説明

流量絞り装置

【課題】流体の送給を停止させることなく、絞り孔を通して流体を下流側に送給する流量絞り装置を提供する。
【解決手段】流量絞り装置は、流体を送給する送給路11aと、送給路11aの途中部から分岐した分岐路11bとを有する弁箱11を備える。弁箱11内には、第1絞り孔13aを有する第1オリフィスプレート13と、第2絞り孔14aを有する第2オリフィスプレート14と、分岐路11bを開閉可能なダンパー15とが一体回動可能に設ける。各オリフィスプレート13,14及びダンパー15は、上流側の流体が第1オリフィスプレート13の第1絞り孔13aを順方向に通過して下流側に送給される回動位置とし、第1絞り孔13aが目詰まりを起こした場合、上流側の流体の一部が第1絞り孔13aを逆流して分岐路11bに送出されるとともに、残りの流体が第2オリフィスプレート14の第2絞り孔14aを通過して下流側に送給される回動位置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管内を流れる流体の流量を絞る流量絞り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば設備機器を冷却するための流体(冷却水等)が流れる配管の途中には、前記流体の流量を絞るための流量絞り装置が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の流量絞り装置は、上流側配管と下流側配管とを連通するとともに途中部に作業孔が形成された弁箱(胴部)と、この弁箱内に回動可能に設けられた弁体と、この弁体に固定されたオリフィスプレートとを備えている。
【0003】
前記弁体は、通常時は弁箱の作業孔を閉じるとともに、上流側配管と下流側配管との間にオリフィスプレートを配置した回動位置とし、このオリフィスプレートに形成された絞り孔により、上流側配管から下流側配管に送給される流体の流量を絞るようになっている。ところが、前記流体にヘドロや塵芥等の異物が含まれていると、この異物により絞り孔が目詰まりを起こす場合がある。この場合には、前記弁体を弁箱に対して90度回動させて、上流側配管と下流側配管との連通を遮断するとともに、オリフィスプレートを作業孔に位置させて作業孔を開くことにより、オリフィスプレートを交換することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−149456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の上記流量絞り装置は、オリフィスプレートを交換する際に、弁体によって上流側配管と下流側配管との連通を遮断し、配管内の流体の流れを停止させた状態で行う必要があるため、その間、下流側配管に接続された設備機器の運転を停止させる必要があり、その稼働効率が低下するという問題があった。また、設備機器の運転を停止させることができない場合には、バイパス配管を設ける必要があるので、その分、配管コストが高くつくという問題があった。
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、長期間に亘って流体の送給を停止させることなく、絞り孔を通して流体を下流側に送給することができる流量絞り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するための本発明の流量絞り装置は、上流側配管と下流側配管との間に介在され、前記上流側配管から前記下流側配管に流れる流体の流量を絞る流量絞り装置であって、前記上流側配管から流体を導入して下流側配管に送給する送給路と、この送給路の途中部から分岐した分岐路と、前記上流側配管に接続して前記送給路と前記上流側配管とを連通させる上流側接続部と、前記下流側配管に接続して前記送給路と前記下流側配管とを連通させる下流側接続部とを有する弁箱と、前記弁箱内において、前記送給路を閉じる起立位置と当該起立位置よりも上流側に倒伏して前記分岐路を閉じる倒伏位置とに回動可能に軸止されているとともに、前記送給路内の流量を絞る第1絞り孔を有する第1オリフィスプレートと、前記弁箱内の前記第1オリフィスプレートよりも下流側において、前記送給路を閉じる起立位置と前記送給路を開く倒伏位置とに回動可能に軸止されているとともに、前記送給路内の流量を絞る第2絞り孔を有する第2オリフィスプレートと、前記弁箱の外部から前記第1オリフィスプレート及び前記第2オリフィスプレートを前記起立位置と前記倒伏位置とに回動操作する回動操作手段と、前記第1オリフィスプレートが前記起立位置にあるときに前記分岐路を閉じ、前記第1オリフィスプレートが前記倒伏位置にあるときに前記分岐路を開く分岐路開閉手段と、を備えることを特徴としている。
【0007】
