説明

流体噴射装置、及び流体噴射装置のフラッシング制御方法

【課題】流体を噴射することにより記録された1部の記録媒体上における流体の色目の変
化を抑制できる流体噴射装置、及び流体噴射装置のフラッシング制御方法を提供する。
【解決手段】記録用紙Pへの記録情報の記録中において最後にフラッシングが実行されて
からの経過時間を計測するフラッシング用タイマと、複数枚の記録用紙Pに同一の記録情
報を連続して記録させる場合において、1ページの記録用紙Pへの記録情報の記録が完了
して次の記録用紙Pへの記録情報の記録が開始されるまでの間にフラッシングが実行され
るように、記録情報に応じたフラッシング閾値KTfを設定する制御部とを備え、制御部
は、フラッシング用タイマによって計測された経過時間がフラッシング閾値KTf以上に
なった場合に、フラッシングを実行すべくキャリッジ及び記録ヘッドの駆動を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクなどの流体を噴射する流体噴射装置、及び該流体噴射装置のフラッシ
ング制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、記録ヘッド(流体噴射ヘッド)のノズルから記録用紙(記録媒体)に対してイ
ンク(流体)を噴射する流体噴射装置として、プリンタ機能の他にスキャナ機能を備えた
複合機タイプのインクジェット式記録装置(以下、単に「記録装置」という。)が広く知
られている。こうした記録装置では、スキャナで原稿を読み取った場合、記録用紙に対し
て記録ヘッドからインクを噴射することにより該原稿のコピー記録が実行されるようにな
っている。また、このような記録装置では、記録媒体への記録中においてノズル内のメニ
スカスを整えることなどを目的に、記録ヘッドを非印刷領域へ移動してノズルからインク
を廃インクとして吐出させるフラッシングが定期的に実行されるようになっている。
【0003】
すなわち、記録装置内には、記録ヘッドを搭載したキャリッジの移動方向(主走査方向
)の両端側にフラッシング領域がそれぞれ設けられている。そして、記録装置の制御装置
は、記録媒体への記録中において最後にフラッシングが実行されてからの経過時間がフラ
ッシング閾値を超えた場合に、記録ヘッドを各非印刷領域のうち何れか一方に移動させて
フラッシングを実行させていた(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−158673号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した複合機タイプの記録装置では、スキャナで読み取った原稿のコピー
記録(以下、単に「記録」という。)を複数枚連続して実行することがある。このような
記録中においても、記録装置内では上記経過時間がフラッシング閾値を超えたことを契機
にフラッシングが実行される。しかしながら、1枚の記録用紙への記録中にフラッシング
が実行された場合には、該記録用紙上において、フラッシング前までにインクが噴射され
た部分とフラッシング後にインクが噴射された部分とでは、フラッシングの実行に基づい
て時間が経過したことに起因してインクの乾き具合が変わってしまう。その結果、記録装
置から排出された記録済みの記録用紙上では、該記録用紙上のインクの色目に変化が表れ
てしまい、このようなインクの色目の変化を解消させる点で改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、流体を噴射する
ことにより記録された1部の記録媒体上における流体の色目の変化を抑制できる流体噴射
装置、及び流体噴射装置のフラッシング制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の流体噴射装置は、記録媒体に流体を噴射可能な流
体噴射手段と、該流体噴射手段を制御することにより前記記録媒体に流体を噴射させ、該
記録媒体に記録情報を記録する制御手段とを備え、該制御手段は、記録媒体への記録情報
の記録中において流体を廃流体として排出させるフラッシングが定期的に実行されるよう
に前記流体噴射手段を制御する流体噴射装置において、記録媒体への記録情報の記録中に
おいて最後に前記フラッシングが実行されてからの経過時間を計測する経過時間計測手段
と、複数部の記録媒体に同一の記録情報を連続して記録させる場合において、1部の記録
媒体への前記記録情報の記録が完了して次の記録媒体への前記記録情報の記録が開始され
るまでの間に前記フラッシングが実行されるように、前記記録情報に応じたフラッシング
閾値を設定する閾値設定手段とをさらに備え、前記制御手段は、前記経過時間計測手段に
よって計測された経過時間が前記閾値設定手段によって設定されたフラッシング閾値以上
になった場合に、前記フラッシングを実行すべく前記流体噴射手段を制御する。
【0007】
この発明によれば、同一の記録情報を記録媒体に連続して記録する場合において、フラ
ッシング閾値は、1部の記録媒体への記録情報の記録が完了して次の記録媒体への記録情
報の記録が開始されるまでの間にフラッシングが実行されるように設定される。そのため
、1部の記録媒体への記録中にフラッシングが実行されることが抑制される。したがって
、流体を噴射することにより記録された1部の記録媒体上における流体の色目の変化を抑
制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下、本発明の流体噴射装置、及び流体噴射装置のフラッシング制御方法を具体化した
第1の実施形態を図1〜図10に基づいて説明する。なお、以下における本明細書中の説
明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は図1及び図2に矢
印で示す前後方向(副走査方向)、左右方向(主走査方向)、上下方向をそれぞれ示すも
のとする。
【0009】
図1に示すように、流体噴射装置としてのインクジェット式記録装置(以下、単に「記
録装置」と略記する。)11は、プリンタ機能の他にスキャナ機能を備えた複合機タイプ
の記録装置であって、本体12と開閉可能なカバー13とを備えている。本体12の下側
部分にはプリンタ部14が構成されると共に、本体12の上側部分には取得手段としての
スキャナ部15が構成されている。そして、本体12の上面には、四角板状の透明ガラス
が組み込まれた原稿台15aが設けられており、該原稿台15aは、カバー13によって
覆われるようになっている。
【0010】
本体12の後面部には、記録媒体としての記録用紙P(図2参照)がセットされるサポ
ート16aを有する自動給紙機構16が設けられている。また、本体12の前側において
、その上段部には操作パネル17が設けられると共に、その下段部には排紙部18が設け
られ、さらに、中段部右寄り位置にはメモリカード19を挿抜可能なメモリカードスロッ
ト(以下、単に「スロット」という。)20が設けられている。操作パネル17には、原
稿台15a上にセットされた被スキャン体としての原稿21をスキャンすることにより取
得した記録情報を記録用紙Pに記録(即ち、コピー記録)させるため、メモリカード19
に記憶されている記録情報を記録用紙Pに記録させるためなどに操作される各種ボタンが
設けられている。
【0011】
次に、プリンタ部14について図2に基づき以下説明する。なお、図2は、記録装置1
1の外装ケースが取り外された状態で図示されている。
図2に示すように、プリンタ部14は、略矩形箱状をなすフレーム14aを備えている
。フレーム14a内の下部には、その長手方向である左右方向に沿ってプラテン30が設
けられている。プラテン30上には、フレーム14aの後面下部に設けられた紙送りモー
タ(以下、「PFモータ」という。)31の駆動に基づき自動給紙機構16により記録用
紙Pが後方側から給紙(給送)されるようになっている。そして、自動給紙機構16によ
ってプラテン30上に給紙された記録用紙Pは、搬送機構32(図3参照)の駆動によっ
て前方に搬送され、その後、排紙機構33(図3参照)によってプリンタ部14外の排紙
