流体圧回路
【課題】流体圧アクチュエータにかかる荷重が増加しても、荷重の増加に応じた専用のコントロール弁を用いることなく、微操作域でも良好な操作性が得られる流体圧回路を提供する。
【解決手段】コントロール弁26は、パイロット弁27の操作量の増加に応じてブームシリンダ24に供給する作動油を増加させるように変位する。このコントロール弁26の変位量に応じてポンプ25からタンク28に戻る作動油の流量を減少させるセンタバイパス通路29がある。このセンタバイパス通路29中にあってコントロール弁26より下流側にバイパス流量制御弁32を設ける。コントローラ44は、このバイパス流量制御弁32を、パイロット弁27がブームシリンダ24にかかるフロント荷重Wを自重と逆方向に動作させる操作量および荷重の増加分に応じて絞る方向に制御する。
【解決手段】コントロール弁26は、パイロット弁27の操作量の増加に応じてブームシリンダ24に供給する作動油を増加させるように変位する。このコントロール弁26の変位量に応じてポンプ25からタンク28に戻る作動油の流量を減少させるセンタバイパス通路29がある。このセンタバイパス通路29中にあってコントロール弁26より下流側にバイパス流量制御弁32を設ける。コントローラ44は、このバイパス流量制御弁32を、パイロット弁27がブームシリンダ24にかかるフロント荷重Wを自重と逆方向に動作させる操作量および荷重の増加分に応じて絞る方向に制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センタバイパス通路を備えた流体圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図7および図8に示される油圧ショベルは、駆動方向と重力の作用方向とが同じ方向となり得るフロント作業装置(以下、「フロント」という)10と、このフロント10をブームシリンダ11により上下方向に回動したときのフロント10の旋回体12に対する角度を検出する角度センサ13とを有し、フロント10を自重方向に駆動させるに際し、図7に示されるようにブームシリンダ11に主油圧ポンプ14からの圧油を供給してフロント10を駆動する第1駆動制御と、この第1駆動制御に連続する制御であって、図8に示されるようにブームシリンダ11に主油圧ポンプ14からの圧油を供給しないでフロント10の自重によってブームシリンダ11を駆動させる第2駆動制御を含むブームシリンダ制御を、角度センサ13から出力される信号に応じて実施可能なアクチュエータ制御手段を備え、このアクチュエータ制御手段としては、ブーム用方向制御弁15より下流側のセンタバイパス通路16に設けられたバイパスカット弁17と、このバイパスカット弁17をブーム用パイロット弁18の操作量とブーム角度を検出する角度センサ13からの出力信号とに応じて制御するコントローラ19とを備えた建設機械の油圧制御装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この建設機械の油圧制御装置は、フロント10を自重方向に駆動させるに際し、図7に示されるようにバイパスカット弁17を閉じて、主油圧ポンプ14からの圧油をブーム用方向制御弁15を経てブームシリンダ11のロッド側に供給してフロント10を下方へ駆動する第1駆動制御と、この第1駆動制御に連続する制御であって、図8に示されるようにバイパスカット弁17を開いて主油圧ポンプ14からの圧油をブームシリンダ11に供給しないで、ブームシリンダ11のヘッド側からの戻り油をブーム用方向制御弁15の内部通路を経てブームシリンダ11のロッド側に再生供給することで、フロント10の自重によってブームシリンダ11を駆動させる第2駆動制御とを、角度センサ13からのブーム角度検出信号に応じて実施できるようにしたものであり、この油圧制御装置によれば、主油圧ポンプ14の消費エネルギを抑えながら、フロント10を重力の作用方向に、その現在位置に応じて良好に駆動制御できるものである。
【0004】
一方、ブームを自重に抗して上げる場合は、図7および図8に示されたバイパスカット弁17を連通状態に制御し、図9に示されるように油圧回路を制御することが一般的である。
【0005】
この重力に逆らって動くブーム上げのフロント動作では、ブームシリンダ11が動き始めるレバー操作量は、受圧特性一定の場合、ブーム用方向制御弁15のスプールP−T間の開口量に依存する。
【0006】
すなわち、ブームシリンダ11が動き出すまでの状態は、図9に示されるようにブーム用パイロット弁18をレバー操作して、ブーム用方向制御弁15のスプールをストロークさせていくと、スプールP−T間が絞られ、センタバイパス通路16から引出された主油圧ポンプ14の可変容量を制御するためのネガコン通路16ncのネガコン圧が減少することで、ポンプ流量が増大するとともにポンプ圧が上昇していく。
【0007】
そして、図10に示されるように、ブーム用パイロット弁18のレバー操作量がLaのとき、ポンプ圧が上昇してブームシリンダ11の保持圧に達し、スプールP−C間が開いて、はじめてブームシリンダ11がストロークし始める。このとき、スプールP−T、P−C間の各開口は、標準バケットまたは標準フロントを装着した状態で、設計およびチューニングが施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−3081号公報(第1頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図9および図10に示された油圧制御装置には、ブームを自重に抗して上げる際に、図11および図12に示されるような問題がある。
【0010】
すなわち、図11に示されるように、標準バケットに替えて、この標準バケットより重い作業ツールまたはフロントを装着するなどしてブームシリンダ11にかかるフロント荷重Wが増加した場合は、図12に示されるようにブームシリンダ11の動き出しが遅れ、ブーム用パイロット弁18のレバー操作量がLbと大きくなる問題がある。
【0011】
これは、重量の重い作業ツールまたはフロントの装着時では、ブームシリンダ11のフロント保持圧が高くなり、標準バケットまたは標準フロントの操作性と異なり、レバー操作量に対しブームシリンダ11の動き出しが遅れ、レバー操作量が深くなるからである。
【0012】
その原因を詳細に説明すると、フロント荷重Wの増加によりフロント保持圧が高くなった場合は、同じレバー操作量LaでスプールP−C間が開いていても、ポンプ圧力がフロント保持圧まで達しておらず、図11に実線で示されるようにポンプ流量は全てスプールP−T間の通路からセンタバイパス通路16に吹抜けているので、ブームシリンダ11は動かない。さらに、レバー操作量をLbに増やし、ブーム用方向制御弁15のスプールをさらにストロークさせ、ネガコン圧を減少させてポンプ圧を上昇させることで、ポンプ圧がフロント保持圧まで達して、はじめて図11に点線で示されるようにブームシリンダ11のヘッド側に作動油が供給されて、図12に実線で示されるようにブームシリンダ11がブーム上げ作動する。
【0013】
このため、レバー操作量がLaからLbへと深くなり、荷重の増加によって微操作域での操作性が悪化する。また、この微操作域での操作性を改善するためには、荷重の増加に応じた専用のスプールを製作して用いる必要がある。
【0014】
