説明

流量調整装置

【課題】流体の流量調整を高精度に管理可能な流量調整装置を低コストに提供する。
【解決手段】流量調整装置としてのノズルユニット1は、流体が流れる流通孔6を有するノズル本体3と、ノズル本体3の内部を往復移動するバルブ部2aを備えたニードル軸2とを有している。流通孔6にはバルブ部2aの形状に対応したシート面4a1が設けられ、このシート面4a1となる領域は、電鋳加工で緻密面に形成された第1電鋳部4aの内面で形成されている。これにより、バルブ部2aの外表面とシート面4a1との間に形成される間隔7が高精度に管理可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流量を調整するための流量調整装置に関するものである。この流量調整装置は、流体の供給量を精密にコントロールするためのもので、例えばノズルユニットとして用いることができる。
【背景技術】
【0002】
ノズルユニットは、接着剤を塗布する接着剤塗布装置、潤滑油等の注油を行う注油装置、流動状態の樹脂材料を吐出(射出)する射出成形機、あるいは自動車等のエンジンで燃料を噴射させる燃料噴射装置等において、接着剤、潤滑油、溶融樹脂、あるいは燃料等の流体を供給するために用いられている。このノズルユニットは、主に、流体が流れる流通孔を有する本体と、往復移動可能のバルブ部とを備えている。この種のノズルユニットにおける供給流体の流量調整は、バルブ部の往復移動により、バルブ部の形状に対応したシート面とバルブ部の間の間隔を調整することにより行われる。このノズルユニットの本体は、耐熱性等を考慮して、金属の機械加工品とされる場合が多い(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−351102号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のノズルユニットで供給流体の流量調整を高精度に行うには、バルブ部の往復移動に伴って、本体のシート面とバルブ部の間に形成される間隔の幅精度を高める必要がある。この幅精度を高めるには、間隔を形成するシート面とこれに対応するバルブ部の面精度を高める必要があるが、特にシート面は、本体に形成したバルブ孔の内面に設けられるため、一般にその高精度な加工は容易に行えず、また加工が施せたとしても高コスト化する。
【0004】
そこで本発明は、流体の流量調整を高精度に行い得る流量調整装置、その中でも、特に微細な流量調整が可能な流量調整装置を低コストに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明にかかる流量調整装置は、流体が流れる流通孔を有する本体と、往復移動可能のバルブ部とを有し、流通孔にバルブ部の形状に対応したシート面を設け、バルブ部の往復移動でバルブ部とシート面との間隔を調整して流体の流量調整を行うものにおいて、流通孔の少なくともシート面を、電鋳部で形成したことを特徴とするものである。
【0006】
上記のように、本発明では、流通孔の少なくともシート面が電鋳部で形成される。電鋳部は、マスター表面に金属を析出させて形成した金属層であり、電解メッキまたは無電解メッキに準じた手法で形成することができる。電鋳加工の特性上、電鋳部のうち、マスターに接する面は、マスターの表面形状が非常に微細なレベルまで高精度に転写された緻密面となる(なお、その反対側の面は粗面となる)。したがって、マスターから分離した電鋳部、特に緻密面でシート面を形成すれば、特段の仕上げ加工を要すこともなく、容易かつ低コストに高精度なシート面を得ることができ、これにより、間隔の幅精度を高め、流体の流量調整を高精度に管理することができる。特に、電鋳加工で使用したマスターをそのままバルブ部として使用すれば、バルブ部側も高精度な面となるので、間隔の幅をより高精度に管理することが可能となる。上記構成は、難加工となりやすい小型の本体にシート面を設ける場合には特に有効である。
【0007】
本体にはバルブ部の往復移動を案内する案内面を設けることができ、この案内面を電鋳部(特にその緻密面)で形成すれば、上述した電鋳加工の特性から、案内面の面精度を容易かつ低コストに高めることができる。案内面の面精度が高まることにより、バルブ部の移動を高精度に管理することが可能となる。
【0008】
