説明

流動可能な物質から不純物を連続的に濾過する装置

本発明は、流動可能な物質特に溶融プラスチックから不純物を連続的に濾過する装置であって、回転軸線の周りに回転可能にハウジングに対して支持されかつ流動可能な物質が通って流れる中空回転体の形のフィルタ挿入体を持ち、このフィルタ挿入体が、ハウジングの流路において濾過すべき物質用の導入通路と濾過された物質用の導出通路との間に設けられ、フィルタにより抑留された不純物のためフィルタ挿入体と共同作用するスクリュコンベヤを含む搬出装置が設けられているものに関する。有利な構造状態を生じるため、フィルタ挿入体(3)が、回転体の端面に設けられかつ回転軸線(A)に対して同軸的な円板状フィルタ(5)を含んでいることが提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動可能な物質特に溶融プラスチックから不純物を連続的に濾過する装置であって、回転軸線の周りに回転可能にハウジングに対して支持されかつ流動可能な物質が通って流れる中空回転体の形のフィルタ挿入体を持ち、このフィルタ挿入体が、ハウジングの流路において濾過すべき物質用の導入通路と濾過された物質用の導出通路との間に設けられ、フィルタにより抑留された不純物のためフィルタ挿入体と共同作用するスクリュコンベヤを含む搬出装置が設けられているものに関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置により、プラスチック特に再処理すべきプラスチックが、その引続く処理の前に汚染物質を経済的に除かれるようにする。この処理すべき混合物中には、接着テープ、ラベル、アルミニウム閉鎖蓋等のような濾去すべき汚物が存在し、異なる比密度の利用によりこれらの残留物質特に一層小さい汚物粒子を分離することが困難である。その際汚染度が非常に高く、それにより浄化費用が著しく高くなり、設けられるフィルタが当然著しく負荷されることが重く作用する。従ってプラスチックは粗浄化後にはじめて溶融され、続いて装置により送られる。濾過のため強く汚れた物質を濾過するため、この最初にあげた装置を設けることが公知である(国際公開第2004/002715号明細書)。フィルタ挿入体として、外被側に穴を持ちかつハウジング内で回転するフィルタ体が使用されて、穴の大きさに関係して不純物を抑留し、搬出装置を形成するかき取り体により、不純物がフィルタ挿入体の流入側からかき取られ、スクリュコンベヤによりハウジングから搬出される。このようなフィルタの穴は例えば電子ビーム又はレーザにより形成され、フィルタが通常は円筒状支持体上に張られるか又はその上に取付けられる。この公知の構造の欠点は、濾過過程後、修理又は交換のため定期的に必要であるように、通常の工具でフィルタ挿入体をハウジングから取出すことが困難なことである。このような交換は、大抵の場合苦労してのみ可能であり、その際フィルタ挿入体が大抵の場合破壊される。別の欠点は、このような装置の保守のため、比較的長い停止時間を甘受せねばならず、このようなフィルタが比較的高価なことである。
【0003】
溶融物を浄化する別の装置をドイツ連邦共和国特許第4240461号明細書が開示しており、それによれば、円軌道上に設けられる凹所にフィルタ素子を交換可能に収容する円板に、複数のフィルタが交換可能に保持されている。従って個々のフィルタは一種のドラムマガジンに設けられ、それにより溶融物が通る流路へ常に新しいフィルタを入れ、この流路内で円板を、2つのフィルタ挿入体の間の角度ずれだけ回すことが可能である。その場合フィルタ挿入体の連続的な浄化は考慮されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の基礎になっている問題は、前記の欠点を回避し、できるだけ簡単な構造で迅速にかつ問題のないフィルタ交換を可能にし、物質の高い浄化度を可能にする、最初にあげた種類の装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、フィルタ挿入体が、回転体の端面に設けられかつ回転軸線に対して同軸的な円板状フィルタを含んでいることによって、この課題を解決する。
【0006】
本発明の重要な利点は、本発明により構成されるフィルタ挿入体がハウジング内で問題なく組立て又は分解可能であり、このような円板状フィルタが特に簡単かつ安価に製造可能なことである。これらの円板状フィルタは、1つの部分又は複数部分から構成可能であり、回転体としてフィルタ担体に取付けられ、フィルタ挿入体が続いてハウジングへ挿入される。フィルタは結合ねじ又は適当な締付け装置により支持体に取付けられている。ハウジング内で搬出装置に対してフィルタ挿入体を回転させることは、基本的に可能である。しかし場合によっては、回転体の回転軸線の周りに搬出装置を回転可能に構成することもできる。ハウジングの開放の際、フィルタはその構造のため直ちに露出して接近可能なので、本発明により常に迅速で問題のないフィルタ交換が可能である。ハウジングからのフィルタ挿入体の取外しに対して過度に強い影響を与えるフィルタ挿入体のハウジング内における接着は、溶融プラスチックの硬化後恐れる必要がない。
