説明

液体紙容器

【課題】液体用紙容器としての性能は維持しつつ、使用後に紙基材層とバリア層とを剥離することができるリサイクル効率の高い液体用紙容器を提供すること。
【解決手段】液体紙容器10はオレフィン系樹脂からなる最外層1、紙基材層2、接着調整層3、接着樹脂層4、バリア層5、樹脂フィルム層6およびオレフィン系樹脂からなる最内層7が順次積層された積層体1Aからなる。液体紙容器10は胴部12と、底部15と、上部17とを備え、胴部12の下方部に帯状分離体21が設けられ、胴部12の上方部に胴部切目線22が設けられ、帯状分離体21と胴部切目線22は連結切目線23によって連結されている。帯状分離体21が胴部12から分離され、連結切目線23および胴部切目線22が切断されて、胴部12の領域30において少なくとも最外層1および紙基材層2が、バリア層5から剥離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酒、焼酎、ワイン等の包装に好適な液体紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、酒、焼酎、ワイン、牛乳、ジュース等の包装に液体紙容器が使用されている。このような液体紙容器は、積層体からなり、この積層体中は内容物の酸化劣化を防止するため、アルミニウム箔層、アルミニウム蒸着層等のバリア層を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−290822号公報
【特許文献2】特開2006−321495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような積層体を使用した液体紙容器では、高いバリア性が得られるものの、紙基材層とバリア層とが強固に接着しているため紙基材層とバリア層とを容易に剥離することができず、リサイクル効率が低いという問題がある。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、液体紙容器としての性能は維持しつつ、使用後に紙基材層とバリア層とを容易に剥離することができるリサイクル効率の高い液体紙容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、積層体からなる液体紙容器において、4側面からなる胴部と、底部と、上部とを備え、積層体はオレフィン系樹脂からなる最外層と、紙基材層と、接着調整層と、接着樹脂層と、バリア層と、樹脂フィルム層と、オレフィン系樹脂を含む最内層とを有し、胴部の上方部および下方部のうち、一方に胴部全周に延びるとともに一対の側縁切目線を含みかつ把持タブを有する帯状分離体を設け、他方に胴部全周に延びる胴部切目線を設け、胴部に帯状分離体と胴部切目線を連結して延びる連結切目線を設け、帯状分離体の一対の側縁切目線、胴部切目線および連結切目線は、最外層から紙基材層もしくは接着樹脂層まで延び、帯状分離体を胴部の他の部分から一対の側縁切目線に沿って分離し、連結切目線および胴部切目線を切断することにより、胴部のうち帯状分離体と胴部切目線との間の領域において少なくとも最外層および紙基材層をバリア層から剥離することを特徴とする液体紙容器である。
【0007】
本発明は、積層体からなる液体紙容器において、4側面からなる胴部と、底部と、上部とを備え、積層体はオレフィン系樹脂からなる最外層と、紙基材層と、接着調整層と、接着樹脂層と、バリア層と、樹脂フィルム層と、オレフィン系樹脂を含む最内層とを有し、胴部の上方部および下方部のうち、一方に胴部全周に延びるとともに一対の側縁切目線を含む第1帯状分離体を設け、他方に胴部全周に延びるとともに一対の側縁切目線を含む第2帯状分離体を設け、第1帯状分離体および第2帯状分離体のうち少なくとも一方は把持タブを有し、胴部に第1帯状分離体と第2帯状分離体を連続して延びる連続切目線を設け、第1帯状分離体の一対の側縁切目線、第2帯状分離体の一対の側縁切目線、および連結切目線は、最外層から紙基材層もしくは接着樹脂層まで延び、第1帯状分離体および第2帯状分離体を胴部の他の部分から、各々一対の側縁切目線に沿って分離し、連結切目線を切断することにより、胴部のうち第1帯状分離体と第2帯状分離体との間において少なくとも最外層および紙基材層をバリア層から剥離することを特徴とする液体紙容器である。
【0008】
本発明は、帯状分離体と胴部切目線は胴部に水平方向に沿って設けられていることを特徴とする液体紙容器である。
【0009】
本発明は、胴部の隣り合う2つの側面のうち一方の側面に、他方の側面に接着されるのりしろが取付けられ、連結切目線は当該一方の側面とのりしろとの間に沿って設けられていることを特徴とする液体紙容器である。
【0010】
本発明は、胴部の隣り合う2つの側面のうち一方の側面に、他方の側面に接着されるのりしろが取付けられ、帯状分離体の把持タブは当該一方の側面とのりしろとの間、あるいは他方の側面の端部に配置されていることを特徴とする液体紙容器である。
【0011】
本発明は、積層体の紙基材裏面、またはバリア層表面または樹脂フィルム層の表裏面に、隠された情報が印刷された印刷層が設けられていることを特徴とする液体紙容器である。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明によれば、液体紙容器の性能を維持しつつ、使用後に紙基材層を含む廃棄物と、バリア層を含む廃棄物を効果的に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明による液体紙容器の第1の実施の形態を示す斜視図。
【図2】図2は液体紙容器を構成する積層体を示す断面図。
【図3】図3は液体紙容器のフランク材を示す平面図。
【図4】図4は液体紙容器の作用を示す図。
【図5】図5は液体紙容器の作用を示す図。
【図6】図6は液体紙容器の製造工程を示す図。
【図7】図7は本発明による液体紙容器の第2の実施の形態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0015】
