説明

液体洗浄剤組成物

【課題】泡吐出容器から吐出させた場合に低温条件でも良好な泡立ちおよび泡の質が得られ、洗浄力に優れた液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】内容液を収容する容器本体と、前記容器本体に収容される内容液と空気とを1/5〜1/10の体積比(内容液/空気)で混合し、かつ内容液を泡状に吐出させる泡吐出ポンプとを備える泡吐出容器に収容される前記内容液を構成する液体洗浄剤組成物であって、アニオン界面活性剤(A)を5〜35質量%と、アミンオキサイド型界面活性剤(B)を1〜10質量%と、粘度調整剤(C)とを含有し、5℃での粘度が150〜270mPa・sであり、かつ引火点が40℃以上であることを特徴とする液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物に関するものであり、特に、台所の食器、調理器具等の洗浄に好適な液体洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体洗浄剤組成物は、洗濯物;皿などの硬質表面;毛髪、ヒトまたは動物の皮膚等の対象物を洗浄する際に使用される。かかる液体洗浄剤組成物としては、一般に、界面活性剤及び溶媒を含有し、たとえば希釈アルコール系洗浄剤組成物のように極めて粘度が低いものからペースト状またはジェル状のように粘度が高いものが存在する。また、かかる液体洗浄剤組成物は、一般に、低温になるほど高粘度になることが知られている。
【0003】
液体洗浄剤組成物は、市場において通常、容器に収容されて提供されている。特に、液体洗浄剤組成物のなかでもハンドソープ等は、泡立てる手間がない等の利点があることから、容器本体と、泡吐出ポンプ(非エアゾール、非制動型泡生成ディスペンサーなど)とを備える泡吐出容器に収容されて提供されている。
泡吐出容器に収容される液体洗浄剤組成物としては、たとえば、界面活性剤と溶媒と補助洗剤成分とを含有し、5℃での粘度が約150mPa・s未満である、泡生成ディスペンサーと共に使用される液体洗剤組成物が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
液体洗浄剤組成物としては、従来、アニオン界面活性剤と、多価金属イオンとが併用された液体洗浄剤組成物が提案されている(たとえば、特許文献2、3参照)。
また、酵素と、アニオン界面活性剤と、マグネシウムイオンとを含有する液体洗浄剤組成物が提案されている(たとえば、特許文献4参照)。
【特許文献1】特表2006−521417号公報
【特許文献2】特開2004−196987号公報
【特許文献3】特開2001−172696号公報
【特許文献4】特表平11−501981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の泡吐出ポンプを備える泡吐出容器においては、液体洗浄剤組成物の粘度が高粘度になるほど泡を上手く作ることができない問題がある。具体的には、泡吐出容器に、室内で想定される低温条件で高粘度となるような液体洗浄剤組成物を収容して吐出させた場合、泡立ち(泡の量)が足りず、泡の質が悪い(泡のキメが荒い、泡吐出容器のノズル口から飛び散る等)等、泡を上手く作ることができない不具合がある。
特許文献1の記載によれば、たとえば、20℃での粘度が60mPa・sであり、5℃での粘度が190mPa・sである液体洗剤組成物(比較例D)は、粘度−温度勾配が許容不可能であり、泡を上手く作ることができない。このように、従来、5℃での粘度が150mPa・s以上になる液体洗浄剤組成物は、泡吐出容器から吐出させても、泡を上手く作ることができなかった。
したがって、室温での粘度が100mPa・s前後の一般的な台所用液体洗浄剤組成物は、5℃での粘度が280〜500mPa・sと高粘度になるため、泡吐出容器に収容された液体洗剤製品としては提供することができなかった。
【0006】
液体洗浄剤組成物の粘度は、エタノールのような揮発性または希薄溶媒を添加することによって容易に低減させることができる。
一方、消費者が使用する製品においては、安全上の理由から、揮発の可能性のある組成物においては発火のおそれをなくすため、該組成物の引火点が高くなるように調整されている。
液体洗浄剤組成物の粘度を低減させるため、エタノールを添加していくと、液体洗浄剤組成物の引火点は低下していき、上記理由などから、多数の洗浄方法、特に家庭においての使用が制限される場合があった。また、従来、引火点は、単に販売前の最終点検として確認されるにすぎない項目とされてきた。
したがって、低温条件で高粘度になる液体洗浄剤組成物が泡吐出容器に収容され、かつ安全な液体洗剤製品として提供するためには、低温条件でも液体洗浄剤組成物の粘度が高くなりにくいこと、泡生成性の高い泡吐出ポンプを備える泡吐出容器を使用すること、引火点を制御すること等を、製品の開発当初から考慮し、液体洗浄剤組成物の組成を設計することが重要である。
【0007】
また、液体洗浄剤組成物においては、近年、容器サイズのコンパクト化の普及、安全性を重視する傾向の高まり、またはタッパ容器等の汚れの落ちにくい食器が増えていることを鑑み、少量の使用により、油、ほこり、泥汚れ等を除去できることが求められている。
しかしながら、特許文献2〜4に記載の液体洗浄剤組成物は、たとえばタッパ容器等に付着した油性汚れに対する洗浄力が充分ではない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、泡吐出容器から吐出させた場合に低温条件でも良好な泡立ちおよび泡の質が得られ、洗浄力に優れた液体洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明においては、内容液を収容する容器本体と、前記容器本体に収容される内容液と空気とを1/5〜1/10の体積比(内容液/空気)で混合し、かつ内容液を泡状に吐出させる泡吐出ポンプとを備える泡吐出容器に収容される前記内容液を構成する液体洗浄剤組成物であって、アニオン界面活性剤(A)を5〜35質量%と、アミンオキサイド型界面活性剤(B)を1〜10質量%と、粘度調整剤(C)とを含有し、5℃での粘度が150〜270mPa・sであり、かつ引火点が40℃以上であることを特徴とする液体洗浄剤組成物を提案する。
【0010】
また、本発明の液体洗浄剤組成物においては、前記アニオン界面活性剤(A)がアルカンスルホン酸塩を含むことが好ましい。
また、本発明の液体洗浄剤組成物においては、グリコール化合物(D)をさらに含有することが好ましい。
また、本発明の液体洗浄剤組成物においては、マグネシウム化合物(E)とスルファミン酸(F)とをさらに含有することが好ましい。
また、本発明の液体洗浄剤組成物は、30〜300meshの目開きの泡形成用の網状部材を有する前記泡吐出ポンプを備える前記泡吐出容器に収容されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、泡吐出容器から吐出させた場合に低温条件でも良好な泡立ちおよび泡の質が得られ、洗浄力に優れた液体洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
≪液体洗浄剤組成物≫
本発明の液体洗浄剤組成物は、特定の泡吐出容器に収容されるものであって、アニオン界面活性剤(A)(以下、(A)成分という。)と、アミンオキサイド型界面活性剤(B)(以下、(B)成分という。)と、粘度調整剤(C)(以下、(C)成分という。)とを含有するものである。
【0013】
<液体洗浄剤組成物>
本発明の液体洗浄剤組成物は、前記(A)成分と、前記(B)成分と、前記(C)成分とを含有する。
また、本発明の液体洗浄剤組成物においては、グリコール化合物(D)(以下、(D)成分という。)をさらに含有することが好ましい。
また、本発明の液体洗浄剤組成物においては、マグネシウム化合物(E)(以下、(E)成分という。)と、スルファミン酸(F)(以下、(F)成分という。)とをさらに含有することが好ましい。