【0007】
回転体の回転軸線に対して直角に設けられる円板面を持つフィルタ挿入体が、ハウジング内に回転駆動されて支持されていると、最も簡単な構造状態が得られる。その際搬出装置はフィルタと共動動作して、フィルタ表面が回転駆動のため搬出装置のそばを連続的に通り過ぎるようにしており、フィルタにより抑留されている不純物が、搬出装置により連続的に装置から分離される。
【0008】
搬出装置の浄化効果を高めるため、搬出装置が、回転軸線を円板面に対してなるべく平行に設けられる少なくとも1つのスクリュコンベヤのほかに、フィルタ挿入体の回転方向において送りスクリュの後に設けられかつフィルタに対して傾斜したかき取り体を含んでいる。1つ及び複数のかき取り体及び/又は搬出装置を補足する搬出スクリュを設けることができる。搬出スクリュの回転方向は、作動状態に応じて、フィルタ挿入体の回転方向と同じ向き又は逆向きにすることができる。
【0009】
導入通路が、濾液をフィルタに導入する環状通路へ開口し、この環状通路がフィルタ挿入体の回転方向従ってスクリュコンベヤの回転方向においてフィルタの方へ先細になっていると、常にできるだけ大きいフィルタ面積が濾過のために利用可能であり、環状通路に対するフィルタ挿入体の回転運動により、またフィルタと物質と環状通路との間に存在する摩擦力により、簡単な手段で、フィルタへの高められる濾過圧力従ってフィルタによる物質のある程度の強制圧縮が保証される。
【0010】
迅速なフィルタ交換を行うことができるようにするため、ハウジングが分離可能に互いに結合される少なくとも2つのハウジング部分により構成され、一方のハウジング部分がフィルタ挿入体を収容し、他方のハウジング部分が搬出装置を収容しているのが好ましい。閉鎖素子の開放により、両方のハウジング部分が迅速に互いに分離され、それから直ちにすべての主要な摩耗部分が、保守のため露出する。その場合フィルタは、場合によってはフィルタ挿入体を取外す必要なしに、交換又は保守することができる。更に他方のハウジング部分もかき取り体及び搬出用スクリュコンベヤと共に簡単に保守可能である。なぜならば、個々の構造部分は、両ハウジング部分の分離後直後に接近可能であり、時間をかけて分解する必要がないからである。
【0011】
フィルタ円板に対して平行に設けられるスクリュは、かき取り体によりかき取られた材料を受入れて、ハウジングから導出する。場合によってはスクリュ自体がかき取り体として構成され、充分なかき取り作用を保証するため、大きいリードを持ちかつ場合によって多条に形成されている。例えばこの場合例えば90°のかき取り角を持つかき取り縁を備えたスクリュが用いられる。
【0012】
スクリュのできるだけ僅かな摩耗が保証されるようにする場合、スクリュが濾過円板に対して無接触で回転するようにする。この場合かき取りが少なくとも1つのかき取り体により保証され、かき取り体のために、これをフィルタへ向かって押付ける押付け装置が設けられている。この押付け装置は例えばばね又は液圧操作器を含んでいる。かき取り体を設ける場合、スクリュとかき取り体との間の隙間ができるだけ小さくされるように注意すべきである。従ってかき取り体がすでにスクリュハウジングの一部を形成していると有利である。
【0013】
図面には本発明の実施例が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】 本発明による装置の断面図を示す。
【図2】 図1による装置をII−II線による断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
流動可能な汚れた塑性材料特に溶融プラスチックから不純物を連続的に濾過する装置は、2つのハウジング部分1,2を持つハウジングを含み、その中に回転軸線Aの周りにハウジング1,2に対して回転可能に支持されかつ流動可能な物質が流れ通る回転体の形のフィルタ挿入体3がある。フィルタ挿入体3は、フィルタ軸4、及びフィルタ軸4の端部側に取付けられかつ担体15に設けられるフィルタ円板5を保持する環状板6を含んでいる。担体15に設けられるフィルタ円板5は、フィルタ軸4にねじ止めされる環状板6と同様に、担体15又は環状板6にねじ止めされている。環状板6及びフィルタ軸4は、濾過されたプラスチックが流れ通ることができるように、中空に形成されている。
【0016】
フィルタ挿入体3は、ハウジング1,2の流路において、濾過すべき物質用の導入通路7と濾過された物質用の導出通路8との間に設けられている。フィルタ挿入体3は、回転軸線Aに対して直角に設けられた円板面で、ハウジング1内において回転駆動されて支持されている。フィルタ力を吸収する推力軸受は、図示した実施例では、フィルタ挿入体3の回転駆動用駆動装置と同様にあまり示されていない。
【0017】
