説明

流体注入

本発明は、概して、液体の制御のためのシステムおよび方法に関し、ある場合には、他の流体中に流入する、および/またはそこから流出するためのシステムおよび方法に関する。実施例として、液体は、流体チャネル内に含有される液滴中に注入されるか、または液体は、流体チャネル内に注入されて液滴を生成してもよい。一部の実施形態では、電極は、例えば、少なくとも2つの流体チャネルの交点の近傍において、電場を1つ以上の流体チャネルに印加するために使用されてもよい。例えば、第1の流体は、電場によって促進される第2の流体中に付勢される、および/またはそこから流出されてもよい。電場は、ある場合には、第1の流体と少なくとも1つの他の流体との間の界面を分断してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦支援研究)
本発明の様々な局面に至る研究は、少なくとも部分的に全米科学財団、補助金番号DBI−0649865およびDMR−0820484の支援を受けた。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0002】
(関連出願)
本願は、Weitzらによる米国仮特許出願第61/220,847号(名称「Fluid Injection」、2009年6月26日出願)の利益を主張し、この出願は、本明細書に参照により援用される。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、概して、液体の制御のためのシステムおよび方法に関し、ある場合には、他の流体中に流入する、および/またはそこから流出するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0004】
流体送達、製品製造、分析等の目的で、所望の構成の流体の流れ、不連続流体の流れ、粒子、分散等を形成するための流体の操作は、比較的よく研究された技術分野である。液滴マイクロ流体は、化学および生物学的システムの高性能分析を含む、種々の目的のために有用である。
【0005】
多くの用途において、いくつかの流体は、特有のシーケンスで組み合わせされなければらない。既存の方法は、複数の流体を液滴として別個に乳化し、液滴が合体し、流体を組み合わせ得る地点に接触させることによって、その結果を達成するステップを説明する。液滴合体は、一対の液滴に対して実証されているが、制御が困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、概して、液体の液滴の制御のためのシステムおよび方法に関し、ある場合には、他の流体中に流入するか、および/またはそこから流出するためのシステムおよび方法に関する。本発明の主題は、ある場合には、相互に関連する製品、特定の問題に対する代替解決策、ならびに/または1つ以上のシステムおよび/もしくは物品の複数の異なる使用に関する。
【0007】
一側面では、方法が提供される。方法は、本側面では、第1の流体と、界面において第1の流体に接触する第2の流体とを提供するステップを含み、第1の流体と第2の流体とは実質的に混合せず、第1の流体および第2の流体のうちの少なくとも1つは、運搬流体内に含有される流体液滴ではない。方法はさらに、界面の少なくとも一部を分断するために十分な電場を界面に印加するステップと、第2の流体の少なくとも一部を第1の流体中に流動させるステップとを含む。
【0008】
別の側面では、第1の流体と、界面において第1の流体に接触する第2の流体とを提供するステップを含み、第1の流体と第2の流体とは実質的に混合せず、第1の流体および第2の流体のうちの少なくとも1つは、運搬流体内に含有される流体液滴ではない方法が提供される。方法はさらに、界面の少なくとも一部を分断するために十分な電場を界面に印加するステップと、第2の流体の少なくとも一部を第1の流体中に除去するステップとを含む。
【0009】
さらに別の側面では、方法が提供される。方法は、本側面では、チャネル内に含有される第1の流体と第2の流体との間に画定される界面に電場を印加するステップと、第2の流体の少なくとも一部を第1の流体に流入させるために十分な圧力をチャネル内に含有される第2の流体に印加するステップとを含む。
【0010】
一式の実施形態では、方法は、第1のマイクロ流体チャネルと、交点において第1のマイクロ流体チャネルに接触する第2のマイクロ流体チャネルとを含むマイクロ流体システムを提供するステップと、第1のマイクロ流体チャネル内の第1の流体と、第2のマイクロ流体チャネル内の第2の流体とを提供するステップと、電場を界面に印加して、第1のマイクロ流体チャネルに流入するように第2の流体を付勢するステップとの作用を含む。ある場合には、第1の流体と第2の流体とは、交点において相互に少なくとも部分的に接触し、流体界面を画定してもよい。ある事例では、電場の不存在下において、第2の流体は、第1のマイクロ流体チャネルに流入するように付勢されない。
【0011】
方法は、別の一式の実施形態では、第1のマイクロ流体チャネルと、交点において第1のマイクロ流体チャネルに接触する第2のマイクロ流体チャネルとを含むマイクロ流体システムを提供するステップと、第1のマイクロ流体チャネル内の第1の流体と、第2のマイクロ流体チャネル内の第2の流体とを提供するステップと、電場を界面に印加して、第1のマイクロ流体チャネルからの流体を第2のマイクロ流体チャネル中に付勢するステップとの作用を含む。いくつかの実施形態では、第1の流体と第2の流体とは、交点において相互に少なくとも部分的に接触して、流体界面を画定してもよい。いくつかの実施形態によると、電場の不存在下において、第1の流体は、第2のマイクロ流体チャネルに流入するように付勢されない。
【0012】
さらに別の一式の実施形態では、方法は、第1のマイクロ流体チャネルと、交点において第1のマイクロ流体チャネルに接触する第2のマイクロ流体チャネルとを含むマイクロ流体システムを提供するステップと、第1のマイクロ流体チャネル内の第1の流体と、第2のマイクロ流体チャネル内の第2の流体とを提供するステップと、第1のマイクロ流体チャネルに流入するように第2の流体を付勢するステップとの作用を含む。第1の流体と第2の流体とは、少なくともいくつかの実施形態では、交点において相互に少なくとも部分的に接触し、流体界面を画定してもよい。一部の場合には、電場が界面に印加されると、第2の流体が第1のマイクロ流体チャネルに流入することを少なくとも部分的に阻止してもよい。
【0013】
方法は、なおも別の一式の実施形態では、第1のマイクロ流体チャネルと、交点において第1のマイクロ流体チャネルに接触する第2のマイクロ流体チャネルとを含むマイクロ流体システムを提供するステップと、第1のマイクロ流体チャネル内の第1の流体と、第2のマイクロ流体チャネル内の第2の流体とを提供するステップと、第1のマイクロ流体チャネルからの流体を第2のマイクロ流体チャネル中に付勢するステップとの作用を含む。いくつかの実施形態では、第1の流体と第2の流体とは、交点において相互に少なくとも部分的に接触して、流体界面を画定してもよい。ある実施形態では、電場が界面に印加されると、流体が第2のマイクロ流体チャネルに流入することを少なくとも部分的に阻止可能となる。
【0014】
なおも別の側面では、マイクロ流体装置が提供される。装置は、一式の実施形態では、第1の流体チャネルと、交点において第1の流体チャネルと流体連通する第2の流体チャネルと、概して、第1の流体チャネルまたは第2の流体チャネルの両側に配置される第1および第2の電極とを含み、第1の流体チャネル、第2の流体チャネル、第1の電極、および第2の電極は、平面がこれらの各々と交差するように配置される。
【0015】
別の一式の実施形態では、マイクロ流体装置は、第1のマイクロ流体チャネルと、交点において第1のマイクロ流体チャネルに接触する第2のマイクロ流体チャネルと、第1のマイクロ流体チャネルの両側に配置される第1および第2の電極と、第2のマイクロ流体チャネルとを含む。いくつかの実施形態では、第2のマイクロ流体チャネルは、第2のマイクロ流体チャネルの平均断面寸法の多くて約90%の面積を有するオリフィスを介して交点に接続する。
【0016】
マイクロ流体装置は、さらに別の一式の実施形態では、第1のマイクロ流体チャネルと、交点において第1のマイクロ流体チャネルに接触する第2のマイクロ流体チャネルと、第1のマイクロ流体チャネルの同一側に配置される第1および第2の電極とを含む。一部の場合には、第2のマイクロ流体チャネルは、第2のマイクロ流体チャネルの平均断面寸法の多くて約90%の面積を有するオリフィスを介して交点に接続する。
【0017】
さらに別の側面では、物品が提供される。物品は、一式の実施形態によると、第1の液滴タイプの第1の複数の液滴と、第1の液滴タイプと区別可能な第2の液滴タイプの第2の複数の液滴とを含み、第1および第2の液滴タイプは、マイクロ流体チャネル内において少なくとも2回反復し、2つ以上の液滴を含むまで反復する反復パターンを画定するマイクロ流体チャネルを含む。
【0018】
本発明の他の利点および新規の特徴は、添付図と併せて考慮するとき、本発明の種々の非限定的実施形態の以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。本明細書および参照することによって組み込まれる文書が矛盾および/または非一貫性の開示を含む場合、本明細書が優先するものとする。参照することによって組み込まれる2つ以上の出願が、相互に矛盾および/または非一貫性の開示を含む場合、後に出願された出願が優先するものとする。
【0019】
概略的であり、一定の縮尺で描かれることを目的としない、添付図を参照して、本発明の非限定的実施形態を一例として説明する。図中、図示された各同一またはほぼ同一の構成要素は、一般的には、単一の数字によって表される。明確にするために、当業者が本発明を理解することを可能にするために図示が必要ではない場合は、全ての図で全ての構成要素が標識化されるわけではなく、示される本発明の各実施形態の全ての構成要素もまた、標識化されるわけでもない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明のある実施形態による、流体を別の流体中に、および/またはそこから流動させるためのシステムを示す。
【図2】図2A、2B、および2Cは、本発明の別の実施形態による、注入前、注入中、および注入後の液滴を示す。
【図3】図3は、本発明のさらに別の実施形態による、流体を別の流体中に、および/またはそこから流動させるためのシステムを示す。
【図4A】図4A〜4Bは、本発明のさらに別の実施形態による、第1の流体および第2の流体の液滴のパターンを含む、本発明の種々の実施形態を例示する。
【図4B】図4A〜4Bは、本発明のさらに別の実施形態による、第1の流体および第2の流体の液滴のパターンを含む、本発明の種々の実施形態を例示する。
【図5】図5A〜5Bは、本発明のなおも別の実施形態による、流体を別の流体中に、および/またはそこから流動させるためのシステムを示す。
【図6】図6は、本発明のある実施形態による、液滴サイズ分布のプロットを示す。
【図7】図7A〜7Bは、本発明の他の実施形態では、注入体積の制御のプロットを示す。
【図8】図8A〜8Bは、本発明の別の実施形態による、流体注入を示す。
【図9】図9A〜9Bは、液滴注入のための本発明の別の実施形態を示す。
【図10】図10A〜10Dは、本発明のさらに別の実施形態による、液体注入の電子制御を例示する。
【図11】図11A〜11Cは、本発明のなおも別の実施形態による、液滴生成を例示する。
【図12】図12A〜12Cは、本発明のさらに別の実施形態による、圧力測定を例示する。
【図13】図13A〜13Bは、本発明のなおも別の実施形態における、センサを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、概して、液体の制御のためのシステムおよび方法に関し、ある場合には、他の流体中に流入する、および/またはそこから流出するためのシステムおよび方法に関する。実施例として、液体は、流体チャネル内に含有される液滴中に注入されてもよく、または液体は、流体チャネル内に注入されて、液滴を生成してもよい。いくつかの実施形態では、電極は、例えば、少なくとも2つの流体チャネルの交点の近傍において電場を1つ以上の流体チャネルに印加するために使用されてもよい。例えば、第1の流体は、電場によって促進され、第2の流体中に付勢され、および/またはそこから流出されてもよい。電場は、ある場合には、第1の流体と少なくとも1つの他の流体との間の界面を分断してもよい。第2の流体中に付勢される、および/またはそこから流出される第1の流体の体積、流速等の特性は、流体および/または流体液滴の種々の特性、例えば、流体液滴の曲率を制御する、ならびに/あるいは印加される電場を制御することによって制御可能である。
【0022】
次に、一例示的実施例が、図1を参照して提供される。しかしながら、図1に例示されるもの以外の他の実施形態もまた、後述されるように、本発明の他の実施形態において想定されることを理解されたい。図1の実施例では、第1の流体(例えば、チャネル内の流体)を第2の流体(例えば、流体液滴)中に、および/またはそこから流動させるためのシステムが例示される。図1は、液滴源210を有し、そこから、液滴220が、第1のチャネル230中に流動するシステム200を示す。第1のチャネル230に交差するのは、流体源235であって、これは、例えば、流動集束技法または他の後述されるような技法を使用して、第1のチャネル230内の液滴の流動を制御するために使用される。また、図1に示されるのは、電極250と、交点260において第1のチャネル230と交差する第2のチャネル240である。電極250は、交点260近傍の第1のチャネル230の片側と、反対の第2のチャネル240とに配置される。液滴が、交点260を通過して流動することに伴って、流体界面が、第2のチャネル240内の液滴と注入可能流体との間に形成される。電極250は、液滴と注入可能流体との間の界面を分断し得る、電場を生成し、したがって、流体を第2のチャネルから液滴中へ流動可能にし、それによって、液滴225を形成する。しかしながら、電場の不存在下において、界面の分断が発生し得ず、したがって、第2のチャネル240からの流体は、液滴220中に流入しない。注入可能流体を含有する液滴225は、続いて、交点260から離れ、例えば、回収チャネル270中へと流動する。
【0023】
本発明のある側面では、本明細書に説明されるもの等のシステムは、流体中への流体注入および/または流体、例えば、流体を含有するチャネルから、流体液滴から等の流体取水を行うために使用されてもよい。上述の実施例に説明されるように、これらの動作は、第1の流体と第2の流体との間に画定される界面を分断することによって、第1の流体上で行われてもよい。流体注入および/または取水は、流体の一部のみを含んでもよいことを理解されたい。しかしながら、ある場合には、両方向における流体交換が、発生してもよい。すなわち、第1の流体の一部は、第2の流体中に注入されてもよい一方、第2の流体の一部は、第1の流体中に取水されてもよい。同様に、界面の分断は、界面の一部または界面全体を分断するステップを含んでもよい。また、流体交換は実施形態に応じて、流体中への流体注入および/または流体からの取水を含んでもよいことを理解されたい。
