説明

浮遊選別装置

【課題】発泡体を含む材料から、発泡体を効率的、かつ、確実に選別することのできる、浮遊選別装置を提供すること。
【解決手段】発泡体を含む材料を液体2に浮遊させて、発泡体を選別する浮遊選別装置1であって、液体2を収容するための外側ケーシング3と、外側ケーシング3内に、外側ケーシング3と連通するように配置され、材料を受け入れる内側筒4と、内側筒4内および外側ケーシング3内に設けられ、液体2を攪拌するための上側水平回転羽根5と、液体2を攪拌するための下側水平回転羽根7と、内側筒4内に設けられ、上下移動可能な上下移動羽根6と、内側筒4内に材料を供給するために内側筒4内に設けられ、上下方向に延び、上下移動羽根6と同一軸線上に配置される供給部17とを備える浮遊選別装置1に、湿潤状態の材料を投入し、その浮遊選別装置1により発泡体を選別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮遊選別装置、詳しくは、発泡体を含む材料を液体に浮遊させて、発泡体を選別する浮遊選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種材料の中から、目的の材料を選別するための選別装置が知られている。
例えば、下端が開放される内側サイクロンと、これの外側に設けられ、水を収容する有底の外側サイクロンとを備える比重選別機が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
そして、特許文献1で提案される比重選別機では、球状のPPおよびPETとアルミニウム粒とを含む材料を、内側サイクロン内において渦流となる水に投入し、まず、比重が大きいアルミニウム粒を沈殿させてこれを採取し、次いで、PPおよびPETを内側サイクロンにおいて下降させながら、渦流によって内側サイクロンから外側サイクロンに移動させ浮上させて、これらを選別している。
【特許文献1】特開平10−244536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかるに、廃棄される樹脂などの材料は、発泡ポリスチレンなどの発泡体を含んでおり、かかる発泡体を選別する必要がある。
しかし、特許文献1で提案される比重選別機では、発泡体を選別することは困難である。
本発明の目的は、発泡体を含む材料から、発泡体を効率的、かつ、確実に選別することのできる、浮遊選別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の浮遊選別装置は、発泡体を含む材料を液体に浮遊させて、前記発泡体を選別する浮遊選別装置であって、液体を収容するための外側ケーシングと、前記外側ケーシング内に、前記外側ケーシングと連通するように配置され、前記材料を受け入れる内側筒と、前記外側ケーシング内および/または前記内側筒内に設けられ、前記液体を攪拌するための水平回転可能な第1羽根と、前記内側筒内に設けられ、上下移動可能な第2羽根と、前記内側筒内に設けられ、前記内側筒内に材料を供給するための供給部とを備えていることを特徴としている。
【0005】
この選別装置では、供給部から内側筒に受け入れられる材料は、第2羽根の上下移動に基づく液体の下方流および上方流によって、上下方向に分離される。
つまり、第2羽根の下方への移動に基づく液体の下方流によって、材料は、一旦、下部に押し下げられる。続いて、比重が極めて小さい発泡体は、相対的に、第2羽根の上方への移動に基づく液体の上方流に追随して、上方に押し上げられて浮上する。
【0006】
一方、発泡体以外の材料は、相対的に、第2羽根の上方への移動に基づく液体の上方流に追随せず、内側筒内の下部においてそのまま浮遊する。そして、発泡体以外の材料は、第1羽根の水平回転に基づく水平方向の攪拌に起因する渦流によって、水平回転されながら、水平方向外側へ向かう遠心力によって、内側筒内からそれに連通する外側ケーシングへ移動する。
【0007】
そのため、内側筒において浮上する発泡体と、外側ケーシングの発泡体以外の材料とをそれぞれ回収することにより、材料から発泡体を確実に選別することができる。
その結果、簡易な構成により、発泡体を確実に選別することができる。
また、供給部が、内側筒に臨むように外側ケーシング内に設けられている場合には、外側ケーシングにおいて、第1羽根の水平回転に基づく水平方向の攪拌に起因する渦流の円滑な流れを阻害するため、発泡体以外の材料が澱んでしまい、かかる発泡体以外の材料を効率的に回収することができない場合がある。
【0008】
しかし、この浮遊選別装置では、供給部が、内側筒内に設けられているので、外側ケーシングにおける渦流の円滑な流れを維持でき、発泡体以外の材料をその渦流に沿って均一に分散させることができる。そのため、外側ケーシングにおいて、発泡体以外の材料を効率的に回収することができる。
また、本発明の浮遊選別装置では、前記供給部は、上下方向に延び、前記第2羽根と同一軸線上に配置されていることが好適であり、さらに、前記供給部の供給口の縁部が、水平方向に沿って形成されていることが好適である。
【0009】
この浮遊選別装置では、上下方向に延びる供給部が、第2羽根と同一軸線上に配置されているので、供給部が、第2羽根の上下移動を阻害することを防止することができる。そのため、内側筒内において第2羽根の上下移動に基づく液体の下方流および上方流の円滑な流れを維持でき、発泡体を均一に浮遊させることができる。その結果、内側筒において、発泡体を効率的に回収することができる。
【0010】
また、供給口の縁部が上下方向に傾きをもって形成されている場合には、材料は、供給部の供給口から上下方向に一定幅をもって供給されるため、供給口の下方から供給される材料に含まれる発泡体は、供給口の上方から供給される材料に含まれる発泡体に比べて、第2羽根の下移動に基づく液体の下方流によって下方に移動し易く、外側ケーシングに流出する場合がある。
