説明

液体供給システム

コンテナ(14)から製造プロセス(13)へ液体(12)を供給するためのシステム(10)は、外側コンテナ(22)と、液体(12)で満たされたフレキシブルな内側コンテナ(20)と、を備えている。流体流路(40)は、内側コンテナ(20)の内部と製造プロセス(13)との間に、液体の流通状態を形成する。加圧流体源(30)は、外側コンテナ(22)の内壁と、内部コンテナ(20)との間のスペース(31)と流体流通状態にある。この加圧流体源(30)は、流体流路(40)を介して内部コンテナ(20)から製造プロセス(13)へ液体を押し出すために、外側コンテナ(22)の内壁と内側コンテナ(20)との間のスペース(31)に、加圧された流体が流れ込むようにする。圧力センサ(44)は、流体流路(40)における圧力を検出するために配置される。圧力センサ(41)に応答する制御部(50)は、加圧流体源(30)からの圧力を調整することにより、流体流路(40)における圧力を制御する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景技術]
本発明は、液体の供給及び搬送に関する。特に、本発明は、同じ液体源から供給される液体の量及び速度を容易に制御しうる液体供給のためのシステムに関する。
【0002】
ある種の製造プロセスにおいては、酸、溶媒、塩基、フォトレジスト(photoresists)、ドーパント(dopants)、無機溶媒、有機溶媒、生体液(biological solutions)、調合薬、及び、放射性化学薬品のような液状化学品を使用しなければならない。多くの製造プロセスの適用においては、液体コンテナが、液体搬送システムのための処理液源として採用される。通常は、液体コンテナは、最終使用設備から遠く離れた場所にて製造され、満たされる。注入設備にてコンテナが満たされた後、コンテナは、通常、例えば、製造プロセスにおける使用のために、最終使用設備に出荷される。
【0003】
最終使用設備にて、液体コンテナは、直接液体供給システムに組み込まれるか、または、液体コンテナからの液体が、液体搬送システムに接続されたタンクに直接入れられて空にされる。液体供給システムにおいては、所定の時間に製造プロセスに液状化学品を搬送するために、他のコンテナが用いられうる。これらの処理液は、通常専用の供給ポンプにより液体コンテナから供給される。
【0004】
薄型トランジスタ駆動フラットパネルディスプレイの製造においては、多数の高価な化学薬品の供給及び搬送が必要となる。これらの化学薬品は、フォトレジスト、カラーフィルタ材、黒色マトリクス材、等を含んでいる。これらの化学薬品は、通常、スピンコーティング、スリット/押し出しコーティング、または、これら2つを組み合わせたコーティングのために、製造プロセスに供給される。これらの化学薬品を供給するシステムは、同じ化学薬品源にて、様々な化学薬品の量及び様々な供給速度を実現しうるようにフレキシブルでなければならない。この機能を提供できないシステムは、重複的な供給装置を必要とし、それにより、システム全体のコストが増加する。
【0005】
同じ液体源を用いて様々な化学薬品の量及び様々な供給速度を実現しうる最新のシステムは、供給トレインで供給ポンプを採用する。これらのポンプは高価なだけでなく、すり減りによるポンプチェックバルブからの脱落物に加え、ベローズ(bellows)またはダイヤフラムにおける脱落物の形式の汚染物質の原因となることが知られている。いくつかのシステムは、液体が駆動ガス(drive gas)にてコンテナ外部に押し出されるような構成にて高価なポンプ周りの設計を試みた。しかしながら、供給される化学薬品の量及び速度の正確性及びフレキシビリティを維持することが困難であった。さらには、駆動ガスが供給する液体に入り込むことがあり、それにより、液体中における超微粒気泡の形成を引き起こす。蒸着液中の超微粒気泡の存在は、蒸着層、または、それにより生じる蒸着層に不具合を引き起こしうる。
【0006】
同じ液体源から供給された化学薬品の量及び速度を変化させるために従来から用いられている他の方法は、供給トレインにおける流量制御装置の使用を必要とする。このタイプのシステムにおいては、流量(flow rate)は閉ループフィードバック制御を介して制御されており、また、供給量は、液体の供給時間により制御されている。しかしながら、流量制御装置を用いるいくつかの供給システムは、短時間に任意の量の液体を供給しなければならないときの安定性が乏しい。また、流量制御装置は非常に高価であり、それゆえに、供給システム全体のコストが増加する。
