液体噴射ヘッドのメンテナンス方法、メンテナンス機構及び記録装置
【課題】 所定のクリーニング処理中に不意な電源遮断が生じたとしても、その後に、噴射不良などの不具合なく、高品質な吐出処理を可能とする液体噴射ヘッドのメンテナンス方法、メンテナンス機構及び記録装置を提供する。
【解決手段】 インクを吸引する本吸引処理を伴う定期クリーニング処理開始以降定期クリーニング処理終了までクリーニング動作中フラグをセットするとともに、定期クリーニング処理開始以降定期クリーニング処理における本吸引処理終了まで本吸引未完了フラグをセットしておき、電源投入時にて、クリーニング動作中フラグ及び本吸引未完了フラグがセットされている場合に、本吸引処理を伴うクリーニング処理を行い、クリーニング動作中フラグだけがセットされている場合に、本吸引処理よりも少量の液体を吸引する吸引処理を伴うクリーニング処理を行う。
【解決手段】 インクを吸引する本吸引処理を伴う定期クリーニング処理開始以降定期クリーニング処理終了までクリーニング動作中フラグをセットするとともに、定期クリーニング処理開始以降定期クリーニング処理における本吸引処理終了まで本吸引未完了フラグをセットしておき、電源投入時にて、クリーニング動作中フラグ及び本吸引未完了フラグがセットされている場合に、本吸引処理を伴うクリーニング処理を行い、クリーニング動作中フラグだけがセットされている場合に、本吸引処理よりも少量の液体を吸引する吸引処理を伴うクリーニング処理を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタなどに用いられる液体噴射ヘッドをクリーニングするメンテナンス方法、メンテナンス機構及び記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、インクジェットプリンタは、往復移動可能なキャリッジに装填されたインクジェットヘッドが複数のノズルからインク液滴を所望の位置に噴射することによって印刷を行うように構成されている。
ところで、インクジェットヘッドのノズル形成面には、印刷の際にインクやごみ等の異物が付着することがあるため、また適宜メンテナンスのため、インクジェットヘッドを印刷領域外でクリーニングする必要がある。
【0003】
そこで、インクジェットヘッドによる印刷領域から外れたメンテナンス領域にインクジェットヘッドの保守動作を行うヘッドメンテナンス機構を配置し、このヘッドメンテナンス機構によって、インクジェットヘッドのノズル形成面にヘッドキャップを密着させて増粘状態のインクを吸引する吸引クリーニング、インクジェットヘッドのノズル形成面の汚れを払拭するワイピング、インクノズルの詰まりを防止するためにヘッドキャップをノズル形成面に密着させるキャッピング、インクジェットヘッドのインクノズルでのインクのメニスカスを形成するために、印刷開始前あるいは定期的にインクジェットヘッドのインクノズルからインクをヘッドキャップ内に吐出するフラッシングなどを行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
また、クリーニング処理中に不意な電源遮断があっても、電源投入時における初期化動作を適切に行う技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−95818号公報
【特許文献2】特開2000−168096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなメンテナンス機構では、所定の経過時間毎に吸引クリーニングを実行する定期クリーニング処理を行うが、この定期クリーニング処理中に、例えば、電源プラグが抜かれるなどにより、不意な電源遮断が発生した場合、特許文献2の技術では、電源投入時における初期化動作を適切に行うことができるものの、インクノズルからのインクの適切な吸引が行われない状態となる。
このため、定期クリーニング処理の実行中であることを示すフラグをセットし、次回の電源投入時に、吸引によるインクの無駄を抑えつつノズルのメニスカスを整えるために、最低限の吸引量のクリーニング処理を行うこととしているが、本来の定期クリーニング処理と異なる場合、インクの吸引が不十分となり、ドット抜けなどの不具合を生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、所定のクリーニング処理中に不意な電源遮断が生じたとしても、その後に、噴射不良などの不具合なく、高品質な吐出処理を可能とする液体噴射ヘッドのメンテナンス方法、メンテナンス機構及び記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射ヘッドのメンテナンス方法は、液体噴射ヘッドのノズル形成面にヘッドキャップを密着させて前記液体噴射ヘッドのノズルから液体を吸引するクリーニング処理を行う液体噴射ヘッドのメンテナンス方法であって、電源投入時に、電源遮断時におけるクリーニング処理の中断の有無及び中断されたクリーニング処理の種別を割り出し、クリーニング処理の中断があった場合にその中断された種類のクリーニング処理を実行することを特徴とする。
【0007】
この液体噴射ヘッドのメンテナンス方法によれば、クリーニング処理中に、例えば、電源プラグが抜かれるなどにより、不意な電源遮断が発生したとしても、電源投入時に、電源遮断時におけるクリーニング処理の中断の有無及び中断されたクリーニング処理の種別を割り出し、クリーニング処理の中断があった場合にその中断された種類のクリーニング処理を実行する。そのため、必要であったクリーニング処理を適切に実行し、ドット抜けなどの不具合をなくすことができる。
【0008】
また、液体を吸引する本吸引処理を伴うクリーニング処理開始以降クリーニング処理終了までクリーニング動作中フラグをセットするとともに、クリーニング処理開始以降クリーニング処理における本吸引処理終了まで本吸引未完了フラグをセットしておき、電源投入時にて、クリーニング動作中フラグ及び本吸引未完了フラグがセットされている場合に、本吸引処理を伴うクリーニング処理を行い、クリーニング動作中フラグがセットされ、本吸引未完了フラグがセットされていない場合に、本吸引処理よりも少量の液体を吸引する吸引処理を伴うクリーニング処理を行うのが好ましい。
【0009】
この方法によれば、電源投入時にて、クリーニング動作中フラグ及び本吸引未完了フラグがセットされている場合に、本吸引処理を伴うクリーニング処理を行い、クリーニング動作中フラグがセットされている場合に、本吸引処理よりも少量の液体を吸引する吸引処理を伴うクリーニング処理を行う。そのため、適切なクリーニング処理を行って、ドット抜けなどの不具合をなくすことができる。
【0010】
また、本発明の液体噴射ヘッドのメンテナンス機構は、液体噴射ヘッドのノズル形成面にヘッドキャップを密着させて前記液体噴射ヘッドのノズルから液体を吸引するクリーニング処理を行う液体噴射ヘッドのメンテナンス機構であって、クリーニング処理の中断の有無及び中断されたクリーニング処理の種別を記憶する記憶手段と、電源投入時に、前記記憶手段の情報に基づいて、クリーニング処理の中断の有無及び中断されたクリーニング処理の種別を割り出し、クリーニング処理の中断があった場合にその中断された種類のクリーニング処理を実行させる制御手段とを有することを特徴とする。
【0011】
この構成の液体噴射ヘッドのメンテナンス機構によれば、クリーニング処理中に、例えば、電源プラグが抜かれるなどにより、不意な電源遮断が発生したとしても、電源投入時に、記憶手段の情報に基づいて制御手段が、電源遮断時におけるクリーニング処理の中断の有無及び中断されたクリーニング処理の種別を割り出し、クリーニング処理の中断があった場合にその中断された種類のクリーニング処理を実行するので、無駄に液体を吸引することなく、必要であったクリーニング処理を適切に実行し、ドット抜けなどの不具合をなくすことができる。
【0012】
また、液体を吸引する本吸引処理を伴うクリーニング処理開始以降クリーニング処理終了までクリーニング動作中フラグをセットして記憶手段に記憶させるとともに、クリーニング処理開始以降クリーニング処理における本吸引処理終了まで本吸引未完了フラグをセットして記憶手段に記憶させておき、電源投入時にて、前記制御手段は、前記記憶手段の情報に基づいて、クリーニング動作中フラグ及び本吸引未完了フラグがセットされていると判断した場合に、本吸引処理を伴うクリーニング処理を行い、クリーニング動作中フラグだけがセットされていると判断した場合に、本吸引処理よりも少量の液体を吸引する吸引処理を伴うクリーニング処理を行うのが好ましい。
