上の要素に入力プロトコル又は出力増強曲線を描くことができる。一実施例に於いて、操作者はユーザインターフェイスシステムのディスプレイの要素上に、入力プロトコル又は出力増強曲線を描くことができる。
【0024】
一実施例に於いて、患者に注入されるコントラスト増強流体中にある活性剤の濃度は、少なくとも1つのフェーズでは減少し、一方、患者に注入される流体の流速は略一定に維持される(他のフェーズと比較して)。患者に注入されるコントラスト増強流体中にある活性剤の濃度は、例えば時間に亘って連続的に減少し、一方、流速は略一定に維持される。
【0025】
本発明の幾つかの実施例に於いて、パラメータはイメージング処置中に亘って、1以上の対象領域の増強を達成すべく変更される。例えば、コントラスト増強流体及び非コントラスト増強流体の混合物の注入を含む複数のフェーズの少なくとも1つのパラメータは、イメージング処置中に亘って、1以上の対象領域の増強を達成すべく選択される。一実施例に於いて、1の対象領域は、心臓の左コンパートメントであり、他の対象領域は心臓の右コンパートメントである。他の実施例に於いて、1の対象領域は、肝臓の第1部分であり、第2の対象領域は、肝臓の残りの部分である。
【0026】
流体注入器具はまた、注入手続きを始めるのに必要な工程を図的に示すディスプレイを含むワークフローシステムを有する。操作者は例えば、工程表現を選択して、選択された工程に要求される補助的動作を完成する。ディスプレイは例えば、提案された一続きの順で、工程を図的に示すことができる。
【0027】
流体注入器具はまた、フェーズのパラメータの少なくとも1つに基づいて少なくとも1つのフェーズ中に生成される圧力を決定するシステムを含む。少なくとも1つのフェーズ中に生成されるべき圧力が圧力しきい値を超えていることを示す機構が配備される。
【0028】
幾つかの実施例に於いて、流体注入器具のプログラミングシステムはコンピュータを含み、パラメータ生成器は、コンピュータメモリに格納されたソフトウエアを含む(コンピュータによって実行される)。
【0029】
別の態様では、本発明は、上記のようなイメージング装置及び流体注入器具を含むイメージングシステムを提供する。流体注入器具は、少なくとも1つの加圧機構、及び該少なくとも1つの加圧機構に作動的に繋がる少なくとも1つの第1流体コンテナを含む。第1の流体コンテナは、注入されるべき第1の流体を含むのに適している。流体注入器具はまた、少なくとも1つの加圧機構に作動的に繋がるコントローラを含む。コントローラは、例えば、複数のフェーズを有する注入プロトコルのプログラミングができるプログラミングシステムを含む。少なくとも1台のパラメータ生成器が配備されて、注入処置のタイプに基づいたプロトコルの複数のフェーズの少なくとも1つのパラメータを決定する。
【0030】
別の態様では、本発明は患者に流体を送達する方法を提供し、少なくとも1つの加圧機構を配備する工程と、該少なくとも1つの加圧機構に作動的に繋がる少なくとも1つの第1の流体コンテナを配備する工程であって、第1の流体コンテナは注入されるべき第1の流体を含むのに適している工程と、少なくとも1つの加圧機構に作動的に繋がるコントローラを配備する工程であって、コントローラは、複数のフェーズを有する注入プロトコルのプログラミングができるプログラミングシステムを含む工程と、パラメータ生成器によって注入処置のタイプに少なくとも一部が基づいて、複数のフェーズの少なくとも1つのパラメータの少なくとも1つを決定する工程を有する。
【0031】
更なる態様に於いて、本発明は、少なくとも1つの加圧機構、及び該少なくとも1つの加圧機構に作動的に繋がる少なくとも1つの第1流体コンテナを含む流体注入器具を提供する。第1の流体コンテナは、注入されるべき第1の流体を含むのに適している。流体注入器具はまた、少なくとも1つの加圧機構に作動的に繋がるコントローラを含み、コントローラは、少なくとも1つのフェーズを有する注入プロトコルのプログラミングができるプログラミングシステムを含む。器具はまた、少なくとも1つのフェーズ中に生成されるべき圧力が、フェーズの少なくとも1つのパラメータに基づく圧力しきい値を超えるかを決定するのに適したシステムを含む。器具は少なくとも1つのフェーズ中に生成されるべき圧力が、圧力しきい値を超えていることを表示する機構を含む。圧力システムは、流路の1点以上の圧力を決定するのに適している。
【0032】
他の態様に於いて、本発明は少なくとも1つの加圧機構、及び該少なくとも1つの加圧機構に作動的に繋がる少なくとも1つの第1の流体コンテナを含む流体注入器具を提供する。第1の流体コンテナは、注入流路を介して注入されるべき第1の流体を含むのに適している。器具は更に、注入プロトコルに関連する変数に基づく計画された注入処置中に、注入流路内の少なくとも1点で生成されるべき圧力を予測するのに適した圧力モデリングシステムを含む。圧力モデリングシステムは更に、予測される圧力が圧力しきい値を超えているかを決定するのに適した機構を含む。器具はまた、生成されるべき圧力が圧力しきい値を超えていることを表示する機構を含む。一実施例に於いて、圧力モデリングシステムは、注入流路内の複数の点で生成されるべき圧力を予測するのに適している。
【0033】
更なる態様に於いて、本発明は少なくとも1つの加圧機構、及び該少なくとも1つの加圧機構に作動的に繋がる少なくとも1つの第1の流体コンテナであって、注入されるべき第1の流体を含むのに適した第1の流体コンテナと、注入処置を開始するのに要求される工程を図的に示すディスプレイを具えるワークフローシステムを含む流体注入器具を提供する。操作者は例えば、工程表現を選択して、選択された工程に要求される補助的動作を完成する。一実施例に於いて、ディスプレイは提案された一続きの順で、工程を図的に示す。
【0034】
尚、更なる態様に於いて、本発明は少なくとも1つの加圧機構と、該少なくとも1つの加圧機構に作動的に繋がり、注入される第1の流体を含む少なくとも1つの第1の流体コンテナと、該少なくとも1つの加圧機構に作動的に繋がるコントローラを含む流体注入器具を提供する。コントローラは、少なくとも1つのフェーズを有する注入プロトコルのプログラミングができるプログラミングシステムを含む。流体注入器具は更に、入力機構を有するユーザインターフェイスを含み、該入力機構を介して、操作者は入力プロトコル又は出力増強曲線の少なくとも1つを入力することができる。
ユーザインターフェースシステムは、更にディスプレイを含む。流体注入器具はまた、ユーザが入力プロトコルを入力すれば、少なくとも1つの計算された出力増強曲線(例えば、ディスプレイに表示されるべき)を提供し、ユーザが出力増強曲線を入力すれば、計算された入力プロトコル(例えば、ディスプレイに表示されるべき)を提供するのに適した少なくとも1つのモデルを含み得る。
【発明の詳細な説明】
【0035】
本発明の種々の実施例において、インジェクションシステム(図1に示すようなデュアルシリンジインジェクタシステム(100)、例えば、米国特許第6,643,537号や米国特許出願公報第2004−0064041号に開示されている)を本発明に用いることができ、2つの流体送出ソース(ここでは、そのようなシリンジについて、ソース”A”及びソース”B”と適宜称する)を含んでおり、第1の流体及び/又は第2の流体(例えば、造影剤、生理食塩水など)を患者に独立して導入(例えば、同時に、互いに異なる流量割合で同時に、又は、互いに順に若しくは交互に(即ちAの次にB、又は、Bの次にA))するように操作することができる。図1の実施例では、ソースAは、駆動装置(110A)のような加圧機構に動作可能に接続されており、ソースBは、駆動装置(110B)のような加圧機構に動作可能に接続されている。インジェクションシステムは、コントローラ(200)を含み、該コントローラ(200)は、インジェクションシステム(100)に動作可能に接続され、駆動装置(100A)(100B)の動作を制御することができ、ソースAから流体A(例えば、造影剤)の注入、ソースBから流体B(例えば、生理食塩水)の注入を夫々制御する。コントローラ(200)は、例えば、ディスプレイ(210)を含むユーザインターフェースを含むことができる。コントローラ(200)は、メモリ(230)に動作可能に接続されたプロセッサ(220)(例えば、当該分野で知られているデジタルマイクロプロセッサ)を含むことができる。イメージングシステム(300)(例えば、CTシステム、磁気共鳴映像装置(MRI)システム、超音波画像診断システム、又は、ポジトロン放出型断層撮影(PET)システム)は、イメージングシステム(300)に通信可能に接続されており、1つ、複数又は全てのインジェクションシステムの構成要素及びイメージングシステム(300)は統合されている。
【0036】
