説明

消音ボックス付送風機

【課題】従来の消音ボックス付送風機は、風量を大幅に増加する場合、ベルト駆動で羽根車の回転数を増加したり、インバータ制御により羽根車の回転数を増加したり、1つの機体の中に2つのファンユニットを水平に配置している。狭い天井裏スペースでのベルトやインバータ、複数のファンユニットのメンテナンス性が悪いという課題があった。
【解決手段】機体8の内部に羽根車9をモータ10の回転軸に直結した遠心送風機11とモータ10を駆動するインバータ13を設け、機体8には、羽根車9に対し同じ側の側面にメンテナンス用開口6を設け、インバータ13は、モータ10よりも機体吹出口2側であって、メンテナンス用開口6を設けた側面に取り付けたインバータボックス14内に納めた構成としたことにより、施工性とメンテナンス性をよくしながら耐久性を向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、換気送風機器など消音ボックス内部に送風機を内蔵して使用される消音ボックス付送風機のインバータ固定構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の消音ボックス付送風機は、風量を大幅に増加する場合、ベルト駆動で羽根車の回転数を増加したり、インバータ制御により羽根車の回転数を増加したり、1つの機体の中に2つのファンユニットを水平に配置していた。
【0003】
(従来例1)
従来の消音ボックス付送風機は、ベルト駆動で羽根車の回転数を増加して、風量を増加していたものが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
以下、その従来例について図4を参照しながら説明する。
【0005】
図4に示すように、機体吸込口101と機体吹出口102を箱状の機体103の対向する側面に設け、機体103には、機体吸込口101に吸込側ダクト104を接続する吸込アダプター105、および機体吹出口102には、吹出側ダクト106を接続する吹出アダプター107を配している。機体吹出口102と吹出アダプター107の間には、ダンパー式風量調節部材108を配し、ダンパー式風量調節部材108は、スライド板109とガイド部110から構成されている。
【0006】
モータ111を運転すると、プーリーベルト112を介して片吸込型遠心送風機113の羽根車の回転数は、モータ111の回転数に対して増速され、大きな風量を得ることができている。そして、機体103内部の吸込気流114は、スクロールケーシング115を通り、吐出口116から吐出気流117として流出する。また、吐出気流117をスライド板109に衝突させることで、風量を絞って調整する機能を有している。
【0007】
一般的に、適切に動力伝達をして回転数を得るために、定期的なプーリーベルト112の張りの調整や交換が必要とされている構造である。
【0008】
(従来例2)
また、他には、インバータ制御により羽根車の回転数を増加して、風量を増加していたものが知られている。(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
以下、その従来例について図5を参照しながら説明する。
【0010】
図5に示すように、まず、従来例2で示す消音ボックス付送風機は、箱状のダクト状機体201に、室内の空気を吸い込む側の機体吸込口202に吸込側ダクト203、室外に空気を吹き出す側の機体吹出口204に吹出側ダクト205を接続して設置される。そして、ダクト状機体201の内部に遠心送風機206を配し、遠心送風機206は吐出口207と渦巻状のスクロール208とケーシング吸込口209を片面に設けたケーシング側板210を備えている。羽根車211は、ケーシング吸込口209近傍に固定したモータ212の回転軸213により駆動する。ダクト状機体201内には、吸込側風路214と吐出側風路215を区画する仕切り216を設け、電源接続用の電源端子台を兼ねているインバータ217をダクト状機体201内部の空気風路ではない部分である遠心送風機206のスクロール208の背面空間218に収納している。モータ212に対向するダクト状機体201の側面には点検用開口219が設けられている。
【0011】
遠心送風機206を運転すると、インバータ217により電源周波数は変更されてモータ212の回転数は増速され、大きな風量を得ることができている。そして、気流は吸込側ダクト203を通って、仕切り216に沿って吸込側風路214を流れ、遠心送風機206のケーシング吸込口209からスクロール208を通過後、吐出側風路215を仕切り216に沿って流れ、吹出側ダクト205から流出する。
【0012】
一般的に、インバータ217は埃や周囲温度により寿命が左右されるため、インバータ217の定期的なメンテナンス・交換が必要とされている構造である。
【0013】
(従来例3)
また、他には、1つの機体の中に2つのファンユニットを水平に配置して、風量を増加していたものが知られている。(例えば、特許文献3参照)。
【0014】
以下、その従来例について図6を参照しながら説明する。
【0015】
図6に示すように、機体301は互いに相対する二対の側面板302および上面板と下面板で構成し、側面板302の一方には吸込側ダクト303を連結する機体吸込口304を設け、他方には吹出側ダクト305を連結する機体吹出口306を備えている。そして、機体301の機体吸込口304側の側面板302と機体吹出口306側の側面板302との間を開口部307を有する仕切り板308で区画し、仕切り板308と、この仕切り板308の機体吸込口304側の側面板302の側に設けた位置規制部材309との間に、仕切り板308の開口部307にその吐出口310を合わせて位置を定めた2個の遠心送風機311を挟持して並列に固定している。この遠心送風機311は、機体301の一方の側面板302側に設けたメンテナンス用開口部312を介し、位置規制部材309を取り外すことにより、手前から順次遠心送風機311を取り外すことができる。
