説明

液体室、気体室、及び中間室を備えた充填バルブ、及び充填バルブを備えた充填機

充填バルブ(12)が、中空のハウジング(21)と、ハウジング(21)内で滑動するよう取り付けられた可動バルブアセンブリ(24)とを備え、前記可動バルブアセンブリ(24)及び前記中空のハウジング(21)が共に、液体室(30)及び気体室(32)を画定し、さらに、前記液体室(30)を液体供給パイプ(14)に連通する液体入口(46)と、前記気体室(32)を気体供給パイプ(17)に連通する気体入口(47)とを有し、前記中空のハウジング(21)及び前記可動バルブアセンブリ(24)が共に、液体室(30)と気体室(32)との間に配置された中間室(33)を画定し、前記充填バルブ(12)が、さらに、バルブアセンブリ(24)を液体室(30)と中間室(33)との間でハウジング(21)に連結する第1のダイアフラム(35)と、バルブアセンブリ(24)を気体室(32)と中間室(33)との間でハウジング(21)に連結する第2のダイアフラム(36)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭酸飲料などの加圧充填液体で容器を充填するための充填バルブ、及びこのような充填バルブを含む充填機に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第6601618号明細書(特許文献1)及び欧州特許出願第1101998号明細書(特許文献2)の両方に、バルブハウジング内で滑動するよう取り付けられた中空のバルブロッドを備えた充填バルブが開示されている。バルブロッドには、ガス流路を画定する貫通孔が設けられ、液体流路が、バルブロッドの外周とハウジングの内周との間で画定される。ダイアフラムが、液体室とバルブロッドの垂直方向の位置を制御するよう設けられた圧力室とを隔離するために、バルブロッドをハウジングに接続する。
【0003】
通常の動作状況においては、このような構造は、ある程度満足できるものである。しかし、ダイアフラムが壊れると直ぐに、又はダイアフラムのレベルで小さい漏れが発生した場合に、液体が圧力室を汚染する恐れがあり、この結果、充填バルブの運転に不都合が生じる。充填機は、適切な保全作業がなされるまで停止しなければならない。これは、生産性の損失の原因となる。
【特許文献1】米国特許第6601618号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第1101998号明細書
【特許文献3】欧州特許出願第0375912号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、その運転がより安全な充填バルブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
提案される充填バルブは、
中空のハウジングと、
ハウジング内で滑動するよう取り付けられた可動バルブアセンブリとを備え、前記可動バルブアセンブリ及び前記中空のハウジングが共に、液体室及び気体室を画定し、
さらに、前記液体室を液体供給パイプに連通する液体入口と、
前記気体室を気体供給パイプに連通する気体入口とを有し、
前記中空のハウジング及び可動バルブアセンブリが共に、気体室と液体室との間に配置された中間室を画定し、
前記充填バルブが、さらに、
バルブアセンブリを液体室と中間室との間でハウジングに連結する第1のダイアフラムと、
バルブアセンブリを気体室と中間室との間でハウジングに連結する第2のダイアフラムとを備える。
【0006】
ダイアフラムが故障した、たとえばダイアフラムが壊れた場合にも、両方のダイアフラムが同時に故障している危険性は非常に低いので、液体(又は気体)が、中間室を充填し、気体(又は液体)室に入ることができない。したがって、必要な保全作業をするために機械が停止されるまで、充填を停止する必要がない。したがって、生産性が保たれる。
【0007】
好ましい実施形態の詳細な記述を添付図面と合わせて考えることにより、本発明の上記の及び他の目的及び利点がより明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1を参照すると、COなどの気体で飽和された(ミネラルウォーター、清涼飲料、ビールなどの)加圧充填液体で容器2を充填するための充填機1が示されている。
