説明

流体噴出装置及び吐水装置

【課題】噴出体を首振り運動させて自転及び公転させる流体噴出装置において、この噴出体とこれを収納する流入室との間隙から飛沫が飛散することを防止する流体噴出装置を提供する。
【解決手段】開口を備え、流体が流入する流入室と、上記流入室内に組み込まれ、流体の噴出口と上記流入室の流体を該噴出口へと導く管路とを有し、上記噴出口を上記開口から外部に臨ませて、且つ上記噴出口近傍を上記流入室内壁に当接させた状態で、この当接部分を頂点として上記開口の中心軸に対して傾斜角度αで傾斜して首振り状に回転する首振り公転運動と、上記噴出体の中心軸周りに回転する自転運動が可能に上記流入室に組み込まれた噴出体と、上記管路先端に接続され、上記管路を上記噴出体の自転により流体が円錐状に拡大して噴出されるように、上記噴出体中心軸に対して傾斜角度βで傾斜した傾斜管路として備える噴出体キャップと、上記開口の周縁から上記噴出体キャップを囲繞するように延出した保護部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャワーヘッド(や人体局部洗浄装置)に用いられる流体噴出装置に係り、特に流れによって回転しながら流体を噴出するノズルを備えた流体噴出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体の局部を洗浄する装置、或いは足指や足裏に吐水を浴びせて洗浄又はマッサージを行う足浴器等において、洗浄水等の流体をその目的物に対して噴出する流体噴出装置が用いられている。
【0003】
この流体噴出装置の一例として、給水された洗浄水を吐水するノズルを先端に備え、このノズルは、洗浄水が流入する流入室と、該流入室に組み込まれ、洗浄水の吐水口を備えた吐水部位と該吐水部位に連続し前記流入室内に位置する室内部位とを有する吐水体であって、前記流入室内の洗浄水を前記吐水口に導く管路を有する前記吐水体を、前記流入室の外部に臨ませた状態で、前記室内部位が前記流入室内で傾斜した姿勢で首振り可能に前記流入室に組み込んで備え、前記流入室に洗浄水が流入したことで前記流入室に生じる力を前記吐水体の前記室内部位に及ぼし、前記室内部位が前記流入室内で傾斜した姿勢で前記吐水体を首振り運動させて公転及び/又は自転させるものがある(例えば、特許文献1,2参照。)。
【0004】
この流体噴出装置によれば、より強い水流で洗浄したり、より広い範囲を洗浄したりする場合に、より少ない流量と水圧で使用者が快適に洗浄を行なうことができ、また、揺動のための特別な電気的駆動装置を用いる必要がないので、コンパクトとなり且つ振動や騒音が発生しないのみならず、省エネにも貢献することができる。
【0005】
また、この流体噴出装置の他の例として、流体が流入する流入室と、前記流入室に組み込まれ、前記噴出口を備えた先端部位と、前記流入室に位置して、前記流入室内に流入した流体の力を受ける室内部位と、前記流入室内の流体を前記噴出口に導く管路とを有し、前記流入室内で回転可能とされた噴出部と、前記室内部位に連結されて回転する回転子と、該回転子の周囲に固定して設けられた固定子とを有し、該回転子及び該固定子のいずれかを磁石で構成し、他方を電機子で構成した発電部と、前記電機子に電気的に接続された閉回路とによって構成され、前記流入室内に流入した流体の力を前記室内部位に及ぼして、前記噴出部を公転及び/又は自転させるものがある(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
この流体噴出装置によれば、前記発電部に用いる磁石と電機子にさまざまな組合せを用いることにより、前記噴出部および噴出する流体の回転を自由に設定でき、噴出する流体の流量や勢いを変えずに、噴出流体の回転数のみを変更することができる。この組合せとしては、例えば、磁石と電機子の配置・距離・個数といった相対的なものや、磁石の種類・磁束の強さ・磁極の数であったり、電機子を構成するコイルの巻数・巻き線の太さであったり、コイルに挿入する鉄心の材質・形状といったものが考えられる。
【0007】
