浄化ユニット及び浄化ユニットを用いた浄化構造体
【課題】 窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性炭化水素、浮遊粒子状物質を含む粉塵などの汚染物質の除去に極めて優れる浄化ユニット及びそれを用いた浄化構造体の提供を目的とする。
【解決手段】 活性炭素繊維を含んで構成されるとともに表裏間に亘って通風性を有する活性炭素繊維成型体が浄化ユニット本体に内装され、活性炭素繊維成型体をプリーツ状に保形するための保形用部材が設けられ、活性炭素繊維成型体の表面側に配設され表裏間に亘って通風を許容する複数の通風孔が板面に形成された表面板を備え、保形用部材によって活性炭素繊維成型体がプリーツ状に保持されるとともに浄化ユニット本体に保持された状態において、活性炭素繊維成型体の表面板側の山部が表面板によって裏面側に押圧されて、活性炭素繊維の繊維密度が高い領域と低い領域とが活性炭素繊維成型体の広がり方向で交互に存在している浄化ユニット、およびこれを用いた浄化構造体。
【解決手段】 活性炭素繊維を含んで構成されるとともに表裏間に亘って通風性を有する活性炭素繊維成型体が浄化ユニット本体に内装され、活性炭素繊維成型体をプリーツ状に保形するための保形用部材が設けられ、活性炭素繊維成型体の表面側に配設され表裏間に亘って通風を許容する複数の通風孔が板面に形成された表面板を備え、保形用部材によって活性炭素繊維成型体がプリーツ状に保持されるとともに浄化ユニット本体に保持された状態において、活性炭素繊維成型体の表面板側の山部が表面板によって裏面側に押圧されて、活性炭素繊維の繊維密度が高い領域と低い領域とが活性炭素繊維成型体の広がり方向で交互に存在している浄化ユニット、およびこれを用いた浄化構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば歩道や駐車場に目隠し塀等として用いられ、空気などの浄化対象流体に含まれる窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性炭化水素、浮遊粒子状物質を含む粉塵などの汚染物質を除去するのに有効な触媒繊維を用いた浄化ユニット、及び当該浄化ユニットを用いた浄化構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の交通量が多い道路沿道、発電所や工場などが密集する工業地帯などの大気汚染が著しい環境において、通風路を通流する空気などの浄化対象流体に含まれる窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性炭化水素、浮遊粒子状物質を含む粉塵などの汚染物質を除去するのに有効な触媒繊維を用いた浄化ユニットが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
具体的に浄化ユニットは、活性炭素繊維を含んで構成され、プリーツ状に加工されるとともにプリーツ表裏間に通風性を有する活性炭素繊維成型体と、活性炭素繊維成型体のプリーツ表面側に配設される表面板とを備え、表面板に、その表裏間に亘って通風を許容する通風孔が形成され、プリーツ折り目に沿った通風空間を、表面板の通風孔から侵入する浄化対象流体を浄化する浄化空間として形成している。
【0004】
この浄化ユニット(あるいは浄化ユニットを用いて構成した浄化構造体)は、窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性炭化水素、浮遊粒子状物質を含む粉塵などの汚染物質を除去する浄化機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−101348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の浄化ユニットは、窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性炭化水素、浮遊粒子状物質を含む粉塵などの汚染物質を除去する浄化機能を備えているものの、活性炭素繊維成型体では、その浄化空間を、表面板に備えた通風孔から侵入する浄化対象流体を浄化するための領域としているのみである。
【0007】
しかしながら、この種の浄化ユニットは前述したように屋外に設置される。すなわち、空気などの浄化対象流体に晒されるとともに、雨水等にも晒される。そして上記浄化ユニットでは、浄化ユニット内に侵入した雨水等の水分との関係による浄化については、検討の余地があった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑み、窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性炭化水素、浮遊粒子状物質を含む粉塵などの汚染物質の除去に極めて優れる浄化ユニット及びそれを用いた浄化構造体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の浄化ユニットは、活性炭素繊維を含んで構成されるとともに表裏間に亘って通風性を有する活性炭素繊維成型体が浄化ユニット本体に内装され、前記活性炭素繊維成型体をプリーツ状に保形するための保形用部材が設けられ、該活性炭素繊維成型体の表面側に配設され表裏間に亘って通風を許容する複数の通風孔が板面に形成された表面板を備え、前記保形用部材によって活性炭素繊維成型体がプリーツ状に保持されるとともに浄化ユニット本体に保持された状態において、活性炭素繊維成型体の表面板側の山部が前記表面板によって裏面側に押圧されて、前記活性炭素繊維の繊維密度が高い領域と低い領域とが活性炭素繊維成型体の広がり方向で交互に存在していることを特徴としている。
【0010】
上記構成において、活性炭素繊維成型体が保形用部材により、山部および谷部を繰り返すプリーツ状に形成されており、活性炭素繊維成型体の表面板側の山部が表面板によって裏面側に押圧されているから、表面板の裏面側において、活性炭素繊維成型体の二つの山部と一つの谷部とで形成される空間領域が、隣合う空間領域と区画されており、したがって、表面板の通風孔から浄化ユニット本体内に侵入した浄化対象流体は該空間領域に滞留し易く、空間領域に滞留した浄化対象流体は活性炭素繊維成型体に接触している時間がその分だけ長くなるから、汚染物質が除去され易くなる。
【0011】
ここで、活性炭素繊維の繊維密度が高い領域と低い領域とが活性炭素繊維成型体の広がり方向で交互に存在しているとは、繊維密度が高い領域と低い領域とが上下方向、左右方向、あるいは上下方向および左右方向に対して傾斜した方向等を含み、保形用部材によってプリーツ状に形成される前のシート状に形成した活性炭素繊維成型体において、その面方向の何れの方向も含む概念である。
【0012】
また、活性炭素繊維成型体の表面板側の山部が表面板によって裏面側に押圧されて、活性炭素繊維の繊維密度が高い領域と低い領域とが活性炭素繊維成型体の広がり方向で交互に存在しているから、表面板の通風孔から浄化ユニット本体内に侵入した雨水等の水分は、活性炭素繊維成型体に吸収されると、繊維密度が高い領域では緩慢に降り、繊維密度が低い領域では、高い領域に比べて急速に降りるから、繊維密度が高い領域を設けた分だけ水分によって活性炭素繊維成型体を浄化する能力が向上する。
【0013】
本発明では、活性炭素繊維の繊維密度が高い領域と低い領域とが上下方向で交互に存在している構成を採用することができる。この構成によれば、活性炭素繊維成型体内を降りる水分の平均流速が、繊維密度が低い領域のみで形成した活性炭素繊維成型体に比べて低下するから、その分だけ水分によって活性炭素繊維成型体を浄化する能力が向上する。
【0014】
本発明の浄化ユニットでは、保形用部材は活性炭素繊維成型体の裏面側にのみ設けられて通気性を有している構成を採用することができる。この構成によれば、保形用部材を活性炭素繊維成型体の裏面側にのみ設けることで、両面側に設ける場合に比べて製造コストを低減させられ、活性炭素繊維成型体を保形させるための工程も容易になる。また、通気性を付与された保形用部材によれば、保形用部材が活性炭素繊維成型体に接触していたとしても、浄化対象流体が活性炭素繊維成型体の表裏面間に亘って通過することが可能である。
【0015】
本発明の浄化ユニットでは、表面板に形成された通風孔は、活性炭素繊維成型体の、少なくとも谷部に対向する領域に形成されている構成を採用することができる。この構成によれば、谷部に浄化対象流体が到達し易い。
【0016】
本発明の浄化ユニットでは、保形用部材の裏面側に浄化ユニット本体に内装されて吸音材が配設されている構成を採用することができる。この構成によれば、浄化ユニットが騒音低減用ユニットとして兼用される。
【0017】
本発明の浄化ユニットでは、吸音材の表面に、該吸音材に水が浸入するのを防止する防水フィルムが設けられている構成を採用することができる。この構成によれば、吸音材に雨水等の水分が吸収されにくいから、吸音材の吸音性能が確保される。
【0018】
本発明の浄化構造体は、上記何れかに記載の浄化ユニットを、上下方向および左右方向のうちの少なくとも一方向に隣接させることで組み合わせてなることを特徴としている。このようにして浄化ユニットを組み合わせることで、浄化ユニットを設置する場所に適応した浄化構造体とすることが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の浄化ユニット及びこれを用いた浄化構造体によれば、活性炭素繊維成型体が保形用部材により、山部および谷部を繰り返すプリーツ状に形成されており、活性炭素繊維成型体の表面板側の山部が表面板によって裏面側に押圧されているから、プリーツの谷部どうしが区画されており、したがって、表面板の通風孔から浄化ユニット本体内に侵入した浄化対象流体は谷部に滞留し易く、谷部に滞留した浄化対象流体は活性炭素繊維成型体に接触している時間がその分だけ長くなるから、汚染物質を効果的に除去することができる。