部18上に排紙されるようになっている。なお、搬送機構32及び排紙機構33は、図3
に示すように、PFモータ31から駆動力が伝達されることによりそれぞれ駆動する構成
とされている。
【0012】
また、図2に示すように、プラテン30の上方には、該プラテン30の長手方向に沿っ
てガイド軸34が架設されている。このガイド軸34には、キャリッジ35が、該ガイド
軸34の軸線方向(左右方向)に沿って往復移動可能に支持されている。フレーム14a
の後壁内面においてガイド軸34の両端部と対応する位置には、駆動プーリ35a及び従
動プーリ35bが回転自在に支持されている。駆動プーリ35aにはキャリッジ35を往
復移動させる際の駆動源となるキャリッジモータ(以下、「CRモータ」という。)36
の出力軸が連結されると共に、これら一対のプーリ35a,35b間には、キャリッジ3
5に連結された無端状のタイミングベルト37が掛装されている。したがって、キャリッ
ジ35は、ガイド軸34にガイドされながら、CRモータ36の駆動力により無端状のタ
イミングベルト37を介して左右方向に移動可能となっている。
【0013】
キャリッジ35の左右方向への移動可能範囲において記録用紙Pへの記録可能領域より
も左方側となる位置には、クラッチ機構38が設けられている。このクラッチ機構38は
、PFモータ31の駆動力を自動給紙機構16に伝達可能な接続状態と伝達不能な切断状
態とを切替え可能な構成とされている。すなわち、クラッチ機構38は、キャリッジ35
によってクラッチ機構38のトリガレバー38aが左方に押された場合には、PFモータ
31の駆動力が自動給紙機構16に伝達されるように駆動するようになっている。
【0014】
この状態でPFモータ31が正転方向に回転した場合には、自動給紙機構16の図示し
ない給紙ローラが回転して記録用紙Pが給紙されるようになっている。そして、給紙ロー
ラが約1回転した場合には、図示しない復帰バネの付勢力によりクラッチ機構38が切断
状態に切り換わるようになっている。
【0015】
また、フレーム14a内には、左右方向に延びるリニアエンコーダ39がガイド軸34
に沿うように設けられている。このリニアエンコーダ39からは、キャリッジ35の移動
距離に比例する数のパルス信号が制御装置60(図3参照)に出力される。そして、制御
装置60は、リニアエンコーダ39からのパルス信号に基づきキャリッジ35の移動位置
、移動速度及び移動方向を検出すると共に、該検出結果に基づきキャリッジ35の速度制
御及び位置制御を実行するようになっている。
【0016】
キャリッジ35には、流体噴射ヘッドとしての記録ヘッド40が設けられると共に、記
録ヘッド40へ供給する流体としてのインクを貯留するインクカートリッジ41が着脱可
能に搭載されている。そして、このインクカートリッジ41内に収容されたインクが記録
ヘッド40内に設けられた図示しない圧電素子の駆動により記録ヘッド40のノズル40
a(図3参照)に供給され、該ノズル40aからインクが噴射されるようになっている。
したがって、本実施形態では、キャリッジ35及び記録ヘッド40により、記録用紙Pに
インク(流体)を噴射可能な流体噴射手段が構成されている。
【0017】
また、フレーム14a内の右端部、すなわち、記録用紙Pが至らない非印刷領域には、
記録ヘッド40をメンテナンスする場合にキャリッジ35を位置させるためのホームポジ
ションが設定されている。そして、このホームポジションに配置された状態のキャリッジ
35の下方には、記録ヘッド40からの記録用紙Pに対するインク噴射が良好に維持され
るように、各種のメンテナンス動作を行うメンテナンスユニット42が設けられている。
このメンテナンスユニット42には、ホームポジションに移動してきた記録ヘッド40か
ら廃インク(廃流体)として排出されたインク(即ち、フラッシングにより排出されたイ
ンク)を受容するためのキャップ43が設けられている。
【0018】
また、フレーム14a内の左端側において記録用紙Pが至らない非印刷領域には、該非
印刷領域まで移動してきた記録ヘッド40のフラッシングにより該記録ヘッド40から廃
インクとして排出されたインクを受容するためのフラッシング用キャップ44が設けられ
ている。
【0019】
次に、スキャナ部15について図1及び図3に基づき以下説明する。
図1及び図3に示すように、スキャナ部15は、原稿台15a上にセットされた原稿2
1に光を照射するランプ50及び原稿21の画像を記録情報(画像データ)として取得す
るCCD(電荷結合素子)51を有する走査ユニット52と、該走査ユニット52を走査
(移動)させるための駆動機構53とを備えている。原稿台15a上にセットされた原稿
21から記録情報を取得するためのスキャン動作を行う際には、走査ユニット52のラン
プ50から原稿台15aを通して原稿21に光が照射され、該原稿21による反射光をC
CD51にて検出することで原稿21の画像が記録情報として取得される。そして、この
ように取得した原稿21の画像に基づく記録情報は、制御装置60に転送される。
【0020】
次に、本実施形態の記録装置11の制御装置60について図3に基づき以下説明する。
図3に示すように、記録装置11は、装置全体を統括制御する制御装置60(図3にて
破線で囲まれた部分)を備えている。制御装置60の入力側インターフェース(図示略)
には、操作パネル17、リニアエンコーダ39、PFモータ31の回転を検出するための
ロータリエンコーダ61及びスロット20内に挿入されたメモリカード19などが電気的
に接続されている。また、制御装置60の出力側インターフェース(図示略)には、記録
ヘッド40、CRモータ36、PFモータ31及びスキャナ部15などが電気的に接続さ
れており、制御装置60は、記録ヘッド40、CRモータ36、PFモータ31及びスキ
ャナ部15の駆動を個別に制御するようになっている。
【0021】
制御装置60は、記録ヘッド40の駆動を制御するためのヘッドドライバ62、CRモ
ータ36の駆動を制御するためのCRモータ用ドライバ63、及びPFモータ31の駆動
を制御するためのPFモータ用ドライバ64を備えている。また、制御装置60は、スキ
ャナ部15の駆動を制御するためのスキャナ用ドライバ65、スロット20内に挿入され
たメモリカード19に記憶されている記録情報(記録データ)を取得するためのメモリカ
ード入出力回路66、及びマイクロコンピュータなどから構成される制御回路70(図3
にて一点鎖線で囲まれた部分)を備えている。
【0022】
制御回路70は、CPU、ROM、RAM、ASIC(Application Specific Integra
ted Circuit)及び不揮発性メモリ(例えばEEPROM)などを備えた構成とされてい
る。そして、制御回路70は、ハードウェア及びソフトウェアのうち少なくとも一方によ
りそれぞれ実現される機能部分として、制御部71、ヘッド用制御部72、CR用制御部
73、CR用タイマ74、PF用制御部75、PF用タイマ76、フラッシング用タイマ
77及びフラッシング用メモリ78を備えている。また、制御回路70は、スキャナ用制
御部79、スキャナ用メモリ80、メモリカード用制御部81及びメモリカード用メモリ
82を備えている。
【0023】
制御部71は、ホストコンピュータ90からインターフェース91を介して記録情報(
記録データ)を受信した場合、該記録情報に各種変換処理(解像度変換処理、色変換処理
及びハーフトーン処理等)を施してラスタデータと制御コマンドとを生成する。そして、
制御部71は、ラスタデータをヘッド用制御部72に転送すると共に、CRモータ36や
PFモータ31を駆動させるための制御コマンドをCR用制御部73やPF用制御部75
にそれぞれ出力する。また、制御部71は、スキャナ部15による原稿21のスキャンに
よって記録情報を取得したり、メモリカード19から記録情報を取得したりした場合につ
いても、取得した記録情報に各種変換処理を施してラスタデータと制御コマンドとを生成
する。そして、制御部71は、ラスタデータをヘッド用制御部72に転送すると共に、C
Rモータ36やPFモータ31を駆動させるための制御コマンドをCR用制御部73やP
