説明

流体分離装置

本発明は、流体分離装置であって、長手方向軸(X)に沿って延びる少なくとも1つのマイクロチャネル(2、66)であって、第1の横軸(Y)に沿って測定される幅と、その第1の横軸(Y)に対して垂直な第2の横軸(Z)に沿って測定される厚みとを呈する横断面を有し、その幅はその厚みよりも大きく、第2の横軸に沿って下壁(3)及び上壁(4)を有する、マイクロチャネル(2、66)と、当該マイクロチャネル(2)と流体連通する、少なくとも第1の入口(7)、第2の入口(8)、及び第3の入口(9)であって、第2の入口(8)は、第2の横軸(Z)に沿って第1の入口(7)と当該第3の入口(9)との間に配される、第1の入口(7)、第2の入口(8)、及び第3の入口(9)と、第1の入口と第2の入口、及び第2の入口と第3の入口をそれぞれ分離する、少なくとも第1の横分離壁(10)及び第2の横分離壁(11)であって、その第1の横分離壁(10)及び第2の横分離壁(11)は、第2の入口(8)が、第2の横軸(Z)に沿って測定されるゼロではない距離だけ下壁(3)及び上壁(4)のそれぞれから隔てられるように配され、第2の入口(8)は、特に、前記分離壁の少なくとも一方に隣接する、第1の横分離壁(10)及び第2の横分離壁(11)とを備える、流体分離装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に微小流体装置である、流体分離装置、及びその適用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来法では、細胞は、膜若しくはフィルタにより、又はエルトリエーション法により、又はFicol(登録商標)、Percoll(登録商標)、若しくは他の定常相を用いた遠心分離の方法により選別される。しかしながら、例えば寄生生物(parasites)に感染している細胞を分離するような特定の用途の場合では、既存の分離装置では十分な実効が得られないことがある。
【0003】
また、次の論文:「Cell separation methods and applications」(D. Recktenwald, A. Radbruch, Eds. Marcel Dekker 1997)、及び「Cell separation, a practical approach」(D. Fisher, G. E. Francis, Eds. Oxford, PAS 193,1998)に記載されているように、磁場又は電場を利用する分離方法も既知である。これら方法は任意選択的に定常相を使用し得る。
【0004】
細胞は、分離が可能なほど十分には本来的な磁性を呈さないため、磁場を用いる方法ではサンプルの前処理が必要とされる。
【0005】
フローサイトメトリーが、血球を選別及び特性決定するために広範に使用されている。この方法により、複数の種を高い選択性で同時に選別することが可能となる。それにもかかわらず、フローサイトメトリーは、分取又は半分取(preparative or semi-preparative separation)を行うには適さず、その理由は、分離がその際に細胞ごとに、さらには1秒当たり約15000個の細胞の割合で行われるため、この方法を分取方法とみなすことができないからである。
【0006】
分離を行う微小流体装置は以下の文献にも記載されている:
・Integrating advanced functionality in a microfabricated high-throughput fluorescent-activated cell sorter, A. Wolff, I. Peter-Nielsen, U. Larsen, P. Friis, G. Goranovic, C. Poulsen, J. Kutter, P. Telleman, Lab-on-a-ship, 3, 2003, 22-27,
・Lab-on-a-chip-based separation and detection technology for life science applications, B. H. Weigl and K. Hedine, American Biotechnology Laboratory, January 2002, 28-30,
・A microfabricated fluorescence-activated cell sorter, A. Y. Fu, Ch. Spenser, A. Scherer, F. Arnold and S. Quake, Nature Biotechnology, vol. 17, November 1999, 1109-1111.
・A microfabrication-based dynamic array cytometer, J. Voldman, M. L. Gray, M. Toner and M. A. Schmidt, Analytical Chemistry, 74, 2002, 3984-3990,
・Microfluidic device for single-cell analysis, A. R. Wheeler, W. R. Throndset, RJ. Whelan, A. M. Leach, R. N. Zare, Y.H. Liao, K. Farrell, I.D. Manger and A. Daridon, Analytical Chemistry, 75, 2003, 3581-3586,
・Microfluidic device for high throughput chemical analysis of cells, M. A. McClain, C. T. Culbertson, S.C. Jacobson, N. L. Allbritton, C. E. Sims and M. Ramsey, Analytical Chemistry, 75, 2003, 5646-5655,
・Passively driven integrated microfluidic system for separation of motile sperm, B. S. Cho, T. G. Schuster, X. Zhu, D. Chang, G. D. Smith and S. Takayama, Analytical Chemistry, 75, 2003, 1671-1675,
・Microfluidic optical sorting, M. MacDonald, G. Spalding and K. Dholakaia, Nature 426, 2003, 421-424,
・Microfluidic diffusion-based separation and detection, B. H. Weigl and P. Yager, Science, vol. 283 1999, 346-347.