電鋳部で案内面を形成する場合、シート面および案内面を形成する各電鋳部は、共通のマスターを用いて成形するのが望ましい。このように、各電鋳部を共通のマスターで成形すれば、両者を別のマスターで成形する場合に比べ、シート面と案内面の間の同軸度を容易に確保することができ、バルブ部の動作精度および間隔の幅精度を高めることができる。
【0009】
上記の案内面は、軸方向全長に亘って断面真円状とするほか、例えば断面矩形状、断面楕円状等の非真円形状として回り止めを図ることもでき、これによりバルブ部の回転を嫌う用途の流量調整装置にも使用可能となる。さらに、案内面を螺旋状とすればバルブ部を回転させることで軸方向に往復スライドさせることができる。この場合、バルブ部の回転角からバルブ部の位置管理を行うことができ、より高精度の流量調整が可能となる。螺旋状の案内面の形状加工は一般に困難であるが、電鋳加工で形成した電鋳部であれば、この種の螺旋状案内面が低コストに得られる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、流体の流量調整を高精度に行い得る流量調整装置、その中でも、特に微細な流量調整が可能な流量調整装置を低コストに提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明の構成を有する流量調整装置の一例を示すものである。この流量調整装置は、HDD等のディスク装置に組み込まれる軸受装置(流体軸受装置)の製造工程において、軸受隙間内に潤滑油を供給するために用いられるノズルユニット1を概念的に示すものである。このノズルユニット1は、潤滑油が流れる流通孔6を有するノズル本体3と、ノズル本体3の内部で軸方向に往復移動する軸状部材、例えばニードル軸2とを主要な構成部材として備えている。
【0013】
ニードル軸2は、ノズル本体3に設けられた案内面で摺動案内される中実軸状の軸部2bと、軸部2bの一端に設けられ、一端側に向かって漸次縮径した略円錐状のバルブ部2aとを備える。このニードル軸2は、例えばステンレス鋼等の金属材料で、各部2a、2bが界面のない一体品に形成される。
【0014】
ノズル本体3は、電鋳加工で形成される電鋳部4と、該電鋳部4をインサートして射出成形された保持部5とで構成される。電鋳部4は、流通孔6を構成し、その内面がバルブ部2a形状に対応したシート面4a1となる略円錐状の第1電鋳部4aと、内周面が、軸部2bの案内面4b1となる円筒状の第2電鋳部4bとで構成される。本実施形態において、第1電鋳部4aと第2電鋳部4bは軸方向で非連続に形成され、この電鋳部が途切れた軸方向領域では、ノズル本体3(保持部5)の内面と軸部2bの外周面2b1との間に空間部9が形成されている。ノズル本体3には、第1電鋳部4aの一端部近傍から外部に抜ける径方向の貫通穴8が設けられ、潤滑油はこの貫通穴8を介してノズル本体3の内部に供給される。潤滑油が供給されると、上記の空間部9は油溜りとして機能する。
【0015】
上記構成のノズルユニット1において、ニードル軸2のバルブ部2aをノズル本体3の第1電鋳部4aから離反する方向(流通孔6を開く方向)に移動させると、バルブ部2aの外表面2a1と第1電鋳部4aのシート面4a1との間には、テーパ状の間隔7が形成される。そして貫通穴8に供給された潤滑油は、間隔7・流通孔6を介して外部へ吐出される。このときの潤滑油の流量はニードル軸2の軸方向の移動量、換言すると間隔7の幅で調整される。ニードル軸2を軸方向に往復移動させる際、ニードル軸2は第2電鋳部4bの案内面4b1で摺動自在に支持される。
【0016】
次に、上記ノズルユニット1の製造工程を、ノズル本体3の製造工程を中心に図面に基づいて説明する。
【0017】
上記ノズルユニット1におけるノズル本体3は、マスター部材11を製作する工程、マスター部材11の所要箇所をマスキングする工程、電鋳加工により電鋳部材13を形成する工程、電鋳部材13の電鋳部4をインサートして保持部5を成形する工程、電鋳部4(ノズル本体3)をマスター部材11から分離する工程、およびノズル本体3に貫通穴8を設ける工程を順に経て製作される。
【0018】
