説明

液体噴射装置及び液体噴射ヘッド

【課題】ノズルからの液体の溶媒の揮発をより効果的に抑制することが可能な液体噴射装置、及び、液体噴射ヘッドを提供する。
【解決手段】ノズル37が開口したノズル開口面を有し、前記ノズル37に連通する圧力室35に液体を充填し、当該圧力室35内の液体に圧力変動を付与することにより前記ノズルから液滴を噴射可能な液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置であって、加湿用液を前記ノズル開口面側に供給する加湿用液供給手段を備え、前記ノズル開口面における前記ノズルの開口から外れた位置に、前記加湿用液供給手段からの加湿用液が供給される加湿用穴45が形成され、前記加湿用穴45は、前記加湿用液を表面張力によって保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式プリンター等の液体噴射装置、及び、液体噴射ヘッドに関するものであり、特に、ノズルからの液体の溶媒の揮発をより効果的に抑制することが可能な液体噴射装置、及び、液体噴射ヘッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置は、液体を噴射可能な液体噴射ヘッドを備え、この液体噴射ヘッドから液体を噴射して着弾対象に着弾させる装置である。この液体噴射装置の代表的なものとして、例えば、インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッドの一種。以下、単に記録ヘッドという)を備え、この記録ヘッドのノズルから液体状のインクを噴射させて、記録紙や光ディスクの印刷面等の記録媒体(着弾対象の一種)に着弾させることで画像やテキスト等の記録を行うインクジェット式プリンター(以下、単にプリンターという。)等の画像記録装置を挙げることができる。また、近年においては、この画像記録装置に限らず、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造装置や電極形成装置等、各種の製造装置にも液体噴射装置のインクジェット技術が応用されている。
【0003】
このような液体噴射装置では、印刷動作中においてはノズルが大気に晒される。このため、ノズルを通じて液体の溶媒成分が揮発する。その結果、ノズル付近で液体の粘度が上昇し、これにより、噴射されるインクの重量が低下したりインクの飛翔速度が低下したりする等の不具合が生じる虞がある。このような液体の増粘による不具合を抑制すべく、液体噴射装置では、種々の対策が講じられている。例えば、上記のインクジェット式プリンターを例に挙げると、記録ヘッドのノズルが開口した面(以下、ノズル開口面という。)を封止するキャップ部材に洗浄液タンクとポンプを接続してキャップ部材内に洗浄液を供給・排出できるようにし、非記録動作時に記録ヘッドのノズルを洗浄液により洗浄した後、キャップ部材内に洗浄液を保持させることでキャップ部材内を高湿度に維持することにより、ノズル近傍のインク溶媒の揮発を抑制する構成が提案されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−209897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成では、記録媒体に対する記録処理(噴射処理中)においてはノズル開口面がキャップ部材から開放されるので、インクの増粘を確実に防止することができなかった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノズルからの液体の溶媒の揮発をより効果的に抑制することが可能な液体噴射装置、及び、液体噴射ヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、ノズルが開口したノズル開口面を有し、前記ノズルに連通する圧力室に液体を充填し、当該圧力室内の液体に圧力変動を付与することにより前記ノズルから液滴を噴射可能な液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置であって、
加湿用液を前記ノズル開口面側に供給する加湿用液供給手段を備え、
前記ノズル開口面における前記ノズルの開口から外れた位置に、前記加湿用液供給手段からの加湿用液が供給される加湿用穴が形成され、
前記加湿用穴は、前記加湿用液を表面張力によって保持することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、ノズル開口面におけるノズルの開口から外れた位置に加湿用穴が形成され、当該加湿用穴が、加湿用液を表面張力によって保持するので、加湿用穴に保持された加湿用液が蒸発して雰囲気に加湿されることにより、ノズル近傍の湿度をより高い状態に維持することが可能となる。これにより、ノズルからの液体の蒸発が抑制され、液体粘度の上昇が抑制される。その結果、液体の増粘による噴射不良、即ち、噴射される液体の量や飛翔速度が設計上目標とする値から著しく低下したり、或いはノズルから液体が噴射されなかったりする等の不具合を防止することができる。
また、ノズル開口面の加湿用穴に加湿用液が保持されていることで、静電気がノズルから液体を通じて圧力発生手段や駆動回路などに伝達することが抑制される。