本発明の1実施例では、上述した位相変数又はパラメータは、影響のある1以上のパラメータに基づく位相プログラム機構(図1に示すように、ユーザインターフェイスの実施例には、インジェクタシステム(100)を用いることができる)内に存在する。影響のあるパラメータとして、例えば、造影剤濃度(例えば、CT処置の場合のヨウ素濃度)、体重、身長、性別、年齢、実施されるスキャンのタイプ、血管内にアクセスするために患者に挿入されるカテーテルのタイプなどが含まれるが、これらに限定されるものではない。上述したとおり、イメージング又は他の処置において、患者が異なれば、投薬要件も異なることは、認識されるべきである。例えば、米国特許第5,840,256号及び第6,385,483号は、本発明の譲受人が譲り受けたものであり、開示内容は、引用をもって記載加入とするが、これらには、注入の前又は間に生じる患者の特定のデータを用いて、患者に応じて注入をカスタマイズした装置及び方法が開示されている。同様に、PCT国際特許出願の名称「MODELING OF PHARMACEUTICAL PROPAGATION」(米国速達郵便レーベルNo.EV724425366US、代理人書類No.IN/04-005.PCTの下で、2005年11月16日に出願された:PCT国際特許出願番号は未だ与えられていない)は、米国仮特許出願番号第60/628,201号の利益を主張し、本発明の譲受人が譲り受けたものであり、開示内容は、引用をもって記載加入とするが、これにはまた、患者の特定のデータを用いて、患者に応じて注入をカスタマイズすることを開示しており、また、所定の入力又はプロトコルに対する時間拡張出力(time enhancement output)を開示した多くのモデルを明らかにしている。
【0037】
流速及び量の最適な組合せは、インジェクタの操作者には、直ちに判らないため、本発明では、例えば、イメージング処置において、実施される処置のタイプに効果的であると予め決められている一組のインジェクションプロトコルを与えて、患者をスキャニングすることにより、操作者の仕事を楽にしている。例えば、そのようなプロトコルは、臨床文献や、経時的な患者のデータの採取(例えば、人工知能技術、統計手法、適応学習方法論など)、又は、数学モデリングを通じて確立することができ、そうでなければ、実施される処置のタイプで確立することができる。
【0038】
本発明の一実施例では、操作者は、最初に、患者に送達する造影剤の濃度(例えば、CT処置に用いられるヨウ素の濃度)を選択する。この選択は、例えば、選択機構により、又は、図形のユーザインターフェイスの数値を直接入力することにより行なうことができる。臨床操作者は、特定の患者に挿入されたカテーテルの規格を選択することができる。次のステップにおいて、カテーテルサイズを入力すると、体積流量が決定され、使い捨て流体通路セットに生じる圧力ヘッドが下記に示すように(例えば、コンピュータプログラムを介して)計算される。また、1又は複数のセンサを用いて、カテーテルサイズを検出し、この情報をインジェクタに提供することもできる。
【0039】
臨床操作者は、例えば、ユーザインターフェイス(図1参照)に用意されたフィールドに手入力で流量と流速を入力したり、ここに記載したように、これらの欄が自動的に設定される「プロトコルウィザードモード」、「ヘルプモード」又は「オペレータアシストモード」に入力することで、注入システムを制御することができる。操作者が、オペレータアシストモードを入力するよう選択した場合には、操作者には、スキャンされる臓器又は脈管系を選択する機構又はモード(例えば、図2参照)が提示される。
【0040】
本発明は、流量プロフィール(フェーズ間で一定又は変化させることができる)と造影剤の量を予測し、選択された処置及び対象領域に応じて送達するシステム、装置及び方法又はアルゴリズムを提供するものである。例えば、操作者は、心臓、下行大動脈又は上行大動脈(心臓の像、コンピュータ断層撮影血管コントラスト法(CTA)を参照)を選択することができる。操作者が対象となる血管の領域を選択し、ここに記載したワークフローに従って、図形インターフェースの一実施例は、図2のように表わされる。操作者は、例えば、ユーザインターフェイスに示された身体の図に対象領域を強調表示する(例えば、タッチスクリーンやマウスにより制御されたカーソルを用いる)ことにより、対象領域を選択することができ、また、プルダウンメニューのようなメニューから対象領域を選択することができる。対象領域の階層グルーピングを用いることもできる。
【0041】
イメージされた領域が選択されると、操作者は、例えば、他の変数(例えば、患者の体重、身長、性別のような患者の生理学的変数を)の値を入力するよう促される。これは、例えば、操作者が患者の体重をポンド又はキログラムで入力するユーザインターフェイスのキーパッドを用いて実施又は実行することができる。他の実施例として、操作者は、体重の範囲を、低、中又は高の範囲から選択する。そのような変数は、システムと関連する1又は複数の検出装置によって測定したり、病院のデータベースが保持している患者の記録から電気的又はデジタル的に読み出すこともできる。このステップは、造影剤注入を実施するために必要であって、図3に示されるように、操作者に提示される。図3の実施例では、操作者は、例えば、実施されるイメージング処置のタイプに応じた命令(例えば、提案される又は必要な連番)を指示することができる。操作者は、例えば、イメージングする身体の血管領域又は臓器を選択することができ、注入を行なうアルゴリズムのタイプ、造影剤、カテーテルの規格、患者の身体的特性の変更することができるようになっている。
【0042】
上述したように、操作者は、操作者がシステムに用いたいアルゴリズムのタイプの選択を提示され、システムに患者に対する流速と量の組合せ(即ちフェーズパラメータ)を作成する。心臓イメージングの場合、アルゴリズム選択は、例えば、(i)ヨウ素フラックスアルゴリズム(図4参照)、(ii)体重に基づくアルゴリズム(図5参照)、又は、(iii)呼吸停止時間アルゴリズム(図6参照)を含むことができる。これらのアルゴリズムは夫々、例えば、実験によって得られるデータ(例えば、放射線医学文献として発行されている)に基づくことができる。追加のアルゴリズムは、他のイメージング処理のタイプ又はクラスを含むことができる。上述した3つのアルゴリズムの実施例に対する方法論及び/又は論理を、図4乃至図6に夫々記載している。特定のアルゴリズムに必要なデータを入力すると、操作者は、テスト注入(又はタイミング注入)を行なうかどうか質問される。操作者がイエスを選択すると、ソフトウェアは、例えば、2つの追加のフェーズ(テスト注入に対応)が、注入プロトコルの開始に挿入されなければならない(例えば、1つのフェーズは、コントラスト送達、次のフェーズは、生理的食塩水の放出注入)ことを提示する。
【0043】
行なわれた選択に基づいて、本発明を実行するソフトウェアは、ユーザのレビュー用の注入プロトコルを算出する。操作者が、テスト注入を行なうことを選択すると、例えば、プロトコルの最初の2つのフェーズには、4ml/sで送達される造影剤の15ml又は20ml(例えば、患者の体重が90kg未満であれば15ml、90kgを越えると20ml)の注入が含められる。プロトコルの第2のフェーズでは、4ml/sで注入される生理的食塩水の20mlの注入が含まれる。次のフェーズには、例えば、図4乃至図6に関連して上述した3つのアルゴリズムの1つにより算出された量又は流速が含まれる。
【0044】
本発明の一実施例として、注入処置における注入パラメータには、造影剤と希釈/フラッシュ用流体(例えば、生理的食塩水)の混合物を算出するフェーズが含まれる。これについて、例えば、心臓イメージング処置に関連する多くの問題を解決することが行なわれており、それには、造影剤ボーラスの後に、生理的食塩水を注入したり、より最近には、造影剤と生理的食塩水を混合し、造影剤と生理的食塩水を同時に注入すること(ここでは適宜「デュアルフロー」という)も行なわれている。
【0045】
上述したとおり、Baeらは、非均一な増強の問題の解決法を提案しており、経時的に指数関数的に減少する流速を伴う造影剤を人に注入することを示唆している。この技術は、実際に、大血管中に均一的なコントラスト増強を生み出し、最大増強を減じるものであるが、必ずしも所望されるものではない。例えば、Bae, K. T., H. Q. Tran,.et al.(2004)"Uniform vascular contrast enhancement and reduced contrast medium volume achieved by using exponentially decelerated contrast material injection method" Radiology 231(3):732-6参照。理論上は、指数関数的に減少する流速が、右心へのアーティファクト(例えば、注入時に少しの造影剤を遅れて導入し、先に注入された造影剤とは殆んど混合しないこと)を手助けすると論理的に信じられているように思われるが、証明又は検証されてはいない。指数関数的に減少する注入を行なった後の生理的食塩水のプッシュは、造影剤が右心に全てプッシュされることになり、異なる流速の造影剤と血液が混合したことによる乱流が右心内で流れのアーティファクトを引き起こす。