【0007】
それゆえに、ポンプを用いることなく、また、同じ液体源から供給される液体の量及び速度を容易に制御することが可能な、低価格の液体供給システムが必要とされている。
[本発明の概要]
本発明は、外側コンテナ及び液体で満たされたフレキシブルな内側コンテナを含むコンテナから製造プロセスへ液体を供給するためのシステムである。このシステムは、内側コンテナの内部と製造プロセスとの間の液体の流通状態(fluid communication)を形成する流体流路を備えている。外側コンテナの内壁と内側コンテナとの間のスペースと流体を流通する加圧流体源が設けられている。この加圧流体源は、流体流路を介して内側コンテナから製造プロセスへ液体を押し出すために、加圧された流体が外側コンテナの内壁と内側コンテナとの間のスペースに流れ込むようにする。圧力センサは、流体流路における圧力を検出するために配置されている。圧力センサに応答する制御部は、加圧流体源からの圧力を調整することにより、流体流路における圧力を制御する。
【0008】
ある実施形態においては、システムは、レシピにて示される液体量が製造プロセスに供給されたとき、製造プロセスへの液体の供給を終了するために、圧力センサの下流に停止弁を備えている。また、製造プロセスへの液体の供給が終了した後に、流体流路の製造プロセス側端部に液体を吸い込むために、サックバック弁を流体流路の製造プロセス側端部の近くに設けてもよい。
[詳細な説明]
図1は、コンテナ14から製造プロセス13に液体12を供給するための本発明の一実施形態による液体供給システム10の概略図である。コンテナ14は、フレキシブルな内側コンテナ20と、剛体の外側コンテナ22と、を備えている。システム10は、さらに加圧ガス供給部30、加圧ガス流路32、圧力レギュレータ34、遮断弁36a及び36b、排気流路37、排気弁38a及び38b、排気ドレン39、流体流路40、フィルタ42、圧力変換器44、停止/サックバック弁46、及び、制御部50を備えている。
【0009】
外側コンテナ22は、注入、搬送、ハンドリング、及び、供給中にフレキシブルな内側コンテナ20(例えば、フレキシブルなポリマーバッグまたはポリマーライナ)により要求される機械的なサポート及び保護を提供する。外側コンテナ22は、通常、金属にて形成されている。しかしながら、コンテナ14に収容された特定の液体のハンドリングのための政府の規制仕様次第で、プラスチック材を含む他の材料も用いられうる。コンテナ14は、例えば、参照することにより本書に組み込まれる1994年8月9日にオスガーにより取得された米国特許5,335,821号に示されたコンテナである。
【0010】
加圧ガス供給部30は、加圧ガス流路32を介して圧縮スペース31(つまり、外側コンテナ22の内壁と、内側コンテナ20の外面との間のスペース)に接続されている。圧力レギュレータ34は、遮断弁36a及び遮断弁36bに供給される圧力を調整するために、加圧ガス流路32に沿って接続されている。一実施形態において、それぞれが経路調整及び微調整遮断弁である遮断弁36a及び36bは、加圧ガス流路32に設けられた加圧ガス供給部30からの圧力を調整するために、加圧ガス流路32に沿って並列に接続されている。複数の弁を用いることで、圧縮スペース31内の空気圧を微調整することができる。2つの遮断弁36a及び36bが示される一方、遮断弁36a及び36bは、加圧ガス供給部30から圧縮スペース31への圧力を調整可能ないかなる装置(例えば、1つの遮断弁)によっても置き換えうることが好ましい。
【0011】
内側コンテナ20の内部は、流体流路40を介して製造プロセス13との間で流体の流通状態となっている。流体流路40には、液体12と製造プロセス13との間に液体の流通を供給するために、通常、コンテナのポートを通して内側コンテナ20に挿入可能なプローブが設けられている。オプションのフィルタ42が、流体流路40を横切って接続された状態で示されている。代わりに、フィルタ42をコンテナ14に組み込んでもよい。圧力変換器44は、フィルタ42の下流に流体流路40に沿って接続されている。停止/サックバック弁46は、製造プロセス13に最も近い流体流路40の端部に接続されている。
【0012】
制御部50(一般的には、マイクロプロセッサを用いた制御部である制御部50)は、遮断弁36a及び36b、排気弁38a及び38b、圧力変換器44、及び、停止/サックバック弁46に接続されている。制御部50は、圧力変換器44から信号を受信し、遮断弁36a及び36b、排気弁38a及び38b、及び、停止/サックバック弁46に信号を供給する。
【0013】