このうち、図1は本発明による液体紙容器を示す斜視図、図2は液体紙容器を構成する積層体を示す断面図、図3は液体紙容器のブランク材を示す平面図、図4および図5は液体紙容器の作用を示す図、図6は液体紙容器の製造工程を示す図である。
【0016】
まず本発明による液体紙容器、例えばゲーベルトップ型液体紙容器について説明する。
【0017】
図1に示すように、このような液体紙容器10は内部に酒、焼酎、ワイン、牛乳、ジュース等の飲料水を収納する液体紙容器となっている。
【0018】
図1に示すように、液体紙容器10はゲーベルトップ型の液体紙容器10であって、4側面12A,12B,12C,12Dを含む四角筒状の胴部12と、四角板状の底部15と、ゲーベルトップ型の上部17とを有している。
【0019】
このうちゲーベルトップ型の上部17は対向する一対の傾斜板13,13と、傾斜板13,13間に位置するとともに傾斜板13,13間に折込まれる一対の折込部16,16とを有している。そして一対の傾斜板13,13には各々の上端にのりしろ14,14が設けられ、一対の傾斜板13,13は各々の上端に設けられたのりしろ14,14により互いに接着されている。
【0020】
また、一対の傾斜板13,13のうちの一方の傾斜板13に注出口24が取付けられ、この注出口24はキャップ25により密封される。
【0021】
このようなゲーベルトップ型の液体紙容器10において、注出口24からキャップ25を取外すことにより液体紙容器10内から飲料等の内容物を取出すことができる。
【0022】
この場合、注出口24には、予めプルリングが取付けられ、初期の段階では、注出口24はプルリングにより密封されており、使用時に消費者は、注出口24からプルリングを取外し、内容物を取り出す。その後、注出口24をキャップ25により再び密封することができる。
【0023】
このような液体紙容器10は、後述のように、積層体1Aからなるブランク材10aを組立てることにより得られる(図3参照)。
【0024】
積層体1Aは、オレフィン系樹脂からなる最外層1、紙基材層2、接着調整層3、接着樹脂層4、バリア層5、樹脂フィルム層6およびオレフィン系樹脂からなる最内層7がこの順に積層されてなるものである(図2参照)。本実施の形態に係る積層体1Aは、紙基材層2と接着樹脂層4との間に接着調整層3を介在させることで、接着樹脂層4の紙基材層2に対する接着強度を弱めた(阻害した)ことに特徴がある。このような積層順とすることで、積層体1Aを紙容器に加工する際および加工された紙容器を使用する際には層間剥離は起こらず、使用後には人間の力程度で紙基材層2側とバリア層5側とを分離することができる。
【0025】
また図1に示すように、胴部12の下方部には、胴部12全周に延びるとともに一対の側縁切目線21a,21bを含む帯状分離体21が設けられ、胴部12の上方部に胴部12全周に延びる胴部切目線22が設けられている。
【0026】
また胴部12の隣り合う2つの側面12A,12Dのうち一方の側面12Dに、他方の側面12Aに接着されるのりしろ12Eが取付けられている。そして側面12Dとのりしろ12Eとの間の折罫に沿って、帯状分離体21と胴部切目線22とを連結して延びる連結切目線23が設けられている。
【0027】
このように側面12A,12D間の折罫に沿って連結切目線23を設けることにより連結切目線23が切断しやすくなるため好ましい。さらに側面12Dとのりしろ12Eとの間に連結切目線23を設けた場合は、紙基材層2を含む廃棄物を一連で解体することができるため、更に好ましい。
【0028】
このうち、帯状分離体21および胴部切目線22は、胴部12に水平方向に沿って設けられ、連結切目線23は胴部12に垂直方向に沿って設けられている。
【0029】
このように帯状分離体21と胴部切目線22を水平方向に沿って設けた場合は、帯状分離体21と胴部切目線22との距離を長くとることができる。このため、紙基材層2を含む廃棄物を廃棄する面積が増やすことができるため好ましい。
【0030】
また帯状分離体21は一対の側縁切目線21a,21bにより形成され、この一対の側縁切目線21a,21b、胴部切目線22および連結切目線23は、積層体1Aの最外層1から紙基材層2もしくは接着樹脂層4まで達するミシン目からなっている。
【0031】
なお、帯状分離体21のうち、側面12Aの左端側(側面12Aと側面12Dとの間)に、帯状分離体21を分離する際の起点となる把持タブ28が形成されている。この把持タブ28は帯状分離体21の中のいずれの場所に設けても良く、例えば連結切目線23に直結する、側面12Dの右端側にある帯状分離体21に設けても良い。
【0032】
なお、把持タブ28が側面12Aの左端側にある場合、帯状分離体21を胴部12の他の部分から一対の側縁切目線21a,21bに沿って分離する。次に胴部12を胴部切目線22に沿って切断して、最後に連結切目線23を切断することにより、胴部12のうち帯状分離体21と胴部切目線22との間の領域30において、積層体1Aの最外層1および紙基材層2を接着調整層3から剥離することができる。このことにより胴部12の帯状分離体21と胴部切目線22との間の領域において、接着樹脂層4を外方へ露出させることができる(図4参照)。
【0033】
一方、把持タブ28を側面12Dの右端側に設けた場合は、先に、帯状分離体21を胴部12の他の部分から一対の側縁切目線21a,21bに沿って分離し、連結切目線23を切断してから、胴部12を胴部切目線22に沿って切断する。
【0034】
このように把持タブ28を設けることにより、把持タブ28を摘んで帯状分離体21を分離した後、胴部切目線22および連結切目線23を切断することにより、紙基材層2とバリア層5とを容易に分離することができる。
【0035】
また側面12Aの左端側あるいは側面12Dの右端側に把持タブ28を形成した場合は、一連に帯状分離体21を分離することができるため、好ましい。
【0036】
