説明

液体噴射ヘッド

【課題】液体に含まれる粒子が圧力室内に沈降した場合であっても、この粒子によってノズルが目詰まりすることを防ぎ、また沈降した粒子を攪拌することができる液体噴射ヘッドを提供する。
【解決手段】ノズル23に連通する圧力室20と、該圧力室20に供給口22を通じて液体を供給する共通液室29と、を有し、圧力室20内の液体に圧力変動を付与することによりノズル23から液滴を噴射可能な液体噴射ヘッド2であって、圧力室20の底面には、供給口22側からノズル23側への流体の流れに対して抵抗となる段差部25が設けられた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式記録装置などの液体噴射ヘッドに関し、特に、顔料等の粒子を含む液体をノズルから噴射する液体噴射ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧力室内の液体に圧力変動を生じさせることでノズル開口から液滴として噴射(吐出)させる液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられるインクジェット式記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドという)、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等がある。
【0003】
上記のような液体噴射ヘッドから噴射される液体の中には、溶媒中に粒子を含有したものがある。例えば、平板状のアルミニウム等からなる金属片をインク溶媒内に分散させたメタリックインクがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−149028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなメタリックインクは、長期間に亘って放置されると金属片が沈降(沈殿)してしまうという問題を有している。圧力室内に金属片が沈降して積み重なると、メタリックインクを噴射する際に、積み重なった金属片が塊となってノズルに移動して、ノズルを目詰まりさせる虞がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体に含まれる粒子が圧力室内に沈降した場合であっても、この粒子によってノズルが目詰まりすることを防ぎ、また沈降した粒子を攪拌することができる液体噴射ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液体噴射ヘッドは、上記目的を達成するために提案されたものであり、ノズルに連通する圧力室と、
該圧力室に供給口を通じて液体を供給する共通液室と、
を有し、前記圧力室内の液体に圧力変動を付与することにより前記ノズルから液滴を噴射可能な液体噴射ヘッドであって、
前記圧力室の底面には、前記供給口側から前記ノズル側への流体の流れに対して抵抗となる段差部が設けられたことを特徴とする。
【0008】
本発明の液体噴射ヘッドによれば、液体に含まれる粒子が圧力室内に沈降した場合であっても、沈降した粒子の移動を段差部によって妨げることができ、ノズルが目詰まりすることを抑制することができる。また、圧力室の圧力変動によって段差部に乱流を生じさせることができ、これにより沈降した粒子を攪拌することができる。
【0009】
上記構成において、前記圧力室の底面に溝が設けられ、該溝によって前記段差部が構成されることが望ましい。
【0010】
また、前記圧力室の底面に当該底面から突出した凸部が設けられ、該凸部によって前記段差部が構成されることが望ましい。
【0011】
これらの構成によれば、エッチング等により簡単に段差部を形成することができる。
【0012】
上記構成において、前記ノズルは、前記圧力室の底面に開口され、
前記ノズルの開口縁に前記段差部が設けられることが望ましい。
【0013】
この構成によれば、ノズルの周囲において沈降した粒子が流入することを妨げることができ、ノズルが目詰まりすることをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】プリンターの斜視図である。
【図2】記録ヘッドの構成を説明する分解斜視図である。
【図3】第1の実施形態における記録ヘッドの要部断面図である。
【図4】粒子の堆積および攪拌を説明する模式図
【図5】第2の実施形態における記録ヘッドの要部断面図である。
【図6】第3の実施形態における記録ヘッドの要部断面図である。
【図7】第4の実施形態における記録ヘッドの要部断面図である。
【図8】第5の実施形態における記録ヘッドの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、インクジェット式記録装置1(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
【0016】
図1はプリンター1の構成を示す斜視図である。このプリンター1は、液体噴射ヘッドの一種であるインクジェット式記録ヘッド2(以下、記録ヘッド)が取り付けられると共に、液体貯留部材の一種であるインクカートリッジ3が着脱可能に取り付けられるキャリッジ4を備えている。このキャリッジ4の後部には、キャリッジ4を記録紙5(記録媒体および着弾対象の一種)の紙幅方向、即ち、主走査方向に往復移動させるキャリッジ移動機構6を備えている。また、記録動作時における記録ヘッド2の下方には、間隔を空けてプラテン7を備えている。このプラテン7上には、プリンター1の後方に備えた搬送機構8によって、記録紙5が主走査方向に直交する副走査方向に搬送される。