さらに、揮発した加湿用液をノズル側に送る機構などの大がかりな装置が不要であるため、装置の大型化を抑えることができると共にコストも抑えることができる。
【0009】
上記構成において、前記液体噴射ヘッドは、前記ノズルを複数列設してなるノズル群を有し、
前記加湿用穴が、前記ノズル開口面に複数形成され、
各加湿用穴が、ノズルの列設方向に沿って列設されていることが望ましい。
この構成によれば、各加湿用穴に保持された加湿用液によって、各ノズルに対してムラなく加湿することができる。
【0010】
また、前記加湿用液供給手段は、加湿用液を貯留した加湿用液貯留部を、前記ノズル開口面に対して重力方向の上方に配置することが望ましい。
この構成によれば、重力を利用して加湿溶液を加湿用穴側に供給することができる。
【0011】
また、上記構成において、前記液体噴射ヘッドのノズル開口面を払拭する払拭部材を備え、
前記加湿用穴は、前記払拭部材の払拭方向において前記ノズルと同一線上に並ばないように配置されることが望ましい。
上記構成によれば、加湿用穴によって払拭部材が損傷される虞を低減することができる。
【0012】
さらに、上記構成において、前記加湿用液供給手段は、
加湿用液を前記加湿用穴に供給する送液手段を有する構成を採用することが望ましい。
上記構成によれば、各加湿用穴に対してムラ無く加湿用液を供給することができる。
【0013】
また、上記構成において、前記加湿用穴に保持されている保湿用液を検出する保湿用液検出手段を備えた構成を採用することが望ましい。
この構成において、前記加湿用液供給手段は、前記保湿用液検出手段により保湿用液が検出されない場合、前記送液手段を駆動することにより、加湿用液を前記加湿用穴に供給する構成を採用することが望ましい。
上記構成によれば、各加湿用穴に加湿用液を過不足無く保持させるようにすることができる。
【0014】
また、上記構成において、前記液体が、インクであって、
前記保湿用液は、インクの揮発成分を一種類以上含む構成を採用することができる。
【0015】
さらに、ノズル開口面には、撥液処理が施されていることが望ましい。
この構成によれば、加湿用穴に保持された加湿用液が、ノズル開口面に漏れ出すことが抑制される。これにより、加湿用液が液体噴射ヘッドから垂れ落ちることを防止することができる。撥液処理としては、既存の種々の構成を採用することができる。
【0016】
また、本発明の液体噴射ヘッドは、ノズルが開口したノズル開口面を有し、前記ノズルに連通する圧力室に液体を充填し、当該圧力室内の液体に圧力変動を付与することにより前記ノズルから液滴を噴射可能な液体噴射ヘッドであって、
加湿用液を前記ノズル開口面側に供給する加湿用液供給手段を備え、
前記ノズル開口面における前記ノズルの開口から外れた位置に、前記加湿用液供給手段からの加湿用液が供給される加湿用穴が形成され、
前記加湿用穴は、前記加湿用液を表面張力によって保持することを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、ノズル開口面におけるノズルの開口から外れた位置に加湿用穴が形成され、当該加湿用穴が、加湿用液を表面張力によって保持するので、加湿用穴に保持された加湿用液が蒸発して雰囲気に加湿されることにより、ノズル近傍の湿度をより高い状態に維持することが可能となる。これにより、ノズルからの液体の蒸発が抑制され、液体粘度の上昇が抑制される。その結果、液体の増粘による噴射不良、即ち、噴射される液体の量や飛翔速度が設計上目標とする値から著しく低下したり、或いはノズルから液体が噴射されなかったりする等の不具合を防止することができる。
また、ノズル開口面の加湿用穴に加湿用液が保持されていることで、静電気がノズルから液体を通じて圧力発生手段や駆動回路などに伝達することが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】プリンターの構成を説明する斜視図である。
【図2】第1の実施形態における(a)記録ヘッドの正面図(b)A−A線断面図である。
【図3】第1の実施形態における記録ヘッドの平面図である。
【図4】図3における(a)B−B線断面図(b)C−C線断面図(c)D−D線断面図である。
【図5】第1の実施形態における記録ヘッドの要部断面図である。
【図6】第2の実施形態における(a)記録ヘッドの正面図(b)E−E線断面図である。
【図7】第2の実施形態における記録ヘッドの平面図である。
【図8】第3の実施形態における(a)記録ヘッドの正面図(b)F−F線断面図(c)領域Xの拡大図である。
【図9】第3の実施形態における記録ヘッドの平面図である。
【図10】図9におけるG−G線断面図である。
【図11】図9におけるH−H線断面図である。
【図12】図9におけるI−I線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下に述べる実施の形態では、本発明の好適な具体例として種々の限定がされているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、以下においては、本発明の液体噴射装置として、インクジェット式記録装置(以下、プリンター)を例に挙げて説明する。