本発明によれば、通常時は、回動操作手段により第1オリフィスプレートを起立位置に、第2オリフィスプレートを倒伏位置にそれぞれ位置させるとともに、分岐路開閉手段により分岐路を閉じておくことにより、上流側接続部から送給路に導入される流体を、第1オリフィスプレートの第1絞り孔により流量を絞りながら下流側接続部に送給することができる。そして、第1オリフィスプレートに付着した異物によって第1絞り孔が目詰まりを起こした場合には、回動操作手段により第1オリフィスプレートを倒伏位置に、第2オリフィスプレートを起立位置にそれぞれ回動させるとともに、分岐路開閉手段により分岐路を開いて、上流側接続部から送給路に導入される流体の一部を、第1絞り孔を通過させて分岐路に送出させる。このとき、第1オリフィスプレートは起立位置よりも上流側に倒伏するため、この倒伏位置において第1絞り孔を通過する流体の通過方向は、起立位置における第1絞り孔の通過方向と逆方向になる。したがって、この逆方向に通過しようとする流体の流体圧によって、第1オリフィスプレートに付着している異物を容易に取り除くことができる。
【0008】
この際、第2オリフィスプレートが起立位置にあるので、上流側接続部から送給管に導入される流体を、第2オリフィスプレートの第2絞り孔により、その流量を絞りながら下流側接続部にも送給することができる。したがって、下流側接続部への流体の送給を停止させることなく、第1絞り孔の目詰まりを解消することができる。また、第1オリフィスプレートから取り除かれた異物は、流体とともに分岐路を通して送出されるため、前記異物が下流側配管に流れるのを防止することができる。
【0009】
さらに、異物が取り除かれた後は、回動操作手段により第1及び第2オリフィスプレートを逆方向に回動させ、第1オリフィスプレートを起立位置に、第2オリフィスプレートを倒伏位置にそれぞれ復帰させる。これにより、上流側接続部から送給路に導入される流体を、再び第1オリフィスプレートの第1絞り孔により流量を絞りながら下流側接続部に送給することができる。
以上の回動操作を繰り返し行うことによって、長期間に亘って流体の送給を停止させることなく、絞り孔を通して流体を下流側に送給することができる。
【0010】
また、前記流量絞り装置は、前記第1オリフィスプレート及び前記第2オリフィスプレートのそれぞれの基端部が、互いに一体回動可能に一つの回転軸に取り付けられており、前記第1オリフィスプレートが前記起立位置にあるときに、前記第2オリフィスプレートが前記倒伏位置にあり、前記第1オリフィスプレートが前記倒伏位置にあるときに、前記第2オリフィスプレートが前記起立位置にあることが好ましい。
この場合、前記一つの回転軸を回動操作することにより、第1オリフィスプレート及び第2オリフィスプレートを一体回動させて、両者を起立位置と倒伏位置とに交互に切り換えることができる。これにより、第1及び第2オリフィスプレートの回動操作手段を簡素化することができるため、流量絞り装置の製造コストを低減することができる。また、第1及び第2オリフィスプレートのいずれか一方の回動操作をし忘れるのを防止することができる。
【0011】
また、前記分岐路開閉手段は、板状のダンパーであり、その基端部が前記第1オリフィスプレート及び前記第2オリフィスプレートと一体回動可能に前記回転軸に取り付けられていることが好ましい。
この場合、前記一つの回転軸を回動操作することにより、第1及び第2オリフィスプレートとダンパーとを一体回動させて、第1及び第2オリフィスプレートを起立位置と倒伏位置とに交互に切り換えるとともに、ダンパーにより分岐路を開閉することができる。これにより、ダンパー並びに第1及び第2オリフィスプレートの回動操作手段をさらに簡素化することができるため、流量絞り装置の製造コストを効果的に低減することができる。また、ダンパー並びに第1及び第2オリフィスプレートのうちいずれか一の回動操作をし忘れるのを防止することができる。
【0012】
また、前記流量絞り装置は、前記第1オリフィスプレートを前記起立位置に向かって回動付勢する付勢手段をさらに備え、前記第2オリフィスプレートが、その倒伏位置において前記付勢手段の付勢力に抗して前記第1オリフィスプレートを前記起立位置に停止させていることが好ましい。
この場合、起立位置にある第1オリフィスプレートを回動させる外力が作用しても、付勢手段及び第2オリフィスプレートにより、第1オリフィスプレートが回動するのを抑制することができる。これにより、前記外力が作用したときに上流側接続部から下流側接続部に送給される流体の流量が変動するのを抑制することができる。
【0013】
また、前記流量絞り装置は、前記1オリフィスプレートを前記起立位置に向かって回動付勢する付勢手段をさらに備え、前記ダンパーが、前記分岐路を閉じた状態において、前記付勢手段の付勢力に抗して前記第1オリフィスプレートを前記起立位置に停止させているものであってもよい。
この場合、起立位置にある第1オリフィスプレートを回動させる外力が作用しても、付勢手段及びダンパーにより第1オリフィスプレートが回動するのを抑制することができる。これにより、前記外力が作用したときに上流側接続部から下流側接続部に送給される流体の流量が変動するのを抑制することができる。