さらに、上述した特許文献2に記載の流体噴出装置を発展させて、開口を備え、流体が流入する流入室と、前記流入室内に組み込まれ流体の噴出口と前記流入室の流体を該噴出口へと導く管路とを有する噴出体とを備え、前記噴出体は、前記噴出口を前記開口から外部に臨ませて、且つ前記噴出口近傍を前記流入室内壁に当接させた状態で、この当接部分を頂点として前記開口の中心軸に対して傾斜角度αで傾斜して首振り状に回転する首振り公転運動と、前記噴出体の中心軸周りに回転する自転運動が可能に前記流入室に組み込まれ、前記管路を、前記噴出体の自転により洗浄水が円錐状に拡大して噴出されるように、前記噴出体中心軸に対して傾斜角度βで傾斜した傾斜管路として備え、前記傾斜角度αと前記傾斜角度βを、前記噴出体が前記首振り公転運動する際の公転速度と前記噴出体が前記自転運動する際の自転速度の大小関係に応じて設定したものがある(例えば、特許文献4参照。)。
【0008】
この流体噴出装置によれば、噴出体の公転速度と自転速度を大小設定した上で、傾斜角度αと傾斜角度βを設定することができるので、首振り公転運動の公転軸の周りに流体が到達しないように、いわゆる中抜き吐水もできる。このように、洗浄水の吐水を浴びる被着箇所が離れると、こうした離れた箇所で刺激を受ける人は、あたかも揉まれているようなマッサージ感を得ることができると云われている。したがって、この流体噴出装置を足浴装置に採用して、足指やその指間、或いは足の裏に吐水を浴びせれば、上述したマッサージ効果が発揮され高いマッサージ効果を得ることができる。
【特許文献1】特開2002−275995号公報
【特許文献2】特開2003−232068号公報
【特許文献3】特開2003−275627号公報
【特許文献4】特開2005−118761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
とすれば、この高いマッサージ効果を、足浴のみならず全身に対しても得られるように、シャワーヘッドにも採用したい。しかしながら、この流体噴出装置では、噴出体を自転させる関係上、流入室とこの噴出口とを密着させることができず、その間隙からどうしても飛沫が飛散するという問題がある。特に噴出体は、流入室の開口周りを公転するので、この公転に伴って噴射体と流入室との間隙も回転し、飛沫は四方八方に飛散する。
【0010】
さりとて、自転をさせなければ、噴出範囲が狭くなり、また、公転だけでは回転速度が大き過ぎて、使用者は回転していることを感じる事ができず、高いマッサージ効果を得ることができない。
【0011】
足浴装置のように、流体噴出装置が下肢を覆う本体内に収まっていれば、飛沫も本体から飛び出すこともなく、使用に際して特に支障はないが、シャワーのように流体噴出装置が露出する場合では、使用者が所望する部位意外まで水に濡れてしまい不都合が生じることがあるばかりか、見た目もよくない。
【0012】
一方、このような噴出体の先端は、流入室上端から突出しているので、足浴器本体内に収納されていればともかく、シャワーヘッドに採用した場合は、何かにぶつかって損傷する虞がある。
【0013】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、噴出体を首振り運動させて自転及び公転させる流体噴出装置において、この噴出体とこれを収納する流入室との間隙から飛沫が飛散することを防止する流体噴出装置を提供することを目的とするものである。
【0014】
本発明の他の目的は、噴出体を首振り運動させて自転及び公転させる流体噴出装置において、噴出体を収納する流入室から突出する噴出体を損傷から保護する流体噴出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る流体噴出装置は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、開口を備え、流体が流入する流入室と、上記流入室内に組み込まれ、流体の噴出口と上記流入室の流体を該噴出口へと導く管路とを有し、上記噴出口を上記開口から外部に臨ませて、且つ上記噴出口近傍を上記流入室内壁に当接させた状態で、この当接部分を頂点として上記開口の中心軸に対して傾斜角度αで傾斜して首振り状に回転する首振り公転運動と、上記噴出体の中心軸周りに回転する自転運動が可能に上記流入室に組み込まれた噴出体と、上記管路先端に接続され、上記管路を上記噴出体の自転により流体が円錐状に拡大して噴出されるように、上記噴出体中心軸に対して傾斜角度βで傾斜した傾斜管路として備える噴出体キャップと、上記開口の周縁から上記噴出体キャップを囲繞するように延出した保護部とを備えるものである。
【0016】
