説明

液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置および方法。

【課題】液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置の提供であって、付加価値として、液体の温度をたかめるという特徴を付加した技術である。
【解決手段】装置の使用状態において、吸引圧力を少なくとも1回、強い吸引状態となす。すなわち、渦流ポンプの定格運転時における吸引低圧に対して110%を超える数値の低圧とする。そのことで、断熱圧縮、大気解放を吸引・吐出で繰り返し循環する微小泡が自ら有する熱力学的エネルギーを解放しやすくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば生体表面(皮膚)に刺激を与え、表面組織を活性化させるバイオ分野用途、晶析の際のシード(核)に用いるネガティブシーディング用途、一般の気液化学反応の気相反応原料に用いる化学反応用途など、多岐にわたる応用が期待されるマイクロバブルを発生する装置と発生する方法に関するものである。
【0002】
発明者のひとりは、いくつかのマイクロバブル技術を提案している。(特許文献2から特許文献4参照)
これらの技術のベースは、特許文献1に明記された、「渦流ポンプ」と特殊構造の「吐出ノズル」の組み合わせであって、かかる組み合わせが以下に説明する、より微細なるマイクロバブルの生成に効果的と考えられる。
【0003】
マイクロバブルは、「微小気泡(微小泡)」であって、バブルをなすガスが、大気、またたとえば窒素(N2)または酸素(O2)または二酸化炭素(CO2)でもよく、特に大気とN2ーO2ーCO2組成を異にすると、通常の気泡とは異なった性質があり、生体表面(皮膚)にあたえる影響もおおきいことがわかっている。
【0004】
この「マイクロバブル」には、低濃度タイプ:直径が30μm 付近に分布のピークがあり、気泡濃度としては数百個/mL 程度。見た目は水が少し曇った状態のもの。および、高濃度タイプ:10μm付近に気泡分布のピークがあり、気泡個数は数千個/mL 以上。見た目は牛乳のような状態のものがある。
【0005】
この「マイクロバブル」が生体表面(皮膚)に刺激を与え、表面組織を活性化させることで、人体に適用すれば健康増進効果がえられる。この効果は温泉とほとんど同様で、実際、温泉もマイクロバブルが含まれているものが多いと考えられる。
【0006】
ここで、この「マイクロバブル」2種:低濃度タイプ(30μm)、高濃度タイプ(10μm)による経験的差異は、概して、高濃度タイプ(10μm)の与える種々の効果の方が、低濃度タイプ(30μm)のそれよりもはるかに大きいということである。
【0007】
ゆえに本発明の実施の際も同様に、高濃度タイプ(10μm)にて実施するのがよりよい効果を与える。
【0008】
高濃度タイプ(10μm)マイクロバブルを生成する技術は、たとえば、特許文献1に記載されている。
【0009】
それに対し、低濃度タイプ(30μm)あるいは、さらにバブル径が大きな低級(ミリスケール)タイプによる細胞培養技術が特許文献5および特許文献6に記載されている。
【0010】
ひるがえって、特許文献1では、大気圧で気体吸引をなす、渦流ポンプが用いられている。
【0011】
これら公知技術が、本発明のバックグラウンドである。
【特許文献1】特許第3620797号公報「微細気泡発生装置」アイピーエムエス
【特許文献2】特願2009−234683号「細胞変化を促進する微小気泡含有組成物、およびその微小気泡含有組成物を製造する装置、ならびに微小気泡含有組成物を用いた細胞変化促進方法」丸井智敬
【特許文献3】特願2009−243940号「微小気泡含有組成物、および、微小気泡発生器」丸井智敬
【特許文献4】特願2009−249900号「液体中に微小気泡を発生させる装置」丸井智敬
【特許文献5】特許第2762372号公報「微細気泡発生装置」小松製作所
【特許文献6】特公平5-60353号公報「液中通気による培養方法及び培養装置」日立製作所
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、一部同発明者による特許文献2から特許文献4に開示された技術に、さらに、液体温度を上げるという機能を付加することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明装置のベースは、特許文献1の構成にある。すなわち、気体吸引手段と液体吸引手段と液体吐出手段が接続された渦流ポンプを具備し、前記気体吸引手段で気体を吸引しつつ、前記液体吸引手段で液体槽の液体を吸引して該液体槽の液体中に微小気泡を発生させる装置である。
【0014】
前記渦流ポンプはモータで内蔵インペラを回転するものである。こういった特許文献1の構成によって生成される微小気泡は、少なくともその粒径が30μm以下のマイクロバブルを含む。
【0015】
