説明

液体洗浄剤組成物

【課題】 皮膚刺激性が少なく、洗浄性・起泡性に優れ、特に油汚れの除去かつ再汚染防止能に優れ、さらに色が薄い液体洗浄剤を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤(A)を必須成分とするガードナー色数が3以下の液体洗浄剤組成物である。
【化1】


[式中、R1は炭素数8〜24のアルキル基もしくはアルケニル基、A1およびA2は炭素数2〜4のアルキレン基、mおよびnは、m+nの平均が3〜60となる正の整数である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物に関する。更に詳しくは、食器用や台所廻り用などの洗浄剤として適した硬質表面用の液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
台所用洗剤等では、使用時に直接皮膚に接触することから、皮膚刺激性が少なく、洗浄性、起泡性の優れたものが要求されている。このような液体洗浄剤組成物の主基剤としては従来から、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルエステル塩、アシルメチルタウリン塩、アシルグルタミン酸塩、脂肪酸石鹸等の陰イオン性界面活性剤、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アルキルスルホベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルグリコシドなどの非イオン界面活性剤が使用されている。
しかしながら、陰イオン性界面活性剤は洗浄力は高いが皮膚刺激性が強く、両性界面活性剤や非イオン界面活性剤は皮膚刺激性は少ないが洗浄性、起泡性が十分ではない等の問題点があった。
【0003】
このような問題を解決し性能の向上を図るために、陰イオン界面活性剤とアミンオキシド化合物を併用することが提案されている(例えば特許文献1)。しかしながら、洗浄性、起泡性、手荒れ防止性等がまだ十分満足できるものではなかった。
一方で、非イオン界面活性剤として公知の組成物である従来のポリオキシエチレンアルキルアミンは着色が著しく、経日変化によっても色が濃くなるという問題があり、さらに着色物質の臭気が強く洗浄剤成分としては使用に適したものではなかった。
そこで、着色を制御する方法が提案されている(例えば特許文献2)。しかしながら、この製法で得られるポリオキシエチレンアルキルアミンもまだ色、臭気とも満足できるものではなかった。
【特許文献1】特開2001−107093号公報
【特許文献2】特開2003−96186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の課題は、皮膚刺激性が少なく、洗浄性・起泡性に優れ、特に油汚れの除去かつ再汚染防止能に優れ、さらに色が薄い液体洗浄剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定のポリオキシアルキレンアミンを配合した洗浄剤がこれらの目的に対し有効であることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表され、ガードナー色数3以下となるように製造した非イオン性界面活性剤(A)を必須成分として含有するガードナー色数が3以下の液体洗浄剤組成物である。
【0006】
【化1】

【0007】
[式中、R1は炭素数8〜24のアルキル基もしくはアルケニル基、A1OおよびA2Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、mおよびnは、m+nの平均が3〜60となる正の整数である。]
【発明の効果】
【0008】
本発明の液体洗浄剤組成物は、洗浄力、起泡力に優れるとともに手肌に対する刺激もなく、特に油汚れの除去、かつ再汚染防止能に優れるため、台所用、食器用洗浄剤、住居用として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の液体洗浄剤組成物は、下記一般式(1)で表される非イオン性界面活性剤(A)を必須成分とし、しかもこの非イオン性界面活性剤(A)としてガードナー色数が3以下で着色度が低いものを使用する必要がある。
【0010】
【化2】

【0011】
非イオン性界面活性剤(A)を示す上記の一般式(1)において、R1としては炭素数8〜24のアルキル基もしくはアルケニル基であり好ましくは10〜20、さらに好ましくは12〜18、特に好ましくは12〜16のアルキル基もしくはアルケニル基である。具体的には以下の基が含まれる。