図13は、作業ツールとして、フロント10の先端部に、標準バケットと、グラップルと、クラッシャとをそれぞれ取付けた場合の、ブーム用パイロット弁18のレバー操作量と、ブームシリンダ11の速度との関係を示す特性図であり、ほぼ同等の重さを有する標準バケットとグラップルを取付けた場合は、ほぼ同一のレバー操作量でブームシリンダ11が動き出すが、これらより重い、コンクリートブロックなどを破砕するクラッシャをフロント10の先端部に取付けた場合は、動き出しまでのレバー操作量が多くなり、動き出し点がずれた分だけ制御可能域が狭くなる。特に、荷重の増加に応じて、微操作域での操作性が損なわれる問題がある。
【0015】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、流体圧アクチュエータにかかる荷重が増加しても、荷重の増加に応じた専用のコントロール弁を用いることなく、微操作域でも良好な操作性が得られる流体圧回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、操作器の操作量の増加に応じて流体圧アクチュエータに供給される作動流体を増加させるように変位するコントロール弁と、このコントロール弁の変位量に応じてポンプからタンクに戻される作動流体の流量を減少させるセンタバイパス通路と、このセンタバイパス通路中にあってコントロール弁より下流側に設けられたバイパス流量制御弁と、このバイパス流量制御弁を、操作器が流体圧アクチュエータにかかる荷重を自重と逆方向に動作させる操作量および荷重の増加分に応じた制御圧により絞る方向に制御する機能を備えたコントローラとを具備した流体圧回路である。
【0017】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載の流体圧回路におけるコントローラが、油圧ショベルにおけるブームをブームシリンダにより上げるブーム上げ操作と、ブームの先端に設けられたスティックをスティックシリンダにより外方へ上げるスティックアウト操作とで、バイパス流量制御弁の制御圧要求量を比較して、その要求量の大きい制御圧によりバイパス流量制御弁を荷重の増加分に応じて絞る方向に制御する機能を備えたものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載された発明によれば、コントロール弁の変位量に応じてポンプからタンクに戻される作動流体の流量を減少させるセンタバイパス通路中にあってコントロール弁より下流側に設けられたバイパス流量制御弁を、操作器が流体圧アクチュエータにかかる荷重を自重と逆方向に動作させる操作量および荷重の増加分に応じた制御圧により絞る方向に、コントローラによって制御するので、流体圧アクチュエータにかかる荷重が増加しても、センタバイパス通路を荷重の増加分に応じて絞り制御するバイパス流量制御弁が、コントロール弁のセンタバイパス開口を実質的に制御して、センタバイパス通路からの吹抜けを抑制して、軽荷重の場合と同様の操作量で流体圧アクチュエータを始動でき、微操作域でも良好な操作性が得られる。
【0019】
請求項2に記載された発明によれば、コントローラは、油圧ショベルにおけるブーム上げ操作とスティックアウト操作の両方のバイパス流量制御弁の制御圧要求量を比較して、その要求量の大きい制御圧によりバイパス流量制御弁を荷重の増加分に応じて絞り制御するので、ブーム上げ操作とスティックアウト操作の連動操作時も荷重増加時の微操作性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る流体圧回路の一実施の形態を示す回路図である。
【図2】同上回路の概要を示す回路図である。
【図3】同上回路におけるコントローラの内容を示すブロック図である。
【図4】同上回路におけるブーム用レバー操作量と、ポンプ圧およびブームヘッド圧と、ブームシリンダ速度との関係を示す特性図である。
【図5】同上回路におけるブーム用レバー操作量とブームシリンダ速度との関係を従来技術と比較して示す特性図である。
【図6】同上回路におけるスティック用レバー操作量とスティックシリンダ速度との関係を従来技術と比較して示す特性図である。
【図7】従来のブーム下げ流体圧回路の動作前半を示す回路図である。
【図8】従来のブーム下げ流体圧回路の動作後半を示す回路図である。
【図9】従来のブーム上げ流体圧回路において軽荷重時の作動流体流れを示す回路図である。
【図10】同上軽荷重時のブーム用レバー操作量とブームシリンダ速度との関係を示す特性図である。
【図11】従来のブーム上げ流体圧回路において重荷重時の作動流体流れを示す回路図である。
【図12】同上重荷重時のブーム用レバー操作量とブームシリンダ速度との関係を示す特性図である。
【図13】従来のブーム上げ流体圧回路において重さの異なる作業ツールを用いた場合のブーム用レバー操作量とブームシリンダ速度との関係を比較して示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を、図1乃至図6に示された一実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は、流体圧回路の概要を示し、油圧ショベル、クレーン車などの作業機械21は、機体22に対しフロント作業装置(以下、単に「フロント」という)20のブーム23が流体圧アクチュエータとしてのブームシリンダ24により上下方向回動自在に設けられ、このブームシリンダ24とブームシリンダ24に作動流体としての作動油を供給する可変容量型のポンプ25との間に、コントロール弁26が設置されている。
【0023】
このコントロール弁26内にはブームシリンダ制御用のスプール26bmが介在され、このスプール26bmは、操作器としてのパイロット弁27の操作方向および操作量に応じて変位方向および変位量が制御され、ポンプ25からブームシリンダ24に供給される作動油を方向制御および流量制御し、操作量の増加に応じて作動油流量を増加させるように変位する。
【0024】
コントロール弁26は、スプール26bmの変位量に応じてポンプ25からタンク28に戻される作動油の流量を減少させるセンタバイパス通路29を備え、このセンタバイパス通路29から分岐した供給通路30にチェック弁31が設けられている。
【0025】
コントロール弁26内のセンタバイパス通路29中にあって、スプール26bmより下流側にバイパス流量制御弁32が設けられ、最下流部には、ネガティブフローコントロール圧(以下、ネガコン圧という)を取出すためのオリフィス33が設けられ、このオリフィス33の上流側から分岐されたネガコン圧通路34が、ポンプ25の容量制御手段35に接続されている。
【0026】
バイパス流量制御弁32は、図示された例ではパイロット操作式・スプリングリターン方式の可変絞り弁であり、全開用のスプリング36に対抗して、絞り開口面積を制御するためのパイロット圧作用部37が設けられている。このパイロット圧作用部37に接続されたパイロット通路38は、電磁比例弁39の出力ポートに接続され、この電磁比例弁39の供給ポートは、パイロットポンプ40に接続されている。
【0027】
パイロット弁27からスプール26bmのパイロット圧作用部に配設されたパイロット通路41には、そのパイロット圧を検出するための圧力センサ42が設けられ、この圧力センサ42で検出された圧力信号を電気的に取出す検出ライン43は、機体22に搭載されたコントローラ44に接続され、このコントローラ44からの出力ライン45は、電磁比例弁39のソレノイドに接続されている。