これら装置は安価であり、分析に試薬及び材料をほとんど使用しない。
【0007】
別の利点は、数多くの、小面積又は小容積のユニットの組み合わせが可能であることであり、したがって、各ユニットを少ししか使用しない場合であっても、大量の材料を処理することが可能となる。さらに、微小流体装置は、使い捨てとして廃棄可能であり、このことは医療サービスにおいて汚染の問題を回避するのに役立つため、生物学的用途に特に有利である。
【0008】
米国特許出願第2003/0234210号は、複数の出口流路を有し、懸濁状態の粒子を分離する分離装置を開示している。この装置には、流路内の流れを制御する圧力パルスを生成することが可能な弁も設けられている。
【0009】
米国特許出願第2003/0165812号は、例えば精子を選別する選別装置であって、2つの入口流路と2つの出口流路とを有し、これら入口流路及び出口流路は互いに対して約45度の角度を成す、選別装置を開示している。
【0010】
米国特許出願第2003/0124619号は、Hフィルタ構成を有する分離装置であって、種々の異なる拡散係数を有する高分子を分離するのに使用される分離装置を記載している。
【0011】
米国特許出願第2002/0149766号は、マイクロサイトメータ(microcytometer)を記載している。
【0012】
米国特許出願第2001/0048637号は、中央流路に対して垂直につながっている2つの入口流路を有する微小流体装置を開示している。
【0013】
例えば、論文:「Viral separations using a microfabricated electrical SPLITT system」(A. D. Saldanha, B. Gale, in Proc. of Micro-TAS 2002, Nara, Japan, 2002)に記載されているように、剛性ブレードや半剛性ブレードによりそれぞれ形成される分流器(flow divider)を備える、スプリット流れ横搬送式の薄型分離セル(split-flow lateral transport thin separation cell)(SPLITT)タイプの分離装置も既知である。それらの分流器(flow divider)により、流れに停滞地点又は再循環ゾーンが現れて種が入口及び出口に捕捉された状態にならないようにすることが可能となる。
【0014】
装置によっては、分離はマイクロチャネルの幅にわたって行われ、同時に分離されることができる粒子の数が限定されるものもある。
【0015】
マイクロチャネルの厚みにわたって種を分離することができるSPLITT分離装置では、任意選択的に分流器(flow divider)を用いることができる。かかる分流器(flow divider)は、サイズが小さい場合は実行することが困難である。
【0016】
分流器(flow divider)は余分な厚みがあると下流の流れを妨げる可能性がある(例えば、再循環ゾーンが形成され、粒子が捕捉される)。したがって、分流器(flow divider)は、厚みが小さくなるように作製されねばならず、その場合、剛性が小さくなるため、その片側相互への圧力の差に起因して変形する可能性がある。
【0017】
分流器(flow divider)を用いる分離装置では、2つよりも多い入口又は出口を有することは困難である。
【0018】
以下、「微小流体装置」という用語は、少なくとも1つのマイクロチャネル内での物質の搬送を利用する装置を意味するのに用いられる。「マイクロチャネル」という用語は、その長さの少なくとも一部分にわたって、一方の側から対向する側にかけて直線で測定された少なくとも1つの寸法が1ミリメートル未満であるセクションを有する流路を指すのに用いられる。
【0019】
例として、マイクロチャネルは、4センチメートル(cm)の幅、20cmの長さ、及び100マイクロメータ(μm)の厚みを有し得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は特に、種を選別及び/又は分離する装置を改良することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の態様の1つでは、本発明は、特に微小流体装置である、流体分離装置であって、
長手方向軸に沿って延びる少なくとも1つのマイクロチャネルであって、第1の横軸に沿って測定される幅と、その第1の横軸に対して垂直な第2の横軸に沿って測定される厚みとを呈する横断面を有し、前記幅は前記厚みよりも大きく、第2の横軸に沿って下壁及び上壁を有する、マイクロチャネルと、
マイクロチャネルと流体連通する、少なくとも第1の入口、第2の入口、及び第3の入口であって、第2の入口は、第2の横軸に沿って第1の入口と第3の入口との間に配される、その第1の入口、第2の入口、及び第3の入口と
を備える、流体分離装置を提供する。
【0022】
本発明の一実施の形態では、本装置は、第1の入口と第2の入口、及び第2の入口と第3の入口をそれぞれ分離する、少なくとも第1の横分離壁及び第2の横分離壁であって、第1の分離壁及び第2の分離壁は、第2の入口が、第2の横軸に沿って測定されるゼロではない距離だけ上記下壁及び上記上壁のそれぞれから隔てられるように配され、第2の入口は、特に、前記分離壁の少なくとも一方に隣接する、第1の横分離壁及び第2の横分離壁を更に備える。
【0023】
本発明の装置は、マイクロチャネルの上壁及び下壁から離隔した物質のシートを形成するように、流体力学的集束により、第2の入口を通ってマイクロチャネルに沿って、種を含有している物質を循環させることを可能にし、したがって、物質と上記上壁及び上記下壁との間の相互作用の影響、特に流体力学的な浮力、潤滑、静電的相互作用、ファンデルワールス力、及びせん断により誘導される流体力学的拡散作用による影響を減らすことを可能する。
【0024】
このようにして形成される物質のシートは、マイクロチャネルの長手方向軸に対してほぼ平行なフローライン(flow lines)により、安定的であることができる。
【0025】
本発明によれば、分離壁を適切な高さにすることによって比較的小さな厚みのシートとすることが可能である。
【0026】
本装置により、マイクロチャネルの厚みにわたって選別及び/又は分離することが可能となる。
【0027】
本発明の装置に所定数の入口及び分離壁、例えば3つ以上の入口を設けることにより、装置内で種を混合する等の作業を行うことが可能となる。
【0028】
本発明の装置は分流器(flow divider)を有する必要はない。
【0029】