【0024】
故に、本発明は、いくつかの側面では、2つ以上の流体を1つの流体に融合または合体させるためのシステムおよび方法に関する(例えば、流体チャネルからの流体は、流体液滴中に注入されてもよい)。例えば、一式の実施形態では、2つ以上の流体が、通常、例えば、組成、表面張力、液滴サイズ、界面活性剤の有無等によって、融合または合体不可能である場合、2つ以上の流体が、1つの液滴に融合または合体されてもよい。例えば、流体は、1つ以上の流体液滴中に注入されてもよい。あるマイクロ流体システムでは、流体を融合または合体させるための本明細書に開示されるシステムおよび方法が不在である限り、ある場合には、液滴のサイズに対する液滴の表面張力もまた、融合または合体を阻止し得る。流体液滴を融合または合体するための付加的実施例は、Linkらの2004年4月9日出願の国際特許出願第PCT/US2004/010903号に説明されており、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0025】
いくつかの実施形態では、第1のチャネルは、交点において、第2のチャネルと流体連通し、そこで、第1のチャネルおよび第2のチャネルは、例えば、図1に示されるように、合流する。図1に示されるように、第1のチャネルは、「主」チャネル(チャネル230)として指定されてもよく、第2のチャネルは、「側チャネル」(チャネル240)として指定されてもよい。しかしながら、他の実施形態では、他のチャネル配列も可能であって、「主」および「側」チャネルは、説明目的のためにすぎないことを理解されたい。概して、本明細書で使用されるように、「主」チャネルおよび「側」チャネルはそれぞれ、流体を含有してもよく、主チャネルは、主チャネル内の流体を側チャネル内の流体から分離する界面によって電場がオフにされると、流体が流動するチャネルである一方、「側」チャネルは、界面が分断されると流動する流体を保持する。一般的には、第1の流体を運搬するための「主」チャネルは、交点を通過して継続する一方、第2の流体を運搬するための「側」チャネルは、交点において終端するが、「主」チャネルは、直線である必要はない。しかしながら、「主」および「側」チャネルは、図1に示されるT−配列を有する必要はない。本発明の他の実施形態では、例えば、側チャネルは、出口チャネルと整合されてもよく、種々のチャネルは、「Y」配列または3次元配列等において継合されてもよい。「Y」配列の非限定的実施例は、図5A−5Bに示される。
【0026】
ある場合には、第1または主チャネルは、チャネルが交点に接近するのに伴って、実質的に変化しない、断面積を有してもよい(すなわち、チャネル内の流体流動に対して垂直に画定される)。しかしながら、他の事例では、断面積は、第1のチャネルが交点に接近するのに伴って、増減(すなわち、狭窄)してもよい。例えば、第1のチャネルの断面積は、交点に接近するのに伴って、減少してもよい。
【0027】
第2のチャネルは、第1のチャネルに沿った任意の点において、交点において、第1のチャネルと交差してもよい。第1のチャネルと第2のチャネルとの間の交点において、第2のチャネルは、いくつかの実施形態では、オリフィスを介して、第1のチャネルと合流してもよく、すなわち、第1のチャネルとの交点における第2のチャネルの一部は、交点に向かう第2のチャネルの断面積より小さい断面積を有してもよい。しかしながら、他の実施形態では、オリフィスは、存在しなくてもよく、または第2のチャネルの断面積は、ある場合には、比較的により大きくさえあってもよい。オリフィスは、例えば、円形、楕円形、三角形、四角形等、任意の形状であってもよく、第2のチャネル内の任意の好適な位置に、例えば、図9に示されるように、第2のチャネルの端部または片側に、配置されてもよい。
【0028】
本明細書に説明されるように、交点の幾何学形状は、第1のチャネル内の流体と第2のチャネル内の流体との間の流体交換に影響を及ぼし得る。オリフィスは、平均断面寸法約100ミクロン未満、約30ミクロン未満、約10ミクロン未満、約3ミクロン未満、約1ミクロン未満、約300nm未満、約100nm未満、約30nm未満、約10nm未満等を有してもよい。ある場合には、オリフィスは、チャネルの平均断面寸法の約90%以下である断面積を有してもよく、ある場合には、面積は、チャネルの平均断面寸法の約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、または約10%以下である。オリフィスは、第1のチャネルの交差壁と同一平面にあってもよい(すなわち、オリフィスは、第1のチャネルの壁の一部の欠如によって画定されてもよい)。一非限定的実施例は、図2に示される。代替として、ある場合には、オリフィスは、第1のチャネル中に突出する、位置にあってもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、第1のチャネルと第2のチャネルとの交点に電場を印加可能である、1つ以上の電極が提供される。ある場合には、電極は、電極が交点を含有する、または少なくとも交点に近接する、電場最大値を生成するように、配置されてもよい。例えば、電極は、第2のチャネルが第1のチャネルと交差する場所に位置する電場または電場最大値を生成する、あるいはチャネル内の2つの流体間の界面が、好適な電場を被るように、配置されてもよい。電極は、種々の構成において、チャネルに対して配置されてもよい。いくつかの実施例では、電極は、第2のチャネルと本質的に反対に配置されてもよい。代替として、電極は、第2のチャネルの片側に実質的に配置されてもよい。いくつかの実施形態では、電極は、第2のチャネルの上方または下方(例えば、デバイスの別の層内)に配置されてもよい。
【0030】
ある場合には、複数の電極が提供される。例えば、2つの電極が、第1または第2のチャネルの同一あるいは反対側に、本質的に配置されてもよい。いくつかの事例では、2つの電極は、第1のチャネルおよび第2のチャネルの両方の両側に配置されてもよい。電極が同一側に配置される実施形態の実施例は、図1に示される一方、電極が両側配置される実施形態は、図9に示される。いくつかの実施形態では、第1の電極および第2の電極は、平面が両電極を交差するように配置されてもよい。ある場合には、電極は、例えば、第1の流体チャネル、第2の流体チャネル、および電極が、平面がこれらの各々と交差するよう、配置されるように、1つ以上のチャネルと同一平面となるように配置されてもよい(例えば、図1に示されるように)。
【0031】
再度、図9を参照すると、図9Aは、例示的システムの顕微鏡写真を示す一方、図9Bは、同一システムの概略図である。本実施例では、システム700は、第1の電極710と、第1の電極710と同一平面にある、反対の第2の電極720とを含む。図9Bにおける実施例では、使用中、電極710は正である一方、電極720は負である。しかしながら、他の実施形態では、電極710は負であってもよく、電極720は正であってもよい。本図では、電極710および720は、第1の主チャネル730と第2の側チャネル740との間の交点750の両側に配置される。電極は、電極間に生成される電場が、図9Bに示されるように、第1のチャネル730と第2のチャネル740との間の交点上に中心に置かれるように配置されてもよく、または電極は、本発明の他の実施形態では、中心から外れた構成に配置されてもよい。ここに示されるように、電場線715は、正電極710から負電極720に向かって発生する。電極の場所のため、電極710から電極720に向かう電場線715は、交点750上を通過する。したがって、電極間の電圧を制御することによって、交点750における電場は、制御され得る。また、図9Bに示されるように、第1のチャネル730は、第1の流体で充填される一方、第2のチャネル740は、第2の流体で充填される(ここでは、明確にするために、異なる陰影として示される)。本明細書に論じられるように、第2のチャネル740からの第2の流体は、第1のチャネル730中に、および/または第1のチャネル730内の液滴(図示せず)中に注入されてもよい。
【0032】
次に、そのようなシステムの使用の実施例が、図8Bを参照して論じられる。本図では、第1のチャネル750内の流体は、第2のチャネル760から延出する流体を通過し、制御された電場の印加(例えば、図8に図示されない電極によって)を通して、第2のチャネル760からの流体の一部が、液滴770が、第1のチャネル750と第2のチャネル760の交点765を通過するのに伴って、第1のチャネル750内に含有される液滴770中に注入される。上述のように、液滴中に注入される流体の量は、交点に印加される電場の強度および/または本明細書に説明されるような他の要因を制御することによって制御されてもよい。例えば、一式の実施形態では、電場が、電極を介して印加されない場合、流体注入は発生し得ず、または第2のチャネル760から第1のチャネル750中に注入される流体の体積は、交点に印加される電場を制御することによって、少なくとも部分的に制御されてもよい。
【0033】
本明細書に論じられる電極は、任意の好適な材料から加工されてもよく、2つ以上の電極が存在する場合、電極は、同一または異なる材料から形成されてもよい。電極材料の非限定的実施例として、金属、半金属、半導体、黒鉛、伝導性ポリマー等が挙げられる。電極は、電場を印加するために好適な任意の形状を有してもよい。ある場合には、電極は、本質的に、四角形形状を有してもよい。別の実施例として、電極は、細長く、第1のチャネルと第2のチャネルとの間の交点に最も近い電極の領域として画定される、先端を有してもよい。いくつかの実施形態では、電極の先端は、第2のチャネルの幅に類似する幅を有してもよい。他の実施形態では、電極の先端は、第2のチャネルの幅より実質的に大きい幅を有してもよい。電極形状は、平坦、V形状、または本明細書に論じられる形状等の任意の他の好適な形状であることが可能である
ある場合には、電極の先端は、上述のように、例えば、交点内または交点の近傍において、電場最大値が生成されるように構築される。例えば、電極は、電場勾配が、所望の界面分断の方向に最適化されるように構築されてもよい。いくつかの事例では、例えば、多重電極が使用される場合(例えば、本明細書の図3に対して論じられるように)、電極は、例えば、第1の界面と異なる場所に配置される第2の界面を電場に曝露することが意図された電極によって、電場への第1の界面の意図されない曝露を最小限にすることによって、1つ以上の電極と1つ以上のチャネルとの間の干渉を最小限にするように構築されてもよい。いくつかの実施形態では、電極先端のサイズを減少させることは、1つ以上の界面が、電場に偶発的に曝露されないように、および/または比較的により低い電場強度に曝露されるように、電極先端によって、電場のより集束した印加を可能にする。これは、例えば、複数の注入システム間の距離を減少させることが所望される事例において、有利となり得る。
【0034】
電極によって産生される電場は、いくつかの実施形態では、電場発生器、すなわち、例えば、1つ以上の電極を介して、流体に印加され得る電場を生成可能なデバイスまたはシステムを使用して、発生される。例えば、電場発生器は、電圧源と、1つ以上の電極と、を含んでもよい。電圧源として、バッテリ、壁電流、燃料電池等が挙げられ、種々の電圧源が、市販されている。電場発生器は、AC場(すなわち、時間に対して周期的に、例えば、正弦的、鋸歯状、2乗等で変動するもの)、DC場(すなわち、時間に対して一定であるもの)、パルス場等を産生してもよい。電場発生器は、チャネルまたはマイクロ流体チャネル内に含有される流体内に電場を生成するように構築および配列されてもよい。電場発生器は、いくつかの実施形態によると、チャネルを含有する流体システムと一体型または別個であってもよい。ここで使用される「一体型」とは、相互に対して一体型の構成要素の複数の部分が、構成要素のうちの少なくとも1つを切断または分割することなく、相互から構成要素を手動で分離されることが不可能なように継合されることを意味する。加えて、ある場合には、電場は、例えば、コンピュータまたは自動デバイスの支援によって、自動的に制御されてもよい。
【0035】
上述のように、いくつかの事例では、電場は、第1のチャネルと第2のチャネルとの間の交点に印加される。例えば、電場は、第1のチャネルと第2のチャネルとの間の交点に印加されてもよい。電場は、実施形態に応じて、継続的、周期的、または断続的に印加されてもよく、AC、DC等であってもよい。例えば、交点が、電場に曝露される間、流体液滴は、交点中またはそれを通って付勢されてもよい。電場は、例えば、上述のように、流体液滴と、例えば、第2のチャネル内の流体との間に形成される界面を分断するように印加され、それによって、第2のチャネルから第1のチャネル中への流体交換の発生を可能にしてもよい。別の実施例として、電場を制御することによって、第2のチャネルからの流体は、第1のチャネル中に付勢され、第1のチャネル内に含有される1つ以上の新しい液滴を生成してもよい。
【0036】
電極に印加される電圧は、流体界面を分断するための任意の好適な電圧であってもよい。例えば、電圧は、0.1V乃至10,000V、0.1V乃至1,000V、0.1V乃至300V、0.1V乃至100V、0.1V乃至50V、0.1V乃至30V、0.1V乃至10V等であってもよい。印加される電圧は、継続的、拍動的、断続的、無作為等で印加されてもよい。パルスは、任意の好適な周波数、例えば、ヘルツ、キロヘルツ、またはメガヘルツ範囲等の周波数を伴う、DCまたはACであってもよい。
【0037】
例えば、一実施形態では、印加される電場は、パルスであってもよい。例えば、電場は、流体液滴が交点に存在するとき、印加されるが、他の時間には、印加されなくてもよい。別の実施形態では、電場は、流体液滴が、第2のチャネルの正面にある間、印加される。例えば、電場は、流体の特有の体積の注入および/または取水のために十分な時間の周期の間、印加されてもよく、例えば、電場は、流体液滴が第2のチャネルの正面にある間、一定の時間の周期の間、オンであって、一定の時間の周期の間、オフであってもよい。
【0038】
電極にわたって、例えば、電場発生器を介して、電圧を印加することによって、電場が、生成されてもよく、これは、図9Bに示されるように、正電極から負電極に通過する電場線としてモデル化されてもよい。電場線は、例えば、第2のチャネルから第1のチャネル中への流体の注入の間の流動と同一方向に、流体間の界面を通過してもよい。他の角度が、他の実施形態では、使用されてもよい。電極は、電場が交点上の中心に来るように、または中心から偏移されるように、例えば、流動チャネルの方向に、電場の構成要素を発生させるように、配置されてもよい。
【0039】