F用制御部75にそれぞれ出力する。したがって、本実施形態では、制御部71が、制御
手段として機能する。
【0024】
ヘッド用制御部72は、制御部71から転送されたラスタデータをヘッドドライバ62
へ出力する。そして、ヘッド用制御部72は、ヘッドドライバ62を介してラスタデータ
に基づき記録ヘッド40(具体的には、記録ヘッド40に内蔵された圧電素子)の駆動を
制御して各ノズル40a(図3では2つのみ図示)からインクを各別に噴射させる。
【0025】
CR用制御部73は、CRモータ用ドライバ63を介して制御部71からの制御コマン
ドに基づきCRモータ36の回転方向、回転量、回転速度(即ち、キャリッジ35の移動
方向、移動量、駆動速度)などを制御する。PF用制御部75は、例えばPFモータ31
の出力軸に設けられたロータリエンコーダ61からの入力パルスに基づきPFモータ31
の回転方向、回転量、回転速度を検出する。そして、PF用制御部75は、PFモータ用
ドライバ64を介して制御部71からの制御コマンドに基づきPFモータ31の回転方向
、回転量、回転速度などを制御する。
【0026】
スキャナ用制御部79は、スキャナ用ドライバ65を介して原稿台15a上にセットさ
れた原稿21をスキャンするためにスキャナ部15の駆動を制御する。そして、スキャナ
用制御部79は、スキャナ部15が原稿21をスキャンすることにより取得した記録情報
をスキャナ用メモリ80に記憶させ、該スキャナ用メモリ80に記憶した記録情報を制御
部71に転送する。したがって、本実施形態では、スキャナ用メモリ80が、情報記憶手
段として機能する。また、メモリカード用制御部81は、メモリカード入出力回路66を
介してスロット20内に挿入されたメモリカード19から記録情報を取得した該記録情報
をメモリカード用メモリ82に記憶させ、該メモリカード用メモリ82に記憶した記録情
報を制御部71に転送する。
【0027】
各タイマ74,76,77は、クロック回路からのクロック信号等に基づき計数処理を
行うカウンタ、又はタイマ処理用のプログラムを実行するCPUによりそれぞれ構成され
ている。フラッシング用メモリ78には、スキャナ部15の駆動によって取得した同一の
記録情報を記録用紙Pに連続して記録させる際に定期的にフラッシングを実行させるため
のフラッシング閾値KTf(図5参照)が記憶される。また、フラッシング用メモリ78
には、図4に示すテーブルが記憶されている。
【0028】
次に、図4に示すテーブルについて以下説明する。
図4に示すテーブルは、スキャナ部15による原稿21のスキャンにより取得した記録
情報に基づく記録用紙Pへの記録が記録用紙P全体に余白なくインクを噴射する縁なし記
録(「縁なし印刷」ともいう。)である場合において、その縁なし記録中に実行される定
期的なフラッシングの実行間隔を設定するためのテーブルである。このテーブルには、記
録用紙Pのサイズと該サイズに応じた規定値との関係が示されている。具体的には、記録
用紙Pのサイズが「A1」である場合の規定値は、第1規定値KTA1であると共に、記
録用紙Pのサイズが「A1」よりも小さい「A2」である場合の規定値は、第1規定値K
TA1よりも小さい第2規定値KTA2である。また、記録用紙Pのサイズが「A2」よ
りも小さい「A3」である場合の規定値は、第2規定値KTA2よりも小さい第3規定値
KTA3であると共に、記録用紙Pのサイズが「A3」よりも小さい「A4」である場合
の規定値は、第3規定値KTA3よりも小さい第4規定値KTA4である。さらに、記録
用紙Pのサイズが「A5」よりも小さいはがきサイズである場合の規定値は、第4規定値
KTA4よりも小さい第5規定値KTPCである。したがって、本実施形態では、フラッ
シング用メモリ78が、規定値記憶手段としても機能する。
【0029】
次に、本実施形態の制御回路70(制御部71)が実行する各制御処理ルーチンのうち
、スキャナ部15による原稿21のスキャンにより取得した記録情報を記録用紙Pにコピ
ー記録(以下、単に「記録」という。)させる際に実行されるスキャン簡易記録処理ルー
チンについて図5〜図9に示すフローチャートに基づき以下説明する。このスキャン簡易
記録処理ルーチンは、スキャナ部15による原稿21のスキャンによって取得した記録情
報を記録用紙Pに記録させるべく操作パネル17が操作された場合、又は、スキャナ部1
5による原稿21のスキャンにて取得した記録情報を記録用紙Pに記録させる旨の情報を
ホストコンピュータ90から受信した場合であって、記録用紙Pに対して記録情報を簡易
記録するときに実行されるルーチンである。なお、簡易記録とは、記録結果の品質よりも
記録速度を重視した記録方式である。その一方で、記録速度よりも記録結果の品質を重視
した記録方式の記録を実行する場合には、スキャン簡易記録処理ルーチンとは異なる他の
記録処理ルーチンが実行される。
【0030】
さて、スキャン簡易記録処理ルーチンにおいて、制御部71は、スキャナ部15による
原稿21のスキャンによって取得した記録情報を複数枚の記録用紙Pに対して連続して実
行する旨の制御情報が入力されているか否かを判定する(ステップS10)。この判定結
果が肯定判定である場合、制御部71は、同一の記録情報を複数枚の記録用紙Pに連続し
て記録すると判断し、記録用紙Pに対して縁なし記録を実行する旨の制御情報が入力され
ているか否かを判定する(ステップS11)。この点で、本実施形態では、制御部71が
、縁なし検出手段としても機能する。ステップS11の判定結果が否定判定である場合、
制御部71は、今回の複数枚の記録用紙Pへの連続記録が縁なし記録ではないと判断して
閾値設定フラグFLGfを「0(零)」にセットし(ステップS12)、その処理を後述
するステップS17に移行する。なお、閾値設定フラグFLGfは、今回の記録用紙Pへ
の記録時においてフラッシング閾値KTfが設定済みである場合には「1」にセットされ
る一方、フラッシング閾値KTfが未設定である場合には「0(零)」にセットされるフ
ラグである。
【0031】
一方、ステップS11の判定結果が肯定判定である場合、制御部71は、ユーザによる
操作パネル17の操作又はホストコンピュータ90の操作により入力された記録用紙Pの
サイズに関するサイズ情報に基づき、プリンタ部14での記録に使用される記録用紙Pの
サイズを確認する(ステップS13)。続いて、制御部71は、図4に示すテーブルから
記録用紙Pのサイズ(例えば「A4」)に応じた規定値(例えば第4規定値KTA4)を
読み出し、該規定値をフラッシング閾値KTfに設定する(ステップS14)。そして、
制御部71は、フラッシング閾値KTfを「1」にセットすると共に、制御コマンドをフ
ラッシング用タイマ77に出力して該フラッシング用タイマ77に経過時間Tfの計測を
開始させる(ステップS15)。この経過時間Tfは、最後にフラッシングが実行されて
からの経過時間のことである。この点で、本実施形態では、フラッシング用タイマ77が
、経過時間計測手段として機能する。また、ステップS15が、計測ステップに相当する
。その後、制御部71は、その処理を後述するステップS17に移行する。
【0032】
一方、ステップS10の判定結果が否定判定である場合、制御部71は、フラッシング
閾値KTfに予め設定された所定値KTs(例えば「70」秒)を設定する(ステップS
16)。この所定値KTsは、記録用紙Pへの記録時においてフラッシングの未実行によ
って記録ヘッド40によるインクの噴射不良が発生しない最長の間隔であって、実験やシ
ミュレーションなどによって予め設定される。そして、制御部71は、ステップS15の
処理を実行した後、その処理を次のステップS17に移行する。
【0033】
ステップS17において、制御部71からの制御コマンドに基づきCR用制御部73は
、CRモータ36の回転を制御することによりキャリッジ35の左方への移動を開始させ
る。そして、制御部71は、リニアエンコーダ39からの入力信号に基づきキャリッジ3
5の移動位置を検出することにより、キャリッジ35がクラッチ機構38のトリガレバー
38aを左方に押し込むことが可能なトリガ位置に移動したか否かを判定する(ステップ