フィルタ5の連続的な浄化のため、フィルタ挿入体3と共同作用するスクリュコンベヤ9を含む搬出装置が、フィルタ5により抑留される不純物Vのために設けられている。そのため更に円板面に対して平行に回転軸線を設けられるスクリュコンベヤ9のほかに、フィルタ挿入体3の回転方向においてスクリュコンベヤ9の後に配置されかつフィルタに対して傾斜したかき取り体10が設けられて、ハウジング部分2及びフィルタ円板5と共に、スクリュコンベヤ9用のスクリュハウジングを形成している。かき取り体10のため、これをフィルタ5へ押付ける押付け装置11例えばばね装置が設けられている。
【0018】
導入通路7は、濾液をフィルタ5へ導入する環状通路12へ開口し、この環状通路12は、(アルキメデス螺旋のように)フィルタ挿入体3の回転方向にフィルタ5の方へ先細になっている。互いに分離可能に結合されるハウジング部分のうち、一方のハウジング部分1はフィルタ挿入体3を収容し、他方のハウジング部分2は搬出装置を収容している。これは、両方のハウジング部分1,2の間の閉鎖素子の開放及びハウジングの開放の直後に、保守のためフィルタ5及び搬出用スクリュ9及びかき取り体が露出している、という利点を持っている。
【0019】
濾過すべき汚れた塑性材料は、通路7を通って装置へ入れられ、そこから環状通路12、円板状フィルタ5及び回転体として構成されるフィルタ挿入体3の空所を経て導出通路8へ移行せしめられ、浄化されて装置から運び出される。なるべく鋼板から成りかつレーザ又は電子線によりあけられる穴を持つ円板状フィルタ5によって、濾過が保証される。フィルタ5は、濾過過程中に環状板6に、またフィルタ軸4を介して図示しない軸受に支持される。フィルタ5は、環状板6の反対側従ってフィルタ軸4の近傍範囲又は環状板6の両側にも設けることができる。濾過過程中にフィルタ挿入体3が回転せしめられ、物質がフィルタ5に押し通され、不純物はかき取り体10によりフィルタ5からかき取られ、搬出用フィルタ9によりハウジングから運び出される。搬出用スクリュ9の回転方向は、フィルタ5に対して同じ方向であっても逆方向であってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動可能な物質特に溶融プラスチックから不純物を連続的に濾過する装置であって、回転軸線の周りに回転可能にハウジングに対して支持されかつ流動可能な物質が通って流れる中空回転体の形のフィルタ挿入体を持ち、このフィルタ挿入体が、ハウジングの流路において濾過すべき物質用の導入通路と濾過された物質用の導出通路との間に設けられ、フィルタにより抑留された不純物のためフィルタ挿入体と共同作用するスクリュコンベヤを含む搬出装置が設けられているものにおいて、フィルタ挿入体(3)が、回転体の端面に設けられかつ回転軸線(A)に対して同軸的な円板状フィルタ(5)を含んでいることを特徴とする装置。
【請求項2】
回転体の回転軸線(A)に対して直角に設けられる円板面を持つフィルタ挿入体(3)が、ハウジング(1)内に回転駆動されて支持されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
搬出装置が、回転軸線を円板面に対してなるべく平行に設けられる少なくとも1つのスクリュコンベヤ(9)のほかに、フィルタ挿入体(3)の回転方向において送りスクリュ(9)の後に設けられかつフィルタに対して傾斜したかき取り体(10)を含んでいることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
導入通路(7)が、濾液をフィルタ(5)に導入する環状通路(12)へ開口し、この環状通路がフィルタ挿入体(3)の回転方向においてフィルタ(5)の方へ先細になっていることを特徴とする、請求項1〜3の1つに記載の装置。
【請求項5】
ハウジング(1,2)が分離可能に互いに結合される少なくとも2つのハウジング部分(1,2)により構成され、一方のハウジング部分(1)がフィルタ挿入体(3)を収容し、他方のハウジング部分(2)が搬出装置を収容していることを特徴とする、請求項1〜4の1つに記載の装置。
【請求項6】
少なくとも1つのかき取り体(10)のために、これをフィルタ(5)へ向かって押付ける押付け装置(11)が設けられていることを特徴とする、請求項3〜5の1つに記載の装置。
【請求項7】
場合によっては多条に構成されるスクリュ(9)がかき取り体として構成されていることを特徴とする、請求項1〜6の1つに記載の装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−503568(P2010−503568A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530731(P2009−530731)
【出願日】平成19年9月12日(2007.9.12)
【国際出願番号】PCT/AT2007/000431
【国際公開番号】WO2008/031127
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(508174517)
【Fターム(参考)】