例として、マイクロチャネルは、2以上、例えば5以上又は10以上の幅/厚み比を有し得る。
【0030】
本発明により、例えばマイクロチャネルの幅の少なくとも90%にわたって、幅/厚み比が10以上であり二次元とみなされ得る速度プロファイルを有するマイクロチャネルに沿った流れを得ることが可能となる。
【0031】
更に、マイクロチャネルの幅はその厚みに比して比較的大きいものとすることができるため、マイクロチャネル内に流れる物質の量は、マイクロチャネルの厚みが比較的小さい場合であっても比較的大きいものとなり得る。
【0032】
マイクロチャネルの横断面は一定であってもよく、又はそうでなくてもよい。
【0033】
マイクロチャネルの厚みは一定であってもよく、又は様々であってもよく、例えば異なる厚みを呈する少なくとも2つのゾーンを軸方向に交互に有していてもよい。
【0034】
横断面は例えば矩形であってもよく、又は皿形であってもよい。
【0035】
マイクロチャネルの厚みは、約20μm〜約1000μmの範囲、例えば20μm〜500μm又は20μm〜50μmの範囲にあるものとすることができ、幅は、約0.5ミリメートル(mm)〜10cmの範囲、例えば0.5mm〜5mmの範囲内にあるものとすることができ、長手方向軸に沿って測定される長さは、約1cm〜10cm又は10cmを超える範囲内にあるものとすることができる。
【0036】
分離壁は任意選択的に、第2の横軸に沿って測定される高さが同一であってもよい。
【0037】
好ましくは、上記3つの入口の少なくとも1つは、少なくともマイクロチャネルの幅程の幅を呈し、及び/又は略矩形である断面を呈する。
【0038】
本発明の一実施の形態では、3つの入口の少なくとも1つは、マイクロチャネルの下壁及び上壁の一方に開口し、3つの入口の別の1つは、マイクロチャネルの下壁及び上壁の他方に開口している。
【0039】
例として、第1の入口及び第3の入口は互いに対面して配置される。
【0040】
一変形形態では、3つの入口は全て、マイクロチャネルの下壁又は上壁のいずれかに開口している。
【0041】
本発明の一実施の形態では、第1の入口及び第3の入口は、マイクロチャネルの長手方向軸に沿って互いに対してずれている。
【0042】
第2の入口は、マイクロチャネルの長手方向軸にほぼ平行に又は垂直にマイクロチャネルに開口し得る。
【0043】
第2の入口は、好ましくは、分離壁の少なくとも一方に隣接しているか又は分離壁の少なくとも一方から上流にあり得る。
【0044】
本発明の一実施の形態では、装置は、上記3つの入口の1つ関連づけられる少なくとも1つの供給オリフィスを有し、その供給オリフィスはダクトを介して上記入口と流体連通し、ダクトは特に、ダクトの先端から拡がる末広部分を有し、供給オリフィスは、上記先端に隣接するダクトに開口し、特に、ダクトに対して垂直に開口している。
【0045】
このダクトの末広部分により、物質のシートの形成を供給地点から始めることが可能となる。
【0046】
本発明の一実施の形態では、装置は、マイクロチャネルと流体連通する少なくとも第1の出口及び第2の出口を有し、第1の出口及び第2の出口は、第2の横軸に沿って測定されるゼロではない高さの横分離壁によって互いに隔てられている。
【0047】
第1の出口及び第2の出口は、例えば種のサイズ、種の拡散係数、又はマイクロチャネルに加えられる力場(force field)と種との相互作用の強度に応じて、マイクロチャネル内で移動した種を回収するように機能する。
【0048】
本発明により、フィルタ膜又は透析を用いずに連続的に分離を行うことが可能となる。
【0049】
第1の出口及び第2の出口は、マイクロチャネルの長手方向軸に沿って互いにずれていてもよい。一変形形態では、第1の出口及び第2の出口は互いに対面して配され得る。
【0050】
本発明の一実施形態では、装置は、第3の出口を更に備え、第2の出口は、第2の横軸に沿って第1の出口と第3の出口との間に配され、第1の出口と第2の出口、及び第2の出口と第3の出口は、第2の横軸に沿って測定されるゼロではない高さのそれぞれの横分離壁によって互いに隔てられている。
【0051】
種は、著しい妨げなく出口で回収され得る。
【0052】
本発明の一実施形態では、装置は、マイクロチャネルの上記出口の1つと関連づけられる少なくとも1つの出口オリフィスを有し、当該オリフィスはダクトを介して当該出口と流体連通し、ダクトは、横方向に狭まったセクションの一部分、特に先端に向かって先細になっている部分を有し、この部分は、例えば上から見ると形状が三角形であり、その出口オリフィスは、例えば先端に隣接するダクトに開口しており、特にダクトに対して垂直に開口している。
【0053】
ダクトのこの先細部分は、出口オリフィスに停滞地点が形成されないように機能する。
【0054】
本発明の一実施の形態では、装置は、マイクロチャネルの少なくとも一部分内に少なくとも1つの横方向の力場(force field)、特に、重力場、電場、磁場、又は音場(acoustic field)を生ずるように配され、それにより、例えば、種を第2の横軸の方向に移動させる。
【0055】
本発明により、横方向の力場(force field)は、マイクロチャネルの厚みにわたって加えられるのではなく、マイクロチャネルの幅(比較的大きいものであり得る)にわたって加えることができるため、比較的容易に加えられ得る。
【0056】
本発明の一実施の形態では、装置は、少なくとも1つのシート、特に、マイクロチャネルを少なくとも部分的に形成する例えばプラスチック材料、又は金属から成る少なくとも2つのシートのスタックを含む。
【0057】
シート又はシートのスタックは、特にプラスチック材料、例えばPlexiglass(登録商標)から成る少なくとも2つのプレート間に挟まれ得る。
【0058】
一般に、マイクロチャネルは種々のタイプの材料、特にプラスチック材料、例えばポリジメチルシロキサン(PDSM)、又はガラスから作製され得る。
【0059】
マイクロチャネルは、微小流体分野で使用される種類の従来の作製方法を用いて作製され得る。
【0060】
適切な場合、装置は、マイクロチャネルのアレイ、特に平行に配置されるマイクロチャネルのアレイを有していてもよく、所望であれば、種を各マイクロチャネルから個別に回収し、あるいは、一変形形態では、複数のマイクロチャネルに共通な1つ又は複数の出口を用いることにより、大量の物質を処理することが可能となる。
【0061】
適切な場合、マイクロチャネルには、少なくとも1つの弁、例えばソレノイド弁が設けられていてもよい。
【0062】