【0014】
・(A)成分
本発明において、(A)成分はアニオン界面活性剤である。
(A)成分としては、大別すると、カルボン酸塩タイプ、スルホン酸塩タイプ、硫酸エステル塩タイプ、およびリン酸エステルタイプのものが挙げられ、スルホン酸塩タイプのもの、硫酸エステル塩タイプのものが好ましい。
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩、またはアンモニウム塩が挙げられ、アルカリ金属塩が好ましい。
【0015】
スルホン酸塩タイプの(A)成分としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩等が挙げられる。なかでも、本発明の効果、液体洗浄剤組成物の安定性の観点から、アルカンスルホン酸塩が好ましく、二級アルカンスルホン酸塩がより好ましい。
【0016】
アルカンスルホン酸塩は、パラフィンスルホン酸塩とも呼ばれ、他のアニオン界面活性剤に比べ、洗浄力、泡立ち性、手肌マイルド性、耐硬水性の点で優れている。
本発明において好適に用いることができるアルカンスルホン酸塩としては、たとえば、1分子当り10〜21個の炭素原子、好ましくは少なくとも80質量%以上、より好ましくは少なくとも90質量%以上が1分子当り10〜14個の炭素原子をもつ二級アルキルスルホン酸塩と、少量の一級アルキルスルホン酸塩、ジスルホン酸塩、またはポリスルホン酸塩との混合物が挙げられる。
【0017】
硫酸エステル塩タイプの(A)成分としては、アルキル硫酸エステル塩、アルケニル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルケニル硫酸エステル塩等が挙げられる。なかでも、本発明の効果、液体洗浄剤組成物の安定性の観点から、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩が好ましい。
【0018】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の好適なものとしては、下記一般式(1)で表される化合物が例示できる。
【0019】
【化1】

[式(1)中、Rは炭素数8〜18のアルキル基であり;nはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、1〜6である。Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アルカノールアミン、またはアンモニウムである。]
【0020】
前記一般式(1)中、Rは、炭素数8〜18のアルキル基である。
において、アルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
において、炭素数は8〜18であり、10〜16が好ましく、12〜13がより好ましい。R1の炭素数が8以上であると、疎水性が高まるため、洗浄力が向上する。一方、R1の炭素数が18以下であれば、化合物自体の溶解性が良好となるため、保存時における析出が抑制される。
ただし、Rは、原料である高級アルコールに起因するため、工業的に入手が容易な下記(a)〜(e)から選択されることが好ましい。
(a)シェルケミカルズ社製、商品名 ネオドール23(分岐率:20質量%)。これは、n−オレフィンから改良オキソ法により生成し、精留したものである。
(b)ブテンの3量体からオキソ法により得られる炭素数13アルコール(分岐率:100質量%)。
(c)中鎖アルコールからガーベット反応により得られる高級アルコール(分岐率:100質量%)。
(d)Sasol社製、商品名 Safol23(分岐率:50質量%)。これは、石炭のガス化から得られるオレフィンをオキソ法によりアルコールを得て、更に水素化したものである。
(e)天然油脂から合成された天然系高級アルコール(分岐率:0質量%)。
なお、「分岐率」とは、全炭素数に対する分岐鎖を構成する炭素数の割合を示す。
【0021】
は、エチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、1〜6であり、油性汚れに対する洗浄力の点から、1〜4が好ましく、1〜3がより好ましい。
Mは、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アルカノールアミン、またはアンモニウムである。
アルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属原子としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。
アルカノールアミンとしては、トリエタノールアミン等が挙げられる。
上記のなかでも、Mとしては、アルカリ金属原子が好ましく、ナトリウムが特に好ましい。
【0022】
前記一般式(1)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩は、たとえば以下のようにして製造できる。
前記(a)〜(e)から選択される高級アルコールに、エチレンオキサイドを付加させてポリオキシエチレンアルキルエーテル(アルコールエトキシレート)を得る。
得られたポリオキシエチレンアルキルエーテルを、サルファンでスルホン化あるいは硫酸化することによりポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が製造できる。
エチレンオキサイドの付加モル数分布は、高級アルコールとエチレンオキサイドとを付加反応する場合の触媒によって変わる。一般的な触媒である水酸化ナトリウムや水酸化カリウムを用いると、エチレンオキサイドの付加モル数分布は広くなる。一方、特許第3312883号公報に記載のAl/Mg/Mnで構成される複合金属酸化物ルイス酸焼結固体触媒を用いると、エチレンオキサイドの付加モル数分布が狭くなる。
なかでも、エチレンオキサイドの付加モル数分布の狭いもの(たとえば、ナロー率が55質量%以上のもの;特開2006−152287号公報参照)を使用した方が、液体洗浄剤組成物の安定性、洗浄力の観点から好ましい。
【0023】
ここで、本明細書において「ナロー率」とは、下記の数式(S)で表されるものを示す。
【0024】
【数1】

[式中、nmaxは全体のエチレンオキサイド付加体中に最も多く存在するエチレンオキサイド付加体のエチレンオキサイドの付加モル数を示す。iはエチレンオキサイドの付加モル数を示す。Yiは全体のエチレンオキサイド付加体中に存在するエチレンオキサイドの付加モル数がiであるエチレンオキサイド付加体の割合(質量%)を示す。]
【0025】
(A)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(A)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物中、5〜35質量%であり、8〜30質量%であることが好ましい。該含有量が5質量%以上であることにより、洗浄力、起泡力が向上する。一方、該含有量が35質量%以下であれば、充分な洗浄力が得られる。
【0026】
二級アルカンスルホン酸塩の含有量は、液体洗浄剤組成物中、10質量%以下であることが好ましく、1〜8質量%であることがより好ましく、2〜6質量%であることがさらに好ましい。該含有量が10質量%以下であると、良好な泡立ちと泡の質が得られるため、さらに好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩の含有量は、液体洗浄剤組成物中、5〜35質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましい。該含有量が5質量%以上であることにより、洗浄力、起泡力が向上する。一方、該含有量が35質量%以下であれば、充分な洗浄力が得られる。
【0027】
なお、(A)成分は、使用場所、洗浄対象物などにより、上記大別された4つのタイプのなかから適宜選択することができる。