【0028】
なお、バイパス流量制御弁32は、パイロット操作式に限られるものではなく、コントローラ44からの電気信号により直接制御される電気式バルブを適用することも可能である。また、操作器としては、パイロット弁27に替えて、電気ジョイスティックを適用することも可能である。その場合、圧力センサ42は不要となり、スプール26bmをパイロット操作する電磁比例弁が必要となる。
【0029】
コントローラ44は、パイロット弁27がブームシリンダ24にかかるフロント荷重Wを自重と逆方向に動作させる操作量およびフロント荷重Wの増加分ΔWに応じて、バイパス流量制御弁32を絞る方向に制御する機能を備えている。この増加分ΔWは、ツールの交換時などに予め入力しておく。
【0030】
図2は、作業機械21が油圧ショベル型の場合の対応関係を示し、機体としての下部走行体22aに走行用油圧モータ51が設けられ、機体としての上部旋回体22bが旋回用油圧モータ52により旋回可能に設けられ、この上部旋回体22bにブーム23がブームシリンダ24により上下方向回動可能に設けられ、このブーム23にスティック53がスティックシリンダ54により前後方向回動可能に設けられ、このスティック53に作業ツール55がバケットシリンダ56により回動可能により設けられ、この作業ツール55にツール用アクチュエータ57が設けられている。
【0031】
このような油圧ショベル型の作業機械21の場合、コントロール弁26は、エンジン58により駆動される第1ポンプ25dから作動油を供給されるスプールブロックに、左走行モータ制御用スプール、バケットシリンダ制御用スプール、ブームシリンダ制御用第1スプール26bm1、スティックシリンダ制御用第2スプール26st2、作業ツール制御用スプール、第1バイパス流量制御弁32dが配置され、また、第1ポンプ25dを介して従動される第2ポンプ25aから作動油を供給されるスプールブロックに、右走行モータ制御用スプール、旋回モータ制御用スプール、ブームシリンダ制御用第2スプール26bm2、スティックシリンダ制御用第1スプール26st1、作業ツール制御用スプール、第2バイパス流量制御弁32aが配置されている。
【0032】
ブーム用パイロット弁27bmからブームシリンダ制御用第1スプール26bm1およびブームシリンダ制御用第2スプール26bm2のブーム上げ側パイロット圧作用部に配設されたパイロット通路には、そのブーム上げパイロット圧を検出するための圧力センサ42bmが設けられ、また、スティック用パイロット弁27stからスティックシリンダ制御用第1スプール26st1およびスティックシリンダ制御用第2スプール26st2のスティックアウト側のパイロット圧作用部に配設されたパイロット通路には、そのスティックアウトパイロット圧を検出するための圧力センサ42stが設けられ、これらの圧力センサ42bm,42stはコントローラ44に接続されている。
【0033】
このコントローラ44により制御される電磁比例弁39は、第1ポンプ25d側の第1バイパス流量制御弁32dを制御する電磁比例弁39dと、第2ポンプ25a側の第2バイパス流量制御弁32aを制御する電磁比例弁39aとを備え、また、これらの第1バイパス流量制御弁32dおよび第2バイパス流量制御弁32aを経て各センタバイパス通路29d,29aからそれぞれ分岐されたネガコン圧通路34d,34aも、ネガコン圧制限弁59を経て、第1ポンプ25dの容量制御手段35dと、第2ポンプ25aの容量制御手段35aとにそれぞれ接続されている。
【0034】
コントローラ44は、図3に示されるように、油圧ショベルにおけるブーム23を上げるブーム上げ操作と、ブーム23の先端に設けられたスティック53を上げるスティックアウト操作とで、いずれか一方の操作を検出して、第1バイパス流量制御弁32dおよび第2バイパス流量制御弁32aを操作量およびフロント荷重Wの増加分ΔWに応じて絞る方向に制御する機能を備えている。
【0035】
この図3において、圧力センサ42bmで検出されたブーム上げパイロット圧は、第1ポンプ25dから作動油の供給を受けるコントロール弁ブロックでブーム上げパイロット圧と第1バイパス流量制御弁32dを制御する制御圧との関係を示す制御特性61と、第2ポンプ25aから作動油の供給を受けるコントロール弁ブロックでブーム上げパイロット圧と第2バイパス流量制御弁32aを制御する制御圧との関係を示す制御特性62とに入力される。
【0036】
同様に、圧力センサ42stで検出されたスティックアウトパイロット圧は、第2ポンプ25aから作動油の供給を受けるコントロール弁ブロックでスティックアウトパイロット圧と第2バイパス流量制御弁32aを制御する制御圧との関係を示す制御特性63と、第1ポンプ25dから作動油の供給を受けるコントロール弁ブロックでスティックアウトパイロット圧と第1バイパス流量制御弁32dを制御する制御圧との関係を示す制御特性64とに入力される。
【0037】
これらの制御特性61,62,63,64は、フロント20の重量に合わせた複数のテーブルをメモリに用意しておいて、フロント20の重量に応じて使い分けることが望ましい。
【0038】
そして、制御特性61および制御特性64の出力が、最大値を選択する選択部65に入力されて、この選択部65の出力が、第1ポンプ25d側の第1バイパス流量制御弁32dを制御する電磁比例弁39dのソレノイドに接続され、また、制御特性62および制御特性63の出力が、最大値を選択する選択部66に入力されて、この選択部66の出力が、第2ポンプ25a側の第2バイパス流量制御弁32aを制御する電磁比例弁39aのソレノイドに接続されている。
【0039】
すなわち、選択部65は、ブーム上げ・スティックアウト連動操作において、第1ポンプ25d側のブーム上げパイロット圧に対する第1バイパス流量制御弁32dを制御する制御圧と、第1ポンプ25d側のスティックアウトパイロット圧に対する第1バイパス流量制御弁32dを制御する制御圧とで、大きい方の制御圧を選択して第1ポンプ25d用の電磁比例弁39dのソレノイドに制御信号を出力する。
【0040】
また、選択部66は、ブーム上げ・スティックアウト連動操作において、第2ポンプ25a側のブーム上げパイロット圧に対する第2バイパス流量制御弁32aを制御する制御圧と、第2ポンプ25a側のスティックアウトパイロット圧に対する第2バイパス流量制御弁32aを制御する制御圧とで、大きい方の制御圧を選択して第2ポンプ25a用の電磁比例弁39aのソレノイドに制御信号を出力する。
【0041】
次に、図4乃至図6に示された特性図を参照しながら、図1乃至図3に示された実施の形態の作用効果を説明する。
【0042】
(微操作性)
ブーム用パイロット弁27bmの操作レバーを中立位置からブーム上げ方向に動かすと、コントローラ44は、電磁比例弁39dへ制御信号を出力して、第1バイパス流量制御弁32dを絞り方向に制御する。
【0043】
このとき、第1バイパス流量制御弁32dによりセンタバイパス通路29dが絞られた分だけ、センタバイパス通路29dからタンク28への吹抜けを抑制できるので、ブームシリンダ制御用第1スプール26bm1を経てブームシリンダ24のヘッド側に作用する圧力が増加する。
【0044】