炭素数が8〜24のアルキル基としては、直鎖もしくは分岐のアルキル基またはシクロアルキル基、例えばn−、i−オクチルおよび2−エチルヘキシル基、n−およびi−ノニル基、n−およびi−デシル基、n−およびi−ドデシル基、n−およびi−トリデシル基、n−およびi−テトラデシル基、n−およびi−ヘキサデシル基、ステアリル基、ノナデシル基、エイコシル基、並びにテトラコシル基等;炭素数が8〜24のアルケニル基としては、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、オレイル基、およびガドレイル基等が挙げられる。
【0012】
1はこれらのうち単独のアルキル(又はアルケニル)鎖長でもよく、異なるアルキル(又はアルケニル)鎖長を有する混合アルキル基(又はアルケニル基)であってもよい。 前者の場合には、油汚れに対する乳化力、および再汚染防止効果の点から好ましいものは炭素数10〜20のアルキル基およびアルケニル基であり、特に、炭素数12〜18のアルキル基およびアルケニル基である。
後者の場合には、ヤシ油、パーム核油から選ばれる植物油から誘導される混合アルキル(又はアルケニル)鎖長を有するものが好適である。
【0013】
1OおよびA2Oは炭素数2〜4のオキシアルキレン基は、アルキレンオキサイドに由来し、具体的には、オキシエチレン基、1,2オキシ−プロピレン基、1,2−オキシブチレン基、2,3−オキシブチレン基および1,4−オキシブチレン基があげられる。
【0014】
本発明に使用されるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド(以下、EOと略記する)、プロピレンオキサイド(以下、POと略記する)、1,2−ブチレンオキサイドおよび2,3−ブチレンオキサイド、およびこれら2種以上の併用などがあげられる。
後述するように、油汚れの乳化力、洗浄力の観点から、EO単独、またはEOと他のアルキレンオキサイドの併用が好ましい。
【0015】
mおよびnは、それぞれアルキレンオキサイドの付加モル数を表し、通常は正の整数、好ましくは1〜40、さらに好ましくは1〜30の整数である。但し、アルキレンオキサイドの付加モル数m+nの平均は、通常3〜60、好ましくは4〜50、さらに好ましくは5〜40である。m+nの平均が3未満では、十分な再汚染防止効果が得られず、また60を越えると洗浄力が悪くなる。
【0016】
(A1O)mおよび(A2O)nにおいて、A1OとA2Oは同一でも異なっていてもよい。また、異なる場合の付加形式はランダム付加、ブロック付加およびこれらの併用があげられる。
【0017】
非イオン界面活性剤(A)におけるオキシアルキレン基 鎖中のオキシエチレン基の含有量は80モル%以上であることが好ましく、さらに好ましくは90モル%以上である。80モル%以上であると油汚れの乳化力、洗浄力が著しく向上する。
【0018】
本発明の非イオン界面活性剤(A)は、ガードナー色数3以下となるように製造されたものである必要がある。
ガードナー色数3を超えるようなものは、製造時に副生するアミンの分解物が多く含有し、色、臭気の点で洗浄剤としては不適である。
【0019】
ガードナー色数3以下となる非イオン界面活性剤(A)の製造方法としては、例えば、(i)1級アミン類に無触媒で、アルキレンオキサイド1.5〜2モルを80〜120℃で付加反応させ、(ii)触媒としてテトラメチルアンモニウム塩またはトリメチルアミンを用いて、さらにアルキレンオキサイド1〜58モルを50〜90℃で付加反応させた後に、(iii)140〜180℃で前記触媒を減圧除去する。
【0020】
なお、ガードナー色数3以下となる非イオン界面活性剤(A)の詳細な製造方法としては、本願の発明者らによる特願2006−89910に記載した方法である。
【0021】
使用できるアミン類としては、例えば、炭素数8〜24のアルキルアミン(オクチルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、1−メチルオクチルアミン、1−メチルラウリルアミン、1−メチルステアリルアミンなど)、アルケニルアミン(1−メチルオレイルアミンなど)が挙げられる。 これらのうち好ましいものは、オクチルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、セチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミンなどのアルキルおよびアルケニルアミンである。
【0022】
本発明の洗浄剤組成物は、さらに必要により、必須成分の非イオン性界面活性剤(A)以外の、他の非イオン界面活性剤(a)、アニオン界面活性剤(b)、カチオン界面活性剤(c)および両性界面活性剤(d)からなる群から選ばれる1種以上の界面活性剤(B)と併用してもよい。
【0023】
他の非イオン性界面活性剤(a)としては、アルキレンオキサイド付加型非イオン界面活性剤(a1)、多価アルコール型非イオン界面活性剤(a2)などが挙げられる。