【0020】
また、活性炭素繊維成型体の表面板側の山部が表面板によって裏面側に押圧されて、活性炭素繊維の繊維密度が高い領域と低い領域とが交互に存在しているから、表面板の通風孔から浄化ユニット本体内に侵入した雨水等の水分は、活性炭素繊維成型体に吸収されると、繊維密度が高い領域では緩慢に降り、繊維密度が低い領域では、高い領域に比べて急速に降りるから、繊維密度が高い領域を設けた分だけ水分によって活性炭素繊維成型体を浄化する能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態を示す浄化構造体の正面図である。
【図2】同浄化構造体の背面図である。
【図3】同浄化構造体を構成する空気浄化ユニットの構成部品の一部を示す分解斜視図である。
【図4】同空気浄化ユニットの縦断側面図である。
【図5】同空気浄化ユニットを構成する縦枠部材を分離させた斜視図である。
【図6】同空気浄化ユニットを構成する縦枠部材(右縦枠部材)の斜視図である。
【図7】同空気浄化ユニットを構成する活性炭素繊維成型体の斜視図である。
【図8】同空気浄化ユニットと柱部材との接続状態を示す横断面図である。
【図9】同図1のX−X領域における内部の構造を省略した端面図である。
【図10】同浄化構造体のNO2の浄化能力の試験結果を示す図表である。
【図11】同浄化構造体のNOの浄化能力の試験結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明に係る浄化構造体の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、この実施形態における浄化構造体1は、例えば歩道や駐車場に目隠し塀等として用いられ、空気などの浄化対象流体に含まれる窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性炭化水素、浮遊粒子状物質を含む粉塵などの汚染物質を除去するのに有効な触媒繊維を用いた、複数個の空気浄化ユニット(浄化ユニットに相当する)2から構成されている。また、浄化構造体1は、浄化対象流体を空気としてその浄化機能と、車両から発生する騒音を吸収する防音機能とを兼ね備えている。
【0023】
図1に示すように、浄化構造体1は、空気浄化ユニット2を上下に組み合わせてなる。ここで、ひとつの空気浄化ユニット2の構成を説明する。図2ないし図7に示すように、空気浄化ユニット2は、箱状に形成された浄化ユニット本体(以下単に「本体」と称す)3、本体3に内装された活性炭素繊維成型体4、吸音材5および遮蔽材6を備えている。
【0024】
本体3は、上枠部材7、下枠部材8、左側縦枠部材10、および右側縦枠部材11から構成される枠体と、枠体の前部に設けられる長方形の表面板12と、枠体の後部に設けられる長方形の背面板13とから構成されている。
【0025】
上枠部材7は、前板部71と後板部72と底板部73と天板部74とから左右方向に沿う角筒状に形成されている。前板部71の下部には、表面板12の上辺部120が挿入支持される、左右方向に沿う前保持溝75が形成されている。後板部72の下部には、背面板13の上辺部130が挿入支持される、左右方向に沿う後保持溝76が形成されている。天板部74の上面の前後寄りの部位に、後述するキャップCを装着するための、あるいは後述する挿入片87,87を挿入するための、左右方向に沿う装着用溝77,77が形成されている。上枠部材7の内側で、前板部71および後板部72の対向面に、蟻溝状のビスホール78,78が左右方向に沿って形成されている。
【0026】
下枠部材8は、前板部81と後板部82と底板部83と天板部84とから左右方向に沿う角筒状に形成されている。前板部81の上部には、表面板12の下辺部121が挿入支持される、左右方向に沿う前保持溝85が形成されている。後板部82の上部には、背面板13の下辺部131が挿入支持される、左右方向に沿う後保持溝86が形成されている。底板部83の下面の前後寄りの部位に、別の(例えば下側に配置する)空気浄化ユニット2の前記装着用溝77,77に嵌合される、左右方向に沿う前記挿入片87,87が下方に突出するよう形成されている。前板部81と後板部82は、底板部83に対して下方に延長される板状の延長部88,88が左右方向に亘って形成されている。下枠部材8の内側で、前板部81および後板部82の対向面に、蟻溝状のビスホール89,89が左右方向に沿って形成されている。
【0027】
左側縦枠部材10および右側縦枠部材11は左右対称使いされる構成であるので、図5および図6に基づいて詳細を右側縦枠部材11について説明し、左側縦枠部材10の説明に兼用する。右側縦枠部材11は所定の高さ(長さ)に形成されており、前側縦板部110と、前側縦板部110の端部から後方に折り曲げられた横側縦板部111とから水平方向の断面が略L字形に形成されている。横側縦板部111の前部には、前側縦板部110と平行で、表面板12側に突出する二個の前挟持縦通部材112が前後に所定の幅を置いて、一対で一体的に形成されている。横側縦板部111の後部には、前挟持縦通部材112と平行で、背面板13側に突出する二個の後挟持縦通部材113が前後に所定の幅を置いて、一対で一体的に形成されている。
【0028】
前挟持縦通部材112の間には、表面板12の右側辺部122が挿入されて挟持される。後挟持縦通部材113の間には、背面板13の右側辺部132が挿入されて挟持される(図8参照)。前挟持縦通部材112および後挟持縦通部材113は、横側縦板部111(前側縦板部110も同様)の高さ(長さ)に比べて低く(短く)形成されて、前挟持縦通部材112および後挟持縦通部材113はともに横側縦板部111の上端部、下端部には至らず、横側縦板部111の上部および下部は、上枠部材7、下枠部材8の端面がそれぞれ当接する当接平面111aとして用いられる。
【0029】
前記横側縦板部111の上端部の当接平面111aには、左右方向に貫通するビス孔114,114が形成されている。そしてこの上方の当接平面111aに上枠部材7の端面が当接された際、前記ビス孔114,114から前記上枠部材7のビスホール78,78に向けてビス(図示せず)を螺入させることで、右側縦枠部材11と上枠部材7とが相互に固定される。
【0030】
前記横側縦板部111の下端部の当接平面111aにも、左右方向に貫通するビス孔115,115が形成されている。そしてこの下方の当接平面111aに下枠部材8の端面が当接された際、前記ビス孔115,115から前記下枠部材8のビスホール89、89に向けてビス(図示せず)を螺入させることで、横側縦板部111と下枠部材8とが相互に固定される。
【0031】
なお、左側縦枠部材10については右側縦枠部材11と左右対称形状であるから、詳細は省略するが、左側縦枠部材10の前挟持縦通部材112の間には、表面板12の左側辺部123が挿入されて挟持される。後挟持縦通部材113の間には、背面板13の左側辺部133が挿入されて挟持される。なお、図示しないが、左側縦枠部材10および右側縦枠部材11の下部には排水孔が形成されている。
【0032】
図3ないし図5に示すように、表面板12は、パンチグメタルが好適に用いられる。すなわち、表面板12には、所定の径を有して、表裏間に亘って通風を許容する通風孔12aが板面に多数形成されている。通風孔12aは同一径に形成されており、上下方向、左右方向に互い違い(千鳥状)に配置されている。背面板13は、アルミニウムシートと合成樹脂シートの積層体からなり、耐衝撃性、耐風圧性に優れている。
【0033】
活性炭素繊維成型体4は、活性炭素繊維(ACFとも称される)を含んで構成されるとともに表裏間に亘って通風性を有する。活性炭素繊維成型体4は、図3、図4、図7に示すように、活性炭素繊維をフェルト状、シート状、板状に加工するとともに、さらにプリーツ状に形成されて構成されている。プリーツ状とは、山折りと谷折りとを交互に繰り返して平板状の繊維に折り目(プリーツ折り目)を形成することにより、当該繊維の表裏面それぞれに、折り目方向に通風空間AWを形成した状態をいう。
【0034】
具体的には、図3に示すように、活性炭素繊維がプリーツ状に加工されることにより、プリーツ折り目に沿った通風空間AWが活性炭素繊維成型体4の表側および裏側に形成されることとなる。この通風空間AWは、表面板12の少なくとも通風孔12aから侵入する空気Aを活性炭素繊維に接触させて浄化する浄化空間となる。
【0035】
活性炭素繊維は通気性を有するので、空気Aは活性炭素繊維成型体4に形成されたプリーツ表裏間を通風することも可能である。なお、上記プリーツは、空気Aを良好に通風することができる浄化空間を形成することができる形状であればよいが、プリーツの高さである、山部40(表側への突部)と谷部(裏側への突部)41との距離が10mm〜40mm程度(この場合15mm)、プリーツの山部40と山部40との間隔(谷部41と谷部41との間隔でもある)が10mm〜80mm程度(この場合35〜50mm)であることが好ましい。この実施形態では、背面板13や表面板12の上下方向に沿って山部40と谷部41とが繰り返されるよう構成されている。
【0036】
活性炭素繊維成型体4は、活性炭素繊維をフェルト状、シート状、板状に加工する。例えば、活性炭素繊維を公知の方法を用いて平板状の不織布に加工することにより、フェルト状、シート状、板状の活性炭素繊維を得ることができる。そして、図7に示すように、活性炭素繊維成型体4をプリーツ状に保形するために保形用部材Kが用いられている。
【0037】