前記保護部は、好適には、請求項2に記載したように、前記噴出体キャップが前記管路に接続する接続部から前記傾斜管路先端までのいずれかの高さまで延出することが望ましく、また、請求項3に記載したように、その先端が前記噴出体キャップ側に狭窄させてもよい。
【0017】
前記保護部は、また好適には、請求項4に記載したように、その内壁が傾斜角度αで公転する前記噴出体キャップの傾斜した側面から一定のマージンをもって大きく形成することができ、より好適には、請求項5に記載したように、前記噴出体キャップの傾斜角度αで傾斜した側面から一定のマージンをもって平行に形成することも可能である。
【0018】
他方、上述した課題を解決するために、請求項6に係る吐水装置は、給水された洗浄水を人体に向けて吐水する吐水装置であって、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の前記流体噴出装置を備える噴出部を有し、前記噴出口から人体に向けて洗浄水を吐水するものである。
【0019】
前記吐水装置は、好適には、請求項7に記載したように、給水された洗浄水を人体に向けて吐水するシャワーヘッドを備え、該シャワーヘッドに前記噴出部を備えて、前記噴出口より洗浄水を人体に向けて洗浄水を吐水する物とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る流体噴出装置によれば、噴出体を首振り運動させて自転及び公転させる流体噴出装置において、この噴出体とこれを収納する流入室との間隙から飛沫が飛散することを防止することができる。
【0021】
本発明は、噴出体を首振り運動させて自転及び公転させる流体噴出装置において、噴出体を収納する流入室から突出する噴出体を損傷から保護することができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る流体噴出装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1及び図2に示すように、流体噴出装置10は、本体11に、流体が流入する流入室として円筒状に形成された旋回室12を形成し、この旋回室12に、流入路14を経て元流路16から流体を導き入れる。旋回室12は、本体11に、頂部に噴出体係止パーツ35が嵌合・装着された旋回室形成パーツ18を嵌合・装着することで、これら噴出体係止パーツ35、旋回室形成パーツ18及び本体11で形成され、噴出体係止パーツ35の天井には、開口19が設けられる。
【0023】
流入路14は、元流路16より通路断面積が小さく構成されており、旋回室12の中心に対して偏心して旋回室12に接続されている。このため、流入路14から、流体は旋回室12に対してその接線方向から流入し、旋回室12内壁に沿って旋回する旋回流を生成する。この場合、流入路14の通路断面積は元流路16より小さいことから、旋回室12に流入する流体の流速を高めることができる。
【0024】
流体噴出装置10は、この旋回室12内に噴出体20を組み込んで備える。噴出体20は、図7に示すように、旋回室12の内部に位置する円柱状の噴出体本体22を備え、その先端の小径部に装着体である噴出体キャップ24を嵌合・装着させている。そして、噴出体20は、噴出体本体22と噴出体キャップ24を、旋回室12の開口19を挟んで上下に位置させる。
【0025】
この噴出体20は、旋回室12内の流体を噴出体キャップ24の噴出口26へと導くための管路として、噴出体本体22には、これを十字状に貫通する導入管路28と、当該管路から本体上端に掛けて噴出体軸方向に延びた軸方向管路30とを備える。また、噴出体キャップ24には、軸方向管路30と連通しキャップ端部の噴出口26に到る傾斜管路32を有する。従って、噴出体20は、旋回室12に流入した流体を、導入管路28、軸方向管路30を経て傾斜管路32に導き入れ、この傾斜管路32における噴出口26から流体を噴出する。この傾斜管路32は、噴出体キャップ24が噴出体本体22に装着された状態で、噴出体本体22上端の軸方向管路30から噴出口26に至って傾斜した管路である。傾斜管路32は、後述する噴出体20の自転により洗浄水が円錐状に拡大して噴出されるように、噴出体中心軸FJに対して傾斜角度βで傾斜しており、噴出口26より噴出される流体の噴出方向を決定する。
【0026】