本発明の別の態様では、本発明はまた、種、特に高分子、例えば剛性粒子又は可変形粒子、生体細胞、特に血球、例えば血液サンプル中の癌細胞、細菌、コロイドエマルジョン又は非コロイドエマルジョン、タンパク質、リポソーム、エマルジョンを選別する方法、診断方法又は分析方法、精製方法、種を富化し又は除く方法、種を合成する方法、種の物理特性又は化学特性を変える方法、薬剤を探索する方法、混合する方法、拡散係数を測定する方法のうち少なくとも1つの用途において、上記に明記した装置の使用を提供する。
【0063】
例として、装置は、流体サンプルを特定の細胞又は血小板、例えば癌細胞、リンパ球、若しくは幹細胞で富化するのに使用され得る。このようにして富化したサンプルは次いで、例えば、診断、及び/又は新しい種の形成、及び/又は分離のために、分析又は処理され得る。
【0064】
本発明により、マイクロチャネルの壁との相互作用による影響を減らすことによって、ある種の生物学的構造、特に、せん断に特に敏感な血小板に損傷を与えないようにすることが可能である。
【0065】
装置はまた、電気生理学的研究を行うために、種を、寄生生物(parasites)に感染しているマクロファージで富化するのに用いられ得る。
【0066】
本発明の装置により、適切な場合、装置が連続動作し、1秒あたり何千万もの粒子又は細胞を処理することが可能であり、分取を行うことが可能となる。
【0067】
本発明の別の態様では、本発明はまた、特に物質中に含有する種を選別及び/又は分離する方法を提供し、その方法は、
上記に明記した装置内で、そのマイクロチャネルに沿って上記第2の入口を介して、好ましくは連続的に、種を含有する物質を循環させるステップと、
種を含有する物質が、マイクロチャネルの下壁及び上壁から離隔したシートの形態で、マイクロチャネルの少なくとも一部分にわたって流れるように、1つ又は複数のキャリア流体を、上記第1の入口及び上記第2の入口を介してマイクロチャネルに沿って好ましくは連続的に流すステップと
を含むことを特徴とする。
【0068】
本方法は、少なくともマイクロチャネル内に流れが確立している間に、マイクロチャネルを少なくとも1つの横方向の力場(force field)に配置するステップを含むことができ、その力場(force field)は、特に重力場、電場、磁場、又は音場(acoustic field)であり、行われる作業に応じて、任意選択的に、恒久的であるか、可変であるか、又は一定である。
【0069】
本方法は、流体力学的浮力、又はせん断により誘導される流体力学的拡散の作用下で、種を移動させるステップを含み得る。
【0070】
本方法はまた、移動した種を、マイクロチャネルの上記出口の少なくとも1つから回収するステップを含み得る。
【0071】
例として、種は、血小板又は他のヒト細胞、動物細胞、又は植物細胞とすることができる。
【0072】
本発明の別の態様では、本発明はまた、特に微小流体装置である、流体分離装置であって、
長手方向軸に沿って延びる少なくとも1つのマイクロチャネルであって、第1の横軸に沿って測定される幅と、その第1の横軸に対して垂直な第2の横軸に沿って測定される厚みと呈する横断面を有し、前記幅は前記厚みよりも大きく、第2の横軸に沿って下壁及び上壁を有する、マイクロチャネルと、
マイクロチャネルと流体連通する、少なくとも第1の入口及び第2の入口と、
第1の入口と第2の入口を分離する、少なくとも1つの横分離壁であって、当該分離壁は、第2の入口が、第2の横軸に沿って測定されるゼロではない距離だけ上記下壁及び上記上壁の一方から隔てられるように配され、第2の入口は特に分離壁に隣接する、横分離壁とを備え、
流体分離装置は、流路の少なくとも一部を形成するカットアウトを有する少なくとも1つのシートを有し、当該シートは少なくとも2つのプレート間に挟まれる、流体分離装置を提供する。
【0073】
2つのプレートの少なくとも一方は実質的に剛性とすることができ、シートは実質的に柔軟性(floppy)又は可撓性とすることができる。
【0074】
例として、プレートの厚みはシートの厚みよりも厚い。
【0075】
本装置は、少なくとも部分的に変形可能であり、変形により、直線ではない形状をマイクロチャネルに与えることを可能にするようにしてもよい。
【0076】
例として、マイクロチャネルは変形可能な材料から作製されるシート及び/又はプレートを有して形成されてもよい。
【0077】
本装置の外側形状はほぼ筒状とすることができる。
【0078】
一変形形態では、マイクロチャネルは機械加工、特にプレートに機械加工することによって作製されることができる。
【0079】
本発明の別の態様では、本発明はまた、特に微小流体装置である流体分離装置を作製する方法であって、当該装置は、
長手方向軸に沿って延びる少なくとも1つのマイクロチャネルであって、第1の横軸に沿って測定される幅と、その第1の横軸に対して垂直な第2の横軸に沿って測定される厚みとを呈する横断面を有し、前記幅は前記厚みよりも大きく、第2の横軸に沿って下壁及び上壁を有する、マイクロチャネルと、
マイクロチャネルと流体連通する、少なくとも第1の入口及び第2の入口と、
第1の入口と第2の入口を分離する、少なくとも1つの横分離壁であって、当該分離壁は、第2の入口が、第2の横軸に沿って測定されるゼロではない距離だけ上記下壁及び上記上壁の一方から隔てられるように配され、第2の入口は特に分離壁に隣接する、横分離壁とを備え、
当該方法は、流路の少なくとも一部を形成するカットアウトを有するシートを少なくとも2つのプレート間に配置するステップを含む、方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0080】
本発明は、本発明の非限定的な実施形態の以下に続く詳細な説明を読めば、また、添付の図面を検討すれば、よりよく理解することができる。
【0081】
図1は、長手方向軸Xに沿って延びるマイクロチャネル2を有する、本発明による装置1を示す。
【0082】
マイクロチャネル2は図3に示すように、矩形の横断面であって、幅が第1の横軸Yに沿って測定され、厚みが第2の横軸Zに沿って測定される、横断面を呈す。
【0083】
記載されている例では、マイクロチャネルの長さ/厚みの比は10よりも大きい。
【0084】
マイクロチャネルの幅は約0.5cm、厚みは約440μm、長さは約12cmとし得る。
【0085】
マイクロチャネル2は、軸Zに対して垂直な下壁3及び上壁4を有する。
【0086】
マイクロチャネル2は、軸方向端部5に第1の入口7、第2の入口8、及び第3の入口9を有する。
【0087】