システム10の一実施形態においては、圧力レギュレータ34、遮断弁36a及び36b、排気弁38a及び38b、フィルタ42、圧力変換器44、停止/サックバック弁46、及び、加圧ガス供給部30及び制御部50へのインタフェースが、コンテナ14に取り付け可能な1つのパッケージに設けられている。上述したシステム構成部品を含むこのパッケージは、コンテナ14から製造プロセス13への液体供給を開始するために、単純に、コンテナ14、加圧ガス供給部30、制御部50、及び、電力供給部(図示無し)に接続されうる。製造プロセスへの液体の流量を制御するためのポンプ及び流量制御装置を備えた従来のシステムにおいては、これらの構造部品を1つのパッケージに統合することは容易でないため、このタイプの単純な接続は不可能である。さらには、たとえ、ポンプ及び流量制御装置が容易に1つのパッケージに統合されたとしても、そのようなパッケージを多く備える製品は、高価なポンプ及び流量制御装置により非常に高価となりうる。注目すべきなのは、他の例として、圧力レギュレータ34、遮断弁36a及び36b、フィルタ42、圧力変換器44、停止/サックバック弁46、の何れも、最終使用設備にて、個別に(つまり、1つのパッケージに統合された形でなく)も設けられうることである。
【0014】
処理中に、制御部50は、入力(通常はシステム10のユーザによる入力)として供給レシピを受信する。供給レシピは、製造プロセスに供給される液体量のレシピ、及び、このレシピにて示される液体量が製造プロセスに供給されなければならない供給継続時間を含んでいる。例えば、供給レシピは、1.5秒間に30mLの液体12を製造プロセス13に供給するようにシステム10に指令しうる。他の例として、供給レシピは、12秒間に30mLの液体12を製造プロセス13に供給するようにシステム10に指令しうる。供給レシピは、供給プロセス中に制御部50が考慮すべき液体に関する他の情報(例えば、粘度、密度)、及び、製造プロセスに関する他の情報(例えば、プロセスの環境温度)を含んでいる。制御部50は、次に、コンテナ14と製造プロセス13との間の流体流路を開放するために、停止/サックバック弁46に信号を供給する。遮断弁36a及び36bが閉鎖されている場合には、制御部50は、遮断弁36a及び/または36bを開放するように遮断弁36a及び36bに信号を供給する。これにより、加圧ガスが、加圧ガス供給部30から、加圧ガス流路32を介して圧縮スペース31へ流れる。一実施形態において、加圧ガス供給部30は、略60ポンド毎平方インチと100ポンド毎平方インチの間のゲージ圧を有している。
【0015】
好ましくは、圧縮空気または圧縮窒素である加圧ガスは、流体流路40を介してフィルタ42、圧力変換器44、及び、停止/サックバック弁46に液体12を強制的に通すように、加圧ガス供給部30により圧縮スペース31に供給される。液体12がコンテナ14の内側コンテナ20から供給されるので、空気が圧縮スペース31に入ることが可能となり、それにより、フレキシブルな内側コンテナ20がつぶれる。選択的には、圧縮スペース31に予め設定された一定の圧力を供給するために、追加のガス流路、及び、加圧ガス供給部30と圧縮スペース31との間に接続される圧力レギュレータ(図示無し)が設けられうる。加圧ガス供給部30へのこの追加の接続は、システム10が、圧縮スペース31を要求された圧力により迅速に到達させるようにしうる。注目すべき点は、本実施形態においては、内側コンテナ20が加圧ガスにてつぶされる一方、液体12を流体流路40に押し出すために内側コンテナ20をつぶしうる、油圧または機械ベースの装置を含むいかなる手段も用いられうることである。
【0016】
液体12が流体流路40を通って流れるとき、圧力変換器44は、流体流路40を通って流れる液体12の圧力を検出する。ポアズィユの法則(ハーゲン・ポアズィユの法則としても知られる)によれば、圧力変換器44にて検出される流体流路40における圧力は、流体流路40における流量に比例する。供給の正確性が、フィルタ42の使用やフィルタ42に保持された不純物によるフィルタ制限に影響されないように、流体流路40の圧力は、フィルタ42の下流で検出されることが好ましい。圧力変換器44にて検出された圧力は、制御部50に供給される。制御部50は、それから、圧力変換器44にて検出された圧力と、供給レシピ(つまり、供給時間、製造プロセス13に供給する液体12の量、等)の仕様にて、製造プロセス13へ液体12を供給するために必要とされている圧力とを比較する。必要な場合には、制御部50は、それから、加圧ガス供給部30からの圧力が、圧縮スペース31にて増加または減少するように遮断弁36a及び36bを調整することにより、加圧ガス供給部30から圧縮スペース31への圧力を調整する。