本発明のいくつかの側面では、説明されるように、第1の流体を第2の流体に注入する、および/またはそこから取水するための技法は、第1の流体と第2の流体との間の界面の形成、第1と第2の流体との間の障壁を呈さないように、界面の分断(例えば、電場を使用して)を伴い、第1の流体と第2の流体との間の流体の輸送を可能にする。例えば、第1の流体と第2の流体との間(例えば、第2のチャネル内の流体と第2のチャネルとの交点に配置された第1のチャネルの液滴との間)の界面が分断されると、流体は、第1の流体から第2の流体に、第2の流体から第1の流体に、または両方に(例えば、相互に対して2つの流体の拡散または対流を通して)、流動してもよい。実施例として、第1と第2のチャネルとの間の圧力差を制御することによって、流体は、一方向または別の方向に、優先的に流動するように付勢されてもよい(例えば、液滴に向かって、すなわち、注入、または液滴から離れるように、すなわち、取水)。
【0040】
したがって、ある場合には、2つの流体間の界面の少なくとも一部は、2つの流体間の流体流動を発生させるように分断されてもよい。いくつかの実施形態では、界面の少なくとも一部は、電場によって分断される、例えば、それらの本明細書に説明されるもの等の電極を使用することによって印加されてもよい。電場は、例えば、AC場、DC場、パルス場等であってもよい。
【0041】
いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、電場の印加は、界面を分断するように作用する力(例えば、剪断力、機械力、クーロンカ等の電気力等)を界面を維持するように作用する力(例えば、表面張力、界面活性剤分子整合、および/または立体障害等)より大きくなるようにすると考えられる。例えば、電場が流体界面を分断する1つの可能性のある機構は、流体のそれぞれ内の電場によって誘発される双極子間相互作用が、その局所の反対の電荷のため、流体を相互に向かって電気的に付着させ、したがって、界面の少なくとも一部を分断し、それによって、流体間に流体接続を形成させ、これは、注入、取水、混合等のために使用され得るものである。電場が流体界面を分断する別の可能性のある機構は、電場が、直接、流体上に力を産生し、それによって、合体をもたらし得るものである。
【0042】
例えば、一式の実施形態では、チャネル中に注入される流体は、例えば、交点またはその近傍に電場を印加するように配置された電極を使用した電場の印加によって、直接、帯電されてもよい。特有の実施例として、第1のチャネル内の液的が、第1のチャネルと第2のチャネルとの交点に接近するのに伴って、液滴は、例えば、図8Aに描写されるように、少なくとも部分的に分極されてもよい。極性は、流体間に引力を発生させ、相互に誘引させ、いくつかの事例では、統合させてもよい。ある場合には、流体は、少なくとも部分的に伝導性であってもよく、流体は、絶縁流体、例えば、油で包囲されるか、またはその中に含有されてもよく、これは、流体に、印加される電場内に電荷または電荷の分離を呈させ得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、流体界面は、ある閾値電場強度に到達後、分断されてもよい。閾値電場強度は、界面を分断可能な任意の最小値であってもよく、印加毎に変動してもよい。例えば、チャネル内に含有される流体の粘度または密度、チャネル内の流体の流速、チャネルの幾何学形状(例えば、サイズまたは寸法)、チャネルが交点において合流する角度、流体に印加される他の力の存在等の要因は、特定の印加に対する閾値電場強度に影響を及ぼし得る。界面を分断するための電場強度の非限定的実施例として、電場強度約0.01V/マイクロメートル超、約0.03V/マイクロメートル超、約0.1V/マイクロメートル超、約0.3V/マイクロメートル超、約1V/マイクロメートル超、約3V/マイクロメートル超、約10V/マイクロメートル超等が挙げられる。これらの範囲外の値もまた、いくつかの事例では、使用されてもよいことを理解されたい。ある場合には、流体輸送の量は、閾値電圧を上回る電圧の関数として、本質的に一定であってもよい。他の実施形態では、界面分断の量は、概して、電場強度が上昇するのに伴って、増加する。
【0044】
界面の制御および分断の非限定的実施例が続く。一般に、界面の制御は、チャネル内の流体の性質(例えば、その粘度または密度)、流体界面における流体の曲率、チャネルのサイズ(界面におけるその曲率に影響を及ぼす)、チャネルの交点のサイズ等の要因に依存する。次に、2つの流体間の界面の制御および分断の実施例が交点において合流する第1のチャネルおよび第2のチャネルを有するシステムを参照して説明されるが、そこでは、第1(「主」)チャネルは、流体液滴を運搬し、第2(「側」)チャネルは、流体液滴中に注入される流体を搬送する、および/または流体チャネルからの流体を取水するために使用される。
【0045】
一非限定的実施例として、第1のチャネル内の流体液滴は、例えば、第1のチャネルおよび第2のチャネルが、交点において合流するとき、第2のチャネル内の流体と流体界面を形成してもよい。ある場合には、第1のチャネル内の流体液滴は、流体液滴が第1のチャネルの壁と接触するように十分に大きくあってもよい。ある場合には、第1のチャネルの幅は、流体液滴の曲率半径に影響を及ぼし得る。第1のチャネルとの流体の界面における、第2のチャネル内の流体の曲率半径は、ある実施形態では、第1のチャネルとの交点における第2のチャネルの断面積によって(例えば、存在する場合、第1のチャネルに接触するのに伴って、第2のチャネルのオリフィスまたはノズルにおいて)、少なくとも部分的に制御されてもよい。すなわち、第1と第2のチャネルとの間のオリフィスまたは交点の断面積が減少するのに伴って、第2のチャネル内の流体の曲率半径は、第1のチャネル内の流体に接触するのに伴って、減少する。ある場合には、第2のチャネル内の流体の曲率半径は、流体が、少なくとも部分的に、オリフィスまたは界面から第1のチャネル中に突出するように、第2のチャネル内の流体を加圧することによって、少なくとも部分的に画定されてもよい。
【0046】
この非限定的実施例として、図2Aを参照すると、流体液滴300は、第1のチャネル310内に示され、図の左から右に流動する。流体320もまた、本実施例に示され、第2のチャネル330から突出し、ここでは、第2のチャネルは、オリフィス340を有する。図2に示されるように、オリフィスは、第2のチャネル330のテーパ部分の端部にあって、オリフィスは、オリフィス中を流動する流体チャネルと同一サイズまたは平均直径を有する必要がないことに留意されたい。本実施例では、第1のチャネル310内に含有される液体液滴の曲率半径Rは、第2のチャネル330から第1のチャネル310に流入する流体の曲率半径Rより大きい。したがって、流体液滴および流体は、図2Aに示されるように、相互に接触し、界面350を形成する。
【0047】
図2Bでは、流体液滴と流入流体との間の界面は、本明細書に論じられるように、好適な電場への界面の曝露によって分断されてもよい。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、電場の印加によって、流体間の界面における流体の双極子モーメントが改変され、それは、少なくとも、流体を分離する界面の表面張力を分解するために少なくとも十分であって、それによって、流体を分離する界面を分断し、流体交換を発生させ得ると考えられる。ある場合には、本明細書に論じられるように、界面のサイズおよび/または形状もまた、流体間の界面における電場を制御することによって制御されてもよい。例えば、電場が強い程、流体間の界面における流体の双極子モーメントの改変が増加し、それによって、分断の量、分断の閾値、および/または流体液滴と流入流体との間で交換可能となる流体の量を改変し得る。また、流体液滴300は、一例として使用されているにすぎないことに留意されたい。他の実施形態では、第2のチャネル330からの流体は、第1のチャネル310中に直接、すなわち、第1のチャネル310内の流体液滴300の存在を伴わずに注入されてもよい。ある場合には、これは、第1のチャネル内に新しい流体液滴の生成を生じさせ得る。
【0048】
流体液滴と第2のチャネル330からの流体との間の流体交換の方向は、本発明の種々の実施形態によると、種々の流体の流体圧力、電場の強度、チャネルの形状、チャネル交点の性質等の要因を制御することによって制御され得る。特有の非限定的実施例として、ある場合には、流体交換は、流体の圧力または相対圧力を制御することによって制御され得る。例えば、いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、R(第1のチャネル内)が、R(第2のチャネル内)を超えるように、流体の曲率半径を制御することによって、例えば、流体液滴の圧力を(p)を第2のチャネル内の流体の圧力(p)未満となるように制御することによって、流体は、第2のチャネルから流体液滴中に流動し得ると考えられる。したがって、第2のチャネル内の流体は、本実施例では、界面の分断後、流体液滴中に流動または「注入」可能である。しかしながら、他の場合には、例えば、後述のように、圧力は、RがRを超えるように制御されてもよく、流体は、代わりに、流体液滴から第2のチャネル中に取水され得る。
【0049】
上述のように、流体間の界面は、圧力(または、相対圧力)および/または界面に印加される電場を制御することによって、制御され得る。ある実施形態では、電場の制御は、界面の電子制御、例えば、チャネルおよび/またはチャネル内の流体液滴中への流体の注入および/またはそこからの取水を制御すべきかどうか、あるいはそのときをもたらしてもよい。例えば、電場を変調することによって、2つの流体間の界面の位置が、調節されてもよい。実施例として、界面の位置は、図10Aに示されるように、電場が存在しない(または、電場が弱い)ときと比較して、図10Bに示されるように、電場が印加されるとき、比較的により高くあり得る。界面の位置はまた、いくつかの実施形態では、例えば、電極に印加される電圧を制御することによって、動的に制御され得る。
【0050】
特有の非限定的実施例として、次に、図10Cを参照すると、電極に印加された電圧が調節され、それによって、流体界面に印加される電極間に生成された電場の強度を調節すると、界面の場所は、図10Dに示されるように、それに対応して応答する(本非限定的実施例では、界面の位置を示す)。(図10Cおよび10Dは両方とも、同一時間尺度であることに留意されたい)。したがって、界面に印加される電場を制御することによって、界面の位置も同様に、制御可能である。上述のように、いくつかの実施形態では、電場は、界面を中心として設置される電極に印加される電圧を制御することによって、例えば、電圧の強度または極性の制御、および/または(例えば、ACの場合)、電圧の振幅、周波数等の制御を介して制御され得る。例えば、より高い電圧を使用することによって、流体間の界面は、第1のチャネル中により深くまで延出され、より大きな体積を流体液滴中に注入させ得る一方、より小さい電圧を使用して、界面をチャネル中にあまり深くまで延出させず、液滴中に注入される流体の量をより少なくし得る。界面位置もまた、いくつかの実施形態では、好適な周波数において、例えば、界面による液滴形成または通過速度に匹敵する周波数において、変調可能であってそれによって、各液滴中に注入される体積の量個々に制御可能にする。
【0051】
加えて、ある実施形態では、電場が十分に増加または制御される場合、流体界面は、第2のチャネルからの流体を第1のチャネル中に分裂させ、新しい液滴を形成するように、第1のチャネル中に深くまで延出され得る。本プロセスの実施例は、図11Aおよび11Bを参照して論じられる。図11Aでは、第1のチャネル910と第2のチャネル920との間の交点に生成される界面930に、全く電場が印加されない(または、不十分な電場が印加される)とき、第2のチャネル内の流体と第1のチャネル内の流体との間の界面は分断されず、したがって、第2のチャネル内の流体は第1のチャネル中に容易には流動せず、すなわち、液滴生成は、「オフ」となる。しかしながら、図11Bでは、電極915を使用して生成される印加された電場(電場線950によって表される)の下で流体間の界面は、第1のチャネル中に延出可能である。
【0052】
好適な条件(例えば、第1のチャネル内の比較的高速な流体流動)下で、界面930は、例えば、図11Bに示されるように、第1のチャネル910中にかなり深くまで延出され得る。ある場合には、界面は、界面が分断されるように、深くまで延出され、第2のチャネル920内の一部の流体を離散液滴として第1のチャネル910に流入させる。本プロセスの反復を使用して、第1のチャネル910内に複数の流体液滴を生成してもよい。本プロセスは電子的に制御されるので、高速液滴産生が、ある場合には、達成されてもよいことに留意されたい。例えば、毎秒少なくとも約10液滴が、ある場合には、生成されてもよく、他の場合には、毎秒少なくとも約20液滴、毎秒少なくとも約30液滴、毎秒少なくとも約100液滴、毎秒少なくとも約200液滴、毎秒少なくとも約300液滴、毎秒少なくとも約500液滴、毎秒少なくとも約750液滴、毎秒少なくとも約1000液滴、毎秒少なくとも約1500液滴、毎秒少なくとも約2000液滴、毎秒少なくとも約3000液滴、毎秒少なくとも約5000液滴、毎秒少なくとも約7500液滴、毎秒少なくとも約10,000液滴、または毎秒それ以上の液滴が、そのような様式で生成されてもよい。故に、いくつかの実施形態では、電場を制御することによって、個々の流体液滴がチャネル内に生成されてもよい。加えて、流体内の電圧、流速、および/または圧力等の要因を調節することによって、したがって、チャネル内に形成される液滴の体積が、制御されてもよい。
【0053】
別の一式の実施形態では、電場の使用は、逆に使用されてもよく、その場合、印加は、液滴を生成するために使用される代わりに、液滴生成をオフまたは減少させるために使用される。例えば、ある場合には、本明細書に論じられるもの等の流体液滴システムを使用して、液滴を生成してもよい。流体液滴システムは、例えば、流動集束技法または本明細書に開示されるような他の技法を使用して、液滴を生成してもよい。電場が印加されないとき、液滴が形成されてもよい。しかしながら、例えば、電極を使用して、十分な電場が印加されるとき、流体界面は、収縮され、液滴形成を改変または阻害してもよい。
【0054】
例えば、図11Cでは、第1のチャネル910内の第1の流体と第2のチャネル920内の第2の流体との間の界面において、液滴は、第2の流体を第1のチャネル中に付勢し、例えば、液滴を形成する、例えば、第2のチャネル内の運動または圧力のため、電場の不存在下において、生成されてもよい(例えば、第1および第2の流体が実質的に非混和性である場合)。しかしながら、好適な電場の印加に応じて、電極915間の電場線950を伴う、本図に示されるように印加される電場は、第1のチャネル910と第2のチャネル920との間の界面930を移動させる。この場合、界面は、第2のチャネル920中へ「上流」へと、そして、第1のチャネル910から離れるように移動し、それによって、第1のチャネル910内の第1の流体中への第2の流体の液滴形成を減速または抑制する。故に、別の一式の実施形態では、電場の印加を使用して、第2の流体が第1の流体に流入することを部分的または完全に阻止してもよい。加えて、類似システムを使用して、第1のチャネルからの流体が第2のチャネル中に取水されることを阻止してもよい。すなわち、電場の不存在(または、不十分な電場)下、流体は、第1のチャネルから第2のチャネル中に取水されてもよいが、好適な電場の印加に応じて、流体間の界面は、流体が第1のチャネルから第2のチャネルの中に取水不可能であるように移動する。