S18)。この判定結果が否定判定である場合、制御部71は、ステップS18の判定結
果が肯定判定になるまで該ステップS18の判定処理を繰り返し実行する。
【0034】
一方、ステップS18の判定結果が肯定判定である場合、制御部71からの制御コマン
ドに基づきCR用タイマ74は、記録時間Twの計測を開始する(ステップS19)。続
いて、制御部71からの制御コマンドに基づきPF用制御部75は、PFモータ31の回
転を制御することにより自動給紙機構16による記録用紙Pの給紙処理を開始させる(ス
テップS20)。そして、この給紙処理が完了した場合、制御部71は、その処理を次の
ステップS21に移行する。
【0035】
ステップS21において、記録処理が実行される。すなわち、1ページ目の記録用紙P
への記録の場合、制御部71からの制御コマンドに基づきスキャナ用制御部79は、原稿
台15a上にセットされた原稿21をスキャナ部15にスキャンさせることにより該原稿
21から記録情報を取得し、該記録情報をスキャナ用メモリ80に随時記憶させる。この
際、制御部71は、スキャナ用メモリ80に記憶されている記録情報に各種変換処理を施
し、該記録情報に基づくラスタデータと制御コマンドとを生成する。そして、制御部71
は、所定数のパス(例えば2パス)分のラスタデータの生成が完了した場合、該ラスタデ
ータをヘッド用制御部72に転送すると共に、CRモータ36及びPFモータ31を各別
に回転させるための制御コマンドをCR用制御部73及びPF用制御部75にそれぞれ出
力する。その結果、ヘッド用制御部72の制御により記録ヘッド40が記録用紙Pにイン
クを噴射する結果、記録用紙Pへの記録情報の記録が実行される。その後、制御部71に
よる記録情報の各種変換処理によって次の所定数のパス(2パス)分のラスタデータが生
成された場合、ヘッド用制御部72は、該ラスタデータに基づいた記録用紙Pへの記録を
実行する。なお、上述した「パス」とは、キャリッジ35が左右方向へ一回移動すること
であって、「2パス」は、2回分のキャリッジ35の左右方向への移動のことを示してい
る。
【0036】
その一方で、2ページ目以降の記録用紙Pへの記録の場合には、原稿台15a上にセッ
トされた原稿21に基づく記録情報のラスタデータは、既に生成されている。そのため、
制御部71は、既に生成されているラスタデータ及び各モータ36,31に対する制御コ
マンドに基づいてヘッド用制御部72に記録ヘッド40の駆動を制御させると共にCR用
制御部73及びPF用制御部75にCRモータ36及びPFモータ31の駆動を各別に制
御させることにより、記録用紙Pに記録情報を記録させる。したがって、2ページ目以降
の記録用紙Pへの記録情報の記録が開始されてから完了するまでの総時間は、記録情報に
各種変換処理を施す必要がない分だけ、1ページ目の記録用紙Pへの記録情報の記録が開
始されてから完了するまでの総時間よりも早くなる。
【0037】
続いて、制御部71は、閾値設定フラグFLGfが「0(零)」に設定されているか否
かを判定する(ステップS22)。この判定結果が肯定判定(FLGf=「0」)である
場合、制御部71は、図8にて詳述する記録時間計測処理を実行することにより1ページ
の記録用紙Pへの記録に要する記録時間Tw(即ち、1ページ目の記録用紙Pへの記録情
報の記録が開始されてから完了するまでの総時間から原稿21のスキャンや該スキャンに
よって取得した記録情報に各種演算処理を施すことにより余分にかかった時間を除いた時
間)を計測し(ステップS23)、その処理を後述するステップS24に移行する。一方
、ステップS22の判定結果が否定判定(FLGf=「1」)である場合、制御部71は
、フラッシング閾値KTfが設定済みであるためにステップS23を実行することなく、
その処理を次のステップS24に移行する。
【0038】
ステップS24において、制御部71は、1ページの記録用紙Pへの記録が完了したか
否かを判定する。この判定結果が否定判定である場合、制御部71は、その処理を前述し
たステップS21に移行する。一方、ステップS24の判定結果が肯定判定である場合、
制御部71は、排紙処理を実行させるための制御コマンド(排紙コマンド)をPF用制御
部75に出力する。その結果、PF用制御部75は、PFモータ31の回転を制御するこ
とにより排紙機構33を駆動させて記録済みとなった記録用紙Pを排紙部18に排紙する
(ステップS25)。
【0039】
続いて、制御部71は、閾値設定フラグFLGfが「0(零)」に設定されているか否
かを判定する(ステップS26)。この判定結果が肯定判定(FLGf=「0」)である
場合、制御部71は、制御コマンドをPF用タイマ76に出力することによりPF用タイ
マ76にブランク時間Tbの計測を開始させ(ステップS27)、その処理を後述するス
テップS29に移行する。一方、ステップS26の判定結果が否定判定(FLGf=「1
」)である場合、制御部71は、フラッシング用タイマ77にて計測している経過時間T
fがフラッシング閾値KTf以上であるか否かを判定する(ステップS28)。この判定
結果が否定判定(Tf<KTf)である場合、制御部71は、その処理を後述するステッ
プS31に移行する。一方、ステップS28の判定結果が肯定判定(Tf≧KTf)であ
る場合、制御部71は、その処理を次のステップS29に移行する。
【0040】
ステップS29において、フラッシングが実行される。すなわち、制御部71からの制
御コマンドに基づきCR用制御部73は、リニアエンコーダ39からの入力信号に基づき
キャリッジ35が各キャップ43,44のうち何れに近いかを判別し、CRモータ36の
回転を制御することにより近い方のキャップ(例えばフラッシング用キャップ44)に向
けてキャリッジ35を移動させる。そして、CR用制御部73は、リニアエンコーダ39
からの入力信号に基づきキャリッジ35(記録ヘッド40)がキャップの直上位置に位置
すると判断した場合、CRモータ36の回転を停止してキャリッジ35の移動を停止させ
る。続いて、制御部71からの制御コマンドに基づきヘッド用制御部72は、記録ヘッド
40の全てのノズル40aからインクを廃インクとしてキャップに向けて排出させる。こ
の点で、本実施形態では、ステップS29が、フラッシングステップに相当する。その後
、制御部71からの制御コマンドに基づきフラッシング用タイマ77は、経過時間Tfを
「0(零)」にリセットして経過時間Tfの計測を再び開始し(ステップS30)、その
処理を次のステップS31に移行する。
【0041】
ステップS31において、制御部71は、記録すべき全ページの記録用紙Pへの記録情
報の記録が完了したか否かを判定する。この判定結果が否定判定である場合、制御部71
は記録情報を記録すべき記録用紙Pが未だあると判断し、上述したステップS17,S1
8に相当するステップS32,S33が順次実行される。続いて、制御部71は、閾値設
定フラグFLGfが「0(零)」にセットされているか否かを判定する(ステップS34
)。この判定結果が否定判定(FLGf=「1」)である場合、制御部71は、その処理
を前述したステップS20に移行する。
【0042】
一方、ステップS34の判定結果が肯定判定(FLGf=「0」)である場合、制御部
71からの制御コマンドに基づきPF用タイマ76は、ブランク時間Tbの計測を停止す
る(ステップS35)。続いて、制御部71は、図9にて詳述する閾値設定処理を実行す
ることにより、フラッシング閾値KTfを設定する(ステップS36)。この点で、本実
施形態では、制御部71が、閾値設定手段として機能する。また、ステップS36が、閾
値設定ステップに相当する。続いて、制御部71は、閾値設定フラグFLGfを「1」に
セットし(ステップS37)、制御コマンドをフラッシング用タイマ77に出力して該フ
ラッシング用タイマ77に経過時間Tfの計測を開始させる(ステップS38)。その後
、制御部71は、その処理を前述したステップS20に移行する。
【0043】
その一方で、ステップS31の判定結果が肯定判定である場合、制御部71は、全ての
タイマ74,76,77に制御コマンドを出力して各タイマ74,76,77による時間
