説明

液体洗浄剤物品。

【課題】 ボリュームがあり、泡持続性の優れた審美的に好ましい泡が形成できる液体洗浄剤物品の提供。
【解決手段】 (a)界面活性剤を20〜50質量%、(b)有機溶剤を1〜15質量%、(c)クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、乳酸及びそれらの誘導体から選ばれる1種以上を2.5〜10質量%、並びに水を含有し、25℃におけるpHが5〜8であり、且つ20℃における粘度が30〜80mPa・sである液体洗浄剤組成物が、泡吐出機構として、メッシュサイズ100〜300/インチの多孔質膜体を1又は2枚有するポンプフォーマーを具備する容器に充填されている液体洗浄剤物品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物を泡状に吐出できる、硬質表面用として好適な液体洗浄剤物品に関する。
【背景技術】
【0002】
食器洗い用液体洗浄剤組成物にクエン酸などの多価カルボン酸を多量に用いる技術は知られており、特許文献1を参考にすることができる。また、特許文献2、3には、ポンプフォーマー容器に充填した液体洗浄剤の技術が開示されており、特に特許文献2には食器洗い用液体洗浄剤を充填した物品の技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−160870号公報
【特許文献2】特表2006−513312号公報、
【特許文献3】特開2005−193972号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
食器洗い用洗浄剤などの洗浄剤は、油汚れなどのハードな汚れの洗浄力が求められるため、界面活性剤を多量に含有する組成物が一般的に使用されている。また、このような洗浄剤は洗浄時の泡立ちや感触に対する要求も大きく、特許文献2に開示されているようなポンプフォーマー容器を用いて、洗浄剤を泡状でスポンジなどに供給し洗浄する方法が提案されている。そして、ポンプフォーマー容器を利用する場合、ボリュームがあり、泡持続性の優れた審美的に好ましい泡(例えば、きめ細かな泡)を形成できることが望まれている。
【0004】
特許文献2、3に記載されているようにメッシュなどの多孔質膜体を用いて泡を形成するとき、食器洗い洗浄剤のような界面活性剤を多量に含有する洗浄剤に応用した場合には、組成物の粘度が高いため、上記した望ましい泡を生成することが難しい。
【0005】
このため特許文献2では、イソパラフィンなどの疎水性溶剤や、エタノールなどの親水性溶剤を多量に用いて減粘する技術が示されている。しかしながら、このように溶剤を多量に用いる技術では、泡の持続性が低く(すぐに破泡する)、上記した望ましい泡を生成することが難しい。また、洗浄力に影響が少ない溶剤を多量に用いる必要があるため不経済である。その他の方法としては、ハイドロトロープ剤などを用いて減粘する方法が考えられるが、界面活性剤の多い組成物では効果に限界がある。
【0006】
一方、特許文献1には、クエン酸を多く配合した食器洗い用洗浄剤組成物が開示されている。この技術は、台所のシンク廻りなどに付着した水垢汚れの洗浄力を向上させる目的でなされたものであり、このような組成物をポンプフォーマー容器に応用した場合の上記した望ましい泡の形成についての開示はない。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、高濃度の界面活性剤を含有する洗浄剤組成物をポンプフォーマー容器に充填したにも拘わらず、ボリューム感があり、泡持続性の優れた審美的に好ましい泡を吐出できる液体洗浄剤物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、解決手段として、
(a)界面活性剤を20〜50質量%、
(b)有機溶剤を1〜15質量%、
(c)クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、乳酸及びそれらの誘導体から選ばれる1種以上を2.5〜10質量%、並びに水を含有し、
25℃におけるpHが5〜8であり、且つ20℃における粘度が30〜80mPa・sである液体洗浄剤組成物が、