たとえば、台所用液体洗浄剤組成物の場合、スルホン酸塩タイプのもの、硫酸エステル塩タイプのものを使用することが好ましく、該組成物における主界面活性剤(全界面活性剤量に対し、好ましくは40質量%以上)としてスルホン酸塩タイプのものおよび/または硫酸エステル塩タイプのものを使用することがより好ましい。
【0028】
・(B)成分
本発明において、(B)成分は、半極性界面活性剤のアミンオキサイド型界面活性剤である。
(B)成分としては、アルキル基が直鎖状のものであってもよく、分岐鎖状のものであってもよい。アルキル基の炭素数は、洗浄力の観点から、8〜16が好ましく、10〜14がより好ましい。
(B)成分として具体的には、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルカノイルアミドアルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルジエチルアミンオキサイド等が挙げられる。
(B)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(B)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物中、1〜10質量%であり、1〜8質量%であることが好ましく、2〜6質量%であることがより好ましい。該含有量が1質量%以上であると、(A)成分との相乗効果により洗浄力が向上する。一方、該含有量が10質量%以下であれば、高粘度化が抑制され、液体洗浄剤組成物の流動性が良好となる。
【0029】
・(C)成分
本発明において、(C)成分は粘度調整剤であり、本発明の液体洗浄剤組成物の粘度を主に調整する成分である。
(C)成分としては、たとえば、芳香族スルホン酸またはその塩、アルコール系溶剤等が挙げられる。
具体的には、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、またはそれらの塩;エタノール、種々の香料変性エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。なかでも、本発明の効果、液体洗浄剤組成物の安定性の観点から、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、またはそれらの塩、エタノールが好ましい。
(C)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(C)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物中、1〜18質量%であることが好ましく、4〜15質量%であることがより好ましい。該含有量が1質量%以上であると、液体洗浄剤組成物の粘度を低減する効果が得られやすくなる。一方、該含有量が18質量%以下であれば、高粘度化が抑制され、液体洗浄剤組成物の洗浄力も向上する。
【0030】
・(D)成分
本発明の液体洗浄剤組成物においては、グリコール化合物(D)をさらに含有することが好ましい。該(D)成分を含有することにより、泡吐出容器の泡吐出ポンプにおけるノズル口詰まりの防止効果が得られる。かかる効果が得られる理由としては、泡吐出容器を継続して使用した際のノズル口において残存した乾燥物(液体洗浄剤組成物)が、(D)成分を含有することにより軟らかくなり、固まりにくくなるためと推測される。
(D)成分として具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ、本発明の効果、液体洗浄剤組成物の安定性の観点から、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールが好ましい。
(D)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(D)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物中、15質量%以下であることが好ましく、2〜12質量%であることがより好ましい。該含有量が15質量%以下であれば、前記ノズル口詰まりの防止効果が充分に得られる。
【0031】
・(E)成分
本発明の液体洗浄剤組成物においては、マグネシウム化合物(E)をさらに含有することが好ましい。該(E)成分を含有することにより、特に油性汚れに対する洗浄力が向上する。また、後述する(F)成分との併用により、本発明の液体洗浄剤組成物を、塩素系漂白剤または塩素系漂白剤含有洗剤と混合した場合、塩素ガスの発生を抑制することが可能となる。
(E)成分としては、マグネシウムを含む次に例示の化合物、すなわち、水酸化物、塩化物、酢酸塩、ギ酸塩、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、または硝酸塩が挙げられ、硫酸マグネシウムがより好ましい。
(E)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(E)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.02〜3質量%であることが好ましく、0.05〜2質量%であることがより好ましく、0.1〜1質量%であることがさらに好ましい。該含有量が0.02質量%以上であれば、特に油性汚れに対する洗浄力が向上する。該含有量が3質量%以下であれば、充分な洗浄力が得られる。また、(F)成分と併用する場合、前記塩素ガス発生の抑制効果がより向上する。
なお、該含有量は、無水塩としての含有量を示すものとする。
【0032】
・(F)成分
本発明の液体洗浄剤組成物においては、スルファミン酸(F)をさらに含有することが好ましい。該(F)成分と前記(E)成分との併用により、本発明の液体洗浄剤組成物を、塩素系漂白剤または塩素系漂白剤含有洗剤と混合した場合、塩素ガスの発生を抑制することが可能となる。
(F)成分の含有量は、液体洗浄剤組成物中、0.01〜1質量%であることが好ましく、0.05〜1質量%であることがより好ましい。該含有量が0.01質量%以上であれば、前記塩素ガス発生の抑制効果が向上する。該含有量が1質量%以下であれば、(E)成分とのバランスをとることができ、充分な塩素ガス発生の抑制効果が得られる。
【0033】
本発明の液体洗浄剤組成物においては、(E)成分と(F)成分とを併用することが好ましい。(E)成分と(F)成分とを併用することにより、高い洗浄力および塩素ガス発生の抑制効果のいずれも得られる。
液体洗浄剤組成物中の(E)成分と(F)成分との混合割合は、(E)成分を0.02〜3質量%と、スルファミン酸(F)を0.01〜1質量%とを混合することが好ましい。
また、(E)成分と(F)成分との混合割合は、質量比で(E)成分/(F)成分=0.5/1〜10/1であることが好ましく、1/1〜6/1であることがより好ましい。該範囲であれば、高い洗浄力がより発現されやすく、前記塩素ガス発生の抑制効果がより向上する。
【0034】
・任意成分
本発明の液体洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その目的や用途に応じて、種々の任意成分を配合することが可能である。
【0035】
配合可能な界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、脂肪酸ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸アルカノールグルカミド、アルキルポリグルコシド、アルキルグリセリルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤が挙げられる。液体洗浄剤組成物中の配合量は0〜20質量%であることが好ましい。
さらに、アルキル酢酸ベタイン、アルカノールアミドプロピル酢酸ベタイン、アルキルイミダゾリン、アルキルアラニン等の双性または両性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
【0036】