噴出体20は、その先端に装着された噴出体キャップ24の下端側に、テーパ状の段差部23を備え、この段差部23を旋回室12の開口19の下方に位置させ、傾斜管路32および噴出口26を有する噴出体キャップ24を開口19の外側に位置させる。これにより、噴出体20は、噴出体キャップ24の噴出口26を開口19から外部に臨ませて、この開口19においてフリーな状態でつり下げ支持されていることになる。よって、噴出体20は、旋回室12への流体流入で旋回室内の流体圧が上昇すると、噴出口26の近傍に当たる段差部23を旋回室12の開口19の旋回室12側の内壁に内接させる。
【0027】
こうして旋回室12に組み込まれた噴出体20は、既述したフリーのつり下げ状態であるので、段差部23を旋回室12の内壁(詳しくは、開口19の下端周縁)に当接させた状態で、この当接部分を頂点として開口19の中心軸(公転軸KJ)に対して傾斜して首振り状に回転する首振り公転運動を起こし得る。この首振り公転運動の傾斜角度については後述する。また、噴出体20は、噴出体中心軸FJ周りに回転する自転運動も起こし得る。なお、噴出体本体22は、旋回室12内に位置して上記の旋回流から後述の種々の力を受け、開口19の開口回りにおける段差部23を接点とした噴出体20の円錐状の首振り公転駆動等に関与するが、これについては、後述する。
【0028】
旋回室形成パーツ18は、本体11に装着されることで旋回室12の側面及び底面を形成し、噴出体係止パーツ35は、旋回室形成パーツ18頂部に装着されることで、旋回室12上部において噴出体20の噴出体本体22を取り囲むガイド部34を形成する。このガイド部34は、旋回室12の内径より小径とされ、図3に示すように、噴出体本体22の周壁に接触して、この噴出体本体22、延いては噴出体20が首振り公転する際の最大傾斜角度(傾斜角度α)を規定する。
【0029】
また、噴出体係止パーツ35は、開口部19の周縁から上方へ、噴出体キャップ24を囲繞するように、保護部36が延出し、開口部19から漏出した飛沫が四方へ飛散することを防止するとともに、噴出体キャップ24が障害物に接触して損傷を受けることを防止する。この保護部36は、飛沫が四方へ飛散することを防止するためには、噴出体本体22より径の大きい噴出体キャップ24の少なくとも下端より上方まで延出させる必要があり、噴出体キャップ24保護のためには、噴出体キャップ24上端まで延出していることが望ましい。
【0030】
そして、保護部36の内壁は、傾斜角度αで公転する噴出体キャップ24の傾斜した側面から一定のマージンをもって大きく形成される。このとき、噴出体キャップ24の傾斜角度αで傾斜した側面から一定のマージンをもって平行に形成されると、保護部36の内壁と噴出体キャップ24との間隙も小さくなり、飛沫飛散防止に最も効果的である。また、保護部36の先端を、噴出体キャップ24側に狭窄させて、両者間の間隙を小さくすれば、飛沫飛散防止に更に効果的である。
【0031】
次に、上記した構成を有する流体噴出装置10における構成部品の駆動の様子とこれに伴う流体噴出の様子を説明する。流体噴出装置10に流体が供給されていない状況では、噴出体20は図1に示すように正立姿勢にあると仮定できる。そして、この流体噴出装置10に流体が供給されると、流体は、旋回室12で噴出体本体22周りの旋回流を確実に起こす。この旋回流にあっては、旋回室12への流入部である流入路14の近辺と、噴出体本体22を挟んだその反対側とで、噴出体本体22周りの流速差を確実に引き起こすことができる。従って、噴出体本体22に、この流速差に基づいて力を生じさせることができ、この力によって、図3に示すように、旋回室12内で噴出体本体22を旋回室12中心軸に対して傾斜させ、噴出体本体22、延いては噴出体20を回転(首振り公転運動)させることができる。
【0032】
また、この傾斜や回転と同時に噴出体20は、旋回室12内の流体の圧力を受けて、上方へと移動するので、噴出体20は段差部23の一部を開口19の内壁に内接させながら回転を行う。
【0033】
ここで、噴出体本体22を傾斜させようとする力は、飛行機の翼周りの速度差により発生する揚力と同質のものであり、この力により噴出体本体22は傾斜する。また、噴出体本体22が傾斜し始めると、傾斜した側では、噴出体本体22と旋回室12の内壁との間隔が狭くなるので、旋回流の速度がさらに増加し、前述した速度差は大きくなり、さらに大きな力が発生して、より傾斜しようとする。また、噴出体本体22が傾斜することで、噴出体本体22の側面にも旋回流の流れを受けて、噴出体本体22が旋回流の流れ方向に回転する。また、噴出体本体22は、旋回室12の中心軸に対して傾斜した姿勢で、公転軸KJ周りに公転(首振り公転)可能としていることから、噴出体20は、噴出体本体22が、旋回室12の中心軸に対して傾斜した姿勢で、公転軸KJ周りに公転を行う。また、この場合であっても、噴出体20は流れや旋回室12の内壁(詳しくはガイド部34)への当接による摩擦力によって、自由に自転することができる。