【0055】
いくつかの側面では、流体は、流体チャネル中、例えば、チャネル内に含有される流体液滴中に注入されてもよく、ある場合には、注入される流体と流体液滴内の他の流体の混合を発生させ得る。本発明は、ある実施形態では、流体を、例えば、流体液滴中に注入するための種々のシステムおよび方法を広く想定する。第2のチャネルから第1のチャネル中への流体の「注入」を伴う本明細書における説明では、注入される流体は、第1のチャネル内に含有される液滴中、および/または第1のチャネル内に含有される流体中に注入され、例えば、新しい液滴を形成し得ることを理解されたい。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に論じられるように、第1のチャネル、第2のチャネル、および電極を使用する流体注入を使用して、第1のチャネル内の流体中に個々に含有される、第2のチャネルからの流体の新しい液滴を生成してもよい。
【0056】
例えば、一式の実施形態では、流体は、極微針、ノズル、オリフィス、チューブ、または他のそのようなデバイス等の針を使用して、流体液滴中に注入されてもよい。別の一式の実施形態では、流体は、流体液滴が流体チャネルと接触することに伴って、流体チャネルを使用して、流体液滴中に直接注入されてもよい。例えば、ある実施形態では、流体を含有する第1のチャネルは、交点において第2のチャネルによって交差されてもよい。第2のチャネルからの流体は、例えば、チャネルの一方または両方の中の好適な圧力、例えば、ポンプを使用して第1のチャネル中に注入されてもよい。例えば、第1のチャネル内に含有される液滴が交点を通過するとき、第2のチャネルからの流体は、交点中に付勢され、それによって液滴に流入し、第2のチャネルからの流体の液滴中への注入を発生させ得る。
【0057】
注入される流体の量は、ある実施形態では、流体の相対圧力、交点における液滴の滞留時間、流体の粘度、界面に印加される電場等の特性を制御することによって、制御可能である。例えば、次に、図2Bおよび2Cを参照すると、流体液滴300は、第2のチャネル330からの流体と流体連通し、したがって、流体は、第2のチャネル330から液滴300中に流動可能である。しかしながら、流体液滴300が、第1のチャネル310を通って移動することに伴って、流体液滴300と第2のチャネル330からの流体との間の剪断が増加し、第2のチャネル330から剥離させ得る(図2C)。ある場合には、第1のチャネル310内の流体と第2のチャネル330内の流体との間の界面は、図2Cに示されるように、交点を通過する液滴流動の剪断作用によって復元され得る。
【0058】
注入および/または取水され得る流体の体積は、実施形態に応じて、任意の好適な量であってもよい。例えば、注入および/または取水される体積は、約10マイクロリットル未満、約1マイクロリットル未満、約100ナノリットル未満、約10ナノリットル未満、約1ナノリットル未満、約100ピコリットル未満、約10ピコリットル未満、約1ピコリットル未満等であってもよい。ある場合には、流体は、第1のチャネル内の流体が運動(すなわち、第1のチャネルを通って流動)中の間、注入および/または取水されてもよい。他の場合には、流体は、第1のチャネル内の流体が定常保持される間、注入および/または取水されてもよい。例えば、第1のチャネル内の圧力は、液滴が、第1のチャネルと第2のチャネルとの間の交点に付勢されるように制御されてもよい。次いで、第1のチャネル内の圧力および/または流体流動は、液滴が、その後、交点に定常保持され、それによって、所望の量の流体を液滴中に注入および/またはそこから取水させるように、減少されてもよい。次いで、所望の量の流体が輸送されると、圧力は、上昇されてもよく、および/または流体流動は、交点から離れるように液滴を付勢するために制御されてもよい。
【0059】
いくつかの事例では、第2のチャネルは、流体が、例えば、界面の曲率半径の差異等に依存せず、第1のチャネルから、例えば、流体液滴へあるいはそれから、強制的に注入および/または取水可能であるように、例えば、ポンプまたは他の圧力制御デバイスによって構成されてもよい。
【0060】
第1のチャネル内の流体液滴の流速は、いくつかの実施形態では、上述のように第1のチャネル内の流体液滴と第2のチャネル内の流体との間の圧力または圧力差、一方または両方のチャネル内の流体圧力、第1のチャネルと第2のチャネルとの間のオリフィスのサイズ、第1と第2のチャネルとの間の交点の角度等の要因によって決定され得る。流体圧力は、任意の好適な技法を使用して、例えば、ポンプ、サイフォン圧力等を使用して制御され得る。
【0061】
上述のように、注入および/または取水される流体の体積は、任意の好適な技法を使用して、例えば、種々の流体の圧力、体積流量、印加される電場の強度等を制御することによって制御されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1のチャネル内の流体の流速を使用して、注入および/または取水される流体の体積を制御可能である。これは、第1のチャネル内の流体の流速が、第1のチャネル内の流体液滴の流速を制御するので制御可能であって、流体液滴が、交点に存在し、および/または第2のチャネル内の流体に曝露される時間の量を制御すると考えられる。
【0062】
別の一式の実施形態では、流体間の圧力および/または圧力差を使用して、注入および/または取水される流体の体積を制御してもよい。例えば、圧力を平衡化することによって、流体間の流動が最小にされ得る一方、流体は、流体間の好適な圧力差によって、液滴またはチャネル中に、あるいはそこから流動するように付勢されてもよい。例えば、第2のチャネル内の圧力は、第1のチャネルに対して上昇させられ、流体流動を第1のチャネル中、例えば、第1のチャネル内の液滴中に発生させてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、2つの流体間で交換される流体の体積は、第2の流体に近接する第1の流体の滞留時間を制御することによって、例えば、第1のチャネル内および第2のチャネルの正面に配置される流体の滞留時間を制御することによって、制御されてもよい。非限定的実施例として、第2のチャネルの正面に配置される、第1のチャネル内の液滴中の流体の滞留時間は、第1のチャネル内の流体の流速を変動させることによって、制御されてもよい。すなわち、より滞留時間は、第2のチャネルに対する第1のチャネル内の流体の流速を減速させるか、または流動を停止さえすることによって、達成されてもよい。同様に、より短い滞留時間は、第1のチャネル内の流体の流速を増加させることによって、達成されてもよい。
【0064】
別の一式の実施形態では、印加される電場の持続時間は、例えば、液滴が、第1および第2のチャネルの交点内に配置される間に変動してもよい。例えば、第1のチャネル内と第2のチャネル内との間においてより多くの流体の交換を可能にするために、界面は、より長い時間の周期の間、分断されてもよい。より少ない量の流体交換を可能にするために、界面は、より短い時間の周期の間、分断されてもよい。
【0065】
一式の実施形態では、本明細書に説明されるシステムおよび方法を使用して、第1のチャネルと第2のチャネルとの間で流体を輸送してもよい。例えば、第1のチャネル内の第1の流体は、第2のチャネル内の第2の流体と界面を形成してもよい。第1の流体と第2の流体との間の界面の分断は、図5A−5Bに示されるように、2つの流体間で流体の交換を可能にしてもよい。図5Aでは、第1の流体を含有する第1のチャネル600(流動の方向は、チャネル内の矢印によって示される)は、定常である第2の流体を有する第2のチャネル610に接続される。2つの流体は、電極630が「オフ」状態(または別様に、界面620を分断するために十分な電圧)にあるとき、界面620によって分離される。図5Bでは、電極630は、「オン」状態(すなわち、界面620を分断するために少なくとも十分な電圧)にあって、それによって、界面620の分断を生じさせ、第2のチャネル610内の第2の流体を第1のチャネル600中に流動させる。ある場合には、2つのチャネル間の流体の流動は、例えば、第1または第2のチャネルに圧力を印加するか、第1または第2のチャネルにおける圧力を降下させる等によって、促進されてもよい。上述のように、界面は、電場への界面の曝露等の方法を使用して分断され得る。
【0066】
別の実施例として、第1のチャネルを交差する第2のチャネルの幾何学形状は、ある場合には、流体注入および/または取水に影響を及ぼし得る。いかなる理論にも拘束されることを望むものではないが、流体液滴中への第2のチャネル内の流体の流速は、概して、第2のチャネルの流体力学的抵抗に反比例するので、そのような制御が達成され得ると考えられる。本特性は、いくつかの事例では、第2のチャネルの最狭狭窄によって、特性付けられてもよい。流速は、例えば、適切なチャネル寸法を選択することによって、および/またはチャネル内の流体の圧力を制御することによって、制御されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、流速は、約1mm/秒未満、約100ミクロン/秒未満、約10ミクロン/秒未満、約1ミクロン/秒未満、約100nm/秒未満、約10nm/秒未満、約1nm/秒未満等であってもよい。
【0067】
ある実施形態では、上述のように、第2のチャネルは、第2のチャネルが交差する第1のチャネル内の流体から流体を取水するために使用されてもよい。ある場合には、第1のチャネル内の流体は、第2のチャネル内の流体よりも高い圧力を有するように制御されてもよい。これは、種々の方法で達成されてもよい。いくつかの事例では、例えば、第1のチャネル内の流体液滴および第2のチャネル内の流体の曲率半径は、流体液滴の曲率半径が、第1のチャネルと接合する第2のチャネル内の流体の曲率半径より小さくなるように制御されてもよい。例えば、流体液滴は、第1のチャネル内で制御され、より小さい曲率半径を有する流体液滴をもたらしてもよい。別の実施形態では、第2のチャネルの断面積(または、第2のチャネルのオリフィスの断面積)は、第2のチャネルから第1のチャネル中に流入する流体の曲率半径が、第1のチャネル内の液滴に対してより大きくなるように増加させられてもよい。
【0068】
ある場合には、チャネルの内部は、チャネルの湿潤度を変更するように修正されてもよい。例えば、第2のチャネル等のチャネルは、第2のチャネルから第1のチャネル中に流入する流体が、第2のチャネルの内側に負の曲率を採用可能なように修正されてもよい(すなわち、凹面構成であって、凹面は、第2のチャネルから第1のチャネル中に突出するのとは対照的に、第2のチャネル中に牽引されるように画定される)。そのような事例では、例えば、第2のチャネルは、第1のチャネル内の流体、例えば、第1のチャネル内に含有される液滴から、流体を高速に取水可能であってもよい。表面の親水性または疎水性を制御あるいは改変するための技法の実施例は、2009年2月11日出願のAbateらの国際特許出願第PCT/US2009/000850号「Surfaces,Including Microfluidic Channels,With Contorlled Wetting Properties」に開示されており、参照することによって、全体として本明細書に組み込まれる。
【0069】
いくつかの実施形態では、システムは、多重チャネルおよび/または電極を含んでもよい。そのようなシステムを使用して、例えば、多重注入/取水動作を、例えば、連続して行ってもよい。例えば、図3は、流体液滴中への流体の注入を説明する時間シーケンスを描写する。本図では、複数の注入システムが、直列に配列されている。注入システムはそれぞれ、チャネル中に注入される同一または異なる流体を含有してもよい。例えば、ある事例では、単一流体液滴が、例えば、複数の注入システムの使用によってチャネルを通って流動するときに、複数の異なる流体によって注入されてもよい。別の実施例として、いくつかの実施形態では、第1の一式の流体液滴は、第1の流体によって注入されてもよく、第2の一式の流体液滴は、第2の流体によって注入されてもよい。
【0070】
特有の非限定的実施例として、図3は、電極400、405、および410を示し、電極400および405は、「オフ」状態である(例えば、ゼロ電場、または界面を分断するために少なくとも十分な閾値レベルを下回る電場)。電極410は、「オン」状態にあって、界面を分断するために十分な電場を印加する。着色された流体を含有するチャネル430および432を通過して移動する流体液滴420は、チャネル435とチャネル430および432との交点に電場をそれぞれ印加可能である、電極400および405が、「オフ」状態にあるため、着色された流体によって注入されていない。しかしながら、流体液滴420は、電極410が、「オン」状態にあるため、チャネル435とチャネル434の交点にある間、チャネル434からの着色された流体によって注入される。
【0071】
多重注入を行うための他の配列は、当業者には明白となるであろう。多重注入を使用して、例えば、流体液滴の組み合わせライブラリを生じさせてもよく、そこでは、各流体液滴は、注入内容、注入量(すなわち、濃度、体積等)、注入の時間(すなわち、異なる時間の周期)等の特性によって差別化される、注入の一意の組み合わせを有する。
【0072】
本発明の別の側面は、概して、マイクロ流体チャネル等のチャネル内に含有される複数の液滴タイプに関する。本明細書に説明されるもの等のシステムを使用することによって、液滴は、例えば、液滴の一部内に含有される色、サイズ、種等に基づいて区別可能であるように、チャネル内で制御されてもよい。したがって、特有の実施例として、複数の液滴の一部の液滴は、第1の液滴タイプの第1の複数の液滴と、例えば、染料を使用することによって、第1の液滴タイプと区別可能な第2の液滴タイプの第2の複数の液滴とを生成するように注入されてもよい。特性を区別するために潜在的に好適な他の実施例は、組成、濃度、密度等、透過率、不透過率、屈折率等の光学特性、または静電容量、伝導性、抵抗率等の電気特性を含む。
【0073】
一式の実施形態では、本明細書に説明されるシステムおよび方法を使用して、チャネル内の液滴のいずれかの任意のパターンが、例えば、任意、無作為、反復シーケンスの符号化等によって、注入されてもよい。例えば、液滴は、(例えば、第1と第2の液滴タイプとの間で)交互に注入されてもよく、または図4Aおよび4Bに示されるように、流体液滴は、より長い反復または任意のパターンで注入され、反復単位、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、15、20等以上の液滴の反復単位内に任意の数の液滴を含有してもよい(少なくとも2回、チャネル内で反復され、反復パターンを産生する)。例えば、図4Aは、2つの隣接する液滴が、染料を注入されるが、その後、3つの隣接する液滴が、染料を注入されず、それによって、5液滴反復単位を生成する実施形態を例示する。図4Bでは、15液滴反復単位が例示される。
【0074】