【0017】
圧縮スペース31への圧力が調整された後で、内側コンテナ20に適用される圧力が同様に調整され、それにより、流体流路40を通る流量が変化する。この流量の変化は、圧力変換器44にて検出される流体流路40における対応する圧力変化として測定される。このような、製造プロセス13への液体12の流量の閉ループ制御により、システム10は、供給レシピの仕様により液体を供給できる。さらには、圧縮スペース31への圧力を調整することにより流体流路40を通る液体の流量を変化させることが可能なことにより、同じ液体源で、異なる供給レシピを用いることが可能となる。
【0018】
一実施形態においては、遮断弁36a及び36bは、高速/高サイクル寿命の直流電磁弁である。制御部50が圧力変換器44から信号を受信したとき、制御部50は、供給レシピ、製造プロセス、及び、現在の圧力パラメータに基づいて、遮断弁36a及び36bを制御する駆動信号を生成するために制御アルゴリズムを用いる。一実施形態においては、遮断弁36a及び36bを制御するために用いられる駆動信号は、パルス幅変調信号である。このパルス幅変調の搬送周波数は、電磁弁の応答時間に基づいて選択される。制御部50は、圧力変換器44にて検出された現在の圧力と、供給レシピの流量仕様に見合うために必要な圧力との間の相違に基づく誤り信号を算出する比例フィードバック部品を備えている。この誤り信号は、遮断弁36a及び36bに供給される駆動信号をパルス幅変調するために制御部50により用いられる。これにより、圧縮スペース31に供給される圧力の調整が実現される。他の実施形態においては、制御部50は、圧力変換器44にて経時的な圧力変化率、及び、経時的な圧力信号の変化率のばらつきのそれぞれに関連した誤り信号を供給するために、微分及び積分フィードバック部品を追加的に備えている。これらの誤り信号は、制御部50により、遮断弁36a及び36bを制御する駆動信号を調整するためにも用いられる。
【0019】
供給中、圧縮スペース31が加圧され過ぎることを防止するために、制御部50は必要に応じて排気弁38a及び38bを制御する。一実施形態においては、排気弁38a及び38bは、パルス幅変調信号にて制御部50にて制御される高速/高サイクル寿命の直流電磁弁である。制御部50が、圧力変換器44から信号を受けたとき、制御部50は、圧縮スペース31に圧力がかかり過ぎていないかを判断する。制御部50が、圧縮スペース31に圧力がかかり過ぎていると判断した場合には、制御部50は、圧縮スペース31の圧力を適切なレベルに削減するために、必要に応じて排気弁38a及び38bを開放する。一実施形態においては、排気弁38a及び38bは、それぞれ、圧縮スペース31の空気圧を微調整することを可能とする経路及び微調整遮断弁である。これで、排気流路37を介して圧縮スペース31と排気ドレン39との間に流体流路が設けられ、それにより、圧縮スペース31の圧力が削減される。圧力変換器44は、圧縮スペース31の圧力が削減されるにつれて、流体流路40における圧力に関連した信号を制御部50に継続的に供給する。制御部50が、圧縮スペース31の圧力が適切なレベルに到達したと判断したとき、制御部50は、排気弁38a及び38bを閉鎖する。選択的には、システム10は、開放されたときに、圧縮スペース31の圧力を急速に解放することを容易にするような、排気ドレン39に直接接続された他の排気流路(図示無し)を、さらに備えていてもよい。
【0020】
製造プロセス13へ供給された液体12の量が供給レシピの仕様と一致したとき、システム10は、製造プロセス13への液体12の供給を終了する。制御部50は、内側コンテナ20の内部と製造プロセス13との間の流体接続を終了するために停止/サックバック弁46に信号を送る。停止/サックバック弁46は、次に、停止/サックバック弁46と製造プロセス13との間の全ての液体12を流体流路40に戻すように引き込むか、または、吸引する。このサックバックは、供給レシピの仕様に合致した後で、流体流路40から製造プロセス13に、余分な液体12が滴ったり、たれ落ちることを防止できる。
【0021】