保形用部材Kは、活性炭素繊維成型体4の裏面側にのみ設けられて通気性を有した材料が用いられる。具体的に保形用部材Kは金網状に形成されている。金網状に形成することで通気性を備え、この保形用部材Kそのものをプリーツ状に形成して、活性炭素繊維成型体4を保形用部材Kの山部、谷部に沿うように接着剤により接着することで、活性炭素繊維成型体4をプリーツ状に保持することができる。
【0038】
活性炭素繊維成型体4を構成する活性炭素繊維は、空気A中の汚染物質、特にNOxを良好に酸化除去し得る。この場合、窒素吸着法による比表面積が400m2/g〜500m2/gの範囲内であり、MP法で解析した細孔分布において、直径2nm以下のミクロポアの内、直径1nm以下のものが全ミクロポア容積の80%以上を占めるものを用いることが好ましい。このような活性炭素繊維の吸着機能と触媒機能により、大気汚染の原因となるNOxの内、特に常温で除去することが困難な一酸化窒素(NO)を常温で長期間除去することができる。
【0039】
また、活性炭素繊維成型体4を構成する活性炭素繊維としては、ピッチ系活性炭素繊維(例えば、アドール株式会社製の「A−5」)やポリアクリロニトリル系活性炭素繊維を用いることが好ましく、除去が比較的容易なNO2に加え、従来除去が困難であったNOも良好に除去することができる。
【0040】
吸音材5は、この実施形態において、熱可塑性合成樹脂製繊維から構成された綿状の集合体であり、長方形のシート状(板状)に成形され、その大きさは表面板12と同程度である。吸音材5の表面には、撥水シート51が前面の全面に亘って設けられている。この撥水シート51付きの吸音材5は、図4に示すように、表面板12と背面板13との間に形成された中空部に、活性炭素繊維成型体4とともに内装されている。吸音材5の厚さは、活性炭素繊維成型体4を形成するプリーツの高さである山部40と谷部41との距離に比べて厚く形成されている。
【0041】
吸音材5の材質は具体的には、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルであるが、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート等のポリエステルを適宜混練したものでもよく、あるいは共重合させたものでもよい。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリアミド等の合成樹脂を用いてもよい。さらに、これらの合成樹脂で繊維を作成する際に、芯部とその外周上に配置された被覆部からなるように繊維を構成してもよい。吸音材5の繊維の形態は、この実施形態では長さが30〜100mm、太さが5〜100μmの合成樹脂製繊維であるが、特にこれに限定されるものではない。また、上記材質以外に、ガラスウール、グラスウール等でもよい。
【0042】
前記中空部には、遮蔽材6がさらに内装されている。この実施形態では、遮蔽材6は、遮音板や吸遮音板等の防音機能を有する金属板が好適である。遮蔽材6は、吸音材5と同等の面積を備えた本体板151と、本体板151の上下端部を前方に折曲させて形成した保持辺部152とから縦方向断面をコ字形に形成されている。吸音材5が、保持辺部152の間に挟持されている。
【0043】
活性炭素繊維成型体4、吸音材5および遮蔽材6の位置関係は、この順に前側から本体3に内装されている。すなわち、活性炭素繊維成型体4、吸音材5および遮蔽材6が、表面板12と背面板13とで挟持されており、特に、活性炭素繊維成型体4はその前面側の山部40の頂点近傍が表面板12の裏面に接触して後方へ押圧され、後面側の谷部41の頂点部近傍が吸音材5の表面に接触して前方へ押圧されている。
【0044】
上記のようにして活性炭素繊維成型体4の山部40が後方へ押圧され、谷部41が前方へ押圧されることにより、押圧されている部分を含む所定の領域の厚みが、押圧力を受けている分だけ減じられている。このことはすなわち、活性炭素繊維成型体4が本体3に保持された状態において、活性炭素繊維成型体4の表面板12側の山部40、吸音材5側の谷部41では活性炭素繊維の繊維密度が他の領域である山谷間部に比べて高い領域となっている。すなわち、図7に示すように、活性炭素繊維成型体4は、本体3に内装された状態において、活性炭素繊維の繊維密度が高い領域16と、繊維密度が高い領域16に比べて繊維密度が低い領域17とが上下方向で交互に存在している。
【0045】
但し、活性炭素繊維成型体4の裏面にのみ保形用部材Kが設けられており、谷部41では保形用部材Kを設けている分だけ、山部40に比べて谷部41の繊維密度は低い。また、図7では、領域16と領域17とを便宜上寸法線的に区分けしているが、実際にはこのように区分けされず、その境界は明確ではない。
【0046】
このことを寸法的観点にすれば、活性炭素繊維成型体4の、プリーツの高さである山部40と谷部41との距離は、吸音材5の表面から表面板12の裏面までの距離に比べて大きく設定されていることになる。また、表面板12に形成された通風孔12aは、活性炭素繊維成型体4の、少なくとも谷部41に対向する領域に形成されるよう配置されている。すなわち図7において仮想線で示すように、活性炭素繊維成型体4が押圧力を受けることで、山部40は後方にひしゃげた形状となり、少なくとも表面板12に接触している領域では、接触していない領域に比べて繊維密度が高くなっている。
【0047】
この実施形態では、浄化構造体1では、上記構成の空気浄化ユニット2を、上下方向に二個、表面板12が面一となるよう重ねている。空気浄化ユニット2を重ねるには、挿入片87を装着用溝77に嵌込むようにする。
【0048】
図1において、符号18は、空気浄化ユニット2を所定の場所に設置するための柱部材である。この柱部材18は角筒状に形成され、図8に示すように、右側縦枠部材11の側部に前後の重ね板部材19,20を介して取付けられる。前側の重ね板部材19は縦長の平板状に形成された被覆板部191と、被覆板部191の柱部材18側端部から後方へ折曲するよう形成された当接板部192とから一体的に形成されている。被覆板部191は、前側縦板部110の前面に重ねられ、当接板部192は柱部材18の側板181に左右方向で当接する。
【0049】
後側の重ね板部材20は縦長の平板状の被覆板部21と、被覆板部21の端部から前方に折曲されて柱部材18の側板181が当接する当接板部22と、当接板部22の前部から斜め前方に折曲されて右側縦枠部材11の前側縦板部110にその裏面で当接する重ね部23とから一体的に形成されている。
【0050】
柱部材18の側部からボルトB1を挿通させて当接板部22側のナット部材T1と螺合させ、前側の重ね板部材19と右側縦枠部材11の前側縦板部110と後側の重ね板部材20の重ね部23とを前後方向で重ねて前側からビスB2を挿通し、重ね部23の裏面側でナット部材T2に螺合させることで、柱部材18に空気浄化ユニット2が支持されている。このような柱部材18は空気浄化ユニット2の左右両側にあって、左右対称の構成で空気浄化ユニット2の左側部が支持されている。なお、図9において符号Cは、柱部材18と空気浄化ユニット2の取り付け部分における上枠部材7の上部に装着する前記キャップである。
【0051】
空気浄化ユニット2の組み立ては、本実施形態では次のようにして行う。すなわち、表面板12の上辺部120を上枠部材7の前保持溝75に、裏面板13の上辺部130を後保持溝76に、表面板12の下辺部121を下枠部材8の前保持溝85に、裏面板13の下辺部131を後保持溝86にそれぞれ挿入支持させ、続いて右側縦枠部材11又は左側縦枠部材12のいずれか一方、例えば右側縦枠部材11を固定して、左側が開口した箱状体を形成する。そして、その左側開口部から、前記箱状態の内部に背面板13を挿入し、更に吸音材5と活性炭素繊維成型体4とを圧入する。これにより、活性炭素繊維成型体4は、前記箱状態内部において前後方向から圧縮する力を受けるので、繊維密度が高い領域16と繊維密度が低い領域17とを形成することができる。なお活性炭素繊維成型体4の山部40、谷部41を、前記圧入する方向と同方向に形成しておけば、活性炭素繊維成型体4の剛性が高まり、圧入させやすくなるので好ましい。そして、最後に左側縦枠部材12を固定する。
【0052】
前述のように、浄化構造体1では、上記構成の空気浄化ユニット2を、上下方向に二個、表面板12が面一となるよう重ねている。そして、上記空気浄化ユニット2の構造により、空気浄化ユニット2の輸送の際や設置現場で取り扱う際、空気浄化ユニット2の内部の活性炭素繊維成型体4等が不容易に動かないので、接触により生じる破損、変形、騒音など抑えることができる。
【0053】
上記構成の浄化構造体1において、表面板12の通風孔12aからは洗浄対象流体である空気Aが、空気浄化ユニット2内に入る。そして通風孔12aは、活性炭素繊維成型体4の、少なくとも谷部41に対向する領域に形成されるよう配置されており、活性炭素繊維成型体4はその前面側の山部40の頂点近傍が表面板12の裏面12bに接触して後方へ押圧され、後面側の谷部41の頂点部近傍が吸音材5(撥水シート51)の表面5aに接触して前方へ押圧されている。このため、二つの山部40と一つの谷部41で形成される表面板12裏側の通風空間AW(空間領域)は、上下方向に隣合う通風空間AWと区画されている。
【0054】
このため、表面板12の通風孔12aから本体3内に侵入した空気Aは通風空間AWに滞留し易く、通風空間AWに滞留した空気Aは活性炭素繊維成型体4に接触している時間がその分だけ長くなるから、汚染物質を、高い除去率をもって除去することができる。
【0055】