加えて、液滴のより複雑なシーケンスが、ある実施形態によると、2つのタイプを超える液滴を使用することによって、チャネル内に生成されてもよい。例えば、チャネルは、例えば、上述のように、注入の多重部位を含有してもよく、注入は第1の液滴タイプの第1の複数の液滴、第2の液滴タイプの第2の複数の液滴、および第3の液滴タイプの第3の複数の液滴を生成するように制御されてもよい。他の実施形態では、例えば、第4、第5、第6等、さらに多くの液滴タイプが生成されてもよい。液滴は、任意、無作為、または反復パターン(反復パターンの反復単位を画定する、任意の数の液滴を有してもよい)を含む、任意の好適なパターンに配列されてもよい。
【0075】
別の側面では、チャネル内の圧力は、本明細書に説明されるもの等のシステムを使用して決定されてもよい。例えば、第1のチャネルと第2のチャネルとの間の流体の平衡を決定することによって、チャネル間の圧力または圧力差が決定されてもよい。第1のチャネル内の第1の流体と第2のチャネル内の第2の流体との間の流体界面のサイズまたは形状は、少なくとも部分的に、チャネル間の圧力差の関数である。界面の特性を決定することによって、例えば、界面の曲率半径を決定することによって、界面の片側のチャネル内の圧力が、決定されてもよい。
【0076】
特有の実施例として、第1のチャネルと第2のチャネルとは、交点において交差してもよい。第1のチャネルは、第1の連続液体を含有してもよい。第2のチャネルからの流体が、交点において第1のチャネルに流入すると、流体界面が形成され得る。連続相内の圧力は、第2のチャネルから流入する流体によって、第1のチャネルの部分的または完全な閉塞のために変動し得る。圧力変動を測定するために、ラプラスセンサ等センサが、例えば、図13に示されるように、第1のチャネル800、第2のチャネル810、およびセンサ815との交点の上流の第1のチャネル内に配置されてもよい。第2のチャネル810は、本実施例では、流体を第1のチャネル800中に注入するために使用され、この場合、チャネル810内に新しい液滴820を生成する。サイクルの初期、液滴の流入は、少なくとも部分的に、第1のチャネル800を閉塞し、図13Aに示されるように、第1のチャネル内の圧力を上昇せ、センサ815の界面840を上方に移動させる。しかしながら、液滴820が第2のチャネルから分離すると、圧力が解放され、図13Bに示されるように界面840をセンサ815の下方に移動させる。第2のチャネルを介して産生される液滴は、周期的サイクルにおいて、第1のチャネル内に産生されるので、センサの界面は、周期的に上下に振動する。多サイクルにわたって界面の位置を追跡することによって、第1のチャネル内の圧力変動が、液滴形成の間、決定または定量化され得る。そのような決定の実施例は、実施例4に見られる。
【0077】
例えば、サイクルの初期に、流入液滴が部分的または完全に第1のチャネルを閉塞すると、ラプラスセンサによって記録されるように、交点の上流の第1のチャネル内の圧力の緩徐な上昇が存在する。第1と第2のチャネルの交点におけるオリフィスの閉塞後、上昇圧力は流入液滴に衝突し、液滴を狭小化させ、最終的に摘取し、孤立した液滴を形成する。本事象は、圧力の急降下と一致し得る。
【0078】
本発明の種々の側面では、本明細書に開示される流体システムはまた、液滴形成システム、感知システム、コントローラ、および/または液滴格納および/または分離システム、あるいはこれらのシステムの任意の組み合わせを含んでもよい。そのようなシステムおよび方法は、特定の用途に応じて、任意の好適な順番で配置されてもよく、ある場合には、例えば、2つ以上の液滴形成システム、2つ以上の液滴分離システム等、所与のタイプの多重システムが使用されてもよい。配設の実施例として、本発明のシステムは、液滴を形成する、流体を希釈する、滴内の種の濃度を制御する、液滴を選別し、種または実在物の所望の濃度を有するものを選択する(例えば、液滴はそれぞれ、反応物の1つの分子を含有する)、個々の液滴を融合し、個々の液滴内に含有される種間に反応を生じさせる、1つ以上の液滴内の反応および/または反応速度を決定する等のように配設可能である。多くの他の配設は、本発明に従って実践可能である。
【0079】
本発明の一側面は、液体によって包囲される流体の液滴を産生するためのシステムおよび方法に関する。流体および液体は、多くの場合、実質的に非混和性、すなわち、着目時間尺度(例えば、流体液滴が特定のシステムまたはデバイスを通して輸送されることに要する時間)に基づいて、非混和性であってもよい。ある場合には、液滴はそれぞれ、さらに後述されるように、実質的に同一の形状またはサイズであってもよい。流体はまた、他の種、例えば、ある分子種(例えば、さらに後述されるように)、細胞、粒子等を含有してもよい。
【0080】
一式の実施形態では、電荷が、液体によって包囲される流体上に生成されて、流体を液体内で個々の液滴に分離させ得る。いくつかの実施形態では、流体および液体は、チャネル、例えば、マイクロ流体チャネル、または例えば、液体に対して、流体の移動を制限することによって、流体への電場の印加を促進する、他の制約された空間内に存在してもよい(「AC」または交流、「DC」または直流等であってもよい)。したがって、流体は、液体内に一連の個々の帯電および/または電導性液滴として存在可能である。一実施形態では、流体液滴上に付与される電気力は、液滴を液体内で移動させるために十分大きくあってもよい。ある場合には、流体液滴上に付与される電気力を使用して、例えば、チャネルまたはマイクロ流体チャネルへまたはその中で(例えば、さらに本明細書に説明されるように)等、液体内の液滴の所望の運動を誘導してもよい。
【0081】
電荷は、任意の好適な技法を使用して、例えば、流体を電場(AC、DC等であってもよい)内に置くか、および/または電荷を持たせる反応、例えば、化学反応、イオン反応、光触媒反応等を生じさせることによって、液体内の流体中に生成されてもよい。一実施形態では、流体は、導電体である。本明細書で使用されるように、「導体」は、少なくとも約18メガオーム(MOhmまたはMΩ)水の導電率を有する材料である。流体を包囲する液体は、流体のもの未満の導電率を有してもよい。例えば、液体は、流体に対して絶縁体、または少なくとも「漏洩絶縁体」であってもよく、すなわち、液体は、少なくとも短時間周期の間、少なくとも部分的に、流体を電気的に絶縁可能である。当業者は、流体の導電率を識別可能であろう。一非限定的実施形態では、流体は、実質的に親水性であってもよく、流体を包囲する液体は、実質的に疎水性であってもよい。
【0082】
電場は、いくつかの実施形態では、電場発生器、すなわち、流体に印加可能な電場を生成可能なデバイスまたはシステムから発生される。電場発生器は、AC場(すなわち、時間に対して周期的に変動するもの、例えば、正弦的、鋸歯状、方形等)、DC場(すなわち、時間に対して一定であるもの)、パルス場等を産生してもよい。電場発生器は、チャネルまたはマイクロ流体チャネル内に含有される流体内に電場を生成するように構築および配設されてもよい。電場発生器は、いくつかの実施形態によると、チャネルまたはマイクロ流体チャネルを含有する流体システムと一体型または別個であってもよい。
【0083】
好適な電場(AC、DC等であってもよい)を産生するための技法は、当業者に周知である。例えば、一実施形態では、電場は、流体システム(例えば、チャネルまたはマイクロ流体チャネルを画定する基板内)内に配置される、あるいは埋め込まれる、および/または電場の少なくとも一部が流体と相互作用するように、流体に近接して配置される、一対の電極にわたって、電圧を印加することによって産生される。電極は、銀、金、銅、炭素、白金、銅、タングステン、スズ、カドミウム、ニッケル、インジウムスズ酸化物(「ITO」)等、ならびにそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない、任意の好適な電極材料または当業者に周知の材料から加工可能である。ある場合には、透明または実質的に透明電極を使用可能である。ある実施形態では、電場発生器は、少なくとも約0.01V/マイクロメートル、ある場合には、少なくとも約0.03V/マイクロメートル、少なくとも約0.05V/マイクロメートル、少なくとも約0.08V/マイクロメートル、少なくとも約0.1V/マイクロメートル、少なくとも約0.3V/マイクロメートル、少なくとも約0.5V/マイクロメートル、少なくとも約0.7V/マイクロメートル、少なくとも約1V/マイクロメートル、少なくとも約1.2V/マイクロメートル、少なくとも約1.4V/マイクロメートル、少なくとも約1.6V/マイクロメートル、または少なくとも約2V/マイクロメートルの流体に印加可能な電場を生成するように構築および配設される(例えば、配置される)ことが可能である。いくつかの実施形態では、例えば、少なくとも約2V/マイクロメートル、少なくとも約3V/マイクロメートル、少なくとも約5V/マイクロメートル、少なくとも約7V/マイクロメートル、または少なくとも約10V/マイクロメートル以上のより高い電場強度さえ使用されてもよい。
【0084】
別の側面では、本発明は、2つ以上の流体の混合を発生させるためのシステムおよび方法に関する。例えば、本発明の種々の実施形態では、上述のように、2つ以上の流体液滴を融合または合体可能であってもよく、次いで、融合液滴内において、2つ以上の元の流体液滴からの2つ以上の流体が混合されてもよい。2つの液滴が融合または合体するとき、液滴内の完全混合は、即時には発生しないことに留意されたい。代わりに、例えば、合体された液滴は、最初、第1の流体領域および第2の流体領域から形成されてもよい。ある場合には、流体領域は、別個の領域として残留し、例えば、流体液滴内の内部「反旋回」流動のため、したがって、非均一流体液滴をもたらし得る。
【0085】
しかしながら、他の場合には、流体液滴内の流体領域は、混合、反応、または別様に、相互に相互作用され、混合あるいは部分的に混合された流体液滴をもたらし得る。混合は、例えば、拡散を介して(例えば、領域間の界面を通して)、相互の流体の反応を介して、液滴内の流体の流動を介して(すなわち、対流)等、天然手段を介して発生してもよい。しかしながら、ある場合には、領域の混合は、流体液滴の外部のあるシステムを介して向上されてもよい。例えば、流体液滴を、液滴のその速度および/または移動を変化させる、1つ以上のチャネルまたは他のシステムを通過させてもよい。方向の変化は、液滴内の対流パターンを改変し、流体を少なくとも部分的に混合させ得る。
【0086】
液滴内の流体混合の他の実施例は、Linkらの2004年4月9日出願の国際特許出願第PCT/US2004/010903号に説明されており、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0087】
別の一式の実施形態では、流体の液滴は、例えば、流動集束技法を使用して、流体を誘導し、個々の液滴を形成することが可能なように、チャネル寸法を改変することによって、チャネル内の液体によって包囲される流体から生成可能である。チャネルは、例えば、流体が、チャネル壁に接着せず、代わりに、個々の液滴を生成するように、例えば、流動の方向に対して拡張するチャネル、または流体が個々の液滴に合体するように付勢されるように、流動方向に対して狭小化するチャネルであってもよい。他の実施形態では、また、内部障害を使用して液滴形成を発生させてもよい。例えば、バッフル、リッジ、支柱等を使用して、流体を流体液滴に合体させるように、液体流動を妨害してもよい。
【0088】
液体によって包囲される流体の液滴の産生の他の実施例は、Linkらの2004年4月9日出願の国際特許出願第PCT/US2004/010903号、およびStoneらの2003年6月30日出願の国際特許出願第PCT/US03/20542号(2004年1月8日公開の第WO2004/002627号)に説明されており、それぞれ、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0089】
いくつかの実施形態では、流体液滴はそれぞれ、実質的に同一形状および/またはサイズであってもよい。形状および/またはサイズは、例えば、液滴の平均直径または他の特性的寸法を測定することによって決定可能である。本明細書で使用される用語「決定する」とは、概して、例えば、定量的または定性的な、ある種の分析あるいは測定、および/または該種の有無の検出を指す。用語「決定する」とはまた、例えば、定量的または定性的な、2つ以上の種の間の相互作用の分析または測定、あるいは相互作用の有無を検出することを指す。好適な技法の実施例として、赤外光、吸光、蛍光、紫外/可視、FTIR(「フーリエ変換赤外分光」)、またはラマン等の分光法;重量法;偏光解析法;圧電測定法;免疫学的測定法;電気化学的測定法;光学密度測定法等の光学的測定法;円偏光二色性;例えば、準電気光散乱等の光散乱測定法;偏光分析法;屈折率測定法;または濁度測定法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
複数または一連の液滴群の「平均直径」は、液滴のそれぞれの平均直径の算術平均である。当業者は、例えば、レーザ光散乱、顕微鏡検査、または他の既知の技法を使用して、複数または一連の液滴群の平均直径(または、他の特徴的寸法)を決定することができるであろう。非球形の液滴における液滴の直径は、全表面にわたって積分される液滴の数学的に定義された平均直径である。液滴(および/または複数あるいは一連の液滴)の平均直径は、約1mm未満、約500マイクロメートル未満、約200マイクロメートル未満、約100マイクロメートル未満、約75マイクロメートル未満、約50マイクロメートル未満、約25マイクロメートル未満、約10マイクロメートル未満、または約5マイクロメートル未満であってもよい。液滴の平均直径はまた、ある特定の場合において、少なくとも約1マイクロメートル、少なくとも約2マイクロメートル、少なくとも約3マイクロメートル、少なくとも約5マイクロメートル、少なくとも約10マイクロメートル、少なくとも約15マイクロメートル、または少なくとも約20マイクロメートルであってもよい。
【0091】
本発明のある実施形態では、流体液滴は、付加的実体、例えば、他の化学、生化学、または生物学的実体(例えば、流体中に溶解または懸濁される)、細胞、粒子、ガス、分子等を含有してもよい。ある場合には、液滴はそれぞれ、上述のように、同一形状またはサイズであってもよい。ある事例では、本発明は、本質的に、その中に実質的に均一数のある種の実体(すなわち、分子、細胞、粒子等)から成る液滴の産生を提供する。例えば、約90%、約93%、約95%、約97%、約98%、または約99%以上の複数または一連の液滴はそれぞれ、同一数の特定の種の実体を含有してもよい。例えば、上述のように、産生される実質的数の流体液滴はそれぞれ、例えば、1個の実体、2個の実体、3個の実体、4個の実体、5個の実体、7個の実体、10個の実体、15個の実体、20個の実体、25個の実体、30個の実体、40個の実体、50個の実体、60個の実体、70個の実体、80個の実体、90個の実体、100個の実体等を含有してもよく、その場合、実体は、分子または高分子、細胞、粒子等である。ある場合には、液滴はそれぞれ、ある範囲の実体、例えば、ある場合には、20個未満の実体、15個未満の実体、10個未満の実体、7個未満の実体、5個未満の実体、または3個未満の実体を独立して含有してもよい。一式の実施形態では、流体の液滴を含有する液体中、その一部は、着目種を含有し、その一部は、着目種を含有しないが、流体の液滴は、さらに後述される種を含有する流体のそれらの液滴のために選定または選別されてもよく(例えば、上述のもの等の蛍光法または他の技法を使用して)、ある場合には、液滴は、例えば、上述のように、特定の数または範囲の着目種の実体を含有する流体のそれらの液滴のために選定または選別されてもよい。