液体供給システムは、本発明の精神と範囲から逸脱することなく、上述したように様々に変更されうる。例えば、ある種の液状化学品(例えば、薄型トランジスタ駆動フラットパネルディスプレイを製造するために用いられるカラーフィルタ薬品)の場合には、液体12の減少を防止するために、内側コンテナ20にてヘッドスペースガスを用いて、搬送及び貯蔵することが好ましいことがある。このヘッドスペースガスは、液体12の製造プロセス13への供給に先立って除去されなければならない。ヘッドスペースガスの除去を実現するために、参照することにより本書に組み込まれる2004年3月13日に、ケイ.オードアティ(K.O‘Dougherty),アール.オーベルグ(R.Oberg),ジェイ.メンニング(J.Menning),ジー.エイデン(G.Eiden)、及び、ディー.グラント(D.Grant)により出願された米国特許出願10/823,127号「ヘッドスペースガスの除去を用いた液体供給方法及びシステム」のようなヘッドスペースガス除去システムがシステム10に組み込まれうる。加えて、コンテナ14は、これについても参照することにより本書に組み込まれる、2003年11月6日に、ダブリュ.ケリー(W.Kelly)及びディー.チルコート(D.Chilcote)により出願された米国特許出願2003/0205285号「超高純度の液体において粒子の生成を最小化するための装置及び方法」に説明された方法やシステムを用いて、内側コンテナのヘッドスペースをゼロにするように満たされうる。さらには、システム10は、1つのコンテナ14から複数の供給点を有しうるように拡張されうる。
【0022】
本発明の液体供給システムは、従来の供給システムを超えるいくつかの有利な点を提供する。例えば、システム10は、供給トレインにおいてポンプを用いないので、液体12に、ポンプの構成部品の劣化により引き起こされる従来のシステムにて生じる汚染物質が生じないようにしうる。加えて、液体12は、液体12を流体流路40を通して押し出す加圧ガスから、内側コンテナ20により遮蔽されている。このことは、供給プロセス中にガスが液体12に入り込むことを防止し、それにより、液体12中に有害な超微粒気泡が形成されることを防止する。加えて、システム10の構成部品は、ポンプや他の流量制御装置と比べて相対的に安価であり、それゆえに、供給システム全体のコストが削減される。さらには、システム10の構成部品は、最終使用設備の製造プロセスに、即座に単純に接続しうる1つの搬送可能なパッケージに容易に統合されうる。
【0023】
要約すれば、同じ液体源を用いて、様々な化学薬品の量及び様々な供給速度を実現しうる現在の供給システムは、供給トレインの中で供給ポンプまたは流量制御装置を採用している。しかしながら、これらの構成部品は高価であり、液体の汚染物質の原因となることが知られており、また、安定性が乏しいことがありうる。本発明の液体供給システムは、これらの、また、従来の液体供給システムの他の欠点の解決に取り組んでいる。液体は、外側コンテナや液体が満たされたフレキシブルな内側コンテナを含むコンテナから製造プロセスへ供給される。このシステムは、内側コンテナの内部と製造プロセスとの間に液体の流通を供給する流体流路を備えている。外側コンテナの内壁と内側コンテナとの間のスペースと流体を流通する加圧流体源が、設けられている。この加圧流体源は、流体流路を介して内側コンテナから製造プロセスへ液体を押し出すために、外側コンテナの内壁と内側コンテナとの間のスペースに、加圧された流体が流れ込むようにする。圧力センサは流体流路における圧力を検出するために配置されている。圧力センサに応答する制御部は、加圧流体源からの圧力を調整することにより、流体流路における圧力を制御する。
【0024】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明されたけれども、本発明の精神と範囲から逸脱することのない、形式上、及び、詳細の変更は、当業者が認識しうる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】製造プロセスに液体を供給するための本発明の一実施形態による液体供給システムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側コンテナ及び内側コンテナを含むコンテナから製造プロセスへ液体を供給するためのシステムであって、
前記内側コンテナは、フレキシブルな材料で製造されていると共に、液体により満たされており、
当該システムは、
前記内側コンテナの内部と前記製造プロセスとの間の流体の流通状態(fluid communication)を形成する流体流路と、
前記流体流路を介して前記内側コンテナから前記製造プロセスに液体を押し出すために、加圧された流体が前記外側コンテナの内壁と前記内側コンテナとの間の圧縮スペースに流れ込むように、圧縮スペースと流体の流通状態とされた加圧流体源と、