本発明者らは、この構成による微小気泡生成を研究した結果、気泡を生成した液体にて物理化学的熱生成反応が生じ、液体温度が上昇する現象を発見した。この物理化学熱反応は、ポンプとノズルを流動する気泡の断熱圧縮によるものと推定される。
【0016】
すなわち、渦流ポンプにては乱流によって生まれた低圧にて液体吸引され、この低圧ゾーンに気体も吸引され混合されるが、その後、かかる気体は吐出ノズルにおいて、およそ5気圧の高圧となり、気泡ガスは断熱圧縮状態となる。
【0017】
ここで蓄積されたエネルギーが、液体槽にて解放されて熱エネルギーとなる。ゆえに液体温度は上昇する。
【0018】
図6の「◇」に示すデータが、通常のマイクロバブル生成プロセスでの液体温度の測定値であって、気温と液体槽の熱伝達熱伝導条件で異なるものの、1時間程度の生成プロセスにて初期液体温度は3−5度の上昇を示す。
【0019】
一方、図6の「◆」に示すデータが、本発明の液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる方法によるものである。
【0020】
かかる方法には(請求項1請求項2の一部)、液体吸引手段の吸引端に吸引負荷を変化させる手段が配備され、該吸引負荷を変化させる手段に対して、少なくとも1回の強い吸引状態となる指令を所望の時間だけ継続して出し、それ以外は強くない吸引状態となる指令を出す吸引負荷の制御手段が必要である。
【0021】
あるいは、かかる方法には(請求項3の一部)、渦流ポンプはモータの回転数を変化させる手段、および、かかるモータの回転数の制御指令を出す手段が配備されているのが必要で、装置の使用状態において、前記のモータの回転数の制御指令を出す手段が、少なくとも1回の強い吸引状態となるような回転数指令を所望の時間だけ継続して出し、それ以外は強くない吸引状態となるような回転数指令を出すことが必要である。
【0022】
すなわち(請求項11)、液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置を用いて、液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる方法であって、装置が液体を吸引する状態が、吸引負荷を変化させる手段、あるいは、渦流ポンプモータの回転数の制御指令を出す手段によって、少なくとも1回の強い吸引状態とする工程を有することで液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる。
【0023】
ここで強い吸引状態とは、渦流ポンプの定格運転時における吸引低圧に対して110%を超える数値の低圧で吸引する状態である。
【0024】
図6の実施例では、実験開始より15から30分にかけて、強い吸引状態とした。その結果、液体(水)温度は、50℃まで上昇した。
【0025】
このように吸引負荷の制御やポンプモータの回転数制御が、どうして断熱圧縮発熱を顕在化させる引き金(トリガ)になるのか、は現時点で不明で研究中である。しかし、この発熱現象は再現可能なので実用的には問題はない。本発明の装置構成を、一部は繰り返しになるが以下に記載する。
【0026】
すなわち(請求項1)、気体吸引手段と液体吸引手段と液体吐出手段が接続された渦流ポンプを具備し、前記気体吸引手段で気体を吸引しつつ、前記液体吸引手段で液体槽の液体を吸引して該液体槽の液体中に微小気泡を発生させる装置であって、 前記渦流ポンプはモータで内蔵インペラを回転するもので、
該微小気泡は、少なくともその粒径が30μm以下のマイクロバブルを含み、前記の液体吸引手段の吸引端に吸引負荷を変化させる手段が配備されてことを特徴とする 液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置である。この構成を図2に示す。
【0027】
従来の装置(図1参照)から、図2の本発明構成の相違は、17(14に配設された吸引負荷の変化手段、14は液体吸引手段(の先端部分))である。
【0028】
小さな工夫であるが、従来の図1の構成における初期通水時の問題(図1の簡単な説明参照)を解決するために、W(ポンプと吸引吐出流路を初期に液体で満たすため液体を14または15に供給する手段)に加えて、X(初期通水のため16内部に液体を導入する手段)、および、Y(逆止弁、16から外部に液体を流出させないための弁)をポンプの上部に配設している。この構成で、従来面倒だった初期通水作業が簡単化される。
【0029】
さて、繰り返しになるが(請求項2)、装置の使用状態において、吸引負荷を変化させる手段に対して、少なくとも1回の強い吸引状態となる指令を所望の時間だけ継続して出し、それ以外は強くない吸引状態となる指令を出す吸引負荷の制御手段を兼備していることが必要である。
【0030】