【0011】
しかし、この浮遊選別装置では、供給部の供給口の縁部が、水平方向に沿って形成されているので、材料は、供給部の供給口から上下の区別なく供給されるため、材料の画一的な供給を図ることができる。そのため、上記した発泡体の下方への移動を有効に抑制して、発泡体の外側ケーシングへの流出を有効に抑制することができる。そのため、発泡体をより一層効率的に回収することができる。
【0012】
また、本発明の浮遊選別装置では、前記第1羽根は、少なくとも前記内側筒内に設けられ、前記供給部の供給口と対向配置されていることが好適である。
この浮遊選別装置では、供給部の供給口から供給される材料を、供給部の供給口と対向配置される第1羽根によって、内側筒内に分散させることができる。そのため、内側筒において、材料から発泡体を効率的に選別することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の浮遊選別装置によれば、簡易な構成により、発泡体を効率的、かつ、確実に選別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の浮遊選別装置の一実施形態の正断面図、図2は、外側ケーシングの正断面図、図3は、内側筒の正断面図、図4は、選別部材の正断面図、図5は、図4におけるA矢視図、図6は、クランクおよび支持筒の斜視図である。
また、方向に関する記載は、図1を基準として、紙面右側を「右側」(一方側)、紙面左側を「左側」(他方側)、紙面上側を「上側」、紙面下側を「下側」、紙面手前側を「前側」、紙面奥側を「後側」とする。
【0015】
図1において、この浮遊選別装置1は、発泡体を含む材料を液体2に浮遊させて、発泡体を選別する浮遊選別装置1である。この浮遊選別装置1は、液体2を収容するための外側ケーシング3と、材料を受け入れる内側筒4と、液体2を攪拌するための第1羽根としての上側水平回転羽根5と、液体2を攪拌するための第1羽根としての下側水平回転羽根7と、上下移動可能な第2羽根としての上下移動羽根(選別部)6と、内側筒4内に材料を供給するための供給部17とを備えている。
【0016】
外側ケーシング3は、第1フレーム21に支持され、浮遊選別装置1の上下方向略中央に配置されており、図1および図2に示すように、上端が開放される有底略円筒形状に形成されている。また、外側ケーシング3は、上下方向に延びる側壁8と、側壁8の下端から連続する底壁9とを一体的に備えている。
側壁8には、小比重取出部10、取付部12および発泡体取出受部14が形成されている。
【0017】
小比重取出部10は、後述する発泡体の選別において浮上する材料(例えば、後述する小比重樹脂)を取り出すために設けられている。具体的には、小比重取出部10は、側壁8の左側上端に配置され、平面視略矩形状に形成されている。小比重取出部10は、上側に向かって開く側断面略コ字形状に形成されており、側壁8の左端から左方斜め下側に向かって連続して突出するように形成されている。
【0018】
また、小比重取出部10により仕切られる空間は、小比重取出室18として形成されている。小比重取出室18は、外側ケーシング3の内部空間(図1において示される後述する第2選別室28)と連通している。
また、小比重取出部10には、第2液面調整ゲート44が設けられている。
第2液面調整ゲート44は、第1液面調整ゲート43(後述)と連動して、第2選別室28の液面を調整するために設けられており、小比重取出部10の右端に、それの下壁から上方に立設する略平板形状に形成されている。
【0019】
取付部12は、側壁8を第1フレーム21に取り付けて固定するために設けられ、側壁8の上下方向途中の外側面に、側壁8の周方向に間隔を隔てて複数設けられている。
発泡体取出受部14は、図1に示すように、後述する発泡体取出管34を収容するために設けられ、側壁8の右側上端に配置されている。発泡体取出受部14は、上側に向かって開く側断面略コ字形状に形成されており、側壁8の右端から右方斜め下側に向かって連続して突出するように形成されている。
【0020】
底壁9は、側壁8の下端から径方向中心に向かうに従って下方に突出する正断面湾曲形状に形成されている。
また、底壁9には、前後方向中央の左側に大比重取出部11が設けられている。
大比重取出部11は、発泡体の選別において沈降して沈殿する材料(例えば、後述する大比重樹脂)を取り出すために設けられ、大比重取出管19および開閉弁20を備えている。
【0021】
大比重取出管19は、上下方向に延びる略円筒形状に形成されている。また、大比重取出管19は、その上端が、平面視において、底壁9の中心と左側に間隔を隔てて配置され、後述する下側水平回転羽根7の周端より内側に配置されている。
開閉弁20は、大比重取出管19の下端に形成され、大比重取出管19の下端を開閉可能に設けられている。なお、開閉弁20は、自動操作により、一定周期で開閉する。
【0022】
内側筒4は、第1フレーム21の上に形成される第2フレーム22の上に形成されるベース24を介して第2フレーム22に支持され、外側ケーシング3内に設けられている。すなわち、内側筒4は、外側ケーシング3の前後方向内側および左右方向内側に、これらと間隔を隔てて配置されている。また、内側筒4は、その軸線が、外側ケーシング3の側壁8の上下方向に沿う軸線と重複するように、つまり、外側ケーシング3と同心状に配置されている。
【0023】
また、内側筒4は、図1および図3に示すように、上端および下端が開放される略円筒形状に形成され、具体的には、下端および上下方向途中では、上方に向かうに従って内径がわずかに小さくなるテーパ形状に形成されるとともに、上端では、略直管形状に形成されている。