の計測をそれぞれ停止させ(ステップS39)、スキャン簡易記録処理ルーチンを終了す
る。
【0044】
次に、上記ステップS23の記録時間計測処理(記録時間計測処理ルーチン)について
図8に基づき以下説明する。
さて、記録時間計測処理ルーチンにおいて、制御部71は、CRモータ36が回転中で
あるか否かを判定する(ステップS50)。この判定結果が否定判定である場合、制御部
71は、所定数のパス分のラスタデータの生成が完了していないためにキャリッジ35が
停止していると判断する。そして、制御部71は、CR用タイマ74に制御コマンドを出
力して該CR用タイマ74に記録時間Twの計測を一時停止させ(ステップS51)、記
録時間計測処理ルーチンを終了する。
【0045】
一方、ステップS50の判定結果が肯定判定である場合、制御部71は、記録用紙Pに
記録情報を記録させるべく(即ち、記録用紙Pにインクを噴射させるべく)キャリッジ3
5が移動中であると判断する。そして、制御部71は、CR用タイマ74に制御コマンド
を出力して該CR用タイマ74に記録時間Twの計測を再開させ(ステップS52)、記
録時間計測処理ルーチンを終了する。すなわち、1ページ目の記録用紙Pへの記録情報の
記録中においてキャリッジ35が移動している間の時間(記録時間Tw)が計測される。
したがって、本実施形態では、CR用タイマ74が、1ページ(1部)の記録用紙Pへの
記録情報の記録が開始されてから完了するまでの間において、記録用紙Pへの記録情報の
記録に要した記録時間Twを検出する記録時間検出手段として機能する。
【0046】
次に、上記ステップS36の閾値設定処理(閾値設定処理ルーチン)について図9に基
づき以下説明する。
さて、閾値設定処理ルーチンにおいて、制御部71は、設定値nに「1」を代入する(
ステップS60)。この設定値nは、フラッシングが実行されてから次にフラッシングが
実行されるまでの間に記録情報が記録される記録用紙Pのページ数を設定するための値で
ある。続いて、制御部71は、既に取得している記録時間Tw、ブランク時間Tb及び設
定値nに基づきフラッシング閾値KTfを演算する(ステップS61)。そして、制御部
71は、ステップS61にて演算したフラッシング閾値KTfが所定値KTs未満である
か否かを判定する(ステップS62)。この判定結果が肯定判定(KTf<KTs)であ
る場合、制御部71は、設定値nを「1」だけインクリメントし(ステップS63)、そ
の処理を前述したステップS61に移行する。
【0047】
一方、ステップS62の判定結果が否定判定(KTf≧KTs)である場合、制御部7
1は、フラッシング閾値KTfが所定値KTsに等しいか否かを判定する(ステップS6
4)。この判定結果が肯定判定(KTf=KTs)である場合、制御部71は、閾値設定
処理ルーチンを終了する。一方、ステップS64の判定結果が否定判定(KTf>KTs
)である場合、制御部71は、設定値nを「1」だけデクリメントし(ステップS65)
、該設定値nが「0(零)」であるか否かを判定する(ステップS66)。この判定結果
が否定判定(n≠「0」)である場合、制御部71は、上記ステップS61と同様の処理
を実行し(ステップS67)、閾値設定処理ルーチンを終了する。一方、ステップS66
の判定結果が肯定判定(n=「0」)である場合、制御部71は、フラッシング閾値KT
fを所定値KTsに設定し(ステップS68)、閾値設定処理ルーチンを終了する。
【0048】
次に、本実施形態の記録装置11のフラッシング制御方法について図10に基づき以下
説明する。なお、スキャナ部15が原稿21をスキャンすることにより取得される記録情
報を複数枚の記録用紙Pに連続して簡易記録するものとする。また、1ページ目の記録用
紙Pへの記録情報の記録の完了時に検出される記録時間Twは、所定値KTs(70秒)
よりも短いものとする。
【0049】
さて、原稿台15aに原稿21がセットされた状態で操作パネル17が操作されると、
スキャナ部15による原稿21のスキャンが開始されると共に、自動給紙機構16の駆動
によってプリンタ部14内に1枚の記録用紙Pが給紙される。なお、本実施形態では、自
動給紙機構16による記録用紙Pのプリンタ部14内への給紙が開始されると共にCR用
タイマ74による記録時間Twの計測が開始される。
【0050】
また、制御回路70内では、スキャナ部15による原稿21のスキャンによって取得し
た記録情報の各種変換処理が随時実行される。そして、各種変換処理の結果、2パス分の
ラスタデータが生成されると、該ラスタデータがヘッド用制御部72に転送されることに
より記録用紙Pへの記録情報の記録がプリンタ部14によって開始される。その後、ヘッ
ド用制御部72に転送されたラスタデータ分の記録用紙Pへの記録が完了すると、キャリ
ッジ35の移動が一時停止される結果、プリンタ部14による記録用紙Pへの記録が一時
停止される。
【0051】
このようにプリンタ部14による記録用紙Pへの記録情報の記録中であっても、スキャ
ナ部15による原稿21のスキャン及び該スキャンにより取得した記録情報の各種変換処
理は、それぞれ継続される。そして、次の2パス分のラスタデータが生成されると、該ラ
スタデータがヘッド用制御部72に転送されることによりプリンタ部14による記録用紙
Pへの記録が再開される。この際、プリンタ部14のキャリッジ35の移動中においては
、CR用タイマ74による記録時間Twの計測が実行される一方で、キャリッジ35が停
止している場合には、CR用タイマ74による記録時間Twの計測が中断される。
【0052】
そして、スキャナ部15による原稿21のスキャンが完了すると共に、プリンタ部14
による1ページ目の記録用紙Pへの記録情報の記録が完了すると、CR用タイマ74によ
る記録時間Twの計測が終了する。また、排紙機構33の駆動により記録済みとなった記
録用紙Pの排紙部18への排紙が開始されると共に、PF用タイマ76によるブランク時
間Tbの計測が開始される。さらに、1ページ目の記録用紙Pへの記録情報の記録が完了
してから該記録用紙Pの排紙が完了するまでの間においては、図10に示すように、フラ
ッシングが実行される。
【0053】
その後、記録済みとなった1ページ目の記録用紙Pの排紙が完了すると、PF用タイマ
76によるブランク時間Tbの計測が終了する。すると、フラッシング閾値KTfが所定
値KTsよりも大きな値にならないように設定値nの値が設定されると共に、該設定値n
、記録時間Tw及びブランク時間Tbとに応じたフラッシング閾値KTfが演算により設
定される。そして、自動給紙機構16により2ページ目の記録用紙Pの給紙が開始される
と、フラッシング用タイマ77による経過時間Tfの計測が開始される。
【0054】
そして、2ページ目、3ページ目というように連続して記録用紙Pへの記録情報の記録
がプリンタ部14によって実行される。やがてmページ目(m=n+1)の記録用紙Pへ
の記録情報の記録が完了すると、1ページ目の記録用紙Pへの記録情報の記録の完了後に
実行されたフラッシングからの経過時間Tfは、次のページ(即ち、(m+1)ページ目
)の記録用紙Pへの記録情報の記録が開始される前までにフラッシング閾値KTf以上に
なる。そのため、(m+1)ページ目の記録用紙Pへの記録情報の記録が開始される前ま
でにフラッシングが実行される。このようにフラッシングは、mページ目の記録用紙Pへ
の記録情報の記録が完了してから(m+1)ページ目の記録用紙Pへの記録情報の記録が
開始される前までに実行されるため、1ページの記録用紙Pへの記録情報の記録の最中に
フラッシングが実行されることが回避される。
【0055】
したがって、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)同一の記録情報を記録用紙Pに連続して記録する場合において、フラッシング閾
値KTfは、1ページの記録用紙Pへの記録情報の記録が完了して次のページの記録用紙
Pへの記録情報の記録が開始されるまでの間にフラッシングが実行されるように設定され
る。そのため、1ページの記録用紙Pへの記録情報の記録中にフラッシングが実行される