【0034】
噴出体20は、図3に示すように、旋回室12への流体流入に伴い、ガイド部34に噴出体本体22を接触させて、傾斜角度αだけ公転軸KJから傾斜して公転軸KJ周りに首振り公転する。このように噴出体20が首振り公転を起こすと、この公転運動(回転運動)により回転外側方向に遠心力が発生する。この遠心力は、噴出体本体22がガイド部34に常に接触するよう噴出体20に作用するので、噴出体20は上記の傾斜角度αで安定して回転、すなわち首振り公転運動を行う。
【0035】
噴出体20が首振り公転運動を起こしている間において、噴出体20は、ガイド部34への接触による摩擦力を受けるので、自身の噴出体中心軸FJ周りに回転、すなわち自転する。この場合、この自転の回転方向は、噴出体20がガイド部34に内接して転がるので、首振り公転および旋回流の回転方向に対して、反対方向の回転となる。本実施例では、このガイド部34を、摩擦抵抗の大きいゴム等の材質を用いて滑り防止として形成することにしたので、このガイド部34での噴出体20の滑りをガイド部周りにほぼ同じように抑制し、噴出体20に対して摩擦力を生じやすくした。よって、噴出体20の首振り公転による回転力(摩擦力)をこの噴出体20の自転を引き起こす力として確実に発生させ、噴出体20の自転を確実に起こすことができる。
【0036】
ここで、開口部19は、噴出体本体22のこの開口部19に位置する部位の直径よりも、一定のマージンをもって大きく形成される。開口部19の径を、噴出体本体22のこの開口部19に位置する部位の径と同一に形成しこれを密嵌したのでは、その摩擦力により噴出体20の自転が妨げられるからである。
【0037】
そして、噴出体20が首振り公転運動を起こしている間、傾斜した側では段差部23がガイド部34と接触するので、開口部19下面と噴出体本体22との間に間隙は生ぜず、開口部19から流体が漏出することはない。他方その反対側では、段差部23はガイド部34と接触しておらず、開口部19下面と噴出体本体22との間に間隙が生じ、開口部19から流体が漏出する。
【0038】
ところが、噴出体20は、高速で首振り公転運動を起こしているので、それに伴い、この漏出部位も高速で回転移動する。そのため、図4に示すように、噴出体係止パーツ35に保護部36がなければ、流体の飛沫が四方に飛散してしまう。足浴装置のように、流体噴出装置が下肢を覆う本体内に収まっていれば、飛沫も本体から飛び出すこともなく、使用に際して特に支障はないが、シャワーのように流体噴出装置が露出する場合では、使用者が所望する部位意外まで水に濡れてしまい不都合が生じることがあるばかりか、見た目もよくない。
【0039】
その点、図3に示す流体噴出装置10のように、保護部36を備えていれば、係る飛沫の飛散が防止されるとともに、噴出体キャップ24を保護することも可能となる。勿論、本発明に係る流体噴出装置10であっても、開口部19周縁から流体は漏出する。しかしながら、漏出した流体は、保護部36内に滞留し、保護部36から溢れ出ることはあっても飛散することはない。むしろ、流体が滞留することにより、さらなる流体の漏出が阻止される。
【0040】
また、図1に示す場合と異なり、噴出口26が下方を指向する状態で使用されても、開口部19周縁から漏出した流体は、噴出口26から噴出された流体に混じり合って、使用者は漏水を意識することなく使用することができる。
【0041】
図5に、本発明に係る流体噴出装置をシャワーヘッドに適用した例を示す。
【0042】
このようなシャワーヘッド40は、その内蔵する流体噴出装置10が有する噴出体20の噴出口26から流体を吐水する。噴出口26からの吐水によって、この吐水を浴びる人体表皮や頭皮の各箇所において、流体噴出装置10が呈するマッサージ効果を発揮することができ、高いマッサージ効果を得ることができる。そして、使用者は、噴出口26以外から飛散する飛沫に気を取られることなくこのマッサージ効果を楽しむことができる。
【0043】