アルキレンオキサイド付加型非イオン界面活性剤(a1)としては、高級アルコール(炭素数8〜18)アルキレン(炭素数2〜4、好ましくは2)オキサイド(活性水素1個当たりの付加モル数1〜30)付加物、アルキル(炭素数1〜12)フェノールEO(活性水素1個当たりの付加モル数1〜30)付加物、脂肪酸(炭素数8〜18)EO(活性水素1個当たりの付加モル数1〜30)付加物、ポリプロピレングリコール(分子量200〜4000)EO(活性水素1個当たりの付加モル数1〜50)付加物およびポリオキシエチレン(活性水素1個当たりの付加モル数3〜30)アルキル(炭素数6〜20)アリルエーテル、ソルビタンモノラウレートEO(付加モル数1〜30)付加物、ソルビタンモノオレートEO(付加モル数1〜30)付加物などの多価(2〜8価またはそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステルEO付加物(活性水素1個あたりの付加モル数1〜30)などが挙げられる。
多価アルコール型非イオン界面活性剤(a2)としては、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート等の多価(2〜8価またはそれ以上)アルコール(炭素数2〜30)の脂肪酸(炭素数8〜24)エステル、ラウリン酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
【0024】
アニオン性界面活性剤(b)としては、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸またはその塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウムなど]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテル硫酸エステル塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸ナトリウムなど]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル塩[モノもしくはジアルキルスルホコハク酸エステルジもしくはモノナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)モノもしくはジアルキルスルホコハク酸エステルジもしくはモノナトリウム等]、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム、炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン等]、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]等が挙げられる。
【0025】
カチオン性界面活性剤(c)としては、アルキル(炭素数8〜24)4級アンモニウム塩、アルキル(炭素数8〜24)ピリジニウム塩型4級アンモニウム塩、イミダゾリン型カチオン界面活性剤およびアミン塩型のカチオン界面活性剤等が挙げられる。
アミン塩型カチオン界面活性剤としては、第1〜3級アミン類を無機酸(塩酸、硝酸、硫酸、ヨウ化水素酸など)または有機酸(酢酸、ギ酸、蓚酸、乳酸、グルコン酸、アジピン酸、アルキル燐酸など)で中和することにより得られる化合物が使用でき、例えば、第1級アミン塩型のものとしては、脂肪族高級アミン(ラウリルアミン、ステアリルアミン、セチルアミン、硬化牛脂アミン、ロジンアミンなどの高級アミン)の無機酸塩または有機酸塩;低級アミン類の高級脂肪酸(ステアリン酸、オレイン酸など)塩などが挙げられる。
また、第3級アミン塩型のものとしては、例えば、脂肪族アミン(トリエチルアミン、エチルジメチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンなど)、脂環式アミン(N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルヘキサメチレンイミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセンなど)、含窒素ヘテロ環芳香族アミン(4−ジメチルアミノピリジン、N−メチルイミダゾール、4,4’−ジピリジルなど)の無機酸塩または有機酸塩;トリエタノールアミンモノステアレート、ステアラミドエチルジエチルメチルエタノールアミンおよび3級アミン類の無機酸塩または有機酸塩などが挙げられる。
【0026】
両性界面活性剤(d)としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムグリシン等]、アミノキシド型両性界面活性剤[ラウリルジメチルアミノキシド等]が挙げられる。
【0027】