同時に、第1バイパス流量制御弁32dより下流側から取出された第1ポンプ25dのネガコン圧が低下するので、第1ポンプ25dの斜板傾転角が制御されて第1ポンプ吐出圧が、図4に示されるように急激に立上がり上昇する。
【0045】
その際、コントローラ44は、フロント荷重Wの増加分ΔWに応じて、電磁比例弁39dへ制御信号を出力して、第1ポンプ25dのネガコン圧を十分に低下させるので、第1ポンプ吐出圧を、図4に示されるようにブームシリンダ24のフロント保持圧すなわちブームヘッド圧よりも上昇させることができ、ブーム上げレバー操作量が微操作域であっても、ブーム上げ動作が開始する。
【0046】
これにより、作業ツールを標準バケットからクラッシャ(重量物)に交換しても、ブーム上げ速度は、図5に示されるように従来よりも早く立上がり、標準バケットの場合とブーム上げレバー操作位置がほとんど変わらないので、動き出し点がずれた分だけ制御可能域を従来より微操作域へ拡大できる。
【0047】
このような微操作域への制御可能域の拡大は、スティック53をスティックシリンダ54により上昇させるスティックアウト操作でも同様に起こり、図6に示されるように、作業ツールを標準バケットからクラッシャ(重量物)に交換しても、スティックアウト速度は、従来よりも早く立上がり、標準バケットの場合とスティックアウトレバー操作位置がほとんど変わらないので、動き出し点がずれた分だけ制御可能域を従来より微操作域へ拡大できる。
【0048】
要するに、作業ツールまたはブーム23などのフロント作業装置の重量が増加した場合、その重量増加に応じたブーム用またはスティック用スプールを製作しなくても、すなわち荷重Wの増加に応じた専用のコントロール弁を用いることなく、第1バイパス流量制御弁32dおよび第2バイパス流量制御弁32aによりセンタバイパス通路29d,29aの開口を絞り制御することで、センタバイパス通路29d,29aからタンク28への吹抜けを抑制するとともに、ネガコン圧を減少させてポンプ吐出圧を急減に上昇させることで、このポンプ吐出圧が微操作域でもフロント保持圧まで達するので、動き出し点がずれた分だけ制御可能域を従来より微操作域へ拡大でき、微操作域でも良好な操作性が得られる。
【0049】
(大操作域での操作性)
ブーム用パイロット弁27bmの操作レバーをさらにブーム上げ方向に動かすと、コントローラ44は、電磁比例弁39aを介して第2バイパス流量制御弁32aを絞り方向に制御する。
【0050】
このとき、第2バイパス流量制御弁32aによりセンタバイパス通路29aが絞られた分だけ、センタバイパス通路29aからタンク28への吹抜けを抑制できるので、ブームシリンダ制御用第2スプール26bm2を経てブームシリンダ24のヘッド側に作用する圧力が増加する。
【0051】
同時に、第2バイパス流量制御弁32aより下流側から取出された第2ポンプ25aのネガコン圧が低下するので、第2ポンプ25aの斜板傾転角が制御されて第2ポンプ吐出圧が、図4に示されるように急激に立上がり上昇する。
【0052】
その際、コントローラ44は、フロント荷重Wの増加分ΔWに応じて、電磁比例弁39aへ制御信号を出力して、第2ポンプ25aのネガコン圧を十分に低下させるので、第2ポンプ吐出圧を、図4に示されるようにブームシリンダ24のフロント保持圧すなわちブームヘッド圧よりも上昇させることができ、第2ポンプ25aからの圧油供給が可能となる。
【0053】
これにより、作業ツールを標準バケットからクラッシャ(重量物)に交換しても、図5に示される従来のブーム上げ速度V1のように落込むことがなく、標準バケットの場合とほとんど変わらないブーム上げ速度V2が得られるので、従来よりも大操作域での急激な速度変化を抑制でき、操作性を向上できる。
【0054】
(連動操作時)
ブーム上げ・スティックアウト連動操作において、選択部65は、ブーム上げパイロット圧から要求される第1バイパス流量制御弁32dの制御圧と、スティックアウトパイロット圧から要求される第1バイパス流量制御弁32dの制御圧とで、大きい方の制御圧を選択して、第1ポンプ25d側の電磁比例弁39dを制御して、第1バイパス流量制御弁32dを制御するとともに、選択部66は、ブーム上げパイロット圧から要求される第2バイパス流量制御弁32aの制御圧と、スティックアウトパイロット圧から要求される第2バイパス流量制御弁32aの制御圧とで、大きい方の制御圧を選択して、第2ポンプ25a側の電磁比例弁39aを制御するので、第1バイパス流量制御弁32dおよび第2バイパス流量制御弁32aは、ブーム上げ操作およびスティックアウト操作のいずれからの要求にも対応でき、ブーム上げ操作とスティックアウト操作の連動操作時も荷重増加時の微操作性を向上できる。
【0055】
以上のように、コントロール弁26の変位量に応じてポンプ25からタンク28に戻される作動油の流量を減少させるセンタバイパス通路29中にあってコントロール弁26より下流側に設けられたバイパス流量制御弁32を、パイロット弁27がブームシリンダ24にかかるフロント荷重Wを自重と逆方向に動作させる操作量およびフロント荷重Wの増加分ΔWに応じた制御圧により絞る方向に、コントローラ44によって制御するので、ブームシリンダ24にかかるフロント荷重Wが増加しても、センタバイパス通路29をフロント荷重の増加分に応じて絞り制御するバイパス流量制御弁32が、コントロール弁26のセンタバイパス開口を実質的に制御して、センタバイパス通路29からの吹抜けを抑制して、軽荷重の場合と同様の操作量でブームシリンダ24を始動でき、微操作域でも良好な操作性が得られる。
【0056】
その際に、コントローラ44は、図3に示された制御系により油圧ショベルにおけるブーム上げ操作とスティックアウト操作の両方のバイパス流量制御弁32の制御圧要求量を比較して、その要求量の大きい方の制御圧が得られるように電磁比例弁39を介してバイパス流量制御弁32を荷重の増加分に応じて絞るので、ブーム上げ操作とスティックアウト操作の連動操作時も荷重増加時の微操作性を向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の流体圧回路は、油圧ショベル、クレーン車などの作業機械に利用できる。
【符号の説明】
【0058】
21 作業機械
23 ブーム
24 流体圧アクチュエータとしてのブームシリンダ
25 ポンプ
26 コントロール弁
27 操作器としてのパイロット弁
28 タンク
29 センタバイパス通路
32 バイパス流量制御弁
44 コントローラ
53 スティック
54 スティックシリンダ
【技術分野】
【0001】
