説明

流量検出装置、および検出システム

【課題】簡易な構成で、排気ガスの流量を検出することができる流量検出装置、および検出システムを提供する。
【解決手段】流量検出装置は、排気ガスの雰囲気が有する温度を検出する温度センサ31と、排気ガスの雰囲気が有する温度の単位時間当たりの変化量を示す第1の値を算出する第1演算部41と、熱を発生する発熱体32と、発熱体32の温度が予め定められた一定の温度を保つように発熱体32の温度を制御する発熱体制御部42と、発熱体制御部42が発熱体32に対して供給した電力の値に基づいて、排気ガスの雰囲気が有する温度の単位時間当たりの変化量と、排気ガスが単位時間当たり排気通路Pを移動した流量とを含む第2の値を算出する第2演算部43と、第2の値から第1の値の差分を取ることにより、排気ガスが単位時間当たり排気通路をどのくらい移動したのかを示す排気ガスの流量を算出する流量算出部44と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気通路を移動する排気ガスの流量を検出する流量検出装置、および検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排気ガスの流量を検出する流量検出装置としては、例えば、熱式流量方式を用いた流量検出装置が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
このような流量検出装置は、例えば、次のような方法で排気ガスの流量を検出している。すなわち、この流量検出装置は、排気通路に2つの発熱体を備え、この2つの発熱体の温度差(ΔT)を常に一定に保つことにより、内燃機関の排気ガスの流量を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−317295号公報
【特許文献2】特開2008−170158号公報
【特許文献3】特開2008−190999号公報
【特許文献4】特開2008−292330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の熱式流量方式を用いた流量検出装置においては、上記のΔTを常に保つように発熱体の温度を制御する必要があるため、当該流量検出装置を実現するためのしくみが複雑化する。具体的に言えば、排気ガスの雰囲気が有する温度は、時間の経過とともに(例えば秒単位で)常に変化している。そのため、上記の流量検出装置は、排気ガスの雰囲気が有する温度の変化に追随して常に当該温度に対して上記のΔTを一定に保つように発熱体を制御する必要があった。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成で、排気ガスの流量を検出することができる流量検出装置、および検出システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明における流量検出装置は、排気通路を移動する排気ガスの流量を検出する流量検出装置であって、前記排気通路に設けられており、かつ前記排気ガスの雰囲気が有する温度を検出する温度センサと、前記温度センサが検出した温度に基づいて、前記排気ガスの雰囲気が有する温度の単位時間当たりの変化量を示す第1の値を算出する第1演算部と、前記排気通路に設けられており、かつ熱を発生する発熱体と、前記発熱体の温度が予め定められた一定の温度を保つように、前記発熱体に対して電力を供給することにより前記発熱体の温度を制御する発熱体制御部と、前記発熱体制御部が前記発熱体に対して供給した電力の値に基づいて、前記排気ガスの雰囲気が有する温度の単位時間当たりの変化量と、前記排気ガスが単位時間当たり前記排気通路を移動した流量とを含む第2の値を算出する第2演算部と、前記第2演算部が算出した第2の値から前記第1演算部が算出した第1の値の差分を取ることにより、前記排気ガスが単位時間当たり前記排気通路を移動した流量を算出する流量算出部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の流量検出装置、および検出システムは、簡易な構成で、排気ガスの流量を検出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本実施形態に係る検出システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本実施形態に係る流量センサの概略構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、図2中に示した切断線I−Iに沿って切断した断面図である。