また、安息香酸塩等の芳香族カルボン酸、ブチルカルビトール等の水溶性溶剤;グリコール酸、乳酸、りんご酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸等の多価カルボン酸;エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸等のアミノカルボン酸;ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、ポリアクリル酸/ポリマレイン酸の共重合体等の高分子型カルボン酸型キレート剤;硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の無機ビルダー;着色剤、酸化防止剤、防腐剤、殺菌剤、除菌剤、消炎剤、薬効成分、香料、天然抽出物等の液体洗浄剤組成物に通常配合される成分も好適に配合可能である。
【0037】
以上説明した本発明の液体洗浄剤組成物は、5℃での粘度が150〜270mPa・sであり、150〜240mPa・sであることが好ましい。5℃での粘度が前記範囲であることにより、良好な泡立ちが得られ、スポンジになじみやすい泡の形成が可能となる。また、より良好な洗浄力が得られる。
該粘度が150mPa・s以上であると、スポンジに広がり、スポンジになじみやすい泡が形成され、洗浄時の泡もち(泡持続性)が良好となって洗浄力に優れる。一方、該粘度が270mPa・s以下であれば、泡立ち、泡の質、スポンジへのなじみやすさ等が良好な泡が得られる。
本発明者らの検討(牛脂とオリーブオイルとを混合した油性汚れに対する洗浄力評価)によると、上記のような、泡吐出容器から吐出される「スポンジになじみやすい泡」は、液体洗浄剤組成物を液状のままスポンジにとって、該スポンジを揉んで泡立てた泡と比較しても高い洗浄力を発揮することが確認されている。
一方、5℃での粘度が150mPa・s未満では、スポンジに広がらず、スポンジ面にムース状の硬い泡が載っているような状態となり、スポンジになじみにくい泡となってしまう。270mPa・sを超えると、泡形成が不良であり、泡吐出容器からの吐出時に液体洗浄剤組成物が飛散してしまう。
【0038】
ただし、「5℃での粘度」とは、ブルックフィールド(Brook field)粘度計(芝浦システム社製、製品名:デジタルビストメトロン VDA)を使用して測定される値を示す。すなわち、液体洗浄剤組成物105gを、ガラス瓶(広口規格びん、商品名:PS−No.11)に充填して密閉し、5℃に調温された恒温水槽で1時間放置する。これとは別のガラス瓶に、水を満たして1号ローターを入れ、同様に5℃に調温された恒温水槽で1時間放置する。その後、1号ローターを取り出し、水を拭き取り、該1号ローターを空気が入らないように液体洗浄剤組成物に差し込み、30rpmの条件にて1分後の粘度(mPa・s)を測定する。
【0039】
また、本発明の液体洗浄剤組成物は、引火点が40℃以上である。引火点が40℃以上であれば、品質上、安全な液体洗浄剤組成物が得られる。
液体洗浄剤組成物の引火点は、(C)成分として選択する成分、その含有量により調整できる。
ただし、「引火点」とは、「Standard Test Method for Flash Point of Liquids by Setaflash Closed−Cup Apparatus」(ASTM D3278−1982)に規定するSETA密閉式引火点測定装置を使用し、消防法の危険物確認の方法に従って測定される値を示す。
【0040】
また、本発明の液体洗浄剤組成物においては、(B)成分が該液体洗浄剤組成物のpHによって電荷変化を生じ、(A)成分との相互作用が変化する場合があるため、pHを調整することが好ましい。
該液体洗浄剤組成物のpHとしては、25℃で5.5〜7.5であることが好ましく、6〜7であることがより好ましい。pHが5.5以上であると、(A)成分と(B)成分との相互作用が強くなりすぎることなく適度な強さに調整でき、ゲル化または固化の発生が抑制される。一方、pHが7.5以下であれば、該相互作用が弱くなりすぎることなく適度な強さに調整でき、洗浄性能の向上効果が得られやすくなる。
【0041】
<泡吐出容器>
本発明の液体洗浄剤組成物は、内容液を収容する容器本体と、前記容器本体に収容される内容液と空気とを1/5〜1/10の体積比(内容液/空気)で混合し、かつ内容液を泡状に吐出させる泡吐出ポンプとを備える泡吐出容器に収容される。
該泡吐出容器としては、30〜300meshの目開きの泡形成用の網状部材を有する前記泡吐出ポンプを備える前記泡吐出容器に収容されることが好ましい。
該泡吐出容器を使用すると、本発明の液体洗浄剤組成物を吐出させた場合に低温条件でも良好な泡立ちおよび泡の質が得られ、また、洗浄力にも優れた泡を作ることができる。
【0042】
本発明にかかる泡吐出容器の構成及びその動作について説明する。
該泡吐出容器は、図1に示すように、内容液を収容する容器本体1の口頸部1aに取り付けられた泡吐出ポンプ10を備え、この泡吐出ポンプ10により容器本体1に収容された内容液を泡状にして吐出する、いわゆるノンエアゾール型の泡吐出ポンプ付き容器である。
【0043】
泡吐出ポンプ10は、例えば容器本体1の口頸部1aに着脱自在に装着された装着キャップ2を介して容器本体1に取り付けられている。また、泡吐出ポンプ10は、この装着キャップ2の下面から容器本体1の内部に向かって垂下されるシリンダ部材11を備えている。
【0044】
シリンダ部材11は、装着キャップ2の下面に取り付けられた環状のフランジ部12と、このフランジ部12から垂下された略円筒状の空気用シリンダ13と、この空気用シリンダ13よりも小径且つ空気用シリンダ13の底部中央から同心円状に垂下された略円筒状の液用シリンダ14とを有している。また、液用シリンダ14の下端には、容器本体1に収容された内容液を吸い込む吸込パイプ15が接続されており、この吸込パイプ15の下端は、容器本体1の底部まで延びている(図示せず)。
【0045】
装着キャップ2は、このシリンダ部材11を容器本体1の内部に挿入し、口頸部1a上に配置したパッキン3の上にフランジ部12を当接させた状態で口頸部1aの外周部に螺合により装着されている。
【0046】
泡吐出ポンプ10は、この泡吐出ポンプ10を動作させる作動部材20として、液用シリンダ14内に配置されたコイルスプリング22により上方に付勢された状態で上下方向に移動可能に支持された筒状のピストンガイド21と、このピストンガイド21の上端部に接続されると共に装着キャップ2の中央に設けられた筒状部2aから上方に向かって突出されたステム23と、このステム23の先端部に配置されたノズルヘッド24とを有している。
【0047】
ピストンガイド21は、その下端に液用シリンダ14の内周面と液密に摺動される液用ピストン25を有している。また、ピストンガイド21には、液吸入弁となるポペット26が挿入されている。ポペット26は、逆止弁として機能するものであり、その下端に液用シリンダ14に形成された弁座14aに対して着座及び離間可能とされた下部弁体26aと、その上端にピストンガイド21に形成された弁座21aに対して着座及び離間可能とされた上部弁体26bとを有している。また、下部弁体26aの上方には、外方に突出する複数の係合ピン26cが設けられており、この係合ピン26cは、液用シリンダ14に設けられた複数の縦リブ14bの間に上下動可能に挿入されている。また、ポペット26の外周面には、液流路となる縦溝26dが複数形成されている。
【0048】
一方、ピストンガイド21の内周面には、弁座21aの上方において上下方向に延びる複数の縦リブ21bが設けられている。この縦リブ21bの内側は、ピストンガイド21が下降した際に、ポペット26の上部弁体26が進入可能とされており、その際に縦リブ21bとポペット26の縦溝26aとの間が液流路となる。
【0049】
ピストンガイド21の外周面には、外方に張り出す環状のフランジ部21cが形成されており、このフランジ部21cの上面には、環状の起立壁21dが上向きに突出形成されている。また、ピストンガイド21の外周部には、空気用シリンダ13の内周面と気密に摺動される空気用ピストン27が取り付けられている。
