説明

液体移送装置の製造方法、及び、液体移送装置

【課題】流路ユニットと一体化された振動板と圧電層とを接着剤で接合したときに、圧力室上における振動板の変形を抑制して接着剤の厚みが不均一になるのを防止する。
【解決手段】まず、圧力室33を有する流路ユニット22に、圧力室33に対応する凹部70が形成された振動板60を一体化させる。次に、振動板60の流路ユニット22との接合面と反対側の面に、前記凹部70を覆うように、且つ、前記振動板60との間に接着剤81を介在させながら、圧電層61〜63を設置する。そして、振動板60と圧電層61〜63のうちの一方を他方に押し付けて、接着剤81によって圧電層61〜63を振動板60に接着する接着する。その際、圧電層61〜63で覆われた凹部70内を減圧することで、振動板60の圧力室33と対向する部分を圧電層61〜63側に引き寄せる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体移送装置の製造方法、及び、液体移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な分野において用いられる液体移送装置は、一般に、液体に圧力を付与するためのアクチュエータを備えている。そのようなアクチュエータの中でも、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性の圧電材料からなる圧電層を有し、電界が作用したときの圧電層の変形(圧電歪み)を利用して対象を駆動する圧電アクチュエータが広く用いられている。
【0003】
特許文献1には、インクに噴射圧力を付与する圧電アクチュエータを備えたインクジェットヘッドが記載されている。この特許文献1のインクジェットヘッドは、ノズルとこのノズルに連通する圧力室が形成された流路ユニットと、流路ユニットに接合された圧電アクチュエータとを備えている。また、圧電アクチュエータは、圧力室を覆うように流路ユニットに接合された振動板と、この振動板の圧力室と反対側に配置された圧電層と、圧電層の圧力室と対向する部分を挟むように設けられた2つの電極(個別電極及び共通電極)とを有する。そして、この圧電アクチュエータは、2つの電極間に電圧が印加されて、両電極に挟まれた圧電層の部分に電界が生じたときに、圧電層に生じる圧電歪みによって圧力室を覆う振動板を変形させ、圧力室内のインクに噴射圧力を付与するように構成されている。
【0004】
このようなインクジェットヘッドを製造する際には、振動板上に圧電層を形成する工程が生じる。その圧電層の形成方法としては様々なものが知られているが、その中でも、シート状の圧電層(圧電シート)を接着剤によって振動板に貼り付ける方法が簡便であり、従来から広く採用されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−166695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、圧電層の形成方法としてシート状の圧電層を振動板に接着する方法を採用した場合には、さらに、(1)先に振動板に圧電層を接着して圧電アクチュエータを作製してから、この圧電アクチュエータを流路ユニットに接合するという方法と、(2)振動板だけを流路ユニットと一体化させてから、その後で振動板に圧電層を接着する方法の、2つの選択肢がある。
【0007】
ここで、振動板は、圧電層の圧電歪みに応じて大きく変形して、圧力室内のインクに効率良く圧力を付与することができるように、一般的に、この振動板は非常に薄いものとなっている。このような薄い振動板のハンドリングは、破損が生じやすいなど困難な点が多いことから、インクジェットヘッド製造中における振動板のハンドリングはできるだけ少ないことが好ましい。しかし、前記(1)の方法においては、振動板に圧電層を接着する際、及び、圧電層が接着された状態の振動板を流路ユニットに接合する際に、振動板単体で、もしくは、同じく厚みが薄い圧電層が接着されただけの剛性が低い状態で、振動板のハンドリングを行う必要があり、ハンドリング時に振動板の破損が発生しやすくなる。また、振動板と圧電層という、非常に薄い2つの層を接着剤で接合するときには、大きな押圧力をかけることができないため、両者間の接着剤の厚みを均一にすることは非常に困難である。
【0008】
これらの観点から、先に振動板を流路ユニットと一体化させてしまう、前記(2)の方法が好ましいのであるが、この(2)の方法を採用した場合には、また別の問題が生じる。
【0009】
前記(2)の方法を採用した場合には、図9に示すように、圧力室102を覆うように流路ユニット101と一体化された振動板110の表面に、接着剤103を介してシート状の圧電層111を設置してから、圧電層111を振動板110に押し付ける。このとき、圧電層111を押し付けたときの力によって、空洞状の圧力室102と対向する領域において振動板110が圧力室102側へ凸状に変形し、その状態のまま接着剤103が硬化してしまう場合がある。この場合、振動板110が圧力室102側に凸状に変位した領域において接着剤103の厚みが大きくなるなど接着剤103の厚みが不均一になり、さらに、複数の圧力室102の間で、振動板110の変位量がばらつくという問題が生じる。