【0016】
2つの遠心送風機311を運転すると、機体301の内部で遠心送風機311の2個分の風量が合流して、大きな風量を得ることができている。
【0017】
一般的に、機体301内部で2つの遠心送風機311の負荷を均等にして、並列に対称な構造となっているがゆえに、メンテナンス時にはメンテナンス用開口部312から近い遠心送風機311−1の運転確認だけでなく、その遠心送風機311を取り外すことで、奥側の遠心送風機311−2の運転の確認が必要とされている構造である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開平11−270885号公報
【特許文献2】特開2000−314398号公報
【特許文献3】実開昭61−127335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
このような従来の消音ボックス付送風機では、風量を大幅に増加する場合、ベルト駆動で羽根車の回転数を増加したり、インバータ制御により羽根車の回転数を増加したり、1つの機体の中に2つのファンユニットを水平に配置しているため、狭い天井裏スペースでのベルトやインバータ、複数のファンユニットのメンテナンス性が悪いという課題があった。
【0020】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、インバータにより回転数を増加して大風量化する消音ボックス付送風機を形成する際、インバータを機体のメンテナンス用開口側に固定してメンテナンス性を確保しながらインバータへの振動伝播現象を防止することで、施工性とメンテナンス性をよくしながら耐久性を向上できる消音ボックス付送風機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の消音ボックス付送風機は、上記目的を達成するために、
箱状の機体の対向する側面を機体開口面として機体吸込口と機体吹出口となる開口を設け、
前記機体の内部に羽根車をモータの回転軸に直結した遠心送風機と前記モータを駆動するインバータを設け、
前記機体には、前記羽根車に対し同じ側の側面にメンテ口を設け、
前記インバータは、前記モータよりも前記機体吹出口側であって、前記メンテ口を設けた側面に取り付けたインバータボックス内に納めたものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、箱状の機体の対向する側面を機体開口面として機体吸込口と機体吹出口となる開口を設け、前記機体の内部に羽根車をモータの回転軸に直結した遠心送風機と前記モータを駆動するインバータを設け、前記機体には、前記羽根車に対し同じ側の側面にメンテ口を設け、前記インバータは、前記モータよりも前記機体吹出口側であって、前記メンテ口を設けた側面に取り付けたインバータボックス内に納めたことにより、機体吸込口から羽根車に向かう気流がインバータボックスに衝突せず、インバータボックスの振動が小さくなるので、振動によるインバータの基板の破損を防止して耐久性を向上できるとともに、モータと同じ側にインバータを配置して、施工性とメンテナンス性を良化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1の消音ボックス付送風機の側面図
【図2】同消音ボックス付送風機の平面図
【図3】同消音ボックス付送風機の設置状態を表す側面図
【図4】従来例1の消音ボックス付送風機の平面図
【図5】従来例2の消音ボックス付送風機の平面図
【図6】従来例3の消音ボックス付送風機の平面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の請求項1記載の消音ボックス付送風機は、箱状の機体の対向する側面を機体開口面として機体吸込口と機体吹出口となる開口を設け、前記機体の内部に羽根車をモータの回転軸に直結した遠心送風機と前記モータを駆動するインバータを設け、前記機体には、前記羽根車に対し同じ側の側面にメンテ口を設け、前記インバータは、前記モータよりも前記機体吹出口側であって、前記メンテ口を設けた側面に取り付けたインバータボックス内に納めたものであり、機体吸込口から羽根車に向かう気流がインバータボックスに衝突せず、インバータボックスの振動が小さくなるので、振動によるインバータの基板の破損を防止して耐久性を向上できるとともに、モータと同じ側にインバータを配置して、施工性とメンテナンス性を良化することができる。
【0025】
また、インバータボックスと機体側面の間に防振材を配置する構成としたものであり、機体側面の振動がインバータボックスに伝わりづらくなるため、振動によるインバータの基板の破損を防止して耐久性を向上できる。
【0026】
また、インバータボックスに埃侵入防止用のインバータボックスカバーを設け、前記インバータボックスカバーに冷却用穴を開口する構成としたものであり、インバータ内部への埃の侵入を防止しながら熱がこもることを防止して耐久性を向上できる。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
(実施の形態1)