【図4】図4(a)は、図3中に示した切断線II−IIに沿って切断した断面図である。図4(b)は、流量センサを展開した展開図である。
【図5】図5は、絶縁体の内部に中空部を形成した場合における、流量センサの概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る検出システム1の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る検出システム1は、例えば、図示しない車両(自動車等)等の石油系燃料を使用する燃焼装置に設けられるものであって、フィルタ装置2、流量センサ3、流量算出装置4、堆積量検知センサ5、堆積量算出装置6、ECU(Electronic Control Unit)7、および制御装置8を備えている。ここで、流量センサ3および流量算出装置4が、本発明に係る流量検出装置の一実施形態となる。
【0012】
フィルタ装置2は、排気通路Pに設けられており、排気通路Pを移動する排気ガス中に含まれる粒子状物質(PM:Particulate Matter)を捕集するための装置である。フィルタ装置2は、例えば、DPF(Diesel Particulate Filter)から構成される。すなわち、排気ガスは、ディーゼルエンジン、ピストンエンジン、ガスタービンエンジン等の内燃機関が燃焼することによって発生するとともに、図1の矢印で示されているように、内燃機関から消音器に向かって排気通路Pを移動する。なお、消音器を通過した排気ガスは、外部へ放出される。ここで、排気ガス中に含まれる粒子状物質としては、例えば、単純な固形の炭素の微粒子が房状に連なったもの、SOF(Soluble Organic Fraction)と呼ばれる高分子炭化水素、あるいは硫酸塩等が挙げられる。この粒子状物質は、人の気道や肺に沈着するので、人体へ悪影響を及ぼすとともに、大気汚染の要因ともなり得る。そのため、フィルタ装置2において粒子状物質が捕集される。
【0013】
流量センサ3は、排気通路Pを移動する排気ガスの流量を検出するためのセンサであって、フィルタ装置2よりも上流側(内燃機関側)の排気通路Pに設けられている。
【0014】
図2は、本実施形態に係る流量センサ3の概略構成を示す斜視図である。図3は、図2中に示した切断線I−Iに沿って切断した断面図である。図4(a)は、図3中に示した切断線II−IIに沿って切断した断面図である。図4(b)は、流量センサ3を展開した展開図である。
【0015】
図2に示すように、本実施形態に係る流量センサ3は、外観視丸棒状であって、排気通路Pに設けられた台座Bの上に設けられている。なお、台座Bを設けることなく、直接、流量センサ3を排気通路Pに設けるようにしてもよい。また、本実施形態に係る流量センサ3は、外観視丸棒状であるが、これに限らず、直方体状、板状等であってもよく、その形状については特に限定されない。但し、本実施形態のように、流量センサ3を外観視丸棒状で形成すると、排気通路Pを移動する排気ガスが、流量センサ3によって妨げられることが抑制できるため、好ましい。
【0016】
ここで、流量センサ3は、第1温度センサ31と、発熱体32と、第2温度センサ33とを有している。
【0017】
第1温度センサ(温度センサ)31は、図3に示すように、流量センサ3を構成する絶縁体3aに埋設されており、かつ排気ガスの雰囲気が有する温度を検出する役割を担う部材である。このため、第1温度センサ31が排気通路Pを移動する排気ガスの風の影響を受けないように、第1温度センサ31よりも上流側であってかつ第1温度センサ31と対向する位置に、排気ガスに対する風除けWが設けられている。風除けWが設けられているので、第1温度センサ31は、排気ガスの風の影響を受けることなく、排気ガスの雰囲気が有する温度のみを検出することができる。なお、図2では、便宜上、風除けWの図示を省略している。
【0018】