【0010】
本発明の目的は、流路ユニットと一体化された振動板と圧電層とを接着剤で接合したときに、圧力室上における振動板の変形を抑制して接着剤の厚みが不均一になるのを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の発明の液体移送装置の製造方法は、その一表面に配置された圧力室を含む、液体流路が形成された流路ユニットと、前記圧力室を覆うように前記流路ユニットの前記一表面に接合される振動板、及び、この振動板に積層される圧電層を含む圧電アクチュエータと、を備えた液体移送装置の製造方法であって、
前記流路ユニットを作製する流路ユニット作製工程と、前記振動板の前記流路ユニットとの接合面と反対側の面の、前記流路ユニットに接合したときに前記圧力室と対向することとなる領域に、凹部を形成する凹部形成工程と、前記振動板を、前記圧力室を覆うように前記流路ユニットの前記一表面に接合する振動板接合工程と、前記振動板の前記流路ユニットとの接合面と反対側の面に、前記凹部を覆うように、且つ、前記振動板との間に接着剤を介在させながら、前記圧電層を設置する圧電層設置工程と、前記圧電層で覆われた前記凹部内を減圧する減圧工程と、前記振動板と前記圧電層のうちの一方を他方に押し付けて、前記接着剤によって前記圧電層を前記振動板に接着する接着工程とを有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明の液体移送装置の製造方法によれば、まず、振動板の、流路ユニットとの接合面と反対側の面の、圧力室と対向することとなる領域に、凹部を形成する。そして、振動板と流路ユニットとを接合して両者を一体化させてから、圧電層と振動板の一方を他方に押し付けて、振動板に圧電層を接着剤で接合する。ここで、振動板と圧電層とを接着する際に、圧電層で覆われた凹部内を減圧することにより、振動板の、圧力室と対向する部分を圧電層側に引き寄せる。これにより、振動板が圧力室側に変形した状態で圧電層が接着されてしまうことが防止されるため、振動板と圧電層の間の、接着剤層の厚みを均一にすることが可能となる。
【0013】
また、液体移送装置の製造段階において上記の減圧工程を行うために使用された、振動板の凹部は、製造完了後(製品完成後)においては、圧力室と対向する領域における振動板の剛性を低下させるという作用効果を生み出す。従って、本発明の製造方法によって製造された液体移送装置においては、圧電層の圧電歪みに応じて振動板を大きく変形させることができるようになり、圧力室内の液体に効率良く圧力を付与することが可能となる。
【0014】
第2の発明の液体移送装置の製造方法は、前記第1の発明において、前記接着工程と同時、又は、前記接着工程を行った後に、前記減圧工程を行うことを特徴とするものである。
【0015】
振動板と圧電層の接着と同時、又は、それらの接着後に、振動板に形成された凹部内の減圧を行うため、圧電層と振動板の間の隙間がなくなり、凹部の減圧時に圧電層と振動板との間から凹部への空気の流入が生じない。そのため、凹部内の減圧を効率よく行うことができるし、また、外部からの空気流入に伴う凹部内への接着剤流入も防止できる。さらに、減圧と同時、又は、減圧よりも先に振動板と圧電層が接着されることで、凹部内の減圧によって生じる虞のある、圧電層と振動板の間の位置ズレも抑制される。
【0016】
第3の発明の液体移送装置の製造方法は、前記第1又は第2の発明において、前記振動板接合工程の後で、前記圧力室内を加圧する加圧工程をさらに備えていることを特徴とするものである。
【0017】
このように、振動板を流路ユニットに接合した後に圧力室内を加圧して、振動板の圧力室と対向する部分を圧電層側へ膨らませることにより、振動板が圧力室側に変形した状態で圧電層が接着されてしまうことを確実に防止できる。
【0018】
第4の発明の液体移送装置の製造方法は、前記第1〜第3の何れかの発明において、前記流路ユニット作製工程において、前記圧力室を複数有する前記流路ユニットを作製し、
前記凹部形成工程において、前記振動板の前記流路ユニットとの接合面と反対側の面に、前記複数の圧力室にそれぞれ対応する複数の前記凹部と、これら複数の凹部を互いに連通させる連通溝と、前記連通溝に連なる1つの減圧口とを形成し、
前記減圧工程において、前記1つの減圧口から吸引を行うことにより、前記複数の凹部内の減圧を同時に行うことを特徴とするものである。
【0019】
この構成によれば、複数の凹部内の減圧を、1つの減圧口からの吸引によって一度に行うことができるため、減圧工程を効率よく行うことができる。
【0020】
第5の発明の液体移送装置は、その一表面に配置された複数の圧力室を含む、液体流路が形成された流路ユニットと、前記複数の圧力室を覆うように前記流路ユニットの前記一表面に接合される振動板、及び、この振動板に積層される圧電層を含む圧電アクチュエータとを備え、