さらに積層体1Aのうち、接着調整層3から剥離される紙基材層2の裏面に、隠された情報が印刷された印刷層18が設けられている。液体紙容器10の使用者は、胴部12のうち帯状分離体21と胴部切目線22との間の領域30において、最外層1および紙基材2を接着調整層3から剥離した後、紙基材層2の裏面に設けられた印刷層18を確認して、キャンペーン等の応募に参加することができる。ここで、隠された情報が印刷された印刷層18としては当り券、応募券、シリアル番号、QRコード等のキャンペーン情報や内容物等の各種情報や広告からなり、このような隠された情報が印刷された印刷層18をバリア層5の表面に設けてもよく、または樹脂フィルム層6の表裏面に印刷層18を設けてもよい。
【0037】
ところで、帯状分離体21の下方側の側縁切目線21bは胴部12の下端縁12Sより1cm以上離れており、胴部切目線22も胴部12の上端縁12Tより1cm以上離れている。このように帯状分離体21の側縁切目線12bを胴部12の下端縁12Sより1cm以上離し、かつ胴部切目線22を胴部12の上端縁12Tより1cm以上離すことにより、上端縁12Tあるいは下端縁12Sに沿ってブランク材10aを組立てて液体紙容器10を作製する際、帯状分離体21の側縁切目線12bあるいは胴部切目線22を介して胴部12が破断することを防止することができる。
【0038】
ところでゲーベルトップ型の液体紙容器10は、図3に示すようなブランク材10aを組立てることにより作製される。
【0039】
ブランク材10aは積層体1Aを打抜くことにより得られる。このブランク材10aは、液体紙容器10の胴部12に対応するとともに側面12A,12B,12C,12Dを有する胴部パネル12aと、底部15に対応する底部パネル15aと、一対の傾斜板13,13に対応する傾斜板パネル13a,13aと、一対の傾斜板13,13間に折込まれる一対の折込部16,16に対応する折込部パネル16a,16aとを有している。
【0040】
また図3に示すブランク材10aにおいて、各傾斜板パネル13a,13aに、のりしろ14,14が設けられている。さらに一方の傾斜板13aに注出口24を取付けるための開口24aが設けられている。この場合、開口24a外周に注出口24を取外すためのミシン目29を積層体1A(図2参照)を貫通して設けてもよい。
【0041】
またブランク材10aの胴部パネル12aには、ミシン目からなる一対の側縁切目線21a,21bを設けることにより帯状分離体21が設けられ、ミシン目からなる胴部切目線22が設けられ、ミシン目からなる連結切目線23が形成されている。さらに帯状分離体21の側面12Aと側面12Dとの間に、把持タブ28が設けられている。この把持タブ28は側面12Aに湾曲した形状あるいは直線状の切欠28aを設けることにより得られる。
【0042】
なお連結切目線23は帯状分離体21と胴部切目線22とを連結している。
【0043】
また本実施例では把持タブ28は直線状の切り欠き28aを有するが、これに限定されず、把持タブ28は湾曲した形状をもっていてもよい。
【0044】
次に液体紙容器を形成するための積層体1Aについて説明する。
【0045】
図2に示すように、積層体1Aは、オレフィン系樹脂からなる最外層1、紙基材層2、接着調整層3、接着樹脂層4、バリア層5、樹脂フィルム層6およびオレフィン系樹脂からなる最内層7がこの順に積層されてなるものである。本実施の形態に係る積層体1Aは、紙基材層2と接着樹脂層4との間に接着調整層3を介在させることで、接着樹脂層4の紙基材層2に対する接着強度を弱めた(阻害した)ことに特徴がある。このような積層順とすることで、積層体を紙容器に加工する際および加工された紙容器を使用する際には層間剥離は起こらず、使用後には人間の力程度で紙基材層2側とバリア層5側とを分離することができる。
【0046】
上述のように紙基材層2の裏面、あるいはバリア層5の表面あるいは樹脂フィルム層6の表裏面に隠された情報を印刷した印刷層18が設けられているが、バリア層5に隠された情報を印刷した印刷層18を設ける場合、アルミニウム箔のような不透過のバリア層5であればバリア層5の表面(接着樹脂層4側)に印刷層18を設ける。また蒸着膜を形成した樹脂フィルム層のような透明なバリア層5であれば樹脂フィルム層6の表面または裏面のいずれに印刷層18を設けてもよい。
【0047】
本発明における最外層1および最内層7を構成するオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、チーグラー系低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン等が挙げられる。低温シール性、透明性、加工適性という観点から、オレフィン系樹脂としては、高圧法低密度ポリエチレン、チーグラー系低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレンを用いることが好ましい。最外層1の厚さは、5μm〜50μmであることが好ましい。また、最内層7の厚さは、30μm〜100μmであることが好ましい。なお、最外層1および最内層7には、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、難燃化剤、染料、顔料等を適宜添加してもよい。
【0048】
本発明における接着樹脂層4は、主に、エチレンとメタクリル酸等の酸変性樹脂材料から構成される。このような樹脂材料の具体例としては、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体またはエチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの材料の中でも、バリア層5のアルミニウムと強い接着性が得られるとともに、加工適性に優れ、これらの材料の中では価格が比較的安価であるという点で、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体およびエチレン−マレイン酸共重合体が好ましい。接着樹脂層4の厚さは、15μm〜80μmであることが好ましい。
【0049】
なお、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体およびエチレン−マレイン酸共重合体は、いずれもCOOH基を有し、これがアルミニウム表面に表われるOH基と結合することにより、アルミニウムと強い接着性を得ることができる。
【0050】