また、繰り返しになるが(請求項3)、気体吸引手段と液体吸引手段と液体吐出手段が接続された渦流ポンプを具備し、前記気体吸引手段で気体を吸引しつつ、前記液体吸引手段で液体槽の液体を吸引して、該液体槽の液体中に微小気泡を発生させる装置であって、前記渦流ポンプはモータで内蔵インペラを回転するもので、該微小気泡は、少なくともその粒径が30μm以下のマイクロバブルを含み、前記の渦流ポンプはモータの回転数を変化させる手段、および、かかるモータの回転数の制御指令を出す手段が配備されており、装置の使用状態において、前記のモータの回転数の制御指令を出す手段が、少なくとも1回の強い吸引状態となるような回転数指令を所望の時間だけ継続して出し、それ以外は強くない吸引状態となるような回転数指令を出すことを特徴とする液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置である。
【0031】
また、繰り返しになるが(請求項4)、強い吸引状態が、渦流ポンプの定格運転時における吸引低圧に対して110%を超える絶対値数値の低圧であるのが望ましい。
【0032】
さて、次に「吸引負荷を変化させる手段」のバリエーションを示す。
【0033】
すなわち(請求項5)、吸引負荷を変化させる手段が、吸引手段を通過する液体流路において、流路断面積を変化させて吸引負荷を変化させるものである、あるいは、吸引負荷を変化させる手段が、吸引手段の端部の開口部面積を変化させるべく吸引手段の端部の開口部を一部閉塞する部材を着脱、ないしは、吸引手段の端部の開口部を一部閉塞する部材をスライド移動させて吸引負荷を変化させるものである、あるいは、液体吸引手段が、ふたつ以上の流路をもつもので、吸引負荷を変化させる手段が、ひとつ以上の流路を閉塞して吸引負荷を変化させるものである。
【0034】
ここで(請求項6)、「吸引手段の流路断面積を変化させて吸引負荷を変化させる手段」、「吸引手段の端部の開口部を一部閉塞する部材を着脱して吸引手段の端部の開口部面積を変化させて吸引負荷を変化させる手段」、「吸引手段の端部の開口部を一部閉塞する部材をスライド移動させて吸引手段の端部の開口部面積を変化させて吸引負荷を変化させる手段」については、吸引手段の流路断面積を変化させて吸引負荷を変化させる手段が、可撓性の部材でなる管状流路の外部に機械的な力を加えて流路断面積を変化させるものである、あるいは、吸引手段の端部の開口部を一部閉塞する部材を着脱して吸引手段の端部の開口部面積を変化させて吸引負荷を変化させる手段が、メッシュサイズの異なるフィルタを着脱することで開口部面積を変化させるものである、あるいは、吸引手段の端部の開口部を一部閉塞する部材をスライド移動させて吸引手段の端部の開口部面積を変化させて吸引負荷を変化させる手段が、メッシュサイズの異なるフィルタをスライド移動させて開口部面積を変化させるものであるのが好適である。
【0035】
さて次に、本発明装置に制御とそれに要するセンサーを付加した構成を示す(図3、図4参照)まず圧力をモニターしつつ、かかるモニター圧力に応じて前記のアクチュエータ、すなわち、吸引負荷の変化手段、および、ポンプモータの回転数変化手段に制御信号を送ってなるフィードバック制御系が有効であろう。液体圧力が、マイクロバブリング現象と発熱現象の制御キーであることは明らかだからである。
【0036】
すなわち(請求項7)、液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置にて、液体吸引手段の内部液体、または、液体吸引手段の吸引端近傍の液体槽液体、または、渦流ポンプ内部の液体の圧力を検知するセンサーがさらに配備され、かつまた、かかる圧力を検知するセンサーの検知圧力にもとづいて、吸引負荷の制御手段が、あるいは、かかる圧力を検知するセンサーの検知圧力にもとづいて、渦流ポンプのモータの回転数制御手段が、強い吸引状態と強くない吸引状態となる指令を選択的に出すことを特徴とした液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置である。
【0037】
また同様に、特許文献2から特許文献4に記載がある光学センサーも、マイクロバブリング現象のモニタリングに有効である。
【0038】
すなわち(請求項8)、液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置にて、液体吸引手段の吸引端近傍の液体槽液体の光学的特性を検知するセンサーがさらに配備され、かつまた、かかる光学的特性を検知するセンサーの検知した光学的物理量にもとづいて、吸引負荷の制御手段が、あるいは、かかる光学的特性を検知するセンサーの検知した光学的物理量にもとづいて、渦流ポンプのモータの回転数制御手段が、強い吸引状態と強くない吸引状態となる指令を選択的に出すことを特徴とした液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置である。
【0039】
また、マイクロバブリングを実験してみると、渦流ポンプと吐出ノズルから、マイクロバブルの生成ありなしで、十分に弁別される発生音の相違が耳で聞いていてわかる。イニシャルでマイクロバブル発生の過程での吐出ノズルからは、発生前と発生後では、発生後のほうが「シュー・・・」という高周波音が多い音が聞こえる。渦流ポンプでも、発生前と発生後では、発生後のほうが高周波の音響成分が多い。