【0046】
右心への影響を減少させる代替的な方法として、造影剤と生理的食塩水の混合物(生理的食塩水の最後のプッシュ)によって、不連続な流速で多量の造影剤量を注入することが挙げられる。混合物は、コントラストの初期のボーラスと同じ流速で注入することができる。混合物は、例えば、デュアルシリンジ電動インジェクタを用いて造影剤と生理的食塩水を同時に注入することで作成することができ、造影剤と生理的食塩水の流速は、互いに比例するようにする。この技術は、近年、薬が試用される状況で導入されており、初期の成果は、右心へのアーティファクト(artifact)を減少していると提言されている。Sablayrolles, J.(2004) "Cardiac CT:Experience from Daily Practice." Advanced CT Aug: 4-10参照。しかしながら、そのような混合プロトコルの実施において、現在、一定の患者に対して、適切な又は理想の注入パラメータ(例えば、初期の流速、量、混合率、フェーズの時間、スキャン遅延)を決定する確立されたシステム又は方法はない。
【0047】
一実施例として、本発明は、注入システムを相互作用させるシステム及び方法を提供するものであり、操作者が、一定の患者に対して適切又は最適な流速と量のパラメータを「推測」することを減少させるものである。本発明のシステム及び方法は、患者に特有のパラメータを含む多くの変数(これに限定されない)を考慮することを提供するものである。患者に特有のパラメータとして、患者の体重(他の体質的な指標)、タイミング注入からの造影剤の到着時間、造影剤の濃度、及び、全体として所望される造影剤(例えば、ヨウ素)負荷を例示できる。本発明のシステム及び方法は、例えば、患者毎の生理食塩水の混合プロトコル生成器を含んでいる。
【0048】
ヒトの男性の大動脈/心臓のコンパートメントに予測されるコントラスト増強は、提案されたアルゴリズムの原則を詳細に説明するために、この章で用いることができる。シミュレーションは、SIMULINK(登録商標;MathWorks, Inc. of Natick Massachusettsにより入手可能)により行なうことができ、Bae et al.が記述している低次元(reduced-order)PKモデルが実行される。Bae, K. T., J. P. Heiken, et al.(1998)"Aortic and hepatic contrast medium enhancement at CT. Part I. Prediction with a computer model" Radiology 207(3):647-55及びBae, K. T., H. Q. Tran, et al.(2000)"Multiphasic injection method for uniform prolonged vascular enhancement at CT angiography: pharmacokinetic analysis and experimental porcine model" Radiology 216(3):872-80、米国特許第5,583,902号、第5,687,208号、第6,055,985号、第6,470,889号及び第6,635,030号参照。その研究のモデリングアプローチは、Bae, Heiken atal, 1998 supraに開示されている全身生理学的薬物動態モデル(full body physiologic pharmacokinetic model)として認識されているが、非常に大きいものであり、また、未知である多くのことを含むため、患者毎の基準に基づいて実行できるように演算することはできない。従って、Baeらは、大部分を単一のコンパートメントを有する組織に近似させて、第1パスの増強力学が重要であることから、毛細血管転移コンパートメントを除いている。結果の低次元モデルを図7に示している。図7では、Vは夫々の「コンパートメント」の流体体積であり、Cは、各「コンパートメント」で予測される濃度、及び、Qは、身体中の血液の体積流量である。QとVは、解剖学データから推定される。一次の結合された微分方程式システムは、このモデルを表しており、連続した時間プロセスを仮定して定式化され、図7に示されている。
【0049】
本発明の研究の中には、大動脈/心臓コンパートメントは十分に混合されていたとする仮定があった。図8A乃至図9中、X軸は時間単位が付けられており、他の仮定では、時間軸が対象となるコンパートメント中で空間寸法に描かれている。図8Aは、非均一のコントラスト増強(造影剤の再循環によってコンパートメント中に生ずる)の減少を実証するものである。図8Bは、図8に関連してスキャンされた同じ患者に少量の「テスト」及び「タイミング」注入を行なった結果を示している(モデルの心拍出量及び中央血液容量は身体測定データテーブルに基づく)。コントラスト増強のピークの時間は、図8Bでは12秒と測定された。ピークの時間は、コントラストの少量のボーラスが、注入位置から、右心、肺循環を通って左心コンパートメントへ移動する通過時間を表している。増強のピークまでのシミュレート時間は、「実際の」患者のものに満たない。その点について、図7に示したBaeのモデルは、ヒトデータに直接有効なものではなく、ブタのデータから相対的に見積もられたものである。いずれにしても、これらのシミュレーションにおける絶対的な値は臨界的なものではない。むしろ、我々は、システムの力学(dynamics)を対象としている。ボーラスのピーク(又は最初の瞬間)がコンパートメントに到達した後(>15秒)のコントラストの再循環を示している図8Bは注目すべきものである。図7に示した低次元モデルでは、再循環力学(例えば2番目のピーク)を高い忠実度で再生していない。
【0050】
Baeらは、注入時間が、タイミング注入から算出された造影剤の到達時間よりも長ければ、コントラスト増強のピークまでの時間は、注入時間が増大するほど、直線的に増大する。注入の時間が、テスト注入のピークまでの時間長を越えると、新たな造影剤が、コンパートメントに既に存在する造影剤と混合するために、増強曲線の非対称性は顕著なものとなる。この現象は、混合物プロトコル(例えば、生理的食塩水に造影剤を加えた媒体)に対する本発明の1つのアルゴリズムの1実施例の基礎として役立つ。
【0051】
図9は、2フェーズプロトコルでシミュレートした時間増強曲線を示している。第1フェーズの時間は、タイミングボーラスの増強のピークまでの時間に3秒(任意のオフセット時間)を加えた時間に等しくなるように算出される。第2フェーズは、希釈フェーズ(90%造影剤、10%生理的食塩水)であり、効果的な造影剤の濃度が288mgI/ml(希釈フェーズの濃度=所望又はプログラムされた比率(この場合は90/100)×薬剤の濃度(320mgI/ml))となる。sの量をセットし、総量120mlが患者に注入される。流速は、両フェーズで同じであり、造影剤のモーメントが右心の中で維持される。図9は、注入の後半にある非対称の「ピーク」の低減を実証したものであり、コントラスト増強を約350HUに維持している。相対的に、Baeらにより提言されている指数関数的に流速を減少させる技術は、より低いピーク増強をもたらす。本発明の注入プロトコルの利点は(減速する注入流速プロトコルに比べて)、注入される流体の体積流量が減少しないので、心臓の前の末梢静脈系内でのフローアーティファクト(flow artifacts)が殆んど生じなくなる。その点について、ボーラスのある部分では、異なる速さで右心に到達するため、静脈系の内生流速よりも小さい流速を有する注入の移動(injectate moving)は、造影剤媒体の分散をもたらす。本発明では、多面的な注入プロトコルを用いることで、1又は複数のパラメータが、注入時間の少なくとも1ピリオドに亘って定期的に又は連続して変化し、総流速は、一定に維持される。このように、例えば、患者に送達される造影剤活性剤(例えば、ヨウ素、ガドリニウムなど)の濃度は、流速が一定に維持(例えば、その間に注入される生理的食塩水の一部の増加によって)されている間に亘って減少させることができる。増強の広範でより均一的なピークは維持される(例えば図9参照)。さらに、その均一性は、注入処置の異なるフェーズ間で変化させることができる。例として、肝臓の増強は、例えば肝臓の異なる部分に対応するイメージング処置の異なるフェーズ中で変化させることができ、ピークの増強時間は、血液供給の変化によって変えることができる。
【0052】
プロトコル決定に関する本発明の他の実施例として、希釈/フラッシング流体と造影剤の混合物をデュアルフロー注入又は同時注入する場合について、図10乃至図18を用いて説明する。再度、合理的なCTコントラストプロトコルの設計の第1の目的は、個人の血行動態の状態、対象となるイメージング領域及び注入システムの制約などを考慮し、各患者に合わせた注入プロトコルを開発することである。注入方法は、例えば、Stellant D注入システム(Medrad, Inc. of Indianola, Pennsylvaniaから入手可能)を利用して、造影剤と生理的食塩水の同時送達(及び希釈)を行なうことができる。下記に示すように、希釈された造影媒体の追加のフェーズにより、さらなる左心増強を許容するが、右心のアーティファクトを減少又は排除するために、造影剤(ヨウ素)を減少させる。