泡吐出機構として、メッシュサイズ100〜300/インチの多孔質膜体を1又は2枚有するポンプフォーマーを具備する容器に充填されている液体洗浄剤物品を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液体洗浄剤物品は、特定の液体洗浄剤組成物と特定の泡吐出機構を有するポンプフォーマー容器を組み合わせることにより、前記組成物からなる、ボリュームがあり、泡持続性の優れた審美的に好ましい泡を形成することができ、高い洗浄力を発揮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<(a)成分>
(a)成分の界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤を用いることができる。
【0011】
本発明では特に、陰イオン界面活性剤(a1)、及びアミンオキシド型界面活性剤、ベタイン型界面活性剤、及びアルカノールアミド型界面活性剤から選ばれる含窒素界面活性剤(a2)を、(a1)/(a2)=1〜20の質量比、好ましくは1〜10の質量比、特に好ましくは、1〜5の質量比で含有する界面活性剤混合物が好適である。このような界面活性剤混合物を含有する洗浄剤組成物は、洗浄力が高く、起泡性に優れる。
【0012】
(a1)成分としては、炭素数10〜18、好ましくは10〜14のアルキル硫酸エステル塩、炭素数10〜18、好ましくは10〜14のアルキル基及び平均付加モル数が1〜6、好ましくは1〜4、特に好ましくは1.5〜3のアルキレン基(アルキレン基の炭素数は2又は3)のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、炭素数10〜15のアルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好適である。
【0013】
(a2)成分であるアミンオキシド型界面活性剤としては、下記一般式(1)の化合物が好適である。
【0014】
【化1】

【0015】
〔式中、R11は炭素数10〜18、好ましくは10〜14のアルキル基であり、R12は炭素数2又は3のアルキレン基であり、R13、R14は炭素数1〜3のアルキル基及び/又はヒドロキシアルキル基、好ましくはメチル基及び/又はヒドロキシエチル基である。Aは−COO−、−CONH−から選ばれる基であり、mは0又は1の数である。〕
(a2)成分であるベタイン型界面活性剤としては、下記一般式(2)の化合物が好適である。
【0016】
【化2】

【0017】
〔式中、R21は炭素数10〜16の炭化水素基であり、好適には10〜14のアルキル基である。R22は炭素数2又は3のアルキレン基であり、R23、R24は炭素数1〜3のアルキル基及び/又はヒドロキシアルキル基、好ましくはメチル基及び/又はヒドロキシエチル基である。Bは−COO−、−CONH−から選ばれる基であり、nは0又は1の数である。Dは−CHCOO、−CSO、又は−CHCH(OH)CHSOであり、好適には−CHCH(OH)CHSOである。〕
(a2)成分であるアルカノールアミド型界面活性剤としては、下記一般式(3)の化合物が好適である。
【0018】
【化3】

【0019】
〔式中、R31は炭素数10〜16の炭化水素基であり、好適には10〜14のアルキル基である。R32は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又は−(R34−O)p−Hである(ここでR34は炭素数2又は3のアルキレン基であり、pは平均付加モル数であり1〜12の数である)。R33は炭素数2又は3のアルキレン基であり、oは1〜12、好ましくは1〜6の数である〕。
【0020】
本発明では、上記(a1)成分、(a2)成分以外の界面活性剤を含有することができ、好適には、炭素数8〜12のアルキルグリセリルエーテル〔以下(a3)成分という〕が洗浄力、起泡性の点から好ましく、特に2−エチルヘキシルグリセリルエーテルが最も好ましい。
【0021】
その他の界面活性剤〔以下(a4)成分という〕としては、炭素数10〜18、好ましくは10〜14のアルキル基と平均付加モル数2〜30、好ましくは3〜12のポリオキシアルキレン基〔アルキレン基の炭素数は2又は3〕を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型、アルキル基の炭素数が8〜16、好ましくは8〜14、グルコースの平均縮合度が1〜2、好ましくは1〜1.5のアルキルグリコシド型非イオン界面活性剤、炭素数8〜12のアルキル基が1又は2個と残りが炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はベンジル基である4級アンモニウム型陽イオン界面活性剤を用いることができる。