【0040】
また、本発明の骨子である「吸引負荷を変化させる手段」または「渦流ポンプのモータの回転数制御手段」をアクチュエートして、発熱現象を誘起した場合に、やはり音の変化が耳で聞いてわかる。こちらは、高負荷時に音の低周波成分が増えるようである。
【0041】
これらの定性的知見を図5に示す(図5の簡単な説明参照)。こういったデータより、バブリングしている液体の状態、ポンプや吐出部近傍の圧力状態に相関がとれるので、音響センサーを配備して、ぞの検知音響にもとづいて、前記のアクチュエータである、吸引負荷の変化手段、および、ポンプモータの回転数変化手段に制御信号を送ってなるフィードバック制御系が有効であろう。
【0042】
すなわち(請求項9)、液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置にて、 液体吸引手段の吸引端で発せられる音響、または、渦流ポンプ内部から発せられる音響を検知するセンサーがさらに配備され、かつまた、 かかる音響を検知するセンサーの検知した音響の物理量にもとづいて、吸引負荷の制御手段が、あるいは、かかる音響を検知するセンサーの検知した音響の物理量にもとづいて、渦流ポンプのモータの回転数制御手段が、強い吸引状態と強くない吸引状態となる指令を選択的に出すことを特徴とした液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置である。
【0043】
また、当然のことだが、液体温度が制御対象であるので、温度センサーを配備して、同様のフィードバック制御系をなしてもよい。
【0044】
すなわち(請求項10)、液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置にて、液体槽の液体温度を検知するセンサーがさらに配備され、かつまた、かかる温度を検知するセンサーの検知した液体温度にもとづいて、吸引負荷の制御手段が、あるいは、かかる温度を検知するセンサーの検知した液体温度にもとづいて、渦流ポンプのモータの回転数制御手段が、強い吸引状態と強くない吸引状態となる指令を選択的に出すことを特徴とした液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置
【発明の効果】
【0045】
本発明によって、液体中に微小気泡を生成して、かつまた、その液体を発熱させる装置が提供される。この技術は、付加価値として、液体の温度をたかめるという特徴を付加することである。北海道や韓国・ロシアの朝は寒い。本発明を応用した、たとえば手洗い洗顔器は、こういった過酷な極寒環境に住む人たちに、あたたかい朝を迎えさせる手助けになるだろう。
【0046】
また、現在のところ定性的な推定に過ぎないが、本発明の発熱は、マイクロバブル存在下での化学反応促進に重要である。というのは、温度が40−50℃程度であって、化学反応一般には低温と見なされるものの、ミクロンサイズ反応場としての体積換算エネルギー密度はかなり高い、と考えられる。すなわち、液相と気相とを反応原料とした化学反応で、マイクロバブルである気相自体が圧力変化によって発熱する系であるので、かつまた、その発熱エネルギー密度はかなり高く、他の反応場との比較の上で、反応効率かなり高くなると予想される。本発明にてミクロンスケールないしはナノスケール高エネルギー反応場が提供され、種々の化学反応に用いて、反応歩留まり向上が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】従来の本発明類似のコモディティ製品の問題点の説明図。初期通水にて14または15をポンプと流路の最上点以上の高さに掲げて通水していて面倒だった。[(a)が使用状態、(b)が初期通水時]。このほか、そもそも微小泡含有液体を発熱させ適度な温度にして利用するという知見は従来なかった。よって、吸引部に負荷制御する手段もなかった。
【図2】本案発明の基本的ハード構成の説明図。(a)と(b)は断面が直交する2つの側断面図。特徴は17である。これは14に配設された吸引負荷の調整手段である。また、液体圧力を検知するセンサーも従来にないものである。
【図3】本案発明の発熱のための制御についての説明図。吸引手段または渦流ポンプ内の圧力が発熱のきっかけを与えている。よって、かかる圧力を検知して制御に役立てる。また、発熱の結果は微小泡含有液体の温度として反映されるので、温度センサーでかかる液体温度を検知して制御に役立ててもよい。さらに従来技術である微小泡含有液体の微小泡自体の状況を光センサーで家検知して制御に役立ててもよい。
【図4】音響センサーAuSを追加した態様を示す図。
【図5】音響センサーAuSによるバブリング状態の弁別の模式図(a)微小泡がでている状態とでていない状態の弁別 (b)渦流ポンプの定格運転時にて微小泡がでている状態と渦流ポンプの定格運転時における吸引低圧に対して110%を超える数値の低圧である「強い吸引状態」との弁別。(a)と(b)ともに周波数領域の差とそれらにまたがる特定周波数のインテンシティ(強度)の比で弁別できる。