前記振動板の前記流路ユニットとの接合面と反対側の面に、前記複数の圧力室とそれぞれ対向する複数の凹部と、これら複数の凹部を互いに連通させる連通溝と、前記連通溝に連なる大気連通口とが形成されていることを特徴とするものである。
【0021】
本発明の液体移送装置によれば、前述した第1の発明と同様、振動板と圧電層とを接着剤で接合する際に、振動板の変形を抑制して接着剤の厚みを均一にできるという効果が得られる。また、振動板に凹部が形成されることにより、圧力室と対向する領域における振動板の剛性が局所的に低下するため。圧電層の圧電歪みに応じて振動板を大きく変形させることができるようになり、圧力室内のインクに効率良く圧力を付与することが可能となる。
【0022】
さらに、振動板の変形を促進させるための複数の凹部が、連通溝及び大気連通口を介して、大気に連通している。そのため、凹部内の空間が呼吸できる(大気との間で空気が流動できる)状態となり、この凹部内の圧力を常時大気圧に保つことができる。従って、凹部内空間の圧力変動に起因する、振動板や圧電層の変形、あるいは、応力発生を防止できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、流路ユニットと一体化された振動板に圧電層を接着する際に、圧電層で覆われた凹部内を減圧することにより、振動板の、圧力室と対向する部分を圧電層側に引き寄せる。これにより、振動板が圧力室側に変形した状態で振動板と圧電層が接着されてしまうことを防止でき、振動板と圧電層の間の、接着剤層の厚みを均一にすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態は、ノズルへインクを移送するとともにノズルからインクの液滴を噴射する、液体移送装置の一種であるインクジェットヘッドに、本発明を適用したものである。
【0025】
図1は、本実施形態に係るインクジェットヘッドを備えたプリンタの概略構成を示す平面図である。図1に示すように、プリンタ1は、一方向に沿って往復移動可能に構成されたキャリッジ2と、このキャリッジ2に搭載されたインクジェットヘッド3、及び、サブタンク4a〜4dと、インクを貯留するインクカートリッジ6a〜6dと、インクジェットヘッド3の液滴噴射性能が低下したときに、その性能を回復させるためのメンテナンスユニット7等を備えている。
【0026】
プリンタ1のプリンタ本体には、水平な一方向(図1の左右方向:走査方向)に平行に延びるとともに、走査方向と直交する紙送り方向に間隔を空けて配置された2本のガイドフレーム17a,17bが設けられており、これら2本のガイドフレーム17a,17bにキャリッジ2が取り付けられている。また、キャリッジ2には無端ベルト18が連結されている。そして、この無端ベルト18がキャリッジ駆動モータ19により走行駆動されることによって、キャリッジ2は、2本のガイドフレーム17a,17bによって案内されつつ、無端ベルト18の走行に伴って左右方向に移動するようになっている。
【0027】
このキャリッジ2には、インクジェットヘッド3と4つのサブタンク4a〜4dが搭載されている。インクジェットヘッド3は、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動しつつ、その下面(図1の紙面向こう側の面)に設けられた多数のノズル34(図2〜図4参照)から、図示しない用紙搬送機構により紙送り方向(図1の下方)に搬送される印刷用紙Pにインクの液滴を噴射する。これにより、印刷用紙Pに所望の文字や画像等が印刷される。
【0028】
4つのサブタンク4a〜4dは走査方向に沿って並べて配置されており、これら4つのサブタンク4a〜4dは、インクジェットヘッド3の上面に設けられた4つのインク供給口30(図2参照)にそれぞれ接続されている。また、これら4つのサブタンク4a〜4dにはチューブジョイント21が一体的に設けられている。このチューブジョイント21に連結された可撓性のチューブ11a〜11dを介して、4つのサブタンク4a〜4dと4つのインクカートリッジ6a〜6dとがそれぞれ接続されている。
【0029】
4つのインクカートリッジ6a〜6dには、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタの、4色のインクがそれぞれ貯留されており、これらのインクカートリッジ6a〜6dは、ホルダ10に着脱自在に装着されている。そして、4つのインクカートリッジ6a〜6dに貯留された4色のインクは、サブタンク4a〜4dに一時的に貯留された後、インクジェットヘッド3に供給される
【0030】
メンテナンスユニット7は、走査方向に関するキャリッジ2の移動範囲のうちの、印刷用紙Pと対向する印刷領域よりも外側(図1における右側)の領域に配置されている。このメンテナンスユニット7は、ノズル34の乾燥によるインク増粘や、気泡や塵のインクへの混入によって、インクジェットヘッド3の液滴噴射性能が低下したときに、その噴射性能を回復させるための吸引パージを行うものである。メンテナンスユニット7は、液滴を噴射するインクジェットヘッド3の下面に密着可能なキャップ部材13と、このキャップ部材13に接続された吸引ポンプ14を備えている。