【0014】
また、前記回動操作手段は、前記回転軸を回転駆動する駆動部と、前記第1オリフィスプレートが前記起立位置にあるときに、当該第1オリフィスプレートよりも下流側の流量を検出する流量検出部と、前記流量検出部により前記流量が所定値以下であることを検出すると、前記駆動部を駆動して前記回転軸とともに前記第1オリフィスプレートを前記起立位置から前記倒伏位置に回動させる制御部と、を備えているものであってもよい。
この場合、第1オリフィスプレートの第1絞り孔が目詰まりを起こしそうになると、第1オリフィスプレートよりも下流側の流量が所定値以下であることを流量検出部が検出することにより、制御部は、駆動部を駆動させて第1オリフィスプレートを自動的に倒伏位置に回動させることができる。これにより、第1絞り孔が目詰まりを起こすのを効果的に抑制することができる。
【0015】
また、前記送給路の断面が四角形に形成されており、前記第1オリフィスプレート及び第2オリフィスプレートが前記送給路の断面形状に合致する四角形に形成されていることが好ましい。
この場合、送給路の断面形状、第1オリフィスプレート及び第2オリフィスプレートが、四角形であるので、第1及び第2オリフィスプレートを弁箱内で簡単に回動させることができる。これにより、流量絞り装置の構造を簡素化することができるので、その製造コストをさらに効果的に低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の流量絞り装置によれば、長期間に亘って流体の送給を停止させることなく、絞り孔を通して流体を下流側に送給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る流量絞り装置を示す斜視図である。
【図2】(a)は上記流量絞り装置の側断面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。
【図3】(a)は上記流量絞り装置の回転軸を図2(a)の状態から90度回転させた状態を示す側断面図であり、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図4】(a)〜(d)は上記流量絞り装置の使用方法を示す概略側断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る流量絞り装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る流量絞り装置を示す斜視図である。流量絞り装置1は、例えば、設備機器を冷却する冷却水等の流体が流れる上流側配管2と下流側配管3との間に介在し、上流側配管2から下流側配管3に流れる流体の流量を絞るものである。上流側配管2及び下流側配管3は、水平方向に延びる円筒部材からなり、各端部には配管やバルブ等を接続するためのフランジ部2a,3aが形成されている。
【0019】
図2において、(a)は流量絞り装置1を示す側断面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。図1及び図2において、流量絞り装置1は、上流側配管2と下流側配管3との間に配置された弁箱11と、この弁箱11に回転可能に取り付けられた回転軸12と、弁箱11内において回転軸12に一体回動可能に取り付けられた第1オリフィスプレート13、第2オリフィスプレート14及び板状のダンパー(分岐路開閉手段)15とを備えている。
【0020】
弁箱11は、上流側配管2から流体を導入して下流側配管3に送給する送給路11aと、この送給路11aの途中部から分岐した分岐路11bと、上流側配管2に接続して送給路11aと上流側配管2とを連通させる上流側接続部11cと、下流側配管3に接続して送給路11aと下流側配管3とを連通させる下流側接続部11dと、図示しない排出管に接続して当該排出管と分岐路11bとを連通させる排出側接続部11eとを有している。
【0021】
図1において、送給路11a及び分岐路11bは、その断面が四角形に形成されている。上流側接続部11c、下流側接続部11d及び排出側接続部11eは、その断面が円形に形成されており、各接続部11c,11d,11eの端部には、それぞれフランジ部11c1,11d1,11e1が形成されている。
【0022】
回転軸12は、図2(a)に示すように、弁箱11内において送給路11aと分岐路11bとの境界部付近に配置されている。また、回転軸12は、図2(b)に示すように、弁箱11の側壁を貫通した状態で、当該側壁に回転可能に支持されている。
【0023】