本発明は、センタバイパス通路を備えた流体圧回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図7および図8に示される油圧ショベルは、駆動方向と重力の作用方向とが同じ方向となり得るフロント作業装置(以下、「フロント」という)10と、このフロント10をブームシリンダ11により上下方向に回動したときのフロント10の旋回体12に対する角度を検出する角度センサ13とを有し、フロント10を自重方向に駆動させるに際し、図7に示されるようにブームシリンダ11に主油圧ポンプ14からの圧油を供給してフロント10を駆動する第1駆動制御と、この第1駆動制御に連続する制御であって、図8に示されるようにブームシリンダ11に主油圧ポンプ14からの圧油を供給しないでフロント10の自重によってブームシリンダ11を駆動させる第2駆動制御を含むブームシリンダ制御を、角度センサ13から出力される信号に応じて実施可能なアクチュエータ制御手段を備え、このアクチュエータ制御手段としては、ブーム用方向制御弁15より下流側のセンタバイパス通路16に設けられたバイパスカット弁17と、このバイパスカット弁17をブーム用パイロット弁18の操作量とブーム角度を検出する角度センサ13からの出力信号とに応じて制御するコントローラ19とを備えた建設機械の油圧制御装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この建設機械の油圧制御装置は、フロント10を自重方向に駆動させるに際し、図7に示されるようにバイパスカット弁17を閉じて、主油圧ポンプ14からの圧油をブーム用方向制御弁15を経てブームシリンダ11のロッド側に供給してフロント10を下方へ駆動する第1駆動制御と、この第1駆動制御に連続する制御であって、図8に示されるようにバイパスカット弁17を開いて主油圧ポンプ14からの圧油をブームシリンダ11に供給しないで、ブームシリンダ11のヘッド側からの戻り油をブーム用方向制御弁15の内部通路を経てブームシリンダ11のロッド側に再生供給することで、フロント10の自重によってブームシリンダ11を駆動させる第2駆動制御とを、角度センサ13からのブーム角度検出信号に応じて実施できるようにしたものであり、この油圧制御装置によれば、主油圧ポンプ14の消費エネルギを抑えながら、フロント10を重力の作用方向に、その現在位置に応じて良好に駆動制御できるものである。
【0004】
一方、ブームを自重に抗して上げる場合は、図7および図8に示されたバイパスカット弁17を連通状態に制御し、図9に示されるように油圧回路を制御することが一般的である。
【0005】
この重力に逆らって動くブーム上げのフロント動作では、ブームシリンダ11が動き始めるレバー操作量は、受圧特性一定の場合、ブーム用方向制御弁15のスプールP−T間の開口量に依存する。
【0006】
すなわち、ブームシリンダ11が動き出すまでの状態は、図9に示されるようにブーム用パイロット弁18をレバー操作して、ブーム用方向制御弁15のスプールをストロークさせていくと、スプールP−T間が絞られ、センタバイパス通路16から引出された主油圧ポンプ14の可変容量を制御するためのネガコン通路16ncのネガコン圧が減少することで、ポンプ流量が増大するとともにポンプ圧が上昇していく。
【0007】
そして、図10に示されるように、ブーム用パイロット弁18のレバー操作量がLaのとき、ポンプ圧が上昇してブームシリンダ11の保持圧に達し、スプールP−C間が開いて、はじめてブームシリンダ11がストロークし始める。このとき、スプールP−T、P−C間の各開口は、標準バケットまたは標準フロントを装着した状態で、設計およびチューニングが施されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−3081号公報(第1頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図9および図10に示された油圧制御装置には、ブームを自重に抗して上げる際に、図11および図12に示されるような問題がある。
【0010】
すなわち、図11に示されるように、標準バケットに替えて、この標準バケットより重い作業ツールまたはフロントを装着するなどしてブームシリンダ11にかかるフロント荷重Wが増加した場合は、図12に示されるようにブームシリンダ11の動き出しが遅れ、ブーム用パイロット弁18のレバー操作量がLbと大きくなる問題がある。
【0011】
これは、重量の重い作業ツールまたはフロントの装着時では、ブームシリンダ11のフロント保持圧が高くなり、標準バケットまたは標準フロントの操作性と異なり、レバー操作量に対しブームシリンダ11の動き出しが遅れ、レバー操作量が深くなるからである。
【0012】
その原因を詳細に説明すると、フロント荷重Wの増加によりフロント保持圧が高くなった場合は、同じレバー操作量LaでスプールP−C間が開いていても、ポンプ圧力がフロント保持圧まで達しておらず、図11に実線で示されるようにポンプ流量は全てスプールP−T間の通路からセンタバイパス通路16に吹抜けているので、ブームシリンダ11は動かない。さらに、レバー操作量をLbに増やし、ブーム用方向制御弁15のスプールをさらにストロークさせ、ネガコン圧を減少させてポンプ圧を上昇させることで、ポンプ圧がフロント保持圧まで達して、はじめて図11に点線で示されるようにブームシリンダ11のヘッド側に作動油が供給されて、図12に実線で示されるようにブームシリンダ11がブーム上げ作動する。
【0013】
このため、レバー操作量がLaからLbへと深くなり、荷重の増加によって微操作域での操作性が悪化する。また、この微操作域での操作性を改善するためには、荷重の増加に応じた専用のスプールを製作して用いる必要がある。
【0014】
図13は、作業ツールとして、フロント10の先端部に、標準バケットと、グラップルと、クラッシャとをそれぞれ取付けた場合の、ブーム用パイロット弁18のレバー操作量と、ブームシリンダ11の速度との関係を示す特性図であり、ほぼ同等の重さを有する標準バケットとグラップルを取付けた場合は、ほぼ同一のレバー操作量でブームシリンダ11が動き出すが、これらより重い、コンクリートブロックなどを破砕するクラッシャをフロント10の先端部に取付けた場合は、動き出しまでのレバー操作量が多くなり、動き出し点がずれた分だけ制御可能域が狭くなる。特に、荷重の増加に応じて、微操作域での操作性が損なわれる問題がある。
【0015】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、流体圧アクチュエータにかかる荷重が増加しても、荷重の増加に応じた専用のコントロール弁を用いることなく、微操作域でも良好な操作性が得られる流体圧回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載された発明は、操作器の操作量の増加に応じて流体圧アクチュエータに供給される作動流体を増加させるように変位するコントロール弁と、このコントロール弁の変位量に応じてポンプからタンクに戻される作動流体の流量を減少させるセンタバイパス通路と、このセンタバイパス通路中にあってコントロール弁より下流側に設けられたバイパス流量制御弁と、このバイパス流量制御弁を、操作器が流体圧アクチュエータにかかる荷重を自重と逆方向に動作させる操作量および荷重の増加分に応じた制御圧により絞る方向に制御する機能を備えたコントローラとを具備した流体圧回路である。
【0017】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載の流体圧回路におけるコントローラが、油圧ショベルにおけるブームをブームシリンダにより上げるブーム上げ操作と、ブームの先端に設けられたスティックをスティックシリンダにより外方へ上げるスティックアウト操作とで、バイパス流量制御弁の制御圧要求量を比較して、その要求量の大きい制御圧によりバイパス流量制御弁を荷重の増加分に応じて絞る方向に制御する機能を備えたものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載された発明によれば、コントロール弁の変位量に応じてポンプからタンクに戻される作動流体の流量を減少させるセンタバイパス通路中にあってコントロール弁より下流側に設けられたバイパス流量制御弁を、操作器が流体圧アクチュエータにかかる荷重を自重と逆方向に動作させる操作量および荷重の増加分に応じた制御圧により絞る方向に、コントローラによって制御するので、流体圧アクチュエータにかかる荷重が増加しても、センタバイパス通路を荷重の増加分に応じて絞り制御するバイパス流量制御弁が、コントロール弁のセンタバイパス開口を実質的に制御して、センタバイパス通路からの吹抜けを抑制して、軽荷重の場合と同様の操作量で流体圧アクチュエータを始動でき、微操作域でも良好な操作性が得られる。