【0031】
キャップ部材13は、ブラックインクを噴射するノズル34を覆う第1キャップ部13aと、3色のカラーインク(イエローインク、マゼンタインク、及び、シアンインク)を噴射するノズル3440を覆う第2キャップ部13bとを備えている。第1キャップ部13aと第2キャップ部13bは、切り替えユニット15を介して吸引ポンプ14と接続されており、切り替えユニット15によって、吸引ポンプ14の連通先が、第1キャップ部13aと第2キャップ部13bの間で切り替えられるようになっている。
【0032】
液滴噴射性能が低下したために、インクジェットヘッド3がキャリッジ2とともにキャップ部材13と対向する位置まで移動してきたときには、キャップ部材13は、図示しないキャップ駆動機構により上方に駆動されて、インクジェットヘッド3の下面に配置されたノズル34を覆う。そして、ノズル34がキャップ部材13で覆われた状態で、吸引ポンプ14による吸引が実行されることにより、キャップ部材13内の空間が減圧されて、インクジェットヘッド3内のインクが、ノズル34からキャップ部材13へ向けて排出される(吸引パージ)。
【0033】
次に、インクジェットヘッド3(液体移送装置)について説明する。図2は、図1のインクジェットヘッド3の平面図(上面図)、図3は、図2の部分拡大図である。ただし、図面を分かりやすくするため、図2においては図3では示されている圧力室33等の詳細なインク流路の図示は省略されている。
【0034】
図2,図3に示すように、インクジェットヘッド3は、ノズル34、及び、圧力室33を含むインク流路が形成された流路ユニット22と、圧力室33内のインクに圧力を付与することにより、流路ユニット22のノズル34からインクを吐出させる圧電アクチュエータ23を備えている。
【0035】
まず、流路ユニット22について説明する。図2、図3に示すように、流路ユニット22には、4つのサブタンク4(図1参照)とそれぞれ接続される4つのインク供給口30と、4つのインク供給口30にそれぞれ連通するとともに、紙送り方向に延在する4本のマニホールド流路31と、アパーチャ32(絞り流路)を介してマニホールド流路31に接続された複数の圧力室33と、複数の圧力室33にそれぞれ連通した複数のノズル34とを有する。
【0036】
図4は、図3のIV-IV線断面図である。図4に示すように、流路ユニット22は、上から順に積層された、キャビティプレート40、ベースプレート41、アパーチャプレート42、サプライプレート43、マニホールドプレート44,45、カバープレート46、及び、ノズルプレート47、という、8枚のステンレス鋼等からなる金属プレートで構成されている。
【0037】
キャビティプレート40には、4つのインク供給口30と多数の圧力室33が形成されている。各圧力室33は、略楕円形の平面形状を有する。また、このキャビティプレート40には多数の圧力室33が紙送り方向に沿って配列されている。また、1本のマニホールド流路31に対応する2列の圧力室33の列が1組とされ、1組2列の圧力室33は1本のマニホールド流路31とそれぞれ接続されて、同色のインクが供給される。
【0038】
ベースプレート41には、各圧力室33の両端部にそれぞれ連通する連通孔50,51が形成されている。また、アパーチャプレート42には、各圧力室33に対応するアパーチャ32と連通孔52が形成されている。サプライプレート43には、各圧力室33に対応する2つの連通孔53,54が形成されている。
【0039】
2枚のマニホールドプレート44,45には、4本のマニホールド流路31と、圧力室33に対応する連通孔55,56が形成されている。4本のマニホールド流路31には、キャビティプレート40に形成された4つのインク供給口30を介して、4つのサブタンク4から4色(ブラック、イエロー、シアン、マゼンタ)のインクがそれぞれ供給される。また、図3に示すように、各マニホールド流路31は、平面視で、これに対応する1組2列の圧力室33と重なるように、紙送り方向に延在している。
【0040】
カバープレート46には各圧力室33に対応する連通孔57が形成されている。また、ノズルプレート47には、各圧力室33に対応するノズル34が多数形成されている。図2、図3に示すように、ノズル34は、対応するマニホールド流路31の両側において紙送り方向に沿って2列に配列されており、計8列のノズル列を構成している。また、1本のマニホールド流路31の両側に配置された、2列のノズル列を構成する複数のノズル34には、そのマニホールド流路31から圧力室33を介してそれぞれ同色のインクが供給され、これらのノズル34からは同色のインクの液滴が噴射される。
【0041】