図3において、(a)は流量絞り装置1の回転軸12を図2(a)の状態から反時計回り方向に90度回転させた状態を示す側断面図であり、(b)は(a)のB−B断面図である。図2及び図3において、第1オリフィスプレート13は、送給路11aの断面形状に合致する四角形に形成された平板部材からなり(図2(b)参照)、その中央下部には、送給路11a内の流体の流量を絞る第1絞り孔13aが形成されている。第1オリフィスプレート13は、その基端部が回転軸12に一体回動可能に取り付けられており、送給路11aを閉じる起立位置(図2(a))と、この起立位置よりも上流側に倒伏して分岐路11bを閉じる倒伏位置(図3(a))との間で回動可能である。
【0024】
図2(a)において、第1オリフィスプレート13が起立位置にあるとき、上流側接続部11cから送給路11a内に導入される流体は、第1絞り孔13aを通過して下流側接続部11dに送給されるようになっている。その際、流体は、第1オリフィスプレート13の一方面13b側から他方面13c側に向けて第1絞り孔13aを通過する(以下、この通過方向を「順方向」という)。
【0025】
起立位置にある第1オリフィスプレート13は、第2オリフィスプレート14が送給路11aの底面に当接することにより、図2(a)の時計回り方向への回動が規制されている。起立位置の第1オリフィスプレート13の外周部に隣接する送給路11a内の四方の側壁には、第1オリフィスプレート13の外周部が当接するパッキン(図示省略)が取り付けられている。これにより、第1オリフィスプレート13が起立位置にあるときに、送給路11a内の上流側の流体が、第1オリフィスプレート13の外周部と送給路11aの側壁との隙間から、下流側に漏れるのを防止している。
【0026】
図3(a)において、第1オリフィスプレート13が倒伏位置にあるとき、上流側接続部11cから送給路11a内に導入される流体の一部は、第1絞り孔13aを通過して分岐路11bに送出されるようになっている。その際、流体は、第1オリフィスプレート13の前記他方面13c側から前記一方面13b側に向けて第1絞り孔13aを通過する(以下、この通過方向を「逆方向」という)。
【0027】
また、倒伏位置にある第1オリフィスプレート13は、送給路11aの底面に当接することにより、図3(a)の反時計回り方向への回動が規制されている。第1オリフィスプレート13が当接する送給路11aの底面には、パッキン(図示省略)が取り付けられている。これにより、第1オリフィスプレート13が倒伏位置にあるとき、送給路11a内の上流側の流体が、第1オリフィスプレート13と送給路11aの底面との隙間から、分岐路11bに漏れるのを防止している。
【0028】
図2及び図3において、第2オリフィスプレート14は、第1オリフィスプレート13と同様に、送給路11aの断面形状に合致する四角形に形成された平板部材からなり(図3(b)参照)、その中央上部には、流体の流量を絞る第2絞り孔14aが形成されている。第2オリフィスプレート14は、第1オリフィスプレート13よりも下流側において、当該第1オリフィスプレート13に対して90度の角度差で配置されている。そして、第2オリフィスプレート14の基端部は、第1オリフィスプレート13の基端部を介して回転軸12に一体回動可能に取り付けられている。これにより、第2オリフィスプレート14は、送給路11aを閉じる起立位置(図3(a))と、送給路11aを開く倒伏位置(図2(a))との間で回動可能である。
【0029】
図2(a)において、第2オリフィスプレート14が倒伏位置にあるとき、第1オリフィスプレート13は起立位置にある。この状態において、第2オリフィスプレート14は、上流側接続部11cから送給路11a内に導入される流体が第1オリフィスプレート13の第1絞り孔13aを通過して下流側接続部11dに送給されるのを阻害しないようになっている。
【0030】
また、倒伏位置にある第2オリフィスプレート14は、送給路11aの底面に当接することにより、図2(a)の時計回り方向への回動が規制されている。第2オリフィスプレート14が当接する送給路11aの底面には、パッキン(図示省略)が取り付けられている。これにより、第2オリフィスプレート14が倒伏位置にあるとき、送給路11a内の下流側の流体が、第2オリフィスプレート14と送給路11aの底面との隙間から、分岐路11bに漏れるのを防止している。
【0031】
図3(a)において、第2オリフィスプレート14が起立位置にあるとき、第1オリフィスプレート13は倒伏位置にあり、上流側接続部11cから送給路11a内に導入される流体の一部は、第1絞り孔13aを通過して分岐路11bに送出されるとともに、送給路11a内に導入される流体の残りは、第2絞り孔14aを通過して下流側接続部11dに送給されるようになっている。
【0032】
起立位置にある第2オリフィスプレート14は、第1オリフィスプレート13が送給路11aの底面に当接することにより、図3(a)の時計回り方向への回動が規制されている。起立位置の第2オリフィスプレート14の外周部に隣接する送給路11a内の四方の側壁には、第2オリフィスプレート14の外周部が当接するパッキン(図示省略)が取り付けられている。これにより、第2オリフィスプレート14が起立位置にあるときに、送給路11a内の上流側の流体が、第2オリフィスプレート14の外周部と送給路11aの側壁との隙間から、下流側に漏れるのを防止している。