マスター部材11の製作工程では、導電性材料、例えば焼入処理を施したステンレス鋼、ニッケルクロム鋼、その他のニッケル合金、あるいはクロム合金等で形成されたマスター部材11が形成される。マスター部材11は、これら金属材料以外にも、導電処理(例えば、表面に導電性の被膜を形成する)を施されたセラミック等の非金属材料で形成することもできる。マスター部材11は、断面真円状の軸部11bと、該軸部11bの一端に一体に設けられ、反軸部側の一端に向けて漸次縮径した円錐部11aとで構成される。電鋳加工の特性上、マスター部材11のうち、円錐部11aの表面精度は第1電鋳部4aの内面精度(シート面精度)を直接左右するので、機能上重要となる表面粗さ等の表面精度を予め高精度に仕上げておくのが望ましい。また、軸部11bの表面精度は第2電鋳部4bの内周面精度(案内面精度)を直接左右するので、真円度、円筒度、表面粗さ等の機能上重要となる表面精度を予め所定の精度に仕上げておくのが望ましい。
【0019】
マスキング工程では、図2に示すように、電鋳部4の形成予定部を除いてマスター部材11の外表面にマスキング部12(図中、散点模様で示す)が形成される。マスキング部12用の被覆材としては、非導電性、および電解質溶液に対する耐食性を有する既存品が選択使用される。
【0020】
電鋳加工は、NiやCu等の金属イオンを含んだ電解質溶液にマスター部材11を浸漬させた後、マスター部材11に通電して、マスター部材11の表面のうち、マスキング部12が形成されていない領域に目的の金属を電着(電解析出)させることにより行われる。電解質溶液には、摺動特性向上のため、カーボンやPTFE等の摺動材を含有させるのが望ましく、さらに必要に応じてサッカリン等の応力緩和材を含有させてもよい。電着金属の種類は、ニードル軸2の案内面として求められる硬度、疲れ強さ等の物理的性質や、投入される潤滑油に対する耐食性等の化学的性質に応じて適宜選択される。
【0021】
以上の工程を経ることにより、図3に示すように、マスター部材11の円錐部11aのマスキング部12を除く領域に第1電鋳部4aを、軸部11bのマスキング部12を除く領域に第2電鋳部4bを被着した電鋳部材13が形成される。このとき、電鋳部4a、4bの内面は、マスター部材11の表面形状が高精度に転写された緻密面に形成され、一方電鋳部4a、4bの外表面は粗面に形成される。なお、電鋳部4a、4bの厚みは、これが厚すぎるとマスター部材11からの剥離性が低下し、逆に薄すぎると耐久性が低下するので、求められる性能やサイズ、さらには用途等に応じて最適な厚み(10μm〜200μm程度)に設定される。なお、両電鋳部4a、4bに求められる性質が大きく異なる場合には、個別に電鋳加工を行い、第1電鋳部4aと第2電鋳部4bとで電鋳金属の種類や厚みを異ならせることもできる。
【0022】
電鋳部4は、以上に述べた電解メッキに準じた方法の他、無電解メッキに準じた方法で形成することもできる。その場合、マスター部材11の導電性やマスキング部12の絶縁性は不要となる。
【0023】
次に、上記工程を経て製作された電鋳部材13は、ノズル本体3をインサート成形する成形型内にインサート部品として供給配置される。
【0024】
図4は、ノズル本体3のインサート成形工程を概念的に示すもので、固定型14および可動型15からなる金型には、ランナ16a、ゲート16b、およびキャビティ16cが設けられる。ゲート16bは、この実施形態では点状ゲートであり、成形型の、成形すべき保持部5の軸方向一端面に対応する位置に、周方向等間隔に複数箇所(例えば、3箇所)設けられる。なお、ゲート形状は任意であり、成形すべき保持部5の形状や射出材料の種類に応じて、点状ゲートの他、フィルムゲートやディスクゲート等を採用してもよい。
【0025】
上記構成の金型において、電鋳部材11を位置決め配置した状態で可動型15を固定型14に接近させて型締めする。次に型締めした状態で、スプール(図示省略)、ランナ16a、およびゲート16bを介してキャビティ16c内に射出材料Pを充填し、保持部5を電鋳部材11と一体に成形する。
【0026】
射出材料Pとしては、例えば樹脂材料が使用可能で、そのベース樹脂として、例えば液晶ポリマー(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の結晶性樹脂、あるいは、例えばポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニルサルフォン(PPSU)、ポリエーテルイミド(PEI)等の非晶性樹脂が使用可能で、本実施形態では液晶ポリマーをベース樹脂として用いている。なお、これらはあくまでも使用可能な樹脂を例示したものであり、もちろん、この他の樹脂を使用することもできる。樹脂材料には、必要に応じて強化材(繊維状、粉末状等の形態は問わない)や導電材、および潤滑剤等の各種充填材を一種または二種以上配合することもできる。