第1の入口7及び第3の入口9はそれぞれ、マイクロチャネル2の上壁4及び下壁3に開口し、X軸に対して垂直であり、互いに対面している。
【0088】
第2の入口8は、X軸に対して平行にマイクロチャネル2に開口している。
【0089】
入口7〜9は、ほぼ矩形の断面を有し、幅がマイクロチャネル2の幅に等しい。
【0090】
第1の入口7及び第2の入口8は第1の横分離壁10により分離され、第2の入口8及び第3の入口9は第2の横分離壁11により分離され、これら分離壁10及び11は長手方向軸Xに対して垂直である。
【0091】
図1に見られるように、分離壁10及び11は双方とも第2の入口8に隣接し、それぞれ第1の入口7及び第3の入口9に隣接している。
【0092】
第1の入口7及び第3の入口9はそれぞれ、X軸に対して平行な第1の部分16とZ軸に対して平行な第2の部分17とを有するダクト15を介して供給を受ける。
【0093】
第2の入口8は、X軸に対して平行なダクト19から供給を受ける。
【0094】
図3に見られるように、ダクト15の第1の部分16は、各先端20から形状が末広になっており、特にZ軸に沿って上から見た場合に形状が三角形であり、先端20に隣接している各オリフィス21は、部分16に開口しており、部分16に対して垂直に開口している。
【0095】
各供給オリフィス21は、例えばダクト22を介して物質供給部(図示せず)に接続されることができる。
【0096】
ダクト19は、図3に示されるように、特に三角形の先端である先端23から末広になっている形状を呈する。
【0097】
先端23に隣接する供給オリフィス25は、ダクト19に開口しており、ダクト19に対して垂直に開口している。
【0098】
供給オリフィス25は、ダクト26を介して物質供給部(図示せず)に接続され得る。
【0099】
ダクト22及び26は、例えば円形である横断面を呈し得る。
【0100】
部分16及びダクト19の形状により、射出地点から、マイクロチャネル2の幅に等しい幅を呈するシートの形態の流れを形成することが可能となる。
【0101】
第2の入口8は、マイクロチャネル2の厚みよりも小さい厚み、例えばマイクロチャネル2の厚みの半分より小さい厚みを呈する。
【0102】
見られるように、横軸Zに沿って分離壁10及び11の高さを高くすることによって、第2の入口8から流入する物質のシートの厚みを減らすように当該入口8の厚みを減らすことが可能である。
【0103】
所望であれば、シートの厚みを入口7及び9から流入する流量を操作することによって制御してもよい。
【0104】
特に分離壁10及び11の高さを選択することによって、入口8から流入するシートを、マイクロチャネルの厚み方向に選択される高さに位置付けることも可能である。
【0105】
装置1は、使い捨てタイプとすることができ、適切な場合、いかなる能動系をも有する必要がない。
【0106】
以下に、微小流体装置1を作製する際のステップを記載する。
【0107】
図2に示すように、シート30及び31はプレート32と一緒に組み立てられる。
【0108】
シート30は、ダクト15の部分16を形成するようにカットアウト33を有する。
【0109】
プレート32は、ダクト15の部分17を形成するようにZ軸上に通路34を有する。
【0110】
シート31は、マイクロチャネル2の一部分を形成するようにカットアウト35を有する。
【0111】
記載されている例では、シート30及び31は例えばMylar(登録商標)のプラスチック材料から作製される。
【0112】
一変形形態では、シート30及び31の一方はポリイミドとすることができる。
【0113】
一変形形態では、シート30及び31は例えば金属から作製され得る。
【0114】
プレート32は、単品又は複数の部分から成る組立体として、プラスチック材料、例えばPlexiglass(登録商標)又はポリカーボネートから作製され得る。
【0115】
プレート32は、シート30を受ける上面37を有する第1の部分36を有する。
【0116】
プレート32は第2の部分38を有し、この第2の部分38は、Z軸に沿った高さが第1の部分36と同じであると共に、シート30及び31のそれぞれの距離に等しい距離にわたって第1の部分36に対しずれている。
【0117】
シート30は、第1の部分36の上面37にしっかりと固定され、シート31は、第2の部分38の底面39にしっかりと固定されることで、図3に示すような第1の組立体40を形成する。
【0118】
シート30及び31は、例えば接着剤によってプレート32にしっかりと固定されることができる。
【0119】
また、軸X及びYによって画定される平面に対して組立体40に対称な第2の組立体41も作製される。
【0120】
シート43が組立体40及び41間に置かれ、このシート43は、第1にダクト19を形成し、第2に、組立体40及び41内のカットアウト35と共に、マイクロチャネル2を形成する、カットアウト44を呈する。
【0121】
マイクロチャネル2からの出口も同様にして作製され得る。
【0122】
上述の実施形態では、第1の入口7及び第3の入口9は互いに対面して開口している。
【0123】
図4に示すように、一変形形態では、第1の入口7及び第3の入口9はX軸に沿ってずれることができる。
【0124】
当該例では、分離壁10及び11もまたX軸に沿ってずれている。
【0125】
第1の入口7は、Z軸に沿った厚みを呈する第1のゾーン45に開口しており、この第1のゾーンは、より厚みのある第2のゾーン46につながっており、この第2のゾーンに第2の入口8が開口している。
【0126】
第2のゾーン46はマイクロチャネル2の中央ゾーン47につながっている。
【0127】
ゾーン45とゾーン46の厚差及びゾーン46とゾーン47の厚差は、分離壁10の高さ及び分離壁11の高さにそれぞれ相当する。
【0128】
X軸に沿った入口7〜9のこのようなずれ配置(offset disposition)により、3つよりも多くの、例えば4つ又は5つの数多くの入口をマイクロチャネル2に設けることが可能となる。
【0129】
マイクロチャネル2は2つの出口50及び51を有し、これら出口はX軸に沿ってずれていると共に、X軸に対して垂直な横分離壁52によって互いに分離されている。
【0130】
図4に示す例では、入口7はマイクロチャネルの上壁4に開口し、入口3及び入口4はマイクロチャネルの下壁3に開口している。
【0131】
図5に示すように、一変形形態では、入口7〜9は全てマイクロチャネルの下壁3に開口している。
【0132】