第1温度センサ31は、例えば、白金、タングステン等のような温度変化に対して電気抵抗の変化の大きい抵抗体から構成される。また、絶縁体3aとしては、例えば、酸化アルミニウム質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化珪素質焼結体、あるいはガラスセラミック焼結体等のセラミックが挙げられる。すなわち、絶縁体3a上に、第1温度センサ31となる矩形状のパターン(図4(b)参照)を印刷し、矩形状のパターンが印刷された絶縁体3aを巻くことにより、絶縁体3aに第1温度センサ31が埋設される。絶縁体3aに第1温度センサ31が埋設されるので、第1温度センサ31が排気ガスによって腐食するのを抑制できる。
【0019】
発熱体32は、図3に示すように、第1温度センサ31が埋設された絶縁体3aと同じ絶縁体3aに埋設されており、かつ熱を発生する役割を担う部材である。すなわち、排気通路Pを移動する排気ガスの風の影響や、排気ガスの雰囲気が有する温度によって、発熱体32の温度が変化する。例えば、排気ガスの風の影響が弱く、かつ排気ガスの雰囲気が有する温度が高ければ、発熱体32は暖められるので、発熱体32の温度は高くなる。一方、排気ガスの風の影響が強く、かつ排気ガスの雰囲気が有する温度が低ければ、発熱体32は冷やされるので、発熱体32の温度は低くなる。
【0020】
また、発熱体32は、後述する発熱体制御部42から電力の供給を受けることにより、供給を受けた電力量に応じた熱を発生する。本実施形態では、発熱体32は、供給を受けた電力量が大きければ大きい程、発熱量が大きくなり、温度が高くなる。また、発熱体32は、供給を受けた電力量が小さければ小さい程、発熱量が小さくなり、温度の上昇は抑制される。なお、発熱体32に後述する第2温度センサ33の役割を兼用させてもよい。
【0021】
第2温度センサ33は、図3に示すように、第1温度センサ31および発熱体32が埋設された絶縁体3aと同じ絶縁体3aに埋設されており、かつ発熱体32の温度を検出する役割を担う部材である。第2温度センサ33は、第1温度センサ31と同様、例えば、白金、タングステン等のような温度変化に対して電気抵抗の変化の大きい抵抗体から構成される。すなわち、絶縁体3a上に、発熱体32となる線状のパターンを印刷するとともに、このパターンの近傍かつ内側に、第2温度センサ33となる線状のパターンを印刷する(図4(b)参照)。このようにすることで、第2温度センサ33は、発熱体32の温度を正しく検出できる。そして、線状のパターンが印刷された絶縁体3aを巻くことにより、絶縁体3aに発熱体32および第2温度センサ33が埋設される。絶縁体3aに発熱体32および第2温度センサ33が埋設されるので、発熱体32および第2温度センサ33が排気ガスによって腐食することを抑制できる。
【0022】
なお、発熱体32となる線状のパターン、および第2温度センサ33となる線状のパターンは、図4(b)に示すパターンには限られない。すなわち、発熱体32としての機能および第2温度センサ33としての機能を十分に果たすことができるパターンであれば、どのようなパターンであってもよい。
【0023】
ところで、第1温度センサ31は、排気ガスの雰囲気が有する温度のみを検出するので、発熱体32から発生する熱が第1温度センサ31へ伝わらないようにする必要がある。このため、本実施形態においては、第1温度センサ31と発熱体32との間における絶縁体3aには、断熱部としての切欠部Cが形成されている。切欠部Cが形成されているので、発熱体32から発生する熱は、切欠部Cによって遮断されることになる。そのため、発熱体32から発生する熱が第1温度センサ31へ伝わることを抑制できる。なお、図2および図3では、切欠部Cは、絶縁体3aに一箇所形成されている例について図示したが、これに限定されない。例えば、切欠部Cは、絶縁体3aに複数形成されていてもよい。
【0024】
また、図5に示すように、絶縁体3aに切欠部Cを形成することに加えて、第1温度センサ31と発熱体32との間における絶縁体3aの内部に中空部Sを形成してもよい。なお、以下では、中空部Sを説明する際、特に区別する必要のある場合にのみ、例えば、第1中空部Sのように、それぞれを区別するための小数字を付して説明し、特に区別する必要がない場合、あるいは、総称する場合には、例えば、中空部Sのように、小数字を付さずに説明する。
【0025】