【0013】
この構成によれば、電源投入時にて、記憶手段の情報に基づいて制御手段が、クリーニング動作中フラグ及び本吸引未完了フラグがセットされていると判断した場合に、本吸引処理を伴うクリーニング処理を行い、クリーニング動作中フラグだけがセットされていると判断した場合に、本吸引処理よりも少量の液体を吸引する吸引処理を伴うクリーニング処理を行うので、無駄に液体を吸引することなく、適切なクリーニング処理を行って、ドット抜けなどの不具合をなくすことができる。
【0014】
さらに、本発明の記録装置は、液体噴射ヘッドからインクを噴射させることにより、被印刷物に対して印刷を施す記録装置であって、上記液体噴射ヘッドのメンテナンス機構を備えたことを特徴とする。
【0015】
この構成の記録装置によれば、クリーニング処理の未実行によるドット抜けなどの不具合なく、液体噴射ヘッドによる高品質な吐出処理が可能であるので、高品質にて印刷処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態に係る液体噴射ヘッドのメンテナンス方法、ヘッドメンテナンス機構及び記録装置を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの外観斜視図、図2は図1に示したインクジェットプリンタからプリンタケースを取り外した状態の斜視図、図3は図2に示したヘッドメンテナンス機構の全体斜視図、図4は図2に示したヘッドメンテナンス機構の分解斜視図、図5及び図6は図2に示したヘッドメンテナンス機構の要部斜視図である。
【0017】
本実施形態のインクジェットプリンタ(記録装置)1は、複数種のカラーインク液を使用してロール紙にカラー印刷するものであり、図1に示すように、プリンタ本体を覆うプリンタケース2の前面には、ロール紙カバー5及びインクカートリッジカバー7が開閉自在に装備されている。更に、プリンタケース2の前面には、電源スイッチ3と共にフィードスイッチやインジケータ等も配置されている。
【0018】
ロール紙カバー5を開くと、印刷用紙であるロール紙11を収容した用紙収容部13が開放状態になって、用紙の交換が可能になる。
また、インクカートリッジカバー7を開くと、カートリッジ装着部15が開放状態になり、このカートリッジ装着部15へのインクカートリッジ17の着脱が可能になる。
【0019】
インクカートリッジ17は、カートリッジケース内に複数個のカラーインクパックを収容したものである。本実施形態のインクジェットプリンタ1の場合は、インクカートリッジカバー7を開く動作に連動して、カートリッジ装着部15の前方にインクカートリッジ17が所定距離だけ引き出される構成になっている。
【0020】
インクカートリッジ17内の各インクパックは、インクカートリッジ17をカートリッジ装着部15に装着した際に、カートリッジ装着部15側に装備されたインク供給針がインクパックのインク供給口に差込接続される。カートリッジ装着部15のインク供給針には、プリンタケース2内に固定されたインク流路31が接続され、このインク流路31には、可撓性のインク供給チューブ33の一端が接続されている。
インク供給チューブ33の他端は、キャリッジ23上に装備されたダンパユニット34に接続されている。このダンパユニット34は、インクジェット記録ヘッド21に接続された背圧調整ユニット35に接続されている。
【0021】
プリンタケース2内の用紙収容部13の上方には、図2に示すように、インクジェットヘッド21を搭載したキャリッジ23が装備される。キャリッジ23は、ロール紙11の幅方向に沿って延在するガイド部材25によって用紙幅方向に移動自在に支持されると共に、ロール紙11の幅方向に延在する無端ベルト26aとこの無端ベルト26aを駆動するキャリッジモータ26bとによって、印刷領域であるプラテン28の上方をロール紙11の幅方向に往復移動可能になっている。
【0022】
図示のように、印刷領域から外れたカートリッジ装着部15の上方が、往復移動するキャリッジ23の待機位置(メンテナンス領域)となっている。そして、この待機位置の下方には、キャリッジ23の下面に露出するインクジェットヘッド21の保守動作を行うヘッドメンテナンス機構40が配置されている。
【0023】
本実施形態のヘッドメンテナンス機構40は、図3〜図6に示すように、インクジェットヘッド21のノズル形成面21aを封止するためのヘッドキャップ機構60と、このノズル形成面21aを払拭するためのワイパ機構50と、後述する捕捉部材24に付着している付着物を吸収する吸収部材100と、ヘッドキャップ機構60から残留インクを吸引するためのインク吸引機構70とを備えている。
【0024】
吸収部材100は、図6に示すように、ヘッドキャップ機構60におけるヘッドキャップ63の側方に設けられ、このヘッドキャップ機構60と伴にキャッピング位置に移動して上端縁101aが捕捉部材24に接触する略矩形板状の第1の吸収部材101と、ヘッドキャップ機構60の下方に設けられ、このヘッドキャップ機構60と伴にキャッピング位置から退避する退避位置に移動した第1の吸収部材101の当接部101bに接触可能な第2の吸収部材102と、を備えている。
【0025】
また、これらヘッドキャップ機構60、ワイパ機構50、第1の吸収部材101及びインク吸引機構70は、動力伝達機構80を介してポンプモータ81により駆動される。これらの各部分は、プリンタ本体に着脱可能なハウジング41に取り付けられている。
【0026】
図4に示すように、ワイパ機構50及びヘッドキャップ機構60と第1の吸収部材101は、キャリッジ23の往復動方向(図4中左右方向)に併設されており、インク吸引機構70は、ヘッドキャップ機構60のプリンタ後方側(図4中手前側)に併設されている。
そして、ヘッドキャップ機構60とワイパ機構50と第1の吸収部材101とインク吸引機構70とが連動可能なように動力伝達機構80が配設されている。
【0027】
即ち、動力伝達機構80は、複数の歯車からなる歯車列で構成され、ポンプモータ81からの駆動力によりヘッドキャップ機構60及び第1の吸収部材101とワイパ機構50をインクジェットヘッド21の往復動方向に対して直交する方向(図4中上下方向)に進退動させると共に、インク吸引機構70を動作させるように構成されている。
【0028】
インク吸引機構70は、チューブ72の一端がヘッドキャップ機構60と接続され、他端がインクカートリッジ17の廃インク導入部に接続されたチューブポンプであり、このインク吸引機構70が駆動されると、ヘッドキャップ機構60を介してインクジェットヘッド21のノズルからインクを吸引し、インクカートリッジ17の廃インク貯留室に排出される。
【0029】
動力伝達機構80を構成する歯車列の最終段(ワイパ50及びヘッドキャップ60側)には、円筒カム82が接続されている。
円筒カム82は、ハウジング41に垂設された支軸43に、下部カムホイール83及び上部カムホイール84と、間欠歯車85と、摩擦歯車86とを嵌装することにより構成されている。
【0030】
下部カムホイール83及び上部カムホイール84は、組み合わせ結合してなる外周面に、ワイパ機構50をスライドさせる為のカム溝と、ヘッドキャップ機構60をスライドさせる為のカム溝とが、それぞれ位相をずらして形成されている。
下部カムホイール83の底面には、ハウジング41の底面に形成された所定長さの円弧溝に係合する係合突起が突設されており、この下部カムホイールを有限回転させる。
上部カムホイール84の上面には、間欠歯車85に形成された所定長さの円弧溝に係合する係合突起が突設されており、この上部カムホイール84を間欠歯車85に追従回転させる。
間欠歯車85の上方には、この間欠歯車85の上面に摩擦係合する摩擦歯車86が配置されており、この摩擦歯車86はコイルばね88により間欠歯車85側へ押圧付勢されている。
【0031】
ヘッドキャップ機構60のスライダ64には、円筒カム82のカム溝と係合するカムフォロア66が設けられ、ワイパ機構50のスライダ52には、円筒カム82のカム溝と係合するカムフォロア54が設けられている。