【0027】
射出材料Pとして金属材料を使用することもでき、その場合には、例えばマグネシウム合金やアルミニウム合金等の低融点金属が使用可能である。この他、金属粉とバインダーの混合物を射出成形した後、脱脂・焼結するいわゆるMIM成形や、セラミックとバインダーの混合物を射出成形した後、脱脂・焼結するいわゆるCIM成形を採用してもよい。
【0028】
なお、上述したとおり、電鋳加工の特性上、電鋳部4(第1電鋳部4a、第2電鋳部4b)の内面はマスター部材11の表面精度が高精度に転写される緻密面に形成され、一方、外表面は粗面に形成される。したがって、射出成形時には、射出材料Pが電鋳部表面の微小な凹凸に入り込み、電鋳部4と保持部5は、いわゆるアンカー効果によって相互に強固に固着する。これにより、使用時等における両者の分離が効果的に防止される。
【0029】
材料の固化後、型開きすると、図5に示すように、マスター部材11と電鋳部4、および保持部5とが一体となった成形品17が得られる。ところで、保持部5を成形する射出材料Pのベース樹脂として用いた液晶ポリマーは特有の成形収縮挙動を示すものであり、内面が外径側に後退するように収縮する。本実施形態では、この特性を利用して、図示する空間部9が材料の固化に伴って形成される。
【0030】
この成形品17は、その後の分離工程において電鋳部4と保持部5とが一体となったもの(ノズル本体3)と、マスター部材11とに分離される。
【0031】
分離工程では、例えばマスター部材11あるいは電鋳部4(ノズル本体3)に衝撃を与え、電鋳部4(第1電鋳部4a、および第2電鋳部4b)の内面を拡径させることにより、マスター部材11の表面から電鋳部4を剥離させ、電鋳部4の内面とマスター部材11の外面との間に微小隙間(1μm〜数μm程度)を形成する。これにより、電鋳部4と保持部5とが一体となったもの(ノズル本体3)とマスター部材11とを分離させることができる。なお、マスター部材11の表面から電鋳部4を剥離させる際には、上記のように衝撃を与えるほか、例えば電鋳部4とマスター部材11との熱膨張量差を利用することもできる。
【0032】
その後、マスター部材11から分離されたノズル本体3のうち、第1電鋳部4a近傍から外部に抜ける径方向の貫通穴8を機械加工等によって設け、マスター部材11とは別に製作したニードル軸2をノズル本体3に挿入することにより、図1に示すノズルユニット1が完成する。分離されたマスター部材11は、繰り返し電鋳加工に用いることができるので、高精度なノズル本体3が低コストに量産できる。なお、分離されたマスター部材11は、再度ノズル本体3に挿入してニードル軸2として用いることもできる。この場合には、バルブ部2aおよび軸部2b側も高精度な面となるので、間隔7の幅をより高精度に管理することが可能となる。
【0033】
なお、貫通穴8は、上記のように後加工で形成する他、図4に示す射出成形工程において、貫通穴8の相当部位にピンを配置して射出成形を行い、固化後にピンを抜くことで形成することもできる。
【0034】
なお、以上の説明では、空間部9を保持部5の成形収縮によって形成する構成を示したが、射出材料Pを構成するベース材料として液晶ポリマー以外の材料を用いる場合には、例えば図6に示すように、保持部5を成形する材料とは異なる材料、より好ましくは、射出成形時に生じる加工熱等で溶融しない別材料で油溜り成形部18をマスター部材11に設け、このマスター部材11を用いて上述した各工程を経ればよい。この油溜り成形部18は、例えば溶剤等を用いて除去することができる。
【0035】
以上に示すように、本発明では、ノズル本体3の内面のうち、流通孔6のシート面4a1およびニードル軸2の案内面4b1が、それぞれ第1電鋳部4aの内面と第2電鋳部4bの内周面とで構成される。電鋳加工の特性上、各部に対応するマスター部材11の表面精度を高めておけば、電鋳部の内面はマスター11の表面が高精度に転写された緻密面となるから、特段の仕上げ加工を施すことなく容易かつ低コストに高精度なシート面および案内面を形成することができる。これにより、間隔7の幅精度を高め、またニードル軸2の動作精度を高めて、軸受隙間内への潤滑油の供給量を高精度に管理することができる。また、上述した電鋳加工の特性から、機械加工では特に難加工となる小型のノズル本体3の内面も容易に高精度化することができるので、微細な流量管理が可能なノズルユニット1が容易かつ高精度に得られる。