【図6】本発明による典型的な液体温度上昇のパターン(実施例)液体は水、量は4リッター(ポンプ・配管内の推量を含む)、ポンプモータ電力容量450Wにて、気温20℃で実施。実験開始後15−30分で発明装置において「強い吸引状態」とした(◆)一方、比較例(◇)では、かかる状態なし。60分程度で発明装置の液体にて50℃まで温度上昇した一方、比較例では、25℃程度にとどまっていた。
【符号の説明】
【0048】
4 気体吸引手段
11 渦流ポンプの内蔵インペラ
12 渦流ポンプの内蔵インペラを回転する交流モータ
14 液体吸引手段(の先端部分)
15 液体吐出手段(の先端部分)
16 渦流ポンプ
17 14に配設された吸引負荷の変化手段
18 液体槽、コモディティ製品ではバスタブや犬猫洗浄槽。
19 本発明の18。たとえば温水手洗い・温水洗顔ユニットの液体槽。
30 渦流ポンプの内蔵インペラを回転する交流モータの制御手段
31 渦流ポンプの内蔵インペラを回転する交流モータの起動停止を制御する制御手段
32 渦流ポンプの内蔵インペラを回転する交流モータの回転数を制御する制御手段◆
AuS 音響センサー
OpS 液体槽の液体の光学的な特性を検知するセンサーであって、たとえば濁度を透過光または散乱光測定方式で測定する濁度センサーなど。
PS 液体の圧力を検知するセンサー
TS 液体の温度を検知するセンサー
W ポンプと吸引吐出流路を初期に液体で満たすため液体を14または15に供給する手段
X 初期通水のため16内部に液体を導入する手段
Y 逆止弁 16から外部に液体を流出させないための弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体吸引手段と液体吸引手段と液体吐出手段が接続された渦流ポンプを具備し、前記気体吸引手段で気体を吸引しつつ、前記液体吸引手段で液体槽の液体を吸引して該液体槽の液体中に微小気泡を発生させる装置であって、前記渦流ポンプはモータで内蔵インペラを回転するもので、該微小気泡は、少なくともその粒径が30μm以下のマイクロバブルを含み、
前記の液体吸引手段の吸引端に吸引負荷を変化させる手段が配備されてことを特徴とする液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置。
【請求項2】
請求項1の、装置の使用状態において、吸引負荷を変化させる手段に対して、少なくとも1回の強い吸引状態となる指令を所望の時間だけ継続して出し、それ以外は強くない吸引状態となる指令を出す吸引負荷の制御手段を兼備してなる液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置。
【請求項3】
気体吸引手段と液体吸引手段と液体吐出手段が接続された渦流ポンプを具備し、前記気体吸引手段で気体を吸引しつつ、前記液体吸引手段で液体槽の液体を吸引して該液体槽の液体中に微小気泡を発生させる装置であって、
前記渦流ポンプはモータで内蔵インペラを回転するもので、該微小気泡は、少なくともその粒径が30μm以下のマイクロバブルを含み、
前記の渦流ポンプはモータの回転数を変化させる手段、および、かかるモータの回転数の制御指令を出す手段が配備されており、装置の使用状態において、前記のモータの回転数の制御指令を出す手段が、少なくとも1回の強い吸引状態となるような回転数指令を所望の時間だけ継続して出し、それ以外は強くない吸引状態となるような回転数指令を出すことを特徴とする液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3の、強い吸引状態が、渦流ポンプの定格運転時における吸引低圧に対して110%を超える絶対値数値の低圧である、液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかの、液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置にて、
吸引負荷を変化させる手段が、吸引手段を通過する液体流路において、流路断面積を変化させて吸引負荷を変化させるものである、あるいは、
請求項1から請求項4のいずれかの、液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置にて、
吸引負荷を変化させる手段が、吸引手段の端部の開口部面積を変化させるべく吸引手段の端部の開口部を一部閉塞する部材を着脱、ないしは、吸引手段の端部の開口部を一部閉塞する部材をスライド移動させて吸引負荷を変化させるものである、あるいは、
請求項1から請求項4のいずれかの、液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置にて、
液体吸引手段が、ふたつ以上の流路をもつもので、吸引負荷を変化させる手段が、ひとつ以上の流路を閉塞して吸引負荷を変化させるものである液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置。