これにより、円筒カム82が回転することに伴い、ヘッドキャップ機構60のスライダ64とワイパ機構50のスライダ52は、それぞれ対応するカム溝に従ってスライドするようになっている。
【0032】
ヘッドキャップ機構60は、図3〜6に示すように、スライダ64と、キャップホルダ62に固定されたヘッドキャップ63とを備えている。スライダ64は、ケース状に形成されたもので、ガイド部材25と直交する方向、すなわち、インクジェットヘッド21のノズル形成面21aに対して接近又は離間する方向にスライドするように、嵌挿部65がハウジング41に垂設されたガイド軸42に支持されている。
【0033】
スライダ64の上端凹部には、先端部分にヘッドキャップ63が固定されたキャップホルダ62がスライダ64に対し進退移動できるように保持されている。このヘッドキャップ63は、インクジェットヘッド21のノズル形成面を封止可能な大きさの開口を有する箱型状のゴムで形成されたもので、その開口部分には、多層構造のインク吸収体が取付けられている。
【0034】
ワイパ機構50は、図3〜6に示すように、スライダ52と、ワイパ51とを備えている。スライダ52は、箱型状に形成されたもので、ヘッドキャップ機構60のスライダ64と同じ方向にスライドするように、スライド部53がハウジング41に設けられたガイド部44に支持案内されている。スライダ52の先端部分には、弾性材であるゴム製の板材からなるワイパ51が埋め込まれている。
【0035】
そして、スライダ52は、最もワイパ51がメンテナンス機構40の内側に引っ込んだ位置(退避位置)と、ワイパ51によってノズル形成面21aの汚れを払拭する処理を行うためのワイピング位置との間を移動できるようになっている。図7に示すように、ワイピング位置は、ワイパ51の先端がノズル形成面21aからはみ出し量s分インクジェットヘッド21側に移動した位置であり、インクジェットヘッド21のノズル形成面21aに対し接触して擦れるようになっている。これにより、ワイパ51はノズル形成面21aに付着しているインク等の異物を払拭することができる。尚、インクの種類によっては、ワイパ51を軟質のプラスチック等により形成しても良い。
【0036】
更に、図8に示すように、インクジェットヘッド21のノズル形成面21aよりもメンテナンス領域側(図8中右側)には、インクジェットヘッド21が印刷領域側に移動する際にワイパ機構50のワイパ51に対して接触し、このワイパ51に付着している付着物を掻き取る捕捉部材24が設けられている。
【0037】
この捕捉部材24は、薄板状に形成されたものであり、先端部分にはワイパ51のヘッドキャップ機構60側の側面に当接可能な掻取部24aが突設されている。また、捕捉部材24の先端は、インクジェットヘッド21のノズル形成面21aよりも若干後退した位置に配置されている。これにより、捕捉部材24は、キャリッジ23が印刷領域を移動する場合に、プラテン28上にあるロール紙11に接触しないようになっている。
【0038】
図13に示すように、インクジェットプリンタ1及びヘッドメンテナンス機構40を制御する制御部100には、内蔵されたタイマ101及び揮発性メモリなどからなる記憶部102が接続されている。そして、制御部100は、タイマ101からの信号に基づいてヘッドメンテナンス機構40によるクリーニング処理のタイミングを判断し、また、後述する各フラグやクリーニング処理の種別を記憶部102に記憶させる。
【0039】
そして、上記インクジェットプリンタ1では、ヘッドメンテナンス機構40によってインクジェットヘッド21のクリーニング処理が行われる。なお、このクリーニング処理は、予め設定された所定のタイミングにて定期的に行われる定期クリーニング処理及びユーザの操作によって行われるユーザクリーニング処理があり、これらクリーニング処理では、インクジェットヘッド21のノズル形成面21aにヘッドキャップ63を密着させてインク吸引機構70によって内部を吸引してインクジェットヘッド21のインクノズルからインクを吸引する。
【0040】
ここで、定期クリーニング処理は、最後のクリーニング処理からの経過時間、電源遮断後の経過時間、累積印刷時間、休止時間を元にして定められたタイムテーブルに基づいたタイミングによって行われる処理で、インクノズル内の増粘状態のインクや流路内にて成長した気泡を排出する。このため、定期クリーニング処理は、ユーザクリーニング処理と比較してインクノズルからのインクの吸引量が多い強力なものとされている。なお、定期クリーニング処理にも、通常に行われる処理より強力な処理があり、数回おきに、このさらに強力な定期クリーニング処理が行われる。
【0041】
また、上記ヘッドメンテナンス機構40を備えたインクジェットプリンタ1では、インクジェットヘッド21のインクノズルでのインクのメニスカスを形成するために、印刷開始前あるいは定期的にインクジェットヘッド21のインクノズルから所定量のインクをヘッドキャップ63内に吐出するフラッシング、インクジェットヘッド21のノズル形成面21aの汚れをワイパ51によって払拭するワイピング、インクノズルの詰まりを防止するために印刷休止後にてインクジェットヘッド21のノズル形成面21aにヘッドキャップ63を密着させて保護するキャッピングも行われる。
【0042】
次に、制御部100による定期クリーニング処理の制御について説明する。
図14は制御部による定期クリーニング処理の制御の流れを説明するフローチャート、図15は制御部による本吸引処理の制御の流れを説明するフローチャートである。
タイマ101からの信号に基づいてヘッドメンテナンス機構40による定期クリーニング処理が開始されると、まず、キャリッジ23のロックが解除され(ステップS1)、さらに、初期加圧が行われる(ステップS2)。
【0043】
また、クリーニング動作中であることを示すクリーニング動作中フラグがセットされるとともに、このクリーニング処理における後述の本吸引動作が未完了であることを示す本吸引未完了フラグがセットされ、これらクリーニング動作中フラグ及び本吸引未完了フラグとともに、定期クリーニング処理であることを示すクリーニング処理の種別が記憶部102に記憶される(ステップS3)。
【0044】
次に、本吸引処理が行われる(ステップS4)。
図15に示すように、この本吸引処理では、まず、インクジェットヘッド21がメンテナンス領域に移動し、ヘッドキャップ63の真上にインクジェットヘッド21が配置され、次いで、ヘッドキャップ63が上昇し、このヘッドキャップ63がインクジェットヘット21のノズル形成面21aに密着し、このノズル形成面21aが密閉される(ステップS11)。
次いで、インク吸引機構70によってヘッドキャップ63内が吸引され、インクジェットヘッド21のインクノズルからインクが吸引される(ステップS12)。
【0045】
次に、記憶部102に記憶させた本吸引未完了フラグをリセットする(ステップS13)。
その後、ヘッドキャップ63内の負圧を解除し(ステップS14)、ヘッドキャップ63内に溜まった廃インクの排出処理である空吸引を行う(ステップS15)。
【0046】
上記の本吸引処理(ステップS4)が終了したら、図14に示すようにインクジェットヘッド21のインクノズルに残留した気泡をさらに確実に除去すべく、本吸引処理よりも微量のインクをインクノズルから吸引する微量吸引処理が行われる(ステップS5)。
この微量吸引処理の場合も、ヘッドキャップ63をインクジェットヘッド21のノズル形成面21aに密着させた状態にて、インク吸引機構70によってヘッドキャップ63内を吸引することにより、インクジェットヘッド21のインクノズルからインクを吸引する。
【0047】
上記の微量吸引処理が終了したら、空吸引処理を行う(ステップS6)。具体的には、ヘッドキャップ63をインクジェットヘッド21から離間させた状態にて、インク吸引機構70によってヘッドキャップ63内を吸引し、ヘッドキャップ63内に貯留した廃インクを排出する。
【0048】
次に、記憶部102に記憶させたクリーニング動作中フラグをリセットする(ステップS7)。
その後、インクジェットヘッド21のインクノズルでのインクのメニスカスを形成するために、インクジェットヘッド21のインクノズルから所定量のインクをヘッドキャップ63内に吐出するフラッシング処理を行う(ステップS8)。