また、内側筒4は、外側ケーシング3内に、外側ケーシング3と連通するように配置されている。すなわち、内側筒4の下端が、外側ケーシング3内に臨むように配置されている。また、内側筒4の上端は、外側ケーシング3の上端より上側にやや突出して配置されている。
【0024】
これにより、内側筒4の外側、すなわち、内側筒4と外側ケーシング3との間には、これらにより仕切られる空間(第2選別室)28が形成され、また、内側筒4の内側には、これにより仕切られる空間(第1選別室)27が形成されている。そして、第1選別室27および第2選別室28は、内側筒4の下端である連通口26を介して、互いに連通している。
【0025】
また、内側筒4の上部には、発泡体取出部30および連通窓47が形成されている。
発泡体取出部30は、左側(内側筒4の直径方向内側)に配置される滞留部37と、右側(内側筒4の直径方向外側)に配置される回収部38とを備えている。
滞留部37は、液体2を滞留させるために設けられ、上側に向かって開く側断面視略コ字形状の滞留壁39を備えている。滞留壁39は、内側筒4の右端と連続して形成されており、滞留壁39の下壁は、内側筒4の右端から右方斜め上側に向かって延びるように形成されている。滞留部37において、滞留壁39により仕切られる空間が、滞留室64として形成される。
【0026】
回収部38は、上側に向かって開く側断面視略コ字形状の回収壁40を備えている。回収壁40は、滞留壁39の右端と連続して形成されており、回収壁40の下壁が、滞留壁39の右端から右方斜め下側に向かって延びるように形成されている。回収部38において、回収壁40により仕切られる空間が、回収室65として形成される。
そして、内側筒4には、発泡体取出部30の滞留壁39が内側筒4の上部右端に接続されることにより、内側筒4の上端が切り欠かれた、右側面視略矩形状の発泡側開口67が形成されている。
【0027】
また、内側筒4において、滞留室64と回収室65とが連通しており、また、滞留室64が、発泡側開口67を介して、第1選別室27(図1参照)と連通している。
また、この発泡体取出部30には、第1液面調整ゲート43が設けられている。
第1液面調整ゲート43は、上記した第2液面調整ゲート44と連動して、第1選別室27の液面を調整するために設けられており、第1液面調整ゲート43は、滞留部37および回収部38との境に、それらの下壁から上方に立設する略平板状に形成されている。
【0028】
連通窓47は、第2選別室28と第1選別室27とを一時的に連通させるために設けられている。連通窓47は、内側筒4の左端に、第1液面調整ゲート43と同じ高さに配置され、内側筒4の厚み方向を貫通する側面視略矩形状の開口として形成されている。また、連通窓47には、連通窓47を開閉可能にするためのゲート(図示せず)が設けられている。
【0029】
ゲートは、連通窓47を開閉することにより、第1選別室27および第2選別室28の連通を許容または遮断する。なお、ゲートは、自動操作あるいは手動操作により、内側筒4の周方向に沿ってスライドして開閉する。
また、第1内側筒4の上端には、フランジ46が設けられており、第1内側筒4は、フランジ46の下側のベース24を介して、第2フレーム22に支持されている。
【0030】
下側水平回転羽根7は、外側ケーシング3内に設けられており、内側筒4の下方に間隔を隔てて配置されている。より具体的には、下側水平回転羽根7は、第2選別室28の下部に形成されている。
下側水平回転羽根7は、外側ケーシング3および内側筒4の軸線に沿う回転軸52と、回転軸52の下端において支持される下側水平回転羽根部材15とを備えている。
【0031】
回転軸52は、底壁9の中央から上方に向かって延びるように形成されており、具体的には、外側ケーシング3および内側筒4(内側筒4の下部)を貫通し、外側ケーシング3の下部に配置される軸受45によって回転可能に支持されている。詳しくは、回転軸52の上端は、内側筒4の上下方向中央に至っている。また、回転軸52は、内側筒4と同心状に配置されている。
【0032】
また、回転軸52は、下側水平回転羽根7の回転軸および上側水平回転羽根5の回転軸として、下側水平回転羽根7および上側水平回転羽根5に共通して備えられる。また、回転軸52の下端は、プーリ25に接続され、このプーリ25は、第1フレーム21に支持される第1モータ51にベルト33を介して接続されている。第1モータ51は、インバータで変速可能な電動機である。
【0033】
下側水平回転羽根部材15は、回転軸52の下端から径方向外側に延びる複数の弓状羽根を備えている。また、弓状羽根は、底壁9に沿って形成されており、具体的には、底壁9の上面と上下方向にわずかな間隔を隔てて配置されている。
下側水平回転羽根7では、第1モータ51の回転駆動がベルト33およびプーリ25を介して回転軸52に伝達されて、回転軸52が回転されると、下側水平回転羽根部材15の弓状羽根が水平回転される。
【0034】
また、下側水平回転羽根部材15は、平面視において回転軸52が時計回りに回転する場合に、その回転方向下流側に向かうに従って上端部から下端部に傾斜している。
上側水平回転羽根5は、内側筒4内に設けられており、上側水平回転羽根5の上側に間隔を隔てて配置されている。また、上側水平回転羽根5は、回転軸52と、回転軸52の上端において支持される上側水平回転羽根部材13とを備えている。
【0035】
回転軸52は、上記した上側水平回転羽根5および下側水平回転羽根7の水平方向の回転軸であって、下側水平回転羽根部材15および上側水平回転羽根部材13を水平回転可能に支持している。