そして、図4に示すように、流路ユニット22内において、インク供給口30に連なるマニホールド流路31が、連通孔53、アパーチャ32、及び、連通孔50を介して圧力室33に連通し、さらに、この圧力室33は連通孔51,52及び連通孔54〜57を介してノズル34に連通している。つまり、流路ユニット22には、マニホールド流路31の出口から圧力室33を経てノズル34に至る個別インク流路58が複数形成されている。
【0042】
次に、圧電アクチュエータ23について説明する。圧電アクチュエータ23は、複数の圧力室33を覆うようにキャビティプレート40の上面に配置された振動板60と、振動板60の上面に積層された3層の圧電層61,62,63と、3層の圧電層61,62,63を厚み方向に挟むように配置された個別電極64(64a,64b)及び共通電極65(65a,65b)とを備えている。
【0043】
図5は、流路ユニット22に接合された状態における振動板60の平面図、図6は、図4のVI-VI線断面図である。振動板60は、ステンレス鋼等の鉄系合金、銅系合金、ニッケル系合金、あるいは、チタン系合金等からなる金属板である。図4、図5に示すように、この振動板60は、キャビティプレート40の上面に複数の圧力室33を覆うように配設された状態で、キャビティプレート40に接合されている。
【0044】
この振動板60の上面の、複数の圧力室33の中央部と対向する領域には、複数の凹部70がそれぞれ形成されている。凹部70は、圧力室33よりも一回り小さい楕円形の平面形状を有する。このような凹部70が形成されることによって、圧力室33と対向する領域において振動板60の剛性が局所的に低下しており、振動板60が変形しやすくなっている。また、振動板60の上面には、複数の圧力室33にそれぞれ対応した複数の凹部70を互いに連通させる連通溝71も形成されている。さらに、連通溝71には大気連通口72が1つ接続されている。つまり、複数の圧力室33にそれぞれ対応する複数の凹部70は、連通溝71を介して1つの大気連通口72に連通している。
【0045】
3層の圧電層61〜63は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との固溶体であり強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を主成分とする圧電材料からなる。これら3層の圧電層61〜63は、振動板60の上面に、複数の圧力室33を覆うように接着剤で接合されている。但し、図3に示すように、振動板60の上面に形成された大気連通口72は圧電層61〜63に覆われておらず、常に大気開放状態となっている。これにより、圧電層61〜63によって覆われた複数の凹部70内の空間は、大気連通口72を介して常時大気に連通した状態となっている。
【0046】
最上層の圧電層61の上面には、複数の圧力室33の中央部とそれぞれ対向する個別電極64aが配置されている。また、中央層の圧電層62と最下層の圧電層63の間にも、複数の圧力室33の中央部とそれぞれ対向する個別電極64bが配置されている。これら2種類の個別電極64a,64bは、それぞれ、圧力室33よりも一回り小さい楕円形の平面形状を有する。また、2種類の個別電極64a,64bは、図示しない領域において上層2枚の圧電層61,62を貫通するスルーホールを介して互いに導通している。さらに、図3に示すように、最上層の圧電層61の上面に配置されている個別電極64aにおいては、その一端部(ノズル34側の端部)が、圧力室33と対向しない領域まで引き出されて、接点部66をなしている。そして、複数の個別電極64aの接点部66は、フレキシブルプリント配線板(Flexible Printed Circuit:FPC)を介して、図示しないヘッドドライバと接続される。
【0047】
最上層の圧電層61と中間層の圧電層62の間と、最下層の圧電層63の下面には、それぞれ、複数の圧力室33の全てと対向する共通電極65a,65bが配置されている。これら2種類の共通電極65a,65bは、図示しない領域において導通し、さらに、常にグランド電位に保持されている。
【0048】
これにより、3層の圧電層61〜63は、圧力室33と対向する領域において、厚み方向に交互に配置された個別電極64(64a,64b)と共通電極65(65a,65b)に挟まれた状態となっている。また、3層の圧電層61〜63は、個別電極64と共通電極65に挟まれた部分において、それぞれ厚み方向に分極されている。
【0049】
以上の構成を有する圧電アクチュエータ23の作用について説明する。インクに圧力を付与しないとき(ノズル34からインクの液滴を吐出させないとき)には、複数の個別電極64の電位は、図示しないヘッドドライバにより予めグランド電位に保持されている。その状態から、ヘッドドライバにより何れかの個別電極64に所定の駆動電位が付与されると、駆動電位が付与された個別電極64とグランド電位に保持された共通電極65との間に電位差が発生する。従って、3層の圧電層61,62,63のそれぞれにおいて、個別電極64と共通電極65とに挟まれた部分に、分極方向と同じ方向(厚み方向)の電界が発生し、圧電層61〜63はそれぞれ厚み方向に伸びて面方向に収縮する。そして、これらの圧電層61〜63の変形(圧電歪み)に伴って、振動板60の圧力室33と対向する部分が圧力室33側に凸となるように変形する(ユニモルフ変形)。このとき、圧力室33の容積が減少することから、その内部のインクの圧力が上昇し、この圧力室33に連通するノズル34からインクの液滴が噴射される。