【0053】
図10乃至図14は、370mlI/mlの造影剤を注入された35歳の健康な男性(200lbs、身長6ft)に対する増強プロフィール(上記にてシミュレートされた)を示している。図7に示したコンパートメントに分かれた薬物動態のモデルについて予測されるように、右心コンパートメントと左心コンパートメントについて、増強曲線を表している。図10は、120mlの単フェーズ注入(unpihasic injection)による増強を表しており、図11は、75mlボーラスの後に、50mlの生理的食塩水のプッシュ又はフラッシュを行なった増強を表している。図10中、左心の増強は、スキャン時間中約300ハウンスフィールドユニット(HU)であるが、右心は、スキャンウィンドウ中、明るく増強されており、イメージアーティファクトをより作りやすくなっている。
【0054】
図12乃至図14は、75mlメインボーラスの後に、同じ流速の造影剤の希釈フェーズを行なった注入によるシミュレートされた時間−増強曲線を示しており、造影剤/生理的食塩水の比は、50/50、30/70及び70/30である。左心及び右心の増強は、希釈造影剤の追加のフェーズによって明らかに改善されていた。70/30のフェーズ(図14)は、良好な左心増強を示しているが、右心増強は、大きくなりすぎている。30/70の比(図13)では、右心増強は良好であるが、左心増強はスキャンウィンドウ中、十分ではない。50/50の比(図12)は、このシミュレートされた患者に対して、右心増強及び左心増強について、最良のトレードオフを示している。
【0055】
図15は、造影材料の注入プロセスを時間軸を固定して表したものである。下側の軸は、コントラスト注入プロフィール(この例では、5ml/sの単フェーズ注入)を表しており、中間の軸は、左心コンパートメントと右心コンパートメントの増強プロフィールを表し、上側の軸は、スキャン時間を表している。2つの垂直線は、スキャンの開始時間と完了時間を表している。一実施例として、本発明のアルゴリズムでは、臨床医学者が、造影剤の少量のテストボーラス注入(例えば、診察スキャンの間に用いられている流速と同じ流速で造影剤20〜25mlのテスト注入)の後、生理的食塩水のプッシュを行なったと仮定している。ダイナミックCTスキャンは、テストボーラスのピークまでの時間とテストボーラスの増強のピークが測定/記録されることで、増強曲線が作成される。スキャン時間も、テストボーラス及び診察の注入が始まる前に判っているものと仮定している。
【0056】
コントラストの最初のボーラスは、スキャン時間と等しい時間で行なわれる。流速は、操作者によって決められる(この研究では5ml/sと仮定している)。従って、第1フェーズの量は、スキャン時間と流速の積となる。第2フェーズの量は、テスト注入のピークまでの時間、第1フェーズの時間、及び、スキャンの終了を考慮して決定される。造影剤注入は、スキャンの終了よりも長く続けるべきではない。注射位置から右心房に造影剤の伝搬遅延が生じるため(一般的に約5〜8秒)、造影剤の注入は、スキャンの終了の5〜8秒前に止めることで、追加のコントラスト(follow on contrast)を右心に充満させることができる。図15の実施例に関連して採られる措置は、生理的食塩水を5ml/sで40mlを除斥しているから(proscribed)、我々は、スキャン時間の前8秒で、希釈フェーズの造影剤注入を終了した。
【0057】
第2の希釈フェーズの量は、次のように決定される。
【数1】

値TSCAN ENDは、テストボーラスのピークまでの時間とスキャン時間を考慮して算出される。
【数2】

第2フェーズの比は、図16に示したような造影剤/生理的食塩水の比に対して、テストボーラスの増強ピークを解読することで発見的に決定される。
【0058】
各患者に送達される造影剤の総量を制限するために(テスト増強のピークまでの時間が極端に長い場合)、希釈フェーズに使用可能な最大を最大40mlとしている。上記計算によって、40mlを越える造影剤の量が示されると、システムは、造影剤の量を40mlに制限し、希釈比を考慮したフェーズ(生理的食塩水と共に)で総量を、造影剤が40mlを越えないように算出する。希釈フェーズで許容される造影剤の総量は、体重、推定される心拍出量、身体の質量指数(Body Mass Index)、又は、その他の生理機能的な指標の関数として設定することもできる。
【0059】
図16中の閾値は、50テストボーラス注入のサンプルと続く数値モデリングから臨床データを解析することで決定した。発見的に、ルールは、ピーク増強のピークが小さい患者(左心と右心の十分な増強に必要な造影剤が多いと仮定)に多くの造影剤を提供し、テスト増強が強い患者には、少ない造影剤を提供するように策定した。薬剤の量は、ピークまでの時間が長い又は短い患者に合わせて調整し、総ヨウ素負荷は、テストボーラス増強に基づいて調節しているので、患者間の増強のばらつきは、この手法では減じられている。図17は、この結果を示す予備診療データを表している。図17中、最初の2つの棒は、右心と左心(夫々SF_LとSF_R)に対して表わされたアルゴリズムで生じたデータである。誤差バーは、+/−1の標準偏差を示している。残りのデータは、造影剤が120mlの単フェーズプロトコル(350mlI/ml、生理的食塩水なし;UNI_RとUNI_L)、2フェーズプロトコル(40mlの生理的食塩水とともに350mlI/mlを75ml;BI_RとBRI_L)、最後は、すべての対象について、希釈率を30/70に固定した希釈プロトコル(初期フェーズ量350mlI/ml=スキャン時間×5ml/s;DF_R、DF_L)で生ずる増強値を示している。第2フェーズの量は、流体50mlに固定した。生理的食塩水のフラッシュ40mlを続けて行なった。
【0060】
図18は、単フェーズ注入プロトコル(造影剤のみ、生理的食塩水のフラッシュはなし)、2フェーズプロトコル(造影剤の後に生理的食塩水のフラッシュ)及び上述したデュアルフロー注入プロトコル(造影剤の後に、造影剤/生理的食塩水の混合物、その後に、生理的食塩水のフラッシュ)の場合の左心と右心のスキャンイメージを表している。図18に示すように、デュアルフロー注入処置は、注入プロトコルが上記のように決定されており、右心と左心のイメージング処置が改善されている。
【0061】
図19乃至図23は、上記したデュアルフロー注入プロトコルの決定をもたらすのに適したグラフィックユーザインターフェースをキャプチャーしたスクリーンを示している。図19及び図20では、アルゴリズムは、図10乃至図18と関連して上記で説明しており、記号「心臓CT1」を介して選択される。患者の体重65kgとスキャン時間30秒が入力される。ヨウ素フラックス1.0g/sは、イメージング処置注入によって定められる。造影流体の濃度が250mlI/mlであると、流速4ml/sは、イメージング処置注入に用いられる。
【0062】
図21で説明したように、テスト注入の間の流速は、1.0ml/sである。30秒のテスト注入の間、生理的食塩水のボーラス(ソースBから)は、5秒間4.0ml/sの流速で最初に注入される。造影剤のボーラス(ソースAから)は、次に、5秒間4.0ml/sの流速で注入される。最後に、生理的食塩水のフラッシュボーラスは、20秒間4.0ml/sの流速で注入される。テストボーラス注入が完了した後、ピークまでの時間とピーク増強が、図22に示すように決定される。上記した値を用いて、診断注入プロトコルが、図10乃至図18と関連して説明したシステム/方法を用いて決定される。図23は、決定された診断注入プロトコルを説明しており、次の3つのフェーズを含んでいる。(1)4ml/s(18秒間)で造影剤70ml(ソースA)を注入;(2)4ml/s(9秒間)で50/50の造影剤/生理的食塩水の混合物35mlを注入;及び(3)4ml/s(20秒間)で生理的食塩水80mlを注入。従って、合計流体185mlが、47秒間(総時間)で注入される。図23にて説明したように、注入処置に用いられる流体通路の圧力限は300psiとなるように設定されている。また、スキャン遅延は5秒に規定している。
【0063】