ことが抑制される。したがって、記録ヘッド40からインク噴射することにより記録され
た1ページの記録用紙P上におけるインクの色目の変化を抑制できる。
【0056】
(2)フラッシング閾値KTfは、1ページの記録用紙Pへの記録情報の記録に要した
記録時間Twに応じた値に設定される。そのため、1ページの記録用紙Pへの記録情報の
記録が完了してから次の記録用紙Pへの記録が開始されるまでの間にフラッシングを実行
させることができる。
【0057】
(3)1ページ目の記録用紙Pへの記録情報の記録が完了した場合には、2ページ目の
記録用紙Pへの記録が開始される前にフラッシングが実行されると共に、フラッシング閾
値KTfが設定される。そして、その後は、フラッシング閾値KTf毎にフラッシングが
実行される。そのため、1ページの記録用紙Pへの記録情報の記録中にフラッシングが実
行されることを回避できる。
【0058】
(4)記録時間Twの計測を行っている1ページ目の記録用紙Pへの記録情報の記録中
には、フラッシングの実行が回避される。そのため、2ページ目以降の記録用紙Pへの記
録情報の記録に比して記録速度が遅い1ページ目の記録用紙Pへの記録中にフラッシング
が実行されることを回避できる。そのため、1ページ目の記録用紙Pにおいて、該記録用
紙P上に噴射されたインクの色目が変化してしまうことを抑制できる。また、1ページ目
の記録用紙Pへの記録情報の記録が完了した場合には、2ページ目の記録用紙Pへの記録
用紙Pへの記録が開始される前にフラッシングが強制的に実行される。そのため、たとえ
ば2ページ目の記録用紙Pへの記録情報の記録の途中に、フラッシングの未実行に起因し
たインクの噴射不良が発生してしまうことを抑制できる。
【0059】
(5)原稿21をスキャンしつつ記録用紙Pへの記録を実行する場合には、原稿21の
スキャンによって取得した記録情報の各種変換処理などに時間がかかるため、1ページ目
の記録用紙Pへの記録情報の記録は、2ページ目以降の記録用紙Pの記録に比して時間が
かかってしまう。そこで、本実施形態では、1ページ目の記録用紙Pの記録中においてキ
ャリッジ35が移動している間の時間の総計を、1ページ目の記録用紙Pへの記録情報の
記録に要した記録時間Twとしている。この記録時間Twは、原稿21のスキャンや記録
情報の各種変換処理を実行しないで記録用紙Pへの記録情報の記録が実行される2ページ
目以降の記録時間と推定する。したがって、mページ目の記録用紙Pへの記録情報の記録
が完了してから(m+1)ページ目の記録用紙Pへの記録情報の記録が開始するまでの間
にフラッシングが実行されるようにフラッシング閾値KTfを適切に設定できる。
【0060】
(6)記録用紙Pへの記録情報の記録が縁なし記録であった場合には、1ページの記録
用紙Pへの記録情報の縁なし記録にかかる時間は一定であるため、1ページの記録用紙P
への記録情報の記録に要する記録時間Twを計測することなくフラッシング閾値KTfを
設定できる。そのため、縁なし記録であるか否かに関係なく記録時間Twを計測して該記
録時間Twに応じたフラッシング閾値KTfを設定する場合に比して、制御回路70の制
御負荷の増大を抑制できる。
【0061】
(7)また、縁なし記録が実行される場合には、該縁なし記録が実行される記録用紙P
のサイズに応じた規定値(記録用紙Pが「A3」である場合には第3規定値KTA3)が
フラッシング閾値KTfに設定される。したがって、縁なし記録が実行される場合には、
縁なし記録が実行される記録用紙Pのサイズに応じた適切なフラッシング閾値KTfを設
定できる。
【0062】
(8)本実施形態において、フラッシング閾値KTfは、1ページの記録用紙Pへの記
録が完了して次の記録用紙Pへの記録が開始されるまでの間にフラッシングを実行させる
ことが可能であると共に所定値KTsよりも小さい値のうち最も所定値KTsに近い値に
設定される。そのため、同一の記録情報を記録用紙Pに連続して記録する場合において、
フラッシングの実行回数の増加を抑制できる。
【0063】
(9)一般に、1ページの記録用紙Pへの記録が完了して次の記録用紙Pへの記録が開
始されるまでの間にフラッシングを実行する場合には、記録済みとなった記録用紙Pを排
紙させるべくPF用制御部75に出力された制御コマンド(排紙コマンド)の検出に基づ
きフラッシングが実行される。しかし、本実施形態のように簡易記録の場合には、排紙コ
マンドが出力される毎にフラッシングを実行したのであれば、フラッシングの実行過多に
より記録速度が遅くなってしまうことがある。その点、本実施形態では、フラッシング閾
値KTfは、所定値KTsに近い値に設定されるため、フラッシングの実行過多を抑制で
きると共に、記録速度の低下を抑制できる。
【0064】
(10)また、排紙コマンドの出力回数が予め設定された出力回数閾値以上になった場
合にフラッシングを実行させるようにすることにより、フラッシングの実行過多を抑制す
る方法もある。しかしながら、記録用紙Pへの記録にかかる記録時間Twは、記録情報の
大きさによって異なる。そのため、記録用紙Pに記録すべき記録情報の大きさによっては
、フラッシングの実行間隔が所定値を超えてしまいフラッシングの未実行により記録ヘッ
ド40によるインクの噴射不良が発生することがある。一方、記録用紙Pに記録すべき記
録情報が小さい場合には、1ページの記録用紙Pへの記録情報の記録に要する記録時間が
短いため、フラッシングの実行間隔が短くなって、やはりフラッシングの実行過多に陥る
おそれがある。この点、本実施形態では、フラッシング閾値KTfは、記録情報の大きさ
に関係なく所定値KTs以下であって所定値KTsに極力近い値に設定される。したがっ
て、フラッシングの未実行に起因した記録ヘッド40によるインクの噴射不良の発生を抑
制できると共に、フラッシングの実行過多に基づく記録速度の低下を抑制できる。
【0065】
(11)本実施形態では、記録済みとなった記録用紙Pの排紙処理の実行中(即ち、排
紙コマンドの出力後)において経過時間Tfがフラッシング閾値KTf以上になった場合
に、フラッシングが実行される。そのため、1ページの記録用紙Pへの記録情報の記録中
にフラッシングが実行されることを回避できる。
【0066】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図11に従って説明する。なお、第2の実施形態は、
1ページ目の記録用紙Pの記録中における記録時間Twの検出方法が第1の実施形態と異
なっている。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分につい
て主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付
して重複説明を省略するものとする。
【0067】
記録用紙Pに記録情報を記録する場合、制御部71からの制御コマンドに基づきCR用
制御部73は、以下に説明するようにキャリッジ35の移動を制御する。すなわち、制御
回路70には、図示しないCR用メモリが設けられており、該CR用メモリには、キャリ
ッジ35の移動速度(即ち、CRモータ36の回転速度)を制御するための速度テーブル
(加速させるための加速テーブル、減速させるための減速テーブル等)などが記憶されて
いる。
【0068】
加速テーブルには、キャリッジ35の加速が開始した位置からの移動距離と、該移動距
離でのキャリッジ35の移動速度(具体的には、リニアエンコーダ39から検出されるべ
き信号の周波数)とが互いに対応付けられている。例えば、キャリッジ35の加速が開始
した位置からの移動距離が第1の移動距離である場合におけるキャリッジ35の移動速度
が第1の加速度とされ、移動距離が第2の移動距離(>第1の移動距離)である場合にお
けるキャリッジ35の移動速度が第2の加速度(>第1の加速度)とされる。
【0069】
また、減速テーブルには、定速で移動していたキャリッジ35が減速を開始した位置か
らの移動距離と、該移動距離でのキャリッジ35の移動速度(具体的には、リニアエンコ
ーダ39から検出されるべき信号の周波数)とが互いに対応付けられている。例えば、キ
ャリッジ35の減速が開始した位置からの移動距離が第1の移動距離である場合における