【0049】
次に、電源投入時における動作について説明する。
図16は電源投入時における制御部での制御の流れを説明するフローチャートである。
電源がONされると、まず、インクカートリッジ17におけるインクの残量から、各種のクリーニング時に必要となるインク量があることを確認し(ステップS21)、次いで、クリーニング処理の要否の判定をするためのクリーニング中動作フラグがセットされているかを記憶部102の情報から割り出す(ステップS22)。
【0050】
その結果、クリーニング中動作フラグがセットされている場合は、クリーニング処理が必要であると判定し、クリーニング中動作フラグがリセットされている場合は、クリーニング処理が不要であると判定する(ステップS23)。
ここで、例えば、定期クリーニング処理中にて、クリーニング動作フラグのリセット(ステップS7)前に、例えば、電源プラグが抜かれるなどにより、不意な電源遮断が発生した場合、定期クリーニング処理が適切に終了せずに中断したこととなる。したがって、このような場合は、改めてクリーニング処理が必要であると判定する。
【0051】
クリーニング処理が不要であると判定した場合は(ステップS23)、キャリッジ23をロックし(ステップS24)、電源投入時の処理を終了する。
クリーニング処理が必要であると判定した場合は(ステップS23)、記憶部102の情報に基づいて、本吸引未完了フラグがセットされているかを判定する(ステップS25)。
【0052】
ここで、例えば、定期クリーニング処理の本吸引処理中の空吸引処理にて、本吸引未完了フラグのリセット(ステップS13)前に、例えば、電源プラグが抜かれるなどにより、不意な電源遮断が発生した場合、本吸引処理が適切に終了せずに中断したこととなる。したがって、このような場合は、実行するクリーニング処理の種別を、本吸引処理を含む吸引量の大きな定期クリーニング処理と判定する。なお、本吸引未完了フラグがリセットされている場合は、定期クリーニング処理にて本吸引まで行われていることとなるので、このような場合は、実行するクリーニング処理の種別を、本吸引処理を含まない吸引量の少ない通常のクリーニング処理と判定する。
【0053】
その後、判定した種別のクリーニング処理を実行し(ステップS26)、電源投入時の処理を終了する。
具体的には、クリーニング種別が定期クリーニング処理と判定した場合は、本吸引処理を含む定期クリーニング処理(ステップS1〜S8)と同等のクリーニング処理を実行し、クリーニング種別が通常のクリーニング処理と判定した場合は、本吸引を含まない弱いクリーニング処理を実行する。
【0054】
以上、説明したように、上記実施形態によれば、定期クリーニング処理中に、例えば、電源プラグが抜かれるなどにより、不意な電源遮断が発生したとしても、電源投入時に、電源遮断時におけるクリーニング処理の中断の有無及び中断されたクリーニング処理の種別を割り出し、クリーニング処理の中断があった場合にその中断された種類のクリーニング処理を実行するので、本吸引処理などの必要であったクリーニング処理を適切に実行し、ドット抜けなどの吐出不良の不具合をなくすことができる。
【0055】
具体的には、電源投入時にて、クリーニング動作中フラグ及び本吸引未完了フラグがセットされている場合に、本吸引処理を伴うクリーニング処理を行い、クリーニング動作中フラグだけがセットされている場合に、本吸引処理よりも少量のインクを吸引する吸引処理を伴うクリーニング処理を行うことにより、適切にクリーニング処理を行うことができる。
そして、このヘッドメンテナンス機構40を備えたインクジェットプリンタ1によれば、クリーニング処理の未実行によるドット抜けなどの不具合なく、インクジェットヘッド21による高品質な吐出処理が可能であるので、高品質にて印刷処理を行うことができる。
【0056】
なお、上記実施形態では、用紙にインクを噴射して印刷を施す場合を例にとって説明したが、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などのメディア(情報記録媒体)のレーベル面に印刷を施すレーベルプリンタにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの外観斜視図である。
【図2】インクジェットプリンタからプリンタケースを取り外した状態の斜視図である。
【図3】ヘッドメンテナンス機構の全体斜視図である。
【図4】ヘッドメンテナンス機構の分解斜視図である。
【図5】ヘッドメンテナンス機構の要部斜視図である。
【図6】ヘッドメンテナンス機構の要部斜視図である。
【図7】ヘッドメンテナンス機構の動作を説明する要部正面図である。
【図8】ヘッドメンテナンス機構の動作を説明する要部正面図である。
【図9】ヘッドメンテナンス機構の動作を説明する要部正面図である。
【図10】ヘッドメンテナンス機構の動作を説明する要部斜視図である。
【図11】ヘッドメンテナンス機構の動作を説明する要部斜視図である。
【図12】ヘッドメンテナンス機構の動作を説明する要部斜視図である。
【図13】インクジェットプリンタの制御系の概略を説明する概略ブロック図である。
【図14】制御部による定期クリーニング処理の制御の流れを説明するフローチャートである。
【図15】制御部による本吸引処理の制御の流れを説明するフローチャートである。
【図16】電源投入時における制御部での制御の流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1…インクジェットプリンタ(記録装置)、11…ロール紙(被印刷物)、21…インクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)、21a…ノズル形成面、40…ヘッドメンテナンス機構、63…ヘッドキャップ、100…制御部(制御手段)、102…記憶部(記憶手段)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタなどに用いられる液体噴射ヘッドをクリーニングするメンテナンス方法、メンテナンス機構及び記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、インクジェットプリンタは、往復移動可能なキャリッジに装填されたインクジェットヘッドが複数のノズルからインク液滴を所望の位置に噴射することによって印刷を行うように構成されている。
ところで、インクジェットヘッドのノズル形成面には、印刷の際にインクやごみ等の異物が付着することがあるため、また適宜メンテナンスのため、インクジェットヘッドを印刷領域外でクリーニングする必要がある。
【0003】
そこで、インクジェットヘッドによる印刷領域から外れたメンテナンス領域にインクジェットヘッドの保守動作を行うヘッドメンテナンス機構を配置し、このヘッドメンテナンス機構によって、インクジェットヘッドのノズル形成面にヘッドキャップを密着させて増粘状態のインクを吸引する吸引クリーニング、インクジェットヘッドのノズル形成面の汚れを払拭するワイピング、インクノズルの詰まりを防止するためにヘッドキャップをノズル形成面に密着させるキャッピング、インクジェットヘッドのインクノズルでのインクのメニスカスを形成するために、印刷開始前あるいは定期的にインクジェットヘッドのインクノズルからインクをヘッドキャップ内に吐出するフラッシングなどを行うようにしている(例えば、特許文献1参照)。
また、クリーニング処理中に不意な電源遮断があっても、電源投入時における初期化動作を適切に行う技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−95818号公報
【特許文献2】特開2000−168096号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなメンテナンス機構では、所定の経過時間毎に吸引クリーニングを実行する定期クリーニング処理を行うが、この定期クリーニング処理中に、例えば、電源プラグが抜かれるなどにより、不意な電源遮断が発生した場合、特許文献2の技術では、電源投入時における初期化動作を適切に行うことができるものの、インクノズルからのインクの適切な吸引が行われない状態となる。