【0009】
充填機1は、液体供給ダクト5に連通している液体空間4と、気体供給ダクト7に連通しているその上の気体空間6とを画定する、容器型の貯蔵タンク3を備える。
【0010】
液体は、貯蔵タンク3の内側に置かれたレベルプローブ8を含む制御装置により所定のレベルに維持され、気体は、貯蔵タンク温度で液体の飽和圧力に等しい又はこれを超える所定の圧力に維持され、したがって、充填液体は、その上の気体空間6と平衡状態にあり、常にCOで飽和されている。
【0011】
充填機1は、回転型であり、駆動手段(図示せず)によって回転される回転ラック9を備え、
複数の周辺容器支持設備11(この1つが図2に部分的に示されている)とこれに対応する複数の充填バルブ12とが設けられた下部プレート10と、
複数の放射状の液体供給パイプ14を含む中間プレート13とを含み、この中間プレートのそれぞれが、貯蔵タンク3の液体空間4に連通し、流量計15を介して充填バルブ12に接続され、
さらに、貯蔵タンク3の気体空間6に連通し、かつ充填バルブ12に接続された、複数の放射状の気体供給パイプ17を含む上部プレート16を含む。
【0012】
容器支持設備11は、支持アーム18を含み、この上端19が、これに対応する充填バルブ12を通って充填される容器2のカラー20と協働するよう分岐する。
【0013】
充填には、いわゆる等圧方法が使用される。この方法は、欧州特許出願第0375912号明細書(特許文献3)に詳しく説明されており、2つの主要な特徴を有する。まず第1に、容器2は、液体で充填される前に貯蔵タンク3からの加圧気体で予め充填され、第2に、液体が貯蔵タンク3内の液体空間4のレベルより低いレベルで充填バルブ12を出る。
【0014】
図3に表されているように、充填バルブ12は、垂直方向の主軸Xの周りに形成され、かつハウジング21の底端部で開口23を形成するよう開放された内部の孔22を有する、円筒形の中空のハウジング21と、主軸Xに沿ってハウジング21内に滑動するよう取り付けられた可動バルブアセンブリ24とを備える。ハウジング21は、互いにバネで取り付けられた、4つの円筒形の同軸の台21a、21b、21c、21d、即ち、下部ハウジング台21a、第1の中間ハウジング台21b、第2の中間ハウジング台21c、及び上部ハウジング台21dを順に重ねることによって形成される。
【0015】
可動バルブアセンブリ24は、互いに対して移動可能である2つの台、即ち、中空のバルブロッド25から形成された下部の台と、円筒形のピストン本体27と上部ハウジング台21dにおいて円筒形の孔から形成された空気室29内で滑動するよう収容されるピストンヘッド28とを有するピストン26から形成された上部の台とを有する。
【0016】
図3に表されているように、バルブアセンブリ24及びハウジング21は共に、
下部ハウジング台21aにおいてバルブロッドの下部31の外周とハウジング孔22の内周との間に形成された液体室30と、
第2の中間ハウジング台21cにおいてピストン本体27の外周とハウジング孔22の内周との間に形成された気体室32と、
第1の中間ハウジング台21bにおいてバルブロッド25の上部34の外周とハウジング孔22の内周との間に、即ち液体室30と気体室32との間に形成された中間室33とを画定する。
【0017】
バルブ12は、バルブアセンブリ24とハウジング21とを連結する、第1の又は下部ダイアフラム35を備える。下部ダイアフラム35は、一方ではバルブロッド25の下部31と上部34との間で、他方では下部ハウジング台21aと第1の中間ハウジング台21bとの間で液密に保持され、これにより、下部ダイアフラム35は、液体室30と中間室33との間で液密に柔軟な封止を形成する。
【0018】
バルブ12は、さらに、下部ダイアフラム35の上に距離を置いてバルブアセンブリ24とハウジング21とを連結する、第2の又は上部ダイアフラム36を備える。上部ダイアフラム36は、一方ではバルブロッド25の上部34の上端37で、他方では第1の中間ハウジング台21bと第2の中間ハウジング台21cとの間で、気密に保持され、これにより、上部ダイアフラム36は、気体室32と中間室33との間で気密に柔軟な封止を形成する。