【0036】
なお、以上では、第2電鋳部4bを断面真円形状に形成したが、これを断面矩形状、あるいは断面楕円状等に形成してニードル軸2の回り止めを図ったノズルユニットを構成することもできる(図示省略)。このような構成のノズルユニットは、マスター部材11の軸部11bを、これに適合する断面矩形状、あるいは断面楕円状に形成するだけで、容易かつ高精度に形成することができる。
【0037】
図7は、本発明の他の実施形態を示すものである。図示例の形態は、以上で説明を行ったような、潤滑油の流量調整(間隔7の幅調整)をニードル軸2(バルブ部2a)の直線移動で行うものではなく、ニードル軸2の回転角で行う形態を例示したもので、第2電鋳部4bの内面(案内面)には螺旋溝4b2が形成されている。このように案内面を螺旋状に形成することにより、バルブ部2aの回転角からその位置管理を行うことができるので、より高精度な流量調整が可能となる。この種の螺旋状案内面を設けるのは一般に困難であるが、電鋳加工であれば、この種の螺旋状案内面が容易かつ低コストに得られる。なお、その他の構成は図1に示す形態と同様であるので、共通の参照番号を付与して重複説明を省略する。
【0038】
なお、以上の説明では、バルブ部2aの軸部2b側の一端を、軸部2bと同径に形成した構成を示しているが、バルブ部2aの軸部2b側の一端を軸部2bの外径よりも大径として、ニードル軸2の抜け止めを図る構成とすることもできる。
【0039】
また、以上の説明では、流通孔6のシート面4a2をテーパ面に形成する形態を示したが、シート面は、球状面等に形成することもできる。
【0040】
本発明の構成は上述したような特徴を有するものであるから、潤滑油を供給する給油装置として用いる他、高精度な流量調整が求められる他の装置、例えば樹脂材料を射出する射出成形機や、エンジン等に燃料を噴射させる燃料噴射装置等において、溶融樹脂や燃料等の流量調整を行うもの、さらには流量調整弁としても好ましく使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】流量調整装置の一例を概念的に示す断面図である。
【図2】マスター部材にマスキング部を形成した状態を示す斜視図である。
【図3】電鋳部材の斜視図である。
【図4】インサート成形工程を概念的に示す断面図である。
【図5】インサート成形後のマスター部材の斜視図である。
【図6】他の実施形態にかかる流量調整装置のインサート成形工程を概念的に示す断面図である。
【図7】流量調整装置の他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 ノズルユニット
2 ニードル軸
2a バルブ部
2b 軸部
3 ノズル本体
4 電鋳部
4a 第1電鋳部
4b 第2電鋳部
4a1 シート面
4b1 案内面
5 保持部
6 流通孔
7 間隔
8 貫通穴
11 マスター部材
12 マスキング部
13 電鋳部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が流れる流通孔を有する本体と、往復移動可能のバルブ部とを有し、流通孔にバルブ部の形状に対応したシート面を設け、バルブ部の往復移動でバルブ部とシート面との間隔を調整して流体の流量調整を行う流量調整装置において、
流通孔の少なくともシート面を、電鋳部で形成した流量調整装置。
【請求項2】
本体にバルブ部の往復移動を案内する案内面を設け、この案内面を電鋳部で形成した請求項1記載の流量調整装置。
【請求項3】
シート面および案内面を形成する各電鋳部が、共通のマスターを用いて成形されている請求項2記載の流量調整装置。
【請求項4】
案内面を非真円形状とした請求項2記載の流量調整装置。
【請求項5】
案内面を螺旋状とした請求項2記載の流量調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−218398(P2007−218398A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−42576(P2006−42576)
【出願日】平成18年2月20日(2006.2.20)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】