【0033】
図2及び図3において、ダンパー15は、弁箱11の分岐路11bを開閉するものであり、分岐路11bの断面形状に合致する四角形に形成された板状部材からなる(図3(b)参照)。
【0034】
ダンパー15の基端部は、第1オリフィスプレート13に対して略90度の角度差、かつ第2オリフィスプレート14に対して略180度の角度差で配置された状態で、回転軸12に一体回動可能に取り付けられている。これにより、ダンパー15は、分岐路11bを閉じる閉鎖位置(図2(a))と、分岐路11bを開く開放位置(図3(a))との間で回動可能である。ダンパー15は、第1オリフィスプレート13が起立位置にあるときに分岐路11bを閉じ、第1オリフィスプレート13が倒伏位置にあるときに分岐路11bを開くようになっている。
【0035】
分岐路11bの上端部には、上流側接続部11cとの境界部から水平方向に延びる規制部11b1が突出形成されている。この規制部11b1は、図2(a)に示すように、ダンパー15の先部を当該規制部11b1の下面に当接させることによって、ダンパー15が前記閉鎖位置を越えて図2(a)の時計回り方向に回動するのを規制している。なお、ダンパー15が開放位置にあるとき、ダンパー15は、分岐路11bの側壁に当接することにより、図3(a)の反時計回り方向への回動が規制される。
【0036】
閉鎖位置のダンパー15の外周部に隣接する分岐路11bの四方の側壁には、ダンパー15の外周部が当接するパッキン(図示省略)が取り付けられている。これにより、ダンパー15が閉鎖位置にあるとき、流体がダンパー15の上側から下側に漏れるのを防止している。また、開放位置のダンパー15が当接する分岐路11bの側壁にも、パッキン(図示省略)が取り付けられている。これにより、ダンパー15が開放位置にあるとき、送給路11a内の下流側の流体がダンパー15と分岐路11bの側壁との隙間から分岐路11bに漏れるのを防止している。
【0037】
図1において、流量絞り装置1は、弁箱11の外部から、第1オリフィスプレート13及び第2オリフィスプレート14を起立位置と倒伏位置とに回動操作するとともに、ダンパー15を閉鎖位置と開放位置とに回動操作するハンドル(回動操作手段)16をさらに備えている。このハンドル16は、回転軸12の端部に着脱自在に取り付けられており、回転軸12を回動操作するようになっている。
【0038】
したがって、ハンドル16を図1の時計回り方向に回動操作することにより、第1及び第2オリフィスプレート13,14とダンパー15とが一体回動して図2(a)の状態にすることができる。また、ハンドル16を図1の反時計回り方向に回動操作することにより、第1及び第2オリフィスプレート13,14とダンパー15とが一体回動して図3(a)の状態にすることができる。
【0039】
図1において、弁箱11の外部には、引張コイルばね(付勢手段)17が設けられている。この引張コイルばね17の両端部は、送給路11aの側壁に突設された固定ピン18と、回転軸12の端部に突設された固定ピン19とにそれぞれ接続されている。これにより、引張コイルばね17は、そのばね力によって、回転軸12を図1の時計回り方向に付勢し、第1オリフィスプレート13を起立位置に向かって回動付勢している。
【0040】
そして、図2(a)に示すように、第2オリフィスプレート14が倒伏位置において送給路11aの底面に当接するとともに、ダンパー15が閉鎖位置において規制部11b1に当接することにより、第1オリフィスプレート13は前記ばね力を抗して起立位置に停止している。これにより、第1オリフィスプレート13は、引張コイルばね17のばね力と、第2オリフィスプレート14及びダンパー15の回動規制とによって起立位置に保持されるため、流体圧等の外力が作用しても、第1オリフィスプレート13が起立位置から回動するのを抑制することができる。
【0041】
図4において、(a)〜(d)は流量絞り装置1の使用方法を示す概略側断面図である。以下、図4を参照しながら、流量絞り装置1の使用方法について説明する。
通常時は、図4(a)に示すように、第1オリフィスプレート13を起立位置に、第2オリフィスプレート14を倒伏位置に、ダンパー15を閉鎖位置にそれぞれ位置させている。この状態において、上流側接続部11cから送給路11a内に導入される流体は、第1オリフィスプレート13の第1絞り孔13aを順方向に通過して矢印a方向の下流側接続部11dに送給される。
【0042】
その際、流体にヘドロや塵芥等の異物Xが含まれていると、図4(b)に示すように、第1オリフィスプレート13の一方面13bの第1絞り孔13a付近に異物Xが付着することによって、第1絞り孔13aが目詰まりを起こす場合がある。
【0043】