【0050】
ここで、先ほど述べたように、振動板60の上面の、圧力室33と対向する領域には凹部70が形成されていることから、この圧力室33と対向する領域において振動板60の剛性が局所的に低下している。従って、個別電極64に駆動電位が付与されて圧電層61〜63に圧電歪みが生じたときの、振動板60の圧力室33側への変位量(変形量)が大きくなることから、圧力室33内のインクに効率良く圧力を付与することができる。
【0051】
さらに、振動板60の上面に、複数の圧力室33に対応して設けられた複数の凹部70が、連通溝71及び大気連通口72を介して、大気に連通している。そのため、凹部70内が呼吸できる(凹部70と大気との間で空気が流動できる)ことになり、凹部70内の圧力が常時大気圧に保たれる。従って、凹部70内の圧力変動に起因して振動板60や圧電層61〜63に生じる、変形や応力発生を防止できる。
【0052】
次に、インクジェットヘッド3の製造方法について説明する。図7は、本実施形態のインクジェットヘッド3の製造工程を示す説明図である。尚、図7においては、図面の簡単のため、図6においては示されていた、圧電アクチュエータ23の個別電極64a,64bと共通電極65a,65bの図示は省略されている。
【0053】
図7(a)に示すように、まず、金属板である振動板60の上面(流路ユニット22との接合面と反対側の面)の、流路ユニット22に接合されたときに複数の圧力室33と対向することとなる領域に、エッチングやレーザー加工等により複数の凹部70を形成する(凹部形成工程)。また、このとき、振動板60の上面に、複数の凹部70を互いに連通させる連通溝71、及び、この連通溝71に連なる1つの大気連通口72(図2、図3参照:減圧口)も形成しておく。
【0054】
一方、流路ユニット22を構成する8枚の金属プレート40〜47(詳細には図4参照)には、複数のノズル34、複数の圧力室33、4本のマニホールド流路31等を、エッチング等により形成する。そして、これら8枚のプレート40〜47と、前記凹部形成工程において複数の凹部70が形成された振動板60とを積層させてから、合計9枚のプレートを接合し、流路ユニット22の作製と振動板60の流路ユニット22(キャビティプレート40)への接合を同時に行う(流路ユニット作製工程、振動板接合工程)。ここで、9枚のプレートの接合方法としては、例えば、熱硬化性を有するエポキシ系接着剤を用いた接合(接着)や、高温条件下で積層状態のプレートを加圧し、プレート境界面で金属原子を互いに拡散させることでプレート同士を接合する、金属拡散接合などを採用することができる。
【0055】
次に、図7(b)に示すように3層の圧電層61〜63の積層体80を作製する。具体的には、まず、3層の圧電層61〜63となる3枚のグリーンシートの表面に、個別電極64a,64b又は共通電極65a,65b(図6参照)をスクリーン印刷法や蒸着法等によって形成する。その後、3枚のグリーンシートを、個別電極64と共通電極65とが厚み方向に交互に配置されるように重ね合わせてから焼成することによって、3層の圧電層61〜63の積層体80を作製する。
【0056】
次に、振動板60の上面の、複数の凹部70、連通溝71、及び、大気連通口72が形成されていない平坦な領域に、エポキシ系樹脂材料を主な成分とする接着剤81を塗布する。そして、前述した3層の圧電層61〜63の積層体80を、接着剤81が塗布された振動板60の上面に、複数の凹部70を覆うように位置合わせした状態で設置する(圧電層設置工程)。このとき、振動板60の上面の、大気連通口72が形成された領域には積層体80を配置しないようにして、大気連通口72が圧電層61〜63によって覆われないようにする(図3参照)。また、接着剤81は、振動板60に塗布する必要は必ずしもなく、最下層の圧電層63の下面に塗布してもよい。
【0057】
その後、図7(c)に示すように、接着剤81が硬化する所定の温度条件下で、3層の圧電層61〜63の積層体80を振動板60に押し付ける(又は、振動板60を積層体80に押し付ける)ことにより、接着剤81により、3層の圧電層61〜63からなる積層体80を振動板60に接着する(接着工程)。
【0058】
ところで、このように、接着工程において3層の圧電層61〜63と振動板60の一方を他方に押し付けたときには、振動板60の圧力室33と対向する部分が、圧力室33側に凸になるように変形しやすく、その結果、厚みが不均一な状態で接着剤81が硬化してしまう虞がある。
【0059】
そこで、振動板60の上面に形成された複数の凹部70内を、減圧源としての吸引ポンプ82を用いて減圧する(減圧工程)。これにより、圧力室33と対向する領域において振動板60を圧電層63側に引き寄せて、振動板60が圧力室33側に凸となるように変形するのを防止し、振動板60と圧電層63の間の、接着剤81の厚みを均一にすることが可能になる。