【0092】
別の側面では、本発明は、流体液滴を2つ以上の液滴に分裂させるためのシステムおよび方法に関する。流体液滴は、例えば、上述のように、液体によって包囲されてもよく、流体および液体は、ある場合には、本質的に非混和性である。元の流体液滴を分裂させることによって生成される2つ以上の液滴はそれぞれ、実質的に同一形状および/またはサイズであってもよく、あるいは2つ以上の液滴は、元の流体液滴を分裂させるために使用される条件に応じて、異なる形状および/またはサイズを有してもよい。
【0093】
一式の実施形態によると、流体液滴は、印加される電場を使用して分裂可能である。電場は、AC場、DC場等であってもよい。流体液滴は、本実施形態では、包囲液体を上回る導電性を有してもよく、ある場合には、流体液滴は、中性に帯電されてもよい。いくつかの実施形態では、元の流体液滴から産生される液滴は、略同等の形状および/またはサイズである。ある実施形態では、印加される電場では、電荷が流体液滴の内部からその上に分布した表面に移行するように付勢され、それによって、液滴の内部内で受ける電場を消失させてもよい。いくつかの実施形態では、流体液滴の表面上の電荷はまた、印加される電場による力を受け、反対極性を有する電荷を反対方向に移行させてもよい。電荷の移行は、ある場合には、液滴を2つの別個の流体液滴に引き離させ得る。流体液滴に印加される電場は、例えば、反応および電場発生器等の上述の技法を使用して、生成されてもよい。
【0094】
流体液滴を2つの液滴に分裂させる他の実施例は、Linkらの2004年4月9日出願の国際特許出願第PCT/US2004/010903号;Linkらの2003年8月27日出願の米国仮特許出願第60/498,091号;およびStoneらの2003年6月30日出願の国際特許出願第PCT/US03/20542号(2004年1月8日公開の第WO2004/002627号)に説明されており、それぞれ、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0095】
一式の実施形態では、流体液滴は、液滴上に電荷を生成し(例えば、上述のように)、AC場、DC場等であり得る印加される電場を使用して液滴を操向させることによって、誘導されてもよい。実施例として、電場は、流体液滴を特定の領域に誘導する必要に応じて、選択的に印加され、除去されてもよい(または、異なる電場が印加されてもよい)。電場は、いくつかの実施形態では、流体液滴を含有する液体の流動を実質的に改変せずに、必要に応じて選択的に印加され、除去されてもよい。
【0096】
しかしながら、他の実施形態では、流体液滴は、液滴を含有する液体の流動を改変することによって、本発明の流体システム内で選定または選別されてもよい。例えば、一式の実施形態では、流体液滴は、流体液滴を包囲する液体を第1のチャネル、第2のチャネル等に誘導することによって、選定または選別されてもよい。
【0097】
本発明のある側面では、センサは、流体液滴の1つ以上の特性の決定を可能にするように、流体液滴の1つ以上の特性および/または流体液滴を含有する流体システムの一部の特性(例えば、流体液滴を包囲する液体)を感知および/または決定可能なセンサが提供される。液滴に対して決定可能かつ本発発明において使用可能な特性は、当業者によって識別可能である。そのような特性の非限定的実施例として、生物学的物質(例えば、タンパク質、核酸等)等の物質の蛍光性、分光学(例えば、光学、赤外線、紫外線等)、放射線、質量、体積、密度、温度、粘度、pH、濃度等を含む。
【0098】
次に、本発明の種々の側面の理解を補助する種々の定義を提供する。以下は、これらの定義が組み入れられ、本発明をより完全に説明することになるさらなる開示である。
【0099】
留意されるように、本発明の種々の側面は、液体によって包囲される(例えば、懸濁される)流体の液滴に関する。液滴は、特定の用途に応じて、実質的に同一形状および/またはサイズ、あるいは異なる形状および/またはサイズであってもよい。本明細書で使用されるように、用語「流体」は、概して、その容器、すなわち、液体、ガス、粘弾性流体等の外形に流動し、それに一致する傾向にある物質を指す。一般的には、流体は、静的剪断応力に耐えることが不可能な材料であって、剪断応力が印加されると、流体は、継続的かつ永続的な変形を受ける。流体は、流動を可能にする任意の好適な粘度を有し得る。2つ以上の流体が存在する場合、各流体は、流体間の関係を考慮することによって、当業者によって本質的にあらゆる流体(液体、ガス等)の中から独立して選択されてもよい。流体はそれぞれ、混和性または非混和性であってもよい。例えば、2つの流体は、流体の流れの形成の時間枠内、または反応もしくは相互作用の時間枠内で、本質的に、非混和性であるように選択されてもよい。この部分が有意な時間の周期にわたって液体のままであるとき、流体は、本質的に非混和性であるものとする。接触および/または形成の後に、分散された部分が重合等によって急速に硬化される場合、流体は、それほど非混和性である必要はない。当業者は、本発明の種々の技法を実行するために、接触角測定等を使用して、好適な混和性または非混和性流体を選択することが可能である。
【0100】
本明細書で使用されるように、閉ループが第2の実体のみを介して第1の実体の周囲に描かれ得る場合、第1の実体は、第2の実体によって「包囲される」。第2の実体のみを通過する閉ループが、方向(ループの配向)にかかわらず、第1の実体の周囲に描かれ得る場合、第1の実体は、「完全に包囲される」。一実施形態では、第1の実体は、細胞であってもよく、例えば、媒体中に懸濁している細胞は、媒体によって包囲される。別の実施形態では、第1の実体は、粒子である。さらに別の実施形態では、第1の実体は、流体である。第2の実体はまた、ある場合には、流体(例えば、懸濁液、乳剤等におけるように)であってもよく、例えば、親水性液体は、疎水性液体中に懸濁されてもよく、疎水性液体は、親水性液体中に懸濁されてもよく、気泡は、液体中に懸濁されてもよい等である。一般的には、疎水性液体および親水性液体は、本質的に、相互に対して非混和性であって、その場合、親水性液体は、疎水性液体より水に親和性を有する。親水性液体の実施例として、水および水を含む他の水溶液、例えば、細胞または生体媒質、塩溶液等、ならびにエタノール等の他の親水性液体が挙げられるがこれに限定されない。疎水性液体の実施例として、炭化水素、ケイ素樹脂油、鉱石油、フッ化炭素油、有機溶媒等の油が挙げられるがこれに限定されない。好適な流体の他の実施例は、上述の通りである。
【0101】
同様に、本明細書で使用される「液滴」は、第2の流体によって完全に包囲される第1の流体の孤立した部分である。液滴は、必ずしも球形ではなく、例えば、外部環境に応じて、他の形状も取り得ることに留意されたい。一実施形態では、液滴は、液滴が位置する流体流動に垂直なチャネルの最大寸法に実質的に等しい最小断面寸法を有する。
【0102】
上述のように、全部ではないが、一部の実施形態では、本明細書に説明されるシステムおよび方法は、1つ以上のマイクロ流体構成要素、例えば、1つ以上のマイクロ流体チャネルを含んでもよい。本明細書で使用される「マイクロ流体」とは、1mm未満の断面寸法、および少なくとも3:1の長さ対最大断面寸法の比を有する、少なくとも1つの流体チャネルを含む、デバイス、器具、またはシステムを指し、本明細書で使用される「マイクロ流体チャネル」は、これらの基準を満たすチャネルである。チャネルの「断面寸法」は、チャネル内の流体流動の方向に垂直に測定される。したがって、本発明のマイクロ流体のための実施形態では、流体チャネルの一部または全部は、2mm未満、ある場合には、1mm未満の最大断面寸法を有してもよい。一式の実施形態では、本発明の実施形態を含有する全流体チャネルは、マイクロ流体用であるか、または2mmまたは1mm以下の最大断面寸法を有する。ある実施形態では、流体チャネルは、部分的に、単一構成要素(例えば、エッチングされた基板または成形ユニット)によって形成されてもよい。当然のことながら、より大きなチャネル、チューブ、チャンバ、貯蔵器等を使用して、流体を格納し、および/または流体を本発明の種々の構成要素またはシステムに送達可能である。一式の実施形態では、本発明の実施形態を含有するチャネルの最大断面寸法は、500ミクロン未満、200ミクロン未満、100ミクロン未満、50ミクロン未満、または25ミクロン未満である。
【0103】
本明細書で使用される「チャネル」は、少なくとも部分的に、流体の流動を誘導する、物品(基板)上または中の特徴を意味する。チャネルは、任意の断面形状(円形、楕円形、三角形、不整形、正方形、または長方形等)を有することが可能であって、覆われていることも、またはいないことも可能である。それが完全に覆われている実施形態では、チャネルの少なくとも1つの部分は、完全に封入される断面を有することが可能であるか、あるいはチャネル全体が、その入口および/または出口を除いて、その全長に沿って完全に封入されてもよい。チャネルはまた、少なくとも2:1、一般的には、少なくとも3:1、5:1、10:1、15:1、20:1以上の縦横比(長さ対平均断面寸法)を有してもよい。開放チャネルは、概して、流体輸送の制御を促進する特性、例えば、構造的特性(細長い凹み)および/または物理的あるいは化学的特性(疎水性対親水性)、もしくは流体に力(例えば、含有力)を及ぼすことができる他の特性を含む。チャネル内の流体は、チャネルを部分的または完全に充填してもよい。開放チャネルが使用されるある場合には、流体は、表面張力(すなわち、凹面または凸面メニスカス)を使用して、チャネル内に保持されてもよい。
【0104】
チャネルは、例えば、約5mmまたは2mm未満、あるいは約1mm未満、もしくは約500ミクロン未満、約200ミクロン未満、約100ミクロン未満、約60ミクロン未満、約50ミクロン未満、約40ミクロン未満、約30ミクロン未満、約25ミクロン未満、約10ミクロン未満、約3ミクロン未満、約1ミクロン未満、約300nm未満、約100nm未満、約30nm未満、または約10nm未満の流体流動に垂直な最大寸法を有する任意のサイズであてもよい。ある場合には、チャネルの寸法は、物品または基板を通して自由に流動することが可能であるように選択されてもよい。チャネルの寸法はまた、例えば、チャネルの中の流体のある特定の体積流量または線流量を可能にするように選択されてもよい。当然のことながら、チャネルの数およびチャネルの形状は、当業者に既知の任意の方法によって変動させられ得る。ある場合には、2つ以上のチャネルまたは毛細管が使用されてもよい。例えば、2つ以上のチャネルが使用されてもよく、その場合は、それらは、相互の内側に配置されるか、相互に隣接して配置されるか、相互に交差して配置される等であってもよい。
【0105】
一式の実施形態では、流体液滴は、タンパク質、ウイルス、高分子、粒子等の細胞または他の実体を含有してもよい。本明細書で使用されるように、「細胞」は、生物学で使用されるその通常の意味が与えられる。細胞は、任意の細胞または細胞タイプであってもよい。例えば、細胞は、細菌または他の単細胞有機体、植物細胞、あるいは動物細胞であってもよい。
【0106】
種々の材料および方法が、本発明のある側面によると、上述の本発明のシステムおよびデバイスのいずれかを形成するために使用可能である。ある場合には、選択される種々の材料は、種々の方法に役立つ。例えば、本発明の種々の構成要素は、固体材料から形成可能であって、その場合、チャネルは、マイクロマシニング、スピンコーティングおよび化学蒸着等の膜蒸着プロセス、レーザ加工、フォトリソグラフィ技法、湿式化学またはプラズマプロセスを含むエッチング法等によって形成され得る。例えば、Scientific American248:44−55(1983)(Angellら)を参照されたい。一実施形態では、流体システムの少なくとも一部は、シリコンチップに特徴をエッチングすることによって、シリコンから形成される。ある場合には、1つ以上のマイクロ流体チャネルは、固体材料に画定されてもよく、ある場合には、種々のマイクロ流体チャネルは、物理的にともに接触した別個の固体または平面材料内に画定されてもよい。例えば、第1の平面材料は、第1の流体チャネルを含有してもよく、第2の平面材料は、第2の流体チャネルを含有してもよく、その場合、材料は、物理的にともに接触しており、流体が、上述のシステムおよび方法を使用して、第2のチャネルから第1のチャネルの中に、例えば、オリフィスを通して流動可能であるように、第1と第2の平面材料との間にオリフィスが画定される。シリコンからの本発明の種々の流体システムおよびデバイスの精密かつ効率的な加工のための技術は、既知である。別の実施形態では、本発明のシステムおよびデバイスの種々の構成要素は、ポリマー、例えば、ポリジメチルシロキサン(「PDMS」)またはポリテトラフルオロエチレン(「PTFE」またはTeflon(登録商標))等のエラストマーポリマーから形成可能である。
【0107】
異なる構成要素は、異なる材料から加工可能である。例えば、底壁および側壁を含む基部は、シリコンまたはPDMS等の不透明材料から加工可能であって、上部は、流体プロセスの観察および/または制御のために、ガラスまたは透明ポリマー等の透明または少なくとも部分的に透明な材料から加工可能である。構成要素は、基部支持材料が正確な所望の機能性を有しない場合、所望の化学的機能性を内部チャネル壁に接触する流体に曝露するように被覆可能である。例えば、構成要素は、例示されるように、別の材料で被覆される内部チャネル壁を伴って加工可能である。本発明のシステムおよびデバイスの種々のデバイスを加工するために使用される材料は、例えば、流体チャネルの内壁を被覆するために使用される材料は、望ましくは、流体システムを通って流動する流体に悪影響を及ぼさないか、または該流体による悪影響を受けない材料、例えば、デバイス内で使用される流体の存在下で、化学的に不活性である材料の中から選択されてもよい。
【0108】