【0020】
図1に示したプリンター1は、インク(本発明における液体の一種)を貯留したインクカートリッジ5が取り付けられるカートリッジ装着部2を有し、後述する加湿用液用タンク17(本発明における加湿用液貯留部の一種)および記録ヘッド3(本発明における液体噴射ヘッドの一種)を搭載するキャリッジ4を備えている。そして、キャリッジ4は、ガイドロッド6に軸支された状態で、駆動プーリー8と遊転プーリー9との間に架設したタイミングベルト10に接続されている。そして、この駆動プーリー8はパルスモーター11の回転軸に接合されており、このパルスモーター11の作動によってキャリッジ4が記録紙7(記録媒体又は着弾対象の一種。)の幅方向、即ち、主走査方向に移動するようになっている。
【0021】
ガイドロッド6の下方には、このガイドロッド6と平行に紙送りローラー12が配置されている。この紙送りローラー12は、紙送りモーター13からの駆動力によって回転されて、プラテン14上の記録紙7を副走査方向へ搬送するように構成されている。
【0022】
キャリッジ4の移動範囲内であって、記録紙等の噴射対象に対して画像等の印刷が行われる記録領域よりも外側の端部領域には、記録ヘッド3の移動の基点となるホームポジションが設定されている。このホームポジション側には、記録ヘッド3のノズル開口面をキャッピング(封止)可能なキャッピング機構15と、ノズル開口面を払拭(ワイピング)するためのワイピング機構16とが隣り合わせて配設されている。キャッピング機構15は、記録ヘッド3のノズル開口面、即ち、ノズルプレート31の噴射側の面を封止可能なキャップ部材15′を備えており、このキャップ部材15′を上下に進退させることが可能に構成されている。キャップ部材15′は、平面視において略矩形状の箱体、詳しくは、上面側が開放されたトレイ状の部材であり、その全体が例えばエラストマーなどの弾性素材によって作製されている。キャリッジ4がホームポジションに位置付けられると、キャップ部材15′が上方に移動して記録ヘッド3のノズル開口面を封止するキャッピング状態となる。このキャッピング状態では、ノズル開口面に開設されたノズル37がキャップ部材15′の内部の空部に臨み、且つ、キャップ部材15′の上端縁とノズル開口面とが密着するようになっている。したがって、記録ヘッド3のノズルからのインク溶媒の蒸発が抑制され、インク粘度の上昇が抑制される。そして、記録ヘッド3が噴射対象に対して画像等の記録を行う記録処理時には、ノズル開口面に対するキャップ部材15′のキャッピング状態が解除される。なお、本発明におけるノズル開口面は、ノズルプレート31の噴射面には限られず、ノズルプレート31の噴射面の外周(同一面上には限られない)に設けられる他の部材(例えば、流路基板30や金属製のカバー等)が存在する場合、当該部材もノズル開口面に含まれる。したがって、当該部材に、後述する加湿用穴45を設ける構成を採用することもできる。
【0023】
キャッピング機構15と記録領域(プラテン14)との間には、ワイピング機構16が設けられる。このワイピング機構16は、ワイパーブレード16′(本発明における払拭部材の一種)を有している。このワイピング機構16は、ワイパーブレード16′の先端部が記録ヘッド3の移動経路に重なるワイピング位置と、この移動経路から外れてブレード16′の先端部が記録ヘッド3に接触しない退避位置とに進退可能となっている。記録ヘッド3のノズル開口面を払拭する場合には、ワイパーブレード16′をワイピング位置まで移動させ、ワイパーブレード16′の先端部がノズル開口面に当接する状態で記録ヘッド3とワイパーブレード16′とを相対移動させることで、ワイパーブレード16′がノズル開口面に付着したインク等を払拭するようになっている。本実施形態においては、ワイパーブレード16′のノズル開口面に対する相対移動方向は、ノズル列44と平行となっている。
【0024】
図2〜図5は、第1の実施形態における上記記録ヘッド3、インクカートリッジ5、及び、加湿用液用タンク17の構成を説明する図であり、図2(a)は記録ヘッド3の正面図、図2(b)は図2(a)におけるA−A線断面図、図3は記録ヘッド3の平面図、図4は図3における(a)B−B線断面図、(b)C−C線断面図、(c)D−D線断面図である。また、図5は記録ヘッド3の要部断面図であり、2列のノズル列44のうちの一方のノズル列44に対応する構成のみを図示している。なお、図2〜4において、キャリッジ4の図示は省略されている。また、図5において、他方のノズル列44に対応する構成は、図5に図示されたものと左右方向に対称であるため省略されている。
【0025】