圧力を検出するために前記流体流路に配置された圧力センサと、
前記加圧流体源からの圧力を調整することにより、前記流体流路における前記液体の流れを制御するために前記圧力センサに応答する制御部と、
を備えたシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記製造プロセスに供給される液体量のレシピと、前記レシピにて示される液体量が前記製造プロセスへ供給されなければならない供給継続時間と、を含む供給レシピを用いてプログラム制御可能である請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御部は、前記供給レシピに基づいて前記流体流路における前記液体の流れを制御する請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記加圧流体源は、
クリーンドライエア(CDA)源と、
前記CDA源と、前記圧縮スペースとの間に接続され、圧縮スペース内のCDA圧力を調整するために、前記制御部からの信号に応答する流体制御手段と、
を備えた請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記流体制御手段は、遮断弁を備えた請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記遮断弁は、電磁弁を備えた請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御部は、パルス幅変調された駆動信号を前記電磁弁に供給することにより、前記加圧流体源からの圧力を調整する請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記制御部は、前記電磁弁への前記駆動信号の変調に用いられる誤り信号を決定するための比例フィードバック部品を備えており、前記誤り信号は、前記圧力センサにより検出された前記流体流路における圧力に基づく請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御部は、前記電磁弁への前記駆動信号の変調に用いられる誤り信号を決定するための比例積分微分(PID)フィードバック部品を備えており、前記誤り信号は、前記圧力センサにより検出された前記流体流路における圧力に基づく請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記CDA源と前記流体制御手段との間に接続された圧力レギュレータをさらに備えた請求項4に記載のシステム。
【請求項11】
前記圧縮スペースにおける圧力の解放を促進するために、排気ドレンと前記圧縮スペースとの間に接続された排気弁をさらに備えた請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記排気弁は、遮断弁を備えることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記遮断弁は、電磁弁を備えることを特徴とする請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記制御部は、前記電磁弁にパルス幅変調された駆動信号を供給することにより前記加圧流体源からの圧力を調整する請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記加圧流体源と前記圧縮スペースとの間に接続され、前記圧縮スペースの圧力を増加するために前記制御部からの信号に応答する流体制御弁と、
前記排気ドレンと前記圧縮スペースとの間に接続され、前記圧縮スペースの圧力を減少するために前記制御部からの信号に応答する排気弁と、
をさらに備えた請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
レシピにて示された液体量が前記製造プロセスに供給されたときに、前記製造プロセスへの前記液体の供給を終了するために、前記圧力センサの下流に設けられた停止弁をさらに備えた請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
前記製造プロセスへの液体の供給を終了した後に、流体流路の製造プロセス側端部に液体を引き戻すために、前記流体流路の製造プロセス側端部の近傍に接続されたサックバック弁をさらに備えた請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記流体流路を横切って接続されるフィルタをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記流体流路、前記圧力センサ、加圧流体源連結器、及び、制御部連結器が、前記コンテナに結合可能な1つのパッケージにて設けられた請求項1に記載のシステム。