図24は、造影剤注入システムと相互作用するインターフェイスの実施例であり、例えば、イメージングシステムと動作可能に接続することができる。一番下の軸は(所望の増強軸)は、操作者が所望の増強曲線を入力(例えば、描画する)する領域であり、増強曲線は、特定の時間に始まり、ある増強値に達する。操作者は、実施する診断処置のタイプに基づいて、時間中、多数のイメージングシーケンスと、注入を選択することができる。一番上の軸は、イメージングシーケンスのタイミングを表しており(例えば、CT、MRI、PETなど)、スキャンシーケンスの時間は既知である。操作者が、一旦、所望の増強プロフィールを描くと、注入システムは、注入プロトコルを算出し、所望の増強を実現する。演算処理は、注入プロトコルを実現するために必要であり、患者、薬剤及びイメージングシステムのモデルに頼り、スキャナからのはっきりとしたフィードバックの統計分析に由来するものであり、これは、例えば、PCT国際特許出願の名称「MODELING OF PHARMACEUTICAL PROPAGATION」(米国速達郵便レーベルNo.EV724425366US、代理人書類No.IN/04-005.PCTに記載されている。再度、そのようなモデルを用いて、操作者が、「注入システム軸」に造影剤注入プロフィールを入力又は描くと、入力されたプロトコルから生ずる増強曲線は、一番下の増強軸に示される。操作者は、予測された増強曲線を検討し、それが満足のいくものかどうかを判断する。そうでなければ、操作者は、入力関数(注入プロフィール/プロトコル)を再描画する。コンピュータは、所定の増強レベルに繰り返して到達するために、例えば、その操作を実行するために用いられる。
【0064】
上記した代表的な実施例では、主として、CTイメージングの状況について説明した。しかしながら、本発明の装置、システム及び方法は、薬剤の注入に広く適用することができる。例えば、本発明のシステム、装置及び方法は、CT以外(例えば、MRI、超音波診断、PETなど)のイメージング処置のために、造影媒体の注入と関連して用いることができる。これについて、図25A及び図25Bは、MRIに適用した本発明の一実施例を示している。
【0065】
図25Aは、ガドリニウム剤を用いるMRI処置用の注入プロフィールを算出するシステムの一実施例を示している。操作者は、注入する薬剤のタイプ(例えば、薬剤/造影剤がブランド名及び/又は濃度によってリスト化されたメニューから)を選択する。次に、操作者は、患者の体重及び所望するスキャン時間を入力する。望ましい投薬計画(投薬スケール)に基づいて(例えば、体重当りに送達されるGdのmmolがどのくらいか、MRI処置における投薬としては一般的な技術)、システムは、適切な量と流速を(流速が、図25Aのオプション2のように正しく入力されていなければ)、次のように算出する。
量[ml]=投薬スケール[mmol/kg]×重量[kg]×(1/濃度[mmol/ml])
流速は、次のように算出される(オプション2中)。
流速[ml/s]=量[ml]/スキャン時間[秒]
又は
流速[ml/s]=量[ml]/注入時間[秒]
【0066】
予測される(インビボでの造影剤の)ピーク時間は、例えば、注入時間に操作者によって選択された定数を加えることで算出される。提案されたスキャン遅延は、例えば、ピーク増強までの予測時間からスキャン時間の2分の1を減ずることで算出される。図25Bは、造影剤と生理的食塩水の2フェーズ注入用の算出値の一実施例を示している。
【0067】
上記にて簡単に説明したように、フェーズに対して予測される流速(又は注入の時刻)は、システム又はモデルへの入力として用いることができ、体積流量、流体通路の特性(例えば、カテーテルの内径(口径))及び造影剤の粘度により、シリンジ又は他の容器に生ずる圧力量を予測するように構成又は作用する。一般的に、造影媒体の濃度は、CTコントラストの場合、造影媒体のヨウ素濃度によって幾何的に増大する。これらの変数の値の組合せから生ずる圧力は、当分野で知られている又は先の実験データから判断される流体力学の原理から算出することができる。下記の「圧力モデル」部では、注入流体通路の各地点にて圧力を予測するモデル又はシステムの実施例について説明している。予測される圧力が、操作者によって設定された圧力限又は閾値及び/又は電動インジェクタの製造者によって定められた安全圧力限を超えると、操作者は、流速入力領域のカラーコーディングなどによって、危険性のある過剰圧力表示の警告を受けることができる。予測される過剰圧力状態の表示として、他の視覚的、聴覚的及び/又は触覚式の表示など種々のものを用いることができる。圧力モデリングシステムの一実施例を図26に示している。
【0068】
現在利用可能な多くのインジェクタは、シリンジ内に生ずる圧力が所定の閾値を越えるまで、プログラムされた流速で流体を注入する。このようなことが生ずると、最初にプログラムされた流速よりも低い流速であるにもかかわらず、流体注入を制御するコンピュータは、圧力が上回らなくなるまで体積流量を減じ、注入を続ける。インジェクタの圧力制限操作は、例えば、本発明の譲受人が譲り受けた米国特許第6,520,930号に示されており、ここへの引用をもって記載加入とする。多くの圧力制限制御スキームでは、インジェクタの制御コンピュータは、プログラムされた体積流量から体積流量を減少させて、圧力限又は閾値を越えないように、プログラムされた流体の量を送達するよう試みる。
【0069】
このモード又は動作は、例えば、マルチディテクターCT(MDCT)を用いて実行されるCTスキャンには最適ではない。これに関し、MDCT処置において、イメージ増強に影響を与える第1の要因は、循環系に送達された造影剤の体積流量である。本発明の圧力モデリングシステムは、注入が開始される前に、操作者に、注入パラメータの選択によって、過剰圧力状態となることを警告することで、この問題を対処している。従って、操作者は、過剰圧力状態とならないようにするために注入パラメータや、プログラムされた体積流量に関連する変数を変えることができる。
【0070】
可能性のある過剰圧力状態が解消された後、システムは、プロトコルの残りのフェーズに数値を入力することができる。最後のフェーズは、例えば、先のフェーズの流速で40mlの生理的食塩水(第2又はB流体通路から)とすることができる。
【0071】
操作者は、プロトコルインターフェースにあるパラメータの何れか又は全てを無効とする選択も行なうことができる。値が操作者にとって認められるものであれば、システムは使用可能状態となり(armed)、注入が継続される。
【0072】
テスト注入が選択された場合、システムは、造影媒体のテスト注入と、後に続く生理的食塩水の注入を行ない、保留及び又は中断する。操作者は、次に、スキャン遅延を入力することができる。本発明は、スキャン遅延(造影剤の注入を開始してから診断スキャンを開始するまでの時間)を選択するオプションを操作者に提供することができる。例えば、図4乃至図6に示したように、操作者は、幾つかの遅延をオプションから選択することができる。さらに、スキャン遅延は、例えば、テスト注入の分析から自動的に生じるようにすることもできる。
【0073】
[圧力モデリング]
インジェクタシステムにおいて、インジェクタ圧力を適切に且つ効果的に制御するために、注入を行なっている間、インジェクタシステムの流体通路の複数の地点で圧力を予測できることが望ましい。そのような圧力を予測するために、状態方程式を用いて、インジェクタ流路中の流れを数学的にモデリングすることができる。
【0074】
本発明のインジェクタシステムの流路中の種々の地点における圧力を算出するための数学的又は数値的モデルの一実施例として、次の仮定を行なった。流れは安定している;流れは一定である;ニュートン流体がシステムに存在する;連立方程式が、流体構造(即ち、シリンジの先端に存在する流体の質量流束が、図26に示すように、カテーテルに存在する流体の質量流速と同じ、Qin=Qoutである);シリンジ内全体の圧力は、シリンジの先端と同じである。
【0075】
対象となる空間領域が、固定制御ボリューム(内部基準座標系)に囲まれていると仮定すると、一般エネルギー方程式が、流量を通じて液体の動向を説明するために用いられる。例えば、Potter and Swiggert, Fluid Mechanics. Englewood Hills, NJ: Prentice Hill, 1992を参照。この開示をもってここへの記載加入とする。ベクトル表記法を用いれば、静的な閉制御ボリュームでの安定した流体の流れに対するエネルギー方程式の最も一般的な型は、次式で表わされ、
【数3】

静的な制御ボリュームでの安定した流れに対して次の制約(連続方程式)を受ける。
【数4】

【0076】
等式1中の「losses(損失)」は、熱交換、境界層相互作用、壁剪断、粘性加熱、及び幾何学的損失(チューブの収縮、バルブ、コイルなどから生ずる)から生ずる損失を表している。空間領域を通じて流れが一定である(流速(dV/dt)が一定)という条件を課すと、式1は、よく知られているベルヌーイ方程式に単純化することができる(前記損失をHLOSSと記す)。例えば、Baker A, Sanders J.,"Fluid Mechanics Analysis of a Spring-Loaded Jet Injector", IEEE Transactions on Biomedical Engineering, vol. 46, No 2., Feb 1999を参照。この開示をもってここへの記載加入とする。