インクカートリッジ5および加湿用液用タンク17は、記録ヘッド3の上面側に位置するようにキャリッジ4に着脱可能に装着される。換言すると、インクカートリッジ5および加湿用液用タンク17は、記録ヘッド3のノズル開口面(ノズルプレート31の噴射側の面)に対して重力方向の上方に配置される。これにより、重力を利用してインクや加湿溶液を記録ヘッド3側に供給することができる。インクカートリッジ5は、中空箱体状に形成された部材であり、その内部に区画されたインク貯留空部5′内にインクを収容している。本実施形態においては、2つのインクカートリッジ5が記録ヘッド3に対して装着可能となっている。インクカートリッジ5内には、記録ヘッド3の上面(ノズル開口面とは反対側の面)に設けられたインク導入針22が挿入されるようになっており、このインク導入針22を通じて、インク貯留空部5′に貯留されているインクが記録ヘッド3内部のインク流路(液体流路の一種。)に導入される。加湿用液用タンク17は、インクカートリッジ5と同様に中空箱体状に形成された部材であり、その内部に区画された加湿用液貯留空部17′内に、記録ヘッド3のノズル開口面を加湿するための加湿用液を収容している。この加湿用液貯留空部17′は、加湿用液供給チューブ18を通じて、記録ヘッド3のケース23内に形成された加湿用液供給路27に連通している。加湿用液は、後述する加湿用穴45に保持されることによりノズル開口面の湿度を高めるための液体である。この加湿用液としては、純水やインクの溶媒などを用いることができる。ノズル開口面を加湿する観点から、加湿用液には、インクの揮発成分を一種類以上含むことが望ましい。揮発成分としては、石油類或いはアルコール類などを採用することもできる。なお、インクカートリッジ5および加湿用液用タンク17に関し、本実施形態では、キャリッジ4に搭載される構成を例示したが、これには限られない。例えば、インクカートリッジ5および加湿用液用タンク17をプリンター1の本体側に配置し、これらに貯留されているインクや加湿用液を、供給チューブ等を介して記録ヘッド3側に供給する構成を採用することも可能である。
【0026】
加湿用液供給路27は、インク流路から外れた位置に独立して記録ヘッド3内に形成された流路である。本実施形態における加湿用液供給路27は、ノズル開口面(ノズルプレート31)に対して平行な横流路27aと、ノズル開口面に対して垂直な縦流路27bと、により構成されている。横流路27aは、各縦流路27bの上端同士を繋ぐように形成された流路である。具体的には、この横流路27aは、図2(b)に示すように、ケース23においてノズル列方向の両端部にそれぞれ形成された、当該ノズル列方向に直交する方向に延びる2本の流路と、ノズル列方向に沿ってそれぞれ平行に延びる3本の流路とからなり、後述する一連のインク流路に対応する位置から外れた(避けた)位置、かつ周囲を囲う位置に互いに連通するように形成されており、ケース23の高さ方向においてノズル開口面とは反対側の上面側に位置している。そして、横流路27aには、導入路27a′を介して加湿用液供給チューブ18が液密状態で接続される。一方、縦流路27bは、上端が横流路27aに連通し、図4に示すように、下端がノズル開口面における加湿用穴45(後述)に連通した流路であり、ケース23の高さ方向に沿って、当該ケース23を含む記録ヘッド3の構成部材(振動板32、流路基板30)に渡って形成されている。したがって、加湿用液用タンク17から加湿用液供給チューブ18を通じて加湿用液供給路27内に流入した加湿用液は、横流路27a及び縦流路27bを通って、ノズル開口面の加湿用穴45に供給されるようになっている。したがって、加湿用液用タンク17および加湿用液供給路27は、本発明における加湿用液供給手段の一種に相当する。
【0027】
次に、記録ヘッド3のインクを噴射するための構成について説明する。
記録ヘッド3は、図5に示すように、ケース23と、このケース23内に収納される振動子ユニット24と、ケース23の底面(先端面)に接合される流路ユニット25等を備えている。上記のケース23は、例えば、エポキシ系樹脂により作製され、その内部には振動子ユニット24を収納するための収納空部26が形成されている。振動子ユニット24は、圧力発生手段の一種として機能する圧電振動子20と、この圧電振動子20が接合される固定板28と、圧電振動子20に駆動信号等を供給するためのフレキシブルケーブル29とを備えている。圧電振動子20は、圧電体層と電極層とを交互に積層した圧電板を櫛歯状に切り分けることで作製された積層型であって、積層方向(電界方向)に直交する方向に伸縮可能(電界横効果型)な縦振動モードの圧電振動子である。
【0028】
流路ユニット25は、流路基板30の一方の面にノズルプレート31を、流路基板30の他方の面に振動板32をそれぞれ接合して構成されている。この流路ユニット25には、リザーバー33(共通液体室)と、インク供給口34と、圧力室35と、ノズル連通口36と、ノズル37とを設けている。そして、インク供給口34から圧力室35及びノズル連通口36を経てノズル37に至る一連のインク流路が、各ノズル37に対応して形成されている。
【0029】
上記ノズルプレート31は、ドット形成密度に対応したピッチ(例えば180dpi)で複数のノズル37が列状に穿設された部材であり、本実施形態では、例えば、ステンレス鋼によって作製されている。また、ノズルプレート31は、シリコン単結晶基板によって作製される場合もある。このノズルプレート31は、インクが噴射される側の面(ノズル開口面)に、加湿用液を保持するための加湿用穴45を有している点に特徴を有している。この点の詳細については後述する。
【0030】