具体的には、図5に示す流量センサ3は、切欠部Cに加えて、切欠部Cと第1温度センサ31との間における絶縁体3aの内部に形成された第1中空部Sと、切欠部Cと発熱体32との間における絶縁体3aの内部に形成された第2中空部Sとを有している。ここで、第1中空部Sおよび第2中空部Sの気圧は、外部の気圧よりも低い。すなわち、本実施形態においては、絶縁体3aがセラミックであるため、当該絶縁体3aの作製時における焼成により、中空部Sの気圧は、外部の気圧よりも低くなる。
【0026】
このように、絶縁体3aに切欠部Cを形成することに加えて、絶縁体3aの内部に中空部Sを形成すれば、発熱体32から発生する熱は、第2中空部S、切欠部C、および第1中空部Sの順で遮断されることになる。すなわち、中空部Sの気圧は、外部の気圧よりも低いので、発熱体32から発生する熱が中空部Sによって遮断される。この遮断効果をより高めるために、中空部Sは真空状態であることが好ましい。
【0027】
なお、上記では、絶縁体3aに切欠部Cを形成することに加えて、絶縁体3aの内部に第1中空部Sおよび第2中空部Sを形成する例について説明したが、これに限定されない。すなわち、絶縁体3aに切欠部Cを形成せずに、第1温度センサ31と発熱体32との間における絶縁体3aの内部に第1中空部Sおよび第2中空部Sのみを形成してもよい。また、第1中空部Sおよび第2中空部Sのいずれか一つを形成してもよい。さらに、第1中空部Sおよび第2中空部Sに加えて、他の中空部を形成してもよい。
【0028】
なお、上記では、第1温度センサ31、発熱体32、および第2温度センサ33は、同じ絶縁体3aに埋設されている例について説明したが、これに限定されない。すなわち、第1温度センサ31が埋設された絶縁体と、発熱体32および第2温度センサ33が埋設された絶縁体とは、別体であってもよい。この場合、絶縁体には断熱部としての切欠部Cおよび中空部Sを設ける必要はない。ここで、本実施形態のように、第1温度センサ31、発熱体32、および第2温度センサ33が、同じ絶縁体3aに埋設されていれば(すなわち、一体構造で形成されていれば)、部材が増加せず、好ましい。
【0029】
また、上記では、図4(b)に示すように、絶縁体3a上に、発熱体32となる線状のパターンを印刷するとともに、このパターンの近傍かつ内側に、第2温度センサ33となる線状のパターンを印刷する例について説明したが、これに限定されない。すなわち、発熱体32となる線状のパターンが印刷された面とは反対側の面に、第2温度センサ33となる線状のパターンを印刷してもよい。また、第1温度センサ31となる矩形状のパターンは、絶縁体31に形成された中空を介して、発熱体32となる線状のパターンと対向配置されるように絶縁体3a上に印刷されていてもよい。すなわち、発熱体32から発生する熱が第1温度センサ31へ伝わらなければ、第1温度センサ31、発熱体32、第2温度センサ33の形成位置については、任意である。
【0030】
流量算出装置4は、第1演算部41と、発熱体制御部42と、第2演算部43と、流量算出部44とを有している。ここで、上記の第1演算部41、発熱体制御部42、第2演算部43、および流量算出部44の各機能は、流量算出装置4が備えるCPU等の演算装置が所定のプログラムを実行することによって実現される。したがって、上記の各機能を流量算出装置4で実現するためのプログラムまたはそれを記録した記録媒体も本発明の一実施態様である。
【0031】
第1演算部41は、第1温度センサ31が検出した温度に基づいて、排気ガスの雰囲気が有する温度の単位時間当たりの変化量を示す第1の値を算出する。この第1の値は、排気ガスの風の影響を受けていない値となる。第1演算部41は、算出した第1の値を流量算出部44へ出力する。
【0032】
発熱体制御部42は、発熱体32の温度が予め定められた一定の温度を保つように、発熱体32に対して電力を供給することにより発熱体32の温度を制御する。
【0033】
具体的には、発熱体制御部42は、まず、第2温度センサ33が検出した温度を当該第2温度センサ33から取得する。これにより、発熱体制御部42は、発熱体32の温度を検知することができる。そして、発熱体制御部42は、発熱体32の温度が、予め定められた一定の温度(例えば1000℃)を保つように、発熱体32に対して電力を供給することにより発熱体32の温度を制御する。
【0034】