なお、本実施例は、シャワーヘッド40が単一の流体噴出装置を備えるものであるが、複数の流体噴出装置を備える構成としてもよい。また、本実施例では、噴出体係止パーツ35がシャワーヘッド40から突設しているが、斯かる構成によれば、噴出体係止パーツ35が割れたり変形したりしても容易に交換することができる。或いは逆に、噴出体係止パーツ35をシャワーヘッド40内に埋設して、シャワーヘッド40の吐水面をフラットに形成してもよい。
【0044】
以上に説明した実施態様は説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。従って、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものによって置換した実施態様を採用することが可能であるが、これらの実施態様も本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る流体噴出装置の一実施形態の縦断面図。
【図2】図1のA−A矢視図。
【図3】本実施形態に係る流体噴出装置における構成部品の駆動の様子とこれに伴う流体噴出の様子を説明する図。
【図4】従来の流体噴出装置における構成部品の駆動の様子とこれに伴う流体噴出の様子を説明する図。
【図5】本発明に係る流体噴出装置をシャワーヘッドに適用した例を示す図。
【符号の説明】
【0046】
10 流体噴出装置
11 本体
12 旋回室
14 流入路
16 元流路
18 旋回室形成パーツ
19 開口
20 噴出体
22 噴出体本体
23 段差部
24 噴出体キャップ
26 噴出口
28 導入管路
30 軸方向管路
32 傾斜管路
33 面
34 ガイド部
35 噴出体係止パーツ
36 保護部
40 シャワーヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を備え、流体が流入する流入室と、
上記流入室内に組み込まれ、流体の噴出口と上記流入室の流体を該噴出口へと導く管路とを有し、上記噴出口を上記開口から外部に臨ませて、且つ上記噴出口近傍を上記流入室内壁に当接させた状態で、この当接部分を頂点として上記開口の中心軸に対して傾斜角度αで傾斜して首振り状に回転する首振り公転運動と、上記噴出体の中心軸周りに回転する自転運動が可能に上記流入室に組み込まれた噴出体と、
上記管路先端に接続され、上記管路を上記噴出体の自転により流体が円錐状に拡大して噴出されるように、上記噴出体中心軸に対して傾斜角度βで傾斜した傾斜管路として備える噴出体キャップと、
上記開口の周縁から上記噴出体キャップを囲繞するように延出した保護部と、
を備えることを特徴とする流体噴出装置。
【請求項2】
前記保護部は、前記噴出体キャップが前記管路に接続する接続部から前記傾斜管路先端までのいずれかの高さまで延出することを特徴とする請求項1記載の流体噴出装置。
【請求項3】
前記保護部は、その先端が前記噴出体キャップ側に狭窄していることを特徴とする請求項1記載の流体噴出装置。
【請求項4】
前記保護部は、その内壁が傾斜角度αで公転する前記噴出体キャップの傾斜した側面から一定のマージンをもって大きく形成されることを特徴とする請求項1記載の流体噴出装置。
【請求項5】
前記保護部は、前記噴出体キャップの傾斜角度αで傾斜した側面から一定のマージンをもって平行に形成されることを特徴とする請求項4記載の流体噴出装置。
【請求項6】
給水された洗浄水を人体に向けて吐水する吐水装置であって、
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の前記流体噴出装置を備える噴出部を有し、前記噴出口から人体に向けて洗浄水を吐水する吐水装置。
【請求項7】
給水された洗浄水を人体に向けて吐水するシャワーヘッドを備え、該シャワーヘッドに前記噴出部を備えて、前記噴出口より洗浄水を人体に向けて洗浄水を吐水する請求項6記載の吐水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−54737(P2007−54737A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−243248(P2005−243248)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000010087)東陶機器株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】