本発明における接着調整層3は、接着樹脂層4の紙基材層2に対する強固な接着を阻害する役割を果たす層である。この接着調整層3は、紙基材層2との接着性が良好で、且つ接着樹脂層4との接着性が、接着樹脂層4と紙基材層2との接着力よりもある程度低くなるような樹脂材料から構成されていればよく、その具体例としては、アクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル−スチレン共重合体を溶解させた、アクリル系の水溶性樹脂やエマルジョン等が挙げられる。これらのコーティング液の塗工方法は、特に限定されず、従来公知の塗工方法が用いられるが、グラビアコート、ロールコート、エアナイフコート、ブレードコート、ショートドウェルコート、キャストコート等の塗工方法が用いられる。これらの材料の中でも、接着樹脂層4を構成する材料として、上述したエチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)またはエチレン−マレイン酸共重合体を用いる場合には、アクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル共重合体およびアクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル−スチレン共重合体が好ましい。これらの共重合体を構成する(メタ)アクリル酸アルキルのアルキル基の炭素数は4〜8であることが好ましい。
【0051】
本発明における紙基材層2を構成する紙基材としては、コートボール、カード紙、アイボリー紙、マニラボール等の板紙、ミルクカートン原紙、カップ原紙、クラフト紙、上質紙等の公知の紙を用いることができる。紙基材の坪量は、紙容器の形態に応じて適宜決定すればよいが、通常、100g/m2〜500g/m2である。
【0052】
また、紙基材層2上に最外層1を積層させる前に、紙基材層2となる紙基材の表面にコロナ放電処理、フレーム処理等を施してもよい。これらの処理を施すことで層間の接着強度を向上させることができる。コロナ放電処理は、公知のコロナ放電処理器を用い、発生させたコロナ雰囲気中に紙基材を通過させることにより行うことができる。フレーム処理は、公知のフレーム処理器を用い、紙基材表面を火で炙ることにより行うことができる。
【0053】
本発明における樹脂フィルム層6は、製函する際に積層体に吹き付けられる熱風の熱に耐え得るとともに、外部からの物理的ストレスに耐え得る物理的強度を有する樹脂材料から構成される。このような材料の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等が挙げられる。樹脂フィルム層6の厚さは、9μm〜30μmであることが好ましい。
【0054】
本発明におけるバリア層5は、主に、水蒸気、水、ガス等を透過させない性質を有する材料から構成される。このような材料の具体例としては、アルミニウム箔、真空蒸着またはスパッタリングによって樹脂フィルム層6上に形成されたアルミニウム、シリカ、アルミナ等の蒸着膜であってもよい。
【0055】
バリア層5としてアルミニウム箔を用いる場合、ウレタン系接着剤、ビニル系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤等のラミネート用接着剤を用いて樹脂フィルム層6上に積層させることが好ましい。アルミニウム箔の厚さは、3μm〜20μmであることが好ましい。接着剤の塗布量は、接着剤の厚さが乾燥皮膜として0.1g/m2〜5g/m2となるように適宜設定すればよい。また、バリア層5として蒸着膜を用いる場合、樹脂フィルム層6上に蒸着膜を形成することが好ましい。蒸着膜の厚さは、100Å〜1000Åであることが好ましい。
【0056】
上記のように構成された積層体1Aにおける接着調整層3と接着樹脂層4との間の接着強度は、0.2N/15mm幅〜1.5N/15mm幅であることが好ましく、0.5N/15mm幅〜1N/15mm幅であることが更に好ましい。接着強度が、0.2N/15mm幅未満であると、積層体1Aを液体紙容器10に加工する際および加工された液体紙容器10を使用する際に層間剥離が起こる場合があり、また、接着強度が1.5N/15mm幅を超えると、リサイクルする際に紙基材層2の内部から剥離が起こってリサイクル効率が低下する場合がある。なお、接着強度の測定は、まず積層体を15mm幅にて100mm切り出して試験片とし、切り出した試験片の一方から接着調整層3と接着樹脂層4とを50mmまで剥がし、引張り試験機の両チャックにそれぞれチャッキングする。チャック間距離は100mmとする。そして25℃雰囲気下、50mm/minの引張り速度で180度方向に剥がし、最大荷重を測定する。測定は5回行い、その算術平均を接着調整層3と接着樹脂層4との間の接着強度とする。
【0057】
また接着調整層3と接着樹脂層4との間の接着強度は、接着樹脂層4および接着調整層3に用いる材料の組み合わせを変更したり、接着樹脂層4の接着調整層3と接する側の表面をオゾン処理したりすることによって、適宜増大ないし減少させることが可能である。オゾン処理は、接着樹脂層4を構成するEMAA等の樹脂材料の表面に、公知のオゾン処理器を用いて発生させたオゾンを吹付けることにより行うことができる。
【0058】
以下に、本実施の形態に係る液体紙容器の製造方法について図6により説明する。
【0059】
本実施の形態における液体紙容器10を構成する積層体1Aは、上記した材料を用いて、包装材料分野で公知の方法により製造することができる。具体的には、紙基材層2の一方の面にオレフィン系樹脂を押出コーティングして最外層1を形成する。
【0060】
次に最外層1に絵柄1aを印刷するとともに、適宜、紙基材層2の裏面に隠された情報が印刷された印刷層18を印刷して設ける。
【0061】
次に最外層1が設けられた紙基材層2からなる原紙に対してインライン若しくはオフラインでロータリーダイカットにより、原紙の流れ方向およびこれに直交する方向にミシン目を入れて、帯状分離体21、胴部切目線22および連結切目線23を形成する。その際に、把持タブ23を設ける為に、適宜、帯状分離体21を部分的に打抜く。
【0062】