【0060】
本実施形態における具体的な凹部70の減圧方法について説明する。先に述べたように、凹部形成工程において、振動板60の上面に複数の凹部70を形成するとともに、これら複数の凹部70を互いに連通させる連通溝71と、この連通溝71に連なる大気連通口72をも同時に形成している。また、大気連通口72は振動板60の上面に配置された圧電層61〜63によって覆われず、大気開放状態となっている。
【0061】
その上で、振動板60の上面の大気連通口72に吸引ポンプ82を接続し、吸引ポンプ82により、1つの大気連通口72(減圧口)から吸引することで、複数の凹部70内の減圧を同時に行う。これによれば、多数の凹部70内の減圧を、1つの減圧口72からの吸引によって一度に行うことができ、減圧工程を効率よく行うことができる。
【0062】
尚、上述した減圧工程は、前記接着工程と同時、あるいは、接着工程の直後に行うことが好ましい。この場合には、接着工程における押圧によって、最下層の圧電層63と振動板60の間の隙間がほぼ無くなるため、減圧工程時に、圧電層63と振動板60との間から凹部70への空気の流入が生じない。そのため、凹部70内の減圧を効率よく行うことができるし、また、外部からの空気流入に伴う凹部70内への接着剤81流入も防止できる。さらに、減圧と同時、又は、減圧よりも先に振動板60と圧電層63が接着されることで、凹部70内の減圧時に生じる虞のある、圧電層63と振動板60の間の位置ズレも抑制される。
【0063】
次に、前記実施形態に種々の変更を加えた変更形態について説明する。但し、前記実施形態と同様の構成を有するものについては、同じ符号を付して適宜その説明を省略する。
【0064】
1]前記実施形態では、流路ユニット22を構成するキャビティプレート50等の複数枚のプレートと振動板60とを一度に接合することで、流路ユニット22の作製工程と振動板60の流路ユニット22への接合工程を同時に行っているが、先に、流路ユニット22を構成するプレート同士を接合して流路ユニット22を作製してから、この流路ユニット22の上面に振動板60を接合するというように、別々の工程で行ってもよい。
【0065】
2]図8(a)に示すように、振動板60を流路ユニット22に接合した後に、加圧ポンプ90を用いて圧力室33内を加圧してもよい(加圧工程)。加圧ポンプ90は、例えば、図2に示す流路ユニット22のインク供給口30に接続され、インク供給口30からマニホールド流路31を介して、複数の圧力室33内を同時に加圧する。あるいは、加圧ポンプ90が複数のノズル34に接続されることにより、ノズル34側から圧力室33を加圧することも可能である。このように圧力室33内を加圧することで、図8(a)に示すように、振動板60の圧力室33と対向する部分が上方(圧電層61〜63側)へ膨らむことになる。
【0066】
振動板60を上方へ膨らませてから圧電層61〜63の積層体80を振動板60に接合する工程は、前記実施形態と同じとすることができる。即ち、図8(b)に示すように、振動板60の上面に接着剤81を介在させた状態で積層体80を配置してから、積層体80を振動板60に押し付けつつ、振動板60の上面に形成された凹部70内を、吸引ポンプ82を用いて減圧する。
【0067】
以上のように、振動板60を流路ユニット22に接合した後に圧力室33内を加圧して、振動板60の圧力室33と対向する部分を上方へ膨らませてから、圧電層61〜63を接着することにより、振動板60が圧力室33側に変形した状態で圧電層61〜63が接着されてしまうことを確実に防止できる。
【0068】
尚、図8のように、圧電層61〜63の積層体80を振動板60に配置する前に圧力室33内を加圧するのではなく、圧電層61〜63を振動板60の上面に配置してから、3層の圧電層61〜63の積層体80を振動板60に押し付ける際に、同時に圧力室33内の加圧を行ってもよい。
【0069】
4]上記3]で述べた変更形態においては、圧力室33内の加圧と、振動板60の上面に形成された凹部70内の減圧の、両方の工程を行うことによって、振動板60が圧力室33側に変形した状態で圧電層61〜63が接着されるのを防止しているが、圧力室33内の加圧のみを行い、凹部70内の減圧を省略してもよい。さらに、この場合には、凹部70は、圧電層61〜63の接着するための必須の構成ではなくなることから、振動板60に凹部70を形成する工程自体を省略することもできる。
【0070】
3]圧電アクチュエータの圧電層の層数は3枚に限定されるものではなく、圧電アクチュエータが、1枚や2枚の圧電層を有するものであってもよいし、4枚以上の多数の圧電層を有するものであってもよい。
【0071】