例えば、排気ガスの風の影響が弱く、かつ排気ガスの雰囲気が有する温度が高ければ、発熱体32は暖められるので、発熱体32の温度は、予め定められた一定の温度以上となる。この場合、発熱体制御部42は、発熱体32に対して通常よりも小さい量の電力を供給する。これにより、発熱体32は、予め定められた温度となるように、熱の発生を抑制する。また、例えば、排気ガスの風の影響が強く、かつ排気ガスの雰囲気が有する温度が低ければ、発熱体32は冷やされるので、発熱体32の温度は、予め定められた一定の温度未満となる。この場合、発熱体制御部42は、発熱体32に対して通常よりも大きい量の電力を供給する。これにより、発熱体32は、予め定められた温度となるように、熱を発生する。
【0035】
なお、上記の「予め定められた温度」は、発熱体制御部42の図示しない記録部に予め設定されている。また、「予め定められた温度」は、粒子状物質が焼失する温度であることが好ましい。予め定められた温度が、粒子状物質が焼失する温度であると、流量センサ3に堆積される粒子状物質が焼失するため、流量センサ3の感度が向上し、好ましい。
【0036】
第2演算部43は、発熱体制御部42が発熱体32に対して供給した電力の値に基づいて、排気ガスの雰囲気が有する温度の単位時間当たりの変化量と、排気ガスが単位時間当たり排気通路Pを移動した流量とを含む第2の値を算出する。この第2の値は、排気ガスの風の影響を受けている値となる。すなわち、第2の値は、排気ガスの雰囲気が有する温度の単位時間当たりの変化量と、排気ガスが単位時間当たり排気通路Pを移動した流量とを切り分けることができず、これらの値が合算された値となる。第2演算部43は、算出した第2の値を流量算出部44へ出力する。
【0037】
流量算出部44は、第2演算部43が算出した第2の値から第1演算部41が算出した第1の値の差分を取ることにより、排気ガスが単位時間当たり排気通路Pを移動した流量を算出する。すなわち、第1の値は、上記のように、排気ガスの雰囲気が有する温度の単位時間当たりの変化量を示す値であり、第2の値は、排気ガスの雰囲気が有する温度の単位時間当たりの変化量と、排気ガスが単位時間当たり排気通路Pを移動した流量とを含む値であるからである。流量算出部44は、算出した排気ガスの流量を制御装置8へ出力する。
【0038】
このように、本実施形態に係る流量検出装置(流量センサ3および流量算出装置4)によれば、発熱体制御部42は、発熱体32の温度が予め定められた一定の温度を保つように、発熱体32の温度を制御する。このため、本実施形態に係る流量検出装置は、上記従来の熱式流量方式を用いた流量検出装置のように、排気ガスの雰囲気が有する温度の変化に追随して発熱体を制御する必要がない。すなわち、本実施形態に係る流量検出装置は、排気ガスの雰囲気が有する温度の変化に関わらず、発熱体32の温度が予め定められた一定の温度を保つように発熱体32を制御すればよい。そのため、本実施形態に係る流量検出装置は、簡易な構成で、排気ガスの流量を検出することができる。
【0039】
堆積量検知センサ5は、フィルタ装置2で捕集できなかった粒子状物質が堆積されるとともに、堆積された粒子状物質の堆積量を検出するためのセンサである。堆積量検知センサ5は、フィルタ装置2よりも下流側(消音器側)の排気通路Pに設けられている。
【0040】
堆積量算出装置6は、堆積量検知センサ5により検知された情報に基づいて、堆積量検知センサ5に堆積された粒子状物質の堆積量を算出する。堆積量算出装置6は、算出した粒子状物質の堆積量を制御装置8へ出力する。
【0041】
ECU7は、内燃機関における点火系と燃焼系とを制御するコントローラである。例えば、ECU7は、後述する制御装置8からの指示によって、内燃機関の回転数を低下あるいは上昇させ、または内燃機関の点火時期等を制御する。すなわち、ECU7は、内燃機関における点火系と燃焼系とを制御することにより、排気ガス中に含まれる粒子状物質の数を制御することができる。
【0042】
制御装置8は、流量算出装置4により算出された排気ガスの流量と、堆積量算出装置6により算出された粒子状物質の堆積量とに基づいて、単位時間当たりに移動した排気ガス中に、フィルタ装置2で捕集できなかった粒子状物質がどのくらい含まれていたかを示す捕集不可量を算出する。制御装置8は、算出した捕集不可量に基づいて、ECU7に対して指示する。例えば、制御装置8は、算出した捕集不可量が閾値以上であれば、排気ガス中に含まれる粒子状物質の数が減少するように、ECU7に対して指示する。なお、制御装置8は、ECU7に対して指示することなく、算出した捕集不可量を、単にディスプレイに表示するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明は、簡易な構成で、排気ガスの流量を検出することができる流量検出装置、または検出システムとして有用である。