また、活性炭素繊維成型体4では、その表面板12側の山部40が表面板12によって裏面側に押圧されている。このため、活性炭素繊維の繊維密度が高い領域16と低い領域17とが上下方向で交互に存在している。そして表面板12の通風孔12aからは雨水等が侵入してくる。表面板12の通風孔12aから本体3内に侵入した雨水等の水分は、活性炭素繊維成型体4に吸収されると、繊維密度が高い領域16では緩慢に降り、繊維密度が低い領域17では、高い領域16に比べて急速に降りる。活性炭素繊維成型体4に吸収された水分がこのような降下をすることにより、繊維密度が低い領域17のみで形成された活性炭素繊維成型体4に比べて活性炭素繊維成型体4内を下方に通過する水分の平均流速が遅くなる。そして平均流速が遅くなれば、その分だけ活性炭素繊維成型体4の活性炭素繊維に水分が接触する長い時間が長くなる。このため、活性炭素繊維成型体4が吸着したNOxの浄化性が良好になる。
【0056】
また、吸音材5の表面には、吸音材5に水分が浸入するのを防止する撥水シート51が施されている。このため、吸音材5に水分が浸入しにくいので、吸音材5の吸音性を確保することができる。また、背面板13は、アルミニウムシートと合成樹脂シートの積層体からなり、耐衝撃性、耐風圧性に優れた材料を用いているから、浄化構造体1が何らかの外力受けたとしても、浄化構造体1が大きく変形したり破壊されたりすることを抑制することができる。
【0057】
ここで、活性炭素繊維をプリーツ状に形成し、山部40と谷部41との頂点距離(山高さ)を15mm程度、山部40と山部40間隔(ピッチ)を38mm程度とした場合での活性炭素繊維成型体4を、空気浄化ユニット2に装着して、NOxの浄化率の実験を行った結果を示す。なお、NO2の浄化率の実験を行った結果を図10の表図に、NOの浄化率の実験を行った結果を図11の図表にそれぞれ示す。また、活性炭素繊維としてアドール株式会社製 活性炭素繊維 A−5を用い、これをカード加工により厚み6mmのフェルトの活性炭素繊維成型体4に加工し、保形用部材Kとしてアルミ製ラス網(目開き16*32mm)を、活性炭素繊維成型体4の片面にアクリル接着剤で貼り付け、その後、活性炭素繊維成型体4を上記寸法となるようプリーツ加工し、活性炭素繊維成型体4の表裏面を押圧することなく無負荷の状態のものを用いた。
【0058】
また、試験方法は、次のとおりである。すなわち、横2m、高さ1mの、活性炭素繊維成型体4を内蔵した空気浄化ユニット2に、その左端から左右幅20cmで高さ1mの範囲を試験空気の入り口とし、中央部における幅20cmで高さ1mの範囲を中間測定口とし、右端から左右幅20cmで高さ1mの範囲を終端測定口とし、他の部分(表面板12等)は板で覆うことで不要な箇所から空気浄化ユニット2内へ空気Aの出入りが無いようにした状態として、NOx混入ガスを導入した。NOxはボンベから濃度既知の標準ガスを所定量導入し、空気Aはファンにより所定の風量(入り口風量)だけ導入して、入口NOx濃度を調節した。そして、所定の風速(入り口断面風速)におけるNOx濃度を入り口、中間測定口、終端測定口において測定した。なお、NOx濃度は、化学発光式自動NOx計により測定し、風速は熱線式風速計により測定した。
【0059】
図10から、入り口断面風速を0.17m/s,0.34m/sの二種類とし、入り口風量を1.84m3/min,3.67m3/minの二種類として、中間測定口と終端測定口でのNO2除去率は、それぞれ57.1〜88.3%、77.0〜87.0%と、非常に高い除去率であることを確認することができた。
【0060】
図11から、入り口断面風速を0.2m/s,0.34m/sの二種類とし、入り口風量を2.16m3/min,3.67m3/minの二種類として、中間測定口と終端測定口でのNO除去率(脱硝率)は、それぞれ10.7〜14.8%、20.6〜26.2%の除去率であることを確認することができた。なお、図10,11において測定口における(NO2,NO)濃度とは、それぞれ中間測定口、終端測定口における濃度を示す。
【0061】
入り口断面風速および入り口風量を上記の値に設定したのは、この実施形態による浄化構造体1を、自動車の交通量が多い道路沿道、発電所や工場などが密集する工業地帯などの大気汚染が著しい環境、および月極駐車場や一般家庭における駐車場、あるいは騒音が気になる一般家庭の目隠し等に用いるのに好適な条件下に倣わすためである。
【0062】
本発明は上記実施形態に限定されない。上記実施形態では、活性炭素繊維成型体4をプリーツ状に成形保持し、上下方向に亘って山部40と谷部41とが繰り返されるよう構成した。しかしながら、活性炭素繊維成型体4をプリーツ状に成形保持し、左右方向に亘って山部40と谷部41とが繰り返されるよう構成し、これを本体3に内装することも好ましい。あるいは、上下方向、左右方向に限らず、上下方向あるいは左右方向に対して傾斜する方向で繰り返されるよう構成することも可能である。これらの場合でも、二つの山部40と一つの谷部41で形成される表面板12裏側の空間領域は、隣合う空間領域と区画されている。このため、本体3内に侵入した空気Aは各空間領域に滞留し易く、空間領域に滞留した空気Aは活性炭素繊維成型体4に接触している時間がその分だけ長くなるから、汚染物質を、高い除去率をもって除去することができる。
【0063】
さらに、左右方向あるいは傾斜方向に亘って山部40と谷部41とが繰り返されていても、活性炭素繊維成型体4はその前面側の山部40の頂点近傍が表面板12の裏面に接触して後方へ押圧されている。このため、繊維密度が低い領域17のみで形成された活性炭素繊維成型体4に比べて、少なくとも押圧されて繊維密度が高い領域では、活性炭素繊維成型体4内を下方に通過する水分の平均流速が遅くなる。そして平均流速が遅くなれば、その分だけ活性炭素繊維成型体4の活性炭素繊維に水分が接触する長い時間が長くなる。このため、活性炭素繊維成型体4が吸着したNOxの浄化性が良好になる。
【0064】
上記実施形態では、保形用部材Kは活性炭素繊維成型体4の裏面側にのみ設けたがこれに限定されない。すなわち、保形用部材Kは活性炭素繊維成型体4の両面に設けることで、活性炭素繊維成型体4を保形するようにすることも可能である。但しこの場合、表側に設ける保形用部材は、活性炭素繊維成型体4の山部40と表面板12との接触による山部40の押圧を邪魔しないような構成とすることが必要である。
【0065】
そして、フェルト状、シート状の活性炭素繊維は柔軟で、形状安定性が無いので、適宜、金網、アルミ、SUS製のメッシュ、樹脂製のネットなどを採用することで、活性炭素繊維成型体4をプリーツ状に加工することもできる。
【0066】
上記実施形態では、活性炭素繊維をプリーツ状に加工するにあたり、山折り、谷折りを繰り返してこの折り目が線として認識できる程度にまで加工したが、このようにプリーツ折り目が線として認識できることまで必要とせず、通風空間AW(空間領域)を確保できる程度になだらかな曲線を描くように波状に形成されたものであってもよい。すなわち、活性炭素繊維からなる平板状体をジグザグ状(波状)に加工し、折り目間にプリーツの谷部が形成されればよい。
【0067】
繊維密度が高い領域16、および繊維密度が低い領域17の少なくとも一方、特に繊維密度が低い領域17に、孔部(繊維間距離よりも径の大きな孔)を単数、または複数形成することも考えられる。この構成によれば、空気Aが活性炭素繊維成型体4の裏面側にも到達し易く、そうなると空気Aが活性炭素繊維成型体4とより接触し易くなり(接触面積を大きくすることができ)、空気Aの浄化効率をさらに向上させることが可能となる。なお、上記実施形態では、空気を浄化対象流体として説明したが、汚染物質が含まれる流体であれば特に制限されずに浄化対象流体とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る浄化ユニット、浄化構造体は、ある程度の通風量が発生する場所において、騒音を低減すると共に、窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性炭化水素、浮遊粒子状物質を含む粉塵などの汚染物質を除去するものとして有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…浄化構造体、2…空気浄化ユニット、3…本体、4…活性炭素繊維成型体、5…吸音材、6…遮蔽材、12…表面板、12a…通風孔、12b…裏面、13…背面板、16…活性炭素繊維の繊維密度が高い領域、17…活性炭素繊維の繊維密度が低い領域、18…柱部材、40…山部、41…谷部、51…撥水シート、A…空気、AW…通風空間、K…保形用部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば歩道や駐車場に目隠し塀等として用いられ、空気などの浄化対象流体に含まれる窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性炭化水素、浮遊粒子状物質を含む粉塵などの汚染物質を除去するのに有効な触媒繊維を用いた浄化ユニット、及び当該浄化ユニットを用いた浄化構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の交通量が多い道路沿道、発電所や工場などが密集する工業地帯などの大気汚染が著しい環境において、通風路を通流する空気などの浄化対象流体に含まれる窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性炭化水素、浮遊粒子状物質を含む粉塵などの汚染物質を除去するのに有効な触媒繊維を用いた浄化ユニットが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
具体的に浄化ユニットは、活性炭素繊維を含んで構成され、プリーツ状に加工されるとともにプリーツ表裏間に通風性を有する活性炭素繊維成型体と、活性炭素繊維成型体のプリーツ表面側に配設される表面板とを備え、表面板に、その表裏間に亘って通風を許容する通風孔が形成され、プリーツ折り目に沿った通風空間を、表面板の通風孔から侵入する浄化対象流体を浄化する浄化空間として形成している。