【0019】
バルブロッド25の下部31は、図3、図4、及び図5に示されているように、ハウジング孔22の内周と協働し、かつバルブロッド25の閉位置において、ハウジング開口23の近傍部に形成された弁座42に液密に当接する封止要素41が設けられた環状の接触面40を画定する、周辺のらせん状のリブ39を有する充填ヘッド38を形成する。
【0020】
バルブロッド25は、バルブロッド25の中空の部分に対応し、かつ気体室32を容器2の内側に連通するガス流路を構成する貫通孔43を有する。バルブロッド25の上端37では、ガス流路を構成する貫通孔43が気体室32内に開放され、バルブロッド25の下端44では、ガスパイプ45が、容器2の方に貫通孔43を延在するよう、充填ヘッド38から軸方向に突き出ている。
【0021】
バルブ12はまた、液体室30を液体供給パイプ14に連通するために下部ハウジング台21aにおいて貫通孔によって形成された液体入口46と、気体室32を気体供給パイプ17に連通するために第2の中間ハウジング台21cにおいて貫通孔によって形成された気体入口47とを有する。
【0022】
バルブロッド25は、以下に開示する一定の条件において、
接触面40が弁座42と液密に接触しており、これにより液体が液体室30からハウジング開口23を通って流れることが防止される閉位置(図3、図4、図5)と、
バルブロッド25が閉位置に対して上昇し、したがって接触面40が弁座42から間隔をあけられ、これにより液体がハウジング開口23を通って流れることができる開放位置(図6)との間で、ハウジング21に対して軸方向に移動可能であり、らせん状のリブ39により液体の流れが層状となることが保証される。
【0023】
バルブロッド25の上部34には、バルブロッド25の進行を制限するよう第1の中間ハウジング台21bにおいてハウジング孔22の内周上に形成された、これに対応する環状の止め面49に、開放位置において当接する環状の肩面48が設けられる。
【0024】
バルブ12は、中間室33内に置かれ、かつバルブロッド25を開放位置の方に永久的に上方に偏倚させる、第1の下部の円錐形の圧縮戻しバネ50を備える。下部のバネ50によりバルブロッド25に働く、上方に軸方向に配向された力には、T1の符号が付されている。
【0025】
ピストン本体27は、貫通孔43の開口部の周りにバルブロッド25の上端37により気密に形成された環状のシートに当接する封止部材52が設けられた下端51を有する。
【0026】
ピストン26は、
ピストン本体27の下端51がバルブロッド25の上端37と接触し、かつピストンヘッド28が空気室29の下面53の近くに置かれ、これにより気体がガス流路を構成する貫通孔43を通って流れるのが防止される閉位置(図3)と、
ピストン26が閉位置に対して上昇し、したがってピストン本体27の下端51がバルブロッド25の上端37から間隔をあけられ、ピストンヘッド28が空気室29の上面54に当接し、これにより気体が気体室32から容器2の内側へとガス流路を構成する貫通孔43を通って流れることができる開放位置(図5及び図6)との間で、ハウジング21に対して軸方向に滑動するよう取り付けられる。
【0027】
ピストン26は、二重効用型であり、その位置は、ピストンヘッド28と空気室29の上面54との間で画定された上部空気室55と、ピストンヘッド28と空気室29の下面53との間で画定された下部空気室56との間の差圧により空気制御される。
【0028】
バルブ12は、さらに、上部空気室55内に直接開放されている第1の空気入口57と、1対の可動ボール60、61が設けられた制御弁59を通って下部空気室56内に開放されている第2の空気入口58とを有する。これらのボールとは、即ち、
これに対応する上部弁座62に気密に当接し(図3)、これにより上流への空気流が弁座62を通ることが防止される閉位置と、上部ボール60がその弁座62から間隔をあけられ(図4、図5、及び図6)、これにより空気が弁座を通って上流及び下流に流れることができる開放位置とを有する、第1の上部ボール60、及び