【0050】
空気用ピストン27は、ピストンガイド21を挿通させる基筒部27aと、空気用シリンダ13の内周面に摺接されるシール筒部27bと、基筒部27aとシール筒部61との間で段付き形成された段付き部27cとを有し、ピストンガイド21に対して僅かに上下動可能に配置されている。空気用ピストン27の基筒部27aは、ピストンガイド2のフランジ部21cよりも上方に位置しており、その上部がステム23の内周面と気密に摺動可能となっている。
【0051】
また、空気用ピストン27の基筒部27aと段付き部27cとの間には、外部の空気が流入される空気流入孔28が設けられている。この空気流入孔28は、空気用ピストン27及びステム23の上下動によって開閉可能とされている。すなわち、空気用ピストン27及びステム23の上下動によって、ステム23の下端が基筒部27aと段付き筒部27cとの間に当接されると空気流入孔28が閉塞され、離間すると空気流入孔28が開放される。
【0052】
さらに、空気用ピストン27の基筒部27aには、空気吸入弁29が取り付けられている。この空気吸入弁29は、逆止弁として機能するものであり、基筒部27aと段付き部27cとの間に位置してその下端から上向きに広がる環状のダイアフラム29aを有している。このダイアフラム29aは、通常はその外周縁部が段付き部27cの下面に当接して空気シリンダ13を閉塞しており、空気シリンダ13内に負圧が発生したときに、下方に弾性変形することによって外周縁部が段付き部27cの下面から離間して空気シリンダ13を開放する。なお、この空気吸入弁29は、例えば図3に示すように、上述したステム23の下端が基筒部27aと段付き筒部27cとの間で空気流入孔28を開閉する構成の場合には、省略することも可能である。
【0053】
空気用ピストン27は、その上下動によって基筒部27aの下端がピストンガイド21の起立壁21dの内側と接離可能となっている。そして、ピストンガイド21の基筒部27aと摺接される外周面には、上下方向に延びる複数の縦溝30が設けられている。この縦溝30は、空気用シリンダ13内の空気を後述する混合室31へと導く空気流路を形成するものであり、基筒部27aの下端がピストンガイド21の起立壁21dから離間したときに空気用シリンダ13との間で連通され、基筒部27aの下端が起立壁21dに当接したときに空気用シリンダ13との間で遮断される。
【0054】
ピストンガイド21の内側上部には、空気用シリンダ13から空気流路を通して供給される空気と液用シリンダ14から液流路を通して供給される内容液とが混合される混合室31が設けられている。この混合室31は、略円筒状の内部形状を有し、その下面中央には、液用シリンダ14から圧送された内容液が流入される液流入口31aが設けられ、その上面中央には、空気と混合された内容液が流出される液流出口31bが設けられている。
【0055】
混合室31には、図2に拡大して示すように、液流入口31aを開閉する液流入弁32が設けられている。この液流入弁32は、逆止弁として機能するものであり、液流入口31aに設けられた弁座33と、この弁座33に対して着座及び離間可能に設けられた弁体34とを有している。弁座33は、液流入口31aの周囲を囲む位置から上方に向かって突出され円筒状の突起部であり、その上端面が外側から内側に向かって下降したテーパー面を形成することによって、弁体34が着座される座面33aを形成している。弁体34は、弁座33の座面33aに対して着座及び離間可能とされた球体であり、混合室31に供給された内容液と空気とを撹拌するように混合室31内で移動可能となっている。
【0056】
コイルスプリング22は、図1に示すように、液用シリンダ14内における液用ピストン25と縦リブ14bとの間に圧縮された状態で配置されており、液用ピストン25を上方に向かって付勢している。また、コイルスプリング22の下端は、ポペット26の係合ピン26cに下方から掛止可能となっており、これにより、ポペット26の上方移動時の上限を規制している。
【0057】
ステム23は、装着キャップ2の筒状部2aに挿入されると共に、ピストンガイド21の上端部を内側に嵌合させた状態でピストンガイド21と連結されている。これにより、ステム23は、混合室31の液流出口31bと連通される流路を形成すると共に、ピストンガイド21と一体に上下方向に移動可能となっている。また、筒状部2aの内周面には、外部の空気を空気流入孔28へと導くための外気導入用の縦リブ35が複数設けられている。
【0058】
ステム23の内部には、ピストンガイド21の上端部の内側に嵌合されるジェットリング36と、このジェットリング内に配置された2つのメッシュリング37a,37bとが設けられている。このうち、ジェットリング36のピストンガイド21に嵌合される嵌合部36aには、上述した混合室31の液流出口31bが形成されている。また、図2に拡大して示すように、ジェットリング36とピストンガイド21との間に形成された隙間38によって、上述した空気用シリンダ12から流出された空気を混合室31へと導く空気流路が形成されている。また、嵌合部36aの内側には、複数の縦溝36bが形成されており、混合室31内の弁体34が嵌合部36の下端に当接した場合でも、空気と混合された内容液を縦溝36bを通じて液流出口31bから流出することが可能となっている。
【0059】
メッシュリング37a,37bは、図1に示すように、混合室31内で空気と混合された内容液を発泡させるための発泡用部材であり、下部側のメッシュリング37aは、筒状部材の下部開口部に、泡形成用の網状部材が取り付けられ、上部側のメッシュリング37bは、筒状部材の上部開口部に該網状部材が取り付けられた構造を有している。なお、筒状部材に対する網状部材の配置については、両端開口部のいずれか一方のみに配置する構成に限らず、両方に配置することも可能である。また、メッシュリング37a,37bを37aのみの構成にすることも可能である。
網状部材の目開きの大きさとしては、30〜300meshが好ましく、50〜120meshがより好ましい。網状部材の目開きの大きさが前記範囲であると、特に低温での泡形成性(泡立ち、泡の質)がより向上する。また、網状部材の枚数も1枚であることが泡形成性、ポンプの押し圧の点から好ましい。
【0060】
ノズルヘッド24は、ステム23の上端部にステム23と一体に設けられたヘッド部24aと、このヘッド部24aの側面から延長された泡吐出口となるノズル部24bとを有している。このうち、ヘッド部24aは、押圧操作される部分であり、その内側にステム23からノズル部24bへと内容液を導く流路24cが設けられている。ノズル部24bは、この流路24cと連通されると共に、ヘッド部24aの側面部からほぼ水平方向に延長され、その先端部が下方に向かって僅かに屈曲した細長形状を有している。また、ヘッド部6の下面からは、筒状部1aの周囲を囲む外側筒部24dが垂下されており、この外側筒部24dの下端にはリング部材39が嵌め込まれている。なお、装着キャップ2の筒状部2aには、ノズルヘッド24の押圧方向の移動を係止するストッパー40が着脱可能となっている。
【0061】
以上のような構造を有する泡吐出容器では、ノズルヘッド24を押圧操作する前の状態では、図1に示すように、ノズルヘッド24が上方に位置しており、この状態において、ポペット26は、コイルスプリング22より上方に付勢されたピストンガイド21よって押し上げられ、下部弁体26aが液用シリンダ14の弁座14aから離間している。これにより、液用シリンダ14は、吸込パイプ15通じて容器本体1の内部と連通した状態となっている。一方、ポペット26の上部弁体26bは、ピストンガイド21の弁座21aに着座しており、このピストンガイド21の上部開口を閉塞している。
【0062】