出口50及び51は、図4に示されるように、一方がマイクロチャネルの下壁3に開口し、他方が上壁4に開口することができる。あるいは、一変形形態では、図5に示されるように、出口50及び51が双方とも、下壁3及び上壁4の一方又は他方に開口することができる。
【0133】
マイクロチャネル2は、2つより多い数の出口を有し得る。
【0134】
図6に示すように、例えば、マイクロチャネル2は、X軸に沿ってずれていると共に横分離壁52及び54によって対になって分離されている3つの出口50、51、及び53を有し得る。
【0135】
図7に示すように、適切な場合は、出口50及び51は互いに対面して開口していてもよい。
【0136】
装置1は以下のように用いることができる。
【0137】
例えば図4に示すように、キャリア流体56を第1の入口7及び第3の入口9を介して流し、その一方、選別すべき及び/又は分離すべき種を含有する物質55を第2の入口8を介して移動させる。
【0138】
マイクロチャネル2内の流れが安定すると、キャリア流体56間の物質55のシートは、マイクロチャネル2の長さの少なくとも一部分にわたってマイクロチャネル2の下壁3及び上壁4から隔たり、物質55と壁3及び4との相互作用を低減する。
【0139】
マイクロクロチャネル2の少なくとも一部内に、図6に示されるように例えば装置60により横方向の力場(force field)を発生させることが可能である。
【0140】
このような横方向の力場(force field)は電場、磁場、又は音場(acoustic field)とすることができる。
【0141】
物質55のシート内に含有する種は、例えば重力場などの横方向の力場(force field)の作用下で、又は、例えば浮力、せん断により誘導される拡散力などの流体力学的作用下で、横方向に移動し得る。
【0142】
流体力学的浮力による作用は、種のサイズに応じて決まる。
【0143】
せん断により誘導される流体力学的拡散は、局部的なせん断、種のサイズ及び濃度に応じて決まる。
【0144】
横方向の力場(force field)は、マイクロチャネル2の長さ全体に対して適用されてもよく、又はマイクロチャネル2の一部のみにわたって適用されてもよい。
【0145】
移動した種は、一方又は他方の出口50又は51を介して回収される。
【0146】
種は、出口50及び51にて、各自のサイズ、各自の粒子拡散係数に応じて、又は(もしあれば)与えられる横方向の力場(force field)の強度に応じて分離する。
【0147】
装置1は、診断方法の分野の分析セパレータ(analytic separator)として、例えば不均一サンプル内での種々の細胞タイプを決定するために、用いることができる。
【0148】
適切な場合は、装置1は、入口7〜9を介した物質の注入を制御する1つ又は複数の弁を有することができ、その場合、かかる弁は例えば1つの通路又は複数の通路を有するソレノイド弁とすることができる。
【0149】
入口7〜9を介した物質の注入は、その頻度及び流量を制御されることができ、それにより、大量の物質を処理するために装置1を連続動作させることが可能となる。
【0150】
本発明の装置1により、粒子、高分子、コロイド、生体細胞、例えば血球、癌細胞、又は細菌を分離することが可能となる。
【0151】
図8は、平行に配置されたマイクロチャネル66のアレイを有する、本発明による微小流体装置65を示す、Z軸に沿った方向から見た平面図である。
【0152】
記載されている例では、装置65は、上述の供給オリフィス21及び25のような複数の供給オリフィス68を有する。
【0153】
流れを当該マイクロチャネル66に向けるために、マイクロチャネル66の入口67は先細の形状である。
【0154】
出口69は末広形状を有し、出口オリフィス70につながっている。
【0155】
装置65により、大量の物質を処理することが可能となる。
【0156】
移動した種は、マイクロチャネル66それぞれに対して個別に回収されることができる。あるいは、一変形形態では、複数のマイクロチャネル66に対して共通の出口を介して回収されることができる。
【0157】
図9は、例えば共通の入口につながっている星形構造で配置されているマイクロチャネル66を有する微小流体装置72を示す。
【0158】
マイクロチャネル66はそれぞれ、独自の出口を有し得る。
【0159】
当然のことながら、本発明は上述の実施形態に限定されない。
【0160】
例えば、マイクロチャネル2は3つより多くの数の入口を有し得る。
【0161】
一変形形態では、マイクロチャネル2は、例えば、少なくとも3つの出口と共に1つの入口、又は1つの出口と共に少なくとも3つの入口を有し得る。
【0162】
図11は、本発明の別の実施形態を構成する流体分離装置80を示す。
【0163】
装置80は第1の入口82及び第2の入口83、並びに第1の出口84及び第2の出口85を有するマイクロチャネル81を有する。
【0164】
入口82と入口83は横分離壁86により分離され、出口84及び85は横分離壁87により分離されている。
【0165】
図10に示すように、装置80は上述した組立体41と、シート43と、2つのプレート90及び91とから成り、プレート90はシート30及びプレート32を押圧し、プレート32はシート43を押圧する。
【0166】
プレート32、90、及び91は実質的に剛性であり、シート30、31、及び43は実質的に可撓性である。
【0167】
プレート32、90、及び91は、プラスチック材料、特に例えばPlexiglass(登録商標)若しくはAltuglas(登録商標)から作製されてもよく、又は、シリカ若しくはガラスをベースとしていてもよい。
【0168】
プレート32は、通常の微小流体的技法を用いて、例えばPDMS、S8、又は任意の他のポリマー材料を用いることによって、又は実際にシリカマスクを用いることによって作製されてもよいが、このような列挙に限定されない。
【0169】
ダクト15は、ダクト15を画定するスロットを形成するように構成され、接着結合される3つの部分から成ることができる。
【0170】
一変形形態では、ダクト15は、一片のプラスチック材料にスロットを掘り出すことによって形成することができる。
【0171】
出口84及び85は、入口82及び83と同様にして作製される。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】本発明による装置の概略的且つ断片的な横断面図である。
【図2】図1の装置の製造における2つのステップのうち一ステップを示す概略的且つ断片的な斜視図である。
【図3】図1の装置の製造における2つのステップのうち一ステップを示す概略的且つ断片的な斜視図である。