次に最外層1と紙基材層2とからなる原紙が原紙供給部31に設置され、この原紙が原紙供給部31から繰り出される。
【0063】
この原紙供給部31から繰り出される原紙のうち紙基材層2の他方の面に、接着調整層形成部32において、接着調整層3を構成する樹脂材料を溶解させた水系組成物をグラビアロールにて塗布・乾燥させる事により接着調整層3が形成される。この間、バリア層5が形成された樹脂フィルム層6がフィルム供給部37から供給され、接着調整層3と、バリア層5が形成された樹脂フィルム層6との間に、接着樹脂層4を構成する樹脂材料が押出器36から溶融押出される。次に、樹脂フィルム層6上にアンカーコート剤塗布部42においてアンカーコート剤が塗布される。次に最内層7を構成するシーラントフィルムがフィルム供給部41から供給され、オレフィン系樹脂が押出器40から打出され、シーラントフィルムとオレフィン系樹脂とからなる最内層7が形成される。このように得られた積層体1Aは巻取体43として巻取られる。
【0064】
なお、接着調整層3を形成するための水系組成物には、水やイソプロピルアルコール等が水系溶剤として含有され、上記した共重合体が固形分として5質量%〜20質量%含有されることが好ましい。樹脂固形分が、5質量%未満であると、適度な膜厚を有する接着調整層3を形成するのが困難となる場合があり、一方、20質量%を超えると、水系組成物の流動性が低下して塗布が困難となる場合がある。水系組成物の塗布量は、接着調整層3が乾燥重量で0.25g/m2〜1.5g/m2となるように適宜設定すればよい。水系組成物の塗布方法としては、公知のグラビア印刷、平版印刷、凸版印刷、スクリーン印刷等を用いることができる。これらの中でも塗布量が安定していること、生産性が高いこと等から、グラビア印刷を採用することが好ましい。
【0065】
接着調整層3は、塗布量が0.25g/m2未満では紙の平滑性が悪いため、接着調整層が均一な膜になり難く、接着樹脂層4と紙基材層2との強度が上がり、分離しようとしたときに紙剥け(紙基材層2中で凝集剥離すること)が発生するため好ましくない。また、塗布量が1.5g/m2より大きい場合は、塗布膜の乾燥性・塗工適性が悪くなるとともにコストも上がるため好ましくない。
【0066】
また、上記した積層体1Aの製造において、溶融押出しされた接着樹脂層4を構成する樹脂材料にオゾン吹付器35からオゾンを吹付けながらサンドイッチラミネートすることで、接着調整層3と接着樹脂層4との間の接着強度を増大させることができる。このときのオゾン濃度は、10g/Nm3〜20g/Nm3であることが好ましく、また、風量は、2.0g/時間〜4.0g/時間であることが望ましい。
【0067】
得られた積層体1Aを製函して、ゲーブルトップ型、ブリック型等種々の形状の液体紙容器10を製造することができる。具体的には、まず、積層体1Aを断裁して所定の形状に打ち抜くと同時に必要箇所に罫線を設けてブランク材10aを得る。次に、フレームシールまたはホットエアーシールにより最内層7または最外層1を構成する樹脂材料を溶融し、胴部を貼り合わせて、筒状のスリーブを得る。続いて、この筒状スリーブを充填機に供給し、充填機上でボトム部を形成した後、液体を充填し、トップ部をシールするという公知の方法により製造することができる。
【0068】
本発明による液体紙容器10は、日本酒、焼酎、ワインなどのアルコール類、牛乳などの乳飲料、オレンジジュースやお茶などの清涼飲料等の食品からカーワックス、シャンプーや洗剤などの化学製品にわたる液体状のもの全般の包装に好適に用いることができる。
【0069】
次に図1、図4および図5により液体紙容器10の使用方法について説明する。
【0070】
まず、使用者は液体紙容器10の注出口24からキャップ25を取外して、液体紙容器10の内容物を注出口24から注出する。
【0071】
この場合、注出口24には、予めプルリングが取り付けられ、初期の段階では、注出口24はプルリングにより密封されており、使用時に消費者は、注出口24からプルリングを取外し、内容物を取り出す。その後、注出口24をキャップ25により再び密封することができる。
【0072】
液体紙容器10の内容物をすべて注出した後、使用者は把持タブ28を把持して帯状分離体21を一対の側縁切目線21a,21bに沿って胴部12の他の部分から分離する。このとき、胴部12のうち帯状分離体21に対応する最外層1および紙基材層2が接着調整層3から剥離される。次に胴部12の胴部切目線22および連結切目線23がこの順で切断され、このようにして胴部12のうち帯状分離体21と胴部切目線22との間の領域30において、最外層1および紙基材層2が接着調整層3から剥離され、接着樹脂層4が外方へ露出する(図4参照)。
【0073】
なお、上記実施の形態において、帯状分離体21の一対の側縁切目線21a,21b、胴部切目線22および連結切目線23が最外層1から紙基材層2もしくは接着樹脂層4まで延び、最外層1および紙基材層2が接着調整層3から剥離される例を示したが、帯状分離体21の一対の側縁切目線21a,21b、胴部切目線22および連結切目線23が最外層1から接着樹脂層4まで延び、最外層1、紙基材層2、接着調整層3および接着樹脂層4が、バリア層5から剥離されてもよい。いずれの場合も、少なくとも最外層1および紙基材層2を、バリア層5から効果的に分離することができる。
【0074】
同時に液体紙容器10からミシン目29に沿って傾斜板13aの一部が切り取られて注出口24を取外すこともできる。
【0075】
その後に領域30から最外層1および紙基材層2が取除かれたバリア層5を含む液体紙容器10と、最外層1および紙基材層2とが分離され、バリア層5を含む廃棄物と紙基材層2を含む廃棄物を効果的に分離することができる。
【0076】
次に図5に示すように、領域30から最外層1および紙基材層2が取除かれた液体紙容器10を簡単に押しつぶすことにより、廃棄物の収納体積を著しく減少させることができる。
【0077】
なお帯状分離体21を胴部12の下方部に設けた例を示したが、これに限らず帯状分離体21を胴部12の上方部に設けてもよい。
【0078】