キャリッジ35の移動速度が第1の減速度とされ、移動距離が第2の移動距離(>第1の
移動距離)である場合におけるキャリッジ35の移動速度は第2の減速度(<第1の減速
度)とされる。
【0070】
そして、本実施形態では、CR用制御部73は、制御部71からの制御コマンドに基づ
きキャリッジ35の移動を制御する場合、上記の各種テーブルを使用してCRモータ36
の回転を制御する。また、CR用制御部73は、1ページの記録用紙Pへの記録情報の記
録に要する記録時間Tw(即ち、キャリッジ35が移動していた総時間)を、各種テーブ
ルを使用して検出する。
【0071】
すなわち、図11に示すように、記録用紙Pに記録ヘッド40からインク噴射する場合
、キャリッジ35は、加速テーブルに基づいたCR用制御部73のCRモータ36の回転
制御によって加速し、移動速度が定速(一定速度)になる。この際、CR用制御部73は
、キャリッジ35を定速まで加速させるのに要した移動距離をリニアエンコーダ39から
の入力信号に基づき検出し、該検出結果と加速テーブルとからキャリッジ35が定速にな
るまでに要した加速時間を検出する。
【0072】
そして、キャリッジ35の移動が定速になった場合には、ヘッド用制御部72による記
録ヘッド40の制御により該記録ヘッド40からインクが記録用紙Pに噴射される。その
パスにおいて記録ヘッド40による記録用紙Pへのインク噴射が完了した場合、キャリッ
ジ35は、減速テーブルに基づいたCR用制御部73によるCRモータ36の回転制御に
よって減速を開始する。この際、CR用制御部73は、キャリッジ35が定速で移動して
いた移動距離をリニアエンコーダ39からの入力信号に基づき検出し、該検出結果と定速
時のキャリッジ35の速度(既知の速度)とに基づきキャリッジ35が定速で移動してい
た間の定速時間を検出する。
【0073】
また、キャリッジ35の移動が停止した場合、CR用制御部73は、キャリッジ35の
移動を停止させるのに要した移動距離をリニアエンコーダ39からの入力信号に基づき検
出し、該検出結果と減速テーブルとから定速で移動していたキャリッジ35が停止するま
でに要した減速時間を検出する。そして、CR用制御部73は、検出した加速時間、定速
時間及び減速時間を加算することにより、今回のパスにおいてキャリッジ35が移動して
いた時間(以下「パス時間」という。)を検出する。このように各パスにおいてパス時間
をそれぞれ検出し、全てのパス時間を加算することにより、CR用制御部73は、1ペー
ジの記録用紙Pへの記録情報の記録に要した記録時間Twを検出する。したがって、本実
施形態では、CR用制御部73が、記録時間検出手段として機能する。
【0074】
したがって、本実施形態では、さらに以下に示す効果を得ることができる。
(12)本実施形態では、記録時間Twは、キャリッジ35の移動を制御する際に使用
される加速テーブル及び減速テーブルに基づき検出されるものであるため、キャリッジ3
5の移動を制御するついでに検出される。したがって、CR用タイマ74を用いない分だ
け、制御回路70の制御負荷の増大を抑制できる。
【0075】
なお、上記各実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・各実施形態において、記録用紙Pへの記録が縁なし記録の場合であっても、1ページ
目の記録用紙Pへの記録情報の縁なし記録時における記録時間Twを検出し、該記録時間
Twに応じたフラッシング閾値KTfを設定するようにしてもよい。
【0076】
・各実施形態において、1ページ目の記録用紙Pへの記録情報の記録が完了してから2
ページ目の記録用紙Pへの記録情報の記録が開始されるまでの間にフラッシングを実行し
なくてもよい。この場合、フラッシング閾値KTfを、1ページ目から数えてnページ目
の記録用紙Pへの記録情報の記録が完了した後にフラッシングが実行されるように設定し
、このフラッシングの終了後においてnページ毎にフラッシングが定期的に実行されるよ
うにフラッシング閾値KTfを再設定することが望ましい。
【0077】
・各実施形態において、2ページ目の記録用紙Pへの記録情報の記録中に記録時間Tw
を検出するようにしてもよい。2ページ目の記録用紙Pへの記録中では、原稿21のスキ
ャンや該スキャンにて取得した記録情報の各種変換処理が実行されないため、単純に2ペ
ージ目の記録用紙Pの給紙が開始されてから該記録用紙Pの排紙が開始されるまでの時間
を計測することにより記録時間Twを検出できる。
【0078】
・各実施形態のスキャン簡易記録処理ルーチンにおいて、経過時間Tfがフラッシング
閾値KTf以上になったか否かの判定処理(ステップS28)を実行しなくてもよい。こ
の場合、スキャン簡易記録処理ルーチンと同時に処理される処理ルーチンにおいて、経過
時間Tfがフラッシング閾値KTf以上になったか否かの判定処理を行い、この判定結果
が肯定判定(Tf≧KTf)以上になったときには、強制的にフラッシングを実行させる
ことが望ましい。このように構成しても、フラッシング閾値KTfは、1ページの記録用
紙Pへの記録情報の記録に要した記録時間Twに応じた値に設定されているため、1ペー
ジの記録用紙Pへの記録情報の記録中にフラッシングが実行されることを回避できる。ま
た、記録済みとなった記録用紙Pをプリンタ部14から排紙させるための制御コマンド(
排紙コマンド)が出力されたか否かを確認する必要がない分、制御回路70の制御負荷を
低減できる。
【0079】
・各実施形態において、1ページ目の記録用紙Pへの記録情報の記録が開始されてから
経過時間Tfの計測を開始し、該経過時間Tfが所定値KTs以上になった場合には、1
ページ目の記録用紙Pへの記録情報の記録中であってもフラッシングを強制的に実行して
もよい。このように構成すると、1ページ目の記録用紙Pへの記録情報の記録中にフラッ
シングの未実行に起因したインクの噴射不良が発生することを抑制できる。
【0080】
・各実施形態において、スロット20内に挿入されたメモリカード19に記憶されてい
る記録情報を記録用紙Pに記録する場合に具体化してもよい。この場合、1ページ目の記
録用紙Pへの記録情報の記録時には、メモリカード19に記憶されている記録情報の各種
変換処理と該変換処理によって生成されたラスタデータに基づく記録用紙Pへの記録処理
とが実行されることになる。
【0081】
・各実施形態において、プリンタ部14を、インクカートリッジ41をキャリッジ35
とは別の位置に配置するいわゆるオフキャリタイプのプリンタ部に具体化してもよい。
・各実施形態において、プリンタ部14を、記録用紙Pの搬送方向(前後方向)と交差
する方向において記録ヘッド40が記録用紙Pの幅方向(左右方向)の長さに対応した全
体形状をなす、いわゆるフルラインタイプのプリンタ部に具体化してもよい。この構成に
おいて、スキャナ部15による原稿21のスキャンによって取得した記録情報の各種変換
処理の実行時によって所定数のパス分のラスタデータが生成されるまでの間、記録用紙P
の紙送りを停止させる構成であった場合には、1ページの記録用紙Pの紙送りが実行され
ている時間の総計を検出し、該検出結果を記録時間Twにすることが望ましい。
【0082】
また、1ページ目の記録用紙Pへの記録中に紙送りを一時停止させるのではなく、紙送
り速度を通常よりも遅くするようにした場合には、単純に1ページ目の記録用紙Pの紙送
りに要した時間を計測する。そして、この時間に予め設定された係数を乗算することによ
り記録時間Twを検出することが望ましい。なお、紙送りの通常の速度とは、1ページ目
の記録用紙Pの紙送り速度に対して上記係数を乗算した値に応じた速度である。
【0083】
・各実施形態において、記録用紙P以外の他の記録媒体(例えばコンパクトディスクの
表面)に記録情報を記録する場合に具体化してもよい。
・各実施形態では、流体噴射装置をインクジェット式記録装置11に具体化したが、こ
の限りではなく、インク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合
されてなる液状体、ゲルのような流状体を含む)を噴射したり吐出したりする流体噴射装