【図4】本発明の他の実施形態を構成する装置の概略的且つ断片的な図である。
【図5】本発明の他の実施形態を構成する装置の概略的且つ断片的な図である。
【図6】本発明の他の実施形態を構成する装置の概略的且つ断片的な図である。
【図7】本発明の他の実施形態を構成する装置の概略的且つ断片的な図である。
【図8】マイクロチャネルのアレイを有する、本発明による装置の概略的且つ断片的な図である。
【図9】マイクロチャネルのアレイを有する、本発明による装置の概略的且つ断片的な図である。
【図10】本発明の別の実施形態を構成する装置の異なる要素を示す概略的且つ断片的な斜視図である。
【図11】図10の装置の概略的且つ断片的な断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に微小流体装置である、流体分離装置(1、65、72)であって、
長手方向軸(X)に沿って延びる少なくとも1つのマイクロチャネル(2、66)であって、第1の横軸(Y)に沿って測定される幅と、該第1の横軸(Y)に対して垂直な第2の横軸(Z)に沿って測定される厚みとを呈する横断面を有し、前記幅は前記厚みよりも大きく、前記第2の横軸に沿って下壁(3)及び上壁(4)を有する、該マイクロチャネルと、
前記マイクロチャネル(2)と流体連通する、少なくとも第1の入口(7)、第2の入口(8)、及び第3の入口(9)であって、前記第2の入口(8)は、前記第2の横軸(Z)に沿って前記第1の入口(7)と前記第3の入口(9)との間に配される、該第1の入口(7)、該第2の入口(8)、及び該第3の入口(9)と、
前記第1の入口と前記第2の入口、及び前記第2の入口と前記第3の入口をそれぞれ分離する、少なくとも第1の横分離壁(10)及び第2の横分離壁(11)であって、前記第1の横分離壁(10)及び前記第2の横分離壁(11)は、前記第2の入口(8)が、前記第2の横軸(Z)に沿って測定されるゼロではない距離だけ前記下壁(3)及び前記上壁(4)のそれぞれから隔てられるように配され、前記第2の入口(8)は、特に、前記分離壁の少なくとも一方に隣接する、該第1の横分離壁(10)及び該第2の横分離壁(11)と
を備える、流体分離装置。
【請求項2】
マイクロチャネルの前記幅/厚みの比が2よりも大きく、好ましくは5よりも大きく、特に10よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の流体分離装置。
【請求項3】
前記マイクロチャネル(2、66)は略矩形である横断面を呈することを特徴とする、請求項1又は2に記載の流体分離装置。
【請求項4】
前記3つの入口(7、8、9)の少なくとも1つは、少なくとも前記マイクロチャネルの幅程の幅を呈することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つに記載の流体分離装置。
【請求項5】
前記3つの入口の少なくとも1つは、前記マイクロチャネルの前記下壁及び前記上壁の一方に開口し、前記3つの入口の別の1つは、前記マイクロチャネルの前記下壁及び前記上壁の他方に開口していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つに記載の流体分離装置。
【請求項6】
前記第1の入口及び前記第3の入口は互いに対面して配置されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の流体分離装置。
【請求項7】
前記少なくとも3つの入口は全て、前記マイクロチャネルの前記下壁又は前記上壁のいずれかに開口していることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載の流体分離装置。
【請求項8】
前記第1の入口及び前記第3の入口は、前記マイクロチャネルの前記長手方向軸に沿って互いに対してずれていることを特徴とする、請求項6を除いた請求項1〜7のいずれか一つに記載の流体分離装置。
【請求項9】
前記第2の入口(8)は、前記マイクロチャネル(2)の前記長手方向軸(X)に平行に該マイクロチャネル(2)に開口していることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載の流体分離装置。
【請求項10】
前記第2の入口(8)は、前記分離壁(10、11)の少なくとも一方に隣接するか、又は該少なくとも一方から上流にあることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一つに記載の流体分離装置。
【請求項11】
前記流体分離装置は、前記3つの入口の1つと関連づけられる少なくとも1つの供給オリフィス(21、25)を有し、前記供給オリフィスはダクトを介して該入口と流体連通し、前記ダクトは特に、該ダクトの先端から拡がる末広部分(16、19)を有し、前記供給オリフィスは、該先端に隣接するダクトに開口し、特に、該ダクトに対して垂直に開口していることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載の流体分離装置。
【請求項12】
前記流体分離装置は、前記マイクロチャネルと流体連通する少なくとも第1の出口(50)及び第2の出口(51)を有し、該第1の出口(50)及び第2の出口(51)は、前記第2の横軸(Z)に沿って測定されるゼロではない高さの横分離壁(52)によって互いに隔てられていることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つに記載の流体分離装置。
【請求項13】
前記第1の出口(50)及び前記第2の出口(51)は、前記マイクロチャネルの前記長手方向軸に沿って互いにずれていることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一つに記載の流体分離装置。
【請求項14】
前記第1の出口(50)及び前記第2の出口(51)は互いに対面して配されることを特徴とする、請求項12に記載の流体分離装置。
【請求項15】
前記流体分離装置は、第3の出口(53)を更に備え、前記第2の出口は、前記第2の横軸に沿って前記第1の出口と前記第3の出口との間に配されることを特徴とし、前記第1の出口と前記第2の出口、及び前記第2の出口と前記第3の出口は、前記第2の横軸に沿って測定されるゼロではない高さのそれぞれの横分離壁(52、53)によって互いに隔てられていることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一つに記載の流体分離装置。