【符号の説明】
【0044】
1 検出システム
2 フィルタ装置
3 流量センサ
3a 絶縁体
31 第1温度センサ(温度センサ)
32 発熱体
4 流量算出装置
41 第1演算部
42 発熱体制御部
43 第2演算部
44 流量算出部
5 堆積量検知センサ
6 堆積量算出装置
8 制御装置
C 切欠部(断熱部)
S 中空部(断熱部)
第1中空部(断熱部)
第2中空部(断熱部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気通路を移動する排気ガスの流量を検出する流量検出装置であって、
前記排気通路に設けられており、かつ前記排気ガスの雰囲気が有する温度を検出する温度センサと、
前記温度センサが検出した温度に基づいて、前記排気ガスの雰囲気が有する温度の単位時間当たりの変化量を示す第1の値を算出する第1演算部と、
前記排気通路に設けられており、かつ熱を発生する発熱体と、
前記発熱体の温度が予め定められた一定の温度を保つように、前記発熱体に対して電力を供給することにより前記発熱体の温度を制御する発熱体制御部と、
前記発熱体制御部が前記発熱体に対して供給した電力の値に基づいて、前記排気ガスの雰囲気が有する温度の単位時間当たりの変化量と、前記排気ガスが単位時間当たり前記排気通路を移動した流量とを含む第2の値を算出する第2演算部と、
前記第2演算部が算出した第2の値から前記第1演算部が算出した第1の値の差分を取ることにより、前記排気ガスが単位時間当たり前記排気通路を移動した流量を算出する流量算出部と、を備えた流量検出装置。
【請求項2】
前記温度センサは、前記排気通路に設けられた絶縁体に埋設されており、
前記発熱体は、前記温度センサが埋設された絶縁体と同じ絶縁体に埋設されており、
前記温度センサと前記発熱体との間における前記絶縁体には、前記発熱体が発生する熱が前記温度センサへ伝わらないようにするための断熱部が設けられている、請求項1に記載の流量検出装置。
【請求項3】
前記断熱部は、前記絶縁体を切り欠いた切欠部である、請求項2に記載の流量検出装置。
【請求項4】
前記断熱部は、前記絶縁体の内部に形成された中空部であり、
前記中空部の気圧は、外部の気圧よりも低い、請求項2に記載の流量検出装置。
【請求項5】
前記断熱部は、
前記絶縁体を切り欠いた切欠部と、
前記切欠部と前記温度センサとの間における前記絶縁体の内部に形成された第1中空部と、
前記切欠部と前記発熱体との間における前記絶縁体の内部に形成された第2中空部と、を有し、
前記第1中空部および前記第2中空部の気圧は、外部の気圧よりも低い、請求項2に記載の流量検出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の流量検出装置と、
前記排気通路に設けられており、かつ前記排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕集するためのフィルタ装置と、を備えた検出システム。
【請求項7】
前記フィルタ装置で捕集できなかった粒子状物質が堆積されるとともに、堆積された粒子状物質の堆積量を検出するための堆積量検知センサと、
前記堆積量検知センサにより検出された情報に基づいて、前記堆積量検知センサに堆積された粒子状物質の堆積量を算出する堆積量算出装置と、
前記流量検出装置により検出された排気ガスの流量と、前記堆積量算出装置により算出された粒子状物質の堆積量とに基づいて、単位時間当たりに移動した前記排気ガス中に、前記フィルタ装置で捕集できなかった粒子状物質がどのくらい含まれていたかを示す捕集不可量を算出する制御装置と、をさらに備えた請求項6に記載の検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−69802(P2011−69802A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−257859(P2009−257859)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】