【0004】
この浄化ユニット(あるいは浄化ユニットを用いて構成した浄化構造体)は、窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性炭化水素、浮遊粒子状物質を含む粉塵などの汚染物質を除去する浄化機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−101348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の浄化ユニットは、窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性炭化水素、浮遊粒子状物質を含む粉塵などの汚染物質を除去する浄化機能を備えているものの、活性炭素繊維成型体では、その浄化空間を、表面板に備えた通風孔から侵入する浄化対象流体を浄化するための領域としているのみである。
【0007】
しかしながら、この種の浄化ユニットは前述したように屋外に設置される。すなわち、空気などの浄化対象流体に晒されるとともに、雨水等にも晒される。そして上記浄化ユニットでは、浄化ユニット内に侵入した雨水等の水分との関係による浄化については、検討の余地があった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑み、窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性炭化水素、浮遊粒子状物質を含む粉塵などの汚染物質の除去に極めて優れる浄化ユニット及びそれを用いた浄化構造体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の浄化ユニットは、活性炭素繊維を含んで構成されるとともに表裏間に亘って通風性を有する活性炭素繊維成型体が浄化ユニット本体に内装され、前記活性炭素繊維成型体をプリーツ状に保形するための保形用部材が設けられ、該活性炭素繊維成型体の表面側に配設され表裏間に亘って通風を許容する複数の通風孔が板面に形成された表面板を備え、前記保形用部材によって活性炭素繊維成型体がプリーツ状に保持されるとともに浄化ユニット本体に保持された状態において、活性炭素繊維成型体の表面板側の山部が前記表面板によって裏面側に押圧されて、前記活性炭素繊維の繊維密度が高い領域と低い領域とが活性炭素繊維成型体の広がり方向で交互に存在していることを特徴としている。
【0010】
上記構成において、活性炭素繊維成型体が保形用部材により、山部および谷部を繰り返すプリーツ状に形成されており、活性炭素繊維成型体の表面板側の山部が表面板によって裏面側に押圧されているから、表面板の裏面側において、活性炭素繊維成型体の二つの山部と一つの谷部とで形成される空間領域が、隣合う空間領域と区画されており、したがって、表面板の通風孔から浄化ユニット本体内に侵入した浄化対象流体は該空間領域に滞留し易く、空間領域に滞留した浄化対象流体は活性炭素繊維成型体に接触している時間がその分だけ長くなるから、汚染物質が除去され易くなる。
【0011】
ここで、活性炭素繊維の繊維密度が高い領域と低い領域とが活性炭素繊維成型体の広がり方向で交互に存在しているとは、繊維密度が高い領域と低い領域とが上下方向、左右方向、あるいは上下方向および左右方向に対して傾斜した方向等を含み、保形用部材によってプリーツ状に形成される前のシート状に形成した活性炭素繊維成型体において、その面方向の何れの方向も含む概念である。
【0012】
また、活性炭素繊維成型体の表面板側の山部が表面板によって裏面側に押圧されて、活性炭素繊維の繊維密度が高い領域と低い領域とが活性炭素繊維成型体の広がり方向で交互に存在しているから、表面板の通風孔から浄化ユニット本体内に侵入した雨水等の水分は、活性炭素繊維成型体に吸収されると、繊維密度が高い領域では緩慢に降り、繊維密度が低い領域では、高い領域に比べて急速に降りるから、繊維密度が高い領域を設けた分だけ水分によって活性炭素繊維成型体を浄化する能力が向上する。
【0013】
本発明では、活性炭素繊維の繊維密度が高い領域と低い領域とが上下方向で交互に存在している構成を採用することができる。この構成によれば、活性炭素繊維成型体内を降りる水分の平均流速が、繊維密度が低い領域のみで形成した活性炭素繊維成型体に比べて低下するから、その分だけ水分によって活性炭素繊維成型体を浄化する能力が向上する。
【0014】
本発明の浄化ユニットでは、保形用部材は活性炭素繊維成型体の裏面側にのみ設けられて通気性を有している構成を採用することができる。この構成によれば、保形用部材を活性炭素繊維成型体の裏面側にのみ設けることで、両面側に設ける場合に比べて製造コストを低減させられ、活性炭素繊維成型体を保形させるための工程も容易になる。また、通気性を付与された保形用部材によれば、保形用部材が活性炭素繊維成型体に接触していたとしても、浄化対象流体が活性炭素繊維成型体の表裏面間に亘って通過することが可能である。
【0015】
本発明の浄化ユニットでは、表面板に形成された通風孔は、活性炭素繊維成型体の、少なくとも谷部に対向する領域に形成されている構成を採用することができる。この構成によれば、谷部に浄化対象流体が到達し易い。
【0016】
本発明の浄化ユニットでは、保形用部材の裏面側に浄化ユニット本体に内装されて吸音材が配設されている構成を採用することができる。この構成によれば、浄化ユニットが騒音低減用ユニットとして兼用される。
【0017】
本発明の浄化ユニットでは、吸音材の表面に、該吸音材に水が浸入するのを防止する防水フィルムが設けられている構成を採用することができる。この構成によれば、吸音材に雨水等の水分が吸収されにくいから、吸音材の吸音性能が確保される。
【0018】
本発明の浄化構造体は、上記何れかに記載の浄化ユニットを、上下方向および左右方向のうちの少なくとも一方向に隣接させることで組み合わせてなることを特徴としている。このようにして浄化ユニットを組み合わせることで、浄化ユニットを設置する場所に適応した浄化構造体とすることが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の浄化ユニット及びこれを用いた浄化構造体によれば、活性炭素繊維成型体が保形用部材により、山部および谷部を繰り返すプリーツ状に形成されており、活性炭素繊維成型体の表面板側の山部が表面板によって裏面側に押圧されているから、プリーツの谷部どうしが区画されており、したがって、表面板の通風孔から浄化ユニット本体内に侵入した浄化対象流体は谷部に滞留し易く、谷部に滞留した浄化対象流体は活性炭素繊維成型体に接触している時間がその分だけ長くなるから、汚染物質を効果的に除去することができる。
【0020】
また、活性炭素繊維成型体の表面板側の山部が表面板によって裏面側に押圧されて、活性炭素繊維の繊維密度が高い領域と低い領域とが交互に存在しているから、表面板の通風孔から浄化ユニット本体内に侵入した雨水等の水分は、活性炭素繊維成型体に吸収されると、繊維密度が高い領域では緩慢に降り、繊維密度が低い領域では、高い領域に比べて急速に降りるから、繊維密度が高い領域を設けた分だけ水分によって活性炭素繊維成型体を浄化する能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態を示す浄化構造体の正面図である。
【図2】同浄化構造体の背面図である。
【図3】同浄化構造体を構成する空気浄化ユニットの構成部品の一部を示す分解斜視図である。
【図4】同空気浄化ユニットの縦断側面図である。
【図5】同空気浄化ユニットを構成する縦枠部材を分離させた斜視図である。
【図6】同空気浄化ユニットを構成する縦枠部材(右縦枠部材)の斜視図である。
【図7】同空気浄化ユニットを構成する活性炭素繊維成型体の斜視図である。
【図8】同空気浄化ユニットと柱部材との接続状態を示す横断面図である。
【図9】同図1のX−X領域における内部の構造を省略した端面図である。
【図10】同浄化構造体のNO2の浄化能力の試験結果を示す図表である。
【図11】同浄化構造体のNOの浄化能力の試験結果を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下本発明に係る浄化構造体の実施形態について、図面に基づいて説明する。図1に示すように、この実施形態における浄化構造体1は、例えば歩道や駐車場に目隠し塀等として用いられ、空気などの浄化対象流体に含まれる窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性炭化水素、浮遊粒子状物質を含む粉塵などの汚染物質を除去するのに有効な触媒繊維を用いた、複数個の空気浄化ユニット(浄化ユニットに相当する)2から構成されている。また、浄化構造体1は、浄化対象流体を空気としてその浄化機能と、車両から発生する騒音を吸収する防音機能とを兼ね備えている。
【0023】
図1に示すように、浄化構造体1は、空気浄化ユニット2を上下に組み合わせてなる。ここで、ひとつの空気浄化ユニット2の構成を説明する。図2ないし図7に示すように、空気浄化ユニット2は、箱状に形成された浄化ユニット本体(以下単に「本体」と称す)3、本体3に内装された活性炭素繊維成型体4、吸音材5および遮蔽材6を備えている。
【0024】
本体3は、上枠部材7、下枠部材8、左側縦枠部材10、および右側縦枠部材11から構成される枠体と、枠体の前部に設けられる長方形の表面板12と、枠体の後部に設けられる長方形の背面板13とから構成されている。
【0025】