このため、定期クリーニング処理の実行中であることを示すフラグをセットし、次回の電源投入時に、吸引によるインクの無駄を抑えつつノズルのメニスカスを整えるために、最低限の吸引量のクリーニング処理を行うこととしているが、本来の定期クリーニング処理と異なる場合、インクの吸引が不十分となり、ドット抜けなどの不具合を生じるおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、所定のクリーニング処理中に不意な電源遮断が生じたとしても、その後に、噴射不良などの不具合なく、高品質な吐出処理を可能とする液体噴射ヘッドのメンテナンス方法、メンテナンス機構及び記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射ヘッドのメンテナンス方法は、液体噴射ヘッドのノズル形成面にヘッドキャップを密着させて前記液体噴射ヘッドのノズルから液体を吸引するクリーニング処理を行う液体噴射ヘッドのメンテナンス方法であって、電源投入時に、電源遮断時におけるクリーニング処理の中断の有無及び中断されたクリーニング処理の種別を割り出し、クリーニング処理の中断があった場合にその中断された種類のクリーニング処理を実行することを特徴とする。
【0007】
この液体噴射ヘッドのメンテナンス方法によれば、クリーニング処理中に、例えば、電源プラグが抜かれるなどにより、不意な電源遮断が発生したとしても、電源投入時に、電源遮断時におけるクリーニング処理の中断の有無及び中断されたクリーニング処理の種別を割り出し、クリーニング処理の中断があった場合にその中断された種類のクリーニング処理を実行する。そのため、必要であったクリーニング処理を適切に実行し、ドット抜けなどの不具合をなくすことができる。
【0008】
また、液体を吸引する本吸引処理を伴うクリーニング処理開始以降クリーニング処理終了までクリーニング動作中フラグをセットするとともに、クリーニング処理開始以降クリーニング処理における本吸引処理終了まで本吸引未完了フラグをセットしておき、電源投入時にて、クリーニング動作中フラグ及び本吸引未完了フラグがセットされている場合に、本吸引処理を伴うクリーニング処理を行い、クリーニング動作中フラグがセットされ、本吸引未完了フラグがセットされていない場合に、本吸引処理よりも少量の液体を吸引する吸引処理を伴うクリーニング処理を行うのが好ましい。
【0009】
この方法によれば、電源投入時にて、クリーニング動作中フラグ及び本吸引未完了フラグがセットされている場合に、本吸引処理を伴うクリーニング処理を行い、クリーニング動作中フラグがセットされている場合に、本吸引処理よりも少量の液体を吸引する吸引処理を伴うクリーニング処理を行う。そのため、適切なクリーニング処理を行って、ドット抜けなどの不具合をなくすことができる。
【0010】
また、本発明の液体噴射ヘッドのメンテナンス機構は、液体噴射ヘッドのノズル形成面にヘッドキャップを密着させて前記液体噴射ヘッドのノズルから液体を吸引するクリーニング処理を行う液体噴射ヘッドのメンテナンス機構であって、クリーニング処理の中断の有無及び中断されたクリーニング処理の種別を記憶する記憶手段と、電源投入時に、前記記憶手段の情報に基づいて、クリーニング処理の中断の有無及び中断されたクリーニング処理の種別を割り出し、クリーニング処理の中断があった場合にその中断された種類のクリーニング処理を実行させる制御手段とを有することを特徴とする。
【0011】
この構成の液体噴射ヘッドのメンテナンス機構によれば、クリーニング処理中に、例えば、電源プラグが抜かれるなどにより、不意な電源遮断が発生したとしても、電源投入時に、記憶手段の情報に基づいて制御手段が、電源遮断時におけるクリーニング処理の中断の有無及び中断されたクリーニング処理の種別を割り出し、クリーニング処理の中断があった場合にその中断された種類のクリーニング処理を実行するので、無駄に液体を吸引することなく、必要であったクリーニング処理を適切に実行し、ドット抜けなどの不具合をなくすことができる。
【0012】
また、液体を吸引する本吸引処理を伴うクリーニング処理開始以降クリーニング処理終了までクリーニング動作中フラグをセットして記憶手段に記憶させるとともに、クリーニング処理開始以降クリーニング処理における本吸引処理終了まで本吸引未完了フラグをセットして記憶手段に記憶させておき、電源投入時にて、前記制御手段は、前記記憶手段の情報に基づいて、クリーニング動作中フラグ及び本吸引未完了フラグがセットされていると判断した場合に、本吸引処理を伴うクリーニング処理を行い、クリーニング動作中フラグだけがセットされていると判断した場合に、本吸引処理よりも少量の液体を吸引する吸引処理を伴うクリーニング処理を行うのが好ましい。
【0013】
この構成によれば、電源投入時にて、記憶手段の情報に基づいて制御手段が、クリーニング動作中フラグ及び本吸引未完了フラグがセットされていると判断した場合に、本吸引処理を伴うクリーニング処理を行い、クリーニング動作中フラグだけがセットされていると判断した場合に、本吸引処理よりも少量の液体を吸引する吸引処理を伴うクリーニング処理を行うので、無駄に液体を吸引することなく、適切なクリーニング処理を行って、ドット抜けなどの不具合をなくすことができる。
【0014】
さらに、本発明の記録装置は、液体噴射ヘッドからインクを噴射させることにより、被印刷物に対して印刷を施す記録装置であって、上記液体噴射ヘッドのメンテナンス機構を備えたことを特徴とする。
【0015】
この構成の記録装置によれば、クリーニング処理の未実行によるドット抜けなどの不具合なく、液体噴射ヘッドによる高品質な吐出処理が可能であるので、高品質にて印刷処理を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面に基づいて、本発明の一実施形態に係る液体噴射ヘッドのメンテナンス方法、ヘッドメンテナンス機構及び記録装置を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの外観斜視図、図2は図1に示したインクジェットプリンタからプリンタケースを取り外した状態の斜視図、図3は図2に示したヘッドメンテナンス機構の全体斜視図、図4は図2に示したヘッドメンテナンス機構の分解斜視図、図5及び図6は図2に示したヘッドメンテナンス機構の要部斜視図である。
【0017】
本実施形態のインクジェットプリンタ(記録装置)1は、複数種のカラーインク液を使用してロール紙にカラー印刷するものであり、図1に示すように、プリンタ本体を覆うプリンタケース2の前面には、ロール紙カバー5及びインクカートリッジカバー7が開閉自在に装備されている。更に、プリンタケース2の前面には、電源スイッチ3と共にフィードスイッチやインジケータ等も配置されている。
【0018】
ロール紙カバー5を開くと、印刷用紙であるロール紙11を収容した用紙収容部13が開放状態になって、用紙の交換が可能になる。
また、インクカートリッジカバー7を開くと、カートリッジ装着部15が開放状態になり、このカートリッジ装着部15へのインクカートリッジ17の着脱が可能になる。
【0019】
インクカートリッジ17は、カートリッジケース内に複数個のカラーインクパックを収容したものである。本実施形態のインクジェットプリンタ1の場合は、インクカートリッジカバー7を開く動作に連動して、カートリッジ装着部15の前方にインクカートリッジ17が所定距離だけ引き出される構成になっている。
【0020】
インクカートリッジ17内の各インクパックは、インクカートリッジ17をカートリッジ装着部15に装着した際に、カートリッジ装着部15側に装備されたインク供給針がインクパックのインク供給口に差込接続される。カートリッジ装着部15のインク供給針には、プリンタケース2内に固定されたインク流路31が接続され、このインク流路31には、可撓性のインク供給チューブ33の一端が接続されている。
インク供給チューブ33の他端は、キャリッジ23上に装備されたダンパユニット34に接続されている。このダンパユニット34は、インクジェット記録ヘッド21に接続された背圧調整ユニット35に接続されている。
【0021】