【数5】

式3において、γ=ρg(流体の特定質量)であり、ρは流体の密度、gは重力加速度である。式1乃至式3は、長さの寸法単位で表わされている。圧力単位で結果を表わすには、流体γの特定質量を両辺に掛ける必要がある。式3のHLOSSは、幾何学的損失と流体の粘性から生じる損失の合計であり、式4のように表わされる。
【数6】

【0077】
式1乃至式3に表わされる速度は、平均量である。我々は、単位時間当たりの量に最も関心があるため、平均線速度(流線に沿う液体のセルの速度)は、次の関係式によって流速に変えることができる。
【数7】

【0078】
多くの工学的な計算式では、平均流体速度が低い場合には、式1の運動エネルギー要素(V2/2)は無視される。しかしながら、注入流体(例えば、造影剤)が排出される際に通る静脈カテーテルの開口は小さいので、流体の線速度要素は、僅かではなく、このため、シリンジに生ずる全体的な圧力ヘッドの一因となる。
【0079】
式4の最初の項は、システム内の小さい損失に対する損失要因である。式4中、文字Kは、経験的な分析によって決定される数値であり、多くの流体力学のテキストに見られる。例えば、Potter and Swiggert, Fluid Mechanics. Englewood Hills, NJ: Prentice Hill, 1992参照。次の3つの文字は、本発明のモデルにおいて、以下のように与えられる。
valve−流路に沿って「栓を閉じる」ことによる損失。バルブを開くと、この係数は0となる。
coil−低圧力コネクタ(LPCT)チューブのコイル効果(coiled effect)による損失。モデル及び次のシミュレーションでは、80の値を用いており、これは、90度の屈曲部1箇所当りの損失係数(Kは約0.45)に、4(LPCTの1ループ当り)を掛け、さらに再度30(96インチLPCTのおおよそのループ数)を掛けることで決定される。この演算により、積は54となる。実験データとシミュレーションの出力を比較した後に、値26が積に加えられる。コイル損失80を用いることによるシミュレーションは、かなり良好な実験データに合致する。しかしながら、この係数を実験データ組に関してさらに最適化することもできる。
contraction−流体が大きな直径を有するLPCTから小さい直径のカテーテルに押し進められるときに生ずる圧力による損失。この係数値は、流体のテキストに見られる。定数の実値は、カテーテル領域に対するLPCT領域の比に依存する。次の関係が2つの領域と係数との間に存在する(Potter and Swiggertにある)。
【表1】

表1の関係は、直接記載されていない値を挿入することもできる。
【0080】
式4の2番目と3番目の項は、造影剤の粘性による流路中のエネルギー損失(又は流れを維持するために必要な圧力)を表している。チューブ中の層粘性流に対し、fは摩擦係数と関連し、次のように表わされる。
【数8】

【0081】
レイノルズ数Reは、流線に沿う微小量の流体について、内部粘性力に対する慣性力の比である。流速(Q)に関して、レイノルズ数は次のように表わされる。
【数9】

ここで、ρは流体密度であり、Dはチューブの直径、μは流体粘度である。式7によって証明されるように、流体の粘度が増加すると、Reは減少する(Dとρを固定した場合)。チューブ直径が減少すると、レイノルズ数も増加する(ρとμを固定した場合)。式6と式7を式4に代入すると、流速粘度、長さ及び直径に依存する圧力の関数が導き出され、流れが層状である場合、
【数10】

となる。なお、pexit=pgauge=p0=0とすると、Δp=psyr−pexitである。
【0082】
上記した仮定に加えて、重力の影響を無視し、「小さい」損失(幾何学及びコイルから生ずる)と流体粘度から生ずる損失を含めることで、式1は、シリンジの先端での圧力(層流−Reは2500未満)について、次のように書き換えられ、解くことができる。
【数11】

【0083】
流体粘度によって、複合的な相互作用が、パイプ/チューブ中の境界層の間に生ずる。流れは、臨界閾値を越え、境界層は相互作用を開始し(境界層流と称される)、流れは、乱流となる。流れが乱流となると(または乱流に近づくと)、ポアズイユ流の標準仮定は、圧力対流れの従属関係を十分に予測することはできない。式6の摩擦項は、流れが層領域にある場合にのみ適用できる。
【0084】
乱流を十分に説明するには、対象となる境界に沿って、時間平均されたナビエ−ストークスの式を解く必要がある。この解は、ナビエ−ストークスの等式が、極めて非線形であり、摂動の初期条件に極めて敏感であるので、非常に難しい。幾つかの経験的な方法が、乱流レジームにおける流体の動向を近似するために生み出されている。ムーディは、摩擦要因をレイノルズ数に相互に関連づけた一連の曲線を公開している。これらのチャートは、1940年代後半に行われた実験に基づいている。コールブルックは、これらの曲線に等式を当てはめ、摩擦因子を、レイノルズ数、パイプ直径及び壁面粗さと関連付ける分析表現を導いた。スワミーとジェインは、チューブの物理的パラメータとそれを横切って生ずる圧力ヘッドとの間の関係をさらに正確に表した。彼らは、乱流に対して実験的に生じた等式を考案し、この関係が、本発明の流体モデルの実施例に用いられている。乱流に対するスワミー−ジェインの近似式中、圧力はチューブの長さLに亘って降下し、直径Dと壁面粗さeを用いて、次のように表わされる。
【数12】

【0085】
レイノルズ数の値は、本発明のモデルが予測圧力に式8又は式10を用いるかどうかによって決定される。層流から乱流にきれいに移行することはない。乱流への真の変化は、流れ場における流れ及び他の特性の安定性に依存するような非常に大きいレイノルズ数で起こるが、工学的な流体モデリングでは、一般的に2500を越えるレイノルズ数を有する流れに乱流を考慮している。特に、細いチューブを通る高速の流体に対して、移行ゾーン中の流体力学を正確に説明し、インジェクタ流体通路の論理的な説明と経験的な結果を比較したときに観察される誤差を説明することは非常に困難である。本発明に用いられるモデルは、レイノルズ数が2500を越える場合に、層流から乱流に移行している(即ち、式8から式10に移行する)。上記説明は、図27に図解的に要約している。
【0086】
乱流の説明に加えて、モデルは、流路に亘る圧力を次のように予測している。
【数13】

【0087】
図28乃至図30は、上記の分析モデルにより予測される圧力のグラフを示している。実験データは、MR使い捨て部品(0.075インチ、ID LLPCT, 20-40 ga Angiocath catheters)を種々のMR造影剤(ガドビスト(Gadvist)、マグネビスト(Magnevist)及び生理的食塩水をテストした)を用いて圧力性能をテストした研究から採っている。モデルから生じる圧力データは、流れが安定した状態に到達したと仮定したモデルの出力である。図を参照して判るように、論理的な予測と実験的に決定された圧力が上手く一致している。各実験地点のエラー−は、各流速に対して採られたサンプルの+/−1標準偏差である。この研究では、各各流速毎に5つの圧力サンプルを採っている。上記演算は、圧力の測定が、流路に配置された、例えば、Verimetra Inc. of Pittsburgh PAが製造しているMEMSトランスデューサのようなセンサーを介してシステムで利用できるかどうかをより正確に行なうことができる。
【0088】
本発明は、上記の実施例及び/又は例と関連して詳細に説明されているが、詳細な説明は、一例であり限定されるものではなく、当業者であれば、本発明から離れることなく種々の変更を行なえることは理解されるべきである。本発明の範囲は、上記説明よりも、請求の範囲に示されている。各請求項と均等な目的及び範囲にある全ての変更、変形は、それらの範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明に用いられる多フェーズグラフィカルインターフェイス(GUI)の一実施例を示し、また2つのシリンジを具えたインジェクタの複数フェーズのパラメータを示す。
【図2】グラフィカルインターフェイスの一実施例を示し、該インターフェイスから操作者はイメージングの対象となる血管領域を選択することができる。
【図3】本発明に用いられる提案された流れ作業環境のグラフィカルインターフェイスの実施例を示す。
【図4】本発明に用いられるヨウ素溶剤アルゴリズムの実施例を示す。
【図5】本発明に用いられる体重に基づくアルゴリズムの実施例を示す。
【図6】本発明に用いられる呼吸停止中の実施例を示す。
【図7】オーダーを減じたコンパートメントモデル及び該モデルを記載する1次連立微分方程式システムの実施例を示す。
【図8A】65cm、120kgの男性の心臓/大動脈コンパートメント内のシミュレートされた増強曲線を示す。
【図8B】図8Aのシミュレートされた患者からのテスト/タイミング注入への増強曲線を示す。
【図9】記載された提案方法論を用いて、図8Aのシミュレートされた患者のシミュレートされた増強曲線を示す。