本発明における洗浄剤組成物において、必須成分である非イオン界面活性剤(A)の含有量は、外観や粘度の観点から、洗浄剤組成物の全重量に基づいて、通常1〜50%(以下において、特に断りのない限り、%は重量%を表す。)、好ましくは10〜40%、さらに好ましくは15〜35%である。
【0028】
他の界面活性剤(B)成分を配合する場合には、貯蔵安定性や相溶性さらに洗浄性向上の相乗効果の観点から、1〜40重量%、好ましくは10〜35重量%、より好ましくは15〜30重量%である。
【0029】
本発明の液体洗浄剤組成物は、上記成分を水に溶解又は分散させた液状の形態であり、水の含有量は、貯蔵安定性の点から好ましくは10〜90重量%、更に好ましくは20〜70重量%、より好ましくは30〜60重量%、特に好ましくは40〜55重量%である。
【0030】
その他の成分としては、必要に応じて通常の液体洗浄剤に配合されている成分、例えば、香料成分、除菌成分、防腐剤、濁り剤、着色剤などを配合することができる。
【0031】
本発明の液体洗浄剤組成物は、スポンジなど(好ましくは水を含む)に染み込ませ、直接食器、調理用器具、キッチンシンク、浴槽などに接触させて洗浄を行う方法を適用できる。
【0032】
本発明の液体洗浄剤組成物は、油汚れと水垢汚れなどに対する洗浄性能が優れているため、油汚れと水垢汚れを含む洗浄対象用の洗浄剤として適用できる。具体的には、食器洗い用洗浄剤、台所廻り用洗浄剤として適しており、その他、洗面台用洗浄剤、浴室用洗浄剤、トイレ用洗浄剤などの水廻り用の洗浄剤としても適用できる。
【実施例】
【0033】
以下に、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の液体洗浄剤の必須成分である非イオン界面活性剤(A−1)〜(A−4)は、以下の製造例1〜4に記載の通り製造した。
<製造例1>
ラウリルアミン(ファーミン20D、花王株式会社製)296g(1.6モル)を1Lオートクレーブに仕込み、アルゴンガスで置換してから減圧にし、95℃に昇温した。同温度にてエチレンオキシド140.8g(3.2モル、アミン1モルに対して2.0モル)をオートクレーブ内圧が0.3MPa以上にならないようにして、徐々に滴下した。約1.5時間の誘導期間を経て90〜110℃の範囲で温度コントロールを行ない、計4時間で反応させた。滴下終了後、95℃でオートクレーブの内圧が滴下開始時と同じ圧力を示すまで30分反応を行った。
【0034】
得られたラウリルアミンのエチレンオキサイド2.0モル付加物にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド25%水溶液3.2gを空気が混入しないように添加し、95℃にて1時間減圧脱水した。温度を70℃に下げてからエチレンオキシド352g(8.0モル、アミン1モルに対して5.0モル)をオートクレーブ内圧が0.2MPa以上にならないようにして、温度を70〜90℃に温度コントロールし、3時間かけて滴下した。滴下終了後、70℃でオートクレーブの内圧が滴下開始時と同じ圧力を示すまで30分反応を行った。さらに、150〜170℃で1時間減圧(20torr)処理を行なった。
得られたラウリルアミンのエチレンオキサイド7モル付加物(A−1)の色調はガードナー1であった。
【0035】
<製造例2>
ココナット(ヤシ油)アミン(ファーミンCS、花王株式会社製)191g(1.0モル)を1Lオートクレーブに仕込み、アルゴンガスで置換してから減圧にし、95℃に昇温した。同温度にてエチレンオキシド88.0g(2.0モル、アミン1モルに対して2.0モル)をオートクレーブ内圧が0.3MPa以上にならないようにして、徐々に滴下した。約1.5時間の誘導期間を経て90〜110℃の範囲で温度コントロールを行ない、計4時間で反応させた。滴下終了後、95℃でオートクレーブの内圧が滴下開始時と同じ圧力を示すまで30分反応を行った。
得られたココナットアミンのエチレンオキサイド2.0モル付加物にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド25%水溶液3.2gを空気が混入しないように添加し、95℃にて1時間減圧脱水した。温度を70℃に下げてからエチレンオキシド308g(7.0モル、アミン1モルに対して7.0モル)をオートクレーブ内圧が0.2MPa以上にならないようにして、温度を70〜90℃に温度コントロールし、3時間かけて滴下した。滴下終了後、70℃でオートクレーブの内圧が滴下開始時と同じ圧力を示すまで30分反応を行った。さらに、150〜170℃で1時間減圧(20torr)処理を行なった。
得られたココナットアミンのエチレンオキサイド9モル付加物(A−2)の色調はガードナー1であった。
【0036】
<製造例3>