空気用ピストン27は、図3中の中心線に対して左半分側で示されるように、基筒部27aの下端がピストンガイド21の起立壁21dの内側と当接することによって、空気用シリンダ13と縦溝30との間を遮断している。一方、ステム23の下端が空気用ピストン27の基筒部27aと段付き筒部27cとの間から離間することによって空気流入孔28を開放している。また、空気吸入弁29は、空気用ピストン27の段付き部27cにダイヤフラム29の外周縁部が当接されることによって、空気シリンダ13を閉塞している。
【0063】
この状態から、作動部材20であるノズルヘッド24を押圧操作してステム23及びピストンガイド21をコイルプスリング24の付勢力に抗して押し下げると、液用ピストン25及び空気用ピストン27が一体となって下降する。このとき、ポペット26の上部弁体26bがピストンガイド21の弁座21aから離間して、このピストンガイド21の上部開口を開放する。また、下降する液用ピストン25により液用シリンダ14内が加圧されると、この液用シリンダ14内で加圧された内容液がポペット26を押圧して下降させる。これにより、ポペット26の下部弁体26aが液用シリンダ14の弁座14aに着座して、液用シリンダ14の下部開口を閉塞する。
【0064】
一方、空気用ピストン27は、ノズルヘッド24の押し下げ開始直後はシール筒部27bと空気用シリンダ13との摩擦力によって停止しており、その状態でピストンガイド21が下降することによって、図3中の中心線に対して右半分側で示されるように、基筒部27aの下端がピストンガイド21の起立壁21dから離間し、空気用シリンダ13と縦溝30との間が連通された状態となる。一方、ステム23の下端が空気用ピストン27の基筒部27aと段付き筒部27cとの間に当接されることによって空気流入孔28を閉塞する。そして、この空気用ピストン27は、ステム23の下端が当接された以降はピストンガイド21と一体となって下降する。
【0065】
下降する液用ピストン25により液用シリンダ14内で加圧された内容液は、液流入弁31の弁体34を押圧して、この弁体34を弁座33から離間させる。これにより、液用シリンダ14内で加圧された内容液が液流入口31aを通って混合室31に流入することになる。一方、下降する空気用ピストン27により空気用シリンダ15内で加圧された空気は、縦溝30及び隙間38によって形成された空気流路を通って混合室31に流入することになる。
【0066】
混合室31内では、供給された内容液と空気とが撹拌されて、この空気と混合された内容液が液流出口31bを通ってステム23側へと送られる。そして、ジェットリング36及び1つもしくは2つのメッシュリング37a,37bを通過した内容液は、発泡されて泡状となり、ノズルヘッド24の流路24cを通ってノズル部24bの先端部から吐出される。
【0067】
内容液と空気との体積比(内容液/空気)は、1/5〜1/10であることが好ましい。
該体積比(内容液/空気)において、内容液1に対する空気の割合が5以上であることにより、適度な泡の量が得られるようになって泡立ちが良好となる。一方、内容液1に対する空気の割合が10以下であることにより、泡のキメ等が均一となり、均質な泡が得られ、かつスポンジになじみにやすい泡が得られる。
本発明において、「内容液と空気との体積比(内容液/空気)」とは、混合室31内へ供給される内容液の体積と、空気の体積との混合比率を意味する。
混合室31内へ供給される内容液の体積量は、液用シリンダ14部分の内径を調整することにより制御できる。
混合室31内へ供給される空気の体積量は、空気用シリンダ13の内径を調整することにより制御できる。
【0068】
一方、押し下げられたノズルヘッド24に対する押圧を解除すると、ステム23及びピストンガイド21がコイルプスリング22の付勢力により押し上げられて、液用ピストン25及び空気用ピストン27が一体となって上昇する。このとき、混合室31及び液用シリンダ14内に負圧が発生することによって、液流入弁31の弁体34が弁座33に着座して液流入口31aを閉塞する。また、液用シリンダ14内に発生した負圧によってポペット26が引き上げられると、下部弁体26aが液用シリンダ14の弁座14aから離間する。これにより、容器本体1内にある内容液が吸込パイプ15通じて液用シリンダ14内へと吸い上げられる。
【0069】
一方、空気用ピストン27は、ノズルヘッド24の上昇直後はシール筒部27bと空気用シリンダ13との摩擦力によって停止しており、その状態でピストンガイド21が上昇することによって、基筒部27aの下端がピストンガイド21の起立壁21dと当接し、空気用シリンダ13と縦溝30との間を遮断する。一方、ステム23の下端が空気用ピストン27の基筒部27aと段付き筒部27cとの間から離間されることによって空気流入孔28を開放する。そして、この空気用ピストン27は、基筒部27aの下端が起立壁21dの内側と当接された以降はピストンガイド21と一体となって上昇する。
【0070】
また、空気用ピストン27の上昇に伴って、空気用シリンダ13内に負圧が発生する。これにより、空気吸入弁29は、空気用ピストン27の段付き部27cからダイヤフラム29の外周縁部が下方に弾性変形することによって段付き部27cから離間し、空気シリンダ13を開放する。また、ステム23の下端が空気用ピストン27の基筒部27aと段付き筒部27cとの間から離間することによって空気流入孔28を開放する。
【0071】
また、容器本体1内にある内容液が吸込パイプ15通じて液用シリンダ14内へと吸い上げられると、容器本体1内に負圧が発生する。これにより、外気が筒状部2aの縦リブ35の間から吸い込まれて、一部の空気が空気流入孔28を通って空気用シリンダ13内に入ると共に、残りの空気が容器本体1内に入ることになる。
【0072】
以上のようにして、この泡吐出容器では、ノズルヘッド24に対する押圧を解除することによって、押し下げられたノズルヘッド24が再び元の位置へと戻ることになる。したがって、この泡吐出容器では、ノズルヘッド24に対する押圧操作を繰り返し行うことができ、このような押圧操作によって容器本体1の内部に収容された液体を泡状にしてノズル部24bから定量的に吐出させることができる。
【0073】
以上説明した、上記泡吐出容器に収容される本発明の液体洗浄剤組成物によれば、泡吐出容器から吐出させた場合に低温条件でも良好な泡立ちおよび泡の質が得られ、優れた洗浄力が得られる。
また、本発明の液体洗浄剤組成物によれば、該液体洗浄剤組成物を、スポンジ上に、泡吐出容器から吐出させた場合、スポンジに広がり、スポンジになじみやすい泡をつくることができる。
【0074】
また、本発明の液体洗浄剤組成物は、泡吐出容器のノズル口詰まりの防止効果が良好であるため、継続して使い続けても該ノズル口が詰まりにくいものである。
また、本発明の液体洗浄剤組成物は、特にタッパ容器等に付着した、落ちにくい油性汚れに対する洗浄力が良好である。
【0075】
住居内においては、優れた漂白力を有することから、次亜塩素酸ナトリウム等の次亜塩素酸塩を含有する、衣料用漂白剤、台所用漂白剤、カビ取り剤、トイレ用洗浄剤、排水パイプ用洗浄剤、消毒用洗浄剤等の塩素系漂白剤または塩素系漂白剤含有洗剤が数多く使用されている。
従来、多価金属イオンを含有する液体洗浄剤組成物は、上記の塩素系漂白剤または塩素系漂白剤含有洗剤と混合した場合、塩素ガスが多量に発生するという安全上の問題があった。
本発明の液体洗浄剤組成物によれば、塩素系漂白剤または塩素系漂白剤含有洗剤と混合しても、塩素ガスの発生を抑制することができる。
【0076】
本発明の泡吐出容器に収容される液体洗浄剤組成物は、特に硬質表面を対象とする洗浄用途に好適なものであり、なかでも食器、調理器具等を対象とする台所用液体洗浄剤組成物として最も好適なものである。
本発明にかかる泡吐出容器に収容された液体洗浄剤組成物(台所用液体洗剤製品)は、該液体洗浄剤組成物をスポンジ上に泡状に吐出させて、汚染した皿を連続して洗浄した場合、従来のものに比べて、多くの皿を洗浄することができ、また、泡もち(泡持続性)に優れたものである。
【実施例】
【0077】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「%」は特に断りがない限り「質量%」を示す。