一実施形態では、本発明の種々の構成要素は、ポリマーおよび/または可撓性および/またはエラストマー材料から加工され、および成形(例えば、レプリカ成形、射出成形、注型成形等)を介した加工を容易にする硬化性流体から便宜的に形成可能である。硬化性流体は、流体ネットワーク構造内でおよびそれによって使用されることが想定される流体を含有および/または輸送することが可能な固体に凝固するように誘発され得るか、または自発的に凝固するか、本質的に任意の流体技術であることが可能である。一実施形態では、硬化性流体は、ポリマー液体または液体ポリマー前駆体(すなわち、「プレポリマー」)を含む。好適なポリマー液体として、例えば、熱可塑性物質ポリマー、熱硬化性ポリマー、それらの融点を超えて加熱されるそのようなポリマーの混合物が挙げられ得る。別の実施例として、好適なポリマー液体は、好適な溶媒中に1つ以上のポリマーの溶液を含んでもよく、溶液は、例えば、蒸発による溶媒の除去に応じて、固体ポリマー材料を形成する。例えば、溶融状態から、または溶媒蒸発によって、凝固可能なそのようなポリマー材料は、当業者に周知である。種々のポリマー材料はまた、それらの多くがエラストマーであるが、鋳型マスターのうちの片方または両方がエラストマー材料から成る実施形態の場合、鋳型あるいは鋳型マスターを形成するのにも好適である。そのようなポリマーの非限定的実施例として、ケイ素樹脂ポリマー、エポキシポリマー、およびアクリレートポリマーの一般的種類のポリマーが挙げられる。エポキシポリマーは、エポキシ基、1,2−エポキシド、またはオキシランと一般的に称される三員環エーテル基の存在によって特徴付けられる。例えば、芳香族アミン、トリアジン、および脂環式骨格に基づく化合物に加えて、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルが使用可能である。別の実施例として、周知のノボラックポリマーが挙げられる。本発明による使用に好適なケイ素樹脂エラストマーの非限定的実施例として、メチルクロロシラン、エチルクロロシラン、およびフェニルクロロシラン等のクロロシランを含む、前駆体から形成されるものが挙げられる。
【0109】
ケイ素樹脂ポリマーは、一式の実施形態では、例えば、ケイ素樹脂エラストマーポリジメチルシロキサンが好ましい。PDMSポリマーの非限定的実施例として、ポリジメチルシロキサンポリマーとしては、Dow Chemical Co.,Midland,MIによってSylgardの商標で販売されているもの、特に、Sylgard182、Sylgard184、およびSylgard186が挙げられる。PDMSを含むケイ素樹脂ポリマーは、本発明のマイクロ流体構造の加工を単純化するいくつかの有益な特性を有する。例えば、そのような材料は、安価に容易に入手可能であり、熱による硬化によってプレポリマー液体から凝固可能である。例えば、PDMSは、一般的には、例えば、約1時間の曝露時間の間、例えば、約65℃〜約75℃の温度へのプレポリマー液体の曝露によって硬化可能である。また、PDMS等のケイ素樹脂ポリマーは、エラストマーであることが可能であって、したがって、本発明のある実施形態に必要な比較的高い縦横比を有する非常に小さい特徴を形成することに有用であり得る。可撓性(例えば、エラストマー)鋳型またはマスターは、この点において有利であり得る。
【0110】
PDMS等のケイ素樹脂ポリマーから、本発明のマイクロ流体構造等の構造を形成する1つの利点は、酸化構造が、それらの表面において他の酸化ケイ素樹脂ポリマー表面または種々の他のポリマーおよび非ポリマー材料の酸化表面と架橋することが可能な化学基を含有するように、そのようなポリマーが、例えば、空気プラズマ等の酸素含有プラズマへの曝露によって酸化される能力である。したがって、構成要素が加工され、次いで、酸化され、別個の接着剤または他の密閉手段を必要とすることなく、本質的に、他のケイ素樹脂ポリマー表面、あるいは酸化ケイ素樹脂ポリマー表面と反応する他の基板の表面に不可逆的に密閉可能である。ほとんどの場合、密閉は、密閉を形成するための補助圧力を印加する必要がなく、単に酸化ケイ素樹脂表面を別の表面に接触させることによって達成可能である。すなわち、予め酸化されたケイ素樹脂表面は、好適な係合表面に対する接触接着剤として作用する。具体的には、それ自体に不可逆的に密閉可能であることに加えて、酸化PDMS等の酸化ケイ素樹脂はまた、PDMS表面と同様の方法で酸化させられた(例えば、酸素含有プラズマへの曝露を介して)ガラス、シリコン、酸化シリコン、石英、窒化シリコン、ポリエチレン、ポリスチレン、ガラス状炭素、およびエポキシポリマーを含む、それ自体以外の様々な酸化材料に不可逆的に密閉可能である。本発明の関連で有用な酸化および密閉方法ならびに全体的成形技法は、当分野において、例えば、「Rapid Prototyping of Microfluidic Systems and Polydimethylsiloxane」Anal.Chem.,70:474−480、1998(Duffyら)という記事に説明されており、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0111】
酸化ケイ素樹脂ポリマーから本発明のマイクロ流体構造(または、内部、流体接触表面)を形成する別の利点は、これらの表面が、一般的なエラストマーポリマーの表面よりもはるかに親水性であり得ることである(親水性内面が望ましい場合)。したがって、そのような親水性チャネル表面は、一般的な非酸化エラストマーポリマーまたは他の疎水性材料から成る構造よりも容易に、水溶液で充填および湿潤可能である。
【0112】
一実施形態では、底壁は、1つ以上の側壁または頂壁、あるいは他の構成要素とは異なる材料から形成される。例えば、底壁の内面は、シリコンウエハーまたはマイクロチップ、あるいは他の基板の表面を含むことができる。他の構成要素は、上述のように、そのような代替基板に密閉可能である。ケイ素樹脂ポリマー(例えば、PDMS)を含む構成要素を異なる材料の基板(底壁)に密閉することが望ましい場合、基板は、酸化ケイ素樹脂ポリマーが不可逆的に密閉することが可能である材料の群から選択されてもよい(例えば、ガラス、シリコン、酸化シリコン、石英、窒化シリコン、ポリエチレン、ポリスチレン、エポキシポリマー、および酸化されたガラス状炭素表面)。代替として、当業者に明らかとなるように、別個の接着剤、熱結合、溶媒結合、超音波溶接等の使用を含むが、それらに限定されない、他の密閉技法が使用可能である。
【0113】
流体の制御および操作のこれらのおよび/または他のシステムおよび方法の組み合わせもまた、想定され、例えば、システムおよび方法は、Linkらの2006年2月23日出願の米国特許出願第11/360,845号、Kumarらの1996年4月30日発行の米国特許第5,512,131号、Whitesidesらの1996年6月26日公開の国際特許公報第WO96/29629号、Kimらの2002年3月12日発行の米国特許第6,355,198号、Andersonらの2001年5月25日出願の国際特許出願第PCT/US01/16973号(2001年11月29日公開の第WO01/89787号)、Stoneらの2003年6月30日出願の国際特許出願第PCT/US03/20542号(2004年1月8日公開の第WO2004/002627号)、Linkらの2004年4月9日出願の国際特許出願第PCT/US2004/010903号、Linkらの2005年10月7日出願の米国特許出願第11/246,911号、およびWeitzらの2008年9月19日出願の米国特許出願第61/098,674号に開示されており、それぞれ、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0114】
以下の実施例は、本発明のある実施形態を例示することを意図しているが、本発明の全範囲を例示するものではない。
【0115】
(実施例1)
本実施例は、流体液滴中への流体注入を実証する。実施例1、2、および3のそれぞれでは、図4Aおよび4Bに示されるもの等の単層PDMSマイクロ流体デバイスを加工した。これらの実施例では、比較的に低い多分散性を有する油中水乳剤液滴を、オリフィスを通過して流動させ、そこで、電場を印加して、ブロモフェノール染色流体を液滴中に注入した。液滴は、蛇行チャネル(例えば、図4Aおよび4Bに示されるように)を通過し、そこで、ブロモフェノール染料は液滴内側の流体と混合した。次いで、液滴は、レーザビーム/PMT(光電子増倍管)装置および顕微鏡カメラを通過して流動し、両方とも、液滴内側の光強度を捕捉した。各液滴の体積は、注入に先立って既知であって、本質的に同一であるので、注入されるブロモフェノール染色流体の量は、注入後の液滴の強度の変化から決定可能であった。一貫性を保証するために、PMT/レーザからの測定をカメラによって捕捉された画像と比較した。約1,000液滴を、各データ点に対してサンプリングした。そのような実験の実施例が図6に示される。本図では、個数サイズ分布は、流体が、比較的に狭小の分布を伴って液滴中に注入されたことを示す。
【0116】
(実施例2)
本実施例は、連続相(すなわち、「外相」)流速を変動させることによって、液体注入を制御することを実証する。実施例1に論じられたものに類似するシステムを本実施例のために使用した。外相流速は、体積駆動注射器ポンプによって設定され、他の動作条件(すなわち、印加される電圧)を一定に維持しながら、変動させた。図7Aに示されるように、外相流速が増加することに伴って液滴の滞留時間が短縮され、注入される流体の体積の減少をもたらす。したがって、外相流速を制御することによって、液滴中に注入される流体の量は容易に制御可能であった。
【0117】
(実施例3)
本実施例は、注入圧力を変動させることによって、液体注入を制御することを実証する。実施例1に論じられたものに類似するシステムを、本実施例のために使用した。ブロモフェノール染料を含有する、第2のチャネルに続く流体管が調整器制御圧搾空気によって送出される耐圧容器内に置かれた。注入圧力が上昇するのに伴って、注入体積は、図7Bに示されるように、増加した(ps単位の圧力)。故に、注入圧力を制御することによって、液滴中に注入される流体の量が、容易に制御可能であった。
【0118】
(実施例4)
本実施例は、本発明の別の実施形態における局所的かつ高時間分解能を伴う流体チャネル内の圧力の実証を例示する。
【0119】
図12は、本実施例において使用され、局所的かつ高い時間分解能によってチャネル圧力を測定するラプラスセンサを例示する。図12Aでは、第1のチャネル850と第2のチャネル860とは、交点870で合流する。しかしながら、交点870の前においては、第1のチャネル850と第2のチャネル860とは、実質的に、相互に平行に走る。第2のチャネルは、交点870におけるオリフィス865で終端する。第1のチャネル850は、第1の外側流体を含有する一方、第2のチャネル860は、第2の内側流体を含有する(これらの図では、流体は、異なる色として表出し、用語「内側」および「外側」は、明確にする目的のためだけに使用される)。これらの流体間の流体界面は、2つの流体の圧力を調節することによって、オリフィスにおいて平衡化される。第1および第2のチャネル内の圧力を制御することによって、図12Bに示されるように、2つの流体間の界面は、界面にわたる圧力ジャンプが内側と外側との圧力差に等しくなるように、固定した曲率を有する形状をとるように制御され得る。図12Cでは、オリフィスの平面下方の界面の距離を測定することによって、隆起の曲率半径を計算可能である。ラプラスの法則を使用して、これは、次いで、例えば、界面の場所の光学測定を使用して、チャネル内の圧力を計算するために使用可能である。
【0120】
以下は、どのように界面の場所を使用して、チャネル内の圧力を計算可能であるかの説明である。しかしながら、本議論は、限定を意味するものではないことを理解されたい。2つの流体間の界面がオリフィス内で平衡化されると、内側(第2)と外側(第1)流体との間の圧力差は、
out−Pin=γ/r
のように界面を横断するラプラス圧力ジャンプと等しくなる。
【0121】
固定のPinに対して、界面の曲率半径rは、Poutに依存する。Poutが小さい場合、界面は、オリフィス内に比較的浅く配置され、高い曲率の形状をとる一方、大きい場合、オリフィス内に比較的に深く配置され、より小さい曲率を有する平坦形状をとる。圧力が時間的に変動すると、界面は、各瞬間に機械的均衡を維持するように移動し得る。したがって、r(t)の値を使用して、各時間点におけるPout(t)を間接的に計算可能である。r(t)を求めるためにh(t)が決定され得、その場合、h(t)は、図12に示されるように、オリフィスの平面からの界面の最低部分の距離である。例えば、円形オリフィスの場合、
r(t)=1/2[h(t)+d/h(t)]
である。Pout(t)=γ/r(t)+Pinであるので、これは、界面の運動を光学的に追跡することによって、圧力変動を決定することが可能にする。
【0122】
本発明のいくつかの実施形態が、説明および例示されたが、当業者は、本明細書に説明される機能を実行するための、および/または結果および/または1つ以上の利点を得るための種々の他の手段および/または構造を容易に想起し、そのような変形例および/または修正例のそれぞれは、本発明の範囲内に入るものと見なされる。より一般的に、当業者は、本明細書に説明される全てのパラメータ、寸法、材料、および構成が例示的であるよう意図され、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、本発明の教示が使用される特有の用途に依存することを容易に理解するであろう。当業者は、単なる日常的な実験を使用して、本明細書に記載する本発明の特有の実施形態の多くの同等物を認識するか、または確認することが可能である。したがって、上述の実施形態は、ほんの一例として提示され、添付の特許請求の範囲およびその同等物の範囲内で、本発明は、具体的に説明され、請求される以外に実践されてもよいことを理解されたい。本発明は、本明細書に説明されるそれぞれの個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象とする。さらに、そのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が相互に矛盾しない場合、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組み合わせが本発明の範囲内に含まれる。
【0123】
本明細書で定義および使用される全定義は、辞書の定義、参照することによって組み込まれる本書中の定義、および/または定義された用語の通常の意味に優先するものと理解されたい。
【0124】
本明細書および請求項で使用される不定冠詞「a」および「an」は、それとは反対であることが明示的に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味にするものと理解されたい。
【0125】
本明細書および請求項で使用される語句「および/または」は、そのように結合される要素の「一方または両方」を意味する、すなわち、要素は、ある場合には、結合的存在し、他の場合には、離接的に存在するものと理解されたい。「および/または」とともに列挙される多重要素は、同一方式で、すなわち、そのように結合された要素の「1つ以上」であると解釈されるべきである。他の要素は、随意に、具体的には識別されたそれらの要素に関連または非関連であるかどうかにかかわらず、「および/または」節によって具体的に識別された要素以外にも存在し得る。したがって、非限定的実施例として、「Aおよび/またはB」の参照は、「含む」等の非制約的用語と併用されるとき、一実施形態では、Aのみ(随意に、B以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(随意に、A以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(随意に、他の要素を含む)等を指すことが可能である。
【0126】