上記振動板32は、支持板38の表面に弾性体膜39を積層した二重構造である。本実施形態では、金属板の一種であるステンレス板を支持板38とし、この支持板38の表面に樹脂フィルムを弾性体膜39としてラミネートした複合板材を用いて振動板32を作製している。この振動板32には、圧力室35の容積を変化させるダイヤフラム部40が設けられている。また、この振動板32には、リザーバー33の一部を封止するコンプライアンス部41が設けられている。
【0031】
上記のダイヤフラム部40は、エッチング加工等によって支持板38を部分的に除去することで作製される。即ち、このダイヤフラム部40は、圧電振動子20の自由端部の先端面が接合される島部42と、この島部42を囲む薄肉弾性部43とからなる。上記のコンプライアンス部41は、リザーバー33の開口面に対向する領域の支持板38を、ダイヤフラム部40と同様にエッチング加工等によって除去することにより作製され、リザーバー33に貯留された液体の圧力変動を吸収するダンパーとして機能する。
【0032】
そして、上記の島部42には圧電振動子20の先端面が接合されているので、この圧電振動子20の自由端部を伸縮させることで圧力室35の容積を変動させることができる。この容積変動に伴って圧力室35内のインクに圧力変動が生じる。そして、記録ヘッド3は、この圧力変動を利用してノズル37からインク滴を噴射させるようになっている。なお、図示しないが、記録ヘッド3には、ノズル開口面の周縁部を被覆する金属製のヘッドカバーが取り付けられる。このヘッドカバーは、接地線に接続されており、ノズルプレート31に接触して電気的に導通することで、例えば、記録紙7等から発生した静電気がノズルプレートを通じて伝達することによる駆動IC等の損傷や誤作動等の不具合を防止するようになっている。
【0033】
上記ノズルプレート31には、図3に示すように、複数のノズル37を等間隔のピッチで列設したノズル列44(ノズル群)が設けられており、1つのノズル列44は、例えば180個のノズル37によって構成される。本実施形態においては、2列のノズル列44が、記録ヘッド3の移動方向に並べて形成されている。このノズルプレート31の噴射側の面(ノズル開口面)におけるノズル37の開口から外れた(避けた)位置であり、前記一連のインク流路と対応する位置から外れた位置に、複数の加湿用穴45が形成されている。また、図5に示すように、各加湿用穴45は、上記の加湿用液を表面張力により保持することが可能な程度の開口径に設定された穴であり、縦流路27bの下端が連通している。図3に示すように、本実施形態では、複数の加湿用穴45がノズルピッチと同じピッチで列設され、ノズル列方向に沿ってそれぞれ平行に延びる3本の第1の加湿用穴列45aと、ノズル列方向の両側に当該加湿用穴列に直交する方向に延び、各第1の加湿用穴列45aと交差する2本の第2の加湿用穴列45bと、から構成されている。また、各加湿用穴45に対応した縦流路27bは、それぞれ上端で横流路27aと連通しており、加湿用液用タンク17からの加湿用液は、横流路27a及び各縦流路27bを通って、ノズル開口面の対応する加湿用穴45にそれぞれ供給される。
なお、ノズル開口面に形成する加湿用穴45の数や形成位置については、本実施形態において例示したものには限られないが、少なくとも、ノズル列により近い位置に当該ノズル列44方向に沿って加湿用穴列45aを形成することにより、各加湿用穴45に保持された加湿用液によって、各ノズル37に対してムラなく加湿することができる。また、加湿用穴45の形成数を変更することで、加湿の程度を調整することができる。例えば、揮発しやすい或いは粘度の高いインクに対応するノズル列に沿って形成される加湿用穴列の形成ピッチに関しては、より小さく設定し、これよりも揮発しにくい或いは粘度が低いインクに対応するノズル列に沿って形成される加湿用穴列の形成ピッチに関しては、より大きく設定する構成を採用することもできる。
そして、ノズルプレート31のノズル開口面における、ノズル37及び加湿用穴45以外の領域には、撥液被膜層を形成するなどして撥液処理が施されることが望ましい。これにより、ノズル開口面にインクが付着し難くなり、ワイピング機構16のワイピングによるノズル開口面の払拭性が向上する。また、加湿用穴45に保持された加湿用液が、加湿用穴45の外側(ノズル開口面)に漏れ出すことが抑制される。これにより、加湿用液が記録ヘッド3から垂れ落ちることを防止することができる。撥液処理としては、既存の構成を採用することができる。前記した、撥液被膜層としては、例えば、共析メッキが使用される。具体的には、ニッケルイオン等の金属イオンとフッ素樹脂等の撥液性高分子樹脂の粒子を含む電解質溶液中に、電極を接続したノズルプレートを浸漬し、その表面にメッキを付着させた後、荷重を加えて反りを抑えながら過熱処理することで撥液被膜層が得られる。
【0034】
上記構成の記録ヘッド3では、ノズル開口面に形成された加湿用穴45が、加湿用液を表面張力によって保持するので、ノズル開口面がキャッピング機構15によるキャッピングから開放された状態であっても、加湿用穴45に保持された加湿用液が蒸発して雰囲気に加湿されることにより、ノズル37の近傍の湿度をより高い状態に維持することが可能となる。これにより、ノズル37からのインク溶媒の蒸発が抑制され、インク粘度の上昇が抑制される。その結果、インクの増粘による噴射不良、即ち、噴射されるインクの量や飛翔速度が設計上目標とする値から著しく低下したり、或いはノズル37からインクが噴射されなかったりする等の不具合を防止することができる。