【0019】
請求項2に記載された発明によれば、コントローラは、油圧ショベルにおけるブーム上げ操作とスティックアウト操作の両方のバイパス流量制御弁の制御圧要求量を比較して、その要求量の大きい制御圧によりバイパス流量制御弁を荷重の増加分に応じて絞り制御するので、ブーム上げ操作とスティックアウト操作の連動操作時も荷重増加時の微操作性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る流体圧回路の一実施の形態を示す回路図である。
【図2】同上回路の概要を示す回路図である。
【図3】同上回路におけるコントローラの内容を示すブロック図である。
【図4】同上回路におけるブーム用レバー操作量と、ポンプ圧およびブームヘッド圧と、ブームシリンダ速度との関係を示す特性図である。
【図5】同上回路におけるブーム用レバー操作量とブームシリンダ速度との関係を従来技術と比較して示す特性図である。
【図6】同上回路におけるスティック用レバー操作量とスティックシリンダ速度との関係を従来技術と比較して示す特性図である。
【図7】従来のブーム下げ流体圧回路の動作前半を示す回路図である。
【図8】従来のブーム下げ流体圧回路の動作後半を示す回路図である。
【図9】従来のブーム上げ流体圧回路において軽荷重時の作動流体流れを示す回路図である。
【図10】同上軽荷重時のブーム用レバー操作量とブームシリンダ速度との関係を示す特性図である。
【図11】従来のブーム上げ流体圧回路において重荷重時の作動流体流れを示す回路図である。
【図12】同上重荷重時のブーム用レバー操作量とブームシリンダ速度との関係を示す特性図である。
【図13】従来のブーム上げ流体圧回路において重さの異なる作業ツールを用いた場合のブーム用レバー操作量とブームシリンダ速度との関係を比較して示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を、図1乃至図6に示された一実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は、流体圧回路の概要を示し、油圧ショベル、クレーン車などの作業機械21は、機体22に対しフロント作業装置(以下、単に「フロント」という)20のブーム23が流体圧アクチュエータとしてのブームシリンダ24により上下方向回動自在に設けられ、このブームシリンダ24とブームシリンダ24に作動流体としての作動油を供給する可変容量型のポンプ25との間に、コントロール弁26が設置されている。
【0023】
このコントロール弁26内にはブームシリンダ制御用のスプール26bmが介在され、このスプール26bmは、操作器としてのパイロット弁27の操作方向および操作量に応じて変位方向および変位量が制御され、ポンプ25からブームシリンダ24に供給される作動油を方向制御および流量制御し、操作量の増加に応じて作動油流量を増加させるように変位する。
【0024】
コントロール弁26は、スプール26bmの変位量に応じてポンプ25からタンク28に戻される作動油の流量を減少させるセンタバイパス通路29を備え、このセンタバイパス通路29から分岐した供給通路30にチェック弁31が設けられている。
【0025】
コントロール弁26内のセンタバイパス通路29中にあって、スプール26bmより下流側にバイパス流量制御弁32が設けられ、最下流部には、ネガティブフローコントロール圧(以下、ネガコン圧という)を取出すためのオリフィス33が設けられ、このオリフィス33の上流側から分岐されたネガコン圧通路34が、ポンプ25の容量制御手段35に接続されている。
【0026】
バイパス流量制御弁32は、図示された例ではパイロット操作式・スプリングリターン方式の可変絞り弁であり、全開用のスプリング36に対抗して、絞り開口面積を制御するためのパイロット圧作用部37が設けられている。このパイロット圧作用部37に接続されたパイロット通路38は、電磁比例弁39の出力ポートに接続され、この電磁比例弁39の供給ポートは、パイロットポンプ40に接続されている。
【0027】
パイロット弁27からスプール26bmのパイロット圧作用部に配設されたパイロット通路41には、そのパイロット圧を検出するための圧力センサ42が設けられ、この圧力センサ42で検出された圧力信号を電気的に取出す検出ライン43は、機体22に搭載されたコントローラ44に接続され、このコントローラ44からの出力ライン45は、電磁比例弁39のソレノイドに接続されている。
【0028】
なお、バイパス流量制御弁32は、パイロット操作式に限られるものではなく、コントローラ44からの電気信号により直接制御される電気式バルブを適用することも可能である。また、操作器としては、パイロット弁27に替えて、電気ジョイスティックを適用することも可能である。その場合、圧力センサ42は不要となり、スプール26bmをパイロット操作する電磁比例弁が必要となる。
【0029】
コントローラ44は、パイロット弁27がブームシリンダ24にかかるフロント荷重Wを自重と逆方向に動作させる操作量およびフロント荷重Wの増加分ΔWに応じて、バイパス流量制御弁32を絞る方向に制御する機能を備えている。この増加分ΔWは、ツールの交換時などに予め入力しておく。
【0030】
図2は、作業機械21が油圧ショベル型の場合の対応関係を示し、機体としての下部走行体22aに走行用油圧モータ51が設けられ、機体としての上部旋回体22bが旋回用油圧モータ52により旋回可能に設けられ、この上部旋回体22bにブーム23がブームシリンダ24により上下方向回動可能に設けられ、このブーム23にスティック53がスティックシリンダ54により前後方向回動可能に設けられ、このスティック53に作業ツール55がバケットシリンダ56により回動可能により設けられ、この作業ツール55にツール用アクチュエータ57が設けられている。
【0031】
このような油圧ショベル型の作業機械21の場合、コントロール弁26は、エンジン58により駆動される第1ポンプ25dから作動油を供給されるスプールブロックに、左走行モータ制御用スプール、バケットシリンダ制御用スプール、ブームシリンダ制御用第1スプール26bm1、スティックシリンダ制御用第2スプール26st2、作業ツール制御用スプール、第1バイパス流量制御弁32dが配置され、また、第1ポンプ25dを介して従動される第2ポンプ25aから作動油を供給されるスプールブロックに、右走行モータ制御用スプール、旋回モータ制御用スプール、ブームシリンダ制御用第2スプール26bm2、スティックシリンダ制御用第1スプール26st1、作業ツール制御用スプール、第2バイパス流量制御弁32aが配置されている。
【0032】