【図10】120mlの単フェーズ注入から生じる時間増強曲線を示す。
【図11】75mlの造影剤のボーラスに続く50mlの生理食塩水のプッシュ、即ちフラッシュから生じる時間増強曲線を示す。
【図12】75mlのメインボーラスに続き、造影剤/生理食塩水の比が50/50である同じ流速の希釈された造影剤のフェーズを実行したことから生じるシミュレートされた時間増強曲線を示す。
【図13】75mlのメインボーラスに続き、造影剤/生理食塩水の比が30/70である同じ流速の希釈された造影剤のフェーズを実行したことから生じるシミュレートされた時間増強曲線を示す。
【図14】75mlのメインボーラスに続き、造影剤/生理食塩水の比が70/30である同じ流速の希釈された造影剤のフェーズを実行したことから生じるシミュレートされた時間増強曲線を示す。
【図15】時間軸が一定の造影剤の注入工程を示し、底軸は造影剤注入のプロフィールを表し、中間の軸は左心及び右心コンパートメントの増強プロフィールを示し、頂部の軸は走査中を示す。
【図16】テストボーラスのピーク増強に基づく混合物、即ち2フェーズ流の造影剤/生理食塩水の比を決定する発見を示す。
【図17】本発明の単フェーズ注入、2フェーズ注入、及び多フェーズ注入、混合物注入についての予備データを示す。
【図18】単フェーズ注入、2フェーズ注入、及び造影剤/生理食塩水の混合物が注入されるフェーズを含む多フェーズ注入についての左心房及び右心房の幾つかの走査画像を示す。
【図19】本発明のパラメータ生成器の実施例について用いるグラフィカルユーザインターフェイスの実施例を示す。
【図20】本発明のパラメータ生成器の実施例について用いるグラフィカルユーザインターフェイスの他の部分を示す。
【図21】本発明のパラメータ生成器の実施例について用いるグラフィカルユーザインターフェイスの他の部分を示す。
【図22】本発明のパラメータ生成器の実施例について用いるグラフィカルユーザインターフェイスの他の部分を示す。
【図23】本発明のパラメータ生成器の実施例について用いるグラフィカルユーザインターフェイスの他の部分を示す。
【図24】造影剤注入システムと相互作用するユーザインターフェイスの実施例を図的に示す。
【図25A】MRIに用いる本発明のパラメータ生成器の実施例について用いるグラフィカルユーザインターフェイスを示す。
【図25B】図25Aのグラフィカルユーザインターフェイスのウィンドウの他の部分を示す。
【図26】本発明の圧力モデリング、即ち圧力予測システムの実施例を示す。
【図27】流路中の数カ所における圧力モデリングを示す。
【図28】システムを通るMAGNEVIST造影剤の流れから本発明の圧力モデルの実施例によって決定される圧力予測曲線を図的に示す。
【図29】システムを通る生理食塩水の流れについて、本発明の圧力モデルの実施例によって決定される圧力予測曲線を図的に示す。
【図30】システムを通るMAGNEVIST造影剤の流れについて、本発明の圧力モデルの実施例によって決定される圧力予測曲線を図的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体注入装置であって:
少なくとも1つの加圧機構と;
少なくとも1つの加圧機構と動作可能に関連づけられた少なくとも1つの第1流体容器であって、注入されるべき第1流体を収容するのに適した第1流体容器と;
少なくとも1つの加圧機構に動作可能に関連づけられたコントローラであって、プログラミングシステムを有しており、複数のフェーズを含む注入プロトコルのプログラミングを許容するコントローラと;及び、
注入処置の少なくとも一部に基づいた複数のフェーズの少なくとも1つのパラメータを決定する少なくとも1つのパラメータ生成器と;
を含んでいる流体注入装置。
【請求項2】
少なくとも1つの加圧機構に動作可能に関連づけられた少なくとも1つの第2流体容器であって、第2流体を収容するのに適した第2流体容器と;
第1流体が注入される少なくとも1つのフェーズと、第2流体が注入される少なくとも1つのフェーズを含む複数のフェーズをさらに有している請求項1に記載の流体注入装置。
【請求項3】
第1流体は、造影剤であって、医療イメージングシステム中でコントラストを増強するものであり、第2流体は、非コントラスト造影流体である請求項2に記載の流体注入装置。
【請求項4】
パラメータ生成器は、少なくとも1つの追加の変数に基づいてパラメータを生成するのに適している請求項3に記載の流体注入装置。
【請求項5】
少なくとも1つの追加の変数は、造影媒体内の増強種(an enhancing species)の濃度又は患者の特定の生理的な変数である請求項4に記載の流体注入装置。
【請求項6】
コントラスト増強流体中のコントラスト増強剤は、ヨウ素又はガドリニウムである請求項5に記載の流体注入装置。
【請求項7】
第1流体及び第2流体の各フェーズのパラメータは、注入される量及びその量を注入するための流速プロフィールである請求項3に記載の流体注入装置。
【請求項8】
コントロールシステムは、操作者が、パラメータを手入力でプログラムするか、パラメータ生成器によってプログラムされたパラメータを用いるかを選択できるようにしている請求項3に記載の流体注入装置。
【請求項9】
パラメータ生成器によってプログラムされたパラメータは、操作者が手入力で変更できる請求項3に記載の流体注入装置。
【請求項10】
操作者は、注入処置のタイプを、複数の所定の注入処置のタイプから選択する請求項3に記載の流体注入装置。
【請求項11】
患者の領域のグラフィカルな表示は、操作者がイメージされた領域を選択するために用いられ、イメージされるべき選択領域によって注入処置のタイプが規定される請求項10に記載の注入装置。
【請求項12】
患者の領域のリストは、操作者がイメージされた領域を選択するために用いられ、イメージされるべき選択領域によって注入処置が規定される請求項10に記載の注入装置。
【請求項13】
操作者は、パラメータを生成するパラメータ生成器によって用いられるのに適している複数のアルゴリズムからアルゴリズムを選択する請求項3に記載の注入装置。
【請求項14】
複数のフェーズの少なくとも1つは、コントラスト増強流体と、非コントラスト増強流体の混合物の注入が含まれる請求項3に記載の注入装置。
【請求項15】
パラメータ生成器は、少なくとも1つのフェーズに対するパラメータを、少なくともテスト注入の一部に基づいて生成する請求項3に記載の注入装置。
【請求項16】
パラメータ生成器は、少なくとも1つのフェーズに対するパラメータを、少なくともテスト注入で決定された増強のピークまでの時間の一部に基づいて決定する請求項14に記載の注入装置。
【請求項17】
非コントラスト増強流体に対するコントラスト増強流体の比は、増強のピークまでの時間に基づいて、パラメータ生成器により決定される請求項16に記載の注入装置。
【請求項18】
増強のピークまでの時間が長いと、非コントラスト増強流体に対するコントラスト増強流体の比を高くする請求項17に記載の注入装置。
【請求項19】
操作者が少なくとも1つの入力プロトコル又は出力増強曲線を入力することができるユーザインターフェイスシステムであって、さらにディスプレイを含むユーザインターフェイスシステムと;及び、
ユーザが入力プロトコル又は算出された入力プロトコルを入力するか、また、ユーザが出力増強曲線を入力するかによって、少なくとも1つの算出された出力増強曲線を提供するのに適した少なくとも1つのモデルと;
をさらに含んでいる請求項1に記載の注入装置。
【請求項20】
操作者は、ユーザインターフェイスシステムの要素に、入力プロトコル又は出力増強曲線を描く請求項19に記載の注入装置。
【請求項21】
操作者は、ユーザインターフェイスシステムのディスプレイの要素に、入力プロトコル又は出力増強曲線を描く請求項19に記載の注入装置。
【請求項22】
患者に注入され、コントラスト増強流体の濃度に存在する活性剤の濃度は、患者に注入される流体の流速がほぼ一定に維持されている間は、少なくとも1つのフェーズで減少させる請求項14に記載の注入装置。
【請求項23】
患者に注入され、コントラスト増強流体の濃度に存在する活性剤の濃度は、流体の流速がほぼ一定に維持されている間は、経時的に連続的に減少させる請求項14に記載の注入装置。
【請求項24】
イメージング処置の間に亘り、複数の対象領域の増強効果を高めるためにパラメータを変化させる請求項1に記載の注入装置。
【請求項25】
コントラスト増強流体と非コントラスト増強流体の混合物の注射を含む複数のフェーズの内の少なくとも1つのフェーズのパラメータを、イメージング処置の間に亘り、複数の対象領域の増強効果を高めるために変化させる請求項14に記載の注入装置。
【請求項26】
対象領域の一方は、心臓の左コンパートメントであって、対象領域の他方は、心臓の右コンパートメントである請求項25に記載の注入装置。
【請求項27】
対象となる領域の一方は、肝臓の第1部分であり、対象となる第2の領域は、肝臓の他の部分である請求項25に記載の注入装置。