また、揮発した加湿用液をノズル側に送る機構などの大がかりな装置が不要であるため、装置の大型化を抑えることができると共にコストも抑えることができる。
さらに複数のノズル列を有する記録ヘッドにおいても、当該ノズル列に沿って複数の加湿用穴45(加湿用穴列45a)を設けることで、各ノズル37に対してムラ無く均等に加湿することができる。
また、ノズル37の近傍の湿度がより高い状態に維持されるので、例えば、記録紙7等から発生した静電気がノズル37からインクを通じて圧電振動子20や駆動回路などに伝達してこれらが損傷することが抑制される。特に、ノズル開口面に、絶縁性の高い撥液膜等が形成されている場合に、加湿用穴45に保持されている加湿用液側に静電気を逃すことができ、静電気による不具合をより効果的に防止することができる。
【0035】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図6〜図7は、本実施形態の構成を説明する図であり、図6(a)は記録ヘッド3の正面図、図6(b)は図6(a)におけるE−E線断面図、図7は記録ヘッド3の平面図である。本実施形態では、上記複数の加湿用穴45に関し、3本の第1の加湿用穴列45aのみが形成され、第2の加湿用穴列45bは形成されていない点が上記第1の実施形態と相違している。即ち、本実施形態における複数の加湿用穴45は、ワイピング時におけるワイパーブレード16′の払拭方向(ノズル開口面とワイパーブレード16′との相対移動方向。図7において矢印で示す。)に沿って延びる加湿用穴列45aのみで構成されている。換言すると、加湿用穴45は、払拭方向においてノズル37と同一線上に並ばないように配置されている。これにより、ワイパーブレード16′の払拭時に、加湿用穴45とワイパーブレード16′の接触箇所を少なくでき、ワイパーブレード16′が損傷することを抑制することができる。さらに、ワイピング時の動作音が大きくなることが抑制される。また、加湿用穴45とノズル37が払拭方向において同一線上に並ばないので、ワイパーブレード16′による払拭の際に、加湿用穴45に保持されている加湿用液がノズル37におけるインクと混ざることを防止することができる。なお、各加湿用穴45に対応した縦流路27bが連通する横流路27aは、図6に示すように、ケース23において第1の加湿用穴列45aに対応した3本の流路(ノズル列44に対して平行に延びる流路)と該流路と一側(加湿用液供給チューブ18側)端部で直交する1本の流路からなっている。そして、第1の実施形態と同様に、加湿用液用タンク17からの加湿用液は、横流路27a及び各縦流路27bを通って、ノズル開口面の対応する加湿用穴45にそれぞれ供給される。なお、その他の構成については、上記第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0036】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図8〜図12は、本実施形態の構成を説明する図であり、図8(a)は記録ヘッド3の正面図、図8(b)は図8(a)におけるF−F線断面図、図8(c)は図8(b)における領域Xの拡大図である。また、図9は記録ヘッド3の平面図、図10は図9におけるG−G線断面図、図11は図9におけるH−H線断面図、図12は図9におけるI−I線断面図である。本実施形態は、インクを噴射するための構成(リザーバー33から圧力室35までの流路および圧電振動子20等の構成)の1つを供給ポンプとして利用して、加湿用液を加湿用穴45に供給する送液手段を有する点が、上記各実施形態と異なっている。より具体的には、インク流路から独立した、加湿用液リザーバー33′、加湿用液供給口34′、加湿用液供給用圧力室35′、及び当該加湿用液供給用圧力室35′内に圧力変動を付与する加湿用液供給用圧電振動子20′(送液手段の一種)が設けられている。加湿用液を供給するための構成(本発明における加湿用液供給手段の一部)は、基本的にはインクを噴射するための構成とほぼ共通しているが、加湿用液を供給する構成ではノズル37が設けられていない。
【0037】
加湿用液用タンク17は、図10に示すように、加湿用液供給チューブ18を通じて、記録ヘッド3のケース23内に形成された導入流路46に連通しており、当該導入流路46は、加湿用液リザーバー33′に連通している。したがって、加湿用液用タンク17から加湿用液供給チューブ18を通じて導入流路46内に流入した加湿用液は、加湿用液リザーバー33′および加湿用液供給口34′を通って加湿用液供給用圧力室35′に供給される。加湿用液供給用圧力室35′の、ノズル開口面とは反対側の上部には、連通流路47の一端が開口している。この連通流路47の他端は、図10に示すように、加湿用液供給路27の横流路27aと連通している。なお、横流路27aは、図8(b)に示すように、ケース23においてノズル列44に対して平行に延びる3本の流路と、該流路と一側(加湿用液供給チューブ18側)端部で直交する1本の流路と、他側端部より内側で上記3本の流路と直交する光路(後述)と、からなっている。上記の構成で、加湿用液供給用圧電振動子20′を駆動させると、加湿用液供給用圧力室35′の容積が変動し、この容積変動に伴って、加湿用液供給用圧力室35′内に充填された加湿用液に圧力変動が生じる。そして、この圧力変動を利用して加湿用液供給用圧力室35′から連通流路47および加湿用液供給路27を通じて、加湿用液を各加湿用穴45に供給することができる。これにより、各加湿用穴45に対してムラ無く加湿用液を供給することができる。また、加湿用液を各加湿用穴45に最初に充填する際に、より短時間で充填を完了することができる。