ブーム用パイロット弁27bmからブームシリンダ制御用第1スプール26bm1およびブームシリンダ制御用第2スプール26bm2のブーム上げ側パイロット圧作用部に配設されたパイロット通路には、そのブーム上げパイロット圧を検出するための圧力センサ42bmが設けられ、また、スティック用パイロット弁27stからスティックシリンダ制御用第1スプール26st1およびスティックシリンダ制御用第2スプール26st2のスティックアウト側のパイロット圧作用部に配設されたパイロット通路には、そのスティックアウトパイロット圧を検出するための圧力センサ42stが設けられ、これらの圧力センサ42bm,42stはコントローラ44に接続されている。
【0033】
このコントローラ44により制御される電磁比例弁39は、第1ポンプ25d側の第1バイパス流量制御弁32dを制御する電磁比例弁39dと、第2ポンプ25a側の第2バイパス流量制御弁32aを制御する電磁比例弁39aとを備え、また、これらの第1バイパス流量制御弁32dおよび第2バイパス流量制御弁32aを経て各センタバイパス通路29d,29aからそれぞれ分岐されたネガコン圧通路34d,34aも、ネガコン圧制限弁59を経て、第1ポンプ25dの容量制御手段35dと、第2ポンプ25aの容量制御手段35aとにそれぞれ接続されている。
【0034】
コントローラ44は、図3に示されるように、油圧ショベルにおけるブーム23を上げるブーム上げ操作と、ブーム23の先端に設けられたスティック53を上げるスティックアウト操作とで、いずれか一方の操作を検出して、第1バイパス流量制御弁32dおよび第2バイパス流量制御弁32aを操作量およびフロント荷重Wの増加分ΔWに応じて絞る方向に制御する機能を備えている。
【0035】
この図3において、圧力センサ42bmで検出されたブーム上げパイロット圧は、第1ポンプ25dから作動油の供給を受けるコントロール弁ブロックでブーム上げパイロット圧と第1バイパス流量制御弁32dを制御する制御圧との関係を示す制御特性61と、第2ポンプ25aから作動油の供給を受けるコントロール弁ブロックでブーム上げパイロット圧と第2バイパス流量制御弁32aを制御する制御圧との関係を示す制御特性62とに入力される。
【0036】
同様に、圧力センサ42stで検出されたスティックアウトパイロット圧は、第2ポンプ25aから作動油の供給を受けるコントロール弁ブロックでスティックアウトパイロット圧と第2バイパス流量制御弁32aを制御する制御圧との関係を示す制御特性63と、第1ポンプ25dから作動油の供給を受けるコントロール弁ブロックでスティックアウトパイロット圧と第1バイパス流量制御弁32dを制御する制御圧との関係を示す制御特性64とに入力される。
【0037】
これらの制御特性61,62,63,64は、フロント20の重量に合わせた複数のテーブルをメモリに用意しておいて、フロント20の重量に応じて使い分けることが望ましい。
【0038】
そして、制御特性61および制御特性64の出力が、最大値を選択する選択部65に入力されて、この選択部65の出力が、第1ポンプ25d側の第1バイパス流量制御弁32dを制御する電磁比例弁39dのソレノイドに接続され、また、制御特性62および制御特性63の出力が、最大値を選択する選択部66に入力されて、この選択部66の出力が、第2ポンプ25a側の第2バイパス流量制御弁32aを制御する電磁比例弁39aのソレノイドに接続されている。
【0039】
すなわち、選択部65は、ブーム上げ・スティックアウト連動操作において、第1ポンプ25d側のブーム上げパイロット圧に対する第1バイパス流量制御弁32dを制御する制御圧と、第1ポンプ25d側のスティックアウトパイロット圧に対する第1バイパス流量制御弁32dを制御する制御圧とで、大きい方の制御圧を選択して第1ポンプ25d用の電磁比例弁39dのソレノイドに制御信号を出力する。
【0040】
また、選択部66は、ブーム上げ・スティックアウト連動操作において、第2ポンプ25a側のブーム上げパイロット圧に対する第2バイパス流量制御弁32aを制御する制御圧と、第2ポンプ25a側のスティックアウトパイロット圧に対する第2バイパス流量制御弁32aを制御する制御圧とで、大きい方の制御圧を選択して第2ポンプ25a用の電磁比例弁39aのソレノイドに制御信号を出力する。
【0041】
次に、図4乃至図6に示された特性図を参照しながら、図1乃至図3に示された実施の形態の作用効果を説明する。
【0042】
(微操作性)
ブーム用パイロット弁27bmの操作レバーを中立位置からブーム上げ方向に動かすと、コントローラ44は、電磁比例弁39dへ制御信号を出力して、第1バイパス流量制御弁32dを絞り方向に制御する。
【0043】
このとき、第1バイパス流量制御弁32dによりセンタバイパス通路29dが絞られた分だけ、センタバイパス通路29dからタンク28への吹抜けを抑制できるので、ブームシリンダ制御用第1スプール26bm1を経てブームシリンダ24のヘッド側に作用する圧力が増加する。
【0044】
同時に、第1バイパス流量制御弁32dより下流側から取出された第1ポンプ25dのネガコン圧が低下するので、第1ポンプ25dの斜板傾転角が制御されて第1ポンプ吐出圧が、図4に示されるように急激に立上がり上昇する。
【0045】
その際、コントローラ44は、フロント荷重Wの増加分ΔWに応じて、電磁比例弁39dへ制御信号を出力して、第1ポンプ25dのネガコン圧を十分に低下させるので、第1ポンプ吐出圧を、図4に示されるようにブームシリンダ24のフロント保持圧すなわちブームヘッド圧よりも上昇させることができ、ブーム上げレバー操作量が微操作域であっても、ブーム上げ動作が開始する。
【0046】
これにより、作業ツールを標準バケットからクラッシャ(重量物)に交換しても、ブーム上げ速度は、図5に示されるように従来よりも早く立上がり、標準バケットの場合とブーム上げレバー操作位置がほとんど変わらないので、動き出し点がずれた分だけ制御可能域を従来より微操作域へ拡大できる。
【0047】
このような微操作域への制御可能域の拡大は、スティック53をスティックシリンダ54により上昇させるスティックアウト操作でも同様に起こり、図6に示されるように、作業ツールを標準バケットからクラッシャ(重量物)に交換しても、スティックアウト速度は、従来よりも早く立上がり、標準バケットの場合とスティックアウトレバー操作位置がほとんど変わらないので、動き出し点がずれた分だけ制御可能域を従来より微操作域へ拡大できる。
【0048】
要するに、作業ツールまたはブーム23などのフロント作業装置の重量が増加した場合、その重量増加に応じたブーム用またはスティック用スプールを製作しなくても、すなわち荷重Wの増加に応じた専用のコントロール弁を用いることなく、第1バイパス流量制御弁32dおよび第2バイパス流量制御弁32aによりセンタバイパス通路29d,29aの開口を絞り制御することで、センタバイパス通路29d,29aからタンク28への吹抜けを抑制するとともに、ネガコン圧を減少させてポンプ吐出圧を急減に上昇させることで、このポンプ吐出圧が微操作域でもフロント保持圧まで達するので、動き出し点がずれた分だけ制御可能域を従来より微操作域へ拡大でき、微操作域でも良好な操作性が得られる。
【0049】
(大操作域での操作性)
ブーム用パイロット弁27bmの操作レバーをさらにブーム上げ方向に動かすと、コントローラ44は、電磁比例弁39aを介して第2バイパス流量制御弁32aを絞り方向に制御する。