プリンタケース2内の用紙収容部13の上方には、図2に示すように、インクジェットヘッド21を搭載したキャリッジ23が装備される。キャリッジ23は、ロール紙11の幅方向に沿って延在するガイド部材25によって用紙幅方向に移動自在に支持されると共に、ロール紙11の幅方向に延在する無端ベルト26aとこの無端ベルト26aを駆動するキャリッジモータ26bとによって、印刷領域であるプラテン28の上方をロール紙11の幅方向に往復移動可能になっている。
【0022】
図示のように、印刷領域から外れたカートリッジ装着部15の上方が、往復移動するキャリッジ23の待機位置(メンテナンス領域)となっている。そして、この待機位置の下方には、キャリッジ23の下面に露出するインクジェットヘッド21の保守動作を行うヘッドメンテナンス機構40が配置されている。
【0023】
本実施形態のヘッドメンテナンス機構40は、図3〜図6に示すように、インクジェットヘッド21のノズル形成面21aを封止するためのヘッドキャップ機構60と、このノズル形成面21aを払拭するためのワイパ機構50と、後述する捕捉部材24に付着している付着物を吸収する吸収部材100と、ヘッドキャップ機構60から残留インクを吸引するためのインク吸引機構70とを備えている。
【0024】
吸収部材100は、図6に示すように、ヘッドキャップ機構60におけるヘッドキャップ63の側方に設けられ、このヘッドキャップ機構60と伴にキャッピング位置に移動して上端縁101aが捕捉部材24に接触する略矩形板状の第1の吸収部材101と、ヘッドキャップ機構60の下方に設けられ、このヘッドキャップ機構60と伴にキャッピング位置から退避する退避位置に移動した第1の吸収部材101の当接部101bに接触可能な第2の吸収部材102と、を備えている。
【0025】
また、これらヘッドキャップ機構60、ワイパ機構50、第1の吸収部材101及びインク吸引機構70は、動力伝達機構80を介してポンプモータ81により駆動される。これらの各部分は、プリンタ本体に着脱可能なハウジング41に取り付けられている。
【0026】
図4に示すように、ワイパ機構50及びヘッドキャップ機構60と第1の吸収部材101は、キャリッジ23の往復動方向(図4中左右方向)に併設されており、インク吸引機構70は、ヘッドキャップ機構60のプリンタ後方側(図4中手前側)に併設されている。
そして、ヘッドキャップ機構60とワイパ機構50と第1の吸収部材101とインク吸引機構70とが連動可能なように動力伝達機構80が配設されている。
【0027】
即ち、動力伝達機構80は、複数の歯車からなる歯車列で構成され、ポンプモータ81からの駆動力によりヘッドキャップ機構60及び第1の吸収部材101とワイパ機構50をインクジェットヘッド21の往復動方向に対して直交する方向(図4中上下方向)に進退動させると共に、インク吸引機構70を動作させるように構成されている。
【0028】
インク吸引機構70は、チューブ72の一端がヘッドキャップ機構60と接続され、他端がインクカートリッジ17の廃インク導入部に接続されたチューブポンプであり、このインク吸引機構70が駆動されると、ヘッドキャップ機構60を介してインクジェットヘッド21のノズルからインクを吸引し、インクカートリッジ17の廃インク貯留室に排出される。
【0029】
動力伝達機構80を構成する歯車列の最終段(ワイパ50及びヘッドキャップ60側)には、円筒カム82が接続されている。
円筒カム82は、ハウジング41に垂設された支軸43に、下部カムホイール83及び上部カムホイール84と、間欠歯車85と、摩擦歯車86とを嵌装することにより構成されている。
【0030】
下部カムホイール83及び上部カムホイール84は、組み合わせ結合してなる外周面に、ワイパ機構50をスライドさせる為のカム溝と、ヘッドキャップ機構60をスライドさせる為のカム溝とが、それぞれ位相をずらして形成されている。
下部カムホイール83の底面には、ハウジング41の底面に形成された所定長さの円弧溝に係合する係合突起が突設されており、この下部カムホイールを有限回転させる。
上部カムホイール84の上面には、間欠歯車85に形成された所定長さの円弧溝に係合する係合突起が突設されており、この上部カムホイール84を間欠歯車85に追従回転させる。
間欠歯車85の上方には、この間欠歯車85の上面に摩擦係合する摩擦歯車86が配置されており、この摩擦歯車86はコイルばね88により間欠歯車85側へ押圧付勢されている。
【0031】
ヘッドキャップ機構60のスライダ64には、円筒カム82のカム溝と係合するカムフォロア66が設けられ、ワイパ機構50のスライダ52には、円筒カム82のカム溝と係合するカムフォロア54が設けられている。
これにより、円筒カム82が回転することに伴い、ヘッドキャップ機構60のスライダ64とワイパ機構50のスライダ52は、それぞれ対応するカム溝に従ってスライドするようになっている。
【0032】
ヘッドキャップ機構60は、図3〜6に示すように、スライダ64と、キャップホルダ62に固定されたヘッドキャップ63とを備えている。スライダ64は、ケース状に形成されたもので、ガイド部材25と直交する方向、すなわち、インクジェットヘッド21のノズル形成面21aに対して接近又は離間する方向にスライドするように、嵌挿部65がハウジング41に垂設されたガイド軸42に支持されている。
【0033】
スライダ64の上端凹部には、先端部分にヘッドキャップ63が固定されたキャップホルダ62がスライダ64に対し進退移動できるように保持されている。このヘッドキャップ63は、インクジェットヘッド21のノズル形成面を封止可能な大きさの開口を有する箱型状のゴムで形成されたもので、その開口部分には、多層構造のインク吸収体が取付けられている。
【0034】
ワイパ機構50は、図3〜6に示すように、スライダ52と、ワイパ51とを備えている。スライダ52は、箱型状に形成されたもので、ヘッドキャップ機構60のスライダ64と同じ方向にスライドするように、スライド部53がハウジング41に設けられたガイド部44に支持案内されている。スライダ52の先端部分には、弾性材であるゴム製の板材からなるワイパ51が埋め込まれている。
【0035】
そして、スライダ52は、最もワイパ51がメンテナンス機構40の内側に引っ込んだ位置(退避位置)と、ワイパ51によってノズル形成面21aの汚れを払拭する処理を行うためのワイピング位置との間を移動できるようになっている。図7に示すように、ワイピング位置は、ワイパ51の先端がノズル形成面21aからはみ出し量s分インクジェットヘッド21側に移動した位置であり、インクジェットヘッド21のノズル形成面21aに対し接触して擦れるようになっている。これにより、ワイパ51はノズル形成面21aに付着しているインク等の異物を払拭することができる。尚、インクの種類によっては、ワイパ51を軟質のプラスチック等により形成しても良い。
【0036】
更に、図8に示すように、インクジェットヘッド21のノズル形成面21aよりもメンテナンス領域側(図8中右側)には、インクジェットヘッド21が印刷領域側に移動する際にワイパ機構50のワイパ51に対して接触し、このワイパ51に付着している付着物を掻き取る捕捉部材24が設けられている。
【0037】
この捕捉部材24は、薄板状に形成されたものであり、先端部分にはワイパ51のヘッドキャップ機構60側の側面に当接可能な掻取部24aが突設されている。また、捕捉部材24の先端は、インクジェットヘッド21のノズル形成面21aよりも若干後退した位置に配置されている。これにより、捕捉部材24は、キャリッジ23が印刷領域を移動する場合に、プラテン28上にあるロール紙11に接触しないようになっている。
【0038】
図13に示すように、インクジェットプリンタ1及びヘッドメンテナンス機構40を制御する制御部100には、内蔵されたタイマ101及び揮発性メモリなどからなる記憶部102が接続されている。そして、制御部100は、タイマ101からの信号に基づいてヘッドメンテナンス機構40によるクリーニング処理のタイミングを判断し、また、後述する各フラグやクリーニング処理の種別を記憶部102に記憶させる。
【0039】
そして、上記インクジェットプリンタ1では、ヘッドメンテナンス機構40によってインクジェットヘッド21のクリーニング処理が行われる。なお、このクリーニング処理は、予め設定された所定のタイミングにて定期的に行われる定期クリーニング処理及びユーザの操作によって行われるユーザクリーニング処理があり、これらクリーニング処理では、インクジェットヘッド21のノズル形成面21aにヘッドキャップ63を密着させてインク吸引機構70によって内部を吸引してインクジェットヘッド21のインクノズルからインクを吸引する。