【0017】
キャリッジ4は、主走査方向に架設されたガイドロッド9に軸支された状態で取り付けられており、キャリッジ移動機構6の作動により、ガイドロッド9に沿って主走査方向に移動する。キャリッジ4の主走査方向の位置は、位置情報検出手段の一種であるリニアエンコーダー10によって検出され、その検出信号、即ち、エンコーダーパルス(位置情報の一種)をプリンター1の制御部に送信する。
【0018】
また、キャリッジ4の移動範囲内における記録領域よりも外側の端部領域には、キャリッジ4の走査の基点となるホームポジションが設定されている。本実施形態におけるホームポジションには、記録ヘッド2のノズル形成面(ノズルプレート15:図2、図3参照)を封止するキャッピング部材11と、ノズル形成面を払拭するためのワイパー部材12とが配置されている。そして、プリンター1は、このホームポジションから反対側の端部へ向けてキャリッジ4が移動する往動時と、反対側の端部からホームポジション側にキャリッジ4が戻る復動時との双方向で記録紙5上に文字や画像等を記録する所謂双方向記録を行う。
【0019】
次に記録ヘッド2について説明する。
図2は、本実施形態の記録ヘッド2の構成を示す分解斜視図であり、図3は、記録ヘッド2の要部断面図である。本実施形態における記録ヘッド2は、流路基板14、ノズルプレート15、振動板16、圧電素子17、及び、保護基板18等を積層して構成されている。
【0020】
流路基板14は、本実施形態ではシリコン単結晶基板からなり、複数の圧力室20がその幅方向に並設されている。各圧力室20は、、板厚方向に貫通したノズルの列に直交する方向に長尺な空部であり、この上部は振動板16によって封止される。そして、圧力室20の容積は、後述する圧電素子17の駆動により振動板16が変形することで増減される。また、流路基板14の圧力室20から、その長手方向外側に外れた領域には連通部21が形成され、連通部21と各圧力室20とが、圧力室20毎に設けられたインク供給口22(本発明における供給口)を介して連通されている。インク供給口22は、圧力室20よりも狭い幅で形成されており、連通部21から圧力室20に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。なお、連通部21は、後述する保護基板18の共通室28と連通して、各圧力室20に液体を供給するリザーバー29(本発明における共通液室)の一部を構成する。
【0021】
流路基板14の下面側には、圧力室20の底面を構成するノズルプレート15が接合されている。ノズルプレート15は、厚さが例えば、0.1〜1mm程度のシリコン単結晶基板やステンレス鋼等などからなり、各圧力室20に対応したノズル23が開設されている。各ノズル23は、ドット形成密度に対応したピッチで列状に開設され、それぞれ圧力室20のインク供給口22とは反対側の端部に連通されている。
【0022】
また、ノズルプレート15には、圧力室20の底面に対応する部分に、インク供給口22からノズル23に向かうインクの流れ方向に対して直交する方向に沿った溝24が複数設けられている。本実施形態の溝24は、圧力室20の底面となるノズルプレート15の上面から下面側に向けてノズルプレート15の厚さの途中まで窪ませた状態に形成されている。この溝24は、1つの圧力室20に対して、ノズル23に向かうインクの流れ方向に合計4条設けられており、その長さが圧力室20の幅に揃えられている。この溝24の底部と圧力室20の底面(ノズルプレート15の上面)との間に、インクの流れ方向に対して直交する方向に沿った段差部25が形成され、インク供給口22側からノズル23側へ向かうインクの流れに対して抵抗が付与される。詳しくは、ノズル23側の圧力室の底面からインク供給口22側に一段下がった段差部25が、インク供給口22側からノズル23側へ向かうインクの流れに対する抵抗となる。
【0023】
なお、溝24はインクに含まれる粒子が収容できる程度の幅および深さ(例えば、数十μm〜数百μm)に設定される。また、溝24のエッジ(溝24の底面と壁面とが交わる部分、および、溝24の壁面とノズルプレート15の上面とが交わる部分等)は、面取りすることもできる。さらに、ノズル23および溝24は、例えば、ノズルプレート15をシリコン単結晶基板で作製する場合には、エッチングにより形成され、ノズルプレート15をステンレス鋼で作成する場合には、プレス加工により形成される。
【0024】
流路基板14の開口面とは反対側(上側)には、振動板16が形成されている。本実施形態の振動板16は、例えば、厚さが約1.0μmの二酸化シリコン(SiO)からなる弾性膜と、この弾性膜上に積層された厚さが約0.4μmの酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜と、から構成されている。また、この振動板16上には、圧電素子17が各圧力室20に対応して複数設けられている。本実施形態における圧電素子17は撓み振動モードの振動子であり、駆動電極と共通電極とによって圧電体を挟んで構成されている(図示を省略)。そして、圧電素子17の駆動電極に駆動信号が印加されると、駆動電極と共通電極との間には電位差に応じた電場が発生する。この電場は圧電体に付与され、圧電体が付与された電場の強さに応じて変形する。
【0025】