【0078】
<液体洗浄剤組成物の製造>
表1〜3に示す組成に従って各例の液体洗浄剤組成物を、常法に準じて、各成分を混合することにより製造した。
なお、表1〜3中の配合量の単位は質量%であり、純分換算量を示す。ただし、硫酸マグネシウムおよび硫酸亜鉛は、それぞれ7水塩(有り姿)としての配合量を示す。
また、液体洗浄剤組成物は、水酸化ナトリウムまたは硫酸により、該液体洗浄剤組成物のpH(25℃)を6.6に調整した後、総量が100質量%となるように水量をバランスした。下記に、表中に示した成分について説明する。
【0079】
・(A)成分
SAS:第2級アルカンスルホン酸ナトリウム(クラリアントジャパン(株)製、商品名:HOSTAPUR SAS 60)。
【0080】
NRES:炭素数12〜13ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム〔エチレンオキサイドの平均付加モル数2(ナロー率78質量%)、原料アルコール:Safol23アルコール(商品名、サソール社製、炭素数12の炭化水素基と炭素数13の炭化水素基との混合割合:C12/C13=6/4(質量比)、分岐率50質量%、中間鎖分岐率85質量%)〕。
【0081】
(NRESの製造)
4Lのオートクレーブ中に、Safol23アルコール400gと、特許第3312883号公報に記載のAl/Mg/Mnで構成される複合金属酸化物ルイス酸焼結固体触媒0.4gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、撹拌しながら昇温した。その後、温度180℃、圧力0.3mPaに維持しながらエチレンオキサイド184gを導入し、エチレンオキサイドの平均付加モル数2の反応物を得た。また、そのエチレンオキサイド付加モル数分布は、HPLCにより下記条件*1で測定した結果、ナロー率78質量%であった。
次に、上記で得られたアルコールエトキシレート280gを、撹拌装置付の500mLフラスコにとり、窒素置換後、液体無水硫酸(サルファン)78gを反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。次いで、該ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を水酸化ナトリウム水溶液で中和してポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(NRES)を得た。
【0082】
BRES:炭素数12〜13ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム〔エチレンオキサイドの平均付加モル数2(ナロー率33質量%)、原料アルコール:Neodol23アルコール(商品名、シェルケミカルズ社製、C12/C13=1/1(質量比)、分岐率20質量%、中間鎖分岐率0質量%)〕。
【0083】
(BRESの製造)
4Lのオートクレーブ中に、Neodol23アルコール400gと、水酸化カリウム触媒0.8gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、撹拌しながら昇温した。その後、温度180℃、圧力0.3mPaに維持しながらエチレンオキサイド184gを導入し、エチレンオキサイドの平均付加モル数2の反応物を得た。また、そのエチレンオキサイド付加モル数分布は、HPLCにより下記条件*1で測定した結果、ナロー率33質量%であった。
次に、上記で得られたアルコールエトキシレート280gを、撹拌装置付の500mLフラスコにとり、窒素置換後、液体無水硫酸(サルファン)78gを反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。次いで、該ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を水酸化ナトリウム水溶液で中和してポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(BRES)を得た。
【0084】
*1:エチレンオキサイドの平均付加モル数分布の測定条件
装置 :LC−6A((株)島津製作所製)
検出器 :SPD−10A
測定波長:220nm
カラム :Zorbax C8 (Du Pont(株)製)
移動相 :アセトニトリル/水=60/40(体積比)
流速 :1mL/min
温度 :20℃
【0085】
・(B)成分
アミンオキサイド:炭素数12アルキルジメチルアミンオキサイド(ライオンアクゾ社製、商品名:アロモックスDM12D−W)。
【0086】
・(C)成分
エタノール:エタノール(純正化学(株)製、試薬特級)。
クメンスルホン酸Na:クメンスルホン酸ナトリウム(テイカ(株)製、商品名:テイカトックスN5040)。
【0087】
・(D)成分
PEG:ポリエチレングリコール(分子量1000)(ライオン(株)製、商品名:PEG#1000)。
プロピレングリコール:プロピレングリコール(純正化学(株)製、試薬特級)。
【0088】
・(E)成分
硫酸マグネシウム:MgSO・7水塩(赤穂化成(株))。
【0089】
・(F)成分
スルファミン酸:スルファミン酸(扶桑化学工業社製)。
【0090】
・任意成分
硫酸亜鉛:ZnSO・7水塩(純正化学(株)製、試薬特級)。
グリコール酸:グリコール酸(デュポン(株)製、商品名:グリピュア70)。
安息香酸ナトリウム:安息香酸ナトリウム((株)伏見製薬製)。
香料:特開2002−327194号公報に記載の香料組成物A。
【0091】
<泡吐出ポンプを有する泡吐出容器の作製>
内容液と空気との体積比(内容液/空気)の異なる泡吐出ポンプを備えた泡吐出容器は、ライオン株式会社製のキレイキレイ泡ハンドソープポンプを改造することによって作製した。
すなわち、図1〜3に示される泡吐出容器と同様の機構を備えた泡吐出容器において、シリンダ部材11の略円筒状の液用シリンダ14部分の内径を16.4mm、11.8mm、10.2mm、8mmに改造したパーツをそれぞれ作製し、送り込む液量を可変させた。空気用シリンダ13の直径は30mmのままで作製した。
その結果、内容液と空気との体積比(内容液/空気)が、1/3、1/6、1/8、1/13に調整された泡吐出ポンプを備えた泡吐出容器(300mL)を作製した。
【0092】
<評価>
各例の液体洗浄剤組成物250gを、上記で作製された泡吐出容器にそれぞれ収容して、以下に示す方法によって、粘度、引火点、泡立ち、泡の質、スポンジへのなじみやすさ、洗浄力、ノズル口詰まりの防止効果、塩素ガス発生の抑制効果の評価を行い、その結果を表1〜3に併記した。
【0093】
[粘度の測定]
ブルックフィールド(Brook field)粘度計(芝浦システム社製、製品名:デジタルビストメトロン VDA)を使用して測定を行った。
各例の液体洗浄剤組成物105gを、ガラス瓶(広口規格びん、商品名:PS−No.11)に充填して密閉し、5℃に調温された恒温水槽で1時間放置した。これとは別のガラス瓶に、水を満たして1号ローターを入れ、同様に5℃に調温された恒温水槽で1時間放置した。その後、1号ローターを取り出し、水を拭き取り、該1号ローターを空気が入らないように液体洗浄剤組成物に差し込み、30rpmの条件にて1分後の粘度(mPa・s)を測定した。
【0094】
[引火点の測定]
「Standard Test Method for Flash Point of Liquids by Setaflash Closed−Cup Apparatus」(ASTM D3278−1982)に規定するSETA密閉式引火点測定装置 を使用し、消防法の危険物確認の方法に従って引火点(℃)を測定した。
【0095】
[泡立ちの評価]
各例の液体洗浄剤組成物が収容された泡吐出容器を、20℃および5℃のそれぞれの温度に調温された恒温水槽で1時間放置した。その後、500mLのメスシリンダーに、50回ポンプ操作を行って吐出し、泡の体積(mL)を測定した。
【0096】
[泡の質の評価]