図1および図2に示すように、実施の形態1による消音ボックス付送風機は、箱状の機体8の対向する側面(機体開口面3)に機体吸込口1と機体吹出口2となる開口を設け、機体8の内部に、遠心送風機11とインバータ13を内蔵したものである。側面の一つ(機体側面7)にはメンテナンス用開口6を設けている。遠心送風機11は、機体吹出口2に対向した吐出口16と渦巻状のスクロール17とケーシング吸込口18を設けたケーシング側板19を側面に配置したファンケーシング20を備えている。本実施の形態では、遠心送風機11は、2枚のケーシング側板19の双方にケーシング吸込口18を設けた、両吸込み型である。そして、羽根車9をモータ10により直結して駆動するようにしている。
【0029】
モータ10は、羽根車9に対し、メンテナンス用開口6側の機体側面7側に設ける。さらに、インバータボックス14は、モータ10と機体吹出口2との間に配置し、メンテナンス用開口6を設けた機体側面7に取り付けられている。インバータボックス14の内部には、モータ10を駆動するインバータ13が設けられる。
【0030】
また、インバータボックス14は、機体側面7に設けられた開口に、外側から挿入するようにして取り付けられる。このとき、インバータボックス14の表側は、フランジ状に形成される。インバータボックス14は、本体部分を機体8内部に挿入したとき、フランジ状の周縁部にて機体側面7にネジ止めなどで固定される。周縁部と機体側面7の間には、防振材36を配置する。
【0031】
また、インバータボックス14には、外側から埃侵入防止用のインバータボックスカバー37で表側を塞いでいる。そして、インバータボックスカバー37には、冷却用穴38が開口されている。
【0032】
図3に示すように、遠心送風機11を運転すると、室内25の空気は、吸込側ダクト26から吸い込まれ、遠心送風機11を通過し、機体吹出口2を介し吹出側ダクト27から屋外28に排気される。機体8は、天井29で室内25と区分けされた天井裏30に設置されており、天井29には、メンテナンス用開口6からモータ10を側面からメンテナンスするための天井点検口31が設けられている。
【0033】
さらに詳しくその動作について説明する。図2に示すように、機体8内部では、機体吸込口1から吸い込まれた気流35は、ケーシング吸込口18から遠心送風機11のファンケーシング20に吸い込まれる。このとき、ケーシング吸込口18は、インバータボックス14よりも機体吸込口1側に位置しているので、機体8内部の気流は、インバータボックス14に直接衝突せずにケーシング吸込口18に吸い込まれるのである。
【0034】
すなわち、機体8内部の気流35がインバータボックス14に衝突することがないため、インバータボックス14の振動が小さくなり、振動によるインバータ13の基板の破損を防止して耐久性を向上できる。
【0035】
また、インバータボックス14と機体側面7の間に防振材36を配置することにより、機体側面7の振動がインバータボックス14に伝わりづらくなるため、振動によるインバータ13の基板の破損を防止して耐久性を向上できる。なお、防振材36はゴム材料やウレタン等の発砲材料を使用することが、構造の簡易化となるため、望ましい。
【0036】
また、インバータボックス14をインバータボックスカバー37で蓋をするように塞ぎ、インバータボックスカバー37に冷却用穴38を開口することにより、インバータ13内部への埃の侵入を防止しながら熱がこもることを防止する。そのため、インバータ13の基板の破損を防止して耐久性を向上できる。なお、冷却用穴38を開口したインバータボックスカバー37が機体側面7側にあることは、万一の建物の漏水事故等で、水が機体天面4側に降り注いだ場合に、冷却用穴38から水が侵入しづらく、インバータの保護となる効果もある。
【0037】
このように本発明の実施の形態1の消音ボックス付送風機によれば、施工性とメンテナンス性を良化しながら、耐久性を向上することができることとなる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
換気送風機器などの空気搬送目的以外に、排気構造を用いて設備機器の冷却ができ、コンパクトに設置できる設備機器の送風等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 機体吸込口
2 機体吹出口
3 機体開口面
4 機体天面
5 機体底面
6 メンテナンス用開口
7 機体側面
8 機体
9 羽根車
10 モータ
11 遠心送風機
13 インバータ
14 インバータボックス
36 防振材
37 インバータボックスカバー
38 冷却用穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱状の機体の対向する側面を機体開口面として機体吸込口と機体吹出口となる開口を設け、
前記機体の内部に羽根車をモータの回転軸に直結した遠心送風機と前記モータを駆動するインバータを設け、
前記機体には、前記羽根車に対し同じ側の側面にメンテ口を設け、
前記インバータは、前記モータよりも前記機体吹出口側であって、前記メンテ口を設けた側面に取り付けたインバータボックス内に納めた消音ボックス付送風機。
【請求項2】
インバータボックスと機体側面の間に防振材を配置する構成としたことを特徴とする請求項1記載の消音ボックス付送風機。
【請求項3】
インバータボックスに埃侵入防止用のインバータボックスカバーを設け、前記インバータボックスカバーに冷却用穴を開口する構成としたことを特徴とする請求項1または2記載の消音ボックス付送風機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−2313(P2013−2313A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−131953(P2011−131953)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】