上枠部材7は、前板部71と後板部72と底板部73と天板部74とから左右方向に沿う角筒状に形成されている。前板部71の下部には、表面板12の上辺部120が挿入支持される、左右方向に沿う前保持溝75が形成されている。後板部72の下部には、背面板13の上辺部130が挿入支持される、左右方向に沿う後保持溝76が形成されている。天板部74の上面の前後寄りの部位に、後述するキャップCを装着するための、あるいは後述する挿入片87,87を挿入するための、左右方向に沿う装着用溝77,77が形成されている。上枠部材7の内側で、前板部71および後板部72の対向面に、蟻溝状のビスホール78,78が左右方向に沿って形成されている。
【0026】
下枠部材8は、前板部81と後板部82と底板部83と天板部84とから左右方向に沿う角筒状に形成されている。前板部81の上部には、表面板12の下辺部121が挿入支持される、左右方向に沿う前保持溝85が形成されている。後板部82の上部には、背面板13の下辺部131が挿入支持される、左右方向に沿う後保持溝86が形成されている。底板部83の下面の前後寄りの部位に、別の(例えば下側に配置する)空気浄化ユニット2の前記装着用溝77,77に嵌合される、左右方向に沿う前記挿入片87,87が下方に突出するよう形成されている。前板部81と後板部82は、底板部83に対して下方に延長される板状の延長部88,88が左右方向に亘って形成されている。下枠部材8の内側で、前板部81および後板部82の対向面に、蟻溝状のビスホール89,89が左右方向に沿って形成されている。
【0027】
左側縦枠部材10および右側縦枠部材11は左右対称使いされる構成であるので、図5および図6に基づいて詳細を右側縦枠部材11について説明し、左側縦枠部材10の説明に兼用する。右側縦枠部材11は所定の高さ(長さ)に形成されており、前側縦板部110と、前側縦板部110の端部から後方に折り曲げられた横側縦板部111とから水平方向の断面が略L字形に形成されている。横側縦板部111の前部には、前側縦板部110と平行で、表面板12側に突出する二個の前挟持縦通部材112が前後に所定の幅を置いて、一対で一体的に形成されている。横側縦板部111の後部には、前挟持縦通部材112と平行で、背面板13側に突出する二個の後挟持縦通部材113が前後に所定の幅を置いて、一対で一体的に形成されている。
【0028】
前挟持縦通部材112の間には、表面板12の右側辺部122が挿入されて挟持される。後挟持縦通部材113の間には、背面板13の右側辺部132が挿入されて挟持される(図8参照)。前挟持縦通部材112および後挟持縦通部材113は、横側縦板部111(前側縦板部110も同様)の高さ(長さ)に比べて低く(短く)形成されて、前挟持縦通部材112および後挟持縦通部材113はともに横側縦板部111の上端部、下端部には至らず、横側縦板部111の上部および下部は、上枠部材7、下枠部材8の端面がそれぞれ当接する当接平面111aとして用いられる。
【0029】
前記横側縦板部111の上端部の当接平面111aには、左右方向に貫通するビス孔114,114が形成されている。そしてこの上方の当接平面111aに上枠部材7の端面が当接された際、前記ビス孔114,114から前記上枠部材7のビスホール78,78に向けてビス(図示せず)を螺入させることで、右側縦枠部材11と上枠部材7とが相互に固定される。
【0030】
前記横側縦板部111の下端部の当接平面111aにも、左右方向に貫通するビス孔115,115が形成されている。そしてこの下方の当接平面111aに下枠部材8の端面が当接された際、前記ビス孔115,115から前記下枠部材8のビスホール89、89に向けてビス(図示せず)を螺入させることで、横側縦板部111と下枠部材8とが相互に固定される。
【0031】
なお、左側縦枠部材10については右側縦枠部材11と左右対称形状であるから、詳細は省略するが、左側縦枠部材10の前挟持縦通部材112の間には、表面板12の左側辺部123が挿入されて挟持される。後挟持縦通部材113の間には、背面板13の左側辺部133が挿入されて挟持される。なお、図示しないが、左側縦枠部材10および右側縦枠部材11の下部には排水孔が形成されている。
【0032】
図3ないし図5に示すように、表面板12は、パンチグメタルが好適に用いられる。すなわち、表面板12には、所定の径を有して、表裏間に亘って通風を許容する通風孔12aが板面に多数形成されている。通風孔12aは同一径に形成されており、上下方向、左右方向に互い違い(千鳥状)に配置されている。背面板13は、アルミニウムシートと合成樹脂シートの積層体からなり、耐衝撃性、耐風圧性に優れている。
【0033】
活性炭素繊維成型体4は、活性炭素繊維(ACFとも称される)を含んで構成されるとともに表裏間に亘って通風性を有する。活性炭素繊維成型体4は、図3、図4、図7に示すように、活性炭素繊維をフェルト状、シート状、板状に加工するとともに、さらにプリーツ状に形成されて構成されている。プリーツ状とは、山折りと谷折りとを交互に繰り返して平板状の繊維に折り目(プリーツ折り目)を形成することにより、当該繊維の表裏面それぞれに、折り目方向に通風空間AWを形成した状態をいう。
【0034】
具体的には、図3に示すように、活性炭素繊維がプリーツ状に加工されることにより、プリーツ折り目に沿った通風空間AWが活性炭素繊維成型体4の表側および裏側に形成されることとなる。この通風空間AWは、表面板12の少なくとも通風孔12aから侵入する空気Aを活性炭素繊維に接触させて浄化する浄化空間となる。
【0035】
活性炭素繊維は通気性を有するので、空気Aは活性炭素繊維成型体4に形成されたプリーツ表裏間を通風することも可能である。なお、上記プリーツは、空気Aを良好に通風することができる浄化空間を形成することができる形状であればよいが、プリーツの高さである、山部40(表側への突部)と谷部(裏側への突部)41との距離が10mm〜40mm程度(この場合15mm)、プリーツの山部40と山部40との間隔(谷部41と谷部41との間隔でもある)が10mm〜80mm程度(この場合35〜50mm)であることが好ましい。この実施形態では、背面板13や表面板12の上下方向に沿って山部40と谷部41とが繰り返されるよう構成されている。
【0036】
活性炭素繊維成型体4は、活性炭素繊維をフェルト状、シート状、板状に加工する。例えば、活性炭素繊維を公知の方法を用いて平板状の不織布に加工することにより、フェルト状、シート状、板状の活性炭素繊維を得ることができる。そして、図7に示すように、活性炭素繊維成型体4をプリーツ状に保形するために保形用部材Kが用いられている。
【0037】
保形用部材Kは、活性炭素繊維成型体4の裏面側にのみ設けられて通気性を有した材料が用いられる。具体的に保形用部材Kは金網状に形成されている。金網状に形成することで通気性を備え、この保形用部材Kそのものをプリーツ状に形成して、活性炭素繊維成型体4を保形用部材Kの山部、谷部に沿うように接着剤により接着することで、活性炭素繊維成型体4をプリーツ状に保持することができる。
【0038】
活性炭素繊維成型体4を構成する活性炭素繊維は、空気A中の汚染物質、特にNOxを良好に酸化除去し得る。この場合、窒素吸着法による比表面積が400m2/g〜500m2/gの範囲内であり、MP法で解析した細孔分布において、直径2nm以下のミクロポアの内、直径1nm以下のものが全ミクロポア容積の80%以上を占めるものを用いることが好ましい。このような活性炭素繊維の吸着機能と触媒機能により、大気汚染の原因となるNOxの内、特に常温で除去することが困難な一酸化窒素(NO)を常温で長期間除去することができる。
【0039】
また、活性炭素繊維成型体4を構成する活性炭素繊維としては、ピッチ系活性炭素繊維(例えば、アドール株式会社製の「A−5」)やポリアクリロニトリル系活性炭素繊維を用いることが好ましく、除去が比較的容易なNO2に加え、従来除去が困難であったNOも良好に除去することができる。
【0040】
吸音材5は、この実施形態において、熱可塑性合成樹脂製繊維から構成された綿状の集合体であり、長方形のシート状(板状)に成形され、その大きさは表面板12と同程度である。吸音材5の表面には、撥水シート51が前面の全面に亘って設けられている。この撥水シート51付きの吸音材5は、図4に示すように、表面板12と背面板13との間に形成された中空部に、活性炭素繊維成型体4とともに内装されている。吸音材5の厚さは、活性炭素繊維成型体4を形成するプリーツの高さである山部40と谷部41との距離に比べて厚く形成されている。
【0041】
吸音材5の材質は具体的には、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルであるが、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート等のポリエステルを適宜混練したものでもよく、あるいは共重合させたものでもよい。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリアミド等の合成樹脂を用いてもよい。さらに、これらの合成樹脂で繊維を作成する際に、芯部とその外周上に配置された被覆部からなるように繊維を構成してもよい。吸音材5の繊維の形態は、この実施形態では長さが30〜100mm、太さが5〜100μmの合成樹脂製繊維であるが、特にこれに限定されるものではない。また、上記材質以外に、ガラスウール、グラスウール等でもよい。
【0042】
前記中空部には、遮蔽材6がさらに内装されている。この実施形態では、遮蔽材6は、遮音板や吸遮音板等の防音機能を有する金属板が好適である。遮蔽材6は、吸音材5と同等の面積を備えた本体板151と、本体板151の上下端部を前方に折曲させて形成した保持辺部152とから縦方向断面をコ字形に形成されている。吸音材5が、保持辺部152の間に挟持されている。
【0043】