上側水平回転羽根部材13は、回転軸52の上端から径方向外側に、上記した下側水平回転羽根部材15より短く延びる複数の水平羽根を備えている。上側水平回転羽根5では、第1モータ51の回転駆動がベルト33およびプーリ25を介して回転軸52に伝達されて、上側水平回転羽根部材13の水平羽根が、下側水平回転羽根部材15の弓状羽根とともに、水平回転される。
【0036】
また、上側水平回転羽根部材13は、平面視において回転軸52が時計回りに回転する場合に、その回転方向下流側に向かうに従って下端部から上端部に傾斜している。
上下移動羽根6は、平面視において、内側筒4内に設けられており、支持筒16と、支持筒16の下端において支持される選別部材63とを備えている。
支持筒16は、図1および図6に示すように、上下方向に延びる円筒の略直管形状に形成されており、クランク部79(後述)の上下駆動を選別部材63に伝達する。支持筒16は、平面視において、内側筒4の前後方向内側および内側筒4の左右方向内側に、これらと間隔を隔てて配置されている。より具体的には、支持筒16は、その軸線が、内側筒4の上下方向に沿う軸線と重複するように、つまり、内側筒4と同心状に配置されている。すなわち、支持筒16は、回転軸52と同心状に配置されている。また、支持筒16は、内側筒4の上部に配置されている。
【0037】
また、支持筒16は、その内側(平面視における前後方向内側および左右方向内側)に、シリンダ36(後述)が挿通され、シリンダ36に対して上下移動(摺動)可能となるように配置されている。
また、支持筒16の上端には、クランク部79が設けられている。
クランク部79は、次に説明する第2モータ55の回転運動に基づく回転駆動を、上下駆動に変換し、それを支持筒16に伝達する。クランク部79は、第1アーム84、第2アーム85、第1軸86、第2軸87および第3軸88を備えている。また、クランク部79は、第2モータ55に接続されている。
【0038】
第1アーム84は、一方向に延びるように形成されており、一端に前後方向に延びる第1軸86が挿通されて固定され、他端に前後方向に延びる第2軸87が挿通されて固定されている。また、第1軸86は、第2モータ55に接続されており、第1アーム84は、第1軸86を中心として回転自在となるように第1軸86を介して第2モータ55に接続されている。
【0039】
第2アーム85は、一方向に第1アーム84より長く延びるように形成され、一端に第2軸87が回転自在に挿通され、他端に前後方向に延びる第3軸88が回転自在に挿通されている。第2アーム85では、一端が、第1アーム84の他端の回転運動に伴って、揺動されながら、他端が、上下移動する。
第3軸88は、支持筒16に対して相対移動不能となるように固定されており、供給部17のシリンダ36に対して相対的に上下移動可能となっている。
【0040】
第2モータ55は、インバータで変速可能な電動機である。
選別部材63は、図1に示すように、内側筒4内に設けられており、水平方向に対して傾斜して設けられている。具体的には、選別部材63は、左側から右側に向かうに従って下方に傾斜して設けられている。すなわち、選別部材63は、図1、図4および図5に示すように、支持筒16の下端に固定されるリング形状の基部62と、基部62から径方向外側に延びる選別板69とを一体的に備えている。
【0041】
基部62は、図4および図5に示すように、上下方向に延びる円筒形状に形成されている。基部62は、図6に示すように、支持筒16の周りに相対移動不可能に設けられ、かつ、シリンダ36(後述)に対して相対移動可能に設けられている。
選別板69は、図5に示すように、平面視略C字平板形状に形成されている。具体的には、選別板69は、平面視(図4におけるB矢視図)において、略楕円板形状であって、選別板69の平面に直交する方向、つまり、図4におけるA矢視図において、略円板形状に形成され、その右端から、径方向内側に向かって切り欠かれ、後述する渦流の通過を許容する切欠部(許容部)50が形成されている。
【0042】
切欠部50は、平面視(図4におけるA矢視図)において、選別板69の右側部分を周方向に分断するように形成されている。また、切欠部50は、選別板69の右側端部から選別板69の軸心(基部62)に向かう径方向途中まで開口される第1開口部73と、第1開口部73の径方向内端から径方向内側に向かって開口される第2開口部74とから形成されている。
【0043】
第1開口部73は、平面視略矩形状に形成されている。
第2開口部74は、第1開口部73から連続し、第1開口部73から径方向内側に向かうに従って第1開口部73から周方向両側に次第に広がる、平面視略C字形状の開口として形成されている。また、第2開口部74は、選別部材63の軸心を中心とする周方向(後述する渦流の流れ方向)に沿って延びるように形成されている。
【0044】
また、第2開口部74の前側端部76は、平面視において時計回りに進む方向に向かうに従って、選別部材63の径方向外側端部から径方向内側端部に向かって傾斜している。また、第2開口部74の前側端部76の傾斜面は、径方向外側に向かって湾曲している。
また、第2開口部74の後側端部77は、前側端部76と略対称形状に形成されている。すなわち、第2開口部74の後側端部77は、平面視において反時計回りに進む方向に向かうに従って、選別部材63の径方向外側端部から径方向内側端部に向かって傾斜している。また、第2開口部74の後側端部77の傾斜面は、径方向外側に向かって湾曲している。
【0045】
また、第2開口部74の径方向内側端部は、選別板69の径方向内側端部とわずかな間隔を隔てて配置され、基部62の径方向内側端縁と並行している。
さらに詳しくは、選別板69は、図4および図5に示すように、水平方向に対して傾斜して設けられ、すなわち、選別板69の軸線(第1軸線)71が、基部62の軸線(第2軸線)72と交差するように設けられている。すなわち、選別板69が、その左側から右側に向かうに従って、下方に下がるように傾斜して、基部に62に支持されている。