これに対応する下部弁座63に気密に当接し(図4、図5、及び図6)、これにより下流への空気流が弁座63を通ることが防止される閉位置と、下部ボール61がその弁座63から間隔をあけられ(図3)、これにより空気が弁座を通って上流及び下流に流れることができる開放位置とを有する、第2の下部ボール61である。
【0029】
ボール60、61は、これらの間に挿入された圧縮バネ64により、互いに離れる方に(即ち、それらの各閉位置の方に)永久的に偏倚する。
【0030】
第1の空気入口57からの空気圧にはP1の符号が付され、第2の空気入口58からの空気圧にはP2の符号が付されている。P1は、P2と圧縮バネ64の偏倚力から生じる過圧力との合計を超える。
【0031】
空気は、永久的に、第2の空気入口58からの圧力P2がかかった状態にある。上部空気室55に圧力P1のかかった状態で空気が送られると、ピストンヘッド28は、ピストン本体27の下端51がバルブロッド25の上端37に当接するまで下方へと動く。下部ボール61は下部空気室56内の圧力が増加することによって開放され、上部ボール60は閉じられ、これにより、第2の空気入口58に対する下部空気室56内の過圧力による上流への空気流が防止される。
【0032】
第1の空気入口57から送られる空気が停止すると、ピストンヘッド28が空気室29の上面54に当接するまで、下部空気室内の過圧力がピストンヘッド28を上方へと動かす。ピストン26がその開放位置に達するかなり前に(図4参照)、第2の空気入口58と下部空気室56との間の差圧により、下部ボール61が閉じると、下部空気室56内に送られる空気が停止し、これにより、ピストンヘッド28が空気室29の上面54に滑らかに接触できるようになる。
【0033】
図3に表されているように、バルブ12は、さらに、気体室32内のピストン本体27上で滑動するよう取り付けられたカップ65を備える。カップ65は、ピストン本体27を囲み、かつ下縁67を画定する円筒形の周辺の壁66とピストン本体27の周辺の外表面に滑動するよう接触する上部の壁68とを備える。
【0034】
その下縁67では、周辺の壁66に、永久的に気体が周辺の壁66を通って放射状に通過できるようにするガス流路を形成する切欠き69が設けられる。
【0035】
カップ65は、下縁67がバルブロッド25の上端37に当接する(図3及び図4に例示されている)下方位置と、ピストン26の作用により、カップ65が下方位置に対して上昇した(図5及び図6に例示されている)上方位置との間で、バルブアセンブリ24に対して滑動可能であり、これにより、カップ65は、バルブロッド25から距離を隔てて置かれる。
【0036】
図3に表されているように、カップ65には、その下縁67の近傍部に、気体室32内に置かれ、かつカップ65を下方位置の方に永久的に下方に偏倚させるためにハウジング21とカップ65との間に挿入された、第2の上部の圧縮戻しバネ71のための接触面を形成する、放射状の環状フランジ70も設けられる。上部のバネ71によりカップ65に働く、下方に軸方向に配向された力には、T2の符号が付されている。
【0037】
カップ65の下方位置において、上部のバネ71はまた、カップ65がバルブロッド25の上端37に当接しているので、バルブロッド25を閉位置の方に偏倚させることを理解されたい。
【0038】
図4及び図5に表されているように、ピストン26には、ピストン26の開放位置の方への進行中、カップ65の上部の壁68に当接する肩面72が設けられ、これにより、ピストンはより高い位置の方に変位する。
【0039】
したがって、バルブアセンブリ24は、バルブロッド25、ピストン26、及びカップ65の各位置により、3つの形態を有し得る。即ち、
バルブロッド25及びピストン26の両方は閉位置にあり、カップ65は下方位置にある(図3に例示されている)閉じられた形態と、
バルブロッド25は閉位置にあり、ピストン26は開放位置にあり、カップ65は上方位置にある気体充填形態(図5)と、
バルブロッド25及びピストン26の両方は開放位置にあり、カップ65は上方位置にある液体充填形態(図6)とである。
【0040】
その上、バネ50、71、及びバルブロッド25の上端及び下端37、44は、
×S2>T1 (1)