【0038】
なお、加湿用液用のポンプとして機能する構成(送液手段)については、複数設けても良く、また、インクを噴射するための構成のうち、いずれを加湿用液用のポンプとして利用するかについても任意である。例えば、1つの加湿用穴45に対して1つの加湿用液供給用圧電振動子20′をそれぞれ備え、各加湿用穴45に至る一連の流路(加湿用液供給路27等)をそれぞれ独立に形成すれば、各加湿用穴45ごとの加湿量を調整することができ、部分的な加湿も可能となる。この場合、増粘し易いノズル37(例えば、インク噴射回数の少ないノズル37)近傍に位置した加湿用穴45の加湿用液の量を制御して、効率よく加湿することができる。なお、加湿用液供給用圧力室35′や加湿用液供給用圧電振動子20′等を利用せずに、他の構成のポンプ機構を利用しても良い。
【0039】
また、本実施形態は、加湿用穴45に加湿用液が保持されているか否かを検出する保湿用液検出手段が設けられている点にも特徴を有している。
図8(b)に示すように、横流路27aにおいて、加湿用液供給チューブ18とは反対側でノズル列44に対して平行に延びる3本の流路と、該流路の端部より内側でノズル列に直交する方向に延びる光路48が形成されている。この光路48は、光が通過でき、加湿用液が流入可能な筒状の空部である。そして、横流路27aのノズル列44に対して平行に延びる3本の流路のうち、中央に位置する流路において、光路48側の端部には、図8(c)に示すように、断面(平面視)五角形状(ホームベース型)のプリズム51が、当該五角形状を形成する各辺のうちの3辺が流路端部の内壁に当接し、内壁に当接しない残りの2辺が光路48と交わる位置に配置されている。ここで、プリズム51は、プラスチック、ガラス、石英ガラス等から作成され、加湿用液と屈折率が近いものを選択する。例えば、加湿用液を水(屈折率約1.33)とした場合、プリズムは、石英ガラス(屈折率約1.45)等で形成するのが望ましい。また、プリズム51が当接する流路の内壁は、光が反射しないように黒色に塗られている。さらに、横流路27aの上方(インクカートリッジ5側)には外部と連通する空気穴52が開設している(図10参照)。なお、この空気穴52内に液体が通過できないフィルタ等を具備してもよい。また、光路48の一端部(図8(b)において右端部)には、発光素子49が配設され、他端部(図8(b)において左端部)には、受光素子50が配設されている。発光素子49は、例えば、発光ダイオードなどで構成される。また、受光素子50は、フォトダイオード或いはフォトトランジスタなどで構成される。本実施形態においては、光路48、発光素子49、受光素子50、及びプリズム51が、本発明における保湿用液検出手段として機能する。
【0040】
横流路27aに加湿用液が満たされておらず、光路48及びプリズム51周囲に加湿用液が存在しない場合は、空気穴52からの空気によって満たされるため、発光素子49からの光は、図8(c)においてDaで示すように、プリズム51に入射する際にプリズム51と空気の屈折率差によって屈折する。このため、屈折した光が流路の内壁に当たり、受光素子50に受光されない状態となる。一方、横流路27aに加湿用液が十分に満たされ、光路48及びプリズム51周囲に加湿用液が充填されている場合は、プリズム51を加湿用液に近い屈折率としたため、発光素子49からの光は、図8(c)においてDbで示すように、プリズム51に入射および出射する際に屈折を小さく抑えることができ、受光素子50に受光される状態となる。
【0041】
受光素子50からの検出信号は、プリンター1本体の図示しない制御部に出力される。したがって、制御部は、受光素子50の検出信号に基づいて、横流路27aに加湿用液が満たされているか否かを判断することができる。そして、制御部は、加湿用液供給手段の一部として機能し、この検出信号に基づき送液手段(加湿用液供給用圧電振動子20′)を制御することで、横流路27aに加湿用液を過不足無く保持させるようにすることができ、横流路27bを介して加湿用穴45を安定して加湿することができる。例えば、加湿用穴45の保湿用液が検出されない場合、加湿用液供給用圧電振動子20′を駆動させることで、加湿用液供給用圧力室35′内に充填された加湿用液を一連の流路を介して各加湿用穴45に供給する。なお、その他の構成については、上記第2の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0042】