本明細書および請求項で使用されるように、「または」は、上述のように、「および/または」と同一の意味を有するものと理解された。例えば、列挙内で項目を分離するとき、「または」あるいは「および/または」は、含有として解釈されるものとし、すなわち、少なくとも1つの含有であるが、また、要素の数または列挙の1つ以上、および随意に、付加的列挙されない項目も含む。「のうちの1つのみ」または「のうちの正確に1つ」等のそれとは反対であることが明示的に示された用語のみ、あるいは請求項で使用されるとき、「から成る」は、要素の数または列挙のうちの正確に1つのみの要素の含有を指すであろう。一般に、本明細書で使用される用語「または」は、「一方」、「のうちの1つ」、「のうちの1つのみ」、または「のうちの正確に1つ」等の排他性の用語によって先行されるとき、排他的代替(すなわち「一方または他方であるが、両方ではない」)を示すようにのみ解釈されるものとする。「から本質的に成る」とは、請求項で使用されるとき、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0127】
本明細書および請求項で使用されるように、語句「少なくとも1つ」は、1つ以上の要素の列挙の参照において、要素の列挙内の要素の任意の1つ以上から選択されるが、必ずしも、要素の列挙内に具体的に列挙されたすべての要素のうちの少なくとも1つを含むものではなく、要素の列挙内の要素の任意の組み合わせを除くものでもない、少なくとも1つの要素を意味するものと理解されたい。本定義はまた、要素が、具体的に識別されたそれらの要素に関連または非関連かにかかわらず、語句「少なくとも1つ」が指す要素の列挙内で具体的に識別される要素以外に存在してもよいことを許容する。したがって、非限定的実施例として、「AおよびBのうちの少なくとも1つ」(または、同等に、「AまたはBのうちの少なくとも1つ」、あるいは、同等に、「Aおよび/またはBのうちの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つであって、随意に、1つ以上のAを含み、Bは存在せず(および、随意に、B以外の要素を含む)、別の実施形態では、少なくとも1つであって、随意に、1つ以上のBを含み、Aは存在せず(および、随意に、A以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、少なくとも1つであって、随意に、1つ以上のAを含み、かつ少なくとも1つであって、随意に、1つ以上のBを含む(および、随意に、他の要素を含む)等を指すことが可能である。
【0128】
また、それとは反対であることが明示的に示されない限り、本明細書に請求されるいずれの方法でも、2つ以上のステップまたは作用を含み、方法のステップまたは作用の順番は、必ずしも、方法のステップまたは作用が挙げられた順番に限定されないものと理解されたい。
【0129】
請求項ならびに上述の明細書中、「備える」、「含む」、「担持する」、「有する」、「含有する」、「伴う」、「保持する」、「から構成される」等の、全ての移行句は、非制約的である、すなわち、「〜を含むが、それに限定されない」ことを意味すると理解されたい。「〜から成る」および「本質的に〜から成る」という移行句のみが、United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures,Section 2111.03で説明されているように、それぞれ、制約的または半制約的移行句となるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のマイクロ流体チャネルと、該第1のマイクロ流体チャネルに交点において接触する第2のマイクロ流体チャネルとを含むマイクロ流体システムを提供することと、
該第1のマイクロ流体チャネル内の第1の流体と、該第2のマイクロ流体チャネル内の第2の流体とを提供することであって、該第1の流体と該第2の流体とは、該交点内において少なくとも部分的に相互に接触して流体界面を画定する、ことと、
電場を該界面に印加して、該第2の流体が該第1のマイクロ流体チャネルに流入するように付勢することであって、該電場が存在しない場合に、該第2の流体は、該第1のマイクロ流体チャネルに流入するようには付勢されない、ことと
を含む、方法。
【請求項2】
圧力を前記第2のマイクロ流体チャネル内に含有される前記第2の流体に印加することをさらに含み、該圧力は、該第2の流体の少なくとも一部を前記第1の流体に流入させて液滴を形成することに十分である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の流体は、運搬流体内に含有される複数の液滴として前記第1のマイクロ流体チャネル内に存在する、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
第2の液滴が、前記電場が印加されている間に、前記第1のマイクロ流体チャネル内において液滴を形成するように付勢される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の液滴は、前記第1のマイクロ流体チャネル内に含有される運搬流体内に含有される前記第1の流体の液滴の中へと付勢される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の流体の液滴は、前記運搬流体によって完全に包囲される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のマイクロ流体チャネルは、前記第1の流体を運搬するために、前記交点に対して入口部分と、出口部分とを含有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2のマイクロ流体チャネルは、前記第2の流体を運搬するために、前記交点に対して入口部分のみを含有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
第1のマイクロ流体チャネルと、該第1のマイクロ流体チャネルに交点において接触する第2のマイクロ流体チャネルとを含むマイクロ流体システムを提供することと、
該第1のマイクロ流体チャネル内の第1の流体と、該第2のマイクロ流体チャネル内の第2の流体とを提供することであって、該第1の流体と該第2の流体とは、該交点内において少なくとも部分的に相互に接触して流体界面を画定する、ことと、
電場を該界面に印加して、該流体を該第1のマイクロ流体チャネルから該第2のマイクロ流体チャネルの中へと付勢することであって、該電場が存在しない場合に、該第1の流体は、該第2のマイクロ流体チャネルに流入するようには付勢されない、ことと
を含む、方法。
【請求項10】
第1のマイクロ流体チャネルと、
該第1のマイクロ流体チャネルに交点において接触する第2のマイクロ流体チャネルであって、該第2のマイクロ流体チャネルの平均断面寸法の多くて約90%の面積を有するオリフィスを介して該交点に接続する第2のマイクロ流体チャネルと、
該第1のマイクロ流体チャネルおよび該第2のマイクロ流体チャネルの両側に配置される第1および第2の電極と
を含む、マイクロ流体装置。
【請求項11】
前記第1のマイクロ流体チャネル、前記第2のマイクロ流体チャネル、前記第1の電極、および前記第2の電極は、平面がこれらの各々と交差するように配置される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第2のマイクロ流体チャネルは、前記交点より前において、前記第1のマイクロ流体チャネルと実質的に平行である、請求項10または11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記第1のマイクロ流体チャネルは、前記第2のマイクロ流体チャネルとの前記交点を通って実質的に線状である、請求項10〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記第1のマイクロ流体チャネルは、第1の平面材料内に画定され、前記第2のマイクロ流体チャネルは、第2の平面材料内に画定される、請求項10〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記オリフィスは、前記第1の平面材料と前記第2の平面材料とが、物理的に相互に接触する場所に画定される、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
第1のマイクロ流体チャネルと、
該第1のマイクロ流体チャネルに交点において接触する第2のマイクロ流体チャネルであって、該第2のマイクロ流体チャネルの平均断面寸法の多くて約90%の面積を有するオリフィスを介して該交点に接続する第2のマイクロ流体チャネルと、
該第1のマイクロ流体チャネルと同一の側に配置される第1および第2の電極と
を含む、マイクロ流体装置。
【請求項17】
第1の液滴タイプの第1の複数の液滴と、該第1の液滴タイプと区別可能な第2の液滴タイプの第2の複数の液滴とを含むマイクロ流体チャネルであって、該第1および第2の液滴タイプは、該マイクロ流体チャネルの中に反復パターンを画定し、該反復パターンは、少なくとも2回反復し、および2つ以上の液滴を含む反復単位を有する、マイクロ流体チャネルを含む、物品。
【請求項18】
前記第1の液滴タイプの液滴と前記第2の液滴タイプの液滴とは、前記マイクロ流体チャネル内において交互に反復する、請求項17に記載の物品。
【請求項19】
前記第1の複数の液滴および前記第2の複数の液滴はともに、該液滴の多くて約5%が、平均直径の約10%を越える直径を有するように直径の分布を有する、請求項17〜18のいずれか一項に記載の物品。
【請求項20】
前記第1の複数の液滴と前記第2の複数の液滴とは、色によって区別可能である、請求項17〜19のいずれかに記載の物品。
【請求項21】
前記第1の複数の液滴と前記第2の複数の液滴とは、サイズによって区別可能である、請求項17〜20のいずれか一項に記載の物品。
【請求項22】
前記第1の複数の液滴と前記第2の複数の液滴とは、該第1の複数の液滴内に含有される種によって区別可能である、請求項17〜21のいずれか一項に記載の物品。
【請求項23】
前記種は、着色される、請求項17〜22のいずれか一項に記載の物品。
【請求項24】
前記反復単位は、少なくとも3液滴を含む、請求項17〜23のいずれか一項に記載の物品。
【請求項25】
前記反復単位は、少なくとも5液滴を含む、請求項17〜24のいずれか一項に記載の物品。
【請求項26】
前記反復単位は、少なくとも10液滴を含む、請求項17〜25のいずれか一項に記載の物品。
【請求項27】
前記マイクロ流体チャネルは、第1の液滴タイプの第1の複数の液滴と、該第1の液滴タイプと区別可能な第2の液滴タイプの第2の複数の液滴と、該第1および第2の液滴タイプと区別可能な第3の液滴タイプの第3の複数の液滴とを含み、
該第1、第2、および第3の液滴タイプは、該マイクロ流体チャネル内に、少なくとも2回反復する反復パターンを画定する、請求項17〜26のいずれか一項に記載の物品。
【請求項28】
第1のマイクロ流体チャネルと、該第1のマイクロ流体チャネルに交点において接触する第2のマイクロ流体チャネルとを含むマイクロ流体システムを提供することと、
該第1のマイクロ流体チャネル内の第1の流体と、該第2のマイクロ流体チャネル内の第2の流体とを提供することであって、該第1の流体と該第2の流体とは、該交点内において相互に少なくとも部分的に接触して流体界面を画定する、ことと、
該第2の流体を該第1のマイクロ流体チャネルに流入するように付勢することであって、電場が該界面に印加されると、該第2の流体は、該第1のマイクロ流体チャネルへの流入が少なくとも部分的に阻止される、ことと
を含む、方法。
【請求項29】
前記第1の流体は、運搬流体内に含有される複数の液滴として前記第1のマイクロ流体チャネル内に存在する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の液滴は、前記印加される電場がない場合に、前記第1のマイクロ流体チャネル内において液滴を形成するように付勢される、請求項28または29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の液滴は、前記第1のマイクロ流体チャネル内に含有される運搬流体内に含有される前記第1の流体の液滴の中へと付勢される、請求項28〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の流体の液滴は、前記運搬流体によって完全に包囲される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記第1のマイクロ流体チャネルは、前記第1の流体を運搬するために、前記交点に対して入口部分と、出口部分とを含有する、請求項28〜32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記第2のマイクロ流体チャネルは、前記第2の流体を運搬するために、前記交点に対して入口部分のみを含有する、請求項28〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
第1のマイクロ流体チャネルと、該第1のマイクロ流体チャネルに交点において接触する第2のマイクロ流体チャネルとを含むマイクロ流体システムを提供することと、
該第1のマイクロ流体チャネル内の第1の流体と、該第2のマイクロ流体チャネル内の第2の流体とを提供することであって、該第1の流体と該第2の流体とは、該交点内において相互に少なくとも部分的に接触して流体界面を画定する、ことと、
該第1のマイクロ流体チャネルからの流体を該第2のマイクロ流体チャネルの中へと付勢することであって、電場が該界面に印加されると、該流体は、該第2のマイクロ流体チャネルへの流入が少なくとも部分的に阻止される、ことと
を含む、方法。

【図1】
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【図8A−8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図13A】
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【図13B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−531302(P2012−531302A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517772(P2012−517772)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【国際出願番号】PCT/US2010/040006
【国際公開番号】WO2010/151776
【国際公開日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(507403735)プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ (15)
【Fターム(参考)】