×S2<T1+P×S1 (2)
T2+P×S2>T1+P×S1 (3)
となるように寸法決めされ、
ここで、
T1とは、下部のバネ50によりバルブロッド25に働く、上方に軸方向に配向された力であり、
T2とは、上部のバネ71によりカップ65に働く、下方に軸方向に配向された力であり、
とは、気体室32内のガス圧であり、
S1とは、容器2内のガス圧に曝されたバルブロッド25の下端44の、軸方向から見た、表面積であり、
S2とは、気体室32内のガス圧に曝されたバルブロッド25の上端37の、軸方向から見た、表面積である。
【0041】
図3に表されているように、バルブ12は、さらに、第1の中間ハウジング台21bのレベルでハウジング21内に形成された孔75内で滑動するよう取り付けられたピストン74と、中間室33の反対側のピストン74の一方の端部に装着され、かつハウジング21の外側から見えるペレットから形成された信号部材76とを備えた、ダイアフラム故障センサ73を備える。
【0042】
通常の動作状況において、中間室33は、大気圧の空気で充填され、これにより、故障センサ73は、いわゆる「通常運転」の位置(図3〜図6)にあり、信号部材76を構成するペレットは、ハウジング21の外表面に形成された、これに対応する窪み77内に収容される。
【0043】
下部ダイアフラム35又は上部ダイアフラム36がもはや液体でなくなる、或いは気密でなくなると直ぐに、たとえばダイアフラム35又は36がその疲労限度に達した後に、液体からの、或いは故障しているダイアフラム35又は36を通って中間室33の方への気体室32からの、液体又は気体の漏れがある。この結果生じた中間室33内の過圧力は、大気圧に対して、ピストン74がハウジング21から部分的に放射状に外側に突き出ている、いわゆる「故障」位置の方へと、放射状にピストン74を押し、これにより、信号部材76はその窪み77から距離を隔てて延在し、これにより、ダイアフラム故障が発生したという信号が送られる。
【0044】
一実施形態においては、故障センサ73は受動的な種類である。即ち、バルブ12に関する「通常運転」又は「故障情報」のみを提供する。
【0045】
別の実施形態においては、故障センサ73は能動的な種類である。即ち、運転を停止し、気体及び液体の両方が送られるのを遮断するよう、機械制御システム(図示せず)に電気的に又は機械的に接続される。
【0046】
2つのダイアフラム35、36が存在する場合、ダイアフラム35又は36の1つが故障した(たとえば、ダイアフラム35又は36が壊れた)場合にも、気体及び液体の相互汚染の危険性は非常に低い。
【0047】
故障センサ73が存在する場合、機械オペレータにダイアフラム故障が発生したという警告が直ちに出され、したがって、オペレータは、機械を停止して適切な保全作業をする(又は誰かに頼む)ことができ(その間、機械は動作し続けているので、生産性が維持される)、又は故障センサ73の変位により、機械が制御システムにより自動的に停止する。
【0048】
図2及び図7に表されているように、バルブ12には、大気へと開放されている排気パイプ81に連通している開口23のレベルで(即ち、弁座42の近傍部に)ハウジング21内に形成され、かつ孔22内に開放された排気導管80が置かれた開放位置(図7)と、ピストン79が排気導管80を遮断する閉位置との間で、滑動可能な二重効用型ピストン79を含む、漏らし弁78が設けられる。
【0049】
より正確には、ピストン79は、加圧された空気を順次に漏らし弁78に送る空気ダクト83、84を介してこの両側の空気の差圧により位置が制御されるヘッド82と、端部がハウジング21の側面86と気密接触し得る本体85とを備え、排気導管80及び排気パイプ81の両方が開放されている。
【0050】
ピストン79の開放位置において、ピストン本体85の端部は側面86から間隔をあけられ、これにより、排気導管80が排気パイプ81に連通し、容器2内のガス圧が所定の圧力に達するまで、過圧気体が容器2から大気へと流れることができ、ピストン79を閉位置の方に永久的に偏倚させる戻しバネ87の偏倚力で蓄積された、空気圧によりピストン79に働く力をもはや相殺し得ない。
【0051】