ココナットアミン(ファーミンCS、花王株式会社製)191g(1.0モル)を1Lオートクレーブに仕込み、アルゴンガスで置換してから減圧にし、95℃に昇温した。同温度にてプロピレンオキシド116.0g(2.0モル、アミン1モルに対して2.0モル)をオートクレーブ内圧が0.3MPa以上にならないようにして、徐々に滴下した。約1.5時間の誘導期間を経て90〜110℃の範囲で温度コントロールを行ない、計4時間で反応させた。滴下終了後、95℃でオートクレーブの内圧が滴下開始時と同じ圧力を示すまで30分反応を行った。
得られたココナットアミンのプロピレンオキサイド2.0モル付加物にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド25%水溶液3.2gを空気が混入しないように添加し、95℃にて1時間減圧脱水した。温度を70℃に下げてからエチレンオキシド308g(7.0モル、アミン1モルに対して7.0モル)をオートクレーブ内圧が0.2MPa以上にならないようにして、温度を70〜90℃に温度コントロールし、3時間かけて滴下した。滴下終了後、70℃でオートクレーブの内圧が滴下開始時と同じ圧力を示すまで30分反応を行った。さらに、150〜170℃で1時間減圧(20torr)処理を行なった。
得られたココナットアミンのプロピレンオキサイド2モルエチレンオキサイド7モル付加物(A−3)の色調はガードナー1以下であった。
【0037】
<製造例4>
ステアリルアミン(ファーミン80、花王株式会社製)265g(1.0モル)を1Lオートクレーブに仕込み、アルゴンガスで置換してから減圧にし、95℃に昇温した。同温度にてエチレンオキシド88.0g(2.0モル、アミン1モルに対して2.0モル)をオートクレーブ内圧が0.3MPa以上にならないようにして、徐々に滴下した。約2時間の誘導期間を経て90〜110℃の範囲で温度コントロールを行ない、計6時間で反応させた。滴下終了後、95℃でオートクレーブの内圧が滴下開始時と同じ圧力を示すまで30分反応を行った。
得られたステアリルアミンのエチレンオキサイド2.0モル付加物にテトラメチルアンモニウムヒドロキシド25%水溶液3.2gを空気が混入しないように添加し、95℃にて1時間減圧脱水した。温度を70℃に下げてからエチレンオキシド308g(7.0モル、アミン1モルに対して7.0モル)をオートクレーブ内圧が0.2MPa以上にならないようにして、温度を70〜90℃に温度コントロールし、3時間かけて滴下した。滴下終了後、70℃でオートクレーブの内圧が滴下開始時と同じ圧力を示すまで30分反応を行った。さらに、150〜170℃で1時間減圧(20torr)処理を行なった。
得られたステアリルアミンのエチレンオキサイド9モル付加物(A−4)の色調はガードナー1以下であった。
【0038】
次に従来の製造方法によるアルキルアミンエチレンオキサイド付加物(C−1)の製造例を以下に示す。
<比較製造例1>
ラウリルアミン(ファーミン20D、花王株式会社製)296g(1.6モル)を1Lオートクレーブに仕込み、アルゴンガスで置換してから減圧にし、95℃に昇温した。同温度にてエチレンオキシド140.8g(3.2モル、アミン1モルに対して2.0モル)をオートクレーブ内圧が0.3MPa以上にならないようにして、徐々に滴下した。約1.5時間の誘導期間を経て90〜110℃の範囲で温度コントロールを行ない、計4時間で反応させた。滴下終了後、95℃でオートクレーブの内圧が滴下開始時と同じ圧力を示すまで30分反応を行った。
得られたラウリルアミンのエチレンオキサイド2.0モル付加物に水酸化カリウム0.8gを空気が混入しないように添加し、140℃にて1時間減圧脱水した。140℃でエチレンオキシド352g(8.0モル、アミン1モルに対して5.0モル)をオートクレーブ内圧が0.4MPa以上にならないようにして、温度を130〜150℃に温度コントロールし、1.5時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度でオートクレーブの内圧が滴下開始時と同じ圧力を示すまで30分反応を行った。さらに、150〜170℃で1時間減圧(20torr)処理を行なった。
得られたラウリルアミンのエチレンオキサイド7モル付加物(C−1)の色調はガードナー12であった。
【0039】
表1に示す成分を用いて、実施例と比較例の液体洗浄剤組成物を調製した。
【0040】
【表1】

【0041】
実施例と比較例の液体組成物の洗浄力、起泡力、手荒れ防止性、外観、臭気を以下の方法で評価した。それらの結果を表1に併記する。
<洗浄力I>
リ−ナッツ法(JIS K3362)に準じて洗浄力の評価を行った。
汚垢支持体としてスライドガラス6枚を一組として用い、汚垢成分は下記組成の人工汚垢のクロロホルム溶液を塗布して用いる。洗剤液の濃度0.15%水溶液を洗浄液として人工汚垢を塗布したスライドガラスを洗浄し、汚垢塗布前後の重量および洗浄後の重量から次式に従って洗浄力を求めた。
洗浄力(%)=100×[汚垢塗布後の重量(g)−洗浄後の重量(g)]/汚垢塗布前の重量(g)
【0042】
人工汚垢成分組成
牛脂 16.6%