また上記実施の形態において、最外層と紙基材層2からなる原紙に対してロータリーダイカットによりミシン目を入れて帯状分離体21、胴部切目線22および連結切目線23を形成した例を示したが、これに限らずレーザーを用いて切目線を形成してもよい。
【0079】
この場合は、まずアルミニウム箔からなるバリア層5を含む積層体1Aを準備し、レーザー照射により、最外層1からアルミニウム箔5の手前まで、ミシン目加工を施す。バリア層5が蒸着アルミニウム層からなる場合、積層体1A全体にミシン目加工が入る可能性もあるため、バリア層5はアルミニウム箔を有することが好ましい。
【0080】
具体的には、予め、押出しラミネート等で積層体1Aを図6に示す液体紙容器の製造工程に沿って作製し、その後積層体1Aに対して所定の大きさにシート断ちを行なう。次に枚葉状の積層体1Aに対してOH印刷を行い、インライン若しくはオフラインにて、レーザー照射にて切目線を入れて帯状分離体21、胴部切目線22、連結切目線23を形成する。その後適宜、次工程の打抜きで、必要な部分を抜き、同時に把持タブ28を設け、その後、貼り工程を行なう。
【0081】
第2の実施の形態
次に図7により、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0082】
図7に示す第2の実施の形態は、胴部切目線を設ける代わりに追加の帯状分離体を設けたものであり、他の構成は図1乃至図6に示す第1の実施の形態と略同一である。
【0083】
なお第2の実施の形態に示す液体紙容器10は、1L以上の大型の液体紙容器に好適に使用でき、上下方向に2つの帯状分離体21,26を設けることにより、バリア層5を含む廃棄物と紙基材層2を含む廃棄物に分離しやすい。
【0084】
図7に示す第2の実施の形態において、図1乃至図6に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0085】
図7に示すように、胴部12の下方部には、胴部12全周に延びるとともに一対の側縁切目線21a,21bを含む帯状分離体(第1帯状分離体)21が設けられ、胴部12の上方部に胴部12全周に延びるとともに一対の側縁切目線26a,26bを含む追加の帯状分離体(第2帯状分離体)26が設けられている。
【0086】
また連結切目線23が側面12Dとのりしろ12E間の折罫に沿って、帯状分離体21と帯状分離体26とを連結して延びる。このように連結切目線23を設ける事によって、胴部12の全側面12A〜12Dから少なくとも最外層1および紙基材層2を一度に剥がす事が可能となる。
【0087】
このうち、第1帯状分離体21および第2帯状分離体26は、胴部12に水平方向に沿って設けられ、連結切目線23は胴部12に垂直方向に沿って設けられている。
【0088】
また第1帯状分離体21は一対の側縁切目線21a,21bにより形成され、第2帯状分離体26は一対の側縁切目線26a,26bにより形成され、これら一対の側縁切目線21a,21bおよび一対の側縁切目線26a,26bは、積層体1Aの最外層1から紙基材層2もしくは接着樹脂層4まで達するミシン目からなっている。
【0089】
そして、第1帯状分離体21および第2帯状分離体26を胴部12の他の部分から一対の側縁切目線21a,21bおよび一対の側縁切目線26a,26bに沿って分離し、次に連結切目線23を切断することにより、胴部12のうち第1帯状分離体21と第2帯状切目線26との間の領域30において、積層体1Aの最外層1および紙基材層2を接着調整層3から剥離することができる。このことにより胴部12の第1帯状分離体21と第2帯状分離体26との間の領域において、接着樹脂層4を外方へ露出させることができる。
【0090】
なお、第1帯状分離体21および第2帯状分離体26のうち、側面12Aの左端側(側面12Aと側面12Dとの間)に、第1帯状分離体21および第2帯状分離体26を分離する際の起点となる把持タブ28,29(図7記載無し)が各々形成されている。さらに積層体1Aのうち、接着調整層3から剥離される紙基材層2の裏面に、液体紙容器10を特定するIDコード18が設けられている。液体紙容器10の使用者は、胴部12のうち第1帯状分離体21と第2帯状分離体26との間の領域30において、最外層1および紙基材2を接着調整層3から剥離した後、紙基材層2の裏面に設けられたIDコード18を確認して、キャンペーン等の応募に参加することができる。
【0091】
ところで、第1帯状分離体21の下方側の側縁切目線21bは胴部12の下端縁12Sより1cm以上離れており、第2帯状分離体26の上方側の側縁切目線26aも胴部12の上端縁12Tより1cm以上離れている。このように第1帯状分離体21の側縁切目線12bを胴部12の下端縁12Sより1cm以上離し、かつ第2帯状分離体26の側縁切目線26aを胴部12の上端縁12Tより1cm以上離すことにより、上端縁12Tあるいは下端縁12Sに沿ってブランク材10aを組立てて液体紙容器10を作製する際、第1帯状分離体21の側縁切目線12bあるいは第2帯状分離体26の側縁切目線26aを介して胴部12が破断することを防止することができる。
【0092】
次に図7により液体紙容器10の使用方法について説明する。
【0093】
まず、使用者は液体紙容器10の注出口24からキャップ25を取外して、液体紙容器10の内容物を注出口24から注出する。
【0094】
この場合、注出口24には、予めプルリングが取り付けられ、初期の段階では、注出口24はプルリングにより密封されており、使用時に消費者は、注出口24からプルリングを取外し、内容物を取り出す。その後、注出口24をキャップ25により再び密封することができる。
【0095】
液体紙容器10の内容物をすべて注出した後、使用者は把持タブ28を把持して第1帯状分離体21を一対の側縁切目線21a,21bに沿って胴部12の他の部分から分離する。このとき、胴部12のうち第1帯状分離体21に対応する最外層1および紙基材層2が接着調整層3から剥離される。同様にして把持タブ29を把持して第2帯状分離体26を一対の側縁切目線26a,26bに沿って分離し、その後連結切目線23を切断する。
【0096】