このような排気運転(漏らし運転とも呼ばれる)により、充填の終了時に容器2がバルブ12から分離された時に、COで飽和された液体が泡立つことが防止される。
【0052】
以下、充填運転について記述する。
【0053】
バルブアセンブリ24の閉じられた形態から開始し、(ビンなどの)容器2が、気密接合アセンブリ88を通って孔開口23で、バルブ12に装着される。
【0054】
空気が、制御弁59を介して第2の空気入口58を通って下部空気室56に送られ、これにより、ピストン26は開放位置となり、カップ65は上方位置となる。言い換えれば、バルブアセンブリ24は気体充填形態となる。これにより、加圧気体は、ガス流路を構成する貫通孔43を通って容器2内に入ることができる。容器2内のガス圧が、(貯蔵タンク3の気体空間6内のガス圧に等しい)気体室32内のガス圧Pより低く、したがってバルブロッド25が閉位置に留まっている限り、反応式(1)は証明される。
【0055】
ガス圧の平衡状態に達すると、即ち、容器2内のガス圧が気体室32内のガス圧Pに達すると、反応式(2)は証明され、したがって、バルブロッド25は、下部のバネ50によって働く上方に方向付けられた力、及び容器2内のガス圧Pから生じた力によって上昇し、この合計は、気体室32内のガス圧Pによりバルブロッド25に働く下方に方向付けられた力より大きい。次いで、バルブアセンブリ24は、液体充填形態をとる。
【0056】
これにより、流量計15が容器2の容積に実質的に対応する所定の量の液体を測定するまで、液体が液体室30から開口23を通って容器2へと流れることができる。
【0057】
次いで、液体の流れが流量計15の制御によって停止し、ピストン26が閉位置に変位し、これにより、容器2への貫通孔43が遮断される。カップ65は下方位置に戻り、上部のバネ71はバルブロッド25を下方に偏倚させる。したがって、反応式(3)が証明され、バルブアセンブリ24は閉じられた形態に戻る。
【0058】
次いで、漏らし弁78は開放位置となり、これにより、容器2内の液体の上にある空気とCOとの混合物の一部を排気できるようになる。
【0059】
より正確には、空気はCOより軽いので、排出される気体は、基本的に空気から構成され、容器2内に留まっている気体は、基本的にCOから構成される。
【0060】
したがって、バルブアセンブリ24の運転、より具体的には気体充填形態から液体充填形態への移行は、ガス圧で制御され、これによりバルブロッド25を自動的に開放できるようになることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明による充填機を示す概略側面断面図である。
【図2】図1の充填機の詳細を示す側面断面図である。
【図3】閉じられた形態における本発明による充填バルブを示す側面断面図である。
【図4】気体充填形態における充填バルブを示す、図3と同様の図である。
【図5】気体充填形態における充填バルブを示す、図3及び図4と同様の図である。
【図6】液体充填形態における充填バルブを示す、図3〜図5と同様の図である。
【図7】容器の排気運転を示す、図2と同様の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空のハウジング(21)と、
前記ハウジング(21)内で滑動するよう取り付けられた可動バルブアセンブリ(24)とを備え、前記可動バルブアセンブリ(24)及び前記中空のハウジング(21)が共に、液体室(30)及び気体室(32)を画定し、
さらに、前記液体室(30)を液体供給パイプ(14)に連通する液体入口(46)と、
前記気体室(32)を気体供給パイプ(17)に連通する気体入口(47)とを有する充填バルブ(12)であって、
前記中空のハウジング(21)及び前記可動バルブアセンブリ(24)が共に、前記液体室(30)と前記気体室(32)との間に配置された中間室(33)を画定し、
前記充填バルブ(12)が、さらに、
前記バルブアセンブリ(24)を前記液体室(30)と前記中間室(33)との間で前記ハウジング(21)に連結する第1のダイアフラム(35)と、
前記バルブアセンブリ(24)を前記気体室(32)と前記中間室(33)との間で前記ハウジング(21)に連結する第2のダイアフラム(36)とを備えた、充填バルブ(12)。