【0050】
このとき、第2バイパス流量制御弁32aによりセンタバイパス通路29aが絞られた分だけ、センタバイパス通路29aからタンク28への吹抜けを抑制できるので、ブームシリンダ制御用第2スプール26bm2を経てブームシリンダ24のヘッド側に作用する圧力が増加する。
【0051】
同時に、第2バイパス流量制御弁32aより下流側から取出された第2ポンプ25aのネガコン圧が低下するので、第2ポンプ25aの斜板傾転角が制御されて第2ポンプ吐出圧が、図4に示されるように急激に立上がり上昇する。
【0052】
その際、コントローラ44は、フロント荷重Wの増加分ΔWに応じて、電磁比例弁39aへ制御信号を出力して、第2ポンプ25aのネガコン圧を十分に低下させるので、第2ポンプ吐出圧を、図4に示されるようにブームシリンダ24のフロント保持圧すなわちブームヘッド圧よりも上昇させることができ、第2ポンプ25aからの圧油供給が可能となる。
【0053】
これにより、作業ツールを標準バケットからクラッシャ(重量物)に交換しても、図5に示される従来のブーム上げ速度V1のように落込むことがなく、標準バケットの場合とほとんど変わらないブーム上げ速度V2が得られるので、従来よりも大操作域での急激な速度変化を抑制でき、操作性を向上できる。
【0054】
(連動操作時)
ブーム上げ・スティックアウト連動操作において、選択部65は、ブーム上げパイロット圧から要求される第1バイパス流量制御弁32dの制御圧と、スティックアウトパイロット圧から要求される第1バイパス流量制御弁32dの制御圧とで、大きい方の制御圧を選択して、第1ポンプ25d側の電磁比例弁39dを制御して、第1バイパス流量制御弁32dを制御するとともに、選択部66は、ブーム上げパイロット圧から要求される第2バイパス流量制御弁32aの制御圧と、スティックアウトパイロット圧から要求される第2バイパス流量制御弁32aの制御圧とで、大きい方の制御圧を選択して、第2ポンプ25a側の電磁比例弁39aを制御するので、第1バイパス流量制御弁32dおよび第2バイパス流量制御弁32aは、ブーム上げ操作およびスティックアウト操作のいずれからの要求にも対応でき、ブーム上げ操作とスティックアウト操作の連動操作時も荷重増加時の微操作性を向上できる。
【0055】
以上のように、コントロール弁26の変位量に応じてポンプ25からタンク28に戻される作動油の流量を減少させるセンタバイパス通路29中にあってコントロール弁26より下流側に設けられたバイパス流量制御弁32を、パイロット弁27がブームシリンダ24にかかるフロント荷重Wを自重と逆方向に動作させる操作量およびフロント荷重Wの増加分ΔWに応じた制御圧により絞る方向に、コントローラ44によって制御するので、ブームシリンダ24にかかるフロント荷重Wが増加しても、センタバイパス通路29をフロント荷重の増加分に応じて絞り制御するバイパス流量制御弁32が、コントロール弁26のセンタバイパス開口を実質的に制御して、センタバイパス通路29からの吹抜けを抑制して、軽荷重の場合と同様の操作量でブームシリンダ24を始動でき、微操作域でも良好な操作性が得られる。
【0056】
その際に、コントローラ44は、図3に示された制御系により油圧ショベルにおけるブーム上げ操作とスティックアウト操作の両方のバイパス流量制御弁32の制御圧要求量を比較して、その要求量の大きい方の制御圧が得られるように電磁比例弁39を介してバイパス流量制御弁32を荷重の増加分に応じて絞るので、ブーム上げ操作とスティックアウト操作の連動操作時も荷重増加時の微操作性を向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の流体圧回路は、油圧ショベル、クレーン車などの作業機械に利用できる。
【符号の説明】
【0058】
21 作業機械
23 ブーム
24 流体圧アクチュエータとしてのブームシリンダ
25 ポンプ
26 コントロール弁
27 操作器としてのパイロット弁
28 タンク
29 センタバイパス通路
32 バイパス流量制御弁
44 コントローラ
53 スティック
54 スティックシリンダ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作器の操作量の増加に応じて流体圧アクチュエータに供給される作動流体を増加させるように変位するコントロール弁と、
このコントロール弁の変位量に応じてポンプからタンクに戻される作動流体の流量を減少させるセンタバイパス通路と、
このセンタバイパス通路中にあってコントロール弁より下流側に設けられたバイパス流量制御弁と、
このバイパス流量制御弁を、操作器が流体圧アクチュエータにかかる荷重を自重と逆方向に動作させる操作量および荷重の増加分に応じた制御圧により絞る方向に制御する機能を備えたコントローラと
を具備したことを特徴とする流体圧回路。
【請求項2】
コントローラは、
油圧ショベルにおけるブームをブームシリンダにより上げるブーム上げ操作と、ブームの先端に設けられたスティックをスティックシリンダにより外方へ上げるスティックアウト操作とで、バイパス流量制御弁の制御圧要求量を比較して、その要求量の大きい制御圧によりバイパス流量制御弁を荷重の増加分に応じて絞る方向に制御する機能を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の流体圧回路。
【請求項1】
操作器の操作量の増加に応じて流体圧アクチュエータに供給される作動流体を増加させるように変位するコントロール弁と、
このコントロール弁の変位量に応じてポンプからタンクに戻される作動流体の流量を減少させるセンタバイパス通路と、
このセンタバイパス通路中にあってコントロール弁より下流側に設けられたバイパス流量制御弁と、
このバイパス流量制御弁を、操作器が流体圧アクチュエータにかかる荷重を自重と逆方向に動作させる操作量および荷重の増加分に応じた制御圧により絞る方向に制御する機能を備えたコントローラと
を具備したことを特徴とする流体圧回路。
【請求項2】
コントローラは、
油圧ショベルにおけるブームをブームシリンダにより上げるブーム上げ操作と、ブームの先端に設けられたスティックをスティックシリンダにより外方へ上げるスティックアウト操作とで、バイパス流量制御弁の制御圧要求量を比較して、その要求量の大きい制御圧によりバイパス流量制御弁を荷重の増加分に応じて絞る方向に制御する機能を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の流体圧回路。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−230039(P2010−230039A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76087(P2009−76087)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(505236469)キャタピラー エス エー アール エル (144)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(505236469)キャタピラー エス エー アール エル (144)
【Fターム(参考)】
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