また、流路基板14上の圧電素子17側の面には、圧電素子17に対向する領域にその変位を阻害しない程度の大きさの空間となる圧電素子保持部27を有する保護基板18が、振動板16を挟んで接合されている。圧電素子17は、この圧電素子保持部27内に収容されるため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。さらに、図2に示すように、保護基板18には、流路基板14の連通部21に対応する領域に共通室28が設けられている。この共通室28は、圧力室20の並設方向に沿って板厚方向に貫通して設けられており、上述したように流路基板14の連通部21と連通されて各圧力室20の共通のインク室となるリザーバー29を構成している。
【0026】
さらに、保護基板18上には、封止膜30a及び固定板30bとからなるコンプライアンス基板30が接合されている。封止膜30aは、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイドフィルム)からなり、この封止膜30aによって共通室28の一方面が封止されている。また、固定板30bは、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼等)で形成される。この固定板30bのリザーバー29に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部31となっているため、リザーバー29の一方面は可撓性を有する封止膜30aのみで封止されている。
【0027】
そして、インクカートリッジ3からのインクは、図示しないインク導入路からリザーバー29内に取り込まれ、インク供給口22を介して圧力室20に供給される。この状態で、図示しないプリンタコントローラー側からの駆動信号の供給により圧電素子17を駆動させると、圧力室20内のインクに圧力変動が生じる。この圧力変動を利用することでノズル23からインクを噴射(吐出)する。
【0028】
次に粒子の堆積および攪拌について、図4を用いて説明する。本実施形態における記録ヘッド2が噴射するインクは、例えば、アルミニウム等からなる金属片を含んだメタリックインクを用いている。
【0029】
しばらくの間記録ヘッド2からインクが噴射されていない場合、圧力室20やリザーバー29内の金属片34は、インク溶媒に対して比重が大きいので、これらの底面に次第に沈降して堆積する。この状態で、圧電素子17を駆動させると、圧力室20内に負圧が発生し、インク供給口22から圧力室20内にインクが流入する。この際、リザーバー29や圧力室20に堆積した金属片34が塊となって、インクの流れに乗ってノズル側へ流下する。しかしながら、本発明に係る記録ヘッド2では、圧力室20の底面に抵抗となる段差部25(溝24)が設けられているため、金属片34のノズル23への到達を妨げることができる(図4(a)参照)。すなわち、これらの金属片34が溝24内に取り込まれて堆積するため、金属片34が塊となってノズル23に流入することが抑制される。
【0030】
次に、圧力室20の溝24内に金属片34が堆積した状態で、圧電素子17を駆動させて圧力室20内に圧力変動を生じさせると、溝24内の段差に乱流が生じる。例えば、図4(b)に示すように、溝24の中央部の底部から上方に向かう流れが生じる。この乱流によって、溝24内に堆積した金属片34の少なくとも一部が、圧力室20内に舞い上がり攪拌される。また、攪拌されずに溝24内に堆積したままの金属片34は、溝24内に留まるため、ノズル23への流入が防止される。さらに、圧電素子17を駆動することで、この溝24内に留まった金属片34も攪拌することができる。
【0031】
このように、インクに含まれる金属片34が圧力室20内に沈降した場合であっても、沈降した金属片34の移動を段差部25によって妨げることができ、ノズル23が目詰まりすることを抑制することができる。また、圧力室20の圧力変動によって段差部25に乱流を生じさせることができ、これにより沈降した粒子を攪拌することができる。さらに、本実施形態では、溝24によって段差部25が構成されたので、エッチング等により簡単に段差部25を形成することができる。
【0032】
なお、上記した実施形態では、インクに金属片34を含有したメタリックインクを噴射する記録ヘッド2を例示したが、これには限られず、沈降する粒子を含有したインクを噴射するものであれば、どのような記録ヘッドでもよい。例えば、白色顔料として酸化チタンを含むインクを噴射する記録ヘッドにも適用できる。また、段差部25(溝24)は、インクの流れ方向に対して直交する方向に沿って形成されたが、これには限られず、例えば、インクの流れ方向に対して斜めに設けても良い。
【0033】
さらに、本発明は、上記した各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて種々の変形が可能である。例えば、図5から図8にその他の実施形態における段差部の形状を示している。
【0034】
図5に示す第2の実施形態における記録ヘッド2では、圧力室20の底面に、当該底面から突出した凸部35が設けられている。この凸部35は、インク供給口22からノズル23に向かうインクの流れ方向に対して直交する方向に沿って複数設けられている。本実施形態の凸部35は、1つの圧力室20に対して4条設けられており、その長さが圧力室20の幅に揃えられている。この凸部35によって、インクの流れ方向に対して直交する方向に段差部25が形成され、インク供給口22側からノズル23側へ向かうインクの流れに対して抵抗が付与される。本実施形態の場合、金属片は、凸部35と凸部35との間、あるいは、インク供給口22に臨んだ凸部35よりもインク供給口22側の底面に堆積する。なお、その他の構成は、上記した第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0035】