【請求項28】
パラメータ生成器は、少なくとも1つのフェーズに対するパラメータを、少なくともテスト注入中に決定された増強のピークまでの時間の一部に基づいて生成する請求項14に記載の注入装置。
【請求項29】
非コントラスト増強流体に対するコントラスト増強流体の比は、増強のピークまでの時間に基づいてパラメータ生成器によって決定される請求項28に記載の注入装置。
【請求項30】
増強のピークまでの時間が長いと、非コントラスト増強流体に対するコントラスト増強流体の比を高くする請求項29に記載の注入装置。
【請求項31】
操作者が入力プロトコル又は出力増強曲線の少なくとも1つを入力する入力機構を含むユーザインターフェイスシステムであって、ディスプレイをさらに含んでいるユーザインターフェイスシステムと;
ユーザが入力プロトコル又は算出された入力プロトコルを入力するか、また、ユーザが出力増強曲線を入力するかによって、少なくとも1つの算出された出力増強曲線を提供するのに適した少なくとも1つのモデルと;及び
をさらに含んでいる請求項14に記載の注入装置。
【請求項32】
操作者は、ユーザインターフェイスシステムの要素に、入力プロトコル又は出力増強曲線を描く請求項31に記載の注入装置。
【請求項33】
注入処置を開始するために必要なステップのグラフィカルな表示を行なうディスプレイを含んでいるワークフローシステムをさらに有している請求項1に記載の注入装置。
【請求項34】
操作者は、選択されたステップに必要な補助的な操作を完了するステップ表示を選択することができる請求項33に記載の注入装置。
【請求項35】
ディスプレイは、提案された連続的な命令中に、ステップのグラフィカルな表示を行なう請求項33に記載の注入装置。
【請求項36】
注入処置を開始するために必要なステップのグラフィカルな表示を行なうディスプレイを含んでいるワークフローシステムをさらに有している請求項14に記載の注入装置。
【請求項37】
操作者は、選択されたステップに必要な補助的な操作を完了するステップ表示を選択することができる請求項36に記載の注入装置。
【請求項38】
ディスプレイは、提案された連続的な命令中に、ステップのグラフィカルな表示を行なう請求項36に記載の注入装置。
【請求項39】
少なくとも1つのフェーズ間に生成される圧力を、フェーズのパラメータの少なくとも1つに基づいて決定するシステムをさらに含んでいる請求項1に記載の注入装置。
【請求項40】
少なくとも1つのフェーズ間で生成された圧力が、圧力閾値を越えているかどうかを示す機構をさらに含んでいる請求項39に記載の注入装置。
【請求項41】
プログラミングシステムは、コンピュータを含んでおり、パラメータ生成器は、コンピュータメモリに格納されたソフトウェアを含んでいる請求項3に記載の注入装置。
【請求項42】
イメージングシステムであって:
イメージング装置と;及び、
流体注入装置であって:
少なくとも1つの加圧機構と:
少なくとも1つの加圧機構と動作可能に関連づけられた少なくとも1つの第1流体容器であって、注入されるべき第1流体を収容するのに適した第1流体容器と;
少なくとも1つの加圧機構に動作可能に関連づけられたコントローラであって、プログラミングシステムを有しており、複数のフェーズを含む注入プロトコルのプログラミングを許容するコントローラと;及び、
複数のフェーズの少なくとも1つのパラメータを、注入処置の少なくとも一部に基づいて決定する少なくとも1つのパラメータ生成器と;
を含んでいる流体注入装置と、
を含んでいるイメージングシステム。
【請求項43】
流体注入装置は:
少なくとも1つの加圧機構に動作可能に関連づけられた少なくとも1つの第2流体容器であって、第2流体を収容するのに適した第2流体容器と;及び、
第1流体が注入される少なくとも1つのフェーズと、第2流体が注入される少なくとも1つのフェーズを含む複数のフェーズと;
を含んでいる請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
患者に流体を送達する方法であって:
少なくとも1つの加圧機構を具え;
少なくとも1つの加圧機構と動作可能に関連づけられた少なくとも1つの第1流体容器であって、注入されるべき第1流体を収容するのに適した第1流体容器を具え;
少なくとも1つの加圧機構に動作可能に関連づけられたコントローラであって、プログラミングシステムを有しており、複数のフェーズを含む注入プロトコルのプログラミングを許容するコントローラを具え;及び、
注入処置の少なくとも一部に基づいた複数のフェーズの少なくとも1つのパラメータを決定する;
ステップを含んでいる流体送達方法。
【請求項45】
流体注入装置であって:
少なくとも1つの加圧機構と;
少なくとも1つの加圧機構と動作可能に関連づけられた少なくとも1つの第1流体容器であって、注入されるべき第1流体を収容するのに適した第1流体容器と;
少なくとも1つの加圧機構に動作可能に関連づけられたコントローラであって、プログラミングシステムを有しており、複数のフェーズを含む注入プロトコルのプログラミングを許容するコントローラと;及び、
少なくとも1つのフェーズ間で生成された圧力が、少なくとも1つのフェーズのパラメータに基づく圧力閾値を越えたかどうかを決定するのに適したシステムと;
を含んでいる流体注入装置。
【請求項46】
少なくとも1つのフェーズ間で生じた圧力が、圧力閾値を越えたかどうかを示す機構をさらに含んでいる請求項45に記載の流体注入装置。
【請求項47】
システムは、流路の少なくとも1を越える箇所で圧力を決定するのに適している請求項45に記載のシステム。
【請求項48】
流体注入装置であって:
少なくとも1つの加圧機構と;
少なくとも1つの加圧機構に動作可能に関連づけられた少なくとも1つの第1流体容器であって、注入流路を介して注入される第1流体を収容するのに適した第1流体容器と;及び、
注入プロトコルと関連づけられた変数に基づいて計画された注入処置の間、注入流路中の少なくとも1箇所で生じた圧力を予測するのに適した圧力モデリングシステムと;
を含んでいる流体注入装置。
【請求項49】
圧力モデリングシステムは、予測された圧力が圧力閾値を越えたかどうかを決定するのに適した機構をさらに含んでいる請求項48に記載の流体注入装置。
【請求項50】
生じた圧力が、圧力閾値を越えたかどうかを示す機構をさらに含んでいる請求項49に記載の流体注入装置。
【請求項51】
圧力モデリングシステムは、注入流路中の複数の箇所で生じる圧力を予測するのに適している請求項48に記載の流体注入装置。
【請求項52】
流体注入装置であって:
少なくとも1つの加圧機構と;
少なくとも1つの加圧機構に動作可能に関連づけられた少なくとも1つの第1流体容器であって、注入される第1流体を収容するのに適した第1流体容器と;及び、
注入処置を開始するために必要なステップの表示をグラフィカルに行なうディスプレイを含んでいるワークフローシステムと;
を含んでいる流体注入装置。
【請求項53】
操作者は、選択されたステップに必要な補助的な操作を完了するためのステップ表示を選択することができる請求項52に記載の流体注入装置。
【請求項54】
ディスプレイは、提案された連続的な命令中に、ステップのグラフィカルな表示を行なう請求項52に記載の流体注入装置。
【請求項55】
流体注入装置であって:
少なくとも1つの加圧機構と;
少なくとも1つの加圧機構に動作可能に関連づけられた少なくとも1つの第1流体容器であって、注入流路を介して注入される第1流体を収容するのに適した第1流体容器と;
操作者が、少なくとも1つの入力プロトコル又は出力増強曲線を入力する入力機構を含むユーザインターフェイスであって、ディスプレイをさらに含んでいるユーザインターフェイスと;及び、
ユーザが入力プロトコル又は算出された入力プロトコルを入力するか、また、ユーザが出力増強曲線を入力するかによって、少なくとも1つの算出された出力増強曲線を提供するのに適した少なくとも1つのモデルと;
を含んでいる流体注入装置。
【請求項56】
算出された出力増強曲線又は算出された入力プロトコルは、ディスプレイに表示される請求項55に記載の流体注入装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公表番号】特表2008−521506(P2008−521506A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543563(P2007−543563)
【出願日】平成17年11月23日(2005.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/042891
【国際公開番号】WO2006/058280
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(500483817)メドラッド インコーポレーテッド (43)
【氏名又は名称原語表記】Medrad,Inc.
【Fターム(参考)】