この場合には、ハンドル16により回転軸12を図4(b)の状態から反時計回り方向に回動操作する。この回動操作により、図4(c)に示すように、第1オリフィスプレート13は送給路11aを徐々に開くように回動するとともに、ダンパー15は分岐路11bを徐々に開くように回動する。その際、上流側接続部11cから送給路11a内に導入される流体の一部が、第1オリフィスプレート13と送給管11aとの隙間から矢印b方向に通過して下流側接続部11dに送給されるため、上記回動操作中に、上流側接続部11cから下流側接続部11dへの流体の送給が停止されることはない。なお、送給路11a内に導入される流体は、ダンパー15と分岐路11bとの隙間から矢印c方向に通過して排出側接続部11eにも排出される。
【0044】
ハンドル16により回転軸12をさらに回動操作すると、第1オリフィスプレート13は、図4(d)に示すように、その一方面13bが上流側接続部11cの底面に当接して、その回動が停止する。この状態になると、第1オリフィスプレート13は倒伏位置に、第2オリフィスプレート14は起立位置に、ダンパー15は開放位置にそれぞれ位置する。
【0045】
この状態において、上流側接続部11cから送給路11a内に導入される流体の一部は、第1オリフィスプレート13の第1絞り孔13aを逆方向に通過して排出側接続部11eに排出される。これにより、前記一方面13bの第1絞り孔13a付近に付着している異物Xは、第1絞り孔13aを逆方向に通過しようとする流体の流体圧が作用することによって、第1オリフィスプレート13から剥がれて下方に落下し、排出側接続部11eを矢印d方向に流れて排出される。
【0046】
その際、上流側接続部11cから送給路11a内に導入される流体は、第2オリフィスプレート14の第2絞り孔14aを通過して矢印e方向の下流側接続部11dにも送給されるため、下流側接続部11dへの送給は停止されない。
【0047】
第1絞り孔13aの目詰まりが解消されると、ハンドル16の回動操作により、回転軸12を図4(d)の状態から時計回り方向に90度回転させ、図4(a)の通常時の状態に復帰させる。その途中においても、上流側接続部11cに流れる流体は、図4(c)に示すように、矢印b方向の下流側接続部11dに送給されるため、下流側接続部11dへの流体の送給は停止されない。
【0048】
以上のように構成された本実施形態の流量絞り装置1によれば、通常時は、ハンドル16の回動操作により、第1オリフィスプレート13を起立位置に、第2オリフィスプレート14を倒伏位置に、ダンパー15を閉鎖位置にそれぞれ位置させておくことにより、上流側接続部11cから送給路11aに導入される流体を、第1絞り孔13aを順方向に通過させてその流量を絞りながら下流側接続部11dに送給することができる。そして、第1オリフィスプレート13に付着した異物Xによって第1絞り孔13aが目詰まりを起こした場合には、ハンドル16の回動操作により、第1オリフィスプレート13を倒伏位置に、第2オリフィスプレート14を起立位置に、ダンパー15を開放位置にそれぞれ回動させることにより、上流側接続部11cから送給路11aに導入される流体の一部を、第1絞り孔13aを逆方向に通過して分岐路11bに送出させることができる。これにより、この逆方向に通過しようとする流体の流体圧によって、異物Xを第1オリフィスプレート13から容易に取り除くことができる。
【0049】
この際、第2オリフィスプレート14が起立位置にあるので、上流側接続部11cから送給路11aに導入される流体を、第2オリフィスプレート14の第2絞り孔14aにより、その流量を絞りながら下流側接続部11dにも送給することができる。したがって、下流側接続部11dへの流体の送給を停止させることなく、第1絞り孔13aの目詰まりを解消することができる。また、第1オリフィスプレート13からから取り除かれた異物Xは、流体とともに分岐路11bを通して排出側接続部11eに排出されるため、異物Xが下流接続部11dから下流側配管3に流れるのを防止することができる。
【0050】
さらに、異物Xが取り除かれた後は、ハンドル16の回動操作により第1及び第2オリフィスプレート13,14を逆方向に回動させ、第1オリフィスプレート13を起立位置に、第2オリフィスプレート14を倒伏位置に、ダンパー15を閉鎖位置にそれぞれ復帰させる。これにより、上流側接続部11cから送給路11aに導入される流体を、再び第1オリフィスプレート13の第1絞り孔13aにより流量を絞りながら下流側接続部11dに送給することができる。
以上の回動操作を繰り返し行うことによって、長期間に亘って流体の送給を停止させることなく、絞り孔を通して流体を下流側に送給することができる。
【0051】