このようにして胴部12のうち第1帯状分離体21と第2帯状分離体26との間の領域30において、最外層1および紙基材層2が接着調整層3から剥離され、接着樹脂層4が外方へ露出する。
【0097】
同時に液体紙容器10からミシン目29に沿って傾斜板13aの一部が切り取られて注出口24を取外すこともできる。
【0098】
その後に、領域30から最外層1および紙基材層2が取除かれたバリア層5を含む液体紙容器10と、最外層1および紙基材層2とが分離され、バリア層5を含む廃棄物と紙基材層2を含む廃棄物を効果的に分離することができる。
【0099】
次に領域30から最外層1および紙基材層2が取除かれた液体紙容器10を簡単に押しつぶすことにより、廃棄物の収納体積を著しく減少させることができる。
【実施例】
【0100】
[実施例1]
坪量285g/mの板紙(紙基材層)の一方の表面に厚さ20μmの高圧法低密度ポリエチレン(最外層)を押出ラミネーション法により積層した。
【0101】
次に、ラミネート面にグラビア印刷を行なった。
【0102】
印刷の見当を基に、RDCにて、胴部12の下端縁12Sから1cm上に巾1cmの帯状になるように平行した側縁切目線21a及び21bからなる帯状分離体21と把持タブ28、更に、胴部12の上端縁12Tより1cm下に平行した直線状にミシン目加工を施して胴部切目線22を入れる。また、同時にそれらに垂直となる様に側面12Dと側面12Eの縦罫線の近傍に連結切目線23のミシン目加工を入れる。
【0103】
二液硬化型ウレタン系接着剤を用いて、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(樹脂フィルム層)と厚さ6μmのアルミニウム箔(バリア層)とをドライラミネーション法により積層し、ラミネートフィルムを作製した。一方、坪量285g/m2の板紙(紙基材層)の一方の表面に厚さ20μmのPE層(最外層)を押出ラミネーション法により積層したミシン目加工済み原反の他方の表面にスチレン−アクリル酸共重合エマルジョン水系組成物(固形分10質量%)を乾燥重量で1.0g/m2となるように塗布して乾燥し、スチレン−アクリル酸共重合体からなる層(接着調整層)を形成した。続いて、板紙のスチレン−アクリル酸共重合体からなる層が形成された面を、先に作製したラミネートフィルムのアルミニウム箔面と対向させ、その間に厚さ20μmのエチレン−メタクリル酸共重合体(接着樹脂層)を295℃で溶融押出してサンドイッチラミネートした。最後に、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に2液硬化型のウレタン系アンカーコート剤を塗布した後、厚さ60μmの高圧法低密度ポリエチレン(最内層)を押出ラミネーション法により積層し、高圧法低密度ポリエチレン/板紙/アクリル酸−アクリル酸アルキル−メタクリル酸アルキル共重合体/エチレン−メタクリル酸共重合体/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートフィルム/高圧法低密度ポリエチレンという層構成の積層体を得た。
【0104】
得られた積層体1Aを所定の形状に打ち抜くと同時に必要箇所に罫線を設けてブランク材10aとし、次いで、フレームシールにより胴部12を貼り合わせて筒状スリーブとし、この筒状スリーブを充填機に供給し、充填機上で底部15を形成した後、内容物を充填し、上部17をシールすることにより実施例1のゲーブルトップ型の紙容器を作製した。
【0105】
[実施例2]
実施例1のスチレン−アクリル酸共重合エマルジョン水系組成物(固形分10質量%)を乾燥重量で0.25g/m2となるように塗布した以外は、実施例1と同様にして積層体1Aを得た。
【0106】
得られた積層体1Aを所定の形状に打ち抜くと同時に必要箇所に罫線を設けてブランク材10aとし、次いで、フレームシールにより胴部12を貼り合わせて筒状スリーブとし、この筒状スリーブを充填機に供給し、充填機上で底部15を形成した後、内容物を充填し、上部17をシールすることにより実施例2のゲーブルトップ型の紙容器を作製した。
【0107】
[実施例3]
実施例1のスチレン−アクリル酸共重合エマルジョン水系組成物(固形分10質量%)を乾燥重量で1.5g/m2となるように塗布した以外は、実施例1と同様にして積層体1Aを得た。
【0108】
得られた積層体1Aを所定の形状に打ち抜くと同時に必要箇所に罫線を設けてブランク材10aとし、次いで、フレームシールにより胴部12を貼り合わせて筒状スリーブとし、この筒状スリーブを充填機に供給し、充填機上で底部15を形成した後、内容物を充填し、上部17をシールすることにより実施例3のゲーブルトップ型の紙容器を作製した。
【0109】
[実施例4]
実施例1のミシン目加工を施さない以外は、実施例1と同様にして積層体1Aを得た。その積層体1Aに対してレーザー照射を施して最外層1から接着樹脂層4まで延びる切目線を入れて帯状分離体21、胴部切目線22および連結切目線23を形成した。
【0110】
得られた積層体1Aを所定の形状に打ち抜くと同時に必要箇所に罫線を設けてブランク材10aとし、次いで、フレームシールにより胴部12を貼り合わせて筒状スリーブとし、この筒状スリーブを充填機に供給し、充填機上で底部15を形成した後、内容物を充填し、上部17をシールすることにより実施例3のゲーブルトップ型の紙容器を作製したことにより実施例4のゲーベルトップ型の紙容器を作製した。
【0111】
[比較例1]
実施例1のスチレン−アクリル酸共重合エマルジョン水系組成物を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして積層体1Aを得た。
【0112】
得られた積層体1Aを所定の形状に打ち抜くと同時に必要箇所に罫線を設けてブランク材10aとし、次いで、フレームシールにより胴部を貼り合わせて筒状スリーブとし、この筒状スリーブを充填機に供給し、充填機上で底部15を形成した後、内容物を充填し、上部17をシールすることにより比較例1のゲーブルトップ型の紙容器を作製した。
【0113】
[比較例2]
実施例1のスチレン−アクリル酸共重合エマルジョン水系組成物(固形分10質量%)を乾燥重量で0.12g/m2となるように塗布した以外は、実施例1と同様にして積層体1Aを得た。