【請求項6】
請求項5の、吸引手段の流路断面積を変化させて吸引負荷を変化させる手段が、可撓性の部材でなる管状流路の外部に機械的な力を加えて流路断面積を変化させるものである、あるいは、
請求項5の、吸引手段の端部の開口部を一部閉塞する部材を着脱して吸引手段の端部の開口部面積を変化させて吸引負荷を変化させる手段が、メッシュサイズの異なるフィルタを着脱することで開口部面積を変化させるものである、あるいは、
請求項5の、吸引手段の端部の開口部を一部閉塞する部材をスライド移動させて吸引手段の端部の開口部面積を変化させて吸引負荷を変化させる手段が、メッシュサイズの異なるフィルタをスライド移動させて開口部面積を変化させるものである、液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかの、液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置にて、
液体吸引手段の内部液体、または、液体吸引手段の吸引端近傍の液体槽液体、または、渦流ポンプ内部の液体の圧力を検知するセンサーがさらに配備され、かつまた、
かかる圧力を検知するセンサーの検知圧力にもとづいて、吸引負荷の制御手段が、あるいは、
かかる圧力を検知するセンサーの検知圧力にもとづいて、渦流ポンプのモータの回転数制御手段が、強い吸引状態と強くない吸引状態となる指令を選択的に出すことを特徴とした液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれかの、液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置にて、
液体吸引手段の吸引端近傍の液体槽液体の光学的特性を検知するセンサーがさらに配備され、かつまた、
かかる光学的特性を検知するセンサーの検知した光学的物理量にもとづいて、吸引負荷の制御手段が、あるいは、
かかる光学的特性を検知するセンサーの検知した光学的物理量にもとづいて、渦流ポンプのモータの回転数制御手段が、強い吸引状態と強くない吸引状態となる指令を選択的に出すことを特徴とした液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置。
【請求項9】
請求項1から請求項6のいずれかの、液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置にて、
液体吸引手段の吸引端で発せられる音響、または、渦流ポンプ内部から発せられる音響を検知するセンサーがさらに配備され、かつまた、
かかる音響を検知するセンサーの検知した音響の物理量にもとづいて、吸引負荷の制御手段が、あるいは、
かかる音響を検知するセンサーの検知した音響の物理量にもとづいて、渦流ポンプのモータの回転数制御手段が、強い吸引状態と強くない吸引状態となる指令を選択的に出すことを特徴とした液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置。
【請求項10】
請求項1から請求項6のいずれかの、液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置にて、
液体槽の液体温度を検知するセンサーがさらに配備され、かつまた、
かかる温度を検知するセンサーの検知した液体温度にもとづいて、吸引負荷の制御手段が、あるいは、
かかる温度を検知するセンサーの検知した液体温度にもとづいて、渦流ポンプのモータの回転数制御手段が、強い吸引状態と強くない吸引状態となる指令を選択的に出すことを特徴とした液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかの、液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる装置を用いて、液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる方法であって、
装置が液体を吸引する状態が、吸引負荷を変化させる手段、あるいは、渦流ポンプモータの回転数の制御指令を出す手段によって、少なくとも1回の強い吸引状態とする工程を有することで液体中に微小気泡を生成して液体を発熱させる方法。
ここで強い吸引状態とは、渦流ポンプの定格運転時における吸引低圧に対して110%を超える数値の低圧で吸引する状態である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−110435(P2011−110435A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265832(P2009−265832)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(596174329)
【Fターム(参考)】