置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセ
ンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素
材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射する液状体噴射装置、バ
イオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用
いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。さらに、時計やカメラ等
の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる
微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基
板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッ
チング液を噴射する液体噴射装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状
体噴射装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の流体噴射装置に本発明
を適用することができる。なお、本明細書において「流体」とは、気体のみからなる流体
及びトナーなどの粉体(粉粒体)からなる流体を含まない概念であり、流体には、例えば
液体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む)、液状体
、流状体などが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】インクジェット式記録装置の概略斜視図。
【図2】プリンタ部の概略斜視図。
【図3】電気的構成を示すブロック回路図。
【図4】記録用紙のサイズと規定値との関係を示すテーブル。
【図5】スキャン簡易記録処理ルーチンを説明するフローチャート(前半部分)。
【図6】スキャン簡易記録処理ルーチンを説明するフローチャート(中盤部分)。
【図7】スキャン簡易記録処理ルーチンを説明するフローチャート(後半部分)。
【図8】記録時間計測処理ルーチンを説明するフローチャート。
【図9】閾値設定処理ルーチンを説明するフローチャート。
【図10】フラッシングを実行するタイミングを示す模式図。
【図11】記録用紙への記録時におけるキャリッジの移動速度の変化を示す模式図。
【符号の説明】
【0085】
11…流体噴射装置としてのインクジェット式記録装置、15…取得手段としてのスキ
ャナ部、35…流体噴射手段としてのキャリッジ、40…流体噴射手段としての記録ヘッ
ド、71…制御手段、閾値設定手段、縁なし検出手段としての制御部、73…記録時間検
出手段としてのCR用制御部、74…記録時間検出手段としてのCR用タイマ、77…経
過時間計測手段としてのフラッシング用タイマ、78…設定値記憶手段としてのフラッシ
ング用メモリ、80…情報記憶手段としてのスキャナ用メモリ、KTA1,KTA2,K
TA3,KTA4,KTPC…規定値、KTf…フラッシング閾値、KTs…所定値、P
…記録媒体としての記録用紙、Tf…経過時間、Tw…記録時間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に流体を噴射可能な流体噴射手段と、該流体噴射手段を制御することにより前記
記録媒体に流体を噴射させ、該記録媒体に記録情報を記録する制御手段とを備え、該制御
手段は、記録媒体への記録情報の記録中において流体を廃流体として排出させるフラッシ
ングが定期的に実行されるように前記流体噴射手段を制御する流体噴射装置において、
記録媒体への記録情報の記録中において最後に前記フラッシングが実行されてからの経
過時間を計測する経過時間計測手段と、
複数部の記録媒体に同一の記録情報を連続して記録させる場合において、1部の記録媒
体への前記記録情報の記録が完了して次の記録媒体への前記記録情報の記録が開始される
までの間に前記フラッシングが実行されるように、前記記録情報に応じたフラッシング閾
値を設定する閾値設定手段とをさらに備え、
前記制御手段は、前記経過時間計測手段によって計測された経過時間が前記閾値設定手
段によって設定されたフラッシング閾値以上になった場合に、前記フラッシングを実行す
べく前記流体噴射手段を制御する流体噴射装置。
【請求項2】
1部の記録媒体への前記記録情報の記録が開始されてから完了するまでの間で前記記録媒
体への前記記録情報の記録に要した記録時間を検出する記録時間検出手段と、記録媒体に
記録する記録情報をスキャンして取得する取得手段と、該取得手段にて取得された記録情
報を記憶する情報記憶手段とをさらに備え、前記制御手段は、1部目の記録媒体への記録
時には前記取得手段にて記録情報を取得させつつ該記録情報を前記1部目の記録媒体に記
録させる一方、2部目以降の記録媒体への記録時には前記情報記憶手段に記憶された記録
情報を前記2部目以降の記録媒体に記録させるようになっており、
1部の記録媒体への前記記録情報の記録の完了を契機に前記記録時間検出手段によって
記録時間が検出された場合、前記閾値設定手段は、次の記録媒体への前記記録情報の記録
が開始されるまでの間に前記記録時間に応じたフラッシング閾値を設定すると共に、前記
制御手段は、次の記録媒体への前記記録情報の記録が開始される前に前記フラッシングを
実行すべく前記流体噴射手段を制御する請求項1に記載の流体噴射装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記記録時間検出手段による前記記録時間の検出が未完了である場合の
記録媒体への前記記録情報の記録時には、前記フラッシングの実行を規制する請求項2に
記載の流体噴射装置。
【請求項4】
記録情報に基づく記録媒体への記録が開始される際に、該記録が縁なし記録であることを
検出する縁なし検出手段と、1部の記録媒体への前記記録情報の縁なし記録が完了して次
の記録媒体への前記記録情報の記録が開始されるまでの間に前記フラッシングが実行され
るように予め設定された規定値を縁なし記録される記録媒体のサイズ毎に各別に記憶する
規定値記憶手段とをさらに備え、
前記閾値設定手段は、前記縁なし検出手段によって縁なし記録の実行が検出された場合
には、縁なし記録される記録媒体のサイズに応じた規定値を前記規定値記憶手段から読み
出し、該読み出した規定値をフラッシング閾値に設定する請求項1〜請求項3のうち何れ
か一項に記載の流体噴射装置。
【請求項5】
記録媒体に流体を噴射可能な流体噴射手段を備え、該流体噴射手段から流体を前記記録媒
体に噴射することにより該記録媒体に記録情報を記録する記録中において、前記流体噴射
手段から流体を廃流体として排出させるフラッシングを定期的に実行させる流体噴射装置
のフラッシング制御方法であって、
記録媒体への記録情報の記録中において最後に前記フラッシングが実行されてからの経
過時間を計測する計測ステップと、
複数部の記録媒体に同一の記録情報を連続して記録させる場合において、1部の記録媒
体への前記記録情報の記録が完了して次の記録媒体への前記記録情報の記録が開始される
までの間に前記フラッシングが実行されるように、前記記録情報に応じたフラッシング閾
値を設定する閾値設定ステップと、
前記計測ステップにて計測された経過時間が前記閾値設定ステップにて設定されたフラ
ッシング閾値以上になった場合に、前記フラッシングを実行するフラッシングステップと
を有する流体噴射装置のフラッシング制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−18527(P2009−18527A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184024(P2007−184024)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】