【0046】
また、選別部材63が傾斜していることから、選別板69の切欠部50を除く部分、つまり、前側部分78および後側部分75は、後述する渦流に沿って上昇する発泡体の上昇を抑制するための抑制部90とされる。
なお、第1軸線71と、第2軸線72とのなす角度αは、例えば、5〜30度、好ましくは、10〜20度である。
【0047】
また、選別部材63の前側部分78における右側端部は、その径方向外側端縁が上方に屈曲するように形成されている。
そして、選別部材63は、図1の矢印(実線および破線)で示すように、クランク部79からの上下駆動により、支持筒16が上下に往復移動する。また、選別部材63の上下の移動速度は、第2モータ55のインバータ変速により調整される。
【0048】
供給部17は、平面視において、内側筒4内に設けられ、上下方向に延びるように形成されている。供給部17は、スクリューフィーダ31と、シュート35とを備えている。
スクリューフィーダ31は、内側筒4内に材料を供給するための供給機であって、図1に示すように、シリンダ36と、シリンダ36内に収容されるスクリュー32と、スクリュー32を駆動させるための第3モータ41とを備えている。
【0049】
シリンダ36は、図1および図6に示すように、前後方向および左右方向に内側筒4と
間隔を隔てて配置されている。詳しくは、シリンダ36は、その軸線が、支持筒16の軸線と重複する(同一軸線上に配置される)ように、つまり、支持筒16と同心状に配置されている。詳しくは、シリンダ36は、支持筒16に摺動自在に挿通されている。
また、シリンダ36は、内側筒4の上端および上下方向途中にわたって形成されている。
【0050】
また、シリンダ36の上端は、内側筒4の上端より上側であって、クランク部79よりも突出するように配置されている。
また、シリンダ36の下端は、材料を内側筒4に供給するための供給口57とされており、この供給口57は、上側水平回転羽根5と上下方向に所定間隔を隔てて(近傍に)対向配置されている。また、供給口57の縁部58は、水平方向に沿って形成されている。
【0051】
スクリュー32は、シリンダ36内において、シリンダ36と同心状に形成されている。スクリュー32は、上下方向において、シリンダ36の全体にわたって設けられており、スクリュー32には、材料を切り出すための羽根29がらせん状に形成されている。スクリュー32の上端には、第3モータ41が接続されている。
第3モータ41は、スクリュー32に回転駆動を伝達して、スクリュー32を回転させるために設けられている。また、第3モータ41は、インバータで変速可能な電動機である。また、第3モータ41は、第2フレーム22の上に形成される第3フレーム23に支持されている。
【0052】
シュート35は、スクリューフィーダ31の上部において、材料をスクリューフィーダ31に供給するために設けられている。シュート35は、下方に向かって内径が小さくなる、平面視略台形状の中空状に形成されている。また、シュート35内には、図示しない注液装置が設けられている。
注液装置は、シュート35に投入される材料の状態に応じて、材料に液体(水など)を注液(注水)するように構成されている。
【0053】
次に、浮遊選別装置1を用いる選別方法について説明する。
この方法では、まず、材料を用意する。
材料としては、例えば、発泡体を含む樹脂などであって、具体的には、一般消費者が廃棄する発泡体を含む廃プラスチック(より具体的には、「容器リサイクル法」に基づくプラスチック回収品)などが挙げられる。
【0054】
発泡体としては、例えば、食品トレイなどに使用される、発泡ポリスチレン(発泡PS)など、比重が顕著に小さい発泡樹脂が挙げられる。なお、発泡ポリスチレンとしては、例えば、アルミニウム薄膜などの金属薄膜により被覆された比較的比重の大きい発泡ポリスチレン粒子や、小粒子状(例えば、最大長さが35mm以下)の発泡ポリスチレンなども挙げられる。
【0055】
発泡体以外の樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などの比重が1よりわずかに小さい樹脂(小比重樹脂)や、例えば、ポリスチレン(例えば、延伸ポリスチレン(OPS)など、発泡PSを除くポリスチレン)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC、具体的には、硬質PVCなど)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS)などの比重が1より大きい樹脂(大比重樹脂)などが挙げられる。なお、これらの樹脂の形状としては、例えば、粒子状(空隙が形成された粒子状)、フィルム状(皺が形成されたフィルム状)なども含まれる。
【0056】
このような小比重樹脂の比重は、例えば、0.9〜0.96であり、大比重樹脂の比重は、例えば、1.1〜1.7である。
材料における各成分の含有割合は、材料100重量部において、例えば、発泡体が3〜8重量部、発泡体以外の材料が85〜95重量部である。より具体的には、材料100重量部において、例えば、発泡PSが5〜6重量部、小比重樹脂が約90重量部、大比重樹脂がそれらの残部である。
【0057】
また、上記した材料を、必要により、公知の粉砕装置によって、予め粉砕する。この粉砕により、材料の最大長さを、例えば、5〜50mm、好ましくは、10〜30mm、具体的には、25mm程度に調整する。
次いで、この方法では、材料を湿潤状態にする。すなわち、材料に、液体をスプレーなどの散布方法により塗布したり、あるいは、材料を液体に浸漬する。
【0058】