各例の液体洗浄剤組成物が収容された泡吐出容器を、20℃に調温された恒温水槽で1時間放置した。その後、スポンジの上に吐出した時の「泡の状態」を目視で観察し、下記評価基準に基づいて評価した。図4に、該評価基準となる泡の状態を表す写真を示す。
(評価基準)
◎:キメが細かく、均質な泡が吐出した(図4(a)参照)。
○:直径2mm以上の泡を3個以下含む泡が吐出した(図4(b)参照)。
△:直径2mm以上の泡を4個以上含む泡が吐出した(図4(c)参照)。
×:飛び散る泡が吐出した(図4(d)参照)。
【0097】
[スポンジへのなじみやすさの評価]
各例の液体洗浄剤組成物が収容された泡吐出容器を、20℃に調温された恒温水槽で1時間放置した。その後、スポンジの上に吐出した時の「スポンジへのなじみやすさ」を目視で観察し、下記評価基準に基づいて評価した。図5に、該評価基準となるスポンジへのなじみやすさを表す写真を示す。
なお、スポンジとしては、スコッチブライト(商品名、住友スリーエム株式会社製)を使用した。
(評価基準)
○:スポンジに広がり、スポンジになじみやすい泡が吐出した(図5(a)参照)。
×:スポンジに広がらない、ムース状の泡が吐出した(図5(b)参照)。
【0098】
[洗浄力の評価]
牛脂1gを、10cm×15cmのタッパ容器の内表面に均一になるように塗布して激しく汚染させ、疎水表面を調製した。
11.5cm×7.5cm×3cmの食器洗い用スポンジに、38gの水と、2gの液体洗浄剤組成物をとり、数回手で揉んだ。その後、前記汚染させたタッパ容器を、通常家庭で行われる条件と同様にして洗浄した。洗浄後、25℃の水道水でよくすすぎ、その時のタッパ容器における洗浄前に疎水表面であった表面を、手で触ったときの感触により、下記の評価基準に基づき、洗浄力を評価した。◎〜○を合格範囲とした。
(評価基準)
◎:タッパ容器のいずれの部位を触っても、キュキュッと音がするような摩擦感を感じ、牛脂の残留によるぬるつきは全く感じられなかった。
○:タッパ容器の底面および側面を触ると摩擦感を感じ、牛脂の残留によるぬるつきは感じられないが、角の部位には僅かにぬるつきが残っていた。
△:タッパ容器の底面および側面を触ると摩擦感を感じ、牛脂の残留は認められないが、側面や角の部位にぬるつきが残っていた。
×:タッパ容器全体にぬるつきが感じられ、明らかに牛脂が残留していることがわかった。
【0099】
[ノズル口詰まりの防止効果]
各泡吐出容器に各例の液体洗浄剤組成物を収容し、60℃で保管し、1日1回ポンプ操作を行って泡吐出容器から吐出させ、90日後にノズル口の詰まりを目視で観察し、下記基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:詰まっているノズル口の断面の面積の割合が50%未満であった。
△:詰まっているノズル口の断面の面積の割合が50%以上80%未満であった。
×:詰まっているノズル口の断面の面積の割合が80%以上であった。
【0100】
[塩素ガス発生の抑制効果の評価]
塩素ガスの発生量を、家庭用品品質表示法測定方法に準拠し、以下のようにして測定した。
(塩素ガス発生量の測定方法)
室温(20±5℃)にて、容量が約20L(φ14.5cm×高さ30.0cm)の丸形プラスチック合成樹脂製蓋付き容器を用い、塩素ガスの発生量を測定した。
10mLビーカーに被検液(液体洗浄剤組成物)3mLを取り、この中に、水酸化ナトリウム1質量%と次亜塩素酸ナトリウム5質量%とを含有する水溶液3mLを加え、直ちに蓋をし、マグネティックスターラー(スターラーピース、長さ1cm)で撹拌した。また、前記容器中のファンにより槽内を送風、撹拌した。5分経過後、光明理化学工業製の北川式ガス検知管(塩素測定用)を備えた100mLガス採取器(光明理化学工業製、AP−1)により容器内のガス100mLを1回吸引し、容器中の塩素ガス濃度を測定した。
得られた数値から、下記式により塩素ガス濃度を算出し、下記基準に基づいて、塩素ガス発生の抑制効果を評価した。○〜△を合格範囲とした。
塩素ガス濃度(ppm)=測定された塩素ガス濃度(ppm)÷3×合成樹脂容器の容量(L)÷20
(評価基準)
○:塩素ガス濃度が0.6ppm未満であった。
△:塩素ガス濃度が0.6ppm以上1.0ppm以下であった。
×:塩素ガス濃度が1.0ppmを超える範囲であった。
【0101】
【表1】

【0102】
【表2】

【0103】
【表3】

【0104】
表1〜3の結果から、本発明にかかる実施例1〜18は、泡吐出容器から吐出させた場合に低温条件でも良好な泡立ちおよび泡の質が得られ、洗浄力に優れていることが確認できた。
【0105】
また、さらに(D)成分を含有する実施例7〜18は、ノズル口詰まりの防止効果が良好であることが確認できた。
また、(E)成分をさらに含有する実施例10〜18は、洗浄力がより良好であることが確認できた。
また、(E)成分と(F)成分とをさらに含有する実施例11〜18は、塩素ガス発生の抑制効果が良好であることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】図1は、本発明の液体洗浄剤組成物が収容される泡吐出容器の一例を示す縦断面図である。
【図2】図2は、図1に示す泡吐出容器における泡吐出ポンプの混合室を拡大して示す図であり、図2(A)はその横断面図であり、図2(B)はその縦断面図である。
【図3】図3は、図1に示す泡吐出容器の動作を説明するための縦断面図である。
【図4】図4は、[泡の質の評価]の評価基準となる泡の状態を表す写真である。
【図5】図5は、[スポンジへのなじみやすさの評価]の評価基準となるスポンジへのなじみやすさを表す写真である。
【符号の説明】
【0107】
1…容器本体 2…装着キャップ 10…泡吐出ポンプ 11…シリンダ部材 13…空気用シリンダ 14…液用シリンダ 20…作動部材 21…ピストンガイド 22…コイルスプリング 23…ステム 24…ノズルヘッド 25…液用ピストン 26…ポペット 27…空気用ピストン 31…混合室 33…弁座 34…弁体 36…ジェットリング 37a,37b…メッシュリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液を収容する容器本体と、前記容器本体に収容される内容液と空気とを1/5〜1/10の体積比(内容液/空気)で混合し、かつ内容液を泡状に吐出させる泡吐出ポンプとを備える泡吐出容器に収容される前記内容液を構成する液体洗浄剤組成物であって、
アニオン界面活性剤(A)を5〜35質量%と、
アミンオキサイド型界面活性剤(B)を1〜10質量%と、
粘度調整剤(C)とを含有し、5℃での粘度が150〜270mPa・sであり、かつ引火点が40℃以上であることを特徴とする液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記アニオン界面活性剤(A)がアルカンスルホン酸塩を含む請求項1に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
グリコール化合物(D)をさらに含有する請求項1または2に記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
マグネシウム化合物(E)とスルファミン酸(F)とをさらに含有する請求項1〜3のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
30〜300meshの目開きの泡形成用の網状部材を有する前記泡吐出ポンプを備える前記泡吐出容器に収容される請求項1〜4のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−214403(P2008−214403A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−50647(P2007−50647)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】