【0114】
得られた積層体1Aを所定の形状に打ち抜くと同時に必要箇所に罫線を設けてブランク材10aとし、次いで、フレームシールにより胴部12を貼り合わせて筒状スリーブとし、この筒状スリーブを充填機に供給し、充填機上で底部15を形成した後、内容物を充填し、上部17をシールすることにより比較例2のゲーブルトップ型の紙容器を作製した。
【0115】
<接着強度の測定>
内容物を充填する前の積層体1Aの接着強度を測定した。具体的には、実施例1〜4および比較例1〜2と同様にして積層体1Aをそれぞれ作製し、これらから幅15mm、長さ100mmの試験片を切り出し、切り出した試験片の一端から測定対象とする層間を50mm剥がし、テンシロン引張り試験機の両チャックにそれぞれチャッキングした。25℃雰囲気下、50mm/minの引張り速度で180度方向に剥がし、最大荷重を測定した。測定は5回行い、その算術平均を接着強度として結果を表1に示した。
【表1】

【0116】
<加工適性の評価>
積層体を紙容器に加工する際に不都合がないか確認した。具体的には、実施例1〜4および比較例1〜2と同様にして積層体1Aをそれぞれ作製し、これらを用いてスリーブ状カートンを作製した。いずれの積層体1Aを用いた場合にも、加工工程において捲れや浮きの発生は認められなかった。
【0117】
<耐久性の評価>
実施例1〜4および比較例1〜2で作製したゲーブルトップ型の紙容器を50℃にて1.5ヶ月(常温で1年に相当する)保管した後、紙容器を分解し、上記した接着強度の測定と同様の方法で接着強度を測定した。結果を表2に示した。
【表2】

【0118】
<耐ピンホール性の評価>
DR−10(DNK製)充填機において紙容器のトップ部およびボトム部をシールする際の炙り温度を変化させ、最適なシール温度巾を測定した。結果を表3に示した。
【表3】

【0119】
以上のことから、実施例1〜4の紙容器は、紙容器としての性能(加工適性、耐久性および充填シール性)は比較例1および2と同等であり、使用後には紙基材層側とバリア層側とを容易に分離することができ、リサイクル効率の高いものであると言える。
【符号の説明】
【0120】
1 オレフィン系樹脂からなる最外層
1A 積層体
2 紙基材層
3 接着調整層
4 接着樹脂層
5 バリア層
6 樹脂フィルム層
7 最内層
10 液体紙容器
12 胴部
12A,12B,12C,12D 側面
15 底部
17 上部
21 帯状分離体
21a,21b 側縁切目線
22 胴部切目線
23 連結切目線
24 注出口
25 キャップ
26 追加の帯状分離体
28 把持タブ
29 把持タブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層体からなる液体紙容器において、
4側面からなる胴部と、
底部と、
上部とを備え、
積層体はオレフィン系樹脂からなる最外層と、紙基材層と、接着調整層と、接着樹脂層と、バリア層と、樹脂フィルム層と、オレフィン系樹脂を含む最内層とを有し、
胴部の上方部および下方部のうち、一方に胴部全周に延びるとともに一対の側縁切目線を含みかつ把持タブを有する帯状分離体を設け、他方に胴部全周に延びる胴部切目線を設け、
胴部に帯状分離体と胴部切目線を連結して延びる連結切目線を設け、
帯状分離体の一対の側縁切目線、胴部切目線および連結切目線は、最外層から紙基材層もしくは接着樹脂層まで延び、帯状分離体を胴部の他の部分から一対の側縁切目線に沿って分離し、連結切目線および胴部切目線を切断することにより、胴部のうち帯状分離体と胴部切目線との間の領域において少なくとも最外層および紙基材層をバリア層から剥離することを特徴とする液体紙容器。
【請求項2】
積層体からなる液体紙容器において、
4側面からなる胴部と、
底部と、
上部とを備え、
積層体はオレフィン系樹脂からなる最外層と、紙基材層と、接着調整層と、接着樹脂層と、バリア層と、樹脂フィルム層と、オレフィン系樹脂を含む最内層とを有し、
胴部の上方部および下方部のうち、一方に胴部全周に延びるとともに一対の側縁切目線を含む第1帯状分離体を設け、他方に胴部全周に延びるとともに一対の側縁切目線を含む第2帯状分離体を設け、
第1帯状分離体および第2帯状分離体のうち少なくとも一方は把持タブを有し、
胴部に第1帯状分離体と第2帯状分離体を連続して延びる連続切目線を設け、
第1帯状分離体の一対の側縁切目線、第2帯状分離体の一対の側縁切目線、および連結切目線は、最外層から紙基材層もしくは接着樹脂層まで延び、第1帯状分離体および第2帯状分離体を胴部の他の部分から、各々一対の側縁切目線に沿って分離し、連結切目線を切断することにより、胴部のうち第1帯状分離体と第2帯状分離体との間において少なくとも最外層および紙基材層をバリア層から剥離することを特徴とする液体紙容器。
【請求項3】
帯状分離体と胴部切目線は胴部に水平方向に沿って設けられていることを特徴とする請求項1または2のいずれか記載の液体紙容器。
【請求項4】
胴部の隣り合う2つの側面のうち一方の側面に、他方の側面に接着されるのりしろが取付けられ、
連結切目線は当該一方の側面とのりしろとの間に沿って設けられていることを特徴とする請求項3記載の液体紙容器。
【請求項5】
胴部の隣り合う2つの側面のうち一方の側面に、他方の側面に接着されるのりしろが取付けられ、
帯状分離体の把持タブは当該一方の側面とのりしろとの間、あるいは他方の側面の端部に配置されていることを特徴とする請求項1または2のいずれか記載の液体紙容器。
【請求項6】
積層体の紙基材裏面、またはバリア層表面または樹脂フィルム層の表裏面に、隠された情報が印刷された印刷層が設けられていることを特徴とする請求項1または2のいずれか記載の液体紙容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−166796(P2012−166796A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27210(P2011−27210)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】