【0022】
<(b)成分>
(b)成分の有機溶剤としては、水溶性溶剤〔以下(b1)成分という。水溶性とは、20℃の水100gに10g以上溶解する溶剤と定義する。〕、及び非水溶性溶剤〔〔以下(b2)成分という。非水溶性とは、20℃の水100gに溶解する量が10g未満と定義する〕を併用することが好適である。
【0023】
(b1)成分の例としては、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルを挙げることができ、特にエタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールが好適である。
【0024】
(b2)成分の例としては、リモネン、テルペンなどの炭化水素系溶剤、フェノキシエタノール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、トリエチレングリコールモノフェニルエーテルを挙げることができる。
【0025】
本発明では、好適な泡を形成する目的から、(b1)成分と(b2)成分を併用することが好ましく、(b1)成分/(b2)成分を質量比で0.05〜20含有することが好ましく、より好ましくは0.1〜10、特に好ましくは0.2〜8である。
【0026】
<(c)成分>
(c)成分は、組成物の粘度を低下させることに寄与し、かつ無機質汚れ除去効果を相乗的に向上させることができる成分である。(c)成分は、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、乳酸、場合によりそれらの誘導体(塩を含む)(例えば、カルボキシメチルオキシコハク酸、エチレンジアミンコハク酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルコハク酸)から選ばれる1種以上を用いる。
【0027】
<その他成分>
ポンプフォーマーを用いた場合に好適な泡を形成する目的から、炭素数1〜3のアルキル基が1〜3個置換していてもよいベンゼンスルホン酸塩〔以下(d)成分という〕を含有することが好ましく、具体的には、p-トルエンスルホン酸塩、メタキシレンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩を挙げることができる。塩としては、ナトリウム、カリウムあるいはマグネシウム塩が良好であり、特にp-トルエンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0028】
本発明の洗浄剤には、ゲル化防止のための重合体、例えば特表平11−513067号公報に記載されているゲル化防止重合体〔以下、(f)成分という〕、とりわけポリアルキレングリコールを配合することが、粘度調節及び貯蔵安定性の点から好ましい。ゲル化防止としてのポリアルキレングリコールの具体例としては、ポリエチングリコールを標準としたときのゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって求められた重量平均分子量が200〜3000のポリプロピレングリコール、及びポリエチレングリコールを挙げることができる。
【0029】
本発明では、通常液体洗浄剤に用いられる成分を含有することができ、具体的には殺菌剤、防腐剤、香料、顔料、染料を挙げることができる。
【0030】
<液体洗浄剤組成物>
液体洗浄剤組成物中の各成分の含有割合は、下記のとおりである。
【0031】
(a)成分の含有割合は、洗浄力、起泡性の点から20〜50質量%、好ましくは25〜50質量%、より好ましくは25〜45質量%である。
【0032】
(a)成分として(a1)成分及び(a2)成分を併用するときの合計含有割合は、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは12〜30質量%である。さらに(a3)成分を使用するときは、洗浄力と起泡性の点から含有割合は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
【0033】
(b)成分の含有割合は、組成物の粘度を低下させ、好ましい泡を形成させる目的から、1〜15質量%である。液体洗浄剤の粘度は(b)成分の配合量が増加するほど実質的に低下する傾向を示すが、泡のボリューム感や泡の持続性の観点から(b)成分の配合量は、好ましくは2〜10質量%、より好ましくは3〜10質量%である。
【0034】