活性炭素繊維成型体4、吸音材5および遮蔽材6の位置関係は、この順に前側から本体3に内装されている。すなわち、活性炭素繊維成型体4、吸音材5および遮蔽材6が、表面板12と背面板13とで挟持されており、特に、活性炭素繊維成型体4はその前面側の山部40の頂点近傍が表面板12の裏面に接触して後方へ押圧され、後面側の谷部41の頂点部近傍が吸音材5の表面に接触して前方へ押圧されている。
【0044】
上記のようにして活性炭素繊維成型体4の山部40が後方へ押圧され、谷部41が前方へ押圧されることにより、押圧されている部分を含む所定の領域の厚みが、押圧力を受けている分だけ減じられている。このことはすなわち、活性炭素繊維成型体4が本体3に保持された状態において、活性炭素繊維成型体4の表面板12側の山部40、吸音材5側の谷部41では活性炭素繊維の繊維密度が他の領域である山谷間部に比べて高い領域となっている。すなわち、図7に示すように、活性炭素繊維成型体4は、本体3に内装された状態において、活性炭素繊維の繊維密度が高い領域16と、繊維密度が高い領域16に比べて繊維密度が低い領域17とが上下方向で交互に存在している。
【0045】
但し、活性炭素繊維成型体4の裏面にのみ保形用部材Kが設けられており、谷部41では保形用部材Kを設けている分だけ、山部40に比べて谷部41の繊維密度は低い。また、図7では、領域16と領域17とを便宜上寸法線的に区分けしているが、実際にはこのように区分けされず、その境界は明確ではない。
【0046】
このことを寸法的観点にすれば、活性炭素繊維成型体4の、プリーツの高さである山部40と谷部41との距離は、吸音材5の表面から表面板12の裏面までの距離に比べて大きく設定されていることになる。また、表面板12に形成された通風孔12aは、活性炭素繊維成型体4の、少なくとも谷部41に対向する領域に形成されるよう配置されている。すなわち図7において仮想線で示すように、活性炭素繊維成型体4が押圧力を受けることで、山部40は後方にひしゃげた形状となり、少なくとも表面板12に接触している領域では、接触していない領域に比べて繊維密度が高くなっている。
【0047】
この実施形態では、浄化構造体1では、上記構成の空気浄化ユニット2を、上下方向に二個、表面板12が面一となるよう重ねている。空気浄化ユニット2を重ねるには、挿入片87を装着用溝77に嵌込むようにする。
【0048】
図1において、符号18は、空気浄化ユニット2を所定の場所に設置するための柱部材である。この柱部材18は角筒状に形成され、図8に示すように、右側縦枠部材11の側部に前後の重ね板部材19,20を介して取付けられる。前側の重ね板部材19は縦長の平板状に形成された被覆板部191と、被覆板部191の柱部材18側端部から後方へ折曲するよう形成された当接板部192とから一体的に形成されている。被覆板部191は、前側縦板部110の前面に重ねられ、当接板部192は柱部材18の側板181に左右方向で当接する。
【0049】
後側の重ね板部材20は縦長の平板状の被覆板部21と、被覆板部21の端部から前方に折曲されて柱部材18の側板181が当接する当接板部22と、当接板部22の前部から斜め前方に折曲されて右側縦枠部材11の前側縦板部110にその裏面で当接する重ね部23とから一体的に形成されている。
【0050】
柱部材18の側部からボルトB1を挿通させて当接板部22側のナット部材T1と螺合させ、前側の重ね板部材19と右側縦枠部材11の前側縦板部110と後側の重ね板部材20の重ね部23とを前後方向で重ねて前側からビスB2を挿通し、重ね部23の裏面側でナット部材T2に螺合させることで、柱部材18に空気浄化ユニット2が支持されている。このような柱部材18は空気浄化ユニット2の左右両側にあって、左右対称の構成で空気浄化ユニット2の左側部が支持されている。なお、図9において符号Cは、柱部材18と空気浄化ユニット2の取り付け部分における上枠部材7の上部に装着する前記キャップである。
【0051】
空気浄化ユニット2の組み立ては、本実施形態では次のようにして行う。すなわち、表面板12の上辺部120を上枠部材7の前保持溝75に、裏面板13の上辺部130を後保持溝76に、表面板12の下辺部121を下枠部材8の前保持溝85に、裏面板13の下辺部131を後保持溝86にそれぞれ挿入支持させ、続いて右側縦枠部材11又は左側縦枠部材12のいずれか一方、例えば右側縦枠部材11を固定して、左側が開口した箱状体を形成する。そして、その左側開口部から、前記箱状態の内部に背面板13を挿入し、更に吸音材5と活性炭素繊維成型体4とを圧入する。これにより、活性炭素繊維成型体4は、前記箱状態内部において前後方向から圧縮する力を受けるので、繊維密度が高い領域16と繊維密度が低い領域17とを形成することができる。なお活性炭素繊維成型体4の山部40、谷部41を、前記圧入する方向と同方向に形成しておけば、活性炭素繊維成型体4の剛性が高まり、圧入させやすくなるので好ましい。そして、最後に左側縦枠部材12を固定する。
【0052】
前述のように、浄化構造体1では、上記構成の空気浄化ユニット2を、上下方向に二個、表面板12が面一となるよう重ねている。そして、上記空気浄化ユニット2の構造により、空気浄化ユニット2の輸送の際や設置現場で取り扱う際、空気浄化ユニット2の内部の活性炭素繊維成型体4等が不容易に動かないので、接触により生じる破損、変形、騒音など抑えることができる。
【0053】
上記構成の浄化構造体1において、表面板12の通風孔12aからは洗浄対象流体である空気Aが、空気浄化ユニット2内に入る。そして通風孔12aは、活性炭素繊維成型体4の、少なくとも谷部41に対向する領域に形成されるよう配置されており、活性炭素繊維成型体4はその前面側の山部40の頂点近傍が表面板12の裏面12bに接触して後方へ押圧され、後面側の谷部41の頂点部近傍が吸音材5(撥水シート51)の表面5aに接触して前方へ押圧されている。このため、二つの山部40と一つの谷部41で形成される表面板12裏側の通風空間AW(空間領域)は、上下方向に隣合う通風空間AWと区画されている。
【0054】
このため、表面板12の通風孔12aから本体3内に侵入した空気Aは通風空間AWに滞留し易く、通風空間AWに滞留した空気Aは活性炭素繊維成型体4に接触している時間がその分だけ長くなるから、汚染物質を、高い除去率をもって除去することができる。
【0055】
また、活性炭素繊維成型体4では、その表面板12側の山部40が表面板12によって裏面側に押圧されている。このため、活性炭素繊維の繊維密度が高い領域16と低い領域17とが上下方向で交互に存在している。そして表面板12の通風孔12aからは雨水等が侵入してくる。表面板12の通風孔12aから本体3内に侵入した雨水等の水分は、活性炭素繊維成型体4に吸収されると、繊維密度が高い領域16では緩慢に降り、繊維密度が低い領域17では、高い領域16に比べて急速に降りる。活性炭素繊維成型体4に吸収された水分がこのような降下をすることにより、繊維密度が低い領域17のみで形成された活性炭素繊維成型体4に比べて活性炭素繊維成型体4内を下方に通過する水分の平均流速が遅くなる。そして平均流速が遅くなれば、その分だけ活性炭素繊維成型体4の活性炭素繊維に水分が接触する長い時間が長くなる。このため、活性炭素繊維成型体4が吸着したNOxの浄化性が良好になる。
【0056】
また、吸音材5の表面には、吸音材5に水分が浸入するのを防止する撥水シート51が施されている。このため、吸音材5に水分が浸入しにくいので、吸音材5の吸音性を確保することができる。また、背面板13は、アルミニウムシートと合成樹脂シートの積層体からなり、耐衝撃性、耐風圧性に優れた材料を用いているから、浄化構造体1が何らかの外力受けたとしても、浄化構造体1が大きく変形したり破壊されたりすることを抑制することができる。
【0057】
ここで、活性炭素繊維をプリーツ状に形成し、山部40と谷部41との頂点距離(山高さ)を15mm程度、山部40と山部40間隔(ピッチ)を38mm程度とした場合での活性炭素繊維成型体4を、空気浄化ユニット2に装着して、NOxの浄化率の実験を行った結果を示す。なお、NO2の浄化率の実験を行った結果を図10の表図に、NOの浄化率の実験を行った結果を図11の図表にそれぞれ示す。また、活性炭素繊維としてアドール株式会社製 活性炭素繊維 A−5を用い、これをカード加工により厚み6mmのフェルトの活性炭素繊維成型体4に加工し、保形用部材Kとしてアルミ製ラス網(目開き16*32mm)を、活性炭素繊維成型体4の片面にアクリル接着剤で貼り付け、その後、活性炭素繊維成型体4を上記寸法となるようプリーツ加工し、活性炭素繊維成型体4の表裏面を押圧することなく無負荷の状態のものを用いた。
【0058】
また、試験方法は、次のとおりである。すなわち、横2m、高さ1mの、活性炭素繊維成型体4を内蔵した空気浄化ユニット2に、その左端から左右幅20cmで高さ1mの範囲を試験空気の入り口とし、中央部における幅20cmで高さ1mの範囲を中間測定口とし、右端から左右幅20cmで高さ1mの範囲を終端測定口とし、他の部分(表面板12等)は板で覆うことで不要な箇所から空気浄化ユニット2内へ空気Aの出入りが無いようにした状態として、NOx混入ガスを導入した。NOxはボンベから濃度既知の標準ガスを所定量導入し、空気Aはファンにより所定の風量(入り口風量)だけ導入して、入口NOx濃度を調節した。そして、所定の風速(入り口断面風速)におけるNOx濃度を入り口、中間測定口、終端測定口において測定した。なお、NOx濃度は、化学発光式自動NOx計により測定し、風速は熱線式風速計により測定した。
【0059】
図10から、入り口断面風速を0.17m/s,0.34m/sの二種類とし、入り口風量を1.84m3/min,3.67m3/minの二種類として、中間測定口と終端測定口でのNO2除去率は、それぞれ57.1〜88.3%、77.0〜87.0%と、非常に高い除去率であることを確認することができた。
【0060】