【0040】
ここで、定期クリーニング処理は、最後のクリーニング処理からの経過時間、電源遮断後の経過時間、累積印刷時間、休止時間を元にして定められたタイムテーブルに基づいたタイミングによって行われる処理で、インクノズル内の増粘状態のインクや流路内にて成長した気泡を排出する。このため、定期クリーニング処理は、ユーザクリーニング処理と比較してインクノズルからのインクの吸引量が多い強力なものとされている。なお、定期クリーニング処理にも、通常に行われる処理より強力な処理があり、数回おきに、このさらに強力な定期クリーニング処理が行われる。
【0041】
また、上記ヘッドメンテナンス機構40を備えたインクジェットプリンタ1では、インクジェットヘッド21のインクノズルでのインクのメニスカスを形成するために、印刷開始前あるいは定期的にインクジェットヘッド21のインクノズルから所定量のインクをヘッドキャップ63内に吐出するフラッシング、インクジェットヘッド21のノズル形成面21aの汚れをワイパ51によって払拭するワイピング、インクノズルの詰まりを防止するために印刷休止後にてインクジェットヘッド21のノズル形成面21aにヘッドキャップ63を密着させて保護するキャッピングも行われる。
【0042】
次に、制御部100による定期クリーニング処理の制御について説明する。
図14は制御部による定期クリーニング処理の制御の流れを説明するフローチャート、図15は制御部による本吸引処理の制御の流れを説明するフローチャートである。
タイマ101からの信号に基づいてヘッドメンテナンス機構40による定期クリーニング処理が開始されると、まず、キャリッジ23のロックが解除され(ステップS1)、さらに、初期加圧が行われる(ステップS2)。
【0043】
また、クリーニング動作中であることを示すクリーニング動作中フラグがセットされるとともに、このクリーニング処理における後述の本吸引動作が未完了であることを示す本吸引未完了フラグがセットされ、これらクリーニング動作中フラグ及び本吸引未完了フラグとともに、定期クリーニング処理であることを示すクリーニング処理の種別が記憶部102に記憶される(ステップS3)。
【0044】
次に、本吸引処理が行われる(ステップS4)。
図15に示すように、この本吸引処理では、まず、インクジェットヘッド21がメンテナンス領域に移動し、ヘッドキャップ63の真上にインクジェットヘッド21が配置され、次いで、ヘッドキャップ63が上昇し、このヘッドキャップ63がインクジェットヘット21のノズル形成面21aに密着し、このノズル形成面21aが密閉される(ステップS11)。
次いで、インク吸引機構70によってヘッドキャップ63内が吸引され、インクジェットヘッド21のインクノズルからインクが吸引される(ステップS12)。
【0045】
次に、記憶部102に記憶させた本吸引未完了フラグをリセットする(ステップS13)。
その後、ヘッドキャップ63内の負圧を解除し(ステップS14)、ヘッドキャップ63内に溜まった廃インクの排出処理である空吸引を行う(ステップS15)。
【0046】
上記の本吸引処理(ステップS4)が終了したら、図14に示すようにインクジェットヘッド21のインクノズルに残留した気泡をさらに確実に除去すべく、本吸引処理よりも微量のインクをインクノズルから吸引する微量吸引処理が行われる(ステップS5)。
この微量吸引処理の場合も、ヘッドキャップ63をインクジェットヘッド21のノズル形成面21aに密着させた状態にて、インク吸引機構70によってヘッドキャップ63内を吸引することにより、インクジェットヘッド21のインクノズルからインクを吸引する。
【0047】
上記の微量吸引処理が終了したら、空吸引処理を行う(ステップS6)。具体的には、ヘッドキャップ63をインクジェットヘッド21から離間させた状態にて、インク吸引機構70によってヘッドキャップ63内を吸引し、ヘッドキャップ63内に貯留した廃インクを排出する。
【0048】
次に、記憶部102に記憶させたクリーニング動作中フラグをリセットする(ステップS7)。
その後、インクジェットヘッド21のインクノズルでのインクのメニスカスを形成するために、インクジェットヘッド21のインクノズルから所定量のインクをヘッドキャップ63内に吐出するフラッシング処理を行う(ステップS8)。
【0049】
次に、電源投入時における動作について説明する。
図16は電源投入時における制御部での制御の流れを説明するフローチャートである。
電源がONされると、まず、インクカートリッジ17におけるインクの残量から、各種のクリーニング時に必要となるインク量があることを確認し(ステップS21)、次いで、クリーニング処理の要否の判定をするためのクリーニング中動作フラグがセットされているかを記憶部102の情報から割り出す(ステップS22)。
【0050】
その結果、クリーニング中動作フラグがセットされている場合は、クリーニング処理が必要であると判定し、クリーニング中動作フラグがリセットされている場合は、クリーニング処理が不要であると判定する(ステップS23)。
ここで、例えば、定期クリーニング処理中にて、クリーニング動作フラグのリセット(ステップS7)前に、例えば、電源プラグが抜かれるなどにより、不意な電源遮断が発生した場合、定期クリーニング処理が適切に終了せずに中断したこととなる。したがって、このような場合は、改めてクリーニング処理が必要であると判定する。
【0051】
クリーニング処理が不要であると判定した場合は(ステップS23)、キャリッジ23をロックし(ステップS24)、電源投入時の処理を終了する。
クリーニング処理が必要であると判定した場合は(ステップS23)、記憶部102の情報に基づいて、本吸引未完了フラグがセットされているかを判定する(ステップS25)。
【0052】
ここで、例えば、定期クリーニング処理の本吸引処理中の空吸引処理にて、本吸引未完了フラグのリセット(ステップS13)前に、例えば、電源プラグが抜かれるなどにより、不意な電源遮断が発生した場合、本吸引処理が適切に終了せずに中断したこととなる。したがって、このような場合は、実行するクリーニング処理の種別を、本吸引処理を含む吸引量の大きな定期クリーニング処理と判定する。なお、本吸引未完了フラグがリセットされている場合は、定期クリーニング処理にて本吸引まで行われていることとなるので、このような場合は、実行するクリーニング処理の種別を、本吸引処理を含まない吸引量の少ない通常のクリーニング処理と判定する。
【0053】
その後、判定した種別のクリーニング処理を実行し(ステップS26)、電源投入時の処理を終了する。
具体的には、クリーニング種別が定期クリーニング処理と判定した場合は、本吸引処理を含む定期クリーニング処理(ステップS1〜S8)と同等のクリーニング処理を実行し、クリーニング種別が通常のクリーニング処理と判定した場合は、本吸引を含まない弱いクリーニング処理を実行する。
【0054】
以上、説明したように、上記実施形態によれば、定期クリーニング処理中に、例えば、電源プラグが抜かれるなどにより、不意な電源遮断が発生したとしても、電源投入時に、電源遮断時におけるクリーニング処理の中断の有無及び中断されたクリーニング処理の種別を割り出し、クリーニング処理の中断があった場合にその中断された種類のクリーニング処理を実行するので、本吸引処理などの必要であったクリーニング処理を適切に実行し、ドット抜けなどの吐出不良の不具合をなくすことができる。
【0055】
具体的には、電源投入時にて、クリーニング動作中フラグ及び本吸引未完了フラグがセットされている場合に、本吸引処理を伴うクリーニング処理を行い、クリーニング動作中フラグだけがセットされている場合に、本吸引処理よりも少量のインクを吸引する吸引処理を伴うクリーニング処理を行うことにより、適切にクリーニング処理を行うことができる。
そして、このヘッドメンテナンス機構40を備えたインクジェットプリンタ1によれば、クリーニング処理の未実行によるドット抜けなどの不具合なく、インクジェットヘッド21による高品質な吐出処理が可能であるので、高品質にて印刷処理を行うことができる。
【0056】