(c)成分の含有割合は、好ましい泡を形成させる目的及び洗浄力の点から、2.5〜10質量%、好ましくは3〜8質量%、より好ましくは4〜6質量%である。
【0035】
(d)成分は任意であるが、好ましい泡を形成させる目的から含有割合は、1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1〜8質量%、特に好ましくは2〜6質量%である。
【0036】
(c)成分と(d)成分の合計含有割合は、3.5〜20質量%が好ましく、より好ましくは5〜15質量%、特に好ましく5〜10質量%である。(c)成分/(d)成分の質量比は、0.4〜20が好ましく、より好ましくは0.4〜10、特に好ましくは0.4〜5である。
【0037】
(f)成分は任意であるが、貯蔵安定性を向上できる成分であり、含有割合は、0.05〜10質量%、好ましくは0.05〜5質量%、特に好ましくは0.1〜3質量%である。
【0038】
液体洗浄剤組成物は、上記成分を水に溶解、乳化、分散させた水溶液の形態であり、25℃におけるpHは5〜8、好ましくは5〜7である。pHは、塩酸、硫酸などの無機酸や(c)成分、及び水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アルカノールアミンから選ばれるアルカリ剤を用いて調整される。なお、pHは次のようにして測定した。
【0039】
pHメーター(HORIBA製 pH/イオンメーター F−23)にpH測定用複合電極(HORIBA製 ガラス摺り合わせスリーブ型)を接続し、電源を投入した。pH電極内部液としては、飽和塩化カリウム水溶液(3.33mol/L)を使用した。
【0040】
次に、pH4.01標準液(フタル酸塩標準液)、pH6.86(中性リン酸塩標準液)、pH9.18標準液(ホウ酸塩標準液)をそれぞれ100mlビーカーに充填し、25℃の恒温槽に30分間浸漬した。恒温に調整された標準液にpH測定用電極を3分間浸し、pH6.86→pH9.18→pH4.01の順に校正操作を行った。
【0041】
試料を100mlビーカーに充填し、25℃の恒温槽内にて25℃に調整した。恒温に調整された試料にpH測定用電極を3分間浸し、pHを測定した。
【0042】
液体洗浄剤組成物には、(a)成分、(c)成分、pH調整剤などから無機の陽イオンが混入されるが、この無機陽イオンは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオンからなることが好ましく、カリウムイオンがより好ましい。カリウムイオンは、組成物中で陰イオンとの塩を形成している可能性が考えられるが、本発明のカリウムイオンとは、解離平衡にあるものすべてのカリウムを含むものとする。
【0043】
(c)成分のクエン酸等(好ましくはクエン酸)とカリウムイオンの質量比[(c)成分/カリウムイオン]は、好ましい泡を形成する目的から、0.5〜20が好ましく、より好ましくは0.7〜10であり、特に好ましくは1〜5である。
【0044】
液体洗浄剤組成物の20℃における粘度は、30〜80mPa・s、好ましくは30〜70mPa・s、特に好ましくは30〜60mPa・sであり、このような粘度範囲は、(b)成分及び(c)成分の含有量、必要に応じて(d)成分の含有量により調整できる。(b)、(c)、(d)成分を含有する場合の好ましい例としては、組成物中の合計含有割合は4.5〜30質量%が好ましく、より好ましくは10〜20質量%であり、(a)成分/(b)成分/(c)成分を25〜45/3〜10/4〜6の質量比で含有することが、好ましい泡を形成する目的から好適である。
【0045】
本発明でいう粘度は、次のようにして測定する。まずTOKIMEC.INC製B型粘度計モデルBMに、ローター番号No.2のローターを備え付けたものを準備する。試料をトールビーカーに充填し20℃の恒温槽内にて20℃に調整する。恒温に調整された試料を粘度計にセットする。ローターの回転数を60r/mに設定し、回転を始めてから60秒後の粘度を本発明の粘度とする。
【0046】
<特定の泡吐出機構を具備する容器>
図面により、本発明で用いる特定の泡吐出機構を具備する容器(ポンプフォーマー容器)の一実施形態を説明する。図1は、ポンプフォーマー容器の縦断面図である。
【0047】
ポンプフォーマー容器10では、容器本体11の口首部12に、収容液(液体洗浄剤組成物)を空気と混合することにより、泡状にして吐出口26から吐出できる泡吐出器13が装着されている。吐出口26は、上向きに傾斜していることが好ましく、水平面との間でなす角度αが1〜10°であることが好ましい。さらに、容器本体11の外表面と吐出口26との間隔βが3〜20mmであることが好ましい。