液体としては、例えば、水または界面活性剤を含む界面活性剤水溶液などが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤など、公知の界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の含有割合は、例えば、界面活性剤水溶液の比重が大比重樹脂の比重以下となるように設定され、具体的には、水100重量部に対して、例えば、1重量部以下、好ましくは、0.5重量部以下(通常、0.3重量部以上)に設定される。界面活性剤の含有割合が上記範囲を超える場合には、界面活性剤水溶液の比重が大比重樹脂の比重より大きくなるので、大比重樹脂を沈降させることができず、大比重樹脂と小比重樹脂とを分離して回収できない場合がある。
【0059】
これにより、材料の含水率を、例えば、50重量%以上、好ましくは、70重量%以上、より具体的には、70重量%程度に設定する。材料の含水率が上記範囲にない場合、とりわけ、上記範囲に満たない場合には、材料の表面に空気(気泡)や油膜が付着し易いため、選別において発泡体のみを浮上させにくい場合、具体的には、発泡PSと、PEおよびPPとの浮遊速度を相違させることができない場合がある。
【0060】
また、浮遊選別装置1に液体2を充填する。液体2は、上記と同様の液体が用いられる。
浮遊選別装置1に液体2を充填するには、外側ケーシング3の上端および/または内側筒4の上端から、第2選別室28および第1選別室27に液体2が充填されるように、液面が滞留部37の右端(第1液面調整ゲート43の上端)の高さおよび小比重取出室18の右端(第2液面調整ゲート44の上端)の高さと同じ高さになるまで、液体2を注入(注液)する。同時に、必要に応じて、第1液面調整ゲート43および第2液面調整ゲート44の高さを調整する。
【0061】
また、上下移動羽根6の選別部材63を、図1の破線で示すように、上記高さにまで流入された液体2に浸かる高さ(第1位置)に、クランク部79による支持筒16の下方への移動により、支持筒16によって位置させる。なお、選別部材63は、常には、支持筒16の下方への移動により、第1位置(破線)に位置させ、後述する発泡PSの回収時に、支持筒16の上方への移動により、滞留部37よりも上方の第2位置(実線)に位置させる。
【0062】
次いで、この方法では、浮遊選別装置1の上側水平回転羽根部材13および下側水平回転羽根部材15を水平回転させる。
すなわち、第1モータ51の回転駆動により、プーリ25を介して上側水平回転羽根部材13および下側水平回転羽根部材15を水平回転させる。
これにより、第1選別室27では、上側水平回転羽根部材13の水平回転によって渦流が発生し、また、第2選別室28では、下側水平回転羽根部材15の水平回転によって渦流が発生する。なお、第1選別室27および第2選別室28における渦流は、平面視において時計回りに渦巻いている。
【0063】
なお、上側水平回転羽根部材13の周速を、例えば、40〜85m/minに設定し、および下側水平回転羽根部材15の周速を、例えば、100〜200m/minに設定する。
下側水平回転羽根部材15および上側水平回転羽根部材13の周速が上記範囲にない場合には、発泡体を確実に浮上させて、大比重樹脂および小比重樹脂を確実に浮遊させることができない場合がある。そのため、発泡体を効率よく選別することができない場合がある。
【0064】
次いで、この方法では、材料を浮遊選別装置1に投入する。
具体的には、まず、材料を、シュート35に投入し、続いて、第3モータ41に基づくスクリュー32の回転により、材料を供給口57から第1選別室27に供給する。これと同時に、材料の内側筒4内への供給の促進と、液体2の補給とを兼ねて、図示しない注液装置から注液する。注液される液体2は、上記した液体2と同様である。
【0065】
そして、第1選別室27において、供給口57から供給された材料は、供給口57に対向配置される上側水平回転羽根部材13の水平回転により発生する液体2の渦流によって、均一に分離される。
発泡体以外の材料、つまり、小比重樹脂(空隙を有する粒子状またはフィルム状の小比重樹脂を除く)および大比重樹脂は、上側水平回転羽根部材13の水平回転により発生する液体2の渦流によって水平回転されながら沈降する。そして、連通口26において、径方向外側へ向かう遠心力によって、水平方向外側へ向かう遠心力によって、内側筒4内から外側ケーシング3、つまり、第1選別室27から連通口26を介して第2選別室28に移動し、徘徊する。
【0066】
続いて、小比重樹脂および大比重樹脂は、第2選別室28において、その比重の相違により、上下方向に分離される。
つまり、小比重樹脂は、比重が1より小さいことから、遠心力により外側ケーシング3の側壁8に対して押し付けられるように浮上して、小比重取出室18から、取り出される。
【0067】
一方、大比重樹脂は、比重が1より大きいことから、そのまま沈降して、第2選別室28の下部に沈殿する。
下部に沈殿する大比重樹脂は、上側水平回転羽根部材13および下側水平回転羽根部材15の回転を中断、あるいは、上側水平回転羽根部材13の周速および下側水平回転羽根部材15の周速を、それぞれ、例えば、20m/min以下および80m/min以下に低下させること(低速運転)により、大比重取出管19内に沈殿し、開閉弁20が開放されることにより、回収される。
【0068】
一方、比重(見掛け比重)が極めて小さい、発泡体や、空隙が形成された粒子状または皺が形成されたフィルム状の小比重樹脂は、第1選別室27において、上側水平回転羽根部材13による渦流によって水平回転され、それらの浮力によって、内側筒4内において浮上して、選別板69の抑制部90により、上昇が抑制される。そして、発泡体のみが、渦流に沿って移動して切欠部50に至り、渦流の通過とともに、切欠部50を通過して、選別部材63に乗り上げる。
【0069】