なお、上記実施形態では、用紙にインクを噴射して印刷を施す場合を例にとって説明したが、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などのメディア(情報記録媒体)のレーベル面に印刷を施すレーベルプリンタにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの外観斜視図である。
【図2】インクジェットプリンタからプリンタケースを取り外した状態の斜視図である。
【図3】ヘッドメンテナンス機構の全体斜視図である。
【図4】ヘッドメンテナンス機構の分解斜視図である。
【図5】ヘッドメンテナンス機構の要部斜視図である。
【図6】ヘッドメンテナンス機構の要部斜視図である。
【図7】ヘッドメンテナンス機構の動作を説明する要部正面図である。
【図8】ヘッドメンテナンス機構の動作を説明する要部正面図である。
【図9】ヘッドメンテナンス機構の動作を説明する要部正面図である。
【図10】ヘッドメンテナンス機構の動作を説明する要部斜視図である。
【図11】ヘッドメンテナンス機構の動作を説明する要部斜視図である。
【図12】ヘッドメンテナンス機構の動作を説明する要部斜視図である。
【図13】インクジェットプリンタの制御系の概略を説明する概略ブロック図である。
【図14】制御部による定期クリーニング処理の制御の流れを説明するフローチャートである。
【図15】制御部による本吸引処理の制御の流れを説明するフローチャートである。
【図16】電源投入時における制御部での制御の流れを説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1…インクジェットプリンタ(記録装置)、11…ロール紙(被印刷物)、21…インクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)、21a…ノズル形成面、40…ヘッドメンテナンス機構、63…ヘッドキャップ、100…制御部(制御手段)、102…記憶部(記憶手段)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体噴射ヘッドのノズル形成面にヘッドキャップを密着させて前記液体噴射ヘッドのノズルから液体を吸引するクリーニング処理を行う液体噴射ヘッドのメンテナンス方法であって、
電源投入時に、電源遮断時におけるクリーニング処理の中断の有無及び中断されたクリーニング処理の種別を割り出し、クリーニング処理の中断があった場合にその中断された種類のクリーニング処理を実行することを特徴とする液体噴射ヘッドのメンテナンス方法。
【請求項2】
液体を吸引する本吸引処理を伴うクリーニング処理開始以降クリーニング処理終了までクリーニング動作中フラグをセットするとともに、クリーニング処理開始以降クリーニング処理における本吸引処理終了まで本吸引未完了フラグをセットしておき、電源投入時にて、クリーニング動作中フラグ及び本吸引未完了フラグがセットされている場合に、本吸引処理を伴うクリーニング処理を行い、クリーニング動作中フラグがセットされ、本吸引未完了フラグがセットされていない場合に、本吸引処理よりも少量の液体を吸引する吸引処理を伴うクリーニング処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッドのメンテナンス方法。
【請求項3】
液体噴射ヘッドのノズル形成面にヘッドキャップを密着させて前記液体噴射ヘッドのノズルから液体を吸引するクリーニング処理を行う液体噴射ヘッドのメンテナンス機構であって、
クリーニング処理の中断の有無及び中断されたクリーニング処理の種別を記憶する記憶手段と、電源投入時に、前記記憶手段の情報に基づいて、クリーニング処理の中断の有無及び中断されたクリーニング処理の種別を割り出し、クリーニング処理の中断があった場合にその中断された種類のクリーニング処理を実行させる制御手段とを有することを特徴とする液体噴射ヘッドのメンテナンス機構。
【請求項4】
液体を吸引する本吸引処理を伴うクリーニング処理開始以降クリーニング処理終了までクリーニング動作中フラグをセットして記憶手段に記憶させるとともに、クリーニング処理開始以降クリーニング処理における本吸引処理終了まで本吸引未完了フラグをセットして記憶手段に記憶させておき、電源投入時にて、前記制御手段は、前記記憶手段の情報に基づいて、クリーニング動作中フラグ及び本吸引未完了フラグがセットされていると判断した場合に、本吸引処理を伴うクリーニング処理を行い、クリーニング動作中フラグだけがセットされていると判断した場合に、本吸引処理よりも少量の液体を吸引する吸引処理を伴うクリーニング処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射ヘッドのメンテナンス機構。
【請求項5】
液体噴射ヘッドからインクを噴射させることにより、被印刷物に対して印刷を施す記録装置であって、請求項3または請求項4に記載の液体噴射ヘッドのメンテナンス機構を備えたことを特徴とする記録装置。
【請求項1】
液体噴射ヘッドのノズル形成面にヘッドキャップを密着させて前記液体噴射ヘッドのノズルから液体を吸引するクリーニング処理を行う液体噴射ヘッドのメンテナンス方法であって、
電源投入時に、電源遮断時におけるクリーニング処理の中断の有無及び中断されたクリーニング処理の種別を割り出し、クリーニング処理の中断があった場合にその中断された種類のクリーニング処理を実行することを特徴とする液体噴射ヘッドのメンテナンス方法。
【請求項2】
液体を吸引する本吸引処理を伴うクリーニング処理開始以降クリーニング処理終了までクリーニング動作中フラグをセットするとともに、クリーニング処理開始以降クリーニング処理における本吸引処理終了まで本吸引未完了フラグをセットしておき、電源投入時にて、クリーニング動作中フラグ及び本吸引未完了フラグがセットされている場合に、本吸引処理を伴うクリーニング処理を行い、クリーニング動作中フラグがセットされ、本吸引未完了フラグがセットされていない場合に、本吸引処理よりも少量の液体を吸引する吸引処理を伴うクリーニング処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッドのメンテナンス方法。
【請求項3】
液体噴射ヘッドのノズル形成面にヘッドキャップを密着させて前記液体噴射ヘッドのノズルから液体を吸引するクリーニング処理を行う液体噴射ヘッドのメンテナンス機構であって、
クリーニング処理の中断の有無及び中断されたクリーニング処理の種別を記憶する記憶手段と、電源投入時に、前記記憶手段の情報に基づいて、クリーニング処理の中断の有無及び中断されたクリーニング処理の種別を割り出し、クリーニング処理の中断があった場合にその中断された種類のクリーニング処理を実行させる制御手段とを有することを特徴とする液体噴射ヘッドのメンテナンス機構。
【請求項4】
液体を吸引する本吸引処理を伴うクリーニング処理開始以降クリーニング処理終了までクリーニング動作中フラグをセットして記憶手段に記憶させるとともに、クリーニング処理開始以降クリーニング処理における本吸引処理終了まで本吸引未完了フラグをセットして記憶手段に記憶させておき、電源投入時にて、前記制御手段は、前記記憶手段の情報に基づいて、クリーニング動作中フラグ及び本吸引未完了フラグがセットされていると判断した場合に、本吸引処理を伴うクリーニング処理を行い、クリーニング動作中フラグだけがセットされていると判断した場合に、本吸引処理よりも少量の液体を吸引する吸引処理を伴うクリーニング処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の液体噴射ヘッドのメンテナンス機構。
【請求項5】
液体噴射ヘッドからインクを噴射させることにより、被印刷物に対して印刷を施す記録装置であって、請求項3または請求項4に記載の液体噴射ヘッドのメンテナンス機構を備えたことを特徴とする記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−12401(P2009−12401A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178894(P2007−178894)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]