【0048】
泡吐出器13は、容器本体11の口首部12に装着されるベースキャップ部14に、収容液の吸引、加圧、排出をする筒状ピストン部材15と、空気の吸引、加圧、排出をするエアピストン部材16が、それぞれ同心に直列配置されて組み入れられた単一のシリンダ部17からなるポンプ18を有している。
【0049】
ベースキャップ部14の上方に突出しているポンプヘッド部19内の高さ方向流路21内には、発泡部材20が配置されている。発泡部材20は、独立した筒状リングの少なくとも一端開口部又はリング内部に、メッシュサイズ100〜300/インチの多孔質膜体が固定された構造であり、筒状リングの両端開口部面が液の通過方向に対して垂直になるようにして、高さ方向流路21内に配置されている。発泡部材20は、前記多孔質膜体の1枚を用いて成形されたものでもよいし、メッシュサイズが同一又は異なる2枚を用いて成形されたもの(二重構造のもの)でもよい。
【0050】
シリンダ部17は、大径空気室24と、この大径空気室24から直列下方に連続して下端部が吸引管27と連結された小径液導入室28からなっている。小径液導入室28の内部には、軸方向に圧縮変形可能なスプリング部材29が配置されている。スプリング部材29は、筒状ピストン部材15を介して、ポンプヘッド部19を付勢している。
【0051】
筒状ピストン部材15は、内部に液室30、弁体31a、31bを備えている。エアピストン部材16は、筒状ピストン部材15から径方向外側に張り出して設けられており、周縁部が大径空気室24の内周面と摺動可能に密着して大径空気室24を上下に仕切っている。
【0052】
<液体洗浄剤物品>
本発明の液体洗浄剤物品は、上記した液体洗浄剤組成物が図1に示すような特定の泡吐出機構を有するポンプフォーマー容器に充填されているものである。本発明の液体洗浄剤物品の使用方法は、次のとおりである。
【0053】
人の手によって、ポンプヘッド部19をスプリング部材29の付勢力に抗して押し込むことにより、ポンプ18の筒状ピストン部材15とエアピストン部材16が同時に押し下げられ、弁体31aが開放される。そして、弁体31aの開放により、液室30内に流入した収容液(液体洗浄剤組成物)は、加圧されて、高さ方向流路21に向かって排出される。それと並行して、中空パイプ22と筒状ピストン部材15の嵌合部分に沿って形成された空気流路(図示せず)が開放されると、大径空気室24から高さ方向流路21に向かって空気が加圧排出される。このようにして、収容液と空気が高さ方向流路21に向かって排出される途中の合流空間23で合流し、加圧混合された後、中高さ方向流路21内に配置された発泡部材20を通過して泡状に変化される。泡状になった収容液は、高さ方向流路21を通って、吐出口26から洗浄対象物(食器、調理器具等の硬質表面)や洗浄具であるスポンジ等に対して吐出される。なお、発泡部材20以外にも吐出口26付近に前記メッシュを設けることで、泡質が更に改善される。
【0054】
本発明の液体洗浄剤物品は、特定の液体洗浄剤組成物と特定の泡吐出機構を有するポンプフォーマー容器を組み合わせることにより、ボリュームがあり、泡持続性の優れた審美的に好ましい泡(例えば、きめ細かな泡)を形成することができる。
【0055】
本発明の液体洗浄剤物品は、硬質表面用の洗浄剤として適用することができ、特に台所用洗浄剤として適している。
【実施例】
【0056】
表1に示す各成分を混合して、各例の液体洗浄剤組成物を得た。これらの液体洗浄剤組成物300mlを図1に示すポンプフォーマー容器に充填して、本発明の液体洗浄剤物品を得た。
【0057】
得られた液体洗浄剤物品を用いて、20℃にて、20mm/秒の一定速度でポンプヘッドを押し下げる吐出試験を行い、下記の各評価を行った。結果を表1に示す。
【0058】
(1)泡のボリュームと均一性
ポンプヘッドを手で数回押し吐出口まで充液させた後、黒色アクリル板の上に前記条件にて1プッシュ分の泡を吐出し形成させた泡の状態を目視にて観察した。
○:ボリュームがあり、均質な泡
△:ボリュームあるが、均質感がない泡
×:ボリュームなく、均質感もない泡
(2)泡の持続性
上記の「(1)泡のボリュームと均一性」の試験と並行して、泡の持続性を目視にて観察した。
○:持続性がある(約3分間以上、吐出時とほぼ同じ状態を維持した)
△:やや持続性がない(約3分間の間に気泡の合一により粗大な泡が出現した)