また、第1オリフィスプレート13、第2オリフィスプレート14、及びダンパー15が一つの回転軸12に一体回動可能に取り付けられているため、この回転軸12を回動操作することにより、第1及び第2オリフィスプレート13,14とダンパー15とを一体回動させて、第1及び第2オリフィスプレート13,14を起立位置と倒伏位置とに交互に切り換えるとともに、ダンパー15により分岐路11bを開閉することができる。これにより、ダンパー15並びに第1及び第2オリフィスプレート13,14の回動操作手段を簡素化することができるため、流量絞り装置1の製造コストを効果的に低減することができる。また、ダンパー15並びに第1及び第2オリフィスプレート13,14のうちいずれか一の回動操作をし忘れるのを防止することができる。
【0052】
また、第1オリフィスプレート13は、引張コイルばね17のばね力と、第2オリフィスプレート14及びダンパー15の回動規制とによって、起立位置に保持されているため、起立位置にある第1オリフィスプレート13を回動させる外力(例えば、上流側の流体圧により閉鎖位置のダンパー15を開放側へ押し付けて第1オリフィスプレート13を倒伏回動させる力)が作用しても、引張コイルばね17のばね力により第1オリフィスプレート13が回動するのを抑制することができる。これにより、前記外力が作用したときに上流側接続部11cから下流側接続部11dに送給される流体の流量が変動するのを抑制することができる。
【0053】
また、送給路11aの断面が四角形に形成され、第1オリフィスプレート13及び第2オリフィスプレート14が送給路11aの断面形状に合致する四角形に形成されているため、第1及び第2オリフィスプレート13,14を弁箱11内で簡単に回動させることができる。これにより、流量絞り装置1の構造を簡素化することができるので、その製造コストをさらに効果的に低減することができる。
【0054】
図5は、本発明の第2の実施形態に係る流量絞り装置を示す斜視図である。本実施形態では、回動操作手段が、回転軸12を回転駆動するモータ(駆動部)21と、流体の流量を検出する流量計(流量検出部)22と、この流量計22の検出信号に基づいてモータ21を駆動制御する制御部23とを有している。
【0055】
モータ21は、弁箱11の外部において回転軸12の端部に接続されている。流量計22は、第1オリフィスプレート13が起立位置にあるときに、第1オリフィスプレート13よりも下流側を流れる流体の流量を検出するものであり、その検出信号は、制御部23に入力されるようになっている。
【0056】
そして、第1オリフィスプレート13が起立位置にある状態で、第1絞り孔13aが目詰まりを起こしそうになると、流量計22は、下流側接続部11dを流れる流体の流量が所定値以下であることを検出する。制御部23は、この検出信号が入力されると、モータ21を駆動して回転軸12を回転させ、第1オリフィスプレート13を倒伏位置に、第2オリフィスプレート14を起立位置に、ダンパー15を開放位置にそれぞれ回動させる。これにより、第1の実施形態と同様に、第1オリフィスプレート13に付着する異物Xを取り除くことができる。
【0057】
異物Xを取り除いた後は、モータ21を駆動して回転軸12を逆方向に回転させ、第1オリフィスプレート13を起立位置に、第2オリフィスプレート14を倒伏位置に、ダンパー15を閉鎖位置にそれぞれ復帰させる。
【0058】
以上のように構成された本実施形態の流量絞り装置によれば、第1オリフィスプレート13が起立位置にあるときに、第1絞り孔13aが目詰まりを起こしそうになると、第1オリフィスプレート13よりも下流側を流れる流体の流量が所定値以下であることを流量計22が検出することにより、制御部23は、モータ21を駆動させて第1オリフィスプレート13を自動的に倒伏位置に回動させることができる。これにより、第1絞り孔13aが目詰まりを起こすのを効果的に抑制することができる。
【0059】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、第1オリフィスプレート13、第2オリフィスプレート14及びダンパー15は、同一の回転軸12に一体回動可能に取り付けられているが、それぞれ別々の回転軸に取り付けてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、ダンパー15は、分岐路11bに設けられているが、排出側接続部11eに設けられていてもよい。また、分岐路開閉手段として、ダンパー15を設けているが、手動式又は電磁式の開閉制御弁を設けてもよい。
【0061】
さらに、第1の実施形態では、第1オリフィスプレート13を起立位置に保持するために、第2オリフィスプレート14とダンパー15とを回動規制しているが、いずれか一方を回動規制すればよい。
また、第1の実施形態では、第1絞り孔13aが目詰まりを起こした場合に、第1オリフィスプレート13等を回動させているが、目詰まりを起こしていなくても、定期的(例えばメンテナンス作業時等)に行うようにしてもよい。
【0062】