【請求項16】
前記流体分離装置は、前記出口の1つと関連づけられる少なくとも1つの出口オリフィスを有し、該オリフィスはダクトを介して該出口と流体連通し、前記ダクトは先端に向かって先細になっている部分を有し、前記出口オリフィスは、前記先端に隣接する前記ダクトに開口し、特に、該ダクトに対して垂直に開口していることを特徴とする、請求項12〜15のいずれか一つに記載の流体分離装置。
【請求項17】
前記流体分離装置は、前記マイクロチャネルの少なくとも一部分内に、少なくとも1つの横方向の力場、特に重力場、電場、磁場、又は音場を生ずるように配されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一つに記載の流体分離装置。
【請求項18】
前記流体分離装置は、少なくとも1つのシート(43)、特に、前記マイクロチャネルを少なくとも部分的に形成する例えばプラスチック材料、又は金属から成る少なくとも2つのシートのスタックを含み、前記シート又は該シートのスタックは、特にプラスチック材料のプレートである少なくとも2つのプレート(32)間に挟まれることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一つに記載の流体分離装置。
【請求項19】
平行なマイクロチャネル(66)のアレイを有することを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一つに記載の流体分離装置。
【請求項20】
特に物質中に含有する種を選別及び/又は分離する方法であって、
請求項1〜19のいずれか一つに記載の装置内に、種を含有する物質を前記第2の入口を介して前記マイクロチャネルに沿って好ましくは連続的に流すステップと、
前記種を含有する前記物質が、前記マイクロチャネルの下壁及び上壁から離隔したシートの形態で前記マイクロチャネルの少なくとも一部分にわたって流れるように、1つ又は複数のキャリア流体を、前記第1の入口及び前記第2の入口を介して前記マイクロチャネルに沿って好ましくは連続的に流すステップと
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項21】
少なくとも前記マイクロチャネル内に流れが確立している間に、該マイクロチャネルを,
少なくとも1つの横方向の力場に配置するステップを含み、前記力場は、特に重力場、電場、磁場、又は音場である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
流体力学的浮力、又はせん断により誘導される流体力学的拡散の作用下で、前記種を移動させるステップを含む、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
種、特に高分子、例えば剛性粒子又は可変形粒子、生体細胞、特に血球、例えば血液サンプル中の癌細胞、細菌、コロイドエマルジョン又は非コロイドエマルジョン、タンパク質、リポソーム、エマルジョンを選別する方法、診断方法又は分析方法、精製方法、種を富化し又は除く方法、種を合成する方法、種の物理特性又は化学特性を変える方法、薬剤を探索する方法、混合する方法、拡散係数を測定する方法のうち少なくとも1つの用途において使用されることを特徴とする、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項24】
特に微小流体装置である、流体分離装置(1、65、72、80)であって、
長手方向軸(X)に沿って延びる少なくとも1つのマイクロチャネル(2、66、81)であって、第1の横軸(Y)に沿って測定される幅と、該第1の横軸(Y)に対して垂直な第2の横軸(Z)に沿って測定される厚みとを呈する横断面を有し、前記幅は前記厚みよりも大きく、前記第2の横軸に沿って下壁(3)及び上壁(4)を有する、該マイクロチャネルと、
前記マイクロチャネル(2)と流体連通する、少なくとも第1の入口(7、82)及び第2の入口(8、83)と、
前記第1の入口と前記第2の入口を分離する、少なくとも1つの横分離壁(86)であって、該分離壁(10、86)は、前記第2の入口(8、83)が、前記第2の横軸(Z)に沿って測定されるゼロではない距離だけ前記下壁(3)及び前記上壁(4)の一方から隔てられるように配され、前記第2の入口(8)は特に前記分離壁に隣接する、該横分離壁(86)とを備え、
該流体分離装置は、流路の少なくとも一部を形成するカットアウトを有する少なくとも1つのシートを有し、該シートは少なくとも2つのプレート間に挟まれる、流体分離装置。
【請求項25】
特に微小流体装置である流体分離装置(1、65、72、80)を作製する方法であって、該装置は、
長手方向軸(X)に沿って延びる少なくとも1つのマイクロチャネル(2、66、81)であって、第1の横軸(Y)に沿って測定される幅と、該第1の横軸(Y)に対して垂直な第2の横軸(Z)に沿って測定される厚みとを呈する横断面を有し、前記幅は前記厚みよりも大きく、前記第2の横軸に沿って下壁(3)及び上壁(4)を有する、該マイクロチャネルと、
前記マイクロチャネル(2)と流体連通する、少なくとも第1の入口(7、82)及び第2の入口(8、83)と、
前記第1の入口と前記第2の入口を分離する、少なくとも1つの横分離壁(86)であって、該分離壁(10、86)は、前記第2の入口(8、83)が、前記第2の横軸(Z)に沿って測定されるゼロではない距離だけ前記下壁(3)及び前記上壁(4)の一方から隔てられるように配され、前記第2の入口(8)は特に前記分離壁に隣接する、該横分離壁(86)とを備え、
該方法は、流路の少なくとも一部を形成するカットアウトを有するシートを少なくとも2つのプレート間に配置するステップを含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−533460(P2008−533460A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500246(P2008−500246)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【国際出願番号】PCT/FR2006/050216
【国際公開番号】WO2006/095117
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(506214909)セントル ナショナル ドゥ ラ ルシェルシュ シアンティフィック (9)
【Fターム(参考)】