図11から、入り口断面風速を0.2m/s,0.34m/sの二種類とし、入り口風量を2.16m3/min,3.67m3/minの二種類として、中間測定口と終端測定口でのNO除去率(脱硝率)は、それぞれ10.7〜14.8%、20.6〜26.2%の除去率であることを確認することができた。なお、図10,11において測定口における(NO2,NO)濃度とは、それぞれ中間測定口、終端測定口における濃度を示す。
【0061】
入り口断面風速および入り口風量を上記の値に設定したのは、この実施形態による浄化構造体1を、自動車の交通量が多い道路沿道、発電所や工場などが密集する工業地帯などの大気汚染が著しい環境、および月極駐車場や一般家庭における駐車場、あるいは騒音が気になる一般家庭の目隠し等に用いるのに好適な条件下に倣わすためである。
【0062】
本発明は上記実施形態に限定されない。上記実施形態では、活性炭素繊維成型体4をプリーツ状に成形保持し、上下方向に亘って山部40と谷部41とが繰り返されるよう構成した。しかしながら、活性炭素繊維成型体4をプリーツ状に成形保持し、左右方向に亘って山部40と谷部41とが繰り返されるよう構成し、これを本体3に内装することも好ましい。あるいは、上下方向、左右方向に限らず、上下方向あるいは左右方向に対して傾斜する方向で繰り返されるよう構成することも可能である。これらの場合でも、二つの山部40と一つの谷部41で形成される表面板12裏側の空間領域は、隣合う空間領域と区画されている。このため、本体3内に侵入した空気Aは各空間領域に滞留し易く、空間領域に滞留した空気Aは活性炭素繊維成型体4に接触している時間がその分だけ長くなるから、汚染物質を、高い除去率をもって除去することができる。
【0063】
さらに、左右方向あるいは傾斜方向に亘って山部40と谷部41とが繰り返されていても、活性炭素繊維成型体4はその前面側の山部40の頂点近傍が表面板12の裏面に接触して後方へ押圧されている。このため、繊維密度が低い領域17のみで形成された活性炭素繊維成型体4に比べて、少なくとも押圧されて繊維密度が高い領域では、活性炭素繊維成型体4内を下方に通過する水分の平均流速が遅くなる。そして平均流速が遅くなれば、その分だけ活性炭素繊維成型体4の活性炭素繊維に水分が接触する長い時間が長くなる。このため、活性炭素繊維成型体4が吸着したNOxの浄化性が良好になる。
【0064】
上記実施形態では、保形用部材Kは活性炭素繊維成型体4の裏面側にのみ設けたがこれに限定されない。すなわち、保形用部材Kは活性炭素繊維成型体4の両面に設けることで、活性炭素繊維成型体4を保形するようにすることも可能である。但しこの場合、表側に設ける保形用部材は、活性炭素繊維成型体4の山部40と表面板12との接触による山部40の押圧を邪魔しないような構成とすることが必要である。
【0065】
そして、フェルト状、シート状の活性炭素繊維は柔軟で、形状安定性が無いので、適宜、金網、アルミ、SUS製のメッシュ、樹脂製のネットなどを採用することで、活性炭素繊維成型体4をプリーツ状に加工することもできる。
【0066】
上記実施形態では、活性炭素繊維をプリーツ状に加工するにあたり、山折り、谷折りを繰り返してこの折り目が線として認識できる程度にまで加工したが、このようにプリーツ折り目が線として認識できることまで必要とせず、通風空間AW(空間領域)を確保できる程度になだらかな曲線を描くように波状に形成されたものであってもよい。すなわち、活性炭素繊維からなる平板状体をジグザグ状(波状)に加工し、折り目間にプリーツの谷部が形成されればよい。
【0067】
繊維密度が高い領域16、および繊維密度が低い領域17の少なくとも一方、特に繊維密度が低い領域17に、孔部(繊維間距離よりも径の大きな孔)を単数、または複数形成することも考えられる。この構成によれば、空気Aが活性炭素繊維成型体4の裏面側にも到達し易く、そうなると空気Aが活性炭素繊維成型体4とより接触し易くなり(接触面積を大きくすることができ)、空気Aの浄化効率をさらに向上させることが可能となる。なお、上記実施形態では、空気を浄化対象流体として説明したが、汚染物質が含まれる流体であれば特に制限されずに浄化対象流体とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明に係る浄化ユニット、浄化構造体は、ある程度の通風量が発生する場所において、騒音を低減すると共に、窒素酸化物、硫黄酸化物、揮発性炭化水素、浮遊粒子状物質を含む粉塵などの汚染物質を除去するものとして有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…浄化構造体、2…空気浄化ユニット、3…本体、4…活性炭素繊維成型体、5…吸音材、6…遮蔽材、12…表面板、12a…通風孔、12b…裏面、13…背面板、16…活性炭素繊維の繊維密度が高い領域、17…活性炭素繊維の繊維密度が低い領域、18…柱部材、40…山部、41…谷部、51…撥水シート、A…空気、AW…通風空間、K…保形用部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性炭素繊維を含んで構成されるとともに表裏間に亘って通風性を有する活性炭素繊維成型体が浄化ユニット本体に内装され、
前記活性炭素繊維成型体をプリーツ状に保形するための保形用部材が設けられ、
該活性炭素繊維成型体の表面側に配設され表裏間に亘って通風を許容する複数の通風孔が板面に形成された表面板を備え、
前記保形用部材によって活性炭素繊維成型体がプリーツ状に保持されるとともに浄化ユニット本体に保持された状態において、活性炭素繊維成型体の表面板側の山部が前記表面板によって裏面側に押圧されて、前記活性炭素繊維の繊維密度が高い領域と低い領域とが活性炭素繊維成型体の広がり方向で交互に存在していることを特徴とする浄化ユニット。
【請求項2】
活性炭素繊維の繊維密度が高い領域と低い領域とが上下方向で交互に存在していることを特徴とする請求項1記載の浄化ユニット。
【請求項3】
保形用部材は活性炭素繊維成型体の裏面側にのみ設けられて通気性を有していることを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の浄化ユニット。
【請求項4】
表面板に形成された通風孔は、活性炭素繊維成型体の、少なくとも谷部に対向する領域に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の浄化ユニット。
【請求項5】
保形用部材の裏面側に浄化ユニット本体に内装されて吸音材が配設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の浄化ユニット。
【請求項6】
吸音材の表面に、該吸音材に水が浸入するのを防止する防水フィルムが設けられていることを特徴とする請求項5記載の浄化ユニット。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6の何れかに記載の浄化ユニットを、上下方向および左右方向のうちの少なくとも一方向に隣接させることで組み合わせてなることを特徴とする浄化構造体。
【請求項1】
活性炭素繊維を含んで構成されるとともに表裏間に亘って通風性を有する活性炭素繊維成型体が浄化ユニット本体に内装され、
前記活性炭素繊維成型体をプリーツ状に保形するための保形用部材が設けられ、
該活性炭素繊維成型体の表面側に配設され表裏間に亘って通風を許容する複数の通風孔が板面に形成された表面板を備え、
前記保形用部材によって活性炭素繊維成型体がプリーツ状に保持されるとともに浄化ユニット本体に保持された状態において、活性炭素繊維成型体の表面板側の山部が前記表面板によって裏面側に押圧されて、前記活性炭素繊維の繊維密度が高い領域と低い領域とが活性炭素繊維成型体の広がり方向で交互に存在していることを特徴とする浄化ユニット。
【請求項2】
活性炭素繊維の繊維密度が高い領域と低い領域とが上下方向で交互に存在していることを特徴とする請求項1記載の浄化ユニット。
【請求項3】
保形用部材は活性炭素繊維成型体の裏面側にのみ設けられて通気性を有していることを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の浄化ユニット。
【請求項4】
表面板に形成された通風孔は、活性炭素繊維成型体の、少なくとも谷部に対向する領域に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れかに記載の浄化ユニット。
【請求項5】
保形用部材の裏面側に浄化ユニット本体に内装されて吸音材が配設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4の何れかに記載の浄化ユニット。
【請求項6】
吸音材の表面に、該吸音材に水が浸入するのを防止する防水フィルムが設けられていることを特徴とする請求項5記載の浄化ユニット。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6の何れかに記載の浄化ユニットを、上下方向および左右方向のうちの少なくとも一方向に隣接させることで組み合わせてなることを特徴とする浄化構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−86127(P2012−86127A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233594(P2010−233594)
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月18日(2010.10.18)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】
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