4]前記実施形態では、圧電アクチュエータ23の作動時に振動板60に形成された凹部70内が呼吸することができるように、複数の凹部70が大気連通口72を介して大気に連通している。しかし、凹部70が常時大気に連通していると、外部から凹部70内へ塵等の異物が侵入し、圧電アクチュエータ23の作動が阻害されることも考えられる。この点を考慮して、製造段階において、凹部70内の減圧工程が終了した後に、大気連通口72を塞ぎ、使用時には複数の凹部70が大気から遮断されるようにしてもよい。
【0072】
以上説明した実施形態は、本発明を、印刷用紙にインクを噴射して画像等を記録するインクジェット式のプリンタに適用したものであるが、本発明の適用対象は、このようなプリンタに限られず、様々な種類の液体をその用途に応じて移送する、種々の液体移送装置に本発明を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェットヘッドを備えた、プリンタの概略構成を示す平面図である。
【図2】インクジェットヘッドの平面図である。
【図3】図2のインクジェットヘッドの一部拡大平面図である。
【図4】図3のIV-IV線断面図である。
【図5】流路ユニットに接合された状態での振動板の平面図である。
【図6】図4のVI-VI線断面図である。
【図7】インクジェットヘッドの製造工程を示す図であり、(a)は凹部形成工程、流路ユニット作製工程、及び、振動板接合工程を示す図、(b)は圧電層設置工程を示す図、(c)は接着工程及び減圧工程を示す図である。
【図8】変更形態のインクジェットヘッドの製造工程を示す図であり、(a)は加圧工程、及び、圧電層設置工程を示す図、(b)は接着工程及び減圧工程を示す図である。
【図9】従来のインクジェットヘッド製造方法における問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
【0074】
3 インクジェットヘッド
22 流路ユニット
23 圧電アクチュエータ
33 圧力室
60 振動板
61,62,63 圧電層
70 凹部
71 連通溝
72 大気連通口
81 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その一表面に配置された圧力室を含む、液体流路が形成された流路ユニットと、
前記圧力室を覆うように前記流路ユニットの前記一表面に接合される振動板、及び、この振動板に積層される圧電層を含む圧電アクチュエータと、を備えた液体移送装置の製造方法であって、
前記流路ユニットを作製する流路ユニット作製工程と、
前記振動板の前記流路ユニットとの接合面と反対側の面の、前記流路ユニットに接合したときに前記圧力室と対向することとなる領域に、凹部を形成する凹部形成工程と、
前記振動板を、前記圧力室を覆うように前記流路ユニットの前記一表面に接合する振動板接合工程と、
前記振動板の前記流路ユニットとの接合面と反対側の面に、前記凹部を覆うように、且つ、前記振動板との間に接着剤を介在させながら、前記圧電層を設置する圧電層設置工程と、
前記圧電層で覆われた前記凹部内を減圧する減圧工程と、
前記振動板と前記圧電層のうちの一方を他方に押し付けて、前記接着剤によって前記圧電層を前記振動板に接着する接着工程と、
を有することを特徴とする液体移送装置の製造方法。
【請求項2】
前記接着工程と同時、又は、前記接着工程を行った後に、前記減圧工程を行うことを特徴とする請求項1に記載の液体移送装置の製造方法。
【請求項3】
前記振動板接合工程の後で、前記圧力室内を加圧する加圧工程をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体移送装置の製造方法。
【請求項4】
前記流路ユニット作製工程において、前記圧力室を複数有する前記流路ユニットを作製し、
前記凹部形成工程において、前記振動板の前記流路ユニットとの接合面と反対側の面に、前記複数の圧力室にそれぞれ対応する複数の前記凹部と、これら複数の凹部を互いに連通させる連通溝と、前記連通溝に連なる1つの減圧口とを形成し、
前記減圧工程において、前記1つの減圧口から吸引を行うことにより、前記複数の凹部内の減圧を同時に行うことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の液体移送装置の製造方法。
【請求項5】
その一表面に配置された複数の圧力室を含む、液体流路が形成された流路ユニットと、
前記複数の圧力室を覆うように前記流路ユニットの前記一表面に接合される振動板、及び、この振動板に積層される圧電層を含む圧電アクチュエータとを備え、
前記振動板の前記流路ユニットとの接合面と反対側の面に、前記複数の圧力室とそれぞれ対向する複数の凹部と、これら複数の凹部を互いに連通させる連通溝と、前記連通溝に連なる大気連通口とが形成されていることを特徴とする液体移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−149026(P2009−149026A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330557(P2007−330557)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】