そのため、選別部材63に乗り上げた発泡体と、外側ケーシング3に移動した発泡体以外の材料とをそれぞれ回収することにより、材料から発泡体を確実に選別することができる。
詳しくは、選別部材63は、支持筒16の下方への移動により、第1位置に位置されている。
【0070】
選別部材63は、水平方向に対して傾斜しているので、水平方向の渦流に作用することにより、選別部材63の近傍においては、渦流が水平方向に対して傾斜する方向に渦巻く。
そして、切欠部50は、選別板69における下側部分に形成されているので、選別板69の近傍の渦流は、切欠部50において、渦巻く方向が、斜め下方向(前側斜め下方)から斜め上方向(前側斜め上方)に変化する。そのため、切欠部50において、渦流は勢いよく上昇しながら、発泡体に大きな浮遊力を付与するので、かかる発泡体のみが、上側に向かって、渦流とともに通過し易く、発泡体を効率よく回収することができる。
【0071】
さらにまた、渦流の流れ方向に沿って延びる第2開口部74において、渦流とともに渦巻く発泡体の通過を、渦流の流れに沿って効率的に許容することができる。そのため、発泡体を効率よく回収して選別することができる。
また、渦流に沿って流される発泡体は、第2開口部74において、選別板69の径方向外側端部から径方向内側端部に沿いながら、より一層効率よく通過することができる。そのため、材料から発泡体をより一層効率的に選別することができる。
【0072】
次いで、クランク部79による支持筒16の上方への移動により、選別部材63を上方に移動させる。
具体的には、選別部材63を、液体2の液面より上方の高さ(第2位置)に移動させる(図1の実線)。これにより、選別部材63に乗り上げた発泡体は、選別部材63の上方向の移動および選別部材63の傾斜に基づいて、回収室65に放り出される(掬い上げられる)。なお、選別部材63に乗り上げた発泡体は、選別板69の前側部分78の右側端部が上側に屈曲していることから、選別板69の前側部分78から径方向外側に向かってこぼれることが防止される。
【0073】
なお、選別部材63の上下の往復移動速度は、例えば、5〜25m/min、好ましくは、5〜10m/minに設定される。
その後、上記と同様に、選別部材63を上下方向に繰り返し往復移動させることにより、継続的に発泡体を回収する。選別部材63の往復移動の時間間隔(インターバル)は、例えば、5〜40秒/1回(1往復)、具体的には、20秒/回(1往復)程度である。
【0074】
そして、この浮遊選別装置1では、選別部材63を上下に往復移動させることにより、選別部材63に乗り上げた発泡体を、選別部材63から確実に分離させて、発泡体を効率よく回収することができる。
その結果、簡易な構成により、発泡体を確実に選別することができる。
なお、供給部17が、内側筒4の上下方向途中に臨むように外側ケーシング3内に設けられている場合(具体的には、スクリューフィーダ31のシリンダ36が外側ケーシング3の上端から内側筒4の上下方向中央に向かって斜めに延び、第2選別室28を貫通するように設けられる場合)には、第2選別室28において、水平回転羽根部材61の水平回転に基づく水平方向の攪拌に起因する渦流の円滑な流れを阻害する場合がある。
【0075】
つまり、第2選別室28における供給部17の上側において、流れが緩やかな部分を生じ、そのため、浮遊する小比重樹脂が澱んでしまい、かかる小比重樹脂を効率的に回収することができない場合がある。
とりわけ、浮遊選別装置1を長時間運転する場合には、小比重樹脂の澱みが顕著となり、小比重樹脂の回収率が低下する場合がある。
【0076】
しかし、この浮遊選別装置1では、供給部17が、内側筒4内に設けられているので、外側ケーシング3における渦流の円滑な流れを維持することができ、小比重樹脂をその渦流に沿って均一に分散させることができる。そのため、外側ケーシング3において、小比重樹脂、ひいては、発泡体を効率的に回収することができる。
なお、この浮遊選別装置1において、発泡体取出部30は、第2選別室28の上部に形成されていることから、第2選別室28における渦流は、発泡体取出部30の下側を流れる。そのため、発泡体取出部30の下側には、小比重樹脂が浮遊せず、上記した小比重樹脂の澱みは防止されている。
【0077】
なお、発泡体のうち、小粒子(例えば、最大長さが4mm以下)状の発泡体は、得られる浮力が小さいため、第1選別室27において上昇しにくく、上下移動羽根6の下方への移動によって沈降し、その後、連通口26を介して第2選別室28に漏れ易い場合がある。
その場合には、ゲート(図示せず)をスライドして、連通窓47を開放させて、第1選別室27と第2選別室28とを一時的に連通させることによって、第2選別室28において浮上する発泡体を、径方向外側から径方向内側に向かう渦流とともに、第1選別室27に移動させることができる。その後、選別部材63の上下方向の移動によって、移動させた発泡体を回収することができる。そのため、発泡体をより一層効率よく回収することができる。
【0078】
なお、上記した説明では、供給部17を、内側筒4内において、上下方向に延び、支持筒16と同一軸線上に配置しているが、供給部17の配置は、内側筒4内であれば、これに限定されない。例えば、図示しないが、供給部17を、内側筒4内において、上下斜め方向に配置したり、あるいは、上下方向に延び、かつ、内側筒4内における前後方向および左右方向のいずれか一端に、配置して、支持筒16の軸線と相違する軸線上に配置することもできる。
【0079】
好ましくは、供給部17を、上下方向に延び、前後方向および左右方向中央における支持筒16と同一軸線上に配置する。これにより、供給部17が、支持筒59の上下移動に基づく選別板69の上下移動を阻害することを防止することができる。そのため、内側筒4内において選別板69の上下移動に基づく液体2の下方流および上方流の円滑な流れを維持でき、発泡体を均一に浮遊させることができる。その結果、内側筒4において、発泡体を効率的に回収することができる。