【請求項20】
外側コンテナ及びフレキシブルな内側コンテナを含むコンテナから製造プロセスへ液体を供給する方法であり、
前記フレキシブルな内側コンテナは、前記液体を収容し、
当該方法は、
前記内側コンテナの内部と前記製造プロセスとの間に流体流路を設ける工程と、
前記流体流路を介して前記内側コンテナから前記製造プロセスに液体を供給するために、前記内側コンテナと前記外側コンテナとの間の圧縮スペースに加圧流体を供給する工程と、
前記流体流路における圧力を検出する工程と、
前記加圧流体の圧力を調整することにより、前記流体流路における前記圧力を制御する工程と、
を備えた方法。
【請求項21】
前記加圧流体の圧力を調整する工程は、
加圧流体源と前記圧縮スペースとの間に接続された少なくとも1つの流体制御弁を調整する工程を備えた請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つの流体制御弁を調整する工程は、
前記少なくとも1つの流体制御弁へ、パルス幅変調された駆動信号を供給する工程を備えた請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記製造プロセスへ、レシピに示された液体量が供給されたとき、前記製造プロセスへの前記液体の供給を終了する工程をさらに備えた請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記製造プロセスへの前記液体の供給を終了した後に、流体流路の製造プロセス側端部に液体を引き戻す工程をさらに備えた請求項23に記載の方法。
【請求項25】
液体ハンドリングシステムであって、
外側コンテナ、及び、液体を収容したフレキシブルな内側コンテナを含むコンテナと、
前記コンテナに取り付け可能なコネクタと、
を備え、
前記コネクタは、
前記内側コンテナに挿入可能であり、且つ、内部に流体流路を有するプローブと、
加圧流体源が、前記流体流路を介して前記内部コンテナから液体を押し出すために、前記外側コンテナの内壁と前記内側コンテナとの間の圧縮スペースに加圧された流体を流し込むように、前記外側コンテナの内壁と前記内側コンテナとの間の前記圧縮スペースに流体を流通するように、前記加圧流体源に連結するための加圧流体源連結器と、
前記流体流路における圧力を検出するための圧力センサと、
前記圧力センサに応答し、前記圧力センサからの信号に基づいて、前記加圧流体源からの圧力を調整することにより流体流路中の前記液体の流れを制御する制御部に連結するための制御部連結器と、
を備えた液体ハンドリングシステム。
【請求項26】
前記コネクタは、前記液体の供給を終了するための停止弁をさらに備えた請求項25に記載の液体ハンドリングシステム。
【請求項27】
前記コネクタは、前記液体の供給を終了した後に、前記流体流路に液体を引き戻すためのサックバック弁をさらに備えた請求項25に記載の液体ハンドリングシステム。
【請求項28】
前記コネクタは、前記流体流路を横切るように接続されたフィルタをさらに備えた請求項25に記載の液体ハンドリングシステム。
【請求項29】
前記制御部は、製造プロセスに供給される液体量のレシピ、及び、レシピに示される液体量が製造プロセスに供給されなければならない供給継続時間を含む供給レシピを用いてプログラム制御可能である請求項25に記載の液体ハンドリングシステム。
【請求項30】
前記制御部は、前記供給レシピに基づいて前記流体流路における圧力を制御する請求項29に記載の液体ハンドリングシステム。

【図1】
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【公表番号】特表2008−521087(P2008−521087A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−541193(P2007−541193)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/036841
【国際公開番号】WO2006/055132
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(599006351)アドバンスド テクノロジー マテリアルズ,インコーポレイテッド (141)
【Fターム(参考)】