大豆油 16.6%
モノオレイン 0.4%
オイルレッド 0.2%
クロロホルム 66.2%
合計 100.0%
【0043】
<洗浄力II>
洗浄力牛脂に、指示薬としてスダンIII(赤色色素)を0.1%添加し、この2.5gを磁性の皿(直径25cm)に塗布したものを、洗浄剤組成物3g、水(炭酸カルシウム3.5mg/lの硬水)27gを染み込ませたスポンジを用いて20℃でこすり洗いし、もはや皿より牛脂がきれいに取れなくなるまでの洗浄できた皿の枚数をもって表す。
【0044】
<起泡力■>
起泡力汚れ成分として市販のバターを洗浄剤組成物濃度0.5%の洗剤溶液に0.1%添加した時の起泡力を測定する。
測定方法は、直径5cmのガラス円筒に上記のバターを添加した洗浄剤溶液40mLを入れ、10分間回転撹拌を行い、停止直後の泡高を測定する。
【0045】
<起泡力■>
JIS K3362の起泡力の試験(ロスマイルス法)に基づき、所定の起泡力測定装置を用い、0.1%濃度の資料水溶液200mlを30℃で900mmの高さから30秒間で液面上に落下させた時に生じる泡の高さを測って起泡力として測定する。
【0046】
<手荒れ防止性>
洗浄剤組成物の5%洗剤溶液を調製し、液温を30℃に保ち、毎日20分間手を浸漬した後、良く水洗する。この操作を3日間繰り返す。4日後の被験者5人の手の状態を次の評価基準により目視判定し、平均点で示した。この試験においては平均点は4点以上であることが望ましい。
5点:手荒れがほとんど認められない
4点:手荒れがほんの僅か認められる
3点:手荒れが若干認められる
2点:手荒れがかなり認められる
1点:手荒れが著しく認められる
【0047】
<外観>
蓋付きの50ml密閉容器に30mlの洗浄剤組成物を入れて密閉にし10℃の恒温槽にて1時間温調し、以下の判定基準で評価した。
○:ガードナー色数3以下で試験前後の変化なし
△:ガードナー色数3以下で試験後にカスミや濁りが生じる
×:試験前からガードナー色数が3を超えている。
【0048】
<臭気>
蓋付きの50ml密閉容器に30mlの洗浄剤組成物を入れて密閉にし50℃の恒温槽にて30分加温し、異臭の有無を確認した。ここでの異臭とは通常の界面活性剤の臭気ではなく、明らかに鼻を衝く刺激臭をいう。以下の判定基準で評価した。
○:異臭全くなし
×:異臭あり
【0049】
表1の結果から、本発明の非イオン界面活性剤(A−1)〜(A−4)を必須成分とする実施例1〜4の液体洗浄剤は、洗浄力、起泡力に優れるとともに手肌に対する刺激もなく、特に油汚れの除去に優れることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
一般家庭用の食器用や台所廻り用などの洗剤、自動食器洗い用洗剤、ガラス窓拭き用洗剤、厨房で使用する業務用洗剤や車のボディーシャンプーなど硬質表面用の液体洗浄剤として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表され、かつガードナー色数が3以下の着色度を有する非イオン性界面活性剤(A)を必須成分とするガードナー色数が3以下の液体洗浄剤組成物。
【化1】

[式中、R1は炭素数8〜24のアルキル基もしくはアルケニル基、A1およびA2は炭素数2〜4のアルキレン基、mおよびnは、m+nの平均が3〜60となる正の整数である。]
【請求項2】
該非イオン界面活性剤(A)におけるオキシアルキレン鎖中のオキシエチレン基の含有量が80モル%以上である請求項1記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
該非イオン界面活性剤(A)を1〜50重量%含有し、さらに、他の非イオン性界面活性剤(a)、アニオン性界面活性剤(b)、カチオン性界面活性剤(c)および両性界面活性剤(d)からなる群から選ばれる1種以上の界面活性剤(B)を0〜40重量%、並びに水を10〜99%含有する請求項1または2記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
該非イオン界面活性剤(A)が下記の(i)〜(iii)の製造工程の組み合わせによって得られる非イオン界面活性剤である請求項1〜3記載の液体洗浄剤組成物。
(i)1級アミン類に無触媒で、アルキレンオキサイド1.5〜2モルを80〜120℃で付加反応させ、(ii)触媒としてテトラメチルアンモニウム塩またはトリメチルアミンを用いて、さらにアルキレンオキサイド1〜58モルを50〜90℃で付加反応させ、(iii)前記触媒を減圧除去する。

【公開番号】特開2008−247952(P2008−247952A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87528(P2007−87528)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】