なお、以上では、液体噴射装置の一種であるインクジェット式プリンターを例に挙げて説明したが、本発明は他の液体噴射装置にも適用することができる。例えば、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターを製造するディスプレイ製造装置,有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイやFED(面発光ディスプレイ)等の電極を形成する電極製造装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置,極く少量の試料溶液を正確な量供給するマイクロピペットにも適用することができる。そして、ディスプレイ製造装置では、色材噴射ヘッドからR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を噴射する。また、電極製造装置では、電極材噴射ヘッドから液状の電極材料を噴射する。チップ製造装置では、生体有機物噴射ヘッドから生体有機物の溶液を噴射する。
【符号の説明】
【0043】
1…プリンター,3…記録ヘッド,15…キャッピング機構,16…ワイピング機構,16′…ワイパーブレード,17…加湿用液用タンク,20…圧電振動子,20′…加湿用液供給用圧電振動子,27…加湿用液供給路,31…ノズルプレート,33…リザーバー,33′…加湿用液リザーバー,34…インク供給口,34′…加湿用液供給口,35…圧力室,35′…加湿用液供給用圧力室,37…ノズル,44…ノズル列,45…加湿用穴,46…導入流路,47…連通流路,48…光路,49…発光素子,50…受光素子,51…プリズム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルが開口したノズル開口面を有し、前記ノズルに連通する圧力室に液体を充填し、当該圧力室内の液体に圧力変動を付与することにより前記ノズルから液滴を噴射可能な液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置であって、
加湿用液を前記ノズル開口面側に供給する加湿用液供給手段を備え、
前記ノズル開口面における前記ノズルの開口から外れた位置に、前記加湿用液供給手段からの加湿用液が供給される加湿用穴が形成され、
前記加湿用穴は、前記加湿用液を表面張力によって保持することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記液体噴射ヘッドは、前記ノズルを複数列設してなるノズル群を有し、
前記加湿用穴が、前記ノズル開口面に複数形成され、
各加湿用穴が、ノズルの列設方向に沿って列設されていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記加湿用液供給手段は、加湿用液を貯留した加湿用液貯留部を、前記ノズル開口面に対して重力方向の上方に配置することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記液体噴射ヘッドのノズル開口面を払拭する払拭部材を備え、
前記加湿用穴は、前記払拭部材の払拭方向において前記ノズルと同一線上に並ばないように配置されたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記加湿用液供給手段は、加湿用液を前記加湿用穴に供給する送液手段を有することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記加湿用穴に保持されている保湿用液を検出する保湿用液検出手段を備えたことを特徴とする請求項5に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
前記加湿用液供給手段は、前記保湿用液検出手段により保湿用液が検出されない場合、前記送液手段を駆動することにより、加湿用液を前記加湿用穴に供給することを特徴とする請求項6に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
前記液体が、インクであって、
前記保湿用液は、インクの揮発成分を一種類以上含むことを特徴とする請求項1から請求項7の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項9】
前記ノズル開口面には、撥液処理が施されていることを特徴とする請求項1から請求項8の何れか一項に記載の液体噴射装置。
【請求項10】
ノズルが開口したノズル開口面を有し、前記ノズルに連通する圧力室に液体を充填し、当該圧力室内の液体に圧力変動を付与することにより前記ノズルから液滴を噴射可能な液体噴射ヘッドであって、
加湿用液を前記ノズル開口面側に供給する加湿用液供給手段を備え、
前記ノズル開口面における前記ノズルの開口から外れた位置に、前記加湿用液供給手段からの加湿用液が供給される加湿用穴が形成され、
前記加湿用穴は、前記加湿用液を表面張力によって保持することを特徴とする液体噴射ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−224780(P2011−224780A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93645(P2010−93645)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】