【請求項2】
前記中間室(33)のレベルで前記ハウジング(21)に取り付けられたダイアフラム故障センサ(73)をさらに備えた、請求項1に記載の充填バルブ(12)。
【請求項3】
前記ダイアフラム故障センサ(73)が、前記中間室(33)のレベルで前記ハウジング(21)内に形成された孔(75)内で滑動するよう取り付けられたピストン(74)と、前記ピストン(74)に装着され、かつ前記ハウジング(21)の外側から視認できる信号部材(76)とを備えた、請求項2に記載の充填バルブ(12)。
【請求項4】
前記信号部材(76)が、前記中間室(33)の反対側の前記ピストン(74)の一方の端部に装着されたペレットから形成される請求項3に記載の充填バルブ。
【請求項5】
前記バルブアセンブリ(24)が、
バルブロッド(25)の上端(37)で前記気体室(32)内に開放されている貫通孔(43)が設けられた中空のバルブロッド(25)であって、前記バルブロッド(25)が前記ハウジング(21)内の開口(23)を開放し、これにより液体が前記液体室(30)から前記開口(23)を通って流れることができる開放位置と、前記バルブロッド(25)が前記開口(23)を閉じる閉位置との間で、前記ハウジング(21)に対して滑動可能であるバルブロッド(25)と、
ピストン(26)の下端(51)が前記バルブロッド(25)の前記上端(37)から間隔をあけられ、これにより気体が前記上端(37)に形成された開口部を通って前記気体室(32)から前記バルブロッド(25)内の前記貫通孔(43)に通過できる開放位置と、前記ピストン(26)の前記下端(51)が前記バルブロッド(25)の前記上端(37)と封止接触している閉位置との間で、前記ハウジング内で滑動するよう取り付けられたピストン(26)とを備えた、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の充填バルブ(12)。
【請求項6】
前記バルブロッド(25)を開放位置の方に永久的に偏倚させる戻しバネ(50)を備えた、請求項5に記載の充填バルブ。
【請求項7】
前記戻しバネ(50)が前記中間室(33)内に収容される、請求項6に記載の充填バルブ。
【請求項8】
前記気体室(32)内に収容されたカップ(65)であって、前記カップ(65)の下縁(67)が前記バルブロッド(25)の前記上端(37)に当接する下方位置と、前記カップ(65)が前記バルブロッド(25)の前記上端(37)から間隔をあけられた上方位置との間で、前記ピストン(26)に対して滑動するよう取り付けられたカップ(65)をさらに備え、前記カップ(65)には、これにより気体が切欠き(69)を通って前記気体室(32)から前記貫通孔(43)へと通過できる切欠き(69)が設けられ、前記バルブが、前記カップ(65)を下方位置の方に永久的に偏倚させる戻しバネ(71)をさらに備えた、請求項5ないし7のいずれか一項に記載の充填バルブ。
【請求項9】
開放位置において前記ピストン(26)が前記カップ(65)を上方位置に維持する、請求項8に記載の充填バルブ(12)。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の複数のバルブ(12)が装備された回転ラック(9)を備え、さらに、それぞれのバルブ(12)の前記液体室(30)に連通している液体空間(4)と、前記バルブ(12)の前記気体室(32)に連通しているその上の気体空間(6)とを有する貯蔵タンク(3)を備えた充填機(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−502665(P2009−502665A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−523132(P2008−523132)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/009210
【国際公開番号】WO2007/016958
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(508021901)
【Fターム(参考)】