また、第2の実施形態では、駆動部として、モータ21を用いているが、電動シリンダやロータリソレノイド等の電動アクチュエータや、油圧式又はエア式のアクチュエータ等を使用してもよい。また、流量検出部として、流量計22を用いているが、圧力計を用いてもよい。
【0063】
また、上記実施形態の流量絞り装置は、設備機器の冷却水を送給する配管に設ける場合について例示したが、河川の水を引き込む配管や、エアを圧送する配管など、他の流体を送給する配管にも適用することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 流量絞り装置
2 上流側配管
3 下流側配管
11 弁箱
11a 送給路
11b 分岐路
11c 上流側接続部
11d 下流側接続部
12 回転軸
13 第1オリフィスプレート
13a 第1絞り孔
14 第2オリフィスプレート
14a 第2絞り孔
15 ダンパー(分岐路開閉手段)
16 ハンドル(回動操作手段)
17 引張コイルばね(付勢手段)
21 モータ(駆動部)
22 流量計(流量検出部)
23 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側配管と下流側配管との間に介在され、前記上流側配管から前記下流側配管に流れる流体の流量を絞る流量絞り装置であって、
前記上流側配管から流体を導入して下流側配管に送給する送給路と、この送給路の途中部から分岐した分岐路と、前記上流側配管に接続して前記送給路と前記上流側配管とを連通させる上流側接続部と、前記下流側配管に接続して前記送給路と前記下流側配管とを連通させる下流側接続部とを有する弁箱と、
前記弁箱内において、前記送給路を閉じる起立位置と当該起立位置よりも上流側に倒伏して前記分岐路を閉じる倒伏位置とに回動可能に軸止されているとともに、前記送給路内の流量を絞る第1絞り孔を有する第1オリフィスプレートと、
前記弁箱内の前記第1オリフィスプレートよりも下流側において、前記送給路を閉じる起立位置と前記送給路を開く倒伏位置とに回動可能に軸止されているとともに、前記送給路内の流量を絞る第2絞り孔を有する第2オリフィスプレートと、
前記弁箱の外部から前記第1オリフィスプレート及び前記第2オリフィスプレートを前記起立位置と前記倒伏位置とに回動操作する回動操作手段と、
前記第1オリフィスプレートが前記起立位置にあるときに前記分岐路を閉じ、前記第1オリフィスプレートが前記倒伏位置にあるときに前記分岐路を開く分岐路開閉手段と、を備えることを特徴とする流量絞り装置。
【請求項2】
前記第1オリフィスプレート及び前記第2オリフィスプレートのそれぞれの基端部が、互いに一体回動可能に一つの回転軸に取り付けられており、前記第1オリフィスプレートが前記起立位置にあるときに、前記第2オリフィスプレートが前記倒伏位置にあり、前記第1オリフィスプレートが前記倒伏位置にあるときに、前記第2オリフィスプレートが前記起立位置にある請求項1に記載の流量絞り装置。
【請求項3】
前記分岐路開閉手段が、板状のダンパーであり、その基端部が前記第1オリフィスプレート及び前記第2オリフィスプレートと一体回動可能に前記回転軸に取り付けられている請求項2に記載の流量絞り装置。
【請求項4】
前記第1オリフィスプレートを前記起立位置に向かって回動付勢する付勢手段をさらに備え、
前記第2オリフィスプレートが、その倒伏位置において前記付勢手段の付勢力に抗して前記第1オリフィスプレートを前記起立位置に停止させている請求項2又は3に記載の流量絞り装置。
【請求項5】
前記1オリフィスプレートを前記起立位置に向かって回動付勢する付勢手段をさらに備え、
前記ダンパーが、前記分岐路を閉じた状態において、前記付勢手段の付勢力に抗して前記第1オリフィスプレートを前記起立位置に停止させている請求項3に記載の流量絞り装置。
【請求項6】
前記回動操作手段は、前記回転軸を回転駆動する駆動部と、
前記第1オリフィスプレートが前記起立位置にあるときに、当該第1オリフィスプレートよりも下流側の流量を検出する流量検出部と、
前記流量検出部により前記流量が所定値以下であることを検出すると、前記駆動部を駆動して前記回転軸とともに前記第1オリフィスプレートを前記起立位置から前記倒伏位置に回動させる制御部と、を備えている請求項2又は3に記載の流量絞り装置。
【請求項7】
前記送給路の断面が四角形に形成されており、
前記第1オリフィスプレート及び第2オリフィスプレートが前記送給路の断面形状に合致する四角形に形成されている請求項1〜6のいずれか一項に記載の流量絞り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−154399(P2012−154399A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13318(P2011−13318)
【出願日】平成23年1月25日(2011.1.25)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】