【0080】
さらに、上記した説明では、供給部17の供給口57の縁部58を、水平方向に沿って形成しているが、例えば、図示しないが、上下方向に傾きをもって形成することもできる。
好ましくは、供給部17の供給口57の縁部58を水平方向に沿って形成する。
供給部17の供給口57の縁部58を上下方向に傾きをもって形成する場合には、材料は、供給部17の供給口57から上下方向に一定幅をもって供給される。そのため、供給口57の下方から供給される材料に含まれる発泡体(上記した小粒子状の発泡体)は、供給口57の上方から供給される材料に含まれる発泡体に比べて、上下移動羽根6の下移動に基づく水の下方流によって下方に沈降し易く、第2選別室28に漏れる場合がある。
【0081】
しかしながら、供給部17の供給口57の縁部58を、水平方向に沿って形成することにより、材料は、供給部17の供給口57から上下の区別なく供給されるため、材料の画一的な供給を図ることができる。
そのため、上記した発泡体(小粒子状の発泡体)の、上下移動羽根6の下移動に基づく水の下方流による沈降を、有効に抑制して、第2選別室28への流出を有効に抑制することができる。その結果、連通窓47を開放させることなく、簡易な方法で、第1選別室28において、発泡体をより一層効率的に回収することができる。
【0082】
また、上記した説明では、液体を攪拌させるための第1羽根として、上側水平回転羽根5および下側水平回転羽根7の2つを設けたが、例えば、図示しないが、上記の2つのうちいずれか一方のみを設けることもできる。
好ましくは、少なくとも上側水平回転羽根5を設ける。具体的には、上側水平回転羽根5のみを設けるか、あるいは、上側水平回転羽根5および下側水平回転羽根7の両方を設ける。
【0083】
少なくとも上側水平回転羽根5を設けることにより、上側水平回転羽根5によって、供給部17の供給口57から供給される材料を、第1選別室27(内側筒4内)に均一に分散させることができる。そのため、内側筒4において、材料から発泡体を効率的に選別することができる。
さらに好ましくは、上側水平回転羽根5および下側水平回転羽根7の両方を設ける。両方の羽根を設けることによって、上側水平回転羽根5により、供給口57から供給される材料を均一に分散させながら、内側筒4内に渦流を確実に発生させるとともに、下側水平回転羽根7により、外側ケーシング3内に渦流を確実に発生させることができる。
【0084】
また、上記した説明では、供給部として、スクリューフィーダ31を備える供給部17を例示したが、例えば、図示しないが、ピストンおよびピストンを収容するシリンダ36を備える供給部17によって、供給口57から材料を押し出して供給すことができる。さらには、スクリュー32および第3モータ41を備えず、シリンダ36からなる略直管状の供給部17に、材料を直接投入して、供給口57から材料を供給することもできる。
【0085】
また、上記した浮遊選別方法では、浮遊選別装置1を1つ用いたが、例えば、図示しないが、複数の浮遊選別装置1を直列に多段で接続することができる。このようにすれば、発泡体の選別の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の浮遊選別装置の一実施形態の正断面図を示す。
【図2】外側ケーシングの正断面図を示す。
【図3】内側筒の正断面図を示す。
【図4】選別部材の正断面図を示す。
【図5】図4におけるA矢視図を示す。
【図6】クランクおよび支持筒の斜視図を示す。
【符号の説明】
【0087】
1 浮遊選別装置
2 液体
3 外側ケーシング
4 内側筒
5 上側水平回転羽根
6 上下移動羽根
7 下側水平回転羽根
17 供給部
57 供給口
58 縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡体を含む材料を液体に浮遊させて、前記発泡体を選別する浮遊選別装置であって、
液体を収容するための外側ケーシングと、
前記外側ケーシング内に、前記外側ケーシングと連通するように配置され、前記材料を受け入れる内側筒と、
前記外側ケーシング内および/または前記内側筒内に設けられ、前記液体を攪拌するための水平回転可能な第1羽根と、
前記内側筒内に設けられ、上下移動可能な第2羽根と、
前記内側筒内に設けられ、前記内側筒内に材料を供給するための供給部と
を備えていることを特徴とする、浮遊選別装置。
【請求項2】
前記供給部は、上下方向に延び、前記第2羽根と同一軸線上に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の浮遊選別装置。
【請求項3】
前記供給部の供給口の縁部が、水平方向に沿って形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の浮遊選別装置。
【請求項4】
前記第1羽根は、少なくとも前記内側筒内に設けられ、前記供給部の供給口と対向配置されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の浮遊選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−142759(P2010−142759A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−324347(P2008−324347)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000129183)株式会社カワタ (120)
【Fターム(参考)】