×:持続性がない(約3分間の間に粗大な泡が主体となるか、もしくは泡が消失した)
なお、製品の使い勝手の点で重要な因子であるポンプヘッドの押しやすさは、製品使用温度での充填液の粘度とポンプフォーマーが具備する多孔質膜体のメッシュ形態により主に決定される。液粘度が低いほど、またメッシュの孔径が大きく、装着された枚数が少ないほど、使用者は押しやすいと感じられる。
【0059】
【表1】

【0060】
〔配合例〕
次に、台所用洗剤として使用できる配合例を表2に示す。
【0061】
【表2】

【0062】
上記配合例の組成物を図1のポンプフォーマー容器に充填した台所用洗剤は、洗浄性に優れ、容器から吐出した泡にボリューム感があり泡持続性にも優れるものであった。
【0063】
(使用成分)
・ES:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム〔原料アルコールは、1−デセン及び1−ドデセン50/50(質量比)を原料にヒドロホルミル化して得られたアルコールである。このアルコールにEOを平均2モル付加させた後、三酸化イオウにより硫酸化し、水酸化ナトリウムで中和した(水で10%希釈したもののpHが11になるまで中和した)。全ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム中の全ポリオキシエチレン分岐鎖アルキルエーテル硫酸の割合は42質量%であった。〕
・AO:N−ラウリル−N,N−ジメチルアミンオキシド
・スルホベタイン:ラウリルジメチルスルホベタイン
・GE−2EH:2−エチルヘキシルモノグリセリルエーテル(モノグリセリルエーテル98質量%)
・アルケニルコハク酸カリウム:アルケニル基の炭素数12
・アルキルグルコシド:アルキル基の組成がC12/C14=60/40(質量比)の混合アルキルでグルコシド平均縮合度1.5のアルキルグルコシド
・ポリプロピレングリコール:平均分子量1000のもの
・防腐剤:プロキセルBDN(アビシア株式会社製)
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】泡吐出機構を具備する容器(ポンプフォーマー容器)の縦断面図である。
【符号の説明】
【0065】
10 ポンプフォーマー容器
11 容器本体
13 泡吐出器
14 ベースキャップ部
15 筒状ピストン部材
16 エアピストン部材
17 シリンダ部
18 ポンプ
20 発泡部材
21 高さ方向流路
22 中空パイプ
23 合流空間
26 吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)界面活性剤を20〜50質量%、
(b)有機溶剤を1〜15質量%、
(c)クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、乳酸から選ばれる1種以上を2.5〜10質量%、並びに水を含有し、
25℃におけるpHが5〜8であり、且つ20℃における粘度が30〜80mPa・sである液体洗浄剤組成物が、
泡吐出機構として、メッシュサイズ100〜300/インチの多孔質膜体を1又は2枚有するポンプフォーマーを具備する容器に充填されている液体洗浄剤物品。
【請求項2】
さらに液体洗浄剤組成物が(d)成分として炭素数1〜3のアルキル基が1〜3個置換していてもよいベンゼンスルホン酸塩を1〜10質量%含有する請求項1記載の液体洗浄剤物品。
【請求項3】
さらに液体洗浄剤組成物がカリウムイオンを含有しており、前記(c)成分とカリウムイオンを(c)成分/カリウムイオン=1〜20の質量比で含有する請求項1又は2記載の液体洗浄剤物品。
【請求項4】
さらに液体洗浄剤組成物が、(a)成分として陰イオン界面活性剤(a1)、及びアミンオキシド型界面活性剤、ベタイン型界面活性剤、及びアルカノールアミド型界面活性剤から選ばれる含窒素界面活性剤(a2)を(a1)/(a2)=1〜20の質量比で含有する界面活性剤混合物を含有している請求項1〜3の何れか記載の液体洗浄剤物品。





【図1】
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【公開番号】特開2008−150499(P2008−150499A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340111(P2006−340111)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】