図6に示す第3の実施形態における記録ヘッド2では、圧力室20の底面に対応する部分に、インク供給口22からノズル23に向かうインクの流れ方向に対して直交する方向に沿って、階段状の溝24′が複数設けられている。本実施形態の溝24′は、1つの圧力室20に対して2条設けられており、その長さが圧力室20の幅に揃えられている。この階段状の溝24′は、リザーバー29側からノズル23側に向けて2段下げ、その下がった底部からノズル23側に向けて前記2段と同様の高さに2段上げて形成される。このノズル23側に向けて階段状に上がった部分が、インク供給口22側からノズル23側へ向かうインクの流れに対して抵抗となる段差部25を構成している。なお、その他の構成は、上記した第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0036】
図7に示す第4の実施形態における記録ヘッド2では、溝や凸部を設けず、圧力室20の底面に対応する部分に、インク供給口22からノズル23に向かうインクの流れ方向に対して直交する方向に沿って、1つの段差部25が設けられている。溝や凸部を設け場合と異なり、この段差部25を挟んだノズル23側およびリザーバー29側の底面は、ともに平坦になっている。すなわち、ノズルプレート15におけるノズル23側の厚さが、インク供給口22側の厚さよりも厚くなっており、この厚さの違いによって段差部25が形成されている。なお、その他の構成は、上記した第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0037】
図8に示す第5の実施形態における記録ヘッド2では、ノズル23の開口縁に段差部25が設けられている。具体的には、ノズル23の開口縁の周囲を囲繞するように壁部36が設けられている。この壁部36の上端面と圧力室20の底面とがなす高低差が、段差部25となる。このためノズル23の周囲からの沈降した粒子が、ノズル内に流入することを防ぐことができる。例えば、インク供給口22側からノズル23側へ向かうインクの一部が圧力室20のリザーバー29とは反対側の壁に当たって、逆方向に向かう流れが生じた場合であっても、沈降した金属片が塊となってノズル23に流入することを防止できる。その結果、ノズル23が目詰まりすることをより確実に抑制することができる。なお、その他の構成は、上記した第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0038】
そして、上記した第2から第5の実施形態の場合であっても、沈降した金属片の移動を段差部25によって妨げることができ、ノズル23が目詰まりすることを抑制することができる。また、圧力室20の圧力変動によって段差部25に乱流を生じさせることができ、これにより沈降した粒子を攪拌することができる。
【0039】
なお、上記した各実施形態では、圧力発生手段として、所謂撓み振動型の圧電素子17を例示したが、これには限られず、例えば、所謂縦振動型の圧電素子を採用することも可能である。その他、圧力発生手段としては、発熱によりインクを突沸させることで圧力変動を生じさせる発熱素子や、静電気力により圧力室の区画壁を変位させることで圧力変動を生じさせる静電アクチュエーターなどの圧力発生手段を採用する構成においても本発明を適用することが可能である。
【0040】
そして、以上では、液体噴射ヘッドの一種であるインクジェット式記録ヘッド2を備えたプリンター1を例に挙げて説明したが、本発明は、他の液体噴射ヘッドにも適用することができる。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド、バイオチップ(生物化学素子)の製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等にも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…プリンター,2…記録ヘッド,15…ノズルプレート,20…圧力室,22…インク供給口,23…ノズル,24…溝,25…段差部,29…リザーバー,34…金属片,35…凸部,36…壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルに連通する圧力室と、
該圧力室に供給口を通じて液体を供給する共通液室と、
を有し、前記圧力室内の液体に圧力変動を付与することにより前記ノズルから液滴を噴射可能な液体噴射ヘッドであって、
前記圧力室の底面には、前記供給口側から前記ノズル側への流体の流れに対して抵抗となる段差部が設けられたことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
前記圧力室の底面に溝が設けられ、該溝によって前記段差部が構成されたことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項3】
前記圧力室の底面に当該底面から突出した凸部が設けられ、該凸部によって前記段差部が構成されたことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
【請求項4】
前記ノズルは、前記圧力室の底面に開口され、
前記ノズルの開口縁に前記段差部が設けられたことを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−107232(P2013−107232A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252353(P2011−252353)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】